日本人、長寿世界一を更新 まだ7〜8歳延びる可能性
■男79.00歳、女85.81歳
日本人の平均寿命は、男性79.00歳、女性85.81歳で過去最高を更新したことが、
厚生労働省が26日発表した平成18年「簡易生命表」で分かった。男性の20.6%、
女性の43.9%が、90歳まで生きる計算になるという。
17年はインフルエンザの流行で男女とも平均寿命がわずかに縮まったが、
18年は男性が0.44歳、女性が0.29歳延びた。男女差は6.81歳で、前年より0.15歳縮まった。
厚労省が集めた世界各国・地域のデータと比べると、
女性は昭和60年から22年連続の長寿世界一を維持。2位の香港(84.6歳)、
ともに3位のスイス、スペイン(83.9歳)を大きく引き離している。男性は17年は4位だったが、
18年はアイスランド(79.4歳)に次いで2位で、香港(78.8歳)、スイス(78.7歳)を抜き返した。
寿命を延ばす要因として、がん、心疾患、脳血管疾患の3大死因の改善が寄与していた。
男女ともに3大疾患が死因の半数以上を占めており、仮にこれらでの死亡がなくなれば、
男性で8.31歳、女性で7.20歳、いまよりも寿命が延びる計算という。
厚労省は「平均寿命が延びる傾向は続いている。3大疾患の克服が大きく寄与することになる」としている。
簡易生命表は、各年齢ごとの男女の死因や死亡件数などから、
死亡状況が変化しないと仮定したときの平均余命を推計したもの。0歳の平均余命が平均寿命となる。
乳がん、検診で発見はたったの2割
乳がん患者のうち、乳房のエックス線(マンモグラフィ)などを使った検診でがんが見つかったのは
2割に過ぎず、4人に3人は、検診を受けずに自分でしこりなどの異常に初めて気づいて病院を
受診したことが、日本乳癌学会の大規模調査でわかった。
自分で発見する場合、早期がんより進行している例が多く、専門家は「早期がんの発見には、
マンモグラフィ検診が有効だ。乳がんの死亡率を下げるには、低迷する集団検診の受診率を
上げることが不可欠」と指摘している。
同学会は、乳がんの診断や治療を行う全国226か所の医療機関から、2004年度にがん登録した
乳がんの新患者約1万4800人(平均年齢57歳)のデータを集計。
これは全国の年間新患者数の約4割にあたる。その結果、患者が乳がんに「自分で気づいた」と
答えたのが73・8%に上った。検診で見つかったのは20・4%で、このうち自覚症状が全くなかった
人は、14・7%だった。
直径2センチ以下の早期がんで見つかったのは45%に過ぎず、43%は2・1〜5センチに達していた。
発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めた。リンパ節に転移しない乳がんの10年後の
生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるという。
同学会理事長の園尾博司・川崎医大乳腺甲状腺外科教授は「胸を触る自己診断で見つかる乳がんの
大きさは平均約2センチで、自然に気づく場合は3センチ以上が多い。マンモグラフィ検診への理解を
広げることが大切だ」と話している。乳がんの死者数は、年間約9800人。30〜50歳代の女性のがん
では、死因の1位となっているが検診の受診率は1割台に低迷している。
日本の健康寿命は男女とも世界一
日本の健康寿命は、男女とも世界一を維持している。女性は平均寿命・健康寿命とも世界一、
男性は平均寿命をアイスランドに譲って世界二位。ただし、平均寿命の男女差が6・9歳。
これは先進国のなかで一番開いている。フィンランド6.8歳、ベルギー6.4歳、イタリア6.0歳、
ドイツ5.9歳。男女差が3―4歳台で女性の平均寿命が80歳以上は、アイスランド3.2歳、
スウェーデン4.7歳、オランダ・ニュージーランド4.9歳である。日本はまだ改善の余地がある。
男女差が生まれる理由については、栄養状態は男女ほとんど同じ。生活習慣病のリスク、
性的要素のリスク、嗜好品のリスク。環境リスク、職業リスクなど、総じて男性のリスクが高く、
これが男女差に響いているといわれる。
障害期間は、日本は男6.5年女9.0年、先進国の男子の一位はデンマーク5.5年、
女性の一位はスイス8.5年で、日本は先進国の中位にある。
ちなみにアメリカは先進十七ヵ国の中で最後尾、男8.0女10.7年であり、
こと健康に関しては発展途上国並みといわれている。
「健康寿命」を2002年WHOが初めて用い、また、介護保険を導入するに当たって、
厚生労働省が高齢化社会政策「健康日本21」の中で用い、ほぼ定着しつつある概念である。