94 :
待った名無しさん:
寒い寒い雪の夜。
荒川元プロは一人、パチプロ必勝本を売っていました。自分の遠隔記事でつぶした雑誌を、原稿料の替りに押しつけられたのです。
「パチプロ必勝本をどうぞ。パチプロ必勝本を買ってくださいな」
だけど誰ひとり、パチプロ必勝本を買ってくれる人はありませんでした。
「そんな糞雑誌、パチンコ手帳を付録につけられたっていらねーよ、ペッ」
今日は大晦日。
道行く人たちはみな、家路を急ぎ、窓から漏れるあかりの向こうは、どの家からも楽しそうな声が響いています。
ひとりぼっちの荒川元プロは、寒さのあまりパチプロ必勝本の束に席取用の100円ライターで火をつけました。
またたく間に燃えあがったパチプロ必勝本の火が、荒川元プロのねぐらにしていた段ボール箱に燃え移り、荒川元プロは火に包まれました。
そして、最後のパチプロ必勝本が燃え尽きてしまうそのとき、荒川元プロは幸せな夢の中で、黒コゲになって行くのでした。