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名無し行進曲:
なぜ現代吹奏楽の編成にホルンが含まれているかというと、
フェネル博士が提唱したウィンドアンサンブル形式(オケの管楽器を拡張するのが基本線という発想)を踏襲する団体が多かったからだ。
日本ではさらに、吹コンの課題曲の編成にホルンが組み込まれていることもあり、ここ三十年で急速に普及した。
だがそれ以前は、アルトホルンとバリトンの方が主流だった(金管バンドでは今でも主流だが)。
ここで心に留めたいことは、ウィンドアンサンブル形式の受容の過程に、
吹奏楽を管弦楽と同じ俎上に乗せて語られるようにしようとの意図が多分に含まれていたことだ。
なればこそ、管弦楽に標準装備のホルンは外せないことになる。
本来ならば、ホルンでもアルトホルンでもバリトンでも、曲の作り方次第で相互に補完出来るものを、
あえてホルンだけが選ばれているのは、管弦楽との連続性に於いての要求によるものといえる。
だが、吹奏楽界の現状は短時間の標題音楽が蔓延しており、なおかつ学校教育の場がその主体となっている。
この状況に於いて、習得に他楽器よりも期間を要するホルンの楽譜が、裏打ちに満ちているというのは、
編成上の必然性を失っているとは言えないだろうか?
今後少子化が進めば、学校吹奏楽の現場でも部員減は当たり前のことになるだろう。
その時に、他に潰しのきかないホルンではなく、アルトホルンやバリトンの魅力が再認識されないだろうか。
中口径マウスピースの固定使用を前提とし、共通シャンク設計の楽器があれば、
アルトホルン・バリトン・トロンボーンを、1人の奏者が編成に応じて使い分けることが出来る。
これは小編成バンドにとってはありがたいことだ。
このような観点から論ずると、ホルンからアルトホルン等への転換は、
将来的に吹奏楽界にとって望ましいものといえるだろう。