ロリショタバトルロワイアル9

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1名無しさん@お腹いっぱい。
本性を晒け出せ!
衝動をぶち撒けろ!
欲望を解き放て!
情熱を、燃やせ!



ここは真性の漢共(女性可)が集まり、
ジャンルを問わないロリショタキャラでバトルロワイアルを行う、
あまりにもCOOLなスレです。
紳士淑女の心を忘れず冷静に逝きましょう。

前スレ
ロリショタバトルロワイアル8
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1174298614/

過去スレ
ロリショタバトルロワイアル7
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1173267370/
ロリショタバトルロワイアル6
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1171953607/
ロリショタバトルロワイアル5
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1170746599/
ロリショタバトルロワイヤル4
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169810359/
ロリショタバトルロワイアル3
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1169293272/
ロリショタバトルロワイアル2
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1168265134/
ロリショタバトルロワイアルをやれるか話し合うスレ
http://human6.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1167045572/

テンプレは>>2以降に
ロリショタロワ避難所(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/8274/
まとめwiki
http://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa
2名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 22:31:43 ID:vt6G6YGT
>>1
乙だ、この野郎
3名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 22:31:45 ID:xJfUL/BK
〜参加者一覧[作品別]〜
【魔法少女リリカルなのは】高町なのは/フェイト・テスタロッサ/ヴィータ/八神はやて/アリサ・バニングス
【ローゼンメイデン】真紅/翠星石/蒼星石/雛苺/金糸雀
【魔法陣グルグル】ニケ/ククリ/ジュジュ・クー・シュナムル/トマ
【ポケットモンスターSPECIAL】レッド/グリーン/ブルー/イエロー・デ・トキワグローブ
【デジモンアドベンチャー】八神太一/泉光子郎/太刀川ミミ/城戸丈
【ドラえもん】野比のび太/剛田武/リルル
【魔法先生ネギま!】ネギ・スプリングフィールド/エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/犬上小太郎
【絶対可憐チルドレン】明石薫/三宮紫穂/野上葵
【落第忍者乱太郎】猪名寺乱太郎/摂津のきり丸/福富しんべヱ
【名探偵コナン】江戸川コナン/灰原哀
【BLACKLAGOON】ヘンゼル/グレーテル
【クレヨンしんちゃん】野原しんのすけ/野原ひまわり
【ドラゴンクエストX】レックス(主人公の息子)/タバサ(主人公の娘)
【DEATH NOTE】メロ/ニア
【メルティブラッド】白レン/レン
【ちびまる子ちゃん】藤木茂/永沢君男
【カードキャプターさくら】木之本桜/李小狼
【テイルズオブシンフォニア】ジーニアス・セイジ/プレセア・コンバティール
【HUNTER×HUNTER】キルア/ゴン
【東方Project】レミリア・スカーレット/フランドール・スカーレット
【吉永さんちのガーゴイル】吉永双葉/梨々=ハミルトン
【ヴァンパイアセイヴァー】リリス
【MOTHER】ネス
【サモンナイト3】ベルフラウ=マルティーニ
【Fate/stay night】イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
【みなみけ】南千秋
【武装錬金】ヴィクトリア=パワード
【BLACKCAT】イヴ
【からくりサーカス】才賀勝
【銀魂】神楽
【ひぐらしのなく頃に】古手梨花
【灼眼のシャナ】シャナ
【とある魔術の禁書目録】インデックス
【るろうに剣心】明神弥彦
【ボボボーボ・ボーボボ】ビュティ
【一休さん】一休さん
【ゼルダの伝説】リンク(子供)
【ベルセルク】イシドロ
【うたわれるもの】アルルゥ
【サザエさん】磯野カツオ
【せんせいのお時間】鈴木みか
【パタリロ!】パタリロ=ド=マリネール8世
【あずまんが大王】美浜ちよ
【ポケットモンスター(アニメ)】サトシ
【SW】ベルカナ=ライザナーザ
【Gunslinger Girl】トリエラ
【ぱにぽに】レベッカ宮本
【FINAL FANTASY4】リディア
【よつばと!】小岩井よつば
計86名
4名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 22:32:31 ID:xJfUL/BK
〜参加者一覧[あいうえお順(名簿順)]〜
01:明石薫/02:アリサ・バニングス/03:アルルゥ/04:イエロー・デ・トキワグローブ/05:イシドロ/
06:泉光子郎/07:磯野カツオ/08:一休さん/09:猪名寺乱太郎/10:犬上小太郎/
11:イリヤスフィール(略)/12:インデックス/13:イヴ/14:エヴァンジェリン(略)/15:江戸川コナン/
16:神楽/17:金糸雀/18:城戸丈/19:木之本桜/20:キルア/
21:ククリ/22:グリーン/23:グレーテル/24:小岩井よつば/25:剛田武/
26:ゴン/27:才賀勝/28:サトシ/29:三宮紫穂/30:シャナ/
31:ジーニアス・セイジ/32:ジュジュ・クー・シュナムル/33:白レン/34:真紅/35:翠星石/
36:鈴木みか/37:摂津の きり丸/38:蒼星石/39:高町なのは/40:太刀川ミミ/
41:タバサ(主人公の娘)/42:トマ/43:トリエラ/44:永沢君男/45:ニア/
46:ニケ/47:ネギ・スプリングフィールド/48:ネス/49:野上葵/50:野原しんのすけ/
51:野原ひまわり/52:野比のび太/53:灰原哀/54:パタリロ/55:雛苺/
56:ビュティ/57:フェイト・テスタロッサ/58:福富しんべヱ/59:藤木茂/60:フランドール・スカーレット/
61:ブルー/62:古手梨花/63:プレセア・コンバティール/64:ヘンゼル/65:ベルカナ=ライザナーザ/
66:ベルフラウ=マルティーニ/67:南千秋/68:美浜ちよ/69:明神弥彦/70:メロ/
71:八神太一/72:八神はやて/73:吉永双葉/74:李小狼/75:リディア/
76:リリス/77:梨々=ハミルトン/78:リルル/79:リンク(子供)/80:レックス(主人公の息子)/
81:レッド/82:レベッカ宮本/83:レミリア・スカーレット/84:レン/85:ヴィータ/
86:ヴィクトリア=パワード
計86名
5名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 22:33:09 ID:xJfUL/BK
〜ロリショタロワ・基本ルールその1〜
【基本ルール】
参加者全員で殺し合い、最後まで生き残った一人が優勝となる。
優勝者のみが生きて残る事ができて『何でも好きな願い』を叶えて貰えるらしい。
参加者はスタート地点の大広間からMAP上にランダムで転移される。
開催場所はジェダの作り出した魔次元であり、基本的にマップ外に逃れる事は出来ない。

【主催者】
主催者:ジェダ=ドーマ@ヴァンパイアセイヴァー(ゲーム・小説・漫画等)
目的:優れた魂を集める為に、魂の選定(バトルロワイアル)を開催したらしい。
なんでロリショタ?:「魂が短期間で大きく成長する可能性を秘めているから」らしい。

【参加者】
参加者は前述の86人(みせしめ除く)。追加参加は認められません。
特異能力を持つ参加者は、能力を制限されている場合があります。
参加者が原作のどの状態から参加したかは、最初に書いた人に委ねられます。
最初に書く人は、参加者の参戦時期をステータス表または作中に記載してください。

【能力制限】
参加者は特異能力を制限されることがある。疲労を伴うようになっている能力もある。
また特別強力な能力は使用禁止になっているものもあるので要確認。

【放送】
放送は12時間ごとの6時、18時に行われる。内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」
「過去12時間に死んだ参加者名」など。

【首輪と禁止エリア】
・参加者は全員、爆弾の仕込まれた首輪を取り付けられている。
・首輪の爆弾が起爆した場合、それを装着している参加者は確実に死ぬ。
・首輪は参加者のデータをジェダ送っており、後述の『ご褒美』の入手にも必要となる。
(何らかの方法で首輪を外した場合、データが送られないので『ご褒美』もない)
・首輪が爆発するのは、以下の4つ。
1:『禁止エリア』内に入ってから規定時間が過ぎたとき。
2:首輪を無理やり取り外そうとしたとき。
3:24時間で死者が出なかったとき。
4:ジェダが必要と判断したとき(面と向かって直接的な造反をした場合)。
6名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 22:33:39 ID:xJfUL/BK
〜ロリショタロワ・基本ルールその2〜
【舞台】
ttp://takukyon.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/clip/img/76.gif

【作中での時間表記(2時間毎)】(1日目は午前6時よりスタート)
 深夜:0〜2
 黎明:2〜4
 早朝:4〜6
 朝:6〜8
 午前:8〜10
 昼:10〜12
 真昼:12〜14
 午後:14〜16
 夕方:16〜18
 夜:18〜20
 夜中:20〜22
 真夜中:22〜24

【支給品】
・参加者が元々所持していた装備品、所持品は全て没収される。
・ただし体と一体化している装備等はその限りではない。
・また衣服のポケットに入る程度の雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される物もある。
・ゲームの開始直前に以下の物を「ランドセル」に入れて支給される。
「食料」「飲料水」「懐中電灯」「地図」「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」「名簿」
「ランダムアイテム(1〜3種)」。
なおランドセルは支給品に限り、サイズを無視して幾つでも収納可能で重量増加もない。
その他の物については普通のランドセルの容量分しか入らず、その分の重量が増加する。

【ランダムアイテム】
・参加者一人に付き1〜3種類まで支給される。
・『参加者の作品のアイテム』もしくは『現実に存在する物』から選択すること。
(特例として『バトルロワイアル』に登場したアイテムは選択可能)。
・蘇生アイテムは禁止。
・生物および無生物でも自律行動が可能なアイテムは参加者増加になる為、禁止とする。
・強力なアイテムには能力制限がかかる。非常に強力なものは制限を掛けてもバランスを
取る事が難しいため、出すべきではない。
・人格を変更する恐れのあるアイテムは出さない方が無難。
・建前として『能力差のある参加者を公平にする事が目的』なので、一部の参加者だけに
意味を持つ専用アイテムは避けよう。出すなら多くの参加者が使えるようにしよう。

【ご褒美システム】
・他の参加者を3人殺害する毎に主催者から『ご褒美』を貰う事が出来る。
・トドメを刺した者だけが殺害数をカウントされる。
・支給方法は条件を満たした状態で、首輪に向かって『ご褒美を頂戴』と伝えるか、
次の放送時にQBが現れるので、以下の3つから1つを選択する。

1:追加のランドセルが貰える。支給品はランダムで役に立つ物。
2:ジェダに質問して、知人の場所や愛用品の場所などの情報を一つ聞ける。
3:怪我を治してくれる。その場にいれば他の人間を治すことも可能。
7名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 22:34:16 ID:xJfUL/BK
〜ロリショタロワ・基本ルールその3〜
【ステータス表】
・作品の最後にその話に登場した参加者の状態、アイテム、行動指針など書いてください。
・以下、キャラクターの状態表テンプレ
【現在位置(座標/場所)/時間(○日目/深夜〜真夜中)】
【キャラクター名@作品名】
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(身に装備しているもの。武器防具等)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なもの。
     収納している装備等、基本的にランドセルの中身がここに書かれます)
[思考・状況]
(ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
 複数可、書くときは優先順位の高い順に)

◆例
【D-4/学校の校庭/1日目/真夜中】
【カツオ@サザエさん】
[状態]:側頭部打撲、全身に返り血。疲労
[装備]:各種包丁5本
[道具]:サイコソーダ@ポケットモンスター
[思考]
第一行動方針:逃げた藤木を追い、殺害する
第二行動方針:早く仲間の所に帰りたい
基本行動方針:「ご褒美」をもらって梨花の怪我を治す

【予約】
・キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
・期間は予約から72時間(3日)。期間終了後は、他の人が投下してもOKです。
・予約しなくても投下することはできますが、その際は他に予約している人がいないか
十分に確認してから投下しましょう。

【投下宣言】
・投下段階で被るのを防ぐため、投下する前には必ずスレで 「投下します」 と宣言を
して下さい。 投下前にリロードし、被っていないか確認を忘れずに。

【トリップ】
 投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
 本人確認のため、書き手は必ずトリップをつけてください。
8少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:38:20 ID:MkM4ktYq
 B-5で戦闘が行われている頃、A-5で、より正確には道路ではハッパ少女改めインデックスとコキュートス改めアラストールは
 その場で動きを止めていた。だが、なにもない平原では二者の行動を妨げるものは存在しない。
 しかし、彼女らが立ち止まる理由はしごく簡単なものであった。B-5では魔力を持った者達による戦闘が行われおり、
 街へと進行する途中にそのことを感知したインデックスはすぐに突撃することを避けたからだ。
 インデックスの魔力探知の技能は一エリア丸々覆うほどの広さもなく、少量の魔力ならば察知することは難しいが
 ヒト一人を殺せる以上の力を見過ごせるものではなかった。
(しかもあの子までいる)
 そう、山頂で戦闘をしている者達の中にはどういう理由かは分からなかったが、
 最初の大広間でジェダの傍らにいたリリスと名乗る少女がいることが知覚できたのだ。
「どうしたのだインデックス?」
 とはいえ、そんな事情など知ることができないアラストールには突然インデックスが立ち止まり
 進行方向と別の方をただじっと見つめているようにしか見えなかった。
「向こうで、戦闘が起こっているんだよ。しかも、あのリリスって子が戦ってる」
「それは真か!?」
 そんなアラストールの返答にインデックスは疑問を覚えた。なぜ彼はこの戦いに気づかないのだろうかと。
 存在の力を感知する能力では魔力を感知できないからか。いや、違うだろう。
 魔力での自在法起動や存在の力での魔術起動を出来るかどうかは判断がつかないが、自身はコキュートスを異能の力だと判別できた以上は彼も
 この異常を感知することはそう難しくはないだろう。しかも『魔力を持つ者』同士の戦いである。彼女の知る魔術師のすべては『体内に魔力を持たず』
 に『生命力から魔力を練る』ことで魔術を行使する。ゆえに、魔力を持ち続けている参加者は腰に発信機を付けているような状態であり、
 しかも現在は魔力を行使しているのだ。制限とやらで見えづらくなっていたとしても、これほど大きな異常はごまかされると思えない。
 そこでインデックスは別の可能性に気づく。
「ねえ、アラストール。妙な圧迫感を感じるとか、視界が見え辛いとか、そんなことはないかな?」
「……いや。あれの元に戻れぬといったこと以外は、別段おかしなことはないが」
 そのアラストールの言葉から、とある答えに確信を持つ。
「この島が魔術で構成されているって言ったことは覚えているよね」
「うむ」
「なら当然、魔術を発動させるのには魔力が必要なんだ。自在法を起動するのに存在の力がいるのと同じように」
「当然といえば当然な話だな」
「最初に言っておくべきだったんだけど、私達の周りにはジェダの魔力が敷き詰められているんだよ。たぶん、島全土を覆う規模で」
「……それはどういうことだ?」
 インデックスはアラストールにさらなる情報を告げる。
「少し長くなるけどちゃんと聞いててね。十字教の教えでは、人に『魔力』があるように世界には『力』という物がって、その力を
 通称『神の祝福(ゴッドブレス)』っていうんだ。あなたからすれば『存在の力』っていうのに似たようなものだと思う。
 まあ、人間からは生み出すことができない『世界の力』だから厳密には違うんだろうけど。
 その力は人間の持つ生命力や魔力よりも強大で、普通の人間や魔術師には見ることのできない、巫薙や風水師じゃないと見えない代物なんだ。
 この島にはその『世界の力』がない、その代わりにジェダの魔力が敷き詰められているんだよ。
 感覚としては質が低いわけじゃなくて、色が薄い感じで」
 そこで一旦区切り、本題を切り出す。
9少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:39:05 ID:MkM4ktYq
「ここからは私の憶測なんだけどね。たぶん魔力が外に漏れ出さないように、この島全体に結界が張られているはず。
 用途はあなたを含む各参加者の魔を感知する技能を阻害することで、普通なら気づくぐらいの距離でも気づき難くしていると思うんだよ」
 だがそれならば、インデックスはなぜそれらのことを理解できるのか。当然ながらアラストールはそのことに疑問を持った。
「ならば、なぜお前はそのことに気づけるのだ?」
 その問いにインデックスは悲しそうな表情をしながら答えた。
「それは、私が魔力を練る力を持たないからだよ」
 インデックスには生命力から魔力を練る力がない。10万3000冊もの魔道書の知識は有っても魔術が使えずに無力感を噛み締めることすらある。
 だからこそ気づける。大味になれた人間が薄味の隠し味を見抜けないように、魔術のプロフェッショナルでも分からないほどの薄さの魔力を、
 まるでソムリエが機械油で満たされた工場でワインを匂いだけで種類を判別するかのごとく、力を持たずに魔を感知できる少女は
 その薄味を感じ取ることが出来るのだ。
 とはいえ、アウレオルス=イザードの作った魔塔という極めて似たような状況の経験があったからこそ、出せる答えでもあったが。
「通常の魔術師だと、彼ら自身が膨大な魔力精製炉だからね。たぶん、この状況に気付けないかも」
 そう置いてからインデックスは、振るえる唇で次の言葉をアラストールに告げる。
「行くよ。あの山へ」
 なぜリリスがここにいるか調べるという目的もあったが、本来インデックスは誰かのことを見捨てられない少女である。
 自殺志願者でもなければ死を恐れるわけでもないが、今まさに失われていくかもしれない誰かを放っておくことなどできなかった。
 危険だということなど理解している。だからこそ立ち止まり、脱出する者やジェダを打倒する者たちにとって少しでも有利になるように
 アラストールに情報を伝える。自身が逝ってしまったとしても知識だけは誰かに伝わるように。
「……そうか」
 そんな少女の意志を、魔神は止めようとは思えなかった。その意志を止めることは侮蔑であることを理解していたからだ。
 だからこそ、かつての契約者と共にあった時と同様にその意志を見届けることにした。
「最初に打ち合わせたとおり、喋るときは選んでね」
「うむ」
 そうして少女は歩みだした。死地になるやもしれぬ場所へと。
10少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:40:09 ID:MkM4ktYq
     * * *


  蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!
  蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!蹴る!

 ニケの目の前で行われていたことは、ただそれだけであった。
 それだけのことだけだというのに動けなかった。それは、これまで遭遇したことのないほどの残虐な状況であったからだ。
 普段暴行を受けるのは自身か、キタキタ親父か、たまにトマ、ときどきゲストである。そのほとんどが男であった。
 故に女の子が女性であったと思えぬほどに、知り合いですらもエヴァ本人であると認められぬであろう程に
 蹴り砕かれていくという光景にニケは驚きすくみあがっていた。
(ど、どうするよ!? おい!)
 そう思ってみたものの、彼の周りにいるのは蹴られ続けているエヴァとそのエヴァを蹴り続けているリリスだけである。
 逃げようとは思ったものの、キタキタ親父でもないエヴァをこのまま放っておけば死んでしまうであろうことが容易に想像
 できてしまったために逃げるに逃げられず、リリスに止めるように言ったとしても止まるとも思えぬために何もできない。
 そんなことを考えている勇者の頭に一つの名案が思い浮かんだ。
(こ、これならいける!?)
 この手段ならば、自身は危険を侵さずにエヴァを助けられる。そう思い実行に移すことにする。
「おい、リリス!!」
 勇者は吸血鬼を蹴り続けている夢魔にビシッと一指し指を突きつけ叫ぶ。
「えい! えい! って何ニケ? 今度はあなたが遊んでくれるの?」 
 声を掛けられたリリスは蹴るのを止め、エヴァからニケへと視線を向ける。
「これ以上エヴァを苛めると酷い目に遭わすぞ!!」
「苛めてないよ、リリスはおばさんで遊んでるんだよ」
 あまりに気楽に言うリリスに腹が立ったもののニケは次の言葉を紡ぐ。
「それ以上我が仲間を傷つけるのならば、風の精霊が汝の命を冥土に運ぶであろう」
 その言葉を言い終え、ニケは決まったと思った。
 思いついたことは簡単である。クサイ台詞を言うことでシリアス嫌いの風の精霊ギップルを呼び出し、
 囮にしている間にリリスからエヴァを取り戻し担いで逃げるという手段である。
 外道な手段ではあるが、彼なりにこの状況を切り抜ける手段を考えた結果であった。
 だが、ピューッと風が吹くだけで何も起こらず、誰も現れなかった。
『ニケはギップルを呼んだ。だがここには現れない』
 そんなウインドウがニケの頭の中に表示される。
(え、うそ。来れねえのかよあいつ!?)
 なぜか『勇者さん、仕様なんです御察し下さい!!』などとのたまう褌精霊の姿が脳裏に思い浮かんだ。
 なんとなく、びびったからこないのかもしれないとも思ったが。
 だが、ガビーンッという擬音をあげ驚愕している勇者にはあいにくとボケをかましている余裕などなかった。
 すでに夢魔が標的を吸血鬼から少年へと移していたのだから。
「じゃ、あそぼ♪ ニケ」
 そう言いながらリリスは、まるでゴミを扱うがごとくエヴァを放り投げニケへと迫る。
「ちくしょう!!」
 ニケは迫ってくるリリスから離れようと後ろへ下がる。
11少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:41:18 ID:MkM4ktYq

  ペタン。

 だが柔らかいなにかにぶつかる。なんだ、と思い後ろを振り返るとリリスがいた。
(へ? 回り込まれた?)
 不思議に思ったが、視線の端にはもう一人のリリスが正面から迫ってくるのが見え、
 何時の間にか分裂していたらしいなどと思った。が、そんな感想を漏らす間もなく触手を纏わせ剣のように纏められた夢魔の右腕が迫ってくる。
(や、やべえ!?)
 避けようとしたものの、がっしりと両肩を分身に掴まれ逃げるに逃げられない。
(だ、誰か助けてくれ!!)
 そんな願いを虚しく打ち砕くようにリリスの一撃が振り下ろされ、思わずニケは目を強く閉じる。
 金属と金属がぶつかり合うような音が耳に響いた。
 だが、それだけだった。痛みも何もない。
 ニケは恐る恐る目を開ける。眼前には振り下ろされようとする触手と、それの一撃を妨げようとする峰と刃が反対となっている刀が見えた。
 助かった、と安堵した瞬間に視界が反転し肌色しか見えなくなり、衝撃が体に走る。
 助太刀に入った誰かと共に吹き飛ばされてしまったことをニケが理解する前に、地面にぶつかり再び衝撃が走る。
 ニケは痛みを堪えつつも起き上がろうとした。だが、何かが自身に圧し掛かっているために起き上がれない。
「うう、痛いかも」
「……お、重え……ハウッ!?!?!?!?!?」
 そう言ったとたんに三度目の衝撃が走る。
 それは一番弱い部分に当たり、この島に連れてこられてから今までで一番の攻撃力を伴っていた。
 その圧し掛かっていた誰かが、汚いものから離れるようにニケの上から退いたために、ニケはその場を盛大に転がることとなった。

     * * *
12少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:42:22 ID:MkM4ktYq
(い、痛かった)
 やっとのことで股間に走る痛みが治まりニケは転がるのを止めた。
 地面に寝転んだまま様子を窺う。
 その場にはニケを除けば一応は四人いた。
 一人は自身と同様にその場に転がったままのエヴァである。吸血鬼である以上は死んでしまったら灰になってしまうだろうが、
 そうなっていないということは死んではいないのだろう。
 リリスは二人に分裂したまま、両方共に不思議そうな、興味深そうな表情でこちらを見ている。
 そして、最後の一人は助けに入ってくれた人物である。その少女は少年と間違えるほどの非常に平坦な体つきだった。
 それでも、背を向けていた少女のことをニケが女性だと分かったのはすけべ大魔神の称号ゆえか。
 そんな少女はニケの方を見ずにリリス達に対峙したまま刀を構えている。
(よく刺さらなっかたなぁ)
 などとニケは思ったものの、そんなことはどうでもよかった。それよりも気になることがあったからだ。
 その格好は魔法でできた守備力の高い服なのか、それともそのような趣味なのか、『露出度何それ?』といった水でできたような服装であった。
 そして、下着一枚、素肌が見えやすい服といった格好からとある存在が連想できてしまった。
 その存在は少女の被っているフードこそ身につけていなかったが、変態度は同じ程度はあるだろう。
 その存在は、もし勇者が風の谷に行った後に連れてこられていたのならば想像することなどないことであった。
 だがあいにくと、そこに行く前にこの島に呼び出されたためにそのことを発想してしまった。
「……ギップル……のお姉さんか何か?」
「? ……ヨム・キプルがどうかしたの?」
 とはいえ褌精霊のことなど知らない少女にとっては、そんな不名誉な称号を得てしまったことなど関係なかった。
 眼前の相手から目を逸らすだけで、致命的な結果になるであろうことが分かっていたからだ。
「「あなた誰?」」
 リリスがステレオで突然現れた少女に問いかける。
「 dedicatus545」
「……デ、デデ……イ……何?」
「あなたと違って、敵を目の前にして余裕なんか見せてあげないし。あなた達の思い通りにはさせてあげないってこと」
 そう言われリリスは頬を膨らます。だが、まだ襲ってはこなかった。
「大丈夫?」
 少女は小声で傍らにいるニケに語りかける。
「ああ、なんとか」
「そう……一つ質問があるんだけど……殺し合いには乗っていないよね」
「おう、当然」
 ニケがそう言うと少女はその言葉を吟味するかのごとく僅かな時間押し黙り、再び口を開いた。
「なら、私がリリスの目を引き付けてあげるから、その間にあの子を連れて逃げて」
 その言葉がどういう意図で発せられたかは分からなかったが、ニケにとってありがたいものであった。
 エヴァの負傷も気になり、帰ってこないなのはのことも気になる状況では
 目の前にいる名前も知らない少女に任せた方がいいだろう。
13少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:43:53 ID:MkM4ktYq
 一見弱そうに見えるが問題ない。フラグのことを考えれば自分とエヴァは逃げ切れる。
 そうフラグである。この場合は『ここは俺に任せて、先に行け』というフラグであり、
 この場合は自分とエヴァが逃げ切るまで、少女がなんとか足止めをしてくれるのだ。
 ただし、少女の死を知りそのことをエヴァと二人で悲しむという条件付きで。
 別にそうしたとしても、問題は無い。そのことを怒りそうなエヴァとて死んでしまっては元も子もない。
 優先すべきは自身の命と仲間の命、お助けキャラであるNPCが死んでしまったとしても、それはそういうイベントなのだ、仕方がない。
(でも、それって勇者のやることか?)
 だがニケはふと思ってしまう。本当にそれでいいのだろうかと。
 自分の職業は盗賊だ、逃げ足が自慢であるしLVだって一桁だ。
 だが、それでも数々のボス戦やピンチを凌ぎ、仲間を誰かを見捨てたことなどない(キタキタ親父などを除く)
 第一置いていくのは女の子だ。女の子に死亡フラグを立てるなど、自分の主義に反するのだ。
(それに、言われた通りに殺しあってやるつもりも、フラグにそって行動してやるつもりもねえ。ましてやラスボスの言うとおりなんざ!)
 だからこそ立ち上がる。目の前のリリスを倒すために、できれば生け捕りで。
「光魔法キラキラ、自分の剣!!」
 戦うために選ぶは『自分の剣』、それは剣というよりもニケを模った人形のように見えるが強力な武器である。
 カッコイイポーズは効果的であると知っていたが、弱っているであろうエヴァを巻き込んでしまえば本当に死にかねないために使わない。
 肩を並べる形となった少女が驚愕の表情をこちらに向けてくる。
 表情だけで、どうして、と言っているのが分かった。ニケは初めて少女の顔を見る、ヒロイン顔だなと思った。
「――意地があんのさ、男の子には」
 だからヒーローぽい表情で、ヒーローぽい台詞を言った。勇者だから。
「「二人とも、お話は終わった?」」
 律儀に待っていたらしいリリス達が問いかけてくる。
 だが、ニケは勇者でありながら盗賊である。律儀に返答を返してやらずに生じた隙をチャンスだと思い、一気に距離を詰め寄る。
 しかし、リリスも切り倒されるまで待つつもりなどなかった。
 無数の触手がリリスの羽から生え、ニケへと殺到する。
 ニケは右横に大きく跳ぶことによりそれらを避け、剣をリリスに向ける。
 その剣が急激に伸びた。光魔法キラキラ『自分の剣』の本領は攻撃力ではなく、その変幻自在の動きにある。
「いやん、ニケのエッチ♪」
 リリスは剣が伸びることなど知らず、距離も詰められていたために剣があっさりと纏わり付く。
 脇、胸、腕、羽、足、尻尾、股間、とリリスの全身を剣で縛り身動きできなくする。
「へへ、これで動けないだろう」
「うん、そうだね」
 リリスの返答はあくまで軽かった。そのことをニケはいぶかしむ。
(なんだ、この不安は? それになんか忘れているような……)
 そんな思考を中断するかのように聞き覚えのある金属音が幾度か鳴り響く。
 ニケが音のした方を見ると、少女がリリスに襲われ斬撃を見舞われていた。
(しまった、もう一人忘れてた!!)
 少女は刀で応戦しており怪我をしているようには見えなかったが、リリスの攻撃は明らかに遅かった。
 剣士ゴチンコと魔物のタテジワねずみぐらいの差はあるだろう。あれが分身で本体より弱いわけでないのならば、完全に遊ばれている。
14少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:45:31 ID:MkM4ktYq
(援護を!)
 そう思い、剣で縛ったリリスをハンマーがわりにもう一人へとぶつけようする。
「せめてこないなんて、ツマンナイ」
 だがリリスはあっさりとその拘束を引きちぎり、触手をニケの顔面に突き刺そうとする。
 投げようとした勢いがついていた為に、その行き場のない力がニケの体勢を崩す。
 だが盗賊としてのすばやさ故か、そんな体勢でも何とかしゃがみ、攻撃を避けた。
「い、痛え!?」
 しかしその勢いは速く、避けきれずに左肩が触手に削られる。
「ん、もう! じっとしてれば痛くしないのに!!」
「そんなわけにいくかよ!!」
 ニケは触手から離れつつ叫んだものの、串刺しになるのも時間の問題かもしれないと思った。
 リリスが容姿に似合わずとんでもない実力を秘めているぐらいのことは理解できている。
 余裕を見せている状況のうちになんとか打開はしたいが、手持ちのアイテムではなんとかなりそうなものはない。
 キラキラも、地は最初から除外、風は最初から使えない、自分の剣は役立たず。
 残るは水か火ではあるが、水は使用回数が少なく制限のことを考えればあてにすることが不安である。
 火はキラキラの中で二番目に攻撃力があるとは思うものの、普段から携行している火を熾す道具で使っていたために
 今は使用不能である。とはいえ、すぐに使えるのはペットボトルの中にある水を使用した剣であり、
 このままでは後ろから聞こえている金属音が聞こえなくなるのも時間の問題である以上は水の剣を使うしかない。
(ん? 待てよ)
 思考の途中でとあることが引っ掛る。
 そして、勇者はとあることに気づき、思わずニヤケ顔になる。
「何笑ってるの? 楽しいことならリリスにも教えてよ」
「わりいけど、教えてやんねえ」
 その言葉を発し、リリスに向かって駆ける。リリスはまるで美味しそうな果実が目の前にあるような表情でニケに向かって三度目の触手を放つ。
 だが、その行動は予想通りであった。
 袋のポケットの中からとある物を取り出す。それはスペクタルズという虫眼鏡状のアイテム。
 相手の能力を調べるためのもの。とはいえ本来の役目など必要とはしていない。
 ようは、とあることに役立ってもらえばいいのだ。
(これで、どうだ!!)
 触手の大群に当らぬよう体をずらし、スペクタクルズを触手に擦り付けるように掠らせる。
 スペクタクルズの金属でできた縁と触手との接触面から火花が散ったのが見えた。
(よし、予想通り!!)
 ニケが実行したのは摩擦を利用することによって火種を起こす方法である。
 別に科学の知識があったわけではないが、かつてのサバイバル生活と火の王の下での修行により
 硬い物同士がお互いを高速で削りあえば、火花程度ならば発生することぐらいは理解していた。
 ゆえに、触手の鋭さ、速さ、硬さをだいたい理解できていたゆえにその手段を実行したのだ。
15少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:46:26 ID:MkM4ktYq
 そうして、ニケは火花が発生すると同時に壊れたスペクタクルズを放棄、火花に意識を集中する。
 すると、たった僅かな火がニケの魔力と周りの酸素を飲み込み燃え上がり、剣の形をとった。
 その剣は光魔法キラキラ『火の剣』、勇者ニケが火を恐れず、火を克服し、火を味方とし、火の王に認められた証。
 それが自身の手に宿り、リリスの全ての触手を焼き切る。そのままの勢いでリリスに突っ込む。
 だが、直前まで迫り僅かな躊躇が芽生えてしまった。
 このまま叩っ切ってもいいのだろうかと。
 それは戦場では大きな隙だった。リリスが見過ごす理由などないほどの。

 ただし、それが本当にリリスであった場合の話だ。

 突然、ニケの目の前にいたリリスの姿がぶれる。
 そのことを疑問に思う間もなく、夢魔の姿が掻き消えた。
(へ? なんで?)
 そう思ったが、分身であることを考えると、なんとなくだが検討はついた。
 ようは魔力で作られた分身である以上は、あれだけ暴れれば消えてもおかしくはないだろう。
 他の要因かもしれないが、そう結論付ける。今まで戦っていたのが分身ならば、まだ終わってはいないのだから。
 まだ戦っている二人の方を見る。リリスの方は先ほどと同じく余裕であった。
 ただ、名も知らぬ少女の方は違った。一見、確実に一撃一撃を防御しているように見えるが、そうとしか思えないのならば眼科に行った方がいいだろう。
 なぜなら、斬撃を受け止めるために刀を握っている腕は真っ赤になっていくのだ。
 血で濡れているわけではなく、筋肉が限界に来ている様子が逆に痛々しい。
 顔面も負けず劣らず真っ赤であり、大粒の汗まで零れていた。
(ええい、ままよ!!)
 だからこそ思考を一点に集中させる。名も知らぬ少女を救うために。リリスを撃退するために。迷いを忘れるために。
リリスの背中へと炎の剣を振り下ろす。その一撃は盗賊故の速さであり、不意打ちであり、会心の一撃であった。
「ふふ、遅いよ♪」
 だが、そんなニケの必殺の一撃すらリリスは雑作も無いといった風情で避け、あっさりと宙へ身を翻した。
 そのすばやさは先ほど戦っていた分身よりも速かった。
(偽者より本物が強いなんざ、ありがち過ぎて笑えねえ!!)
 ニケは大地を抉る炎剣を切り返そうとした。だがそれよりも頭上を取ったリリスの一撃の方が速かった。
 その魔手は疾風の如く繰り出され、リリスの背後にいる少女が一撃を加えられぬほどであり、
 一瞬無防備になったニケの脳天に魔手が突き刺ささる、
16少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:47:28 ID:MkM4ktYq
「こ、この……」
「はい、おしま……」
「 AFFE!!」
 はずであった。だが割って入った、たった一声の言葉だけでその結果は覆される。その言葉はノタリコン。
 アルファベットの頭文字のみ発音することで詠唱の暗号化と高速化の二つを同時にこなす発音。
 それは少女――10万3000冊の魔道書を暗記し、学び、応用ができる頭脳を持つ禁書目録の対魔術戦での切り札『強制詠唱』。
 それは相手の術式に干渉し制御を乗っ取る技。
 ほとんどの魔術師は頭の中で魔術の命令を組み立てる。ならば術者の頭を混乱させることができれば、
 その制御の妨害も可能だ。それは頭の中で一から順に数を数えている人のすぐ耳元で出鱈目な数字を
 ささやいてカウントを乱す行為と同じようなものである。
 それは味方である勇者にも十分通用する。
 その命令の意味は炎剣に指向性の爆発を起こさせ、リリスだけを吹き飛ばすということ。
 呪文よりも道具を主に置いた魔術やリリスのように魔力そのものが手足であるような相手には通用はしないが、
 事前に『自分の剣』をあらかじめ見る事によって、光魔法キラキラのおおまかな魔力構成を理解していた禁書目録にとっては
 勇者の炎剣に命令を下すことなど造作もなかった。
「キャ!!」
 その言葉通りに夢魔は下方向からの激しい爆発によって空中へと放り出される。
 ニケはその瞬間に走った。いきなり剣が爆発する、しかも自分を避けるようにリリスだけを吹き飛ばすという突然の事態に
 驚きはしたものの、勇者としての才能か、盗賊としての資質故にか、次にやらなければいけないことは自然と理解していた。
 とびつくは、先ほどエヴァがリリスの反撃を受け、取り落としたコエカタマリン。
 それを飲み、空中へと投げ出されたリリスへと視線を向け、叫んだ。
「どっかいけ!!」
 その叫びが具現化し夢魔へと迫る。
 リリスは避けられない。炎剣に掛けられた制限があるため爆発の威力はリリスの命を奪うほどではないが、
 炎剣を構成していた力のすべてが注ぎ込まれている。それは意識を一瞬刈り取るには十分な威力であった。
 ニケの叫びがリリスにぶつかり、空中であったためにその場に留めるものはなく何処かへと吹き飛ばす。
 そのまま大空へと吸い込まれるように夢魔の姿と固まった台詞は見えなくなった。
「ぷは〜、ちかれた〜」「ぷは〜、疲れたんだよ〜」
 少年と少女はその光景を見て、とりあえずの危機を乗り越えたことに同時に安堵し、同じような言葉を発した。
 二人ともそのことが微妙に可笑しく、顔を見合わせて笑った。
「あ、そうだ。エヴァが」
 ニケは微妙に忘れていたエヴァに慌てて駆け寄り声を掛ける。
「おい、エヴァ。あいつは追っ払ったぞ」
 だが、いくら声を掛けても、いくら揺さぶっても、吸血鬼の少女は答えず動かなかった。
「ふざけてる場合じゃ……」
「その子はふざけてなんかいないよ」
 いつの間にか横にいる少女に、どういうことだよ、と問い返す。
「私の医学の知識は最新のものじゃないけれど、それでもまだ死んでいないだけ。たぶん致命傷かも」
 ニケとて自分が怪我をしたこともあれば、誰かが怪我をした場面とて見たことはある。
 しかし、怪我をしても何とかなる状況か誰かであったために、怪我の度合など分からない。
 だからこそ、少女の言葉が理解できない。
「そんなわけねぇ! エヴァは吸血鬼なんだ! これぐらいすぐ治る!!」
「吸血鬼? ……その子が本当に吸血鬼だったとしても再生が間にあっているようには見えないんだよ」
 その言葉を聞き、エヴァの方を見る。再生が始まっているのか出血は収まりつつあるものの、それでも血がだらだらと流れ出ていた。
 それが、多いか少ないかは分からなかった。ただ命が流れ出ていることだけが理解できた。
「……なぁ、回復魔法とか使えないか?」
「私には回復魔法は使えないよ」
17少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:49:55 ID:MkM4ktYq
 その言葉はニケの心に暗いものを植え付けるものであり、
「でも、あぶない橋だけど、その子を治すことはできるんだよ」
 呆然となるほどやさしいものであった。
「へ?」
「闇の眷属でも十分に通用する術式があるんだよ。チップは君とその子の命。 0か 100か、それ以外はないよ。どうする?」
 ニケにとっては目の前の少女が何をするのかは分からなかった。
 ただ、危険な賭けらしいことだけが理解できた。
 正直に言うとニケとて命はおしい。やりたいことなどいくらでもある。
 だけれども、エヴァの姿を見るとその言葉に自然と笑って答えることができた。
「遠慮なくやってくれ」


18少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:50:37 ID:MkM4ktYq


【B-5/山頂付近/一日目/昼】
【ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:すけべ大魔神LV.4、魔力中消費、中程度の疲労、左肩に切り傷あり
[装備]:スペクタルズ×8@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、うにゅー×3@ローゼンメイデン、クロウカード『光』、 コエカタマリン(残3回分)@ドラえもん
     「ぬのハンカチ×20@ボボボーボ・ボーボボ」を結んで作った即席ロープ
[思考]: エヴァを治さなきゃ!
第一行動方針:エヴァを治す
第ニ行動方針:なのはの捜索、音の原因も気になる
第三行動方針:水の剣が使えるか試しておきたい
第四行動方針:自分の仲間となのは&エヴァの友人を探す。
基本行動方針:とりあえずラスボスを倒す。その過程で女の子の仲間が増えればいいッスねぐへへ


【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:気絶、魔力中消費、重度の全身打撲及び全身裂傷(骨折の可能性あり)、瀕死
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
     なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:……(気絶中)
第一行動方針:リリスに激しく警戒、というか殺す!
第ニ行動方針:なのはを捜索に行く。轟音の原因も調査したい
第三行動方針:同じ目的の者を探し、仲間と情報を集める
第四行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す
基本行動方針:ゲームからの脱出。ジェダを倒す。
[備考]:
エヴァンジェリンは、預けられた「なのはの荷物」を一通り調べています。
支給品の説明書も読んでいるようです。
光魔法『カッコいいポーズ』がジェダにも有効かもしれないと考えています
リリスが他の参加者と同じ待遇だと認識しました


【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:けっこうな空腹とけっこうな疲労、
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストX、コキュートス@灼眼のシャナ、葉っぱの下着
[道具]:支給品一式、逆刃刀・真打@るろうに剣心
[思考]:治してあげるんだよ。
第一行動方針:治癒魔術をニケに実行させ、吸血鬼の少女の傷を治す
第ニ行動方針:シャナと合流
第三行動方針:状況を打破するため情報を集める。(人の集まりそうな場所を目指す)
第四行動方針:太った男の子(パタリロ)を警戒
第五行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
  アラストールと互いの世界に関する詳細な情報交換を行いました。

[備考]
1:ニケとエヴァは、1つの仮説を立てました。その概要は以下の通り。
· 『結界』は空中だけでなく、地中にまで及んでこの島を球形に包み込んでいると考えられる。
· この『結界』は外部との念話や、転移魔法を阻害する性質を持つと思われる。
· OPで全参加者を転移させたことなどを考えると、ジェダもまたこの『結界』内部にいる可能性が高い。
おそらくは島の地下。
· その地下空間と地上の間に、緊急用の通路がある可能性がある。特に怪しいのは城や塔、洞窟など。
2:インデックスがこの空間内にジェダの魔力が敷き詰められていることを感知しました。
· 用途は知覚の妨害であると推測しています。
19少女が歩けば勇者にぶつかる  ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:51:47 ID:MkM4ktYq
【B-5/空中/一日目/昼】
【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】
[状態]:服部打撲(激しく痛むがMっ気あるなため遊ぶのには支障はない)、小程度の魔力消費、
    「どっかいけ」のコエカタマリンに吹き飛ばされている
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(食料は無し)
[思考]:ん、もう。これ邪魔だなぁ。
第一行動方針:変な声をなんとかしたい
第ニ行動方針:まだ遊び足りない
第三行動方針:獲物を探して狩る
第四行動方針:18時にはB-7のタワーへ行く
基本行動方針:楽しく遊びつつ、優勝して本当の身体を手に入れる
[備考]
コナン&ネギと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです
20 ◆yzPs2TxFPo :2007/04/03(火) 22:52:45 ID:MkM4ktYq
終了。結構無茶とかした気がします。判定をどうぞ。
21名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 23:21:01 ID:87GDNFcP
インデックスフル稼働w
趣味全快の内容に感動した。
一応、全員生き残ったか。

ぱっと考えて問題があるとすれば
1.魔力探知妨害の存在
2.強制詠唱がキラキラに対して有効か?

1.のほうは……今まで魔力探知したキャラが誰かいたっけ?
今までと大きな矛盾がないようなら、悪くないと思う。

2.のほうは、無詠唱のキラキラが影響を受けるか微妙。
これができると、今後の話の幅は広がるけど、原作よりも便利な気がする。
個人的には使い方が良かったからこのままでも通したいなぁとは思うけど。
他の人の意見も聞きたいな。
22名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 23:29:14 ID:VI/npYc5
GJ。
インデックスすごくがんばってた。
そしてニケが大がんばりでした。
ひゅーひゅー、かっこいいぞ勇者様ーw

エヴァ様、生き残った……かな……?


>>21
魔力探知は、フランドールがレイジングハートでエリアサーチを使っていた。
一般人並の魔力量でも探知出来てそうな様子ではあったけど、
フランドールが苦手なせいもあって範囲は半径50m程度だった。
あとベルカナが一話でセンス・マジック(魔力が見えるようになる)を使ってる。

ただ、以上は能動的な物で、受動的に探知してたキャラは居ないと思う。
23名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 23:34:45 ID:RZxedUlP
君島の残像を見た。
凄く乙。
24 ◆NaLUIfYx.g :2007/04/03(火) 23:36:29 ID:tNJU9ws9
投下乙!
皆生き残るとは予想外w
エヴァ様も大丈夫……かな?

えー、自分のがどうも今日中には間に合わない……orz
すみませんが後1時間程かかりますがよろしいでしょうか?
25名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/03(火) 23:40:39 ID:VI/npYc5
って、エリアサーチは魔力『も』探知できる何でも探知だったかな?

とにかく受動探知は……シャナとかも存在の力感知してる様子が無いんだよな。
小太郎と共に勘で正しい方向を当ててたのは勘だろうし。
デバイスが持ち主に魔力の有る無しを感知してたりはしてるけどその位かな?

>>24
そのくらいならまず構わないと思います。

26 ◆NaLUIfYx.g :2007/04/04(水) 00:46:16 ID:hxqxuZiC
では予約していた4名を投下しますが、携帯からなので遅くなってしまいますorz
「シャナはこ――や!」
「小――さいよ!」
「――かせたらまたケガ人放って――」
「今度は助けて――」
「うるさいうるさいうるさい!」

ずっと、このまま静まり返るであろうこの病院内に、新たな声が聞こえた。
ブルーとイブは第三者の声により、意識を覚醒、互いの手を握り合う時間は終わりを告げた。
イブの涙も止まっている。そこでようやく自分の腹の傷に気付いた。
正常な落ち着きを取り戻したのだろうか、ズキズキと痛みだす。
イブは無言で服の腕部分を破り、臨時の包帯代わりとした。
一方のブルーは上へと注意を払う。
声の質から男と女、位置はこの上の階。
ブルーは二階にいるという事だけで内心焦った。

(まさか……双葉が生きている?)

いや、あれはもう死んだはず……
ブルー自身は確かに殺したと思っている。しかし死んでいると確認を取ったわけでもなく、不安に駆られる。
頭がこんがらがって来る自分を落ち着かせる為、一回深呼吸を取る。
古い空気と不安が吐き出されて、新たな空気と落ち着きが流れ込む。
あれこれ考えてしまっては埒があかない。
今考えるべき事は最悪な展開で、尚且つ今に至るような出来事。

つまり、ブルーは双葉を殺し損ねたのだ。だがあの傷は致命傷ないし重傷、これは間違いない。
そして私と擦れ違うようにして2人組が双葉を見つけ、手当をした。
今言い争ってるのはどちらが双葉の面倒を診て、どちらがここに来るか、だ。

(よく浮かぶものね……)

パッパ浮かぶ自分に感心するブルー。が、どうもそう呑気にしている場合でもない。
ようはここに人が来るのかもしれない。さすがにこの状況を見たら、自分とイブは殺人者に思われる(尤も実際そう違わないのだが)。
それはマズい。相手によってはすぐに殺しにかかるかもしれない。
そう考えると上で討論をしだしたのは幸いであった。
まぁこれで双葉が死んでいるのならもっとよいが、あまり期待してはいけないだろう。
では今すべき事はなんだ? それはここから脱出、及び敵から逃げる事。
となるとこんな所で油を売っている暇はない。
「逃げるけどいいかしら?」

確認を取りながらも、ブルーは上半身と下半身が真っ二つになっているビュティの近くに歩み寄る。
正直、見たくない。故にブルーは自然と片目を閉じて細目になる。
そして血の池の中に転がり落ちているランドセルを自分の服につかないようにそおっと持ち上げた。
「私はブルーさんに従います……」

と言うイブの目の前に放り投げる。
同じ要領で傘も。

「ありがとう、じゃあそれ持ってすぐに逃げましょ」

坦々と説明するブルー。
本当はもう少し色々したいのだが今は1秒も時間が惜しい。
イブはブルーの意図に気付いたのか、傘をビュティのランドセルに入れて、そのままそれを空いている胸にかけた。
ようは荷物持ち役となったのだ。まぁ4歳児に持たせるのも酷だが……

「それじゃ行キャッ!?」

ブルーが走り始めようとしたその時であった。
イブはそのままブルーを両手で持ち上げて颯爽と廊下を走り始めた。
いくら4歳児の体であろうと、実質はイブより年上、そんな子にお姫様抱っこをされるのはやや恥ずかしいご様子。
ブルーの顔は徐々に赤く変わっていく。
それでもまぁ、ブルーにとっては予想外であったのか、その速さは自分が走るよりも速く、ちょっと得した気分になった。
まぁ乗り心地とかそういった文句は一切なしだ。
これはイブが思ってくれての行為、大人しくするのが一番だろう。
2人は病院と外を結ぶ扉を通り抜け、再度太陽の日差しを浴びる事となった。
イブは考えもなくとりあえず病院から離れるように走り去る。
ブルーとて行き先を決めていたわけではない。
今はここから離れるだけ。行き先など四の五、後々決めればよい。
ブルーはチラッと病院の方を見た。
あそこには一人ないし二人死んでいる、出会って一時間足らずで廃病院が曰く付きの廃病院へと変わってしまったのだ。
その原因となったのは自分。一瞬背筋がゾクリとしたが、それを笑みへと変える。

(大丈夫、私ならやれる……絶対にやれるんだから!)
 *  *  *

何分走ったのだろうか?
穏やかに感じる風、木々の間に入り込む陽の光、どれも心地よかった。
そのような感じていると時間の流れというのは忘れてしまう。
相変わらずブルーはイブに抱き抱えられ、静かにしていた。
後ろから追って来る様子もない。とりあえず逃げ切れた……のだろうか?
と、不意にイブの動きが止まり、ブルーは現実にへと覚醒される。
降ろされ、再び地面の感触を味わう。
目の前には工場が立ち聳えていた。
ブルーは自分のランドセルから地図を取りだし現在地の確認をとった。

(ふむふむ、西に来たようね)

病院とここの工場は大体一マス程度、つまり約1km。
それならばこんな短時間(実際何分かかったのかブルーにはわからないが)で着くにも納得が出来る。

「ブルーさん、どうしましょう?」

イブが隣りで聞いて来る。
肩を上下に動かし、呼吸をするにも忙しそうだ。
無理もない。大人の男性なら先程の行程の半分ぐらいで音をあげるだろう。
それゆえに悪い事をしたかな……とブルーは思った。
結論から言うと、この工場には「入りたい」だ。
やはり疲労感もあるし、休憩をとるにしても室内の方が幾分マシである。
何よりイブの服や髪にこびりついている血をなんとかしたかった。
問題は一つ、『中に人がいるかどうか』
この殺し合いに乗っている人は最悪であるし、例え乗っていなくてもイブの格好を見てどう思うか……
言い訳はできる、バレないような演技も自信がある。
後は自分らの運とミスらないか、だけ。

(こんな所でうじうじしても仕方ないわね……)「行きましょ、でも気をつけながらね」

今更悩んでも仕方ない。もう前に進むしか道はない。
一応イブに注意を促して、2人は工場の中へと入って行った。
 *  *  *


「結局見つかりませんでしたね……」

フェイトは落ち込んでいる光子郎を慰めるかのように喋り、パンを一かじり。

「ん、そうですね……」

素っ気ない返事をし、余計に落ち込む光子郎。
結論から言うと、それといった成果はなかった。
2人で工場内を探し回ったがこの島から脱出出来るであろう鍵となる物は見つからなかった。
その間にも時間はお昼を過ぎ、作業に夢中だった光子郎の腹の虫が鳴り始めたのを機に、食事へと移った。
その結果がこれである。
ろくに会話もせず、頭の中で考え事に没頭してる光子郎に、フェイトはちょっとだけ不満であった。

(食事中はのんびりした方がいいのに……)

口には出さない。いや出せなかった。
なんでか? と聞かれたら返答に困るが……
とにかくそのままでいて欲しいと願う自分がいるのもまた事実、寂しくないと言ったら嘘になるが、フェイトは光子郎の顔を見ながら食事を続けた。
一方の光子郎はそんなフェイトの気持ちなど知らず、ひたすら頭の中で理論を展開していった。

(この工場は間違いなくこの島に必要ななんらかのエネルギーの確認をとっている……
 だけどここにある電池はフェイク、偽者であろう)

そうしてパンをかじり、水を喉に流し込む。

(となると本物の電池が何処かにあるはずだ。多分他人に見つかりにくいような場所……。
 だけどそれが果たして何処なのか……)

光子郎はランドセルの中から地図を取り出し、広げた。

(普通に考えたら絶対に見つからないような場所。だけどなぜだろう。
 そんな場所にはない、と思ってしまう。何らかの手段で確実に行けるような場所にあると思えてしまう……)

それは光子郎の持つ違和感。それが何を示すのかは彼にはわからない。

(だとしたら塔……か? いやいや家の中かもしれない。くっ……そう考えると候補が多過ぎる)

改めて建物の多さに光子郎は悩まされた。
そりゃあ相手だってそう簡単にわかるような場所には置かないだろう。
わかってはいるが、どうしようもないやるせなさに髪の毛をクシャクシャにした。

―カタッ―

小さい足音がした。
もちろんそんな小さな音など集中してる光子郎には聞こえない。しかし、フェイトは違った。
幸いここは入口からは死角、向こうは気付いていないはず。
フェイトは違った。
幸いここは入口からは死角、向こうは気付いていないはず。
フェイトは余計な音を出さないようにチョンチョンと光子郎の肩をつついた。

「ん? どうモグッ!?」

慌てて口を塞ぐフェイト。しかし、ここには自分らと侵入者だけ。
この空間に光子郎の声が響くのは当然であった。

「誰……?」

自分でもフェイトでもない声が聞こえ、ようやく光子郎は事態を把握した。
相手は女の子……それも相当若い。

「ねぇ……いるよね? ……何で返事してくれないの!?」

その悲痛な叫びに相手を想う気持ちが表れたのか、この場から出てこうとするフェイトを、光子郎は素早くそれを止めた。
「でも……」と言いたげなフェイトを目で「もう少し待とう」と訴える。

(罠であるかもしれない。ここはもう少しだけ様子を見た方がいい)
「もうやだ……怖いよ…………うわぁぁぁぁあああああん!!」
「お願いします……私達はこの殺し合いには乗ってません……」

先程の子が泣き始め、別の声が聞えてきた。
フェイトはその声に悪意がない事を判断、いや判断したかった。
再度光子郎に向かって目で訴える。
さすがにこのような状況になっては、光子郎も諦めがついた。

「僕達も乗っていません。だから落ち着いてください」

二人は入口の方へと向かった。
 *  *  *


光子郎とフェイトが見た二人は、体中血がびったりとついている少女と泣いている幼い子。
そのあまりの光景に一瞬光子郎はたじろいたが、フェイトがうまくカバーしてくれた。
その後光子郎達は中断していた食事を再開して、その間に二人の話を聞き出す事にした。
彼女達はどうやら隣りの廃病院で襲われたらしい。それをなんとかイブって子が命懸けで返り討ちで殺してしまい、そのまま逃げるかのようにここへと辿り着いた、という事になる。

「大変……でしたね」

フェイトが二人に声をかける。どう声をかければいいか解らず、中途半端な内容となってしまったが……
そのままブルーの方へと近寄ろうとするが、全身で怯え、イブの後ろへと隠れる。
「ハハハ」とフェイトは苦笑いを浮かべた。
どうやら先の件で疑われてしまったらしい。
無理もない。四、五歳ぐらいの少女がこんな所場所に来るのがおかしいのだ。
しかし、このまま見過ごすのもやっぱり出来ない。フェイトにはそれがわかる。

「大丈夫……安心して」

その笑みは素敵だった。
光子郎もイブもブルーもその天使のような笑みに一瞬心を奪われた。
彼女は再びイブの背に隠れてるブルーに手を差し延べる。
大丈夫、信じればきっとわかる。覚えてる。最初は――

「ね? ブルーちゃん」
名前を呼ぶんだ、と。

「フェイトさんは……味方?」

微笑んだまま頷く。
それは、フェイトの手が小さい手と握手するのには十分な理由であった。
そしてブルーはそのまま光子郎の方へと向く。

「光子郎さんも……味方?」

それはブルーが歩んだ一歩、その一歩を光子郎はもちろん受け止めた。

「はい、もちろん味方ですよ」


 *  *  *


その後食事を終え、光子郎はイブに髪を洗った方がいいと言った。
奥に洗面所もある事だし、とフェイトが付け加える。
二人に促され「それでは……」と言うイブと、元気になり「私もー」と言うブルーが奥へと進んで行った。
そして二人の姿が見えなくなった時、光子郎の顔は再び険しくなった。
そんな姿を見てフェイトは不思議に思い、口にする。

「どうしたんですか?」
「あ……いえ、ちょっと腑に落ちない点がありまして……」

光子郎は自分の思いをフェイトに伝える。

「正直僕はあの二人を疑っております」

予想外の言葉、衝撃の言葉にフェイトは開いた口が塞がらない。

「襲われたって言っても怪我してるのはイブさんだけだし……何してもあの血の付き方がおかしいんです」

光子郎はそう言いながら体で表現する。

「普通に敵を殺しちゃったら……こう、返り血がどうあっても後ろ髪に付くのはおかしいんです……」

言われてみれば……と思うだが、それでもやはり光子郎の考えには疑問をもった。

「でも、だからってそんな嘘をついてると決めるのは……」
「……まぁそうですよね、すみませんこんな事を言ってしまって……」

頭を下げ、謝る光子郎に「いえ、気にしないでください」とフェイトは加えた。


 *  *  *


(フェイトさんは彼女らを信じてる……)

口ではああ言ったが、光子郎はやはり彼女らを疑っていた。
出会った時から持っていた違和感、それがなんとなくだがわかり始めた。
仮に傷がなかったとしても、襲われたら服は必ず汚れるはずだ。しかし、ブルーの子はそういった汚れは見つからなかった。

(だけどこれらはなんとでも言い訳ができる……)

これらは状況証拠、物的証拠ではない以上、光子郎は考える事しか出来ない。
敵はどっちだ? イブか? それともブルーか? あるいは両方か?
出来る事なら疑いなくなかった。しかし、こういった場所ではちょっとした疑問点も必要以上に大きくなる。
仮に敵であったら、多分直接的には殺さないだろう。それだったら今こうして過ごせるはずがない。
ならば敵は何らかの手段を用いて自分らを殺して来るだろう。
それは防がないと……
その為にはフェイトに彼女らが敵であると認めさせる事だ。

(大丈夫……僕になら出来る)

相手の策略を看破し、それを裏手にとる。
肉体戦はからっきしだが頭脳戦となれば話は別だ。
さぁ……どうやってその正体を暴こうか…

 *  *  *


(やっぱり……光子郎さんは疑っている……)

表情でわかる。納得のいっていない表情だ。
このままではマズい。そうフェイトは思った。

(光子郎さんもちょっと疑ってるだけ……私がなんとかしなきゃ)

フェイトは自分に責任を負わせる。
この状況でイブ達と光子郎の仲を持つのはフェイト以外存在しない。故に責任感を感じてしまう。
(大丈夫……皆仲良くやっていける)

フェイトは考える。どうすれば光子郎の疑いが晴れ、皆仲良くなれるかを……


 *  *  *


(あの子、光子郎が要注意かも)
ブルーはイブが髪を洗ってる間、状況を整理した。
フェイトに関しては多分大丈夫であろう。イブと同じように心優しい人間である。
一方の光子郎も優しい人間ではある。人間ではあるのだが……

(頭が切れる人よね……)

ブルーは一瞬だが感じていた。光子郎が自分らに疑いの視線を浴びせていたのを……
となると当然始末しといた方が良いというわけだ。
フェイトという人員を確保したい今、自身らを疑う光子郎はもっとも邪魔な存在。
問題はそれをどうやってフェイトにバレないようにするか、だ。
なに、まだ時間はある。
向こうもそう下手な手は出せないだろう。
それに色々使える道具もあるし、何よりイブという存在が大きい。
ブルーは考える。どのような作戦でいこうかと……

 *  *  *


さぁ、目標となる旗は置かれた。
一人は特化した『知略』で挑み、一人は特化した『想い』で挑み、一人は『仲間』と『道具』で挑む。
果たして誰が一番最初に辿り着くのだろうか?



【A-3/工場(ファクトリアルタウン)内/1日目/真昼】
【泉光子郎@デジモンアドベンチャー】
[状態]:健康、ブルーとイブを疑っている
[装備]:風の剣@魔法陣グルグル
[道具]:支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂
[思考・状況]
思考:どうしようかな……
第一行動方針:ブルーとイブの本性を暴き出す
第二行動方針:フェイトをイブとブルーから守る。
第三行動方針:とりあえず今後の動向について考える
第四行動方針:友人との合流
[備考]:光子郎は工場について以下の仮定を立てました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない
尚1〜3は誰にも話しておりません


【フェイト・T・ハラウオン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康、やや不安
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考・状況]
思考:どうにかしなきゃ……
第一行動方針:光子郎とブルー達を仲良くさせる
第二行動方針:皆と同行第三行動方針:友人と合流
【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、落ち着き、4歳モード、光子郎を要注意人物だと判断
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード2枚(『聖水』、『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE、ナース服
[思考]:一難さってまた一難ね……
第一行動方針:光子郎を要注意人物と判断、殺害を計画?
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:4歳児の外見を生かし、イヴを利用する。自分の身を守ってもらう。
なお、使える戦闘要員なら増やしてもいいが、足手まといが増えるのは困る。
第四行動方針:イヴには、自分の正体がバレないようにする(=年齢詐称薬の秘匿、説明書の効果時間に基づいた12時間ごとの薬の摂取)
第五行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(応急処置済み)、全身に中程度の打撲、落ち着き、精神中消費、疲労感中
ビュティの返り血が服や髪に大量に付着、自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、G・Iカード1枚(『左遷』)@H×H、ビュティの基本支給品一式、神楽の傘(弾切れ)@銀魂、コンマ@ボボボーボ・ボーボボ
[思考] 血、落ちるかな……。
第一行動方針:髪の毛を洗う
第二行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る
第三行動方針:一休を見つけたら、懲らしめる
基本行動方針:この殺し合いを止め、脱出する
[備考]:アタッシュ・ウェポン・ケースの『捕獲用ネット』を使おうとして、間違えて『マシンガン』の引き金を引きました。今後、『マシンガン』のスイッチを間違えることはまず無いと思われます。
イブとビュティ、二つランドセルを持っています
時間かかりすぎ……orz
とりあえず投下完了です……
投下に多大なる時間をかけてしまいすみません……
38名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:29:11 ID:y7HXD58H
投下乙カレ
これはいい疑心暗鬼と錯綜
フェイトが第二のイヴにならないことを祈る。
欲を言えばイヴとブルーが一緒に風呂に入っているシーンをもっと詳し(ry

そういえば……昨晩の投下予告ではすわ何人死ぬか、という感じだったのに
結局誰も死ななかったなw
39名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:35:14 ID:r7JHpAHw
死ににくいなwww

死線を一回のみならず、二回目を超えそうになってる奴が一名…
40名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:35:36 ID:S6eU7X+R
投下乙です。
見事に捌いて並べて、さあいかようにも調理! という雰囲気のバトン……。
先が楽しみですねぇ。
41名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:38:08 ID:vybedRet
>>37GJ
なんとなく、ラノロワのマーダー、非マーダー入り混じった策士が集った状態を思い出した。
あれよりもこっちの方が、状況が悲惨な結末になりそう。
だって本物の策士でないぶんお互いボロを連続しそうだから。

>>38
たぶん、投下が遅れることになってしまった人なんだろうなぁ。死者は。

42名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:38:47 ID:JaJNqXky
>>38
すまない。今日の昼までには必ずレオモン達の出番を作るからw

四月だってのに外は寒いぜ・・・
43名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:43:30 ID:y7HXD58H
……ごめん、自分自身が死者出すと言っておいて間に合わなかったひとり。
期限すでに破ってるので、遅れると言ってもなんか何ともいえない立場だがorz
44名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:49:24 ID:aAmz6GQ4
乙!
三者三様の思惑が渦巻く深い展開になってグットです。
光子郎の「僕ならできる」で某新世界の神の方を思いついたのは
俺だけでいい。

それにしてももし、フェイトや光子郎が死ぬことになったらフラグ潰れるな。
まぁ、その方が楽かもしれんがな。
45名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:55:01 ID:h8zKyeia
投下乙
いい感じで疑心暗鬼ってるなー。ブルーが外道すぎてなんともいえないぜw

>>44
序盤のフラグってのは潰されるためにある。というか、脱出フラグは死亡フラグと同義。
それに、二人が死んでも他の考察派はいっぱいいるしなー。
46名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 01:55:15 ID:JaJNqXky
>>37
投下GJ。本格的な疑心暗鬼前のオードブルのような絶妙の味付けがたまりませんでした。
47名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 03:19:00 ID:hEKQKayA
誰も突っ込んでないが、フェイトは「ハラオウン」じゃないのか?
と思ってWiki見たら最初から間違ってたみたいだな…
48名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 08:18:19 ID:m9Evj1F4
「自分→他の方→自分」はやっぱり自己リレーに近いことなのかな?
なんだか気になってしまった。
49名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 08:57:23 ID:JaJNqXky
>>48
そのキャラを動かせる人が少なかったりとか色々あるから気にしなくていいのでは? 
と自己弁護込みで言ってみる。人気パートなら他に書きたい人がいるか待った方がいいと思うけど
50 ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:15:50 ID:Td5QgLpw
遅くなりましたが弥彦、パタリロ、よつば、チアキ、藤木を投下します
51ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:16:49 ID:Td5QgLpw
「チアキ、よつばの目を塞いでいろ。ついでにお前も目を瞑れ」
「はぁ? 何言ってるんだパタリロ。意味が分からないぞ」
 意味不明なパタリロの言葉にチアキは首を捻った。
危ない奴がいるのに目を瞑ったら、もっと危ないのではないか?
大体、よつばが見なければちよを襲った相手かも判別つかないだろうに。
「いいから二人とも目を瞑って、ぼくが良いと言うまで開けるな」
 再度強く念押しされると何となく従わなければいけない気になってしまう。
そこまで言うなら見ない方が良いのだろうと、よつばの目を塞いで目を瞑った。
家族でTVドラマを見ている最中にキスシーンが出てきた時も、こんな感じだったかな。
そんな事を思っているうちに、いつの間にかパタリロは走り出していた。
まるで寝た子を起こさないように気を使っているかのように静かだった。

 訳が分からないで戸惑うよつばを抑えながら、チアキはふと思う。
不審人物がちよとよつばを襲った相手だったら、パタリロはどうするのだろう。
銃を撃つだろうか、それとも話し合うだろうか。出来ればそんな奴は懲らしめて欲しい。
二度と悪い事をしないように、見えないところでキツく懲らしめて欲しい。
そう思う。でも――それは他力本願だと分かっていた。
よつばに「ちよは大丈夫だよ」と囁きながら、心に湧き上がる「大丈夫じゃない」という
思いを誤魔化していた。

「良し、もう目を開けていいぞ」
「随分かかっ……オイ、何だここは?」
 数分ぶりに開いたチアキの目に映ったのは、住宅街だった。
チアキの住む大型マンションとは違い、一戸建てがズラリと規則正しく並んでいる。
どの家も庭らしい空間を持たない、都心の住宅事情を彷彿させる狭苦しい造りだ。
太陽は眩しく、絶好の洗濯日和だというのにベランダにはシーツの一枚も出ていない。
閑静な住宅街というよりもゴーストタウンという言葉が脳裏に浮かんだ。
「なー、ちよはどこだ? なー?」
「え−と……」
 よつばの疑問に答えようにもチアキにだって良く分からない。
言葉に詰まっているとパタリロは二人を乗せ、立ち並ぶ住宅の一軒へと入って行く。
表札には『魔夜』と書いてあった。聞いたことがあるような無いような変な名字。
パタリロは玄関先で靴を脱ぐ事もなく、ズカズカと上がり込みリビングのソファーに
二人を下ろした。リビングには大きなソファーが幾つかと豪華なテーブル。
それと良く分からないけど高そうな絵や壺、難しそうな本の詰まった本棚。
床には悪趣味な柄の絨毯と虎の敷物が敷かれている。
あまり自分では住みたいとは思わない感じの、一言で言うと成金趣味な家だった。
52ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:17:55 ID:Td5QgLpw
「二人とも、しばらくここで大人しくしていろ」
「何言ってんだよ、バカ野郎」
「そーだぞ。ちよをたすけるっていってたろ! おまえ、うそつきかー!」
 よつばがパタリロの自分勝手な言葉に両手を挙げて講義した。
当然だろう。ちよを助けると言っていたのに、いつの間にか逃げ出していたんだから。
「行くさ。ぼくが様子を見てくる。チアキ、よつばを抑えていろよ。絶対手を離すな」
「やだ! よつばもちよをたすけにいくんだー!」
 チアキは黙っていた。なんと言っていいか分からなかった。
ちよを助けたいという気持ちに嘘はない。よつばを応援したい。
でも――心の底では危険人物との遭遇を先延ばしに出来た事にホッとしていた。
この世界に放り出されてから出会ったのは百戦錬磨のパタリロと純真無垢なよつば。
今までチアキは恵まれていたのだ。
その恵まれた境遇が彼女に一歩踏み出すことを躊躇させていた。
『パタリロが何とかしてくれるなら、それで良いかもしれない』
何かが起こっても誰かが何とかしてくれる。そう思いながら、よつばを抑えていた。
そんなチアキの耳元でパタリロが囁く。チアキにだけ聞こえるような小さな声で――
「さっき不審者に死体が刻まれていた。多分ちよって子だ」
「!?」
「お前たちに無残な死体も殺し合いも見せたくないんでな」
 それだけ言うとパタリロはチアキの返答を待たずに駆け出した。
さっきの場所へと戻るのだろう。そして一人で不審者と対面するのだろう。
「こらー! にげるのかー!」
「おいバカ野郎、すぐに戻るんだろうな?」
「もしも三時のオヤツまでに帰らなかったら、後の予定は任せる!」
 まるでちょっとそこまで買い物に行って来る、と言わんばかりに気軽な言葉を残して
鈍重そうなペンギンが軽快に走り去っていった。

○   ○   ○

 そんなペンギンの出てきた住宅を3軒ほど斜向かいから見つめる影があった。
藤木茂だ。生乾きの半ズボンに、住宅から失敬したランニングシャツを着てコッソリと
塀から顔を出す彼は、ワンパク小僧というより身包み剥がされた中年のようにも見えた。
(た、助かった……ぼ、僕には気がつかなかったみたいだ)
 明神弥彦と不意に風呂場で遭遇した後、当座の衣類とペットボトルに水道水を
詰め込んだだけで、火傷の痛みも我慢して住宅を出ていたのだ。
それは『アイツが戻って来たら怖い』という至極まっとうな理由からだった。
そして弥彦の歩いて行った方向に興味はあれど、堂々と追う勇気もなかった彼は、
幾つもの家に隠れながら沼地の方角に気を配っていたのだ。
殺す為ではなく『戻ってきたら、すぐに逃げられるように』という情けない理由だった。
だがその消極的な努力は実を結び、弥彦と入れ違いで来たパタリロ達に気付かれる事なく、
狙っていた白銀のコートを着た少女、よつばを発見できたのだ。
(あの子、きっと僕のことを話しているに違いない。見つかったら殺される)
 よく分からないが相手は三人、しかも自分を人殺しだと知っている。勝てるわけがない。
藤木は唇を青くして震えながら三人が動くのを待っていた。
逃げ出す勇気すらなく、早くどこかへ行ってくれる事を心から願っていた。
そして願いが通じたのか、しばらくしてペンギンはどこかへ走り去っていったのだ。
残るは二人。両方とも弱そうな女の子だった。
ゴクリと藤木は喉を鳴らした。水分の採りすぎか、汗がポタポタと垂れる。
あの二人を殺せば『ご褒美』が貰えるはず。そうすれば火傷を治せるんだ。
藤木はルーンの杖を握り締め、体の震えが止まるのを待った。
相手が女の子でも、二人が相手じゃ負けるかもしれない。
でも――もし弥彦が戻ってきたら、もしペンギンが戻ってきたら、そうしたら絶望的だ。
だから早く行動しなければいけないと思うが、焦れば焦るほど決断できない。
藤木茂、彼はとことん気弱な少年であった。
53ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:18:52 ID:Td5QgLpw
○    ○    ○

 楼観剣の切れ味は素晴らしかった。
無造作に振り下ろしただけで物言わぬ少女の首は蛙のように飛び跳ねた。
普通ならば一撃で首を落とすなど余程の腕か、重量のある業物でなければ務まらない。
手の中には枯れ枝を一本へし折ったくらいの軽い手応えが残っていただけだ。
その所有者を魅了するような切れ味も弥彦の興味を動かしたりはしない。
今の彼は盲目的に命令に従っているだけの人形に近かったから。
『首輪と解体に使えそうな工具をタワーに持って帰る』
ただその命令を守るために、恨みがましい少女の視線も無視して赤い水溜りを探る。
ずるりと引き抜いた手に赤く染まった小さな首輪が一つ握られていた。
少女の遺留品は苦境を抜ける道標となるか、冥界へと誘う片道切符となるか。
「……あとは工具……探さねぇと」
 もしニアが一つだけ間違いを犯しているとしたら、盗聴に気を使うあまりに
言葉を選びすぎた事だろうか。
明治生まれの弥彦にとって工具とは、金槌でありノミやノコギリであった。
時計くらいは知っているが、どんな道具が必要なのか詳しく知っていなかったのだ。
「……工具って……どこにあるんだ?」
 腑抜けた声で呟きながら見渡せば、少女の右手には鋭い短剣が握られていた。
小刀はどんな細工や作業にも適した万能の工具である。少なくとも弥彦の知る範囲では。
短剣に向かって無造作に伸ばした指先が刀身に触れた途端、炎が弥彦の腕を包み込んだ。
罪人を咎するかのように燃える盛る炎は弥彦の精神、動物としての本能を突き動かし、
少女を殺めた少年と同じように泥沼を転げ回らせた。

 燃えたのが右腕だけだったこと、直ぐに泥で消化できたことで大事には至らなかった。
皮肉にも道着に染み付いた大量の血糊が彼の体を守ったのだ。
だが右肘から先は大きな火傷に覆われ、泥も合わせて早急な治療が必要だろう。
幸いにして手首や指は問題なく動かせた。激痛を伴うものの我慢出来ないほどではない。
そしてその激痛は心地良かった。自分が自分である事を教えてくれるからだ。
 弥彦がニアに受けた眠り火の催眠暗示は解けていた。
炎はその揺らめきで見たものを惑わし狂気に貶めるいうが、同時に闘志の象徴でもある。
火の元素霊サラマンデルの炎は、腕ともに精神に巣食う眠り火を焼き払ったのだ。
乱暴な言い方をすれば、ケツに火を点ければ誰だろうと正気に戻るという寸法だ。
「畜生、ニアの奴。やっぱりあんな奴には協力できねぇ!」
 手にした楼観剣を力一杯地面に叩きつけた。その先に転がる少女の死体が目に入る。
殺したわけじゃない。ここに来た時には、もう死んでいた。手遅れだった。
自分に言い聞かせるが、そう簡単に割り切れるくらいなら二アに協力している。
弥彦は泥に塗れた少女の首を手にすると、胴着で顔を拭いて、目を閉じさせてやった。
そしてギュッと抱きしめた。謝罪の言葉を呟きながら抱きしめた。
正気でなかったときの事もボンヤリと覚えている。悪い夢のようだったが覚えている。
殺してしまった少年を供養したいと思っていたのに、首輪を探して死体を弄んだのだ。
こうやって目を閉じてやる事も出来なかった。そんな自分が心底情けなくて、涙が出た。
54ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:19:32 ID:Td5QgLpw
○   ○   ○

 まだパタリロが去って10分も経過していないのだが、既にチアキはウンザリしていた。
大きなソファーに癒しの杖を立てかけて、一息つこうかと腰掛けた矢先、
よつばがリビングを出て行こうとしたのだ。それを捕まえて以来、押し問答が続いている。
「はなせー! ちよをたすけるんだ!」
「今、パタリロが行ってるから、もう少し待てって説明してるだろ」
「よつばもいくんだ! ちよがまってるんだ!」
「危ないって言ってるんだ。よつばが怪我したら意味ないだろ。パタリロが帰るまで……」
 これで8度目。チアキはよつばを引き止めて延々と同じような会話を繰り返している。
もしかしたらパタリロは、この子の面倒を見るのが嫌で押し付けていったのではないかと
勘繰りたくなるほどに、ウンザリしていた。子供は嫌いだ、図々しいから。
少しでも目を離せば一人で出て行こうとする。こちらが甘やかせばそれだけ増長する。
話が通じない分、我が侭なカナよりも更に輪をかけてタチが悪い。
友達を見失って焦る気持ちは分かる。だけど、ちょっと聞き分けがなさ過ぎないか。
「あいつはうそつきだ! いやなやつだ! ちよをたすけるきなんてないんだ!」
「……そんな事はない。誰の為を思って――」
「チアキだってうそつきだ! ちよをたすけてくれるっていったのに!
あいつとおんなじだ! ちよをいじめるわるいやつだ! ひとごろし――」
「いい加減にしろ!!」
 パンッ!
 リビングに乾いた音が響き、よつばの大声がピタリと止まった。
時計の音だけが響く静寂中で、チアキはよつばの頬を叩いた手をジッと見つめた。
シルバースキンを着たよつばに怪我はなく、むしろ叩いた手がジンジンと痺れている。
まるでブロック塀でも叩いたかのような痛みが骨に響いた。
痛みのあるなしは問題ではない。
何故、手を上げてしまったのだろうか。チアキは手を見つめ、自問するが答えは出ない。
末っ子の彼女は年下の世話など経験がない上、自分の幼少時を基準に考えたならば、
よつばが我慢ならないバカ野郎に見えるのも無理はなかったかもしれない。
悪いことをしたら年長者にお仕置きされる。これは南家の鉄則でもあったかもしれない。
それでも感情に任せて幼児を叩いたことは、年長者として恥ずべき行為だと思った。
「よつば、その、ごめ――」
「……き……いだ」
 謝罪の言葉と一緒に差し出した手は、強い拒絶と共に払い除けられた。
新たな痛みが、拒絶も仕方ないとチアキに語りかけてくるようだった。
「え……?」
「チアキなんて……だいっきらいだっ!!!」
 目に涙を溜めて叫ぶよつばに圧され、罪悪感からかつい手を離してしまう。
こういう時、なんと声を掛ければいいのだろう。どうすれば良いのだろう。
我が侭や癇癪といった行為から縁遠いチアキは途方に暮れた。
55ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:20:36 ID:Td5QgLpw
*
 大ッ嫌いだ。よつばは何も悪い事はしていないのに叩くチアキなんて大ッ嫌いだ。
一刻も早くちよの所へ行きたいのに、邪魔ばっかりするチアキが悪いんだ。
よつばはそう思っていた。ちよを思う真っ直ぐで純粋な心でそう思っていた。
言葉に詰まるチアキの手を振り払い、よつばはソファーに置かれた杖を奪い取る。
『この杖は怪我を治せるんだ。ちよって子もきっと助かる』
 出会った時に聞いた言葉を思い出していた。この杖さえあれば、ちよを助けられる。
もうチアキにもパタリロにも頼らない。ちよは自分で助けるんだ。
そう心に決めて、よつばは脱兎の如く玄関へと駆け出した。
だが軽いとはいえ自分よりも長い杖を抱えて、消耗したよつばが早く走れるはずもなく、
玄関に辿りつく前にチアキが追いついてきた。
「よつば、外に出ちゃ――」
「うるさ――い!!」
 ガッ!
 振り向き様、遠心力に任せて薙ぎ払った杖が、追いすがったチアキを打ち倒した
癒しの象徴たる天使を模した装飾が僅かに汚れ、小さな血痕を絨毯に作る。
「よつ……ば!?」
 身を起こすチアキの額から流れ出た生暖かいものが、蒼白になった顔に紅を添えた。
傷口に当てた手が赤く染まっていく。
杖の先が僅かに当たっただけだ。出血はあるが傷自体は深くない。
しかし零れ落ちる赤い色が、二人の間に深い溝を作りだしていた。
(チアキがわるいんだ! よつばがわるいんじゃない)
 負傷して見上げるチアキの姿が、最後に見たちよの姿と重なる。
そして自分に酷い嫌悪感を感じた。
(チアキがじゃまをするからいけないんだ。ちよをたすけるんだ)
 よつばは一歩二歩と下がりながら自分のしたことを必死に肯定する。
そうしなければ自分があの嫌な男と同じになってしまう気がして怖かった。
「行っちゃダメだ……外は……危ない……」
 起き上がりながらチアキが手を伸ばす。
それが罪悪感から出たものだとしても、よつばの身を案じてのこと。
だがよつばが感じ取ったのは謝罪でも優しさでもない。
糾弾と罪悪感だけ。赤く染まったチアキの手が、自分を責めているように見えた。
「チアキがわるいんだ! チアキなんてだいっきらいだ!! ひとごろし!!!」
 恐怖を打ち払うかのように力の限り叫んで、よつばは玄関を飛び出した。
よつばは悪くない。悪いのは全部チアキなんだと自分に言い聞かせて。
もし後ろを振り向いたなら、力なく手を降ろすチアキが目に止まっただろう。
だから前だけを見て駆け出した。振り返るのが怖かったから。
56ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:21:29 ID:Td5QgLpw
○   ○   ○

 よつばを引き止められなかったチアキは呆然とした様子で、そのまま座り込んでいた。
(言うにこと欠いて『ひとごろし』かよ)
 不思議ともう否定する気にはならなかった。
初めてパタリロと出会った時、銃を撃った。殺す気だったかどうかは覚えていない。
でも相手が死んでも良いとは思っていた。立派な殺人未遂、人殺し候補だ。
もしも姉達が誰かに襲われていたら、自分はどうするだろう。
もしも姉達が誰かに殺されてしまったら、自分はどうするだろう
よつばのように制止を振り切っても行くだろう。
だからあの時、パタリロが止めても二人で探しに行こうとしたんだ。
(なのになんで、さっきは一緒に行ってあげなかったんだろう)
 ちよがもう死体になっているとパタリロから聞いて知っていたからだ。
でも――よつばはそれを知らない。
一緒に行ってくれると言った相手が、手の平を返したように引き止めたのでは、
裏切り者と思われても仕方ない。
(よつばを追おう。会って、謝って、そして一緒に行こう)
 チアキは立ち上がると玄関を出た。彼女が悩んでいた時間はたった数分。
だがその数分は取り返しの付かない時間だった。
57ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:24:34 ID:Td5QgLpw
○    ○   ○

(何をやってるんだアイツは?)
 座り込んだ弥彦から100メートルほど離れた叢に、様子を伺うペンギンが一匹。
カサカサっと住宅地まで行って帰ってきたパタリロである。
(どうもネクロフィリアじゃなさそうだが、死体漁りでもないみたいなんだよな)
 状況が良く分からない。パタリロが戻って来た時、既に弥彦は正気に戻っていたのだ。
死体を抱きしめているなんて死体愛好家以外なら、後は親類知人の類だ。
(よつばはカグラって子も探してたな。確かちよの友人で名簿にも乗っていたはず……)
 友人の死体を見つけた。そう考えると弥彦の不自然な行動も自然に思えるから不思議だ。
不意打ちで銃殺、という選択肢をパタリロは心の中で消す。
(だけど推測は推測だ。しっかり見て、聞いて確かめないとな)
 警戒は解かず、根来忍術皆伝の忍び足で背後から近付いて行った。

「お前がカグラか?」
 突然、背後から掛けられた声に弥彦はギョッとして振り向く。
そして振り向き様に火傷した右腕で楼観剣を構えようとするが、切先を返すよりも早く
得体の知れない物体の短い足が右肘を押さえ、弥彦の剣と構えを封じた。
どれだけ近付かれていたんだと相手の力量に驚くと同時に、自分の無警戒さに腹が立つ。
「乱暴な奴だなぁ。僕は名前を聞いているだけだぞ」
「くっ!」
 火傷に触られて声が漏れるが、剣を落としたりはしない。
肘の痛みを省みず、力任せに押し切って間合いを離すと片手で楼観剣を正眼に構える。
左手は少女を抱いたままだった。
「せっかちな奴だな。サムライは戦う前に名乗りを上げるんじゃないのか?」
「……人に名を尋ねるたけりゃ、まず自分から名乗りやがれ!」
「そろもそうか。はっはっは、失敬失敬」
 そうコホンと咳払いをして三歩ほど下がると大袈裟に歌舞伎のような見得を切った。
「やあやあ遠くの者は音に聞け、近くばよって目にも見よ! 我こそ西方は常春の国
マリネラ王国が国主、八代目パタリロ=ド=マリネールなるぞ!! 頭がたかーい!!」
 少し変な時代劇が混じっているらしい。
「……なんの真似だ?」
「あれ? サムライの挨拶って、こんなんじゃなかったっけ?」
「いつの時代だ! 江戸時代どころか戦国時代よりも前じゃねーか!」
「そーか。どうりで変だと思った。んじゃ改めて。ぼくパタリロ!」
 弥彦は突然の事に毒気を抜かれていた。
なんなんだコイツ。マリネラって一体どこの国だ。いやそれ以前に人間なのか? 
サメだかタヌキだか分からない格好で。胸から顔が出ているから夷腕坊みたいなものか?
次々と浮かぶ疑問に答えは出ない。分かるのは会話の出来る相手ということだけだ。
「おい、僕は名乗ったぞ。自分で言ったからには礼儀を守れ」
「あ、ああ。俺は――――」
58ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:25:29 ID:Td5QgLpw
○  ○  ○

(やったぁぁ! あの子一人だ! これなら……僕でも)
 路地に隠れていた藤木は、住宅からヨタヨタと飛び出したよつばを見つけて狂喜した。
僕にはツキがある。火傷とかしちゃったけど、すぐに消せたし水も見つかった。
風呂場で出会った男の子は何故か見逃してくれた。
そして今、取り逃がした幼女はたった一人で路地を駆けて行く。
三人もいたのに勝手にバラバラになってくれた。僕のために。
神様と仏様とキリスト様に感謝したいくらいだ。僕には神様が付いているんだ。
(あんな小さな子に負けるわけがない。負けるわけがないんだ。そうだ。絶対だ)
 自分の方が優位だと確信した藤木の行動は早かった。
ノロノロと走るよつばの進行方向を予測して、先回りした。
その際も逃げ道の確保は忘れない。
いざという時のために、的の紙を裏路地の何箇所かに張りつけながら移動する。
万が一にも負けそうだったら、これで足止めをして逃げるつもりなのだ。
情けないが卑怯で臆病なことは優れた戦術家に必要な資質の一部と言える。

 小さな足音が近付いてきていた。後一つ路地を曲がれば、待ち伏せは成功だ。
藤木は大きく深呼吸をしてから、手の平に人という字を三回書いて飲み込む。
相手は長い杖を持っている。でもあんな小さな子に喧嘩で負けるはずがない。
(大丈夫、負けるわけないんだ)
 高々とルーンの杖を掲げて藤木は、路地に入ってきたよつばに襲い掛かった。
突然の奇襲に、前だけを見ていたよつばは声も立てずに殴り飛ばされる。
シルバースキンに守られて怪我は無いが、その衝撃の全てが防がれるわけではない。
よつばは塀に叩きつけられ、癒しの杖はカラカラと乾いた音を立てて転がった。
「うふふふ、まままた会ったねぇ、キミ」
 藤木は普段出さないような歓喜の声をあげ、倒れたよつばを出迎えた。
己の優位を信じて疑わない、完全に人を見下した目つきだった。
忘れもしない藤木の顔に、怒りを露わにしたよつばが叫ぼうとするが、
金魚のようにパクパクと口が開いただけだった。
「くくく、喋れないだろう? ルーンの杖って言うんだ。凄いだろう?」
 笑いながらよつばを再び杖で殴りつけた。
最初、人を殴ることに恐怖を覚えていた少年とは思えない残酷な笑み。
反撃できない小動物をいたぶる様に、倒れたよつばを殴り続ける。
それは風呂場であった少年に対する憤りでもあった。
恐怖で失禁までした弱さを認めず、無力な少女を殴ることで己の強さを誇示していた。
「ハァハァ、ここはあの家からは見えないし、こ、声も出せない。助けは来ないよ」
 自分を安心させるように口に出す。ちよの時は最初の一発で勝負が付いていた。
それなのに何度殴ってもよつばは死なない。何度でも起き上がろうとする。
泣かずに何度でも藤木を睨み付ける。何でだ! ちっちゃい子供のクセに!
59ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:26:06 ID:Td5QgLpw
(そんなに僕が弱いって言うのか。キミの方が弱いくせに! ちっちゃいくせに!)
 藤木に焦りの表情が出た。負ける気はしないが、もう一人に探しに来られると不味い。
それを心配して通りの方に視線を送った瞬間、よつばが動いた。
一瞬の隙を突いて逃げるのではなく、立ち上がると同時に全力で体当たりをしたのだ。
「ギャッ!」
 よつばの頭突きを腹部に受けた藤木が、短い悲鳴を上げてよろめく。
あまりの痛みに涙がちょちょ切れた。
頭突き自体は痛くはない、シャツの下の火傷が痛むんだ。
そのまましがみ付いてくるよつばを振り払おうと杖を振り上げるが――
逆の腕によつばが噛み付いた。餓えたピラニアが肉を食いちぎらんばかりに。
「いいい痛い痛い痛い痛い痛い! 離れろ、離れろよ――!!」 
 火傷の上に噛み付かれた痛みに悶絶しながら、藤木は何度もよつばを杖で殴った。
頭、背中、腕、足、全部殴ったがほとんど効いていない。
防護服の武装錬金が砕けては再生を繰り返している事に、藤木は気が付かなかったのだ。
「離せ離せ離せ離せ離せ離せぇぇぇ―――!!!」
 とうとう藤木は杖を捨て、よつばを手で引き剥がそうと必死に力を込め始めた。
絶対に負けないはずの幼児相手に苦戦する屈辱。そんなことを考える余裕すらも無い。
だがその必死n抵抗は、シルバースキンの隙間からよつばの喉を探り当てた。
「離せ離せよぉぉぉ!」
 よつばの細い喉に爪を立て、力の限り叫びながら締め上げる。
幼い顔が苦悶に歪み、変色しながら顎の力が緩むまで数秒とかからなかった。
力任せに口から腕を外すとそのまま両手で喉を更に締め上げる。
よつばの手足が乱暴に振り回されるが、そんな抵抗も藤木には届かなかった。
「許さないぞ。絶対に許さないぞ! 死ね、死ね、死ねぇぇ! 大人しく死ねよぉぉ! 
お前なんかに、お前みたいなちっちゃい子供に僕が負けるわけないんだよぉぉぉ!!」

○   ○   ○

 道を歩いていた。細くて長い長い散歩道。
その先にちよの姿が見えた。何人かの人に囲まれ、楽しそうに笑っていた。
なんだかとても懐かしくて、一緒に混ぜて欲しくて、勢い良く駆け出した。
なのに左右から変なペンギンと年長の女の子が手を掴んで引き止めたんだ。
ちよの所へ行きたいのに邪魔をしたんだ。悪い奴らだ。
その手を力一杯振り払って、もう一度駆け出した。
こっちに気付いたちよは困ったような悲しそうな顔をしていたけれど、
小さな溜息の後、大きく腕を広げて優しい笑顔で迎えてくれた。
だから、その腕の中に飛び込んだ。
60ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:29:53 ID:Td5QgLpw
○    ○    ○

「そりゃあ災難だったな」
 簡単な自己紹介の後、弥彦はニアの時と同じように今までの事を話した。
警戒しなかったといえば嘘になるが、ニアの件もあって警戒するのがバカバカしかった。
「簡単に信用するのかよ。俺、血塗れなんだぜ」
「今はもう泥だらけだ。前さえ向いていれば泥だらけの人生でも良いんじゃないか?」
 話の節々で、子供のクセに維新戦争でも経験したかのような相槌を打つ。
ニアといい、コイツといい、よく分からない連中ばっかりだ。
「偉そうな事を言いやがって。俺はお前を信用ないぜ」
「それは結構なことだ。そういう奴ほど一度信頼を勝ち取れば裏切らないもんだ」
「……一つだけ質問に答えろ」
 弥彦はパタリロからニアに似た空気を感じ取っていた。だからこそ聞きたい事があった。
「お前は……十人を助ける為に一人を犠牲に出来るか?」
 ニアと同じならコイツと一緒にはいられない。どこかできっと袂を分かつ時がくる。
弥彦はそっと楼観剣に手をかけた。
「小を殺して大を生かすか。そういうのは程度の差はあっても誰にだって出来ることだ。
凡人の考えそうな事だな。ぼくみたいな天才はな、大を生かして小も生かすんだ」
「……出きるのか、そんなこと?」
 自分では答えの出せない問題の答えをコイツは知っているのだろうか。
「さあね。出来るかどうかは状況次第、誰にも分からんさ。だけどな、生かす気がなきゃ
確実に死ぬ。大勢を救う為だからって誰かを犠牲にはしたくないんだ。もう二度とな。
だから一人の犠牲が必要だというのなら、ぼくはその一人をも助ける方法を考える」

 弥彦は知らない。
かつてパタリロが数千数万の命を助けるために、部下の青年を犠牲にしたことを。
その青年は未来への希望に満ち溢れたまま、何も知らされずにその命を落とした。
パタリロの命令によって、自分の夢が叶うと信じたまま、平和の礎となった。
今でも月を見る度に思い出す。いつか一緒に月へ行こうと約束したことを。
きっと一生忘れない。生まれて初めて心から泣いた日のことを。

「助けられる相手は助ける。全力でな。全員は守れなくても、目の届く範囲くらいは
守りたいだろ? 偉そうな事を言っても結局はその程度さ」
「……それじゃ答えになってねぇよ」
 明確ではなかったが満足した。たぶん聞きたかった言葉は聞けたような気がする。
難しい事は良く分からないけれど、もう少し様子を見てもいいと思った。
61ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:31:20 ID:Td5QgLpw
○   ○   ○

「どうだ! ぼ、僕の方が強いだろう! キキキキミが僕に勝てるわけないんだ!!」
 よつばの腕は力無く垂れ下がり、脱力した体は藤木の両手が引き支えていた。
幼い顔は紫に変色し、白目を剥き、鼻水と泡と涎が零れている。
糞尿も垂れ流しているかもしれない。それでも藤木は両手で絞め続けていた。
ちよの見せた最後の抵抗が、文字通り頭に焼付いていたからでもあるが、
どこまでやったら人が死ぬか、それすらも藤木は理解できていなかったのだ。
脱力した死体を投げ出し、何度も踏みつけ、動かないことを確認してからようやく
勝利の雄叫びを上げた。
「しし死んだ。こ、殺した。僕が殺した! ぼぼぼ僕がかかか勝ったんだぁぁ!」
 自分よりも小さい子を暴力で殺した。それは本来なら全く誇れる事ではない。
だが藤木の中では、よつばはただの子供ではなかった。
強そうな長い杖を持ち、強力な杖の乱打に耐え、猛獣のように喰らい付く強敵。
よつばを褒め称えているのではない。そうする事で彼女を殺した自分を褒めているのだ。
自分は強いと、自分は戦えると、強敵を倒した自分はヒーローのように強いのだと。
そう言い聞かせることで正気を保っていた。いや既に正気ではないのかも知れない。
真っ赤に充血した目と真っ青に染まった唇が、不気味なコントラストを醸し出していた。
「これで二人目、もう二人目だ! 僕は強いんだ。僕にだって殺せるんだ。そうだろ!」
 バッと藤木の振り向いた先に、息を切らせた少女――チアキが立っていた。


「ハァハァ……よつばに……何してんだ……バカ野郎ッ!!」
 藤木を睨み付けるチアキの息は荒かった。
よつばを探して近隣の路地を駆けずり回り、住宅地と沼地の境まで行ったところで
蜥蜴を踏み殺したような藤木の悲鳴を聞きつけて戻ってきたのだ。
(何でよつばが倒れてるんだ? 何であいつに踏まれてるんだ?)
 苦悶の表情のまま人形のようにピクリともせず、異常な目つきの少年に踏まれている。
よつばの場の身に何が起きたのか、チアキにだって一目で状況が分かる。
だがそれを認めたくはなかった。
「ふひひひひ、おお遅かったねぇ。もう死んじゃったよ。こ、この僕が殺したのさ。
僕が悪いんじゃない、よわっちいこの子が悪いのさ。これはこういうゲームなんだよ!」
 そう言いながら藤木は落ちている癒しの杖に手を伸ばす。
投げ捨てたルーンの杖よりも長くて使いやすそうな武器だからか。
しかし後数センチというところで、藤木の手は届かなかった。
カメレオンの舌のようにロングフックが杖を捕らえ、チアキの手物に引き寄せたのだ。
「だったら……殺されても文句はないなバカ野郎!!」
 杖を構えたチアキの頭を熱いものが駆け巡る。
体の奥底からドス黒い何かが這い上がってくるような感じだった。
62ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:32:12 ID:Td5QgLpw
*
 チアキが辿りつく前に、よつばを殺せた事を藤木は神様に感謝した。
二人掛かりだったら逆に殺されていたかもしれない。
いや殺されはしないだろうが、この子達も殺せなかっただろう。
でも……そうはならなかった。そうはならなかったから……僕の勝ちだ。
声を奪ったのに自分が悲鳴を上げてしまったのは失敗だったが、結果オーライ。
こうして一人づつ僕の前に現れてくれたのだから。一人づつ殺されてくれるのだから。
やっぱり僕には神様が味方しているに違いない。
「怖いなぁ。ふひひ、怖いよぉ……」
 嘲るように藤木はチアキに背を向けて駆け出した。逃げるのではない。
ひ弱そうな女の子に杖を持たれたくらいでは、今の藤木は動じない。
武器などなくても作戦があった。自分は勝てると信じていた。
(あの場所まで誘い込めば、僕の勝ちだ!)
 的の紙を貼り付けた場所まで行けば、ただの小石が無敵の誘導弾に変わる。
最弱のポーンが最強のクイーンに変わるように、圧倒的な力を得る。
逃走用の消極的な仕掛けだったが、今は勝利を約束する必殺の仕掛けだ。
あそこに辿りつけば勝てる。だが――たった数歩で藤木の逃走は終了した。

 頭上を何かが飛ぶ音がしたと思った次の瞬間、目の前にチアキが降って来たのだ。
「どこへ行く気だ、バカ野郎!」
 驚く間もなく、飛び降り様に振り下ろした杖が藤木の左肩を殴りつけた。
必勝だと思っていた作戦は、実行する前に気付かれる事もなく粉砕されてしまったのだ。
さっきまで何メートルも後ろにいたのに、まるで忍者だ。なんて卑怯な奴なんだ。
激痛に身悶えする耳に小さな音が聞こえたが、それが手品のタネとは気付かない。
チアキはロングフックを前方の住宅に引っ掛けて跳び、途中で手を離していたのだ。
「ひぃぃ!」
 藤木は打たれた肩を押さえて数歩後ろに下がった。
チアキの持つ杖は彼の身長と変わらず、掃除時間に降り回される長ボウキを彷彿させる。
いつだってホウキで叩かれるのは藤木の方だった。
いつだってやり返したかったけれど、仕返しが怖くて出来なかった。
でも今は違う。やり返さなければ殺されてしまう。
目の前で降られる杖に恐怖しながらも、この場を切り抜ける方法を模索していた。
「ぼぼぼ僕が悪いんじゃない。ゆゆ許して、そうだ僕の支給品を上げるから……」
「寝言は寝て言えよ。二度と起こさないから」
 藤木は叫びながらランドセルを手にジリジリと後退する。
もう少し下がった所には、さっき投げ捨てたルーンの杖が転がっているはずだ。
長くても細いホウキみたいな杖よりも、短くても太くて棍棒のような杖の方が強いはず。
きっとそうだ。そうに違いない。力だって僕の方が強いんだ。負けるわけがない。
藤木は手にしたランドセルをチアキに投げつけ、振り向き様に駆け出し――
「えぇっ!?」
 何かに足を取られた。前方に転ぶ途中で藤木は気が付いた。
それが死んだよつばであることに。その目はちよと同じく嘲笑しているようだった。
63ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:32:58 ID:Td5QgLpw
*
 倒れた藤木に杖が幾度となく振り下ろされた。
「許して、殺さないでぇぇ! 僕が悪かったからぁぁ!!」
「謝るくらいなら……最初からするな……」
 冷めた声で返答してチアキは藤木を杖で殴打するが、既に息が切れかけていた。
走り回って疲れていた上に、所詮はただの女子小学生。圧倒的にスタミナが足りない。
力もなければ技術もなく、剣術どころか喧嘩すらしたこともない。
今だって見様見真似、しかも掃除中にふざける男子の真似をして振り回しているだけだ。
これでは痛みを与える事は出来ても、殺す事など出来はしない。
「な、な、何でもするから……何でもするから助けてくれよぉぉぉ!」
「なら舌を噛んで死ね、バカ野郎。生きているだけで酸素の無駄使いだ、人殺し!」
「あ、あんまりだ……お前だって、お前だって僕と同じ人殺しじゃないか!」
『ひとごろし!』
「!?」
 振り上げた杖がピタリと止まった。よつばの声が脳裏に蘇る。
『チアキがわるいんだ! チアキなんてだいっきらいだ!! ひとごろし!!!』
私は――やっぱり人殺しなのか? 
チアキに生まれたほんの少しの躊躇。それを藤木は見逃さなかった。

 よつばがした様に藤木はありったけの力を込めて体当たりをした。
杖で背中を殴られながらも、ラグビーのタックルのようにチアキを押し倒す。
癒しの杖は投げ出され、二人の手が届かない場所まで転がっていった。
「よよよくも僕を叩いたな! ここ今度は、今度は僕の番だぁぁ!」
 藤木はそのまま馬乗りになってチアキの顔を殴りつけた。何度も、何度も。
抵抗するチアキの拳が藤木の頬に当たるが、倒れた状態の拳に威力などない。
それに引き換え藤木は体重をかけて動きを封じた上で、力一杯殴り降ろすことが出来る。
もっとも藤木のパンチも振り回すだけの駄々っ子パンチだったが、優位には変わりない。
文字通り子供の喧嘩にしか見えないが、格闘技では難攻不落といわれている体制だ。
「お、女のくせに生意気なんだよ! 泣けよぉ、謝れよぉ、許してやらないからさぁ!」
 いけ好かないチアキの整った顔が、殴るたびに変貌する事に快感を覚える。
弱い者を苛める下卑た快感。手を振り下ろす度に出る短い悲鳴が心地よかった。
「ほら、どうしたんだよ!? 僕を殺すんじゃなかったのかよ!?」
 力の入らない反撃を余裕で防いで殴り返す。楽しかった。一方的な戦いは楽しかった。
チアキの右手が糸の切れた人形のようにパタリと落ちて、よつばの死体に重なった。
よつばの見せる嘲笑のような表情も、今では自分を羨望する眼差しにさえ思える。
やっぱり僕は強い。本気を出せば女の子になんて負けるはずがないんだ。
僕を蔑んだクラスの女子にも、いや今なら男子の誰と喧嘩したって勝てる。
永沢君なんて目じゃない。僕には神様が付いている。誰にも負けやしないんだ。
64ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:35:52 ID:Td5QgLpw
○    ○    ○

 道を歩いていた。細くて長い長い散歩道。
その先によつばの姿が見えた。何人かの人に囲まれ、楽しそうに笑っていた。
なんだかとても懐かしくて、一緒に混ぜて欲しくて、勢い良く駆け出した。
なのに変なペンギンが手を掴んで引き止めたんだ。
よつばの所へ行きたいのに、会って謝りたいのに、邪魔をしたんだ。
その手を力一杯振り払って、もう一度駆け出した。
こっちに気付いたよつばは、涙を溜めた目で睨みつけて、怒鳴りながら何かを投げつけた。
『チアキなんてだいっきらいだ!! ひとごろし!!!』
 避ける事も出来ず、硬い物が顔に当たった。
とても痛くて、悲しくて、耐えられなくて、よろけた拍子に道を踏み外した。
そして真ッ逆さまに堕ちていった。

○   ○   ○ 

「これからよろしくな。ぼくのことは親しみを込めて殿下と呼んでもいいぞ」
「簡単に人を信用するなよ。俺は人殺しなんだぜ」
 弥彦が不満の声を上げた。他人を信用するのは良い。裏切られるのは自分だから。
他人に簡単に信用されるのは、軽く見られている気がして何か嫌だった。
「そんなこと言っても、お前は分かりやすい熱血キャラだし、根は善人っぽいし」
「人を勝手に決め付けるな!」
「その子な……ちよっていう名前で、今話したよつばの知り合いなんだが――」
 そうパタリロは丁寧に寝かせられた少女の死体に視線を送る。
この子の首を跳ねたのは俺だぞ。そう弥彦は言い張った。正気でなかったとはいえ事実だ。
「さっき剣を構えた時、その子を大事に抱かかえていたろ? 普通は投げ捨ててるさ」
「そんなの関係――待てよ! そのよつばって子たち、今どこにいるって言った!?」
 弥彦が血相を変えて詰め寄った。ボンヤリとしていた記憶の断片が繋がっていく。
「向こうの住宅地に置いてきたと説明したろう。あそこなら――」
「あそこには……この子を殺した奴がいるんだ!」
 そう叫ぶと弥彦は西へと走り出した。慌ててパタリロがそれに続く。
ニアの言っていた事が真実なら、ちよを襲った奴がいる。
このちよの持っていた炎を出す短剣、そして住宅地にいた火傷を負った少年。
何でもっと早く気がつかなかったんだ。そう弥彦は自分の迂闊さを責めた。
(今度こそ、今度こそ助けるんだ。一人でも多く……俺は助けたいんだ!)
65ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:38:15 ID:Td5QgLpw
 ぐったりとしたチアキに気が付いて、藤木はようやく手を止めた。
泡を飛ばしながら血走った目でもはや正気を保っているのか疑わしい。
「ふん……偉そうなこと言ったくせに、もう死んじゃったのか。つまんないな」
 もう楽しみたかったかな、と先程まで考えた事もなかったような事を思う。
人を暴力で屈服させるのが、こんなに楽しいなんて知らなかった。
藤木も普通の子供たちのように仮面ライダーやスーパーマンに憧れていた。
でも友達とライダーごっこをする時は、いつも怪人か戦闘員の役だった。
本当は仮面ライダーの役をやりたかったけれど、やらせてもらえなかった。
正義のヒーローになりたかったんじゃない。
強くなりたかった。強くなって怪人たちを叩きのめしたかった。
そして僕は今、強くなったんだ。この世界では僕もヒーローになれるんだ。
「僕は強いんだ。僕はヒーローなんだ。名前は……王様。そう、フジキングとでも……」
「……寝言は……寝てから言えって言っただろ、バカ野郎」
 死んだと思っていたチアキの声に、少し驚きはしたが恐怖も一欠けらもなかった。
まだ藤木はチアキに馬乗りになったままで、状況は何も変わっていないからだ。
むしろ給食を食べ終わったと思ったら、デザートのプリンが出てきたような感覚だ。
もう少し楽しめる。もう少し苛めるられる。ニンマリと藤木は笑みを浮かべた。
「へぇまだ生きてたんだ!? 命乞いでもする? 優しい僕が助けてくれるかもよ?」
「……黙れよゲス野郎……殺されたって……お前なんかに」
「そんなこと言って良いのかい? また殴るよ。殴られると痛いんだよ」
「……だったら……殴られてみろ!」
 組み敷かれているチアキが思い切り腕を振って、藤木に殴りかった。
避けるのは簡単。防ぐのも簡単。もし受けても大したダメージにはならない。
馬乗り――マウントポジションとはそういうものだ。だがそれは素手の場合。
チアキの右手には鋭利な金属片が握られていた。
よつばから解除された『C』と刻まれた六角形の金属片が。
66ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:38:53 ID:Td5QgLpw
*
「ななななんだよ!? なんだよこれぇ!?」
 石を持って殴るように、手に触れた金属片を持って殴りつけただけだった。
死ぬ前にもう殴り返したかっただけ。絶対に許せない奴に仕返しをしたかっただけ。
だが藤木の頬を切ると同時に六角形の金属片は、細かいチップとなり藤木を包んでゆく。
それは拘束服(ストレイト・ジャケット)の武装錬金『シルバースキン・リバース』。
チアキの抱く敵意と闘争心が呼び出した偶然の産物だった。
「そんなこと、私が知るか」
 拘束服を着せられた藤木を押しのけ、のそのそとチアキが起き上がった。
外部への攻撃を一切遮断し、そして着用者を締め上げて動きを封じる拘束服。
体力のない藤木は、その単純な圧迫感にすら絶えられず完全に身動き出来なくなっていた。
「動けない……のか?」
 状況を把握できていないのはチアキも同様だった。
それでも藤木が動けなくて、自分が動けるとだけ分かれば十分だった。
頭が痛い。殴られすぎて顔は見るのが怖いくらいに腫れ上がっている。
こんな顔で家に帰ったら『誰あなた、オバケ?』などと言われてしまうに違いない。
動けない藤木を放って、チアキは転がっていた癒しの杖を拾い上げた。
「やややめて、なな殴らないで! もうしないから、お願いだから許してェェ!!」
 杖で殴られると思ったのか藤木が泣いて懇願した。
身動きは取れず、しかも締め付けられている。
先程まで自分がしていた事を返される恐怖で藤木は頭が一杯だった。
「助けてぇぇお願いだから。そそそそうだ……ぼ、僕はもう二人殺してるんだ!
ああ後一人殺したら『ご褒美』が貰える。それを上げるから、その顔の怪我を治すから!
だから、だから助けて、殺さないで!」
「間に合ってるよ、バカ野郎!」
 暖かい光がチアキを包み、顔の晴れが引いてゆくのが感じられた。
貴重な回復手段だが『頭を殴られたのだから仕方ないだろ』と無意識に言い訳をする。
振り向いたチアキの顔は元のように整っていた。
よつばに付けられた切り傷や痣は消えていないが「誰?」と言われない程には。
(こいつ、どうしよう?)
 殺したいほど憎いが、泣き喚いて命乞いをする相手を殴るのも気分的に嫌だった。
このまま捕まえて置いて、パタリロに任せようか。
勝手な考えだが自分で手を下すのは嫌だった。人殺しになりたくなかった。
そんな事を考えながら、よつばと藤木の支給品を自分のランドセルに詰め込む。
騒ぎ続ける藤木をパタリロと合流するまで見張らなきゃいけないのは、苦痛だと思った。
67ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:39:34 ID:Td5QgLpw
「なな何だってするから、許して! ど、どんな事でもするから助けて、お願いだよ」
 藤木には支給品を手にするチアキが、武器を物色しているように見えたのだろう。
癒しの杖は痛かった。ルーンの杖はもっと痛いはず。締め付けるこの服も苦しい。
藤木は考え付くありとあらゆる言葉を使って謝り、命乞いをした。
「じゃじゃぁ僕を仲間にして! そんな子供より僕の方が絶対に役に立つよ!
僕の方が力も強くて頭もいいんだ。絶対に役に立つから、だから殴らないで。
キミ達を見捨てていったペンギンなんかよりもずっと役に立つから、
僕がキミの代わりに人を殺してあげるから、だから僕を助けて!」
 自分の価値をアピールしようと必死だった。
だが悲しいことに彼は他者を貶める事でしか、自分の価値を誇る事が出来なかった。
それが殴る気も失せていたチアキの精神を逆撫でしている事に、藤木は気が付かない。
「少し黙れよ、バカ野郎! 私は人殺しを仲間にする気なんてないんだ!」
「キミだって僕と同じだ。殺したのは僕だけど、キミの不注意でその子は死んだ!
キミがその子を殺したんだ。キミも人殺しじゃないか! だから僕を殺さないで!」
 藤木の言葉は正しかった。少なくとも最もチアキが認めたくなかった真実を突いた。
直接殺したわけじゃない。よつばは勝手に飛び出して、勝手に殺されたんだ。
悪いのは藤木だ。悪いのはよつばだ。そう思って自分の心を守っていたのに。
藤木は土足で侵入して『キミがその子を殺したんだ』と突きつけたのだ。
よつばが飛び出した原因は誰? よつばを最初に裏切ったのは誰?
「僕と一緒にみんなを殺そう! キミも僕と同じ人殺しなんだから!」
 もう限界だった。チアキの中で何かが切れたような気がした。
ランドセルから出した支給品を片手に藤木の前に屈みこむ。
「黙れと言ったろ、バカ野郎。それと……私を『人殺し』と呼ぶな」
 その言葉は先程までとは違って普段のように静かで、そして冷淡だった。
言い返す藤木を完全に無視して、チアキの細い指が藤木の鼻を摘む。
鼻血と鼻水で滑り、汚さと気持ち悪さで離しそうになるが、爪を立てて力一杯に摘む。
殴られると思ってた藤木は、何が起こるのか分からず目を白黒させている。
藤木の陸に上がった魚のようにパクパクと開く口に、冷たい水がトクトクと注がれた。
少し前に藤木自身が風呂場で補給したばかりの飲料水。どこにでもあるただの水。
ゴミ箱にゴミを押し込むようにペットボトルが逆さまに藤木の口へねじ込まれた。
液体は瞬く間に狭い口腔を占拠して喉元へと侵入を図る。
意図を感じとった藤木が息を水を飲み干そうともするが、一度に飲み干せる量より多く、
それでいて吐き出せないように途切れなく注がれた。
拘束服は藤木を締め付け、起き上がるどころか首を捻る事すらさせない。
呼吸という当たり前の行為を奪われ藤木は、咥内の液体と共に苦悶の表情に満ちてゆく。
脳が酸素を求めて悲鳴をあげる。いっそ意識を失ってしまった方がどんなに楽か。
僅かに動く指の先がアスファルトを引っかき、涙を溢れさせた目で藤木は懇願する。
チアキはそれに涼しい顔で答えた。ゴミをゴミ箱に捨てるような当たり前の顔で答えた。
「これ以上、バカ野郎に吸わす空気なんてないよ」
68ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:41:28 ID:Td5QgLpw
○    ○    ○

 道を歩いていた。細くて長い長い散歩道。
その先にちよの姿が見えた。そしてちよの手にした短剣が炎を吹き出し、体を焼いた。
とても熱くて苦しくて、水場に飛び込もうと勢い良く駆け出した。
目の前にいた少年を押しのけ、水場に飛び込む。
気持ち良かった。水は冷たくて美味しかった。
だけど気がつけば足からドンドンと沈んでいった。
岸に上がろうとすると、誰かに足を掴まえられ水中に引きずり込まれた。
よつばにしがみ付かれ、水中に沈んでいった。
水の中は辛くて苦しくて、必死に足掻いて、あと少しで水面に出れるところで――
誰かに顔を踏みつけられた。
『これ以上、お前に吸わす空気なんてないよ』
 あんまりだ。そう思いながら、苦しみながら藤木は暗い闇に沈んでいった。

○    ○    ○

 よつばは私を振り切って出て行った。私はそれからどうなったか知らない。
このバカ野郎は誰かに殺されたらしい。私は会ったこともない。
パタリロは『人殺し』を見に行った。私は『人殺し』は悪いことだと思う。
だから私は『人殺し』になりたくない。
他の人が殺せばいい。私以外が殺し合えばいい。
私は人から『人殺し』と思われたくない。
だから『人殺し』と思われないためなら『人殺し』をする。
簡単なことだ。悩む必要もない。
ハルカ姉様に知られなければ、それで良い。
カナに知られなければ良い。
トウマに、藤岡に、マコトに、タケルおじさんに、フジオカに知られなければ良い。
そうすれば私はいつも通り、南家の千秋だ。
だって誰も知る人がいなければ、私は人殺しなんかじゃないから。
69ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:44:38 ID:Td5QgLpw
○   ○   ○

 2リットルのペットボトル満タンに入っていた水が綺麗になくなっていた。
藤木の口腔から気泡一つ浮かばなくなった事を確認して、チアキは立ち上がる。
用意したお代わりは必要なかったらしい。やっぱり一気飲みは体に悪いな。
トボけた感想を浮かばせて、チアキは支給品を拾い集めランドセルへと仕舞い込む。
その姿は早朝の庭先掃除というくらい気軽な動きだった。
いやに淡々とした――何を考えているか分からない――いつもの表情。
それでもチアキの中で何かが確実に変わっていた。
「猛毒に魔法の杖と変な紙、それに出し入れできる便利な服か」
 支給品に付いていた説明書を買い物のメモかなにかのように流し読みして、
陸地で溺れ死んだ下衆の死体から核鉄を回収する。
私だけが知っていれば良い。知らないものは無いと同じだから。
「私は……人殺しなんかじゃない」
 誰に言うのでもなくボソリと呟いて藤木の頭部を爪先で蹴飛ばした。
硬いサンドバッグのような感触と共に、横を向いた口から血と涎の混じった水が流れ出た。
「……汚いなあ」
 それが藤木に対する最後の言葉だった。


【C-8/住宅地の路地/1日目/真昼】
【南千秋@みなみけ】
[状態]:疲労大、顔面打撲(軽度)、額に切り傷(支障はない)、
人間不振&精神衰弱(見た目は普通)。
[装備]:ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ
祝福の杖(残一回)@ドラゴンクエスト5
[道具]基本支給品x2、核鉄シルバースキン@武装錬金(ポケット)
焼け焦げたルーンの杖@ファイナルファンタジー4
青酸カリ@名探偵コナン、的の書かれた紙(5枚)@パタリロ!
[思考]:私は人殺しなんかじゃない……
第一行動方針:いつもの自分を演じ続けて、他の人に殺しあいをしてもらう。
第二行動方針:誰にも気を許したくない。誰も信用したくない。
第三行動方針:自分を人殺しと疑う者がいれば排除したい。
最終行動方針:このゲームを知るもの全員に死んでもらって家に帰る
備考:藤木の持っていた食料は何となく気持ち悪いので奪っていません。
各支給品の使い方を理解しました。
70ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:45:33 ID:Td5QgLpw
【D-8/沼地/1日目/真昼】
【明神弥彦@るろうに剣心】
[状態]:健康、右腕に火傷(軽度だが悪化する恐れあり)、精神的疲労、
[装備]:楼観剣@東方Project、サラマンデルの短剣@ベルセルク
[道具]:基本支給品一式、首輪(美浜ちよ)
[服装]:道着(ドロ塗れで血が結構隠れた。右腕部分が半焼け)
[思考]:もう誰も死なせたくない!
第一行動方針:よつばとチアキの元に急ぐ。自分の手で藤木を捕らえたい。
第ニ行動方針:パタリロを完全には信用できないが、信用したいとは思っている。
第三行動方針:ニアの力量は認めるが考え方には反対(強い不信感)。
第四行動方針:のび太とカツオがどうなったか不安。
第五行動方針:出来ればあの子たち(野原しんのすけ&ちよ)を埋めてやりたい
基本行動方針:ジェダ達を倒す。一人でも多くの人を助ける。
[備考]:眠り火の催眠効果は切れました。パタリロと簡単に情報交換済み。

【パタリロ=ド=マリネール8世@パタリロ!】
[状態]:健康、ペンギン状態
[装備]:S&W M29(残弾6/6発)@BLACK LAGOON
ペンギンの着ぐるみ@あずまんが大王
[道具]:支給品一式(食料なし)、ロープ(30m)@現実
44マグナム予備弾17発(ローダー付き)
[思考]:よつばとチアキが危ない! 急いで戻るんだ!
第一行動方針:急げ、急げ! 
第二行動方針:仲間集め。チアキとよつばに弥彦を仲間として紹介したい
第三行動方針:弥彦の持つ首輪を調べたい(道具や設備も探したい)
第四行動方針:好戦的な相手には応戦する。自分を騙そうとする相手には容赦しない
最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。その後に時間移動で事件を根本から解決する。
[備考]:自分が受けている能力制限の範囲について大体理解している。
着ぐるみ着用でも普段と同じ行動が可能(変わり身などがある分むしろ強い?)。
偉そうな事を言ったが、弥彦を完全には信用していない。弥彦と簡単に情報交換済み。

【小岩井よつば@よつばと! 死亡確認@藤木茂(絞殺)】
【藤木茂@ちびまる子ちゃん 死亡確認@南千秋(溺死)】
両者の死体は路地に放置されています。
別の路地には的を書いた紙パタリロ!が張られています(5枚)。
71ひとごろし ◆uOOKVmx.oM :2007/04/04(水) 11:46:33 ID:Td5QgLpw
弥彦、パタリロ、よつば、チアキ、藤木を投下完了しました

なんかポンポン場面変更が入って読みにくくなってしまった……
72名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 11:47:56 ID:vsZM4gKa
>>71GJ
場面変更と死の描写がいい味だしてる。
73名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 11:51:03 ID:c1qAbNUJ
パタリロの件のエピソードを思い出して泣きそうになった
74名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 12:04:49 ID:h8zKyeia
投下乙
鬱鬱鬱々……子供らしい不合理な行動と残酷さが組み合わさって鬱すぎる。
すばらしく無慈悲な結末だ……。藤木、初の二人斬りマーダーなのにすぐ死んじまったなあ。
そして、いきなり手足を失ったニアに乾杯。
75名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 12:08:49 ID:c1qAbNUJ
パタリロなら首輪の仕組みとかすぐ見抜けそうだが…
76名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 12:12:51 ID:hxqxuZiC
投下乙ッ!
藤木よ……お前はよくやったよ……二人も殺すなんて十分さ
心の描写がとてもリアルでした、俺もう一気飲み出来ないよw

弥彦がどうなるかだなぁ……
77名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 12:29:56 ID:RW9Ad+7t
>>74
雛苺は?真紅だけだっけ……??
78名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 12:33:31 ID:Td5QgLpw
>>74
イリヤのことを忘れないであげてください
79名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 12:54:04 ID:ueMvIM64
泥沼になってるな。……GJ。
よつば、子供らしくてある意味でうざったさすら感じたけど……純粋ではあったな。あとさらば藤木。
チアキは……悪い子になりそうだけど……良い子だよ。本当に。
パタリロと弥彦は今後に期待。やっぱりパタリロ一見馬鹿だけど凄く格好いいよ。

>>74
二人切りマーダーなら既にイリヤが居るよ。
やっぱりこーあまり強くない奴の方が殺害数稼げるのかな。
80名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 14:15:24 ID:aAmz6GQ4
嗚呼、GJ!!!
よつばと藤木が逝ったか。
ちょっと後味が悪い展開になったなぁ
千秋がマーダーになりそうで心配。

それにしてもパタリロかっこいいな。
言葉はありがちだけども感動した。
81名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 17:53:10 ID:r7JHpAHw
投下 乙

さて……
【葬式会場】λ……
82名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 20:55:17 ID:ueMvIM64
久々に地図の更新ですよー。

ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa/?plugin=ref&page=%E5%9C%B0%E5%9B%B3&file=romap1142.gif

概ね落着したものの西の山脈、時間こそバラついているも城前、
そして依然危険地帯の学校周辺に相当数が固まってまいりました。
どう転ぶか楽しみなところです。
83名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/04(水) 21:00:21 ID:4ydjNBWn
>>82
いつも乙です!
結構赤いのが増えてきたな……個人的には北東の森林地帯がおっかないぜ
F-5でベルフラウとレックスが並んでいるのを見てつい反応してしまう俺サモ儲
84名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/05(木) 00:48:05 ID:K3UIrUPy
投下乙!

>全員は守れなくても、目の届く範囲くらいは守りたい

剣心が同じ様なこと言ってたな もしや狙ったのか?w
85名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/05(木) 02:54:51 ID:hQL2P7eU
【現在の予約状況】
4/3(火)の予約(〜4/6(金)まで)
◆3k3x1UI5IA :ヘンゼル、リンク、小狼、ネギ、金糸雀、コナン、
          灰原、梨花、一休、トリエラ、メロ

【破棄された予約】
◆aAwQuafMA2:リルル、ククリ、ネス、リディア、イエロー
◆0e1.qJAPw2 :きり丸・のび太・キルア・太一
(書き手さんはまだ書いてるのかな?)

【現時点での不明支給品所持者改めてまとめ】
・永沢(FNブローニングM1910、小型ボウガン):1個 《レックスが所持》
・ひまわり(ガードグラブetc.):1個
・八神太一(首輪探知機etc): 0〜2個
・ベルフラウ(クロウカード四元素etc):0〜2個
・キルア:1〜3個
・犬上小太郎(手裏剣セット×12、工具セットetc):0〜1個
現時点の不明支給品総数:3〜10個

【各地の状況】
前スレ>>573
86名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/05(木) 07:47:05 ID:L0i4WDEh
ところでさ
予約なんだけど、したらばでするようにしないか?
俺の杞憂だとは思うんだけど、どうしても邪推してしまう
87 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/05(木) 09:39:23 ID:7OFihH1Q
こんな時になんですが……。
こちらに書いても宜しいのでしょうか?

ブルー・イブ・フェイト・光子郎を予約させていただきます。
88名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/05(木) 14:04:58 ID:UVEH8l9A
かけるキャラは多いはずなのに見事なまでに全員知らんキャラと一緒にいやがるwwwww
89名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/05(木) 15:24:25 ID:GWuP1V+R
>>88
そういう時は逆に考えるんだ。新たな作品を知るチャンスだと考えるんだ。

最近アニメ版パタリロを見たら件のエピソードが漫画版より改悪されてて少しへこんだorz
90名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/05(木) 18:22:46 ID:g4BZVq8e
>>83
あるあ……あるあるwwwww
しかしお前とは酒を飲めそうにない、何故なら俺はレクアリ儲
91 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/05(木) 23:47:12 ID:tHHQDzt9
すいません、予約、厳密に「72時間」という意味なら今夜が期限なんですが……
ちょっと間に合いそうにありません。
……春なのに急に寒くなった感じですね。みなさんも体調管理にはお気をつけて。
ようやく熱下がってきましたけど、1日中部屋にいたのに全然筆が進みません……。

多数のキャラ拘束して申し訳ありませんが、少し延長させて下さい。
24時間ほどの延長、明日の深夜までには間に合わせたいと思います。
もしも万が一、それ以上遅れそうだったら再び報告しにきます。延長か予約破棄かも含めて。


それと、先に投下した『君と共に弾幕を』ですが。
投下前に自分でも気になっていた(というか、問題視されるかもしれないと思っていた)「オリ魔法創造」問題。
どうしても気になる、という方がいたら、後半差し替えという形での修正も考えているのですが……どうしましょう?

このオリ魔法を使わないバージョン2、
まだプロット段階なので書き上げるのに少々時間がかかる(現予約分投下後、1or2日欲しいです)、
ヴィクトリアがレイジングハートを使うのは変わらない、
オリ魔法ではないが「原作中でレイジングハート越しの使用を確認されてない魔法」を使う、
などの問題点もあるのですが。
投下直後に文句言いそびれた、とかいう人がいらっしゃったら、遠慮なく教えて下さい。
こちらも、明日の夜の投下前後に「どうするのか」を決めたいと思います。(変更なしという可能性も含めて)
92名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 00:15:48 ID:6GNtT1hF
>>91
がんばれー

他の人の意見はわからないが、『君と共に弾幕を』に修正は必要ないと思うのが個人的な意見。
ただ、あれ以上成長しない&他の非魔術師が使ったときの限界が今回のか今回の以下ってのは明記してほしいかな、と思ったり。
93名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 00:25:36 ID:xk0mR5T3
>>91
同じく修正なしに一票。今後、他の人外キャラがデバイス使うときには
今回みたいに軽くでも説明が入るだろうし。
94名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 00:30:35 ID:asbPUVfn
>>91
今更修正入れる必要は無いかなあ、とは思う。
エスカレートしたら困るけど、それはその時の問題の気もするし。

オリ設定寛容派だからアテになるか判らないけど。
95 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 02:55:51 ID:Dc2CeUsT
したらばの一時投下スレに、ネス、リルル、ククリ、イエロー、リディアの話を投下してきました。
キャラ把握の面などでかなり不安な点がありますので、どうかご判断とご指摘お願いします。
96名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 03:40:06 ID:asbPUVfn
>>95
読んだ。
イエローとリルルの対話が実にしんみりした。………………GJ。

リディアが自分の仇まで頼んでるのはなんだか非道い悪女に見えるな。
仕掛けたのはリディアだし勘違いさせて殺されちゃった自滅なわけだし。
死に際の思考だからまともな判断力が無くてもおかしくはないけど、
その前の描写からの繋がりが「えええっちょっとまておまえー!?」な気分。
意図してる事なら有りかなとは思う。
97名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 08:32:49 ID:6GNtT1hF
>>95
投下GJ
心理描写が凄く良かった。リルルとネスの思考とか、実に丁寧。
リディアは、返り討ちにあったとはいえ悪意持って殺されたんだし、死に際に敵討ち頼むのは問題ないかな。
元々心が壊れかかってたし、恨みつらみは当然の帰結かと。白レンは普通に仇だしね。
98名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 09:14:53 ID:gz9bpYJ/
>>95
リディア……誤解をバラ撒くだけで逝ってしまうか……
レッドが報われねぇ……

仇を頼むのは白レンだけにしといて、イエローについては側に落ちてる麦わら帽子をネスがどう判断するか、
後続に任せることにしておいてもいいんじゃないかな?
99名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 12:06:57 ID:iph13BZ5
それにしても誰かに死なれて守られた奴って
ヒナといいよつばといいリディアといいロクなことにならないな

これってもしやこのロワの死亡フラグか
100 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 12:27:53 ID:di6a8A8g
ご意見ありがとうございます。
リディアの最後の台詞のほうは、レトリック的なものとか
誤解フラグ蒔くことばかりを念頭においてしまっていたため、
状況として違和感があったかもしれず申し訳ありません。
その点含め、見直してみるとかなり修正訂正の必要な箇所があったので、
その辺りを手直しして修正版を投下しようと思います。
あと、ネスのキャラクターがこれでいいのか非常に不安です。
どなたかMOTHERに詳しい方、ご判定頂きたく思います。
101名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 17:06:20 ID:GT8p9Ehz
>>100
原作でまるで喋らないキャラだからなあ。
書きにくく思えるけど、逆に言えば早々あれ?って思う所は出てこない。

ヒーリングの無駄撃ちも、致命的ダメージ受けても急いで回復すれば
間に合うのがMOTHERだし、ある意味らしい気もする。
102名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 19:35:07 ID:od06Ck62
すげぇ重箱だけど回復魔法はライフアップだよ。
ヒーリングは状態異常治療。
103 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:03:44 ID:D+KoR/h7
土日に急用が出来ましたので、早めですが投下したいと思います。
104疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:04:20 ID:D+KoR/h7
(誰だって人は信じたい……僕だって同じです)

光子郎の脳内には実の両親が事故死し、孤児となった光子郎を引き取った養父母の顔が浮かんでいた。
幼い頃は自分が養父母の子供だと信じていた。
しかし、夜中に盗み聞きした――いや、聞こえてしまった話が光子郎の心を打ち砕いた。

――自分は養子で、お父さんとお母さんは本当の両親ではない……。

それから光子郎はパソコンにはまった。
自分はいい子で居なければならないと本当の自分でない自分を作り出した。
それが、他人との関係にも影響して敬語を使うようになった。
もう人を傷付けたくはなかった。自分が傷ついたように。

(でも……あの時は……)

あの時、そうあの冒険の時、デジタルワールドを冒険した時。
完璧に形成された誰の侵入も許さない光子郎の領域に、入り込んで来た人が居る。
その人は冒険の引き金となったサマーキャンプに誘い、その前にはサッカー部にも誘ってきた人。
完璧に構築された光子郎のイデアを叩き壊し、全てを塗りかえってしまった人。

(そういえば……太一さんもこれに参加していましたね……)

八神太一、あの冒険ではリーダーとなった人物。それを補佐する参謀が光子郎だった。
冒険を終え、義父母との蟠りは解消された。冒険を通じて、大切なものを学んだ。
冒険で起きた全ての事項が、光子郎にとっては血や骨となった。
貪欲な知りたがる心が全てを吸収して、知的好奇心溢れるデジタルワールドで光子郎は成長を遂げた。

(何か、何か他にも学んだことはなかったんでしょうか……)

信頼に足る人物か、そうでないか。
その人物の本性を暴く、ブルーとイヴは何かを秘めている危険人物。

「ナノモン……か」

好餌で選ばれし子供たちを誘き出し、それを利用しようとしたデジモン。
ブルーとイヴはナノモンと同じなのではないか、光子郎はそう考えた。
光子郎の脳内では、危険な作戦が凄まじい勢いで構築されていた。
間違った方向に進めば、自分は死ぬかもしれない作戦が。
105疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:04:54 ID:D+KoR/h7
「こんなこと……したくはありませんが……」

作戦の骨格は決まった。後は肉付けをしていくだけだ。
その肉付けで、必要不可欠なのがブルーとイヴか悪人であるという証拠。
風呂から上がり、寛いでいるブルーとイヴを尻目に、光子郎は一人電池へと向かった。
その途中、偶然にもフェイトとすれ違う。

「光子郎さん、お風呂どうです?」
「あ、いえ……ちょっと用事があります。後で入りますから、お先にどうぞ」

今はそんな場合ではない、急いで証拠を挙げる監視プログラムを仕上げなくてはならない。
電池内へ侵入すると、即座にプログラムを書き換える。
ファクトリアルタウンの中に限っては、このプログラムが実体となっている。
工場の各所に監視プログラムが作動し、光子郎はそれを隅々までチェックする。

(げえっ……すみません、フェイトさん……)

監視されているのは浴室も例外でなく。光子郎が偶然見てしまったものは、入浴中だったフェイト。
そういえば、すれ違った時に入浴を勧められた。
見てはならないと理性が作動する。もっと他の目的があるのではないかと。
しかし、光子郎も男だった。電池内に作り出されたスクリーン一杯に、浴室の画像を転送してしまう。

(フェイトさん、凄く綺麗ですね……って僕は何を……っ!)

ようやく、本来の目的に監視システムを使用する。
均等に分割されたスクリーンには、工場内の主要施設付近の監視状況が映されている。
この工場はいわば光子郎のテリトリー、襲われても逃げ出す自信はあった。
だが、問題は……。

(僕自身の運動能力でしょうか……)

更に監視を続ける。ブルーとイヴは片時も離れずに、同じ場所に居る。
それは運命共同体のようだった。光子郎から見て、主導権を握っているのはブルー。
イヴがブルーに指示を仰いでいるように見えた。イヴはブルーに心酔している。
つまり、二人を引き離すのは事実上不可能である。と、光子郎は仮定した。

(ブルーさんを計略に掛ける。しかし、ブルーさんはかなりの策士……)

イヴを懐柔し、とんでもないものを光子郎とフェイトに隠している策士。
油断の出来ない、光子郎と同等、或いはそれ以上の策士。
相当な策士なら、表立って人を殺さない。しかし、それを逆手に取ることは出来る。
こちらを殺したくなるような衝動に駆らせる、向こうの逆を行く戦略を。

「僕なら出来るはず、必ず出来ます……!」
106疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:06:12 ID:D+KoR/h7
光子郎が電池内で計略を考えている頃、フェイトは浴室に居た。
その浴室の浴槽に沈んでいるフェイトは、光子郎から話されたことを吟味していた。
夢中になって、工場を調べている時、眼をキラキラ輝かせて話していたことを。
それと同時に話した。光子郎の暗い過去を。

「僕……養子なんです。本当の親は知りません」
「あ、私も……養子です」

それから、二人は何も言わなかった。言わずとも、お互いの心は理解出来た。
普段は何を考えているか分からない光子郎だったが、これだけは分かった。
触れることは望ましくない、だが二人は暗い過去を乗り越えている。

(光子郎さんはブルーちゃんを疑っている……)

過度の人間不信なのであろうか、それは否。そんな人間ではない。
もしも、そのような人間であったとしたならば、工場調査であのような表情は見せたりはしない。
だとすれば、光子郎に人を見抜く眼がないのであろうか、それも否。
デジタルワールド、と云う所で多くの敵と対峙したから、善悪の見極めはつくであろう。
そうでなければ、多くの死線を潜り抜け、今こうして存在するということは出来ないはずだ。

(でも……ブルーちゃんは……)

人は信じなければいけない、考えれば考えるほど泥沼でもがくかのようになる。
浴槽一杯に張られた湯に顔を沈め、手で顔を擦ってみる。
そのまま断続的に息を吐き続けば、空気が泡となって水面で弾ける。
ブクブクブク、と云う音ともに泡は出来ては消え、出来ては消えるを繰り返す。

(人の信頼なんて……所詮は……)

暗くなりかけた思考を振り切るように、頭を左右に振ると浴槽から出る。
髪を洗い、身体を洗い、もう一度浴槽に沈む。
様々なことを思い巡らさせても、光子郎とブルーの和解しか考えられなかった。
それでも、少なくとも光子郎は――首を縦には振らないだろう。
無理かもしれない、だが100%無理なことだとは思えない。

(可能性があるのならば、動くべき……)
107疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:08:02 ID:D+KoR/h7
風呂から上がり、ブルーとイヴは寛いでいた。
安心して休める所は久しぶりであるかもしれない。
絶対の安心はないが、光子郎もフェイトも好戦的でないことは確かだった。
しかし、光子郎は最初からブルーとイヴを疑っている。

(やっぱり、消す必要がありそうね……)

こうしている間にも向こうは動いている可能性がある。が、下手には動けないだろう。
光子郎自体の戦闘能力は高そうだとは思えない。問題はフェイトの存在と向こうの支給品だけだ。
勿論、光子郎にとってもフェイトの存在は大きいだろう。
だから、下手に動いて信頼を喪失するような動きは当分ないであろう。

(機先を制する必要がありそうね……)

こちらも自由に動くことは出来ない、だがそれは向こうも同じこと。
そうはいっても、向こうが動く前に早く動かなくてはならない。
後れを取れば――逆襲に遭う可能性だってある。

(バレないように密やかに抹殺する。案外と難しいものね……)

向こうも動かない――と、仮定すれば身体が元に戻った時、仮面を着ければ露見しない。
仮面のナース、誰も4歳児である者の姿からは想像も出来ないであろう。
特にフェイト。人の第一印象は一番心に残っている。だから、バレない。
足を付けない、という自信もあった。殺害される光子郎も、誰に殺されたか分からないであろう。

(でも、やっぱり支給品ね……)

身体が大きくなったとしても、身体的能力の向上は望めない。
赤い年齢詐称薬を飲んで元に戻ったとしても、向こうが強力な武器を持っていたとしたら。
返り討ちの危険性だってある。こんな所で死ぬわけにはいかない。
だとすれば――奇襲。

(いつ襲うか、どうやって襲うか、始末するなら止めをちゃんとしないと……)

ポケモンバトルで云うところの状態異常を持つ相手を倒すことは簡単だ。
「まひ」、「どく」、「ねむり」、「やけど」、「こおり」、「こんらん」。
この工場内で想定しうる事態、挙げるならば「ねむり」と「こんらん」だ。
「どく」であれば、足がつく可能性だってある。「まひ」と「やけど」、「こおり」は絶対的に不可能。
しかし、人は皆「ねむり」に陥る。精神を破壊すれば「こんらん」にも陥る。

(しっかり、計画を立てなきゃね……)
108疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:08:45 ID:D+KoR/h7
風呂から上がったフェイトは光子郎の不在に気が付いた。
ブルーとイヴは気にしていないようだが、これでは拙い。
とりあえず、話し合う時間くらいは確保しなければならない。

(多分、あそこ……)

フェイトが向かったのはお化け電池の所、恐らくまだ調査をしているのだろうと思って。
不気味な音を立てている電池のドアをノックすると、予想通り光子郎の返事が聞こえた。
調査はしていたが、工場調査ではない。ブルーとイヴの調査を。

「光子郎さん……ブルーちゃんとイヴさんと話し合いませんか?」
「……確かに話し合いの機会を持つことは重要ですね」

そう言って光子郎は電池の中から出てきた。出てくるまでの時間が長かったが、フェイトの苦にはならなかった。
まずは一段落、これから関係改善を目指していけばいい。と、少し喜んでいた。
監視システムをダウンさせると、光子郎は電池から出る。思わず眼前のフェイトに罪悪感を吐露した。

「すみません……フェイトさん」
「……何かあったんです?」
「いえ……何でもありません、気にしないで下さい……」

監視システムを悪用して、風呂場を覗いてしまったことを心中で謝った。
表立って口に出来るようなことではない。口に出せば、関係悪化は必至。それだけは避けたかった。
とりあえず、謝った。そして、これは最早済んだこと。

「フェイトさん、僕を信じて下さい」
「……え?」
「……僕を信じて下さい。僕がすることも赦して下さい……」
「何を? 何をするんです……?」
「今は言えません、ですが直ぐに分かります」

光子郎の眼は確固たる意思をもって何かを見据えているようだった。
いつの間にか、ブルーとイヴの居る所まで戻っていた。
今後の動きを確認する為、情報交換や意見交換をする。

(本当のことは……隠しておくべきでしょうか……)
(光子郎だったかしら、何を考えているのか探ってみようかしら……)
(光子郎さんにブルーちゃん、イヴさん。仲を取り持たないと……)

三者三様、これからの指針を決める会議は始まる。
109疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:10:08 ID:D+KoR/h7
「まず持ち物のチェックをしなくちゃ……ね?」

辺りを窺うようにして、ブルーは話し始めた。一応、この4人は協力者である。
だから、持っている武器などを確認して、状況を把握しなければならない。
あくまでも“協力者”なのだから。

「僕が持っているのはこのマフラー、そして人形です。使えそうもない、所謂“ハズレ”です」

光子郎は嘘を付いた。それについて、フェイトは何も言えなかった。
最初から疑って掛かっている人物に、本当のことを言うことは出来ない。
口以上に光子郎の眼がそう言っているような気がした。
この発言を皮切りに各々は支給品を取り出し、全員に見せて効能などを説明した。

(それが……どこまで本当かは不明ですがね……)

光子郎は自嘲気味にそう思った。事実、自分は大きな嘘を付いている。
他の人が本当のことを言っているのかどうかは、当人にしか分からない。
こういった会議は信頼関係の上に成り立つものである。
しかし、その信頼関係はこの場において築かれてはいない。

(本当のことを言う道理はないわね……)

言い出したブルーもまた真実を語らなかった。
特にランドセルを弄くっていて、不意に出してしまった年齢詐称薬。
これを出すわけにはいけない。大慌てでランドセルに仕舞い込んだ。

「如何します? この工場には大きなものは隠されていません」
「出る……ってこと?」
「いえ、そうとは言っていません。皆さんの意見をお伺いしたいと思って」

そう言うと光子郎は偽善的な微笑を浮かべた。
過去、本当の自分でない自分を創り上げた時に付随した微笑を。
(……頭打ちになりそうですね)

この会議は何の意味を持たないままに散会した。
しかし、この会議でみせたブルーの動きが光子郎を驚愕させることになった。
ダウンさせたのは電池内のスクリーンのみ、監視システムは作動していた。

(……何だこの薬、ランドセルの中にあるということは……支給品?)

光子郎が見ていたのは会議中のブルーの動き、ランドセルの支給品を確認しているところだ。
そこでブルーはランドセルから、青い薬と赤い薬を取り出しかけたが即座に戻していた。
つまり、皆には見せたくない、隠しておきたい支給品だと言える。

(だとすれば……何の薬、あの容姿からどんな薬を隠しておこうと……容姿……?)

デジタルワールドの冒険の際、遺憾なく発揮された鋭い洞察力が真価を発揮する。
知りたがる心がフル回転し、様々な仮説が浮かんでは消え、浮かんでは消えた結果残ったもの。
それは――若返り薬。
110疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:11:24 ID:D+KoR/h7
確実な証拠は掴んではいない、だがそうとしか考えられなかった。
次第に仮説は確信へと変わっていった。あの容姿から想像も出来ないことを秘めていた。
どう見ても幼女なのだが、実際は自分と同じ位か、或いは年上の少女であろう。
それが若返り薬を飲んだために、あのような姿になってしまった。
いや、なってしまったのではなく、自ら望んであの姿になっている。それにどういう意味があるのか。

――自分を守って貰い易くするため。

あの冒険の時だってそうだった。メンバーの中で幼かったタケルやヒカリは誰かに守られていた。
何故守るのか? 理由は幼いから。幼少、と云うだけで庇護の対象になる。
幼いの容姿をしていれば、多少の憐憫も生まれてくるかもしれない。人間の感情を利用しない手はない。
誰かに守られていれば、一人で居るよりかは随分マシになる。

(なるほど……考えましたね。これなら、分かり易いです)

光子郎にとっては、これだけで充分な気がした。
だが、フェイトは承服しないだろう。あくまでもこれは仮説。
この仮説を成り立たせる為には、完全なる証拠を掴むか、相手に認めさせるか。
常識的に考えれば、どちらも不可能である。

(方法はあります……危険ですがね)

失敗すれば、ブルーは自分を生かしてはおかないであろう。
むしろ、成功したとしても死ぬ可能性だってないとは言い切れない。
だが、このまま手を拱いて動かなければ、いつか自分は殺される。
どうせ死ぬのだったら、何かして死ぬ方がいい。

――よし!

作戦の準備へと取り掛かる。手間のかかる作業だが、これはきちんとしておかなければならない。
まずフェイトに大まかな話を伝えておく。これは強制的にでも参加させなくてはならない。
この作戦はブルーの正体を暴く作戦ではない、ブルーを悪人とフェイトに思わせる作戦である。

「僕を信じて下さい……!」

誠実、あの冒険を共にし、この無益な戦いにも参加している人物の紋章。
フェイトに誠実に自分の心を伝える。僕を信じて欲しいと。
多くのものは望まない、ただ信じて欲しいと。
光子郎に乗り移った誠実は、フェイトに通じた。乗り気ではなさそうだが、頷いてくれた。

(まだまだ……準備を進めないと……)

勇気、危険な作戦を実行するだけの勇気。
あの冒険でのリーダーを務めた人、この人も戦いに参加している。
その勇気を借り受けたかった。そう思う光子郎の脳裏にあることが過ぎった。

(純真は……如何使うんでしょうね?)
111疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:12:15 ID:D+KoR/h7
――後は押し切るだけ……!

光子郎はブルーのみを呼び出した。少し話がしたいと。
光子郎抹殺作戦を考えていたブルーだが、光子郎の話を聞いてみたい気がした。
イヴが居ないのは心配だが、光子郎の話も気になるのでブルーはそれに応じた。
「ブルーを一人で誘き出す」これが光子郎、一つ目の戦略。

「ブルーさん、僕は前々からいくつか疑問に思っていたことがあったんです。
 そう、貴女が最初に工場にやってきた。その時に何故かイヴさんの返り血は後ろ髪に付いていた。
 おかしいと思いませんか、人は……いや、人でないにしろ。多くの生物の身体には血が流れています。
 人間などは血の嚢だと言っても構いません。相手を殺すと云うことは、この血の嚢を破ることになるんです。
 つまり、返り血は凄まじい量になってしまいます。ですから、後ろ髪だけに付くと云うのは少々納得がいかないんです」

光子郎の言葉にブルーが反論しようとした、その時だった。更に光子郎は言葉を続けた。
こういう時は、手持ちの証拠が余りない時は、そのまま押し切ってしまう。
そうしなければ、ブルーを論破することは不可能である。

「あ、一つ言い忘れたことがありました。すみませんが、貴女のランドセルを見せてもらえませんか?」
「……ランドセル?」
「そうです、僕も背負っているランドセル。ブルーさんのランドセルには、皆さんに隠していたものがありました。
 正直、僕も驚きましたよ。貴女が“若返り薬”の様なものを持っていたとは思いませんでした」

思いもよらぬ光子郎の攻撃、ブルーは一瞬混乱しそうになった。
が、ここで認めてしまうのは愚の骨頂。ここはあくまでもシラを切り通さなければならない。

「そ、そんなの……」
「ブルーさんには悪いのですが、貴女たちの様子は監視させて貰いました。
 この工場、プログラムが実体化して出来ているんです。ですから、監視プログラムを作ればいい。
 僕はその監視プログラムを見ていて、話し合いを行っていたの時の貴女の動きに驚きました。
 ランドセルから、赤色の薬と青色の薬が入った瓶を取り出しかけて元に戻しましたよね。
 貴女は幼い容姿をしている。だが、実際は僕と同じ位、いや僕よりも年上かもしれません……」
「しょ、証拠は……証拠はあるの?」

ここで光子郎は少し考えた。下手なことを言ってしまえば、この話は終わってしまう。
ここまで喧嘩を売って、無事で済むはずもないであろう。
考えている素振りを見せている光子郎は、最後の手となるであろう言葉を吐いた。

「飲んでみて下さい」
「……え?」
「それが若返り薬でないのなら、貴女が飲んでみればいい話です」

光子郎の仮定が間違っていなければ、ブルーはこの薬を飲めない。
幼児の姿になっているからこそ、イヴを操り易いからだ。
そう思って、この場にはイヴは呼んでいない。これも作戦の一つ。
112疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:13:15 ID:D+KoR/h7
「ホホホ、アタシが考えている以上だったわね。
 油断していたのかもしれないわ。でも、アナタの考えていることは大体分かる。
 ……本当はこんな手は使いたくないんだけどね。秘密を知ったからには、死んで貰うしかないわね」

想定通り、ここまでは想定通りの展開。光子郎の描いた作戦通りに事は進んでいる。

「フェイトさん、出てきても構いません」

光子郎の言葉に隠し通路に隠れていたフェイトが出てくる。
ブルーには壁にしか見えなかったが、光子郎の云うプログラムが実体化している工場だ。
こんなことも出来るのかもしれない。

「……すみませんでした。僕だって……本当は」

フェイトの顔面は蒼白となっていた。信じていればきっと分かる。
ブルーを信じた。が、ブルーは何かを企んでいた。
ここに来たまでは良かったのであろう。だが、来てからは何かを企んでいた。
それが何かは分からない。知っているのはブルー本人のみ。

「逃げますよ、ここに用はありません」

光子郎の言葉にフェイトは正気に戻った。絶望しているだけでは駄目なのだと。
辛いことは乗り越えてこそ、自分の糧になるのだと。
フェイトは光子郎の手を握り締めた。この工場から、脱出を図るため。

「飛ばしますよ……光子郎さん」

ブルーの帰りが遅く、何か慌しい音もする。イヴは不審に思ってブルーの元へと駆けつけた。
そこでブルーはあくまでも冷静に、淡々と状況を説明した。

「追いかけます……?」
「ええ、手はあるわ。それにアレを使ってみる価値はありそうね」

ブルーとイヴはフェイトと光子郎を追跡した。
逃げ足はそんなに速くはない。疲労感もあるが、ここで暫く休息を取った。
前よりは体力が回復している。それに切り札もある。
完璧に見えた光子郎の作戦にも誤算はあった。相手の持つ、支給品。

「レルゲイト(左遷)、オン! 泉光子郎!」
113疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:15:13 ID:D+KoR/h7
光の塊となって飛ばされた、自分独りで。
工場から逃げ出していたが、相手の支給品の効果でどこかに追放された。
恐らくランダムに追放する装置、ここが何処であるかは誰にも分からない。
人気は無く、ブォンブォンと不気味な音が鳴り響いている。

(……もしかして?)


 *  *  *


左遷(レルゲイト)、対象プレイヤー1名を島のどこか(ランダム)へ飛ばす。
このカードがこんな所で役に立つとは思わなかった。
フェイトは殺すに惜しい人材、後で自分の道具となってくれるかもしれない。
光子郎も確かに惜しい人材ではある。が、自分の正体を知ってしまった人間だ。
殺さなければならない。必ず仕留めなければならない。

「アカンパニー(同行)、オン! 泉光子郎!」

だが、このカード使用にブルーの誤算があった。
同行の効果範囲は半径20メートル、光子郎に掛けた左遷と同じ範囲。
光子郎と手を繋いで脱出を図ったフェイトは如何しているか。

「……どうして!?」

同行の対象範囲以内にフェイトも居た。だから、飛ばされた。
そして、必然的に再び光子郎と巡り会えた。
しかし、この薄暗い所は何処なのであろうか。

「光子郎さん……こんな所に」
「また会えましたね、フェイトさん。でも、大発見ですよ。恐らくここは――」


ブルーにも誤算があり、光子郎にも誤算があった。
この誤算が、これからの状況にどのような影響を及ぼすのか。
そして、二人にとって共通する最大の誤算は、お互いに戦わなければならないことだった。
114疑惑、計略、そして誤算 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:16:04 ID:D+KoR/h7
【?-?/???内/1日目/午後】
*何処に飛ばされたか、光子郎が何を確信したか、それは後の書き手さんに。

【泉光子郎@デジモンアドベンチャー】
[状態]:健康、少しの疲れ
[装備]:風の剣@魔法陣グルグル
[道具]:支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂
[思考・状況]
思考:どうしようかな……
第一行動方針:向こうが戦いを挑むのならば、応じる。
第二行動方針:フェイトをイヴとブルーから守る。
第三行動方針:とりあえず今後の動向について考える
第四行動方針:友人との合流
[備考]:光子郎は工場について以下の仮定を立てました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない
尚1〜3は誰にも話しておりません。

【フェイト・T・ハラウオン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康、やや疲れと混乱
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考・状況]
思考:どうして……
第一行動方針:自分と光子郎の身を守る
第二行動方針:光子郎と同行
第三行動方針:友人と合流

【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、少しの焦り、4歳モード、光子郎を要注意人物だと判断
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード1枚(『聖水』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE、ナース服
[思考]:一難さってまた一難ね……
第一行動方針:光子郎を要注意人物と判断、抹殺を命令か
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:4歳児の外見を生かし、イヴを利用する。自分の身を守ってもらう。
なお、使える戦闘要員なら増やしてもいいが、足手まといが増えるのは困る。
第四行動方針:イヴには、自分の正体がバレないようにする(=年齢詐称薬の秘匿、説明書の効果時間に基づいた12時間ごとの薬の摂取)
第五行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(応急処置済み)、全身に中程度の打撲、精神中消費、疲労感小 、自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、ビュティの基本支給品一式、神楽の傘(弾切れ)@銀魂、コンマ@ボボボーボ・ボーボボ
[思考] 戦うのかな……。
第一行動方針:戦闘準備完了、ブルーの命令待ち
第二行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る
第三行動方針:一休を見つけたら、懲らしめる
基本行動方針:この殺し合いを止め、脱出する
[備考]:アタッシュ・ウェポン・ケースの『捕獲用ネット』を使おうとして、間違えて『マシンガン』の引き金を引きました。今後、『マシンガン』のスイッチを間違えることはまず無いと思われます。
イブとビュティ、二つランドセルを持っています
115 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 21:16:53 ID:D+KoR/h7
以上投下終了しました。
少し焦りすぎた感がありますね……。
ご意見やご指摘お願いします。
116名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:28:41 ID:KPomWAzf
いや……その……。光子郎の頭脳が超回転しすぎてないか……。

光子郎が「ブルーの持っているのは『年齢詐称薬』である」という結論に至る根拠がない。
これまでの話で光子郎が「ブルーが本当は14歳の少女であるのではないか?」と疑うような
根拠がまったくなく、暴論っぽい。
あてずっぽうにしても、いきなり光子郎のいた現実&デジタルワールドにはない
ファンタジーのアイテム『年齢を詐称できる薬』が思いつくのは変。
まだ「あれは毒薬じゃないか!? フェイトさんが危ない!」と思いつくほうが自然かと。
あと、正体がバレること即身の破滅であるステルスマーダーが、年齢詐称薬の所持を喝破されただけで
自分から本性をあらわしてペラペラ喋りだすのは、おかしくないでしょうか……。
117名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:30:31 ID:Qr5Ut00g
乙!
確かに急ぎすぎた面があるものの、
それなりに工夫している面もありますな。

スペルカードなどを使ったことは良かった。
あのまま死蔵されてしまうんじゃないかと心配で。
しかし監視カメラで策士、光四郎、もうはやデスノに出てきそうだw
118名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:34:08 ID:bajGWruC
なんか状況が良く分からんな
もう少し視点を定めて欲しいかも…
119名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:53:27 ID:6GNtT1hF
ええと、光子郎は予知能力でも持っているのでしょうか?
ちょっと論理が飛躍してて何がなんだかわかりませんでした。
あと、ブルーはこんなに阿呆な子ではない。
何の特にもならないのに、意味なくペラペラ喋りだすのは凄く違和感。

あと、前から言いたかったんですけど、「……」を使いすぎですよ。
フェイトはそんなにボソボソ喋るキャラじゃないっす。
120名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:59:12 ID:xk0mR5T3
何を確信したのかは任せます、というのもどうかと思います。
飛ばされた先がランダムだから、捻り出せば光子郎に何かを確信させること
はできるかもしれませんが、この話の流れなら「光子郎が次の話で何かすごいこと
言いますよ」って押し付けなくてもいいのでは。
121名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:59:20 ID:K7YOklvz
とりあえず乙
この人の光子郎は躍動感があるな。

問題はどうなるかだな。
122名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 21:59:40 ID:GT8p9Ehz
>>115
えーっと、もう既に指摘されてる所も有るけど……
まず文章がアニメの脚本みたいなイメージを受けた。
それ自体は良いんだけど、それが更に欠けたみたいで全体的に説明が不足してる。

たとえば光子郎の推理がかなり説明不足。
特に若返り薬の存在に気づく場面が本文中から理解できなかった。
薬から連想する物は他にも毒でもなんでもあるわけだし、
そういうのを先に考えずに『謎の薬→若返り薬』と推理する理由が判らない。
推理の途中が完全に抜けてしまっている。

「飲んでみろ」と言った時も「毒だから飲めない」「何の薬か判らなくて危険」だの、
言い逃れるつもりさえあれば普通に思いつく範囲で幾らでも手は有ったはず。
もちろん常に最善の思考をする必要は無いけど、この辺も思いつかないなら理由が欲しい。
ブルーまで『謎の薬を見たら間違いなく若返り薬である』と前提して思考してる気がする。

思いついても『どうせ疑われてるなら殺っちまうか、冥土の土産だ』など
その行動に辿り着く思考は考えられるけど、
それならそれでその辺の説明が完全に抜けている。

という事でこのままではキャラの行動に整合性が取れない。
123名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:08:56 ID:egFM2ebx
確かに、全体的にちょっと駆け足すぎる所があったように思われるな



あと、便乗して言わせてもらうとなんかこのロワのフェイトの発言、行動に違和感を感じる、特に発言、というか口調に
上手く説明は出来ないんだけど……なんか、らしくないっつーか……
124名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:14:16 ID:KPomWAzf
>>123
これまでの話で、同作品のなのは達のことに全く触れてないからじゃないか?
ふつう二人以上参加している作品のキャラだと、仲間を探すのが思考に入ることが多いが、
フェイトの状態欄をみてもなのは達のことに全く触れられていない。
いくらなんでもロワに一緒に参加させられている大親友のことを心配していないのは不自然だ、と感じてるんじゃないか?
125名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:15:13 ID:KPomWAzf
と思ったら、ちゃんと入ってたorz
マジごめんなさい、吊ってくる……
126名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:25:02 ID:bajGWruC
>>123
彼女はハラウオンさんだからな。原作やアニロワに出演しているハラオウンさんとは別人だ

…というのは冗談として。
勝手にWikiに掲載された作品を修正するわけにもいかんから
できれば今までフェイト動かした人が状態欄修正してくれるといいんだけど…
127名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:28:00 ID:xk0mR5T3
フェイトはもっと主体性があるはずだけど、それが発揮されてないのが違和感の一つなのだろうか?
光子郎のほうが工場内に詳しいから、光子郎の指示にフェイトが従うのはありだろうけど。
しかし、デジモンをあまり知らないからプログラムの実体化とかが平然と行われると
工場の中だけ異世界だと思ってしまう。
128名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:28:46 ID:6GNtT1hF
>>123
それはアレだ。大親友とか友達がいつ死ぬかもわからないのにボサッと止まってるからだ。
混乱も恐慌もせず、いたって冷静な状態なのに落ち着きすぎていて人間味がない。
ぶっちゃけ、これで放送でなのはの名が呼ばれて悲しんだとしても、同情の余地はないなあ。
何時間も動かず、探そうとしてないんだもの。必死に動いてるなのはが可哀相にすらなってきた。
129 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 22:30:39 ID:L/mL75Az
すみません、やっぱり駆け足でしたよね……。
状況から有り得ないことも多々あったでしょうね……。

廃棄か加筆訂正は必須ですが……。
急な用事が入って二、三日は身動きが取ることが出来ません。
少しだけ執行猶予を貰っても宜しいでしょうか……?
130名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:43:53 ID:GT8p9Ehz
>>129
現時点では正直NGになる作品だし、
それを修正となるとかなりの変更が必要になると思う。
2〜3日身動き取れずその後となると拘束期間が長すぎる。
予約期間は通常三日なわけだし、修正が入るにしても超えすぎかな。

一度廃棄して、手が空いた時にまだ予約が入ってなければ改めて予約が妥当だと思う。
その時に今回のを叩き台に加筆修正した物を投下するのは自由。
131 ◆KGrqH6mOIw :2007/04/06(金) 22:44:37 ID:L/mL75Az
では廃棄させていただきます。
スレ汚し失礼致しました。
132名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:45:14 ID:iph13BZ5
>>128
それでも光子朗なら何とかしてくれる!と思っている……とポジティブに考えてみる。
133名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/06(金) 22:54:26 ID:u8KuR66l
乙、まあ次頑張れ。
次があるかは分からないが……
134 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:46:29 ID:KPomWAzf
>>96-98,>>101-102
ご指摘、ご助言ありがとうございました。
リディアの台詞やネスの技などの修正が終わったので、本投下させて頂きます。
135迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:48:59 ID:KPomWAzf

 リルルとネス、ふたりのおにごっこゲームは、見渡しがよく障害物の少ない低難度コースから、
障害物の多く視界の悪い高難度コースへと舞台を移していた。
 森の中の木々の合間を縫うように、ピンクの髪をなびかせた全裸の少女と立て札を掲げた少年は、追いかけっこを続けている。
 リルルの放った電撃をガードし続けていたネスの立て札は、ますます焦げてかすれ、そろそろ耐久の限界に近づいていた。
 ちなみに、残った字のうち「る」の下方は消えかけ、「ず」の濁点含めた右肩部分は焦げつき、
ますますもって「ころす」としか読めなくなっている。

 ネスは焦る。
 相手は女の子一人抱えていながら、まるで疲れを知らないかのように駆け回っている。
対してネスは、結構疲れてきた。現に、二人の間の距離は徐々に広がってきている。
 このままでは埒が明かない。
 そう判断して、ネスは精神を集中させた。多少のPP消費はしょうがない。
 軽く助走をつけ――――

「――――テレポート!」

 PSI―――超能力と呼ばれる力。
 その使い方はさまざまで、相手にダメージを与えることも、ケガを治すこともできる。
 物理的な距離など、様々な抵抗要因を無視して、ある地点に瞬時に移動することも。

 ネスは、リルルの目の前に一瞬で移動した。
 物理法則を無視した瞬間移動に吃驚して、リルルの足が止まる。
 通せん坊をするように立ち塞がり、ネスは問いかけた。
「キミは、ギーグの手下なの?」
「…………」
 じり、と一歩後ずさりながら、リルルは渋々口を開く。
「……ギーグというロボットは知らないわ」
 ネスが怪訝そうな顔をする。
「ロボット?」
 ネスは首をかしげる。
「ギーグがロボットってのは本当?」
「ええ――――」
 リルルはネスの言葉もろくに聞かないまま頷いてみせ――そのまま頭を深く下げてしゃがみこむ。
 背に負ったランドセルの蓋がかぱっと翻り、中から滑り出てきたのは――物騒な火器と、人脂に曇った日本刀。
(サトシ君みたいに電撃に耐性があったり、うっかりこわしてしまうわけにはいかないから、
動けないようにだけさせてもらうわ)
 リルルは左手を伸ばして素早く柄を掴み取り、下段からネスの脛を薙ごうとする。
 ドッジボールのセオリーにもあるが、上半身への攻撃に比べ、足への攻撃は意外と避けにくい。
 ネスは刃の閃きを目にし、ぎゅっと目を瞑る。
 長曾禰虎徹の閃きがネスの脛を咬もうとする。次の瞬間には、膝から下を喪ったネスが尻餅をついて転倒し、
リルルの勝ちが決定するはずだ。――――ネスがふつうの少年であったならば。
136迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:50:10 ID:KPomWAzf

「PK・キアイ!!」

 強烈な衝撃が、リルルの左腕を弾いた。
「キャアッ!?」
 そのまま素直に吹っ飛ばされていれば、怪我はまだ打ち身程度で済んだかもしれない。
 しかし、リルルの使命感――目的を達成しようとする意地が、ロボットゆえの頑丈さが逆にダメージを悪化させた。
 衝撃に逆らい、リルルはネスに刃を振るおうと、踏ん張って刀を握った左腕をネスに当てようとする。
 ヒトの脆い構造を模してつくられたリルルの腕は――衝撃に耐えられなかった。
 とてもあっけなく、左腕が捻じ曲がる。
 人工皮膚を突き破り、折れたフレームが飛び出す。

 リルルは、普通の人間しか知らなかった。
 機械仕掛けの少女は、超能力の存在を知らなかった。
 リルルは混乱し、ネスをまじまじと見上げるしかできない。
 何をした? これは何?
 なぜ自分がダメージを受けたのか、まったくわからない。
 相手が手にしている札で殴られたわけでもなさそうだった。
 強いて言うならば、――ほんとうに見えない、形も分からない何かに殴られたように判断された。
 だらりと下げた左腕は、何とか刀は手放さなかったもの、しっかりとその代償を刻まれている。
 刀を握った指が、狂ったシグナルを受けて痙攣する。
 腕が肘からおかしな方向に曲がっている。
 見た目は惨状そのものであったが、腕も指も動かそうと思えば動かせないことはなかった。
 しかし、連絡経路に故障をきたしたのか、プロセスの実行にタイムラグが生じている。
すなわち、「腕を上にあげよう」などと思ってから、それが実行動に移されるまでに数秒遅れが生じてしまうのだ。
 また、手首から先は、掌と指が柄をしっかと握りこんだまま、手の甲が腕に触れるほどに曲がり反り返り、
いくら力を入れて戻そうとしても戻らない。人の痛覚を模した信号が内部回路を走り、リルルは不快をもよおす。
顔が勝手にしかめっつらを作る。
 神につくられた理想生命であるロボット、すなわち高等な存在である自分が、任務のためとはいえ
人間という下等で不便な生物の皮をまとわされていることへの嫌悪を今更ながらに覚える。

 未知の力を見せ付けられ、左腕を故障しても、まだリルルはあきらめなかった。
 長曾禰虎徹をひん曲がった左手からもぎ離し、ククリを後方にかばい隠しながら
空いた右手で傍らに転がっていたBARを抱え上げる。
 大胆に太腿をひらき、脚ではさむようにして銃身を固定。ネスに向けて構え撃つ。
 銃弾は、ネスの発生させた光のシールドに阻まれて届かなかった。
 すべて脇に反れ、ネスの足元の地面に穴を穿つ。
 たまらずリルルは叫ぶ。
「それは何! あなた人間じゃないの!?」
 ネスも叫びかえす。
「キミは誰! ギーグの手下じゃないの!?」
 弾は、あっという間に底をついてしまった。
 リルルは癇癪を起こし、BARを地面に叩きつける。

 リルル自身、たいした戦闘能力を与えられているわけでもない。
 未知のスペックを有する人間を前に、リルルは己の不利を悟った。
137迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:52:25 ID:KPomWAzf
 リルルはククリを抱えなおしながら、様子を確認する。
 彼女には、幸いダメージはなかったようだ。
 気絶したままぐったりと目を閉じて、リルルの窮状に気づいたようすもない。よかった。

 リルルは右腕にククリを軽々と抱え、壊れかけた左腕にエネルギーを溜めていく。
「わたしには、使命があるの。だから――――」
 伝達のタイムラグに加え、射出部分の指部に故障があるため、過剰なエネルギーだけが左手内部に集中している。
少女を模したちいさな指先が熱を帯びる。爪が白くなり、よじくれてぱちんと罅割れた。人工皮膚が爛れて剥ける。
人の皮を失って現れるのは、生々しいメタルの光沢だ。
「――――今は、さよなら」
 リルルは、自分の左手首を右手で握りしめ――力任せに引きちぎった。
 骨肉のかわりに詰まった機械構造の隙間から、血管に似た数本のコードがスパゲッティのようにずるるると伸びる。
火花が散る。
 そのまま、渾身の力で、ちぎり取った自分の左手をネスの顔面めがけて投げつけた。
「――!」
 リルルの常軌を逸した行動にネスはやや怯み、回避が遅れた。
 その顔に高熱をまとった掌が触れるかという寸前――

 スパーク。

 過剰なエネルギーを溜め込んだ左手首は、ネスの目の前で極小規模ながらも
強烈な白熱光を発し、爆ぜた。
 もげかけていたリルルの指がぱらぱらと吹っ飛び、ネスの頬をかすめていった。

 ・
 ・
 ・

 まだチカチカする目を瞬き、ネスは周囲を見回す。
 そこに残っているのは、ぽつりと地面に落ちた、指のもげた小さな掌のみ。
 ネスがリルルにしたのと同じ方法で意趣返しを食らってしまったが、ネスは幸いなことに
「なみだ」にも「しびれ」にもなっていなかった。
 光の目くらましで怯まされたのはそんなに長い間ではない。
 まだ、そう遠くには逃げていないはず。

 ネスは消えてしまったリルルを追って駆け出す。
 頬で風を切ると、リルルの残していった火傷がちりちりと痛んだ。
138迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:54:09 ID:KPomWAzf

 +++


(……近づいてきた。もう少しでこっちに降りてくる)
 リディアは、こちらに降りてくる麦わら帽の少年を視認し、狙いをつける。


 リディアは、先程まで学校に向かっていた。学校に行くつもりだった。
 しかし、学校の敷地内に侵入しかけた所で、学校に入れない理由ができてしまった。

――――「うる『ガガッ、ピー』もう」
――――「ごめんなゴフッ!?」
――――「キミはもういらないから『ピー、ガガガ』」

 ……………………。

 目の前で、半人半機のモンスターが男の子を襲って殺すのを見てしまったのだ。
 拡声器による音の実況つきで。
 他にも、その場にはたくさんの人間がいた。
 歳はリディアとそう変わらないが、戦い慣れていそうな子がたくさん。
 どうしたらいいかと考えあぐね、状況を見守ろうとしていた時にお堀の向こうの城で起こった爆発。
 程無くして、一人の子が城の窓から飛び出してきた。
 おそらく、爆発に驚いて逃げ出してきたのだろう。
 ……こっちなら。
 リディアは学校の裏校庭に集っている参加者達からそっと離れ、
一人でこちらに降りてくる麦わらの少年のほうに近づいた。
 見た感じ、そんなに強そうにも見えない。
 リディアと同じ、ただの子供に見えた。
 一緒にいる剣のモンスターが少し怖いけど、こちらには魔法がある。
 こちらが慎重に確実に対応すれば、十分に仕留められる、あるいは仕留められなくても
やられることはないと思われる相手だった。
 なにより、複数対一人より、一人対一人のほうが容易である。
 まずは少しでも経験を積んで、強くならなきゃ。こんな弱いままじゃ生き残れない。
 そのひそやかな焦燥が、リディアを突き動かした。

 リディアは詠唱を終え、いつでも撃てるよう魔力を溜めたまま、徐々に降りて近づいてくる少年を
木陰で息を殺して凝視する。


 相手は上空にいる。
 周囲は身を隠せる木も疎らで、迂闊にリディアが動けば気づかれてしまう。
 相手が降りてきて、油断したままこちらの射程圏内に入るのを待つしかない。
 まだ。まだ、遠すぎる。
 確実にやらなきゃ。
 不意の一発で仕留める。
 暗い決意を宿し、リディアはひたすらに魔力を練り続ける。

139迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:55:56 ID:KPomWAzf

 +++


 シルフェのフードが起こす風に麦わら帽子が飛ばないよう押さえながら、
イエローは地面から数十センチに近づいたところでダイレクから飛び降りた。
 何歩かたたらを踏むも、なんとか転ぶことなく着地。
「ダイレク、ありがとう……ん?」
 ダイレクを労いながら、何かふんにゃりしたものを踏んでいるのに気づく。
 足を除けて確かめてみると、それは濡れた衣服だった。
 広げてみると、濃色のタンクトップとチェックのミニスカートである。
 捨てられていたもののようだし、ちょうど服を置いてきて困っていた所だから、
せっかくだしこれを乾かして着ようか。
 そう思って衣服をぴんと張り伸ばして陽にかざし当ててみるが、ふとおかしな点に気付いた。
 生地の濃い色と柄にまぎれて最初は気付かなかったが、ちょうど前面にあたる部分に広い染みがついているのである。
「……なんだろう?」
 水に揉まれ洗い流されてだいぶ落ちてはいるが、それでもなおくっきりと跡の残る、
赤みを帯びた褐色にふちどられた巨大な染み。
 顔を近づけて匂いをかいでみるが、長時間水に浸されていたせいで匂いの特徴もほとんど感じ取れない。
「うーん……」
 もう少し年の行った少女なら、月毎に見慣れた色としてその染みの正体を推測できたかもしれないが、
「……カレーかシチューでもこぼしたのかなあ?」
 イエローの経験の範囲では、のんきな想像しか出てこなかった。

 湿った服をきつく絞ってから、ダイレクと一緒にランドセルにしまい、イエローは歩き出した。
 しかし、文字通り後ろ髪を引かれるような思いがして、イエローの歩みは早くはない。
 背後に聳え立つ城を振り返りかけて止め、また数歩ごとに振り返りそうになっては……を繰り返し、
イエローは頬を両手で挟むように叩いて気を入れなおした。
 自分のすべきことは多い。
 自分と同じくここのどこかにいるらしい、レッドやグリーン、ブルーと合流すること。
 丈の友人――太一、光子郎、ミミ――に、かれの伝言を伝えること。
 そして、丈が遺し、ベルカナが託してくれた首輪を調べ、これを外す方法を導き出すことのできる人間を探すこと。
 そして、今しがた学校のほうから聞こえてきた「放送」。
 危険かもしれないが、行くべきだと思った。
 自分のすべきことを確認し、イエローの足は早さを取り戻していく。
140迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:57:06 ID:KPomWAzf
 疎らに木の生える草原を歩き通し、やがて学校の背面に聳える壁が見えてきた。
 ふと、背中のランドセルがガタガタと小さく揺れる。
(……ダイレク?)
 背負った革鞄を顧みようとして、イエローは足を止めた。

「――――ブリザドッ!!」

 足元に冷気が着弾する。
「つあっ!?」
 片方の足を地面に固め付けられ、狼狽すると同時にイエローは周囲を警戒する。
 周囲は生えている木も疎らな平原。隠れる所があるとすれば――
 頭上から打ち下ろされるような電撃に、全身に衝撃が走り思考を中断される。
 威力はそう強くなく、なんとか立ったまま踏みとどまることができた。
 (”れいとうビーム”と”でんきショック”? でも、ポケモンもトレーナーも見当たらない……!)
 敵の正体を突き止めようと頭をめぐらせるが、その間にも冷気や雷が容赦なく降り注いでくる。
 最初のほうの不意打ち以外はシルフェのフードで風を起こし、微妙に緩衝して直撃こそ避けていたものの、
片足を氷漬けにされていて、逃げることも逆に攻撃を仕掛けて相手を確かめることもかなわない。

 このままじゃ、やられる。
 仕方なく、イエローは背に負っていたランドセルを肩から脇に振り落とし、
「――ダイレク!」
 ぱかりと開いたランドセルの口から図太い剣が飛び出し、イエローを守るように侍る。
 新たに飛んできた飛んできた弱威力の魔法を斬り払い、ついでにイエローの片足を束縛していた氷も地面の土ごと砕く。

 それを見て取ったのか、近くの木の陰で動きがあった。
 緑の衣をまとった少女が、一目散に駆けて逃げだそうとする。

「待って!」
 シルフェのフードの起こした風にのって大きく跳躍し、少女の前に回りこんだ。
 少女は怯えて後ずさろうとする。
「こ、こないで!」
「落ち着いて……ボクは、殺し合いなんかしない」
 イエローの目は、あるものに釘付けになっていた。
 緑髪の少女の頭に被られている、その帽子。
 まぎれもなく、イエローがよく知っている人物――今、いちばん会いたいひとのものであった。
「その帽子、どうしたの?」
「…………」
 リディアはレッドの帽子を押さえてうつむいたまま、答えようとしない。
「君、もしかして」
141迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:58:13 ID:KPomWAzf
 レッドさんと会ったの? と続けようとして、腹部に衝撃が炸裂した。
 思わず体を折りかけ、頭上から震える声を聞いた。
「もう、いや……」
「ま……待って。ボクは殺し合いなんかしない! 話を聞い……」
「嫌!」
 顔面を打った柄の一撃が、イエローの言葉を叩き潰す。
「――もう、誰も信じないんだから!」

「ダイレク……!」
 少女を牽制し、自棄になったような攻撃をやめさせようとイエローは命令する。
 ダイレクが盾のごとく侍り、虫捕りアミの柄を受け止める。
 リディアは剣の凶悪な貌に一瞬ひるむものの、対処は早かった。
「ホールド!」
 行動束縛の魔法を受け、浮遊力を失ったダイレクが、地面に落ちて突き刺さった。
 詠唱時間が短くて済むホールドでダイレクを足止めしている間に、
リディアは持っている虫捕りアミの柄でイエローに殴りかかる。
「うわっ!」
 とっさにシルフェのフードで風を起こし、攻撃の軌道をそらして打撃を免れる。
 リディアはなぜか打撃が脇へとそらされることを訝しみ――
イエローの羽織っているフードから魔力を感知して、手を伸ばす。
「このマントのせい!?」
 リディアはシルフェのフードの裾をむんずと掴み、力任せに引っぺがそうとする。
 唯一の防御装備を奪われまいと、あと羞恥心で、イエローも脱がされまいと必死に抵抗する。
「――えいっ!」
 揉み合いの末、リディアはフードの下に直に手を突っ込み、外と内から引っ張り上げて一気に引っ剥いだ。
 シーツ一枚きりを巻きつけた素肌が、無防備に白日の下に晒される。
 イエローが手を伸ばして取り返そうとするよりもはやく、リディアはそれを肩越し後方に投げ捨てて踏んづけた。
142迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/06(金) 23:59:21 ID:KPomWAzf
「サンダー!」
 シルフェのフードを剥ぎ取るや否や、リディアは至近距離から魔法をぶつける。
 これだけ近い位置だと、魔法で殴っていると言ったほうが適切かもしれない。
「サンダー!」
 自分の弱い威力の魔法では、一回では仕留められない。
「サンダー!」
 できるだけ近い位置から、急所を狙って叩き込み続けなければ効かない。
「サンダー!」
 反撃の機会を与えれば、それがリディアの負け、ひいては死を決定づけるのだから。

 柔肌を隠すシーツが焦げ、破れ、襤褸切れと化してゆく。
 もちろん、その下のイエローの身体も無事ではない。
 なんとか立ってはいるものの、それがやっとという様子のイエローを見て、
リディアは魔力節約のために虫捕りアミに持ち変える。
 逆手に握り、柄の方でイエローを乱打する。
 リディアは息を切らしながら、ひたすらに叩きこむ。
 相手に反撃の力がなくなるまで、戦闘不能になるまで、気を抜けなかった。
 嗜虐のよろこびもない。リディアは本当に必死だった。
 必死にならなければ大事なものが喪われ、自分が殺されると、ただそれだけを知っていた。

 女の子どうしでケンカをすると、たいてい血をみることになる。
 ケンカ慣れしていないと、加減がわからないのだ。

 青痣赤痣がまだらに肌を彩り、裂けた皮膚から血が伝う。
 イエローは頭をかばって体を丸めるのが精一杯だった。
 痛いが、しょせん幼女の腕力だった。要所さえかばっていれば致命傷になりはしない。
 イエローはじっと耐え、ダイレクの硬直が解けるのを祈るような思いで待つ。
 リディアは、腕が疲れてくるのに耐え、息を切らし顔を真っ赤にして、虫捕りアミを振るい続ける。
 ただ、必死だった。剣のモンスターにかけたホールドが解けてしまう前に、
相手を倒してしまおうと懸命になっていた。
 要は、イエローを自分の力でぶちのめし、戦闘不能にできればよいとリディアは考えていた。
 経験を得るすべは、なにも相手を殺すことに限られなかった。

 リディアは、風切り音を聞いた。
 ホールドの解けたダイレクが、リディアに迫ってきている。
 慌てて詠唱をつむぐ。
「ホールドッ!」
 その隙に、イエローは尻餅をつくように胴体を直下に落とした。
 力尽き、ただ尻餅をついたのではなかった。その勢いをもって後転するためであった。
麦わら帽子が地についた頭の下でひしゃげ、脱げる。
 満身創痍で手足の動きもままならぬイエローは、重力を最大限に利用して、腰と背面の筋力を使っていた。
 弾みをつける二の蹴り脚はリディアの下腹に食い込み、たたらを踏ませて後方に転ばせた。
 再び動きを封じられ地に突き刺さったままのダイレクを傍らに、二人の距離がやや開く。
 体を起こしたイエローのむき出しの肩に、ポニーテールの房がぱらりと落ちた。
143迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:00:25 ID:nD1uoYGv
 イエローは口中に広がる血の味に咳き込みながら、リディアに向けて叫んだ。
「教えて! 君、レッドさんに会ったの!?」
 柄を構えたまま、リディアがつぶやく。
「――――死んじゃった……」
「え……」
 レッドの帽子をぎゅっと被りなおし、リディアは吐き捨てた。
「……あたしが殺した!」
 自分が勇気を出せなかったから、そのせいであの人を死なせてしまった。
 レッドは、自分のせいで死んでしまった――その苦い思いのこもった叫びだった。
「…………え」
 しかし、イエローにそんなリディアの想いを知るすべはなく。
 言葉は、いたって額面どおりに受け止められた。
 すなわち、「リディアがレッドを殺した」のだと。いちばん単純な意味で。
「それ、どういう……」
 リディアは、再び詠唱をはじめる。
 魔力も底をつきかけている。やるなら早く倒さなきゃ。
 でないと、殺されてしまう。そんなのは嫌!
「……キミが、レッドさんを、殺した?」
「そうよ!」
 相手の言葉もろくに聞かずに返事をし、リディアは詠唱を終えて両手を突き出す。
 イエローの脳裏に、丈の死に際の姿がよぎる。
 レッドも、あんなふうに苦しんで殺されていったのだろうか。
 そう思った瞬間、イエローは激昂していた。
 ダイレクのホールドが解けるのも同時だった。
「―――――よくも、レッドさんを!!!」
 イエローの怒りに呼応するように、背後の森が激しくざわめいた。
 解き放たれたダイレクが唸りを上げてリディアに襲い掛かる。
「こ、こないで!」
 リディアはイエローにぶつけるつもりだった氷の魔法を、迫る大剣にとっさに向け、
イエロー同様ダイレクの動きを封じてしまおうとする。
「ダイレク、”つるぎのまい”!」
 イエローの指示に応え、ダイレクはつるぎのまい――キルシュレッドを発動する。
 ダイレクは地面を擦って助動をつけ、リディア目掛けて飛びながら回転しその勢いで弱い氷の魔法を払散した。
 冷気と霜をまとわりつかせた刃はそのまま、猛然とリディアに襲い掛かり、突き飛ばした。
144迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:01:53 ID:nD1uoYGv

 ++

 女の子どうしでケンカをすると、たいてい血をみることになる。
 ケンカ慣れしていないと、加減がわからないのだ。

 イエローは戦士ではなかった。イエローのパートナーは剣ではなく、ポケモンたちだった。
 どこまでいっても、どんな相手と対峙していたとしても、イエローは単なる平和主義のポケモントレーナーでしかなかったのだ。
 もし、ダイレクがポケモンであったなら、イエローの一時の意思や命令に関係なく、その底にあるものをきちんと汲んで
「命を奪わず、戦闘不能にする程度」に留めてくれたであろう。
 しかし、ダイレクはポケモンではなかった。武器であった。
 間違ったことをいちいち咎めてくれる、「友達」ではなかった。
 どこまでいっても、どんな使い手が持ったとしても、それは単なる血塗られた凶器でしかなかったのだ。
 剣を握ったことのないものが、剣を信頼するのは危険だった。
 人を殺せないものが、人を殺すことのできる武器を手にするのは、どんな時でも間違いのもとだった。

 女の子どうしでケンカをすると、たいてい血をみることになる。
 ケンカ慣れしていないと、加減がわからないのだ。




 ダイレクはただ突き飛ばしたのではなかった。
 ダイレクは凶悪な刃で、リディアの幼い体を容赦なく咬んでいた。

 致命傷を刻んでいた。


145迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:02:42 ID:nD1uoYGv

 ++

 目の前に散る鮮血のしぶき。
 イエローは、ダイレクの思わぬ凶行に目をみひらく。
「……や……、」
 痙攣し血を溢れさせるリディアの体を、無骨な肉厚の段平がめりめりと断ち割ってゆく。
 イエローは、真っ白な頭のまま喉を震わせ叫んだ。
「やめろぉ―――――――――っ!!!!!」

 ダイレクは、素直にやめた。
 裂けかけたリディアの体が、解放されて地面に転がる。
「あ……」
 イエロー自身でさえ、目の前の結果が信じられず、ダイレクとリディアを交互に見るしかできない。
「ダイレク……、」
 ダイレクに何かを言おうとしたが、リディアの血をぽたぽたと垂らしている刀身を見て、
なにも言えなくなってしまった。
 イエローはぎこちない足取りで、自らの体から流れ出た血の海で転げまわり痙攣しているリディアに近づく。
 ……手当てをすれば、まだ、間に合うかもしれない。
 犯してしまった罪にも、取り返しがつくかもしれない。

 だが、遠くから聞こえてきた誰かの足音がイエローの足を止める。
 反射的に振り向いたイエローの視線の先にまず見えたのは、三文字。

 『こ』
    『ろ』
     『す』

「…………!!」
 イエローは、怯んで立ちすくむ。

「ころす」の札を掲げた少年が走ってくる。
 さらに遠目に分かるのはその札と、赤い帽子に短い黒髪という特徴。
 それは、奇しくもレッドと同じ特徴で。
 服装にまで目が行かず、イエローはこちらに駆けてくるのがレッドであるかのように錯覚した。
 自分が犯した罪を、レッドが糾弾しにやってきたのだ。
 なんてことをしたんだ、と。

「あ……、ぁ……」
 混乱を極めた頭では、まともな思考が浮かばなかった。
 レッドの幻影に向き合うのがこわくて、イエローの足は勝手に森のほうへと駆け出していた。
 落ちていたフードを柄に引っ掛けて、血染めのダイレクがイエローの後を追ってついていく。

146迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:04:04 ID:nD1uoYGv

 +++


 森の中を走り続けて、どれほど時間が経ったろう。
 リルルは、あるものを見つけて立ち止まった。立ち止まらずにはいられなかった。

(……サトシくん?)

 地面に横たわる人間の死体。それが、自分がここに来てはじめて出会い、一時を過ごした少年と非常に似通っていて、
リルルは思わず傍らにしゃがみこんで死体のなりを検分した。

 違った。
 外見的な特徴は本当によく似ているが、こちらのほうが幾らか大人に近いようだ。
(サトシくんのキョウダイなのかしら)
 サトシほどの類似ではないが、ネスにも部分的な特徴は近いものがある。
「もしかして、あの男の子と同じ型なのかしら……?」
 それを思いついたとき、リルルはひらめいた。

 人間にはリルルの知らないひみつがあるのを、リルルは先程のネスとの対峙で知った。
 人間社会に潜伏するためにあらかじめ与えられた人間についての知識の中には、あのような不条理な力について
何も触れられていなかった。
 ならば、リルルが自分で調べなければならない。
 調査のために必要なモノが、ちょうどよく目の前に転がっているのは僥倖であった。

 辺りに人気がないのを確認し、リルルはククリを近くの茂みの影に置いて隠した。
 レッドの死体の側に跪き、その身体にまとった服を脱がせて全裸にする。
 ざくろのような穿たれた傷口を見つめ、もうこわれてるのね、と無感動にリルルは確かめる。
 そして長曾禰虎徹を取り出す。


147迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:04:56 ID:nD1uoYGv

 +++


 森の中を走り続けて、どれほど時間が経ったろう。
 城から離れなければならない、さっきの子の所に戻らなければならない、ベルカナの所に戻りたい、
誰か知っている人に会いたい、錯綜する気持ちが心を足を迷走させる。
 日は照っているのに、さむけを感じる。頭が重く、熱い。発熱しているのだろうか。
 胴震いし、立ち止まった。
 汗がたくさん流れ、肌を濡らしていた。体中の傷が、熱を伴いずきずきと痛む。
 のろのろと歩き出す。立ち止まっていると、やがてはその場にうずくまって動けなくなってしまう、
そんなおそれがあった。
 どっちに行けば、さっきの子のところに戻れるのだろう。
 木々が高く茂り、少し前までいたはずの城の影すら見えなかった。
 森の中で完全に方向を失い、イエローはさまよい歩く。

 視界が少し開ける。
 そして、逢いたい人を、ようやく見つけた。


 死体で。


148迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:07:41 ID:nD1uoYGv

+++


 野放図な金蝿の飛行音が、耳の奥にまとわりつく。

「何、してるの……!」
 悲鳴をあげたつもりだったのに、力がはいらなくて、泣き声のようにしかならなかった。
「……!」
 背骨の浮く白い背中に桃色の髪を垂らした少女が、はっとして振り向く。
 人の少女を模した裸身は、血とその他の体液で汚らしく濡れていた。
「レッドさんに、何、してるの……」
 もはや、本人と確認できるものは手にはめられている見覚えのあるグローブしかない姿になったレッドを、
イエローは見るしかない。

 レッドだったものは原型を半ば残したまま、食べ残しの焼き魚のように骨を覗かせ五臓六腑をくつろげて、そこに在る。
 頭の上半分を割られ、疎らに頭髪で縁取られた鉢の皿に載せられたほぐれた脳肉がまとめ盛られている。
 胴体は縦に切線をいれられ、左右に拡げられて潰れた巨大な海星のような傷口を晒している。
鳥籠のように並んだ肋骨の中に、くすんだ色合いの、とりどりの中身が詰まっているのが見える。
 汚いとか、気持ち悪いとは不思議と思わなかった。
 ただ、最低なのは、場にたちこめる悪臭だった。
 露出した腸から湯気とともに立ち昇る汚物の臭いと血のねばつくようなむっとする臭いが混じり合って、
強烈な臭気が森の澄んだ空気を濁らせていた。
 だから蝿が乱れ飛んでいるのだ。
 この場に立っているだけで頬や手足に時折大きめの蝿が当たり、むず痒い感覚を残していく。
 口の中を危ない唾がせりあがって充たし、嘔吐衝動がつきあげる。
 レッドは、イエローの憧れの人であった。なにか数段高い所にいる、特別な存在だった。
 その人の死体がこんなにひどい臭いをさせていることが、悲しかった。


 血染めのダイレクと共に現れたイエローを見て、リルルは長曾禰虎徹を握ったままつんのめるように体を起こす。
 その右手に握られた、レッドの身体を切り刻んだ刀は体液と脂でぬめって曇り、
もはや斬れ味のようなものは残っていないのは一目瞭然だった。
 イエローに侍る巨大なダイレクと比べて、損傷を負ったロボット一体と、貧相な刀一本。
 状況を判断し、逃げようと慌てて踏み出すリルルを牽制するように、ダイレクが回り込んで退路を塞ぐ。
 狼狽し、警戒するリルルに、イエローは幽鬼のような足取りで一歩一歩近づく。

149迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:08:47 ID:nD1uoYGv

 +++


 ……頭が、ひどく痛む。

 前にレッドさんを見たのはいつだろう。
 いっしょに話したのはいつだったろう。
 ボクは帽子の中身のこと、ちゃんと言ったっけ?

 目の前には、レッドがいる。
 そこにはもう何の面影もない。ただの解剖途中の死体であった。
 なのにそれはレッドだった。
 唯一生前の姿を残していた手にはめられているグローブが、それを教えていた。

 ……頭が、痛い。

 イエローの背後には、ダイレクが控えている。
 人を殺せる、紛うことなき凶器がすぐ側にある。
 目の前には、レッドを命絶えたのちも辱めていた相手がいる。

 レッドより大事な人なんて、イエローにはいなかった。
 レッドは、イエローの憧れの人だった。
 強くて、優しくて、ポケモン達にも好かれていた。
 こんな見知らぬ女の子に、こんな所で、こんな無残に殺されていい人間ではなかった。

 ダイレクは、その分厚い刀身をぶん回して空を切り、リルルに襲い掛かる。
 イエローの心に従い、ダイレクの重い刃は少女の細い首をたやすく刈り取る。


 +++
150迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:11:16 ID:nD1uoYGv

 できるわけがなかった。
 ダイレクはイエローの意思をすなおに映して、ただふわふわと浮いて動きもしない。

 泣きたかった。
 激情を行動にできないのは弱さだった。
 復讐を行動に移せないのは無力だった。

 後先を忘れ、激情のおもむくまま、リルルを傷つけてしまえばよかったのである。
 勿論、そうしてレッドが生き返るわけはない。やってしまえば虚しさが残るだけだ。
 しかし、少なくとも足は動くようになるだろう。心は力を取り戻すだろう。
 もう一度手を血に汚してしまえば、「あともどりができない」という意味で、
少なくともイエローの進む道は明確に定まり、もう迷うことも、さまざまな理不尽に苦しむこともなくなるだろう。
 しかし、できるわけがなかった。
 できるわけがないのがイエローだった。


 リルルは、イエローが攻撃してくるようすがないのを見て訝しむ。
 警戒しながら、そっと声をかけてみる。
「あなた、どうして泣くの?」
「……」
 イエローは、悲しみに顔を歪めるでもなく、小さくうつむいてはらはらと涙をこぼし続けている。
 リルルはその表情をロボットらしい遠慮のなさで覗きこみ、
人間が何ごとかを閃いた瞬間によくそうする仕草を真似て目をしばたかせた。
 リルルはこの表情を見たことがある。
 そうだ、確かにメモリーに残っている。
 あの、最期の一瞬前の表情。
 リルルを殺そうとして、でもできなかった少年の浮かべた、あの表情。
 あのとき、サトシは確かこう言った。

「”こころが、いたくなった”の?」
 リルルの言葉に、イエローはうなずいた。
 頬を伝う涙を掌でぬぐって、まだ涙を流し続ける。
「どうして、こころがいたくなるの?」
「……しなせるつもりじゃなかったのに……」
「?」
「そんなつもりじゃなかったのに、」
 そんなつもりじゃなかった。
 そう呟いて涙をこぼしていること、それこそが偽善性だった。
 ベルカナを守るため、葵と対峙した時との違いはひとつ。
 イエローは、「レッドを殺した」という言葉をリディアから聞かされたとき……
怒りではなく、明確な殺意をリディアに対しておぼえてしまったのだ。
 言い訳は、なにより自分自身に対してきかなかった。
 こらえきれない嗚咽が漏れた。
 自分だって、ワタルと変わらなかったんだ。
 自分の勝手な想いを理由に、ダイレクを人殺しの道具に使ってしまった。
151迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:15:11 ID:nD1uoYGv

「そんなつもりじゃないのに、誰かを死なせたの」
 イエローはうなずいた。
 リルルの無機質な口調はどこか怖かったが、感情が込められていない分、すなおに耳を傾けていられた。
「そう」
 リルルは、動揺も見せない。
「人って、理屈にあわないことをするんでしょう。そうするつもりじゃないのに、してしまうこと、あるんでしょう。
それで、”こころがいたくなって”、かなしくなったの?」
 リルルは、ごくなにげなく、ここに来て学習したことを喋ってみる。
 背後の事情はよくわからないので、与えられた情報から文脈を推測して言葉を選んでみた。
そうしたら、よく意味のわからない文章になってしまった。
「……」
 イエローは黙りこくる。
 リルルは、自分が文脈推測を誤ったのかと首をかしげる。
「……私、なにか間違ったことを言った?」
 少し自信なさげに問う。
「……ううん。…………キミの言うことで、あってる」
 少し間をおいて、小さな声で答えが返ってきた。
 リルルは意思疎通が成功したことに小さなよろこびを覚える。
 背後をちらりと見やる。
 ぎろりと睨み返されたが、剣はリルルを攻撃してくるそぶりはない。
 相手は、どうやらリルルの敵ではないようだった。
 それを踏まえて安心し、リルルはさらに深く踏み込んでみる。
「あなたは、どうしてこころがいたくなるの?」
「……人を傷つけるのは、なにがあってもいけないことなんだ……。やっちゃいけないことを、ボクはしたんだ。
 ……だから、こころが、いたくて……」
イエローの頬を、新たな涙が伝う。
リルルはそれを凝視する。その水滴の奥にある、リルルの知らないものを知ろうとする。
「そうするつもりでなくたって、そうするつもりだったって、誰かを殺すのは、よくないことなんだ。
 ……ボクは……」
 リルルは、核心に踏み込む。
「仲間を大事にするのは人間も同じ。それくらい、私だってわかる。
 私が知りたいのは、別のこと。
 ――――相手がロボットだったとしても、人間は傷つけたり、殺してはいけないと思うの?」
「ロボット……?」
「私はロボットなのよ。人間とちがう生き物なの」
イエローの目の前に、リルルはあえて左手首断面の露出した機械を見せた。
「……あなたは、ロボットを傷つけたり、こわしたりすることにも心が痛むの?」
イエローは、自分のポケモンたちのことを想った。
人間と違う、ふしぎないきものたち。
――首を縦に振っていた。
「あたりまえだよ! どんな相手だって……傷つけるのは、殺すのは、よくないことなんだ!」
殺してしまった少女の姿が蘇る。新たに涙もあふれた。
自身の発した言葉で心を苛み、その痛みに涙を流すことでしか、イエローの壊れそうになった心は癒されない。
だが、次のリルルの言葉で、そんなささやかな自慰にひたっていた心も吹き飛ばされる。
152迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:18:53 ID:nD1uoYGv
「どうして、殺すのがよくないことなの?」
 あまりにも当たり前のことを聞かれ、慟哭も忘れてイエローは絶句する。
「わたし、ここに来てひとり死なせたわ。あなたと同じで、そうするつもりでないのに、こわしてしまった。
 でも、なにかそれだといけないことがあったかしら? わたし、同胞のロボットをこわすのはよくないことだとわかってる。
 でも、人間を殺すことがわるいとは思えない」
 イエローは涙をぬぐわないまま、リルルを見つめた。
「キミは……悲しいって気持ちがわかるなら、どうして人を傷つけるの?」
「だって、あなたとわたしは違うじゃない。わたしはロボットで、あなたは人間。
 ロボットどうしで差別するのはよくないことだけれど、人間とロボットなら差別しなきゃおかしいでしょ?
 ロボットは万物の長で、人間はロボットの道具。人間がロボットをこわすのは残虐で野蛮で絶対に許せないことだけど、
ロボットが人間をこわすのは別に悪いことじゃないもの」
 イエローの瞳が、思いがけないことばを聞いて動揺したように揺れる。
「……キミには、他の人を思いやる心がないの……?」
 リルルの瞳が、思いがけないことばを聞いて動揺したように揺れる。
「……他人を、思いやるこころ……?」

 イエローは、足元に『広がる』レッドを見おろした。
「……キミやボクが悲しいと思ったり、痛いと思ったりするのと同じように、
他の人も痛いと思ったり、悲しいって思ったりするんだ。だから、誰かを傷つけたり、悲しませちゃいけないんだよ……」
 リルルは無言でイエローの言葉に耳を傾ける。
 イエローと対話しながらリルルは外面的には無表情だったが、その内部ではめまぐるしい情報の処理が行われていた。
「人間でも、ポケモンでも、ロボットでも……きっと誰にだって、その人を大切に思うひとがいるんだ。
 もし、怪我をして痛い思いをしてたら心配するし……死んでしまったら、すごく悲しい……」
 リルルはイエローをまねて、解体途中の傍らの死体を横目で見遣る。
「これは、あなたの大切なひとだったの?」
 指差すリルルに、イエローは大きくうなずいた。
「レッドさんは、ボクの、大事な人だったんだ。なのに……なのに、なんで……なんで、こんなことするの……」
 頭がぐちゃぐちゃして、言葉もぐちゃぐちゃになる。
 悲しいのか、怒りたいのか、謝りたいのか、自分でも選べないまま、イエローは胸にふつふつと浮いてくる
感情の迸りをそのまま言葉にして出だす。
 リルルは再び背後のダイレクに警戒しながらも、イエローに逆に問いかける。
「どうして? 痛みを感じるわけでもないでしょう? こわれてしまったら、それはただのモノだわ。
 それは、ロボットも人間も同じじゃない。こわれたあとのモノは解体され、分析されて、データを残し、誰かの役に立つモノよ。
 自分がこわれてしまった後でも誰かの役にたてること、いいことでしょう? どうして人間はいやがるの?」
「……死んじゃったら、人もなにもかも、モノと変わらないのかもしれないってのは、ボクだってわからなくないよ……。
 でも、レッドさんは、死んじゃって、もうモノでしかなかったとしても……ボクにとっては、大事なモノなんだ。
 傷つけられるのは嫌なんだ」
 リルルは、あらためてレッドを見た。
 外も中身も確かめてみたけれど、やはりそれは人間でしかなかった。リルルが奴隷と思っている種であった。
 ただ、もしこれがロボットの同胞であったら、やはり悲しいと思ったりするのかしら、と漠然と頭の中でシミュレートしてみた。
 …………リルルの望む結果は出なかった。
「……私には、わからないわ。人間がわからない」
153迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:19:52 ID:nD1uoYGv
「そう。……ボクも、ポケモンのことはよくわかるけどロボットのことはよくわからない。
 でも、知ろうとすることはできる」
 イエローは、手を伸ばしリルルの左腕をとった。
「! さわらないで……」
 リルルはおののいて退こうとするが、背後にダイレクがゆらめているのを思い出し踏みとどまる。
 右手には未だ長曾禰虎徹がある。何かおかしなことをしたら、即座に切りつけるつもりであった。
 だが、かけられたのは思わぬやさしげな言葉だった。
「痛くない?」
 リルルは戸惑いを浮かべながら応える。
「……いたいわ」
 リルルの痛々しくちぎれた手首に手をかざしてみながら、イエローは表情をくもらせる。
「ボクの力は……効かないみたい」
「……なにしてるの」
「え? ……ケガしてるから、手当てを……」
「そうじゃないわ。――どうして、あなたがわたしのケガを心配する必要があるの?」
「それは、……だって……」
 イエローは言いよどむ。
 いつもなら簡単に答えられることなのに、この状況を思うと、なぜかうまく言葉が出てこなかった。
「……そんなの、ボクにもよくわからないよ」
 イエローは手を止めない。
 身にまとったシーツの布を引き裂き、傷口を保護するように何重にも巻きつけ、端を結ぶ。
 リルルは、イエローを見据える。動揺隠しの露骨な軽蔑さえ滲ませて、言う。
「――私、あなたの大事な人を勝手にいじくってこんなふうにしてしまったんでしょう。
あなたおかしいわよ。
もし、私があなたで、あなたが私で、こわれた体を冒涜されたのがメカトピアの同胞だったら、絶対にあなたを許さないわ」
154迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:22:20 ID:nD1uoYGv
 動揺したようにイエローの肩が震える。

 ここは激昂し、リルルを傷つけようとするのがいちばん正しい反応だとリルルは思う。
 なのに、サトシも、目の前の少女も、リルルを殺せなかった。殺そうとはしなかった。
 人間はおかしい。
 なぜ、自分や自分の大切な同胞が傷つけられたというのに、ヒトはその敵を傷つけるのを拒むのか。

 だが、それでも布を巻いたリルルの左手首を両手で包んだまま、イエローはぽつりとつぶやく。
「…………レッドさんも、きっと痛かったと思うから」
「どういう意味? それがどうして私を心配する理由になるの」
「……だって、キミも同じように痛いんだって思ったら、こうせずにはいられないんだ。
 おかしいかもしれないけど、自分でもよくわからないけど、誰かが傷つくのは、なんだって嫌だから……」
 リルルの左手首の断面に巻かれた布に、ぽたりとしずくが落ちる。
「理屈にあわないわ……」
 こんな時どんな顔をすべきなのか、どんな振る舞いをすべきなのかわからなくて、自分でも困ったように
リルルはイエローに握られた左手を引こうとする。
「理屈じゃないよ。……誰かが死ぬのは、誰だって、悲しいよ……」
 きっとあの女の子も、家族や仲間とか、誰かにだいじに思われていただろう。
 そのことを思うと、イエローはつらい。
 声をあげて泣き伏したくなる。
 できるならずっと悲しみと悔悟の情に服していたい。
 丈の遺志とか、ベルカナの信頼とか、何もかもを打ち棄って、涙が涸れるまで、悲しみが薄れるまで、
気が済むまでずっとずっと泣いていたい。
 (でも、きっと、そんなことゆるされないから)
 立ち止まって泣き続けるなんて不謹慎だ。
 悲しくてもう何もしたくないなんて言語道断だ。

 悲しみに淫することはたやすい。
 しかし、イエローにはすべきことがあった。携えた首輪の重みがあった。
 泣いて、自暴自棄になって、立ち止まっている暇はなかった。
155迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:23:20 ID:nD1uoYGv

++



(……相手を思いやるこころ。
 それは、そんなに大事なものなの?
 こころって、何かしら。
 それは、人間にはあって、ロボットにはないものなのかしら)

 リルルは、やはり人間がわからない。
 しかし、今のリルルは、それに強く興味を持つ。わからないことを、知りたいと思う。
 この場に放り込まれてから、いや、もっと前――使命のために地球に赴き、のび太という少年と触れてから、
あきらかにリルルは変化していた。
 ロボットの論理が支配する社会から隔離され、自分ひとりで考え情報を取捨選択し動かねばならないという状況下におかれて、
リルルは少しずつ自分の頭で考えるようになっていた。
 それは、リルルの存在理由を考えると非常に危険な兆候である。
 ふつうのロボットは人間を知りたがりはしない。ただ、使おうとするだけだ。それが奴隷と主人の正常で健康的な関係である。
 だが、いまのリルルはあきらかに逸脱していた。人間を「知りたい」と思っているのである。


 ダイレクが地面を掘り返している横で、イエローはレッドの死骸の残骸を掻き集めて拾っていた。
 その途中でレッドのグローブに目を留め、冷たくなった手からそっと抜き取って懐におし抱く。
 ここから、絶対に生きて帰ろう。
 せめてこの形見とともに、一緒にマサラに帰ろう。
「……?」
 頭上に影を感じ、振り仰ぐとリルルがのぞきこんでいた。
「……手伝うわ」
「……どうして?」
 戸惑いを見せるイエローに、隣にしゃがみこみながら無表情に答える。
「そんなの、私にもわからないわ」


 イエローとリルルは、二人でレッドの死体の残骸を埋葬した。



156迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:24:24 ID:nD1uoYGv
【D-3/森/1日目/真昼】

【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全身に擦り傷と打撲(行動にやや支障)、シーツ一枚きりを纏ったほとんど半裸姿、深い悲しみ、精神不安定
[装備]:魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー、レッドのグローブ、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:シルフェのフード@ベルセルク、スケッチブック、基本支給品、首輪@城戸丈、リルルの服
[思考]:…………。
第一行動方針:レッドを埋葬したあと、リディアを埋葬しにさっきの場所に戻る
第二行動方針:グリーンやブルーと合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:絶対にゲームに乗らない。生きてマサラに帰る。
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:魔剣ダイレクのソードエレメンタル系は魔力を必要とするため使用不可



【リルル@ドラえもん】
[状態]:左手溶解、故障有(一応動くが、やや支障あり)、体にレッドの体液が付着、人間への強い興味
[装備]:長曾禰虎徹@るろうに剣心
     (※レッドの体液でべっとりと汚れ、切れ味がほとんどなくなっている)
[道具]:基本支給品×2、命の水(アクア・ウイタエ)一人分@からくりサーカス
   さくらの杖@カードキャプターさくら、クロウカード(花、灯、跳)@カードキャプターさくら
[服装]:シーツを体に巻いて要所を隠し、左手にはシーツ裂を巻いて露出した機械部分を隠している
[思考]:なんでこんなことしてるのかしら?
第一行動方針:とりあえず、イエローを手伝う。
第二行動方針:ネスを追い、その記憶を消去する。一人では敵わないので、協力者が欲しい
第三行動方針:強い参加者のいる可能性を考え、より慎重に行動する。
第四行動方針:兵団との連絡手段を探す
第五行動方針:自分に危害を加えるおそれのある「ロボット以外の参加者」には容赦しない
第六行動方針:のび太を見つけたら、一緒に行動する(利用する)
基本行動方針:このゲームを脱出し(手段は問わない)、人間についてのデータを集めて帰還する
参戦時期:映画「のび太と鉄人兵団」:中盤
(しずかに匿われ、手当てを受ける前。次元震に巻き込まれた直後からの参戦)
157迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:29:22 ID:nD1uoYGv

 +++


 茂みの影で、ククリは一部始終を聞いていた。
 逃げようかとも思ったのだが、できずにククリは茂みの影で息を殺していた。
 目を覚ましたら、なぜだか涙が出てとまらなくて、視界がほとんどきかなくなっていた。
 ここがさっきと全然違う場所ということしかわからないうえ、目がよく見えないのにひとりであてずっぽうに逃げ出す勇気はなかった。
 向こうから土を掘る音が聞こえる。
 やっぱり、いまのうちに逃げるべきなんだろうか。
 でも、聞こえてきた会話の限りだと、あの女の子がただの怖い悪人じゃないのかもしれないという思いが沸いてきて、ククリを悩ませる。
 自分はどうするべきなのだろう?
 迷って、ククリは空を仰ぐ。
(勇者さま……、いま、どこにいるの……?)



【D-3/森/1日目/真昼】
【ククリ@魔方陣グルグル】
[状態]:「なみだ」(魔力消費と電撃のダメージは、休息(少なくとも二時間以上)により、ほぼ回復)
[装備]:ベホイミの杖@ぱにぽに
[道具]:基本支給品、インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録、目覚まし時計@せんせいのお時間
[服装]:ファンタジーに普通のローブ姿?
[思考]:どうしよう……
第一行動方針:逃げようか逃げまいか迷っている
第二行動方針:できれば、間に合わなくてもゴンくんとフランドールちゃんの所に……
第三行動方針:勇者さまとジュジュちゃんとトマくんを探す。
基本行動方針:勇者さまと合流してジェダを倒す
[備考]:ゴンに対する誤解は解けた。ゴンとフランドールの戦いを自分のせいだと思っている。
[備考]:気絶したまま運ばれていたことにより、地図上の現在位置を知らない(森の中、ということしかわからない)。また、ネスを見ていない。

158迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:30:42 ID:nD1uoYGv

 +++


 ネスは額に脂汗を浮かべ、リディアの傷口にかがんで必死に精神力を集中していた。
「しっかりして!」
 全力でライフアップを使っているはずなのに、これしか回復しないなんてへんだ。
「死にたくない……」
 苦しげな息の下から、緑髪の女の子がかぼそい声をつむぐ。
「死なせないよ。死なないはずなんだ!」
 目の前がクラクラし、手足が氷のように冷たく感じる。PPが底をつきかけている。
 冷静に考えれば、どうみても助からない子に精神力をつぎこんでしまうのはやめるべきだったが、
ネスは意固地になってPSIを使い続けていた。
 ネスを急き立て意地にさせるのは、いまや人命救助の使命感より、自分のPSIに寄せていた信頼が崩されそうな恐怖であった。
 自分には、この子を助けてあげられるチカラがあるはずなのに!!
 殺し合いの遊戯に、癒す力の存在など無粋である。
 誰かの嘲笑が、脳裏に浮かんだ。

 リディアの一度開きかけた目は、また閉じてゆこうとしている。
 ネスの相貌が絶望に彩られてゆくのをみて、リディアは目をそらした。
「もう、いいよ……」
 諦めきったそのつぶやきに、ネスがくやしそうに項垂れる。
「…………ごめん」
「……いいの。あんまり痛くなくなったから、…………ありがとう」
 リディアは、眠たげに目をしばたく。
 目を開けているのが、だんだんつらくなる。
 起きられなくなる前に、言わなくちゃならないことを言うために、リディアは動かしにくい口をがんばって動かす。
「…………ありが、とう。
 もっと、はやく、あなたと会えてたら、よかった。
 ……レッドも、もっとはやく、あな、たとあえてたら……」
 リディアの表情が、やさしくなる。
 避けられぬ死を知り、色んなことを捨てた――解放された表情だった。
 それはとてもかなしい顔で、ネスは胸を衝かれた。
「さいしょから、さんにん、あえたら……こんなふうにならなかったかもしれな、のに、
 …………どうして、……こふ、…………こう、なっちゃったのかな」

「どうしてこうなっちゃったのかな?」
 それは、この場に召喚された子供たちのほとんどが胸に抱かずにはいられないであろう想いであった。
 ネスは唇をかみしめる。

「……白い女の子……」
「え?」
「あたしの大事なひとのカタキ……。おねがい、やっつけて……」
「…………」

 リディアの薄く開かれた目は、もう、現世を見ていなかった。
 頬が笑顔のかたちに弛み、うすく涙が伝う。ネスの手に触れたそのしずくは、まだ温かった。
 リディアは向こう岸の人に向けて、手を伸ばそうとする。

「……おかあさん……」




159迷走(後編) ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:31:17 ID:nD1uoYGv
【E-3/城の外堀を臨む平地/1日目/真昼】
【ネス@MOTHER2】
[状態]:走り続けてやや疲労/PP消耗(大) 、顔に軽い火傷、ホームシックにかかりそう
[装備]:立て札(こ ろす)@一休さん、ウサギずきん@ゼルダの伝説 時のオカリナ
[道具]:ひろしの靴&靴下(各一足)@クレヨンしんちゃん、基本支給品
[服装]:普通の現代服
[思考]:…………。
第一行動方針:リディアの仇(白い女の子)を討つ?
第二行動方針:PPを回復する
第三行動方針:リルルを追う
第四行動方針:役立つものを探す
基本行動方針:ゲームに乗らない
[備考]:「ヒーリング」の威力が大幅に落とされているのを認識しました。


[備考]:リディアの側に、イエローの麦わら帽子が落ちています。
[備考]:US M1918 “BAR”@ブラックラグーン(残弾数0/20)がD-2の森の中に放置されています。リルルが力任せに地面に叩きつけたため、故障が生じている可能性もあります。



【リディア@FFW 死亡】
160迷走 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/07(土) 00:33:28 ID:nD1uoYGv
投下終了しました。
……早速ミスを発見してしまったので、後で修正スレにその部分の修正版を投下しておきます。
orz
161 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 00:36:02 ID:vwfhQgxW
投下乙です。
すごい展開ですね。
イエローとリルルはこれからどこに向かうんだろう。優しいククリはどう動くんだろう。
そして、敵討ちを頼まれたネスは。
うーん、先をどう進めるか、楽しみな状態です。



さて、予約延長を申し出ていた学校組ですが、なんとか投下可能な状態に仕上がりました。
でもこれ、自分的に過去最長……。
5部構成の30レス近く、テキストデータで60kほど……。
おかしいなぁ、こんなに長くなるはずなかったのになぁ。

とりあえず、直後に置くのも悪いので、30分ほど置いてから投下開始したいと思います。
あと、先日お尋ねした「君と共に弾幕を」は、今は修正しない方向で考えています。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 00:56:48 ID:+IoRtQHY
>>160GJ
なんていうか……救われねぇ。
これぞバトロワ。
163 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:02:22 ID:vwfhQgxW
えーっと、では予約延長していた学校組、投下開始します。
たぶんwikiでは一気に入れるの困難なんで、5つに分けた方がいいかもしれません。
では、行きます。
164混沌の学び屋にて(1) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:03:41 ID:vwfhQgxW
【1:ある戦いの終わり】


――キン! キキン! グギギギギッ!
激しい金属音が、断続的に響く。
嫌な音を立てて、標的を捉え損ねた刃が金網を切り裂く。
戦場をミニサッカー場からプールサイドへと移しながら、2人と1人の死闘はなおも続く。

「あはははははッ!」
「くッ……!」
「このぉッ!」

ヘンゼルが笑い、小狼は唇を噛み、リンクが焦りの声を上げる。
2対1。数の上では、小狼とリンクの方が上だし、2人とも素人ではない。勝機は十分にあるはず。
にも関わらず、なかなか追い詰められない――むしろ逆に押されている理由は、それぞれの武器にあった。

ヘンゼルの武器、処刑鎌の武装練金『バルキリースカート』。
それは4本の腕であり、同時に4本の足だった。
時に敵に牙を剥き、時に大地を蹴り。普通の人間には不可能な動きで、挟撃を避けつつ反撃する。
小狼もリンクも、さっきから翻弄されっぱなしだ。

否、戦闘の場がこのプールサイドに移ってから、既に小狼は一撃の有効打を与えている。
武器に差があるなら、その武器を壊せばいい――単純にして明快な作戦。
小狼の武器は、何でも切れるクロウカードの『剣』。バルキリースカートそのものを斬るのも、簡単だった。
だが、問題は――

「……おっと、もうやらせないよ! そっちの手は分かってるからね!」
「ちぃっ!」

問題は、斬り飛ばせたのは4本のアームのうち1本だけで、しかもその時点で狙いがバレてしまったことだ。
小狼の意図が分かっているから、ヘンゼルは小狼の『剣』を『受け止めよう』としない。
3本のアームで大地を蹴り、避けることで対応する。どんな攻撃も、当たらなければどうということはない。

その合間合間に、リンクが釣竿を振るうが……これもまた、ヘンゼルを捕らえられない。
釣竿自体に大した攻撃力は無いが、その糸で絡め取れれば無力化できる。その隙を小狼が突ける。
そう思って、何度も釣竿を振るうのだが――その意図はヘンゼルにも見え見えである。
逆にバルキリースカートで切り払われそうになって、慌てて引っぱり戻すこともしばしばだ。

(適当な符でもあれば、打ち込む隙もつくれるのに……あと1手足りない!)
(こうなったら、あるるかんを……ダメだ、取り出す時に隙ができる、何かで気を惹かないと……!)
165混沌の学び屋にて(1) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:04:46 ID:vwfhQgxW

2人は焦る。
つい先ほど、校舎の方から大きな破壊音が聞こえてきた。
巨大なハンマーで、何かを叩き壊すような音。ガラスが次々と割れる音に、身体の芯に響く振動。
3人が今戦っているプールからは建物が邪魔で見えないが、校舎でも何か事件があったとしか思えない。
小狼とリンク、2人の仲間たちに何かしらの危機が迫っているかもしれないのだ。
2人は焦る。早く確認に行きたくて、焦る。

――そして、そんな隙を見逃すヘンゼルではない。

不意に、バルキリースカートのアームが、地面に落ちていた『何か』を蹴り上げる。
それはつい先ほど小狼の『剣』に叩き斬られたアームの1本。失われた4本目の腕。
空中でそれをキャッチしたヘンゼルは、無造作に、実に無造作にそれを投擲する――リンクに向かって。
回転しながら迫る死神の鎌、反射的に釣竿で打ち払うが、ヤワな釣竿がその衝撃に耐えられるはずもない。
嫌な音を立てて、釣竿がへし折れる。勢いを殺しきれなかった刃が、斜め下方に弾けて彼の太腿を抉る。

「お、おいッ! えーと……!」

小狼は咄嗟に呼びかけようとして、共闘していた相手の仲間すらまだ聞いてなかったことに気付く。
――そして、そんなことを考えている場合ではなかったのだ。
リンクに向けて刃を投げた姿勢のまま、ヘンゼルのもう片方の腕が振るわれる。
風を切って飛んできたのは、血に塗れた包丁。
一瞬の思考のタイムラグが、致命的な動作の遅れに繋がる。
咄嗟の反応で急所への直撃こそ外したが、先の欠けた刃は彼の腹に突き刺さる。

ほぼ同時に、2人はがっくりとその場に膝をつき。
小さな悪魔は一点の曇りも無い笑顔を浮かべ、勇者たちを見下ろした。

「お兄さんたちも、頑張ったね♪ でも、これでもう終わりかな?」

均衡は崩れた。小狼とリンクにとっては最悪の方向に。
相手の武装が接近戦専用だと思い込んだ2人のミス。飛び道具は無いようだ、と安心した油断。
いや、ヘンゼルの素早い、しかし延々と続く単調な攻撃は、その誤解を引き出すためのものだったのか?
そうだとしても、ヘンゼルは理屈で考えて「その策」を導き出したわけでは無いだろう。
裏社会で好き放題に暴れながらも生き延びてみせた、闇の寵児の直感。
壊れ、暗黒に染まることで目覚めた天才、「ヘンゼルとグレーテル」。
1人で2人な双子の暴力は、生半可なマフィアの拠点など一瞬で壊滅させるだけの力がある。
ヘンゼルは、そしてバルキリースカートの3本のアームを振り上げると――!

         *         *         *
166混沌の学び屋にて(1) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:05:32 ID:vwfhQgxW

「申し訳ないけれど……これはチャンスなのかしら〜〜?」

場所を移した激闘を横目に見ながら、金糸雀はそ〜〜っと隠れていた場所から姿を現した。
3人とも攻防に必死で、金糸雀の方を見る余裕はない。
いや、何か状況に変化があったのか? 3人の動きが止まっている。2人ほど膝をついている。
けれど、金糸雀の存在自体に気付いていないことは、変わらない。
プールサイドとミニサッカー場を遮るものは、バルキリースカートに切り裂かれた金網のみ。
あとは更衣室の建物が中途半端な高さでちょっとした影を作ってくれていたが……まあそれはともかく。

「火事場泥棒でも何でも、やったもの勝ちなのかしら♪」

金糸雀はニヤリと笑うと、おそらくは意味が無いであろう匍匐全身をしながら「標的」ににじり寄る。
胸を貫かれ、血溜まりの中に倒れる忍者服の少年、の遺体。
その凄惨な様子に、流石に金糸雀も顔を引き攣らせる。
けれど金糸雀が用があるのは、遺体そのものではない。
彼女が用があるのは、遺体が背負ったままのランドセルの方なのだ。

ローゼンメイデンの第二ドールである金糸雀は、実は戦闘においてはかなりバランスのいい万能型である。
バイオリンから放たれる中・遠距離攻撃。バイオリンの弓を剣代わりにした近接戦闘。
接近戦一本槍の蒼星石や苺轍による捕縛しかない雛苺に比べると、相当に融通が利くタイプと言える。

けれど、そんな彼女にも欠点がある。
それは、得物が無ければほとんど何も出来なくなってしまうこと。
近距離でも中遠距離でも、愛用のバイオリンが無ければ技自体が繰り出せない。
それはおそらく翠星石や蒼星石にも共通する欠点で、彼女だけに限ったことでは無いのだけれど……。

だから。
金糸雀は、『武器』が欲しい、と思った。
それは飛び道具でも、手に持って振るう凶器でも、どちらでもいい。
銃のような近代的兵器でも、魔法の杖のようなファンタジーの産物でも、どちらでもいい。
とにかく、「まともに戦える武器」だ。
「覗き見のできるメガネ」や「相手をくすぐるだけの手袋」ではなく、「まともな攻防のできる武器」だ。
普段は当然のように振るえる力が使えず、代わりになるものもない現状は、不安で仕方ない。
戦うか逃げるか第三の選択肢を考え出すのか、金糸雀の心は未だ定まってはいなかったけれど。
でも何をするにも、最低限、身を守れる程度の武器は要る。
戦う能力が確保されてこそ、あらゆる選択肢は意味を持つ。
だから彼女は、胸に沸き起こる罪悪感を抑えて、乱太郎のランドセルを開けてみる。
死体の顔から目を逸らし、血で身体を汚さないよう注意しながら、中身を検める。
167混沌の学び屋にて(1) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:06:18 ID:vwfhQgxW

「…………はぅぅ。やっぱりついてないのかしら〜〜?」

最初に出てきたのは、酢昆布だった。
酢昆布。文句なしにどこからどう見ても酢昆布。使い道なんて、食べるくらいしか思いつかない。
しかし金糸雀は「誰かの好物か何かで、取引の材料になるかも?!」と考え直し、自分の荷物に仕舞う。
酢昆布を餌に交渉して、交換で武器をゲットする。想像するだけでもマヌケな構図だが、金糸雀は真剣だ。
まさにこの頃、森の向こうではソレを偏愛していた人物が命を落としていたのだが、彼女には知る術もない。

次に出てきたのは、応急処置のための道具のセット。
これもまた、金糸雀には意味の無いものだ――人形である彼女の「負傷」に、これは使えない。
針と糸は「修理」に使えるかもしれないが、神業級の職人(マエストロ)並みの腕が無ければ意味がない。
しかし少し考え直して、これもまた「取引の材料」として自分の荷物に加えておくことにする。

あとは、共通支給品の水やら地図やら名簿やら。どう探してもお目当ての「武器」はない。
やっぱり、あんなにあっさり殺された人物が「武器」を温存しているかも、という考え自体が甘かったのか。
金糸雀はチラリとプールサイドの方を窺う。
どうやら、さらなる乱入者があったらしく、人数が増えている。
けれど、ともかくまだ、あっちの人々は金糸雀のことに気付いてないらしい。
これ以上ここに留まる意味もない、と考え、そして再びこっそり物陰に隠れようとして……

  ふと、落ちていた「あるもの」に目をつけた。

「これは……もしかしたら、使えるのかしら〜?」

――もしもここに全てを見ている「神」とでも言える視点があったなら、きっとそれはこう叫んでいただろう。
「やめろ金糸雀、『それ』にだけは手を出すな!」と。
けれども彼女にそんな声が聞こえるはずもなく。金糸雀はゆっくりと、「それ」に手を伸ばして――!

         *         *         *
168混沌の学び屋にて(1) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:07:13 ID:vwfhQgxW

膝をついた小狼とリンクの2人が見たのは、彼らに死を齎すヘンゼルの攻撃――ではなかった。
全く期待していなかった、しかしそれは間違いなく救いの手。

「――『魔法の射手(サギタ・マギカ)、戒めの風矢』!!」
「!!」

風が渦巻く。捕らえた物を縛り上げる、魔力ある空気の塊が弧を描きながら何本も飛ぶ。
ヘンゼルが咄嗟にその場を大きく飛び離れたのは、正しい判断だった。
標的を捉え損ねた風の精霊たちが、虚しく渦を巻いて姿を消す。
3人の視線が、それらを放った新たなる参戦者に向けられる。

「キミは……!?」
「誰!?」
「ネギ!?」

プールの上を斜めに跳躍し、飛び込み台の上に降り立ちながら、ヘンゼルは眉をしかめる。
プールサイドの東側には、驚きの声を上げる小狼とリンク。
そしてプールの西側、校庭に近い方に立っていたスーツ姿の少年、ネギ・スプリングフィールド。
3対1。
状況のさらなる変化に、ヘンゼルはちょっとだけ考える素振りを見せて。

「今のは、何かな? ひょっとして、『魔法』――とかいう奴なのかな?」
「…………」
「そういえば、自己紹介がまだだったね。
 僕は『ヘンゼル』。姉様の『グレーテル』を探しているんだけど……
 姉様も居ないで、『魔女を焼く釜』に火も入ってないんじゃあ、ちょっと分が悪いかな。だから――」

無言で睨みつけるネギたちにニッコリ微笑みかけると、実にさり気ない仕草で「それ」を取り出した。
そして、一言。

「――だから、また今度ね♪」

閃光。そして轟音。
ヘンゼルの支給品の1つ、『スタングレネード』。
視力を奪われながらも反射的に身を守った3人は、そして、いつまで経っても攻撃が来ないことに気付く。
ようやく回復した目で周囲を見回しても、誰も居ない。静かな風が、プールにさざなみを作る。

殺人者ヘンゼルは、それまでの執拗な攻撃はどこへやら。
あっさりと、実にあっさりと、逃亡してしまっていた。

         *         *         *
169混沌の学び屋にて(1) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:08:12 ID:vwfhQgxW

小狼は顔をしかめながら、それでもなんとか立ち上がる。
腹に刺さっていた包丁の傷、改めて確認してみれば、あまり深いものではない。
不完全な姿勢からの投擲だったせいか、角度が良かったのか。どうやら内臓までは傷ついてはいないようだ。
……それでも痛みは結構なものだし、出血もある。
ネギという増援があったとはいえ、あのまま戦っていたらどうなっていたか分からない。
あのヘンゼルとかいう少年が撤退してくれたのは、幸いだった。

「えっと、助かったよ。その……」
「李小狼。こっちはネギ・スプリングフィールド」
「リンク、でいいよ。よろしく、小狼、ネギ」

小狼は遅くなってしまった自己紹介に苦笑しつつ、リンクの手を取り、握手するようにして立ち上がらせる。
見たところ、リンクの方の傷も致命的なものではなさそうだ。自力で立つこともできる。
けれど、足に傷を負ったこの状態では、動くのに影響が出る。
武器の釣竿も折られていたし、彼もまた、戦い続けていれば危険だっただろう。

小狼は溜息をつく。
ヘンゼルがたった1人の増援を前に、何を考えて退いたのかは分からないが……
あの「刃のついた機械の腕」の機動力は、凄まじいものがあった。
あれを使って本気で逃走したなら、学校の塀を飛び越えて視界の外に逃走するのも簡単だろう。
とりあえず助かったよ、と、傍らに立つ仲間に感謝の声をかけようとして、

「逃げられちゃった…………」
「……ね、ネギ?」
「ん? ああ、小狼君。怪我の方は大丈夫?」

小狼に向けた気遣うような、勇気づけるような微笑は、確かにさっき普通に言葉を交わしたネギのもの。
けれど小狼は混乱する。
さっき一瞬、自分が絶句してしまったネギの表情、あれは何だったのだ?
「逃げられちゃった」? なぜそんな発言が出てくる?
思いつめたような、そしてすごく残念そうな、遠くを見つめる目……。

なんだか嫌な想像になってしまいそうになって、小狼は頭を振った。
そんなことより、今はもう1人の仲間・コナンがどうしてここに居ないのかを聞くのが先だ。
それと、戦闘の最中に聞こえた、校舎の方で起きた大きな破壊音のことも。
小狼がどちらを先に尋ねるべきか、迷いながらも口を開きかけた、その時――

――フォォォォォォォ……ンンンン…………!

何の前触れもなく、何の脈絡もなく。
人間の可聴領域を半分超えたような、耳をつんざくような電子音が、辺りに響く。
それは、「ハウリング」と呼ばれる現象。
スピーカーから放たれた微細な音をマイクが拾うことで、無限ループを起こし極大の音が放たれる現象。
プールサイドの3人の視線が、一斉に音の源に向けられる。
切り裂かれたフェンスの向こう、更衣室の建物に半分影になった、戦闘開始の場所。
ミニサッカー場に倒れた忍者服の少年の遺体の、すぐ隣。

手に、血まみれの拡声器を持った小さな人形が、引き攣った顔で彼らの方を向いていた。

         *         *         *
170混沌の学び屋にて(2) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:09:16 ID:vwfhQgxW
【2:カナリアの叫び】


ローゼンメイデン第二ドール、金糸雀の本来の武器は「バイオリン」である。
正確には、バイオリンから放たれる「旋律」。
姉妹である真紅が「薔薇の花弁」に、水銀燈が「羽根」に力を乗せるように、金糸雀は「音」に力を乗せる。
だから。
金糸雀は、ちょっとだけ思ってしまったのだ。
この、「音を操る機械」を上手く使えば、ひょっとしたら変則的な形で力を振るえるのではないか? と。

冷静に考えれば、それは無理だと分かるだろう。
金糸雀が力を乗せられるのは愛用の楽器で奏でた音だけで、歌声でそんなことをした経験はない。
もしもそんなことが出来るなら、ここまでこんな苦労はしていない。
大体、「拡声器を手に歌ったらヒトが死にました」なんてことになれば、それは完全にギャグかカオスだ。

けれども、そんな冷静な判断などできないくらい、金糸雀の不安は増していて――
突然の閃光に凍りついた金糸雀は、でも何も起こらないらしい、と分かって大きく息をついて――
既に壊れかけていた拡声器は、その脱力した金糸雀の手の中で、勝手にスイッチが入って――
破滅も厭わず謝罪に全力を注いだ「前の持ち主」は、ご丁寧にも音量を最大に設定していて――

かくして、血に塗れた拡声器はハウリングを起こし、火事場泥棒の存在を大声で告げたのだった。

「は……ははは……。ば、バレちゃったのかしら〜〜?」

金糸雀は脂汗を浮かべながら、3人の視線に押されるようにしてジリジリと後退する。
手の中の拡声器がハウリングを起こしたのはほんの数秒で、すぐにそれは収まったのだけれど。
彼女を睨む少年たちの視線は、簡単には収まりそうにない。
不審の念と、怒りと、詰問の入り混じった、見られる側にはたまったものではない視線。
金糸雀は慌てて、問われてもいない説明をあたふたと開始する。

「こ、これは、その、えーっと……どこから話せばいいのかしら〜〜!?
 カナはその、ずっと物陰から見てて、でも武器が無いから何もできなくって、
 なら武器があれば人を殺すことだってできるんじゃないかしら……って違う! 今のナシ!
 ひょっとしたらこの子が使えるもの持ってるかしら、ってカナがそんなこと考えてたわけがなくって、
 えーっと、その、これってどう誤魔化せばいいのかしら〜!?」

喋れば喋るほど嫌な汗が吹き出してくる。話せば話すほど少年たちの表情が険悪になっていく。
まさにこれは、「墓穴を掘る」という状況だった。
これでは金糸雀は、要するに、
「乱太郎を見捨てて」「あまつさえ死人の持ち物を勝手に漁り」「武器さえあればゲームに乗る気マンマン」
な、しかも嘘つきで信用のカケラもない参加者である、ということになってしまう。

3人の少年が、目を見合わせて無言で頷く。少年たちが、揃って身構える。紛れも無い殺気。
策士を自称する金糸雀だが、こうなってしまえば残された策は1つしかない。

「だ、だからその……さ、サヨウナラ! なのかしら〜〜!?」
171混沌の学び屋にて(2) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:10:12 ID:vwfhQgxW

三十六計逃げるにしかず。
ここで会話を続けても状況打開は期待できない、と判断した彼女は、脱兎の如く逃げ出した。
小柄な人形の身でよくもまあ、と思える足の速さで、学校の裏門から飛び出していく。
あまりの見事な逃げっぷりに、止める間もなかった少年たちだったが――1人だけ、例外があった。

「ね、ネギ!?」
「ごめん小狼君、リンク君! すぐに戻るから! 怪我の手当てでもしながら、待っていて!」

即座に追撃のために大地を蹴ったのは、スーツ姿のイギリス人の少年。
小狼もリンクも驚くが、怪我をしている2人はネギを追うこともできず。
ネギもまた、その体格からは信じられないようなスピードで、学校から飛び出していった。

         *         *         *

トリエラは、森を歩きながら考えていた。
自分は何をすべきなのかを。どういう行動を取れば良いのかを。

無抵抗な者でも何でも、片っ端から殺して手早く優勝しよう、というつもりは既にない。
けれど同時に、策も何も無いまま、文字通り「命を握っている」主催者に対抗しようという気も無い。
トマやその仲間たちには淡い期待を抱いているけれど、現時点で積極的に協力するつもりも無い。

トリエラに出来るのは、戦うことだけだ。
錠前破りや尾行への対処など、工作員のようなスキルも多少はあるが、ジェダ相手に使えるとも思えない。
では、トリエラは誰とどう戦えばいいのか?
ちょっと考えて、しかしすぐに答えは出た。彼女は軽く苦笑する。

「なんだ、結局は普段の仕事と大差ないわけね。
 私にできるのは『テロリストを排除する』、ただそれだけか」

戦闘を望まぬだけの参加者は、殺しもせず手助けもせず、放置すると決めた。
ならば、好んで殺し合いをしようとする参加者は?
トリエラの感覚からすれば、それは五共和国派のテロリストと同じようなものだ。
秩序を破壊せんとする殺人者、あるいはその予備軍。それらを排除するのに、躊躇いも遠慮も無い。
それはおそらく、間接的にトマのような人々を助けることにも繋がるのだろうし。

「でも問題は、どうやって『やる気になっている者』と『そうでない者』を見分けるか、ね。
 五共和国派のように、北部の訛りや青い服みたいな特徴もないわけだし……」
172混沌の学び屋にて(2) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:11:19 ID:vwfhQgxW

トリエラは悩む。悩みながらも歩き続ける。
そしてふと、彼女は気がついた――前方、森が切れた向こうから、走ってくる影がある。
子供だとしても小さすぎる少女と、それを追う1人の少年。
少年の手から、光の弾が飛び出す。転がるように避けながら、小さな少女は手にした道具に向かって叫ぶ。

『だ、誰か『ピーガガガッ!』! 殺されるのかしら〜!?』

……なんというか、分かり易すぎる構図である。
問答無用で逃げる相手を殺そうとする殺人者と、壊れた拡声器で必死に助けを求める少女。
少女の持つ拡声器が血塗れなのが気になったが、それはともかく。

「出来すぎのような気もするけど……遭遇してしまった以上、やることは1つね」

少年はトマが言っていた『魔法使い』の一種らしく、その手の内は全く分からなかったが、それでも構わない。
何をする間も与えず、最初の一撃で倒してしまえばいいだけだ。
トリエラはそして、彼らの進むであろう進路を予測し、拳銃で狙撃できるポイントを求めて移動を開始した。

         *         *         *

ネギは、逃げ出した人形を追いながら、考えていた。
隙さえあれば、武器を手に入れて人を殺そうとしているこの少女人形。
ヘンゼルを逃がしてしまった所に現れた、絶好の獲物だ。ここで見逃す訳にはいかない。

ネギが選んだ道は、実のところ茨の道である。
『殺し合いのゲームに乗った者を片っ端から返り討ちにして、リリスとの競争に勝つ』
確かにそれは、上手くいけばあの難敵リリスを戦わずして支配できる巧手である。
けれど、そのためのハードルは恐ろしく高い。
リリスの方は元々あの強さの上、出会う者を片っ端から殺せばそれで要が足りるわけだが。
ネギは魔力・体力共に結構消耗している上に、倒していい相手が限られている。
待ち合わせの場所は山の向こうだし、移動のことも考えれば、彼にはあまり時間が無い。
一体、「好戦的な敵」に遭遇するチャンスがどれだけあるものか。

逆に言えば、そういった「好戦的な敵」は、1人たりとも逃がしたくない。倒せるだけ倒しておきたい。
倒しておきたいのだが……しかし、その第一号になるはずだったヘンゼルには、逃げられてしまった。
もうこれ以上、チャンスを逃すわけにはいかない。
学校に残してきたコナンや小狼のことも気になるが、だからこそ、早く倒して早く戻らねば――!
173混沌の学び屋にて(2) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:12:19 ID:vwfhQgxW

『だ、誰か『ピーガガガッ!』! 殺されるのかしら〜!?』
「ひ、人聞きの悪いこと言わないで下さい! 人殺しする気なのはどっちですかッ!」

悪足掻きのつもりなのか、人形の少女は全力で逃げながらも調子の悪い拡声器で助けを求める。
ネギはその背に向けて『魔法の射手・光の1矢』を放つが、あっさりと避けられる。
やはり魔力をケチったりせず、ちゃんと本数を撃たねば捕らえきれないか?
逃げる敵を追いかけて森の中に入ったネギは、瞬間、ゾワッとする悪寒に襲われる。

「…………ッ!!」

理屈ではなかった。何度も潜り抜けてきた修羅場で培われた、実戦の勘だった。
ネギは咄嗟に手を突き出す。瞬時に行われた魔法障壁の展開と、彼を狙う銃声とが、ほぼ同時。
彼の最強の対物理防御魔法、『風花・風障壁(フランス・バリエース・アエリアーリス)』……。
10トントラックの直撃すら防ぐその障壁は、しかし展開されるのは一瞬だけ。
拳銃から続けざまに放たれた2連射のうち、後の方の一発が消えかけた障壁を突破し、ネギの頬を掠める。

(な――『銃使い』!?
 それも、こんな距離まで気付かれずに潜んでいるなんて……龍宮隊長並みの使い手!?)

驚愕しながらも、ネギは襲撃者を発見する。
浅黒い肌に、ツインテールの金髪。動きやすそうな男装姿。
拳銃を手にした少女もまた、この不意打ちを凌いだネギの姿に驚いているようだった。
ついでに言えば、追われていた人形の少女も、事態の推移が飲み込めないようで2人を見比べているが……
今のネギには、それどころではない。
拳銃使いの少女から放たれる殺気は、本物だ。隙を見せれば、きっとその瞬間に殺られる。

(いきなり撃ってきたってことは、この子も『ゲーム』に乗っている……!
 でもこれは逆にチャンスかもしれない。この2人を倒せば、一気に2つの『首輪』を得ることができる。
 リリスさんとの『競争』に勝てる可能性が、ぐっと広がる!)

ネギは身構える。中国拳法の構えで、いつでも『瞬動』で距離を詰められるよう、身構える。
対する拳銃使いの少女も、銃だけでは決着がつかないと見たか、ゆっくりとナイフに手を伸ばし……
ただ1人、拡声器を抱えた人形の少女はおろおろと2人を見比べ、そして顔を背けてニヤリと笑い。

激闘を予感させる緊張の中、3人の間で、しばし時間が止まった。
174混沌の学び屋にて(2) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:13:14 ID:vwfhQgxW
【森で向き合う3人。】
【E−4/森の入り口/1日目/昼】

【ネギ・スプリングフィールド@魔法先生ネギま!】
[状態]:胸に斜めに大きく浅い傷痕(ダメージ小)。頬にかすり傷。魔力を使ってだいぶ疲労。
[装備]:指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXT
[道具]:なし(共通支給品もランドセルもなし)
[思考]:とにかく急いで倒すんだ!
第一行動方針:トリエラ、金糸雀の2名を好戦的な参加者と判断し、倒して首輪を回収する。
第二行動方針:それらを速攻で解決したら、コナンの方に向かう。
第三行動方針:出来る事なら魔力回復の為休みたい。
第四行動方針:二人(エヴァ&小太郎)と、小狼の仲間(桜)を探す。
第五行動方針:18時のリリスとの約束に遅れずに行く。
基本行動方針:ロワから脱出する(当面、かなり積極的なマーダーキラー路線)
[備考]:
リリスと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
催淫作用は解けましたが、襲ってくる存在には容赦するつもりはないようです。
ネギは、トリエラと金糸雀の2名を「ゲームに積極的に乗ったマーダー」だと誤解しています。

【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:健康。
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残段数6)
    ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー
[道具]:基本支給品、回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、
     十字架×1、ダイエットフード×1、目薬×1、山彦草×1)
[思考]:恨みも何もないけれど、私はやるべきことをやるだけ……!
第一行動方針:目の前の少年(ネギ)を好戦的な参加者と判断し、倒す。
第二行動方針:好戦的な参加者は倒す。
第三行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。最悪でもトマとの再会までは生き延びる。
基本行動方針:最後まで生き延びる(当面、マーダーキラー路線。具体的な脱出の策があれば乗る?)
[備考]:トリエラは、ネギのことを「ゲームに積極的に乗ったマーダー」だと誤解しています。

【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:低程度の疲労、全身打撲(行動にやや支障あり)、
[装備]:血塗れの拡声器、コチョコチョ手袋@ドラえもん、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]:支給品一式、イエローの衣類一式(少し湿っている)、 酢昆布@銀魂
    旅行用救急セット(絆創膏と消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
[思考]:ど、どう振舞うべきかしら〜?
第一行動方針:目の前の2人(ネギとトリエラ)がやりあうらしい状況を利用し、このピンチを脱する。
第二行動方針:楽してズルして頂くために、とりあえずは状況の推移を見守る。
第三行動方針:どこかで「武器」を確保する。持ち物の交換・死体からの荷物漁り等、手段は問わない。
基本行動方針:(基本方針は未だに定まっていない)
175混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:14:18 ID:vwfhQgxW
【3:『魔法使い』】


全てを物陰から観察し、機会を窺っていたメロは、そしてようやく動き出した。
標的をとの距離を十分に開けておいて、階段を駆け上がる。

「オイ、ナンデコッチノガキナンダ? 保健室ニ居ル小坊主ノ方ガ簡単ジャネーカ?」
「殺すだけでいいならな。だが、今あっちを襲えば、保健室の中は一体どうなる?」

頭上のチャチャゼロの問いに、メロは手にした杖をチラリと見る。
現時点でのメロの唯一の攻撃手段、『天罰の杖』。
遠距離から『バギ』を当てて倒し、接近して殴りつける――それが現時点のメロの持つ、ほぼ唯一の戦術だ。
しかし、保健室という閉鎖空間で天罰の杖を使ったりしたら、一体どうなる?
結果は考えるまでもない。
巻き起こる竜巻は薬瓶を棚から叩き落し、真空の刃は包帯や絆創膏を切り刻んでしまう。
つまり、メロ自身にとっても利用価値の高い医薬品や治療道具を、根こそぎ破壊してしまうのだ。

「先に上に向かったガキを倒す。それから引き返して、あのスキンヘッドが部屋から出たところで襲う」
「ソウ上手ク行クカナ〜。ソレニ上ニハ、ヤバイ奴ラモ居ルンダロ?」
「そこは賭けだな。上に向かった『自称・探偵』が、自分で言うだけの慎重さを持っていることに賭ける」

メロにとって真に『探偵』と呼べる存在は、ただ1人。今は亡き稀代の名探偵、『 L 』だけだ。
あの『江戸川コナン』という少年が仲間との会話の中、堂々と『探偵』と名乗ったのが許せなかった――
のかどうか、メロ自身にもよく分からなかったのだが。
ともかく凡百の探偵なら、慎重と臆病を取り違え、現場の手前で足踏みする可能性は十分にある。
メロは階段を駆け上げる。
標的に勘付かれないよう、足音を殺し速度を落とし、距離を開けての追撃だが、彼には勝算があった。

         *         *         *

――コナンが4階の教室に辿り着いた時、そこには誰も居なかった。
破壊された窓、破壊された扉。
教室の中も、机や椅子が吹き飛んでメチャクチャになっている。

「な……何をしたらこんな風になるんだよ……!」

いくら江戸川コナンが経験豊富な探偵だとはいえ、こんな「現場」は見たことがない。
爆弾で爆破したにしては、焦げ跡もないし破壊の方向が一方向に整い過ぎている。
保健室で会った小坊主は「女の子に襲われた」と言っていたが、一体どんな攻撃を受けたのか?
もう少し詳しい話を聞きだしておくんだった、とコナンは舌打ちする。

「それより……灰原と『古手梨花』は、どこに行った?」
176混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:15:14 ID:vwfhQgxW

一休の言葉を信じるなら、つい先ほどまで2人はここにいたはずだ。
コナンは考える。灰原哀を拘束していたという『古手梨花』という少女。
わざわざ拘束していたということは、『梨花』には哀を逃がしたくない理由があったはず。
だからすぐに思いつくのは、「哀が隙を見て逃げ出し、『梨花』も哀を追って飛び出した」というシナリオだが。

「いや、それはありえねーな。必死の追いかけっこしてたなら、流石に俺も気付いてる」

校舎の外は何やらうるさかったが、それでも少女2人が校内を走っていれば気付かぬ訳がない。
コナンは改めて教室を見回す。素早く冷静に現場を観察して、1つの事実に気付く。
――乱雑に転がった机のあちこちに、微量だが、血がついていた。
そっと触ってみれば、まだ全く乾いていない。つい先ほど流されたばかりの血だ。
ここから吹き飛ばされてきた一休には派手な出血は無かったし、そうなると考えられる可能性は1つ。

「何が起きたのかはやっぱり分からねーけど、どっちかがここで怪我したってことか?
 となると、次に取る行動は……くそッ! 入れ違いってことかッ!」

殺すつもりもなかった捕虜が、何らかの事情で傷ついてしまったらどうするか?
捕虜をキープした状態で、自分が怪我を負ったらどうするか?
……当然、捕虜の傷を治療しようとするだろう。当然、捕虜を連れたまま、傷の治療を行おうとするだろう。
この血が哀のものか『梨花』のものかは分からないが、どちらのものだとしても、取る行動は1つ。
学校の中で傷の治療ができる場所――保健室への移動、だ。

学校という建物は、通常防災上の理由から複数の階段が用意されている。
きっと、コナンが駆け上がってきた階段とは別の階段を使い、2人は階下に降りてしまったのだ!
江戸川コナンは、名探偵である。その鋭い推理力には、真実を見抜く力がある。

「バーロ、余計な手間かけさせやがって……!」

そうと分かれば、ここにはもう用は無い。
身を翻し、校舎の反対側の階段に向けて駆け出そうとした彼は――
そしてふと、「ありえぬモノ」を見つけて凍りつく。

 教室の窓の外、4階の高さの空中に、美しい顔立ちの少年が、微笑みを浮かべて『立っていた』。

「な――!?」
「こんにちは、お兄さん。この『楽しそうな破壊』、お兄さんがやったの? お兄さんも『魔法使い』?」
「え……な、なんでおまえ……!」
「違うのかな? まあでも、そんなことはどうでもいいよね。やることは1つなんだから」

江戸川コナンがいくら優れた名探偵だとしても、こんな状況、咄嗟に理解しろというのが酷な話だ。
そしてその少年は、凄惨な笑みを浮かべて、言い放つ。

「ちょうど僕、せっかくの『ご馳走』を食べ損ねちゃったところでさ――
 腹ペコで哀れな僕の命を増やすために、死んでくれない? 臓物と脳漿をぶち撒けてさァ!!」
177混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:16:20 ID:vwfhQgxW

         *         *         *

「戦闘狂」と呼んでも過言ではない、壊れた感覚を備えた少年・ヘンゼルであるが。
それでも、これは誤解されやすいのだが……彼の中には、「破滅願望」のようなものはない。

彼は「永遠に生きるため」に戦っているのだ。
世の中の人間は、ただ2つだけに分類できる。殺す者と、殺される者。
そして殺す側に回って人を殺せば、それだけ自分の命を増やすことができる。
だから、これまでに沢山の人を殺してきた「彼ら2人」は、「ネバー・ダイ(永遠に死なない)」。
――それが、ヘンゼルとグレーテルが胸に抱く、たった2人だけの「宗教」だった。

自分の力と才能と、「これまでに集めた命の量」に自信があるから、多少の危ない橋も平気で渡る。
けれど、正面からの戦いに拘っているわけではない。死んでまで戦い抜きたいと思っているわけでもない。
それが必要なら、策も練るし他人だって利用する。不利を悟れば、あっさりと退く。

実はこの『ゲーム』が始まって以来、ヘンゼルは既に2回ほど、一見不自然な形での撤退を選択している。
一度目は、廃墟でレンと交戦した時。二度目はつい先ほどの戦いで、ネギが乱入してきた時。
最初の部屋で殺された女性を見て以来、ヘンゼルが密かに気に掛けていたもの。
それは、『魔法』だった。

もっとも、全ての『魔法』を警戒しているわけではない。それが目で見て分かるものなら、何の心配もない。
武装練金や『剣のカード』のように虚空から出現する特殊な武器も、使う分にはただの武器だ。
目で見て防御なり回避なりすれば、それで十分対応できる。
けれど、手の平から放たれるビームや、身体の周りに浮かぶ氷の塊、渦巻く風の弾などといったものは。
ヘンゼルからしてみれば、スペックの分からない「見えない銃」を向けられているようなものだった。
弾数も、威力も、機能も分からない。持っている「銃」の種類も数も分からない。
軽機関銃を「手に持っている」かもしれない相手に真正面から突っ込むほど、ヘンゼルは無謀ではない。
銃のように、「拳銃」や「ショットガン」といった大まかな特性だけでも掴めれば、対応策もあるのだが。

ヘンゼルはだから、『魔法使い』が乱入してきた時点でそれらの戦いを諦めた。
援護をしてくれる最愛の姉が居れば、それでも戦いようがあったろう。
何らかの策を用意できていれば、それでも戦っていただろう。
けれど、あの場に『姉様』は居らず、『魔女を焼く釜』の準備も出来ていない。
ヘンゼルとしては、貴重なスタングレネードを使って撤退するしか無かった。

――とはいえ、逃げるとしてもタダでは逃げないのが彼らしい所かもしれない。
元々、逃げるのはヘンゼルの好みではない。目の前の相手が危険なら、別の獲物を探すまでだ。
そうしてレンから逃げた時には丈を襲い、ネギから逃げた時には明らかに「誰かが居る」4階を目指して――

バルキリースカートを壁に刺し、手っ取り早く壁面を駆け上がったのだ。
178混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:17:30 ID:vwfhQgxW

スタングレネードで奪った時間は、十分にあった。
脇目も振らずに学校の壁面を一気に「走り抜け」、一旦屋上に上がって下の人々の視界から隠れる。
小狼やリンクにもう少し余裕があれば、彼が「登った」跡に気付いたかもしれないが……
ヘンゼルにとって幸運なことに、彼らがそれに気付くより早く、金糸雀が新たな騒ぎを起こしてしまった。
そしてそれらの騒ぎを確認後、再び壁を「降りて」悠々と4階に入ろうとして――
1人の少年と、目が合ったのだ。
ヘンゼルは笑う。軽くカマをかけて反応を見てみれば、どうやらこの少年、『魔法使い』ではないらしい。
これ幸いと戦闘態勢に入る。3本のアームを動かし、窓から教室の中の標的目掛けて襲い掛かる。

「ちょうど僕、せっかくの『ご馳走』を食べ損ねちゃったところでさ――
 腹ペコで哀れな僕の命を増やすために、死んでくれない? 臓物と脳漿をぶち撒けてさァ!!」

         *         *         *

メロが4階で追いついた時、標的の『自称・探偵』は、ちょうど廊下に出てきた所だった。
少年はそのままメロが居る階段の方に走り出しかけて、動きが止まる。互いの目が合う。

「な……え!?」
「ちッ。仕方ないか」

必ずしも想定していたようなシチュエーションでは無かったが、このチャンスを逃す手はない。
メロは素早く『天罰の杖』を振り上げる。微弱な真空の刃を含む突風が、少年の小柄な身体を吹き飛ばす。
標的が立ち上がるよりも早く、一気に距離を詰め杖を振り下ろそうとして――

メロは、教室から出てきた「もう1人の少年」の姿を、見てしまった。

整った顔。白銀の髪。喪服のような真っ黒い服。
でも何よりも彼の正体を雄弁に語っているのは、太腿から伸びた3本のアーム。
恐るべき少年は、喉を押さえて軽く咳き込む。

「やれやれ、僕としたことが『目潰し』なんかに引っ掛かるなんてね――
 まあそれでも、目を閉じる方が早かったみたいだね。目よりむしろ、臭いのがたまんないや」

黒い服の少年は感心したような口調で笑う。口元は笑っているが、目は全く笑っていない。
2人の殺人者に挟まれ尻餅をついた『自称・探偵』の少年の手元には、殺虫剤のスプレー。
なるほどこの『探偵』、出くわしてしまった『厄種』に、アレを吹きかけて逃げようとしていたわけか。
なるほどこの『厄種』、下での戦闘に不利な点でも見つけて、校舎の方に逃げ出してきたわけか。
メロは素早く真相を推理し見抜いていたが、しかしそんなことが分かってもどうしようもない。
179混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:18:29 ID:vwfhQgxW

「キャハハッ、色々ト裏目ニ出チマッタヨウダナ?!」
「まったく最悪だな。なんで俺が貴様と向き合わなきゃならん」
「……あれ? お兄さん、僕のことを知っているの?
 ひょっとしてお兄さん、『魔法使い』か何か? 『魔法』でも使えるのかな?」

ヘンゼルが、メロとチャチャゼロの呟きに首を傾げる。
その声に僅かに含まれた『不安』の気配を嗅ぎ付けて、メロの頭脳が素早く回転する。
今のメロの格好は、いかにもそれっぽい『賢者のローブ』に、いかにもそれっぽい『天罰の杖』。
そして頭上に乗せた怪しげな人形と平然と会話し、杖の一振りで小さな竜巻を起こせるとなれば……
これはもう、どこから誰がどう見ても『魔法使い』の装束だ。
この姿を見て、現代社会でマフィアたちを手玉に取る知能犯罪者、だと見抜ける者はまず居ないだろう。
考えたのは一瞬。相手のかけてきたカマに、メロは全くの動揺を見せることなくこう応えた。

「ああ。俺自身それなりに『使える』つもりだが、お前の戦い、少し見させてもらったぞ。
 悔しいが、この距離・この状況では勝てる気がしないな。
 こういう形で出くわした時点で、俺の負けだ」

厚顔にも『魔法使い』だと詐称した上で、あっさりと白旗を挙げてみせる。
そして「へぇ、諦めちゃうんだ?」とばかりにヘンゼルの顔が緩んだ瞬間を狙い、次の言葉の矢を放つ。

「だが、提案がある。
 1対1ならお前に勝ち目の見えない俺でも、お前を援護することはできる。知恵を授けることもできる。
 ここで会ったのも何かの運命だ。手を組まないか?
 俺はお前の持ってない知識を持っている。お前は俺にない戦闘力がある。
 期限付きの同盟という形なら、互いにとって損は無いと思うが」
「ケケケッ!」

――全てハッタリである。
そのハッタリ、そしてそこに込められた意図に勘付いたチャチャゼロが、メロの頭上で奇怪に笑う。
実際に『魔法』の知識を持っているのはメロではなく、支給品に過ぎないチャチャゼロの方。
使える『魔法』らしきものも『天罰の杖』による『バギ』だけで、それだってアイテムの力に過ぎない。
つまり、さっさとヘンゼルが刃を振るい、メロを殺せば簡単に奪い取れるものなのだ。
嘘ではないのは、「今戦ったらメロは勝てないだろう」という見通しくらいのもの。
それに、本当は協力なんぞする気はなく、ただこの場を切り抜ける方便でしかないのだ。

けれども――今、ヘンゼルに瞬殺されたくなければ、このハッタリを貫き通すしかない。
さっき垣間見えた、『魔法』という単語に込められた『不安』、あるいは『躊躇』の色。
そこを突くことができれば、この同盟、成立させる余地がある。
上手く行けば、単にこの場を切り抜けるだけでなく、強力な手駒として支配できるかもしれない。
気紛れ極まりない『厄種』は扱う者にとっても猛毒だが、しかしそれさえも計算に入れておけば……!

あともう一押し、するべきかどうか。
メロは考える。マフィアたちを自在に操った経験を総動員し、考える。
首を傾げて思案する『厄種』を操縦してみせんと、必死に知恵を絞る……。
180混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:19:17 ID:vwfhQgxW

         *         *         *

(じょ……冗談じゃねーぞ、バーロ!)

前門の虎、後門の狼。
頭越しに物騒な「同盟」の相談をする2人に挟まれたまま、尻餅をついたコナンは頭をフル回転させる。

コナンは、ヘンゼルの技を見ていない。見る前に殺虫剤を吹きかけて逃げ出している。
メロの技も、さっき『バギ』を一発喰らっただけだ。
何発も喰らえばキツいのかもしれないが、コナンも数々の修羅場を潜ってきた人間。
カミソリを当てられたような裂傷があちこちに出来ていたが、すぐに動けなくなるような傷ではなかった。

2人の意識が自分から逸れているのは幸いだが、こんな状態、そう長く続くものではない。
ヘンゼルのバルキリースカートは見るからに凶悪で、まともに戦っても勝てる気がしない。
メロの『魔法』も、出せるのはさっきの『バギ』一発のみ、と知らないコナンには、恐ろしくて仕方ない。

けれど、何より脅威なのは、2人の持つ武器や魔法ではない。
コナンも何度も遭遇してきた、犯罪者独特の雰囲気。
優れた才能を持ちながら、邪悪な行為に対する罪悪感をどこかに置き忘れてきてしまったような雰囲気。
そんな2人が本気で手を結ぶかもしれない――その事実の方が、『探偵』江戸川コナンには恐ろしい。

今すぐ走って逃げるか? でも、廊下はどちらも殺人者たちに塞がれている。
窓は? すぐそこから飛び降りれば、下は一休が落下した植え込みだ。
4階から落ちたとしても、助かるかもしれない。けれど、普通に考えれば大怪我は免れまい。
大声で助けを呼ぶ? ネギや小狼が来れば助かるかもしれないが、さて、間に合うものかどうか。
リリスの時のように、殺人者たちを言いくるめる? いやしかし、何をどう言えばいいのか。
それとも、手持ちの道具を上手く使って、このピンチを脱する? もう殺虫剤の目潰しは効くまいが。

(どうする? どうすればいい!?)

これまでだって危機に陥ったことは何度もあったし、その度にこの頭脳で切り抜けてきたのだ。
コナンは必死に知恵を絞る。
『探偵』としての経験と知識を総動員して、この窮地を脱する策を考える――
181混沌の学び屋にて(3) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:19:55 ID:vwfhQgxW
【4階で向き合う3人。】
【D−4/学校・4F廊下/1日目/昼】

【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:中度の疲労。殺虫剤の目潰しを喰らいかけ、目と喉に軽い痛み。
[装備]:バルキリースカート(使用可能なアームは3本)@武装錬金
[道具]:支給品一式、スタングレネード×8 
[思考]:うーん、どうするかなぁ
第一行動方針:メロへの対処を考える。申し出を受ける? それとも、まとめて一緒に倒す?
第二行動方針:4階の破壊を起こした人物を探し、仕留めたい。
第三行動方針:手に持って使える鈍器や刃物が欲しい(銃でも構わない。その時は姉様になる)
第四行動方針:『魔法使い』に関する情報を集める。
基本行動方針:いろんな人と遊びつつ、適当に殺す。

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:右腕骨折(応急処置済み) 。天罰の杖のバギを喰らってあちこちに小さな裂傷。
[装備]:はやぶさの剣@ドラクエ、殺虫剤@現実、
[道具]:支給品一式、バカルディ@ブラックラグーン、銀の銃弾14発、
   シルフスコープ@ポケットモンスターSPECIAL、蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン
   リリスの食料と飲み掛けの飲料水
[思考]:……どうする!?
第一行動方針:ヘンゼルとメロに挟まれたこの窮地をなんとかして脱する。
第ニ行動方針:四階教室に居るはずの古手梨花と灰原哀を探す。
第三行動方針:ネギ、小狼の仲間を早めに見つけたい。
第四行動方針:リリスを倒す為に協力してくれそうな人物を探す。
最終行動方針:ロワから脱出する。
[備考]:リリスと殺害数を競う約束をしています。待ち合わせは18時にB-7のタワーです。
 バカルディと飲み掛けの飲料水は、リリスが口をつけたため弱い催淫効果を持っています。
 一休さんの情報は部分的にのみ信じています(灰原哀が手錠を掛けられ囚われているなど)。

【メロ@DEATH NOTE】
[状態]:軽い打ち身と掠り傷。
[装備]:天罰の杖@ドラゴンクエストX、賢者のローブ@ドラゴンクエストX
[道具]:基本支給品(ランドセルは青)、チャチャゼロ@魔法先生ネギま!
   ターボエンジン付きスケボー@名探偵コナン(ちょっと不調)
[思考]:参ったな、最悪の展開だ。だが、なんとかして切り抜ける。
第一行動方針:ヘンゼルを上手くハッタリと話術で丸め込み、一時的にでも同盟を成立させる。
第二行動方針:ヘンゼルとの会話を聞いてしまっているコナンを、確実に始末する。
第三行動方針:保健室に戻って物資を調達する。
第四行動方針:『3人抜き』を達成し、『ご褒美』を貰い、その過程で主催側の情報を手に入れる。
第五行動方針:どうでもいいが、ドラ焼きでなく板チョコが食べたい。どこかで手に入れたい。
基本行動方針:ニアよりも先にジェダを倒す。あるいはジェダを出し抜く。
[備考]:ターボエンジン付きスケボーは、どこか壊れたのか、たまに調子が悪くなることがあります。
182混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:21:14 ID:vwfhQgxW
【4:聖人か狂人かバケモノか】


――彼は大雑把ながらも、状況を把握していた。
建物の向こう側に隠れて完全には見えないけれど、それでも音や光は少しは届く。
星でも落ちてきたかと思うような強烈な閃光や、耳が痛くなるような奇妙な音も、全て届いていた。
『勇者の拳』で殴られる前に居た4階の教室もすぐ近くで、しかも今は窓も扉も全て吹き飛んでいる。
全ての言葉を聞き取るのは無理だが、大声で叫ぶ者でもいれば、断片的に声が聞こえてくる。
これだけの情報があれば、普通ならじっとしていられず、どこかに向けて駆け出していただろう。
けれど。

「あわてない、あわてない。
 ……それにしても、この『絆創膏』という奴はよく出来たものですね。
 私の肌に合わない、ということは無いようですし、これなら大丈夫そうです」

身体のあちこちの細かい傷に、むやみやたらと絆創膏を張りながら、一休は感心したように何度も頷く。
数多くの偶然に助けられ、4階から落下しながらも生き延びた一休。
何をするにも、まずは傷の手当てを済ませてから。あわてて動いても得るものは無い。
手足はどうやら、自由に動く。動けなくなるような骨折もない、せいぜい肋骨にちょっとヒビが入った程度か。
あとの傷は、背中や腰の打撲に、無数の切り傷や擦り傷。
1つ1つは大したことは無いけれど、放っておけばやはり痛い。

一通り保健室を調べた一休は、見つけた湿布薬を腰や背中に張り、血の滲む傷には絆創膏を張っていった。
現代人ならロクに読むことなど無いであろう、絆創膏や湿布に添えられた「使用上の注意」。
けれど文字さえ読んで理解できるなら、それを始めて見る一休にだって使えるものなのだ。
……まあ、彼には現代人の常識が無いので、「ちょっと張りすぎだろ」というくらい無駄に使用していたのだが。
特に、ツルツルに剃られた頭にはペタペタと無数の絆創膏が張られ、額の真ん中には大きなバツ印。
丁度そこに少し大きな傷があったので、知恵を働かせて特大サイズの絆創膏2枚で覆ったのだが……
見る人が見れば、ある連想しか思い浮かばないような配置である。

「さてそれにしても、火種はどこにあるのでしょう……?
 明かりを灯すものはあるようですし、火打石くらい置いてあってもよいものですが」

一通りの応急処置を済ませた彼は、そして器具消毒用のアルコールランプを前に首を傾げる。
「ギヤマンの壺」や「透明な油」は馴染みのないものだが、その灯心の原理は一休の時代にもあったもの。
その構造や焦げた芯から、これが火を灯すための道具であることはすぐに見当がついた。
でも、肝心の火種が無い。一休は「さる事情」から、火の方をこそ必要としていたのに、である。
残念ながら、マッチや100円ライターは医療関係の品ではない。懇切丁寧な「使用上の注意」はついてない。

ただ、火種を探していた一休は、代わりにあるものを見つけ出す。
期待していたものでは無かったが、それは「火種が必要になる時」に同時に必要になりそうなもので。
添えられていた説明を読みながら、彼は1人嬉しそうに頷いた。
183混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:22:13 ID:vwfhQgxW

         *         *         *

小狼とリンクは、結局互いに肩を貸し合いながら、保健室へと向かっていた。
人形の少女を追って飛び出していったネギのことは、気になる。
校舎の方で起こったらしい破壊音の正体も、気になる。
校舎に残っているらしいコナンや梨花、灰原哀のことも、気になる。
あのヘンゼルが、一体何を考えどこに消えたのかも、気になる。
乱太郎の死体の弔いもどうしてやるのがいいのか、気になる。
やらねばならないことは数多く、確認したいことは山ほどある。

けれども、全ては傷の手当てが済んでから、だ。
腹に傷を負った小狼、足に傷を負ったリンク。
どちらも全力で駆け回ったり戦ったりできるコンディションではない。
せめて包帯を巻いて止血くらいしておかないことには、いざという時にかえって困る。
そんなわけで、2人は荷物を拾い、折れた釣竿についていたボールを拾い、『剣』をカードに戻して。
簡単に荷物をまとめてから、保健室に向かっていたのだが。

「おやおや、千客万来ですねぇ。お怪我でもされましたか?」
「え――あ」
「ああ、ご安心を。この場においては荒事は無し・互いに干渉せず、ということで。
 私もそういう約束で救われましたから」

扉を開ければ、そこに先客が居た。
何かを探していたらしい小坊主風の少年は、新たな人々の登場にも慌てることなく、ニコニコと微笑む。
小狼には仏教の修行者の姿にしか見えないし、リンクにも何となく聖職者っぽい雰囲気なのは分かった。
けれども、そんな服装より何より目が行くのは……

(……なんなんだ、あの頭の×印は?)
(何かの封印? 剥がしたら何が出てくるのかな。見たいような、見たくないような……)

額の中央に交差して張られた、特大の絆創膏。
まるで「第三の目」でも封印しているかのような……と言ったら、妄想し過ぎだろうか。
ともかく、それは場所といい大きさといい、どう見ても「何かある」と思わせるものだった。
一度そんな気になってしまうと、身体のあちこちに張られた絆創膏にも裏の意味があるように思えてくる。
いや、普通に考えれば、それだけあちこち小さな怪我をした、ということなのだろうが。

(……まさかとは思うが、それ剥したら全身に小さな目玉がついてました、なんてことはないだろうな?)

それではまるで、妖怪の百々目鬼か何かである。
けれども、リアルに妖怪変化やモンスターの存在を知る2人にとって、それは決して冗談ではない。
リンクのように、耳の尖った者も平気で参加している『殺し合いのゲーム』である。
今さらそこに怪物が1人くらい居ても、そのこと自体には驚かないのだが。

  この状況で見知らぬ人と遭遇し、ニコニコと笑っていられる神経が既に「常人のもの」ではない。

184混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:23:19 ID:vwfhQgxW

そんな真似ができるのは狂人か、バケモノか、さもなくば聖人だけだ。
そして2人は、そんな『狂人』の一種と死闘を繰り広げてきたばかり。どうしても嫌な想像に傾いてしまう。
この奇妙な格好をした小坊主が、実は聖人と呼ぶに値する精神の持ち主だなどと、どうして理解できよう。
警戒を強める2人に、しかし小坊主はサラリと質問する。

「それより、ちょっとお聞きしたいのですが……火を起こすものか何か、お持ちでは無いでしょうか?」
「火? 悪いけど、今は一番簡単な術のための符もなくて……ってちょっと待て。
 そこにマッチもライターも置いてあるだろ。どこに目をつけてんだよ」
「まっち? らいたぁ?」

不思議そうに首を傾げる小坊主。どうやら本気で分からないらしい。
小狼は溜息1つつくと、机に転がっていた100円ライターを手に取り、無造作に火をつける。
別にマッチの方を手にとっても良かったのだが、単に近かった方を拾っただけだ。
これには一緒にいたリンクも少しだけびっくり。彼の目にも、ライターは「小さな魔法の道具」にしか見えない。
驚く2人に構わず火を止めると、小狼は坊主に向けてライターを放り投げる。

「ほら、分かったか? 分かったら静かにしててくれ。さっさと傷の手当てして、行かなきゃならないんだ」
「ほほう、なるほど……この金具が火打石の要領で火花を散らし、中の油に火をつけるわけですか。
 小さいのによく出来たものです。こんなもの1つ取ってみても、技術の格差を感じますねぇ」

受け取ったライターをカチカチと何度も鳴らしながら、小坊主が感嘆の声を上げるが。
むしろその飲み込みの速さにこそ、小狼は衝撃を受ける。
さっきの様子では、明らかに「ライター」の存在自体を知らないようだった。にも関わらず、一瞬で原理を把握。
どこの山奥の秘境で育った化け物なのかは分からぬが、その頭の回転は相当なものだ。
こいつは、怖い……! ヘンゼルとは違う意味で、敵にはしたくない相手……!

と、そこまで考えて、ふと小狼はある懸念に思い至る。
ヘンゼルとの戦闘中、校舎の方で起こった、大きな音。窓ガラスが割れる音に、重たいものが落ちる音。
そしてここに、傷の手当てをしに来た小坊主が1人――

――まさかこいつ、既に「小狼たち」の「敵」なんじゃないだろうな?

「なあ、まさかとは思うけど――その怪我、誰にやられたんだよ?」
「みなさん同じことを尋ねますねぇ。
 まあ隠しても仕方ないことですし、ネギさんコナンさんにもお話したことですけど……
 古手梨花という長い黒髪の子と、灰原哀という茶色い髪の子でした」
「!!」

小坊主の返答に息を飲んだのは、小狼ではなく、一緒にいたリンク。
哀の名前はまだ知らないが、梨花と一緒にいた茶髪の少女と言ったら、他に居ない。
185混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:24:45 ID:vwfhQgxW

「ちょッ、梨花ちゃんに何をした!?」
「何もしてはいませんよ。確かにちょっとした行き違いはありましたが、問題は無かったはずです。
 なのに、『あること』を言ったら、途端に殴られてしまいまして。
 地面まで吹き飛ばされて、死ぬかと思いましたよ。いやはや女人の心というのは難しい」
「お、おいお前、一体何を言ったんだ?」

とてつもなく心が広いのか、それとも何も考えていないのか。
殴り飛ばされ、死に掛けたというのに鷹揚に笑う小坊主に、梨花のことを知らぬ小狼も思わず問いかける。
……そして嗚呼、その質問こそは。

「いやなに、大したことではありませんよ。
 ただ、『オトコデオカシマショウ』と言ったんです」
「…………は?」
「だから、『オトコデオカシマス』と」

――この瞬間、小狼とリンクの心は固まった。
その言葉を聞かされた女の子2人にとって衝撃だったように、それは少年2人にも衝撃的だった。
もっとも純真なリンクの方は完全には理解できず、「なんとなくイケナイ言葉」程度の認識だったが。
それでも、梨花たちの取った反応を聞けば、大体の重さは想像がつく。

ここに居るのは、まかり間違っても「広く美しい心を持つ聖人」なんかではない。
狂人で、変人で、変態で、常識のない、ひょっとしたら人間ですらないバケモノかもしれない存在。
絶対に相容れることのできない、彼らの敵。

「おや、どうしましたか? 何か変なことでも言ったでしょうか?」
「この……ふざけるなよ、変態坊主!」

小狼は怒りのままに拳を振るう。ニコニコと不気味な笑みを浮かべたその顔に、拳を叩き込もうとする。
が、しかし――傷の手当てもしていない今、その動きに普段のキレはない。
小坊主はヒョイと軽く避けると、困ったような表情で2人の少年の顔を見比べる。

「はてさて、やはりお話を聞いては頂けませんか。
 こちらには事情が全く分からないのですが……これでは、致し方ありませんねぇ」
「とぼけやがって……『致し方ない』なら、どうする気なんだ!?」
「――こうします」

シュボッ。
小さな音と共に、ついさっきどこかで聞いたような音が響く。
保健室の中に、甘い香りが立ちこめる。
何が起きた? と理解する間もなく、小狼とリンクはその場に崩れ落ちた。
吐き気がする。身体がダルい。ただでさえ傷つき疲れた身体に、それは相当にキツいもので。
視界の隅で、つい先ほど使い方を教えたばかりの100円ライターの炎が、揺らめいているのが見える――

         *         *         *
186混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:25:41 ID:vwfhQgxW

「……いやはや、凄いものです。想像以上ですね。
 あまりあなた方を苦しめるつもりは無かったのですが、なにぶん私も初めてなもので。ご容赦下さい」
「な、何しやがった……!」

黒髪の少年が、激しい嘔吐感を堪えながら一休を睨みつける。
さりげなく開けておいた窓のそば、煙を上げ続ける香を片手に、一休は素早くマスクを身につける。
顔にフィットするデザインの、強力な防塵防臭効果のある大袈裟なマスク。
部屋の空気の流れの関係上、一休の居る場所は風上に当たっているし、多少の煙はマスクが防いでくれる。
不意討ち気味のガス攻撃を吸い込んでしまった2人に対し、一休1人は涼しい顔だ。

「私もよく知らないのですが、『ねこんの香煙』とかいうお香だそうです。
 そしてこちらは、この部屋で見つけた『活性炭』入りの『強力ますく』とかいうもの。
 私には柔の心得などありませんし、お2人を止めるには他に方法もなく。
 いやはや、何事も準備はしておくものですね」

やれやれ、といった様子で、一休は肩を竦めてみせる。
それはつまり、一休が保健室にやってきた時から、こういった事態を想定し対策を練っていたことを意味する。
相手が1人なら梨花のように『ワブアブの粉末』を使えばいい。しかし複数相手ではそうもいかない。
ならば、室内が半・密閉空間であることを逆手に取り、焚いて使うタイプの無力化薬を使用する。
室内の風の流れを把握し、自分が立つべき場所を確認し、身を守るためのマスクを手に入れて。
あとは着火装置さえあれば完璧、という段階まで用意したところで、この2人がやってきたのである。

ブルーにハメられ梨花に殴り飛ばされてから、一休は慎重になっていた。
優しく寛大な一休は、別に彼女たちを恨んではいない。残念とは思っていたが、憎んではいない。
けれどいくら自分が平和的に行動しようとしても、言葉が届かないこともある。意図が伝わらないこともある。
だから万が一の時の備えは、できるだけ用意しておく。それが一休なりの「戦い方」。
お互いのために。余計な血が流れずに済むように。

「あわてない、あわてない。
 ……さて、しかしここからどうしますかね。
 どうやらまたまた酷い誤解をされてしまったようですし……」

吐き気に襲われ、目の前で蹲る少年2人は、憎悪すら篭った目で一休のことを睨んでいる。
誤解による流血の事態だけは防げたが、このままでは互いの関係が拗れていくばかりだ。

一休は考える。ここまでの一連の誤解を解くための方策を、得意のとんちで考える。
けれど、なかなか簡単には答えが出ない。
どうやらこの課題、将軍様のどんな無理難題よりも厳しいものとなりそうだった――。
187混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:26:21 ID:vwfhQgxW

【保健室で向き合う3人。】
【D−4/学校校舎1F保健室/1日目/昼】

【一休さん@一休さん】
[状態]:背中と腰の打撲に湿布。身体のあちこちに大量の絆創膏。
     額の中央に大きな絆創膏で×印。顔の形にフィットした大袈裟なマスク。
[装備]:シャインセイバー(サモナイト石)@サモンナイト3
    体操着(着物の下)、教科書(服の下に仕込んである)、活性炭入りマスク
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末(残数2)、カプマゥの煎薬(残数3)、
    ネコンの香煙(残数2)、紅皇バチの蜜蝋(残数3)) @うたわれるもの
    体操着袋、チョーク数本、雑巾、ブリキのバケツ、ホース数m、教科書数冊、100円ライター
[思考]:いやはや、予想以上の効果です。さてこれからどうしましょう。
第一行動方針:あわてない、あわてない。
第二行動方針:これまでに遭遇した人々の誤解を、どうにかして解きたい。(無理なら逃げる?)
第三行動方針:驚く事ばかりだけれど、周囲への理解と食料の確保をしたい。
第四行動方針:余裕があれば、森にでも骨格標本を埋葬し供養したい。
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する。
[備考]:懐と体操着袋とバケツに細かい荷物を分けて入れています。
水道の使い方、窓や扉のカギの開け方、100円ライターの使い方を理解しました。
ブルーを不思議な力(スタンガン)を持った神仙または学術者の類と思っています。

【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】
[状態]:左太腿に裂傷。歩行に少し影響。『ネコンの香煙』の煙を吸って、吐き気と脱力感。
[服装]:中世ファンタジーな布の服など
[装備]:あるるかん@からくりサーカス、モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL
[道具]:基本支給品
[思考]:こ……この子は危険だ……!
第一行動方針:目の前にいる危険な小坊主(一休)をなんとかする(最悪殺す?)
第二行動方針:自分と小狼の傷の手当てをする。
第三行動方針:4階で待っているはずの梨花たちの所へ戻り、無事を確認する
第四行動方針:最初に死んだ子(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:ゲームを壊す
参戦時期:エンディング後
[備考]:金糸雀のことを、ゲームに乗るつもりの人物だと判断しました。
    一休のことを、狂人か変態、あるいは「何らかのモンスターが化けた存在」ではないかと疑っています。
188混沌の学び屋にて(4) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:27:13 ID:vwfhQgxW

【小狼@カードキャプターさくら】
[状態]:腹部に刺し傷。『ネコンの香煙』の煙を吸って、吐き気と脱力感。
[装備]:クロウカード「剣」@CCさくら(カード状態)
[道具]:きせかえカメラ@ドラえもん(充電済み)、基本支給品
[思考]:……くそっ! こんなことしている場合じゃないのに……!
第一行動方針:目の前にいる危険な小坊主(一休)をなんとかする(最悪殺す?)
第二行動方針:自分とリンクの傷の手当てをする。
第三行動方針:手当てが済んだら、上の階に向かったコナンを追うか、森に向かったネギを追うか……?
第四行動方針:桜を探し、守る
第五行動方針:仲間を集める
第六行動方針:最初に死んだ(乱太郎)に何かしてやりたい
基本行動方針:桜とともに島を脱出する。
[備考]:金糸雀のことを、ゲームに乗るつもりの人物だと判断しました。
    一休のことを、狂人か変態、あるいは「何らかの妖怪の類が化けた存在」ではないかと疑っています。

[備考]:現在、D−4の学校の1階・保健室に、『ネコンの香煙』を焚いた甘い煙が満ちています。
   一休自身は風の流れを確認した上で、比較的安全な場所に立っています。


アイテム紹介
【モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL】
支給品「イエローの釣竿」の先端部につけられていたモンスターボール。
戦闘により釣竿がへし折られたことで、リンクが竿を諦め、このボールだけを拾った。
通常の(空の)モンスターボールだと思われるが、このロワにおいてどういう効果を持つのかはまだ不明。
189混沌の学び屋にて(5) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:28:28 ID:vwfhQgxW
【5:そして、天秤を動かしうる少女たち】


灰原哀は、ふと歩みを止めて、顔を上げた。
彼女の肩を借りる格好で階段を降りていた古手梨花は、不審そうに隣の少女の顔を伺う。

「みぃ、どうかしたのですか?」
「今、遠くで知り合いの声がしたような気がしたんだけど……気のせい、かな」

既に哀の両手は手錠に繋がれてはいない。
泣いて泣いて泣きまくって、ようやく涙が引いたところで梨花から鍵を渡され、自分で外し。
そして騒ぎを聞きつけて誰かが来るのを恐れ、2人は移動を開始したのだ。

目的地は、1階の保健室。
梨花は「こんなの大したことないのです」と強がっていたが、それでも打ち身と疲労はかなりのもの。
おまけに、怪しげな坊主の撒いた薬で、身体に力が入らない様子。
哀が傍らで支えていたが、あまり早くは歩けない。

ちなみに、これは彼女たちが知る由もないことだが――
もし、もう少し教室を出るのが遅ければ、2人はヘンゼルに見つかり、切り裂かれていただろう。
もし、もう少し教室を出るのが早ければ、2人はそのまま保健室に到着し、胸一杯に煙を吸っていただろう。
どちらにしても、ロクな展開ではない。
今彼女たちがいる階段の中間地点、2階と3階の間の踊り場という位置は、まさに運命の分岐点だったのだ。

そこに聞こえたのが、灰原哀の知り合い、江戸川コナンの声――
――のような気がするのだが、哀にもあまり自身を持って断言することができない。
どうやら梨花には聞こえなかったようだが、そうなると……

悪魔の薬、5MeO-DIPT。
体重に比して大目の量を摂取してしまった彼女の身には、未だにその熱が燻っている。
相当に疲れていて良さそうなのに、全く疲労感が無いし、たまに過敏過ぎる感覚がぶり返したりもする。
先ほど聞こえた声が『鋭敏化した聴覚が捕らえた遠くの音』なのか『幻聴』なのか、自分でも自信が無い。
190混沌の学び屋にて(5) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:29:26 ID:vwfhQgxW

ただ、それが本当に『声』なのだとしたら、その声は上の方からしたような気もする。
それも角度から考えて、たぶん梨花と哀の2人がさっきまでいた、あの教室のあたり。

この広い島の中で、偶然コナンが近くに来ていて、何らかの手段で哀の居場所を知って探しに来た――
いくらなんでも、そんなことは考えにくい。
現実主義者の哀は、普段ならそこまで都合のいい偶然を期待しない。

けれど、こうして広い島の中で梨花と巡り会い、救われたのだって、出来すぎた偶然と言えば偶然だ。
80人を越える参加者の中で、梨花以外に哀を救える可能性を持った者がどれくらい居ただろう?
あの異常な状況に対応できるだけの経験と、あの異常な状況から救い出そうとする正義感。
その双方を併せ持つ人間が、どれだけ居ただろう?

自分がいかされたのが「普通では考えられない偶然」によるものなら、もう、そんな偶然を否定できない。
気になって耳を済ませた哀は、そして今度は確かに誰かの声らしきものを聞く。
それは、決して彼女の知る『江戸川コナン』の声ではなかったが。

「……やっぱり、誰か居るみたい。今度のは聞いたことのない声だけど」
「今のは、ボクにもちょっと聞こえたような気がするのです。
 ところで……最初に聞こえたという声の持ち主は、哀にとって『大切な人』なのですか?」

梨花のストレート過ぎる質問に、しかし哀は考え込む。
確かに江戸川コナンやその関係者は、彼女にとっては恩人ではある。
けれど、どうだろう? 梨花が言外に込めたような意味があるような相手とは……。
そんな風に考え込む彼女に、梨花は「にぱっ☆」と笑うと、哀から身を離して向き直る。

「みぃ、そんな顔して考え込むような相手なら、それは十分に『大切』ってことなのです♪」
「え……?」
「見てくるといいのです。もしそこに『彼』がいるかもしれないのなら、行ってきた方がいいのです。
 たとえその確率は僅かでも、ここで行動しないと、きっと後悔することになるのです」
191混沌の学び屋にて(5) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:29:57 ID:vwfhQgxW

梨花はそういって、ポケットの中から『勇者の拳』を取り出し、哀に向ける。
その動作の意味するところは、明白だ。
「早くは歩けない自分はここに残して、これを持って『彼』がいるかどうか確認してきて下さい」
けれどそれは、哀を救ってくれた恩人を、学校内に1人置き去りにすることを意味する。
あの変態坊主は死んだだろうと思うが、他にもどんな危険人物が潜んでいるか分からないというのに。
そもそも、最初に聞こえた声が、本当に『彼』のものだという自信は無いというのに。

「それは駄目! あなたを置いていくわけにはいかないし、ましてやそれは唯一の……」
「ボクなら適当にどこかの教室でかくれんぼしてるので、大丈夫なのですよ☆」

2人にとって唯一の「武器」を、どちらが持つのか。
2人一緒に行動するのか、それとも一旦別行動に移るのか。
そして、上の様子を見に行くことを優先するのか、保健室での治療を優先するのか。

哀が簡単には梨花のことを見捨てられないように、梨花の方にも何か強く思うところがあるらしく。
階段の踊り場で、2人の押し問答は続く。
そんなことをしている時間は無いというのに、お互い譲ることもできずに言い争う。

         *         *         *

2人は、まだ知らない。
4階の問題の教室には、今まさに、その江戸川コナンが2人の殺人者に挟まれて窮地に陥っていることを。
1階の保健室では、今まさに、死んだはずの変態坊主がリンクたちを窮地に陥れていることを。
どちらの状況も、少しの刺激でどう転がっていくのか分からない。
自分たちの選択が意味する所を知ることもなく、哀と梨花は、互いを説得しようと言葉を尽くして……!
192混沌の学び屋にて(5) ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:30:37 ID:vwfhQgxW
【階段の半ばで口論する2人。】
【D−4/学校・西側階段(2階と3階の間の踊り場)/1日目/昼】

【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:色々と疲労困憊。全身に無数の打ち身と擦り傷(骨折などは無い)。腕力低下(ワブアブの毒)
[服装]:体操服。体操着に赤ブルマ着用。
[装備]:勇者の拳(すぐ取り出せるポケットに入れている)
[道具]:基本支給品、5MeO-DIPT(24mg)、平常時の服
[思考]:僕のことは気にする必要ないのです。
第一行動方針:上の階に哀だけでも調査に行かせる。(その場合、『勇者の拳』は彼女に預ける)
第二行動方針:リンクと合流する(リンクが今保健室に居ることは知らない)。
第二行動方針:同行者を増やす。
基本行動方針:生き延びて元の世界に帰る。ゲームには乗らない。
参戦時期:祭囃し編後、賽殺し編前
[備考]:一休さんの事は変態性犯罪者と認識しています。

【灰原哀@名探偵コナン】
[状態]:健康、5MeO-DIPTがそろそろ切れる、薬の余韻なのか疲労を感じていない
     (完全に切れたら一気にドッと来る?)
[服装]:子供服。着方が乱暴でなんか汚れてる。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、エスパー錠@絶対可憐チルドレン、エスパー錠の鍵@絶対可憐チルドレン
     ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)
[思考]:梨花1人、ここに置いてはいけない……!
第一行動方針:梨花の安全を確保し、梨花の傷の手当てをする。
第二行動方針:それが一段落してから、4階の様子を窺いたい。
第三行動方針:罪を滅ぼす方法を考える
基本行動方針:最後まで足掻き続ける。もう安易に死は望まない。
参戦時期:24巻終了後
[備考]:一休さんの事は変態性犯罪者と認識しています
193 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 01:32:12 ID:vwfhQgxW
……投下完了です。
緊張状態が組み替えられた結果を簡単にまとめると、

【学校東側の森の中】
ネギ  :トリエラと金糸雀をさっさと倒し、首輪を取って学校に引き返したい。
トリエラ:とりあえずネギを倒しておきたい。
金糸雀:とりあえず死にたくない。なんとかして武器が欲しい。

【学校4階・廊下】
メロ  :ヘンゼルを言いくるめて味方にしたい。目の前のコナンの口を封じたい。
コナン:なんとかして生き延びたい。どこかに消えた哀たちの存在を確認したい。
ヘンゼル:『魔法使い』との戦闘には慎重になった。メロの申し出を受けるかどうか悩み中。
チャチャゼロ:ケケケケッ! (←どういう結果になっても面白いと思ってる?)

【学校1階・保健室】
一休  :香を使って緊急回避したけど、なんとか誤解を解きたい。
リンク :香によって吐き気と脱力。一休をなんとかしたい。梨花の安全を確認したい。
小狼  :香によって吐き気と脱力。一休をなんとかしたい。コナンとネギの行方が気になる。

【学校西側階段】
灰原 :とりあえず梨花を保健室に連れて行って手当てしたい。4階のことはその後。
梨花 :とりあえず哀を4階に向かわせたい。自分の傷の手当てはその後。


……と、どこも大変なことになってます(汗)。

なお、この先のリレー、パートごとに分けて扱ってみてもいいかもしれません。
194名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 01:35:51 ID:nD1uoYGv
投下乙です! これはよいテラカオス
「トリエラVSネギVS金糸雀」
「ヘンゼルVSコナンVSメロ」
「一休さんVSリンク&小狼」
そして、状況を動かしうる「梨花&灰原」……
どれも如何様にも転がせそうで、展開を想像するだけでwktkが止まらないw
そして一休さん包囲網がまた……南無


>見る人が見れば、ある連想しか思い浮かばないような配置である。
懐かしいネタをw
195名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 01:38:01 ID:OjtyR4/5
投下GJ……てか、マジでカオスっすな!
ネギが超コワイマーダーキラーになってるし、金糸雀は相変わらずへたれだし!
ヘンゼルは恐ろしすぎるし、メロは狡猾だし、バーローはバーロだし!
一休はとんち効かせすぎの策士だし(トマと並んでロワ中最高クラスの道具使いだ)!

いや、すごい。カオスすぎてwktkしっぱなしだ。改めてGJ。
196名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 01:42:50 ID:+yJRoYtQ
両者とも乙彼。

リディアは出番少なかったからいつか間引かれそうだなとは思ってたけど、ここまで力入れてもらえるとは予想外。
ただ最期の遺言は、個人的には修正前のイエロー入りのほうが誤解フラグが多く撒かれて良かったかも。
自分を殺した相手よりも、レッドを殺した相手のほうを優先して依頼するのも、リディアらしいといえばらしいんだけど。
しかしああ無常って感じだね、ほんとに…。だがそれがいい。GJです。

学校のほうは……なんかもうさらにカオスなことになってる。一人増えちゃったし!
でも3:3:3:2人でパートが分かれたのは、今後見ていく上でとても分かりやすくなりそうでGJであります。
個人的にはコナン組再会なるか…ってところに注目かな。死亡フラグと隣り合わせっぽいけどw
197名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 02:41:37 ID:nD1uoYGv
〜各地の状況まとめ〜

@北東エリア(湖上の城、平原、商店街etc.)
・【G-1/真昼】RHを携えたヴィクトリア、【G-2】にいるウニョラーしんべヱを狙っている?
・【F-3/昼】葵が偽明石薫(ベルカナ)を保護したまま、紫穂を探しに城の外へ逃亡。

@北西エリア(大森林、工場、廃病院、謎の塔、モニュメント跡)
・【C-4/午前】神社にて、紫穂が究極の二者択一を迫られている。
・【B-1/昼】オッドアイにされたミミが倒れている。
・【B-2/昼】グレーテル、遊びに出かける。
・【A-3/真昼】工場にて、光子郎・フェイト・ブルー・イヴの心理戦の火蓋が切られる。
・【B-3/真昼】廃病院にて、シャナと小太郎が瀕死の双葉を救う。
・【C-3/真昼】夢の世界で白レンが蒼星石を懐柔。近くにはタバサも。
・【D-3/真昼】イエローとリルルがレッドの死体を埋葬。ククリが逃亡を企てている。

@中央エリア(学校、森、湖)
・【F-5/午前】橋の下にベルフラウ。アルルゥを追うかみかの所に戻るか迷っている。
・【F-6/午前】イリヤ、橋の上で魔力を使い果たしかけて倒れている。
・【D-4/昼】学校4Fにて、ヘンゼルVSコナンVSメロ。
・【D-4/昼】学校1F保健室にて、一休さんVSリンク&小狼。
・【D-4/昼】学校2F/3Fの階段にて、梨花と灰原が押し問答。
・【E-4/昼】学校近くの森の入り口にて、トリエラVSネギVS金糸雀。
・【E-6/昼】翠星石のローザミスティカに惹かれ、薫・ジーニアス&ベッキーが湖上で遭遇。
・【E-3/真昼】ネス、リディアの死を看取る。「白い女の子」を倒して、と遺言を残される。
・【F-5/真昼】路上で、雛苺VSレックス。
・【F-4/午後】プレセアとアルルゥが森を探索。

@南西エリア(市街地、タワー、山脈、道路)
・【B-5/午前】山麓にて三つ巴が決着。ヴィータ、なのはは気絶中。
・【A-6/午前】グリーン&ひまわりが山頂を目指している。
・【A-7/昼】カツオ、隠れつつも弥彦の動向やキルア組の動向に気を配っている。
・【B-5/昼】山頂の戦闘が了る。ニケ、インデックスの助けを借りてエヴァの治療を試みる。
・【B-5/昼】リリスが空中をどっかに向かって吹っ飛び中。
・【B-6/昼】ビルのロビーにて、目覚めたのび太がきり丸を泥棒と思い込む。
・【B-7/昼】ニア、タワーの展望室にひきこもり中。弥彦が首輪を持って帰るのを待っている。
・【C-8/真昼】千秋、藤木を殺害し黒化。
・【D-8/真昼】弥彦&パタリロが千秋のもとに急行中。

@南東エリア(湖、橋、廃墟、病院、シェルター)
・【G-7/昼】さくら&梨々がリインに導かれ逃亡中。
・【?-?/昼】みか先生、夷腕坊に乗ったままどこかにテレポート。
・【H-5/真昼】はやて&トマがシェルターにワープして九死に一生を得る。アリサと合流。


……なんだ、この過疎と密集の差は。
学校組や工場組など、面白くなりそうな所も多いですが
午前で止まっているキャラたちにも愛の手を。
198名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 02:48:06 ID:1QdfGhco
>>193
投下乙。
状況が組み替えられて……組み替えられて…………コナンオワタw
いや他の所もヤバイ状況なんだけどまあ。
とにかくGJ!
良い感じに展開してます。

一点だけ気になったのが、一休さんのあの問題発言の意味をリンクも認識した事かな。
誰にでも誤解されるっていうよりあの状況とあの二人だからの誤解だった気がするし。
一休さんも変態性○罪者フォームから三つ○がとおるフォームにチェンジしてるしw
そこだけちょっと気になってしまった。
199名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 03:17:19 ID:aiaz2JLb
お二方大作乙!

>>160
イエローとリルルの会話が良かったです。
現状頼りないのび太よりもイエロー達ポケモン勢がリルル更正の鍵を握りそう。
貴重な主人公属性のイエローとネスにはがんばってほしい。

>>193
うまく分散させた手腕に感動。それと筆の速さと質に脱帽しました。
ここに来て金糸雀……おまえってやつはw
コナンのほうはもう弱い考えしか浮かばねーよwww

200名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 11:54:05 ID:CX7mmTvg
あらこのスレは生き残ってる?
201名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 12:05:44 ID:efnQl3hp
次スレに移行していたからね……前スレはスレスト喰らってる。
つまり、削除依頼を受けてもそれより早く作品を投下していけば平気と言うわけだ。

もしくは、下に倣う。
【バト】サブカル的スクールランブルスレ11【ロワ】
http://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1175911824/
202名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 12:40:30 ID:StTWG65o
「男で犯します」と「男手を貸します」では、イントネーションからしてまるで違うんだけどなぁ。
203名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 13:38:34 ID:/tcTATjz
他のはともかく此処とカオスは行き場所無いしな。
204名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 13:44:39 ID:F0bm+o9k
確かに違うけど、対した問題ではないと思う
自分でも信じられない勘違いとか、割とよくあることじゃん
それも、緊張やら疑心やらで万全な状態でもなかったしさ
多少のご都合主義には目をつぶってもいいんじゃないの?
205名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 13:45:19 ID:5Pq0xYLg
小狼なら、そのイントネーションの違いから
勘違いするとは考えにくいのだけど。
206名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 13:55:18 ID:/VmGeiX+
一休さんの時代の日本語は、イントネーションが現在のものと微妙に違うよ。
だから勘違いしたんだ。

なんて理屈じゃダメか?
それはそうと、予約がゼロになってしまったな。どうすべか。
207名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:02:20 ID:zaPmG53s
完全に怪しんでいたから、悪い方向へ悪い方向へと勘違いすることはあると思うよ。
ただ一休さんの丁寧な話し方だと「男手をお貸し致しましょう」となって
「お」が一つ多くなると思う
208名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:14:49 ID:UylaMItY
それを指摘するなら前の時点で言っておくべきだったか
209名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:21:14 ID:Um8cN7Nr
あれはギャグとして面白かったけど

そうだな、「同じオチ2回はいらんでしょ」ってとこじゃないかな
だから気になる
210名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:23:36 ID:StTWG65o
そうじゃなくて、例えば灰原は作中で経験済みなことが暗示されているキャラであり、
オトコデオカシマスを誤解してもおかしくない人生経験を持っていると判断できる。
でも、今回のキャラはどうなのよ、って事。
211名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:27:30 ID:zaPmG53s
いつも完全な丁寧語じゃないだろうし、最初は問題ないと思うよ。
でも一回誤解されたら次は相手の理解し易いように言うと思う。
わざわざ聞き返されたら単語で区切ったり、発音を強調したり、丁寧に言い直したりは
すると思ったんだ。電話口で相手が聞き取れなかったりした時、そうするように。
212名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:31:20 ID:StTWG65o
>>210
いや、流石にそれは違う。
誤解の原因を理解している場合は、言い直すこともあるだろうが、
誤解を招いた言葉は分かっていても、誤解の原因まで一休は理解していないので、
言いなおすことはないと思う。 それに、あくまで状況説明をしていた時に出てきた台詞なんだし、
自分が言った言葉を忠実に再現したという意味では、今回の発言そのものは間違いないと思う。
213 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/07(土) 14:48:06 ID:bsd4riir
厳しい指摘、感謝です。

第四部、保健室での掛け合いを修正する方向でいかせてもらいたいと思います。
できれば今日中、遅くとも明日夜までにはしたらばの修正スレにでも(4部だけ)投下したいと思います。
それから、◆CFbj666Xrwさん、素晴らしいオチを劣化コピーしてしまい、すいませんでした。

調子悪い時に長文は書くもんじゃないですね、やっぱどこかツメが甘い……orz
214名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 14:56:01 ID:Fbesn9Jz
同じネタを繰り返すのはニケのネタで十分
215名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 16:11:49 ID:/VmGeiX+
>>213
修正頑張ってください。あと、お体のほうもどうかお大事に


唐突にお絵かき掲示板が欲しいなー、と呟いてみるテスト
いや、DQとか他ロワのお絵かき掲示板で名場面とかの挿絵が投下されてるのを
見てきたら、ついムラムラと
216名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 17:29:49 ID:xcDeuTgM
>>215
そうやって灰原と梨花のけんぜんなたたかいでハァハァするつもりだろう!
けしからん!


まぁ、俺も絵板がほしい一人だけどね。
217名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 19:05:25 ID:Fbesn9Jz
このスレにはエロガード・エロリップがいる
218 ◆NaLUIfYx.g :2007/04/07(土) 19:08:59 ID:uFXKBNnD
>>128
それを見落としてた……
連絡遅くなってしまいましたが、フェイトがなのは達への思考を入れた修正が必要ですかね?
もし必要であれば修正案を投稿し、問題がないようでしたら明日改行ミスや名前のミスも一緒に修正したいと思います
219名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 20:05:38 ID:OjtyR4/5
>>218
前の話からフェイトらしくなかったので、貴方の責任ではないと思います。
リレーである以上前の話を考慮しなければいけないので、違和感なくフェイトの思考を付け足すのは至難の技だと思いますが……
できるのであれば加筆してほしいというのが個人的な意見。でも、結構時間経ってるのに修正するのっていいのかなあ。
220名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 21:57:25 ID:f/+upfRG
>>217
        几       __ノ       (
      /7´ ̄`\     )  け   私  て
     j u'  J   ハ     く   し  が  (
     |u  二` /__!|    ヘ  か   イ   >
      | y'/::o:} {:o::}|     |  ら  く  (
     } { `ー' ハ.`‐',ノ     ノ  ん  !?   >
    | `ynrr┬n「|   ∠、  !    (
      _} u ヒヒヒヒjワ |__     )       ヽ
  __匚「|  }  }{ ム||、   乙      厂
 ‐-二\\ v' {  /イ//>┐  ⌒\/⌒
     \ヽN_/´ // ノヽ
      ヽ} ノ   〃/  ノヽ
221名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 22:41:19 ID:4THP+Ws8
つい最近このスレの存在を知って今読んでいる途中なんだが……。
読み終わって流れ把握したら書いてみて良いか? ご新規さんは遠慮の方向かな?
222名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 22:57:06 ID:CG3mT7c6
>>221
もちろん歓迎致します。
特殊制限などはwikiのキャラ&アイテム紹介などに大体あると思います。
今までのスレの流れなどで出た意見などもありますので、
分からない事はここか、したらばの質問スレへどうぞ。

もしもロワ自体が初めてなどで、不安があるようでしたら本スレ投下前に一度、
しらたばにあるテスト投下スレへ投下してみると良いかもしれません。
223名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 23:06:44 ID:F0bm+o9k
空気を読む力と、最低限の文章力がある人なら大歓迎ですよ
224名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 23:13:00 ID:4THP+Ws8
おお、有り難う。
ロワは読んだことなら何種類かあるんだが書いたことはないかも。もし書くことがあれば投下スレのほうに投下してみる。その時は宜しくお願いします。
225名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 23:25:23 ID:SU0tzKNJ
わざわざ挨拶しなくてもいいよ
226名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 23:37:26 ID:OjtyR4/5
善意悪意に関わらず結構キツいこと言われることも多いから、そこらへんも覚悟しといたほうがいいよ、とアドバイス。
227名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 23:45:41 ID:nmCLjnM6
後は登場キャラだけでなく作者自身の情熱が伝わるようなssならおk
228名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/07(土) 23:49:36 ID:aiaz2JLb
>>215
絵板じゃないけど、以前神がupしたフランドールは今でも俺の宝。

>>218
修正できるならしてほしいけど、フェイトが
光子郎と工場>なのはたち
と考えるような理由づけなんてあるのかな。
修正するにしても無理はなさらずに。しなくてもこの先の人が少しづつフォローいれてくれる……と思う。

>>224
ここは俺含めて、多分初心者も多いから熱意があればきっと大丈夫。
文章がヒドイという理由で叩かれるなら真っ先に俺が叩かれてるから。
もっと精進しないとなぁ。

229名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:00:05 ID:tsh0UXQQ
>>228
>俺の宝
kwsk
230228じゃないが:2007/04/08(日) 00:07:57 ID:ac8LD3Pe
>>229

   すっぱだか

だった。
231名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:14:08 ID:tsh0UXQQ
( ゚∀゚)o彡°……!……!(声にならない叫び)
232名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:29:49 ID:VHM8v9Ki
はだかと言えば、リルルとイエローの対話のシーンは
よく考えたら全裸ロリ+半裸ロリという物凄い絵面のはずなんだが
微塵もそんな感じがしなかったぜ!
233 ◆o.lVkW7N.A :2007/04/08(日) 00:34:07 ID:rY1so206
工場組(イヴ、ブルー、光子郎、フェイト)を予約したいんですが、
◆NaLUIfYx.g氏の修正を待ったほうがいいのかな?
234名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:36:40 ID:sCUCGYmN
>>233
いや、全く問題ないと思います。
予約の基本は早いモン勝ち、恨みっこなしは基本ルールですよ。
235名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:41:45 ID:sCUCGYmN
と思ったらしっかり修正宣言が出てた。申し訳ないorz
修正されるか、修正期限の二日過ぎるかしたら予約解禁なのかな。
236名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:43:51 ID:VHM8v9Ki
>>234
いやいや、ちょっと待てそういう問題じゃない。
別に予約するのはいいだろうけど、
修正内容次第では◆o.lVkW7N.Aさんのプロットにも変更が生じてしまうかもしれないし
我慢して待ったほうがいいと思う。
……というか、もしかして◆KGrqH6mOIw氏と◆NaLUIfYx.g氏を勘違いしてる?
237名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:44:13 ID:jR1FAQLx
いちばんいいのは◆NaLUIfYx.g氏がどうするのかをはっきり言ってくれればいいんだけど。
一応、それまでは待っていたほうがいいのかな。
238名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 00:44:49 ID:ac8LD3Pe
>>232
もし絵になったら木漏れ日が差し込む中で話す神秘的な絵面になりそうだぜ。

イエローはその前にリディアにフードまくられてるから
両者とも全裸かなと一度思ったけど剥ぎ取られてはいなかったんだな。
239 ◆o.lVkW7N.A :2007/04/08(日) 01:03:38 ID:rY1so206
>>236
そうですね。自分もまだ、ようやくプロットが作り終わった程度の進み具合ですし、
◆NaLUIfYx.g氏の修正が終わってから改めて予約し直したいと思います。
240名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 01:08:41 ID:ZnhE91Zs
>>228
>>230

………再up、お願いしてもいいでしょうか?
241名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 01:15:28 ID:jR1FAQLx
>>240
作者じゃないから再upはちょっと……。
upした方はトリ付けていなかったから本人確認もできないしなぁ。
話題に出しておいて何だけど、スマンがあきらめてくれ。
242 ◆NaLUIfYx.g :2007/04/08(日) 10:10:17 ID:t3EFjlaq
一応修正案を修正スレに投稿しました
問題があるようでしたら意見をお願いします

問題がありましたら無責任かもしれませんが、後続の人達に任せたいと思いますorz
243名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 10:16:39 ID:32IPBcqY
ところで今更だが二人以上いる作品でちびまる子勢早くも全滅。
244名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 10:24:25 ID:BRxy3OSr
>>243
ほんと今更だな。一人参加作品が逝っていく中よく頑張ったほうだとは思うけど。
245 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/08(日) 12:19:45 ID:bhVVPYiu
修正スレに、先日お約束した「混沌の学び屋にて(4)」の修正版を投下しました。

掛け合いを中心に修正し、小狼とリンクの誤解を「一休は人間ではない」という所に集中させました。
最初っからこうしておけばよかったと反省してます……。
246名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 13:09:52 ID:oG7DNoAl
二人とか一人参加のキャラが散っていく中、なのはキャラは五人ともまだ健在なんだよな…
247名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 13:20:27 ID:vps5Pfo0
参加人数の問題ではなく、非日常に慣れているかいないかじゃないかな?
248名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 13:55:24 ID:ESboPDBP
>>242>>245
お二方、素早い修正乙です。
自分はこれで大丈夫だと思いますが…


ついでにまとめてみたもの。もし失礼だったらごめんなさい。

【ろりしょたろわ閻魔帳】(各書き手殺害数ランキング)
1位(4人)◆uOOKVmx.oM氏:しんのすけ、丈、よつば、藤木
2位(3人)◆3k3x1UI5IA氏:ジャイアン、真紅、フランドール
3位T(2人)◆RW6PC/GPu.lI氏:レッド、神楽
3位T(2人)◆CFbj666Xrw氏:ゴン、永沢
3位T(2人)◆NaLUIfYx.g氏:レン、乱太郎
3位T(2人)◆IEYD9V7.46氏:翠星石、ビュティ
3位T(2人)◆aAwQuafMA2氏:サトシ、リディア
8位T(1人)◆o.lVkW7N.A氏:ちよ
8位T(1人)◆gMrrx6WqIM氏:ジュジュ

気合いの要る死亡話だけあって、主力の人や上手い人が多い。
ご褒美を獲得できる書き手が二人もいるw
249名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 14:05:06 ID:BRxy3OSr
参加者の中で非日常に慣れている面子。
【魔法少女リリカルなのは】高町なのは/フェイト・テスタロッサ/ヴィータ/八神はやて
【ローゼンメイデン】真紅×/翠星石×/蒼星石/雛苺/金糸雀
【魔法陣グルグル】ニケ/ククリ/ジュジュ・クー・シュナムル×/トマ
【ポケットモンスターSPECIAL】レッド×/グリーン/ブルー/イエロー・デ・トキワグローブ
【デジモンアドベンチャー】八神太一/泉光子郎/太刀川ミミ/城戸丈 ×
【ドラえもん】野比のび太/剛田武×/リルル
【魔法先生ネギま!】ネギ・スプリングフィールド/エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル/犬上小太郎
【絶対可憐チルドレン】明石薫/三宮紫穂/野上葵
【落第忍者乱太郎】猪名寺乱太郎×/摂津のきり丸/福富しんべヱ
【名探偵コナン】江戸川コナン/灰原哀
【BLACKLAGOON】ヘンゼル/グレーテル
【クレヨンしんちゃん】野原しんのすけ×/野原ひまわり
【ドラゴンクエストX】レックス(主人公の息子)/タバサ(主人公の娘)
【DEATH NOTE】メロ/ニア
【メルティブラッド】白レン/レン
【カードキャプターさくら】木之本桜/李小狼
【テイルズオブシンフォニア】ジーニアス・セイジ/プレセア・コンバティール
【HUNTER×HUNTER】キルア/ゴン ×
【東方Project】レミリア・スカーレット/フランドール・スカーレット ×
【吉永さんちのガーゴイル】吉永双葉/梨々=ハミルトン
【ヴァンパイアセイヴァー】リリス
【MOTHER】ネス
【サモンナイト3】ベルフラウ=マルティーニ
【Fate/stay night】イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
【みなみけ】南千秋
【武装錬金】ヴィクトリア=パワード
【BLACKCAT】イヴ
【からくりサーカス】才賀勝
【銀魂】神楽 ×
【ひぐらしのなく頃に】古手梨花
【灼眼のシャナ】シャナ
【とある魔術の禁書目録】インデックス
【るろうに剣心】明神弥彦
【ボボボーボ・ボーボボ】ビュティ ×
【ゼルダの伝説】リンク(子供)
【ベルセルク】イシドロ
【うたわれるもの】アルルゥ
【パタリロ!】パタリロ=ド=マリネール8世
【ポケットモンスター(アニメ)】サトシ ×
【SW】ベルカナ=ライザナーザ
【Gunslinger Girl】トリエラ
【FINAL FANTASY4】リディア ×

参加者の中で非日常に慣れていない面子
【魔法少女リリカルなのは】アリサ・バニングス
【ちびまる子ちゃん】藤木茂×/永沢君男×
【よつばと!】小岩井よつば×
【ぱにぽに】レベッカ宮本
【あずまんが大王】美浜ちよ×
【サザエさん】磯野カツオ
【せんせいのお時間】鈴木みか
【一休さん】一休さん

完全に主観。
完全一般人と思われる面子もそこそこ生き残ってるし、むしろ戦闘経験とかある面子の死亡率が
多かったりする。
250名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 14:13:01 ID:aNsNu/Si
>【みなみけ】南千秋
意義あり!
251 ◆o.lVkW7N.A :2007/04/08(日) 14:18:01 ID:rY1so206
>>242
修正読みましたが、問題ないと思いますよ。
フェイトが今までろくに友人を心配するそぶりが無かった理由付けが、
違和感無く出来ていて、実にGJです。

氏の修正も終わったので、正式にフェイト、光子郎、ブルー、イヴの予約をしたいと思います。

>>249
戦闘経験の少ない面子のほうが、自分から危ない場所に首を突っ込もうとせずに、
どっかにひたすら隠れてたり、逃げ回ったり、っていう慎重な対応をとるからね。
252名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 14:32:33 ID:ESboPDBP
ヘタに戦闘経験あって、でも実力は達人と超人の狭間くらいの半端な子は
ムチャシヤガッテ率が高いからなあ……レッドとか神楽とか翠星石とか
253名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 16:06:38 ID:32IPBcqY
>【ぱにぽに】レベッカ宮本
喋る二足歩行のウサギを従えてるのに?
254名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 17:19:40 ID:vps5Pfo0
【みなみけ】ってサザエさん並みに日常だよな。ピーマン食べるだけで1話使ったりw
今時サンタを信じているなんて非現実的かもしれないけどw
255 ◆NaLUIfYx.g :2007/04/08(日) 17:20:54 ID:t3EFjlaq
それといった問題点もなく大丈夫そうだったんで
改行と名前と修正スレに投稿した内容をWIKIにて修正しました

後白レン、イシドロ、蒼星石、タバサを予約したいと思います
256259:2007/04/08(日) 17:54:30 ID:BRxy3OSr
ごめん。適当にやったから色々間違えた。
笑って許してくれ。
257名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 18:29:52 ID:dIZoRFKA
誤爆?
258名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 18:31:35 ID:vps5Pfo0
>>256
誰も怒りゃしないって。ツッコミは入れるけどw
259259:2007/04/08(日) 18:42:25 ID:aNsNu/Si
呼んだか?
260名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/08(日) 22:00:53 ID:ESboPDBP
【予約状況】
4/08(日)の予約 (〜4/11(水)まで)
◆o.lVkW7N.A :フェイト、光子郎、ブルー、イヴ
◆NaLUIfYx.g :白レン、イシドロ、蒼星石、タバサ


【現在の状況(各地の時系列・地域ごとまとめ)】>>197
【現在の状況(MAP)】
ttp://www25.atwiki.jp/loli-syota-rowa?cmd=upload&act=open&pageid=8&file=romap1142.gif

【学校組の状況】>>193
261名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/09(月) 10:20:13 ID:AyRc4qGx
規制されたと思って焦ったらVIPだけだった
262名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/09(月) 19:40:42 ID:6xpjbyj1
死亡者が1/4に手が届くというのに、まだ放送前という状況を焦るべきかもしれない。
5月までには放送まで扱ぎ付けるのだろうか?

ゴールデンウィークには予約ラッシュが訪れそうだけど。
263名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/09(月) 21:23:39 ID:AyRc4qGx
ヒント:アニロワ
264名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/09(月) 21:50:20 ID:gLW/IlQe
放送の間隔が違うからな。
265名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/09(月) 23:26:27 ID:01Zqwp4l
アニロワと同じペースだったら、こちらの最初の放送までにあと9人死ぬことになるw

ついでに、例のものを作ってみたので報告。
http://oekaki2.basso.to/user11/hisou/
間違ってアップロードできないの借りちゃったよ……(´・ω・`)
266名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 00:47:35 ID:2kIh3lCv
>>265
アップロードは出来ないのか。
それでもGJだ!
アップロードは外部ろだでも行けるしね。
267名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 08:31:59 ID:Vt5+F1TU
>>265
絵板をたてただけでもGJだよ。
まとめにリンクした方がいいのかな?
268名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 12:06:58 ID:88WY2C/R
>>248
ぜひ次は脱がした人数を集計して欲しいw
269名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 12:34:22 ID:5z2jWaH1
【ろりしょたろわ裏閻魔帳】(各書き手脱衣数ランキング)
1位(5人)◆CFbj666Xrw:フランドール、灰原、梨花、レミリア、プレセア
2位(3人)◆aAwQuafMA2:リルル、イエロー、レッド
3位T(1人)◆M42qaoJlNA:イエロー
3位T(1人)◆Nxwpg0XSAk:インデックス
3位T(1人)◆3k3x1UI5IA:紫穂
3位T(1人)◆o.lVkW7N.A:藤木
3位T(1人)◆uOOKVmx.oM:ベルカナ
3位T(1人)◆ou3klRWvAg:ブルー

着替え描写をカウントしようかどうか迷ったけど、とりあえずナシで
「脱げた」「脱いだ」のだけカウント。数え漏れとか間違いとかあるかも。
270名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 14:31:22 ID:88WY2C/R
>>269
GJ! みんなで寄ってたかって脱がしているイメージがあったけど、意外と偏ってたのねw
271名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 16:20:22 ID:vfugBpcl
>>269
ちょwwお前www
GJ!
272名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 16:32:42 ID:UN/u11TX
◆CFbj666Xrwは神
273名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 16:51:32 ID:0IrVlLPa
藤木wwwwwwwwwww
274名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 17:04:03 ID:b1JzmcL9
藤木は火傷した話で既に半分脱げてたから、そっちの作者さんも追加するべきかもw
っていうか、藤木が脱げても嬉しくもなんともねーwww
275名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 17:13:59 ID:88WY2C/R
次は血塗れ泥まみれな弥彦あたりが脱ぐのかな?
276名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 17:57:12 ID:5GREgtkn
>>275
あまりショタのは見たくねぇな……
それよりも梨花ちゃまか哀ちゃんの(ry
277名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 18:47:53 ID:88WY2C/R
じゃあエヴァ様辺りでw

インデックス「治療するにはまず対象の服を脱がして・・・」
ニケ「な、なんだってー!」
278名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 19:00:06 ID:vGMPmVn1
>>277
残念だ。原作だと服を脱がせる描写はない。
……能力制限の影響で、治すのに服が邪魔というふうにしてもいいかなぁ?
279名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 19:03:25 ID:sS6WK8oo
このロワ見ていると脱ぐのが自然に見えるから困る。いや、いくつか無理のある脱がせ方もあったけどさw
とにかく、脱がせる書き手が多いなら、俺は着せる側に回るだけだぜ!
……時間が欲しいなぁ。
280名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 19:08:22 ID:0vOdO8vl
>>279
脱がす→着せる→脱がす→着せる、のサイクルになる予感
とりあえず、死ぬときくらいは服を着せてやりたいが

忙しい時期を乗り越えて、4月下旬ぐらいになったらまた人も戻ってくるさ
281名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 19:16:49 ID:s1Zm1yvG
「花中島マサル流、正しいコーヒーの淹れ方」をロリショタの誰かに実践させればいいんだよ!!!



……まー無理があるにも程があるけどな
282名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 19:21:33 ID:0vOdO8vl
>>281
1.脱ぐ
2.たたむ
3.コーヒーをつくる
4.砂糖と塩を間違える

洗脳を受けたドジっ子ロリが
かいがいしく裸でコーヒーを注いで給仕するという電波を受信した
283名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 20:12:04 ID:AOn7QClJ
なんか「次に脱ぐのは誰だ!」って感じだな。せっかくだから俺も予想させてもらうぜw

インデックス「治療魔法を使うには腰ミノ一枚で間抜けっぽく踊りながら三べん回って……」
ニケ「こ、こうか……って本当に必要なのかよ!」
インッデクス「ププ……もちろんよ。プププ……」
284 ◆o.lVkW7N.A :2007/04/10(火) 21:02:54 ID:DqRLyO/g
工場組、投下します。特に誰も脱がなくてごめんなさいw
「そういうわけで、僕達は特に誰とも会っていないんです」

洗面所の流水で髪に付いた血を洗い流し、濡れ髪のイヴが戻って来ると、4人はまず情報の交換を始めることにした。
工場の床へ直にぺたんと膝を折り、車座になって座ると、まず光子郎が先陣を切って話し始める。
とはいえ、開始直後にフェイトと出会ってからは、ほぼずっとこの工場内を調査していた彼に、さほど話せる内容は無い。
すぐに大方の説明をし終えてしまい、仕方なく自分の右隣に腰を下ろしていたフェイトへと話を振った。
だが、光子郎に話せることが少ないのなら、彼と常に一緒にいたフェイトにだってそれは同様に決まっている。
結局フェイトも、光子郎の話した事柄に二、三の点を付け加えただけで終わった。

「それで……、イヴさん達の話ももう一度詳しく聞かせてもらえませんか」
「光子郎さん!」

先ほど二人は半興奮状態にあったため、廃病院での事件について系統立った話を聞くことは出来なかった。
精々聞き取れたことと言えば、ピンクの髪の女の子に襲われたことと、その子を返り討ちにして殺してしまったことの二つくらいだ。
だが、それが全て事実だとは限らない。彼女達の言葉が、嘘やハッタリ、誇張で塗り固められている可能性は大いに在る。
そのため光子郎は、より踏み込んだ詳細を聞きたがった。
病院での一件に付いての全容を彼女らに語ってもらうことで、そこに何らかの矛盾が無いか見極めようと考えたのだ。
訊きにくい質問にも躊躇せず、ズバリと切り込んだ光子郎に、しかし隣のフェイトは批判の声を上げる。
少々非難交じりの目つきを光子郎へと向けると、自身の首を横へ振りながら彼女は告げた。

「やめませんか? ……イヴさんもブルーちゃんも、あんまり思い出したくないでしょうし」

フェイトさんは優しい人だな、と光子郎は思う。彼女が二人を全く疑っていないのは見て分かるとおりで、それが、光子郎には少し羨ましかった。
自分はきっと、彼女のようにはなれないだろう。彼女や、或いはこの場にいる自分の親友達――太一さんや丈さん、ミミさんのようには。
光子郎は、自分が他の小学四年生と比べれば異常なまでに慎重で用心深い、まったくもって可愛げの無い子供であることを理解している。
それが悪いことだとは思っていない。それも含めて自分という人間の個性なのだと、今ではそう割り切って考えられる。
けれどやっぱり、眩しいのだ。彼女達のように、無条件で人を信じることの出来る相手が。
ろくに知らない自分をサッカー部へ引きずり込んだ太一や、出会ったばかりの少女達を全面的に信頼しているフェイトのような人が、眩しくて仕方ない。
彼らの持つ光は、恐らく自分には生涯かかっても獲得することが不可能なのだろう。――それが分かっているから、本当はちょっと恨めしい。
とはいえ光子郎は、そのことについて悲観したりなんてしない。彼は自分の限界を知り、そしてだからこそ思うのだ。

自分がどう足掻いても持てないものなら、僕はせめて『それ』の持ち主を守ってみせよう、と。

「辛い記憶を話せと言っているのは、分かっています。ですが――」
「いいわ。二人にも、ちゃんと聞いておいてもらいたいもの」

光子郎の頼みを予想以上にすんなりと聞き入れ、ブルーは自身の身に起こったことをもう一度話し出した。

学校で、一休と言う坊主に『痛くてひどいこと』をされ、恐怖から必死で逃げ出したこと。
右も左も分からずに森の中をさ迷い歩き、偶然発見した病院らしき建物に縋るような思いで駆け込んだこと。
そこでイヴとビュティに出会い優しくされ、漸く安心できたと思ったこと。
そして、――それなのに何の前触れも無しに、突然悲劇が訪れてしまったこと。

「ビュティさんはきっと、本当は悪い人だったのよ」
「それなんですが……、何かきっかけに繋がるような出来事はなかったのですか?」
「分からないの。でも、私達ちょっと口喧嘩みたいになって、そうしたら急にビュティさんが……」

その光景を思い出し、再び恐怖に襲われたのか、ブルーはひっくひっくと喉をしゃくり上げ始める。
目尻にぷっくりと涙が溜まっていくのを目にし、流石の光子郎も「もう、それ以上はいいですよ」と優しく告げた。
彼は相当に冷静な現実主義者でこそあったが、決して冷徹な人非人というわけではない。
泣きかけている少女にこれ以上辛い記憶を思い返させることなど、到底出来なかった。

――結局のところ、光子郎にだって十分に、彼が言うところの『光』は存在するのだ。
単純に、彼が認識していないだけで。



     *     *     *

今にも泣き喚きそうだったブルーを、何とか宥め落ち着かせると、四人は情報交換を再開し始めた。
特に誰が提案したと言うわけでもなかったが、話の流れは自然、それぞれの持つ支給品についてとなる。
仮にこのまま協力関係を続けるのならば、互いの所持品が何であるかを、皆が知っておかねばならない。
誰が何を持っているのか、それがどんな役割を果たすものなのか。
そういった共通認識がしっかりしていなければ、共闘する上で、まともな連携が取れないからだ。
しかし光子郎は、まだ眼前の二人に対し、百パーセントの信頼を抱いているわけではなかった。
そのため彼は、自分の支給品について、完全にその機能を紹介しようとはしなかった。




「僕の支給品は、このマフラーと人形だけです」

光子郎は首に巻いた『風の剣』に片手を添え、もう一方の手でジャスタウェイを軽く掲げた。
その手の中にある二品を見たブルーが、半信半疑と言った感じで唇を尖らせ、光子郎にずいと詰め寄る。
さっきまで半泣きだったのが嘘のように、活き活きとした表情だ。

「本当にそれだけ? だって、それじゃ光子郎、誰かに襲われても戦えないじゃない」
「ははっ、そうですね。どうやら僕は大外れを引いたみたいです」

おどけるような笑顔を作り、些か強引に話を打ち切ると、光子郎は首を真横に捻ってフェイトへ視線をやった。
支給品の正体を知っているフェイトは、光子郎に対して呆れるような表情を浮かべていたが、深くは気にかけないでおく。
光子郎は話題の焦点を無理やり彼女へと移すかのように、少々唐突に、フェイトへと話を振った。

「でもそれを言うなら、フェイトさんだってそう変わりませんよね?」
「そんな……! それは、確かに、変なものも入ってましたけど……」

顔を赤くして光子郎に食って掛かるフェイトに、ブルーが興味深げに顔を寄せた。
少女の瞳は好奇心旺盛にくるくるとよく動き、眼前の光景を何一つ見逃さないぞとでも言いたげだ。
立ち上がり、ぴょんぴょんと兎のようにその場を跳び上がって、フェイトのランドセルを覗こうとする。

「変なものって何? フェイトのランドセルには何が入ってたの?」
「私の支給品は、このツルハシと、魔力が回復するらしい蝶の入った籠、それから……」
「それから?」

催促するブルーの言葉に、フェイトの色白の頬がますます朱に染まる。
別に彼女が恥ずかしがる必要は無いと思うのだが、それでもやっぱり、笑われることを恐れているのだろうか。

「……これ、です」
「…………さとうきび?」
「はい……、さとうきび、です」

気まずい沈黙が、波のようにその場へ押し寄せる。何せ、モノはさとうきびだ。誰だって反応に困る。
勢い込んでいたブルーですら、フェイトの握ったさとうきびに目をやりながら、くしゃみでも我慢しているような表情をしている。
あまりに珍妙な支給品に吹き出しそうになるのを耐えているのか、口元を掌で覆いながら笑声交じりに尋ねる。

「これ、何に使うの?」
「さあ……おやつ、とか」
「おっ、おやつってフェイトさん……まさか、それを齧る気ですか」

フェイトのぼけた返答に、思わず光子郎も堪えていた笑い声を盛大に上げてしまう。
からかうようなその言葉に羞恥心を煽られ再び眦を赤くすると、もう自分の番は終わったとばかりにフェイトはぷいと横を向いた。
右隣のブルーと丁度目が合ったのをこれ幸いと、少し上擦り気味の高い声で話しかける。

「ブルーちゃんの支給品は、このカードとお面?」

少女の手に握られていた二品を見てそう尋ねたフェイトに、しかしブルーは左右に首を振って否定の意を示した。

「ううん、これはイヴさんとビュティさんに交換で貰ったの」
「支給品を交換したの?」
「ええ。最初に二人に会ったとき、イヴさんがスタンガンとカードを交換しないかって聞いてきたの。
 私がやだって言ったら、ビュティさんのお面もくれるから、それならどうって」

その答えにフェイトが納得して相槌を打つのにやや遅れ、光子郎も気になっていた点を質問する。

「他にも色々あるようですが、こっちの品々は一体?」

彼の目に留まったのは、ブルーのランドセルから覗いている大小様々な物品の数々だった。
ごちゃごちゃと雑多に収納されたそれらを、ブルーは宝物のように恭しく取り出してみせる。
チョークが山ほど詰め込まれた薬箱、少女が着るにはかなり大きすぎるサイズのナース服。
中でも一段目を引いたのは、赤と青に彩色されたカラフルな薬剤入りのガラス瓶だった。
大粒のそれは、見ていると吸い込まれそうな半透明をしていて、一見飴玉のようにも思える。

「これは、学校にあったの。それからこっちは、全部病院で見つけて、役に立つかと思って持って来たのよ」
「この瓶に入っているのは、何の薬ですか?」
「分からない。……だって、キャンディみたいで綺麗だったから」

そう返され、光子郎は小さく吐息する。手にとってよくよく見ても、瓶にはラベルなどが貼られておらず薬効は記されていない。
これでは、万が一誰かが怪我や病気に見舞われたとしても、安易な投与は出来ない。何せ、最悪、毒薬の可能性すらあるのだから。
光子郎は正体不明の薬瓶を二、三度上下に振ってみたものの、乾いた音がカチカチ静寂の中で鳴り響いただけだった。
両腕を伸ばして返却を迫るブルーにガラス瓶を手渡すと、光子郎はここまで殆ど会話に加わらなかったイヴへと瞳を向けた。
にっこりと笑みを作って視線を合わせると、異様に存在感の希薄な彼女へ言葉をかける。

「イヴさんは、何を支給されたんですか?」

あれだけ無口ならばすぐには応えてくれないかもしれないとも思ったのだが、その予測は徒労だった。
イヴは依然光の失われた双眸でこそあったものの、光子郎の問いに対して即座に口を開いた。
だがその言葉尻は、やはり重苦しくゆっくりゆっくりとして、さながら亡者が墓場で紡いでいるかのようだった。

「……私の元の支給品は、サングラスとこのカードでした。
 でも、サングラスはすぐにビュティさんの持っていたアタッシュケースと取り替えてしまって」
「それが、今持っているそのケースですか?」
「………はい」
「その傘は? それも支給品のアイテムだと思っていたのですが」

鬱々とした声音で返答するイヴにかなり辟易としながら、光子郎は質問を続けた。
開けたランドセルの隙間から長い傘の柄が一部分飛び出ているのを、彼は目敏く見つけていた。

「これは……ビュティさんに支給されたものです。置いて、いけなかったので……。
 本当は、交換したサングラスも一緒に持ってきたつもりだったんもですが、どこかに落としてしまったようで」
「なるほど、分かりました」

その言葉を取り敢えずの合図として、所持品についての情報交換の場は一旦終了を遂げた。
だが、当の光子郎は思考停止を良しとせず、ブルーとイヴの話を頭の中で噛み砕いていた。
時系列を中心として、冷静に事実を考察してみる。
開始直後、ビュティに出会ったイヴは、彼女と協力体制をとることを決め、アタッシュケースとサングラスを取り替え合った。
その後、彼女らの元にブルーが姿を見せたことで二度目の物品交換が行われ、結果、ブルーは二枚のカードとお面を、イヴはスタンガンを手に入れた。
彼女達が行ったこの一連の行動の中で、光子郎が引っ掛かりを憶えたのは、ビュティとイヴが最初の支給品交換を行った理由であった。
道端に落ちている何の変哲も無い石ころを、わざわざ他人と交換する阿呆はいない。
まあ、よほどの幼い子供ならばありえるかもしれないが、それだって当人にとっては、可愛い形や綺麗な色といった価値が存在している筈だ。
交換される品には何らかの価値がなければならない。無価値なもの、不必要なものは、交換の俎上には絶対に上がることがないのだ。
これを前提として一歩推論を推し進めると、高確率で確信できる事実が幾つか浮かび上がる。

まず初めに、アタッシュケースとサングラスには何らかの付加価値が確実に存在している。
何の用途も無いただのアタッシュケースとサングラスなど、誰もすすんで交換を交わしはしない。
自分に支給されたマフラーそっくりの剣のように、何か特殊な能力を持った道具だと考えるべきだろう。
そして、そうだとすればイヴがビュティを殺害した凶器に関しても、一応だが推測が出来る。
彼女がビュティを殺したときの所持品のうちで凶器になりそうなものは、一見スタンガンだけのように思える。
だが、おかしなことに先ほどイヴは血塗れであった。スタンガンでは、どうやっても頭から血を被るような殺し方は出来ない。
それを考慮すれば恐らく、真の凶器は彼女が大事そうに抱え込んでいるあのアタッシュケースの中だ。
多分ではあるが、ケースの中には何か鋭利な刃物が仕舞い込まれているのだろう。
『付加価値がある』のが確定的なサングラスも、見当たらないと言うのは嘘で、その中に隠匿されているのかもしれない。

光子郎はアタッシュケースの中に入っている武器の存在を九割方確信した。
ちょっとした思い付きでも告げるかのように軽い調子で、左横のイヴへと頼んでみる。

「イヴさん、そのアタッシュケース、調べさせてもらえませんか」

鎌をかけるつもりもあった。自分の推論が完全に正しいとまでは、彼も思っていなかったから。
だがその発案に対するイヴの反応は予想以上であり、言葉は無くとも『何かある』ことを如実に表していた。

「い、嫌です……。触らせたくありません」

さて、光子郎には当然知りえないが、イヴが彼の申し出に反対するのはある意味で当たり前のことだった。
彼女は先刻この扱い辛い道具により、自分の意思に反してビュティを傷付けてしまったのだ。
いつもスヴェンの側でウェポン・ケースの使用法を見ていた筈の自分ですら、何処にどの武器が収納されているか明確には把握できていない。
全く知識の無い素人が考え無しに触れれば、それこそ一瞬で命を奪われてしまう。
イヴは、これ以上誰かを犠牲になどしたくは無かった。
自分を『許し』てくれたブルーは勿論のこと、血塗れの己を受け入れてくれた光子郎とフェイトも例外ではない。
彼ら三人をむざむざ危険な目に合わせる可能性のある選択など、出来ようはずも無かった。
だから彼女は、自分勝手と言えるほど意固地になって、光子郎の提案に反抗する。
彼女は己の腕の中にあるアタッシュケースをきつく抱き留めると、首を激しく左右に振って声を荒げた。
焦りから汗が首筋を線になって流れ落ち、ぽたりぽたりと衣服の襟に薄い染みを作る。

「……これは私の物ですから。あなた達には渡しません!」
「どうしてですか? 何か、僕達に見せられない理由があるんですか」

イヴへ詰め寄った光子郎が不審そうに眉根を顰め、重ねてそう問い掛ける。
だがイヴに、その理由を正直に答えられはしなかった。
アタッシュケースを渡せない理由は簡単だ。それが危険だから。容易に人間の命を刈取れるだけの道具が山と詰まっているから。
だが、そのことを説明するには、恐らくビュティとの一件を話す必要がある。
よく知っている筈の自分でさえ、『間違えた』のだと。だから、他者に触れさせるのは薄氷を踏ませるようなものなのだと。
アタッシュケースがどれほどの力を秘めているのか、その威力を教示するのに、そのエピソードは申し分ない。
それを告げれば、きっと光子郎も納得して、欲求の矛先を収めてくれるだろう。
けれどイヴにとってそれは地獄への分厚い扉であり、簡単に俎上へ載せられるものではない。
暗く重い闇の中のような記憶は思い出すのすら苦痛で、まともに言葉にすることなど到底不可能だった。
そのためイヴは、光子郎の追求にも口を濁すしかなく、しどろもどろになりながら困り顔で答えた。

「そんなものは、ありません。ですが……」
「だったら、なぜ嫌がるんです」
「それ、は……」

その煮え切らない態度に僅かな苛立ちを感じた光子郎が、彼らしくなく声を荒げる。
一方のイヴは迷いから唇を噛み締めたまま、目を伏せてタイル張りの床をじっと見つめている。
真実を言いたい。言わなきゃ。……けれどやっぱり、どうしても言えない。
相反する二つの想いがイヴの全身をチクチクと苛み、心までも真二つに引き裂かんとする。
血と同色をした涙を流してじくじくと痛む胸中が、純粋なイヴの精神に不可視の傷痕を付けていく。
鋭い痛みはイヴから思考を、理性を強引に奪い、同時に幾つもの言葉を盗み取った。
今のイヴに正常な判断力は存在せず、まっとうな弁解も可能な状態ではない。
おろおろとするばかりの彼女を救ったのは、隣に座っていた少女の一声だった。

「――――イヴさんをいじめないで!!」
「ブルーさん……」

唐突に割り入ってきたブルーの甲高い懇願に、イヴは吃驚した表情で面を上げた。
ブルーは湯気でも立ちそうな勢いで顔を赤くすると、怒り心頭といった面持ちで光子郎に突っかかる。
立ち上がり、小さな身体をいっぱいに背伸びさせて、彼女は涙混じりに叫んだ。

「イヴさん、悪い人じゃないよ。どうして光子郎はイヴさんをいじめるの!?」

泣き顔の幼子に敵う人間はいない。光子郎もその例に漏れず、突然のブルーの責めに思わず追及の手を止めた。
いささか渋々とではあるものの、イヴに対する言葉を一旦収めると、未だ半泣きのブルーに向き直る。

「いじめているわけではないんですよ。ただ、気になることがあっただけで」
「でも光子郎は、おっきな声を出して怒ってたよ? イヴさん、怖がってたもの」
「ですから、それは……」
「光子郎さん。……もう、それくらいにしておきませんか?」

ブルーの言葉に反論しようとした光子郎を嗜めたのは、少し躊躇いがちなフェイトの一言だった。
もうこれ以上諍い合う三人を見たくないと言いた気な表情で、彼女は縋るように続ける。
その顔には精神的な疲弊が色濃く見られ、彼女がこの状況に消耗していることがありありと分かった。

「ブルーさんの言うとおりですよ。さっきの光子郎さんは、その……ちょっと怖かったです」
「フェイトさん、それは……」

フェイトが口にしたその台詞に少なくはない衝撃を憶えながら、光子郎は瞬間的に反駁しかける。
自分が、決して何の根拠も無しにイヴを問い質したわけではないと、少なくともフェイトには理解して貰いたかった。
光子郎は彼女に向けて口を開きかけ、――しかし後一歩のところまで出し掛けた声を、喉の奥で無理やり飲み込んだ。
視線の先にあった、驚くほど青褪め疲れ切った彼女の表情が、対した光子郎からそれ以上の議論の意志を奪う。

「……そう、ですね。すみません、僕が言い過ぎました」

光子郎が仕方なく諦念してフェイトにそう告げると、彼女は安心したように顔を綻ばせて微笑した。
その笑みは未だどこか痛々しかったが、争いの芽を摘むことが出来た自身への微かな誇りのようなものが感じられる。

「そうですよ。光子郎さんは、ちょっと考えすぎなところがあります」
「ははっ、かもしれませんね」

光子郎は、フェイトの笑顔を横目にそう冗談めかして告げると、イヴとブルーへ順に頭を下げた。

「お二人とも、気を悪くさせてしまって失礼しました。責めるつもりは無かったのですが、少し感情的になってしまって」
「光子郎、もうイヴさんに怒らない?」

ブルーが、まだ少し先ほどの怯えを引きずった様子で、心配そうにおずおずと尋ねてくる。
光子郎は精一杯の笑顔を作ってみせると、彼女の顔を覗き込んで返答した。

「ええ、勿論。イヴさんにもブルーさんにも、もう怒りませんよ」
「だったら良かったわ。イヴさんも、これでもう仲直りでいいよね?」
「……はい」

細い声でそう答えるイヴに駆け寄ると、ブルーは心底嬉しそうに「よかった!」と叫んで彼女へ抱き付いた。
唐突なその行為に少々躊躇いながらも、イヴはブルーを両腕でそっと抱きかかえる。
その姿を横目で眺めながら、光子郎はこの場の誰にも気取られぬよう、極めて静かに息を吐いた。

――――真実を突き止めなければ。

光子郎にとって、今なお彼女達二人は疑惑に満ちた存在だった。フェイトの手前一旦は引いたものの、この程度で諦めるつもりなど毛頭無い。
二人に対しての疑念は、先刻よりも増大しており、脳裏を過ぎる違和感はどうあろうとも拭い切れなかった。
中でもイヴは、引っ掛かる点が多すぎる。今の口論も、彼女が頑なにアタッシュケースを渡そうとしなかったのが最大の原因だ。
あのアタッシュケースに何かが仕込まれているのは最早自明の理だが、その正体が判明しないうちは迂闊に手を出しにくい。
或いはさっきの対応がそれを狙ってのブラフであり、あの中には本当に何も入っていないと言う可能性も考えられるが――。
光子郎は脳裏に掛かる霞を追い払うように頭を左右へ振って吐息し、天を仰いだ。
青空でも見えればもう少し気が晴れたのかもしれない。だが彼の頭上にあるのは、無骨な骨組みを露にした工場の天井だけだった。

     *     *     *

先ほどの衝突から、約半時間が経過していた。
淡々と流れる時間は全く楽しいものではなく、彼らの間には隠し切れない陰鬱さが滲み出ていた。
会話が全く無いわけではない。特にフェイトは、必死に四人の中を取り持とうと、色々な話題をひっきりなしに提供している。
彼女の親友、高町なのはの人となりや、経験してきたいくつもの事件の顛末など、その内容は様々でどれも面白おかしい。
だが残念なことに、彼女の話に乗ってくれる相手は一人しかいなかった。
光子郎はまたもや何か思うところがあるのか上の空だし、イヴも精々が相槌を打つ程度で自分から喋ろうとはしない。
そのためフェイトの話に興味を抱いてくれたのは、ブルーだけだった。
彼女は好奇心満々と言った顔でフェイトにあれこれ尋ね、特に彼女らの使用する魔法に関しての詳細に目を輝かせていた。

「すごいわ、フェイトさんは魔法使いなのね」
「うん、一応ね。でも、今は殆ど使えないから、普通の人とあまり変わらないんだけれど」

少し不安そうに答えるフェイトに「そんなことないわ」と返して、ブルーはにこにこと笑う。
その笑顔と「もっと、もっと」と先を促す言葉につれられて、フェイトは更に多くの事柄をブルーへ話して聞かせた。
その話題も流石につきかけるころ、自分の世界に閉じ篭っていた光子郎が、ふいにイヴへと話しかけた。

「イヴさん。その服、随分汚れてしまっていますし、着替えたほうがいいんじゃないでしょうか」
「ですが、ここには着替えられる服が……」
「ブルーさんの荷物の中に、病院から持ってきたナース服があったでしょう。あれを借りたらどうですか」

光子郎の提案に対し、イヴはしばし逡巡の色を見せた。ナース服を着ることへの気恥ずかしさがあったのかもしれない。
しかし、これ以上血だらけの服を着ているのも不快だと判断したのか、彼女は了承したようにこっくりと頷いた。
ブルーの許可を貰いナース服を手にしたイヴが、着替えのために洗面所へと立ち、その姿が長い廊下の向こうへと消える。
彼女が十分に離れたのを確認すると、光子郎はそれまでになく真剣な面持ちをブルーへ向けた。

「ブルーさん、病院であったことをもう一度教えてもらえますか」
「……どうして? 光子郎は、私のこと疑ってるの?」

イヴの姿が見えなくなったことで、孤独を感じて不安になっているのだろうか。
俯いた瞳に明らかな怯えを覗かせてそう尋ね返すブルーに、光子郎は頭を横へ振る。
膝を折って目線の高さを合わせ、彼女の小さな双肩を両腕で優しく包み込んだ。

「いえ、そうではありません。ただ、少し気になることがあるんです」

ブルーへ向けてそう告げた光子郎の双眸には、彼の持つ人並みはずれた知識欲が激しく揺らめいていた。
真実を知りたい。その欲求が、自身でも止められぬ衝動となって光子郎を突き動かす。
情報を集め、統合し、解析し、分析することで、そこから導き出される真実への鍵を手に入れる。
光子郎にとって、それら一連の作業は非常に心躍る行為であると同時に、この殺し合いの中で自分に許された数少ない戦い方でもあった。
自分には身を守れるだけの腕力が無い。フェイトのように人知を超えた特殊な能力も無い。
あるのはこの頭だけで、出来るのは考えることだけだ。
情報の集積と取捨選択。一見関わり無いように見える事柄同士を結び付けることで、秘められた解答を見出す推理力。
この殺戮の舞台を生き残るうえで彼が縋れる力は、それ以外に存在しなかった。

「光子郎さん、もうその話はやめませんか?」
「すみません、フェイトさん。……でも、僕はやっぱり気になるんです。……ブルーさん、教えていただけませんか?」

また先ほどのような争いが起こるのを懸念したフェイトが、制止の声を挟む。
だが光子郎は、今度こそ引く気は微塵も無かった。ブルーを刺激しすぎないよう温和な態度を意識して、彼女に頼み込む。
その姿に、怒られる心配はなさそうだと思ったからか、ブルーはこくんと頷いて光子郎の頼みを了承した。
廃病院の中で起こった出来事を細大漏らさずに、彼女はもう一度頭から説明し直す。
光子郎は、それを一言たりとも聞き落とさぬよう注意して、彼女の話に頭を集中させた。

「……それで、私が階段を下りて追い付いたときには、もうビュティさんは倒れていて、その側にイヴさんが――」
「ちょっと待ってください」

少女の話は、幼児とは思えないほど整理されており、聞き手の二人がわざわざ色々と尋ねる必要は無かった。
そのため光子郎は、殆ど口を挟むこと無しに彼女の語る内容を静聴していたのだが、これには思わず声が飛出た。

「つまりあなたは、二人の間にどんな諍いが起こったかは見ていないんですね」
「うん……。いけなかったのかな」
「いや、そんなことはありませんよ。……それでその後は?」
294名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:15:03 ID:ldADzOvd
連投規制?
295名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:17:31 ID:UN/u11TX
みたいですね
296名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:21:47 ID:0vOdO8vl
代理投下いきます。

恐々と光子郎を見上げるブルーに対し笑顔で首を横に振って、彼は続きを促した。
早く先が聞きたかった。知りたかった。分かりたかった。
ピースが足りない。真実という名のパズルを組み立てるためのピースが、まだ不足している。
どくんどくんと光子郎の心臓が音を成し、鼓動を打つスピードを早めていく。
答えに近づいている、という確信があった。後もう少しだ。もう少しで、伸ばした指先が真実へ届く。

「えっと、近くで誰かの声が聞こえた気がして、それで、慌てて逃げようっていうことになったのよ」
「そのとき、イヴさんはどうしていました?」
「……ビュティさんの荷物と傘を拾って、すぐに自分のランドセルに入れたわ。それから私を抱えて、走って病院から出たの」

ブルーの話は、それで終わりだった。
語り終えた彼女は、喋り疲れた、とでも言うようにペットボトルに手を伸ばし、ぐびと水を飲んでいる。
一方の光子郎は、ブルーが今しがた口にした内容が妙に気になり、眉間に皺を寄せて頭を捻らせていた。
ブルーの言葉を信じるなら、イヴはビュティの死後、人の気配を感じるや否やすぐさま退散したと言う。
だが、仮にも最前まで『仲間』であったはずの相手を殺めておいて、人間、何の手向けも無しに逃亡するだろうか?
何せ、彼らの話を全て本当だと認めるなら、それは決して憎しみ合っての殺戮ではなかった筈なのだ。
一旦は信頼しパートナーとなった相手と不運にも仲違いし、勢い余って殺してしまった。――二人はそう証言した。
だというのに、その亡骸に手を合わせることすらせず、逃げるようにその場を離れたというのか。
無残にも奪ってしまった命に対し墓を作ってやることも、祈ることもせずに、ただ荷物だけを奪って?
――尤も、理性的な思考で見れば彼女の行動そのものに間違いは無いだろう。
いくら正当防衛だったとしても、人一人を殺した現場を他者に見られれば、どう足掻こうとも殺人者のレッテルを貼られてしまう。
誤解を避けたければ、すぐにもその場から去るのが一番の対処法だ。理屈は分かる。
しかしそれは、あまりにも人としての感情から離れた選択だと言わざるを得ない。
少女を殺害してしまったことでパニックに陥り、突然の声に驚いて即座に逃げ出したと言う可能性はある。
だがそれならば、忘れずにビュティの荷物を持って行けるほど冷静沈着な心理ではないであろうし……。

ブルーの話を聞いているうちに再び浮かびあがった不審点を、光子郎は脳内で分析する。
何かが、頭の隅にこびり付いて離れない。それを思い出すため、何度も何度も彼女の言葉をリフレインさせた。
イヴの行動に対して抱く蟠りの正体を探るため、彼は己の推論を推し進め――――。
――――気付いた。自分が引っ掛かってていたものが何であったか。その台詞に。

『最初に二人に会ったとき、イヴさんがスタンガンとカードを交換しないかって聞いてきたの。
 私がやだって言ったら、ビュティさんのお面もくれるから、それならどうって」


――――何だこれは。この行為は明らかにおかしくないか?
スタンガンを手に入れたイヴと、カードを手に入れたブルー。この二人だけならば、分かる。
彼女達は互いの所持品を交換しただけであり、程度の差こそあれ損失と呼べるほどのマイナスは無い。
だが、ビュティという少女はどうだ。彼女は単に自身の品を提供しただけで、何一つ見返りを得ていないではないか。
確かにあのお面は単なる気味の悪い装飾品の域を出ていない。所有しているからといって、これといった利点は無いだろう。
しかし、胸元に入れておけば防弾の役目くらいは果たすだろうし、いざとなったら鈍器として振り下ろすこともできる。
少なくとも普通の人間なら、何の換わりも無しに手放すなどという無意味な行為は、まずしようとしないだろう。
それなのに何故、ビュティはこんな行動をとったのだろう? いや、もしかして『とらされた』?
先ほどから感じていた幾つかの不審点が、光子郎の脳内でカチリカチリと歯車を噛み合わせ、ある仮説を組み立てていく。
それは恐ろしい仮説ではあったものの、全く信じられないという類のものでもなかった。
むしろ、高確率で真実を射抜いている可能性のある考えだ。

彼女――イヴは、周囲の人間を騙して利用し、無価値になったところで殺害している。

そう考えると、思考の中で生まれた蟠りが消え、それぞれにつじつまが合う。
恐らくイヴは元々、ビュティを仲間だなどとは微塵も思っていなかったのだろう。
イヴが一時的とはいえビュティと組んでいたのは、思うに彼女の持つアタッシュケースを所望したからだ。
ビュティに支給されたアタッシュケースには、何らかの特殊な能力が付与されていると考えて間違いは無い。
うまく相手を言いくるめてアタッシュケースを手にし、その後は虎視眈々と用済みの彼女を始末する機会を狙う。
予期しなかったブルーの出現により、殺害のチャンスは一旦遠のき、僅かに予定は遅れる。
しかし幼女の間隙を窺うなど容易く、一人になった瞬間を狙って、イヴは悠々とビュティを亡き者にした。
後は、自分を信じきっているブルーに『向こうが先に襲ってきた。正当防衛だ』と尤もらしいことを吹き込めば完璧だ。
言葉どおり、命を掛けて自分を庇護してくれたイヴにブルーは心酔し、最早一時たりとも離れられなくなる。

イヴがビュティを軽視していた証拠は、よくよく思い返せば、話の至る所に散見できる。
ブルーとイヴ、ビュティの三人が互いの支給品を交換しあった際など、特に大きくそれが表れているではないか。
ブルーの言葉に間違いが無いのなら、ビュティという少女は自身に何の利益も無いのを分かっていながら交換に応じたらしい。
勿論、彼女が底なしにお人よしであるとか、そういった考え方も出来なくは無いだろう。
しかし、そもそもこの交換において、ビュティの意思が端から無視されていたと推測してみると、どうだろう?
反論するビュティを無理やり押し切って彼女のお面を差し出させ、その結果、イヴがスタンガンを手に入れたとしたら?
ブルーくらいの幼い子供は、単純な質よりも量と見た目で物の価値を決めたがる性質がある。
千円札一枚よりも、キラキラした100円玉が5枚あるほうが嬉しい、というあれだ。
いかにも玩具然としたカードとお面を目の前に提示されれば、無粋な鉄の塊と交換したくなっても無理は無い。

そう。恐らくすべては計算の上なのだ。
自分が必要なものを手に入れるため、己以外の何もかもを掌の上に乗せて、彼女はそれらを利用している。

彼女がブルーを側に置いているのも、根本的には同じ理由からなのだろう。
幼い少女は、容易に周囲の庇護欲を誘うことができる。
デジタルワールドでの冒険でも、ヒカリやタケルは常に皆から気に掛けられていた。
小さな子供を目の前にすれば、大概の人間は自分が守ってあげなければという想いを切実に憶える。
同時に、純真な子供に慕われているのを見せることで、イヴ自身にも善良な人間であるイメージを抱く。
ブルーの存在は、非情な殺人者の素顔を秘匿するための、実に有用な目くらましとなるのだ。
彼女さえ連れていれば、他の集団に潜り込むことも、そこで誰か強い他者に守ってもらうことも簡単だろう。
実際自分達も、ブルーの怯えた泣声を耳にしたために、二人が工場内へ侵入するのを許したではないか。
先刻もしイヴが一人であったならば、きっと光子郎も彼女を招き入れるのを良しとしなかっただろうに。

「……フェイトさん、ちょっといいですか」

恐怖と興奮が混在し跳ね上る心音を必死に抑制し、普段どおりの冷静さを保とうと努力する。
真綿でゆるゆると頸部を絞められているような圧迫感を全身に感じ、気道が苦しさを訴えた。
光子郎は、押し殺した小声でフェイトの耳元へと囁きかけ、彼女を呼び寄せようとした。
こちらへ振り向いたフェイトを、大きな決意を宿した真剣な眼差しで射抜くと、彼はごくんと空気の塊を飲み込んだ。
緊張でからからに乾燥している喉を振り絞り、己の仮説を彼女へと話して聞かせようとする。

だが、光子郎の決意は僅かに遅く――――。

「何ですか、光子郎さん?」

そう尋ねるフェイトの声に重なるようにして、金属の擦れる不快な音が響き渡った。
それが洗面所へと続く鉄扉を開閉する音であると判断する間もない内に、赤紫の瞳をした少女が、視線の奥に姿を現す。
光子郎は知らず歯軋りをし顔を苦々しく歪めたが、その表情に気付いた者は、誰一人としていなかった。

     *     *     *

彼らの目標となる旗に、未だ辿り着いた者はいない。
特化した『知略』は考えすぎるゆえの誤解を作り出し、特化した『想い』は優しさから油断を招いた。
『仲間』と『道具』で挑むもう一人は、果たして何を生み出すのだろう。
――――臨む旗への道程は、依然険しく、遥か遠い。

【A-3/工場(ファクトリアルタウン)内/1日目/真昼】

【泉光子郎@デジモンアドベンチャー】
[状態]:健康、イブを疑っている
[装備]:風の剣@魔法陣グルグル
[道具]:支給品一式(食料少し減)、ジャスタウェイ@銀魂
[思考・状況]
思考:どうにかしてフェイトさんにこのことを伝えないと……!
第一行動方針:イヴへの疑心をフェイトに伝える。
第二行動方針:フェイトとブルーをイヴから守る。いざとなったら三人で逃げる
第三行動方針:とりあえず今後の動向について考える
第四行動方針:友人との合流
[備考]:光子郎は工場について以下の仮定を立てました。
1:この工場はなんらかのエネルギーが作動してるかどうかを確認している。
2:そのなんらかのエネルギーはここじゃない場所にある
3:そこは普通にしてたらわからないが、決して見つからないような場所ではない
尚1〜3は誰にも話しておりません

【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康、やや不安、なのは達を心配
[装備]:バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式、マジックバタフライ@MOTHER2、さとうきびセイバー@ボボボーボ・ボーボボ
[思考・状況]
思考:光子郎さん、どうしたんだろう?
第一行動方針:光子郎の呼びかけが気になる
第二行動方針:光子郎とブルー達を仲良くさせる
第三行動方針:皆と同行
第四行動方針:友人の捜索及び合流

【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康、落ち着き、4歳モード、光子郎を要注意人物だと判断
[服装]:白衣
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、チョークぎっしりの薬箱、年齢詐称薬(赤×4、青×3)、G・Iカード2枚(『聖水』、『同行』)@H×H、Lのお面@DEATH NOTE
[思考]:どうしてさっきから私の話ばかり聞きたがるのかしら?
第一行動方針:光子郎の思考を探る。そのうえで、自分の不利益になるようならば殺害も考える
第二行動方針:生き残るためには手段を選ばない。自分の手も要所要所で汚す覚悟
第三行動方針:4歳児の外見を生かし、イヴを利用する。自分の身を守ってもらう。
なお、使える戦闘要員なら増やしてもいいが、足手まといが増えるのは困る。
第四行動方針:イヴには、自分の正体がバレないようにする(=年齢詐称薬の秘匿、説明書の効果時間に基づいた12時間ごとの薬の摂取)
第五行動方針:レッドやグリーン、イエローのことが(第二行動方針に矛盾しない程度に)心配
基本行動方針:バトルロワイアルからの脱出、元の世界への帰還(手段は問わない)
[備考]:ブルーは、ビュティが持っている傘に銃が仕込まれていることを知りました。また、イヴが持っているアタッシュケースが仕込み武器である可能性を強く疑っています。ブルーは、双葉を始末したであろうと思っています。
フェイトの知人(なのは達)と、リリカルなのは世界の魔法についての知識を得ました。

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(応急処置済み)、全身に中程度の打撲、落ち着き、精神中消費、疲労感中、自分を許してくれたブルーに恩義以上のものを感じている。
[服装]:ナース服
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品一式(食料少し減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、G・Iカード1枚(『左遷』)@H×H、ビュティの基本支給品一式、神楽の傘(弾切れ)@銀魂、コンマ@ボボボーボ・ボーボボ、血塗れの服
[思考]:ちょっと恥ずかしいけど、着替えてよかった……
第一行動方針:ブルーに服従し、命がけで守る
第二行動方針:危険回避のため、他人にはアタッシュケースを触らせないようにする
第二行動方針:一休を見つけたら、懲らしめる
基本行動方針:この殺し合いを止め、脱出する
[備考]:アタッシュ・ウェポン・ケースの『捕獲用ネット』を使おうとして、間違えて『マシンガン』の引き金を引きました。今後、『マシンガン』のスイッチを間違えることはまず無いと思われます。
イヴとビュティ、二つランドセルを持っています。コンマは、ビュティのランドセル内の無限の空間?のどこかにまだ隠れているのですが、イヴはそれを知らず、どこかに落としたと思っています。。
コンマはランドセルを逆さまにすれば放り出せるはずですが、現時点ではイヴはその方法に気付いてません。
302名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:25:11 ID:0vOdO8vl
代理投下終了しました。
303名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:27:09 ID:0IrVlLPa
これはひどい疑心。しかも光子朗の考える『手口』がまんま某ロワの梨花ちゃまwwwwwww
そしてブルーがそのロワの銀様のようだな。ひどすぎる……
304名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:35:30 ID:S66D/KvT
こいつあ、すげえ。
某ロワの眼鏡君並の推理だぜ!

各キャラの心理に、子供らしい底の浅さ。
両方が上手く描写された一作だったと思います。
GJ!!
305名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:36:01 ID:sS6WK8oo
敵味方混ざりすぎだwww
光子郎は地雷踏んで、イヴはカワイソス。
ブルー一人勝ちなるか?
306名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:36:52 ID:0vOdO8vl
光子郎ー! それ逆、逆ー!
と思わず声援を送りたくなるような見事な疑心暗鬼っぷりでした。
イヴ……どこまでカワイソスになってくんだ……

作者さん乙、そしてGJ! ナースイヴはWikiのおまけに追加してこよう
307名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 21:55:21 ID:s1Zm1yvG
ぐは……も、もどかしい……どっかの混沌っぷりを髣髴とさせるこの泥沼、ブルーめやりおるわ
そしてコウちゃん、やっぱりお前はキバヤシ三世なのか……orzオネガイダカラキヅイテクレ
新たなコスプレイヤー参入を祝いつつ、乙&GJしておくんだぜ
308名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 22:01:39 ID:AOn7QClJ
投下乙。先の展開が読めなすぎてGJ!
明後日の方向に走り出す前に気がつけるか、泥沼に頭まで嵌るか楽しみです
309名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 22:06:50 ID:ZS1R4BlB
前に投下されてたあの話から一部引用してるのが方向性の差異を目立たせてるな。
イブカワイソス。
光子郎、頑張ってはいるけど、嗚呼。
GJー。
310名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 22:10:43 ID:0IrVlLPa
今分かったことがある

お前ら全員ドSだな!
311名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 22:22:18 ID:vGMPmVn1
>>310
なにを今更。
312名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 22:29:37 ID:AOn7QClJ
>>310
なんと失礼な! Mっ気だってあるぞw
313名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/10(火) 22:34:08 ID:sS6WK8oo
>>312
俺が言いたくても言えなかったことを平然と言ってのける……!
さすが>>312! そこにしびれ(ry
314 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/11(水) 00:07:47 ID:m1neIV8j
薫、ベッキー、ジーニアス、ベルフラウ、イリヤ、みか先生、さくら、梨々を予約します。
一部キャラが不安だけど、出番とか役回りを調整すれば何とかなる……かな?
315名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:12:29 ID:klBEB+r4
>>314
がんばれ。
その8人のうち何人かはアドバイスできるから、不安があったら一時投下スレにお願いします。
316名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:14:00 ID:IeWzxCvl
>>314
なしなしと天才、ベルならフォロー可能かもなんだぜ!
俺も協力するから、何か不安があったら質問スレによろしくなんだぜ!頑張れ!
317名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:15:12 ID:o43PZKjb
すごい大所帯だ。さすがにあの辺の組が一度に動くとは思わなかった。
ここの書き手は大人数動かせる人多いなw
318 ◆uOOKVmx.oM :2007/04/11(水) 00:19:31 ID:ZLZ0vlYF
紫穂を予約してみます。
他キャラも登場するかも知れませんが、新しい行動描写がなければ
予約しなくてもいいですよね?(前のSSでの行動を見ていたって感じで)

空気キャラと言われないうちに動かしておきたい……
319名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:20:18 ID:m1neIV8j
>>315>>316
ありがとうございます……! >>316さんの仰る三人ほか(支給品等)がちょうど不安なので、
一時投下の際はご指摘などお願いします。
320 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/11(水) 00:22:04 ID:m1neIV8j
ああああッ、肝心の中核を忘れてた!!orz

あらためて、
薫、ベッキー、ジーニアス、ベルフラウ、イリヤ、みか先生、さくら、梨々、レックス、雛苺
を予約します。
321名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:26:32 ID:s59Yixi5
>>318
行動を縛らないなら予約無しで良いと思います。
こっちもファイトー。

>>320
増えたー!?
これは大波乱の予感。
楽しみにしてます。
322名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:29:45 ID:ZLZ0vlYF
>>320
強力マーダーがハブられたと思いきや中核だった――! 
期待してます

こりゃあ死者スレが賑わいそうだw 
323名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 00:39:21 ID:IeWzxCvl
>>320
攻撃的な人物が四人(うち三人は問答無用?)か……

今から葬儀会場行く準備しておこう……。゚(゚´Д`゚)゚。
324名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 01:00:22 ID:PhvwrueG
最近はマーダー返り討ちもあるから展開が読めないぜ
雛苺とか千秋とか完全に予想外だったよw
325名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 01:28:38 ID:o43PZKjb

4/08(日)の予約 (〜4/11(水)まで)
◆NaLUIfYx.g :白レン、イシドロ、蒼星石、タバサ

4/11(水)の予約(〜4/14(土)まで)
◆uOOKVmx.oM:紫穂
◆aAwQuafMA2:薫、ベッキー、ジーニアス、ベルフラウ、イリヤ、みか先生、さくら、梨々、レックス、雛苺

午前の組があと少しで消えますな。
326名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 07:22:10 ID:QGZtE+oz
さて、メロはどうみてもショタじゃなかったんだが。
327名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 08:24:11 ID:ZHTvtn0x
逆に考えるんだ当初はL死亡直後のメロを
想像していたのさと考えるんだ
328名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 09:04:06 ID:Wn5CyZV2
今言われても

中の人佐々木望か
329名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 11:40:52 ID:a4+AKIsh
ジェダが指名したのは「L死亡直後のメロとニア」
なのにQBったらお馬鹿さんだから、ちょっと手ェ出す時間軸間違えたのねw
まあメロの変貌は短時間の割に凄まじい変化だったから。

ロリショタとしては微妙だが、お話の面白さを考えると色々経験した後の方が絶対面白いから困る。
330名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 11:59:33 ID:ZLZ0vlYF
生まれた瞬間から立派な女性体型してるQBに「子供を連れて来い」って命令は難しいよなw
「この子は子供を生んでいない。まだ子供に違いない」って感じでw
331名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 12:02:02 ID:Wn5CyZV2
>>329
ワロタ

ここのニアは8巻くらいのイメージだ
332名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 15:36:55 ID:Oo5WFsZ6
>>330
その理屈て言うとこのスレはおそらく子供だらけだ
333名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 16:26:46 ID:ZLZ0vlYF
>>332
そうなんだろうw でも仕方ないさ。QBは女王蜂だから自分以外の蜂はみんな子供。
その自分も「相手に自分の卵を産みつける」→「自分は死亡」→「即座に相手の中で孵化して成虫として復活」
というピッコロ大魔王もビックリな出産方法をするので、一戦闘で三代くらい世代交代する。
どれも同じ意思を持つキュービーで生まれた瞬間からナイスバディだけどw

つまりキュービーはかなり適当ってことで。
マンガ版のオマケ4コマじゃ、虫取り網と虫篭で参加者を集めに行こうとしたお馬鹿さんだし
334名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 16:44:39 ID:Oo5WFsZ6
これならスピアーにやらせればよかったな
335名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 16:57:04 ID:FSdeyum9
ジェダって手下に恵まれていないな。
リリスもQBに毛が生えた程度の知能しかないだろうし。

そういえば密かに、リリスvsニケ&禁書目録でガンガン掲載作品が
一箇所に集まってる。なんの意味もないけど。
336名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 17:02:38 ID:PhvwrueG
>>334
マジレスだと投票で当選しちゃったから仕方ないって感じだった。参加資格が、各人がロリまたは
ショタだと思うキャラだから、大勢がショタだと思ったメロはショタなのだろうと住人が容認した。
理由付けとして漫画版で対象外者を魔次元に連れていった前科のあるQBのミスというなった
337名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 17:18:35 ID:29gQqEDQ
>>335
そういやインデックスもガンガンキャラの仲間入りなんだっけかw
338名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:16:30 ID:PhvwrueG
【冥王様の部下事情】
100年前には強力な部下が大勢いたらしいのだが、その中の一人オゾムの策略にハマめられ自滅。
復活後、帝王を名乗るオゾムとそれに付いた元部下達を瞬殺して魂を魔次元の一部にしてしまう。
「私は一人で何でも出来るから、もう裏切る部下なんかいらないやい!」(意訳)
でも雑用係は欲しかったのか、領地でジェダの復活を待ってたQB(裏切る知性もないし)を再雇用。
ついでに純真無垢なリリスを自分に都合いいような教育(上手くすれば大魔王級に育つ)。
その結果、リリスルートではモリガン(本当の体)戦の前座として撃破され、
QBルートでは繁殖本能全開で暴走したQBを止めきれずに捕食された。
そしてジェダルートでさえ倒し忘れたロリ(アニタ)のせいで救済を中断される始末。

なんかジェダが凄い小物に思えてきたw
339名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:22:51 ID:Oo5WFsZ6
少しは考えるようになったピノッキモン
340名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:25:18 ID:FSdeyum9
>>338

なんだかんだでリリスはジェダを倒せる可能性の強さを持っているから
制限下でもあれほどの戦闘能力を発揮できてもおかしくないことがよく分かった。
341名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:35:23 ID:Oo5WFsZ6
あるゲーム雑誌についてた漫画を読んだらカプコンキャラが出るカードゲームの漫画がやってて、
そこでバレッタがザコキャラAとして1コマでロックマンに瞬殺されてて、
おまけにバレッタ召還したプレイヤーに「そんなザコ一匹倒した所で」とか言われてて吹いた
342名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:42:37 ID:PhvwrueG
>>340
原作は格ゲーだから同格扱いだけど、小説だとジェダに比べかなり格下扱い(将来は有望だけど)。
ジェダを侮辱したデミトリ(作中の強さはジェダと同格)に無謀にも戦いを挑むが
睨まれただけで身動き出来なくなったりしてる。そんでジェダが優しく助け船を出すとか

>>341
あのゲームだとリリスがレアで衣裳ごとにカードがあって激強だったはずw
343名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:49:29 ID:Oo5WFsZ6
もしモンスターが参加可能だったら「マーダーのチコリーター」とかいうのを書く奴がいたに違いない
344名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 18:59:22 ID:klBEB+r4
今週の絶チルで、手持ちの服を強制的に相手に着せる技を葵が使ってる……
便利だなあ、瞬間移動能力。
345名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 19:05:48 ID:bhzhigjc
>>344
なるほど、恥ずかしい服に強制的に着せ替えさせてやると……

いや、シルバースキンリバースが出来ると考えれば強力なんだが、
始めに思いついたのがこれだったw
346名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 19:07:36 ID:BJv+Fptx
>>345
もし『キタキタ踊りセット』なんかを着せられたら大ダメージだなw

そういえば、今の所衣服系の物品を所持しているキャラは誰々だろうか?
347名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 19:19:35 ID:Oo5WFsZ6
しかしキタキタ踊りは元は若い踊り娘の踊りなのですぞ
348名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 19:57:06 ID:PhvwrueG
エスパー錠とかを瞬間移動で付けられると便利・・・っていつもやってることか

はやてはメイド服を着てるけど着替えた自分の服は持ってたっけ?
349名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 20:04:40 ID:BJv+Fptx
元の服の上からメイド服を着込んでるんじゃない?
350名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 21:25:10 ID:m8aKA5kf
メロのショタがありなら戦国BASARAの竹中半兵衛もありなんじゃね?
ttp://sorairomarch.com/illust.img/basara1.htm
351名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 21:32:47 ID:PhvwrueG
ヘヴィD!にすら票が入ったカオスな投票に何を今更w

メロは集計が終わるまで誰からもツッコミがなくて済し崩しだったからな
352名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 21:56:24 ID:cscZz0yq
なんつーか、冥王様とか聞くとロリに鬼畜な彼がうか(ry

なんつーか、光子郎とか聞くと脳内反射で光太郎に見えててつをに変換されるから困る


きっと俺だけだな
353 ◆NaLUIfYx.g :2007/04/11(水) 21:57:26 ID:qPHdTUoG
四月がこんなにも忙しくなるなんて……orz
すみませんが今日中に投下出来そうにもないので予約を破棄します
キャラを縛ってしまいすみませんでした……
354名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 22:13:20 ID:gxslEvPI
>>353
ドンマイ、新年度だからスケジュール通りにいかないこともあるさ
リアルの方も頑張ってください、落ち着いたらそのときはぜひ新作を


>>352
>なんつーか、冥王様とか聞くとロリに鬼畜な彼がうか(ry

ジェダ「貴様ら(リリス&モリガン)はいわば兄弟どころか同一人物!
    そして俺は貴様らの造物主にして……冥王なのだッ!!!」

うん、そんなに間違っちゃいないな
355名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 23:48:19 ID:i5xi5qca
>>354
俺も冥王って言うと、ゼオライマーを連想させるから困る。
356名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/11(水) 23:57:12 ID:o43PZKjb
リリス「おとーさん」
ジェダ「私は父などではない! だがどうしてもというなら(ry」
357名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 00:06:51 ID:hMd7U0Po
ええい! 冥王め、自ロワでちょっと酷い目に遭ったからって他所に出張してくるんじゃねえ!
お前はFFDQのギルダーか、アニメの劉鳳か、それともギャルゲのエルルゥか!?wwwww
358名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 01:00:41 ID:SkfBoRQ7
>>357
どこの他ロワに乱入したの?
359名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 01:02:10 ID:hMd7U0Po
>>358
いや、ここに冥王の亡霊が乱入してアレな発言を上の方でさせたんでは、と……ただそんだけ、訳分からん事ほざいてごめんよ
360名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 01:04:36 ID:/FpJdrBR
まったくだ
それに、あまり他所の話は出すな
わかる人ばっかりじゃないんだし
361名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 10:16:01 ID:fMxUcuoz
>>350
そのキャラの実年齢はいくつ?下のコメント見ると公式の絵じゃないっぽいけど。
どこまでがロリショタかって基準はかなり曖昧だなー、今さらすぎだけど。
見た目基準か実年齢基準か。
個人的には落第忍者のキャラは、生徒なら全員ロリショタだと思っている。実年齢なら。
事務員の小松田(16歳)あたりがボーダーライン?
362名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 15:45:17 ID:vyjCNdwX
実年齢じゃなくて外見(というかイメージ)で決まったからな
そうじゃなきゃ平均年齢があんな事にはならんw
363名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 16:06:21 ID:ahxmOct+
実年齢は十歳だけど精神年齢二十歳以上のなのは勢、
外見年齢少女人形実年齢数百歳のローゼン勢、
ロボなリルル、見た目は子供中身は大人のコナン勢、
平均年齢を吊り上げているエバ、レン×2、スカーレット姉妹、ヴィクトリア、古手梨花、
そこまででなくてもイリヤやプレセアやシャナやリルルやリリスも実年齢が一致せず…………

特にロリの外見年齢が信用できないなw
364名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 16:10:30 ID:wRuD2n8y
その点、ショタは年齢詐称疑惑者が少なくていいな。
絵板にショタ降臨マダー?(AA略
365名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/12(木) 19:57:29 ID:hMd7U0Po
いやー、それにしても素敵絵が既に4つも投下されてるとは、眼福眼福
……2つ目を除いてどれも相当なホラーだけどな((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
366名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 08:13:41 ID:P8Wzle/d
マーダー二人はいいとして、3枚目なんか脱出派なのに((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
367 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/13(金) 11:57:04 ID:mUBUSz+1
>>326
今更ながら、メロの容姿を最初に決めてしまった書き手ですが……。

既にメロが出ている話を細かく確認・検討した所、作中の爆発、顔に傷を負う所以前の彼でも、ほとんど何の問題もないと分かりました。
あの敗北の経験の有無が「この先」の展開に影響を与える可能性はありますが……
それでも、ここまでの言動・行動原理に、特に目立った矛盾はありません。

今からでも「第二部初期のメロ」、まだ相対的にでもショタっぽい雰囲気のある彼に差し替えることは、できます。
私が担当した「『悪』の誇り、『悪』の覚悟」「「ごめんなさい」」のメロの容姿・思考に関する部分の修正だけで十分軌道修正可能。
あとは、ステータス欄の「参戦時期」の欄だけ。こちらはwiki上の修整だけでOK。他の書き手さんに一切負担をかけずにできます。

私の担当分の修整も、そう大変な内容ではありませんし……
どうしましょう? 今からでもメロを「相対的にでもショタっぽい外見」にしますか?
ここまで話が進んでいて登場話も多くて、それでも微修整だけで十分対応可能、というのは、もう単なる幸運を通り過ぎて天啓のような気もするのですが……。
368名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 13:37:09 ID:j0YdZtAm
>>365-366
どれを指してるのかは判るけど、絵板は一番下が一番古い(最初)絵だろw
369名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 13:48:21 ID:d2yxDixH
>>367
ニアが弥彦に「傷がある」と言ってたよ
370 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/13(金) 14:37:47 ID:mUBUSz+1
>>369
そこは、この修正案では「ニアとメロの参戦時期が異なる」ことによる「ニアの側の認識のズレ」になります。
このロワの中で実際に接点があったとすればOPだけで、またその時点で目撃したと明言されてませんから。
名簿で存在を確認し、勝手に想像したのでしょう。「自分があの時点から連れてこられたのだから、メロの方にも傷がある状態のはずだ」と。

要修正な部分では無く、新たな誤解のポイントになるでしょうが……
ただ、同一作品で別時間軸からの参戦、ということが問題になるかもしれません。
371名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 14:56:33 ID:pHbjwc9J
>>370
そこまで気にしなくても、今のままで良いのでは?

メロがショタでないというのは開始前にも話題になったが、
当選してしまったのだから、そのままでいいやというスタンスで通ったと記憶している。
同一作品内で別時間軸というのは前例(ポケスペとか)あるから構わないと思うけど。

スポット的に若いシーンが出たキャラが参加不可だったから、
ショタメロだと逆にダメなんじゃないかとか思ったりもするw
372 ◆uOOKVmx.oM :2007/04/13(金) 15:28:04 ID:pHbjwc9J
申し訳ありません。書いている途中で三宮紫穂の能力範囲に疑問が生じたので
避難所のテスト投下スレに投下しました。

原作描写からだと出来なくはないのですが、ロワでやると後々かなりマズイ気がするので
ご意見お願いいたします
373名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 15:43:07 ID:j0YdZtAm
>>372
どうしたものだろうな、紫穂の能力。
こういう分野に特化してしかも(原作)世界トップクラスの能力者だったわけだから、
個人的にはこの位は有りにした方が良いと思う。
でも意見分かれそうだな……。


それ以外で気になることが一つ。
廃病院への道が無いとあるけど、南北から森の中に続いてる道は有るから、
廃病院には細い道路が続いてるんじゃなかろうか。
これまでに無いとか道が途切れてるって描写されてたなら別だけど。

ついでに一ヶ所書き間違い発見。。
>南はダメ、東もダメ。残るは東と北とくればバッチリだ。
東がダメになってないw
374名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 18:30:02 ID:JRj4jF+T
375名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 18:31:23 ID:JRj4jF+T
ごめん誤爆
376名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 18:57:00 ID:6tK3a+Md
噴いた
377名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 19:03:27 ID:M5XO3iUF
>>372
自分もこの程度はありだと思う。

まあ、紫穂の口から出た言葉を信じるか信じないかは各参加者の判断に任せられるし。
378名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 21:47:09 ID:bLZxMj9G
>>374
いや、カツオ参戦してるしネタとしてはアリだwww
379名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/13(金) 22:43:25 ID:5c+XiaKt
>>370
気にしなくてもいいと思う、と投票時には参加していなかった俺が無責任に言ってみたり。

>>372
話としてはあのままのほうが面白そうだし、いいと思います。
しかし絶チルの制限困難さはすごいなぁ。
380 ◆3k3x1UI5IA :2007/04/14(土) 12:17:39 ID:26vYQzZQ
>>371>>379
では、修正しない方向で。
381 ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:49:04 ID:cujDc//2
紫穂のサイコメトリーについては特に問題ないようなので、
予約期限を過ぎてしまいましたが本投下します。

>>373 >>377 >>372 ご意見、ありがとうございました。
382オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:50:09 ID:cujDc//2
 暖かい木漏れ日の中、一人でジッと座って待っているのは少し寂しい。
例え生き延びたとしても、もうみんなと仲良くできないと思うともっと寂しい。
感傷に浸りながら、なんとなく手を太陽に向かって伸ばしてみた。
ここで蝶や小鳥が慰めてくれると絵になるんだけど、そういうサービスはないみたい。
ちょっと残念。もっと落ち込むかと思ったけど、私ってまだまだ余裕あるわね。
 そんな下らないことやってて気が付いたけど、この森は何か変。
森の中だというのに小鳥の囀りが聞こえないどころか、地面を透視しても虫一匹いない。
まるで丁寧に作られた箱庭の中に入っているみたい。
やぶ蚊がいないのは大歓迎だけど、なんだか奇妙な感じ。
私の寄りかかっている病院にしたってそうだ。

 年季の入った風格ある建物――というよりも良く見れば単純に朽ち果てているだけ。
もう少し立派な建物だったと記憶していたけど、思い出ってすぐ美化されるものなのね。
それはともかく、窓から覗いた病院の内部は壁も床も変な蔦だらけだったの。
まるで古代遺跡みたい。どれだけ放置したらこんな有様になるのかしら。
映画とかだと”謎の病原菌のため隔離された”とか妙に凝った設定が付いてくるけど
旧日本軍の超能力実験施設とか、そんな都合の良いオチはないわよね。
 そんな軽い気持ちで蔦の張った外壁から素性を調べてみたけれど、やっぱり変。
このLv7サイコメトラーである私が、たった数時間前までしか”透視”出来ないなんて。
まるで数時間前まで、こんな場所は存在しなかったかのように情報が途切れている。
透視を遮断する事は自体はそんなに難しい事じゃないけれど、重要人物じゃあるまいし
わざわざ部分的にプロテクトを掛ける必要性が分からないわ。

 そもそも神社からこの病院へ戻ってきたのは翼を持った少女を調べるため。
コナン君やネギ君は東へ向かったみたいだし、逆方向に進むことにしたの。
だって次に会う時には雪辱を晴らせるようになっていたいじゃない。
闇雲に動いてネギ君みたいな好戦的なお猿さんに出会うよりは、病院に残った情報を
確実に掴んだ方が後々の為になると思っていたの。でも考えが甘かったわ。
 中に入るのを少し躊躇していたら、次から次へと女の子達が押し寄せてくるなんて。
そりゃあ私だって薬や包帯が残っていたらラッキーって思っていたけどね。

(はぁ……みんな考える事は同じなのね)

 なんか自分の浅はかさを突きつけられたみたいで、少しショック。
でも挫けたりはしない。私は能力はサイコメトラー、人の心を覗く以外にも
物品の記憶を通して過去を覗くことだって出来る。
そうして幾つもの迷宮入り事件を解決してきたから、今回だって大丈夫。
きっと彼女達はコナン君たちみたいに多くの情報を残してくれるはず。
名探偵は事件を阻止するんじゃないわ。事件が起こった後に証拠を集めるのよ。

 そんなこんなで暖かい木漏れ日の中、一人でジッと座って待っているの。
383オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:52:05 ID:cujDc//2
○     ○     ○

 少し前のこと。
 殺風景だった神社の境内は派手に暴れたネギ君の魔法で荒れ果てていたわ。
周囲の砂利は突風で吹き飛ばされ、中年の頭みたいな惨めな姿を晒していたし
頑丈な石畳も沢山砕けていたの。まるで怪獣でも暴れまわったみたいだった。
その内の半分くらいは私がやったんだけどね。もう一度やれって言われても無理だけど。
でもそんな被害はその時の私の目には入らなかったの。もっと重要なことがあったから。
 戦いで残された被害のうち最も重かったのが、バベルの制服を消された事。
生まれたままの姿にされちゃったのよ。皆本さん以外の男の人には見せたくないのに。
だいたい魔法で服を脱がせるなんて、男の人って何を考えているのかしら、最低。
薫ちゃんの妄想じゃあるまいし。
魔法使いは女の子を素敵な衣装に着替えさせるものでしょ、常識的に考えて。
 
 私の前に残された衣服は二つ。スクール水着と全身タイツ。
こんなものでも裸よりはマシだけど、何でこんな物があるのか不思議で堪らない。
剣や銃は分かるわ、人を殺すためだもの。変なノートも元は人殺しの道具だと分かる。
でも水着やタイツでどうやって人を殺せというのかしら。
『次回、スクール水着殺人事件!』『Next Conan's HINT! 全身タイツ!』
 何故か頭の中でコナン君の声が響いたような気がして、目眩を覚えた。
男の人ってこういうのが好きなのかしら。そう呆れながら水着を手に取ったの。
そうしたら――

『ふぅーん。男の子ってぇ、こーいうのが好きなんだ』

 水着からリリスって子の声が伝わってきたわ。誰でもそう思うのね、少し安心。
飾り気のない濃紺のスクール水着は見るからに怪しくて、胸には平仮名で
『えう゛ぁ』書かれていたけど、これの持ち主は基本が分かっていないようね。
普通に授業で着用するものなら『クラスとフルネーム』を書くものなのよ。
考えたくはないけど、大きなお友達向けってイメージがグッと大きくなっちゃった。
せめてもの救いはアイロン掛けした折り目が残っていたことくらい。
洗濯後に誰も着用してないと分かるだけでも、何とか我慢できるかなって気になれた。
人間って、こうして妥協してしながら一歩づつ大人の階段を登っていくのね。

 一方で全身タイツの方にはあまり悪いイメージはなかったわ。
善良で一般的な生活をする私は、黒尽くめの真犯人など連想するはずもなく、
演劇などにでてくる黒子が思い浮かべたの。これからの私を考えればピッタリの衣装ね。
でも残念な事に、姿を黒く覆うだけの衣装に保温性なんてなかったの。
簡単に言えば通気性が良い代わりに、薄くて部分的に透けちゃうってこと。
近くで注視されなければ大丈夫だけど、見えないと見えるかもしれないは雲泥の差よ。
それを素肌に着て歩き回るなんて、裸で歩き回るよりも恥ずかしいじゃない。
384オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:53:21 ID:cujDc//2

 結局、ベストの選択肢なんて最初からなくて、ベターな選択肢を選ぶしかなかった。
水着を下着代わりにして、そしてそれを全身タイツで隠す。ギリギリの妥協点ね。
大き目に見えたタイツは、オーダーメイド品のようピッタリと私の体を包み込んだ。
頭の天辺から爪先まで綺麗に覆われると、なんだか目の形や体型までも違う人間に
なったような錯覚すら覚えるくらい、奇妙なフィット感が気持ちよかった。
今なら凄く悪いことでも平気でできそうな気分になる。私って悪人向きなのかしらね。
 少し透視してみると良く理解できない残留思念、それと困惑しながらもネギ君を止める
コナン君の姿が見て取れた。そういえばこの二人は殺し合いに乗っていたっけ。

(とりあえず透視できるものは透視しとこうかしら。捜査の基本は現場からって言うし)

 真犯人の格好をした私は名探偵として、逃走した犯罪者の痕跡を調べ始めた。
さっきの『剣』の二の舞にならないように、新たに手に入れた支給品や石畳などを
注意して透視したわ。こういう捜査には慣れてるの。
迷宮入りするような難事件、凶悪犯罪、私の力は真実を暴く為に適していたから。
 そして支給品や石畳などの記憶を色々と調べて分かったことは少なくなかったわ。

 リリス……最初に会ったジェダの手下。透視した水着とワルサーの情報を総合すると
遊びながら追加の支給品を渡しに来たみたい。色ボケで頭も悪そうで何考えているか
良くわからないけど、たぶん強い女悪魔。こういうタイプは相手にしたくない。
 ネギ君……好戦的な魔法使い。リリスに従っているようで何人も殺す気みたい。
短刀の持つ情報からは真面目な様子も見えるけど、すぐデレデレになってた。
服を脱がす魔法を使うくらいだから、カッコイイのに凄いスケベな子かもしれない。
 コナン君……同じくリリスの手下。甘いのか度胸がないのか、殺しはしたくないみたい。
ワルサーの持つ情報からリリスには猫被りでゴマスリ、ネギには強気という人格が
見て取れた。いわゆるガキ大将の腰巾着タイプね。確かに小賢しそうなメガネ君だし。

 他にもランドセルや石畳から二人は東へ向かったこと、リリスが南に飛び去ったこと
18時に南のタワーに集合するということが感じ取れたわ。大漁って感じね。
支給品から簡単に読み取っただけだから、少しズレがあるかもしれないけど大丈夫。
三人の進行方向、持っている支給品、グルで殺し合いに乗っていると分かれば十分よ。
相手の行動が分かれば遭遇を避けることも、他の人に危険人物と流言したりして
罠にはめることも思いのままなんだから。
385オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:54:13 ID:cujDc//2

(さーて、どっちに行こうかしら)

 着替えと現場検証を終えた私は首を捻った。
リリスの飛び去った南は却下ね。上手く口車で丸め込んで操れるかもしれないけど、
頭が弱すぎて何をするか分からない怖さがあるから、出来れば接触したい相手じゃない。
すぐ東にある学校はどうだろう。コナン君やネギ君の進行方向であり、一番近い場所。
これも却下。学校には人も集まってくるだろうけど、コナン君達に顔を覚えられて
いるから動きにくい。私自身が他の子に危険人物扱いされたら目も当てられないわ。

(そういえば翼を持った子がいたわね。あの子も悪魔や魔法使いなのかしら)

 ふと病院から飛び立った天使のような羽根を持った少女を思い出したの。
病院まで戻れば、彼女に関する何らかの情報が読み取れる。
南はダメ、東もダメ。残るは北と西なのだから方向もバッチリ。
腐っても鯛、廃れていても病院。薬がある可能性も、誰か来る可能性も高いはず。
わざわざ来た道を引き返すことになるけど、それは危険の少ない道ってことだし。

(とりあえずは病院かな。誰かがいたって直接会う必要なんてないしね)

 私が絶対に接触を避けなければいけないのは、話の通じない相手。
例えばネギのような好戦的な子。だからまず誰かがいたなら、いなくなるまで待つ。
そしてその場所から情報を引き出して、じっくり吟味してから接触するか決めれば良い。
サイコメトラーである私にとっては、触れるもの全てが記憶媒体であり親切な目撃者。
過去を慣れ流しながら走り続ける子に、逃げ道などありはしないわ。
だから慌てないでジワジワと外堀を埋めながら追い込んであげればいいの。
386オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:56:20 ID:cujDc//2
(温厚で甘そうな子達だし……いいえ、ダメね。もっと用心深くいかなきゃ) 

 壁越しに感じる雰囲気は和気藹々としているようでピンと張り詰めている。
口喧嘩とまではいかないが、相手の揚げ足を取りながら追い詰める様は、
学校でも良く見られる仲良しグループ内でのイジメとでもいえばいいのだろうか。
 紫穂の隠れている外壁部から、少女達のいる二階ロビーまで直線距離では僅か十数m。
建物を通して会話を”透視”することは、紫穂にとって難しいことではなかった。
手にした物品から情報を引き出すように、建物が見聞きしている情報を読み取ればいい。
そうすれば廃病院自体が紫穂の目となり耳となり、内部の状況を生中継してくれる。
土砂崩れなどの災害現場、殺人事件現場で培った技術だ。
そしてサイコメトラーが嫌われる理由の一つでもある。

『双葉、病院に来た時に『殺し合いする気はない』って言ってたけど……
怪我したから、『殺し合いする気が無くなった』だけじゃないの?
元気になったら、チャンスがあったら、また、ころしあい、するんじゃないの? ねぇ?』

 ブルーという子が積極的に場の空気を乱しているのが感じ取れた。
一見無邪気な感じだが、かなり場慣れしているように感じるのは勘繰りすぎだろうか。
幼児にしては感覚で喋らずに、きちんと正論で固めて反論を許さない。
それでいて的確に急所を突き揺さぶる様は、まるでミスした優等生を虐める不良か、
因縁を付ける職業ヤクザのようにも感じられる。当事者はたまったものではないが
傍から見ている分にはドラマように面白く、グイグイと紫穂を引きつけた。

(なんか、こう、私に似てるような気が……ううん、違うわね。
私はあんな底意地の悪そーな、いやらしい感じじゃないもの。あ、蹴られた)

 一発のドロップキックを発端にした大騒動を紫穂は苦笑しながら透視しし続ける。
助けに入るなんてとんでもない。下手な昼ドラよりもよっぽど面白いじゃない。
387オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:57:23 ID:cujDc//2
               ・
               ・
              ・

 紫穂が温かく見守る中、迷走した少女達の運動会は一時中断を告げていた。
少女の一人は瀕死の重傷、また一人は無残な結末を迎え人生の幕を引いた。
そんな猜疑心と偶然の重なった惨劇にも紫穂が驚いた様子はない。
TVでどんな陰惨な事件が流れていても、多くの人が「ふーん」と軽く対応できるだろう。
壁を通して感じ取る惨劇はどこか現実味がなく、ドラマでも見るように全員の行動を
逐一監視していた紫穂に驚きや不安がないのも当然といえよう。
むしろこれからどうなるのかと他人事のように期待感を膨らませていた。
両手が使えていたなら食事を取りながら観察していたかもしれない。

(あの中に薫ちゃんや葵ちゃんがいるなら話は別だったけど……)

 少女たちの中に薫や葵がいれば話は簡単だった。
彼女たちを守るため、そして利用するために合流すれば良いだけだったから。
そして彼女達と一緒にいれば、きっと自分以外全員を殺すなどという考えは有耶無耶に
なって消えてしまうだろうと無意識に望んでいた。
だが現実はそんなに甘くない。
親友たちから学んだ大切なこと、皆本に教えられた大切なこと。
それを上から塗り潰すかのように、少女たちは次々と身を持って紫穂に教えてくれた。

 姿を変えながら巧みに周囲を操るブルーは、扇動が如何に効果的かを教えてくれた。
人外の力で仲間だった少女を惨殺したイヴは、再度直接戦闘の無謀さを教えてくれた。
仲間によって簡単に命を奪われたビュティは、誰も信用できないことを教えてくれた。
短気さで自ら絶体絶命に窮地に陥った双葉は、落ち着くことの大切さを教えてくれた。
そして新たに来訪した二人小太郎とシャナは、予期せぬ第三者の介入を教えてくれた。

 それらは紫穂に扇動の有効性と問題点を改めて考えさせ、そして学ばせた。
388オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 20:58:50 ID:cujDc//2


(独り言が少し多めだけど、ホント面白くて良い子ばっかりね)

 紫穂はブルーを始めとする少女達の会話を思い出してクスクスと笑った。
彼女は開始から僅か6時間程で、全参加者の1割以上の情報を一方的に握ったことになる。
ブルーの年齢変化やイヴの能力など理解できない物事もあるが気にはしない。
既に魔剣や魔法を体感したのだ。どんな理不尽も事実を受け入れる準備はできていた。
事実を否定したところで何の得もないのだ。三宮紫穂はドライな少女だった。


○   ○   ○

 新たに廃病院へと来訪した小太郎とシャナ。病院を立ち去るブルーとイヴ。
そして物を考えることさえも許されない双葉とビュティ。
彼女達はその行動の全てを監視されているど想像もしないのだろう。

(あの子達が私に色々教えてくれたのだから、後でたっぷりお礼をしてあげなきゃ)

 ブルーの行動には学ぶべき事が多くあった。紫穂の迷いを断ち切らせる何かがあった。
そして紫穂にはブルーよりも優位に立っているという驕りがあった。
自分は彼女の描く脚本を盗み見ながら、自由に書き足すことが出来るという驕りが。
得意気に釈迦の掌で飛び回る孫悟空を連想して、紫穂は怪しい笑みを浮かべる。

(最後の最後で脚本と違うドンデン返しなんて、最高じゃない。
思惑が外れたあの子はどんな顔をするかな。泣いちゃったりするのかしら。
想像しただけで凄く楽しくなるなんて。もしかして私、いじめっ子の素質があるかも。
さて、その為にはお膳立てに必要な”頼れる仲間”を探さなきゃね)

 2Fで双葉を助ける二人に”頼りがい”を感じて紫穂はコッソリと立ち上がる。
原理は分からないが、この二人もまた普通ではないらしい。

「うふふ、楽してズルしていただきかしら♪」

 そして彼女は自分が冥王の掌で踊っていることに気が付いていない。
389オイシイとこだけツマミ食い ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 21:01:48 ID:cujDc//2
【B-3/廃病院の外壁際/一日目/真昼】
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:スクール水着の上に全身タイツを重ね着
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
スクール水着@魔法先生ネギま!、全身黒タイツ@名探偵コナン、
[道具]:支給品一式×2、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、
[思考]:もう少し様子を見ようかしら? それとも……
第一行動方針:2Fの三人(小太郎&シャナ&双葉)の様子見or接触する
第ニ行動方針:真正面からの戦闘に限界を感じ、ステルスor扇動マーダー路線を目指す
第三行動方針:そのために利用できそうな仲間を探す
第四行動方針:機会があればコナンとネギの2人にはきっつい復讐をしてやる
基本行動方針:元の世界に帰るために最後の一人になる

[備考]:
サイコメトリーを駆使し以下のことを知りました
1、神社で起こったコナン&ネギ&リリスの遭遇について、支給品を透視して
大まかに把握しました。先入観による勘違いあり。
2、廃病院内部で起こった事態について客観的に把握しました。
表面的に透視していたので、会話以外の細かい部分は見落としている可能性あり。
390 ◆uOOKVmx.oM :2007/04/14(土) 21:02:48 ID:cujDc//2
三宮紫穂の投下完了しました
391 ◆JZARTt62K2 :2007/04/14(土) 22:59:29 ID:8KLjmjMZ
>>390
投下乙です。
情報収集型の紫穂がステルス扇動マーダーだと恐ろしい((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
病院組も目を付けられて可哀相に。ここの脱出派は苦労が絶えないなあ。


ネギ、トリエラ、金糸雀を予約します。
392名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/14(土) 23:13:04 ID:tgCJ7QOW
>>390GJ
なんて卑劣なステルスマーダーだ。どくぽっい香りがぷんぷんするぜ。

>>391頑張れ。
393名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 00:00:46 ID:P4wO91lf
>>390
GJ! スク水とタイツ両方着れば一番露出が減らね?と思っていたら
本当に両方着やがったw
ステルス+サイコメトリーは強いな、装備も銃に短剣で充実しているし。
何気にネギま勢全員を見たことになるんだな。
あと、最後のセリフのせいで急にヘタレ属性が追加された気がするw

>>391
超期待。
394 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/15(日) 00:01:09 ID:WVFwQhFY
ああ、間に合わない……今回こそは期限内にいけると思ったのにorz

明日中、遅くても明日の深夜までには仕上げられると思うので
できれば猶予を頂けませんでしょうか……。


>>390
紫穂のドライな思考に、恐ろしくも引き込まれました。
サイコメトリー能力を生かした今後の活躍に期待がふくらみます。
……関係無いことですが、タイトルで昔の某アニメOPを思い出してちょっと懐かしくなりました。
395名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 00:02:52 ID:cpZVaOXw
>>394
私は別に構いませんが、早く仕上げないとルーマニア出身の双子ちゃんが怖いよ?とだけ言っておk(ザシュ ガガガガガ
396名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 00:14:57 ID:WVFwQhFY
やめて脳天釘打ちとか目玉潰しとかやめてガクブル


避難所のほうでリインUについて答えてくださった方、
ありがとうございます。非常に助かりました
397 ◆CFbj666Xrw :2007/04/15(日) 07:59:10 ID:6bkQGFRZ
高町なのは、ヴィータ、才賀勝、ニケ、エヴァ、インデックスを予約します。
398 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/15(日) 21:33:33 ID:op4RN1x4
もうだめです、サンタマリア……orz

どうみても書き終われそうにないので、予約を破棄します。
たくさんのキャラを三日以上も拘束してしまい申し訳ありませんでした。
399名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 21:39:23 ID:YUlXtaal
ドンマイ白い象さん
400名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 22:03:08 ID:+wEH/QBb
>>390
乙です。
なんというか、超能力そのものより、失敗や敗北、周囲の状況からキチンと学習するマーダーって怖いなぁ、と。

>>391
学校組の森組キター! さて、金糸雀はどう動くやら

>>397
山周りの進展に期待。
……そしてグリーンひまわりは未だ山頂に到達せず、か。
おしめでも換えようと手間取ってるんだろうか?w

>>398
どこかと思ったら、湖周りの一斉予約ですか。ありゃ大変だw
目途が立ってるなら延長は十分受け入れられると思いますが……まあいいか。
401名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 22:06:56 ID:+wEH/QBb

4/14(土)の予約(〜4/17(火)まで)
◆JZARTt62K2:ネギ、トリエラ、金糸雀

4/15(日)の予約(〜4/18(水)まで)
◆CFbj666Xrw:高町なのは、ヴィータ、才賀勝、ニケ、エヴァ、インデックス
402 ◆aAwQuafMA2 :2007/04/15(日) 22:36:20 ID:op4RN1x4
とりあえず、破棄話のプロットだけ没スレの方に投げ込んできました。
……無謀さを笑ってくださいorz
403名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 22:49:09 ID:+wEH/QBb
>>402
カオスプラン乙。
これは……確かに無茶だぜあんさんw 間に合わないのも分かるわw
各シーンに要する会話量とか戦闘描写とか、dでもないことになってるでしょw

しかしつくづく危険人物一杯だな、今の橋周りも……。
進む方向ズレて参加者が半分くらいになったとしても、ねぇ……。
404名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 23:17:59 ID:5rzZOLlT
>>402
なんつー長編だ……w
折角だし書けてた所までを再利用、なんてのも無理かな?
ある程度でも書けていたなら全廃棄は勿体ないし。

どちらにしろ予約は破棄か。ほんとお疲れさま。
405名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/15(日) 23:36:56 ID:K4Qx4V4g
>>402
もともとあのあたりは分割すれば5話くらい話が作れるからなー。
本当に個人的な感想だけど、S2Uと夷腕坊が沈むのは勿体無いなと思った。特に夷腕坊。
あと序盤で橋が潰れるのも勿体無い…我侭でごめん。
話自体は手に汗握る展開の連続でとても面白そうだった。
406名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 05:57:48 ID:E14zm9nL
>>402
これは……凄い……
てかめちゃくちゃ書いてみたいプロットでもあるw
407 ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 18:52:47 ID:pfLTptAB
ネギ、トリエラ、金糸雀を投下します。
408カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 18:53:50 ID:pfLTptAB
私――ローゼンメイデン第二ドール、金糸雀は自分の幸運を信じられずにいた。
遁走劇の最中に闖入者が現れたことは、殺される寸前だった自分にとってとてつもないラッキーだ。
このラッキーを使わない手はない。禍転じて福と成す、というやつである。
……どう転んでも結果的には福ではないけれど、最悪の展開だけは防がなければ。

(ここが策士の腕の見せ所……薔薇乙女一の頭脳、見せてあげるのかしら!)

目を見開き、視線を巡らして状況分析を開始する。
細かな情報収集と綿密な計画の立案は、策士の基本だ。
鉛弾とともに現れた色黒人間の右手には鉄の銃身。銃撃の余韻か、硝煙の臭いが鼻を突く。
自分をグリルにしようとしたメガネ人間は無手。拳法のような構えを取っている。
雷使いであるメガネ人間の体勢は、おそらく雷撃を放ちやすいものなのだろう。殺る気満々だ。
銃使いの色黒人間も銃を油断なく構えている。瞳は殺気に満ちており、こちらも殺る気満々。
殺し合いを始めるのは明白であり、どちらかが命を落とす展開も大いに有り得る。
この状況で、一体自分はどう行動すべきだろうか?
普通に考えれば、銃使いと協力して、自分を殺そうとした雷使いを倒すところだ。
そう、“普通に考えれば”。
一流の策士は普通には考えない。裏を読むのだ。

(敵の敵が味方とは限らないのかしら)

自分は乱入者のことを全く知らない。
平和主義者か、殺人者か、賢者か、狂人か、天使か、悪魔か、全然知らない。
彼女が乱入してくれたおかげで自分は助かったけれど、それはあくまで結果論。
協力して敵を倒し「チームワークの勝利かしら!」と言った途端に、パートナーからズガン! となったらギャグにしかならない。
訂正、笑い話にもならない。
『ご褒美システム』がある限り、いや、一人しか生き残れないこのゲームで、信頼できる相手などいない。
ならばどうする? 簡単だ、共倒れを待てばいい。
勝ちそうになったほうを密かに邪魔し、負けそうになったほうをこっそりと手助けして、両者の疲弊を待つ。
そして、どちらかが勝ち残った瞬間、油揚げを掻っ攫えばいいのだ。

(ふっふっふ、魚人のリーさんってやつかしら! 楽してズルして、おいしいところはいただきかしら!)

正しくは漁夫の利。
そんなことを考えながら、金糸雀は顔を背けてニヤリと笑う。


激闘を予感させる緊張の中、3人の間で、一瞬時間が止まった。

そしてそれは、本当に一瞬だけだった。
409カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 18:54:52 ID:pfLTptAB
「え」

金糸雀が視線を戻したとき、雷使いは確かにそこにいた。
乱入してきた銃使いから6mほど離れた位置で、よくわからない構えを取っていた。
それが、消えた。
靄のように、幻のように、消え失せた。
ただ、爆散する土だけを残して。

「風華崩拳ッ!」

風の唸り声とともに、有り得ない場所から雷使いの声が聞こえた。
自分の耳がイカレていなければ、声が聞こえたのは“銃使いがいたはずの場所”。
視界の端に映っているのは、6m離れた位置にいたはずの雷使いが、暴風を纏った拳撃を繰り出している姿。
突然目の前に現れた相手に虚を突かれたのか、ろくにガードもできないまま銃使いが吹き飛ばされる。
空中に放り出されながらも武器を手放さないのは流石といったところだが、そんなことは殆ど慰めにならない。
なぜなら、危機は全く去っていないからだ。
宙に浮く銃使いを雷使いが追撃し、トドメを刺そうと拳に紫電を纏わせる。
この拳がクリティカルヒットすれば、数秒後にでもこんがりバーベキュー(人間大)が出来上がるだろう。
だが、状況をようやく理解したらしい銃使いも、不安定な体勢ながら反撃を開始。
連続して放たれた銃弾は雷使いの頬を掠め、銃使いに僅かばかりの猶予を与える。
命を繋ぎ止めた銃使いが、髪の毛を数本灼かれながらも地面を踏み締め、牽制の銃を構えようとして――驚愕に目を見開いた。
それはそうだろう。雷使いが、存在するべき場所にいなかったのだから。
そして、存在してはいけないところにいたのだから。
達人級の歩法で懐に潜り込んでいた雷使いが、両腕の龍を解き放つ。

「内撞掌ッ!」

轟音がまず一回響き、重なるようして耳に届いた二回目の振動波が鼓膜を震わせた。
一回目は銃使いが“発射”された音で、二回目は背後の木に“命中”した音。
雷使いの掌の先で、大木に叩き付けられた銃使いがずるずると崩れ落ちる。
完璧に全く何にも見えなかったが、吹き飛ばされて全身を強打したであろうということは、なんとか理解できた。
頭を垂れ、足を投げ出した銃使いの身体は、とても立ち上がれるようには見えない。

(って、瞬ッ殺ッなのかしらーッ!?)

決着まで、わずか数秒。
視点を固定する間もなく終了した攻防劇に、唖然とするしかない。
予定外にも程がある。予想外にも程がある。化物にも程がある。
こんな達人相手に邪魔もヘチマもない。それ以前に、手を出す暇すらない。
頭の中が真っ白になっている間にも状況は進み、焦りを加速させるのに十分な言葉が聞こえてくる。
410カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 18:55:55 ID:pfLTptAB
「すみません……今、楽にします。恨むなとは言いませんし、正義を気取るつもりもありません。
 でも、僕がやらなきゃいけないんです。人を殺そうとしてしまった僕が、リリスさんを止めなければいけないんです。
 僕が、やらなきゃ……僕が、僕が、背負わなければいけないんです……」

雷使いが、ぐったりとしている銃使いにゆっくりと近づき始めた。
ぶつぶつと物騒な言葉を呟きながら、確実にトドメを刺せるよう距離を詰めていく。

(明らかに正気じゃないのかしらっ! 強盗に包丁とはまさにこのことなのかしらっ!
 ま、まずいのかしら、このままだとカナもあいつに……)

もしかしたら復活するかもしれないと期待を込めてみても、銃使いは起き上がらない。
ただ、完全に気を失っているわけではないらしく、左手が微かに動いている。
揺れる腕の延長線上にナイフがあることから、気絶したフリをしながら地面に落ちた武器を拾おうとしているだろう。
なんて意味がない行為。今更ナイフ一本で戦局が変わるはずがないのに。
今はまだ気づかれていないようだが、雷使いが不意討ちに対応できない保障はない。
まして、倒れ込んでいる体勢からの不意討ちなど、失敗する確率のほうがはるかに高い。
そんな行為は、みっともない悪あがき。どうせ結果は変わらない。

銃使いがやられたら、次は自分の番だ。
瞬間移動ができる達人相手に逃げ切れるとは思えない。
少しでも動いたら音で気付かれてしまうし、逃げようとしている獲物を見逃すほどあの人間は慈悲深くないだろう。
撃退できるかどうかなんて考えるまでもない。
愛用のバイオリンがあったとしても勝率が五分を下回るであろう相手に素手で挑むなど、それこそただの蛮勇だ。

(ああ、早く音を立てずに逃げる策を、ピ、ピチカート、なんでこんなときに限っていないのかしらー!)

いくら気持ちを落ち着けようと思っても、昂ぶる鼓動は抑えられずパニック寸前。
頭の中にいくつもの逃走作戦が浮かび上がっては『不可能』の烙印を押されて消えていく。
もはや、何をしても駄目なのか。自分は最初から助からないシナリオだったのか。
もはや一欠片の策も出せなくなったことに虚無的な怒りを覚えながらも、呆然とするしかない。
これから目の前で起こることは、嫌でも想像できる。そして、次は自分だということも。
これにて終局。ローゼンメイデン第二ドール、金糸雀はここで脱落する。

(……なんて、冗談じゃないのかしら!!)

――嫌だ。こんなところで死ぬわけにはいかない。
銃使いの人間が最後まで足掻いているのに、ローゼンメイデンである自分が諦めてどうする。
死ぬ覚悟を決めるぐらいなら、最後までみっともなく足掻いて見せよう。
このくらいの修羅場など、生きていればいくらでも出会う。
何度も何度も死にかけて、何度も何度も絶望して、それでも、諦めない。
諦めたら、そこで終わり。生存の権利を自ら放棄するようなやつに、生きる資格はない。
生きることは、戦いなのだから。
411カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 18:57:26 ID:pfLTptAB
覚悟(開き直りとも言う)を決めたら、後は早かった。
唯一の武器であるコチョコチョ手袋を装着して、敵を見据える。
雷使いは銃使いの2mほど前でなにやら逡巡しているところだったが、大きく息をひとつ吐くと、呪文を唱えるために口を開いた。
無意識に息を吸い込むであろうひとつの動作、その一瞬に狙いを定める。
そして“くすぐる”。
5m離れた位置から、できるだけ多くの神経に触れるように。
土のベッドに横たわる銃使いに向かって、皮肉と哀れみに満ちた哂いをぶつけながら。

(威勢良く乱入してくれたのはありがたいけど、どうせならくんくんみたいに格好よく決めてほしかったのかしら……。
 もう、仕方がないのかしら。あなたがやられたらカナもやられちゃうし、手助けしてあげるのかしら!)

作戦は最初に決めていたものをそのまま使った。そう、『負けそうになったほうをこっそりと手助け』するのだ。
敵を不意討つのが難しいなら、その敵に隙を作ってあげればいい。
一瞬でも隙が出来れば、それだけ襲い掛かりやすくなるに違いない。
そうすれば、少しは銃使いに有利になり“一瞬で勝負が決まることは防げる”。
乱戦になれば、雷使いはそれだけ戦闘に集中しなければならなくなるだろう。
自然と、周囲への警戒は怠らざるを得ない。
つまり、その間に逃げれば追跡されることは防げるというわけだ。
一瞬で倒された人間に過度の期待はしない。怪我の一つでも負わせてくれれば上等だ。

「ひゃあっ!?」

コチョコチョ手袋の効果は絶大だった。
極度に緊張していた雷使いは、身体をくすぐられる突然の感触に、肺の中の空気を全て吐き出す。
奇襲するには最高の隙。一発逆転を狙う人間がここで仕掛けないわけがない。
わけがないのだが――

(さあっ、今……かし……ら……?)

その絶好の機会に、銃使いは動かなかった。
指一本、髪の毛一本動かさなかった。
ただ、片方だけ開けた目でこちらを見つめていた。
コチョコチョ手袋を使った自分を、薄く引き絞った目で見つめていた。
盤上の駒を見るような、打算に満ちた冷たい目で、見つめていた。

(ちょっ……まさか、まさかアナタ――)

心の中で叫び声を上げるが、どうにもならない。
そんな自分に構わず、無慈悲にも雷使いがこちらを向く。
『気絶している』銃使いから目を離し、『奇妙な手袋を構えている』自分に、薄く光る拳を向ける。
それは、くすぐられた直後よりも酷い致命的な隙。銃使いの左手が流れるように動き出す。
412カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 18:59:54 ID:pfLTptAB
「ま、待つのかし」
「『魔法の射手・光の1矢』ッ!」

願いは聞き届けられず、殺意の光が目の前に迫る。
視界が白く染まる直前、ばね仕掛けの人形のように跳ね上がる銃使いが、視界の端に映った。
地面に落ちていたナイフを掬い上げ、ファーストアクションで雷使いに投げつける。
直後、衝撃と閃光に包まれた私に、そのナイフが雷使いに命中したかどうかはわからない。

(あいつ、私を捨て駒にしやがったのかしら――)

こうして私は、戦いに負けた。


   ※   ※   ※

「まだ、動けたんですか!?」
「悪、いけど、結構丈夫に、できて、んのよ、私は!」

焦りを押し隠すように地面を強く蹴り、相手との距離を取る。
同時に、避け切れなかったナイフを右足から引き抜いた。
吹き出る血を押さえながら、歯を食いしばる。自分の迂闊さと愚鈍さを呪うしかない。
別の目標に気を取られて本来の目標から反撃を受けるなど、師匠に知られたら懲罰ものだ。
相手が気絶したフリをしていたとか、横合いから未知の遠隔攻撃を受けたことなど言い訳にならない。
それにしてもこの銃使い、やはり一般人ではないらしい。
中段に当てた打撃は、常人なら間違いなく悶絶する威力だったのに。

「なら、今度こ……っ!?」

即座に反撃の構えを取ろうとした瞬間、強烈な立ち眩みに襲われた。
ろくに休息も取らずに連続して魔法を使った代償として、魔力が少なくなってきたのだ。
魔力を使うということは、精神力を削るということ。
午前に使った魔法は、『風精召喚 戦の乙女17柱』『戦いの歌(カントゥス・ベラークス)』『桜華槍衝 太公釣魚勢』
『雷の斧(ディオス・テュコス)』『風花 武装解除(フランス・エクセルマティオー)』『魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾・雷の11矢』の6つ。
学校に来てからも『魔法の射手(サギタ・マギカ)』を何回か使っているし、瞬動術や拳法の一部も魔力を使わなければできないものだ。
それに対して、休息した時間は1時間にも満たなかった。魔力は気休め程度にしか回復していない。
本来ならこの程度でヘバることはないのだが、この島では魔力が制限されているらしく、もはや立っているのも辛い状態だ。

(……せめて、この人を倒すまでは!)

だが、ここで倒れるわけにはいかない。
学校では、コナンくんや小狼くんが危ない目にあっているかもしれないのだ。
それに、もしここで自分が負けたのなら、リリスさんを止める人がいなくなってしまう。
僕がやらなければいけないんだ。
いつかのように、自分の力で道を切り拓くしかない。
それなのに、どうしてこの身体は思い通りに動いてくれないんだ――


『どうしました? ネギ先生』

ふと、声が聞こえた気がした。
413カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:00:54 ID:pfLTptAB
『まるでダメです』

懐かしい、どこかで聞いた誰かの言葉。
失望したかのような声で、幻聴は静かに問いかける。

『――なぜ、今ダメなのかわかりますか?』

わからない。ダメなのかどうかすら、わからない。

『あなたの心がとらわれているからです』

心が、とらわれている。
コナンくんたちの所へ帰ることに、リリスさんを止めることに、そして、人を殺しかけてしまったことに。
そうなのだろうか。
僕の心は、未来のことに、過去のことに、とらわれているのだろうか。

『この試合勝たねばと思い』

そうだ、僕は勝たなければいけない。
汚れてしまった僕は、全てを背負って勝たなくてはならない。

『そう思うほど手は動かず、足は出ない』

……その、とおりだ。
普段なら、こんな失敗はしない。
こんな、自暴自棄になって身を滅ぼすことなどしない。
ずっと先のことばかり考えていて、今を見ていなかった。

『忘れないでください』

僕は、一体何をやっていたんだろう。
後先考えず、一人で突っ走って、あげく、無様に失敗した。
ただ、思い込みの使命感に突き動かされて、無駄に命を捨てるところだった。
自分のことしか考えず、小太郎くんのことを、師匠のことを、
そして、元の世界で待っていてくれるであろうみんなのことを考えていなかった。
本当に、情けない。

『みんなのことを――』

幻聴が止んだときには、頭の中が驚くほどスッキリとしていた。
魔力がないことには変わりはないが、不思議と負ける気がしない。
414カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:01:40 ID:pfLTptAB
「……行きます」

右拳を突き出し、地面を踏み締めて構えを取る。
もう大丈夫だ。油断をすることも、焦燥に駆られることも、不覚を取るつもりもない。
ただ、目の前の戦いに集中す……る……?

「あ……れ……?」
「やっと、効いてきたみたいね」

急に視界がゆらぎ、手足の感覚が鈍くなった。
慌ててバランスを取ろうとするが、地面の感覚を掴み損ねてしまう。
まるで自分の身体ではないみたいだ。崩れた姿勢を立て直すこともできない。
グルリと風景が回転し、叩き付けるような衝撃が全身を襲う。
土を噛みながらも顔を上げようとするが、首すら自由に動かせない。
起き上がろうともがく僕に、銃使いの声が降りかかる。

「このナイフ……思ったより強力じゃない」

ナイフだって? 一体何を……。
……まさ……か……毒!?
妙な形状のナイフだとは思ったけど、そんな仕掛けがしてあったなんて!
だから、ナイフを投げた後に畳み掛けてこなかったのか。彼女にとっては、ナイフを当てることができればそれで良かったんだ。
なんて失敗だ。あのナイフは絶対に避けなければいけないものだった。
それなのに、致命的な一撃を食らってしまった。もはや指一本動かせそうにない。
足音がだんだんと近づいてくるが、いくら頑張っても身体は全く動いてくれない。
僕はバカだ。一瞬の油断が死を招くことなんて、魔法使いの戦いでは常識だったじゃないか。
せめて、もう少し早く自分を見つめ直しておくべきだったのだ。そうすれば、こんな事態は避けられたはずだ。
でも、遅い。もう、遅すぎる。
このまま、殺されてしまうのか。何もできず、誰も助けられないまま……。

『ネギーーーーッ! このバカネギ!!』

ああ、また幻聴が聞こえる。
ごめんなさい、アスナさん。僕はやっぱりバカで――

『何やってんのよ、立ちなさいよーーーーっ!!』

…………。
415カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:02:33 ID:pfLTptAB
『ネ……ネギ先生、しっかりーーーーっ』
『ネギ坊主ーーーーッ、まだイケルアル!』
『ネギ先生!!』

……そう、だ。
こんなところで、死ぬわけにはいかない。
さっき決意したばかりなのに、ここで死んでしまったらなんの意味もない……!

「ぐっ……あああああっ!!」

最後の気力を振り絞って顔を上げる。
そして、無詠唱の魔法を放とうとして、

黒く、虚ろな銃口を見た。



――それが、最期に見た光景となった。

   ※   ※   ※

硝煙と血と脳漿の臭いが鼻をつく。
臭いの出所は、つい今しがた肉の塊に変えた少年。
メガネごと右目を打ち抜かれ、紅い涙を流している。

「……恨むなとは言わないし、正義を気取るつもりもない。私はただ、死にたくないだけ」

意味のない言葉を呟きながら、小さな頭をゆっくりと踏みつけた。
目的は首輪の回収。
うまく使えば交渉道具になるかもしれないし、脱出の手掛かりになる可能性だってある。
ナイフを傷めるのは嫌なので、素手で毟り取ることにした。
もう片方の足で身体を押さえ込み、銀色に輝く首輪を握り締める。

「ふっ!」

気合を入れて腕を引くと、ボキリと鉄柵を引き抜いたような音が出た。
引き千切られた子供の首が地面に転がり、首輪に引っ掛かった脊柱がズルリと零れ落ちる。
首輪を無理矢理引き剥がされた身体は、血を数回吐き出した後、完全に動かなくなった。
手にかかってしまった血糊を少年の服で拭いながら、溜息を吐く。とても疲れた。
416カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:03:45 ID:pfLTptAB
「それにしても強かった……ピノッキオ以上じゃない……」

未だに軋む身体を押さえながら、改めて戦慄を覚える。
空間を縮めたとしか思えない歩法に、強烈な打撃。オマケに魔法まで使えるなんて反則だ。
この身体が義体化していなかったら、おそらく最初の一撃で戦闘不能になっていただろう(まあ、これは意味がない仮定だが)。
そんな実力を持った少年も、今や物言わぬ骸と化している。たった、一発の銃弾によって。
血に濡れた首輪を見ると、【Negi=Springfield】と刻印されているのが目に入った。
もはや、呼ばれることのない名前。
思い出の中でしか、語られることのない名前。

(……無意味な感傷ね。これから、何人殺すかわからないのに)

赤と銀が混じり合う首輪をランドセルに放り込み、改めて周りを見渡す。
森は静寂を保っており、誰かが動く気配はない。
ただ、魔法による破壊の痕跡がいくつか残されているだけだった。
黄色い少女がいたはずの場所も大きく抉られており、未だに煙が上がっている。

「あの女の子、生きてるかな。光弾が直撃したみたいだったけど……」

破壊跡に近づきながらも、心は平静を保っていた。
自分が見捨てた少女がどうなっていようと、あまり関係がないからだ。
当面の目的は「テロリストの排除」であり「弱者の保護」ではない。
最初の指針である「生き残る」ために、危険人物を排除しているだけ。
殺し合うつもりがない者や脱出を目指す者を襲いはしないが、積極的に助けるつもりもない。
所詮、脱出が無理とわかったら殺すつもりの人間だ。天秤は自分の安全のほうに傾く。
一応、感謝はしている。
腕一本くらいは失う覚悟で突貫するつもりだったが、想定外の横槍のおかげでかなり楽ができた。
自分が五体満足でいられるのは、あの少女のおかげだと言ってもいい。
それでも、心の中で感謝する程度。敵の敵が死んだからといって悲しんでいたらキリがない。

「あ〜〜、これは無理そう……ん?」

大した期待もなく焦げ臭い森の一角を確かめていると、奇妙なものを発見した。

「拡声器と……人形の腕?」

血塗れの拡声器は少女が使っていたものだろうが、それにくっ付いているおもちゃの腕はなんだろう。
袖の装飾が少女のものに似ているのは気のせいだろうか。

「死体はなし、ね。消し飛んだとしても、肉の一片くらいは残るでしょうに」

いくら探しても少女の死体が見つからないことも不可解だった。
消えた少女の死体。残された人形の腕。どうにも気になってしょうがない。
よく見たわけではないけれど、あの少女、人間にしては小さすぎたような気がしなくもない。
拳法使いの少年を遠くから攻撃したことといい、どうやら一般人ではないようだ。
もし生き延びているならば、いずれ脅威になる可能性もある。調べる必要があるかもしれない。
417カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:04:25 ID:pfLTptAB
「彼なら知ってるかな……」

朝方に出会った魔技師の少年を思い出しながら、拡声器ごと人形の腕をランドセルに放り込んだ。
分析するにしても、こんな森の中でやる必要はない。
一通り辺りを見回した後、痛んだ身体を休めるために、安全そうな場所まで移動することにした。
もう、この場所に用はない。

   ※   ※   ※

彼女は知らない。
自分が殺した少年は、自分と同じように危険人物だけを狙っていたことを。
そして、多くの仲間がいることを。

彼女は知らない。
何気なくランドセルに放り込んだ拡声器が、午前中だけで二人の命を奪った、縁起が悪すぎるものだということを。
今まで災厄を呼び寄せ続けてきた物品だということを。

彼女は、知らない。

   ※   ※   ※

薄暗い森の中を、小柄な人影が駆け抜ける。
服はボロボロで、綺麗に整えられていたであろう髪は見る影もない。
ときに木の根に躓きながら、ときに地面に這い蹲りながら、それでも走り続けている。

「はっ、はぁっ、なんとか、逃げることには、成功したのかしらっ」

金糸雀が迫り来る光の矢を避けることができたのは、奇跡としか言いようがなかった。
咄嗟に横に飛んだことが幸いしたのだろう。ほんの少しでも反応が遅れていれば、今こうして走ることなどできていなかったはずだ。
真横で起こった爆発によって吹き飛ばされたことも、逃走の手助けをしてくれていた。
2mほど宙を舞って地面に叩き付けられたときも、軽い身体のおかげでそれほどダメージを受けずに済んだ。
それでも、金糸雀は喜んでなどいない。顔を歪めて、必死に涙を堪えている。
雷使いの放った光弾は、金糸雀の腕を抉り飛ばしていた。
まともに食らっていれば身体に大穴が開く攻撃を、右腕を失うだけで済んだ――そんなふうに考えることができなかったとしても、それは仕方がないことだろう。
腕一本分だけ軽くなった身体に鞭を打ち、金糸雀は森の中をひた走る。

「こ、この借りは絶対に返してやるのかしら……」

恨みの念を銃使いの少女に向け、金糸雀が復讐を誓う。
本来なら雷使いの少年に恨みの矛先が向くところだが、銃使いに対する憎しみばかりが募っていた。
あのとき彼女が動いていれば、金糸雀は腕を失うことなどなかったのだから。
心の底では、八つ当たりでしかないことはわかっているのだろう。
だが、誰かを恨みでもしなければ保てないほど、金糸雀の心は壊れる寸前だった。
身体の一部を欠損させてしまった乙女は、もはやジャンクでしかない。
アリスに、なれない。
418カナリアの啼く頃に ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:05:10 ID:pfLTptAB
「絶対に、絶対に、許さないのかしら……」

壊れた人形が、森を駆ける。
黒い塊を、精神の奥に沈殿させながら。
健全な精神は健全な肉体に宿る。
完全な魂は完全な人形に宿る。
ならば、壊れた人形には何が宿るのだろうか。


【E−4/森/1日目/昼】
【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:胴体に重度の打撲傷、中程度の疲労
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残段数3)
   ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー
[道具]:基本支給品、回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、
    十字架×1、ダイエットフード×1、目薬×1、山彦草×1)
    首輪@ネギ、金糸雀の右腕(コチョコチョ手袋が片方だけついている)、血塗れの拡声器
[思考]:袖についた血は落としておきたいな……
第一行動方針:安全な場所まで移動して休息。
第二行動方針:好戦的な参加者は倒す。
第三行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう。
基本行動方針:最後まで生き延びる(当面、マーダーキラー路線。具体的な脱出の策があれば乗る?)


【E−4/森/1日目/昼】
【金糸雀@ローゼンメイデン】
[状態]:中度の疲労、全身打撲及び擦過傷(行動にやや支障あり)、右腕欠損、心が壊れかけている
[装備]:コチョコチョ手袋(片方)@ドラえもん、スケルトンめがね@HUNTER×HUNTER
[道具]:支給品一式、イエローの衣類一式(少し湿っている)、 酢昆布@銀魂
   旅行用救急セット(絆創膏と消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
[思考]:……みっちゃん……ピチカート……
第一行動方針:腕を失った原因(ネギとトリエラ)に復讐する。そのために、他の人間を利用する。
第二行動方針:どこかで「武器」を確保する。持ち物の交換・死体からの荷物漁り等、手段は問わない。
基本行動方針:(基本方針は未だに定まっていない)


【ネギ・スプリングフィールド 死亡】

※指輪型魔法発動体@新SWリプレイNEXTはネギの死体が装備しています。
419 ◆JZARTt62K2 :2007/04/16(月) 19:07:28 ID:pfLTptAB
投下終了しました。問題があった場合、指摘をお願いします。
420名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 19:10:27 ID:zavrVP2a
投下乙です。
ネ……ネギィ―――ッ!
マーダーキラー同士がぶつかるとこうなるのか……まっとうな戦闘の末の結果なのに、
大局的に見ればなんとも不毛で報われない……これぞバトルロワイアル。
黒化カナリヤに、トリエラの手に渡った拡声器、次が気になる恐ろしい要素もあって
これからが楽しみです。GJ!
421 ◆M42qaoJlNA :2007/04/16(月) 19:27:54 ID:zavrVP2a
ついでに、グリーン、ひまわり、きり丸、のび太、リリスを予約します。
422名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 19:32:56 ID:iLQjPZSy
投下乙!
なんというローゼン勢……間違いなくどいつもこいつも不幸。
423名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 19:43:54 ID:RiLBzseM
トリエラ、引いてはいけないカードを引いてしまったな…。GJ。
生き残った二人にもすごい死亡フラグがたったようで。
ここの書き手方の何がローゼン勢を痛めつけさせるのだろうか?w
毎度のことながら氏の戦闘描写には惹きこまれます。
山頂組のエヴァとニケが知ったら人物関係がすごいカオスになるな。

>>421
予想外組ktkr
424名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 21:57:17 ID:Wm5oOcEd
前もあったような気がしたが
真紅・翠→オワタ
蒼→色々とやばい
雛・金→ぶっ壊れた

これで銀様と薔薇水晶らまでもが参加してたら本格的にもうだめだった
425名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 23:04:22 ID:ghR9GoM/
まさかネギがやられるとは…。
コナンより先に逝くとは…。
といっても、コナンも死亡フラグ立ちまくりだからなあ。
リリスともども「あの世」で会うとかありえそうで…笑えない。
426名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/16(月) 23:09:14 ID:84FA5Fgq
>>419
……おやすみ、ネギ。
頑張っても空回りしあってるのが虚しさを残すな。
GJでした。

>>424
待て、まだ金は壊れ“かけ”だっ。
まだまともな蒼星石は頑張って欲しいけど……欲しいけど………………嗚呼w
427名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/17(火) 07:07:55 ID:R8MHVtrL
>>424
雪華綺晶の事、時々でいいから思い出してあげてください
428名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/17(火) 14:45:28 ID:wbktdguH
>>419
乙です。読み応えのあるバトルでした。戦いの虚しさが、身にしみます……。

1つ気になったのは、トリエラに対するネギの初撃が「風華崩拳」だったこと。
確かこれは「魔法の射手」の「風」バージョンを纏わせた技のはずですが、
ネギま!における「風の矢」の付加効果は「吹き飛ばし」でなく「空気の帯による捕縛・拘束」だったと思います。

あの拘束を腕力任せに引きちぎるのも難しそうですし、
この展開にするには、初撃は破壊効果の「光の矢」を纏わせた「桜華崩拳」の方が適切なのではないでしょうか?
……いや、戦術的には説得力あるんですけどね。初撃で自由奪って無抵抗にした上でボコる、ってのは。
でもそれじゃお話が盛り上がらないんで。
429 ◆JZARTt62K2 :2007/04/17(火) 17:55:35 ID:zNSp6Jtw
>>428
実は狙いました。
というのも、『剣』が背後からの瞬動攻撃をガードできてる以上、トリエラが正面からの瞬動攻撃を二回も続けて食らうかどうか怪しかったからです。
一回目は驚いて食らうとしても、二回目はガードするんじゃないかなあ、と思ったため、風華崩拳で身動き取り難くしようかと。吹っ飛ばされたのは拳撃の威力です。
(タイムラグの間にガードできるようにしとかないと小太郎が無敵化しそうなんで、瞬動に対する制限ってことで)
制限の関係であんまり一方的すぎるのもアレかなと思い、身動き取り難いながらもトリエラに反撃させてみました。
木々が密集してる森じゃなければ背後取らせることもできたんですけどね。

ただ、問題がひとつ。
風華崩拳って作中に捕縛描写がないんですよ(高音に軽く防がれたため)。
フェイト戦で使った『戒めの風矢』と同じ効果だと仮定すれば10秒はその場に足止めできると思うんですが、制限なしで本編に出てない効果描写していいのかどうか悩んだ末、卑怯にもぼかしてみました。
もしよければ、風が微妙に捕縛するような描写を追加したいと思います。下級魔法で完全捕縛できると強すぎると思うので。
430名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/18(水) 00:08:41 ID:k86JiR9l
午前の部ってあとベルフラウだけか。早いもんだなあ。
といっても放送にはまだ行けそうにないけど。
431名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/18(水) 01:05:28 ID:ulw05gHw
放送が6時間ごとだったら一回目の放送終わってたんだなー。
まぁ、放送の間隔が長い分勢いが削がれていないような気はする。

【予約まとめ】
4/15(日)の予約(〜4/18(水)まで)
◆CFbj666Xrw:高町なのは、ヴィータ、才賀勝、ニケ、エヴァ、インデックス

4/16(月)の予約(〜4/19(木)まで)
◆M42qaoJlNA:グリーン、ひまわり、きり丸、のび太、リリス
432 ◆CFbj666Xrw :2007/04/18(水) 06:59:32 ID:dUS5zQdY
すみません、間に合いません。
今回は今日中にも辛そうです。
予約の延長を希望し、明日か明後日には投下いたします。
433428:2007/04/18(水) 08:43:30 ID:hSTs9/XX
>>429
なるほど、なるほど。納得です。
確かに風華崩拳は作中でのクリーンヒットが皆無なんですよね(ゼロ距離の風の矢はありますけど)。

なら、「本数ケチったせいで束縛効果が弱かった」ことにしたらどうでしょうか?
風の矢って作中でも大量の本数を同時使用して、その時には大物も完全束縛してるんで。
1本2本の時にどうなるのかは原作での描写が無いわけですけど、数が少ないと弱い束縛になる、とデッチ上げてもいいと思います。

つまらない指摘、すいませんでした。
434名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/18(水) 12:43:10 ID:FrFfVPkm
無詠唱魔法と打撃の組み合わせは強そうだけど、エヴァも同じような技を使えるだろうか?
打撃が当てると凍るとか、原作流し読みな俺が適当な妄想を膨らませてみる
435名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/18(水) 17:36:28 ID:5WYZy4WM
>>434
6巻までしか持っていないけど全盛期と同等の状態だと、
腹を石柱に貫かれた状態で拳撃と共に魔力の放出を相手にぶつけてた。
436名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 04:18:00 ID:8LM+rTV8
>>434
出来るはずだけどその手の使ってないんだよな。
原作の戦闘を振り返ると

対ネギ戦:白兵戦担当の従者が居たから遠距離に専念し、魔法だけでねじ伏せようとしていた。
修学旅行:フルパワー状態だから小細工無しに殴り飛ばしていた(数十mぶっ飛ばした)。
武闘大会:魔力が殆ど空っぽだった為、肉体強化(十歳程度→中学生並)で手一杯。空も飛べない。

フルパワー状態だと小細工無しなんだろうけど、
ある程度は魔力がある状態だとそういうテクニカルな戦術に走ってもおかしくない。
437名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 12:43:44 ID:uLpBXeeo
能力としては可能だが、性格・プライド面から「普通なら」使わない……という説を推してみる
438名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 17:17:08 ID:CVtEbqCL
あんまり関係ない話なんだけど、インデックスって肉体言語な魔術に強制詠唱を割り込ませるのが
苦手なんだっけ。あとは道具をメインに使う魔術も。

それで、魔術で出来た無詠唱の槍を分解したからリリス戦みたいなことが出来るとして、
あと強制詠唱では何ができたっけ?
439 ◆M42qaoJlNA :2007/04/19(木) 19:23:56 ID:MtsTVgxt
微妙に間に合わない……期限延長をおねがいします。
440名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 22:15:15 ID:l2hfxyGU
>>438
遠隔操作されてるゴーレムの動きを操って自滅させるとか
441名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 22:59:24 ID:z/SbEYIX
てことはデバイス系を自爆させることも可能かな。魔法で知性を持ってるんだし
442名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/19(木) 23:51:35 ID:GWZ+HF2b
>>441
それは無理。
ゴーレムを自滅させる時も遠隔操作の命令を変質させるって物で、
完全自律行動モードに切り替えられると割り込む命令系が無くなって手出しできなくなっていた。

あくまで命令が出される瞬間にその内容を書き換えるだけ。
例えばデバイスで魔法を使う瞬間に割り込んで、その魔法を自爆させるとかがせいぜいかな。
デバイスに話してるだけの時は割り込めないと思う。
デバイスが自動発動する時なら割り込める……かなあ? これも苦しそうだけど。
443名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/20(金) 00:20:23 ID:weG590mL
>>442
サンクス。解呪みたいに発動中の魔法自体に影響するんじゃなくて、魔法発動の瞬間に
「その魔法でどうするか」を好き勝手に決められるってイメージなのか。

今更だけど面白い能力だね。MTGの「誤った指図」とか大好きだったよw
444名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/20(金) 21:43:44 ID:6n17OcVc
強制詠唱って相手が人間だから通じているような印象がある。
人が起こしうるミスを拡大させているというか。
だから知性があるとはいえ機械的なものであるデバイスに影響があるのかは微妙な気が。
デバイスに影響を与えるなら強制詠唱を聞いた人間が判断を誤った結果デバイスの制御が
うまくいかなくなるという感じかなと個人的には思っている。
445 ◆CFbj666Xrw :2007/04/20(金) 22:09:40 ID:gqq5x7a3
二日延長してしまってなんですが、投下までもう少し掛かりそうです……。
朝には投下いたします。遅くなり本当に申し訳有りません。
446名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 02:04:58 ID:I2ZZD5Cx
確かに強制詠唱って誤った指図っぽいよなぁ。
447 ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 09:17:13 ID:n4btNv94
遅くなりましたがもうすぐ投下します。

状態表纏めないと……。
448 ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:01:37 ID:n4btNv94
思いの外に手間が掛かった……。
これより投下開始します。
449それは狂的なまでに(前編)(1/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:02:30 ID:n4btNv94
(まずはこの状況をどうにかしないと……)

10分が過ぎて勝が最初にした事は、危険物をランドセルにしまい込む事だった。
弾薬を使い果たした、それでも放置してはおけないメタルイーターMX。
その内に眠る凄まじい高熱を吐き出してみせたミニ八卦炉。
振るえば止まらぬ大きすぎ重すぎる鉄塊、ドラゴンころし。
この三つは当然ながらランドセルにしまい込んだ。
それからドラゴンころしを振るった少女の盾も没収して、
既に手に握っていたフランベルジュも纏めて全てをランドセルに放り込む。
ランドセルに入れた支給品は大きさも重さも関係無くなってしまう。
これからする事のためにはその機能が必要不可欠だ。
(これで両手が空いた。でも武器が取り出しにくいから、今襲われたらおしまいかな)
それでもこうしないといけない。
近くで耳にすれば気絶してしまう程の凄まじい轟音が鳴り響いたのだ。
急いでこの場を離れなければならない。
問題は一つ。
(この二人をどうするかだ)
それぞれミニ八卦炉とドラゴンころしを使いこなした二人の少女。
確か戦いの前に互いを……なのは、そしてヴィータと呼び合っただろうか。
特にドラゴンころしを振るった少女ヴィータは明らかに殺し合いに乗っていた。
誰かを襲うかも知れない人を放って行くわけには行かない。
そして二人の少女は勝の活躍により深い傷を負う事も無く気絶していた。
こんな殺し合いの直中で無力化したのだ。
誰かに襲われるかも知れない人を放って行くわけには行かない。
どうすれば良いかは言うまでもなかった。

「くう……流石に二人は、重いよね……」
勝は大地を踏みしめる足が地面に埋もれる錯覚を感じていた。
その両肩には二人の少女が担がれている。
幾ら十歳の女の子とはいえ、二人合わせた重量は普通持ち上げる事すら出来ないだろう。
しかしそれは、普通の子供ならという注釈が付けられる。
(…………ドラゴンころしよりは……少し軽い、かな…………)
勝には持ち上げる事が精一杯だったあの怖ろしい鉄塊に比べれば、
女の子二人とランドセル一つ分の重量はまだ運搬できる範囲だ。
ドラゴンころしを振るったヴィータは鍛えられていて重いだろうと思っていたが、
実際に担いでみると特別重いわけでないのは不思議だった。
(人形……じゃあないよね)
幾度も争った、一見すれば人と見分けの付かない人形達を思い出す。
正確には人間と違うという意味では当たらずとも遠からずだったと言える。
だが勝はそんな事を知る由も無く、大して気にもせず運搬を続ける。
「とにかく、あそこまで運ばないと」
この二人をどこに運ぶかはもう決めていた。
偶然にも目に止まった山小屋だ。
あそこに二人を隠す。それから周囲に危険が無いか様子を見る。
その後で改めて危険な道具を破壊する方法を捜せば良い。
(だけどどうしよう。もうメタルイーターMXの残弾は無いんだ。
 ドラゴンころしとミニ八卦炉を壊す方法なんて有るのかな。
 ドラゴンころしは……あの高熱すら耐えてしまった)
いっそ崖や湖にでも投げ捨ててしまうのが手っ取り早いかも知れない。
誰かが見つけてしまうという懸念は残るが、持ち続けるよりはマシだろう。
この二人を隠したら適当な場所を捜し回ってもいいかもしれない。
そうこう考えている内に山小屋に到着して。
その山小屋の中から聞こえてくる話し声に気が付いた。
(……誰か、居るのか?)

     * * *
450それは狂的なまでに(前編)(2/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:03:09 ID:n4btNv94
勇者ニケは、割と真面目だった。
「……つまり吸血鬼は大地からも恵みを受けるもので…………」
たとえば、蘊蓄を聞きながら。。
「…………また棺桶の中を休息の場とするからこの木造の山小屋は……」
「えーっと、つまりどうすれば良いんだ?」
「つまり、さっきの工程で術式はおしまいだよ」
インデックスの指示に従い、土や水を使い吸血鬼を癒す魔術を行っていた。
インデックスは細かい理屈なども話していたが、その詳細は逆の耳から抜けている。
インデックスから『別に内容を理解している必要は無い』と言われた為である。
内容は全く理解できなかったが、とにかく言われた通りニケは山小屋を閉めきり、
部屋の外から持ち込んだ土をばらまき、その上にエヴァを寝かせたりといった事をしていた。
それから、ニケの血を飲ませた。
「つまり術者の血を飲ませる事により」云々だそうだがやっぱりよく判らなかった。
なにやら多少の疲労感がのしかかるのは感じたが、大して気になるものではない。
だから、たった一つだけ気になる事を聞いた。
「それじゃ、これでエヴァは助かるのか?」
エヴァは重傷を負い、なのははトイレに行ったきり帰ってこなかった。
状況は洒落にならない。
とてもシリアスで緊張感に満ちていてギャグを挟む余裕など、無かった。
「うん。この術式は封印されている吸血鬼の特性、特に再生能力を利用するもので――
 体力を消耗するという欠点は有るけど、傷はすぐに塞がるはずだよ。
 失敗すると術者であるあなたも危なかったんだけど……大丈夫、うまくいった」
「そ、そうか。…………お、ほんとだ、どんどん塞がってる。すげー」
余裕は無かった。そう、それは過去形で括られる。
確かにニケの仲間であるエヴァンジェリンは重傷を受けて倒れていた。
だがインデックスの手を借りて発動した治癒術式により、見た目は高速で再生していく。
エヴァンジェリンに付けられた無数の傷は見る見るうちに塞がっていき、流れる血も止まる。
腫れ上がった打撲痕は消え失せて、元の若々しく白い柔肌が甦っていく。
その光景はニケを安堵させるには十分なものだった。
更に言うならインデックスの言う『失敗した時の危険性』も苦痛などは無いものだった。
魔術の使用は下手をすると全身破裂の憂き目に遭うらしいが、今回は何事もなく発動できたのだ。
「体力は相当消耗して衰弱しちゃうから、しばらくは安静にしなきゃいけない。
 次からはあなたももっと危険だと思うし、この人も次は体力が持たない。
 だけど今回は大丈夫。峠は越えたよ」
「ありがとな。ほんとに助かったぜ」
エヴァの肉体が元通りの姿を取り戻すと共に、ニケも調子を取り戻していく。
心に余裕が出来たと言えば聞こえが良いが、それが何を意味するのかと言うと……
「……ところで、どうしてもインデックスに聞いておきたい事が有るんだ」
ニケは、まじめな顔をしてインデックスに向き直る。
その表情は深刻かつ真剣な話を予感させるものだった。
「なにかな?」
インデックスもまた真剣な表情でそれに答える。
同時に目の前の少年が知りたそうな質問を思い浮かべてみる。
(さっきの魔術についてかな? 魔術の使用が彼自身に掛ける負荷もまだ簡単に説明しただけだし。
 わたしについてかもしれない。まだ出会って間もないんだもん、互いに情報が少なすぎる。
 それとも……)
様々な真面目な問いを予想したインデックスをニケはじっと見つめる。
顔に視線を合わせ、そこからゆっくりと視点を降ろしていく。
舐めるようにじっくりと。
しっかりと目に焼きつけておく。
生まれたままの姿に申し訳程度の葉っぱをはりつけ透明な衣服を身に纏ったその姿を、
殴られても絶対に忘れないようにしっかりと目に焼きつけてから。
聞いた。
「……………………その格好は趣味なのか?」
「ちがうよ!!」
3ゲージ消費噛みつき攻撃がニケの頭蓋を直撃した。
451それは狂的なまでに(前編)(3/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:03:43 ID:n4btNv94
「うあっ、いて、いてぇっ! やめろよインデックス!」
「誰も好きでこんな格好しないよ!
 安全ピンを没収したジェダのせいなんだよ!
 わたしだってこれでも女の子なんだからいつもの歩く教会とは言わないけど
 もっとちゃんとした服があればそれを着るわけで絶対に趣味なんかじゃないんだよ!!」

あまりにいたたまれないので中略。

バーバラパッパパー♪ 【ニケの称号『すけべ大魔神』のレベルがあがりました】

そしてそのまま5分が経過した。
何とも言いようのない時間に真っ先に耐えかねたのはニケでもインデックスでもなかった。
怒っている当人のインデックスはもちろん、こういう事に慣れがあるニケにとっても大した事ではない。
むしろ傍観している真面目な者の方が耐えかねた。
『その辺にしておけ。あまり気を抜いていられる状況でもあるまい』
「……そうだね」
あっさり過ぎるほどにあっさりとインデックスは引き下がる。
5分も有れば鬱憤晴らしには十分すぎたのだ。
「いってー。ヒドイ目に遭ったぜ」
『自業自得だ』
「…………あれ?」
再び聞こえた声にニケが首を傾げる。
前を見る。
インデックスとは別の声だった。
横を見る。
エヴァはまだ気絶している。
上を見る。
別に天井にバカと書いてあったりはしなかった。
「……解説吹き出しか、もしかして設定無視したオヤジじゃねーだろうな」
『なんだそれは』
メタな連想が二つも出てくる辺り、ニケが居た世界での苦労が忍ばれる。
『我は“天壌の劫火”アラストール。
 インデックスの身につけている黒いペンダントが有るだろう?
 それがコキュートス。我が意志を顕現させている神器だ。
 戦いに治療と口を挟む余裕も無かった為、話しかけずにいた』
「へー。喋るペンダントか」
『コキュートスが我ではない。我が本体はシャナの内に在る。
 我が意志のみがこのコキュートスに顕現しているのだ』
「つまりアラストールはここに連れてこられている別の女の子の内に居るんだよ。
 でも見たり話したりはこのペンダントを通じて行っているって事」
「おお、そういう事か!」
『理解したか』
「おう」
うんうんとニケが頷く。
(つまり女の子の中からお風呂でもなんでも覗き放題って事だな。
 しかもペンダントという事は胸は常に覗き放題! なんてうらやましい)
(…………本当に理解しているのだろうな?)
口には出されないがその軽薄な様子に妙な不安を感じるアラストールだった。
ちなみに実際はシャナが羞恥心に目覚めて以降、着替えなどの時はコキュートスを服に包まれて目隠しされる。
それ以前は見放題だった事には変わりなく、今も胸を幾らでも覗ける事は否定できないのだが。
幾らお父さん的立場といえど実に羨ましいものである。
もちろん生真面目なアラストール自身はやましい事を考えたりしないのだが、だがしかしそれでもやっぱり良い御身分である。
閑話休題。

ボケとツッコミにエロい想像。
これらはニケにとって心の緊張を解す良い薬となった。
これだけ揃えば怖い物無しだ。
おかげでニケはすっかり心を落ち着けて、言った。
「それじゃオレはちょっと行ってくるから、エヴァの事は頼んだ」
452それは狂的なまでに(前編)(4/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:05:50 ID:n4btNv94
「え? ちょっと待って、どこに行くの?」
唐突に出ていこうとするニケをインデックスが引き止める。
「周囲を彷徨くのは控えた方が良いと思うよ」
「でもなのはが……えーっと、仲間が帰って来ないんだよ。だから捜しに行かないとな」
「捜すってどこに行ったの?」
「たぶん……谷だと思う」
「え…………!」
『それはあの轟音がした……』
インデックスもアラストールも聞いている。
戦いの最中に凄まじい轟音を響かせた場所。
山頂からは見えなかったが、おそらくそこでも戦いが有ったのだろう。
それも凄まじい力が振るわれた戦いが。
「だからちょっと様子を見てこようかなって思ってさ」
あの音が聞こえてから戦いが終わるまでの数分。
急いで近くの山小屋にエヴァを担ぎ込む数分。
エヴァの治療の為に費やした数十分。
ついでにその後に気を落ち着けるために必要だった数分間。
もし戦いが有ったとするならば、とっくに戦いは終わっている。
それなのにニケの仲間が帰って来ないのは、帰って来れないからとしか考えられない。
もちろん、死んだとは限らない。
しかしその可能性はあまりに高く、生き残っていたとしても無傷である可能性は更に低い。
普通に考えれば諦めた方が利口ですらある。
だがニケはそれを認める気にはなれなかった。
幾つもの、仮にも命がけの戦いを潜り抜けてきたけれど、これまでだってなんとかなった。
目の前でエヴァが殺されかけた今でも、ちゃんとなんとかなった。
だからきっと、今回も大丈夫。
……そう思うのに、募る不安は収まらない。

「だいじょうぶ、ちょっと様子見てくるだけだからさ。
 きっとなのはだって上手く逃げてるよ」
「待って」
不安を振り払って捜しに行こうとするニケを、インデックスは改めて止めた。
しっかりと腕を掴んで引き止める。
「……なんだよ、行くなとか言うんじゃないだろうな」
そして、一抹の不安を消しきれないニケに言った。
「行く前に、なのはって人のことを教えて」
「え?」
「人相。服装。そういう事柄。だって行き違いになったらいけないでしょ?」
インデックスもまた、なのはが生きている事を前提にした問い掛けを行った。
運良く彼女が生きている、それを前提に問い掛けた。
『だがインデックスよ。今の状況は判っているのか?
 吹き飛ばしたリリスは依然この周辺を彷徨いているかもしれない。
 あの轟音が起きるほどの力を持った、危険である可能性が高い人物も近くにいるだろう。
 そしてあの轟音には殺し合いに乗った人物を引き寄せる危険性がある。
 それでもそやつを行かせるのだな?』
そんなインデックスとニケに、アラストールは敢えて苦言を呈す。
慎重に行動するべきではないか? と、まるで確認をするように問い掛ける。
だけどインデックスは微笑みすら浮かべて答えた。
「でも、生きているかもしれない。生きているか死んでいるかはまだ判らない。
 それなら見捨てちゃいけない。
 もっと絶望的な状況になっていたとしても、それでも諦めちゃダメだよ。
 だってそこで終わってしまうんだもの」
「インデックス……」
「大丈夫。本当にやれるだけの事をやるのなら、神様の加護はあなたに味方するよ。
 なのはさんはきっと大丈夫」
「……ああ、そうだな!」
ニケは顔に笑みを取り戻し、答えた。
――瞬間だった。
453それは狂的なまでに(前編)(5/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:06:28 ID:n4btNv94
「その高町なのはって、この子の事かな?」
山小屋の扉を開いて現れた見ず知らずの少年は、高町なのはを担いでいた。

「……へー、神の加護ってやっぱりすっげーんだな」
「これはわたしも出来過ぎだと思うかな……」

神の加護、即ち幸運は行動を起こそうとした矢先に降ってきた。

    * * *

「大丈夫、二人とも大した怪我はしていないはずだよ」
勝はそう言うと、二人をそっと山小屋の床に寝かせた。
それから近くにあった椅子に座る為にランドセルを降ろし、前で抱える。
息は乱れていない。
「ありがと。えーっと、オレは……」
「ニケ君にインデックスさんにアラストールさん、それからエヴァさんだよね。
 ごめん、少し立ち聞きしていたんだ」
息を整える事が出来るくらいの間、山小屋の前に居たからだ。
二人もの意識不明な女の子を連れている為、勝はかなり慎重に行動していた。

「でも、怪我をしてないならどうして意識が無いんだ?」
「魔術によるものでもないみたいだね」
ニケとインデックスは二人して首を傾げる。
「それにこっちのなのはは仲間だけど、そっちの赤い髪の子は知らないぞ。誰なんだ?」
二人の疑問が勝へと向けられる。
(……さあ、どうする)
勝は自問する。
答えず知らずを通して別れる事も出来る。
二人の内の一人は仲間が、それも割と穏便な者が居たようだ。
そもそも、あのなのはという女の子は最初に「戦いをやめて」と言った。
単にすれ違って戦いになっただけなら、このまま任せておいても良いかもしれない。
だけどヴィータという少女は問答無用で襲い掛かってきた。
知り合いらしきなのはという少女の制止すら無視して。
彼女をこのまま放っておくわけにはいかない。
しかし話すとなれば戦いの経緯、そしてあの三つの武器の事まで話す事になる。
その事に惑う内に。
「それは……わたしが説明するよ……」
高町なのはが目覚めた事で、話すほかになくなった。

「わたしが気絶しちゃったのは……多分、すごい音がしたせい。えーっと……」
「才賀勝。勝だよ」
「勝君、だね。……勝君が物凄く大きな銃を持っていたから、それを使ったのかな」
その言葉に勝は内心で少し弱った。
出来ればあの武器の事は隠しておきたかったのだ。
「まだ耳が馬鹿になってるみたい。
 にはは……聞き逃しちゃう事も有るかもしれないから、その時はもう一度言ってね」
なのはは苦笑して、それから勝に言った。
「……勝君、ほんとうにありがとう。誰も殺さないでくれて。
 それからごめんね。
 ディバインシューター撃っちゃったけど、当たった所は大丈夫?」
「え……だ、大丈夫だよ、あのくらいへっちゃらさ!」
まさかそこまで素直に謝られるとは思いもせず、戸惑いながらも笑顔を作ってみせる。
その笑顔になのはもほっと安堵の笑顔を浮かべた。
「よかった。それじゃ……ヴィータちゃんについて、お話するね」
それから、ヴィータの事を話しはじめた。

「ヴィータちゃんはわたしのお友達。
 そしてわたしのお友達の八神はやてちゃんの守護騎士、ヴォルケンリッターなの」
454それは狂的なまでに(前編)(6/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:07:04 ID:n4btNv94
「どちらも名簿にあった名前だね」
インデックスは明確な記憶からその名を拾い上げ、はっきりとした声を届ける。
「そう、はやてちゃんもこの島の何処かに連れてこられてる。
 何処にいるかは判らないけど、少なくとも死んではいないみたい」
「どうして判るんだ?」
「……ごめんなさい、もう一回言って欲しいかな。聞こえにくくて……」
「どうして、その事がはっきりと判るんだ?」
なのはは頷き、その事についての説明を始める。
「それはヴィータちゃんが生きているから。
 ヴィータちゃん達……といっても他の人達は連れてこられていないけれど、
 ヴォルケンリッターは最後の夜天の主であるはやてちゃんと共に生きる存在なの。
 ヴィータちゃんは、はやてちゃんの魔力供給が途絶えたら消えてしまう。
 だからはやてちゃんもまだ何処かで生きているはずだよ」
そこまで言ってから、不十分な事に気づいて付け加える。
「でも勘違いしないで。
 はやてちゃんはヴィータちゃんの主だけれど、同時に家族でもあるの。
 だからヴィータちゃんは必死になってはやてちゃんを護る。
 ただ……その為に……」
「……その為に殺し合いに乗ってしまったんだな、ヴィータは」
勝が次いだ言葉に動揺が走る。
今は静かに眠るヴィータの姿が不吉な意味を持ち始める。
「そ、それじゃそいつはどうすんだよ? 起きたらまた暴れるんじゃ……」
『どうするのだ、高町なのは』
遠雷の用に響くアラストールの強い声は確かに聞き取れた。
なのはは少し黙り、そして……
「待って。その前にあなたの事も聞かせて、才賀勝」
インデックスの言葉が場を遮った。
「おい、今はこいつがどんな奴かなんて……」
「大事な事なんだよ、ニケ。
 ヴィータの事も大事だけれど、これもとても大事な事なんだから。だって……」
インデックスは才賀勝を見つめて、聞いた。
「どうしてあなたとなのはは戦いになってしまったの?」

「へ? 戦ったのってそこのヴィータって奴とだろ?」
「違うよ、ニケ。なのはは勝を攻撃したんだから。
 その時は何か、すれ違い争いの火種になってしまうような事が有ったんだ」
「それは……」
勝は言葉を濁す。
あの時、三つ巴の戦いになってしまったのは勝となのはが協力出来なかったためだ。
そしてそれは、あの三つの強すぎる武器のせいだ。
勝はそれについて、話したくない。
だがそれを話さなければ危険人物と警戒されてしまう、かもしれない。
高町なのはは話が良く聞き取れなかったらしく困惑しているし、
そもそも彼女はあの三つの武器について特別危険と考えてはいない。
勝はなのはに口添えしてもらう事も出来ないと思い、考え込んだ。
重い沈黙の時間が訪れる。

それを強引に進めたのは、ニケだ。
「あ、ところでさっき凄くでかい、銃とかいう物を持っていたってなのはが言ってたよな」
「っ!」
強張る勝にニケの好奇心の虫が動いた。
「なあ、見せてくれよ」
「だ、だめだ! 見せられない!」
勝はランドセルを強く抱えてそれを拒否する
「…………ちぇっ、ケチー」
ニケはあっさりと引き下がった。
そして勝がほっと気を抜いた瞬間に。
(見るなと言われるともっと見たくなるんだよな)
勝の抱えていたランドセルをひっくり返した。
禁断の三つは再び山小屋の床に散らばった
455それは狂的なまでに(前編)(7/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:07:46 ID:n4btNv94

     * * *

(また戦いになるのか!?)
勝は身構える。
武器の散らばった場所と、それぞれの居る場所、それぞれの動きに警戒する。
「え……?」
だが、今回は誰も戦う意志を見せてはいなかった。
ランドセルをぶちまけたニケさえもだ。
「うわ、でかいな」
ただ唖然となっているだけで、敵意の欠片も見えてこない。
他の二人と一ペンダントもニケに対して呆れた様子を見せているだけだ。
「ニケ君、だめだよそんな事しちゃ」
「ワリィ、どうしても気になってさ」
まるで悪びれた様子もなくニケが謝るのを見て、勝はなんとなく理解した。
なんの事はない、目の前の少年は……
『おまえは手癖が悪いようだな』
「へへ、これでも盗賊で勇者だからな」
『誉めてはいないぞ』
(ただの……イタズラ小僧……?)
危険な武器を警戒し緊張していた事が急に馬鹿馬鹿しくなってしまった。
そこまで警戒する必要など無く思えてきたのだった。
「良いよ、話すよ」
だから素直に話すことにした。

「……その三つ、とてつもなく大きな剣と銃、それからその八角形のミニ八卦炉。
 ぼくはそれらを破壊、あるいはどこかに封印するつもりなんだ。
 なのはさんと戦いになったのは、こっちの……ヴィータって子と三竦みになって、
 三つの武器を取り合う形になってしまったからだよ」
「えっと……うん、そうだよ。
 ヴィータちゃんを止めようと思って、三竦みで喧嘩になってしまったの」
聞き取りづらそうにしながらも、なのはがそれをフォローする。
「破壊? なんでそんな事するんだ?」
「危険だからだよ。どれもこれも手加減がまるで効かない。
 身を護る為に使っても当たれば相手を殺してしまう。
 この殺し合いの中でも尚、この三つは危険すぎるんだ」
「……そうかな」
疑問の声は、インデックスから上がった。
「わたしは科学側の武器、その大きな銃は判らないけれど、他の二つはそうでもなく思えるな。
 ……その大きな剣は、魔を断つ特性を持つ大剣だよね」
「この大きさだけでも、まともに使える者でさえ振り出したら止める事が出来ない凶器じゃないか」
「でもそれは、規模が少し違うだけで斧などの延長でしかないでしょう?」
「………………それは」
勝は何かを見落としていた事に気づいた。
だけど、何を見落としていた?
「魔を断つって事はこれって聖剣とかそーゆー物なのか?
 よし、なら勇者であるオレが持てば軽くなったりするはずだ!
 …………ぐあーっ、重い! 持てるかこんなもん!!」
背景で騒いでいるニケは割とどうでもいい。
「君は、その……ミニ八卦炉の機能も判るのかい?」
「うん、多分判るよ。ちょっと見せてね」
インデックスはそっとミニ八卦炉を拾い上げた。
それをくるくると回し見て、すぐに得心した様子で頷く。
「これは西遊記における八卦炉を小型化したような物だね。
 使われている材質は緋々色金。
 金剛石よりも硬く強靱で、なにより常温でのとてつもない熱伝導を誇る金属だよ。
 八卦炉を再現するのには最適の素材と言って良いかもしれない。
 でも現存はしていないとされているし、わたしも実物を見るのは始めてかな。
456それは狂的なまでに(前編)(8/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:08:55 ID:n4btNv94
 このミニ八卦炉自体の機能は高熱の発露。
 この世界でどこまで威力を出せるかは判らないけれど、山一つ焼き払えるんじゃないかな。
 これほど強力な霊装はそう滅多には見られないな」
そこまでは勝にとって驚く事ではなかった。
材質は知らなかったが、それもさしたる事ではない。だが。
「出力を絞れば暖房や調理にも使えるね。この一角から吹く風は冷房用かな?
 少しだけど魔除けや開運の効果も有るみたい。
 あ、空気も綺麗にできるよ。こんなに多機能とは思わなかった」
「ちょ、ちょっと待って。なんでそんな機能まで付いてるのさ?」
武器という前提を覆す数々の機能に思わず困惑してしまう。
冷房は撃った時の高熱から身を護る為、にしてはあまりに弱すぎる。
魔除けや開運は武器と言えなくもないとして、空気を綺麗にするのは何なのか?
「確証は無いけれど、多分日用品まで兼ねているんだと思う。
 日常生活の空調と武器としての機能を一つの霊装に集約するなんて珍しい発想だよね」
「ちょっと待って。インデックスちゃん、だよね」
なのはが横から口を挟む。
「出力を絞ればって言ったよね。その子……ミニ八卦炉はそこまで応用が効くの?
 咄嗟に使っただけだけど、付いていた呪文はどれも相当威力が高いものみたいだったの」
「出来るよ」
インデックスはあっさりと答えた。
「そもそもそれが不思議だったんだ。
 わたしの見たところ、このミニ八卦炉は確かに強力な霊装ではあるけれど、
 手加減の出来ないとかそういう物じゃないはずなんだよ。
 もちろん性質は限定されているけど、その範囲内での応用力は高いはずなんだ」
勝はようやく見落としていた事に気づいた。

引き金を引けば、一発掠っただけで吹き飛ぶほどの魔弾を十二連射する怪物銃器。
勝はそのような武器を使って、なのはとヴィータの戦いを止める事が出来た。
ヴィータはドラゴンころしを盾に使いミニ八卦炉の劫火を防いで見せた。
そしてミニ八卦炉もまた、とてつもない威力を抑え手加減する事が出来るという。
(ぼくは、なにを恐れていたんだ?)
恐怖の根源となっていたのはジェダの言葉だ。
『君は当たりを引いた。存分に殺し合いたまえ』
その言葉から勝は三つの武器を一塊に考え、危険だと思った。
だがドラゴンころしは端的に言えば剣の延長線でしかないし、
ミニ八卦炉も“親切にもジェダが付けていた呪文のメモ”以外にも使えうる事に気づくべきだった。

「大出力で使う為の術式だけが用意されていたならそれも納得かな。
 八卦炉についてよく知らない術者は用意された術式を使うしかない。
 その術式が強力な物しかないのなら、手加減出来ない武器にもなりえる」
「……そうか」
(結局、ぼくは踊らされていたんだな)
ジェダのメモに逆らいこれらを封じようとする事は、全くの間違いでは無いはずだ。
少なくとも殺し合いを加速する事は阻止できる。
だがそれはジェダの用意した欺瞞を見抜いた事にはならない。
強力な武器を手加減の効かない危険すぎる武器だと誤解させられていた事は変わらないのだ。
(危険人物の手に渡ったら危ない事は変わらない。
 だけどこの差は大きいよ。
 ジェダを倒すため、制御できる強い力が必要な事は間違いないんだから。
 だからぼくは…………道を、変えよう)

この瞬間、才賀勝の目的の一つは変化した。
ドラゴンころしとミニ八卦炉を壊すのではなく、封印するのでもなく、
使いこなす力を持ち、そしてジェダを倒す決意を持った者に委ねる事。
それが才賀勝の新たな目的であり、この殺し合いを打破する手段の一つとなった。

「ありがとう。色々と参考になったよ」
「うん、どういたしま」『いかんよけろ!』「え!?」
アラストールの叫びが響いた次の瞬間、インデックスの場所に豪速の椅子が炸裂した。
457それは狂的なまでに(前編)(9/11) ◆CFbj666Xrw :2007/04/21(土) 10:09:29 ID:n4btNv94
怪力で投げられた木の椅子は炸裂するやバラバラに砕け散る。
ミニ八卦炉がインデックスの手からこぼれ落ち、転がっていった。
インデックスに反応する余裕は、無かった。

「あ、あぶね〜……」
間一髪でニケが助け出していなければ、今頃インデックスはただで済んでいなかっただろう。
文字通り危機一髪でニケはインデックスを助けていた。
そして。
インデックスが、ニケが、なのはが勝が視線を一点に集中させる。
「ヴィータちゃん、やめて!」
なのはの悲痛な叫びが響きわたる。
視線の先には赤毛の少女が立ち上がっていた。

      * * *

「今度こそ、負けねえ」
ヴィータは新たな武器をその腕に掴んでいた。
……メタルイーターMX。
三つの武器が散らばった後、ドラゴンころしとミニ八卦炉に意識が向く中で忘れられた武器だ。
といっても流石にヴィータの近くに転がっていたわけではない。
だが最初に椅子を投げて作った隙は、油断されていた武器まで辿り着くには十分だった。
(本当はあの大きな剣を使いたかったんだけどな。だけどこれでも戦える!)
メタルイーターMXの残弾は既に一発も残っていない。
だがメタルイーターMXは全長184cmもある長大な銃器だ。
当然ながらその重量はそれだけで凶器と変わる。
振り回す事など想定していない重心は扱いにくいが、それでも使えないわけではない!

(しまった、時間を掛けすぎた!)
勝はほぞをかんだ。
さっきの三竦みと同じだ。
ヴィータが危険な事は誰もが理解していたのに、勝へ注がれた警戒の分だけ彼女に対し油断した。
勝もまた、彼女達を心底信頼せず眠っているヴィータへの警戒を割いてしまった。
なのはが目覚めた事は同じく彼女も目覚める事を予兆していたというのに。
(だけど……それはさっきまでだ!)
勝はまず、ランドセルからフランベルジュを抜き出した。

(なのはとの戦いがすれ違いだった事が判った時点で話を切り上げておくんだったよ!)
インデックスは失敗を悟る。
初撃を避けられた、守られたのは単に運が良かったからだ。
「ありがとう、ニケ、アラストール。助かったよ」
「おう、このくらい任せとけって」
『すまぬ。あと少し早く気づいていれば……』
しかしアラストールは浮かない言葉を漏らす。
ミニ八卦炉は咄嗟の事で手放してしまい、転がり遠ざかってしまった。
「……だけど、大丈夫だよ」

(ミニ八卦炉は……遠いね)
なのははまず状況を把握する。
ミニ八卦炉はインデックスの手からこぼれて遠くに転がってしまった。
少し遠くに寝かしてあるエヴァの方だ。
だけどエヴァが起きる様子は無い。
そっちに向かおうとすればヴィータの前を横切らないといけないし、
なにより眠っているエヴァの前にヴィータを引き寄せてしまう事にもなる。
取りに行く事は出来ない。でも……その必要すら、無い。
なのはは声を張り上げた。
458転載:2007/04/21(土) 10:48:23 ID:5GKv2BB9
それは狂的なまでに(前編)(10/11) ◆CFbj666Xrw:2007/04/21(土) 10:16:23 ID:4c8B6S3.0
「ヴィータちゃんやめて! 話を聞いて!!」
「うっせえ高町なのは! あたしが退けるとでも思ってんのか!!」
返る罵声は大きくて、今のなのはでもはっきりと聞き取れた。
その事が悲しかった。
「ダメだよ。そんな事をしたらはやてちゃんだって悲しむ!」
「はやてには知らせねえし関係ねえ! これはあたしが勝手にやってる事だ!」
叫びは悲痛なまでに頑なだ。
「あたしははやてを守るんだ。
 一刻でも、一分一秒でも早くはやての元に駆け付ける。
 その為なら手段は選ばねえ! 悪魔に魂だって売ってやる!」
その言葉でようやくヴィータの正確な目的が汲み取れた。
ヴィータは三人を殺す事でもらえる“ご褒美”ではやての居場所を捜すつもりなのだ。

「やーやー、つまりそれって悪役って事だよな」
「……それがどーした」
ニケのどこか緩んだ言葉にヴィータは青筋を立てる。
ニケはビシッと指を突きつけて言った。
「なら、おまえはオレ達には勝てない!」
「な、なんだと!」
色めきだつヴィータに続けざまに言い放つ。
「なぜなら悪役というのは勇者様御一行の絆の力に負けるものだからだ!」
『「「「「絆の、力……?」」」」』
疑問系の言葉がハモった。
……そういうものを幾らか信じそうな奴らまで疑問系なのは泣ける場面かもしれない。
「そう、絆の力! 正義の味方の必殺の武器! びば正義!」
ニケは正に絶頂とばかりにかっこつけて叫んだ。

「それすなわち、数!!」
「身も蓋もないよ!」

インデックスは思わず突っ込んでしまったが、ニケの言葉は間違っていない。
確かにミニ八卦炉は転がってしまい取りに向かうのは無理だろう。
だがヴィータは今、4人もの敵と相対している。
ディバインシューターとラウンドシールドならデバイス無しでも使用できるなのは。
格闘戦が得意なわけではないが水の羽衣を纏い逆刃刀・真打を構えるインデックス。
光魔法キラキラにより武器を作り出す事が出来るニケ。
そして一対一でもヴィータと渡り合える、フランベルジュを構えた才賀勝。
それに対してヴィータが持つのは単に重く巨大なだけで重心も不安定な鉄塊だ。
その上、この武器には狭い山小屋の中では振り回しづらいという欠点が有った。
「…………チッ」
思わずヴィータから舌打ちが漏れる。
(やっぱ最初ので一人仕留められなかったのがキツイな)
一人仕留めればその容態を見るためにもう一人は抜けたはずだ。
そうすれば二対一。
その間にドラゴンころしまで辿り着く事が出来れば勝機は有っただろう。
しかし今となっては欠片の勝機も残っていない。
(ここは逃げるしかねーか)
幸いにも扉は後ろで、なのは達は右前方にいる。
慎重に後ずさればこの数相手でも逃げれる公算は低くない。
「待って、ヴィータちゃん! はやてちゃんを捜すなら一緒に捜そうよ!
 ジェダの“ご褒美”になんか頼らなくたって、みんなで捜せばきっと見つかる!」
「………………」
なのはは依然、ヴィータに向けて懸命に訴え続ける。
想いを言葉に篭めて送り続ける。
「はやてちゃんの為に他の誰かを……殺して。誰かを犠牲にはやてちゃんを護って。
 それで本当に良いの!?」
「悪くてもいーんだよ」
それでもヴィータの心には届かない。
閉ざされた心を開く鍵が無い。
459転載:2007/04/21(土) 10:49:49 ID:5GKv2BB9
「ヴォルケンリッターは元から汚れ役で、悪だった。
 ……そうじゃなくなったのははやてが主になってからだ」
「それじゃ尚更、悪い事なんてしちゃダメじゃない!」
そうだ、それが正しい理屈だ。
ヴォルケンリッターは八神はやての慈愛によって救われた。
再びその身を汚す事は主への裏切りとさえ言える。
たとえはやてを護り抜いても、はやての道を血で汚しておいてどう顔向け出来るというのか。
ヴィータの選んだ道は致命的なまでに間違いに満ちている。
……そんな事は、とっくに判りきっている。
「間違っててもいい。幸せになれなくたって、未来に欺瞞を塗りたくったっていいんだ!」
視界が滲む。軽く首を振って涙を振り落とした。
熱い涙が冷たい雫に変わった事を皮膚で感じた。
「たとえ万分の一でもはやてが生き延びやすくできればそれでいい!
 あたしはそれだけの為に、悪に戻ってやる!
 それがあたしの、鉄槌の騎士ヴィータの生き様だ!!」
その叫びは場を制した。
なのはも、インデックスも、ニケも、勝も、その激情に一瞬だけ怯んだ。
それはヴィータが逃げ切るには十分すぎる時間。
――そうはなりえなかった。

ビクンと、ヴィータは体を震わせた。

「そうか。おまえの悪はなかなか悪くないな。
 自らの欲望や理想の為に他者を犠牲にするその意志は私の好みだよ」
「あ…………?」
唐突に声が聞こえた。
ヴィータはゆっくりと、その視線を自らへと向けた。
「だがおまえは私の敵となった」
一筋の閃光がヴィータに突き立っていた。
貫き貫通する細い細い光が、ヴィータが立ち続ける力を奪い去る。

「おまえはここでおしまいだよ。鉄槌の騎士、ヴィータ」

「そん……な…………!」
「ヴィータちゃん!!」

ヴィータの体はゆっくりと、山小屋の床に倒れ伏した。
人の体が木の床に叩きつけられる音が、二度響いた。

     * * *
460転載:2007/04/21(土) 10:50:35 ID:5GKv2BB9
「…………え?」
「エヴァ!?」
ヴィータの斜め後方、山小屋の片隅で。
ヴィータを撃ったはずのエヴァまでもが地に倒れ伏した。
その手が弱々しくも振られ、なのはに何かを投げつける。
「え、え!?」
受け取ったそれは言うまでもなくミニ八卦炉だ。
「ど、どうして? どういうことなの!?
 どうしてヴィータちゃんを撃って……エヴァちゃんは、どうして倒れてるの!?」
エヴァは惑うなのはを見つめると、はっきりと冷徹な言葉を突きつけた。
「――奴は、おまえがトドメを刺せ」
「っ!!」

なのはは視線を移す。
落ち着いて見てみればヴィータの傷はそれほど深くはなかった。
体を貫いた閃光はヴィータの左太股を穿ち、足の力を奪っただけだ。
放置していても易々と命を取り留めるだろう。
だが、立ち上がり戦う事は出来ない。
右腕がメタルイーターMXと床の間に挟まれてしまったのだ。
ドラゴンころし程ではないとはいえ、相当な荷重が掛かっている。
右足と左腕だけで振り払うのは一挙動で出来る事ではない。
たとえ抜け出したとしても、片足では逃げる事すらかなわない。
「……もう、ヴィータちゃんは戦えないよ」
「本当にそう思うか?」
「………………」
「あの銃に挟まれ今の奴は確かに無力だ。
 だが、片足に怪我をして武器を奪う程度で奴が止まると思うか!?」
「………………」
止まらない。
なのははヴィータの言葉を聞いていた。
あの猛る叫びを、頑なすぎる決意を、心の全てで感じ取っていた。
(ヴィータちゃんは止まらない。ううん、止まれない!)
だってそれは八神はやての為なのだから。
彼女の為ならばヴィータは、主自身の制止さえ振り切ってしまうかもしれない。
どうしようもない想いに突き動かされてヴィータは走り続けている。
人を殺す過ちに満ちた道を突き進もうとしている!
(でも、ヴィータちゃんを殺すなんて!)

「殺せ。それから私の事は放って行け」

「エヴァ……ちゃん……?」
エヴァの思いがけない言葉に動揺が走る。
「エヴァ、それってどうゆうことだよ!?」
「足手まといなど連れ歩くなという事だ……」
ニケの問いにエヴァが答え、そしてインデックスがそれを補足する。
「今の彼女は、一見無傷に見えるけど体力も魔力も底を尽きかけているんだよ。
 回復には向かっているけど、確かに重傷には変わりない。
 ここから先は安静にして回復を待つしか無いんだ」
「…………フン」
エヴァは不機嫌そうにそれを肯定する。
……本当に限界なのだ、今の彼女は。
先程ミニ八卦炉を使って撃ったレーザーも、本当は手加減無しで心臓を狙っていた。
だが魔導具を使ってレーザー一発を撃つだけの魔力消費に耐えきれず、
壁越しに立ち続ける事さえかなわず、辛うじて足に当てるのが精一杯だった。
(くそ……全身の血管を鉛が流れているようだ…………)
最早立ちあがる体力すら残っていない。
辛うじて半身を起こすのが限界だ。
なのはに向けてはっきりとした言葉を届ける事にさえ全力を尽くさねばならない。
「奴は、おまえの敵だ…………殺せ」
「待て! そんなこと……」
461転載:2007/04/21(土) 10:51:17 ID:5GKv2BB9
勝とニケがなのはとヴィータの間に割り込もうとする。
なのはがヴィータを殺そうとしてもそれを止めようというのだろう。
「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!」
エヴァの呪文にインデックスは青ざめた。
インデックスは強制詠唱でエヴァの魔法を防ぐ事が出来る。だが、今はまずい!
「ダメ、勝もニケも止まって! エヴァが死んじゃう!!」
「え……!?」「なにい!?」
慌てて二人とも立ち止まる。
「ダメだよエヴァ! 今のあなたが魔術を使うには生命力を削るしかないんだよ!?
 あの霊装で魔術を使っただけで立っていられなくなった!
 次に魔術を使ったら死んでしまってもおかしくないんだから!」
インデックスは強制詠唱でエヴァの魔法を防ぐ事が出来る。
だが発動の為に使われる力までは戻せない。魔法によりエヴァが消耗するのは止められない!
「なら……邪魔をしない事だ……」
エヴァは苦しげにそう警告する。
「あれはあの娘が、高町なのはがケリを着ける問題だ。
 貴様らに口出す権利など……無い」
「な…………!?」「マジかよ……」
思わず絶句する。
なのはがヴィータを殺そうとした時、それを止めるにはエヴァを踏み越えていくしかない。
そんな事を出来るはずがなかった。
勝とニケ、そしてインデックスは瀕死のエヴァによって完全に封じ込まれていた。
『……何故、そこまでする?』
アラストールが困惑した声を上げる。
『おまえは何故、この状況で自らの命を賭ける?
 おまえがそこまでする理由とはなんだ?』
「理由……だと……?」
その声を聞くのは始めてでも、エヴァは容易くその声の主を理解する。
エヴァは苦しげに、しかし薄い笑みで問い掛けに答えた。
「奴を生かしておけば、いつか私達に牙を剥く。それが理由では不満か……?」
『生きる為に命を賭けると?』
「間違っていると思うか……?」
『…………いや。正しい理屈だ』
そう、その理屈は正しいとアラストールは思う。
だけどそれならば、どうして自分を見捨てて行けなど言うのだろう。
敵の一人を逃がしてでも仲間達に護られた方が安全なはずなのに。
幾ら危険な敵であれ、どうしてそれを逃さない為に命をも危険に晒したのだろう。
ヴィータがどこで誰を殺そうとエヴァには関係のない事なのに。
「フン…………それ以上を聞かれても……答え……ん……」
エヴァは意識が薄れ始めたのを感じて、それでも仲間達の足止めを続ける。
高町なのはの選択を守り続ける。

     * * *

「…………ヴィータちゃん…………」
高町なのはは、ゆっくりとヴィータに歩み寄った。
ヴィータは左足を穿たれ、右腕を挟まれている。
動きは封じられ、何の抵抗もできはしない。
ヴィータは、悲しげに自らを見下ろす瞳を見上げた。
「奴の言うとおり、さっさと殺せばいいだろ」
「お願い、ヴィータちゃん。考えを変えて。
 わたしはヴィータちゃんを傷つけたくないよ」
「………………ふざけんな、だ」
嘘でも考えを変えると言ってしまえば良かったのかもしれない。
その場逃れに適当な答えを言えば良かったのかも知れない。
……そんな事が出来るなら、もっと正しい道を選んでいた。
「あたしは、今更……」
戻れない、そう言おうとして。

もう一度目を合わせた高町なのはの瞳に、寒気を感じた。
462転載:2007/04/21(土) 10:52:00 ID:5GKv2BB9
「エヴァちゃんやったのよりも更に絞って……この位、かな」
「え? ………………が、ぐがあぁあああああぁっ!!」
突如右腕が灼熱した。
次の瞬間には激痛が走った。
メタルイーターMXに挟まれて見えない“右腕の先”から痛みが迸った。
「あ、あが、ぐっ、ひぎ、いぎ、いぎいいいがあああああああああ!?」
見えない。カッターナイフを当てて何度も往復されるような痛み。
何をされているか判らない。熱い。火が当たっている。熱い! 痛い! 熱い!!
「あつ、痛い、いた、やめ、あついやめあがきゃあああああああ!!」
戦いの中で打ちのめされる痛みとはまるで種類が違った。
抗う事も逃げる事も出来ず、何をされているかも判らず、なによりいつまでも収まらない。
それどころが激痛と灼熱はゆっくりと腕を上ってくる!
時計の針が時を刻むように痛みを刻んでチクタクヂクダクヂグダグヂグヂグヂグヂグ……
「や、あがあきゃああがぎぎぎいぎいぎぎぎっぎきぃっきぃぃぃぃぃっ」
のたうち回り必死に歯を食いしばり自由に動く左手は山小屋の床に強く爪を立てて爪が剥がれて
だけど爪が剥がれた左手の痛みはまるでなくてただ右手が痛くて痛くていたくてイタクテイタクテ――

――始まった時と同じく唐突に、痛みは止まった。
痛みの全てが消えたわけではなくて、怪我をした後の疼く痛みを何倍にもしたような、
傷跡に粗塩でも擦り込まれたような激痛が残る。
「う……くぅ…………っ!」
まだ耐えられる。この痛みなら戦いの中で味わった事はある。だけど。
「な……なに……した……?」
……耐えようもなく怖ろしかった。
「なにしたんだよ……たかまち…………なの……は……!」
見上げた先のその表情は、変わらない。
悲しみと苦渋、そして寒気のするほど迷いの無い瞳でヴィータを見下ろしている。
その手にはミニ八卦炉が握られていた。
「……腕は、繋がっているから」
「…………え?」
一瞬、なのはが何を言ったのか理解できなかった。
「骨とかはあまり傷つけてないから、治癒魔法を使えばまた動くようになる。
 …………だから大丈夫、なんて言えないよね。
 ……ごめんね」
「なの……なに……なに……を……?」
なのははそれには答えずに、ヴィータの右腕側から左腕側に回った。
ヴィータの左手は山小屋の床に食い込み、その爪は無惨にも剥がれていた。
なのははその左手を、踏みしめた。
「あがああぁっ!?」
もがくヴィータを逃さない。
そしてミニ八卦炉を、ヴィータの左腕に向けた。
「……ひ…………」
「…………ミニ八卦炉、熱を」
その一声でミニ八卦炉から細い一筋の光が放たれ山小屋の床に突き立った。
細く、けれど至近距離の人の肌を傷つけるには十分な威力を持った……レーザー。
それをゆっくりと、ヴィータの左腕に近づけていく。
ヴィータの腕が強張り、しかし動けない。
足で踏まれ、なによりレーザーが迫った左腕に逃げ場は無くて、動けない。
463転載:2007/04/21(土) 10:52:51 ID:5GKv2BB9
「た、高町なのは……なにを…………」
ヴィータを見つめる瞳は、変わらない。
悲しみと苦渋、そして寒気すらするほどに強い決意を秘めた瞳。
敵意も、悪意も、殺意も、怒りも、憎しみも、そういったものは何も無い。
一片の曇りもない澄んだ瞳で、ただ静かに言った。

「もう一度だけお願い。ヴィータちゃん、考えを変えて」

「や、やめろ、高町なのは…………」
返す声は震えていた。
自らの死も、痛みも、恐れるものではないと思っていた。
それなのに怖かった。
殺される事ではなく、ただ目の前にいるなのはの存在が怖ろしかった。
「さ、さっさと殺せばいいだろ! なんでこんな事を……!」
「殺さないよ」
なのはははっきりと明確な言葉を紡ぐ。
「ヴィータちゃんは殺さないし、死なせない。
 たとえヴィータちゃんが死のうとしたって、絶対に死なせない」
その言葉がヴィータの背筋を凍り付かせた。
想像し覚悟を決めていた死という終わりすら奪われて、未知の恐怖に包まれる。
高町なのははどうしてこんな事ができる?
高町なのははどうしてこんな事をする?
高町なのはは死すらも奪って何をする?

高町なのははこんな事をしているのに、どうしていつもと変わらない様子で居られる!?

理解できない。判らない。ありえない。
どうして、どうしてどうしてどうしてこんなにこんなこんなどうして…………………………
「や、やめ……おねが…………」
恐怖から漏れた哀願の言葉は。
「今、何か言ったの? ごめんなさい、聞こえなかった」
怖ろしい言葉で返されて。
思わず口走った。

「………………この、悪魔め」
「……悪魔でも、いいよ」

なのはは続けて口を開き、その言葉がヴィータに届く前に。
極細のレーザーがヴィータの左腕に食い込んだ。
照射された皮膚が沸騰した。蛋白質の焦げる臭いが漂った。
血を吹き出す筈の断面はレーザーに焼き尽くされ塞がれる。
腕を切り裂かれる激痛と断面から腕を焼かれる灼熱の痛みが左腕から流し込まれる。
純粋な痛みと恐怖が絞り出した涙を飛び散らせてのたうち回る。
だけど右腕は固定され左腕は抑えられ突き立ったレーザーはゆっくりと腕を焼いていく。
目の前で自分の左腕が壊されていく。見えない右腕がどうなっているかを明かされていく。
唯一動く頭と右足はのたうち回る度に床を叩き重い音を何度も何度も何度も響かせる。
視界に入るのは壊されていく左腕とただ真面目で悲しげな表情を浮かべるなのはの姿。
聞こえるのはただ自分の喉から吹き出る人の物とは思えない絶叫だけ。
感じるのは頭の全てを塗り潰して引き裂いて焼き払って刺して穿って切り裂いていく激痛だけ。
考えられるのはただひたすらに痛みだけだった。

「あがあああああああああああああああああっゆるあぎひきゃああああああああああああああがかっあああ
 あぎきえげえええええええぎいいいいいあきいいいいいいいひぎゃあああああああああああああああああ
 ああぁぁぁぁぁああああぎゅっひいぐぅううぅぅぅぅうっぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
 いいいいいああああああぁああぁあああぁあがあやめっやあああああああああああああああああああああ」
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたい
 いたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ――――――――――――――
 ――――はや…………タス……ケ…………)
464転載:2007/04/21(土) 10:53:41 ID:5GKv2BB9
     * * *

高町なのはは別に人の痛みが理解できない人間ではなかった。
それどころか誰かが悲しむ姿を見て自分も悲しむ事が出来る、人の痛みに共感してしまう人間だった。
だがそれでも高町なのはは痛みをねじ伏せ、強靱な意志で理性を繋ぎ止め、必要な痛みを与えていた。

それはある種の狂気と言っても差し支えないものだ。

高町なのはは十歳の少女でしかない。
つい最近まではほぼ平穏に育てられ、最近になって魔法少女になり、戦いを経験した。
その戦いとて非殺傷設定という命綱により誰かを殺す事は無い戦いだった。
殺し合いに対する慣れなど有りはしない。
それにより感覚が緩んでいるわけでもない。
高町なのはは正確にこの状況を認識していた。
自らの手の中のミニ八卦炉が今のところ非殺傷設定の付けられない文字通りの凶器である事も。
そのミニ八卦炉から放たれるレーザーの狙いを少しずらすだけで人の命を奪ってしまう事も。
命を奪わずともそのレーザーが友達であるヴィータに凄まじい激痛と恐怖を与えている事も。
それにより両腕の機能を奪いつつある事も。
全て理解して、受け止めていた。
友達を傷つける事により胸に走る激痛をねじ伏せ、強靱な意志で理性を繋ぎ止めていた。
自棄や勢い、判断力の低下に身を委ねる事なく、冷徹なまでの理性で痛みを与えていた。

狂気とは正常な人間の思考から外れた思考の事だ。
正常というのは普通の、一般的な人間のそれと言い換える事も出来る。
傷つければ自分自身罪悪感に苦しむような優しさを持ちながら、
それも友達に、考えを変えないから仕方ないと、レーザーで腕を破壊していく。
そのようなあまりに異常で残酷で経験の無い行為を行いながら理性を失わない。
あくまでヴィータを殺さず、誰も殺させずに解決するための手段としてそれを選ぶ。
それは普通の人間に、ましてや十歳の少女に出来る選択ではない。
その鋼鉄の意志は正しく狂気と呼ぶに相応しい。

高町なのははあまりにも正しく、狂っていた。

     * * *

「………………」
なのはは手を伸ばし、ヴィータの頭を優しく撫でた。
それから、意識を失っても見開いたままになっていた瞼をそっと閉じた。
「……ごめんね。酷い目に遭わせて」
それから立ち上がって、仲間達を振り返った。
集まった視線は、恐怖。警戒。憐憫。そして感嘆だった。

「…………驚いたぞ」
エヴァはどこか嬉しげになのはを迎えた。
苦しげだが、それでもはっきりと言葉を紡ぐ。
……そうしなければ今のなのははうまく聞き取れず、会話ができないのだから。
「まさか貴様がそこまで出来るとは思わなかった。確かに有効な手には違いないだろうよ」
「………………」
「何を項垂れている。誇れば良い。
 『悪魔でもいい』。なぜなら『悪魔らしいやり方でみんなを助けるだけだから』か」
それはヴィータの絶叫に殆どかき消されたなのはの宣言だった。
なのははあの痛みを、ヴィータを殺さない為に与えた。
「その結果、おまえはあの娘を殺さずに済ました。大した成果じゃないか。
 く、くく……く…………」
どさりと、エヴァは再び床に身を委ねた。
とっくに疲労は限界を超えていた。精神力だけで維持していた意識が途切れたのだ。
駆け寄ったインデックスがその容態を見て、頷く。
命に心配は無いようだった。
465転載:2007/04/21(土) 10:54:22 ID:5GKv2BB9
「……ニケ君、ちょっといいかな」
「な、なんでしょうか? なのはさん」
怯えを含んだ表情でニケは聞き返す。口調までやや下手になっていた。
なのはは少し悲しげな表情を浮かべた。
……ニケも、少ししまったという表情をした。
「あの“ぬのハンカチ”で作った縄、まだ残っているよね?
 あれを貸して。ヴィータちゃんを縛っておかないといけないの。
 ヴィータちゃんはとても力が強いけど、あの腕なら引きちぎられたりはしないから」
「お、おう、判った。任せとけ!」
そして、ヴィータを“ぬのハンカチ”を繋げて作った縄で縛った。
ヴィータに抗う力はもはや無い。
それはつまり連れ歩いてもヴィータ自身には殆ど危険が無いという事だった。

「勝君、一つお願いが有るの」
「お願い……?」
なのはは「そうだよ」と頷いて、お願い事を言った。
「このミニ八卦炉をしばらくわたしに貸してもらえないかな?」
「………………」
勝はしばらく迷い、沈黙した。
それから聞いた。
「君はそのミニ八卦炉を何に使うつもりなんだい?」
なのはは迷わず答えた。
「まずは、ヴィータちゃんとエヴァちゃんを護るために」
「………………」
しばらく悩んだ末に、勝はミニ八卦炉を貸す事を許可した。
ただ同時に思いもした。
(彼女は危険かもしれない)
高町なのはは殺し合いを止め、敵さえも助けるという目的を貫いた。
その事は間違いない。
ただし、生かす為ならば腕の一本や二本を使い物にならなくしたが。
その事は理屈を超えて恐怖を感じさせた。
(しばらくは様子を見ないといけない……)

インデックスとアラストールは、そっとなのはに言った。
「おつかれさま。……あなたは、人を生かしたよ」
『おまえの選択は、偉大だった』
その言葉がとても温かくて。
「…………う……」
涙が零れそうになった。
だからインデックスは、涙ぐむなのはを優しく抱き締めて。
「……う……うぅ…………ひっく………………」

高町なのははインデックスの胸の中で、少しだけ……泣いた。
466転載:2007/04/21(土) 10:55:03 ID:5GKv2BB9
【B-5/山小屋/1日目/真昼】
【不安定性強集団】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力消費中、精神疲労大、聴覚障害あり(大きかったり聞き取りやすい言葉で無ければ聞き逃す)
    強靱すぎる鋼鉄の決意
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケット)
[思考]:自分でやった事だがヴィータを傷つけた事は辛い。ただし迷いは無い。
第一行動方針:エヴァが回復するまでエヴァを、それから無力化したヴィータを護る。
第二行動方針:自分の友人やニケ・エヴァの仲間を探す。
第三行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒。
       相容れない相手も出来るだけ殺さないで無力化する。その為には手段を選ばない?

【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲、聴力一時低下
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(ペットボトル一本消費)、勇気ある者の盾@ソードワールド、ドラゴンころし@ベルセルク
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:高町なのはを警戒
第一行動方針:高町なのはに同行し本当にミニ八卦炉を任せていいか見極める。
第二行動方針:殺し合いに乗った人物に危険な武器を渡さない。
第三行動方針:対主催派で使いこなせる者にドラゴンころしを託す。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????

【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:けっこうな空腹とけっこうな疲労、
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストX、コキュートス@灼眼のシャナ、葉っぱの下着
[道具]:支給品一式、逆刃刀・真打@るろうに剣心
[思考]:高町なのはが色んな意味で心配。
第一行動方針:????
第ニ行動方針:シャナと合流
第三行動方針:状況を打破するため情報を集める。(人の集まりそうな場所を目指す)
第四行動方針:太った男の子(パタリロ)を警戒
第五行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
 アラストールと互いの世界に関する詳細な情報交換を行いました。

【ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:すけべ大魔神LV.5、魔力大消費、中程度の疲労、左肩に切り傷あり
[装備]:スペクタルズ×8@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、うにゅー×3@ローゼンメイデン、クロウカード『光』、 コエカタマリン(残3回分)@ドラえもん
[思考]:仲間とは考えて気遣ってもいるが、なのはに隠しきれない恐怖。
第一行動方針:????
第二行動方針:水の剣が使えるか試しておきたい
第三行動方針:自分の仲間となのは&エヴァの友人を探す。
基本行動方針:とりあえずラスボスを倒す。その過程で女の子の仲間が増えればいいッスねぐへへ
[備考]:ニケとエヴァは、1つの仮説を立てました。その概要は以下の通り。

『結界』は空中だけでなく、地中にまで及んでこの島を球形に包み込んでいると考えられる。
この『結界』は外部との念話や、転移魔法を阻害する性質を持つと思われる。
OPで全参加者を転移させたことなどを考えると、ジェダもまたこの『結界』内部にいる可能性が高い。
おそらくは島の地下。

その地下空間と地上の間に、緊急用の通路がある可能性がある。特に怪しいのは城や塔、洞窟など。
467転載:2007/04/21(土) 10:56:22 ID:5GKv2BB9
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:気絶、一見無傷だが命に関わりかねない程に衰弱、魔力消費(空)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
    なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:……(気絶中)
第一行動方針:????
第二行動方針:リリスに激しく警戒、というか殺す!
第三行動方針:同じ目的の者を探し、仲間と情報を集める
第四行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す
基本行動方針:ゲームからの脱出。ジェダを倒す。
[備考]:
エヴァンジェリンは、預けられた「なのはの荷物」を一通り調べています。
支給品の説明書も読んでいるようです。
光魔法『カッコいいポーズ』がジェダにも有効かもしれないと考えています
リリスが他の参加者と同じ待遇だと認識しました

【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:気絶、魔力消費小、両腕がほぼ動かない程の傷(治癒魔法で治療可能)、
    左足にもレーザー火傷、左手爪全剥、幾つかの打撲、聴覚障害軽微
[装備]:「ぬのハンカチ×20即席ロープ」(縛られている)、祈りの指輪@DQ
[道具]:基本支給品
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:………………(精神障害の可能性有り)
第一行動方針:???
基本行動方針:はやてを見つけ出し、守り抜く。

※:肉体強化を行っていた為か、なのはより聴覚障害は軽微です。

※:弾切れしたメタルイーターMXが床に転がっています。
468名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 11:52:48 ID:DjgwBg4F
乙!
爪はぎ+田村ゆかりで一瞬ひぐらしのことが過ぎったぜ
469名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 11:55:18 ID:UYmR2v2c
なんて怖すぎるなのはさん
これは間違いなくやばい
470名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 12:14:36 ID:5GKv2BB9
GJ
ああヤバイヤバイ悪魔がいるよ! タバサチームと激突したらと思うと恐ろしすぎるw
ニケの役回りがおいしいなあ。素晴らしい3枚目だ。
エヴァ様もカッコイイなあ。
471名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 13:32:39 ID:obJE1L9w
投下乙&GJ! なのはさん怖いよでもその怖さがいいよ
割と近くにフェイトがいて、はやてもヘルメスドライブがあるからあと少しで
ヴィータやなのはの方に来られることを考えると……この先の展開がおっかねええw

構成メンバーだけ見るとそれぞれが強い対主催の大集団なのに、
リリカル組ふたりがまさに爆弾。エロ勇者と勝がんばれ。
472名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 13:45:29 ID:pJSfYPF3
投下乙!
やべぇ、なのは怖えぇ。でもなんかかっこええ
473名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 15:48:34 ID:UYmR2v2c
どっちかがアニロワのルイズ化しちまうかもしれんwwww
474名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 15:48:41 ID:PBE1VJe3
投下乙!殺さなければいいってもんじゃないでしょなのはさん……
以後ここでは外道少女本気狩(マジカル)なのはさんで確定か。
475名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 16:29:15 ID:obJE1L9w
>>473
ヴィータ「みんな殺せばはやてが帰ってくるるるるる♪」

いやあああああorz

不安は多いし怪我人も多いけど、それらを抜かせばふつうに最強メンバーに近いよな、コレ。
前衛をニケと勝が務め、主砲のなのは、後衛にインデックスとかなり完璧な布陣じゃね? ニケの言うとおり、数でボコることもできるし
この集団とぶち当たって勝てそうなマーダーはいるかな……。
476名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 16:33:06 ID:PBE1VJe3
>>475
タバサ組は相当いい勝負ができると思います!
477名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 16:41:20 ID:n5L75k3p
投下GJ。魔法でボコって話を聞かせるという実になのはさんらしい
筋の通しかた……ってやっぱり怖いよ。
478名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 20:07:22 ID:377sH5sF
>>475
レミリア・アルルゥ・プレセアチームでも相手できる
479名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 20:12:32 ID:E+AbBmfk
きっとニアなら何とかしてくれるさ。たぶん
480名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 20:43:05 ID:6DxCWvTw
>476
タバサはマーダーじゃねぇだろww(まぁ似たようなもんだが)
481名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 21:07:10 ID:5GKv2BB9
>>478
そのチームだと前衛がもう一人必要だな。
ネギ殺してエヴァと因縁があるトリエラあたりを抱き込めば結構いい勝負できるかもしれん。
482名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 22:13:52 ID:0DberAkx
これは……地図ではなのはも黄枠で囲われるコトになりそうなw

>>480
LSロワのタバサはマーダーではない
もっとおそろしい『何か』だ
483名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 22:17:19 ID:E+AbBmfk
>>482
タバサは人の痛みが分かる優しい良い子だぞ

人として認識されさえすればw
484名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 22:31:41 ID:qh24oIp+
ふと思ってしまった。
半裸シスターが同作品アイテムをみても知らんっと言っていることに。
だがそれがmarukaziriシスタークオリティ。

なにはともあれ、なのはさんの恐ろしさを書き切った◆CFbj666Xrwさんと
代理投下してくれた人、乙でした。
485名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 22:59:57 ID:Kr3nLBtn
>>484
インデックスはメタルイーターMXを見た事どころか存在すら知らないんだぜ
まあ登場した巻では焼肉食ってただけだから仕方ないんだがw
486名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 23:10:46 ID:ucALA2NL
>>485
全ての知識を持っているというふれこみじゃなかったっけ?
魔法関係だけだっけ?
487名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/21(土) 23:45:41 ID:n5L75k3p
>>484はエヴァの歩く教会の十字架のことを言っているのでは?
って、状態表見たら十字架の表記が消えているな。
いや、俺も一瞬メタルイーターのことかと思ったけどw
メタルイーターは原作中で出てきて即効かませとして破壊されたから
インデックスも主人公も見ていないはず。
あと、インデックスは魔術知識だけで機械的なものは日用品すらろくに使えない。

どうでもいいけど
タバサはマーダー→マーダーじゃねーだろww
の流れは最早様式美だなー。
488名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 13:25:16 ID:L1RPnL/P
原作でポケットティッシュのことを知らないって明言されちゃってるしな。


…あんまり関係ないけど、白シスがとある支給品のことを知っているか、知っていないかを妄想して
調べてみたら昔からとあることに御用達の事実があったことが以外だった。
489名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 16:50:17 ID:PhidE4tG
>>475
現在交渉中のメロ・ヘンゼルが組んだ上で、適当に獲物狩って武装強化すれば、あるいは……。
マーダー側が策でもって凶悪な主催側に立ち向かうという逆転の構図になるがw
490名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 21:06:35 ID:X3GvsAeM
っていう
491名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 22:15:40 ID:C30+IlxP
ブルーでも紫穂でもカツオでも千秋でも適当なの混ぜれば化学反応起こして暴発するさw

でも頭脳派が数人集まっちゃったからニアの影が凄く薄くなっちゃったな。元々空気気味だけどw
492名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 22:47:15 ID:yiFW65qG
ニアは昔から空気だ。
……メロとの登場話数の差が激しすぎるw
493名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/22(日) 23:33:05 ID:IJbtSV3j
…引きずり出せ
494名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:12:22 ID:iXpoIZNn
>>493
キャラ的に自分から動くのはMURI
マーダー突入させようにも、近くにカツオしかいねえ。
キルアは警戒して戻らないっぽいし、弥彦はチアキの件で忙しい。
ヒッキーは扱いに困るぜフゥハハハー。
495名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:19:39 ID:48wWqNoD
タワーから出るのはニアにとってはとんでもない死亡フラグのような気がする。
496 ◆uOOKVmx.oM :2007/04/23(月) 00:20:30 ID:F3P1W2xx
鳴かぬなら ○○○○○○○ ホトトギス

小ネタを思いついたのでニア、キルア、太一を予約します
497名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:20:31 ID:C+/g9XoH
ほかのキャラを動かした結果どんどんバラけちゃったんだね
498名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:21:29 ID:C+/g9XoH
>>496
おお、入れ違っちゃった
ていうか物騒な空気なんですがw
499名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:22:44 ID:48wWqNoD
>>496
家康か信長か……。期待!
500名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 00:26:13 ID:C+/g9XoH
…秀吉なら伏せる必要ないよね
501名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 02:45:58 ID:48XdrlnX
>>496
期待! ニアに死亡フラグが見えるぜw

そういえば、ラジオ来るのは来週の日曜か……
それまでに盛り上げられるよう、自分も頑張って作品書くか!
502名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 21:55:46 ID:EXPffaon
鳴かぬなら LSロワイアル ホトトギス
503名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/23(月) 22:02:36 ID:00IznRSe
おお、やっぱりニア絡み考えてた人いた!

いや自分も鳴かない鳥が気になって気になって……
ただ、まだプロットも全然出来上がってなかったので、素直に期待なわけですが。
ってそんな書き手他にもいそうだがw

どっかに他に鳴いてない鳥はいねが〜!?
504名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 06:02:06 ID:uoJpWu+I
〜各地の状況まとめ〜

@北東エリア(湖上の城、平原、商店街etc.)
・【G-1/真昼】RHを携えたヴィクトリア、【G-2】にいるウニョラーしんべヱを狙っている?
・【F-3/昼】葵が偽明石薫(ベルカナ)を保護したまま、紫穂を探しに城の外へ逃亡。

@北西エリア(大森林、工場、廃病院、謎の塔、モニュメント跡)
・【B-1/昼】オッドアイにされたミミが倒れている。
・【B-2/昼】グレーテル、遊びに出かける。
・【A-3/真昼】工場にて、光子郎・フェイト・ブルー・イヴの心理戦の火蓋が切られる。
・【B-3/真昼】廃病院にて、シャナと小太郎が瀕死の双葉を救う。
・【B-3/真昼】廃病院の外で、紫穂が中の様子を見ている。
・【C-3/真昼】夢の世界で白レンが蒼星石を懐柔。近くにはタバサも。
・【D-3/真昼】イエローとリルルがレッドの死体を埋葬。ククリが逃亡を企てている。

@中央エリア(学校、森、湖)
・【F-5/午前】橋の下にベルフラウ。アルルゥを追うかみかの所に戻るか迷っている。
・【F-6/午前】イリヤ、橋の上で魔力を使い果たしかけて倒れている。
・【D-4/昼】学校4Fにて、ヘンゼルVSコナンVSメロ。
・【D-4/昼】学校1F保健室にて、一休さんVSリンク&小狼。
・【D-4/昼】学校2F/3Fの階段にて、梨花と灰原が押し問答。
・【E-4/昼】学校近くの森で、金糸雀が壊れかけながら逃亡。トリエラは休む場所を捜す。
・【E-6/昼】翠星石のローザミスティカに惹かれ、薫・ジーニアス&ベッキーが湖上で遭遇。
・【E-3/真昼】ネス、リディアの死を看取る。「白い女の子」を倒して、と遺言を残される。
・【F-5/真昼】路上で、雛苺VSレックス。
・【F-4/午後】プレセアとアルルゥが森を探索。

@南西エリア(市街地、タワー、山脈、道路)
・【A-6/午前】グリーン&ひまわりが山頂を目指している。
・【A-7/昼】カツオ、隠れつつも弥彦の動向やキルア組の動向に気を配っている。
・【B-5/昼】山頂の戦闘が了る。ニケ、インデックスの助けを借りてエヴァの治療を試みる。
・【B-5/昼】リリスが空中をどっかに向かって吹っ飛び中。
・【B-6/昼】ビルのロビーにて、目覚めたのび太がきり丸を泥棒と思い込む。
・【B-7/昼】ニア、タワーの展望室にひきこもり中。弥彦が首輪を持って帰るのを待っている。
・【B-5/真昼】山小屋にニケ、インデックス、勝、なのはが居る。エヴァとヴィータは気絶中。
・【C-8/真昼】千秋、藤木を殺害し黒化。
・【D-8/真昼】弥彦&パタリロが千秋のもとに急行中。

@南東エリア(湖、橋、廃墟、病院、シェルター)
・【G-7/昼】さくら&梨々がリインに導かれ逃亡中。
・【?-?/昼】みか先生、夷腕坊に乗ったままどこかにテレポート。
・【H-5/真昼】はやて&トマがシェルターにワープして九死に一生を得る。アリサと合流。

◎現予約状況
・4/23(月)の予約(〜4/26(木)まで)
◆uOOKVmx.oM:ニア、キルア、太一

グリーン&ひまわり組、動くかと思ったけど午前に取り残されちゃったな。
山頂へ向かってそのままだ。
リリス戦終わったらニケ達はすぐ移動したから置いてきぼりくったのかな。
メタルイーターMXの轟音でひっくり返ってるのかも知れないが。
イリヤはこのままひっくり返ってるだろう。
ベルフラウは……どう動くかな、これは。
505名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 18:12:18 ID:qFOMFdBt
容量限界も近いけど次はどこに立てる?
506名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 18:25:40 ID:zTY0TVOa
とりあえずはここで良いんじゃないか?
あの後、削除依頼の所で議論も起きてるし、可否は未定のはず。
できるだけここで試せばいいと思う。
そもそも、受け入れて貰える移動先も判らないしね。
507名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 18:36:52 ID:w+GvSM6f
今のところ結論は出てないから、とりあえずサブカルで様子見かな。
ただし、ギリギリまで使い抜いて、新スレが立った場合は即座にDAT落ちさせてしまおう。
508名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 18:39:25 ID:qFOMFdBt
いや削除議論で削除人のコメントみるかぎりもうダメぽいからさ。
509名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 18:44:35 ID:mmsBGSks
どこの板が向いてるのか、削除人に言わせるまで粘ったほうがいいと思う。
そうすれば移転先でもその発言を証拠とできるから。
510名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 18:45:35 ID:qFOMFdBt
削除人はそこまで責任もたないと思うなぁ……言っちゃ悪いが。
511名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 19:01:21 ID:HVW6JnsM
あの削除人発言は漫画サロンやアニメサロンといった、他に相応しい板があるというスレに対してであり、
ここのように多岐のジャンルから集められたクロスオーバー企画には当てはまらないのでは?

そもそもここは先の件でも削除されずに残ってたし

あるいはしたらばに作品投下して、ここはそれについて感想その他を「語る」スレにするか?
それなら削除派の言うガイドラインにも引っかからないはずだし
最近さるさる規制も厳しいしw
512名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 19:30:32 ID:w+GvSM6f
>>511
それもひとつの手かなあ。創作要素が抜ければ文句の出しようもない。
とりあえず「サブカル的」とかそれっぽいのをスレタイにつけて、出来る限り溶け込むことを推奨してみる。
513名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 22:03:52 ID:iscrLxGZ
さて……何処に投下すればいいんだorz
514名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 22:09:32 ID:CKiUejiM
新スレ立てようか?
スレタイとかテンプレは今のままでもいいのかな。
515名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 22:52:04 ID:9mUv5oVh
新スレで良いと思う。
スレタイだけ変更かな?

【サブカル的】ロリショタバトルロワイアル10
とか
サブカル的にロリショタバトルロワイアル10
とか
ロリショタバトルロワイアル10theサブカル
という具合に何処かにサブカルとかつけて。
516名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 22:55:54 ID:WDga0BmC
【サブカル的にロリショタバトルロワイアルを語るスレ10】とかかw
517名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 23:00:39 ID:XXwxApi1
スクランスレはサブカルの名を冠していても削除依頼出されてて、しかも削除されようとかいう方向で話が進んでるっぽいけどね
こっちは大丈夫かなあ……心配だ
518名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/24(火) 23:18:09 ID:9mUv5oVh
まあこっちはノンジャンルで行き先も無いからなあ……。
アニメに漫画にゲームに卓上ゲームに同人にエロゲとよくもこれだけ集まったものだ。

削除されたらその時は>>511の「したらばに投下スレを作る」で復帰するのが手かな。
519名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 00:00:31 ID:looGXZeQ
なんでもありあたりに移転した方が無難と思われ。

スレタイにサブカルとつけても、まず削除判断に変わりはない。
http://qb5.2ch.net/test/read.cgi/sakud/1151937746/226-248
520名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 00:07:37 ID:8dzfaKV6
あとはクラウンとかイベント企画が無難なせんか
521名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 00:09:14 ID:gYkPjO8H
実際削除はされてないんだからスルーしてこのままサブカルでいいと思うが
522名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 00:16:23 ID:looGXZeQ
スレストのスリルも味わいながら続けたい、というなら無理にとは言わないが。
523名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 00:36:29 ID:pKxw/jNr
レジスタンスっぽくひっそり活動しよう。スレストされた>>511の案でいけばいいさ。
ノンジャンルだから明確な移転先がないってのが辛いな……。
524名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 00:47:24 ID:looGXZeQ
>511案でもスレストされるのではないかと思うのだが・・・。
スレストの危険がないのは、雑談系のカテゴリの板だと思う。
525名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 01:19:54 ID:qcXI9Mxb
>>511の案にするなら「〜を語るスレ」がいいかな。
変にサブカル的とかタイトルに入れると反対派を逆撫でするかもしれない。
……ただしその場合でも「メジャーなアニメや漫画を語るな」とか言われるかもしれんが。
526名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 01:29:31 ID:/PpWF6rB
どのみち早く建てないと、もう残り19KBしかないんだぜ
527名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 21:38:13 ID:hbTNo7d9
サブカルチャー【subculture】
・ある社会に支配的にみられる文化に対し、その社会の一部の人々を担い手とする独特な文化。
 例えば,若者文化・都市文化など。副次文化。下位文化。サブカル。
三省堂提供「大辞林 第二版」より

サブカルチャー(subculture)
・漫画、アニメ、コンピュータゲーム、特撮作品、フィギュアといったおたく文化を指す。
・既成文化に対して二次的な側面が強いもの。よく「下位文化」と訳される。
Wikipedia(ウィキペディア)より

バトルロワイアルパロディ(以下パロロワ)という企画自体サブカル的であると言えますが、
特にこのスレの場合は他の類似企画と違い、アニメ板や漫画板といった該当板も存在しません。
これは作品ジャンルではなくその中でもキャラクターの外見年齢という
パロロワの中でも極めて特異な条件により参加作品を選出している為です。
これはジャンルによって参加作品を絞るパロロワの中でも更にサブカル的だと言え、
また、おたく文化全体を指し示すサブカルの概念に即しているとも言えます。


ってのを考えてみたけどこれテンプレに入れて新スレ立てで良いかな?
スレタイ自体はそのままで。
528名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 21:54:53 ID:ImqrsnjE
やめとけ。
そんなに睨まれてまでここで続けるより他に移った方が話が早い。
529名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 21:54:55 ID:bIF94BgB
スレタイに無意味に「サブカル」ってつけるとか、詭弁で誤魔化そうってのはやめようぜ。
多分それが余計に悪い印象生んでる。
行き場が無いし急に移転したら迷子になる住人いるから少しの猶予期間下さいちょっとだけ見逃して下さい、
ってのが本音なんだから、そういう姑息な真似は避けるべき。
530名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:01:08 ID:k5cqAKWo
>>527
さすがにそれはずっとこのスレに居続けた俺でも悪感情が沸く
たしかに追い詰められはしてるけどそこまで堕ちるこたないよ
531名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:03:01 ID:hbTNo7d9
すまんかった。
じゃあ素直に、行き場所も無いからここにそのままスレ立てするって事でいいかな。
投下待ちの人も居るからとにかく新スレは必要だし。
532名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:04:29 ID:fg+IurAm
490 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/04/25(水) 21:38:56 ID:ImqrsnjE
自分で考えろってことでしょ。
どこでやるかなんてのは始めた奴らが責任持つことだ。
533名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:07:00 ID:+1Uy1RpR
自分でここに立てたら出てけって言われた以上、
出てけって言うほうが考えるのが普通じゃないんだろうか。
534名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:10:28 ID:ImqrsnjE
>>532
諦めろ。
オレを悪役にしようとしたところで現実は変わらん。
もうサブカルは安住の地じゃないんだ。
535名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:15:02 ID:+1Uy1RpR
なんだ、工作員がいたのか。
536名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:16:30 ID:ImqrsnjE
いや、あのな……誰かを悪役にでもせんとやりきれんのは解かるが……
解かるからいいや。
537名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:25:35 ID:hbTNo7d9
突き詰めて考えない方が良いみたいだな。
互いを敵視するなんてロワの中だけにした方が良いし。
とにかくちょいと立ててきます。
538名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:35:50 ID:hbTNo7d9
ロリショタバトルロワイアル10
ttp://human7.2ch.net/test/read.cgi/subcal/1177507709/

テンプレ投下順ミスった……ごめんorz
539名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:52:38 ID:bIF94BgB
>>504
◆M42qaoJlNA:グリーン、ひまわり、きり丸、のび太、リリス
は……>>439の19日以来音沙汰無し、か。
いくら延長してもこれは期限切れだね。
ちょっとこの辺のキャラで何かできないか考えてみる。
540名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:55:57 ID:Ds5uIjSz
>>539
待って、俺を待ってー!
あと一日二日の猶予をorz
541名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 22:56:29 ID:qcXI9Mxb
>>539
wktk。俺もラジオまでに何か書けるといいんだけどなー。
と思ったら>>540!?
542名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 23:00:07 ID:bIF94BgB
>>540
いたのかw ならトリ出してコメントして下さいよ〜。
ルール上の未予約投下でも、書いてる人がいるかいないかで全然違ってくるんで。

じゃ、別のとこちょっと考えます。グリーン組が午前で取り残されてるのが心配なだけだったんで。
543 ◆M42qaoJlNA :2007/04/25(水) 23:06:19 ID:Ds5uIjSz
鳥忘れorz
申し訳ない……その分頑張ります

一応、山頂近くから離れて、ちょっとゴタゴタして、移動して、
時間を昼か真昼ぐらいまで進める予定です。
544名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 23:36:59 ID:SUy2LuwK
昨日投下するって言ってた人はいないのかな…
545名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 23:40:13 ID:7r+hwlxj
・・・削除処理は必ずしもスレストとは限らないんだよな・・・。
546名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/25(水) 23:40:47 ID:bIF94BgB
>>543
期待します。

>>544
>>513がそれっぽいけど、この分じゃ投下は明日かもね……。
547名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 21:00:54 ID:e8BRE4HD
残り12KB、そろそろ埋めようか……
548名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/27(金) 23:58:45 ID:d1sS9ZZV
                            / 7 /77
         . -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、         /ニ ニ7
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       │  _____ ハ ヽ       /_//_/  /77
     │ /____  ヽ、  \      y――ー┐
      //イ// l/l/// lヽ__i i、       ̄ ̄/ /
    //i { ●    ● ヽi|ん\. \.       /_/
     (⌒)i⊂⊃、____⊂⊃i|-'\. \ ヽ    / /
   ≦ト /Y    ト、 iVて⌒ヽy/⌒ヽ i │
  ≦ | しト\∧ハ'∧ハ|、| i、'ーヘ \:::::}.! !
  ≦:イ:l丿 !-‐┘   ┌‐',j::∨ヾ `ー´
   ∨!: M /´` 、 ヽmi:::≧
    `ヘ::ト/    | ノ::≧  
   n /乂ヽ∩ヶ∩'´ W ギャア
   ヾ、フ´1-'夭'-'

インデックスが人を噛むAAで埋め
549名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 00:02:48 ID:apJxm3bj
/ (二)
(_      _
  ̄> '  ̄   ̄`y-、
/'/ ,:'ト、 ヽ:     ヽ.
/'/, 〈 i、 \ ヽ ,  i  i
/ ///,:ヘ|\. `x'\ |  i|
|/ |/i/| らフ  'ちフ'l |)  |
|  | | |ゝ'', ─、_''.イ| l   |
'   ノノ Y##_Y^yイi   |
  // (入 #(~ )》y|| ヽ !、  
 //  し'7 ̄9\_ノ |  |`ト.ヽ.
_/'   <_7 ̄フ二〉|  | j  ヾ.:、
     (_て_二Ti |  | |   j.}
、       `' _`'ノ ノノ _ノノ
 `ー ニ二二 ̄__/'    ̄

白シスターが人食ってる横でカリモフメロンパンを食うシャナで埋め
550名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 01:13:25 ID:u/Gzj+uH
    ,><::::::::::::::::::::::::;'''' //:::∪`tへ `:::::::::::::::::::::::::::/   >
   /  ヽ::      / /::::   ヽ::.\       /:::..r‐'´
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  ヽ、    ヽ、,〆":::' l' |:::::: :     ヘ.l::. |::`ー<:::::/ \
    ゝ  ::〆 /::l:::: l'  |;::::: ::::   | |`l:::. l::::::.  `'l.   `ヽ、
    ∧ / /::::l:::  |  |l::::::.:::  | | ll  ll:::::::   |:l     \
   /  l'´l  l::::::l:::  |. | l:l::::.:   ,l l-+-、l_l::::::   l:::l      ヽ
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       l:l:ヽ::.. l ヘヽ、l`ニ=、     " ̄``‐..イ/、'´         /
      ヾl、::\、ヽ、l=" ̄``         、t' ̄ ̄ア-' ̄>‐-、/
-――     >'-/ヘ`´      V _、    l'´ア┴, --┴―-┐
_,-――=ニニ<,-ァ-ヘ     ァ―'"ヘ`   /' ' <=-┘___,,,,,,===/
'-‐< ̄ ̄```=< -<<``ヽl_ _ /     \/=‐‐〆‐<_ >
  _>―‐┬-、_>-ヾ== >-y、     ,‐<ヾー` ´、、/〆ゝ
 ,<    ヾ<,-‐ ,,-‐、 l l' l‐,   /`l l ト-'´ ̄ ヽ ̄´
.l lヘ     `'´ /   `l  l .l .l┐ l'`l .l l l┐    ヽ

炎髪灼眼がメロンパン食ってる横でうにゅーを食う雛苺で埋め
551名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 09:48:45 ID:em5WGMB0
    ゝ;;;____;;ニ'=''二二_   '::::::::::::`,"
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        !    ,;r='=-:.、     :ji:::::::|
552名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 12:54:41 ID:scffOgYb
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     r-‐'´          \
     |  |ヽrl l 、  、 ヽ、 ヽ
     |  |   | !ヽヽ ヾヽ l   l
     ト-|---ヾ ヽヾー‐l┼ |  |
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    |   |`ー-.,二` ,, -‐'::! |   |
    |  ノ  ∨ヾ厂ヾ=シ::l |ヽ  l
     | /   {::::V7Tレ'::::/ /::::ト/\|
    |/    〉::::|'ブ::::::/ノ´_:::}
       /ヾ´l/`>ベイ\ー}
       >'  | `^´ l  ヽ  ノ
      `ヽ,ムL___|!__ヽ Y′
        | ,イ /  `ー┘
        `′ー′
553名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 13:16:45 ID:VmnTQJvX
                   r'''|´|
                  /  │.!            _, .y
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   ,i 、,,,        ノ -.... ,,} .|  `゙''‐v,,,,./ ″  /
   \ `゙'''''-v..__ r'"     `'"      .ヽ,  ../
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         │      `^^^´    ,......―t'"゛
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             l   ヽ             |           ,
             ゙ヽ......,,..ユ    ,,......,,__     〕       i'"
               !、.   `'-,  .`゙゙7   |      /
               ! .゙'、,   `'-.../    ,/     .!
               /   ゙'-,,       / . ,,,,,,.... -''''゙‐'ー、
ヽ         _______r'" ̄´゙!_、  .´"―----i-匸´
 ゙!y -''''"゙゙´    `''-、,,,、  ¨^^'――――┘  .゙'i
  l                ⌒'''''''''―------ ..,,......-'"
554名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 13:28:19 ID:/VOPi+DV
      (ヽ___,,
     ,,(;;y´     `'''ヽ
   / /           ;
    |/;;;;;;;;./ ̄ ̄ ̄ヽ  /
    /;;;;;;;/ ノノノ リノ ツ ノ   < いいぞ ベイベー!
   /:::  | ノ ___;; .; __ l ノ       埋めないのはただのロリショタだ
   (  . lC  `'",;_,i`'"|         AAで埋めるのはよく訓練されたロリショタだ!
   `ーr''i ヽ, '~rーj`/         ホント ロリショタロワは地獄だぜ  フゥハハハーハァー!
   ,/  ヽiiiiiヽ`ー"/:: `ヽ 
  /     ゙ヽiiiiiiiiiiiiiiii   |iiiiiiヽ
 |;/,,,,,,,,,,,      メ  :  |iiiiiiiil_      .ri                    ri
 l liiiiiiiiiiiiiヽr‐─ヽメ ⊂////;`ゞ--―─-r| |                   / |      火
 ゙l゙l,iiiiiiiiiiiiiil,|`゙゙゙''―_____l,,l,|,iノ二二二二│`""""""""""""|二;;二二;;二二二i≡二三三l    

 =・
 | ヽiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ   _|_        "l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |二;;二二;;二=''''''''''' ̄ノ      ン
 /"ヽiiiiiiiiiiiiiiiiij_  ヽヽ, ̄ ,,,/"''''''''''''⊃r‐l'二二二T ̄ ̄ ̄i゙''''''''''''''''"゙゙゙ ̄`"
/  ヽiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|(;;)  `)
      iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|   ノ
     `ヽiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii|   ノ
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          ~~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
555名無しさん@お腹いっぱい。:2007/04/28(土) 13:57:30 ID:VmnTQJvX
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        |:l |::: :::i:::lfキ7Tミ、| |V リ ナ7オ,ヮi|::::::::l::::::l
       l:| |::i::::::l::l ` 辷Z      ヒ辷!´/!:::::::'::::::l    キミ達は子供なんだから
         リ l l:::::::l::ト  ,. -‐ ´i ` ‐- ._  / l::::::/::::イ!
           l:l:::::::|:ヘ       !         ,j:::::/:::/.リ     エロスはほどほどにしときなさい
            lil:::::|:::::>、.   r_‐、    ∠j::::/::/ /
          ilハ:::|'´   \   ''   , イ .V::/:/
          ilハ:|.  /¨| \_, ィ'  .ト-/://
           i! l| _/::/|       .L/人
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    j ',  ハ`'‐->へl:/              /      |
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556名無しさん@お腹いっぱい。
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              , - 、   、__.ノ::::',   ';::::::::::ヽ -‐ノ-‐'´::';:::l      うるさい! 子供って言うな!!
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