でもベルカナのは精神力であって厳密には魔力とは別物なんだよな。
MPゼロでも普通に動けるドラクエとかと違って、一般人も持ってる気力みたいなものだし。
【のび太】MP0、精神力8/13とか、こんな感じで。
SWは魔力の回復基準に相応しくないと思う
魔力の回復については議論が終わってない。
終わってない議論に触れるようなことを書く場合は、事前に相談してほしい。
「これこれこうこうだと判断しました」って後から言われても、それに納得しない人もいるわけで。
あと、魔力回復について。
核鉄は魔力回復するのか?という疑問がある。
ごめんなさい、カテゴライズに困るようなキャラをたくさん作っちゃって……。
(でも多分懲りない)
真紅、雛苺 以上2名予約します。
>>489 期待してます。
502 :
490:2007/03/18(日) 19:25:53 ID:dcoKOJtM
>>496 俺は赤枠あったほうがありがたいな……。
微妙なやつは黄枠で囲うってのはアリだと思う。
>>498 でも6時間だと朝の初め(6時)から昼の終わり(12時)になってしまうので、大体4,5時間と考えました。
6時間で全快だと考えたら多分このままで問題ない、で大丈夫かな?
>>489,501期待します!
そしてようやくキャラ把握が終わった……
なのは、ヴィータ、勝を予約します。
505 :
◆uOOKVmx.oM :2007/03/18(日) 20:41:35 ID:Wu7Y+JfC
予約ラッシュだなぁ
ではエヴァ、ニケ、リリスを予約します
>>504 一応、派手な音は出さない方針で考えています
sage忘れた。ごめん
>>504-505 うわ、どちらも期待です。
……あまりに書き手がつかないため、そろそろ自己リレーも止むなしか?
責任取ってもっと書きやすい状態に持っていかないといけないか?
などと考え始めていた所だったので……。
良かった、早まらなくて本当に良かった……。
予約状況更新。
【予約まとめ】
3/16(金)の予約(〜3/19(月)まで)
◆2/wC7C1bIk :グレーテル、太刀川ミミ
3/18(日)の予約(〜3/21(水)まで)
◆ou3klRWvAg :リルル、ククリ、ネス、イエロー
◆IEYD9V7.46 :シャナ、小太郎、イヴ、ビュティ、ブルー、双葉
◆3k3x1UI5IA :真紅、雛苺
◆NaLUIfYx.g :なのは、ヴィータ、勝
◆uOOKVmx.oM :エヴァ、ニケ、リリス
【最新のMAP】
>>502 【島内に放置されているアイテム等まとめ】
>>443 【現時点の各地状況】
ttp://kasamatusan.sakura.ne.jp/cgi-bin2/src/ichi80390.txt.html あちらが落ち着けばこちらがキナ臭くなってくる、といった具合で、
今日もロリショタロワは円滑進行中。
いま平和なのはフランドールのおやすみしている北東エリアくらいで、
はじめわりと平穏だった北西の森・学校のあたりが現在の火薬庫。
森の中を移動中のツンデレーズや脱出派のインデックス、ステルスな紫穂、学校を目指しているリディアやグリーンなど、
絡んできそうなキャラも付近にいて、状況は予断を許さない状況です。
(
>>482より引用)
なにこの予約ラッシュ
>>505 こっちは一応派手な音が出る予定……
それだとそちら側に影響するだろうしなぁ……
音が出ない方の展開もちょっと考えて見ます
むしろ山麓三すくみは派手な音が出ないほうが不思議な状況だものな……
ネタバレを含みそうな打ち合わせなら、したらばのほうを使ってみてはどうだろうかと部外者が提案
目の前の戦いに集中していて気付かなかった。
もしくは、気付いていても移動できなかったじゃ駄目ですかい?
部外者その2の提案。
>>509 >>510-511の案にもあるように三竦みの方は派手になると思っていましたので、
遠慮なくドンパチやってください。
こっちに流れ弾が飛んできて大惨事とか以外なら何とでもw
すんません…orz
間に合いそうにないので予約を破棄します…
>>513 予約期限は今日の日付が変わるまでだから、まだ22時間以上あるけど……
それでも無理そうでしょうか?
>>514 予約当日からずっと書いてますが、一向に進まないんです
スランプかと…orz
本当にすみません
>>487 核鉄が回復させるのは体力だか傷だかだけだから、魔力は回復しないと思ったほうが自然じゃね?
魔力消費中くらいまでにしておいたら?
>>512 わかりましたー
流れ弾とかは多分頂上までいかないと思いますw
・レミリアの魔力回復量について
>ベルカナの回復に合わせてしまって良い?
>>498,504
>合わせないで回復量を減らすべき?
>>499,516
>問題提起?
>>500 とにかく核鉄の影響は無し、として良いのかな。
キャラによっては3時間睡眠だけでもこのくらい回復するようですが、
タフな生活が出来る冒険者と違ってこの状況では安眠出来ないなどの理由を付けて、
レミリアの回復量は(中)までとしておきます。
それに対応して細部修正、まとめウィキ載せもやっておきます。
519 :
498:2007/03/19(月) 14:28:41 ID:vStCwyWG
確かに核鉄で魔力回復はないような気がする。
ただ、今回の回復量に反対している人たちにはどのくらいの割合で回復するのが
適切だと思っているのか言ってくれないとやりにくい。
意見を出さずにただ反対だ、っていうだけじゃ歩み寄ることも決着をつけることもできないよ。
ベルカナは原作のルールがシビアだからな
本屋でぺらぺらーず立ち読みしてきたけど、地味にベルカナって生命点も精神点も高いのな
メンバー中最高じゃね?
山の上と下の2組、分割予約で来るなら時期もズレるかな、と思って仕掛けたんで……
(予約の時期がズレれば、先に書かれた方に合わせればいいわけで)
お2方、ご迷惑おかけしてすいません。大変でしょうが、頑張って下さい。
では、自分でも早い気もしますが、薔薇乙女2人の予約分を投下います。
生きることとは、戦うこと――
それが、誇り高きローゼンメイデン第五ドール、真紅の信念だった。
人生とはこれすなわち戦いそのもの。
困難にめげず、危険を恐れず、自らの力で切り開いていくもの。
それは、人形の姿を与えられ、究極の少女アリスを目指す薔薇乙女でも同じことだ。
アリスゲームを進めることに疑問を抱くようになった今でも、その強い信念は変わらない。
だからこの、ジェダによって強制された、この殺し合いのゲームの場においても――
真紅は、戦うことを選んだ。
戦うことで、まだ存在しない道を切り開こうとした。
一応、理由らしきものはあったのだ。
「優勝者に与えられる『願い』の権利を使い、水銀灯を含めた姉妹全員での平和な日々を実現させる」
――けれども、そんなものは、後付けの口実でしかなかったのかもしれない。
姉妹と過ごす穏やかな日々のために、その姉妹の1人である雛苺さえも殺そうとした矛盾。
アリスゲームを自分なりの方法で終らせるために、アリスゲームのような殺し合いに乗った矛盾。
けれど、それは真紅自身の中では、決して矛盾とは感じられなくて。
生きることとは、戦うこと。
それは誇り高きローゼンメイデン第五ドール、真紅の信念。
張り合いのない人生など要らない。逃げ続ける人生など意味がない。
だから、彼女は――!
* * *
孤独――
それこそが、幼きローゼンメイデン第六ドール、雛苺がこの世で最も恐れるものだった。
トランクの蓋を閉めて、それきり開けて貰えない。
さよならを言って出て行って、それきり戻ってきてくれない。
おやすみ、また明日ね、と言っておいて、それきり目覚めない。
幾つもの時代を超えていく中、そんな哀しい別れを何度も繰り返し、その純粋な精神を傷つけられて。
やがて、彼女は強く願うようになる。
1人は嫌だ。1人ぼっちになるのは怖い。1人にはなりたくない。
もしもこの世に1人きりになるくらいなら、死んだ方がマシ。
だから、ジェダに強要されたこの理不尽な殺し合いの中でも、彼女は頼れる「誰か」を求めた。
殺されるかもしれない危険を承知の上で、それでも他の参加者との接触を求めた。
そしてそれを幸いと言っていいのか、雛苺が初めて会った少女・ジュジュは、彼女の傍に居てくれた。
雛苺を保護し、話を聞き、助け、手を引き、そして……。
孤独からの脱却。
それは幼きローゼンメイデン第六ドール、雛苺の願い。
帰ってこない友達なんてもういらない。守られない口約束なんて意味がない。
だから、彼女は――!
* * *
――雛苺は、湖の見える原っぱで、1人膝を抱えて泣いていた。
もう小一時間ほども、泣いていた。
逃げ疲れ、走り疲れて、もう歩くこともできなくなった――というだけではない。
体力そのものは、ここで泣いているうちに大分回復している。
それでもなお、雛苺が動かない理由、それは。
「……遅いの。ジュジュ、すぐに来るって言ってたのに」
待ち人が来ない。どれほど待っても、待ち人が来ない。
……冷静に状況を思い出せば、彼女が確実に致命傷を負っていたのは容易に理解できたはずなのだが。
それに気付きそうになった途端、雛苺はブンブンと頭を振り、思考を閉ざす。
そんなはずはない。だって、ジュジュははっきりと言ったのだ。
「大丈夫、こんなのなんてことないわよ」、と。「先に行きなさい、すぐに追いつくから」、と。
約束したからには、彼女にはあの窮地を脱する術があったのだろう――やや強引に、雛苺はそう考える。
自分自身に、言い聞かせる。
決して来ることのない待ち人を、待ち続ける。
引き返して確認するのはあまりに怖くて、ひたすらここで、待ち続ける。
「…………うにゅ〜〜」
太陽はそろそろ天頂にも届くかという頃で、でも普段は食いしん坊の雛苺が、空腹すら覚えない。
膝を抱えながら、見るとは無しに対岸の様子を見る。
いくつもの廃墟を包み込むように、不可思議が霧が漂っている。自分たちが襲われた時と同じ霧。
そういえばあれは何だったんだろう、と雛苺がぼんやり考えた、その時。
動きが、あった。
「え……? 火……?」
対岸の建物の、3階か4階ぐらいに当たる高さ。窓から噴き出した紅蓮の炎が、霧の一部を打ち払う。
チラリと見えたのは、誰がどう見ても「ドラゴン」でしかない巨大な怪物。
そして、炎に吹き飛ばされたのは、子供よりなお小さな影。
ボロボロになった赤い服、白い肌、奇妙な仮面、そして金色の髪――
「――真紅!」
間違いない。距離はあれど、仮面があれど、ローゼンメイデンの姉妹の姿を見間違えるはずがない。
それがつい先ほど自分たちを襲った「敵」であったことも忘れ、雛苺は叫ぶ。
真紅の身体は水中に落下し、そして――
晴天から舞い降りた雷が、水面に浮かぶあまりに小柄な身体を、狙い撃ちした。
* * *
――真紅は、水の中で目を覚ました。
記憶が混乱している。必死で今の状況を思い出す。
戦闘能力に長けた、杖を持った男の子を追いかけて、廃ビルの中に踏み込んで、そして……
(ああ……私は、勝負を賭けて――負けたのだわ)
撃破数稼ぎのため、無理な追撃をかけた自分を悔やんでみても、今の状況が覆るわけではない。
真紅は冷静に今の自分の状態を確認する。
身体が痺れている。この痺れは、追い討ちで喰らった電撃の余波というだけではあるまい。
鏡で見なくても自分の背中が酷く焼け爛れているのは分かったし、手足も自由には動きそうにない。
とんだ被害だ。とんだダメージだ。
薔薇乙女が恐れるジャンクの一歩手前――いや、もうこの状態は、既にジャンクと呼んでも差し支えないか。
醜く焼け爛れた背中など、究極の少女・アリスの姿には相応しくない。
「お父様」から頂いた大切な身体をここまで傷つけてしまって、これではもう、アリスに成ることはできない。
(ふ……我ながら不思議なのだわ。
「もうアリスゲームはやらない」と決めたのに、まだ綺麗な身体に未練があるなんて)
自嘲の笑みを浮かべるのが精一杯の真紅の身体が、引き摺られるように水中を動いている。
身体に巻きついているのは、ツタのような植物。目を凝らせば、その所々に赤く鮮やかな実がついていて。
それは、どう見ても間違いない。
『苺轍』。ローゼンメイデン第六ドール、雛苺が呼び出し自由に操る特殊能力。
顔を上げれば、向こう岸で小さな影が緑の縄を必死に引っ張っているのが見える。
苺轍そのものが持つ力だけでは足りなくて、使い手自身が泣きながら引っ張っている姿が見える。
思わず顔に浮かんだのは、安堵の笑みか、それとも自虐の笑みか。真紅自身にも、良く分からなかった。
数分後。
小さな漁師が、底引き網を引き上げるように。
真紅とすぐ傍に沈んでいたバットは、苺轍にまとめて絡め取られ、陸の上へと引き上げられていた。
* * *
穏やかな風が頬を撫で、草原を駆け抜ける。
さわさわと、心地よい葉擦れの音を立てる。
見上げた空は青空で、もう太陽はかなり高い所にあって。
白い雲が、ゆっくりと流れていく。
血で血を洗う殺し合いが行われていることなど、うっかり忘れそうにもなる穏やかな景色の中。
「――何故、助けたの?」
「うにゅ……! 睨まれたって、ヒナにも分からないのよ……!
ヒナは1人で、真紅が見えて、それで、その……!」
引き上げられ、絡まっていた苺轍が解けてから、真紅が最初に発したのはシンプルな疑問。
今にもまた泣きそうな雛苺から返ってきたのは、全く答えになってない答え。
――まあ、そんなところだろう。
たぶん、1人きりで居るのが耐え切れず、後先考えず助けてしまったのだろう。
雛苺の性格を考えれば、雛苺の幼さを考えれば、十分ありそうなことだ。
真紅は溜息をつきながら立ち上がる。
身体が軋む。炎と電撃に引き裂かれたドレスの隙間、露わになった球体関節が、嫌な音を立てる。
膝に手を当ててやっと身体を起こしたその姿には、普段の優雅さの欠片もない。
「真紅、だいじょう……!?」
「近寄らないで。私と貴女は、今は敵同士なのだわ」
心配げに駆け寄ろうとした雛苺を、それでも真紅が押し留める。
全身から水をポタポタ垂らし、自慢の髪も力なく垂れたまま、それでもキッと相手を睨みつける。
――どんなにみじめな姿になろうとも、彼女は誇り高きローゼンメイデン第五ドール。
プライドだけは、戦うことだけは、捨てられない。
「ほ、本当に、手酷くやられてしまったものだわ。けれど――方法はある」
「しんく……!」
「既に1人。もしかしたら2人。あと1人か2人倒せば、『ご褒美』が貰えるのだわ」
シェルターに逃げ込んだ少女の生死は、分からない。
致命傷だったとは思うが、もしかしたら手当てが間に合い、死亡者のカウントに入っていないかもしれない。
けれど、たとえそうだとしても、あと2人殺すことができれば確実に。
ジェダが約束した、『ご褒美』の権利を手にすることができる。
この身に負った、ジャンク寸前の深い傷を修理することができる。また戦える身体になる。
恩を仇で返そうというわけではないのだ。この状況を分かっていなかった雛苺が悪いのだ。
まずは1人。その標的は、他ならぬ目の前にいる、雛苺。
――そんな真紅から叩き付けられる殺気を、雛苺は理解できない。否、理解したくない。
「いや……! いやなの……! せっかくまた会えて、せっかく助けられたのに……! ヒナ、嫌ァ……!」
「忘れたの、雛苺? 私があなたにしたことを。私があなたの『お友達』にしたことを。
私は、とっくの昔に本気なのだわ。――武装練金!」
いやいや、と首を振る雛苺の前で、真紅は軋む右腕をすッと上げる。
手の中に握られていたのは、六角形の金属の板。刻まれていたのは、『LXX』の文字。
真紅の手の中で、それは溶けるように姿を崩して――周囲に再び、キラキラと光る霧が立ち込める。
核金ナンバー70、チャフの武装練金、『アリス・イン・ワンダーランド』。
不思議の国は、相手に逃げることを許さない。
一度は見逃した敵を再び霧の中に閉じ込めて、真紅は鋭い声で叫ぶ。
「死にたくないのなら、戦いなさい! それが生きるということなのだわ!
この戦いも、新しいルールのアリスゲームのようなもの――私たちの宿命と、変わらないのだわ!」
戦う意思の無い者に、生きる権利はない。
けれど、戦う意志も無い者を嬲るのは、真紅の趣味ではない。
それはもしかしたら、親しい仲間だった雛苺への気遣いだったのだろうか?
ジャンクも同然の姿で、それでも心だけは気高さを失わずに、彼女は叫ぶ。
真紅の指先から薔薇の花弁が放たれ、赤い槍と化して雛苺を襲う。
「――嫌ぁぁぁぁぁッ!!」
雛苺が叫ぶ。信じたくない現実全てを否定したくて叫ぶ。
目を閉じ、くの字に身体を曲げて叫んだ弾みで、雛苺の頭を狙った薔薇の花弁は紙一重で逸れる。
頭につけた大きなリボンを貫かれながら、雛苺の足元から緑の鞭が伸びて走る。
それは真紅を引き上げた時にも使った苺轍。相手を殺すことなく無力化できるはずの技――
けれども、それは、真紅の身体を捕らえることはなくて。
「――え? な、なんで届かないの!?」
「『アリス・イン・ワンダーランド』が狂わせるのは、『方向感覚』だけではないのだわ。
『距離感』も、なのだわ。今の私を相手に、遠距離攻撃は通用しない!」
真紅の手元から、再び薔薇の花弁が放たれる。
けれども、身体の不調が響いているのか、その動きには普段のキレが無い。鋭さが無い。
転がるように雛苺が避ける。全て避ける。逆に言えば、雛苺に避けられる程度の攻撃しか放てない。
真紅の表情が、険しくなる。
こちらには感覚阻害による鉄壁の防御。けれど、攻撃もまた当たらない。これでは決着のつけようがない。
そのことを見て取った雛苺が、嘆願するような声を上げる。
「も、もうやめよう、真紅? もう無理なのよ、だから――!」
「そう――。お、思っていた以上に、状況は深刻なのだわ」
時代を超えて戦い続けてきた真紅にも、これほどの損傷を受けた経験は過去に無かった。
水銀灯に片腕をもがれたことはあったが、でもあれが真紅の知る限り最大のダメージで。
だから、今の自分に何が出来て何が出来ないのか、よく分からなくて――
それでも、真紅の戦意は衰えない。
まだ、使っていない切り札がある。それでも戦えるやり方がある。
流石に「それ」を姉妹相手に使うことには抵抗もあったが、こうなってしまっては仕方が無い。
彼女は中指でつぃッ、と蝶々の仮面を押し上げ、小さく呟く。
「できれば、あまり苦しめたくはなかったのだけど――」
「な、何!?」
2人の周囲を包む霧が、渦を巻く。雛苺を取り巻く霧が、密度を増す。
不安げに怯える雛苺に、そして真紅は、宣言した。
「『アリス・イン・ワンダーランド』、密集状態――幻覚の中で眠りなさい、雛苺」
光が弾ける。密集した霧が、蝶の姿を取る。
思わず目を瞑る雛苺、その瞼さえもその閃光は通過して、そして、気がついた時には――
* * *
「だ……誰か居ないの……?」
目を開ければ、そこは相変わらず濃い霧の中。
辺りを見回しても、敵だった真紅すらおらず、彼女は寂しさに身を震わせる。
孤独。それは幼きローゼンメイデン第六ドール、雛苺がこの世で最も恐れるもの。
この世で1人きりになるくらいなら、敵でもいい、誰かに近くに居て欲しい――
キョロキョロと、誰か居ないものかと辺りを見回す雛苺の背に、声がかけられる。
「……ひな、いちご?」
「――ジュジュ!」
それはずっと待っていた待ち人の声。念願の再会に、雛苺は満面の笑みを浮かべて振り返る。
だが、その笑みはすぐに凍り付いて。
「逃げろって、言ったじゃない。なんでまだ、こんなところに居るのよ」
「……じゅ、じゅ?」
「あなたのために、命を張ったのに……全部無駄になっちゃったわ。……くそばか」
面白くもなさそうな顔で、最期に雛苺を罵倒する言葉を吐いて、ジュジュは倒れる。
身体に開いていたのは、素人目にも明らかな致命傷。白目を剥いて、血を吐いて、それっきり動かない。
「じ、じゅじゅ! 起きて、ジュジュ! ねぇってば!」
「……ヒナちゃん」
動かないジュジュを揺さぶり続ける雛苺に、今度は別の角度から声がかけられる。
振り返れば、いつの間にそこに居たのだろう? 雛苺と同じ姿形をした、人間の少女。
いや、それは間違いない。雛苺の元契約者である、柏葉巴だ。
「と、トモエ!?」
「ヒナちゃん、やめて……。あ、あたし、苦し……!」
雛苺と同じ服・同じ髪形で、顔だけは元のままの巴が、胸を押さえて倒れている。
慌てて駆け寄ろうとする雛苺だが、憎悪の篭った巴の視線に射竦められ、動けなくなる。
「ヒナちゃんのせいで……やめて、って、何度も言った、のに……!」
「トモエッ!!」
最期に呪詛の言葉を吐きながら、契約の力を使われ過ぎた巴が、がっくりと崩れる。
それはこのうえなく忌まわしい記憶。否、実際には回避していたはずの悲劇。
雛苺は泣きながら彼女の身体に縋り付くが、もうどうしようもない。
もう、全く動かない。
「ヒナちゃん……!」
「この馬鹿人形……!」
「役立たずの、チビ苺……!」
のりが。ジュンが。翠星石が。蒼星石が。金糸雀が。過去歴代の雛苺の契約者たちが。
雛苺の知る人々が、霧の中に次々と姿を現し、雛苺への呪いの言葉を吐いては倒れていく。
みんな、雛苺のせいで死んでいく。
みんな、雛苺1人残して死んでいく。
みんな、雛苺との約束を破って死んでいく。
みんな、雛苺の心に寂しさだけを残し、雛苺を孤独にする。
「いや……いや……!」
雛苺は頭を抱えて、激しく首を振る。
気付いていたのだ。表層意識では誤魔化していたけど、とっくの昔に気付いていたのだ。
ジュジュが助かるはずもないことくらい。ジュジュが死ぬつもりで雛苺を逃がしたことくらい。
優しかった柏葉巴を殺しかけてしまったのは本当だし、過去にもそれに近い例は無かったわけではない。
孤独――
それこそは、幼きローゼンメイデン第六ドール、雛苺がこの世で最も恐れるもの。
深い深い霧の中、無数のトモダチの屍に囲まれて、雛苺はただ1人絶叫する。
「い……嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
* * *
――深い霧の中、真紅は雛苺を見下ろしていた。
白目を剥き、涙と涎を流し、うわごとを言いながら、ビクビクと痙攣を繰り返す薔薇乙女の姉妹。
これが人形でなかったなら、きっと失禁でもしていたに違いない。
悪夢のような幻覚に捕らわれ倒れ込んだ雛苺の姿に、真紅は呟く。
「私は、相当に下劣ね。貴女の恐怖も苦しみも何もかも、全て知り尽くしていたはずなのに」
雛苺が人一倍孤独を恐れていることは知っていた。だから、幻覚でそこを突くのも必然だった。
相手の弱いところを突くのは、戦いの基本。上手いと賞賛されこそすれ、卑怯と呼ばれる謂れはない。
――けれども、何故だろう。何故こうも、釈然としないものが残るのだろう。
胸の奥に湧き上がる躊躇いを、真紅は頭を振って振り払う。
「……楽にしてあげる。もう、終わりにしてあげる。
そして貴女のローザミスティカは私の物になり、貴女は私の中で生き続ける。
可哀想な雛苺、貴女は永遠に孤独から解放されるのだわ――」
真紅の手の中に、舞い上がる薔薇の花弁が出現する。
雛苺はなおも倒れ、痙攣するだけ。この距離、この状態なら、外しはしない。
真紅は腕を振り上げ、雛苺に破壊の力を叩きつけようと――
「――え?」
――叩き付けようとして、その動きが途中で止まる。
身体が動かない。金縛りにあったかのように、動かない。
いや……それは金縛りではなかった。
いつの間にか音も無く、身体に巻きついていた緑色の蔦。その所々に揺れる鮮やかな赤い実。
――『苺轍』。
「い、いつの間に……こ、これは!?」
信じられない。
この距離感を狂わせる『アリス・イン・ワンダーランド』の中で、どうやって真紅のことを捕捉したのか?
慌てて首を巡らせ、濃霧の中目を凝らした彼女は、そしてそのカラクリを知る。
――倒れ、痙攣を続ける雛苺の身体を中心として、360°全ての方向に延びた苺轍!
遠近無視の、全方位苺轍。触れたもの全てを縛り上げる、無差別拘束。
確かにこれなら、鉄壁を誇る武装練金の欺瞞効果も意味が無い!
それはほぼ唯一にして確実なる『アリス・イン・ワンダーランド』の攻略法だった。
「ひ、雛苺の作戦が、私の計算を上回った? いや違う、これは――!」
あの雛苺に、そんな作戦立てられるわけがない。幻覚に溺れる彼女が、まともに戦えるはずがない。
これは、単なるヤケクソだ。これは、単なるブチ切れだ。
策士策に溺れ、息を飲む真紅の目の前で、雛苺がゆっくりと立ち上がる。
壊れた操り人形のように不気味な動作で、起き上がる。
「――みいつけた♪ しんく、みいつけた♪」
その虚ろな瞳は、未だ現実世界を見ていない。
密集したチャフによる幻覚の世界を見ながら、それでも雛苺は、にまぁッ、と笑って真紅の方を向く。
苺轍の手応えが彼女に教える、現実の真紅がいるはずの方向を向く。
「探したのよ。みんな、ヒナのこと残して死んじゃって、でも真紅だけ居ないから、探したのよ」
「…………!!」
「でももう、捕まえた♪ もう、ぜったい離さない♪」
雛苺の言葉に、真紅は己の犯した致命的なミスを悟る。
真紅が知る限りの「雛苺の知り合い」を登場させた、『アリス・イン・ワンダーランド』による幻覚。
けれどもそこに、当の「真紅自身」は登場していなかった!
もしも真紅を登場させれば、真紅自身も幻覚の中で死なねばならなくなる。
たとえ現実の真紅に何の影響も無くとも、自分自身がジャンクになった姿は見たくない――
そんな無意識の恐れが、このミスに繋がったのだ。
雛苺は真紅の方に歩み寄る。ギリギリと締め上げられ、動けない真紅の方に歩み寄る。
幻覚世界をいくら探しても真紅だけは居なくて、1人で居るのはあまりに寂しくて。
手当たり次第に苺轍を延ばして、ようやく捕まえた雛苺の「トモダチ」。
締め上げる力が、一際強くなる。既に壊れかけていた身体が、破滅的な軋みを上げる。
苦痛に身じろぎした弾みで、真紅の顔を覆っていたオシャレな蝶の仮面が、零れ落ちる。
「やッ、やめなさい、雛苺……! こッ、壊れ……!」
「だーめ☆ 真紅も、みんなみたいに約束破ってヒナを1人ぼっちにするんでしょ?
だったら、そうなる前に……」
真紅の悲鳴に、雛苺は虚ろに笑う。その、この世の者ならぬ笑顔に、真紅は戦慄する。
幻覚による精神攻撃は、有効だった――あまりに、効果的過ぎた。
そこに居るのは、既に真紅の知っている雛苺ではない。
過酷過ぎた責めに幼い心は砕け散り、彼女は「こちら側」の常識の通じぬ「彼岸の住人」と化した。
もう、真紅の言葉は、届かない。永遠に、届かない。
「真紅は、ヒナの中で生きるのよ。永遠に、ずーっと一緒なの☆」
雛苺は動けない真紅に歩み寄り、その頭にゆっくりと手をかける。
ツインテールにされた金髪を、両手でしっかりと掴む。
嬉しそうに、ニッコリ笑って――
ゴキリ、メキリ、バキリ。
霧の中に、破壊音が響く。悲鳴を掻き消すかのような、無骨な音が響く。
やがて、霧を掻き退けるように、赤いローザミスティカの輝きが現れて――
一瞬のうちに濃密な霧が消滅し、小さな音を立てて核金が落下して。
穏やかな風が草原を吹き渡り、さわさわと心地よい音を立てる。
青空の下、首の無い人形が静かに崩れ落ち、それっきり、動かなくなる。
――後には、ただ沈黙。
* * *
孤独――
それこそが、幼きローゼンメイデン第六ドール、雛苺がこの世で最も恐れていたものだった。
そしてもう、彼女は孤独ではない。
これからは、ずっと真紅が一緒。どんなことがあっても、真紅が一緒。
誇り高きローゼンメイデン第五ドール、真紅……の頭を胸に抱き、雛苺は小さく微笑む。
澄み切った青空の下、雛苺は爽やかに微笑む。
「ヒナ、頑張るの。真紅と一緒に、アリスゲーム、頑張って戦って優勝なの。……ね?」
もちろん真紅は答えない。
首だけになったアンティークドールが、命を失った薔薇乙女が、答えられるはずもない。
それでも雛苺は、まるで誰かの声を聞いたかのようにニッコリ笑って頷くと、歩き出した。
大きなバットを引き摺りながら、しっかりした足取りで、歩き出した。
生きることとは、戦うこと。その信念は、ローザミスティカと共に彼女に引き継がれて。
雛苺は、もう孤独ではない――その壊れきった精神の中で、永遠に、真紅と一緒なのだから。
【G−5/シェルター西側の平原/1日目/真昼】
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:真紅のローザミスティカ継承。精神崩壊。見るものの不安を掻き立てる壊れた笑顔。
[服装]:普段通りのベビードール風の衣装。トレードマークの頭の大きなリボンが一部破けている。
[装備]:マジカントバット@MOTHER2、真紅の生首(!)
[道具]:基本支給品一式、ぼうし@ちびまる子ちゃん ツーカー錠x5@ドラえもん
光子朗のノートパソコン@デジモンアドベンチャー、ジュジュのコンパス
[思考]:真紅は、これからずっとヒナと一緒なの。真紅と一緒だから、ヒナも頑張れるの。
第一行動方針:「新ルールのアリスゲーム」(=殺し合いのゲーム)に乗って、優勝を目指す。
基本行動方針:優勝して、「永遠に孤独とは無縁な世界」を作り、真紅を含めた「みんな」と暮らす。
[備考]:
雛苺は真紅のローザミスティカを獲得しました。以後、真紅の持っていた能力を使用できます。
雛苺は自分の支給品をマトモに確認していません。
【真紅@ローゼンメイデン 死亡】
[備考]:
G−5の湖寄りに放置された首のない真紅の残骸のすぐ傍に、
パピヨンマスク@武装練金、核金LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)核鉄状態@武装錬金
が落ちています。
以上。
核金は雛苺には使い方が分からなかったために放置です。説明書も無いですしね。
……どうでもいいですが、身長より長いバットを振り回す薔薇乙女って、怖い絵になりそうだなぁ。
雛我物故我太……
そしてジュジュの託した望みも叶わずか……カワイソス。
これは……
なんというか、怖くて素晴らしい
真紅・翠の子→ティウンティウンティウン
雛→ぶっ壊れた
蒼→大ピンチ(色々と)
金→へたれ
誰かを除いてロクないことがないなローゼン勢……
GJ
怖い……怖いよ……最初の頃の純粋がゆえの怖さだよ雛苺。
真紅も冷酷さが裏目に出たな、まーあんな仕打ちすれば仕方ないさ。
薔薇の花弁と苺轍で上下全体攻撃のマーダーとかテラツヨス。
細かいことだけど、核金じゃなくて核鉄ですよ。
ひ、雛が壊れたー!?
真紅……因果応報とはいえ、無惨な。
……GJ。
なんという雛……間違いなく今のこいつは呪い人形。
でもよくよく考えてみれば、漫画での初出時は水銀燈並みにイカレた子だったっけな……
>>536 水銀燈のことかー!
>>537 あ、素で間違えました。単純な表記ミスなので、wikiにでも収録された後に修正しておきます。
>>539 つまりこれは本来のヒナに戻ったにすぎなかったのだよ!!
ほ、ホラードールの誕生や・・・
うはwwwこれは予想GUYデースwwwww
まさか雛がここまでやれる子だとは思わなんだwwwwwすげぇwwwww
効果音こえええええええ……
あ、容量500KB目前なのでどなたか新スレお願いします。
容量よば。次スレ立てる。
雛苺こわいよ雛苺