ライトノベル・バトルロワイアルSS投下専用スレ

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4プロローグ ◆ecrrU8L2GI
その場にいる全ての者が揃ってから、その場にいる全ての者が目を覚ますのにそう時間はかからなかった。
その空間は極めて奇妙な雰囲気に包まれる。
全ての者には知っている者と知らない者、敵、味方が目に映り。そして出会えるはずの無い人物が目に入る者さえ存在し。
会話があちこちで始まり、あちこちで終わる。一触即発の空気に入る者たちもいるが、この状況を把握できないため即戦闘には移行せず。
白い壁に全方位囲まれた部屋。破壊しようとする者もいるが、壁には傷一つ入らない。

数分程たって、いきなり彼等の前に三人の男女が現れる。
眉目秀麗、だが突出した個性が見あたらない男。
いかにも悪女、といった感じの眼帯をつけた妙齢の三つ目の美女。
そして、繊細そうな容貌の少女。
彼等を知るものは、近くに何か投げるものが無いか探したり、詰め寄って話をしようとする。
だが。男が口にした言葉でそれは中断される。

「皆さんにはこれからちょっと殺し合いをしてもらいます」
5プロローグ ◆ecrrU8L2GI :2006/03/11(土) 20:28:49 ID:JA0Nmr9u
数秒間が空き、制服を着た少女達が意味がわからないというような表情を彼等に向けるのとほぼ同時に、あちらこちらから彼女達が想像でしか見たことの無いような、無から生みだされたかのような炎や衝撃波が。

彼等に向かっていき―――――。

男が、ぶうん、と手を振るうだけで全ては無に帰す。
驚愕の表情が彼等以外の全ての者に張り付く。
男はそれを見て愉しそうに嗤い。

「ああ、いい気分だな。この世には知らないことがたくさんあるって知ってはいたけど、いきなりこんなもん知っちゃたら、どうにもハイになっちゃうよね?ええと、上条当麻君?“これ”はすぐ返すから安心してね。少しポンコツになるかも知れないけど」

そう言って、二の言を繋ぐ前に。
次は制服を着た少女達にもかろうじて理解できる、人殺しの兵器―――銃が、複数彼等に向けられる。向けているのは、ゴーグルをつけた両性的な人物や、顔に傷のある青年。
「おや、それはちょっと困るなぁ。ベルペオルさん、何とかして下さいよ」
ベルペオルと呼ばれた美女は少し不愉快そうに笑う。

BANG!と銃声が鳴り響き、銃弾が相当数、目にも止まらぬ速さで三人に迫る。

迫って――――何も起こらない。見るとあろう事か、美女の身につけた鎖が銃弾を絡め獲っている。

「おお、さすがは【仮装舞踏会】の三柱臣が一人!・・・ま、それは置いといて、ルール説明といこうかな。あーあーシズちゃん、こっち来たら殺しちゃうよ、ん?これじゃ混同しちゃうな、そっちの刀持ってる男の人と」

先程何かを投げつけようとしていた男が向かってくるのを見て、慌てた様子で言う。
しかし男は意に介さず突き進んでくる。
6プロローグ ◆ecrrU8L2GI :2006/03/11(土) 20:29:56 ID:JA0Nmr9u
「・・・・・・予想はしてたけど、難儀だなぁ。首を見てごらん?」
その言葉に全員、無意識に首に手を遣る。

彼等の首には、首輪が填められていた。

「ルール説明。
1.最後の一人になるまで殺しあう。最後の一人は生きてもとの世界に戻れる。
2.首輪は無理に外そうとすると爆発する。また、我々が一定時間毎に指定する禁止エリア内、またはゲームの舞台の外にいると首輪が自動的に爆発する。首輪が爆発すると例外なく死亡。
3.12時間ごとに「放送」を行う。内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去12時間に死んだ者の名前」
 「残りの人数」。
ルール説明終了」

繊細そうな少女が淡々と語る。その外見と話している事の異常さのギャップに、静寂に包まれる白い空間。

「俺の仕事を・・・」
「貴方に任せていると終わりませんから」
などと話している三人に大胆にも話しかけるものが一人。
「おいおい、こりゃあ何の冗談だよ?ヘカテー、ババァ」
煙草をくわえた長身にサングラスの男。
へらへら笑っているが、その目だけは窺えない。
「俺は何も聞いてないぜ?仲間の俺に何も言わずに殺しあえ、はねえだろ。こんなもんまで填めやがって」

ヘカテーと呼ばれた少女は歳相応ににっこり、と笑う。

「うん、貴方は殺しあわなくていいよ、シュドナイ」
サングラスの男が何か言おうとしたが、その前に。
少女の表情が元に戻り―――。
「今死ぬから」 

耳障りな機会音が響く。そして―――爆発。
ごろん、と頭部が転がり、悲鳴が部屋に響く。
赤い髪の少女や、モデル体型の栗色の髪の女性がありえない、というような言葉を発する。
7プロローグ ◆ecrrU8L2GI :2006/03/11(土) 20:31:47 ID:JA0Nmr9u
「あらら、仲間を殺しちゃうなんて怖い連中だねー、俺たち。と、言うわけで、ルールを守れない悪い子はこんな目に合うから、気をつけてね。
あと、武器は全部取り上げるし、非力な一般人のために、支給されるバックのなかにはランダムアイテムが入ってるから、いいのがあたるよう祈るといいよ。それに、生き残った最後の一人には、何でも願いをかなえてくれるっていうから頑張ってね」

それ以上の意見は許されず、参加者達はその場から消え去り、絶望と狂気の世界へ送られる。





それからしばらくして、三人はシュドナイと呼ばれた者の死体に近寄り、少女がなにやら呪文を唱え始める。
すると、首なしの体が急に起き上がり、自分の頭部を拾って首に繋げた。

「あー。ったく貧乏籤引いたぜ。なぁ、ヘカテー?」
「貴方が日頃不真面目だからです。それに、彼等には72人全員、ちゃんとあちらで殺しあってもらわないと困りますから」
そっけなく言うと、少女は他の三人を先導して歩き出す。

【ゲームスタート】