ジャンプキャラ・バトルロワイアル2nd SS投下スレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
142セクシーコマンドー ◆drweteMYW. :2006/04/25(火) 19:36:51 ID:PeRTaLz9
(迂回しましょうか?)
怯えているヒカルが心配だった。
(・・・佐為、起こしてあげようよ。おじいさんを。)
(え!でもそれは・・・。)
(だって危ないだろ、こんな所に寝かせておいたら。)
(それはそうですけど・・・。)
(殺人鬼かもしれないけど違うかも知れない。もし違うならこんな所に寝かせておいたら不味いよ。)
私はヒカルが心の優しい子で嬉しかった。
本当は危険な事をさせたくなかったけど、ヒカルのさせたいようにせさてあげようと思った。
・・・でも、今は本当に後悔している。

私とヒカルは注意しておじいさんに近づいた。
ヒカルは嫌がったが、念の為と支給品のフライパンを握らせておいた。
もしもヒカルに何かあっても私は何も出来ないのだからと言うと、ヒカルもなんとか承知してくれた。
「おじいさん・・・起きなよおじいさん。」
ヒカルが何度か揺するとおじいさんは「キュピーン!」と目を光らせて飛び起きた。
「ワシの朝はいつもケロッグコーンフレークから!」
私もヒカルも腰が抜けるほど驚かされた。
おじいさんはその後も意味の分からない事を呟き続け、私達を困らせた。
私もヒカルも呆然とするばかりで、おじいさんの言動や行動をまったく理解出来なかった。
(・・・ヒカル、おじいさんにここは危険だから、どこか安全な場所で寝るように言ってあげなさい。)
(あ、ああ)
「あのう、おじいさん。こんな所で寝てるのは危ないよ。寝るならもっと安全な所で寝た方がいいよ。」
ヒカルの言葉におじいさんは動きを止めた。
それからヒカルを見て「はうう!!?」と息を呑んだようだった。
143セクシーコマンドー ◆drweteMYW. :2006/04/25(火) 19:39:47 ID:PeRTaLz9
おじいさんが驚いた訳は分からなかったが、もう忠告はしたのだからと私は先を急ぐようにヒカルに言った。
ヒカルは後ろにいる私に耳打ちをする格好で同意をしてくれた。
ヒカルがおじいさんから目を離したのは時間にして1秒か2秒、長くても4秒はかかっていない。
別れの挨拶をしようとヒカルがおじいさんに向き直ると、おじいさんはズボンを脱いでブリーフ姿になっていた。
二人とも呆気に取られた。おじいさんの意図を測りかねた。
そこに隙が生まれたらしい。
「ラヴ・ミー・ドゥー!!!」
おじいさんは何処に隠し持っていたのか、金属バットでヒカルの頭を力一杯殴りつけた。
ヒカルの頭はスイカのように割れ、血があふれ出ていた。
私には見ているしか出来なかった。
おじいさんを止める事も出来なかったし、ヒカルを手当てしてあげる事も出来なかった。
ただヒカルが殴られるのを見ているしかないというのは、あまりに残酷な仕打ちだ。
ヒカルの傷口を押さえられないのが腹立たしくもあり、助けを呼べない事が情けなくもあった。
「お主もセクシーコマンドーを使うようじゃが、まだまだ修行が足りん。武器を持っているのを相手に悟らせてしまうようでは話にならんぞ」
私はおじいさんの言うセクシーコマンドーの意味が分からなかったが、要するに私が念の為に持たせていたフライパンがいけなかったようだった。
おじいさんは不意打ちをかけられるとでも思ったのかもしれない。
そこで先手を打ってヒカルを殴った。
どうやらそういう事のようだった。
私は何て事をしてしまったのだろう。
私が余計な真似をしなければ、ヒカルが殴られる事は無かったかもしれなかった。
それを私は・・・私は・・・。
おじいさんはいつの間にか消えていた。瀕死のヒカルを残して。
(ヒカル!ヒカル!)
何度呼びかけてもヒカルは目を開けなかった。
ヒカルは死んだのだ。
ヒカルが死んだ今、ヒカルに取り憑いていた私も消えるのだろう。
ヒカル、本当にごめんなさい。本当に・・・・・・。
144セクシーコマンドー ◆drweteMYW. :2006/04/25(火) 19:42:07 ID:PeRTaLz9
【C-4/平地/一日目・午前3時前後】

【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】
 [状態]:やや興奮気味
 [装備]:金属バット@BOY
 [道具]:支給品一式、予備弾丸20発 
 [思考]:1、とりあえず色々見て回る


【男子14番 進藤ヒカル@ヒカルの碁 死亡確認】 
【残り 46人】
145セクシーコマンドー ◆drweteMYW. :2006/04/26(水) 00:59:29 ID:y2+SdGGA
>>144を修正

【C-4/平地/一日目・午前3時前後】 

【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】 
 [状態]:やや興奮気味 
 [装備]:金属バット@BOY 
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1、とりあえず色々見て回る 


【男子14番 進藤ヒカル@ヒカルの碁 死亡確認】  
【残り 47人】 
146 ◆drweteMYW. :2006/04/26(水) 01:00:20 ID:y2+SdGGA
>>140は都合により没にします
147武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:26:08 ID:tlUi9sOH
G-5にある集落を過ぎた辺りから、奥村助右衛門は誰かに見られている気がしていた。
それと同時に、明らかな殺気が放たれていることも感じている。それが自分に向けられたものなのは明らかだった。
どうやら監視でもされているらしい。ひどく腹が立った。
用があるなら出て来ればいいし、殺す気があるならさっさと殺ればいいのだ。
もちろん黙って殺されるつもりは無いが、こうもあからさまな殺気を放っておきながら何もせずについてまわられては、さすがに気分は良くない。
「出て来てはどうだ」
試みに言ってみる。
月夜とはいえ視界は不明瞭で相手の姿を確認したわけではなかったが、殺気の放たれる方向から大体の位置はつかめていた。
しかし返事は返って来ず、辺りはしんと静まりかえっている。
5分ほど足を止めて待っていたが、出てくる気配も無い。
それどころか殺気は闇に隠れてしまい、今は見られている嫌な感じもしなくなっていた。
助右衛門は腑に落ちなかったが、いつまでもそうしているわけにもいかず黙って歩き始めた。
148武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:27:11 ID:tlUi9sOH

目的地は港だ。
船からの脱出が可能かどうかを調べるのが目的だった。
助右衛門も開始前の説明で海が禁止区域になっていることは聞いていたが、どうしても自分の眼で確認しておきたかった。
或いはそこに脱出に繋がる鍵があるかもしれないと思っていた。
集落から続くアスファルトの道路を道なりに歩いていく。
助右衛門にとってアスファルトで舗装された道路は珍しく、ただただ驚いた。
歩きながら加賀領内にこれほどの道路がひければ必ず火急の際にも役立つだろうなどと考えている。
「惜しいな、こんな道を造れたら…」
加賀は京よりも発展するだろう。
交通の便が良ければ商人が集まる。商人が集まれば商品を買う者が増える。買う者が増えれば街は潤う。そして戦時には兵站として役に立つ。
家老という藩政に関わる身としては、これほど魅力的なものもそうそう他には無い。
それが助右衛門に「惜しい」とまで言わせた所以だった。
たかがアスファルトの道路ではあるが、助右衛門にとっては価値のあるものに見えていた。
――やがて潮風が助右衛門の鼻をくすぐり、海が近いことを知らせてくれた。
149武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:28:53 ID:tlUi9sOH

港には何艘かの船が引き上げられていた。
どれも帆柱の無い船ばかりで、どう動かすのだろうと気になったのだが、この際細かいことにこだわってはいられなかった。
船として機能するなら何だって良かった。
月明かりを頼りに一艘一艘乗り込んでは丹念に点検していく。
しかし、やはりどの船も助右衛門には複雑すぎる構造になっており、到底一人で動かすことはできそうにない代物だった。
もっとも、風化が激しかったり故意に壊された形跡があったりで、まともに海に浮きそうなものは1台として無い。
助右衛門が動かせる動かせないに関わらず、このままでは船での脱出は困難なようだった。
「まあ当然か…」
敵の退路を断つのが戦術の常套手段であることは、今も昔も変わらないであろう。
恐らく助右衛門のように船を使おうとする者が出てくるのを見越して、主催者側があらかじめ船を壊しておいたのかもしれなかった。
念の入ったことだが、それは充分にありえることであった。
助右衛門も船に大きな期待を掛けていたわけではなかったので、さほど落胆することはなかった。
気を取り直し、すぐに頭を切り替えている。
海からの脱出手段が潰えたとなると、このあとはどうするべきか――。
答えはすぐに出た。
「慶次だな」
とりあえず慶次と合流するのが一番に思われた。
慶次はときに突拍子もないことを思いつく。こっちが見ていてハラハラしてしまうようなことを平気でやってのけてしまう。
それらは決まって危ない橋だったが、慶次は必ず渡り切ってきた。
こういうときに頼りになるのは、やはり慶次のような男なのだろうと助右衛門はつくづく思った。
登っていた船から飛び降りると、肝心の慶次が何処にいるのかわからないことに気付く。
あの男のことだから、たぶん大人しく一ヶ所に留まるようなことはせず、気紛れに歩き回っているのだろうと想像はつく。
もしかしたら派手に暴れていることも考えられた。
騒ぎを大きくするんじゃないぞと、助右衛門は胸の中で慶次に念を押した。
150武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:31:02 ID:tlUi9sOH

そのとき突然、助右衛門は山が動くのを見た。
港の倉庫の横から急に黒い塊が盛り上がったかと思うと、塊はのそのそと立ち上がって山になっていた。
巨大な熊だった。
いや、熊という言葉は適切ではないのかもしれない。
通常の熊の数倍はあろうかという巨体は、すでに熊の大きさではなくなっている。
ゆうに三尺(約10メートル)は超えていそうだった。
助右衛門が咄嗟に思ったように、まさに山のように見上げる大きさだ。
「こ、これは……」
それより先は言葉にならない。
ついさっき感じていたものと同じ殺気を、この超巨大熊から感じていた。
殺気はさっきより大きくなっている。熊が自分を襲おうとしているのは確実だった。
この熊が赤カブトと呼ばれる凶暴な人食い熊だとは、さすがの助右衛門も知る由がなかった。


「バオオオォォォォ!!!!」


赤カブトが凄まじい咆哮を上げる。
鼓膜が破れるのではないかという音量に、助右衛門は思わず手で耳を塞いだ。
それほどの迫力があった。
だが次の瞬間には、赤カブトが眼前にまで迫ろうとしていた。耳に手を当てた一瞬の隙を衝かれたのだ。
反射的に飛び込むように地面を転がらなければ、助右衛門の身体はその時点で八つ裂きにされていたはずである。
赤カブトの凶暴な爪は数瞬前まで助右衛門が立っていた空間を切り裂き、おまけにその後ろに放置されていた漁船の外板をしたたかに引き裂いていた。
助右衛門は転がった反動を利用して別の船の下に潜り込んだ。
寒気がしていた。
赤カブトが見た目通りの化け物なのが今の一撃でよくわかった。
赤カブトがジロリと助右衛門を睨んだ。
ちょうどその頃すぐ近くで女の悲鳴が上がるのを聞いたような気がしたが、今の助右衛門にはそんなことを気にかける余裕は無い。
赤カブトが助右衛門が潜り込んでいる船に向けて突進を開始していた。
猛スピードで突っ込んでくる。
あの巨体でどうしてそんなに俊敏な動きができるのだろうと関心してしまうほど、猛烈なスピードだった。
151武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:33:18 ID:tlUi9sOH
大地震でも起こったような衝撃がしたかと思うと、漁船は破片をばら撒きながら後方に吹き飛んでいた。
助右衛門は小さくなっていたから一緒に吹き飛ばされこそしなかったものの、あんな突進をまともに喰らえば即死は免れないと戦慄が走る。
船よりも軽い助右衛門の身体なら、更に遠くに飛ばされて全身の骨を折っているはずだった。
呆然と船の行方を眼で追っていたが、すぐに我に返らされた。
赤カブトの生暖かくて荒い鼻息が首筋にかかっていた。
驚いて振り向くと、赤カブトの隻眼が覗き込めた。それほど助右衛門と赤カブトの間は接近していた。
助右衛門は逃げようとするが、赤カブトの動きの方が早い。
巨大な牙が生え揃った口で助右衛門の腕を咥えるやいなや、そのまま思い切り助右衛門の身体を引き摺り回した。
激烈な痛みが全身に走り、助右衛門は声にならない悲鳴を上げる。
それにも構わず、赤カブトはまるでオモチャで遊ぶように助右衛門の身体を振り回している。
ブチブチと筋の切れる音が身体の中でし、次いで骨の砕けてゆく音がした。
赤カブトの鋭利な牙と強靭な顎の力に、振り回す遠心力が加わる。助右衛門の腕が引き千切られるまでにそう時間はかからなかった。
ブツリとはっきり音が鳴った。
助右衛門の身体が遠く高く宙に舞い上がった。
落下とともにしたたかに全身を強打し、一瞬意識を失いかけた。
だが食い千切られた腕の痛みがそうはさせてくれず、助右衛門は歯を食いしばりながら痛みに耐えてなんとか起き上がる。
そのまま腕を押さえながらよろよろと走った。
その横で、赤カブトは口に残った助右衛門の腕を美味そうに租借し、嚥下している。
しかし異常なほど肥大した身体にはそれだけでは満足できない様子だった。
フンフンと鼻を鳴らし、すぐに助右衛門を追っていく。
152武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:35:46 ID:tlUi9sOH

助右衛門はというと、倉庫に逃げ込んでいた。
そこは漁の収穫である魚を卸したり仕分けしたりに使ってでもいたのだろう。とにかく広い。
発泡スチロールの箱やら木枠が詰まれてあったり、運搬に使うフォークリフトも数台止めてあった。奥には漁具なども保管されているらしい。
多少生臭いのが難点だったが、身を隠すには申し分無い場所だった。
もっとも、月明かりも届かない屋内のことだから完全な闇が広がっている。
助右衛門にそれらの様子が確認できるはずもない。
手探り状態でやっとの思いで木枠の影に身を潜めた。

「フゥ…フゥ…フゥ……」

出血のひどいことは傷口が見えなくてもわかる。これ以上の出血は命に関わるだろう。
衣服を裂き、片手で不便そうに傷口に巻きつける。何重か巻くと腕の付け根をきつく縛った。
そのうちに、赤カブトが巨体を震わせて倉庫内に侵入したのが気配でわかった。
助右衛門は気力を振り絞って赤カブトの攻撃に備える。
しかし勝算が極めて薄いのは自明の理だ。
勝つどころか、このままではこの場を切り抜けることすら困難に思われた。
何かしなければ、何とかしなければ、熊の餌になってしまう。
助右衛門は途方にくれた。

次第に眼が闇に慣れてくる。
灯りの下と同じとはいかないが、物の影形くらいは見えた。
赤カブトのシルエットは離れたところにくっきり浮かんでいたし、倉庫内の様子もなんとなくつかめる。
するとあることに気付いた。
倉庫の出入り口が表のシャッター以外には見当たらないのだ。
もっとしっかり探せば他にいくつもあるのだろうが、少なくとも赤カブトの巨体が出入り可能な入り口は、大きく口を開けたシャッターしか無い。
(これは使えるかもしれない)
ふと、閃くものがあった。
赤カブトを閉じ込めてしまおうと思った。
153武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:38:39 ID:tlUi9sOH
デイパックをあさり、支給品を掴み出す。
『催涙スプレー』
目潰しになると説明書に書いてあったのを思い出していた。
威力は無いだろうがそれで充分だった。
いつでも使えるように残った手に持つと、助右衛門は音を立てないようそっと立ち上がった。
足元が危なげにフラつく。
すでに血が流れ過ぎていた。早くきちんとした手当てをしなければ死は明白だった。
助右衛門は腹を決めた。

デイパックを反対方向に思い切り蹴飛ばしてから、開いているシャッターに向けて懸命に走った。
赤カブトはデイパックの落ちた音に気を取られて反応が一拍遅れた。
助右衛門の行動に気付いて追いかけるが、僅かに差があった。助右衛門の方が早い。
先に入り口にたどり着いたのは助右衛門だった。
だがシャッターを閉めない限り、助右衛門は赤カブトに追いつかれるだろう。そうなれば生きる見込みは無いに等しい。
助右衛門はシャッターをどうにか閉めようと焦る。
しかし手動で下ろすにはシャッターの位置が高すぎた。手が届かない。
赤カブトはすぐそこに迫っていた。

催涙スプレーの効果は覿面だった。
眼と鼻に大量にスプレーを噴射された赤カブトは、悲鳴に近い唸りを上げてのた打ち回っている。
よほど眼に染みるらしく、大きな前脚でしきりに眼を擦る仕草をしていた。
巨大な熊の滑稽な姿はなんとも可笑しい。
助右衛門はザマアミロと皮肉交じりに赤カブトを馬鹿にしてやった。
それにしても赤カブトの巨体に対し、催涙スプレーがこれほど効果があると思ってもいなかった。嬉しい誤算だ。
この隙にシャッターを下ろしてしまえば逃げ切ることができる。一瞬そう考えたほどだった。
しかし運命とはときに悪戯をする。
誤算は他にもあったのだ。それは嬉しくない誤算である。
154武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:42:31 ID:tlUi9sOH

赤カブトがあまりの痛みに暴れだした。
眼を擦りながら激しくのた打ち回り、怒り狂ってほとんど滅茶苦茶に前脚を振り回した。
運悪く、助右衛門の身体はその延長線上にあった。
腕を食い千切られた状態では身体は自由に動かない。ましてや残った力を振り絞って全速力で走ったばかりだった。
助右衛門にその偶然の攻撃が避けられるわけがなかった。赤カブトの爪に引っ掛けられていた。
一本一本が鉈のような重い切れ味を持つ爪は、例え引っ掛けた程度でも人間の肉を削ぎ落とす恐ろしい力を秘めている。
凶悪な爪は助右衛門の胸から腹にかけて深い裂傷を刻んでいた。
「ぐうっ…………!?」
最初は何も感じなかったが、次第に燃えるような痛みに変わっていった。
傷口から全身の力が抜けていく脱力感に襲われる。
覚束ない足取りで何歩か後退したあと、助右衛門は仰向け様に倒れていた。

(これは死んだな)

満天の星空を見上げてそう思ったが、どうということもなかった。
慶次ほど徹底した『いくさ人』ではないにしろ、助右衛門も立派な『いくさ人』なのだ。
常日頃から死んでいるのである。今更死ぬのが怖いということもなかった。
だからこそ実際の死を前にして冷静でいられるということもあったが、それより何より全力を出し切ったという達成感の如きものがあった。
自分の何倍もの大きさの熊を相手にして一歩も引かなかったことが誇らしくもあった。
まして黙って殺られるだけでなく、一矢報いることもできた。
前田家の重鎮・奥村助右衛門としては早い死だが、いくさ人・奥村助右衛門としてなら充分満足のいく死に方だと思った。

(いくさ場で死ねるとは俺も運が良い)

本望だった。
あとは喰うなり何なり好きにしろと言いたかったが、さすがに声は出なかった。
避けた肉から流れ出た血が、声を出す力さえ奪い去っていた。

その頃になって、ようやく赤カブトが催涙スプレーの痛みから復活してのそのそと助右衛門のところにやって来た。
よほど怒っている様子で、剥き出した牙の間から低く地を這うような唸り声が洩れている。
助右衛門の顔に涎が垂れた。赤カブトが大きな口を開けていた。
(慶次…すまんが先に逝くぞ)
155武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:45:03 ID:tlUi9sOH


ドォオォォォン!!!


銃声が上がったのは、まさにその時だった。

オラオラァ!失せろ熊公!!」

誰かがそう叫ぶのを助右衛門は耳にした。


ドォオォォォン!!!


また銃声が上がる。
助右衛門にはその音と硝煙の臭いを嗅いだ赤カブトの顔色が、確かに変わったように見えた。
熊の顔色が変わるというのも変な話だが、ギョッとした表情をしたと思うと、赤カブトは助右衛門を残して飛び退いていた。
そのまま数十メートルほど後退りをし、そして一度立ち止まった。

「バオオオオオォォォォ!!!!」

怒りに満ち満ちた様子で吠えた。
悔しそうに隻眼で助右衛門達を睨みつけていたが、やがて赤カブトは何処かへ消えていった。
銃の恐ろしさを身に染みて知っているようだった。

「おい、大丈夫か!」
銃を撃った男が赤カブトが消えるのを見届けてから助右衛門に駆け寄った。
「…………!?」
しかし、とても大丈夫ではないことは一目でわかったらしく、男は声も上げられないほど驚いていた。
「……すまぬ、助かったよ……」
助右衛門はわざと男に笑顔を見せて気丈に言った。自分でももう助かることの無いことは理解していた。
男は着ていたブレザーを脱いで助右衛門の胸の傷にそっと当てた。
見る間に青っぽい紺色のブレザーが血を吸って黒く変色していく。それでも男は傷口を押さえた手を緩めようとはしなかった。
「喋るんじゃねえ!血が止まらなくなる」
「……無駄だ……俺は…もうすぐ死ぬ……」
「馬鹿なこと言うなよ!アンタが誰だかは知らねーが、ここでアンタに死なれちゃ寝覚めが悪ぃだろうよ!!」
男の必死の励ましも、助右衛門はだんだんと聞き取れなくなってきた。
156いくさ人の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:47:22 ID:tlUi9sOH
視界が急に狭まってきて暗くなってくる。
それは夜の暗さではなかった。死の暗さであった。
助右衛門は死ぬ前に男に伝えたいことがあった。
「頼まれて…くれるか……?」
「遺言なんてゴメンだぜ」
男も助右衛門の意図に気付いていた。
「そんな上等なものではないさ……。ただ慶次に……前田慶次に…助右衛門はいくさ場で果てたと……悔いは無いとだけ……伝えて…くれ……」
「自分で言えよ。アンタはまだ死にはしない」
助右衛門の眼を見つめ、男は真剣な眼差しで言う。
悪い奴じゃないなと助右衛門はぼんやりと思った。
「……あの熊に気をつけろよ……あれは化け物だ……」
「ああ、わかってる」
男が深く頷いた。
助右衛門はそれで満足した。言いたいことは全部言った。
もう眼を開けていることさえ辛かった。
静かに眼を閉じると、最後に一言だけポツリと呟いた。
「……慶次……最後まで…傾き……と……お……せ――――」
助右衛門はそこで事切れた。
「おい…起きろよおい!死んでんじゃねぇよオイッ!!」
男がいくら呼び続けても、助右衛門が二度と眼を開けることは無かった。
その死に顔は晴々としていて満足そうだった。
157武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:49:19 ID:tlUi9sOH


助右衛門の亡骸を背負うと、一条誠は歩き出した。
ここに助右衛門を置き去りにしてしまったら、いつまた赤カブトが戻ってくるかもしれない。
見ず知らずの人間だが、その死を看取った以上、死体が食い荒らされるのは我慢ならなかった。
何処かに埋葬してやらなければならないと思った。

それにしても、改めてこのゲームの異常性を感じずにはいられなかった。
赤カブトの巨体は『ミリオン』のナンバー5をはるかに凌ぐ大きさだった。
どう考えても、あんな超巨大熊がこの小さな島に自然生息していたとは考えられない。
体育館での説明のときにも居なかったことを考えると、あとから連れて来られたこのゲームのゲストのようなものかもしれなかった。
「何考えてやがるんだ一体……」
主催者達の意図がまるでわからなかった。
わかっていることは、既に死人が出ているということと、殺らなきゃこっちが殺られるということ。
それに主催者達は想像を絶するほどに卑劣で、同時に恐ろしい存在だということだけだった。
先が思いやられた。
果たして生き残ることができるのであろうか……。
自信は全くといっていいほど無かった。
「……やれやれ、それにしても嫌な役を任せられたもんだ」
さしずめ遺言を伝える使者だった。
助右衛門の死が、一条の肩に重くのしかかっていた。
158武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:50:30 ID:tlUi9sOH
【H-4/港近く/一日目・午前3時前後】

【男子1番 赤カブト@銀牙−流れ星銀−】
 [状態]:怒り狂っている。
 [装備]:無し
 [道具]:無し
 [思考]:1、腹を満たす。
      2、捕食のため移動する。

※赤カブトは獲物を見つけ次第襲う気でいます。

【男子3番 一条誠@BOY】
 [状態]:精神的に少し鬱。
 [装備]:イサカ M37(装弾数2発)
      催涙スプレー
 [道具]:支給品一式(食料は二人分)
      予備弾丸20発
 [思考]:1、助右衛門の埋葬。
      2、晴矢達との合流。
      3、助右衛門の言葉を慶次に伝える。

【男子6番 奥村助右衛門@花の慶次〜雲のかなたに〜 死亡確認】 
【残り 46人】

※一条は助右衛門のデイパックから食料・水を回収済み。
159 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:51:52 ID:tlUi9sOH
>>155を修正。

「 
オラオラァ!失せろ熊公!!」  →「オラオラァ!失せろ熊公!!」 
160死と姦 ◆drwetRDQqY :2006/05/09(火) 23:01:38 ID:3Nk2vqN4
はぁ・・・俺、死んじゃうのかな・・・。
まだ女だって経験してないし、帝拳高校のボスにもなってねえ・・・。
死にたく・・・死にたくねぇよ・・・。

大場浩人は誰と出会うこともなく半泣きになっていた。

───同時刻

ふぅ〜、一人は寂しいな・・・。
瀬戸君に会いたいな〜・・・。瀬戸君じゃなくても誰か優しい人に出会いたいな。

麻生藍子は一人建物の中をさまよっていた。
窓の外はまだ暗く、辺りは静けさがただよっていた。

そんな中、人影を捉えることができたのは奇跡と言えるだろう。

男・・・の子?

誰と確認することなく、消え去っていく影を夢中で追いかけようとした。
孤独の中で人に出会えた喜びに浸っている彼女に、
それが悪人であるなどという思考は全くなかったのだ。

追いかけること数分、影は全く見えなくなってしまった。
それどころか、辺りは木々が並んでおり自分がどこにいるのかもわからなくなってしまった。
「誰か・・・居ませんか・・・?」
恐る恐る声を出す。
返事は来なかった。
161死と姦 ◆drwetRDQqY :2006/05/09(火) 23:02:28 ID:3Nk2vqN4
───数分前

!!!!???
誰か・・・近づいてきてる・・・。
ヒロトは接近してくる人間が誰かわからないため、身を隠すことに決めた。
それがこのゲームにおいて最善、そう考えるに至った。
足音はだんだん近づいてきて、その顔がぼんやりと浮かんでくる。

・・・女?

ヒロトはそれがかよわい女の子・・・それもトビキリ美人な女の子であることを認めた。
しかし、気は許せない。
もしかすると凶悪な武器を所持しているのかもしれなかったからだ。

ひとまず、後をつけることに決めた。

数分後・・・彼女が小声ながら助けを呼ぶのを洩らしたのを聞いた。

こ い つ は ゲ ー ム に 乗 っ て な い

ヒロトは考えていた。
こんな状況だ。いつ死んでもおかしくない状況。
なんて不幸なんだ。
こんな状況なら別にいいじゃないか。
死ぬよりはマシだろ?と。

レ イ プ し た っ て い い じ ゃ な い か

と。
後ろから藍子に接近する。
そしていきなり後ろから彼女を羽交い絞めにした。
「きゃ!」と小さく声を洩らす。
その声がヒロトの本能をくすぐる。
身に着けていた服を破り胸を鷲づかみにする。
あまりにそれは柔らかく、そして官能的だった。
藍子は突然のことに気が動転して固まったままだった。
しかし、ヒロトの手が自分の大事な部分に伸びてきて、我を取り戻した。
「いやあぁぁぁぁぁぁ!!やめてください!!!!!!!」
かなり大きな声だった。
「な!やめやがれ!!黙れ!!!」
そういって、数発殴る。
それでも叫ぶことをやめない藍子を黙らせるためにヒロトは首を絞めた。
数分後、彼女は意識を失い・・・そして永遠に目を覚ますことはなくなってしまった。

数十分後、そこにはもうヒロトの姿はなく、虚ろな表情で死んでいる藍子しかいなかった。
その藍子の顔には死に化粧のようにヒロトの精液がかかっていた。
162名無しさん@お腹いっぱい。:2006/05/10(水) 00:19:52 ID:QnkBEuQX
>>160-161は無効です
163Yesterday Once More ◆SzP3LHozsw :2006/05/10(水) 01:45:54 ID:Miy8JDin
ガラス玉みたいに輝きを失った瞳からは、もう涙が溢れることはなかった。
涙も心もすっかりカラッポになってしまったようだった。
大きな喪失感と虚無感――。
その二つだけが赤木晴子の胸を占めている。
抜け殻となった晴子が今できることは、16年間のうちに経験してきた兄との思い出に浸るだけ。

小さい頃から遅くまでバスケをしていたお兄ちゃん。
私にレイアップを教えてくれたお兄ちゃん。
桜木君のことを伝えると筋トレをしながら全国の夢を語ったお兄ちゃん。

そのどれもが昨日のことのように鮮明に思い起こされる。
赤木剛憲は晴子のどの思い出でも逞しくて頼りになる存在だった。
しかし、その楽しかった昨日は二度と戻らない。
遅くまで練習に取り込む姿も、桜木に熱く指導する姿も、全国の夢を涙ながらに語る姿も、もう見ることができないのだ。
大好きだったお兄ちゃんは死んでしまったのだから。

晴子は膝を抱えてその間に顔を埋めた。
疲れていた。何も考えられないほどに疲れていた。
空気の抜けてしまった風船のように、晴子もまた萎んでしまっていた。
晴子の望むのはただ一つ、もう一度昨日に帰りたいということだけだった。


【A-5/森/一日目・午前午前2時前後】 

【女子1番 赤木晴子@SLAM DUNK】 
 [状態]:精神的に不安定
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式(※ランダムアイテムは未確認)
 [思考]:1、何も考えられない
164不吉な臭い漂う世界 ◆HNsUG9iVfs :2006/05/14(日) 22:27:22 ID:lN3BPJ0c
ぶほぁ!!!
「さーてどうっすかな。この状況・・・嫌な臭いがプンプンするぜ」ぶほぁ!!!
・・・
・・・・・
「くっせえええぇぇぇぇぇぇぇ!!時間差で臭いがきやがった!!!うげえぇぇぇぇぇぇ!」
自らの屁で悶え苦しむ男
一見ただのアホに見えるこの男はかつてこのバトルロワイアルに勝るとも劣らない忍空戦争を生き抜いた歴戦の勇である。
ぶほぁ!!!!!「くっせえええええぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇ」
・・・威厳はないが。

「ゲームに参加する気はない・・・が、この首輪はやっかいだな。
さすがに、変わり身の術でもこの距離じゃ避けるのは不可能だな。
それに現状でもっとやべえのは、忍空の忍の術が上手く使えねえことだな」

忍空とは忍びの術と空手の技を複合させた格闘技術。
そのうちの忍びの術、橙次ならば地龍の穴を突いて放つ術がに制限がかかっているようだった。

「まぁ、相手が忍空使いじゃねえ限り、こんな状態でもこの橙次様が負けるわけねえけどな。がーはっはっはっは」

豪快に笑う、ふんどし男はその身を隠すことなく道を進む。
誰にも彼の邪魔はできない。
その笑いの下にはあの体育館で起きた事件に心底怒りを持っている鬼が潜んでいるのだから。
ぶほぁ!!!!!!
「くっせえぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ」
・・・・・多分。
165不吉な臭い漂う世界 ◆HNsUG9iVfs :2006/05/14(日) 22:27:59 ID:lN3BPJ0c
「ちょっとまたなのおぉぉぉ!!」
前方50メートルにいる男を静かに尾行する者がいた。
彼女は橙次の隠しきれない殺気のようなものを素人ながらに感じ、近づくこともできずとりあえず後をつけようという結果に至った者であった。

ぶほぁ!!
「ちょっと・・・またなのおぉぉぉぉぉ!」
彼女の尾行に対する執念が強いのか、それとも屁の臭いのほうが強いのか・・・。
ゲームは彼の屁以上にきな臭く進行していく。
166不吉な臭い漂う世界 ◆HNsUG9iVfs :2006/05/14(日) 22:56:04 ID:lN3BPJ0c
【男子36番 巳忍の橙次@忍空】
 [状態]:臭さのため頭痛
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式(※ランダムアイテムは未確認)
 [思考]:1、とりあえず誰かと出会いたい

【女子4番 磯崎泉@I's】
 [状態]:臭さのため頭痛
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式(※ランダムアイテムは未確認)
 [思考]:1、とりあえず目の前の男を尾行
167名無しさん@お腹いっぱい。:2006/05/14(日) 23:06:19 ID:hgTDCc4x
>>164-166は無効です
168リング ◆7euNFXayzo :2006/05/15(月) 03:08:24 ID:gJQJmpvh
 ――波の音が聞こえる。
 三井寿が目を覚ましたとき、最初に思ったことがそれだった。覚醒したての思考回路へ、次々と情報が飛び込んでくる。
 目を開いたにも関わらず、視界は薄暗がりに覆われている。頬に触れる何かは冷たく、平坦ではない。砂のような――外、だろうか。
「……んだ、これ……」
 多少なりとも眠りが深かったのだろうか、指一本動かすのにもそれなりの苦労を強いられる。
 ようやく身体全体が自由になって立ち上がることが出来た頃には、視力の方も回復し始めていた。
 掠れた景色には一面、無骨な岩山が広がっていた。高低差はそれ程でもなく、山の上という訳ではないらしい。
 暗闇のせいで遠くまで見渡すことは叶わないが、高所特有の息苦しさも感じない事から、多分そうだろう。
 ――波の音が聞こえる。
「……?」
 そうだった。何よりもまず、山の中で波打つ音など聞こえる筈がない。山を流れる小川のせせらぎなど微々たるものだし、
 滝の水が流れ落ちる音だとするには逆にそれは迫力に欠けていた。
 ならば、波の音と岩肌を繋ぎ止める状況と言えば――
 一つの予感が頭を過ぎり、まだ確認していなかった背後の風景を確かめようとしたその時――足元が、がらりと崩れた。
「――は?」
 踵に触れる地面が消失して、後方へとバランスを崩しかけた体を、振り子の要領で前へと動かした上半身の勢いだけで巻き戻す。
 ついでに一歩、足を進めておくことも忘れない。
 岩と岩がぶつかり合って跳ねる音がして、その音はすぐに波に飲まれ、消えた。
 ――予感的中だ。
 三井が立っていたのは断崖絶壁の、それも本当に端の部分だったのだ。
 目を覚ますのがもう少し遅かったら、三井は現状を一切把握出来ないまま、突き出た岩々にその身を打たれ、海の藻屑となっていただろう。
 こんな場所に寝かしつけておくなど、主催者の連中は何て趣味の悪い――
 ――主催者。
 その記憶が、決定打となった。
 堰を切ったように記憶が蘇る。見知らぬ人間が大勢集められた体育館、戸惑った顔の知己の少女、照らされた頭上のライト、武装した兵士、
 いつもと変わらないのんびりとした調子で現れた白髪の老人、その背後からやってきた髭面の中年、
 ――「君達には殺し合いをしてもらいます」 ――
「……マジって、ことかよ」
 はっきりとした現実を認めた途端、心臓が暴れるように激しく鳴り出した。
 この異常な状況は、嘘偽りではない。自分達は、殺し合いをさせられるのだ、間違いなく――
169リング ◆7euNFXayzo :2006/05/15(月) 03:10:17 ID:gJQJmpvh
 思わずよろめいた足が、柔らかな何かを蹴った。
 ゆっくりと下げた視線の先にあるのは、横倒しになっている物体。
 ――デイパック。
『デイパックの中には数食分の食料・水、それに参加者の名簿・筆記用具・地図・コンパスが入っており、
 他にランダムで得物となるものも入っている』
 獲物となるものも――
 獲物。この場合に獲物という言葉が指すものと言えば、一つしかない。
 殺し合うということは、人の命を奪うということだ。命を奪うために、必要になるものとは何か。
 ――"武器"だ。
 三井はデイパックの前に屈み込むと、倒れていたデイパックの底を地面へと置き直し、ジッパーを開いた。
 当然だが、こんな殺し合いに乗る気など更々ない。しかし、同じように武器を渡された人間が存在しているだろうということを考えると、
 自衛のためにもそれは必要不可欠となる。不良をやっていた割には情けない話だが、自分は腕力の方には然程自信がないので。
 だが、金属同士の擦れ合う音が耳へと届いて、明らかになったその中身は、おおよそ"武器"とは程遠い代物だった。
 三井が取り上げたものは、手にしたばかりにも関わらず、余りにも馴染みすぎるオレンジ色の球体。
 言うまでもなくそれは、バスケをする者にとって相棒にも等しい親近感を持った、バスケットボール以外の何物でもなかった。
「……くそったれ」
 大した冗談だ、そう思った。生き残ればまたバスケが出来るとでも言いたいのだろうか? 皮肉としても質が悪過ぎる。
 まず、生き残るための唯一の"武器"というのがバスケットボールでは話にならない。顔面にでも投げつけてやるか? 馬鹿な。
 武器というのは普通、拳銃だの刃物だの、最低でも"そういう用途"を持っているもののことを言うのだろう。
 ボールを投げて人が殺せるのなら、ボールなど必要はない。
 それだけの腕力を持っているのならば、普通に殴りかかる。でなければ石でも使った方がずっと合理的だ。
 何よりボールは、バスケをするための物だ。
 バスケをするための――
「……」
 ――バスケ、か。
 自嘲気味な笑いが漏れるのを、抑えられなかった。
 生きるか死ぬかの瀬戸際で考えることが、バスケットボール。暢気にも程があるのではないか。
 しかし、暢気にでもならなければどうにもならない事も確かだった。はっきり言って、これで自分が生き残れる可能性は0だ。
 多少の自棄は許して欲しい、そう思う。


 ――そうだな。とことん暢気に行くって言うんなら――



「――してみるか、バスケ」


 実際に声に出してみると、何故だか身体が軽くなった気がした。
170リング ◆7euNFXayzo :2006/05/15(月) 03:17:59 ID:gJQJmpvh
 屈んでいた身体を上げて、天を仰いだ。その手には、当たり前のように収まっている、バスケットボール。
 視線の先にある青白い円をゴールに見立てて、三井はシュートの体制に入った。
 膝を軽く落とし、ボールを眼前へと掲げる。左手は添え、右手は月の――ゴールの正面。
 静寂の中で瞳を閉じてみると、慣れ親しんだ光景が、今も変わらず目の前に広がっているような感覚に陥る。
 熱気に包まれた体育館。敵味方入り乱れて駆け回るコートの中には、無数の騒々しい足音が広がっている。
 三井のいる場所は、他の連中が凌ぎを削り合っているゴール下から、少し離れたラインの外。
 それでも対戦相手は、三井に対して必死に食い下がってくる。
 ――どんな奴も、オレの恐ろしさを知ってるからな。
 自然と笑みが毀れる。ボールが渡ってしまえば、後はこちらの思うがままだ。
 どれだけ執拗なディフェンスを受けても、自分は常にその上からシュートを放ち、ネットを揺らしてきた。今度も同じことだ。
 観客席から、力強い声で自分の渾名を呼ぶ声がする。
 視線を向ける余裕まではないが、今日も変わらずこっ恥ずかしいあの応援旗を振り乱しているのだろう。律儀な奴。
 ――ま、軽く決めてやるからよ。
 ボールが手から離れる寸前、視界の端に違和感があった。
 ゴール下での激しいポジション争い――おいおい、そんなマジにならなくたってオレは外さねえよ、桜木は特にはりきり過ぎだ――の中。
 一人外れて、立ち尽くしている背中があった。
 赤いユニフォームに刻まれた、背番号は、4。
 ――は?
 何やってんだお前、試合中にボーッと突っ立ってやる気あんのかよ? 桜木が同じことやりゃあ速攻バカタレがっつって殴る癖によ。
 おいしっかりしろよ。オレ今からシュート撃つぞ。リバウンド入れよ、いつもみてえに他の奴らと身体張り合って、どしっと構えてろよ、なあ――



















 長身の背中が、こちらを向いた。

 その顔面は、彼が着ているユニフォームと同様赤く染まりきっていて、もはや顔面と呼べる形を止めておらず、それを意識が認識した途端、
 彼の身体はユニフォームに覆われていない肌色の部分も含めて、何もかも"赤"に侵されていき、上半身が、下半身が、
 腕が足が首が何もかもがブチ切れてバラバラになって床へと落ちていって――


「――赤――」


 一直線にゴールを向いていたはずの手首が、その時、ブレた。

 弧を描いて宙へと羽ばたいたボールは、僅かに軌道を変えて、リングに何の抵抗もなく弾かれた。

 その音は、呆然とした三井の耳へと空しく響いて、本当にとても、救いようのない、音が――


「……うああああああああああああああっ!!」


 跳ね返ったボールの行方を知ることもなく、その景色は、途切れた。
171リング ◆7euNFXayzo :2006/05/15(月) 03:21:51 ID:gJQJmpvh
 目を開いたとき、三井の掌には何の感触もなかった。
 フォロースルー――シュートを放った直後の体勢のまま固まっていた腕を下ろして、ぼんやりと、荒れ果てた地面を見渡す。
 ボールは視線の遥か先、一際天へと突き出している岩肌の前で転がっていた。
 尖った地面を何度か跳ねたせいだろうか、ボールの表面は薄く削れている部分が見受けられて、打ち捨てられたような姿になっていた。
 実際、三井が拾おうとしない限り、このボールは捨てられたようなものだ。
 ここはバスケットのコートではない。殺し合いをする場所なのだ。持ち主のいなくなったボールを躍起になって追いかける者など、誰もいない。
 そして、それを認めようとしなかった一人のバスケットマンは、もう二度と、リバウンドもダンクもブロックも出来ない身体にされてしまった――
「……」
 気が付いたら、足を前へと動かしていた。
 必要のない、傷付いたボールを手にするために、三井は一歩ずつ、それに近付いていく。
 そして、拾い上げた。
 滑らかな球体は完全ではなくなってしまったけれど、やはりそれは、いつも三井の手の中に存在したバスケットボールそのものだった。
 ――やっぱ、忘れらんねえよな、こればっかは。
 置いていたデイパックの下へと戻って、ボールを仕舞い直す。
 何かの役に立つことなど、期待はしていない。実際、このゲームが続いている間に、このボールをもう一度取り出すことなどないだろうと思う。
 それでも三井は、手放すことが出来なかった。
 赤木は死んだ。湘北のレギュラー5人がコートに揃うことは、永久にない。桜木とも、出会えないかもしれない。
 だから今は、このボールだけが、自分とあの日々を繋ぐ唯一の存在だ。
 仲間がいて、競い合う相手がいて、熱意があって、声援があって、コートがあって、リングがあって、ネットがあった。
 もう一度、あの音が聞きたかった。腕を振り上げる力を、底を尽いた気力でさえも奮い立たせる、放ったシュートが鳴らす響きを。
 このボールは、言わば、そこへと帰るための切符代わりだ。
 ジッパーを閉じ、デイパックをひょいと右肩に担ぎ上げると、三井は歩き出した。
 ――まずは桜木とハルコちゃんを探そう。桜木のバカは放っといたら、ゲームに乗った連中でも無闇やたらに突っ込みかねねえ。
 アイツがケンカ強えのは充分に分かってるが、それでも相手が銃とか持ってたら話は別だ。
 腕っぷしだけでどうにかなるほど、このゲームは甘くねえ。
 もっとヤバいのは、ハルコちゃんだ。赤木のやつが死んだのを、本当に間近で見ちまった。
 おまけに今度は、目が覚めたら暗闇ん中に一人ぼっちだ。
 名簿の中にある名前は、知らねえ奴のがほとんどだった。もしその中に乗り気のやつがいて、ハルコちゃんがそいつと出会っちまったら――
 頭の中で浮かび上がった最悪の事態を、三井は首を振って掻き消した。
 ――兄妹揃って、そんな悲惨な終わり方にしてたまるかよ。
 ――オレが、やらなきゃ。
 頼れる相手は何処にもいない。尊敬の念を抱いていた恩師は、今や自分達を死へと追いやる悪意の塊と化した。
 引き摺られる訳には、いかない。
 ――諦めたら、そこで試合終了ですよ、か。本当その通りですよ、安西先生。
 言葉の主が狂気に取り込まれた今も、その言葉だけは三井の中で揺れ動くことはなかった。
 かつて、三井を立ち上がらせた言葉。
 今も、三井を立ち上がらせる言葉。
 ――だからオレは、生きることを諦めねえ。オレであることを、3Pシューター・三井寿であることを諦めねえ。
 人生最後のシュートがリングに弾かれて終わりなんざ、認めてたまるかよ。
 乾ききった岩場を行き、足元に最低限の気を払いつつ、鈍い輝きを放つ満月に視線を送る。
 ――今度は、外さねえぞ。
 月を眺めているうちに感傷的な気分になってきて、三井は声には出さず、願った。いつかと似たような言葉を、別の相手へと向けて。
 ――神様……ってやつが仮にいるとしてだ。ホトケ様でも、この際構いやしねえ。俺の言うことなんか知ったこっちゃないかもしれねえけどよ。
 有り得ない話を、一つ聞いてくれ。もしもこの世に、奇跡でも救いの手でも何でもいい。こんな俺を哀れに思って、何かしてくれるんなら――
 いつか何処かで、また、皆一緒に。

 ――バスケが、したいです。

【A-1/崖周辺/一日目・午前2時前後】
【男子12番 三井寿@SLAM DUNK】

 [状態]:健康
 [装備]:バスケットボール@SLAM DUNK
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1、花道、晴子を探す
2、生き残って、バスケのある日常へと帰る
172『Repeater』 ◆nmG2A5a9kM :2006/05/19(金) 18:31:58 ID:zErRPSk5
「それにしても……まさか、またワシがこのゲームに参加する羽目になるとはのう」
ヒカルを殴り殺した末、アテもなく歩いていたさかきばらが溜息交じりに漏らす。

――あれはどれくらい前のことだったか、正確な年数まで覚えていない。
確かセクシーコマンドーフェスティバル第15回大会の直後のことだったから、昭和30年に起きた出来事になるのか。もう数十年も昔の話だ。
あの時もまた、今回と同じように参加者として立っていた。
今回と同様、性別、人種問わず様々な参加者が無作為に選ばれ、そして戦わされた。
誰がどんな目的でこんな事をさせているのか、そこまでは知らない。
分かっているのは参加させられた参加者のうち、無事に生きて帰れるのは一人だけということだ。そう、数十年前の自分のように……。

「さて、はりきって行くかのう」
遠い昔を思い出すと、さかきばらは年甲斐もなくはしゃいだ。

【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】 
 [状態]:やや興奮気味 
 [装備]:金属バット@BOY 
 [道具]:支給品一式 
 [思考]:1、優勝する
     2、とりあえず色々見て回る 
173 ◆nmG2A5a9kM :2006/05/19(金) 18:37:46 ID:zErRPSk5
>>172の状態表に

【C-4/平地/一日目・午前3時前後】

も追加です
すいません
174髭が結んだキズナ:2006/05/22(月) 14:14:44 ID:BDwr4Y5J
 夜の闇に浮かぶ月――――それはこれから島で起こる数々の物語を嘲笑うかのような、妖しい輝きを放っている。
 澄んだ空気が、月の美しさを妖しいだけでなく、より幻想的な雰囲気に仕立て上げていた。

 月光に照らし出された巨大な影が一つ。誰に憚る事もなく、商店街を悠然と往く。
 その姿は堂々としていて自信に満ちている。幾多の実戦経験に裏打ちされた揺るぎない自信だ。
「隠れていても無駄だ。出て来い」
 この男、盲目だが周囲の様子を目が見えているのと同じように感じ取る事が出来る。
 だから建物の陰から少女が顔を覗かせている事も、先刻承知済みだった。
 少女が驚き身を引っ込める。相手が裏の世界のスイーパーとも知らず、それで隠れたつもりになっているようだ。無論、男にそんな子供騙しが通用するはずも無いのだが。
 男は少女の隠れる建物の陰まで行くと、少女の首根っこを押さえ、引きずり出した。
「無駄だと言ってるだろ。何故、俺の後を付回す?」
「ご…ごめんなさい…………」
「理由を言え、事と次第によっては容赦せん」
 完全に萎縮した少女に、男は畳み掛ける。
 男の顔はただでさえ厳つい。それが脅迫まがいの訊ね方をした時、誰だろうと逆らえないはずだった。少女もまた然り。
「ひ…………が…………だったから…………」
「ハッキリ喋るんだ」
 男は特別怒っているわけではなかった。根が不器用で、愛想というものを持ち合わせていないだけだ。
 口調はぞんざいで態度は横柄だが、本当は見た目によらず、とてもシャイでナイーブな心の持ち主なのである。
「ヒゲが素敵でしたから…………」
 少女が控えめに呟いた。
「そんな理由で俺の後を付いてきたのか…………?」
「ヒゲに目がないんです…………。自分でもおかしいと思って直さなきゃと思うんですけど、気付くとヒゲの事ばかり考えていて…………
 …………あのう、すごく素敵なヒゲですよね。少しだけ触ってみてもいいですか?」
 男は見る間に顔を赤らめていく。
 茹で上がったばかりのタコにサングラスと口髭を蓄えさせれば、今の男の顔にそっくりになるはずだ。
「す、少しだけなら…………」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
 少女は嬉々として男の髭に触れた。男はくすぐったさに耐え、少女の要望に応えてやる。
 髭を誉められたのが何だかとても嬉しかった。
175髭が結んだキズナ:2006/05/22(月) 14:17:48 ID:BDwr4Y5J
「お、おい、もういいだろ。放してくれ」
「あ、ごめんなさい」
 男の髭を名残惜しそうに一撫でしてから、少女は手を放した。
「可愛いですね。波平さんみたいで」
「な…………波平…………さん…………?」
「色艶良いし、毎日のお手入れ大変じゃないですか?」
「まあ…………な」
 波平の鼻毛のような髭と一緒にされ軽いショックを受けつつ、男は少女と髭談義に花を咲かせた。
 少女は少し変わっていたが、少女と過ごす時間は男にとって不快ではなかった。

「ごめんなさい、つい話しこんじゃいましたね。私、いつもこうなんです。ヒゲの事になると夢中になっちゃって…………気持ち悪いですよね」
「いや、そんな事は無い。楽しかった」
「本当ですか!?ヒゲ好きを理解してくれるなんてマサル君くらいしかいないと思ってたのに」
 男が特に髭好きという事は無かったが、少女が喜んでいるのに訂正するような無粋な真似はしなかった。
「あら?その肩のもの…………」
 肩に装着した不思議な輪。少女が指差す。
「デイパックに入っていたものだ。俺にはどう扱っていいか解らなかったが、何故か肩に着けている」
「それ、友達の持ち物なんです」
「これは一体どういうものなんだ?」
「さあ…………?詳しくは知りません。たぶん持ち主も…………」
「そうか。まあいい、持ち主がいるなら返してやろう。俺には使い道が無いからな」
 輪を肩から外した。
 すると、男の頭に生えた髪も、黄色く変色したサングラスも、元通りの姿に戻った。
 男は頭を撫でる。つるりとした寂しい感触だ。
 手放すのが惜しい気もしたが、少女に輪を渡した。
「いいんです、いいんです。波平さんが持っていてください」
「友達に返さなくていいのか?」
「それ重くて私じゃ持てないし、波平さんが持ってた方が役に立つと思います」
 そう言われれば無理に返す事も無かった。
 再び輪を肩に装着し、頭のふさふさした感触を男は楽しんだ。
「これからどうする気だ?」
「友達を探します。名簿によればマサル君と校長先生が何処かにいるはずですから」
「武器は何だ?」
「えーと…………碁石です」
 蛤で作られた白石が180個。粘板岩で作られた黒石181個。併せて361個の碁石が少女の支給された武器だ。
 こんな物が戦う為の道具であるはずがない。
176髭が結んだキズナ:2006/05/22(月) 14:22:09 ID:BDwr4Y5J
「…………一緒に来い。一人でうろつくのは危険だからな」
「一緒に行っていいんですか?」
「友達が見つかるまでだ」
「はい!私、北原ともえっていいます」
「俺はファルコンだ」

 頭上で月が二人の行く末を見守る。
 二人に訪れる結末は、ハッピーエンドか、それとも――――――


【E-3/商店街/一日目・午前2時30分前後】 

【男子2番 伊集院隼人@CITY HUNTER】 
 [状態]:髪が生えた 
     サングラスの色が変わった 
 [装備]:マサルのチャームポイント@セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん 
 [道具]:支給品一式 
 [思考]:1、様子を見ながらリョウたちを探してみる
     2、モエモエと一緒に行動

【女子6番 北原ともえ @セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし 
 [道具]:支給品一式、碁石@ヒカルの碁
 [思考]:1、マサルや校長を探す
     2、海坊主について行く
177血の池地獄:2006/05/22(月) 14:25:08 ID:BDwr4Y5J
 “それ”を見た途端、中島は動けなくなった。
 赤い大輪を咲かせた中央に横たわる“それ”――――――紛うこと無き、人間の死体。
 2メートルを越えそうな巨大な死体は銃撃による損傷が激しく、辛うじて人間としての形態は保っているものの胸や腹には無数の穴が開き、そこから夥しい量の血液が溢れ出ていた。
 胴体の無残な銃創のわりに顔には傷が一切無く、顔だけなら一見するとまだ生きているようにも見えそうだった。
 首から下は酷い有様なのに、顔は口から血を流してはいても綺麗なまま――――。その光景は余計に凄惨さを現していた。
「ごぉおええぇぇ…………おええぇぇぇ…………」
 中島は崩れるようにして跪くと胃の内容物を全て吐いた。胃が空になるまで吐き尽くした。
 それでも吐き気は治まる事無く、黄色い胃液まで食道を逆流した。
 中島にはもう何がなんだかわからなくなっていた。頭の中が真っ白になってしまい、碌に頭も働かなかった。
 とにかくここから逃げる事しか思いつかなかった。
 吐瀉を続けている最中にも構わず立ち上がり、死体に背を向けた。
「うう…………うううぅぅ…………」
 恐怖で涙が頬を伝う。長い髪が涙で顔に張り付いた。


【D-4/民家近く/一日目・午前2時30分前後】 

【男子19番 中島淳一@ろくでなしBLUES】 
 [状態]:精神的に大ダメージ 
 [装備]:なし  
 [道具]:支給品一式・ヘルビジョン(10粒)@BOY  
 [思考]:1、死にたくない。 
       2、太尊や千秋を探す。 
       3、身の危険を感じたらヘル・ビジョンを使用する。 
178報酬は白衣の天使の微笑み:2006/05/25(木) 14:46:26 ID:pfDogAoC
 おれは冴馬リョウ、またの名をシティーハンター。その筋じゃあ、ちったあ名の知れたプロのスイーパーだ。
 美女のボディーガードから殺しまで手広く請け負う。つまり、街のゴミどもを始末する清掃人。
 てな訳で、常に危険と背中合わせの毎日だ。
 それにしても、今回はやっかいな事に巻き込まれちまった。
 おれとしたことが目が覚めたら殺しを強要された挙句、再び目が覚めた時には見知らぬ島に放置されていた。
 香の姿も見えないし、冴子も海坊主もミックも見当たらない。
 まったく何がなんだか訳が分からんぜ。一体、これからどうなっちまうんだか…。


 リョウは徐にその“白衣を着た女性”のスカートを捲り上げた。パンツの薄い布地に包まれた白くて形の良い臀部が丸出しになる。
「きゃ!」
 白衣の女性は自分の意思に反して捲くり上がったスカートに驚き、短い悲鳴を漏らすと、スカートを必死に抑えた。
 いくら抑えようともスカートは捲くり上がったままだ。何故ならリョウの大きな手が女性の努力を阻むようにスカートを抑えたままだった。
「わぁお!もっこりヒップちゃん!」
 柔らかそうな双丘に眼を釘付けにして、リョウは歓声を上げる。香が見たら間違い無くハンマーでお仕置きされている場面だ。
「や……やめてください!」
 なんとかリョウの手から逃れると、白衣の女性はリョウをきつく睨んだ。
「なんなんですか、貴方は…………!?」
 見ず知らずの女性のスカートを捲り上げ、観察するなど、セクハラの域を超えている。白衣の女性が憤慨するのも無理はなかった。
 ただ、相手は新宿の種馬の異名を持つ冴馬リョウだ。馬の耳に念仏というやつだった。
「あっれー?怒っちゃったー?そんな怖い顔してないでさーリョウちゃんと遊ぼうよー」
「やめてください!大声出しますよ?」
「いいじゃんいいじゃん、ねー?遊ぼうよー」
 いつまでもしつこく食い下がるリョウに白衣の女性も呆れ顔。その顔は明らかにリョウを軽蔑していた。
179報酬は白衣の天使の微笑み:2006/05/25(木) 14:49:00 ID:pfDogAoC
「私はこんな事してる暇無いんです。早くあの子達を探さなくちゃ…………!」
 白衣の女性は大真面目に言った。
 さすがのリョウもふざけてられないほど、白衣の女性は真剣だった。
「訳ありかい?」
 さっきまでの変態ストーカーが一変、リョウはシリアスモードに切り替わっている。
 こうしていれば、リョウはかなり格好良い。中にはこのギャップの大きさが好きだという女もいるとかいないとか。
 とにかくリョウも悪ふざけを止め真剣になったので、白衣の女性の方も重い口を開いた。
「日々野君達を…………うちの学校の生徒達を探さなくては…………。ごめんなさい、貴方の相手をしてられないんです」
 白衣の女性は丁寧な辞儀をして、生徒達を探しに行こうとした。
「待ってくれ、話を聞こう。おれに話してみてくれないか?」
「貴方に…………ですか…………?」
 疑いの目。まだリョウを信用していなさそうだ。
「なぁに、こう見えてもおれはプロのスイーパーさ。こんな物騒な島を一人でうろつくより、おれのような腕利きと一緒に探した方がずっと安全だと思うがね」
 とか何とか言いながら、リョウの腕はちゃっかり白衣の女性の肩をしっかり抱いている。
 白衣の女性は半信半疑でリョウの横顔を見上げていた。


「ほう…………要するに、春香ちゃんの所の生徒さんは何を仕出かすか分からない問題児って事か。面倒に巻き込まれないうちに、手綱をつけちまおうって訳だな」
「問題児なんて…………!あの子はとても良い子です。ただ少し元気があると言うかお調子者と言うか…………とにかく悪い子ではありません」
 生徒を庇う春香の姿は、リョウに好感を抱かせた。
 春香が心根の優しい娘だという事はそれだけで伝わって来ていた。
「まあ何にしても生徒の身が心配だって事だろ?だったら早いとこ出発しようぜ。もう面倒な事に巻き込まれているかもしれない」
「でも…………いいんですか、冴馬さんも誰か探さなくちゃいけない人がいるんじゃ…………?」
「なぁに心配はいらん。どいつも簡単に死んじまうような奴らじゃないからね。そのうち何処かで会えるさ」
 リョウの言葉は素っ気無い。春香に要らぬ気遣いをさせない配慮だった。
 この純真無垢で優しい心の山ノ上春香を、これ以上不安にさせてしまうのは男が廃るというものだ。
「ありがとう冴馬さん」
 春香が笑いかけてくれた。
「フッ……報酬は前払いで貰っておくよ」
「え?」
 春香は知らなかった。春香の微笑が最高の報酬になった事を――――――
180報酬は白衣の天使の微笑み:2006/05/25(木) 14:50:45 ID:pfDogAoC
【H-2/平野/一日目・午前2時30分前後】

【男子10番 冴馬リョウ@CITY HUNTER】
 [状態]:健康  
 [装備]:特に無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1、あわよくば春香ともっこり
     2、春香を守る
     3、香、冴子、海坊主、ミックを探す

【女子12番 山ノ上春香 @BOY】
 [状態]:健康
 [装備]:特に無し
 [道具]:支給品一式 
 [思考]:1、日々野や一条を探す
     2、リョウについて行く

 二人の支給品は次に作者に任せます
181罪という名の亡霊 ◆SzP3LHozsw :2006/05/26(金) 00:01:38 ID:CBC843w9
魚住を殺してしまったという罪の意識は、福田に消えることの無い重荷を背負わせた。
ガラス細工のように精巧な作りの心は、自分の犯した過ちの大きさに耐え切れなかった。
どんなに現場から遠ざかろうとも、どんなに現実逃避しようとも、どんなに時間が経とうとも、罪悪感からは決して逃れることはできない。
罪悪感は、はっきりとした形となって福田の前に現れた。
福田には見えるのだ。腹に無数の風穴を開け、血塗れになっている魚住の幻影が――。

『福田…俺はお前を絶対に許さないぞ……』

福田は魚住がそう言っているように思えてならなかった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
いつしか福田は魚住に哀願するようになっていた。
しかし福田がいくら謝っても、魚住が福田の前から消えることはなかった。
試合に負けたときでも見せたことのなかった悔しそうな、苦しそうな、無念そうな顔をして福田の前に現れる。
それは福田の目の前に現れることもあったし、真後ろにべったりと張り付くこともあった。並んで歩くことさえある。
「魚住さん…」
どうしたら許してくれますか……そう訊いても、魚住は何も言わない。

『仲間の俺を撃ち殺しておいて許してくれだと?冗談じゃねえ!絶対に許さん!!』

ただ福田にはそう聞こえるのだ。
おかしくなりそうだった。――いや、実際に、福田はおかしくなりかけていた。
殺人者という烙印を自ら押し付け、その痛みに身を焼いていた。
福田は自分を失いつつあった。
182罪という名の亡霊 ◆SzP3LHozsw :2006/05/26(金) 00:04:02 ID:CBC843w9

「福田?…福田じゃないか?!」
田岡が見たのは、守ってやると決めた福田吉兆の姿だった。
福田は頼りない足取りで診療所の方へ続く道路をとぼとぼと歩いている。
まさか最初に出会ったのが福田だとは、田岡はツイていると思った。
「おい福田、大丈夫だったか!?」
田岡は笑顔で福田に近づいた。大事な教え子が無事だったのが心底嬉しかった。
ところが、福田の様子がおかしい。
プルプルと身体を震わせているのはいつものことだが、俯き、何かを口の中で呟いている。
心なしか、田岡は鬼気迫るものを福田に感じた。田岡の呼びかけにも、福田が応じる様子はなかった。
「福田」
近づいた田岡は、夢遊病者のような福田の肩にポンと手を置いた。

「うああああぁぁぁぁぁ!!!」

すると福田は絶叫を上げ、田岡を突き飛ばした。
「痛ッ!!――バカモン!いきなり何するんだ!?」
尻餅をついた田岡は、福田を見上げて怒鳴った。
「ひぃ…!ごめんなさい…魚住さん……ごめんなさい……ごめんなさい……」
怒鳴られた福田は、一心に口の中で何かを繰り返している。
福田の眼の焦点が合っていない。魚住と呟いたのを、田岡は聞き逃さなかった。
「福田…どうしたんだ、お前――。様子がおかしいぞ?魚住と言ったようだが、あいつが何処に居るのか知っているのか?」
田岡は腰を上げ、ズボンの埃を払いながら訊いた。
「ごめんなさい…ごめんなさい……」
福田はそれしか言わない。
ようやく田岡も福田の様子が尋常でないことが飲み込めた。鬼気迫っていると感じたのは間違いではなかったのだ。
「わかった、もういい。とにかく落ち着いて話でもしようじゃないか。俺はお前を捜し歩いてせいで腹が減った。飯でも食おう、な?」
福田を刺激しないよう、極力声のトーンは落としている。普段の練習では絶対に出すことのない甘い声だった。
田岡は、福田に誘いの手を差し伸べた。
「…い…いやだ……来るな……」
田岡が伸ばした手から逃げるように、福田は後退る。
こいつは何をそんなに怯えているんだろう、田岡にはわからなかった。
この数時間に福田に起きた出来事を案じた。
183罪という名の亡霊 ◆SzP3LHozsw :2006/05/26(金) 00:07:53 ID:CBC843w9
「大丈夫だ、何もしやしない。一緒に飯を食うだけだ。そんなに恐がらずにこっちへ来い。
 ――それとも腹は減ってないか?それならそうだ、バスケの話でもするか?次の試合ではお前をスタメンで使うつもりだぞ。体調の方はどうだ?」
田岡は必死だった。
とにかく今は福田を落ち着かせることを考えなければならない。
「…来るな…やめてくれ……俺が悪かったよ魚住さん……だから……」
「福田、しっかりしろ。俺は魚住じゃない、田岡だ。お前のチームの監督・田岡茂一だ」
「ち…違う……魚住さん…やめてくれ……やめてくれ……。――――わあああぁぁぁぁ!!!」
「福田!!」
福田は駆け去った。
過去に賞賛された名プレイヤー(?)の田岡でも、現役の――ましてやオフェンスの鬼とまで言われた福田の脚力に追いつけるわけがなかった。
遠ざかっていく福田の背中を呆然と見送り、田岡は胸騒ぎを覚えた。
「福田…お前、一体……」


【D-3/診療所近く/一日目・午前3時前後】

【男子29番 福田吉兆@SLAM DUNK】
 [状態]:混乱
 [装備]:H&K MP5 サプレッサー付き(装弾数0発)
 [道具]:支給品一式、予備弾丸200発
 [思考]:1.魚住の幻影から逃げる。 
     2.死にたくない。

※魚住を殺すのに一弾倉分を使い果たしたが、混乱しているのでまだ弾倉を変えていない。
※200発の予備弾は、40発入る弾倉が5本という意味。

【男子16番 田岡茂一@SLAM DUNK】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.魚住・福田の両人と合流、彼らを守る。

※得物は依然として不明。
184名無しさん@お腹いっぱい。:2006/07/21(金) 19:46:23 ID:+WZmBwvW
ほら、今度からカスはこっちに投下しろ
185巨人の時代:2006/09/11(月) 19:17:28 ID:m0jkExOB
 突如空が裂け、数十人の人間が降って来た。金本知明と鳥谷隆もその中にいた。

「おう、鳥谷。早速始めるで。阪神に歯向かったボケ共を粛清するんじゃ。」
「分かったで、アニキ。特に味噌の連中には頭に来てたんだ。ハデに殺してやりやしょう。」

愛媛県北部。番場蛮も新たに召喚された人間の一人だった。祖国である四国の地を踏みしめ、物思いに耽っている。
「何故、巨人はあそこまで弱くなってしまったんだろう?俺が愛したジャイアンツ野球はもう見れないのか?」
「そうだ。だが、全員が落ちぶれたわけでもない。貴方のような偉大な投手も残っている。」

番場が振り返った先には、中日ドラゴンズの不動の2番打者井端弘数が立っていた。そして、番場に悪魔の囁きを始める。
「どうだ。我がドラゴンズに入らないか?貴方が経験した35年前のジャイアンツ野球は今、中日が引き継いでいる。
今の巨人にかつての栄光は微塵も残っていない。貴方も強いチームで勝ちたかろう?」
「俺は…あのチームに勝ちたい。いいぜ。中日ドラゴンズ。俺の第二の野球人生の始まりだ。」
中日と巨人。球界が誇る2大癌の巨頭が手を組んだ。しかし、その野望も長くは続かない。正義の使者による裁きが待っていたからだ。

砂浜に響き渡る無数の銃声。それが鳴り止んだ時、井端は息絶えていた。撃ったのは、阪神史上最強の4番打者、金本。
「哀れなり。番場蛮!貴様は最下位球団に入団し、巨人を倒す事を夢見たんじゃなかったんか?
それが巨人の一員となり、戦力の劣る他球団に勝ち、優越感に浸る。更には巨人の勢いがなくなると強い球団に寝返る。
貴様はサムライなんかやない。人間のクズや。ここで死ねや。」

「黙れ!貴様が、貴様が阪神にさえ行かなかったら、我が巨人は今も球界の盟主として君臨していたんだ。貴様さえいなければぁああああああああああ!」
番場も支給品のウージーを放つ。だが、金本はそれを難無くかわしてみせる。

「ふん…散々他球団の選手を強奪しておいてよく喚く…今の巨人は日本人の象徴やないわ。今では川上以来続く伝統の4番も朝鮮人に渡してしまったやないか。」

「黙れ!貴様ら阪神は金満補強をしなかったというのか?」
「だから暗黒時代を迎えたんや…」
「我ら正義の大巨人軍がどん底へ叩き落したんだ。阪神は何かとうざかったんでね。」
この後に及んでも強気の姿勢を崩さない番場。しかし、ウージーを撃ちつくした瞬間、鳥谷の銃が火を吹く。

「ぐああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜
186巨人の時代:2006/09/11(月) 19:18:16 ID:m0jkExOB
番場の体に散弾が飛び散り、臓器が辺りに散乱し、魔球男はやがて息絶えた。

「ようやった。鳥谷。この調子で他球団の選手を殺していくんや。汚物は消毒せなあかんからな。」
「はい。次はどこへ行きますか?」
「そうやな。便器掃除に福岡まで行こう。大阪を裏切ったホークスの最後や。便器どもに綺麗な花火を見せてやろうやないか。」

【2日目午前愛媛県】
【金本知明@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」ウージー(残弾30発)、AK―47(残弾25)
「道具」支給品一式×2
「思考」阪神以外の選手を殺す。

【鳥谷隆@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」猟銃(残弾14)
「道具」支給品一式
「思考」アニキに着いて行く。

【井端弘数@中日ドラゴンズ】
【番場蛮@侍ジャイアンツ】
死亡確認。
187広島の執念:2006/09/11(月) 19:18:55 ID:m0jkExOB
瀬戸大橋を通り、福岡に向かう。途中、広島があるが、アニキはそれには目も暮れない。
「広島はわし等の2軍じゃ。潰す必要は無いわ。」
そう思って通り過ぎようとしていたら、1発の銃弾がアニキの額を掠めた。

「今撃ったんは誰じゃボケぇ!出てこいや!わしがぶっ殺し足るわ!!!」

「おう、今姿を拝ませてやるけぇ。」
少年の声だった。アニキの頭にはは怒りのあまり血管が浮き出ている。鳥谷は畏縮して声が出なかった。
血まみれになった少年の姿が見えた。手には何者かの首がぶら下げられている。そして、その後ろには眼鏡をかけたあの選手の姿があった。

「その首は…井川、井川やないか。ワレェ!井川を殺ったんか?」
「そうじゃ。阪神の選手はワシが許さんわ。散々広島から強奪しといて、今年は黒田さんも奪おうとしとろうが!特に金本。貴様は広島の裏切り者じゃ。この中岡元が殺しちゃるわ!」

ゲンは隠し持っていたナタでアニキに飛びかかる。アニキは左腕に傷を負うも、その鋼の肉体の前では致命傷には到らない。

「黙れ!ワシはもともと阪神ファンだったんじゃ!今はこの身を阪神に捧げるただの一兵士じゃ。この前、広島時代は空白の11年じゃ言うたろうが?」

アニキはウージーを構え、ゲンのこめかみに向け…
「この腐肉が…お前は地獄に落ちればええんじゃあああああああああああああああ」

撃った。

一撃だった。既にゲンは物言わぬ屍と化していた。

「アニキ!あの眼鏡が撃ってきます。気をつけて下さい!」
見るとヤクルトスワローズのPM、古田がボウガンを構えている。
「おや?いけませんねぇ。スパイ球団が逃げ回っては。ゲン君に殺されていればよかったものを。中日に一方的にやられる君たちはセ・リーグの火を消す張本人なのですよ。」

矢は鳥谷の頭の上を通り過ぎていった。身を屈めていなければやられていたかもしれない。
「黙れ。巨人の犬が。貴様らはこの阪神様の糧になればええんや。それを分かってるのは横浜だけや。
犬ルトの選手は生きる価値すらないわ。死ね。」
188広島の執念:2006/09/11(月) 19:19:28 ID:m0jkExOB
古田には銃器すら必要なかった。アニキの無敵の肉体は古田の中年のものと違い、生命力で溢れていた。
ボウガンを払いのけ、首を絞める。ボキッと鈍い音がして、古田は抵抗すらできず、首の骨を折られ、死んでいった。
「ほな、出発しよか。井川の墓を建ててからな。」
【2日目午前広島県】
【金本知明@阪神タイガース】
「状態」額と左腕に掠り傷。行動に影響なし
「装備」ウージー(残弾29発)、AK―47(残弾25発)、鉈
「道具」支給品一式×2
「思考」阪神以外の選手を殺す。

【鳥谷隆@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」猟銃(残弾14)、ボウガン(残弾10発)
「道具」支給品一式×3
「思考」アニキに着いて行く。

【中岡元@はだしのゲン】
【古田厚也@東京ヤクルトスワローズ】
【井川圭@阪神タイガース】
死亡確認。
189便器掃除:2006/09/11(月) 19:22:52 ID:m0jkExOB
「着いたで。ここが九州や。しかし、いつ見てもスペースワールドは貧相やな。まあ、日本一のテーマパークUSJと比べるのはちょっと酷かもしれんが。」
 アニキと鳥谷は福岡の街を行く。きっと便器の汚物共が沢山いるはずだから。日本の良心大阪の選手としてはそういうものを排除する義務がある。
「早速見つけたで。あれは味噌の立浪と便器の川崎や。ん?虎のユニフォームを着た娘が襲われとるやないか。グズグズしとる場合や無いな。行くで鳥谷。」

「あ、あんた等なんやねん。うちに何の用があるの?」
襲われている少女の名は御堂春。大の虎党だ。阪神を神格化し、阪神と共にこれまで生きてきた。自分が嫁ぐ先も阪神の選手と決めている。
「可愛いねぇ御譲ちゃん。おじさんと楽しい事しようよぉ」
いたいけな少女に付き纏っている変人の名は立浪一義。汚らわしい味噌の選手だ。そして、もう一人地元便器の選手川崎宗徳も一緒になって強姦を企んでいた。その顔に似つかず、内面は野獣そのものだ。

「た、立浪さん。早くやっちゃいましょうよ。ひ、人が来るかもしれませんから。」

「い、嫌や。助けてぇ。中川さ〜ん。」
「へへへへへ。無駄だ。そんな奴はここにはいな〜い。おとなしく股を開け。」

「待てや。球界の面汚しが。その娘に代わってこのワシが相手をしたるわ。」

「そ、その声はまさか、アニキですか?うちを助けにきてくれはったんですね?」

御堂にとって金本は神のような存在だった。生まれて初めて優勝を見せてくれた立役者。そんな人が自分を助けてくれる。それだけで胸が一杯になった。

アニキの行動は素早かった。まず、立浪を自慢の豪腕で一撃の下に粉砕すると、逃亡を図った川崎を鳥谷が撃ち殺す。完璧なコンビネーションで御堂の危機は救われた。

「ほんまに助かりました。あ、あともう一つ頼みたいんやけど…ご飯ちょっとくれまへんか?立浪等から逃げるときに荷物全部すててしもうた。あはは…」

アニキの魅力は強さだけではない。その優しさにもあった。自分の支給品のパンを惜しげもなく御堂に与える。キリストのようなお方だ。
「わぁ〜アニキ、おおきに。このパンおいしいねん。」
「喰ったなら行くぞ。次の目的地は聖地甲子園や。金の亡者と化したノリらに制裁を食らわしにいくんや。」
190便器掃除:2006/09/11(月) 19:23:37 ID:m0jkExOB
【2日目午前福岡県】
【金本明憲@阪神タイガース】
「状態」健康(傷完治)
「装備」ウージー(残弾29発)、AK―47(残弾25)、鉈
「道具」支給品一式×2
「思考」阪神以外の選手を殺す。

【鳥谷隆@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」猟銃(残弾13)、ボウガン(残弾10)
「道具」支給品一式×5
「思考」アニキに着いて行く。

【御堂春@こち亀】
「状態」満腹
「装備」なし
「道具」なし
「思考」アニキに着いていく。中川を捜す。
【立浪一義@中日ドラゴンズ】
【川崎宗徳@福岡ソフトバンクホークス】
死亡確認。

191名無しさん@お腹いっぱい。

     |  |   |   |
     _||_||__||  ||
    (__/   `ー――
   (___/  r
    (_レノ)\   ___
    ●\__/__/●
  / \_\三/_/ \ 
  |  ⌒ (_人_)∴・  |  ぐぇあ
  \ :・∵ |r┬-|      /
  / / ̄ ̄12 ̄ ̄\\
  / /    |     \\
 | | 9   ○    3 | |
 | |    /      ||
  \\   6     //