ジャンプキャラ・バトルロワイアル2nd SS投下スレ
【基本ルール】
・全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
・勝者のみ元の生活に戻ることができる。
・ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
・ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点から眠らされ、MAP上にバラバラに配置される。
・プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
・開催場所はある孤島。海上に逃れると、禁止エリア外となり首輪が爆発する。
【スタート時の持ち物】
・プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
・また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
・ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。
「地図」 → 白紙、禁止エリアを判別するための境界線と座標のみ記されている。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。 (デスノートへの記入含む)
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
「名簿」→全ての参加キャラの名前が載っている。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが一つ入っている。内容はランダム。
※「ランダムアイテム」は作者が「エントリー作品中のアイテム」と「現実の日常品」の中から自由に選んでください。
必ずしもデイパックに入るサイズである必要はありません。
また、イベントのバランスを著しく崩してしまうようなトンデモアイテムはやめましょう。
【「首輪」と禁止エリアについて】
・ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
・首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
・開催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
・この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
・24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。
・「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
・下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。
・プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
・開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にプレイヤーがいると、そのプレイヤーの首輪が自動的に爆発する。
【放送について】
・放送は6時間毎に行われる。放送は島のあちこちにあるマイクから流される。
・放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
「管理者(黒幕の場合も?)の気まぐれなお話」等となっています。
【舞台】
ある孤島が舞台。
季節は過ごしやすい暖かな時期。
海は移動禁止区域。入ると脱出者とみなされて首輪爆発。
| A .| B .| C | D .| E .| F .| G | H .| I .|
_ ____.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|______.|
|
1 | _,,,,, ,,,,,,, _,,,,,-'''"" ̄'Z,,,,_,, 北
| /'''''"''''"\,,._.,,-''""" "''" 川"''"" \ ↑ /'''''"''''"\
______.| i,崖 家 川 i,,, 西←┼→東 i 山山 ,ゝ
| 'i,, 崖 家 川 'I,,,,, ↓ / 山山 ,,,,/
2 | ''I,,, 崖 川 "''I 南 ,,/ i
| 'I, 川 診 浜\,,, ,,,,, / ヽ,,
______.| / 川 浜 \/,浜\/浜 /
| /' 森 川 浜浜 浜 "''ヽ,,,
3 | i 山山山森 湖 川 商商 "'i,
| |山山山滝湖 湖川 商商 社 i
______.| i 山山森 湖 ,,,,,,,,/
| ヽ ,,/ヽ,,,,,,,,ノ
4 | i 家家 /'
| '-, 家家家 畑畑畑 港,/''"
______.| 'i,森森森森森 家 畑畑畑 港 /'
| ,i'森森森森森林 畑畑畑 ヽ,,,,,,,,,,,,,,,
5 | /森森森森林林 学 灯 I
| 'i森森森森林林 公 家家 ,,,,,,,,,,,,,,,,/
| / ,,,,,,,,,,,,,,, 森 /ヽノ 0.5km
\,,,/ \,,,/\,,,,/ヽ,,,,,,,,,,,/ヽ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ノヽ_,,,,.,ノ\/\,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,/ |______|
学:学校 商:商店 家:民家 診:診療所 公:公園 社:神社 港:漁港 灯:灯台
山:山 川:川 湖:湖 滝:滝 浜:砂浜 森:森 林:林: 崖:断崖 畑:畑
【NGについて】
・ssが投下された後、
@48時間以内に正当な理由あるNG審議要請が出され、
Aその要請に基づいて皆で議論し、NGが妥当とされた場合、
作者は48時間以内に意思表明をする。
そして修正する意思があるならそこから48時間以内に修正ss投下。
規定時間内に意思表示がなされなかった場合、該当ssをNG認定する。
・ただしNG認定後、当該SS登場キャラに
新しい動きがないうちに修正SSを書き上げたなら自由に投下可能 。
・スレの意志の大半に支持されて修正要請がされて48時間以内なら何回でも修正は可 。
バトロワSSリレーのガイドライン
第1条/キャラの死、扱いは皆平等。
第2条/リアルタイムで書きながら投下しない。
第3条/これまでの流れをしっかり頭に叩き込んでから続きを書く。
第4条/日本語は正しく使う。文法や用法がひどすぎる場合NG。
第5条/前後と矛盾した話をかかない。
第6条/他人の名を騙らない。
第7条/レッテル貼り、決め付けはほどほどに(問題作の擁護=作者)など。
第8条/総ツッコミには耳をかたむける。
第9条/上記を持ち出し大暴れしない。ネタスレではこれを参考にしない。
第10条/ガイドラインを悪用しないこと。
(第1条を盾に空気の読めない無意味な殺しをしたり、第7条を盾に自作自演をしないこと)
基本的なロワスレ用語集
マーダー:ゲームに乗って『積極的』に殺人を犯す人物
ステルスマーダー:ゲームに乗ってない振りをして仲間になり、隙を突く謀略系マーダー
扇動マーダー:自らは手を下さず他者の間に不協和音を振りまく。ステルスマーダーの派生系
ジョーカー:ゲームの円滑的進行を助けるために主催者側が用意したマーダーもしくはステルスマーダー
リピーター:前回のロワに参加していたという設定の人
配給品:ゲーム開始時に主催者側から参加者に配られる基本的な配給品。地図や食料など
支給品:強力な武器から使えない物までその差は大きい
またデフォルトで武器を持っているキャラはまず没収される
放送:主催者側から毎日定時に行われるアナウンス
その間に死んだ選手や禁止エリアの発表など、ゲーム中に参加者が得られる唯一の情報源
禁止エリア:立ち入ると首輪が爆発する主催者側が定めた区域。 生存者の減少、時間の経過と共に拡大していくケースが多い
主催者:文字通りゲームの主催者。二次ロワの場合、強力な力を持つ場合が多い
首輪:首輪ではない場合もある。これがあるから皆逆らえない
見せしめ:お約束。最初のルール説明の時に主催者に反抗して殺される人
拡声器:お約束。主に脱出の為に仲間を募るのに使われるが、大抵はマーダーを呼び寄せて失敗する
主催者:安西光義(SLAMDUNK)・近藤真彦(ろくでなしBLUES)
みせしめ:赤木剛憲 (SLAMDUNK)
■SLAM DUNK 7人
【桜木花道・三井寿・赤木晴子・高宮望・田岡茂一・魚住純・福田吉兆】
■ろくでなしBLUES 7人
【前田太尊・七瀬千秋・中田小平次・中島淳一・大場浩人・川島清志郎・前田文尊】
■花の慶次〜雲のかなたに〜 3人
【前田慶次・カルロス・骨】
■I`s 6人
【瀬戸一貴・葦月伊織・秋葉いつき・磯崎泉・麻生藍子・寺谷靖雅】
■すごいよマサルさん 3人
【花中島マサル・北原ともえ・さかきばらのぶゆき】
■ピューと吹くジャガー 3人
【ジャガージュン市・浜渡浩満・白川高菜】
■CITY HUNTER 5人
【冴羽リョウ・槇村香・伊集院隼人・野上冴子・ミックエンジェル】
■銀牙 -流れ星 銀- 3匹
【流れ星銀・ベン・赤カブト】
■NINKU -忍空- 3人
【子忍の風助・巳忍の橙次・ヒロユキ】
■ヒカルの碁 3人
【進藤ヒカル・塔矢アキラ・藤崎あかり】
■BOY 4人
【日々野晴矢・一条誠・伊部麗子・神崎狂】
■レベルE 1人
【バカ=キ=エル・ドグラ王子】
【女子】
1番 赤木晴子(あかぎ・はるこ)
2番 秋葉いつき(あきば・いつき)
3番 麻生藍子(あそうあいこ)
4番 磯崎泉(いそざき・いずみ)
5番 伊部麗子(いぶ・れいこ)
6番 北原ともえ(きたはら・ともえ)
7番 白川高菜(しらかわ・たかな)
8番 七瀬千秋(ななせ・ちあき)
9番 野上冴子(のがみ・さえこ)
10番 藤崎あかり(ふじさき・あかり)
11番 槇村香(まきむら・かおり)
12番 山ノ上春香(やまのうえ・はるか)
13番 葦月伊織(よしづき・いおり)
【男子】
1番 赤カブト(あか・かぶと) 20番 中島淳一(なかじま・じゅんいち)
2番 伊集院隼人(いじゅういん・はやと) 21番 中田小平次(なかた・こへいじ)
3番 一条誠(いちじょう・まこと) 22番 流れ星銀(ながれぼし・ぎん)
4番 魚住純(うおずみ・じゅん) 23番 子忍の風助(ねにんの・ふうすけ)
5番 大場浩人(おおば・ひろと) 24番 バカ=キ=エル・ドグラ王子(ばか・き・える・どぐらおうじ)
6番 奥村助右衛門(おくむら・すけえもん) 25番 花中島マサル(はななかじま・まさる)
7番 カルロス(かるろす) 26番 浜渡浩満(はまわたり・ひろみつ)
8番 川島清志郎(かわしま・きよしろう) 27番 日々野晴矢(ひびの・はれるや)
9番 神崎狂(かんざき・きょう) 28番 ヒロユキ(ひろゆき)
10番 冴羽リョウ(さえば・りょう) 29番 福田吉兆(ふくだ・きっちょう)
11番 さかきばらのぶゆき(さかきばら・のぶゆき) 30番 ベン(べん)
12番 桜木花道(さくらぎ・はなみち) 31番 骨(ほね)
13番 ジャガージュン市(じゃがー・じゅんいち) 32番 前田慶次(まえだ・けいじ)
14番 進藤ヒカル(しんどう・ひかる) 33番 前田太尊(まえだ・たいそん)
15番 瀬戸一貴(せと・いちたか) 34番 前田文尊(まえだ・もんそん)
16番 田岡茂一(たおか・もいち) 35番 三井寿(みつい・ひさし)
17番 高宮望(たかみや・のぞみ) 36番 ミックエンジェル(みっく・えんじぇる)
18番 寺谷靖雅(てらたに・やすまさ) 37番 巳忍の橙次(みにんの・とうじ)
男女計/50名
14 :
(*´ω`*) ◆rcp/m4l/.o :2006/03/05(日) 05:19:58 ID:YYHvldi3
俺は世界のことなんて考えてみたこともない
それが俺の視野を狭くしたんだ
地球規模の問題なんてなおさらだ
地球温暖化 放射性物質 帝国主義者の間違い 動物の権利
NO!
良い生活ができてるのに何で嫌なことに気をむけなきゃいけないんだ?
"Could"って表現できるものを何で"am"を使うんだ?
海中の有害物質の事なんてクジラに心配させときゃいい
カリフォルニアの外は別の国だ
変化なんていらない 反応もしたくない
お前が悩んでる事は俺には無関係だ
アメリカ人じゃないFrancoには行く場所が無い
俺は周囲を見渡した事も無い 物事を深く考えた事も無い
それでHoward Zinnの本をよんでショックだったよ
何年も無関心だったことで今は眠れない
全てはNoan Chomskiの本を少し読んでからだ
ファーストフードのせいで今は野菜を食べている
グローバリゼーションのせいで今は不快な靴を履いている
マイケルムーアが醜い真実を暴いてるのを見ている
Public EnemyとReagan Youthを聴いている
盲目の軍隊のせいで平和な世界が見えない
ブレスミントは蹄を取った馬から作られるから食べない 何が間違ったんだ?
大統領は俺達がNaderに投票した事を笑ってやがる
アメリカ人じゃないFrancoには行く場所が無い
俺達は何処へ行けばいいんだ
北のほうへ引っ越してカナダ人になりたい
思いっきり南に行ってオーストラリア人になるのもいい
ただ、また無関心な国民にだけはなりたくない
俺達は何をすればいいんだ?
15 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:12:58 ID:T8ziD6CT
ワックスのかけられた床、高い天井、バスケットボードのシルエット、染み付いた汗の匂い――。
たった今深い眠りから目覚めたばかりの三井寿は、ぼんやりとした暗がりの中とはいえ、さすがにここが体育館なのだということにすぐ気付いていた。
何故こんな真っ暗な体育館にいるのかわからず、練習後に疲れて寝入ってしまったのかという疑問も生まれたが、どうもはっきりしたことは覚えていなかった。
「なんだよ、誰か起こしてくれたってよさそうなもんだが…」
ぼやきながら、三井はゆっくりと身を起こす。
硬い床で寝ていた所為か、身体の節々が軽く軋み、あまり気持ちの良い目覚めとは言えなかった。
三井は欠伸をしながら何気なく周囲を見回す。そこで三井は信じられないものを目撃する。
薄闇の中で三井が目にしたものは、この体育館の中で眠る人間だった。それも一人や二人ではなく、何十人という人達――。
男も女も、老いも若きも、とにかく何十人という人間が、このさして広くもない体育館を埋めていた。
「なんだよ…こりゃ……?」
それは三井がからかわれているのではないかと疑ってしまうほど、奇妙で不気味な光景だった。
三井は座り込んだまま、しばらく自分の置かれている状況が理解できずに考え込んでしまう。暗さで判然としないまでも、周りで眠る人間に三井は覚えが無かった。
よくよく見回してみれば、ここは三井の通う神奈川県立湘北高校の体育館ではなく、それが益々三井を混乱させた。
「あの…もしかして、三井さん……?」
自分を呼ぶか細い声に、三井は驚いて後ろを振り向く。
「晴子ちゃん…か?」
「はい、そうです」
ちょうど肩くらいに髪を切り揃えた少女が、静かに頷くのが見えた。
16 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:13:38 ID:T8ziD6CT
頷いた少女――赤木晴子は、兄に似ず整った美しい顔立ちをしており、それは薄闇の中でも十分に知ることが出来た。
「なぁ晴子ちゃん、これ、どういうことだかわかる?」
「…わかりりません。私もさっき目が覚めて…そしたらここに……」
三井の問いに、晴子は申し訳なさそうに小さく首を振った。
「俺と一緒ってわけか…。…じゃあ赤木や他の奴らは?」
赤木や他の奴らとは、三井と同じバスケ部の連中を指してる。
自分と晴子がいるのなら、他の連中がいてもおかしくないと思ったのだ。
「ゴメンなさい、それもちょっと……」
「そうか…。――それにしても一体何なんだろうな、これは…」
もう一度、三井は辺りを見回した。晴子もそれに倣う。
いつの間にか二人の他にも起き出した人がいるようで、囁き合う声や人が動く気配がしていた。様子から察するに、どうやら他の誰もこの状況を理解してはいないらしい。
それを敏感に感じ取ったからか、二人の胸中になんとなく予感めいた不安が浮かび、次第にそれが二人を包み込んでいった。
「……出よう。なんだかここにいちゃいけない気がする」
「…そうですね。私も…なんか嫌な感じがします…」
二人の意見が一致し、三井が晴子の腕を取って立ち上がろうとしたその時、まるで計ったように頭上のライトが点き、眩しいばかりの白い光が幾筋も降り注いだ。
と同時に、幾つかある出入り口が一斉に開き、そこから武装した兵士らしき格好をした屈強そうな男達がぞろぞろと入って来た。
17 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:14:16 ID:T8ziD6CT
兵士達はまだ眠っている者を見つけると、まるで道端の小石でも蹴るように無造作に蹴りを入れて起こしていく。
それほど強烈な蹴りではなさそうなものの、蹴られた者は衝撃に驚いたり、痛みに跳ね起きたりして一人残らず目を覚ました。無論、兵士達の漂わす異様な雰囲気に
気圧され、抵抗する者などはほとんどいなかった。
全員が目を覚ましたことを確認すると、兵士達は『参加者』達を取り囲むように、それぞれ壁際へと散っていき、それから微動だにすることなく沈黙を守った。
「おいおい、何の冗談だよこれは……」
三井はその兵士達の機械のように整然とした動きを見つめ、ひどく薄気味悪さを感じていた。
「三井さん、あれ…」
晴子は震える指先で前方の入り口を差した。
「ほっほっ。やあ」
肥満し過ぎた丸みをおびた巨体を揺らし、入り口から現れたのはカーネル・サンダースに似た好々爺だった。
三井はおろか、晴子にとって、その人の登場はまさに青天の霹靂と言えた。
「安西先生!」
安西は、見る者に好感を持たせる緩やかな足取りでのそのそと歩いて来る。
そのすぐ後ろから、これまた巨体の持ち主の髭面をした中年が続く。
「あぁ!マサさんぢゃねーか!!」
今度は別のところから驚きの声が上がり、リーゼントの少年が一人立ち上がる。
18 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:14:59 ID:T8ziD6CT
「おいマサさん、一体何の騒ぎだよこりゃ?」
その場にいた誰もが思い、誰もが感じていた疑問を、リーゼントの少年は臆することなく訊いた。
「前田、大人しく座ってろ。そのことについてはこれから説明がある」
マサさんと呼ばれた中年は、その少年に向かって手をかざし、座るように促した。
リーゼントの少年――前田太尊は、納得いっていない表情を作りながらも、言われたとおり渋々腰を沈めた。
「コホン。近藤君、よろしいですか?」
「あ、申し訳ありません安西先生。さあ、どうぞ」
そう言って、近藤は安西に発言の場を譲る。
安西は呆然とする『参加者』達の顔を一人一人見回してから、静かに口を開いた。
「えー、君達には殺し合いをしてもらいます」
『参加者』達の中で、誰一人として安西の言葉を理解出来た者はいなかった筈である。
みな冗談でも言われたくらいに思ったらしく、キョトンとした顔をして、安西を珍しいものでも見るような目つきで眺めていた。
「ぶわっはっは!殺し合いだと?オヤジ、まさかボケたのではあるまいな?」
突然、赤いボウズ頭の背の高い少年が進み出て、安西の前に立った。
と思うや否や、安西の頬を引っ張ったり、顎をタプタプしたりと、赤ボウズはやりたい放題始めてしまう。
19 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:15:35 ID:T8ziD6CT
「やっぱり桜木もいたのか…」
その赤いボウズ頭を、三井はよく知っていた。三井の後輩であり湘北バスケ部一の問題児・桜木花道である。
普段なら、恩師である安西に対しての桜木の振る舞いを注意しているところだが、状況が状況である。三井はいつでも飛び出せるように間を測りながらも、
ここは静かに桜木の動向を見守ることにした。
「桜木君、座りなさい」
弄りまわされているにも拘らず、安西は怒らず顔色も変えずに淡々と言い放つ。
「ぬ、オヤジのくせに偉そうなことを!」
桜木は目を吊り上げて怒って見せる。安西はそれにも怯むようなことはなく、一切表情を崩さない。
「桜木君、いいからそこに座りなさい」
「だからオヤジのくせ――――」
「……聞こえんのか?あ?」
桜木が言い終わらぬうちに、安西が言葉を被せた。
それまで仏のように柔和だった安西の顔が、一瞬、鬼のように変化したのを、端から見ていた三井は見逃さなかった。
「…白髪鬼(ホワイトヘアーデビル)だ…」
20 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:16:07 ID:T8ziD6CT
三井は嘗て白髪鬼と恐れられた時分の安西の恐ろしさを、少し垣間見た気がした。
桜木もその安西のほんの一瞬の変貌に驚き、それ以上の横暴を重ねようとはせず、すごすごと元に位置に戻っていった。
「ほっほっ。どうやら君達はまだよくわかっていないようですね。――近藤君、あれを」
既に元の柔和な仏の顔に戻った安西が、近藤に向かって言った。
「はい」
近藤が兵士達に目配せをする。近藤の合図に、兵士達が何かを運んで来た。
キュラキュラとキャスターを鳴らさせて運ばれて来たものは腰ほどの高さがあり、ひどく重そうで、全体が黒い布に覆われていた。
近藤はそれが運ばれて来ると、何の躊躇いも無しに覆われた布を取り払う。
噎せ返るほどの生臭い匂いと共に現れたのは、バスケットボールを入れておく籠だった。
普段ならボールで一杯になるはずのその籠が、今は別の『モノ』で一杯になっている。
籠に詰まっているのは、バラバラに解体された人間の身体――。
ほとんどただの肉隗と化している為、どれが何処のパーツかは測り難く、剥き出しの筋組織から滴り落ちた血が、見る間に籠の下に赤い水溜りを作っていった。
体育館の空気が冷たく凍りつくのを、三井は肌で感じていた。暗い静寂が体育館を支配していく。
誰も声を発そうとはしなかった。誰もが目の前の事実がとても現実とは思えず、目を皿のようにして籠に釘付けとなってしまっていた。
21 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:16:47 ID:T8ziD6CT
「……嘘……でしょ……?…おにい……ちゃん…………?…………いやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
張り詰めた静寂を切り裂くように、晴子が叫んでいた。
肉隗は、晴子の兄・赤木剛憲その人だった。
晴子の悲鳴をきっかけに、そこかしこで同じような悲鳴や、安西達を非難する怒号が上がり始める。
近藤はそれを予期していたように、今度はサッと腕を挙げて兵士達にさっきとは別の合図を送った。
合図を受け取った兵士が、装備していた銃を頭上に向けて乱射した。物凄い轟音が鳴り、銃弾が高い天井を突き破り、電灯を割った。
しばらくして銃声が止むと、割れた電灯の破片や砕かれた天井の欠片が三井の上にも降ってきた。
また静寂が体育館を包む。
「安西先生がお話し中だ。みんな静かに聞くように」
息をひそめる『参加者』を見渡し、近藤が厳しい口調で言った。
「すいません安西先生。どうぞ続けてください」
近藤が安西に話の先を促す。
「……赤木君は今回のことに反対してね。仕方ないので殺してしまいました」
籠に無造作に押し込められた嘗ての神奈川No.1センターに、安西は何の感情も抱いてはいないようだった。
その証拠に、安西は一番上に乗っていた赤木の頭部を掴み上げると、ボードに向かってシュートポーズに入る。
「私も本当は殺したくはなかったんですがね。あんまり五月蝿く反対するものだから…つい………ほっ」
22 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:17:42 ID:T8ziD6CT
ボールに見立てた赤木の頭部が、安西の手から放たれた。薄く開かれた赤木の瞼から恨めしそうな眼が覗いているようで、正視に耐えられるものではなかった。
頭部は高く綺麗な弧を描き、まっすぐゴールに吸い込まれていく。バサッと乾いた音がして、安西は見事3Pを決めた。
顔の大きさが災いしてか、赤木の頭部はネットに引っ掛かって落ちて来ることはなかった。
「……正気かよ…安西先生は……」
安西の一連の動作を見た三井が、小さく漏らした。晴子はとっくに視線を逸らし、耳を塞いで目を硬く閉じていた。
ガタガタと震える晴子の肩を、三井はそっと抱き寄せた。
「大丈夫…大丈夫だ晴子ちゃん。きっと大丈夫だから……」
晴子の耳元で囁く三井にも、一体何が大丈夫なのかはわかっていなかった。
ただそうやって言い聞かせていないといても立ってもいられないだけで、三井自身、大丈夫だなどと楽観視は全くしていない。
「――とまぁこういうことだ。こうなりたくなかったら、しっかりと言うことを聞くように。いいな。
ではこれからゲームの説明に入る。よく聞いておかないとあとで取り返しのつかないことになりかねんぞ。特に前田、しっかり聞くんだぞ」
近藤は一度、太尊を注意してから先を続けた。
「お前達はこれからこの島で殺し合いをする。殴り殺す、刺し殺す、撃ち殺す、絞め殺す、騙して殺す、なんだっていい。とにかく殺せ。
殺して殺して殺し尽くして、最後に生き残っている者を決める。たったこれだけのことだ」
誰も口を挟もうとしなかった。
誰の頭にも赤木の変わり果てた姿と、安西の狂気に満ちた行動が焼きつき、次は自分がああなるのではないかという不安に慄いていた。
23 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:18:14 ID:T8ziD6CT
「ルールは簡単だ。これからデイパックを配る。そのデイパックを手に、お前達はこの島の各所に振り分けられる。
そこからは自由に行動し、ただひたすら殺戮を繰り返すだけ。
デイパックの中には数食分の食料・水、それに参加者の名簿・筆記用具・地図・コンパスが入っており、他にランダムで得物となるものも入っている。
得物はそれぞれ違い、当たりもあればハズレもあるだろう。よく使い道を考えて好きに使うといい。
それから6時間ごとに1回、こちらから放送を入れる。その際、6時間以内に死んだ人間と、禁止エリアを読み上げる。
禁止エリアは重要なことだから絶対に聞き逃すんじゃないぞ。
…おっと、大事なことを忘れていた。それからお前達の首には『首輪』を嵌めさせてもらている。気付いていたか?」
近藤の言葉に、全員が自分の首に触れた。
三井も同様に触り、自分の首に巻かれた首輪の冷たい金属的な感触を確かめる。
「気をつけろよ、下手なことをすると爆発するぞ。なにせ爆弾入りだからな、その首輪」
ほぼ同時に、全員が首輪を触っていた手を放した。
「もうやだ…帰りたい……」
何処かですすり泣く女の子の声が上がっていた。
24 :
オープニング:2006/03/05(日) 22:19:23 ID:T8ziD6CT
「ははは、心配するな、何も今すぐ爆発しやしない。それじゃ意味が無いからな。…この首輪が爆発する場合は四つ。
一つは『無理に外そうとしたり、強い衝撃を与えた場合』。
二つ目は『24時間以内に誰も死ななかった場合』。
三つ目は『禁止エリアに留まった場合』。
四つ目は『定められた範囲から出た場合』だ。
この四つを破ると、即爆発する仕掛けになっている。もちろん爆発はそれ相応の威力で、爆発すれば首輪の持ち主は必ず死ぬことになる。
いいか、肝心なのは二つ目、24時間以内に誰も死ななかった場合だ。
これは例え全員生きていても、24時間ゲームに動きの無いときは容赦なく爆発する、という意味だ。最後の二人に絞られていたとしても同様だ。
だから最低でも24時間以内に1回は誰かが死んでくれないと、お前達は生き残ることは出来ない。
せいぜいそんなマヌケな死に方をしないように、一所懸命殺していくんだぞ」
近藤は一度全員を見回し、何かここまでで質問のある者は手を挙げろと訊いた。誰も手など挙げる者はいない。
「……よし、何も無いようだな。――では安西先生、先生から最後に何か一言ありますか?」
「ふむ……」
近藤から締めの言葉を託された安西は、暫く考え込んでから口を開いた。
「優勝を成し遂げたいのなら、もはや何が起きても揺らぐことのない断固たる決意が必要だ。最後まで…希望を捨てちゃいかん。諦めたらそこで試合終了だよ」
「――以上で宜しいですね?」
近藤がそう尋ねると、安西はうんと頷く。
するとそれを待ったいた一人の兵士が、用意してあったお面のようなものを安西と近藤に手渡した。二人はそれを装着する。
三井は嫌な予感がした。
「あれは…ガスマスク…?」
そう呟いた途端、プシューっとガスが洩れるような音がして、体育館を煙が包んでいった。
この煙を吸っちゃいけない!三井は口と鼻を手で覆ったが、もう遅かった。
「では、これより試合開始とする。健闘を祈るぞ」
その言葉を最後に耳にしながら、三井の意識は急速に遠のいていった――――。
パシャ、パシャ……!
湖畔で顔を洗う小さな老人がいる。――骨だった。
すぐ近くで目を覚ました骨は、湖の冷たく澄んだ水で顔を洗って眠気を覚ましていた。濡れた肌に夜気が心地良い。
骨が水を手で掬うたび、水面に映った頭上の月がゆらゆらと揺れて形を崩した。
「殺し合いねえ…」
水を掬う手を止め、波紋の広がる水面を見つめて骨は少し考える。
殺しは得意な方だ。むしろそれが生業といってもよい。忍びは殺しを請け負うことだってある。
だが本来、忍びは雇われて働くものだ。そこにはなんらかの報酬が発生する。一方的に命令されて動くものではない。
普段なら見向きもしない殺しなのだが、今は自分の命がかかっている。
忍びとして生きているのだからいつ死んでも悔いは無いが、こんなわけのわからないことで犬死するのは馬鹿なことだ。
では、どうするか…。
じっと見つめていた水面が、微妙な変化をしはじめた。形を崩していた月が、人の姿を作っていくように骨には見えた。
次第に波紋は治まり、崩れた月は完全に人の顔となった。
見たことある顔だった。
「旦那…」
前田慶次――。骨が心底惚れた男の顔だ。
裏の世界で長く生きてきた骨を、信用してくれた男でもある。その慶次を――。
「殺るかね…。旦那を…」
惚れた男を殺す。最高に面白そうだった。
なにより相手が慶次なら殺り甲斐がある。慶次は天下一の傾奇者であり、最高のいくさ人なのだから。
骨は水面に映る慶次に語りかける。
「旦那、私が貰い受けますよ…その首を」
年甲斐もなく浮き立つ心を、骨は嬉しそうに楽しんでいた。
【B-3/湖畔/一日目・午前1時前後】
【男子30番 骨@花の慶次―雲のかなたに―】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1、前田慶次の殺害。
2、前田慶次以外の人間の殺害。
3、自分に利益があれば忍びとして依頼を受ける。
「――――ハッ…ハッ…ハッ…ハッ……」
明かりも無い暗い夜道を、田岡茂一はひたすら駆けていた。
41歳――。けして若くはない。
まだいくらも走っていないが、早くも息が上がりはじめ、足がもつれそうになるのを懸命に堪えている。
今の田岡に高校時代『神奈川に田岡あり』といわれた頃の面影を忍ぶことは出来なかった。年齢と共に衰えた肉体には、高校時代の遺産は残っていないようだ。
しかし、けして止まれない。
田岡の脳裏には、目の当たりにした赤木剛憲の変わり果てた姿が焼きついている。
(一刻も早く警察に通報しなければ!)
田岡は必死に走りながら、公衆電話か、或いは民家で電話を借りることを考えていた。
そこから通報し、すぐにでもあのイカれてしまった安西達のことを捕まえてもらわなければなるまい。
でなければ更に犠牲者が増えてしまう…。考えるだけで恐ろしかった。赤木のような将来のある若者をこれ以上死なせたくはない。
(赤木剛憲…。素晴らしい選手だった)
生前の赤木のプレーが思い起こされる。
大胆かつ豪快なスタイル、チームを引っ張る牽引力、ゴール下での存在感。
文句無く全国トップクラスの選手だといえた。もしウチに魚住がいなかったとしたら是非とも欲しいところだ。
それを…その赤木を、最近は温厚で知られていた安西先生が殺してしまった…。
いや、温厚だったとか、もはやそんなレベルの話ではないだろう。人が一人殺されているのだ。これ以上に無いほど残忍なやり口で――。
その事実を田岡は今なお信じることが出来ない。何がどうなってしまったのか、田岡には全くわからない。
昨日練習を指導し終わった後も、自分の周りに特別変わったことは無かったし、
当たり前のように次の日が無事にやってくるもんだと思っていた。翌日の練習メニューだってちゃんと考えていたのだ。
それがどうだろう。
気付いたら真っ暗な体育館にいて、殺しを強要されていた。ましてや尊敬していた安西先生に、だ。
とても現実とは思えなかった。
(――これは夢だ。悪い夢なんだ)
田岡は何度そう思ったことか…。
だが赤木の死体と、人が変わってしまった安西を確かに目撃している。とても信じられることではないが、さっきの出来事は夢ではないのだ。
だとすると、本当に今は殺し合いが行われている真っ最中なのであろうか?
……わからない。
何がなんなのか、どうしてこんなことが起こっているのか、何の目的があってのことなのか、いくら考えてみても田岡にはわからなかった。
とにかく今は警察に通報することくらいしか田岡には出来なかった。
だがもしかしたら――。嫌な予感がしないでもない。
その田岡の眼が前方の電話ボックスを捉えたのは、それから数分と掛からなかった。
飛び込むようにして扉を押し開くと、喘ぐ息を整えることもせずに受話器を上げ、緊急用のボタンを押した。短い呼び出し音のあとに応答があった。
「も、もしもし!?警察に――――」
「やあ。田岡君」
どきりとした。
電話の向こうの相手を、田岡はよく知っている。やはりそうかと内心で舌打ちした。
ごくりと唾を飲み込んでから、一応相手を確認してみた。
「安西先生……ですな?」
「はい」
田岡の予想通り、通話先に出たのは今一番聞きたくない声の主だった。
安西が電話に出たということは、文字通りの孤立無援を意味する。この島に、助けは来ないと考えるしかなかった。
田岡はもしかしたらこういうこともあるのではないかと考えていたが、それが見事に当たってしまった。
「先生が電話に出られたということは――」
「ええ、外界との連絡は一切出来ません」
言い切った安西の言葉に、田岡は計画の大きさを知らされたようだった。
島一つを用意し、連絡手段さえ断っている。安西達の用意周到さが窺えた。
「…安西先生…訊かせて頂きたい。貴方は何の為にこんなことをなさるのです?」
「ほっほっ。田岡君、君達は言われたとおりにしていればいいんです」
口調は穏やかだが、言外に余計な詮索はするなという威圧のようなものが感じられた。
「……何故赤木を殺したのです?彼は素晴らしい選手だった、貴方も彼を高く評価していたんじゃなかったんですか?」
「ほっほっほ」
「それもあんなひどい殺し方で……。理解出来ませんな」
「君に理解してもらおうとは思ってないよ田岡君。君達は誰かを殺していけばそれでいい」
「しかし安西先生!貴方は間違っ――」「死合はとっくに始まっているよ。君も断固たる決意で頑張りなさい」
電話は一方的に切られた。
まだまだ言いたいこと、訊きたいことが山ほどあったのだが、それも叶わなかった。田岡は受話器を荒々しく置いた。
(安西先生はどうかしている…)
体育館でのことでわかってはいたが、こうして言葉を交わしてみて、初めて安西が発狂していると確信した。
これからどうするのか、田岡は電話ボックスの中で立ち尽くした。
もう助けを呼ぶ手立ては無い。孤島では逃げ場も無い。
田岡はデイパックを下ろすと、名簿を引っ張り出した。
4番 魚住純
29番 福田吉兆
二人の名が田岡の眼に飛び込んでくる。二人の顔が体育館で見た赤木と重なった。
「冗談じゃない!選手をなんだと思っているんだ!!」
あまりの腹立たしさに、田岡は思わず声を荒げて叫んでいた。しかし、それが田岡の本心でもある。
辛い練習に耐え、それでもついて来てくれる選手を簡単に殺してしまう安西に、嫌悪感を覚えていたのだ。
田岡はもう一度名簿に視線を戻し、教え子二人の名を指でなぞった。
(この田岡茂一、お前達だけでも必ず守ってやるぞ!)
狭い電話ボックスの中で、田岡は大きな使命感に燃え始めていた。
【E-2/路上の電話ボックス/一日目・午前1時前後】
【男子16番 田岡茂一@SLAM DUNK】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1、魚住・福田の両人と合流、彼らを守る
「ああっ……こんなところで君に出会えるなんて。僕はなんて幸運なんだ……!」
青白い月の浮かぶ闇の夜。凛とした張り詰めた空気が辺りの温度を下げる。
その虫の声しか響かぬ静寂のよるに、場違いな歓喜の声が響いた。
声を上げたのは紳士肌着に身を包んだ、小ザッパリとした髪型の男。
彼こそが空手、ボクシング、テコンドー.....ets。あらゆる格闘技を極めし者。
そして、その境地に飽きが来ていた頃、偶然にも究極の格闘技セクシーコマンドにたどり着いた男。
―――鬼才、花中島マサルである。
彼はこの殺戮の舞台の下、偶然の再会に歓喜していた。
「てっきり僕はあの時(※1)君は死んだものだと……!
そうか。あそこ(※2)で傷を癒してたんだね!?
そうならそうと言ってくれれば。僕がどれだけ心配したと思ってるんだい!?」
言ってマサルは相棒に詰め寄り、声を荒げる。
相棒は申し訳なさそうに何度も両腕を前に合わせ、謝りの格好を取った。
「いや、分かってくれればいいんだ。僕も大声を出してすまない。
……ああ、そうだね。それじゃあまず、今後の方針を決めようか。
たしかに、モエモエや校長も心配だ。特に校長あたりは既にポックリ逝ってるかもしれない。
―――だが、それよりも……」
言って寂しげに、マサルは肩を擦る。
そこには有るはずの物が無い。
そう、彼自身のトレードマークである『アレ』が。
「―――おしゃれ泥棒だけは絶対に許さん!!
ムキィー! そんなヤツは額に肉と書いてバカにしてやるぅッ!」
マサルはまだ見ぬおしゃれ泥棒に対し、鼻息を荒げ怒りをあらわにする。
相棒はそれをたしなめるように、掌を打ちパンパンと音を響かせた。
「ハッ!? ……ああ。すまない。僕とした事が取り乱してしまったよ。
え? ふふ……確かに、お互いとんでもない事に巻き込まれたもんだ。
だけど、僕達なら大丈夫さ。
あの時(※3)もこの時(※4)も、共に力を合わせて乗り越えてきたじゃないか!」
希望を燃やし決意を述べるマサルに答えるように、相棒も力強く両腕を叩く。
その姿を見て、マサルも満足げな笑みを浮かべた。
「よし。それじゃあ、行こうか! ボナンザ!」
そういって彼は相棒を自らの肩に乗せダバダバと走り始めた。
答える相棒はモーター音を上げながら、パンパンとタンバリンを叩いた。
ジージー パンパン
ジージー パンパン
モーターとタンバリンの玩具の音が静かな夜に僅かに響いていた。
【D−5/公園近く/一日目・午前1時前後】
【花中島マサル@すごいよマサルさん】
[状態]:健康
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式 ボナンザ@すごいよマサルさん
[思考]:1.トレードマークを探す、おしゃれ泥棒は許さない。
2.モエモエ、校長を探す。
※1 野球部の試合の時のアレ。
※2 おもちゃ屋。
※3 知らない街で迷子になったとか、なんかそういうの。
※4 メシ食った後に金足りなかったとか、なんかそういうの。
天上には孤高の月。
やわらかく地上を照らす光の月は、一片も欠ける事ない円を描いていた。
完璧なる月光は微弱、夜の闇をなぎ払う力は無い。
空は暗く、地も暗い。
全てを塗りつぶす漆黒の暗闇の中、一人の男が闇を見つめていた。
その男、闇より暗く。夜よりも深い狂気を纏う。
男は支給されたデイパックから参加者名簿を取り出し、月明かりを頼りにそれ見つめる。
視線のみを滑らせ名を一つ一つ確認してゆく。
「……一条」
知った名を見つけその名を呟くも、そこに感情は見られない。
男はあくまでもクールに、感情を動かす事は無い。
一瞬止めた視線を再度滑らす。
その視線が、ある名を見つけピタリと止まった。
「………………日々野、晴矢」
先ほどは打って変わって、地の底から響くような重さを持った呟き。
見る見るうちに、その体から禍々しい殺気が放たれる。
その男の放つ余りの殺気に、空気が凍る。
「――――殺す」
グシャリと音を立てて名簿が握り潰された。
握り締めたそれを辺りに投げ捨て、男は歩き始める。
天上には孤高の月。
月の光に闇をなぎ払う力は無い。
男は行く。狂気を纏い。
男は行く。殺意を纏い。
―――その男、神崎狂は行く。
己が闇で光り輝く太陽を塗りつぶすため。
【H−3/社寄り/一日目・午前1時前後】
【神崎狂@BOY】
[状態]:健康
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式
[思考]:日々野晴矢を探し殺す
34 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/06(月) 00:35:27 ID:646+24sH
なんでサブカル板でやってんの?
35 :
(*´ω`*) ◆rcp/m4l/.o :2006/03/06(月) 00:37:27 ID:646+24sH
ところでさくらちゃんは出てこないの?
『ゲーム』の説明が終わって、ふと気がつくと桜木は森の中で倒れていた。
どうやらガスのようなもので眠らされてここに運ばれたらしい。
近くに滝の音のようなものが聞こえる以外は、何も変わったところはない。
「くそっ、一体何がどうなってんだ? 殺し合いとか言ってたような気がするが…
オヤジにしちゃあ手の込んだ冗談……冗談、じゃねえよな…あれはどう見てもゴリだった…」
見間違えるはずもない。あのゴリラに似た風貌。
それが見るも無残な肉塊に変わり果てて籠に押し込められ……そして、確かに嗅いだ血の臭い。
それは明らかに、ゴリこと赤木剛憲の『死』を意味していた。
「ゴリ……」
長いようで短かったゴリとの思い出が、桜木の脳裏をよぎる。
まだバスケのルールも知らなかった頃の初めての勝負…
辛い基礎練習の日々…リバウンドの重要さを教えてもらって…
気がつくと、桜木は涙を流していた。
「あ?なんで涙なんか流してんだ、カッコワリィ!」
慌てて涙を拭うと、桜木は改めて自分の置かれた状況について考え始めて……
――考えるのをやめた。
桜木が心に決めたことは二つ。
1、晴子さんを守る!
2、オヤジをぶっとばす!
得物として支給されたのはただのモップ。
(三井が仲間と一緒に殴りこんできた時に桜木が折ったモップだが、本人は忘れている)
少々心許ないが、何もないよりはマシであろう。
「晴子さん、待っててください!今助けに行きます!
そしてオヤジ……待ってろよ、ぶん殴ってやるからな!」
そして桜木は、とりあえず滝に向かって歩き始めた。
【3-B/森/一日目・午前1時前後】
【桜木花道@SLAM DUNK】
[状態]:健康
[装備]:モップ@SLAM DUNK
[道具]:支給品一式
[思考]:1、晴子を探す
2、オヤジをぶん殴る
「生意気な1をシめてやるッ!」
武蔵川親方が見守る中、制裁は行われた。
既に1の口には出島のサオがねじ込まれている。
「マル、コマしたれ」
そう親方が言うと、武蔵丸は稽古廻しの横から己の一物を取り出した。
優に一尺はあろうかという巨大な業物に、1はぶるっと震えた。
しかし、その恐怖とは裏腹に〜いや、1にとってはその恐怖こそが
色欲を沸き立たせるものだったのかもしれないが〜1の花らっきょうの
ような小振りの一物は痛い程にそそり立っていた。
その「花らっきょう」の皮を武双山が唇でちゅるんと器用に剥く。
武双山の口中にアンモニア臭が広がる。
そして、武蔵丸の一尺竿が1の菊門にねじり込まれていく…
四人総体重700kgを越えるド迫力の4Pファック。
喜劇はまだ、幕が開いたにすぎない。
悦楽は、ここから始まる。夜はまだ終わらない…。
38 :
(*´ω`*) ◆rcp/m4l/.o :2006/03/06(月) 22:18:26 ID:NOK9Yw5T
さくらちゃんは叫んだ
「レリーズ!!」
するとどうだろう
僕のおチンチンがレリーズしてしまったではないか
「ヘル…ビジョン……?」
夜空に浮かぶ青白い月の明かりを頼りに、中島淳一はデイパックに入っていた支給品の説明書に目を通していた。
寄せては引いていく波の音がする以外は静かなもので、辺りに人がいる気配は無い。
しかしそれでも不安で仕方がない中島は、何十秒か置きにキョロキョロと周りを見回して危険の有無を確かめるものだから、
簡単な説明書を読むだけなのにけっこうな時間が掛かっていた。
「ひ、ひぃぃぃ!…な、なんてアブないものが入ってるんだ……」
やっとのことで説明書を読み終えて『ヘル・ビジョン』の効能を知った中島は、そのあまりに危険な内容に驚き、
恐ろしさに任せてヘル・ビジョンの入った小さなポリエチレンの袋を放り投げていた。
ふわりと飛んだポリエチレンの袋は波打ち際に落ちて、押し寄せてくる波に乗って砂浜の上を行ったり来たりと繰り返している。
――ヘル・ビジョン。3粒までは精神興奮剤だが、4粒以上は痛みを取り払い強力な肉体を与えてくれる植物の種。
飲めば飲むほど肉体に驚異的な力をもたらしてくれるが、反面、身体への負担は大きくなり、場合によっては心身ともに破綻をきたす恐れもある代物。
説明書に書かれていることを要約すると、こんなところだった。
それは植物の種ではあるが、ありていに言ってしまえばドラッグとか薬物といわれるもので、中島のような目立たず地味で根暗な高校生にとって
決して手にしてはならない禁忌と教えられてきたものなのだ。
「うううう……。僕は…僕にはプロのカメラマンになるという夢があるというのに…。何故、こんなことに巻き込まれなければならないんだ……」
状況が状況だ。この非常事態に、中島の頭はひどく混乱している。
その上ドラッグなどという危険なものを手にしてしまい、中島の思考回路はメチャクチャになっていた。
中島は誰に憚ることなく泣いた。泣いてどうなるものでもないが、とにかく泣いた。
そして泣いて泣いて一頻り泣き終わったあと、急に何かを思い出したようにガバッと顔を上げた。表情に微かな希望が見てとれた。
中島は急いでデイパックを漁り始める。自分の持ち物が入っているのではないかと信じて。
だが…。
「無い!無い!無い!僕のカメラが何処にも無い!!」
デイパックをひっくり返してみても、中島が求めるモノは入っていなかった。ポケットも確かめるが、無論、そんなところに入る大きさではないのだ。
中島はガックリと肩を落とした。
α7700iでもα8800iでもいい、なんでもいいからカメラが欲しかった。
あったところで意味のないことぐらいわかっていたが、せめて大事なカメラさえあれば気持ちの一つも紛れると思った中島に、現実は厳しかった。
持ち物はポケットに入る雑貨などを除いて没収されるのが決まりなのだ。
「そ、そんな……」
なかば放心状態で呟いた。
「僕はこれからどうしたら……」
唯一の心の拠り所さえ奪われてしまった中島の虚ろに彷徨う眼が、なんとはなしに波打ち際にたゆたうヘル・ビジョンを捉えた。
中島は吸い寄せられるようにゆっくりと立ち上がると、海水に浸されていた小袋を拾い上げた。
「……い、いざとなったら…これを――」
中島は震える手でヘル・ビジョンを制服のポケットにねじ込んだ。
【G-2/浜辺/一日目・午前1時前後】
【男子19番 中島淳一@ろくでなしBLUES】
[状態]:精神的に不安定
[装備]:なし
[道具]:支給品一式・ヘルビジョン(10粒)@BOY
[思考]:1、死にたくない。
2、太尊や千秋を探す。
3、身の危険を感じたらヘル・ビジョンを使用する。
ダンカン!この野郎!おめぇ、この野郎。車回せって言ったろダンカン。この野郎、お前は。あぁ?
何で回してねぇんだ、お前は、この野郎。らっきょ、お前はー、また脱いでんのか、お前は、この野郎。
らっきょ!お前は、この野郎。パンツを履け、お前はパンツを!この野郎。うろうろすんなお前、裸で、この野郎!お前は。
嫁いんだろ、お前。この野郎!バカヤロウ!らっきょも、お前も早く車回せよ、お前。どっちか車回せよ、早く。
どっちか車回せよ。お前、この野郎!・・・なんだよ、お前、その感じ。なんだぁ、お前。
車を回せって言ってんだ、お前、らっきょ、お前。らっきょかダンカンどっちか車回せよお前、この野郎。
何で回さねぇんだお前、この野郎。コラー!ダンカン、何だお前その感じ。お前。コラー!何だよ、お前。何だお前。その、何だお前。
車を回せつってんだ!お前、この野郎ー、車回せよ、お前。この野郎。何だお前、この野郎。まあ、いいやもうお前。
おい!ラッシャー、ラッシャー、お前車回せ、お前、そんな事してんだから(?)お前。車回せよ!お前。この野郎。何だ、お前。
そのー、それは、その、その態度は何だお前。この野郎。回せよ!お前、この野郎!回せよつってんだ。この野郎。
らっきょ、お前も早くパンツ履けよ、お前!この野郎。先回してこい!車。この野郎!この野郎、何だこの野郎。
何だ、お前、その目付き、この野郎。何だ、お前。やんのか、お前!逃げるんなら、すんじゃねえよ!お前、そんな感じの、馬鹿!
何だ、お前ダンカン。まだいんのかお前。早く回せよお前、何やってんだお前。お前、いつまでそこにいんだ、お前。この野郎。
早くしろよ!お前、回せよお前。二分ぐらいですむだろ、お前、空き地。空き地に止めたろー、止めてねぇのかお前、この野郎。
止めたろ、お前が止めたろう、お前。タカー、タカー!タカー!タカちょっと、早く来い、お前、降りて来い、早くお前、そっちから。
どこにいんだ、お前、早く降りて来いよタカ!この野郎!タカ、ちょっと早く降りて来い。お前、お前、何だよ、車回せよ早く。
新作マダー?
「ふわぁ〜。よく寝たぞ。」
森の中で一人の少年が目を覚ました。
見かけこそ幼い少年・・・いや蛙といったほうが正確なのかもしれないが、
その見かけとは裏腹に、
彼こそが忍びの技と空手の武を組み合わせた格闘集団、「忍空」の1番隊隊長その人、風の「風助」であった。
ぐるぎゅるぐるぐ〜〜〜〜
けたたましい異音が彼の下腹部から鳴り響いた。
「・・・腹減ったぞ」
彼はすぐさま自分の近くに置かれてあったカバンから食料を取り出し、
ものの10分もしないうちに全て食べつくしてしまった。
「足りねえぞ・・・」
彼の常人離れした食欲に対してその食料はびびたるものであった。
「ところでここはどこなんだ・・・?殺し合い・・・とか言ってたな。
ヒロユキとトウジのやつもそういえば居たな。あいつら大丈夫かな。
まぁ、トウジは屁が臭えし、ヒロユキもウンコが臭えから大丈夫だろ」
わけのわからない理論ではあったが、風助は2人とも信頼していた。
ともに干支忍戦争を生き抜いてきた戦友だ。
こんなところでは死ぬわけはないと・・・。
それはペンギンであるヒロユキに対しても同じ感情だった。
干支忍の修行をこなしているヒロユキも通常の人間よりは遥かに強かった。
「それにしても、もう飯残ってねえのかな・・・」
カバンの中を漁ると、そこに一丁の銃が入っていた。
サブマシンガン・・・素手の相手ならばほぼ確実に殲滅できるだけの兵器。
支給された武器の中ではトップクラスの当たりであったであろう。
しかし
風助は忍空。忍空には絶対の信念があった。
その信念はこの状態であっても変わらないものであった。
「忍空に武器は必要ねえ・・・。こんなので撃たれたらいってえぞ〜。
こんなあぶねえもん、どこかに隠しといたほうがいいな」
誰も死なないように、罪の無いものが死なないように、
風助は誰にも死んでもらいたくなかった。
そう考え、彼はその場の地面を掘りそこに銃を隠した。
「ここならバレねえぞ・・・。それじゃ、他のやつを探しに行くか。
トウジの屁の臭いをみつければきっとすぐに見つかるぞ」
そういうと、木々を抜け、風とともに風助はかけていった。
風助が離れたあと、一人の男が森の木の陰から顔を出した。
「くっくっく・・・。ついてる。俺はついてるぞ!
日頃の行いがいいこの中田小平次様に神がくださった幸運だ」
中田小平次は、風助が隠したサブマシンガンをすぐさま掘り起こし、喜びに身をゆだねた。
つい先ほどまで状況の把握ができず、
殺し合いをしろという理不尽なことに怯えていた彼であった。
しかし、圧倒的な凶器、圧倒的な力を手に入れた彼は
もはや、このゲームで生き残る・・・つまりこのゲームで参加する決心をつけていた。
「これさえあれば・・・前田も・・・コロス。小平次軍団総帥はまだ死ぬわけにはいかんのだ。
そうだ・・・これは殺さなきゃならないルールなんだ。
殺しても仕方ない・・・コロシテモシカタナインダ・・・ぶつぶつ」
そのとき中田小平次の脳裏に愛していた女の顔が浮かんだ。
七瀬千秋だ。
「・・・・千秋ちゃんも・・・コロス。仕方ない。仕方ないんだ。生き残るためなんだ・・・。ハハハ・・・。」
中田小平次はその表情に狂気を宿していた。
この異常な状況に、既に心は破壊されていた・・・。
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/11(土) 20:20:02 ID:LcxIO4MO
こういう閉鎖的なスレッドの使い方はよくないよ。
【B-4/森/一日目・午前1時前後】
【男子23番 子忍の風助@忍空】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1、トウジ、ヒロユキを探す
2、誰も殺させない
【男子21番 中田小平次@ろくでなしBLUES】
[状態]:狂気に支配される
[装備]:サブマシンガン
[道具]:支給品一式
[思考]:1、全員殺して生き残る
修正
びびたる→微々たる
備考:小平次は自分の支給武器は確認はしているが、なんだったのかは次の作者に任せます。
いててててて。
固い地面で寝たためか、節々の痛みを我慢しながら起き上がる少年。
俺・・・なんでこんなところに・・・?
確か、体育館で・・・
そこまで考えると、あの体育館で起こった異常な事態が頭をよぎった。
そして殺されていた大男・・・赤木とかよばれていたか。
自分とは関係の無い人間とはいえ、初めて見る死体に恐怖し、そして怒りの念が燃え上がっていた。
できることならばあれが夢であったと思いたい。
しかし、自分が今わけのわからぬ地面で寝ていたこと、
そして首の辺りに冷たく触れる物質が、これが現実であることを伝えていた。
ハハ・・・なんでこんなことになっちゃったんだろ・・・。
自嘲気味につぶやいた。
あの体育館に連れて行かれる前は、
打倒塔矢を目指して囲碁の勉強をしていたのに・・・
いつもの日常がこれからも続くと思ってたのに・・・。
そう考えるとヒカルの頬に無意識のうちに涙が伝っていた。
それからひとしきり泣いたヒカルに不意にある考えが脳裏をよぎった。
───囲碁の勉強をしていた・・・?
そうだ・・・あの時一緒に打っていたのは・・・佐為!!
佐為!どこだ!?
「・・・ヒカル」
佐為!!いるなら早く声かけてくれよ!なんで黙ってたんだよ!
荒っぽい言い方だが、1人ではないとわかった・・・それだけでヒカルは少し安心できていた。
「すいません・・・少しこの状況について考えていたのです。
私は幽霊ですので、眠ることもありません。
しかし、あの日・・・ヒカルが体育館に連れて行かれたときのことだけはどうしても思い出せないのです。」
それって・・・?
「今はまだ・・・何もわかりません」
そっか・・・。でもまだ俺たち死んでねえじゃん!・・・ってお前は死んでるんだっけ。
ともかく、俺はここから生きて帰る。生きて帰って塔矢を碁を倒さないと死ぬに死にきれねえやい!
・・・そ、それにアカリだって泣いてるかもしれねえしな!あいつは泣き虫だからな!!
少し恥ずかしそうに、それを一息で言い切った。
それを嬉しそうに見ている佐為。
「ふふ・・・ヒカルらしいですね。そうですね・・・また碁を打ちましょう。そのためには生き残らねばなりませんね」
んじゃ、とりあえずこの島を探索してみるか!
こうして、1人とそれにつく幽霊の過酷なゲームが幕を開けた。
【E-4/原っぱ/一日目・午前1時前後】
【男子14番 進藤ヒカル@ヒカルの碁】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1、藤崎あかり、塔矢アキラを探す
2、ゲームから脱出する
『あ、畳の上・・・?』
ぼんやり認識した瞬間、白川高菜は飛び起きた。
周囲を見回し、視覚で捕らえられる範囲内は事実上無人であることを確認する。服も乱れていない。
生きていることに安堵のため息をついたとき、反射で首を触っていたことに気が付いた。無論というか首輪も無事である。
目の前が暗くなる。無ければよかったのに、強制参加は事実のようだ。
「最悪」
記憶を遡ってしまって吐きたくなるも、なんとかやりすごし、所持品を確認する。
地図。コンパス。筆記用具。食料と水。時計を腕に巻き、ランダムアイテムを引っ張り出す。
防弾シールド。
これだけ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・これだけ?
『・・・わぁ、まるで物語の中の勇者様みた〜い☆』
ウフフフフ・・・思わず遠目になり現実逃避した高菜の背景に、一瞬点描とお花畑が広がった。
本当は「お姫様」と言いたかった所だが、本能的に回避したのだ。言われるまでもなくお姫様は防弾シールドなど装備しない。
「って呆けている場合じゃ無いでしょコンチクショォォがぁぁぁ!!」
高菜は床に防弾シールドを叩きつけ勢い良く立ち上がり・・・
「(はぁ、はぁ、は・・・)・・・あたし何してんの・・・」ガビーン・・・
ヘコんだ。
『・・・逃避している場合じゃないわ。単なる痛い人じゃないんだから。
それにしても、あまりの現実にギャグを挟む余裕が無いのかしら、ツッコミが冴えないなぁ。
だとしたらキャラクター的に問題だわ。あたしはボケツッコミ可能な、ヒミツのネットアイドル(現在48銘保有)なんだから!』
「・・・ピヨ彦くんが居たらもっと的確にツッコんだのかな、」
慌てて名簿に目を通し、仲間を確認する。
『ってゆーか、もしかしたら居るかもしれない。
集められたときには見当たらなかったけど、それはピヨ彦くんの影が薄いせいかもしれないし。
気軽にツッコミあえる仲間は重要だもん。適度なボケは心を癒してくれるし。いる。きっといる、っていうか居て!!』
〜名簿〜
13番 ジャガージュン市(じゃがー・じゅんいち)
26番 浜渡浩満(はまわたり・ひろみつ)・・・・・・
「・・・やっぱいねぇ上に誰も頼りにならねぇー!!(ガビーン)」
=ツッコミ専門要員不在。+この非常時にハマーはウザい。心からウザい。
どうして主催者は、よりにもよってこの二人を選んだのか。せめてハマーは居ないで欲しかった。
いや、勿論死んで欲しいとまでは思わないが。
ブツブツと主催者に言葉にならぬ呪詛を吐きつつ(半分はハマー叩き)、高菜は半ばヤケになった。
が、しばらくして立ち上がる。ギリギリの所で腹を括ったらしい。
『仕方ない、合流したら頑張ってあたし一人でツッコむしかないわ。
立て篭もって来るか判らない助けを待つより、逃げながらジャガーさんを探そう。
なんだかんだ言ってもジャガーさんはそふとくり〜むと現在進行で戦ってるのよ(笛で)、
もしかしたら何か頼りになるかもしれない。
その前に、ここがまず何処だか確認して、家捜しして、使えそうなものを探さなくっちゃ』
「だばだばしている場合じゃない、怖い・・・怖いけど、ビビッてたら負けよ高菜。
気を抜けばこっちが殺されるかもしれないんだから――」
殺し合いの始まりにしては実に悠長に過ごせた高菜。
滑り出しの運は良かった方だろう。
一人でかなりの大声を上げたのに、マーダーも傍に居なかった。
そして今までの行動が、一般人から見て既に痛い事実を指摘する人間も、幸運なことに誰も居なかった。
【B−1/民家/一日目・午前1時前後】
【白川高菜@ピューと吹く!ジャガー】
[状態]:健康 、ややブルー、ツッコミ基本要員の覚悟
[装備]:防弾シールド
[道具]:支給品一式 ・持ち出すアイテム(備考欄参照)
[思考]:1、死にたくないが殺したくも無い(ただしまだ脱出のために動くという発想は無い)
2、場所を確認し、家の中で使えそうなものを探す (可能であれば持ち出す)
3、逃げながらジャガーさんを探す(ただし自分の命>ジャガー)
4、ハマーはウザイ
※備考:高菜が民家から持ち出すものは多くても3種類前後、
片手で防弾シールドを持っているので、小型なものにしてください。
勿論何も持ち出せなくても構いません。次の書き手さんにお任せします。
ただし食料・水分になりそうなものは基本的に不可。
【残り 50人】
眠りから目を覚ました福田吉兆は、すぐさま目の前の民家に逃げる様に飛び込んだ。
飛び込んだ福田は、月明かりも届かない部屋の角に逃げ込み、支給品の猟銃を両腕で握り締めブルブルと体を振るわせた。
「……フゥ……フゥ……フゥ」
荒い息遣いが響く。
飛び込んだ民家は狭く、六畳程の広さの部屋が一つ、部屋の区切りも無く、台所とトイレがあるだけだ。
電気は通っておらず、その部屋は暗黒が支配していた。
真っ暗な部屋を照らすのは、入り口横の窓から照らす月明かりのみ。
「……フゥ……フゥ……フゥ」
彼は精神的に強い人間ではない。
顔に似合わず、その心はガラス細工のように繊細。
ストレスに弱く、監督への不満に爆発した事もあった。
そんな精神が、殺し合いなどと言う状況に耐えれるはずが無い。
両腕に感じる固い感触。
それだけが、今の福田の精神をギリギリの所で支えていた。
「……フゥ……フゥ……フゥ」
静かな世界に自分の荒い息遣いだけが響く。
音が無いくせに耳鳴りだけがやたらに五月蝿い。
静寂は要らぬ想像をかき立て。
暗闇はただそれだけで怖い。
思考を働かせれば、浮かぶのは赤木の無残な姿。
自分もああなるのかと想像するだけで、震えが止まらない。
……ザッ……ザッ
音の無い世界に小さな音が響く。
その音にビクンと、体が反応した。
それは普段なら聞き逃す程の小さな音だったが、今この世界では何よりも大きな音。
―――人間の足音だ。
自分以外の人間。
自分と同じく殺し合いを強制された人間の足音。
足音は一歩一歩確実に、コチラに近づいてくる。
「……フゥ……フゥ……フゥ」
それが福田には、自分の命を狙う死神の足音に聞こえた。
無意識に猟銃を握る両腕に力が入る。
……ザッ……ザッ……ザッ
足音は止まらない。
このまま進めばこの民家に差し掛かるだろう。
止まれ。こちらに来るな。
福田は心からそう願う。
だが願いは叶わず、死神は彼の潜む民家の前にまで迫る。
月明かりに、死神の影が窓に映し出された。
福田は恐怖に目を見開かせその姿を見つめる。
映し出される巨大な死神の影。
全身は黒く悪魔のようだ。
この悪魔は自分を殺す。
死にたくない、死にたくない死にたくない。
自分は死にたくない。
殺されないためにはどうするのか。
腕の中には凶器があった。
なら、答えなど決まってた。
死神に向かい銃口を向ける。
頭の中にまともな思考は無い、ただ恐怖があった。
引き金を引くのは自分ではない、恐怖と狂気だ。
恐怖と狂気の導くまま、その引き金を―――引いた。
窓ガラスが割れる音が響く。
赤色が宙を舞い染める。
影絵の死神が倒れる。
撃った。
撃った、撃った、撃った。殺した。
割れるガラス越し、倒れる一瞬に影の正体を垣間見た。
夜の闇でその顔はよく見えかったが、あの影は死神などではなく、確かに自分と同じ人間だった。
そんな当たり前のことに今さら気付く。
「…………あぁ」
自分は、人を殺したのだ。
その事実が何よりも恐ろしい。
だが、倒れざま一瞬映った姿に、それよりも恐ろしい予感がする。
血を噴出し倒れていいた人を、自分は知っているのではないか?
嫌な予感よりも嫌な感覚が全身を過ぎった。
堪らずドアに向かい駆け出し、外に飛び出る。
すぐ横を見つめれば、こめかみに穴の開いた死体が一つ。
その死体を見つめる。
その顔は―――
「う…………魚……住さ、ん」
―――魚住純。
陵南高校で共に厳しい練習に励んだ仲間。
主将でありチームを、自分を引っ張ってきてくれた彼を、自分は――――殺した。
「うああああぁぁぁぁぁ!」
福田吉兆は駆け出した。
一刻も早くこの場から離れたかった。
危険など考えず叫び。ただ遠くへ、全力で逃げ出した。
【D−4/民家近く/一日目・午前1時前後】
【福田吉兆@SLAM DUNK】
[状態]:混乱
[装備]:猟銃
[道具]:支給品一式
[思考]:1.この場から逃げる。
2.死にたくない。
【魚住純@SLAM DUNK 死亡】
【残り 49人】
目覚めると、そこにはにやけた顔をした大男が寝転んでいた。
・・・?
かすれがちな視界だが、今現在は調子が良いようだ。
(オレはこんなところで何をしている?)
その見事に均整の取れた肉体、筋骨隆々といった風情のマスチフ犬・ベンが悠然と立ち上がると
その姿はまさに威風堂々といった感で、それをじっと見ていた大男の目を輝かせた。
「やあ」
・・・総大将の元に帰らねばならぬ、赤カブトとの決戦に向けて日々戦い続けている総大将の元へ一刻も早く。
「なんとまあ見事な風体だ」
・・・その為に仲間を探す旅に出た。多くの兵がいる。巨熊・赤カブトに立ち向かう為の強者が。
「おお、沢山の傷を持っているなぁ。お前も戦場を潜り抜けてきたのかね」
・・・なんだ?この男は。オレに話しかけているのか?
妙な人間だ、とでも言うようなベンと目線が合うとその大男はどっかと胡坐を掻き、おもむろに上半身を露わにした。
「俺もそうさ、俺たちは似たもの同士だなぁ。南蛮かどこか異国の動物のようだが・・・群れには収まりきらんのだろう?」
大男はニヤリと笑うと、まるで人間の女を口説くかのように優しく語りかけた。
「一緒に来んかね。お前の様な傾いた動物は初めて見る」
ベンはその笑顔に、爽やかな風が吹くのを感じた。
その存在感、力感、信頼感。ついさっき出会ったばかりのこの男に、敬愛する奥羽の総大将・リキの姿が重なって見えた。
(変わった人間だ・・・しかし赤カブトとの戦いに、人間を巻き込む訳にはいかん)
かすかに潮の香りがする。どこか海が近いのだろうか?
海沿いを歩けばいつか川に出る。水場には様々な生物が集まる。ひょっとするとはぐれた仲間も見つかるかもしれない。
ベンは大男に背を向け歩き始める。
「海へ向かうのかね?俺はお前に惚れたんだ。付いて行くさ」
そういうとそばに置かれたベンのデイパックを掴み、大男・・・前田慶次は歩き出した。
慶次は薄ぼんやりとした記憶を探る。
始めに目が覚めたのは大きな板の間だった。周りには異人風の装いをした若者たち。
死体と、殺し合いをしてもらう、という恰幅の良い人物。
武士という風でなく、公家にも思えない。どこぞの豪商かもしれない。
火縄銃のようなものを携えた多くの兵が壁際を囲む。
慶次は極力寝た振りをし続けた。
甲賀の忍びの出でもある自分をこうまで無防備にここまで連れて来た事に警戒していたのだ。
神経毒のある植物の知識や少しの耐性なら身に付けている。
その自分を全く気付かせないとは。
どこか未知の忍びの集団か、或いは異国の兵たちだろうか?
だが・・・
(今すぐにどうこうということは、無いな)
慶次の鼻に火縄の焼ける匂いは感じられなかった。
いつでも飛びかかれるようにわずかに腰を浮かし、獲物の前の猫の様なしなやかな筋肉を張り詰めさせていた。
次に目覚めたのは野晒しの土の上。
慶次は多少の驚きを隠せ得なかった。
二度までも自分は意識を手放し、尚且つ移動させられていたのだ。
何時寝首を掻かれていたとしても不思議ではない。
それを生かした挙句、殺し合いを、しろと。
「傾いたものよ」
思わず口に出る。
しかし、戦となれば負け戦であろうと喜んで飛び込んでいく慶次であっても、このような無意味な殺しはまっぴらだ、と思った。
あの真ん中でふんぞり返った(ように見えた。実際は腹の肉のせいだが)白髪の男の筋書き通りに動くつもりなど始めから無い。
「こりゃあ安西のをぎゃふんと言わせにゃぁならにゃあも」
慶次はこういう事を考えるのが好きだ。主催者の鼻を明かす様々な手を思い描きながら、ベンの後を追っていく。
【G−3/海岸へ向かう/一日目・午前1時前後】
【ベン@銀牙 -流れ星 銀-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1.水場へ向かう。
2.仲間と合流する。
【前田慶次@花の慶次】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 x2
[思考]:1.ベンの後を追いながら、今後の行動を考える。
2.主催者をぎゃふんと言わせる。
*支給品の中身はまだ確認していません。デイパックにすっぽり入る何かです。
【残り 49人】
「バオオオオオオォォーーーー!!!」
赤カブトは明らかに苛立っていた。
双子峠に築き上げた楽園は影も見えず。
目覚めたのは、だだっ広い平野だった。
熊と呼ぶには余りに不自然に肥大化したその巨体には
デイバックに入ったわずかばかりの食料は、その旺盛な食欲中枢を刺激するだけのものに過ぎなかった。
赤カブトは後足で立ち上がると、ぐるりと辺りを見回した。
部下の熊たちは、居ない。
忌々しい犬たちのリーダー・リキも、見えない。
それどころか、獲物となる動物や蟲のざわめきすら、聞こえない。
自らが絶対的な君主であった峠から、突如として引き摺り下ろされた地べたで赤カブトは・・・
古ぼけた土間の上で、銀は目覚めた。
今度はたった一匹(ひとり)。
(何故人間たちが自分を・・・?)
体育館の中での出来事は銀にはあまり興味が無かった。
とにかく、人間同士のいざこざに巻き込まれる事は無い。
銀はゆっくりと体を起こす。
真っ暗だが、納屋のようなところにいるのはわかる。
スミスは?ベンは?赤目は?モスは?
仲間の姿も匂いも、そこには何も無かった。
ただツンとした埃が鼻を刺す。
その時。
遠くの方で、かすかに何かの唸り声が聞こえる。そしてそれは銀にも聞き覚えがあった。
「これは・・・赤カブトか!」
たまらず納屋を飛び出す銀。
知らない風、知らない匂い。
奥羽とは違う、アルプスでもない、どこか全く分からない土地である事だけが分かった。
唸り声は既に消えていた。
風に巻かれて、しかも納屋の中で聞いた声は、最早どちらから流れてきたものか判別が付かなかった。
銀は走り出す。
とにかくどこかの高台へ。
ここが双子峠で無かろうと関係ない。
用心深いあの赤カブトがここに居るなら、おそらくその居場所は奥羽に似たどこかの峠だろう。
とにかく地形を見渡すためにも、仲間へ遠吠えを飛ばすためにも、少しでも高い場所を。
銀は走り出す。
灯り一つ無い集落に赤カブトは潜んでいた。
赤カブトは獰猛で凶悪な力を持っていたが、小賢しい知恵をも秘めている。
辺りが静まり返り、民家にすら光の無いこのような真夜中なら、人間に出会う危険性は低い。
よしんば出会ったとしても、猟銃すら予め用意していない人間など怖るるに足らなかった。
この凶獣は大胆にも気配の無い集落へ踏み込み、家畜を襲うつもりであった。
しかし集落内には家畜どころか猫一匹見当たらず、人間の気配も全く感じられない。
それどころか畑の野菜すら掘り起こされた後で、全く当てが外れていた。
その事が更に赤カブトの食欲と苛立ちを増大させるのだった。
それでも赤カブトは唸り声一つ立てずうつ伏せに寝転んでいる。
下手な威嚇が獲物を遠ざける事を知っていた。
赤カブトは獰猛な本性を押し殺して、待つ。
自らの領域に踏み込んでくる、哀れな獲物を喰らうために。
【G−5/集落/一日目・午前1時前後】
【赤カブト@銀牙 -流れ星 銀-】
[状態]:やや空腹
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1.腹を満たす
2.当面は獲物を待つ
3.獲物の気配が無ければ動く
*赤カブトの食い散らかした後の破れたデイパックと【支給品キセル@花の慶次】は
【G−4/平野】に赤カブトの涎まみれで放置してあります。
【C−4/平野/一日目・午前1時前後】
【銀@銀牙 -流れ星 銀-】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1.地形を見渡せる高い所へ行く
2.赤カブトを倒す
3.仲間を見つける
*銀の支給品は【C−4】周辺の民家に置き去りにしてあります。
【残り 49人】
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/16(木) 15:10:26 ID:Ugq8Bazv
保守
「前田慶次……」
ひっそりと静まり返った山中――。カルロスは忌々しげに吐き捨てた。
あの体育館でのことを思い出す。
間違いない。あそこには確かに慶次の姿があった。
あの場で決着をつけたがる自分を辛うじて抑えられたのは、余計な邪魔をされずに慶次と決着をつけたかったからに他ならない。
あの安西とかいう男の言いなりになることは腹立たしかったが、それ以上に、カルロスの慶次に対する執念は強かったのだ。
カルロスは軽く頬を撫でた。松風に蹴られた箇所だった。
出来れば慶次と一緒にあの悪魔の馬も片付けてしまいたかったが、どうやらそれは叶わないらしい。
あの場に松風と呼ばれた巨馬の姿は無かったようだ。
だが、それでも十分だった。
(前田慶次と決着さえつけられれば……)
カルロスは慶次との再戦を想い、自分が武者震いするのを感じていた。
「太尊の奴…何処におるんや」
前田文尊は息子の身を案じている。
まさか人を殺すような馬鹿な真似も、殺されるような阿呆でもないと思うが、そこはやはり文尊とて人の親だけあって息子のことが心配だった。
もしも太尊が人を殺すような馬鹿であったならば、その時は自分が引導を渡してやらなければならない。
場合によっては、償いの意味で息子を己が手にかけることがあるかもしれない。文尊は、そこまでの覚悟をして太尊の行方を捜している。
「まあ心配無いだろうが、なんにしても早く捜しだすことや」
そう言って、文尊は山肌を踏んでいく。
頭上を覆う木々の枝の所為で月光が入り込む余地は無く、山の中は漆黒の闇が支配している。
一歩足を踏み外せば急な斜面を転がり落ちてしまう危険を、文尊は灯り一つ持たずに歩くのだ。
もちろん道など無い。獣道だ。
持ち前の人間離れした驚異的な体力が、その視界の悪さと足場の悪さを補った。
下が見えないために足を滑らせるようなことがあっても、粘り強い足腰が幾度となく文尊を救った。
「ふぅ……。難儀なもんやな」
額に浮いた汗を拭い、文尊は息子の無事を祈った。
パキッパキッ!
一歩踏み出す毎に枯れ枝を踏み、小さな音が闇に洩れる。
なにも焦ることはないのだと、カルロスは逸る自分を言い聞かせるように静かにその場に腰を下ろした。
(焦ることはない。慶次が簡単に誰かに殺されるようなタマではないのは、二度も手合わせしてみて十分にわかっているではないか)
あの強さは本物だ。
『いくさ人』の恐ろしさは、身を持って知っていた。
「前田慶次……」
カルロスはまた慶次の名を口にする。
が、今度は忌々しそうにではなく、旧友を懐かしむような響きさえ含んでいる。心なしか顔に薄い喜色の色が刷かれていた。
日本に来て、カルロスは慶次と出会った。
それは決して素晴らしい出会いなどではなかった。
与四郎を追い、与四郎を殺すために乗り込んだ場に慶次がいた。そういう戦いの場での出会いである。
後に利沙という一人の女を二人で争うことになったのだから、これこそ運命だったのかもしれない。
初めはイスパニアの陰謀を知った慶次を殺さなければならないと使命感に燃えていたが、今は違う。
純粋に慶次という男に興味を持ち、そして利沙を賭けて慶次と戦いたかった。
今やカルロスにとって慶次という存在は母国イスパニアのために倒さなければならない敵であると同時に、自分自身のために倒す敵となっていた。
「フッ……慶次、また会えるのが楽しみだ」
カルロスが笑った。心の底から楽しみにしている嬉しそうな笑顔だった。
履いていた下駄の歯が土や落ち葉を噛み、このままでは歩き難いと考えた文尊は、仕方なく下駄を脱いだ。
脱いだ下駄はデイパックに仕舞い込み、裸足になって歩き始める。
山の中ではその方が歩き易く、初めから脱いでいれば良かったと文尊は悔いる。
「うーむ…」
それにしてもと、唸り声を上げて立ち尽くす。
今まで勘に任せて歩いてきたはいいが、本当にこっちでいいのだろうか…。文尊に小さな疑念が湧く。
何処に行けば太尊に会えるというアテこそ無いが、山に深く潜っていても会えるという保証は無い。
それどころか、山は身を隠すのに適していてもあの馬鹿息子が木陰で大人しく隠れている図は想像しづらいものがある。
「…降りるか」
文尊はそう決めると、自慢の健脚を見せて斜面を駆け下りだした。
ある程度開けた場所、そこだけ木々が生えておらず、カルロスはこの島に連れて来られて初めて空を見た。
濃紺の空に白い月が映え、なかなかに美しい眺めだった。
(こんな夜空を利沙と共に見ることができたら……)
どんなに幸せなことだろうか。カルロスは利沙の美しい姿を思い描く。
自分を助けてくれたあの日から恋焦がれてきた東洋の秘宝――。慶次とは違った意味で利沙との再会を望んでいた。
早く利沙に会いたい、利沙をこの手で抱きしめたい、想いだけが募っていく。
世界の王になるのと同じくらい、世界一の女を手に入れることには意味がある。利沙には十分その資格も価値もあった。
(これが全て終われば、すぐにでも利沙に会いに琉球へ向けて船を出そう)
何を土産として持って行けば利沙は喜んでくれるんだろう――。
そんなことを考えるだけでカルロスの心は満たされた。
「ぬおおおおぉぉぉぉぉ!!」
そのカルロスの楽しみを奪うように、絶叫と共に山の上の方から何かが駆け下りてくる。
その獣じみた動きに、カルロスは『それ』が只者ではないと見抜いた。
『手(てい)』の独特の構えを取って、万一に備える。
「ぬおおおおぉぉぉぉぉ!!」
しかし予想に反し、絶叫はカルロスの脇を駆け抜けていった。
と――。
数メートルほど行き過ぎてからようやく止まり、くるりと向き直ってカルロスのもとに登ってきた。
どうやら勢いがつき過ぎて急には止まれなかっただけらしい。
「おう、兄ちゃん、ちと訊きたいことがあるんやが――」
文尊が言った。
駆け下りてきたのは、当然のことだが文尊なのだ。
「学ラン来た高校生を知らんか?名前は前田太尊言うんやが、髪はこうリーゼントに固めとって……ってなんや、外人かい」
そこで初めて相手が外国人だとわかった文尊は、英語で話しかけられたらどうしようと無様に慌てた。
だが『前田』の二文字に、カルロスの方は目つきが変わる。
「前田と言ったか?」
言葉もわからないだろうと思っていた外国人が、以外に流暢な日本語を操るのに驚き、文尊は拍子抜けする。
「なんや、日本語喋れるんかい。だったら最初から……ん?太尊を知っとるんか?」
「太尊…?そうか、人違いか……」
(慶次ではなかった……)
カルロスは、さも残念そうに落胆する。
焦るな、逸るなと自制していても、慶次とケリをつけたい衝動は抑えきれないということだろうか。
文尊は不思議そうにカルロスの様子を見ていたが、太尊の行方を知らない以上、カルロスに用は無い。
ゲームに乗ってこの場でカルロスを殺してしまおうなどとはこれぽっちも考えていないのだから、尚更だった。
「邪魔したな」
この場にいる理由の無くなった文尊は、再び山を駆け下りようとカルロスに背を向けた。
「……一つ訊く。お前が信じている神は?」
その背に向けて、カルロスが訊いた。これはカルロスにとって重要な問いである。
降りかけていた足をピタリと止め、文尊が振り向いた。
「たわけい!わしは坊主じゃ!!」
返答の代わりに、苛立たしげに怒鳴った。
冷たい目をしてカルロスが文尊を見下ろす。
急に空気が張り詰めた。
文尊もそれを肌で感じ取り、カルロスを敵と認識したようだった。
二人の位置としては斜面の上側にカルロスが陣取り、下側に文尊がいる。地の利はカルロスにある。
しばらくお互いを見つめあう。
先に口を開いたのはカルロスだった。
「神はゼウスのみ。他のものを信じる者はみな悪魔の使い」
そう言って、カルロスは胸前で十字を切る。
文尊は何を言ってるのか意味がわからず、小首を傾げてカルロスを見ていた。
「悪魔の使いよ、滅びよ!」
カルロスの形相が一変し、憤怒の形相となった。日本に来た本来の目的を、今果たそうとしている。
空手でいうところの抜き手が、凄まじいまでの速さで文尊を襲った。
まだ敵と認識しただけで争うつもりなど無かった文尊にとって、それは唐突な攻撃だった。
「うおっ!」
文尊は上体を大きく反らすことで抜き手を躱す。
だがカルロスはそれを予測していたように、ガラ空きになった文尊の脇腹にミドルキックを蹴り込んだ。
ミシミシミシッ!
肋骨の軋む音を聞きながら、文尊は蹴られた反動を利用して後ろに飛び退いた。
骨は折れていないようだったが、腹部への強烈な攻撃はじわじわとあとから効いてくることだろう。
一瞬苦しそうな表情を文尊が見せた。
「ほう、俺の蹴りを喰らって立っているか。フフ……倭人には面白い奴が多いな」
「黙れ阿呆。不意打ちなぞ汚い真似をしおって…」
文尊は脇腹を押さえ、搾り出すように言った。
額に深く刻まれた皺の下、文尊の鋭い眼光がカルロスを射抜く。
「……お前はアレか、殺し合いに乗ったちゅーことか?」
言い逃れは許さない。
文尊の口調にはそうした厳しいものがあった。
「そんなところだ」
「止めえ!そんなくだらんことは…。お天道さんも泣いてはるで」
「ふん、俺は元々そのつもりで日本に来たのだ。ゼウスを信じない悪魔の使いを殺しにな」
「……どうあっても乗るちゅーんかい?」
「そう言ったはずだ。俺には戦う理由がある」
「……じゃあわしが止めたる!」
文尊が飛んだ。
「ほっ!」
空中で一度背を向けたかと思うと、次の瞬間には抉るような角度から放たれた蹴りがカルロスの胸を捉えた。
鬼のローリングソバット――。
太尊にも教え込んだ一撃必殺の大技だ。
本当は顔面にでも決めたいところだったが、斜面の上にカルロスがいたためにその高さで精一杯だった。
「がはっ……!」
直撃したカルロスの巨体が、仰向け様に倒れる。
文尊はその機を見逃さない。
倒れたカルロスの腹に、文尊の全体重を乗せた第二撃・ダイビングボディプレスが追撃する。
ドスンと大きな音がして、文尊がカルロスの上に落ちた。
文尊はすかさずマウントを取り、握った拳でカルロスの頭を軽く小突いた。
「どや、止める気になったか」
カルロスを見下ろし、文尊が勝ち誇ったように笑った。
そんな文尊を見上げてカルロスも笑う。
「なるほど……ただの悪魔の使いではないようだ」
「往生際の悪い奴やのォ。ほれ、お前の負けじゃ」
この体勢からは抜けられまい。文尊はそう思っている。
「甘いな、倭人」
カルロスは上に乗った文尊の足を掴むと、その手に力を籠めた。
ぐぐぐっと文尊の身体がゆっくりと浮き上がる。カルロスはそのまま一気に押し上げた。自身も立ち上がる。
「うお……?!」
驚きの声を上げるが、文尊は足を掴まれていて思うように動けない。
立ち上がったカルロスは、更に高く文尊を担ぎ上げた。
「ちょっと待て……!やめ――――」
文尊の静止に構わず、担ぎ上げた高さから文尊の身体を思い切り地面に叩きつけた。
「ぐわ……!」
文尊の意識が一瞬飛ぶ。
カルロスは倒れた文尊に蹴りを入れておきながら、今度は首根っこを掴んで持ち上げた。
「お前の負けだ。詰めが甘かったな」
有利な状況を作り出していたにもかかわらず、殺そうともせずに勝ち誇っていた文尊へのあてつけだった。
カルロスが抜き手の構えを見せた。
普通の人間の頭蓋くらいならば容易に貫き通してしまう威力を秘めている抜き手をだ。
「く……!はッ……」
首を掴まれた文尊は必死な抵抗を見せるが、カルロスの大きな手はそれを許さない。がっしりと掴んだ文尊の首を離そうとはしなかった。
「アディオス…」
無情にも抜き手を繰り出した。
繰り出された抜き手は深々と文尊の胸板を貫いた――――はずだった。
「ぐぬぅ!」
意外にもカルロスが腕を引っ込める。文尊を掴んでいた手も放した。
抜き手を放った指が、数本折れていた。
「……さすがに『これ』は貫けんかったようだな」
ごほごほと咳をして、カルロスから離れた文尊は掴まれていた首を擦った。
それから着ていた着物の前をはだけさせ、ぶ厚い大胸筋の上に着込んでいた『防弾ジャケット』をとんとんと指で叩く。
「どうやら、仏さんはわしに味方しとるらしい」
文尊は大きく振りかぶった。
折れた指を庇っていたカルロスを、渾身の力で殴り飛ばす。
「阿弥陀仏の御手のままに!!」
――――――
――――
――
吹き飛ばされたカルロスの身体は、急な斜面を転がり闇に消えた。
文尊はしばらくの間その闇を睨みつけていたが、カルロスが再び姿を現すことはなかった。
あれくらいで死ぬようなことはまず無いだろうが、文尊には追って行って止めを刺す気にはなれなかった。
――詰めが甘い。
カルロスの言った皮肉を思い出す。
だが気にしなかった。
何を言われても、何をされても、仏に仕える身として、文尊は人を殺そうとは思わない。
不殺の誓い――。
そんな格好良いものでもなかったが、そう決めた。
誰も殺さず、誰も死なせず、そして家に帰ろう。
「あーしんど……。わしも年やな」
ぽんぽんと着物の埃を払い、近くに放り出していたデイパックを拾い上げた。
「ん?」
月の明かりが、もう一つのデイパックを照らしていた。
「貰っておくか」
それも拾い上げると、文尊はカルロスが消えた斜面とは別の方向に進路を取った。
折れ曲がった指を、カルロスは無理やり真っ直ぐに伸ばした。
痛みはひどかったが、怒りがそれを忘れさせた。
「前田……ッ!!」
前田太尊という男を、息子と呼んだあの男――。
恐らくあの男も前田なのだろう。
自分はつくづく『前田』に縁がある。そう思った。
「……アスタ・ラ・ビスタ」
自分が滑り落ちてきた上方へ向かい、カルロスはそう呟いて闇に溶けていった。
辺りは怖いくらいに静かだった。
【H-1/山中/一日目・午前1時30分頃】
【男子7番 カルロス@花の慶次〜雲のかなたに〜】
[状態]:右手中指・人差し指を骨折(応急処置済み)。擦り傷・切り傷多数(行動に障害は無い)。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1、慶次・文尊と決着をつける。
2、悪魔の使いを皆殺しにする。
【H-1/山中/一日目・午前1時30分頃】
【男子34番 前田文尊@ろくでなしBLUES】
[状態]:腹部にダメージ(しばらく休めば問題無し)。
[装備]:防弾ジャケット
[道具]:支給品2セット
[思考]:1、太尊との合流。
2、ゲームに乗る者を止める。
3、誰も殺さない。誰も死なせない。
※なお、カルロスの支給品については文尊は未確認。
【残り 49人】
ヌチャヌチャヌチャ
「はぁ…はぁ…」
グチョグチョグチョ
「はぁ…はぁ…」
H-5にある灯台の内部で二人の男女が絡み合っている。
上に乗っている男がしきりに腰を振っていた。
男の手には一丁の銃が握られていた。
「あぁ…イク…!!!!」
男がより力強く腰を振り、痙攣しながら女の中に夥しい量の精液を放った。
「はぁはぁはぁはぁ…」
射精をした快感に男は挿入したまま放心していた。
制服を無残に引き千切られた女は遂に一言も口を利かず、虚ろな目をして天井を見上げていた。
「へへへ、気持ち良かったぜ」
女の中から引き抜いて後処理をし、制服のズボンを穿くと男は、女の口に無理やり自分の口をあてがって舌をねじ込んだ。
女の口の中を舌で散々に犯しておいてから男は離れた。
「悪く思わないでくれよ。殺されなかっただけマシだと諦めてくれ」
身動きしない女にそれだけ言って男は灯台を出た。
一人だけ残された女は、男が出て行った後も同じようにしていたが、暫くしてから露わになった胸元をかき合わせた。
無理に脱がされて伸びてしまったブラを付け直して、足首まで下ろされたパンツを穿き直した。
パンツを穿くと、中から男の精液が零れて来て、女のパンツを汚した。
女はそれで初めて犯された実感を持った。
女の目から涙が溢れた。
ふらふらと立ち上がると女は、デイパックを拾い上げて灯台を出て行った。
女の腿を伝う精液が白かった。
【H-5/灯台付近/一日目・午前1時30分頃】
【男子18番 寺谷靖雅@I"s】
[状態]:健康
[装備]:ワン・オブ・サウザウンド(S&W41マグナム58)@CITY HUNTER
[道具]:支給品一式
[思考]:1、知り合いを探す
2、女を犯しまくる
【H-5/灯台/一日目・午前1時30分頃】
【女子1番 赤木晴子@SLAM DUNK】
[状態]:兄を殺された影響で精神的ショック
レイプされ精神的ショック
ヴァギナに裂傷
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1、何も考えられない
【残り 49人】
主催者:安西光義(SLAMDUNK)・近藤真彦(ろくでなしBLUES)
みせしめ:赤木剛憲 (SLAMDUNK)
■SLAM DUNK 7人
【桜木花道・三井寿・赤木晴子・高宮望・田岡茂一・魚住純・福田吉兆】
■ろくでなしBLUES 7人
【前田太尊・七瀬千秋・中田小平次・中島淳一・大場浩人・川島清志郎・前田文尊】
■花の慶次〜雲のかなたに〜 4人
【前田慶次・カルロス・骨・奥村助右衛門】
■ 6人
【瀬戸一貴・葦月伊織・秋葉いつき・磯崎泉・麻生藍子・寺谷靖雅】
■すごいよマサルさん 3人
【花中島マサル・北原ともえ・さかきばらのぶゆき】
■ピューと吹くジャガー 3人
【ジャガージュン市・浜渡浩満・白川高菜】
■CITY HUNTER 5人
【冴羽リョウ・槇村香・伊集院隼人・野上冴子・ミックエンジェル】
■銀牙 -流れ星 銀- 3匹
【流れ星銀・ベン・赤カブト】
■NINKU -忍空- 3人
【子忍の風助・巳忍の橙次・ヒロユキ】
■ヒカルの碁 3人
【進藤ヒカル・塔矢アキラ・藤崎あかり】
■BOY 5人
【日々野晴矢・一条誠・伊部麗子・神崎狂・山ノ上春香】
■レベルE 1人
【バカ=キ=エル・ドグラ王子】
【男子】
1番 赤カブト(あか・かぶと) 20番 中島淳一(なかじま・じゅんいち)
2番 伊集院隼人(いじゅういん・はやと) 21番 中田小平次(なかた・こへいじ)
3番 一条誠(いちじょう・まこと) 22番 流れ星銀(ながれぼし・ぎん)
4番 魚住純(うおずみ・じゅん) 23番 子忍の風助(ねにんの・ふうすけ)
5番 大場浩人(おおば・ひろと) 24番 バカ=キ=エル・ドグラ王子(ばか・き・える・どぐらおうじ)
6番 奥村助右衛門(おくむら・すけえもん) 25番 花中島マサル(はななかじま・まさる)
7番 カルロス(かるろす) 26番 浜渡浩満(はまわたり・ひろみつ)
8番 川島清志郎(かわしま・きよしろう) 27番 日々野晴矢(ひびの・はれるや)
9番 神崎狂(かんざき・きょう) 28番 ヒロユキ(ひろゆき)
10番 冴羽リョウ(さえば・りょう) 29番 福田吉兆(ふくだ・きっちょう)
11番 さかきばらのぶゆき(さかきばら・のぶゆき) 30番 ベン(べん)
12番 桜木花道(さくらぎ・はなみち) 31番 骨(ほね)
13番 ジャガージュン市(じゃがー・じゅんいち) 32番 前田慶次(まえだ・けいじ)
14番 進藤ヒカル(しんどう・ひかる) 33番 前田太尊(まえだ・たいそん)
15番 瀬戸一貴(せと・いちたか) 34番 前田文尊(まえだ・もんそん)
16番 田岡茂一(たおか・もいち) 35番 三井寿(みつい・ひさし)
17番 高宮望(たかみや・のぞみ) 36番 ミックエンジェル(みっく・えんじぇる)
18番 寺谷靖雅(てらたに・やすまさ) 37番 巳忍の橙次(みにんの・とうじ)
19番 塔矢アキラ(とうや・あきら)
男女計/50名
主催者:安西光義(SLAMDUNK)・近藤真彦(ろくでなしBLUES)
みせしめ:赤木剛憲 (SLAMDUNK)
■SLAM DUNK 7人
【桜木花道・三井寿・赤木晴子・高宮望・田岡茂一・魚住純・福田吉兆】
■ろくでなしBLUES 7人
【前田太尊・七瀬千秋・中田小平次・中島淳一・大場浩人・川島清志郎・前田文尊】
■花の慶次〜雲のかなたに〜 4人
【前田慶次・カルロス・骨・奥村助右衛門】
■I"s 6人
【瀬戸一貴・葦月伊織・秋葉いつき・磯崎泉・麻生藍子・寺谷靖雅】
■すごいよマサルさん 3人
【花中島マサル・北原ともえ・さかきばらのぶゆき】
■ピューと吹くジャガー 3人
【ジャガージュン市・浜渡浩満・白川高菜】
■CITY HUNTER 5人
【冴羽リョウ・槇村香・伊集院隼人・野上冴子・ミックエンジェル】
■銀牙 -流れ星 銀- 3匹
【流れ星銀・ベン・赤カブト】
■NINKU -忍空- 3人
【子忍の風助・巳忍の橙次・ヒロユキ】
■ヒカルの碁 3人
【進藤ヒカル・塔矢アキラ・藤崎あかり】
■BOY 5人
【日々野晴矢・一条誠・伊部麗子・神崎狂・山ノ上春香】
■レベルE 1人
【バカ=キ=エル・ドグラ王子】
カチ――カチリ――
人けも無くさらさらと静かに流れゆく川の清流の音に包まれている狭い河川敷。
そこに小さく規則正しく繰り返し鳴り響く固い音。
カチ――
そこには…まるで瞑想しているかのように静かに瞳を閉じたまま砂利の地面に正座し、大きく平たい岩盤に向かっていくつもの小石を並べ続ける少年の姿があった。
その名は塔矢アキラ。
その少年の体から発せられている静かで穏やかなオーラは、とても『殺し合いの場』に放り込まれた人間の物であるとは思えないような…そんな雰囲気である。
カチ…!
(…これで…詰みだ)
真っ直ぐに伸ばされた人差し指と中指に挟んだ小石を力強くそこに置き、しばらくしてようやく少年は眼をゆっくりと開く。
(…殺し合い、か。そんな事してまで生き残るつもりは無い。僕は碁の世界に生きる者だ、ならば最後まで碁の世界の人間として生きて…死んでやるさ…!)
誰もいない虚空を眉をつり上げて強く睨みつけ、フ…と大きく息をついた後に緩やかに身を起こし立ち上がり、荷物を背に負って足を動かし始める。
(進藤……君はどうするんだ?このゲームに乗ったりはしないだろうが…怯えているか?それとも、生き残るために戦うか?)
少年は思う。
昔『完敗』させられて以来その背を追い続けてきたライバルの事を。
少年の心には暗い影など全く無い。
殺し合いなど…他の誰かがしていればいい、自分には関係ない。
ただ…願わくば、死ぬ前に進藤ヒカルに会いたい。会って一局だけ打ちたい。
そんな悲しく小さな願い、いや…少年にとっては何物にも代え難い大きな願いを胸に宿し、歩み始める。
(…死ぬ前にするべき事は決まった。なら、後はそれをするだけだ。どんな手段を使ってもだ。もし邪魔する相手がいるなら…その時は…ッ!)
少年は気付いていなかった。
小さく、本当に小さく、その胸に宿り始めた…狂気と呼べる物を。
いや、それは狂気と呼ぶにはまだ早すぎるかもしれない、そんなごく小さな不純物。
大きな決意と小さな違和を心に抱えた少年は、これからどこへ向かうのか。
【C-3/河川敷/一日目・午前2時頃】
【塔矢アキラ@ヒカルの碁】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]:荷物一式(支給品不明)
[思考]進藤ヒカルを探す(どんな手段を使っても?)
89 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/03/23(木) 13:24:00 ID:xK6PKYN4
診察所のベッドで一人たたずむ男がいた。
バカ=キ=エル・ドグラ、天才的な頭脳と類まれな性格の悪さを持つ男であった。
彼は地球ではない、地球よりも遥かに発達した惑星であるドグラ星の王子である。
「ふむ・・・実におもしろい。僕はある程度の薬の知識はあるが、無味無臭、オマケに即効性もあり、更に言えばガスマスク等をつけていなかった主催者と呼ばれる男たちに影響が及ばないような限られた範囲のみに及ぶ薬は知らない。
地球人がそんな薬を開発したとは思えないが・・・。
それ以上におもしろいのが、この『ゲーム』さ。このゲームの主催者は僕とよく思考が似ている。
以前、僕が子供たちに強制的に参加させたゲームに良く似ているな。
まぁ、僕は殺し合いなんて無粋な真似はさせないけどね(笑)。こんな辺境の惑星でこんなゲームに参加できるとは思っても見なかったよ。」
彼に気負いはなかった。
彼にとって人生は暇つぶし。いかに己を楽しませることができるか、ただそれだけであった。
そんな中でこのゲームは自分にとって最高の暇つぶしになる、そういう予感がしていた。
これから起こることを考えると、つい口元が緩んでしまう自分に気づいた。
「さて、どうしようかな。無論、死ぬつもりはないんだけどなぁ。このまま主催者達のいいなりっていうのも気に入らないしなぁ。
この首輪は・・・」
そういって、首につけられた金属製の物質に手を伸ばす
「・・・ちょっと解除は難しそうだな。これがあるうちはうかつには脱出できないなぁ。まぁ、生き残ったあとに主催者を恐怖のドン底に叩き落すっていうのでもいいんだけどね。
ま、ひとまずはこのゲームを楽しんでみようかな」
そういうと、支給されていた指輪、
トリカブトの毒が塗ってある針がついた凶悪な指輪をはめ、診療所を出て行った。
【D-2/診療所/一日目・午前1時前後】
【バカ=キ=エル・ドグラ王子@レベルE】
[状態]健康
[装備]トリカブトの指輪
[道具]荷物一式
[思考]1.ゲームに乗ってみる(殺人もいとわない)
2.できるならば脱出
3.主催者を恐怖のドン底を味あわせる
診察所のベッドで一人たたずむ男がいた。
バカ=キ=エル・ドグラ、天才的な頭脳と類まれな性格の悪さを持つ男であった。
彼は地球ではない、地球よりも遥かに発達した惑星であるドグラ星の王子である。
「ふむ・・・実におもしろい。あの会場での催眠ガス・・・あれは僕のよく知るガスだな。
恐らくは麻酔剤のフェンタニールを主成分としたガス。随分前にロシアの特殊部隊が用いていたものだな。ただ即効性を持っている点から他にも混ぜているのかな・・・。
まぁ、それはいい。それよりも、あの場所へ連れてこられるまでだ。
僕の住処の周りには、地球人の技術を遥かに上回るセキュリティシステムを張り巡らしていたのに、僕を誘拐できたこと。
それも、僕に気取られることもなく・・・。体育館で使用されたガスなんかとは比べ物にならないような高性能な麻酔ガス・・・か?そんなものが地球の技術でできるわけが・・・。
そもそも、この主催者は何者だ?
目的はなんなんだ?
その辺も後々主催者どもからたっぷり聞かせてもらおうかな・・・たっぷりとね。」
そこには主催者以上の悪魔の笑みを浮かべた男がいた。
さらった相手が悪かったな・・・さもそう言わんがのごとく。
「それにしてもこの『ゲーム』はなかなかおもしろい。このゲームの主催者は僕とよく思考が似ている。
以前、僕が子供たちに強制的に参加させたゲームに良く似ているな。
まぁ、僕は殺し合いなんて無粋な真似はさせないけどね(笑)。こんな辺境の惑星でこんなゲームに参加できるとは思っても見なかったよ。」
彼に気負いはなかった。
彼にとって人生は暇つぶし。いかに己を楽しませることができるか、ただそれだけであった。
そんな中でこのゲームは自分にとって最高の暇つぶしになる、そういう予感がしていた。
これから起こることを考えると、つい口元が緩んでしまう自分に気づいた。
「さて、どうしようかな。無論、死ぬつもりはないんだけどなぁ。このまま主催者達のいいなりっていうのも気に入らないしなぁ。
この首輪は・・・」
そういって、首につけられた金属製の物質に手を伸ばす
「・・・ちょっと解除は難しそうだな。これがあるうちはうかつには脱出できないなぁ。まぁ、生き残ったあとに主催者を恐怖のドン底に叩き落すっていうのでもいいんだけどね。
ま、ひとまずはこのゲームを楽しんでみようかな」
そういうと、支給されていた指輪、
トリカブトの毒が塗ってある針がついた凶悪な指輪をはめ、診療所を出て行った。
【D-2/診療所/一日目・午前1時前後】
【バカ=キ=エル・ドグラ王子@レベルE】
[状態]健康
[装備]トリカブトの指輪
[道具]荷物一式
[思考]1.ゲームに乗ってみる(なるべく殺人はしない)
2.できるならば脱出
3.主催者を恐怖のドン底を味あわせる
※思考1について
「だって殺すとつまんないんだもん」と思っている
>>93 更に修正
トリカブトの指輪→トリカブトの指輪@BOY
>>45の修正
カバンの中を漁ると、そこに一丁の銃が入っていた。
コルト・ローマンMkV・・・素手の相手に対して圧倒的な強さを持つであろう兵器。
支給された武器の中ではトップクラスの当たりであったであろう。
しかし
風助は忍空。忍空には絶対の信念があった。
その信念はこの状態であっても変わらないものであった。
「忍空に武器は必要ねえ・・・。こんなので撃たれたらいってえぞ〜。
こんなあぶねえもん、どこかに隠しといたほうがいいな」
誰も死なないように、罪の無いものが死なないように、
風助は誰にも死んでもらいたくなかった。
そう考え、彼はその場の地面を掘りそこに銃を隠した。
「ここならバレねえぞ・・・。それじゃ、他のやつを探しに行くか。
トウジの屁の臭いをみつければきっとすぐに見つかるぞ」
そういうと、木々を抜け、風とともに風助はかけていった。
>>46の修正
風助が離れたあと、一人の男が森の木の陰から顔を出した。
「くっくっく・・・。ついてる。俺はついてるぞ!
日頃の行いがいいこの中田小平次様に神がくださった幸運だ」
中田小平次は、風助が隠したコルト・ローマンMk-Vをすぐさま掘り起こし、喜びに身をゆだねた。
つい先ほどまで状況の把握ができず、
殺し合いをしろという理不尽なことに怯えていた彼であった。
しかし、圧倒的な凶器、圧倒的な力を手に入れた彼は
もはや、このゲームで生き残る・・・つまりこのゲームで参加する決心をつけていた。
「これさえあれば・・・。小平次軍団総帥はまだ死ぬわけにはいかんのだ。
そうだ・・・これは殺さなきゃならないルールなんだ。
殺しても仕方ない・・・コロシテモシカタナインダ・・・ぶつぶつ」
中田小平次はその表情に狂気を宿していた。
この異常な状況に、既に心は破壊されかけていた・・・。
そんななか、中田小平次の脳裏に愛していた女の顔が浮かんだ。
「・・・・千秋ちゃん・・・」
「・・・守らなきゃ。俺が・・・守らなきゃ。前田なんかに任せてられねえ・・・。
俺が、千秋ちゃんを守るんだ」
一度は破壊されかけた心、しかし、小平次の千秋に対する感情が本物の愛であったがために
彼は踏みとどまることができた。
愛するものを守ろう、ただそれだけのために中田小平次はもう一度コルト・ローマンMK-Vを強く握り締めた。
【B-4/森/一日目・午前1時前後】
【男子23番 子忍の風助@忍空】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1、トウジ、ヒロユキを探す
2、誰も殺させない
【男子21番 中田小平次@ろくでなしBLUES】
[状態]:精神的に少し疲労
[装備]:コルト・ローマンMk-V@シティハンター
[道具]:支給品一式
[思考]:1、千秋ちゃんを守る
>>96更に修正版
風助が離れたあと、一人の男が森の木の陰から顔を出した。
「くっくっく・・・。ついてる。俺はついてるぞ!
日頃の行いがいいこの中田小平次様に神がくださった幸運だ」
中田小平次は、風助が隠したコルト・ローマンMk-Vをすぐさま掘り起こし、喜びに身をゆだねた。
つい先ほどまで状況の把握ができず、
殺し合いをしろという理不尽なことに怯えていた彼であった。
しかし、圧倒的な凶器、圧倒的な力を手に入れた彼は
もはや、このゲームで生き残る・・・つまりこのゲームで参加する決心をつけていた。
「あらかじめ装填されている弾数は6発・・・。予備の弾数が30発で計36発。
十分だ・・・これさえあれば・・・。小平次軍団総帥はまだ死ぬわけにはいかんのだ。
そうだ・・・これは殺さなきゃならないルールなんだ。
殺しても仕方ない・・・コロシテモシカタナインダ・・・ぶつぶつ」
中田小平次はその表情に狂気を宿していた。
この異常な状況に、既に心は破壊されかけていた・・・。
そんななか、中田小平次の脳裏に愛していた女の顔が浮かんだ。
「・・・・千秋ちゃん・・・」
「・・・守らなきゃ。俺が・・・守らなきゃ。前田なんかに任せてられねえ・・・。
俺が、千秋ちゃんを守るんだ」
一度は破壊されかけた心、しかし、小平次の千秋に対する感情が本物の愛であったがために
彼は踏みとどまることができた。
愛するものを守ろう、ただそれだけのために中田小平次はもう一度コルト・ローマンMK-Vを強く握り締めた。
>>97の修正版
【B-4/森/一日目・午前1時前後】
【男子23番 子忍の風助@忍空】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]:1、トウジ、ヒロユキを探す
2、誰も殺させない
【男子21番 中田小平次@ろくでなしBLUES】
[状態]:精神的に少し疲労
[装備]:コルト・ローマンMk-V(装填数6)@シティハンター
[道具]:支給品一式、予備の銃弾30発
[思考]:1、千秋ちゃんを守る
──みんなのアイドル、ハマーだYO☆
なんだか俺っち変なことに巻き込まれちまったみたいなんだ。
歩き回ってようやく出会った人間がまたゲロゲロだZe☆
完全ヤンキー目つき悪すぎ、俺様みたいな業界の人とは住んでる世界が全然違う野蛮人だよ。
俺ってついてないぜ。
ま、これも神様が与えた試練ってやつかな?ハハ。──
一人軽いトリップ状態に陥っているハマーを不意に現実に連れ戻す声がした。
「・・・ぉい!おい!!!ゴルァてめえ!!俺様を無視するとはいい度胸じゃねえか!!!!」
ハマーは完全に現実に連れ戻された。それはまさに天国から地獄。
引き戻したのは楽高1年日々野晴矢。
ケンカでは負け知らず、超がつくほどの我が侭ではあるが、弱いものいじめなどという陰険な真似はしない男気のあるやつである。
ただ、ハマーとともに超がつくほどの馬鹿ではあるが・・・。
「いや、ちょっと考え事をNe☆・・・え?はい・・、えぇ・・・何も考えてませんでした。はい・・・ホントすいません。」
こんな卑屈な態度から、変人なところ、果てはダサイ服装のセンスまで、完全なダメ男。それが浜渡浩満、通称ハマーであった。
出会った時にいきなりこびを売り、命乞いをして今ここに至る。
「いいか、もう一度言うからよ〜く耳の穴かっぽじってよく聞けよ。俺様は楽高1年日々野晴矢様じゃ!俺様の野望がなんだかわかるか?」
(出会ったときに大声で言ったじゃねえか。完全なアフォですね。全く低脳なやつと付き合うのは疲れるYO)
「はいいぃぃ。世界制服でございますね」
・・・まさにダメ男であった。
「ちっちっちっ。俺様の野望は『宇 宙 征 服』じゃ!!!」
(アフォだ・・・こいつ完全なあふぉだYO☆宇宙征服だってプププ)
「さ、左様でございますか。あ、あのそれはいいんですが、もう少し声のトーンを下げてくださらないでしょうか?」
その言葉にピクっと反応する。
「あぁ?なんで俺様が我慢しないといけんのだ?」
さっきまでの馬鹿顔から一転して不良の顔つきになる。
(怖えぇぇぇぇ。こいつ怖えYO(T^T) )
「いや、もしかしたら恐ろしい殺人鬼が近くに・・・」
日々野晴矢は束縛されるのが嫌いな男であった。
そしてどんな状況でも自分が死ぬなどとは微塵も思わない男であった。
「殺人鬼?上等じゃ!!そいつをぶっ倒して宇宙征服にまた一歩近づくってもんよ!」
(ついてけねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!)
一息ついたあと、日々野は大きく息を吸い込んだ。
─まさか・・・
それは前兆だった
─まさかそんなことはしないよNe☆
このゲームにおいてそれは自殺行為
─ハハハ。ま、まさかね・・・
「どおるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!俺様はここにいるぞおぉぉぉ!!!
かかってこいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
驚異的な肺活量が為せる技なのか。
その声は半径500メートル、いや半径1キロ近くに轟き渡った。
この声を聞いたのは殺人者だったのか、それとも仲間となりうるものだったのか、そのどちらともなのか。
それはまだわからない。
─ピヨちゃん、ジャガー殿、拙者死んじゃうかも─
【E-4/平野/一日目・午前2時前後】
【男子26番 日々野晴矢@BOY】
[状態]:正常
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1、世界征服!!
【男子25番 浜渡浩満@ピューと吹くジャガー】
[状態]:精神的にかなりの疲労
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1、日々野晴矢をなんとかして収める
2、その場を離れる
3、生き残る
ゆうに2mはあろうかという大男が畑の畦道に座っている。
この通称「ファルコン」「海坊主」と呼ばれる超一流のスナイパーも、ゲームに巻き込まれた被害者の一人だ。
海坊主は荷物を手探りで漁っていた。
デイパックに突っ込んだ手に鈍い感触が当たって、それを持ち上げた。相当な重さがあった。
手触りからして二つの奇妙な形をした金属の輪っかのようだ。目の見えない海坊主にはそれが何であるかすぐに判別出来なかった。
重さといい、形といい、傭兵時代から数えて裏の世界に長く生きてきた海坊主だったが、初めて手にするものだった。
未知の武器をどう扱っていいものかを海坊主は暫くの間考え込まなければならなかった。
色々な考えをめぐらせ、一つの結論に達する。
海坊主はおもむろに二つの輪っかに腕を通すと、それを肩にかけてみた。
するとどうだろうか。輪っかは海坊主の身体に異変をもたらせた。
「こ、これは…」
つるつるのスキンヘッドだった頭に毛が生えている!海坊主の驚きは筆舌に尽くしがたかった。
そして、変化はそれだけではなかった。
本人は気付いていなかったが、黒かったサングラスの色が黄色に変わっている。
どれもこれも肩に輪っかを付けてから起きた変化だった。
気味が悪くなった海坊主は輪っかを外そうとしたが思い直した。
「使い道はあるかもしれねえな」
巨体に肩パッドを装着し、黄色いサングラスをかけた海坊主は、もっさりした髪を夜風になびかせて戦場に旅立って行った。
【F−4/畑/一日目・午前1時前後】
【男子2番 伊集院隼人@CITY HUNTER】
[状態]:髪が生えた
サングラスの色が変わった
[装備]:マサルのチャームポイント@セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
[道具]:支給品一式
[思考]:1、様子を見ながらリョウたちを探してみる
鼓動が早鐘のように鳴っており、瀬戸一貴は自分の胸に手を当ててみた。
心臓が胸に当てた手を振り払おうと激しく叩いているのを感じ、一貴は自分がどれほど脅えているのかを知る。
深呼吸をすることで緊張をほぐそうと試みるが、バクバクとうるさいほどに脈打つ心臓は、まったく一貴の言うことを聞き入れようとはしない。
背後の樹に背を預け、それでも一貴は気持ちが落ち着くのをじっと待った。
(伊織ちゃん、大丈夫かな…)
大好きな葦月伊織の顔が目の前をチラつく。
その顔が不安に慄いているように見え、一貴の心配は倍加した。
(なんでこんなことに……)
いくら考えたところで理由などわかるはずもなく、余計、歯がゆさと腹立たしさが増すばかりだった。
(そうだ…伊織ちゃんだけじゃないんだよな)
慌てて名簿を引っ張り出すと、それを月光に透かし、その中に知っている名は無いものかとたどっていく。
(いつき…麻生さん…泉ちゃん…それに寺谷もか……)
自分と伊織を入れて6人――。
知っている人間の多さに深い絶望を覚える反面、根拠の無い心強さも感じ、一貴の気持ちはようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
とりあえず気心の知れた者同士固まっていればひとまず安心、そんな構図が一貴の脳裏に描かれる。早く伊織に逢いたかった。
さしあたっての問題は、如何に早く安全にみんなと合流できるか、この一点に絞られる。
(できればこんなモノ使いたくないけど……)
ポケットに手を入れ、中にあったものを掴み出す。嫌悪するようにそれを見た。
――1本のナイフ。
ブレードが月の明かりを反射して鋭く光っていた。
(もしも誰かが危険な目に遭っていたら……)
使わざるを得ないかもしれないと、一貴は覚悟を決めた。
「あら、随分と物騒なものを持ってるのね」
突然の呼び掛けに、せっかく規則正しいリズムを刻みだしていた一貴の心臓が、また異様な速さで暴れはじめる。
全身の筋肉が瞬時にこわばり、思わず握っていたナイフに力が入った。
「気をつけなさい、素人が扱っていい武器ではないわ」
見る方が恥ずかしくなってしまうほどボディーラインを強調した紺色のスーツに身を包んだ女性が、音も無く一貴の前に現れた。ほんの数メートルほどの距離だ。
一貴は驚くよりも先に妖艶な魅力を振りまく女の身体に目を奪われ、それから思い出したように震える手でナイフを突き出した。
自衛のためとはいえ、覚悟を決めたそばからナイフが必要な事態になるとは考えてもみなかった。
「だ、誰…ですか…?」
ナイフを向けたまま、あからさまな疑いの眼をして女に問いかける。
そうしながらも一貴は、
(綺麗な人だ)
と、女の大人の色気に少しだけ惹かれていることに自分で気付いていなかった。
「そんな恐い顔しないで。別に怪しい者じゃないわ」
芸術的な造りをした形の良い唇を歪め、女は知的な笑みを一貴に投げた。
さっきまでとは違った理由で胸が高鳴るのを、一貴は抑えきれなかった。
「こんな状況ですし、いきなり現れれば十分怪しいと思いますけど……」
女の笑顔に顔を赤くしながら、ようやくそれだけのことを言う。
「それもそうね…。――私は野上冴子、警視庁特捜科の刑事よ」
「刑事……?」
騙されては堪らないと思いつつも、悲しいかな男の性で、ざっくりと開いた冴子の胸元やスラリと伸びた太腿に眼が行く。一貴の小鼻が好色そうにヒクヒクと動いた。
冴子はそれに気付いているのかいないのか、挑発的な笑みを浮かべた顔で真っ直ぐ一貴を見ていた。何かを推し測っているようにも取れる顔だった。
「……何か証拠になるものはありますか?」
眼に入ってくる冴子の身体を無理やり視界の外に追いやって、一貴は真剣な表情を作って訊ねてみた。
本物の刑事なら助けてもらえるかもしれないと思ったのだった。
「ごめんなさいね、どうやら警察手帳なんかは取り上げられてしまったらしいの。残念だけど、身分を証明できるようなものは持ってないのよ。
――ねえ、それより、いい加減その危ないのしまってくれる?そんなの突きつけられてたら落ち着いて話もできないわ」
「…………」
冴子の言葉をまるっきり信じたわけではなかった。
しかし、やはりどうしても人を傷つけることは躊躇われたし、心理的にも、心細い中で最初に出会った人間を冷たくあしらうことはできなかった。
美貌も手伝ってか冴子がどうしても悪い人間には見えなかったので、一貴は言われた通り、両手で包みこむように握っていたナイフをズボンのポケットにねじ込んだ。
「よかった。これで落ち着いて話せるわね」
「……別に信用したわけじゃないですから」
猜疑とテレが相俟って、ぶっきらぼうな口調になる。
「いいのよ、それで。いきなり信じろという方が無理があるわ。――とにかく何処かでゆっくり話さない?誰かに見つかったら厄介よ」
一貴の返事を聞かずに、冴子が先に立って促す。
別に話したい気分でもなかったけれど、冴子がどんどん行ってしまうので、仕方なく一貴もそのあとに続いた。
少し移動すると公園があった。
注意深く周囲を警戒しながら、二人は公園に足を踏み入れる。
それほど大きくはない児童公園で、遊具はブランコに滑り台、それと鉄棒とシーソーがあるだけの小さなものだった。
安全を確認し終えると、冴子は砂場の前にある3人掛けほどのベンチに腰を下ろした。
ちょうどそのベンチを覆うように木の枝が伸びており、日中はちょっとした屋根代わりになって陽射しを防いでくれそうだ。
一貴は、さすがにまだ冴子が信用できず、仲良く隣に座ることは憚られた。冴子と向き合う形で立っていることにした。
「座ったら?」
気を利かせた冴子が横にずれて一貴が十分座れる場所を開けてくれた。
「いえ、結構です」
それをきっぱり断る。
「そう……」
冴子はちょっと気を悪くしたのか、長いまつげを伏せた。
微妙な間が空き、気まずい雰囲気となる。一貴は何か喋らなくてはと思い、とりあえず口を開いた。
「オレ、瀬戸一貴っていいます」
「そう、瀬戸君っていうのね」
長いまつげを持ち上げて冴子が優しく微笑む。
クラクラするほどに冴子が綺麗で、一貴はいつものように頭の中で淫らな妄想に耽った。
だがすぐに邪念を振り払った。今がそういうことを考えている場合ではないのは十分承知していた。
「話って何ですか?」
また妄想しないよう、本題を切り出した。
「――あなた、本当に殺し合いが行われていると思う?」
唐突な問いだった。
しかし、これは一貴も感じていた疑問だ。
こんなことに巻き込まれなければならない覚えもないし、なにより殺し合いとは非現実的過ぎる。
今このときも誰かが何処かで殺し合ってるとは考え難いものがあった。
「わかりません、オレには……。……でも、あの体育館で見た死体は本物のように見えた……」
いつきが習っていた造形のような作り物には見えなかった。素人目にもあれが本物の死体であることは気付いていた。
だが、一貴の希望の如きものがそれを否定していた。
だから警察の人間である冴子の口から「あれは死体ではない」と言われれば、きっと一貴は狂喜したに違いない。
しかし――。
「そうね、あれはきっと本物でしょう」
冴子の答えは一貴が望んだものではなかった。
冴子は一体どれくらいの事件を担当してきたのだろう。どれくらいの死体を見てきたのだろう。
冴子の言葉にはキャリアが裏打ちする自信さえ覗いていた。
急に実感が湧いてきた。
背筋がゾッとした。
だとすると、殺し合いというのも現実味を帯びてくることになる。
「――野上さんは刑事なんでしょ?なんとかならないんですか?」
すがるように言った。
「……残念だけど、無理ね。こんなテロまがいのことをしでかす連中だから、応援を呼ぼうにも外界との接触手段は断たれているだろうし……。
連中と戦おうにも、肝心の居場所がわからないもの。今のところはお手上げ状態だわ」
「でも……!!」
冴子の後ろ向きな発言に腹が立った。
警察なら何とかするのが当然だろという無責任な感情が鎌首をもたげ、反抗的に冴子を睨みつける。
「落ち着きなさいよ。今は何もできないと言っただけで、何も手を打たないとは言ってないわ」
「え……?」
「いい、瀬戸君、さっき受けた説明を思い出して。私達はこの首輪で動きを制限されているらしいの。だからまず、この首輪を外すのが先決ね」
「首輪ですか……」
自分の首に手を伸ばそうとして、一貴はその手を止めた。体育館で説明されたことをしっかり思い出したのだ。
『爆弾入り』
たしか、あのヒゲのオッサンがそう言っていたはずだった。
「これを外さない限り、迂闊に動けないわ」
冴子はコツコツと爪で首輪を弾いてみせる。
「うわ!?」
衝撃で爆発するのではないかと思って一貴は頭を抱えてしゃがみ込む。
「ふふふ。あなた、何してるの?」
「へ……?」
頭を覆った腕の隙間から冴子を見上げた。
「大丈夫よ、これくらいなら。この程度で爆発されたら、それこそ何もできないでしょ?」
冴子の言う通りだ。こんなことで爆発していたら殺し合いだって難しくなる。
大袈裟にビビッた自分が恥ずかしかった。
「なんにしろ、この首輪が邪魔であることに違いは無いわ。まずはこれをなんとかしなくちゃ」
「……要するに、その手伝いをオレにしろってことですか?」
立ち上がりながら言った。
「あら、意外と察しが良いのね」
「わかりますよ、そのくらい。…でも、爆弾なんて外せませんよ、オレ」
「あなたにそんなことしてもらおうとは思ってないわ。人を一緒に捜して欲しいのよ」
「人を捜す…ですか。……その人を捜してどうするんですか?」
「なんとか首輪を解体してもらうわ。彼ならこういうことは得意だろうから。できないのなら、彼にテログループの殲滅を頼んでみる」
「…………」
一貴は迷う。
人を捜すくらいなら自分にも手伝えそうではあった。一緒に捜してるうちに伊織達を見つけることもできるかもしれない。
だが一緒に行くということは、当然、危険もつきものということだ。
大人しく隠れていれば助けが来る可能性だってあるのに、わざわざ危険を犯すことになる。
仮に冴子が信用できる人物だとして、果たして自分がついて行くべきなのか――。手伝う価値はあるのか――。
しかし、一貴には恐怖に震える伊織の姿が見えていた。
刑事である冴子を手伝うことは、延いては伊織を助けることに繋がるかもしれないと思った。
なんとか冴子が首輪を処理し、その捜している人とテロの首謀者を倒してくれれば全てにケリがつくはずだった。
(伊織ちゃんだけは泣かせたくない。守らなければならない。そのためなら何だって……)
「……いいよ、オレ、手伝いますよ」
「先に言っておくけど、危ないこともあるかもしれないわよ?」
「承知の上です。それでもオレは……」
力強く言った。
冴子は頷いてそれに応えた。
「ありがとう。助かるわ」
「ただ…条件があります」
「何かしら?」
冴子が細い首を傾げてみせる。
「オレも捜したい人達が居ます。その人たちを捜すのを手伝ってください」
「友達?」
「はい。それと……オレの大事な人です」
「へぇ…。まぁいいわ、それで」
一貴の『大事な人』発言に興味を示したようだったが、冴子は深く突っ込んでくることはなかった。
しかし、これでお互いの利害が一致したことになる。お互い、探し出さねばならない人間が居るのだ。
これからどうなるかはわからないが、一貴はひとまずは冴子と行動を共にすることに決めた。
「でもオレ、役に立てるかわかりませんよ?」
「そんなことはないわ。今は信頼できるパートナーってだけで十分だもの」
「はぁ…そんなもんっすかね」
「それにね、動き回るには私の武器だけでは不安だったのよ」
そう言って、冴子は自分のデイパックから『メリケンサック』を出してみせた。黒っぽい鉄の拳――。
確かにこれでは身を守る武器としては頼りないものがある。自分のナイフと較べたらハズレ武器の部類に入るかもしれない。
「瀬戸君のはさっきのナイフよね?ちょっと見せてもらえる?」
「それは……」
さすがに渡すことは躊躇われたが、ここまで話してみて、冴子なら平気だろうとナイフを手渡すことにした。
冴子はそれを受け取ると、観察するようにじっくり眺めだした。
「――スペツナズナイフね。旧ソ連の特殊部隊・スペツナズが使用していた暗殺用の武器……。これなら10m離れた敵だって攻撃できるわ」
スッ……。
冴子がナイフを一貴に向けた。
「ここのボタンを押すとね、ブレードが飛び出るのよ。まさか刃が飛んでくると思ってもいない相手は、自分に刃が刺さってからどんな凶器だったか知る。
……もっとも、そのときはもう遅いかもしれないけど」
自分に向けられた切っ先を見つめ、一貴は音を立てて唾を飲み下した。
このまま冴子がボタンを押せば確実に殺されるだろう。瞬時に飛んで来た刃を避ける自信は無かった。
「――――冗談よ、はい」
一貴は、差し出されたナイフを引っ手繰るようにして受け取ると、すぐにポケットにしまい込んだ。
ほんの数秒の出来事だったのに、全身が冷や汗に濡れていることに気がついた。
「……全然笑えないです……」
非難めいた眼で冴子を睨む。
「ふふ…。ごめんなさいね」
冴子が悪戯っぽく笑う。
冴子のような美人にこんな顔をされては、大抵の男は何も言えなくなってしまうだろう。一貴とて例外ではない。
たった今死ぬ思いを体験したのに、もう冴子の笑顔に負けていた。
「き…気にしてないですから」
この人は小悪魔だ。一貴はそう思った。
「そう?じゃあそろそろ行きましょう。のんびりしている暇は無いわ。急いでリョウを見つけなきゃ」
【D-5/公園/一日目・午前1時30分頃】
【女子9番 野上冴子@CITY HUNTER】
[状態]:正常
[装備]:メリケンサック@ろくでなしBLUES
[道具]:支給品一式
[思考]:1、冴羽リョウ、及び知り合いとの合流。
2、首輪の解除。
【男子15番 瀬と一貴@I''s (アイズ)】
[状態]:正常
[装備]:スペツナズナイフ
[道具]:支給品一式
[思考]:1、葦月伊織、及び知り合いとの合流。
2、冴子に協力。
3、伊織達に何かあれば……。
118 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 19:56:19 ID:8MzquwiM
ホス
ダンカン!この野郎!おめぇ、この野郎。車回せって言ったろダンカン。この野郎、お前は。あぁ?
何で回してねぇんだ、お前は、この野郎。らっきょ、お前はー、また脱いでんのか、お前は、この野郎。
らっきょ!お前は、この野郎。パンツを履け、お前はパンツを!この野郎。うろうろすんなお前、裸で、この野郎!お前は。
嫁いんだろ、お前。この野郎!バカヤロウ!らっきょも、お前も早く車回せよ、お前。どっちか車回せよ、早く。
どっちか車回せよ。お前、この野郎!・・・なんだよ、お前、その感じ。なんだぁ、お前。
車を回せって言ってんだ、お前、らっきょ、お前。らっきょかダンカンどっちか車回せよお前、この野郎。
何で回さねぇんだお前、この野郎。コラー!ダンカン、何だお前その感じ。お前。コラー!何だよ、お前。何だお前。その、何だお前。
車を回せつってんだ!お前、この野郎ー、車回せよ、お前。この野郎。何だお前、この野郎。まあ、いいやもうお前。
おい!ラッシャー、ラッシャー、お前車回せ、お前、そんな事してんだから(?)お前。車回せよ!お前。この野郎。何だ、お前。
そのー、それは、その、その態度は何だお前。この野郎。回せよ!お前、この野郎!回せよつってんだ。この野郎。
らっきょ、お前も早くパンツ履けよ、お前!この野郎。先回してこい!車。この野郎!この野郎、何だこの野郎。
何だ、お前、その目付き、この野郎。何だ、お前。やんのか、お前!逃げるんなら、すんじゃねえよ!お前、そんな感じの、馬鹿!
何だ、お前ダンカン。まだいんのかお前。早く回せよお前、何やってんだお前。お前、いつまでそこにいんだ、お前。この野郎。
早くしろよ!お前、回せよお前。二分ぐらいですむだろ、お前、空き地。空き地に止めたろー、止めてねぇのかお前、この野郎。
止めたろ、お前が止めたろう、お前。タカー、タカー!タカー!タカちょっと、早く来い、お前、降りて来い、早くお前、そっちから。
どこにいんだ、お前、早く降りて来いよタカ!この野郎!タカ、ちょっと早く降りて来い。お前、お前、何だよ、車回せよ早く。
120 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/14(金) 15:08:03 ID:CqvthHaG
保守。
121 :
突然死~サドンデス~ ◆HNsUG9iVfs :2006/04/15(土) 13:17:20 ID:clnbw8Fz
森の中、このゲームの参加者中、最高齢である老人が息を潜めていた。
ほっほっほ・・・殺し合い、バトルロワイアルか。
主催者側に居た男たち・・・やつらは確か先生だったはず・・・。
あやつらがあんなことをしでかすとは思えんし、そんな力を持っておらぬことも知っておる・・・。
これは裏に誰かおるのう。
まぁいいわい。こんなにワクワクするのはいつ以来かのう。
今はワシが青春をかけて学んだ格闘技である「───」を思う存分発揮できる機会を設けてくれたことに感謝でもしてやるかのう。
122 :
& ◆liXZmIOtLk :2006/04/15(土) 13:18:14 ID:clnbw8Fz
森の中を走る男。
もうどれくらい走っただろうか、彼はゲームの参加者の中に「神崎狂」の名前を見つけたときから走り続けていた。
神崎・・・あいつがこのゲームに参加してやがるなんて・・・。
やつは・・・やつならきっと日々野を狙うに決まってる。
早く、あの馬鹿にそのことを知らせてやらねえと・・・。
そして、できることなら神崎は俺の手で・・・決着を着けてやる!!
走る、走る、走る・・・青年は走る。
そしてあることがきっかけで立ち止まることになる。
それまで熱くなっていた頭に思考を取り戻させるには十分なことだった。
森の奥に反響するボイスは間違いなく彼が知っている声であった。
日比野!!!!!!
あの馬鹿・・・状況を考えやがれってんだ!
俺が行くまでやられんじゃねえぞ!
123 :
& ◆HNsUG9iVfs :2006/04/15(土) 13:19:07 ID:clnbw8Fz
青年は走る・・・声のするほうへ。
しかし彼はその歩みをふいに止めることとなる。
「ぐぼほおぉぉん、ごほんぐぉほん!!」
このゲームに似つかわしくない老人が苦しみの声を上げていた。
どうするか一瞬迷った挙句、青年は老人を介抱することにきめた。
心配はしたが、日比野はそう簡単に死ぬようなやつじゃない、そう考えたからだ。
「お、おぃ!じいさん大丈夫か・・・?」
声をかけた青年に驚いたのか、老人は奇声を上げながら後ずさりする。
「ひぎゃあぁぁぁ!!!!!!はふうぅぅ」
口から魂が抜けかけるのではないかと思うほどの雄たけび。
いや、どういうわけか実際抜けているのが見えているかのようだった。
「じいさん、安心しろ!俺は殺人者なんかじゃねえ!!」
そういって、敵意がないことを示しながら老人に近づいていった。
それはこのゲームに置いてやってはいけない行為。
無防備に他者に近づくこと。
青年と老人の距離が0になったそのとき、老人の目が怪しく輝いた。
124 :
& ◆HNsUG9iVfs :2006/04/15(土) 13:21:35 ID:clnbw8Fz
キュピーーーーーーーン!!
青年が気づいたときは、青年の胸には鋭く研ぎ澄まされた木が突き立っていた。
「な・・・?マジか・・・?」
青年が気づいたときにはもはや手遅れであった。
薄れいく意識の中で青年は冷たくなっていった。
「死ぬ・・・?俺は・・・日比野・・・俺はお前と・・ロックで・・世界征服・・」
それが青年が今わの際で呟いた最後の言葉であった。
「すまんの、若者よ。ワシが青春を捧げたセクシーコマンドーは相手の隙をつく武術。
不意打ちこそが真髄なんでのう。悪く思うでないぞ」
先ほどまで死にそうだった老人の姿はそこにはなかった。
名前も知らない青年の荷物を奪い、その骸を野ざらしにしたまま老人は去っていく・・・。
死にいく者の最後はその者が決めることはできない。
その生の終わりは決してドラマチックなものであるとは限らない。
それがリアル、それが現実。
生を謳歌できなかった者の魂は報われることもなく、ただそこにたたずみ続ける。
125 :
& ◆HNsUG9iVfs :2006/04/15(土) 13:26:28 ID:clnbw8Fz
【C-4/森/一日目・午前2時30分頃】
【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】
[状態]:正常
[装備]:鋭く尖らせた木 ※さかきばらのぶゆきと一条の支給武器は次の作者に任せます
[道具]:支給品一式
[思考]:1、セクシーコマンドーによる闘争
もうどれくらい歩き回ったのだろうか。
幸いにも、まだ誰とも出会うことはなく、比較的安全にきている。
これならきっとみんな無事に帰れるのではないかと、秋葉いつきは淡い期待に胸を膨らませた。
今こうして歩いている間にも誰かが争っているのだとは思えないほど静かな夜に、その希望はより一層大きくなる。
とはいえ、いつきもこの状況を楽観視しているわけではない。
事がそれほど単純なものではないのを十二分に理解していたし、既に死人が出ていることも重く受け止めている。
無事には済まないのではないかという心構えだけはしてあるつもりだった。
その証拠に、いつきは支給された『コルト・パイソン』をきつく握り締めていた。弾もきちんと6発装填してあるものをだ。
万が一、自分が襲われる可能性もある。
不本意ではあったが、そのときのために身を守る手段の一つとして持っていることにした。
無論、こんなものを使わないに越したことはない。いつきにゲームに乗ろうとなどという考えは少しも無かった。
そんなことより、早く一貴に逢いたいという気持ちの方が遥かに強い。
(私を見たら、いっちゃん、どんな顔をするんだろう)
いつきはそれが楽しみで堪らない。
きっと名簿で自分の存在を確認しているのだろうが、それでも久々に顔を合わせれば一貴は驚くに違いない。
一貴が驚くところを想像するだけで、いつきは可笑しくなった。自然と口許がほころんでくる。
アメリカに渡って2年余りが過ぎるが、一貴のことだけは忘れたことがなかった。
諦めたとはいえ、大好きだった人に逢えるのは素直に嬉しい。
ただ、こんな状況で逢わねばならないのが悔やまれる。できればもっと普通に再会したいものだった。
それでも第一声は何と声を掛けるべきか考えると、いつきの胸は弾んできた。
――しかし、次の瞬間にはいつきの顔は恐怖に引き攣っていた。
夜目にも目立つ真っ白な学ランを着た男がいつきの行く手に佇んでいたからだった。
どうやらまだ気付かれてはいないようだったが、男の手には一本の日本刀が提げられている。これが何より恐しい光景だった。
自分と同じように護身のためなのかもしれなかったが、男の風貌からそうではないようにも取れる。
もしかしたらゲームに乗っているのかもしれない。
そう思うと、いつきは一気に緊張した。
バレないよう素早く物陰に隠れ、息を殺して男の様子を窺う。坊主頭の男は見るからに凶悪そうに思えた。
(どうしよう…見つかっちゃったら……)
一貴の驚く顔を見るどころではない。
下手に動けば気付かれる恐れだってある。気付かれれば無用な争いにもなりかねなかった。
こうなったら男が立ち去るまでこのまま隠れているしかないと思い定め、いつきは石になったつもりで身動き一つしなかった。
川島清志郎はあることを考えていた。
川島の想う夢、『川島組』についてだった。
虫けらのように殺された兄・麗一の仇を取るためにも、川島組を結成することは川島の悲願となっている。
だからこそ少年院を退院してからわざわざ極東高校に復学したのだ。それもこれも東京の堀江組に復讐を果たすのに必要なコマを揃える下準備だった。
初めからトップに立てるよう極東を支配し、その組織力を以って川島組とする。
他人が聞けば馬鹿らしい話に聞こえるかもしれないが、川島は本気でそれを考えていた。
「兄キ……」
手に提げていた『千住院村正』を鞘から抜き、その青味がかった刀身に自分の姿を映し出した。
複雑な表情をした自分の顔が映っている。
川島組を結成するには、ここから生きて帰るのが最低条件だ。死ねば兄と同じチンピラのままで一生を終えることになる。
そうならないためには誰かを殺して生き残らなければならない。
――究極の選択だ。
川島は曇り一つ無い刀身を見つめ、どうすべきか自問自答を繰り返した。
大阪一の悪学校で頭をハる川島にしても、殺人というのは踏み込むのに抵抗のある領域だった。
状況がそれを許すとしても、おいそれと簡単に実行できるものではない。
しばらく川島はそうやって考え込んでいた。
そして――。
川島は静かに刀を鞘に収める。
結局、結論は出ないままだった。人を殺すという決心がどうしてもつかない。
人を刺した経験はあっても、あのときは身を守るための正当防衛のようなものだった。
もちろん相手のチンピラに頭にきていて殺してやろうとも思っていたが、あれは突発的な事故だ。
だが今は違う。
自分の意思で、それも見ず知らずの人間を殺さなければならないときている。
いくら川島清志郎といえど、さすがにそこまでするのは受け入れ難いものがある。すぐには決められなかった。
川島はここで考えていても埒が明かないと、ひとまず場所を移動することにした。
刀を左手に提げ、その場を離れようとした。
「ひぃ……!?」
川島がいきなり足をこちらに向けたのに驚き、いつきは蛙でも踏み潰したような短い悲鳴を上げた。
慌てて口を押さえるものの、時既に遅く、川島は異変に気付いたのか踏み出そうとした足を止めている。
いつきは息をするのも忘れて口を押さえたまま川島がそのまま去ってくれるのを待ったが、川島が何処かに行く気配は無かった。
立ち止まって注意深く周囲の様子を探っている。
いつきと川島の間を隔てる障害物はほとんど無く、これでは遅かれ早かれ見つかってしまうことだろう。
見つかっても話のわかる相手ならいいが、どうもいつきには川島がそんな優しそうな人間には見えなかった。
殺されるか犯されるか痛めつけられるのか、とにかく身の危険を感じさせる相手に違いない思っている。
できることなら一番関わりたくないタイプの男のなのだ。
いつきは焦った。
物陰に隠れたまま、銃を抱いてこれからどうするのか頭をフル回転させて考えている。
しかし焦れば焦るほど頭は混乱し、良いアイデアなど浮かんできはしなかった。
(いっちゃん…助けて!)
困ったときの神頼みならぬ一貴頼みをしてみるが、もちろん効果があるはずもない。
いつきは気付かれないように気を配りながら、もう一度川島を盗み見た。川島はこちらに背を向ける格好で辺りの様子を探り続けていた。
――今がチャンスかもしれない。
いつきは覚悟を決めた。
呼吸を整えると、タイミングを計る。
(いっちゃん…私を守ってね)
心の中で願ってから、いつきは勢い良く飛び出して行った。
「う、動かないで……!」
いつきは川島の背後から銃を向けることに成功した。
「なんや、お前」
川島は肩越しに振り返り、落ち着いた様子でいつきと銃を交互に見比べる。
撃つと言えば川島が怯むと思っていたのだが、いつきの予想に反して川島が怯んだ様子は無かった。
それどころか、ふてぶてしくもいつきの忠告を無視し、川島はいつきに対して正面を向く。
「動かないでって言ってるでしょ!今度動いたら…ほ、本気で撃つからね!!」
銃口を震わせながら、いつきは虚勢を張る。
それを川島は小馬鹿にしたように鼻で笑った。
「ガタガタ言っとらんで、さっさと撃ってみぃ」
堂々と言った。
いつきの言葉をハッタリだと見抜ぬいているのだろうが、いつきには計算外のことだ。
本当なら銃に驚いて何処かに消えてくれるはずだったのに、当の川島は銃を突きつけられても眉一つ動かさない。
これでは一か八かに賭けて危険を冒してまで飛び出してきた意味が無いというものだ。
「ほ、本気で撃つよ……。う…う、撃たれたくなかったら――」
一歩、川島が前進する。
いつきは押されるように後退した。
「動かないでよ!こっちに来ないでよ……!」
川島は構わず進んでくる。
一歩、また一歩と川島が近づくたびに、いつきも銃を向けたまま後退していく。
引き金に掛けた指を引くだけで川島はその場に倒れるのだろうが、いつきの指はそれを拒むように動かなかった。
こんなことなら隠れていた方がマシだったと思うが、嘆いたところで始まらない。
いつきは徐々に川島に追い込まれていった。
やがて――。
ドスンといつきの背中に何かが触れる。
コンクリートで造られた灯台の壁面だった。
いつの間にか、二人は灯台の位置にまで進んで来ていたのだ。
最早いつきに逃げ場は無かった。
例え灯台を回りこんだとしても、その先は海である。海は禁止区域になっているはずだ。
「嫌だ……来ないで!」
いつきがあらんばかりの声を張り上げるものの、その声は虚しく潮風に掻き消された。
川島はどんどんいつきを追い詰めていく。
ぐるりと灯台づたいに半分周り、いつきは突堤にまで追い込まれてしまっていた。
これでいつきの逃げ場は完全に断たれたことになる。あとは川島を越えて行くしか道は無い。
「チャカと弾ァ置いてけ。何も殺そうとまで思うとらんわ」
川島が言った。
銃を向けても恐れない川島と、銃を向けていることが恐くて堪らないいつき。これでは初めから勝負にすらならなかった。
少し考えたのち、いつきは銃を渡すことに決めた。それこそが生きる最善の手段に思われたからだった。
おずおずと自分から川島に近づき、銃を渡そうとする。
「最初からそうしてればええんじゃアホが」
「や…約束だからね……。何もしないって……」
「何もせえへんて言うてるやろ。はよよこせ」
川島が手を差し出し、いつきは言われるがまま銃を渡す。次いでデイパックに入れていた弾も差し出した。
使う気も無かったが、唯一の命綱とも言える武器を渡してしまうのは悔やまれた。
だが、それでも命が助かるのなら安いものだと諦めた。
川島はいつきから奪った銃のシリンダーを器用に開き、残弾の有無などを確認している。
いつきにはそれを黙って見守ることしか術が無かった。
銃を腰の辺りに押し込み、川島はいつきを見た。
「お前、一人か」
剃刀のような鋭さを持った質問に、こくこくと頷いてみせる。
「ツレは無いんだな」
ただの質問のはずなのに、川島のことが恐くて仕方なかった。
「う、うん……」
震えた声で返事をする。
川島はいつきの眼をじっと見つめていたが、嘘ではないと納得をしたのか、くるりと踵を返した。そのまま何も言わず去って行く。
いつきは去って行く川島の後姿に安堵し、良かった、これで助かると深く息を吐いた。
結局川島は武器が欲しかっただけなのだとわかると、なんだか拍子抜けするようだった。怖い思いをする前に渡してしまえばよかったと小さく後悔する。
だが――。
少し先で、ピタリと川島が足を止めた。
ゆっくりと振り返り、いつきの方へ引き返してくる。
いつきは背筋が凍るほど恐怖し、ひどく慌てた。
「ちょ、ちょっと……何なのよ……!」
血相を変えて抗議するが、川島は表情を変えなかった。
川島はいつきの目の前まで来ると、いつきから奪った銃ではなく、初めから持っていた刀を一息に抜いた。
「約束が……違うじゃない……」
恐怖のせいか、声すら出なかった。
口の中がカラカラに乾き、喉が張り付いていた。
「兄キ……俺は死なへんぞ。チンピラでものし上がれるトコ、兄キに見したるわ」
誰に言うでもなく、川島が呟く。
いつきは川島がこのあと何をするのか知っていた。
しかし頭でわかっていても、身体が言うことを聞いてくれない。これから確実に訪れるだろう死を前に、一歩として足が動かなかった。
「……いっちゃん助けてー!!!」
最後の抵抗とばかりに、全身を口にしていつきが叫ぶ。その声だけは長く尾を引いて海にこだました。
川島は、無情にも刀を振るった。
まだかろうじて息のあるいつきを引き摺り、突堤の先端に立つ。
夜明けまではまだまだ時間があり、海は黒くうねっている。突堤に打ちつける波の音が、海の魔物のように不気味に鳴いていた。
川島は足元でぐったりと動かないいつきを、まるで空き缶でも蹴るように思い切り蹴り飛ばした。
大の男を5メートルも吹き飛ばせるその脚力は、いつきの細い身体を軽々と海にまで運んだ。いつきの身体が黒い海に落ちていく。
落下の途中、鈍い破裂音が起こり、いつきの首につけられていた首輪が爆発した。禁止区域に入ったのを、首輪は容赦無く見抜いたのだろう。
一瞬、強烈な閃光が走ったかと思うと、赤い飛沫と火薬の匂いを残して首輪は弾け飛んでいた。
すぐに着水音がし、いつきは首と胴が離れた状態で冷たい海に吸い込まれていく。きっと海の水が赤く変わったのだろうが、この暗さではそこまで確認できなかった。
川島は、いつきの身体が完全に沈むのを何の感傷も抱かずに見届けた。
真っ白だった白ランが、いつきの返り血に染まって赤くなっている。
川島の胸中には、もう何の迷いも無かった。
復讐を遂げるために、生きるためになら何だってしてやる。川島の心は鬼と化していた。
血で濡れた刀を拭うことなく鞘に収めると、川島は歩き出した。
海から吹きつける潮風が、川島の人間としての感情を削り取っていくように吹き荒んでいた。
【H-5/灯台/一日目・午前2時00分過ぎ】
【男子8番 川島清志郎@ろくでなしBLUES】
[状態]:正常
[装備]:千住院村正@花の慶次〜雲のかなたに〜
コルト・パイソン 4インチモデル(装弾数6発)@CITY HUNTER
[道具]:支給品一式、予備弾丸20発
[思考]:1、何をしても生き残る。
2、コマになりそうな者を捜す。
【女子2番番 秋葉いつき@I''s (アイズ) 死亡確認】
【残り 48人】
※いつきのデイパックはいつきと一緒に海に落下。回収不能。
ホス
(ここから飛び込んだらまたお兄ちゃんに会えるよね。)
兄を失って悲観する少女が一人。
島の際北西に位置する崖から身を乗り出している。
少女は深い絶望にくれた末、自らの生を絶とうとしていた。
自殺。
少女が選ぶ道はこれしか無かった。
他には思いつかない。
(流川君・・・あなたが大好きでした。)
目に涙を溜めて告白した。
(三井さん・・・励ましてくれてありがとう。心強かったです。)
涙があふれ出た。
(桜木君・・・バスケット頑張ってね。桜木君は死なないで。私やお兄ちゃんの分まで生きてください。)
少女はそこで思いを断ち切った。
これで楽になれる。
兄の死を受け止めずにすむ。
そう思うと身体が楽になる気がした。
「お兄ちゃん・・・今行くね」
少女は絶壁から身を投げた。
【A-1/崖/一日目・午前3時00分前後】
【女子1番 赤木晴子@SLAM DUNK 死亡確認】
【残り 47人】
(なあ佐為・・・気のせいかな、あそこに誰かいるような気がするんだけど。)
ヒカルが指を指す方向には確かに人影らしいきものが見えた。
(ええ・・・そのようですね。)
私がそう言うと、ヒカルはちょっとムッとしたようだ。
(そんな簡単に言うなよ!どうするんだよ殺人鬼だったら・・・。)
(それはどうでしょう、普通のおじいさんのように見えますよ。)
(おじいさんだからって殺人鬼じゃないとは言えないだろ。)
ヒカルの言う事も一理あると私は思った。
優しそうなおじいさんの中にも殺人鬼はいるかも知れない。
見た目が怖い人ほど優しいなんて場合もあるのだから。
(そうですね・・・では私が見てきましょう。)
(あ、おい、佐為待って!置いていくなよ!)
私はヒカルが止めるより先におじいさんの所へ飛んでいた。
おじいさんは仰向けに倒れていて動くかない。
すぐにヒカルの元に戻ってそのことを告げた。
(死んでるって事?)
ヒカルが表情を曇らせる。
私はヒカルを恐がらせても可哀想だと思い、出来るだけ明るく言う事にした。
(寝てるのかも知れません。お年よりは夜が早いですし・・・。)
(こんな時にこんな場所で?)
(疲れているのかも知れませんよ。)
(そっか・・・。)
ヒカルは納得していなかったと思う。
でも恐怖心からそう自分に思い込ませたようだった。
目の前に死体があるより寝ている人がいると考えた方が安心するに決まっていた。
(迂回しましょうか?)
怯えているヒカルが心配だった。
(・・・佐為、起こしてあげようよ。おじいさんを。)
(え!でもそれは・・・。)
(だって危ないだろ、こんな所に寝かせておいたら。)
(それはそうですけど・・・。)
(殺人鬼かもしれないけど違うかも知れない。もし違うならこんな所に寝かせておいたら不味いよ。)
私はヒカルが心の優しい子で嬉しかった。
本当は危険な事をさせたくなかったけど、ヒカルのさせたいようにせさてあげようと思った。
・・・でも、今は本当に後悔している。
私とヒカルは注意しておじいさんに近づいた。
ヒカルは嫌がったが、念の為と支給品のフライパンを握らせておいた。
もしもヒカルに何かあっても私は何も出来ないのだからと言うと、ヒカルもなんとか承知してくれた。
「おじいさん・・・起きなよおじいさん。」
ヒカルが何度か揺するとおじいさんは「キュピーン!」と目を光らせて飛び起きた。
「ワシの朝はいつもケロッグコーンフレークから!」
私もヒカルも腰が抜けるほど驚かされた。
おじいさんはその後も意味の分からない事を呟き続け、私達を困らせた。
私もヒカルも呆然とするばかりで、おじいさんの言動や行動をまったく理解出来なかった。
(・・・ヒカル、おじいさんにここは危険だから、どこか安全な場所で寝るように言ってあげなさい。)
(あ、ああ)
「あのう、おじいさん。こんな所で寝てるのは危ないよ。寝るならもっと安全な所で寝た方がいいよ。」
ヒカルの言葉におじいさんは動きを止めた。
それからヒカルを見て「はうう!!?」と息を呑んだようだった。
おじいさんが驚いた訳は分からなかったが、もう忠告はしたのだからと私は先を急ぐようにヒカルに言った。
ヒカルは後ろにいる私に耳打ちをする格好で同意をしてくれた。
ヒカルがおじいさんから目を離したのは時間にして1秒か2秒、長くても4秒はかかっていない。
別れの挨拶をしようとヒカルがおじいさんに向き直ると、おじいさんはズボンを脱いでブリーフ姿になっていた。
二人とも呆気に取られた。おじいさんの意図を測りかねた。
そこに隙が生まれたらしい。
「ラヴ・ミー・ドゥー!!!」
おじいさんは何処に隠し持っていたのか、金属バットでヒカルの頭を力一杯殴りつけた。
ヒカルの頭はスイカのように割れ、血があふれ出ていた。
私には見ているしか出来なかった。
おじいさんを止める事も出来なかったし、ヒカルを手当てしてあげる事も出来なかった。
ただヒカルが殴られるのを見ているしかないというのは、あまりに残酷な仕打ちだ。
ヒカルの傷口を押さえられないのが腹立たしくもあり、助けを呼べない事が情けなくもあった。
「お主もセクシーコマンドーを使うようじゃが、まだまだ修行が足りん。武器を持っているのを相手に悟らせてしまうようでは話にならんぞ」
私はおじいさんの言うセクシーコマンドーの意味が分からなかったが、要するに私が念の為に持たせていたフライパンがいけなかったようだった。
おじいさんは不意打ちをかけられるとでも思ったのかもしれない。
そこで先手を打ってヒカルを殴った。
どうやらそういう事のようだった。
私は何て事をしてしまったのだろう。
私が余計な真似をしなければ、ヒカルが殴られる事は無かったかもしれなかった。
それを私は・・・私は・・・。
おじいさんはいつの間にか消えていた。瀕死のヒカルを残して。
(ヒカル!ヒカル!)
何度呼びかけてもヒカルは目を開けなかった。
ヒカルは死んだのだ。
ヒカルが死んだ今、ヒカルに取り憑いていた私も消えるのだろう。
ヒカル、本当にごめんなさい。本当に・・・・・・。
【C-4/平地/一日目・午前3時前後】
【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】
[状態]:やや興奮気味
[装備]:金属バット@BOY
[道具]:支給品一式、予備弾丸20発
[思考]:1、とりあえず色々見て回る
【男子14番 進藤ヒカル@ヒカルの碁 死亡確認】
【残り 46人】
>>144を修正
【C-4/平地/一日目・午前3時前後】
【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】
[状態]:やや興奮気味
[装備]:金属バット@BOY
[道具]:支給品一式
[思考]:1、とりあえず色々見て回る
【男子14番 進藤ヒカル@ヒカルの碁 死亡確認】
【残り 47人】
147 :
武士の本懐 ◆SzP3LHozsw :2006/04/29(土) 02:26:08 ID:tlUi9sOH
G-5にある集落を過ぎた辺りから、奥村助右衛門は誰かに見られている気がしていた。
それと同時に、明らかな殺気が放たれていることも感じている。それが自分に向けられたものなのは明らかだった。
どうやら監視でもされているらしい。ひどく腹が立った。
用があるなら出て来ればいいし、殺す気があるならさっさと殺ればいいのだ。
もちろん黙って殺されるつもりは無いが、こうもあからさまな殺気を放っておきながら何もせずについてまわられては、さすがに気分は良くない。
「出て来てはどうだ」
試みに言ってみる。
月夜とはいえ視界は不明瞭で相手の姿を確認したわけではなかったが、殺気の放たれる方向から大体の位置はつかめていた。
しかし返事は返って来ず、辺りはしんと静まりかえっている。
5分ほど足を止めて待っていたが、出てくる気配も無い。
それどころか殺気は闇に隠れてしまい、今は見られている嫌な感じもしなくなっていた。
助右衛門は腑に落ちなかったが、いつまでもそうしているわけにもいかず黙って歩き始めた。
目的地は港だ。
船からの脱出が可能かどうかを調べるのが目的だった。
助右衛門も開始前の説明で海が禁止区域になっていることは聞いていたが、どうしても自分の眼で確認しておきたかった。
或いはそこに脱出に繋がる鍵があるかもしれないと思っていた。
集落から続くアスファルトの道路を道なりに歩いていく。
助右衛門にとってアスファルトで舗装された道路は珍しく、ただただ驚いた。
歩きながら加賀領内にこれほどの道路がひければ必ず火急の際にも役立つだろうなどと考えている。
「惜しいな、こんな道を造れたら…」
加賀は京よりも発展するだろう。
交通の便が良ければ商人が集まる。商人が集まれば商品を買う者が増える。買う者が増えれば街は潤う。そして戦時には兵站として役に立つ。
家老という藩政に関わる身としては、これほど魅力的なものもそうそう他には無い。
それが助右衛門に「惜しい」とまで言わせた所以だった。
たかがアスファルトの道路ではあるが、助右衛門にとっては価値のあるものに見えていた。
――やがて潮風が助右衛門の鼻をくすぐり、海が近いことを知らせてくれた。
港には何艘かの船が引き上げられていた。
どれも帆柱の無い船ばかりで、どう動かすのだろうと気になったのだが、この際細かいことにこだわってはいられなかった。
船として機能するなら何だって良かった。
月明かりを頼りに一艘一艘乗り込んでは丹念に点検していく。
しかし、やはりどの船も助右衛門には複雑すぎる構造になっており、到底一人で動かすことはできそうにない代物だった。
もっとも、風化が激しかったり故意に壊された形跡があったりで、まともに海に浮きそうなものは1台として無い。
助右衛門が動かせる動かせないに関わらず、このままでは船での脱出は困難なようだった。
「まあ当然か…」
敵の退路を断つのが戦術の常套手段であることは、今も昔も変わらないであろう。
恐らく助右衛門のように船を使おうとする者が出てくるのを見越して、主催者側があらかじめ船を壊しておいたのかもしれなかった。
念の入ったことだが、それは充分にありえることであった。
助右衛門も船に大きな期待を掛けていたわけではなかったので、さほど落胆することはなかった。
気を取り直し、すぐに頭を切り替えている。
海からの脱出手段が潰えたとなると、このあとはどうするべきか――。
答えはすぐに出た。
「慶次だな」
とりあえず慶次と合流するのが一番に思われた。
慶次はときに突拍子もないことを思いつく。こっちが見ていてハラハラしてしまうようなことを平気でやってのけてしまう。
それらは決まって危ない橋だったが、慶次は必ず渡り切ってきた。
こういうときに頼りになるのは、やはり慶次のような男なのだろうと助右衛門はつくづく思った。
登っていた船から飛び降りると、肝心の慶次が何処にいるのかわからないことに気付く。
あの男のことだから、たぶん大人しく一ヶ所に留まるようなことはせず、気紛れに歩き回っているのだろうと想像はつく。
もしかしたら派手に暴れていることも考えられた。
騒ぎを大きくするんじゃないぞと、助右衛門は胸の中で慶次に念を押した。
そのとき突然、助右衛門は山が動くのを見た。
港の倉庫の横から急に黒い塊が盛り上がったかと思うと、塊はのそのそと立ち上がって山になっていた。
巨大な熊だった。
いや、熊という言葉は適切ではないのかもしれない。
通常の熊の数倍はあろうかという巨体は、すでに熊の大きさではなくなっている。
ゆうに三尺(約10メートル)は超えていそうだった。
助右衛門が咄嗟に思ったように、まさに山のように見上げる大きさだ。
「こ、これは……」
それより先は言葉にならない。
ついさっき感じていたものと同じ殺気を、この超巨大熊から感じていた。
殺気はさっきより大きくなっている。熊が自分を襲おうとしているのは確実だった。
この熊が赤カブトと呼ばれる凶暴な人食い熊だとは、さすがの助右衛門も知る由がなかった。
「バオオオォォォォ!!!!」
赤カブトが凄まじい咆哮を上げる。
鼓膜が破れるのではないかという音量に、助右衛門は思わず手で耳を塞いだ。
それほどの迫力があった。
だが次の瞬間には、赤カブトが眼前にまで迫ろうとしていた。耳に手を当てた一瞬の隙を衝かれたのだ。
反射的に飛び込むように地面を転がらなければ、助右衛門の身体はその時点で八つ裂きにされていたはずである。
赤カブトの凶暴な爪は数瞬前まで助右衛門が立っていた空間を切り裂き、おまけにその後ろに放置されていた漁船の外板をしたたかに引き裂いていた。
助右衛門は転がった反動を利用して別の船の下に潜り込んだ。
寒気がしていた。
赤カブトが見た目通りの化け物なのが今の一撃でよくわかった。
赤カブトがジロリと助右衛門を睨んだ。
ちょうどその頃すぐ近くで女の悲鳴が上がるのを聞いたような気がしたが、今の助右衛門にはそんなことを気にかける余裕は無い。
赤カブトが助右衛門が潜り込んでいる船に向けて突進を開始していた。
猛スピードで突っ込んでくる。
あの巨体でどうしてそんなに俊敏な動きができるのだろうと関心してしまうほど、猛烈なスピードだった。
大地震でも起こったような衝撃がしたかと思うと、漁船は破片をばら撒きながら後方に吹き飛んでいた。
助右衛門は小さくなっていたから一緒に吹き飛ばされこそしなかったものの、あんな突進をまともに喰らえば即死は免れないと戦慄が走る。
船よりも軽い助右衛門の身体なら、更に遠くに飛ばされて全身の骨を折っているはずだった。
呆然と船の行方を眼で追っていたが、すぐに我に返らされた。
赤カブトの生暖かくて荒い鼻息が首筋にかかっていた。
驚いて振り向くと、赤カブトの隻眼が覗き込めた。それほど助右衛門と赤カブトの間は接近していた。
助右衛門は逃げようとするが、赤カブトの動きの方が早い。
巨大な牙が生え揃った口で助右衛門の腕を咥えるやいなや、そのまま思い切り助右衛門の身体を引き摺り回した。
激烈な痛みが全身に走り、助右衛門は声にならない悲鳴を上げる。
それにも構わず、赤カブトはまるでオモチャで遊ぶように助右衛門の身体を振り回している。
ブチブチと筋の切れる音が身体の中でし、次いで骨の砕けてゆく音がした。
赤カブトの鋭利な牙と強靭な顎の力に、振り回す遠心力が加わる。助右衛門の腕が引き千切られるまでにそう時間はかからなかった。
ブツリとはっきり音が鳴った。
助右衛門の身体が遠く高く宙に舞い上がった。
落下とともにしたたかに全身を強打し、一瞬意識を失いかけた。
だが食い千切られた腕の痛みがそうはさせてくれず、助右衛門は歯を食いしばりながら痛みに耐えてなんとか起き上がる。
そのまま腕を押さえながらよろよろと走った。
その横で、赤カブトは口に残った助右衛門の腕を美味そうに租借し、嚥下している。
しかし異常なほど肥大した身体にはそれだけでは満足できない様子だった。
フンフンと鼻を鳴らし、すぐに助右衛門を追っていく。
助右衛門はというと、倉庫に逃げ込んでいた。
そこは漁の収穫である魚を卸したり仕分けしたりに使ってでもいたのだろう。とにかく広い。
発泡スチロールの箱やら木枠が詰まれてあったり、運搬に使うフォークリフトも数台止めてあった。奥には漁具なども保管されているらしい。
多少生臭いのが難点だったが、身を隠すには申し分無い場所だった。
もっとも、月明かりも届かない屋内のことだから完全な闇が広がっている。
助右衛門にそれらの様子が確認できるはずもない。
手探り状態でやっとの思いで木枠の影に身を潜めた。
「フゥ…フゥ…フゥ……」
出血のひどいことは傷口が見えなくてもわかる。これ以上の出血は命に関わるだろう。
衣服を裂き、片手で不便そうに傷口に巻きつける。何重か巻くと腕の付け根をきつく縛った。
そのうちに、赤カブトが巨体を震わせて倉庫内に侵入したのが気配でわかった。
助右衛門は気力を振り絞って赤カブトの攻撃に備える。
しかし勝算が極めて薄いのは自明の理だ。
勝つどころか、このままではこの場を切り抜けることすら困難に思われた。
何かしなければ、何とかしなければ、熊の餌になってしまう。
助右衛門は途方にくれた。
次第に眼が闇に慣れてくる。
灯りの下と同じとはいかないが、物の影形くらいは見えた。
赤カブトのシルエットは離れたところにくっきり浮かんでいたし、倉庫内の様子もなんとなくつかめる。
するとあることに気付いた。
倉庫の出入り口が表のシャッター以外には見当たらないのだ。
もっとしっかり探せば他にいくつもあるのだろうが、少なくとも赤カブトの巨体が出入り可能な入り口は、大きく口を開けたシャッターしか無い。
(これは使えるかもしれない)
ふと、閃くものがあった。
赤カブトを閉じ込めてしまおうと思った。
デイパックをあさり、支給品を掴み出す。
『催涙スプレー』
目潰しになると説明書に書いてあったのを思い出していた。
威力は無いだろうがそれで充分だった。
いつでも使えるように残った手に持つと、助右衛門は音を立てないようそっと立ち上がった。
足元が危なげにフラつく。
すでに血が流れ過ぎていた。早くきちんとした手当てをしなければ死は明白だった。
助右衛門は腹を決めた。
デイパックを反対方向に思い切り蹴飛ばしてから、開いているシャッターに向けて懸命に走った。
赤カブトはデイパックの落ちた音に気を取られて反応が一拍遅れた。
助右衛門の行動に気付いて追いかけるが、僅かに差があった。助右衛門の方が早い。
先に入り口にたどり着いたのは助右衛門だった。
だがシャッターを閉めない限り、助右衛門は赤カブトに追いつかれるだろう。そうなれば生きる見込みは無いに等しい。
助右衛門はシャッターをどうにか閉めようと焦る。
しかし手動で下ろすにはシャッターの位置が高すぎた。手が届かない。
赤カブトはすぐそこに迫っていた。
催涙スプレーの効果は覿面だった。
眼と鼻に大量にスプレーを噴射された赤カブトは、悲鳴に近い唸りを上げてのた打ち回っている。
よほど眼に染みるらしく、大きな前脚でしきりに眼を擦る仕草をしていた。
巨大な熊の滑稽な姿はなんとも可笑しい。
助右衛門はザマアミロと皮肉交じりに赤カブトを馬鹿にしてやった。
それにしても赤カブトの巨体に対し、催涙スプレーがこれほど効果があると思ってもいなかった。嬉しい誤算だ。
この隙にシャッターを下ろしてしまえば逃げ切ることができる。一瞬そう考えたほどだった。
しかし運命とはときに悪戯をする。
誤算は他にもあったのだ。それは嬉しくない誤算である。
赤カブトがあまりの痛みに暴れだした。
眼を擦りながら激しくのた打ち回り、怒り狂ってほとんど滅茶苦茶に前脚を振り回した。
運悪く、助右衛門の身体はその延長線上にあった。
腕を食い千切られた状態では身体は自由に動かない。ましてや残った力を振り絞って全速力で走ったばかりだった。
助右衛門にその偶然の攻撃が避けられるわけがなかった。赤カブトの爪に引っ掛けられていた。
一本一本が鉈のような重い切れ味を持つ爪は、例え引っ掛けた程度でも人間の肉を削ぎ落とす恐ろしい力を秘めている。
凶悪な爪は助右衛門の胸から腹にかけて深い裂傷を刻んでいた。
「ぐうっ…………!?」
最初は何も感じなかったが、次第に燃えるような痛みに変わっていった。
傷口から全身の力が抜けていく脱力感に襲われる。
覚束ない足取りで何歩か後退したあと、助右衛門は仰向け様に倒れていた。
(これは死んだな)
満天の星空を見上げてそう思ったが、どうということもなかった。
慶次ほど徹底した『いくさ人』ではないにしろ、助右衛門も立派な『いくさ人』なのだ。
常日頃から死んでいるのである。今更死ぬのが怖いということもなかった。
だからこそ実際の死を前にして冷静でいられるということもあったが、それより何より全力を出し切ったという達成感の如きものがあった。
自分の何倍もの大きさの熊を相手にして一歩も引かなかったことが誇らしくもあった。
まして黙って殺られるだけでなく、一矢報いることもできた。
前田家の重鎮・奥村助右衛門としては早い死だが、いくさ人・奥村助右衛門としてなら充分満足のいく死に方だと思った。
(いくさ場で死ねるとは俺も運が良い)
本望だった。
あとは喰うなり何なり好きにしろと言いたかったが、さすがに声は出なかった。
避けた肉から流れ出た血が、声を出す力さえ奪い去っていた。
その頃になって、ようやく赤カブトが催涙スプレーの痛みから復活してのそのそと助右衛門のところにやって来た。
よほど怒っている様子で、剥き出した牙の間から低く地を這うような唸り声が洩れている。
助右衛門の顔に涎が垂れた。赤カブトが大きな口を開けていた。
(慶次…すまんが先に逝くぞ)
ドォオォォォン!!!
銃声が上がったのは、まさにその時だった。
「
オラオラァ!失せろ熊公!!」
誰かがそう叫ぶのを助右衛門は耳にした。
ドォオォォォン!!!
また銃声が上がる。
助右衛門にはその音と硝煙の臭いを嗅いだ赤カブトの顔色が、確かに変わったように見えた。
熊の顔色が変わるというのも変な話だが、ギョッとした表情をしたと思うと、赤カブトは助右衛門を残して飛び退いていた。
そのまま数十メートルほど後退りをし、そして一度立ち止まった。
「バオオオオオォォォォ!!!!」
怒りに満ち満ちた様子で吠えた。
悔しそうに隻眼で助右衛門達を睨みつけていたが、やがて赤カブトは何処かへ消えていった。
銃の恐ろしさを身に染みて知っているようだった。
「おい、大丈夫か!」
銃を撃った男が赤カブトが消えるのを見届けてから助右衛門に駆け寄った。
「…………!?」
しかし、とても大丈夫ではないことは一目でわかったらしく、男は声も上げられないほど驚いていた。
「……すまぬ、助かったよ……」
助右衛門はわざと男に笑顔を見せて気丈に言った。自分でももう助かることの無いことは理解していた。
男は着ていたブレザーを脱いで助右衛門の胸の傷にそっと当てた。
見る間に青っぽい紺色のブレザーが血を吸って黒く変色していく。それでも男は傷口を押さえた手を緩めようとはしなかった。
「喋るんじゃねえ!血が止まらなくなる」
「……無駄だ……俺は…もうすぐ死ぬ……」
「馬鹿なこと言うなよ!アンタが誰だかは知らねーが、ここでアンタに死なれちゃ寝覚めが悪ぃだろうよ!!」
男の必死の励ましも、助右衛門はだんだんと聞き取れなくなってきた。
視界が急に狭まってきて暗くなってくる。
それは夜の暗さではなかった。死の暗さであった。
助右衛門は死ぬ前に男に伝えたいことがあった。
「頼まれて…くれるか……?」
「遺言なんてゴメンだぜ」
男も助右衛門の意図に気付いていた。
「そんな上等なものではないさ……。ただ慶次に……前田慶次に…助右衛門はいくさ場で果てたと……悔いは無いとだけ……伝えて…くれ……」
「自分で言えよ。アンタはまだ死にはしない」
助右衛門の眼を見つめ、男は真剣な眼差しで言う。
悪い奴じゃないなと助右衛門はぼんやりと思った。
「……あの熊に気をつけろよ……あれは化け物だ……」
「ああ、わかってる」
男が深く頷いた。
助右衛門はそれで満足した。言いたいことは全部言った。
もう眼を開けていることさえ辛かった。
静かに眼を閉じると、最後に一言だけポツリと呟いた。
「……慶次……最後まで…傾き……と……お……せ――――」
助右衛門はそこで事切れた。
「おい…起きろよおい!死んでんじゃねぇよオイッ!!」
男がいくら呼び続けても、助右衛門が二度と眼を開けることは無かった。
その死に顔は晴々としていて満足そうだった。
助右衛門の亡骸を背負うと、一条誠は歩き出した。
ここに助右衛門を置き去りにしてしまったら、いつまた赤カブトが戻ってくるかもしれない。
見ず知らずの人間だが、その死を看取った以上、死体が食い荒らされるのは我慢ならなかった。
何処かに埋葬してやらなければならないと思った。
それにしても、改めてこのゲームの異常性を感じずにはいられなかった。
赤カブトの巨体は『ミリオン』のナンバー5をはるかに凌ぐ大きさだった。
どう考えても、あんな超巨大熊がこの小さな島に自然生息していたとは考えられない。
体育館での説明のときにも居なかったことを考えると、あとから連れて来られたこのゲームのゲストのようなものかもしれなかった。
「何考えてやがるんだ一体……」
主催者達の意図がまるでわからなかった。
わかっていることは、既に死人が出ているということと、殺らなきゃこっちが殺られるということ。
それに主催者達は想像を絶するほどに卑劣で、同時に恐ろしい存在だということだけだった。
先が思いやられた。
果たして生き残ることができるのであろうか……。
自信は全くといっていいほど無かった。
「……やれやれ、それにしても嫌な役を任せられたもんだ」
さしずめ遺言を伝える使者だった。
助右衛門の死が、一条の肩に重くのしかかっていた。
【H-4/港近く/一日目・午前3時前後】
【男子1番 赤カブト@銀牙−流れ星銀−】
[状態]:怒り狂っている。
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考]:1、腹を満たす。
2、捕食のため移動する。
※赤カブトは獲物を見つけ次第襲う気でいます。
【男子3番 一条誠@BOY】
[状態]:精神的に少し鬱。
[装備]:イサカ M37(装弾数2発)
催涙スプレー
[道具]:支給品一式(食料は二人分)
予備弾丸20発
[思考]:1、助右衛門の埋葬。
2、晴矢達との合流。
3、助右衛門の言葉を慶次に伝える。
【男子6番 奥村助右衛門@花の慶次〜雲のかなたに〜 死亡確認】
【残り 46人】
※一条は助右衛門のデイパックから食料・水を回収済み。
>>155を修正。
「
オラオラァ!失せろ熊公!!」 →「オラオラァ!失せろ熊公!!」
160 :
死と姦 ◆drwetRDQqY :2006/05/09(火) 23:01:38 ID:3Nk2vqN4
はぁ・・・俺、死んじゃうのかな・・・。
まだ女だって経験してないし、帝拳高校のボスにもなってねえ・・・。
死にたく・・・死にたくねぇよ・・・。
大場浩人は誰と出会うこともなく半泣きになっていた。
───同時刻
ふぅ〜、一人は寂しいな・・・。
瀬戸君に会いたいな〜・・・。瀬戸君じゃなくても誰か優しい人に出会いたいな。
麻生藍子は一人建物の中をさまよっていた。
窓の外はまだ暗く、辺りは静けさがただよっていた。
そんな中、人影を捉えることができたのは奇跡と言えるだろう。
男・・・の子?
誰と確認することなく、消え去っていく影を夢中で追いかけようとした。
孤独の中で人に出会えた喜びに浸っている彼女に、
それが悪人であるなどという思考は全くなかったのだ。
追いかけること数分、影は全く見えなくなってしまった。
それどころか、辺りは木々が並んでおり自分がどこにいるのかもわからなくなってしまった。
「誰か・・・居ませんか・・・?」
恐る恐る声を出す。
返事は来なかった。
───数分前
!!!!???
誰か・・・近づいてきてる・・・。
ヒロトは接近してくる人間が誰かわからないため、身を隠すことに決めた。
それがこのゲームにおいて最善、そう考えるに至った。
足音はだんだん近づいてきて、その顔がぼんやりと浮かんでくる。
・・・女?
ヒロトはそれがかよわい女の子・・・それもトビキリ美人な女の子であることを認めた。
しかし、気は許せない。
もしかすると凶悪な武器を所持しているのかもしれなかったからだ。
ひとまず、後をつけることに決めた。
数分後・・・彼女が小声ながら助けを呼ぶのを洩らしたのを聞いた。
こ い つ は ゲ ー ム に 乗 っ て な い
ヒロトは考えていた。
こんな状況だ。いつ死んでもおかしくない状況。
なんて不幸なんだ。
こんな状況なら別にいいじゃないか。
死ぬよりはマシだろ?と。
レ イ プ し た っ て い い じ ゃ な い か
と。
後ろから藍子に接近する。
そしていきなり後ろから彼女を羽交い絞めにした。
「きゃ!」と小さく声を洩らす。
その声がヒロトの本能をくすぐる。
身に着けていた服を破り胸を鷲づかみにする。
あまりにそれは柔らかく、そして官能的だった。
藍子は突然のことに気が動転して固まったままだった。
しかし、ヒロトの手が自分の大事な部分に伸びてきて、我を取り戻した。
「いやあぁぁぁぁぁぁ!!やめてください!!!!!!!」
かなり大きな声だった。
「な!やめやがれ!!黙れ!!!」
そういって、数発殴る。
それでも叫ぶことをやめない藍子を黙らせるためにヒロトは首を絞めた。
数分後、彼女は意識を失い・・・そして永遠に目を覚ますことはなくなってしまった。
数十分後、そこにはもうヒロトの姿はなく、虚ろな表情で死んでいる藍子しかいなかった。
その藍子の顔には死に化粧のようにヒロトの精液がかかっていた。
ガラス玉みたいに輝きを失った瞳からは、もう涙が溢れることはなかった。
涙も心もすっかりカラッポになってしまったようだった。
大きな喪失感と虚無感――。
その二つだけが赤木晴子の胸を占めている。
抜け殻となった晴子が今できることは、16年間のうちに経験してきた兄との思い出に浸るだけ。
小さい頃から遅くまでバスケをしていたお兄ちゃん。
私にレイアップを教えてくれたお兄ちゃん。
桜木君のことを伝えると筋トレをしながら全国の夢を語ったお兄ちゃん。
そのどれもが昨日のことのように鮮明に思い起こされる。
赤木剛憲は晴子のどの思い出でも逞しくて頼りになる存在だった。
しかし、その楽しかった昨日は二度と戻らない。
遅くまで練習に取り込む姿も、桜木に熱く指導する姿も、全国の夢を涙ながらに語る姿も、もう見ることができないのだ。
大好きだったお兄ちゃんは死んでしまったのだから。
晴子は膝を抱えてその間に顔を埋めた。
疲れていた。何も考えられないほどに疲れていた。
空気の抜けてしまった風船のように、晴子もまた萎んでしまっていた。
晴子の望むのはただ一つ、もう一度昨日に帰りたいということだけだった。
【A-5/森/一日目・午前午前2時前後】
【女子1番 赤木晴子@SLAM DUNK】
[状態]:精神的に不安定
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(※ランダムアイテムは未確認)
[思考]:1、何も考えられない
ぶほぁ!!!
「さーてどうっすかな。この状況・・・嫌な臭いがプンプンするぜ」ぶほぁ!!!
・・・
・・・・・
「くっせえええぇぇぇぇぇぇぇ!!時間差で臭いがきやがった!!!うげえぇぇぇぇぇぇ!」
自らの屁で悶え苦しむ男
一見ただのアホに見えるこの男はかつてこのバトルロワイアルに勝るとも劣らない忍空戦争を生き抜いた歴戦の勇である。
ぶほぁ!!!!!「くっせえええええぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇ」
・・・威厳はないが。
「ゲームに参加する気はない・・・が、この首輪はやっかいだな。
さすがに、変わり身の術でもこの距離じゃ避けるのは不可能だな。
それに現状でもっとやべえのは、忍空の忍の術が上手く使えねえことだな」
忍空とは忍びの術と空手の技を複合させた格闘技術。
そのうちの忍びの術、橙次ならば地龍の穴を突いて放つ術がに制限がかかっているようだった。
「まぁ、相手が忍空使いじゃねえ限り、こんな状態でもこの橙次様が負けるわけねえけどな。がーはっはっはっは」
豪快に笑う、ふんどし男はその身を隠すことなく道を進む。
誰にも彼の邪魔はできない。
その笑いの下にはあの体育館で起きた事件に心底怒りを持っている鬼が潜んでいるのだから。
ぶほぁ!!!!!!
「くっせえぇぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇ」
・・・・・多分。
「ちょっとまたなのおぉぉぉ!!」
前方50メートルにいる男を静かに尾行する者がいた。
彼女は橙次の隠しきれない殺気のようなものを素人ながらに感じ、近づくこともできずとりあえず後をつけようという結果に至った者であった。
ぶほぁ!!
「ちょっと・・・またなのおぉぉぉぉぉ!」
彼女の尾行に対する執念が強いのか、それとも屁の臭いのほうが強いのか・・・。
ゲームは彼の屁以上にきな臭く進行していく。
【男子36番 巳忍の橙次@忍空】
[状態]:臭さのため頭痛
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(※ランダムアイテムは未確認)
[思考]:1、とりあえず誰かと出会いたい
【女子4番 磯崎泉@I's】
[状態]:臭さのため頭痛
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(※ランダムアイテムは未確認)
[思考]:1、とりあえず目の前の男を尾行
――波の音が聞こえる。
三井寿が目を覚ましたとき、最初に思ったことがそれだった。覚醒したての思考回路へ、次々と情報が飛び込んでくる。
目を開いたにも関わらず、視界は薄暗がりに覆われている。頬に触れる何かは冷たく、平坦ではない。砂のような――外、だろうか。
「……んだ、これ……」
多少なりとも眠りが深かったのだろうか、指一本動かすのにもそれなりの苦労を強いられる。
ようやく身体全体が自由になって立ち上がることが出来た頃には、視力の方も回復し始めていた。
掠れた景色には一面、無骨な岩山が広がっていた。高低差はそれ程でもなく、山の上という訳ではないらしい。
暗闇のせいで遠くまで見渡すことは叶わないが、高所特有の息苦しさも感じない事から、多分そうだろう。
――波の音が聞こえる。
「……?」
そうだった。何よりもまず、山の中で波打つ音など聞こえる筈がない。山を流れる小川のせせらぎなど微々たるものだし、
滝の水が流れ落ちる音だとするには逆にそれは迫力に欠けていた。
ならば、波の音と岩肌を繋ぎ止める状況と言えば――
一つの予感が頭を過ぎり、まだ確認していなかった背後の風景を確かめようとしたその時――足元が、がらりと崩れた。
「――は?」
踵に触れる地面が消失して、後方へとバランスを崩しかけた体を、振り子の要領で前へと動かした上半身の勢いだけで巻き戻す。
ついでに一歩、足を進めておくことも忘れない。
岩と岩がぶつかり合って跳ねる音がして、その音はすぐに波に飲まれ、消えた。
――予感的中だ。
三井が立っていたのは断崖絶壁の、それも本当に端の部分だったのだ。
目を覚ますのがもう少し遅かったら、三井は現状を一切把握出来ないまま、突き出た岩々にその身を打たれ、海の藻屑となっていただろう。
こんな場所に寝かしつけておくなど、主催者の連中は何て趣味の悪い――
――主催者。
その記憶が、決定打となった。
堰を切ったように記憶が蘇る。見知らぬ人間が大勢集められた体育館、戸惑った顔の知己の少女、照らされた頭上のライト、武装した兵士、
いつもと変わらないのんびりとした調子で現れた白髪の老人、その背後からやってきた髭面の中年、
――「君達には殺し合いをしてもらいます」 ――
「……マジって、ことかよ」
はっきりとした現実を認めた途端、心臓が暴れるように激しく鳴り出した。
この異常な状況は、嘘偽りではない。自分達は、殺し合いをさせられるのだ、間違いなく――
思わずよろめいた足が、柔らかな何かを蹴った。
ゆっくりと下げた視線の先にあるのは、横倒しになっている物体。
――デイパック。
『デイパックの中には数食分の食料・水、それに参加者の名簿・筆記用具・地図・コンパスが入っており、
他にランダムで得物となるものも入っている』
獲物となるものも――
獲物。この場合に獲物という言葉が指すものと言えば、一つしかない。
殺し合うということは、人の命を奪うということだ。命を奪うために、必要になるものとは何か。
――"武器"だ。
三井はデイパックの前に屈み込むと、倒れていたデイパックの底を地面へと置き直し、ジッパーを開いた。
当然だが、こんな殺し合いに乗る気など更々ない。しかし、同じように武器を渡された人間が存在しているだろうということを考えると、
自衛のためにもそれは必要不可欠となる。不良をやっていた割には情けない話だが、自分は腕力の方には然程自信がないので。
だが、金属同士の擦れ合う音が耳へと届いて、明らかになったその中身は、おおよそ"武器"とは程遠い代物だった。
三井が取り上げたものは、手にしたばかりにも関わらず、余りにも馴染みすぎるオレンジ色の球体。
言うまでもなくそれは、バスケをする者にとって相棒にも等しい親近感を持った、バスケットボール以外の何物でもなかった。
「……くそったれ」
大した冗談だ、そう思った。生き残ればまたバスケが出来るとでも言いたいのだろうか? 皮肉としても質が悪過ぎる。
まず、生き残るための唯一の"武器"というのがバスケットボールでは話にならない。顔面にでも投げつけてやるか? 馬鹿な。
武器というのは普通、拳銃だの刃物だの、最低でも"そういう用途"を持っているもののことを言うのだろう。
ボールを投げて人が殺せるのなら、ボールなど必要はない。
それだけの腕力を持っているのならば、普通に殴りかかる。でなければ石でも使った方がずっと合理的だ。
何よりボールは、バスケをするための物だ。
バスケをするための――
「……」
――バスケ、か。
自嘲気味な笑いが漏れるのを、抑えられなかった。
生きるか死ぬかの瀬戸際で考えることが、バスケットボール。暢気にも程があるのではないか。
しかし、暢気にでもならなければどうにもならない事も確かだった。はっきり言って、これで自分が生き残れる可能性は0だ。
多少の自棄は許して欲しい、そう思う。
――そうだな。とことん暢気に行くって言うんなら――
「――してみるか、バスケ」
実際に声に出してみると、何故だか身体が軽くなった気がした。
屈んでいた身体を上げて、天を仰いだ。その手には、当たり前のように収まっている、バスケットボール。
視線の先にある青白い円をゴールに見立てて、三井はシュートの体制に入った。
膝を軽く落とし、ボールを眼前へと掲げる。左手は添え、右手は月の――ゴールの正面。
静寂の中で瞳を閉じてみると、慣れ親しんだ光景が、今も変わらず目の前に広がっているような感覚に陥る。
熱気に包まれた体育館。敵味方入り乱れて駆け回るコートの中には、無数の騒々しい足音が広がっている。
三井のいる場所は、他の連中が凌ぎを削り合っているゴール下から、少し離れたラインの外。
それでも対戦相手は、三井に対して必死に食い下がってくる。
――どんな奴も、オレの恐ろしさを知ってるからな。
自然と笑みが毀れる。ボールが渡ってしまえば、後はこちらの思うがままだ。
どれだけ執拗なディフェンスを受けても、自分は常にその上からシュートを放ち、ネットを揺らしてきた。今度も同じことだ。
観客席から、力強い声で自分の渾名を呼ぶ声がする。
視線を向ける余裕まではないが、今日も変わらずこっ恥ずかしいあの応援旗を振り乱しているのだろう。律儀な奴。
――ま、軽く決めてやるからよ。
ボールが手から離れる寸前、視界の端に違和感があった。
ゴール下での激しいポジション争い――おいおい、そんなマジにならなくたってオレは外さねえよ、桜木は特にはりきり過ぎだ――の中。
一人外れて、立ち尽くしている背中があった。
赤いユニフォームに刻まれた、背番号は、4。
――は?
何やってんだお前、試合中にボーッと突っ立ってやる気あんのかよ? 桜木が同じことやりゃあ速攻バカタレがっつって殴る癖によ。
おいしっかりしろよ。オレ今からシュート撃つぞ。リバウンド入れよ、いつもみてえに他の奴らと身体張り合って、どしっと構えてろよ、なあ――
長身の背中が、こちらを向いた。
その顔面は、彼が着ているユニフォームと同様赤く染まりきっていて、もはや顔面と呼べる形を止めておらず、それを意識が認識した途端、
彼の身体はユニフォームに覆われていない肌色の部分も含めて、何もかも"赤"に侵されていき、上半身が、下半身が、
腕が足が首が何もかもがブチ切れてバラバラになって床へと落ちていって――
「――赤――」
一直線にゴールを向いていたはずの手首が、その時、ブレた。
弧を描いて宙へと羽ばたいたボールは、僅かに軌道を変えて、リングに何の抵抗もなく弾かれた。
その音は、呆然とした三井の耳へと空しく響いて、本当にとても、救いようのない、音が――
「……うああああああああああああああっ!!」
跳ね返ったボールの行方を知ることもなく、その景色は、途切れた。
目を開いたとき、三井の掌には何の感触もなかった。
フォロースルー――シュートを放った直後の体勢のまま固まっていた腕を下ろして、ぼんやりと、荒れ果てた地面を見渡す。
ボールは視線の遥か先、一際天へと突き出している岩肌の前で転がっていた。
尖った地面を何度か跳ねたせいだろうか、ボールの表面は薄く削れている部分が見受けられて、打ち捨てられたような姿になっていた。
実際、三井が拾おうとしない限り、このボールは捨てられたようなものだ。
ここはバスケットのコートではない。殺し合いをする場所なのだ。持ち主のいなくなったボールを躍起になって追いかける者など、誰もいない。
そして、それを認めようとしなかった一人のバスケットマンは、もう二度と、リバウンドもダンクもブロックも出来ない身体にされてしまった――
「……」
気が付いたら、足を前へと動かしていた。
必要のない、傷付いたボールを手にするために、三井は一歩ずつ、それに近付いていく。
そして、拾い上げた。
滑らかな球体は完全ではなくなってしまったけれど、やはりそれは、いつも三井の手の中に存在したバスケットボールそのものだった。
――やっぱ、忘れらんねえよな、こればっかは。
置いていたデイパックの下へと戻って、ボールを仕舞い直す。
何かの役に立つことなど、期待はしていない。実際、このゲームが続いている間に、このボールをもう一度取り出すことなどないだろうと思う。
それでも三井は、手放すことが出来なかった。
赤木は死んだ。湘北のレギュラー5人がコートに揃うことは、永久にない。桜木とも、出会えないかもしれない。
だから今は、このボールだけが、自分とあの日々を繋ぐ唯一の存在だ。
仲間がいて、競い合う相手がいて、熱意があって、声援があって、コートがあって、リングがあって、ネットがあった。
もう一度、あの音が聞きたかった。腕を振り上げる力を、底を尽いた気力でさえも奮い立たせる、放ったシュートが鳴らす響きを。
このボールは、言わば、そこへと帰るための切符代わりだ。
ジッパーを閉じ、デイパックをひょいと右肩に担ぎ上げると、三井は歩き出した。
――まずは桜木とハルコちゃんを探そう。桜木のバカは放っといたら、ゲームに乗った連中でも無闇やたらに突っ込みかねねえ。
アイツがケンカ強えのは充分に分かってるが、それでも相手が銃とか持ってたら話は別だ。
腕っぷしだけでどうにかなるほど、このゲームは甘くねえ。
もっとヤバいのは、ハルコちゃんだ。赤木のやつが死んだのを、本当に間近で見ちまった。
おまけに今度は、目が覚めたら暗闇ん中に一人ぼっちだ。
名簿の中にある名前は、知らねえ奴のがほとんどだった。もしその中に乗り気のやつがいて、ハルコちゃんがそいつと出会っちまったら――
頭の中で浮かび上がった最悪の事態を、三井は首を振って掻き消した。
――兄妹揃って、そんな悲惨な終わり方にしてたまるかよ。
――オレが、やらなきゃ。
頼れる相手は何処にもいない。尊敬の念を抱いていた恩師は、今や自分達を死へと追いやる悪意の塊と化した。
引き摺られる訳には、いかない。
――諦めたら、そこで試合終了ですよ、か。本当その通りですよ、安西先生。
言葉の主が狂気に取り込まれた今も、その言葉だけは三井の中で揺れ動くことはなかった。
かつて、三井を立ち上がらせた言葉。
今も、三井を立ち上がらせる言葉。
――だからオレは、生きることを諦めねえ。オレであることを、3Pシューター・三井寿であることを諦めねえ。
人生最後のシュートがリングに弾かれて終わりなんざ、認めてたまるかよ。
乾ききった岩場を行き、足元に最低限の気を払いつつ、鈍い輝きを放つ満月に視線を送る。
――今度は、外さねえぞ。
月を眺めているうちに感傷的な気分になってきて、三井は声には出さず、願った。いつかと似たような言葉を、別の相手へと向けて。
――神様……ってやつが仮にいるとしてだ。ホトケ様でも、この際構いやしねえ。俺の言うことなんか知ったこっちゃないかもしれねえけどよ。
有り得ない話を、一つ聞いてくれ。もしもこの世に、奇跡でも救いの手でも何でもいい。こんな俺を哀れに思って、何かしてくれるんなら――
いつか何処かで、また、皆一緒に。
――バスケが、したいです。
【A-1/崖周辺/一日目・午前2時前後】
【男子12番 三井寿@SLAM DUNK】
[状態]:健康
[装備]:バスケットボール@SLAM DUNK
[道具]:支給品一式
[思考]:1、花道、晴子を探す
2、生き残って、バスケのある日常へと帰る
「それにしても……まさか、またワシがこのゲームに参加する羽目になるとはのう」
ヒカルを殴り殺した末、アテもなく歩いていたさかきばらが溜息交じりに漏らす。
――あれはどれくらい前のことだったか、正確な年数まで覚えていない。
確かセクシーコマンドーフェスティバル第15回大会の直後のことだったから、昭和30年に起きた出来事になるのか。もう数十年も昔の話だ。
あの時もまた、今回と同じように参加者として立っていた。
今回と同様、性別、人種問わず様々な参加者が無作為に選ばれ、そして戦わされた。
誰がどんな目的でこんな事をさせているのか、そこまでは知らない。
分かっているのは参加させられた参加者のうち、無事に生きて帰れるのは一人だけということだ。そう、数十年前の自分のように……。
「さて、はりきって行くかのう」
遠い昔を思い出すと、さかきばらは年甲斐もなくはしゃいだ。
【男子11番 さかきばらのぶゆき@すごいよマサルさん】
[状態]:やや興奮気味
[装備]:金属バット@BOY
[道具]:支給品一式
[思考]:1、優勝する
2、とりあえず色々見て回る
>>172の状態表に
【C-4/平地/一日目・午前3時前後】
も追加です
すいません
夜の闇に浮かぶ月――――それはこれから島で起こる数々の物語を嘲笑うかのような、妖しい輝きを放っている。
澄んだ空気が、月の美しさを妖しいだけでなく、より幻想的な雰囲気に仕立て上げていた。
月光に照らし出された巨大な影が一つ。誰に憚る事もなく、商店街を悠然と往く。
その姿は堂々としていて自信に満ちている。幾多の実戦経験に裏打ちされた揺るぎない自信だ。
「隠れていても無駄だ。出て来い」
この男、盲目だが周囲の様子を目が見えているのと同じように感じ取る事が出来る。
だから建物の陰から少女が顔を覗かせている事も、先刻承知済みだった。
少女が驚き身を引っ込める。相手が裏の世界のスイーパーとも知らず、それで隠れたつもりになっているようだ。無論、男にそんな子供騙しが通用するはずも無いのだが。
男は少女の隠れる建物の陰まで行くと、少女の首根っこを押さえ、引きずり出した。
「無駄だと言ってるだろ。何故、俺の後を付回す?」
「ご…ごめんなさい…………」
「理由を言え、事と次第によっては容赦せん」
完全に萎縮した少女に、男は畳み掛ける。
男の顔はただでさえ厳つい。それが脅迫まがいの訊ね方をした時、誰だろうと逆らえないはずだった。少女もまた然り。
「ひ…………が…………だったから…………」
「ハッキリ喋るんだ」
男は特別怒っているわけではなかった。根が不器用で、愛想というものを持ち合わせていないだけだ。
口調はぞんざいで態度は横柄だが、本当は見た目によらず、とてもシャイでナイーブな心の持ち主なのである。
「ヒゲが素敵でしたから…………」
少女が控えめに呟いた。
「そんな理由で俺の後を付いてきたのか…………?」
「ヒゲに目がないんです…………。自分でもおかしいと思って直さなきゃと思うんですけど、気付くとヒゲの事ばかり考えていて…………
…………あのう、すごく素敵なヒゲですよね。少しだけ触ってみてもいいですか?」
男は見る間に顔を赤らめていく。
茹で上がったばかりのタコにサングラスと口髭を蓄えさせれば、今の男の顔にそっくりになるはずだ。
「す、少しだけなら…………」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
少女は嬉々として男の髭に触れた。男はくすぐったさに耐え、少女の要望に応えてやる。
髭を誉められたのが何だかとても嬉しかった。
「お、おい、もういいだろ。放してくれ」
「あ、ごめんなさい」
男の髭を名残惜しそうに一撫でしてから、少女は手を放した。
「可愛いですね。波平さんみたいで」
「な…………波平…………さん…………?」
「色艶良いし、毎日のお手入れ大変じゃないですか?」
「まあ…………な」
波平の鼻毛のような髭と一緒にされ軽いショックを受けつつ、男は少女と髭談義に花を咲かせた。
少女は少し変わっていたが、少女と過ごす時間は男にとって不快ではなかった。
「ごめんなさい、つい話しこんじゃいましたね。私、いつもこうなんです。ヒゲの事になると夢中になっちゃって…………気持ち悪いですよね」
「いや、そんな事は無い。楽しかった」
「本当ですか!?ヒゲ好きを理解してくれるなんてマサル君くらいしかいないと思ってたのに」
男が特に髭好きという事は無かったが、少女が喜んでいるのに訂正するような無粋な真似はしなかった。
「あら?その肩のもの…………」
肩に装着した不思議な輪。少女が指差す。
「デイパックに入っていたものだ。俺にはどう扱っていいか解らなかったが、何故か肩に着けている」
「それ、友達の持ち物なんです」
「これは一体どういうものなんだ?」
「さあ…………?詳しくは知りません。たぶん持ち主も…………」
「そうか。まあいい、持ち主がいるなら返してやろう。俺には使い道が無いからな」
輪を肩から外した。
すると、男の頭に生えた髪も、黄色く変色したサングラスも、元通りの姿に戻った。
男は頭を撫でる。つるりとした寂しい感触だ。
手放すのが惜しい気もしたが、少女に輪を渡した。
「いいんです、いいんです。波平さんが持っていてください」
「友達に返さなくていいのか?」
「それ重くて私じゃ持てないし、波平さんが持ってた方が役に立つと思います」
そう言われれば無理に返す事も無かった。
再び輪を肩に装着し、頭のふさふさした感触を男は楽しんだ。
「これからどうする気だ?」
「友達を探します。名簿によればマサル君と校長先生が何処かにいるはずですから」
「武器は何だ?」
「えーと…………碁石です」
蛤で作られた白石が180個。粘板岩で作られた黒石181個。併せて361個の碁石が少女の支給された武器だ。
こんな物が戦う為の道具であるはずがない。
「…………一緒に来い。一人でうろつくのは危険だからな」
「一緒に行っていいんですか?」
「友達が見つかるまでだ」
「はい!私、北原ともえっていいます」
「俺はファルコンだ」
頭上で月が二人の行く末を見守る。
二人に訪れる結末は、ハッピーエンドか、それとも――――――
【E-3/商店街/一日目・午前2時30分前後】
【男子2番 伊集院隼人@CITY HUNTER】
[状態]:髪が生えた
サングラスの色が変わった
[装備]:マサルのチャームポイント@セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん
[道具]:支給品一式
[思考]:1、様子を見ながらリョウたちを探してみる
2、モエモエと一緒に行動
【女子6番 北原ともえ @セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん】
[状態]:健康
[装備]:特になし
[道具]:支給品一式、碁石@ヒカルの碁
[思考]:1、マサルや校長を探す
2、海坊主について行く
177 :
血の池地獄:2006/05/22(月) 14:25:08 ID:BDwr4Y5J
“それ”を見た途端、中島は動けなくなった。
赤い大輪を咲かせた中央に横たわる“それ”――――――紛うこと無き、人間の死体。
2メートルを越えそうな巨大な死体は銃撃による損傷が激しく、辛うじて人間としての形態は保っているものの胸や腹には無数の穴が開き、そこから夥しい量の血液が溢れ出ていた。
胴体の無残な銃創のわりに顔には傷が一切無く、顔だけなら一見するとまだ生きているようにも見えそうだった。
首から下は酷い有様なのに、顔は口から血を流してはいても綺麗なまま――――。その光景は余計に凄惨さを現していた。
「ごぉおええぇぇ…………おええぇぇぇ…………」
中島は崩れるようにして跪くと胃の内容物を全て吐いた。胃が空になるまで吐き尽くした。
それでも吐き気は治まる事無く、黄色い胃液まで食道を逆流した。
中島にはもう何がなんだかわからなくなっていた。頭の中が真っ白になってしまい、碌に頭も働かなかった。
とにかくここから逃げる事しか思いつかなかった。
吐瀉を続けている最中にも構わず立ち上がり、死体に背を向けた。
「うう…………うううぅぅ…………」
恐怖で涙が頬を伝う。長い髪が涙で顔に張り付いた。
【D-4/民家近く/一日目・午前2時30分前後】
【男子19番 中島淳一@ろくでなしBLUES】
[状態]:精神的に大ダメージ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式・ヘルビジョン(10粒)@BOY
[思考]:1、死にたくない。
2、太尊や千秋を探す。
3、身の危険を感じたらヘル・ビジョンを使用する。
おれは冴馬リョウ、またの名をシティーハンター。その筋じゃあ、ちったあ名の知れたプロのスイーパーだ。
美女のボディーガードから殺しまで手広く請け負う。つまり、街のゴミどもを始末する清掃人。
てな訳で、常に危険と背中合わせの毎日だ。
それにしても、今回はやっかいな事に巻き込まれちまった。
おれとしたことが目が覚めたら殺しを強要された挙句、再び目が覚めた時には見知らぬ島に放置されていた。
香の姿も見えないし、冴子も海坊主もミックも見当たらない。
まったく何がなんだか訳が分からんぜ。一体、これからどうなっちまうんだか…。
リョウは徐にその“白衣を着た女性”のスカートを捲り上げた。パンツの薄い布地に包まれた白くて形の良い臀部が丸出しになる。
「きゃ!」
白衣の女性は自分の意思に反して捲くり上がったスカートに驚き、短い悲鳴を漏らすと、スカートを必死に抑えた。
いくら抑えようともスカートは捲くり上がったままだ。何故ならリョウの大きな手が女性の努力を阻むようにスカートを抑えたままだった。
「わぁお!もっこりヒップちゃん!」
柔らかそうな双丘に眼を釘付けにして、リョウは歓声を上げる。香が見たら間違い無くハンマーでお仕置きされている場面だ。
「や……やめてください!」
なんとかリョウの手から逃れると、白衣の女性はリョウをきつく睨んだ。
「なんなんですか、貴方は…………!?」
見ず知らずの女性のスカートを捲り上げ、観察するなど、セクハラの域を超えている。白衣の女性が憤慨するのも無理はなかった。
ただ、相手は新宿の種馬の異名を持つ冴馬リョウだ。馬の耳に念仏というやつだった。
「あっれー?怒っちゃったー?そんな怖い顔してないでさーリョウちゃんと遊ぼうよー」
「やめてください!大声出しますよ?」
「いいじゃんいいじゃん、ねー?遊ぼうよー」
いつまでもしつこく食い下がるリョウに白衣の女性も呆れ顔。その顔は明らかにリョウを軽蔑していた。
「私はこんな事してる暇無いんです。早くあの子達を探さなくちゃ…………!」
白衣の女性は大真面目に言った。
さすがのリョウもふざけてられないほど、白衣の女性は真剣だった。
「訳ありかい?」
さっきまでの変態ストーカーが一変、リョウはシリアスモードに切り替わっている。
こうしていれば、リョウはかなり格好良い。中にはこのギャップの大きさが好きだという女もいるとかいないとか。
とにかくリョウも悪ふざけを止め真剣になったので、白衣の女性の方も重い口を開いた。
「日々野君達を…………うちの学校の生徒達を探さなくては…………。ごめんなさい、貴方の相手をしてられないんです」
白衣の女性は丁寧な辞儀をして、生徒達を探しに行こうとした。
「待ってくれ、話を聞こう。おれに話してみてくれないか?」
「貴方に…………ですか…………?」
疑いの目。まだリョウを信用していなさそうだ。
「なぁに、こう見えてもおれはプロのスイーパーさ。こんな物騒な島を一人でうろつくより、おれのような腕利きと一緒に探した方がずっと安全だと思うがね」
とか何とか言いながら、リョウの腕はちゃっかり白衣の女性の肩をしっかり抱いている。
白衣の女性は半信半疑でリョウの横顔を見上げていた。
「ほう…………要するに、春香ちゃんの所の生徒さんは何を仕出かすか分からない問題児って事か。面倒に巻き込まれないうちに、手綱をつけちまおうって訳だな」
「問題児なんて…………!あの子はとても良い子です。ただ少し元気があると言うかお調子者と言うか…………とにかく悪い子ではありません」
生徒を庇う春香の姿は、リョウに好感を抱かせた。
春香が心根の優しい娘だという事はそれだけで伝わって来ていた。
「まあ何にしても生徒の身が心配だって事だろ?だったら早いとこ出発しようぜ。もう面倒な事に巻き込まれているかもしれない」
「でも…………いいんですか、冴馬さんも誰か探さなくちゃいけない人がいるんじゃ…………?」
「なぁに心配はいらん。どいつも簡単に死んじまうような奴らじゃないからね。そのうち何処かで会えるさ」
リョウの言葉は素っ気無い。春香に要らぬ気遣いをさせない配慮だった。
この純真無垢で優しい心の山ノ上春香を、これ以上不安にさせてしまうのは男が廃るというものだ。
「ありがとう冴馬さん」
春香が笑いかけてくれた。
「フッ……報酬は前払いで貰っておくよ」
「え?」
春香は知らなかった。春香の微笑が最高の報酬になった事を――――――
180 :
報酬は白衣の天使の微笑み:2006/05/25(木) 14:50:45 ID:pfDogAoC
【H-2/平野/一日目・午前2時30分前後】
【男子10番 冴馬リョウ@CITY HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:特に無し
[道具]:支給品一式
[思考]:1、あわよくば春香ともっこり
2、春香を守る
3、香、冴子、海坊主、ミックを探す
【女子12番 山ノ上春香 @BOY】
[状態]:健康
[装備]:特に無し
[道具]:支給品一式
[思考]:1、日々野や一条を探す
2、リョウについて行く
二人の支給品は次に作者に任せます
魚住を殺してしまったという罪の意識は、福田に消えることの無い重荷を背負わせた。
ガラス細工のように精巧な作りの心は、自分の犯した過ちの大きさに耐え切れなかった。
どんなに現場から遠ざかろうとも、どんなに現実逃避しようとも、どんなに時間が経とうとも、罪悪感からは決して逃れることはできない。
罪悪感は、はっきりとした形となって福田の前に現れた。
福田には見えるのだ。腹に無数の風穴を開け、血塗れになっている魚住の幻影が――。
『福田…俺はお前を絶対に許さないぞ……』
福田は魚住がそう言っているように思えてならなかった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
いつしか福田は魚住に哀願するようになっていた。
しかし福田がいくら謝っても、魚住が福田の前から消えることはなかった。
試合に負けたときでも見せたことのなかった悔しそうな、苦しそうな、無念そうな顔をして福田の前に現れる。
それは福田の目の前に現れることもあったし、真後ろにべったりと張り付くこともあった。並んで歩くことさえある。
「魚住さん…」
どうしたら許してくれますか……そう訊いても、魚住は何も言わない。
『仲間の俺を撃ち殺しておいて許してくれだと?冗談じゃねえ!絶対に許さん!!』
ただ福田にはそう聞こえるのだ。
おかしくなりそうだった。――いや、実際に、福田はおかしくなりかけていた。
殺人者という烙印を自ら押し付け、その痛みに身を焼いていた。
福田は自分を失いつつあった。
「福田?…福田じゃないか?!」
田岡が見たのは、守ってやると決めた福田吉兆の姿だった。
福田は頼りない足取りで診療所の方へ続く道路をとぼとぼと歩いている。
まさか最初に出会ったのが福田だとは、田岡はツイていると思った。
「おい福田、大丈夫だったか!?」
田岡は笑顔で福田に近づいた。大事な教え子が無事だったのが心底嬉しかった。
ところが、福田の様子がおかしい。
プルプルと身体を震わせているのはいつものことだが、俯き、何かを口の中で呟いている。
心なしか、田岡は鬼気迫るものを福田に感じた。田岡の呼びかけにも、福田が応じる様子はなかった。
「福田」
近づいた田岡は、夢遊病者のような福田の肩にポンと手を置いた。
「うああああぁぁぁぁぁ!!!」
すると福田は絶叫を上げ、田岡を突き飛ばした。
「痛ッ!!――バカモン!いきなり何するんだ!?」
尻餅をついた田岡は、福田を見上げて怒鳴った。
「ひぃ…!ごめんなさい…魚住さん……ごめんなさい……ごめんなさい……」
怒鳴られた福田は、一心に口の中で何かを繰り返している。
福田の眼の焦点が合っていない。魚住と呟いたのを、田岡は聞き逃さなかった。
「福田…どうしたんだ、お前――。様子がおかしいぞ?魚住と言ったようだが、あいつが何処に居るのか知っているのか?」
田岡は腰を上げ、ズボンの埃を払いながら訊いた。
「ごめんなさい…ごめんなさい……」
福田はそれしか言わない。
ようやく田岡も福田の様子が尋常でないことが飲み込めた。鬼気迫っていると感じたのは間違いではなかったのだ。
「わかった、もういい。とにかく落ち着いて話でもしようじゃないか。俺はお前を捜し歩いてせいで腹が減った。飯でも食おう、な?」
福田を刺激しないよう、極力声のトーンは落としている。普段の練習では絶対に出すことのない甘い声だった。
田岡は、福田に誘いの手を差し伸べた。
「…い…いやだ……来るな……」
田岡が伸ばした手から逃げるように、福田は後退る。
こいつは何をそんなに怯えているんだろう、田岡にはわからなかった。
この数時間に福田に起きた出来事を案じた。
「大丈夫だ、何もしやしない。一緒に飯を食うだけだ。そんなに恐がらずにこっちへ来い。
――それとも腹は減ってないか?それならそうだ、バスケの話でもするか?次の試合ではお前をスタメンで使うつもりだぞ。体調の方はどうだ?」
田岡は必死だった。
とにかく今は福田を落ち着かせることを考えなければならない。
「…来るな…やめてくれ……俺が悪かったよ魚住さん……だから……」
「福田、しっかりしろ。俺は魚住じゃない、田岡だ。お前のチームの監督・田岡茂一だ」
「ち…違う……魚住さん…やめてくれ……やめてくれ……。――――わあああぁぁぁぁ!!!」
「福田!!」
福田は駆け去った。
過去に賞賛された名プレイヤー(?)の田岡でも、現役の――ましてやオフェンスの鬼とまで言われた福田の脚力に追いつけるわけがなかった。
遠ざかっていく福田の背中を呆然と見送り、田岡は胸騒ぎを覚えた。
「福田…お前、一体……」
【D-3/診療所近く/一日目・午前3時前後】
【男子29番 福田吉兆@SLAM DUNK】
[状態]:混乱
[装備]:H&K MP5 サプレッサー付き(装弾数0発)
[道具]:支給品一式、予備弾丸200発
[思考]:1.魚住の幻影から逃げる。
2.死にたくない。
※魚住を殺すのに一弾倉分を使い果たしたが、混乱しているのでまだ弾倉を変えていない。
※200発の予備弾は、40発入る弾倉が5本という意味。
【男子16番 田岡茂一@SLAM DUNK】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考]:1.魚住・福田の両人と合流、彼らを守る。
※得物は依然として不明。
184 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2006/07/21(金) 19:46:23 ID:+WZmBwvW
ほら、今度からカスはこっちに投下しろ
185 :
巨人の時代:2006/09/11(月) 19:17:28 ID:m0jkExOB
突如空が裂け、数十人の人間が降って来た。金本知明と鳥谷隆もその中にいた。
「おう、鳥谷。早速始めるで。阪神に歯向かったボケ共を粛清するんじゃ。」
「分かったで、アニキ。特に味噌の連中には頭に来てたんだ。ハデに殺してやりやしょう。」
愛媛県北部。番場蛮も新たに召喚された人間の一人だった。祖国である四国の地を踏みしめ、物思いに耽っている。
「何故、巨人はあそこまで弱くなってしまったんだろう?俺が愛したジャイアンツ野球はもう見れないのか?」
「そうだ。だが、全員が落ちぶれたわけでもない。貴方のような偉大な投手も残っている。」
番場が振り返った先には、中日ドラゴンズの不動の2番打者井端弘数が立っていた。そして、番場に悪魔の囁きを始める。
「どうだ。我がドラゴンズに入らないか?貴方が経験した35年前のジャイアンツ野球は今、中日が引き継いでいる。
今の巨人にかつての栄光は微塵も残っていない。貴方も強いチームで勝ちたかろう?」
「俺は…あのチームに勝ちたい。いいぜ。中日ドラゴンズ。俺の第二の野球人生の始まりだ。」
中日と巨人。球界が誇る2大癌の巨頭が手を組んだ。しかし、その野望も長くは続かない。正義の使者による裁きが待っていたからだ。
砂浜に響き渡る無数の銃声。それが鳴り止んだ時、井端は息絶えていた。撃ったのは、阪神史上最強の4番打者、金本。
「哀れなり。番場蛮!貴様は最下位球団に入団し、巨人を倒す事を夢見たんじゃなかったんか?
それが巨人の一員となり、戦力の劣る他球団に勝ち、優越感に浸る。更には巨人の勢いがなくなると強い球団に寝返る。
貴様はサムライなんかやない。人間のクズや。ここで死ねや。」
「黙れ!貴様が、貴様が阪神にさえ行かなかったら、我が巨人は今も球界の盟主として君臨していたんだ。貴様さえいなければぁああああああああああ!」
番場も支給品のウージーを放つ。だが、金本はそれを難無くかわしてみせる。
「ふん…散々他球団の選手を強奪しておいてよく喚く…今の巨人は日本人の象徴やないわ。今では川上以来続く伝統の4番も朝鮮人に渡してしまったやないか。」
「黙れ!貴様ら阪神は金満補強をしなかったというのか?」
「だから暗黒時代を迎えたんや…」
「我ら正義の大巨人軍がどん底へ叩き落したんだ。阪神は何かとうざかったんでね。」
この後に及んでも強気の姿勢を崩さない番場。しかし、ウージーを撃ちつくした瞬間、鳥谷の銃が火を吹く。
「ぐああああああああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜
186 :
巨人の時代:2006/09/11(月) 19:18:16 ID:m0jkExOB
番場の体に散弾が飛び散り、臓器が辺りに散乱し、魔球男はやがて息絶えた。
「ようやった。鳥谷。この調子で他球団の選手を殺していくんや。汚物は消毒せなあかんからな。」
「はい。次はどこへ行きますか?」
「そうやな。便器掃除に福岡まで行こう。大阪を裏切ったホークスの最後や。便器どもに綺麗な花火を見せてやろうやないか。」
【2日目午前愛媛県】
【金本知明@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」ウージー(残弾30発)、AK―47(残弾25)
「道具」支給品一式×2
「思考」阪神以外の選手を殺す。
【鳥谷隆@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」猟銃(残弾14)
「道具」支給品一式
「思考」アニキに着いて行く。
【井端弘数@中日ドラゴンズ】
【番場蛮@侍ジャイアンツ】
死亡確認。
187 :
広島の執念:2006/09/11(月) 19:18:55 ID:m0jkExOB
瀬戸大橋を通り、福岡に向かう。途中、広島があるが、アニキはそれには目も暮れない。
「広島はわし等の2軍じゃ。潰す必要は無いわ。」
そう思って通り過ぎようとしていたら、1発の銃弾がアニキの額を掠めた。
「今撃ったんは誰じゃボケぇ!出てこいや!わしがぶっ殺し足るわ!!!」
「おう、今姿を拝ませてやるけぇ。」
少年の声だった。アニキの頭にはは怒りのあまり血管が浮き出ている。鳥谷は畏縮して声が出なかった。
血まみれになった少年の姿が見えた。手には何者かの首がぶら下げられている。そして、その後ろには眼鏡をかけたあの選手の姿があった。
「その首は…井川、井川やないか。ワレェ!井川を殺ったんか?」
「そうじゃ。阪神の選手はワシが許さんわ。散々広島から強奪しといて、今年は黒田さんも奪おうとしとろうが!特に金本。貴様は広島の裏切り者じゃ。この中岡元が殺しちゃるわ!」
ゲンは隠し持っていたナタでアニキに飛びかかる。アニキは左腕に傷を負うも、その鋼の肉体の前では致命傷には到らない。
「黙れ!ワシはもともと阪神ファンだったんじゃ!今はこの身を阪神に捧げるただの一兵士じゃ。この前、広島時代は空白の11年じゃ言うたろうが?」
アニキはウージーを構え、ゲンのこめかみに向け…
「この腐肉が…お前は地獄に落ちればええんじゃあああああああああああああああ」
撃った。
一撃だった。既にゲンは物言わぬ屍と化していた。
「アニキ!あの眼鏡が撃ってきます。気をつけて下さい!」
見るとヤクルトスワローズのPM、古田がボウガンを構えている。
「おや?いけませんねぇ。スパイ球団が逃げ回っては。ゲン君に殺されていればよかったものを。中日に一方的にやられる君たちはセ・リーグの火を消す張本人なのですよ。」
矢は鳥谷の頭の上を通り過ぎていった。身を屈めていなければやられていたかもしれない。
「黙れ。巨人の犬が。貴様らはこの阪神様の糧になればええんや。それを分かってるのは横浜だけや。
犬ルトの選手は生きる価値すらないわ。死ね。」
188 :
広島の執念:2006/09/11(月) 19:19:28 ID:m0jkExOB
古田には銃器すら必要なかった。アニキの無敵の肉体は古田の中年のものと違い、生命力で溢れていた。
ボウガンを払いのけ、首を絞める。ボキッと鈍い音がして、古田は抵抗すらできず、首の骨を折られ、死んでいった。
「ほな、出発しよか。井川の墓を建ててからな。」
【2日目午前広島県】
【金本知明@阪神タイガース】
「状態」額と左腕に掠り傷。行動に影響なし
「装備」ウージー(残弾29発)、AK―47(残弾25発)、鉈
「道具」支給品一式×2
「思考」阪神以外の選手を殺す。
【鳥谷隆@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」猟銃(残弾14)、ボウガン(残弾10発)
「道具」支給品一式×3
「思考」アニキに着いて行く。
【中岡元@はだしのゲン】
【古田厚也@東京ヤクルトスワローズ】
【井川圭@阪神タイガース】
死亡確認。
189 :
便器掃除:2006/09/11(月) 19:22:52 ID:m0jkExOB
「着いたで。ここが九州や。しかし、いつ見てもスペースワールドは貧相やな。まあ、日本一のテーマパークUSJと比べるのはちょっと酷かもしれんが。」
アニキと鳥谷は福岡の街を行く。きっと便器の汚物共が沢山いるはずだから。日本の良心大阪の選手としてはそういうものを排除する義務がある。
「早速見つけたで。あれは味噌の立浪と便器の川崎や。ん?虎のユニフォームを着た娘が襲われとるやないか。グズグズしとる場合や無いな。行くで鳥谷。」
「あ、あんた等なんやねん。うちに何の用があるの?」
襲われている少女の名は御堂春。大の虎党だ。阪神を神格化し、阪神と共にこれまで生きてきた。自分が嫁ぐ先も阪神の選手と決めている。
「可愛いねぇ御譲ちゃん。おじさんと楽しい事しようよぉ」
いたいけな少女に付き纏っている変人の名は立浪一義。汚らわしい味噌の選手だ。そして、もう一人地元便器の選手川崎宗徳も一緒になって強姦を企んでいた。その顔に似つかず、内面は野獣そのものだ。
「た、立浪さん。早くやっちゃいましょうよ。ひ、人が来るかもしれませんから。」
「い、嫌や。助けてぇ。中川さ〜ん。」
「へへへへへ。無駄だ。そんな奴はここにはいな〜い。おとなしく股を開け。」
「待てや。球界の面汚しが。その娘に代わってこのワシが相手をしたるわ。」
「そ、その声はまさか、アニキですか?うちを助けにきてくれはったんですね?」
御堂にとって金本は神のような存在だった。生まれて初めて優勝を見せてくれた立役者。そんな人が自分を助けてくれる。それだけで胸が一杯になった。
アニキの行動は素早かった。まず、立浪を自慢の豪腕で一撃の下に粉砕すると、逃亡を図った川崎を鳥谷が撃ち殺す。完璧なコンビネーションで御堂の危機は救われた。
「ほんまに助かりました。あ、あともう一つ頼みたいんやけど…ご飯ちょっとくれまへんか?立浪等から逃げるときに荷物全部すててしもうた。あはは…」
アニキの魅力は強さだけではない。その優しさにもあった。自分の支給品のパンを惜しげもなく御堂に与える。キリストのようなお方だ。
「わぁ〜アニキ、おおきに。このパンおいしいねん。」
「喰ったなら行くぞ。次の目的地は聖地甲子園や。金の亡者と化したノリらに制裁を食らわしにいくんや。」
190 :
便器掃除:2006/09/11(月) 19:23:37 ID:m0jkExOB
【2日目午前福岡県】
【金本明憲@阪神タイガース】
「状態」健康(傷完治)
「装備」ウージー(残弾29発)、AK―47(残弾25)、鉈
「道具」支給品一式×2
「思考」阪神以外の選手を殺す。
【鳥谷隆@阪神タイガース】
「状態」健康
「装備」猟銃(残弾13)、ボウガン(残弾10)
「道具」支給品一式×5
「思考」アニキに着いて行く。
【御堂春@こち亀】
「状態」満腹
「装備」なし
「道具」なし
「思考」アニキに着いていく。中川を捜す。
【立浪一義@中日ドラゴンズ】
【川崎宗徳@福岡ソフトバンクホークス】
死亡確認。
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| ⌒ (_人_)∴・ | ぐぇあ
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