この物語は完全なるフィクションであり、実在する人物・団体には一切関係ありません
(第二章) この愛に乱されて〜まさかの下克上?!〜
俺の名前は窪田彰浩、世間で言うFラン大学の3回生だ。
アメフト部の後輩、クニとの突然ラブアフェアから1週間。
だが俺の生活は特に変わったこともなく。夏の終わり。秋の気配。
ぼーっと学内を歩いていると、俺を追い抜いたはずの磯川が逆さ競歩で
「ファンキー!ファンキー!」と言いながら近づいてきた。
・・たまには、こいつみたいに生きてみたいと思う。なんの悩みもないやつ。
奇跡の鈍感力。明るくて能天気で単純で、女にモテることしか考えてない。
ノリだけでしゃべり、ノリだけで行動する男だ。
「ね、聞いた?合コンの話聞いた?自治会絡みで硬いけど、なつちゃん来るから大丈夫、大丈夫。
かわいい子連れてくるっていってたよよ〜ん、持ち帰れるかもよよ〜〜〜ん」
・・お、お前なぁ、あいつが自分よりかわいい子連れてくるわけねーだろ
・・やたらと自己顕示欲が強い、その立派な志は髪型にまで表現されているなつの容姿を思い浮かべて、
俺の気持ちはどんよりしてしまった。
作り上げた髪の毛は天に向かってトグロを巻きながら高く聳え立ち、
それに比例してプライドも天を突き抜ける勢いの女、なつ。
顔・知性・家柄などが自分より高い女は一人も側に置かないくせに、
異性には常にハイクラスを求める。俺らの大学の男なんかみんなゴミだろ、
あいつから見れば。それとも誰かの顔が気に入っているのか。
・・まぁ、誰か気に入ったやつがいたら、その男の前だけでは
「なつねぇ、なつねぇ」と媚びるのでわかりやすいんだが。
「月末だからねー、おしゃれして来てちょ」そういうと、
磯川は今来た道を器用にも逆さ競歩で戻っていった。