○梁川 良(やながわ りょう) 氏
このたび春の叙勲の栄に浴したことは,ご指導ご鞭撻を賜った恩師の故平戸勝七先生,故浜田輔一先生,
学内外の学者の方々,ご協力いただいた事務官の方々のおかげで,心からお礼を申し上げます。
私は昭和22年秋に北大農学部畜産学科第二部を卒業し,微生物学を志しました。大学院で行った北海道に
多発した馬の日本脳炎ウイルスに関する研究が,最初の原著です。昭和25年農林省家畜衛生試験場に就職
し,兵庫県の山間にある支場に転勤,そこで種々の動物伝染病に出会いました。私のライフワークとなった
レプトスピラ病との出会いはその時です。東京に戻り,国連FAOのフェローシップやロックフェラー財団の支援
を受け,昭和35年ウイスコンシン大学農学部細菌学科でレプトスピラの研究を行いました。昭和37年に北大
獣医学部助教授となり,まもなく,シドニー大学医学部細菌学科のフェローシップを受け,レプトスピラ構造の
形態学的および血清学的解析を行い,Natureに発表しました。昭和40年に北大教授を命ぜられ帰国しました。
私は人生の半ばに達してから北大に出向しましたが,幸いにすぐれた大学院生がすぐに集まりました。私の
原点は,彼ら全員の最初の業績を,世界の目にふれるように,英文にまとめて内外の雑誌に公表させることです。
私が研究を行って筆頭者となる原著は減っても止むを得ないと,自分に言い聞かせました。私のもとに来た大学
院生の数は合計50名ほどですが,その半数以上がいま教授や助教授(大部分は教授です)として各地で活躍し,
残りの人たちもすぐれた研究者です。修士修了後,それぞれ独自に現在を築いています。また私は80人近い人
に学位をお世話し主査をつとめましたが,考えは同じ原点からです。後年,獣医学部長や日本学術会議会員,
WHO人獣共通伝染病エキスパート委員会委員,国際微生物分類委員会レプトスピラ分類小委員会委員長など
を務めたのは,原点から派生したおまけです。そしていま,もう一つ身に余るおまけをいただきました。
北大の一層のご発展をお祈りします。
http://www.hokudai.ac.jp/bureau/news/jihou0105/566_04_01.htm