マックは頷いた。長いスカートのメイドたちには彼は屋敷内で何度も会ったことがある。
「黒いミニスカートの、やーらしい格好をしたおねえちゃんたちがいるでしょ」
「う、うん」
マックは顔を真っ赤にして頷く。
「あの女の人たちは、この街の幽霊銀行ステル支店に派遣させられて働いているの。
銀髪が七色に輝いているのがクールギン、腕に黄色と黒の刺青をしているのがバルスキー、
緑の肌をしているのがゲルドリング、ちょっと太めでオッパイが大きいのがドランガー、
褐色の肌で筋肉ムキムキなのがゴチャック、太ももまで黒くて長い髪の毛をたらしているの
がトップガンダーっていうの」
「えー。それって女の人の名前じゃないんじゃないの」
「おっきい声を出さないで、あの人たちに見つかっちゃう。ほら、始まるわよ……」
メイドたちのリーダー格のミチルが、白い手袋をしてドガの傍らに寄り添う。
「ご主人様、それでは始めさせていただきます」
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ひみつの検閲さん:2024/12/05(木) 09:46:58 ID:MarkedRes
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ひみつの検閲さん:2024/12/05(木) 09:46:58 ID:MarkedRes
「そうだ、これも一つの世界。僕の中の可能性。今の僕が僕そのものではない。
いろんな僕がありえるんだ。・・・・・そうだ、エヴァのパイロットではない僕もあり得るんだ。」
彼は自分の可能性について考え始めた。
「そう思えばこの現実世界もけして悪い物じゃないわ。」
「現実世界は悪くないかもしれない。でも自分は嫌いだ。」
「現実を悪く嫌だ、ととらえているのは君の心だ。」
「現実を真実に置き換えている君の心さ。」
「現実をみる角度。置き換える場所。これらが少し違うだけで、心の中は大きく変わるわ。」
「真実は人の数だけ存在する。」
「だが、君の真実は一つだ。狭量な世界観で作られ、自分を守るために変更された情報。
歪められた真実。」
「ま、ひと一人が持てる世界観なんて、ちっぽけなもんや。」
「だけど、人はその自分の小さな物差しでしか物事を測れないわ。」
「与えられた他人の真実でしか物事を見ようとしない。」
「晴れの日は気分良く。」
「雨の日は憂鬱」
「と、教えられたらそう思いこんでしまう。」
「雨の日だって、楽しいことはあるのに。」
「受け取り方一つで、まるで別物になってしまう脆弱なものだ。人の中の真実とはな。」
「人間の真実なんてその程度のものさ。だからこそ、より深い真実を知りたくなるんだね。」
「ただ、お前は人に好かれる事になれていないだけだ。」
「だから、そうやって人の顔色ばかり伺う必要なんてないのよ。」
「でも、みんな僕が嫌いじゃないのかな?」
「あんたバカぁ?あんたがひとりでそう思いこんでるだっけじゃないの。」
「でも、僕は僕が嫌いなんだ。」
「自分が嫌いな人は、他人を好きに、信頼するようになれないわ。」
「僕は卑怯で、臆病で、ずるくて、弱虫で・・・」
「自分が分かれば、優しくできるでしょう。」
「僕は僕が嫌いだ。───でも、好きになれるかもしれない。」
「──僕はここにいてもいいのかもしれない。」
「─そうだ、僕は僕でしかない。」
「僕は僕だ。僕でいたい!」
「僕はここにいたい!」
「僕はここにいてもいいんだ!!」
「でも、みんな僕が嫌いじゃないのかな?」
「あんたバカぁ?あんたがひとりでそう思いこんでるだっけじゃないの。」
「でも、僕は僕が嫌いなんだ。」
「自分が嫌いな人は、他人を好きに、信頼するようになれないわ。」
「僕はキチガイで、うつ病で、不細工で、泣き虫で・・・」
「ケースが足りなければ、お願いするしかないでしょう。」
「僕は僕が嫌いだ。───でも、好きになれるかもしれない。」
「──僕は医療大にいてもいいのかもしれない。」
「─そうだ、僕は僕でしかない。」
「僕は僕だ。僕でいたい!」
「僕は医療大にいたい!」
「僕は医療大にいてもいいんだ!!」
「僕は医療大にいてもっと社会の,世の中の役に立つ人間になりたいんだ!!」
「僕は歯科医師になりたいんだ!!!!!!」
89 :
ひみつの検閲さん:2024/12/05(木) 09:46:58 ID:MarkedRes
ショボ ─ ン
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| (_人_) |
`丶/``ヽ /`ヽ /
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ひみつの検閲さん:2024/12/05(木) 09:46:58 ID:MarkedRes
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ひみつの検閲さん:2024/12/05(木) 09:46:58 ID:MarkedRes
伊東美咲みたいな人と付き合いたいな。
彼は思った。自分は何をやってもダメだ。イジメられ嫌われる存在でしかない。2ちゃんで中傷されそれが彼の自作自演と嘲笑される事にも慣れきっていた。
本気で死のうと何度となく試みたがいずれも失敗してきた。そして彼の苦しみや悲しみに理解や同情を示す人間はいても心の闇をおそれ皆近づかなかった。また彼自身が迷惑をかけたくないと思い避けてきたのだ。
彼にとって人間はすべて敵である。自分自身を含めすべての人間を憎み続けている。彼は人間は皆死ななければならないと考えていた。時が来ると誰もがいずれは死ぬのであるが。彼は人間の存在が許せなかった。
彼は表立って敵意を見せる事は避けてきた。しかし身近な人間に対し少しずつ恨みを持つようになった。馬鹿にされ蔑まれ嘲笑われる度に彼の心に巣くう腫瘍は徐々に成長していった。
もはや彼自身が制御できないほどにそれは大きくなっていた。それでも彼は自分自身が黄泉の国へ行けば腫瘍に悩まされる事もなく,闇から解放されると信じている。
俺は人見知りが激しいんだ。特に女性が苦手で…。相手に慣れてくると愛想笑いはするよ。でも目が笑っていない…。
心から笑っている時は部屋で1人で居る時、お笑い番組を見ている時かな…。
他人が居ると気が散るし、本当の自分(素の自分)が出せない。
こんな奴だから、友達すらなかなか出来ない。他人に心が開けない自分が嫌だ…。本当はモノ凄い淋しがり屋なんだけどね。
彼は自身の心に兆した不安が走り出さないよう掴まえておかなくてはならなかった。彼の咽は乾いて粘りつくようだった。
目の前の課題に取り組む事で腫瘍から目を背け続けてきた。それは彼に対する周囲のとりわけ学生の態度に酷似していた。
彼は嫌われていた。彼がどんなに隠そうとしても周囲の人間に対する憎しみは消せなかった。
彼は歯科医師をただの一職業として『選択』する人間が許せなかったし認められなかった。
隠したつもりでも彼らと接する際には自然に眉間に皺ができ語気が荒くなった。先祖代々守ってきた暖簾の価値が,『成り上がり』にわかってたまるかという信念が根底にあった。
彼は人間を嫌っていた。とりわけ歯学部の同期の人間を。
彼らから嫌われている以上に彼は嫌っていや憎んでいた。
それは平等な憎しみであって個人に向けられる事は少なかった。しかしそれでも何か起これば必ず自分のせいにされた。自分に疑いが向けられ罪が着せられた。
当たり前のように中傷され嘲笑され無視されてきた。
同期の人間を全員殺してやりたいと彼は本気で思った。
そんな彼に対しあいつはヤバいから関わらない方がいいと周囲はますます距離をおき現在に至った。