>>494 の続き
(3)笹の私文書偽造罪は成立するという(∩´∀`)∩ 氏の主張について
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1337577345/854 > 854 (∩´∀`)∩ ◆9NQBepEvz6 sage 2012/06/16(土) 11:01:23.51 ID:/xg/r3lFO
> 特定の資格を有する者だけが作成すると見られる文書は、その有資格者に文書内容について問い合わせることで責任を追求することができる
> 今井猛嘉「文書偽造の一考察-(4)」『法学協会雑誌』P.1345
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1337577345/856 > 856 (∩´∀`)∩ ◆9NQBepEvz6 sage 2012/06/16(土) 11:14:46.17 ID:/xg/r3lFO
> 抜けました。
> 『法学協会雑誌』116巻 法学協会 1999年
「文書偽造罪の一考察(4)」
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000332683 は
116巻P.948〜P.1020(6号P.78〜P.150)でP.1345は含まれない。
P.1345の方が正しいとすると、116巻P.1297〜P.1381(8号P.87〜P.171)の
「文書偽造罪の一考察(6・完)」
http://ci.nii.ac.jp/naid/110000332688 か?
これのP.1345は第五款「資格を冒用して作成された文書の名義人」の一部。
P.1345には、「特定の資格を有する者だけが作成すると見られる文書」については
「この有資格者を、当該文書の名義人と理解すべきである」と書いてある。
つまり、(∩´∀`)∩氏の主張はYoutubeに対する著作権侵害申し立て文書は
「特定の資格を有する者だけが作成すると見られる文書」であるから、
特定の資格=著作権者が名義人と理解され、作成者『笹』は著作権を持っていないから資格を冒用したことになり、
名義人と作成者に齟齬が生じるから有形偽造が認められ、私文書偽造罪が成立するとの論理構成であると推測する。
しかしながら、果たしてYoutubeに対する著作権侵害申し立て文書を
「特定の資格を有する者だけが作成すると見られる文書」であると言えるであろうか?
著者は同じP.1345において「特定の資格を有する者だけが作成すると見られる文書」と見なせるためには
「有資格者だけがこの種の文書を作成するのが通常だという高度の状況的保証がある場合」であると説明している。
そして「この状況は客観的に明確でなければならない」とし、著者は次の3類型のみを示している。
第一類型:「文書の作成状況が物理的に限定されている場合」
第二類型:「文書の作成者に、法律上、一定の資格が要求されている場合」
第三類型:「同姓同名の他人が実在する場合」
第一類型としては、警察の取調べの状況下で作成される供述書や試験会場内で解答される大学入試答案などが挙げられている。
ネット経由で提出されるYoutubeへの著作権侵害申し立ては明らかにこの類型に該当しない。
第二類型としては、運転免許申請書などが挙げられている。
運転免許申請書は法律によって名義人は運転免許試験合格者であることが要求されている。
このため運転免許試験合格者ではない者が本人名義で運転免許申請書を作成・提出すれば有形偽造とみなせると解説されている。
Youtubeへの著作権侵害申し立てはYoutubeが申立者は著作権者に限るという規則を設けているだけで、申立者を著作権者に限るとする法律は存在しない。
よってこの類型にも該当しない。
第三類型としては、同姓同名の弁護士が存在するケースが挙げられている。
作成者が本人名義で弁護士を騙っていた場合は通常は無形虚偽と評価されて犯罪とならないが、
作成者本人と同姓同名の弁護士が実在する場合は名義人は弁護士資格を有する同姓同名の人物であると考えて、
弁護士が業務で作成ような文書に限って有形偽造を肯定できるとしている。
『笹』の使用した名義の一部は同姓同名の人物が存在することが知られているが、
その人物は著作権者ではないので資格を冒用したことにならない。
よってこの類型にも該当しない。
以上により、Youtubeへの著作権侵害申し立てを「特定の資格を有する者だけが作成すると見られる文書」とみなす(∩´∀`)∩ 氏の主張は誤りであると考える。
>>495 の続き
(4)まとめ
以上、笹の私文書偽造罪が成立する可能性は低いと結論付ける。
とはいえ、このレスは私文書偽造罪が成立しないことを保証するものではない。
また、私文書偽造罪以外の犯罪となる可能性を否定するものでもない。
Youtubeが「損害賠償責任を問われる場合があります」(
>>124 >>156)と
警告するように、笹の行為は場合によっては民事上の責任を負う可能性がある。
なお、以上の議論は全て日本国内を想定しており、他国においてこれらの行為がどう評価されるかまでは考慮していない。