【初音ミク】ドワンゴが着うた独占配信等で他社と契約トラブル26

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【法律論議も】今回の紛争を理解するための基礎知識その3【たまには面白い】

今回はクリプトン社が保持している「初音ミク」の商標権について解説します

商標権とは何か? 指定した商品(あるいはサービス)について登録商標を独占的・排他的に
使用できる権利のこと。侵害者に対しては差止請求ができる。

注意して欲しいのは商標権は「指定商品」についてのみ効力が及ぶという点。ただし不正使用
に関しては指定商品以外にも効力が及ぶ場合がある。

ではクリプトンの登録商標「初音ミク」の中味を見てみよう。

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【出願番号】 商願2007−99911
【出願日】 平成19年(2007)9月6日
【先願権発生日】 平成19年(2007)9月6日
【商標(検索用)】 初音ミク
【標準文字商標】 初音ミク
【称呼】 ハツネミク
【出願人】
【氏名又は名称】 クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
【類似群】 (省略)
【区分数】 4
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
(区分)9
移動体電話による通信を用いてダウンロードされる移動体電話機の着信用の音楽, 電気計算機,
録画済みビデオディスク及びビデオテープ, 自動販売機, 写真複写機,家庭用テレビゲームおもちゃ,
携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD―ROM,
郵便切手のはり付けチェック装置,電気溶接装置,電子出版物,(以下略)
(区分)28
スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,
おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具
(区分)41
ゲーム機械器具を備えた遊戯場・遊園地・その他の娯楽施設の提供,映画の上映・制作又は配給,
電子計算機端末による通信を用いて行うゲーム又はゲームに関する映像の提供,放送番組の制作,
レコード又は録音済み磁気テープの貸与,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,
演芸の上演,音楽の演奏,移動体電話による通信を用いて行うゲームの提供,(以下略)
(区分)42
インターネット・電子メールその他の通信ネットワークを用いた電子計算機用プログラムの提供,
気象情報の提供,建築物の設計,デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,
公害の防止に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,
社会保険に関する手続きの代理,電子計算機用プログラムの提供,(以下略)
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「初音ミク」商標の指定商品および指定サービスの多彩さに少しは驚いてもらえただろうか。
溶接バーナーやスキーワックスに「初音ミク」を含む商品名をつけるとアウトだし、馬の精子
の検査サービスの名称に「初音ミク」を使うことはできない。

今回の紛争と直接関係するのは商品区分9の「移動体電話による通信を用いてダウンロードさ
れる移動体電話機の着信用の音楽」である。着メロや着うたの商品名(曲名)に「初音ミク」
(および類似する名称、例:はちゅねみく)が含まれているとクリプトンから差止請求を受け
る可能性がある。しかもクリプトンは侵害の予防のために着信サービスに使用された装置や設
備を廃棄させることができる(商標法36条2項)。これは侵害者にとって極めて厳しいペナルテ
ィである。

このように商標権は非常に強力な権利である。一般論としては契約上の権利や著作権等よりも
強いと言ってよい。