プリンセスチュチュスレ

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2名無しさん@お腹いっぱい。
むかしむかし一人の男が死にました。
男の仕事はお話を作って語ることでしたが死には逆らえません。
男の最後のお話は美しく勇敢な王子が悪賢い大鴉を退治するお話でした。
けれども、もう永遠に戦いの決着がつきません。
「こんなのはイヤだ」大鴉が叫びました
「こんなのはイヤだ」勇敢な王子も叫びました。
大鴉はお話の中から逃げ出し王子もそれを追いかけました。
そして、王子は自分の心臓を取り出し禁断の力を使って大鴉を封じたのでした。
その時「これはいい」死んだはずの男が何処かから呟きました。
『プリンセスチュチュ・アバンタイトル1』

むかしむかし一人の男が死にました。
男が語っていたお話は、美しく勇敢な王子が
悪賢い大鴉を退治するお話。
男が死ぬと大鴉と王子はお話から飛び出しました。
王子は大鴉を封じる為、自分の心臓を取り出しましたが、
それは王子だけに与えられた禁断の力。
見事大鴉は封じられましたが、王子の心臓は欠片となって
飛び散って、街のあちらこちらに散らばってしまいました。
それからというその街は、お話と本当が混ざり合い
不思議が不思議ではない世界になってしまったのでした。
『プリンセスチュチュ・アバンタイトル2』

むかしむかし一人の男が死にました。
お話は途切れて、王子は心臓と一緒に人々に向ける
優しい気持ちも勇敢に戦った想い出も無くしてしまいました。
そして、街中に散らばった王子の心臓の欠片は
行き場を求めて、隙間の空いた心に住みつきました。
欠片にとり付かれた人々の中には、
自分自身の物語を狂わせてしまうものもありました。
『プリンセスチュチュ・アバンタイトル3』