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日経の記事:
【明日の投資戦略】
「OHT株を巡り、様々な憶測が浮上」
市場関係者によると、 オー・エイチ・ティー(マザーズ・6726、以下OH
T)株の取引を巡って、いくつかの証券会社が被害を受けたもようだ。
OHTの株価は5月15日から突然急落。翌日以降は大量の売りを浴びて4日連続の
ストップ安売り気配。途中、取引所が制限値幅を2倍に拡大するも、比例配分すらで
きない状況だった。16日〜21日まで値付かず、その後の2営業日にストップ安と
なった。その後も下げ、現在では17万円〜18万円での推移だが、年初来高値は1
50万円だったことを考えると暴落といえる。
新規の悪材料が出ているわけではないが、株買占めでPERなどを無視した高い水準
になっていたようだ。会社四季報などで同社の大株主を見ると、証券金融会社や証券
会社がズラリ。いずれも信用取引の買い方の代わりに名義が出ているものと推察され
る。買い煽ったものの、追い証などが入れられずに受渡しが不能になったことが暴落
の背景となっているようだ。同社の発行株式数は4.1万株だが、ピーク時の信用買
い残高は2万株を超えていたという。買い方の投資家の「買いの真意」は不明だが、
株価の暴落で受渡しが滞っているとの観測がある。あくまでうわさだが、先物に強み
を持つ中堅証券がこのほど証券業務の一部停止を発表したのは今回の件が影響してい
ると観測されているもよう。このほか、市場では準大手証券に注文をつないだ中堅証
券22億円、別の中堅証券でも17億円の損失が出たともいわれている。ネット専業
証券の一角でも、一部で受渡しが不能になっているもよう。
こうした証券の中には「貸し株業務」を手掛けているところもあるとされる。顧客が
現物でOHT株を買った場合、その株券を外資系証券などに貸したケースがあるとも
観測されるという。事実だとすると、買い支えていたはずの投資家の株券が、売り方
の投資家に出回っていたことになる。
OHT株式は05年後半から、20万円以下の水準から動意付き、以降は今年1月の
150万円までほぼ一貫して上昇している。OHTの業務内容に特段の変化はなく、
株価下落でPERなどが元の水準に戻っただけのように見える。しかし、損失の実態
や投資家の動向などは、これから明らかになってくる可能性もありそうだ。
(中井戸)