1よ。おっさんの思い出話につきあってくれないか?

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1218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 21:14:23 ID:HXdE97X7
1989年 大納会にて日経平均38915をつける。
1990年 大発会より日経平均暴落を続け、20000円近くにまで下げる。
1991年 中東湾岸戦争勃発。
1992年 週休二日制、国家公務員から始まる。
1993年 欧州連合発足。
1994年 関西国際空港開港。
1995年 阪神大震災 1ドル79円を付ける。WIN95発売。
1996年 東京三菱銀行誕生。銀行のメガバンク化進む。
1997年 タイバーツ暴落。韓国IMF管理下に。
1998年 金融ビックバン始まる。
1999年 ITバブル始まる。
2000年 ITバブル崩壊

1よ。俺はお前のスレッドを読んだ時、止まっていた時間が動き出す
のを覚えたワ。
記憶が解凍されるにしたがって蘇るのは、あの頃に泊まり歩いた
ホテルや女たち、非現実的な金持ちのための空間や怪しい紳士・・・だ。

ほんの十数年前の出来事で、俺自身の記憶なのに、何だかすごい
昔の話で、人ごとみたいな気がする。伯父さんがよく70年代の学
生運動や70年代から80年代にかけてのバックパック旅行の話をし
てくれたが、それらの中にあったような錯覚さえする。でも、あれは
90年代の話で、俺の記憶だ。

もう二度と繰り返されることはない。
だからだろうか?人に聞いてもらいたいんだ。

1よ。おっさんの思い出話につき合ってくれないか?
2218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 21:20:17 ID:HXdE97X7
「1よ。日経平均がもう少しで四万円を超えそうになったことがあるの
を知ってるか?実は俺も話でしか知らない。俺が株を始めた時は1万
五千円だった・・・」


バブルが終って、数年がたちもう誰も日本の事を「経済超大国」なんて
言わなくなっていた。アメリカ人が日本のゴルフ場と旅館を二束三文で買
っている。ひどい話だ。日本がテメェんとこのビルや映画屋を買った時は
ギャーギャー喚いたくせしやがって・・・。

俺は『あること』をきっかけに、セコセコためた預金を半分下ろし、
種銭五百万で株を始めた。
手法は、素人そのもの。雑誌で紹介されている銘柄を一応、チャート
だけ確認して買ってみる。損切りは早めにやって、リカクは自分で作
った「5パーセントルール」を固守した。
ところがこんなやり方なのに、日経平均は下がり続けている中、なぜ
か俺は利益をあげ続けた。最初の月が三十万くらいの利益があったと
思う。俺の本業の手取りは十五万円強で、その倍を稼いで興奮した事
を覚えている。
株を初めて四ヶ月目かな?その月は日経平均も高騰し八十万を稼いだ。
そして俺は残りの預金を全部下ろした。1パーセントそこそこの利息し
かつかない銀行に金を預けておくなんて、機会の損失にしか思えなかっ
たからだ。

俺はついていた。八十万を稼ぎ、俺の全資産である約一千四百万弱を株
で運用し始めた月から、日経平均自体が上げ続けた。ロスカットする機
会がなくなり、売るのはリカクの場合だけといって良かった。俺の口座
の総資産が五千万になったのは、株を初めて一年もかからなかった。

そして、俺はようやく自分に贅沢を許した。
3218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 21:53:18 ID:HXdE97X7
「1よ。俺は金の使い方を知らなかった・・・。」

 五千万の威力は凄まじかった。鉄板の銘柄を買っても、一パーセント上がれ
ば五十万だ。俺の本業の手取りの三カ月分だ。しかも、その年は日経平均自体
が上がり続けてくれた。いや、日経平均採用銘柄よりも、中小のハイテク株の
上昇が目に付いた。

 俺は自分に「世の中は甘くない。なめているといると痛い目に会う」と必死
に言い聞かせた。ところが、俺のポートフェリオは、そんな俺をあざ笑うかの
ように膨張し続けた。

 俺の最初の贅沢は寿司屋に入って、値段を気にせずに注文したことだった。
たぶん、アワビ一貫で持ち帰り寿司一人前の値段だろう。高価な焼酎を頼み、
一万円強の会計をした。ウチの課長のひと月分の昼食代だ。帰りはタクシー
で帰った。タクシー代は約八千円だった。俺はその時、イイ気分というより後
ろめたかった。何だか途方もなく非道徳的なことをしでかしてしまったような
気がした。

 愛車のデミオにカーナビを入れた。この消費のために俺は一カ月悩んだ。だ
か、おかげで遠出しても不安がなくなった。
さっそくその週末の連休に長野まで飛ばし、善光寺にお参りしてホテルに泊ま
った。ビジネスホテルみたいな寝るだけのホテルではなく、部屋でくつろげるホ
テルだ。広い窓から善光寺平が見渡せた。明らかに高級と分かるベッドに横にな
りながら、俺はしみじみと贅沢の喜びを体感していた。

 パソコンも買い替えた。ペンティアムの入った五十万もするヤツだ。ついでに
同じ電機屋でオーディオセットを購入した。
 そして、ここで俺の消費欲は打ち止めになった。

 社会人にもなれば、先輩や同僚に誘われていろんな遊びを覚えて行くのだろ
うが、俺はそういうものを避けてきた。同僚たちはまだバブルの余韻が抜け切
れておらず、あまりに人生に楽観的過ぎた。俺は敗北でしかなかった青春期の
オトシマエをつけるため、ひたすら金をため続けた。結果、人生にとって最も
有意義な二十代の半分を、友情や思い出という財産を全く蓄積せずにきた。

 だから、小金をつかんでも、使い方が分からなかった。
4218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 22:11:30 ID:HXdE97X7
「1よ。俺のことをケンブリッジのビジネススクールでMBAを取得したエリ
ートだと思っていないか?」

SASのサバイバル教練は修了しているが、ケンブリッジはでていない(笑)

俺は、『秀才とヤンキーといじめられっ子のカースト制度』が今も残る愛知
県で育った。
両親は公務員だった。二人とも地元の進学校をでていてバリバリ教育家庭だ
った。俺にもその進学校合格を期待していたが、まず高校受験で親の期待を裏
切った。
大学受験の時も、日東駒専レベルを目指したが、入れたのはその下のレベルの
私立大学の法学部だった。司法試験?えっ何それ?って言う法学部だ。
高校時代、何かに夢中になっていたり、グレたりしてそうなった訳ではない。
それなりに受験勉強を頑張った結果が、それだった。俺は、自分の将来がだい
たい想像がついた。

 大学四年の時は、バブルの真っただ中だった。いい大学の連中は、会社の
『内定者囲い込み』で接待を受けたり、研修と称して海外旅行にまで行って
いた。俺は自分にも『時代のおすそ分け』を少しは貰えるものと信じていた。
まず、あわよくばとマスコミを受けたが一次試験落ち。都市銀行は、資料さ
え送られて来ず。大手メーカーは、工場見学までしたが不採用だった。
 仕方なかった。採用試験を受ける前に、履歴書の大学名が「コイツは馬鹿
ですよ」と太鼓判を押してくれていた。
 結局、伯父さんのコネで一流企業の名前のついた販売会社に就職した。もち
ろん一流企業なんかじゃない。よくあるNTT○○とか、パナソニック○○み
たいな一流企業の『子会社』だった。

 つまり、これが俺のオトシマエをつけなきゃいけないと言った青春期の履歴だ。
5218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 22:29:23 ID:HXdE97X7

「1よ。俺はチャンスのつかみ方は知らなかった。だが、つかみ損なう理由は
知っていた」

「小学生でも不動産屋が勤まる」と言われたバブルの頃、こんな話を聞いた。
俺の人生観の柱となる話だ。
再開発が進みそうな地域に空地Aがあった。それをあるリーマンが地主に
「一億で売ってくれ」と言った。地主は“承諾”したが、実はリーマンは一千
万しか持っていなかった。リーマンは都心部の新興不動産屋巡りを始めた。
「再開発が見込まれる場所に空地があります。十億で買ってくれなませんか?」
とセールスして回ったのだ。そしてついに五億で買う不動産業者Iを見つけた。
差し引き四億円の利益。だが、そう甘くはない。不動産業者]はリーマンが地主
に手付金一千万しか払えないことを知ると、直接、地主と「わが社なら二億で買
います」と交渉したのだ。だが、不動産業者Iは地主から買い取ることはできな
かった。一千万しか資本がなかったはずのリーマンが、契約書の通り払い込み期
限までに残りの九千万を払ってしまったからだ。
リーマンはどうやって九千万を調達したか?
リーマンが売買契約をした一億の空き地Aだが不動産業者]が五億で買うと言った
時点で、その土地の価値は五億に膨れ上がっていたのだ。そしてリーマンは、その
五億の価値のある土地を一億で買い取る権利を持っていた。ここでリーマンに金を
貸さない馬鹿がいると思うか?

 株取引をやってる奴なら理解しやすいと思う。有望な銘柄を見つけたリーマンは、
十倍のレバレッジを効かせて、一億円の株を買った。そのうちその銘柄の価値は広
く知られ、株価は五倍に膨れ上がった。それをリーマンは売り抜けただけだ。

 結局、業者は逆にリーマンから足元を見られ、七億で買い取るはめになった。

 面白い話だが、俺がここで言いたいのはリーマンの頭の良さや行動力では
ない。彼が持っていた一千万の現金だ。その見せ金があったからこそ、地主は
リーマンの話に乗り、契約書を取り交わすに至った。もし、契約書もなく口先
だけで立ちまわっていれば、トンビに油げをさらわれていただけだ。

元手がない。これがほとんどの人間にチャンスをつかみ損なわせる。

「金で何でも買える」と言ったホリエモンは失笑されたが、金がなければ何も
買えないのが事実だ。
 
 だから俺は次にチャンスが巡って来た時は、手放すつもりはなかった。
6218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 22:37:25 ID:HXdE97X7
「1よ。俺はあの頃、ただあがくしかなかった」
 
 俺は伯父のコネで入った会社で一年間はひたすら働いた。だが、同期たちは
三カ月ごとに数人ずつ辞めて行き、一年後は半分になっていた。辞めて行く一
人が俺に言ってくれた。
「この会社にいて将来があると思うか?上がりのポストは課長職、それ以上は
親会社からの天下りのポストだ。そもそもこの会社自体、親会社から見たら多
角経営の失敗部門なんだぜ」
 そんなことは言われなくても分かっていた。だが俺は辞めれば状況はもっと
ひどくなることも知っていた。日本の労働市場が新卒の時以上の職場を与える
なんてことはあり得ない。日本の労働市場でチャンスは一度だけ、大学現役中
の就職活動、新卒時のみだ。そのために日本人は青春期を過酷な受験勉強に費
やすのだ。俺は親から十分なチャンスをもらっていながら、そのチャンスを中
途半端な甘い気持ちで逃した。
 
 俺は次にチャンスが巡ってきた時は、もう逃すつもりはなかった。そのため
にひたすら金をためた。まだバブルの気分が残っていたのだろう、入社後、毎
週、同期会があった。俺は一度も出なかった。ひんしゅくを買っていたらしい
が、同期が次々と辞めて行き、半年で同期会自体が開かれなくなった。
 俺は人付き合いを極力限定していた。俺には無駄としか思えなかった金がか
かるからだ。

 五時に会社が終わると、俺は毎日、スポーツクラブに行き二時間ジムで汗を
流し、一時間ゴルフの打ちっぱなしでゴルフボールを打ち続けた。
そんな生活を五年間続けた。
 年収三百万弱の俺が、いつの間にか一千万を貯蓄していた。あの土地転がし
で六億を稼いだリーマンに預金だけは追いついた。だが、だからといって俺の
人生に何らかの展望が見えたわけではない。
 
 俺はいつ回ってくるかも分からない打順のためにただ金をため続けた。
7218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 22:55:24 ID:HXdE97X7
「1よ。俺はついにルビコン川を渡った」

 俺が底辺リーマンになって五年目の年、ブラウン管の中で新卒たちが悲鳴を
上げていた。いい大学を出ているのに、職がない。内定が直前になって取り消
された。『バブルの崩壊』なんて言葉を、もはや誰も使おうとしなかった。泡
の部分だけじゃない。日本にとって必要不可欠の”真水”の部分までが、大き
く裂けた隙間から漏れ出し続けていた。
 ウチの会社も人ごとではなかった。もはや自分から辞める人間なんていなく
なった。代わりに流行のリストラという言葉がささやかれ始めた。

 その日、俺はいつものようにスポーツクラブの打ちっぱなしでクラブを振っ
ていた。
「インターネットやってるなら、株やってみィ。人生が変わるよ」
 今どき本間ゴルフの成金クラブを振り回すオッサンが俺に教えてくれた。当
時、まだインターネット自体が、高価なアイテムで、一部の人間のものでしか
なかった。俺はゴルフボールを打ちながら、オッサンがインターネットを駆使
して株取引までやっていることに少し驚きながらも、話し半分に聞いていた。
 オッサンはベンチに座ると、一人で株についてしゃべり続けた。ネット取引
がいかに有利であるか。『指値』というものをしておけばサラリーマンであっ
ても仕事をしている間に売買が可能なこと。チャートを見れば魔法みたいに株
の動きが見えること。初めの内、俺には何を言っているのかほとんど分からな
かった。だが、俺は次第に引き込まれていった。
 株の売買に対して俺が持っていたイメージとは、どうも違う。俺のイメージ
は新聞の株式欄を見ながら、無数にある銘柄の中から上がりそうなものを選び
証券会社に売り買いを電話で指示する。上がれば儲かるし、下げれば損をする。
”丁半博打”のようなものだと思っていた。
 ところが、そうじゃない。博打には違いないが、株は『有利な状況を待って』
賭けることができる。俺は次のように株ってものを認識した。まず1から100まで
のルーレットがある。イカサマはない。ただし、大・小を選ぶときの条件が
「1から51が小」、「52から100が大」だ。つまり確立51パーセントと49パーセン
トの選択である。当然、小を選ぶであろう。逆に条件が「1から49が小」、
「50から100が大」に変わった時は、まず大を選ぶであろう。博打なら成立し
ない。しかし株の世界ではそんな賭けが普通に行われていることが、オッサン
の話から見えてきたのだ。

 俺はオッサンに紹介してもらった証券会社で口座を作った。資金は五百万。
 爪に火を灯す思いで貯めた金だが、“なくなってもいい”とさえ思った。
もし今、株の持つ危険性にひるんでしまったら、俺は一生チャンスなどつか
めない気がしたからだ。
8218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/25(木) 23:49:23 ID:HXdE97X7
「1よ。お前のスレッドは『高級ホテル』にでも泊まろうだったな?
名古屋には三万円くらいのホテルしかないんだが、高級と言っていいのか?」


 週末、俺はありったけの投資関係の資料をスーツケースに詰め込み、それを
デミオのトランクに放り込むと、土日を過ごすホテルへと向かう。ホテルの玄
関でデミオの薄っぺらいキー(リモコンですらない)を渡す。
ポーターが重いトランクを運んでくれる。同世代の人間に荷物を運ばせるのは、
最初は抵抗があった。クルマも初めのうちは、自分で地下の駐車場に入れてた。
それがいつの間にか人を使うことの便利さに慣れてしまっていた。

 シティホテルのロビーは雑多な人間であふれている。待ち合わせ。営業。
出迎えだろうか、とてもこのホテルに似つかわしくないような安っぽいスーツ
のリーマンもいる。
だが、ロビーから吹き抜けの二階に上がると、最初の“スクリーニング”が
ある。カフェ、レストラン、バー、このフロアーにいる人間は少なくともこの
ホテルに金を落とす。ブレンドコーヒー一杯千円、そういう金額の金だ。だか
ら青山の格安スーツを着た人間はこのフロアーにはいない。

 さらに客室フロアーにまで上がると、まるで“異空間”に入り込んだような
気になる。ロビーの喧騒が嘘のような静寂の中、俺はボーイに案内されながら
いつもの部屋へと向かう。部屋は十五坪はあるだろうか、巨大なベッドの前に
豪華なソファーセットが置いてある。上質の木材を使ったデスクは広く、紙ベ
ースの資料も広げ易かった。

 俺は贅沢を覚えたつつあった。だが、いつもその贅沢の度合いが上がるごと
に後ろめたさを感じた。この部屋に泊まり始めた時も、罪悪感があった。それ
が今では補助デスクとリクライニングチェアーまでリクエストするようになっ
ていた。
 
 俺はノートパソコンを開いて、監視銘柄のチャートを見ながら、次の週の売
買計画をたてる。疲れると、プールで泳いだり、カフェで人込みを眺めた。
知り合いと顔を合わすことはまずなかった。ここにいる人種は、まさに異空間
の住民で普段、俺とニアミスすることのない連中ばかりだった。

 だが、俺も次第にその異空間の住民へとなりつつあった。
9山師さん:2010/02/26(金) 03:05:57 ID:oKofn4/e
相変わらず面白いよ218w
ここまで一般の他人の内情をリアルタイムで見るのは初めてだw

期待age
10山師さん:2010/02/26(金) 04:12:21 ID:FKHz0Fh5
糞スレやね
11山師さん:2010/02/26(金) 05:43:31 ID:3vWbIZLb
面白い。
まだ読みたい。
12山師さん:2010/02/26(金) 06:32:58 ID:Ac+jXADX
はげてきたから人生終わったでつ(´;ω;`)ウッ…
13山師さん:2010/02/26(金) 13:27:38 ID:sAZBb/BR
続き書いてくれ。
期待あげ
14山師さん:2010/02/26(金) 13:44:50 ID:zHjeQkur
プリントして読みたいくらい面白い
続きよろしく
15山師さん:2010/02/26(金) 20:14:49 ID:p+wNP++y
しえん
16山師さん:2010/02/26(金) 20:40:33 ID:xzYFxlc3
書籍化→映画化→ドラマ化→宝塚で舞台化決定
17山師さん:2010/02/26(金) 21:01:01 ID:yDoTSeeJ
おーい。
新作まだー??
18山師さん:2010/02/26(金) 21:01:17 ID:dHqPPQpH
>>16
映画化はハリウッドでね
19山師さん:2010/02/26(金) 21:05:31 ID:I+F6WROc
主演:小池徹平
20山師さん:2010/02/26(金) 21:56:45 ID:LsNIR5La
おもしれえ。思わず引き込まれたぞ。
続き楽しみにしてるぞ。
21山師さん:2010/02/26(金) 22:05:13 ID:jql3GYtU
ワッフル ワッフル
22山師さん:2010/02/26(金) 22:08:45 ID:Ju9ouCpr
素晴しい。
続きを楽しみに待っていますね。
23218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/26(金) 22:15:37 ID:40uL1iQC
「1よ。俺は若い二人が必死で金を貯めようとしないことが理解できなかった。
傲慢だと思うか?」

 
 俺はあの頃よく思った。一千万を一年で五千万なんだから、次は二億五千万
だろうか?
「そんなことは絶対にありえない!調子に乗るな。俺!」
 俺は自分に言い聞かせた。世の中は甘くない。人生を舐めるな。
苦労した人間が最後の勝利者だ。それなのに半年後、ファンダメンタルが読め
ずチャート一本やりの“ナメた投資”を繰り返す俺の口座は一億を超えていた。
 
 この頃になると、変な言い方だが、贅沢の仕方もだんだん板についてきた。
週末はほぼホテルで過ごすようになっていた。当たり前だが、ホテルは
金持ちだけのものではない。
 あまり参考にならないが、俺の学生時代なんか、クリスマスをシティホテル
で過ごすため、授業にもでないでバイトに励む風呂なしアパートに住む馬鹿が
何人もいた。まあこの頃は、世の中が狂っていたバブル期だからあまり参考には
ならないかもしれない。

 しかし、ホテルのレストランで食事をしていると、若いカップルのテーブル
と隣あわせになることがある。基本的にボンボンやお嬢様なのだろうが、全員と
言うわけではない。
 その夜の若いカップルが、たぶんその例外だ。
 女が、ややはしゃぎ過ぎていた。どうやら普通のリーマンとOLが何かの記念日で、
たまの贅沢を楽しんでいるのらしい。俺は普通の若いサラリーマンの給与を知っている。
このホテルに泊まれば、少なくとも五万の支出、普通の若いサラリーマンの月給
の三分の一だろう。
 なぜ、その金を二人の“資産”を回そうとしないのだろうか?

 俺は大きなお世話かもしれないが、考えてしまう。自分の部屋、二千円のワイン、
チーズとビスケット、そしてレンタルビデオ、好きな相手と過ごす週末なら
それで充分じゃないのか?

 もっと馬鹿馬鹿しいのは結婚式だ。年収400万円程度の庶民が、このホテル
で披露宴を開く。費用は親持ちだろうが、一千万ちかくになる。何が得られ
るのだ?その金を何で投資に向けないんだ?俺はその同額の金を一年で五千万
にした。
 なぜ、低所得の人間はそこから抜け出そうとしない?
 なぜ、低所得のまま身分不相応な生活をしようとするんだ?
 金はある程度ためれば、金が勝手に仕事をして増殖くれる。


 俺はその時、自分の余裕資金でホテルの高層階から名古屋の街を見下ろしていた。
 達成感などなく、まだまだ途中だと思っていた。
24218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/26(金) 22:32:30 ID:40uL1iQC
「1よ。ダメだ。俺の言いたいことが全く伝わっていない。」


 この頃が、どんな時代背景だったかを説明しよう。

【バブル期】
 どんな株を買っても儲かったらしい。ダメ企業でも事業内容に“開発”
と書いとけば、人と金が集まった。
 雑誌の人気特集は、“二十代の企業家たち”。
 空前の人手不足で、大企業が人材確保のため“内定者囲い込み”で接待
したり、旅行に連れて行ったりしていた。馬鹿なことをしたもんだ。

【株(インターネット登場前)】
 チャート無し、出来高不明、スクリーニングなどあり得ない。
 もしチャートが欲しければ、自分で原稿用紙にロウソク足を作成するしかなかった。
 参考資料は、下手すると数か月前の四季報。
 株は金持ちのオッサンが新聞の株式欄を見ながら、「おっ上がってるな」と
“感覚”で投資するものだった。

【株(インターネット登場後)】
 本来情弱のはずの若造がいきなり情報エリートになれた。
 全ての銘柄のチャートをはじめあらゆる指数を証券会社が提供してくれた。
 前夜の内にダウと為替情報が取得。英語が読めればロイターが大統領他、
アメリカ高官の発言も新聞より早く取得。なお、ロイターはやがて日本語版
も配信開始。

【インターネット流行】
 95年のWIN95発売により爆発的に普及する。
 しかし、当初は“定量制”と言って、1カ月10000円くらいのプロバイダ
料金で30時間接続可能が相場だった。超過すると1分、数十円を取られ、超過
料金だけで月数万円になることもあった。
 しかも、極めて遅く、大きな写真があるとロードに10分くらいかかったり
もした。自動的にホームページを保存してくれる“インターネット保存ソフト”
や次のクリック先を予想してロードしておいてくれる“先読みソフト”が
割と高い値段で売られていたし、売れていた。
 ちなみに俺は二つのプロバイダを契約し、さらにチャートを紙ベースで
プリントアウトして使っていた。
 なお、料金は半年ごとに安いプランがでて、知らないと高くて遅いままと
いう状態に放置された。

【就職氷河期】
 「今もだ」って言われそうだが、意識が違った。あの頃は就職して当然が
前提だったから、凄く悲壮感があった。早慶クラスの女子大生が、ウチの会社
なんかを受けに来ていた。
25218 ◆sSMETOzuG2 :2010/02/26(金) 22:52:24 ID:40uL1iQC
期待してもらって単純にうれしい、かな。

だが、今回、ハイペースなのは別のスレッドに書いてたことの焼き直しだからです。
その内、しばらく放ったらかしってこともありうるかもしれん。

フィクションも入れざるを得ない。面白くするため、と言うより、個人を特定
させないための配慮です。固有名詞は全部仮名にします。ゴルフ練習場のオッサン
の名前は、もう出てこないかもしれないが、『モロゾフ・ニコライ』です。
今、名づけました。
 それと事実の方が凄過ぎて、演出で逆に抑えないと信じてもらえないからです。

 書くかどうか分からないけど、軽く法にも触れたので、あらかじめ言っときます。
これはフィクションも入ってます、と。

 では、おやすみなさい。
26山師さん:2010/02/26(金) 23:29:35 ID:Y/Mi1XW2
>>25




『モロゾフ・ニコライ』
wwwワロタ


俺も90年代後期からネットで株取引しているが
チャート見るのに投資レーダー社のチャート集とか毎週買ってやってたぜ
テレホーダイだし
夜に注文出して昼間はあんまし見なかったな
27山師さん:2010/02/26(金) 23:55:37 ID:oKofn4/e
>>25
おつwまったり次回作待ってる。
これはファンタジーという事にしておこうw
28山師さん:2010/02/27(土) 11:41:20 ID:e+Faj0VS
ものを書いているとどうしてもメタファーを使う必要とか出てくるからね、
固有名詞の置換とか物語化のための小話とか、必要な調味料だと思えばいいんじゃないかな
個人的には「自分の好きなように書く」のが一番だと思っているから、
ゆっくりとでも書き続けてくれるとうれしいです。
29山師さん:2010/02/27(土) 20:49:03 ID:7nWAwIcR
>書くかどうか分からないけど、軽く法にも触れたので

遠慮なくお書きください
30山師さん
続きを期待してます