重要無形文化財第77号「鍮器匠(真ちゅう器職人)」保有者(人間国宝)のハン氏(61)は
このほど、保有者の資格をはく奪された。文化財庁がプレスリリースで発表したその理由は、
「技術低下・伝承活動義務の怠慢・不適切な行動のため、文化財委員会で保有者として適当
でないと判断・決定した」というものだった。
ハン氏は1997年に重要無形文化財保有者に指定され、それ以来、伝承支援金として毎月100万
ウォン(現行レートで6万7000円)を支給されていた。そして、複数の業者により「大韓民国
政府指定重要無形文化財」と書かれた真ちゅう器などを生産し、デパートやテレビ通販を通じ、
高値で販売してきた。
人間国宝は、市や道の推薦を受けた後、専門家の審査を経て決められる。ハン氏はこうした
手続をきちんと経た。ところが、伝統工芸界は「ハン氏はもともと技術がない無資格者なの
に重要無形文化財に指定され、一人も弟子を育成していない」と疑惑を申し立てた。
工芸界関係者の陳情が相次いだことから、文化財庁は昨年10月、工芸界の元老的人物や専門家
5人からなる評価団を設立した。評価団はハン氏のアトリエを訪れ、3日間調査した後、「機能
していない」との結論を出した。ハン氏が文化財庁主管の人間国宝作品展に出品した作品も、
詳しく分析した結果、他のアトリエの刻印があり、「偽造品」と分かったという。文化財庁
はハン氏を詐欺容疑で告訴し、検察は先月4日、罰金300万ウォン(約20万円)で略式起訴した。
このため、「文化財庁は人間国宝を指定する際、きちんと審査もせず、指定後の管理もお粗末
だった」と非難の声が上がっている。これに対し、担当事務官は「指定当時は問題なかった
が、その後ハン氏の技術が下がった」と弁明。結局、国民の税金が10年以上も偽名人に支払わ
れた責任を取る人物はいなくなった。「結局、被害を受けたのは、継承者がいなくなるかも
しれないという危機の中、地道に活動を続けている韓国の伝統工芸人と、“国家公認の文化財”
という宣伝文句を信じ、作品を購入してきた人たちなのです」。別の真ちゅう器人間国宝、
イ・ボンジュ氏(83)は、深いため息をついた。
文化部=許允僖(ホ・ユンヒ)記者
朝鮮日報 2009/03/11 14:02:07
http://www.chosunonline.com/news/20090311000048