激震半導体試練の日本メーカー(1)提携強化しかない、力晶に賭けたエルピーダ。
2008/12/24, , 日経産業新聞, 1ページ
半導体業界が未曽有の大不況に陥っている。価格は急落して収益は悪化。景気後退の影響で
販売はふるわず、これまでの過大投資のツケもあって資金繰りに窮する半導体メーカーが世界各地で
続出する。その荒波にもまれる日本の半導体メーカーの生き残りを探る。
「このままでは、サムスンの思うままだ。両社で協力するしか生き残る道はない」。十二月二日、
東京・八重洲の大手半導体メーカー、エルピーダメモリ本社六階。坂本幸雄社長はいつになく神妙な
面持ちで、台湾・力晶半導体の黄崇仁董事長と向き合っていた。
両社は半導体メモリーのDRAMを台湾で合弁生産するなど協力関係にある。黄董事長も「台湾当局も
瀕死(ひんし)のDRAM産業をこのまま放っておくはずはない。当局と協力しあらゆる手段を尽くす」と応じた。
二人は熱のこもった会談の末、提携をさらに強化することで一致した。
エルピーダはDRAM事業で世界三位、力晶は六位。両社合算すれば世界シェアは二割超となり
世界第二位グループを形成する。が、ともに経営は厳しく、シェア三割の首位・韓国のサムスン電子の
背中は遠い。
坂本社長が決めた最終手段――。それは海外の提携先に活路を求め、サムスンの対抗軸としての
地位を築くこと。力晶との提携を深めれば日本では望めない当局の支援も台湾で合弁なら力晶を
通じて取り付けられる見込みもある。DRAM専業のエルピーダにしてみればサムスンの独走を許しては
生き残るすべはないとの危機感が背景だ。
5面に続く