斬鉄剣のように日本刀で鉄を切ることができるか? アニメや童話を科学的に検証する「とびだせ!空想科学」
アニメや童話に登場する万能の武器、驚異的な現象を科学的に検証する単発バラエティー
「漫画やアニメの名場面が現実に!?とびだせ!空想科学」が、フジテレビで八月三日午後
四時五分から放送される。夏休みの子どもたちに「科学って面白いよ」と伝えるため、大の大人が
“大人げない”ほど大まじめに大掛かりな実験に挑んだ。
番組はフジ系列のテレビ静岡が制作。人気シリーズ「空想科学読本」の著者・柳田理科雄さん
出演の単発番組「とびだせ!空想科学」が、フジ系列局の企画コンペ「FNSソフト工場」で昨年度の
大賞を受賞しており、内容をグレードアップした新作を全国ネットで放送することになった。
番組で取り上げるテーマは四つ。「ルパン三世」に登場する石川五ェ門の刀「斬鉄剣」のように、
日本刀で鉄を切ることができるか実験したほか、ワラや木でできた家を実際に大型送風機で
吹き飛ばし、「三匹の子ぶた」に出てくるオオカミの肺活量を測定。「西遊記」の孫悟空の頭に
はめられた輪っかをハイテク金属と音声認識技術で再現した。
もう一つは、往年の人気アニメ「マッハGoGoGo」で、ピンチに陥った主人公運転の車が見せる
天井走行が可能かどうか。この実験は、静岡県内で建設中の第二東名のトンネル内で行われた。
使ったのは全長百四十センチ、重さ九キロの大型ラジコン。レーシングカーデザイナーの
由良拓也氏がデザインを担当した特別製だ。トンネル内には、内壁に沿って斜め上へと走る
長さ百二十メートルの木製の助走路が設けられ、ここを目標時速百キロで車が駆け抜ける。
やがて天井に到達した車は上下逆さになったままトンネル内を走るはず、というのだ。柳田さんと
助手の「アンジャッシュ」が緊張で表情を硬くし、トンネル出口で興味津々の工事関係者数十人が
見つめる中、車はうなりをあげて発車した−。
番組のベースは、柳田さんが特撮やアニメの世界を科学の目を通しておもしろおかしく検証した
ベストセラーの「空想科学読本」シリーズ。執筆のきっかけは、当時、経営していた塾の苦境を
乗り切るためで、「当時はお金を投じて実験しようというテレビ局が出てくるとは全く思わなかった」
と柳田さんは明かす。
「絶対に一人ではできない。本物のレーシングカーデザイナーの方や、世界一小さい音声認識
ロボットを作ってらっしゃる方たち、そういう各分野のトップの方の力を結集してもらえたことは、
うれしいことでした」
科学とは(1)疑問、興味を持つ(2)解決するための技術、スキルを外の世界から調達する(勉強する)
(3)自分の頭で考える−と三つの段階を踏むのだという。
「今回でいえば、番組の最初に疑問、興味、つまり夢の現象を出した。そして、そのための技術を
専門家の方たちに出してもらい、最後に『どうすればいいのか、みんなで考えましょう』というところを
見せた。番組として科学の形式は示せました」。アニメやマンガで育った大人も楽しめるが、
夏休み中の放送なので子どもも見るであろう実験の数々。彼らに番組を通じて伝えたいこととは?
「結果を先に考えて『できないからやらない』と思ってしまう発想の枠組みを少しでも外してくれたら。
ウルトラマンにまつわるある謎がある。学校での勉強は、謎を解くための武器を手に入れること。
僕がやってきたのはそういうことです」
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2008072202000109.html