レトロネクチン法を用いて行われた、
北海道大学によるアデノシンデアミナーゼ欠損症患者を
対象とした遺伝子治療臨床データの米国遺伝子治療学会での発表について
http://www.takara-bio.co.jp/news/2006/05/30.htm タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)バイオ研究所
の共同研究先である北海道大学医学部小児科有賀正教授
らは、アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA-SCID)の小児患者
2例に対して実施したレトロネクチンRを用いた遺伝子治療の臨
床効果について5月31日から米国メリーランド州ボルチモアで開
催される米国遺伝子治療学会(American Society of Gene Therapy)で発表します。
この遺伝子治療においては、それぞれの患者さんより採取した造
血幹細胞を多く含む骨髄細胞に、レトロウイルスベクターを用いて
正常なADA遺伝子を導入した後、これらの遺伝子導入細胞を患者
さんの体内に戻しました。この遺伝子導入法には、高効率遺伝子
導入法として世界的にスタンダードとなりつつある当社のレトロネク
チン法が使用されています。2人の患者さんは、2年以上前にこの
治療を受けておりますが、その後の経過が非常に順調であり、今の
ところ重篤な副作用の出現はありません。
また、レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療では、治療用遺
伝子が遺伝子導入した細胞のゲノム上にランダムに挿入され、そ
の挿入部位によっては近傍の遺伝子を活性化する可能性があり
ます。北海道大学で遺伝子治療を受けた患者さんのフォローアッ
プのため、LAM-PCR法によるADA遺伝子の挿入位置の解析を当
社と共同で行ったところ、問題となる挿入変異は起こっていないと
いう結果が得られました。
当社は、当社が進める様々な遺伝子治療のモニタリング手法とし
てもLAM-PCR法を有効利用するとともに、クロナリティーと挿入位
置解析のデータ蓄積を行い、遺伝子治療の安全性向上と臨床開
発の推進に役立てたいと考えております。