【6758】SONY ソニー【Worst Manager】
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注目株 ソニー、実質上方修正も低空飛行続く――勢い不足露呈
2004/01/28, 19:27, 日経速報ニュース, 861文字
【NQN】28日にソニー(6758)が発表した2003年10―12月期決算で、連結営業利益は前年同期比20%減の
1588億円だった。明るい兆しがみえる一方、課題のエレクトロニクス事業は超低空飛行が続く。事前に膨ら
んだ期待を満足させる内容とは言い難く、29日の東京株式市場では失望売りを誘う公算が大きい。
「悩みの種が増えた」――。ある信託銀行投資顧問部の運用担当者はソニー決算をみて頭を抱えた。ソ
ニーの本丸であるエレクトロニクス事業の営業利益は前年同期比40%減の495億円にとどまったためだ。
構造改革費用が一時的な特殊要因と考えることはできる。仮に前年同期から増えた構造改革費用を除け
ば6%増益で、売上高営業利益率も5.9%と0.3ポイント改善する。それでも、サムスン電子(20%)には遠く及ばない。
ソニーも利益率改善に向け手を休めているわけではない。DVD(デジタル多用途ディスク)レコーダーな
どデジタル家電の新機種を昨年末に発売、出遅れていたDVDレコーダーの昨年12月末の市場シェアが
30%を上回るなど効果は出始めた。だが、利益率の急改善に至らないところにソニーの苦悩が透けてみえる。
「ソニーが取り組んでいる改革の成果が表れるのは早くても2005年度」(リーマンブラザーズ証券のアナリスト、
大山聡氏)との見方を裏付けた格好だ。
投資尺度にも割安感は乏しい。ソニー株の2004年3月期ベースの連結予想株価収益率(PER)は80倍に
達する。ソニーや松下などのPERの水準はこの時期、2005年3月期の利益を織り込む水準になるとはいえ、
割安感は乏しい。業界平均の予想PER(30倍)を当てはめると、来期の最終利益が2.6倍程度に拡大するのを織り込んだ水準だ。
2004年3月期通期の連結営業利益は前期比46%減の1000億円になる見込み。構造改革費用を100億円
積み増しており、実質的に上方修正した。収益力は着実に回復しつつあるが、成長株としての輝きを取り戻
せるかどうかのスタートラインに立ったにすぎない。(増永裕樹)