+松井証券+

このエントリーをはてなブックマークに追加
803今週のミチヲ(続き)
田中 それは、会社中心主義、集団的思考、組織人間という言葉に象徴される
日本企業の擬制的共同体が崩壊し、もっと機能的というか、プロジェクト推進
型の組織になっていくということでしょうか。

松井 ええ、少なくとも、会社人間を暗黙裡に是とするような考えは、すでに
過去のものになったと思います。これを壮大なスケールでいうとですね、200
年前の産業革命で「資本と労働の分離」が起きましたが、IT革命によって再び
この両者が融合する時代が到来した、と僕は考えているんです。
その融合のイメージは、あるリーダーの下に技能をもった個が参集するわけ
ですから、極論すればギルド的徒弟制度に近いかもしれません。ただし、そこ
での労働とは、筋肉労働といった概念の対極にある「知」なんだと思います。
といっても、いわゆる知的労働というのとも少し違う。もっと人間的な要素
──センスとか、感性とか、美意識とか、人間の人間たるゆえんのもの、優劣
などつけられないものの総体なんです。
ビル・ゲイツの例が典型なんでしょうが、同じような例はいくらでもある
し、今後もどんどん生まれてくるでしょう。つまり、人間の感性が起点となっ
て、それに賛同する仲間たちが集まり、彼らの「知」が生みだす付加価値に資
本が集まる。そこでの利益は、集まった仲間と資本の提供者に配分される。そ
ういうサイクルが生成されつつあるという予感を、僕は強く感じています。こ
れからは、「知」が企業の盛衰を決める。そういう時代になってきたんです
よ。