驚異の粘りと底力が今季の猛虎を象徴している。昨年は6月に8連敗を喫して首位を陥落。
でも、今年はそんな不安はない。星野監督が徹底させた「守りの野球」が浸透しているからだ。
「たまたま打ったけど、僕は守りを期待されてますからね」と矢野は胸を張った。
昨年は左肩脱臼と左腕骨折で2度も戦列を離れた。オフには日本ハムから野口が移籍。
開幕直後は先発を外される日もあった。
それでも矢野は遠征先で安藤、吉野ら若手を食事に誘って「野球教室」を開催。
「金本や片岡とか僕らの年代が引っ張って、若いやつが付いていく状況になればいい」。
四番の浜中が13日の巨人戦で右肩脱臼および関節唇損傷の重傷を負うと「早く治して頑張れよ」と
真っ先に声を掛けた。この日も不調の井川を必死にリードした。
その矢野を中心とした守りの野球に今年は金本が加わった。八回2死一、
二塁では村田の左前打を本塁へ好返球し失点を防ぎ、九回2死満塁でも田中一の左中間の打球を好捕。
「珍しいね」とおどけたが、いずれも大量失点になりかねない状況を救った。
今季25度目の逆転勝ちで横浜戦12連勝。「凄くしちゃったんだよ、喜ばせようと思ってな。
無死から四球。100年のデータやな」と星野監督。指揮官の辞書には「無死から先頭打者を出すと
7割得点が入る」という項目があるそうだが、まさにその通りだった。
「きょう途中で帰ったヤツらはアホやで。もったいないわ」。いつもより響く六甲おろしに鬼の
指揮官の表情も緩んだ。もはや、18年ぶりの優勝へ向けた虎の「逃走」を阻む敵は存在しない。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/kiji/2003/06/18/01.html