さらに個人の潜在的な売り圧力は尽きない。ある国内証券に上場企業の元役員
(故人)の妻が、相続した五億円相当の当該企業の株式を持ち込んだところ、
来年一月導入の新証券税制の説明を受け、複雑すぎるのを理由に「源泉分離課税
が選べる今年中にすべて売却して」と依頼したという。
丸三証券の水野善四郎専務は「タンス株券の見切り売りが出始めている」と指摘
する。個人が自宅や貸金庫などに保管している退蔵株券は最大で三十兆円程度と
もいわれる。税制の変更に伴って、どれだけが売りに出るのか、市場でも読めない
でいる。