みずほのATM統合ってどこがやってたの?

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みずほ銀システム崩壊――富士通呼ばれぬジレンマ(NewsEdge)
掲載日:02/04/09 媒体:日経産業新聞 ページ: 24 文字数: 1844
 みずほフィナンシャルグループの一連のシステム障害は過去最悪の金融トラブルに発展した。
本来なら、統合システムの中核になる旧第一勧業銀行のシステムを担った富士通が火消しの先頭に立っていたはず。
だが、ここにいたっても富士通のシステムエンジニア(SE)部隊に声がかからない。
 「全軍出動態勢は整えているが、銀行側からお呼びがかからない」。ある富士通幹部は途方にくれる。
富士通は現金自動預け払い機(ATM)の障害復旧のため、一日からSEを百人規模で待機させていたが、銀行側からはいっこうに出動要請が来ない。
 ATM障害の原因は明確。旧第一勧業銀行と旧富士銀行をつなぐリレーコンピューターと呼ぶ中継器のプログラムに生じた不具合だ。
旧一勧の基幹システムは富士通製で、このリレーコンピューターのハードも富士通が開発・製造した。
 だが、一連のシステム障害では日立製作所のSE三十人が復旧チームに合流しているだけ。
富士通だけでなく、旧富士銀の基幹システムを担当していた日本IBMのSEも呼ばれていない。日立は旧日本興業銀行の担当だ。
本来、障害が起こった場合は、メーカー側のSEが飛んで駆けつけ、銀行側と共同で復旧に当たるのが常道だ。
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 しかし、システム障害から一週間がたっても「みずほ側からなんの事情説明もない」(富士通の秋草直之社長)と蚊帳の外。
日本IBMも「この件は何も言えない」(大歳卓麻社長)としている。
富士通のある幹部は「不具合が起こったのは銀行側の金融SEが中心に開発したアプリケーション(業務用)ソフト。
メーカーの手を借りなくても復旧は可能と考えたのだろうか」と推測する。
 だが、ある金融コンサルタントは「異常なケース。ハードとソフトは一体だし、銀行側は猫の手も借りたいはず。
そもそもシステム統合に当たってもリーダー不在で旧三行は主導権争いばかりやっていた。
メーカーの支援要請でももめているのではないか」といぶかる。
 みずほ側は「システムの統合期間は二年三カ月。順調に進み、十分な準備期間を要した」(石坂文人専務)と説明する。
しかし、システム統合を巡り、富士通、日本IBM、日立のメーカー三社をバックに
「三行間の情報システム部門が激しい主導権争いが展開された」(富士通、日本IBMの両幹部)のが実態だ。
111 :02/04/09 08:56
1年ムダに

 世界一の銀行の基幹システムを担うという名誉とPR効果。統合費用も千億円を超す。
日本に誕生する四大銀行・グループの基幹システムは東京三菱銀行が日本IBM、三井住友銀行がNEC、UFJが日立製作所と決まり、
最後のイスを巡って受注合戦は過熱した。中でも三行から漏れ、瀬戸際に立った富士通の攻勢が激しかった。
 富士通の執念が実り、みずほ側は九九年十二月、「新銀行は第一勧業銀行のシステムに他のシステムを寄せて統合する」と表明、
一勧・富士通連合がいったんは勝利した。しかし、富士銀・IBMなど他の連合も黙っていない。
統合案の詳細を詰めるための委員会で問題が再燃する。「様々な統合案が企画されては差し戻され、一年以上を無駄にした」(関係者)。
 結局、二〇〇二年四月には完全なシステム統合に至らず、当面は三行間をリレーコンピューターでつなぐ暫定方式となった。
 巨大システムの成否はプロジェクトリーダーの資質で決まる。
しかし、主導権争いに明け暮れるみずほグループはリーダー不在の異例の事態に陥っていた。
112 :02/04/09 08:57
いつ火の粉

 一年前にみずほ同様にシステム統合した三井住友銀行の場合、
「スタート時点から住友銀がメーンバンクのNECの受注が決まっており、両行のシステム担当者も統合作業に集中できた」(NEC幹部)。
両行の基幹システムの性格が根本的に異なるNECと富士通のシステム統合にかかわらず、障害は一切起こっていない。
 みずほグループの最高情報責任者(CIO)の石坂専務は旧富士銀の出身。
最終的なグループの基幹システムとなる一勧・富士通ラインとの距離は遠かった。「(CIO)人事も三行間で相当もめた」という。
 システム障害から五日後。やっと記者会見に臨んだ石坂専務は一連のシステム障害の銀行側の責任を認める一方で、
メーカー側の責任論に対して「原因解明中でわからない」と、メーカー側の責任の可能性を否定しなかった。
システムトラブルが続く中、「火の粉がいつ飛んでくるかわからない」とメーカー首脳も神経をとがらせている。
(松田拓也)