ただ、責められるべきは、運用・証券会社だけではない。投資信託
協会、日本証券投資顧問業協会、金融監督庁といった、業界団体、諸
規則制定組織、監督官庁なども罪は重い。意識的か否かはともかく、
制度不備を放置し続け、結果として、多くの投資家に損失を与えた。
しかもそれにとどまらず、一時的とは言え、金融市場にも少なからぬ
波乱要因をもたらした。業界・監督官庁の、システム整備に対する
「消極的」姿勢は、もっと糾弾されて然るべきだ。
ビッグバンの名のもと、日本版401k導入、ペイオフ解禁、郵政
三事業見直しなどを通じて、我々は、好むと好まざるとにかかわらず、
「自己責任」によって「リスク」を引受けなければならなくなりつつ
ある。
しかし、今回の出来事は、その「自己責任」を支えるべき、法令・
規制・制度が、いかに脆弱であったかを露呈させた。
関係者は「公共財」である金融市場・システムの一旦を担っている
という自覚を明確に持ち、これまでは蔑ろにされてきた、投資家サイド
に立った対応を徹底して取るべきだ。もし、これまでと同じように、
その場限りの、お茶を濁した処置を繰り返すならば、日本の「金融」
に輝かしい未来が訪れることは、絶対にないだろう。