【A-ink】油性ボールペン 4【加圧】

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7_ねん_くみ なまえ_____
286 名前:_ねん_くみ なまえ_____ 投稿日:2006/01/10(火) 22:21:27 ID:???
(1)油性/水性/ゲルというのは溶媒の性状による分類。

ただし、ゲルを中性と呼ぶのは科学的に正しい表現ではない。
基本的にボールペンの溶媒は油性か水性のいずれかに分類される。
ゲルインクとは所要の粘性を得るため溶媒にゲル化剤を添加したもので、
その多くが水性ではあるが一部に油性ゲルも存在する。

なお、油性BPインクの粘性が高いのはグリス状の溶媒を用いているため。
紙への吸着性を高め、リフィルの乾燥を防止するなどの目的。つまり、
ゲル化剤以前の時代のレシピが、現代でも基本的に踏襲されている。
ただし最近ではゲル化剤を添加した油性ゲルも登場している。
8_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:16:17 ID:???
287 名前:_ねん_くみ なまえ_____ 投稿日:2006/01/10(火) 22:22:33 ID:???
(2)顔料/染料は色素の種類による分類。

顔料は微細な粒子状の色素で、紙に筆記した場合は、顔料とともに
インクに混ぜられた結合剤(接着剤のようなもの)で繊維に付着する。
乾くと元の溶媒に溶けなくなる結合材を使うことで、筆跡が耐水性となる。
たとえば墨汁は、カーボン微粒子(顔料)+膠(結合材)+水(溶媒)であり
膠が固まると水に流れなくなるため高い耐水性を示す。また、微粒子の
形をとっているため、「インク消し」など化学的色素中和にも強い傾向。
ただし、結合材が弱いと消しゴム等によって薄れることもある。

染料インクは色素分子が溶けた状態のインク。筆記後、乾燥すると繊維の
表面に吸着される。乾いても再び同系統の溶媒に曝されれば溶けて流れる。
すなわち水性染料インクのペンは水に、油性染料インクのペンは油
(多くはアルコール)によって滲んだり流れてしまうことになる。その反面、
微細な分子レベルで吸着しているので消しゴム等の影響は受けにくい。
ちなみに、ここで言う染料は、厳密に言えば「染料」でなく「着色剤」。
本来の意味での染料インクには「万年筆の古典的ブルーブラック」がある。
化学反応を利用して繊維を染め上げる(化学的に繊維の中に入り込む)
ため、いったん反応を終えれば高い耐水性を示すことになる。
9_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:19:03 ID:???
10_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:19:40 ID:???
547 名前:_ねん_くみ なまえ_____ 投稿日:2006/02/04(土) 23:34:42 ID:???
◎油性BP
最もオーソドックスなのは粘性の高い溶媒と染料色素の組み合わせ。
溶媒の粘性が高いことから、以下のような特徴を持つ。
・インクが紙に定着しやすく、あまり紙を選ばない。
・インク消費量が他方式に比べて少ない。またリフィル構造もシンプル。
 (細身のリフィルでも実用的な筆記距離が実現できる)
 (リフィル寸法の制約が大きい多色/多機能ペンにも適している)
・ボール径に対する筆跡の太さが、他方式より一回り細い傾向にある。
 (ボールペンで細字といえば油性BPは0.7、ゲルBPや水性BPは0.5)
・筆記時、特に書き出しの際に若干の力を要することが多い。
・インクの乾燥や逆流が生じにくく、寿命が長め。
 (リフィル外装や保管条件にもよるが、概ね5〜10年以上)

近年では溶媒の粘性を低下させ、筆記時に要する力が少なくて済む
ようにした低粘度インクが国産メーカーを中心に主流となりつつある。
低粘度インクとしてはパイロットのA-inkやOHTOのソフトインクが有力で、
特にA-inkはゲルBPに迫る軽い筆記感を実現しており、人気が高い。
11_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:22:08 ID:???
548 名前:_ねん_くみ なまえ_____ 投稿日:2006/02/04(土) 23:35:15 ID:???
また変種として、加圧式や顔料インク、あるいはゲル化剤を添加した
油性ゲルなども登場している。

加圧式では米フィッシャーがNASAと共同開発したスペースペンが有名。
インクをリフィル内で加圧して押し出すため、0G環境でもインクの逆流が
生じない。地上ではペン先を上向きに筆記しても問題ない。
同じく加圧式としては、三菱鉛筆のPOWERTANK(以下パワタン)もある。
パワタンには黒鉛ベース顔料インクの金属筒リフィル(黒のみ、0.7/1.0)
および色素顔料インクの樹脂筒リフィル(黒/赤/青、0.7/1.0、キャップ式と
ノック式の2種類)のバリエーションがある。比較的低粘度の溶媒や
濃厚な発色を示す顔料のおかげで、あまり力をかけずに鮮明な筆跡
が得られることで人気となっている。

顔料インクはパワタンの他、ぺんてるのローリー(単色版)など、国産の
一部で徐々に使われるようになってきた。染料インクよりも発色が濃厚
な傾向があるほか、リフィル内のインクの色も筆記色に近い色合いで
見えるため、外見的なアクセントにも役立つ。

油性ゲルBPには、布に書いても滲みにくい特性を実現した、パイロットの
タフウォッシュなどがある(紙への一般筆記には不適)。
12_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:23:30 ID:???
549 名前:_ねん_くみ なまえ_____ 投稿日:2006/02/04(土) 23:35:47 ID:???
◎ゲルBP
一般的には、水性インクにゲル化剤を添加した水性ゲルインクBPを示す。
(ゲルBPが登場した当初は水性ゲルBPに限られていたが、近年では
上記の通り油性ゲルBPも登場してきたため、厳密には区別が必要。
ここでは水性ゲルBPに限って説明する)

ゲル化剤はボールの回転による摩擦で一時的に粘性が低下し、紙への
転写が容易になるという特性を持っている。ちなみに、インクの粘性としては
一般的な水性BP(非ゲル)と油性BPの中間程度であることから、「中性」
インクと称するメーカーもあるが、pHが中性という意味ではない。
なお、ボールペンの溶媒形式としては比較的新しい種類であるせいか、
溶媒の粘性は各メーカー、あるいは各製品ごとに差が大きい傾向がある。
ゲル化剤のレシピも多様だと思われる。
また、色素としては染料、顔料の両方が用いられている。

水性ゲルインクは、以下のような特徴を備えている。
・紙の繊維に入り込みにくく、油性BPほどではないが紙を選ばない傾向。
・ゲル化剤が容積を取るためインクの消費が激しい。
 (リフィル構造は油性BP同様に単純なので、一部には多色・多機能ペン用
 の小型リフィルも存在するが、筆記距離は著しく短い)
・筆記時の抵抗感は少ない。
・油性BPよりもインクが乾燥しやすいので、ノック式ゲルBPではペン先部分
 に工夫が必要。インクも乾燥しにくいレシピを使うことが多い。
 (ボールの後ろにバネを仕込んだり、ボールが内部にもう1つあるなど)
・インクの逆流やリフィル内での乾燥を防ぐため、リフィル後部に
 シリコングリスなどを詰めておく必要がある。
13_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:24:25 ID:???
550 名前:_ねん_くみ なまえ_____ 投稿日:2006/02/04(土) 23:36:20 ID:???
◎水性BP
水を溶媒としたインクのボールペン。万年筆のインクに似て粘性は低い。
色素としては染料、顔料の両方が用いられている。
水性BPでは、万年筆インクより色素濃度が高めのインクを使うのが一般的。
(ここでは狭義の、非ゲル水性BPについて説明する)

・紙の繊維に沿ってインクが滲みやすいため、紙を選ぶ傾向が強い。
 (裏写りも生じやすい)
・インク消費はゲルBPより少ないが、後述するようにインク保持のための
 構造が必要になることから、ペンの小型化は困難。
・筆記時の抵抗感は少ない。
・ゲルBPほどではないがインクが乾燥しやすく、ノック式のリフィルでは
 乾燥しにくい専用レシピを用いることが多い。
粘性が低いため、空気穴(インクが減った分の空気を取り込む)などから
 インクが漏れやすい。
 (インク漏れを防ぐためリフィル内部構造が複雑になる)

リフィル内部構造は大きく分けて「中綿式」「ペン芯式」の2種類がある。
中綿式は中綿にインクを染み込ませ、毛細管現象でペン先に導く構造。
シンプルで低コストだが、インク残量を確認することが難しく、またインク量
によってフローが変動しやすい。
ペン芯式は、フィンをつけたペン芯をインクタンクとペン先の間に組み込んだ
構造。直液式とも呼ばれる。インクタンク内はインクのみなので残量を確認
しやすく、インク量が少なくなってもフローが安定している反面、万年筆と
同様のペン芯構造はコスト高になる。
14_ねん_くみ なまえ_____:2006/04/29(土) 02:25:21 ID:???
●主なボール径と筆記太さ

 極細 | 細字 | 中字 | 太字 |
 <0.5 | 0.7 | 1.0 .| 1.2< | 油性
 <0.3 | 0.5 | 0.7 .| 1.0< | 水性(ゲル含む)

ボール径が大きくなると以下のような傾向がある。
・線幅が広くなる
・インク消費が激しくなる
・ボールの転がる感触がスムースになる
・大きな文字で速記するのに適する

一般的に、日本など漢字圏では細字、
欧米のアルファベット文字圏では中字が好まれる。

蛇足
BiCの油性1.0mmなどは英語表記が「Medium」なのに
日本語表記は「太字」となっている。
日本国内では0.7が標準だから1.0は太字だ、という考えらしい。

パイロットのマルチボールとパーマボールは非ゲル水性BPだが、インクに
特殊な高分子添加物を加えており、ガラスやプラスチック、金属や陶器など
平滑な表面にも筆記できる。添加物のおかげでインクがフィルム状になって
乾燥し、そのまま被膜として残るようになっているため。
(C-inkとはコーティングインクの意か?)
なお、マルチボールは染料インク、パーマボールは顔料インク。

色素の違いによる一般的な傾向
顔料インク→発色いい、摩擦に弱い、耐水・対光性
染料インク→色数多い、摩擦に強い