>>696 ▼アジア大会には難色
一方で課題も山積みだ。広島市の市債残高は09年度末見込みで約9650億円。
東京都が招致だけで約150億円を費やしたように、開催まで考えると地方都市にとっては莫大(ばくだい)な資金が必要だ。
秋葉市長自身、前市長時代に開催された1994年の広島アジア大会について「財政的に大きな負担となり、苦労した」と、以前は市議会でも招致に難色を示していた。
この日の会見で、複数都市の共同開催の意義を財政面でも強調。資金調達の方法を問われると
「オバマ大統領の選挙は少額の応援資金がたくさんの人から集まった。五輪なら世界的なアピールが可能だ」と答えるにとどまった。
▼「市長聞く耳持たず」
「まだ東京の招致委員会が解散していない。拙速すぎるし、国際会議を開くのとは違う」。JOC幹部は困惑を隠せない。
数日前、広島市から相談を受けた関係者は「五輪憲章で2都市の共催は現実的に無理だと事務方にはっきり伝えた。
でも市長が聞く耳を持ってくれなかったようだ」と共催構想の発表会見に驚いた様子だった。
「核廃絶」や「平和」の理念には共鳴する声が多いが、早くも「政治色が強すぎやしないか」(競技団体幹部)と懸念する声もある。
あるJOC幹部は「招致の動機を正確に知りたい」と疑問の声を上げ、市原則之専務理事は
「核廃絶ありきだと、環境五輪を訴えた東京と同じ轍(てつ)を踏む。国際オリンピック委員会(IOC)からまた五輪は国連でないと言われてしまう」と心配した。
竹田恒和会長は両市の名乗りに対し歓迎の意を表す一方で、東京に配慮してか、
13日に設定された秋葉広島市長の訪問には「会議が詰まっている」との理由で立ち会わない予定だ。
JOC幹部は「共催が五輪憲章に抵触するのは間違いない。IOCに聞けばすぐ答えが出る」と断言。
16年五輪招致で東京を「切り札」として推してきた幹部の一人は「大都市の東京で再挑戦が理想。困った」と頭を抱えている。