1 :
スポーツ好きさん:
2 :
スポーツ好きさん:2010/05/31(月) 23:52:54 ID:+3/7zryo
--------------------------------------------------------------------------------------------
・スケーターたちへの尊敬の念を持って書きましょう。
・書き込む前にリロードして新しいレスがないか確認しましょう。話に矛盾が出てしまいます。
・話に矛盾が出来ないよう、書き込む方は少なくとも5レスは遡って読みましょう。
・気に入らない話の流れを批判するよりも、より面白くする流れを考えましょう。
・妄想カプネタ、ハゲネタ、性別人種差別、宗教系等、世界で「タブー」とされているネタ、は自重してください。
・一人で連続投稿や長文はなるべく控えること。 どうしてもという時はこのスレを有効に使ってください。
・1スレ(500KB)で完結を目指して書いていきましょう。
・本スレが目指すのは大団円です。
・何か意見等ある時は、このスレ(
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/l50)
を有効活用してください。勿論、ROM専さんの御意見御感想も大歓迎です!
まとめwiki(
http://www23.atwiki.jp/figureskaters/)
--------------------------------------------------------------------------------------------
3 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 00:30:49 ID:6vSxAYMr
ある日、ジョニ子の元に一通の手紙が届いた。
シンプルな封筒には差出人も住所も書かれていない。
「あら、何かしら?ファンレターにしては随分さっぱりしてるわねぇ?それとも新手の通販かしら?!」
ジョニ子はひとまず中身を読んでみる事にした。
4 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 00:38:47 ID:uTyAiCzM
「拝啓 ジョニー・ウィアー様
突然のご連絡失礼いたします。
株式会社CAMCOWの広報担当の者です。
実は、当社の人気ゲーム「フィギュアスケーター」シリーズの最新作「フィギュアスケーターV」が完成し、世界規模でのPR活動を行う運びとなりました。
そこでぜひ、女性にも大人気のジョニー・ウィアーさまに、北米CMへの出演をお願いしたく、お手紙を送らせていただきました。
1度直接お会いして、お話をしたいと願っております。
つきましては、◯月◯日の◯時に、北米支社に御足労いただけませんでしょうか?
株式会社CAPCOW
広報担当 より」
5 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 00:54:15 ID:aHnViZgP
同じ頃、バンクーバー。
「し、CMの出演依頼!? すごいじゃないっすか!」「ダンスの番組に出てたのが良かったんですかねぇ」
株式会社CAPCOWからの封筒を手に、ジェレミー・テンとケヴィン・レイノルズは大はしゃぎしていた。
ちなみに、本来の受け取り人は彼らではない。彼らの横で得意気に微笑んでいる、
「まぁ、アタシの知名度からすれば当然…… とは言えないわねぇ。正直びっくりしてるわよぉ」
エマ先輩こと、エマニュエル・サンデュである。
「まさかアタシだけってことはないわよね? 北米CMにって書いてあるし。他に誰かいるのかしら…」
6 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 00:57:43 ID:/BaH55qD
「CMの出演依頼キタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!」
興奮のあまりBad Romanceをフルで歌いながら踊ってしまい
近隣から苦情が来たけれど、そんなのは気にしちゃいられない。
ちょっと息切れがするのは年齢のせいかしら?と悲しくなったけれど
それも気にしちゃいけない。
アタシの魅力を再び世界に発信するいい機会だわ。
北米どころか全世界で流れるように交渉してみせるわっっっ!
7 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 00:59:04 ID:UYOnWo0z
「強くて美しいスケート界のDIVAことこのアタシにCM出演依頼なんて
CAMCOWったら中々分かってるわよね!でも、ゲームか・・・
アタシ、ゲームの事はよく分からないのよねぇ ゲームと言えば彼だけど、さてどうしようかしら」
もちろんジョニーはCM依頼が他のスケーターの元にもいっていようとは露ほども思っていない
8 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 01:04:08 ID:uTyAiCzM
フィギュアスケーターV
致命的なバグが見つかった当初の企画は凍結し、CAPCOWは新モードペアバトルを開発した。
中国拳法の流れをくむアイスダンスと、プロレスの華々しさを取り入れ進化させたペア。
男女一組となって戦うペア選手たちは、愛の力でブレードの痛みや体重を克服し戦う。
この世界市場でのヒットを狙うCAPCOWは、欧州・ロシア・日本・北米の4支社がそれぞれ担当地区のスケーターたちで広告やCMを作ることになった。
アメリカ支社はジョニーVSライサチェクの宿命のライバル対決CMをメインにPR活動をする予定である。
9 :
スポーツ好きさん:2010/06/01(火) 01:09:46 ID:TuFCJZ31
「ワーォ。CM出演の話がきたよ。アハンアハン」
ベッドの上にいるてんとう虫のぬいぐるみにご機嫌に話しかけるランビエール。
「以前日本のCMにライアンと一緒に出たのを思い出すなあ。
そうだよ、あの衣装でだよ。(以下延々とシマウマポエム話が続くので略)
『フィギュアスケーターV』か…実は僕、まだスケUもやったことないんだよねえ。
やっぱり広報の人に会う前にやっておいた方がいいのかなあ?」
だが返事はない。ぬいぐるみだ。当然だ。
しかしランビはそんなことは気にしない。心の中で声を聞くポエマースケーターだ。
「アハンアハン。やっぱりそう思う?でも僕はハードもソフトも持ってないし…」
さて誰のところへいこうかな。
同じ頃……此処は日本。
「…ゲームのCM依頼?ですか?」「おもしろそう!やってみたいな〜♪」「俺の名前もあるの?…マジ?」
世界チャンプの大輔&真央、そして若きエース崇彦の元にも皆と同じ封筒が届いた。
「でもこれって、『北米CM』だよね…。」「私達もいいのかなぁ?」「まっ、誘われてもおかしくはないよね」
興味津々の三人。北米支社に行く為のスケジュール合わせを早速始める。
「あー腹減った」「私も…」「お姉ちゃん、私も!アドリアン先輩おごってくださーい!」
騒いでいるのは、合宿帰りのSWE組、ADSLとヴィッキーと、ヴィッキー妹のヨシちゃんだ。
「ヨッシーうっさい」
「もー先輩、ヨッシーとか呼ばないでっていう!お腹空いたっていう!」
「…ヴィッキー、君のでかい妹黙らせてくんない?」
「いいよ〜おごってくれたらね♪…でもレッドブ○じゃダメだからね!」
「俺にタカるなよ!そんな金ねーんだから…あーあ、スポンサーつかねえかな」
「もうそれくらいにしなさい。割り勘でいいじゃないか、僕も多めに出すからさ…」
べるるんが後輩達をたしなめる。やれやれ、当分これが続くのか…「…先輩?何ニヤけてんですか?」
「いや何でもないよ、アドリアン。さ、みんなで食事に行くか!」…当分こういうのも悪くないな。
…どーーーん!とそこに、唐突にトラが降って来た。「おいっ!スケスリCMの話、聞いたか!?」
「ふぅぁ〜疲れたわ」
両手いっぱいの紙袋を抱えてジョニ子は帰宅した。
全世界で己のCMを流すべく、来るべき交渉に備えて美貌に磨きをかけていたのだ。
まあ、要はエステに行って服を買って靴を買ってと楽しい無駄遣いをしてきた帰りであった。
『CMに出演するなら当然すべて経費扱い』と株式会社CAPCOWの名前でしっかり領収証をもらうことも忘れていない。
「ウフフ。ついでに欲しかったGareth PughのレギンスもChristian Louboutinの靴も買っちゃった。幸せ〜」
(必要経費っていう魔法の呪文が使えるのは今だけよね。明日は何を買おうかしら。
化粧品が切れそうだったわね。あっスケーターとして依頼が来てるんだったわね。
ついでに新しいコーチや振り付け師も経費で頼んじゃうってのも手だわ。
ロケ地をロシアでするって提案しようかしら。ついでにロシアのお家も買って貰っちゃったり)
ここはニュージャージー州。アイスダンサーのリード一家の暖かいマイホームがある場所だ。
「Wow...凄い!キャシー!これ見てよ凄いよ!」
『スケIII』 ベータヴァージョンをプレゼントされたクリスは、興奮気味でパッケージを開けた。
「ちょっと!ゲームのやり過ぎには注意しなさいってママにも言われたばかりでしょ!ブログに書いたばかりじゃない!」
「これは特別だよ!……ほらほら見てよ!最新作にはアイスダンス選手もでるんだって!」
「え?ホント?じゃ……ワタシ達もいるのかな?」
「そりゃ〜いるよ絶対!じゃ、早速始めるよ!キャシー」
意気揚々とプレイを始めるクリス。しかし、それは選択画面にアイスダンサーやペアの選手はいるものの、
選択する事がまだできない、不完全なプロトタイプなのであった。
「あ……れ? もしかして、俺達隠しキャラ扱いなのかなぁ?ま、まさか前作のキャラ全クリアしないと
出てこない、とか……?(汗)」
クリスは次第に、焦り始めた。
その頃のロシア。
平和なサンクトペテルブルグ上空に突如、轟音とと共に金色の宇宙船が飛び立った。
その様子を眺める親子連れ。
「マーマ、ジェーニャのおふねがとんでる〜!」
「あら、そうねぇ。今日はどこへお出かけかしらねぇ?」
出現するたびに世界各都市で騒動を起こす宇宙船だが、さすがサンクト市民は慣れていた。
「とりあえず目的地はCAPCOWのロシア支社だから、モスクワだね?」
無事退院し、練習復帰したばかりのゲーム大好き宇宙人のプルにも当然白羽の矢が立っていた。
これからロシア支社まで打ち合わせに行くところだ。
「ジェーニャのほかにも何人か担当のスケーターがいるそうよ。ロシア支社で合流ですって」
交渉事をプル一人に任せるのが心配で同行したヤナ姐さんは、届いた手紙を内容をチェックしていた。
「そうなんだ?いったい誰だろうな?…向こうに付いたらゲームやらせてもらえるかな?」
交渉事よりゲームの中身が気になるプルだった。
その頃の日本、関西大学の庭の一角にて。
「…ヒマじゃのう、信成。」「はいはい、そうですか。僕は忙しいですけどね。」
これは信成の頭の中での会話である。最近信成に召喚され慣れてきた信長は、海外旅行に行きたくてたまらない。
「…………これは…?」信成は皆にも送られたCMの依頼の手紙を開いていた。
「おお!これは仕事の依頼ではないか!…なになに…ろけ〜しょんはあめりか…アメリカじゃと!よし!」
「………ちょ、ちょっと。まだ引き受けたわけじゃ」
「これはまたとない絶好の機会じゃ!仕事であれば姫も許すじゃろう。行け、参れ信成!」
「………………。」
その時突然空から女性が降って来た!彼女は信成の大親友、安藤美姫である。
「のぶ君!例の手紙、やっぱり持ってるわね♪」
「…………美姫ちゃんも…だよね。他のみんなはどうしてるかなぁ?」
「もうとっくにLAに飛んでる筈よ。ささ、決まったとならば早速飛びましょう♪」
「…………飛ぶって……僕がクワド飛ぶの?(汗)」「えっ………自身無いわけ?!もう!」
仕様がないわね〜……あたしが飛ぶわよ!ええ!この際ど根性だしてみせるわ!ハリウッドがあたしを待ってる!
意気揚々と4Sを飛んだ美姫と信成(とその頭の中の信長。)
しかし、美姫にとっては慣れない移動用クワド。ちょっとばかり自爆してしまったようである。
「なんで日本支社もアメリカで打ち合わせをやらなきゃいけないんだか……」
「日米対決ってことで未来VS真央をとることになったからでしょ。未来ちゃんは日米両方で人気あるし」
「真央VS美姫だけでいいじゃん。なぜダブルスタンダード」
「いや、オレは未来ちゃんのファンだから問題ない」
打ち合わせ&撮影をコンパクトにする為に、ハリウッドで直に集合することになったチームジャパンと日本支社。
しかし、肝心のメンバーはまだ三人しか集まっていないようである。
「あれ?のぶ君まだ来てないの?」「美姫ちゃんにはさっきメールしたよ?」「リード姉弟がまだ来ていない…」
こちらはCAPCOWロシア支社。
生憎出演者はまだ全員揃ってないらしく、集まったスケーターは社内の応接室に通された。
今ここにいるのはプルとヤナ、そしてイーラである。
なんでも前作の隠しシナリオ「イリーナ波乱万丈編」が大人気で、新作PRの依頼がイーラにも来たそうだ。
「まさか今回も依頼が来るとは思わなかったわ。」
「良いじゃない、それだけ皆に人気があるんだしさ……僕も早く新しいのをやってみたいなぁ」
「ジェーニャ、テストプレイは全員揃ってからってさっき広報さんが言ってたでしょ?」
手持ち無沙汰なプルが室内を見回すと、本棚にとある本が並んでいた。関連会社の出版物のPRに置いてるらしい。
手にとってみると、頭上に高く伸ばした片足のブレードを手に取った独特のポーズを取る、女性スケーターが描かれている。
そこにはロシア語でこう書かれていた。
「フィギュアスケートスーパースター列伝『伝説のスピン誕生!デニス・ビールマン物語』」
あの日本発の名作(?)エンターテイメントスケート漫画が、ついに世界各国にも出版され始めたようである。
Pちゃんは瞳孔をガン開きして手紙を読んだ。3回読み返した。
「…CM出演か。よっしゃあ!!」
誰へともなくガッツポーズをするPちゃん。
「そうだよな、北米でCMとくれば俺が出ないわけにはいかないもんな!」
早速Pちゃんは上機嫌で洗面所に行き、顔を洗ったり髪を整えたりし始めた。
しかし、髭をそりながらノリノリで鼻歌を歌うPちゃんの胸にある心配が浮かんだ。
「…まさか、『歌え』とか言われないよな…?」
ゴルフにホッケー、車にゲームと多芸なPちゃんだが、歌だけは大の苦手だった。
バンクーバーオリンピックのCMでちょっとアレな歌唱力をお披露目してしまった過去を思い出し、
Pちゃんは苦い笑みを浮かべるのだった。
突如出現したトラにどん引くSWE組の前に、すとーーーん!…また何か降って来た。
「トマシュ先輩!いきなり跳んでったからびっくりしたじゃないですかもう!」
チェコ後輩ミハルである。(また自爆かと思って焦った…)とは口が裂けても言わない。
とりあえず軽く飯でも、という事で、SWEチェコ組は手近なIKEAカフェに入った。
「…えーと、トマシュがさっき言ってたCMのことって?」
とりあえず状況を把握しようとするべるるんに、トラがまくしたてる。
「スケスリだよスケスリ!知らないの!?てか出演依頼来てるだろ!?来てないのか!?」
「ハイハイ先輩落ち着いて。…まあ
>>8というわけで、僕らに出演依頼が来たんです」
「スケツーとかスケスリとか、何ですか?…ちょっとアドリアン、遊んでないで検索してよ!」
ヴィッキーがADSLをつついた。SWEロールを食いながら、ミハル持参のノートPCで幻覚系フラッシュに見入っている。
「うぃ…綴りは?何だっけ、『女(スケ)』…『透け』…」
ばき。ヴィッキー&ヨシが同時にADSLをはたいた。さすが姉妹、ナイスツープラトン。
「痛って!てか君たち2人でタッグ組んでペアに転向すべきじゃない?…はいはい検索するってばよ」
少しばかりLAに早く来すぎた大輔&真央&崇彦。流石に三人だけでは打ち合わせもへったくれもない。
「メンバーが集まるまでもう少し待っていてくれませんか。今のうちに観光、という手もありますよ」
日本支部の職員が休暇をとるように進めてくれる。それは三人にとっても好都合だ!何しろ此処はLAである。
「さ〜何処いこっか?」「勿論ディズニーランド〜♪」「エンジェルスタジアムはどう?マツイ見ようよマツイ」
他のスケーターが来るまでの間、プルは例のスケート漫画を見ていた。
「懐かしいなぁ。僕はTVで彼女の演技を見て、ビールマンやりたいと思ったんだよねぇ」
それからマムーリャと一緒にストレッチ始めて、必死で練習して出来るようになったんだけど。
などど懐かしい記憶とともにページをめくっていると、そこにはプルの予想を超える展開が載っていた。
『彼女はこの技を生み出す為、日夜片手と足を括り付けて厳しい特訓に励んだ』
『練習時にはビールマンの体制で1時間以上回り続けていた』
『彼女のビールマンが繰り出されるとその周囲は真空状態になり、カマイタチ現象が発生した』……等々。
「……すごい!やっぱりみんな努力してるんだ!」
偉大な先人の努力にすっかり関心してるプルだが、その作品は梶原三騎のトンデモエンターテイメントが
全力で散りばめられた世界なので、記述をそのまま鵜呑みにしてはいけない。
そこへCAPCOMの広報さんがやってきた。
「皆さんお持たせしました、他の方も今到着されましたよ!」
そう告げる広報さんの後ろに人影が見えた。
さて、買い物もしつくしたし。早速ゲーム好きなあの人の元へ飛ぶべきか…
いやいや、今までの経験から宇宙人と絡んだ時はろくなことがない。
第一今の買い物疲れのぐったりした状態ではクワドでロシアに行ける自信がない。
「アタシってば練習では完璧なんだけど本番には弱いのよね。
うっかりオホーツク海に沈んだらそれこそ誰も助けてくれないまま、DIVAの出番が終わっちゃうわ」
そうだわ、ここは新境地を求めるべくスケ力を集中してなすがままに3Aを飛んでみるのよ。
きっと新しい出会いが待っているはず。思い立ったらすぐ行動。窓から華麗に3Aを飛んだ。
「あっいっけなーい。せっかく買った服や靴に着替えるのを忘れたわーーーー!!」
叫んで見てももう遅い。身体は宙を飛んでいる。服装は結局いつものちょっとよれよれの部屋着のまま。
「うわああああああああああ」
ジョニ子の着地と同時に悲鳴があがった。
どうやら誰かの背中に飛び降りたようだ。
「イタタタタ…ちょっとアンタしっかり受け止めなさいよ!」
勝手にやってきたくせにひどい言い分である。
そして起きあがった視線の先には普段以上に瞳孔を開いてジョニ子を見つめているPちゃんの姿があった。
SWEチェコ組@IKEA。
今度はGo○gleパック○ンを発見して遊び出すADSLに、スパイラルクロスボンバーを見舞うヴィッキー&ヨシ。
「…いい加減にしなさい!やれやれ……うん、でも女子同士のペアもいけそうだよね、ねえ?」
割と涼しい顔のべるるんに、ちびっとばかり困惑してそうなトラとミハル。
ADSLがやっとアンサイク■の『スケ2』記事を開いたところで、彼の携帯が鳴る。ルトコフコーチからだ。
「うっす、師匠?」
「アドリアン、スケ3のCMの話は知ってるな?出演依頼が来た!………私に!」
さすが可愛いと大人気(実はおそロシアだがそこも魅力)なルトコフコーチである。
「マジっすか!?…ちょっとみんな聞いてよ、師匠がCM出るんだって!」
「はいぃぃ!?…」さすがに反応に困るべるるん、トラ、ミハル。
「スゲーな師匠、かっけー!俺撮影見に行っちゃうし!」
「出演料が入るからな、お前は資金繰りの心配などせず、アスリートとして励め!」
ちびっと涙ぐむADSL。…麗しき師弟愛。
♪〜♪。 クリスの携帯電話が鳴るが、肝心の本人はゲームに苦戦していて絶対に出ようとしない。
仕方なくキャシーが代わりに出ると、それは日本支部の広報からの電話だった。
「…クリス・リード様でしょうか?例のゲームについて、大変申し訳ございませんでした。直ぐ最新のものを
テストプレイして頂きたくLAの×××ー××××にてお待ちしております。」
「?……ワタシは姉のキャシーだけど。例のゲームって、送って来たあの出来損ないのやつ?」
「そのとおりです。申し訳ございませんでした。CM出演依頼の件に関してはどのようなお返事を……」
「CM出演?……あ!あの手紙!!ごめん!まだ読んでないわ!」
「どうしたのキャシー?」「たたたた大変よ!ワタシ達『スケIII』のCMに出演する事になったわ!!」
「ええ〜〜っ!」「で、でも!ゲームなんかで時間をとられて練習が…」「練習も兼ねてるじゃんかよぉ!」
大好きなテレビゲームとアイスダンスの練習が、一度に出来るのならばこんなに良いことはない!
クリスは有頂天になって舞い上がった。今までどんなに努力しても自分達が使えないインチキゲームに
無茶苦茶腹を立てていたことも、全部忘れて。
二人は準備を整えると、LAに向けて軽やかにミッドラインステップを踏んだ。
「アハンアハンそうだよ。アハハハ。うんうん。アハンやだな。うんそうそう。うんじゃあね、まったね〜」
ガチャン。
「しまった。また切っちゃった」
スケUを一緒にやってくれる女の子を探そうと電話→関係ない話で盛り上がる→ご機嫌に電話を終える。
この繰り返しを続けて早20数人。いつも電話を切った瞬間に本来の目的を思い出すのだ。
一人1時間以上の長電話のため、再び電話をするのはいささか気が引ける。
「ラウラも終了、と。さて次は…」
なぜか五十音順に並んでいる手元の女の子リスト。
さきほど電話を終えたラウラ・レピストの名前を二重線で消す。
(今度こそは繋がってすぐに、用件を言わなきゃね。女の子リストが終わっちゃうよ。アハンアハン)
Trrrrrrrrr Trrrrrrrrr ガチャ。
数回の呼び出し音の後に繋がった。
「もしもし、ジョアニー?僕だよ、ステファンだよ。アハン」
だん!!と、六人が囲むカフェのテーブルが勢いよく叩かれた。SWEチェコ組@IKEAである。
「あっサーシャ!用事は終わったの?待ってたよー!」7日に17歳の誕生日を迎えるヨシちゃんが
まだどこか幼げな笑顔を浮かべ、来訪者に声をかける。
「スケツー、スケスリを知らない?あなたたちそれでもフィギュアスケーターですか」
遅れてやってきたのは、ロシア生まれのアレクサンデル・マヨロフ18歳。SWE男子フィギュアスケーターである。
勿論彼も合宿に参加していたのだが、所用のため遅れての食事参加となったのだ。
「あ、っと……サーシャ、こっち座る?」
ボックス席のテーブルに、通路側からヨシちゃんADSLヴィッキーミハル、
同じく通路側からべるるんトラと向かい合わせで座っている。
ほんの少しだけべるるんの声が上擦ったのにトラは気づいたが、
何故少し気おくれした風だったのかまでは、よくわからない。
「こっちもあいてるよー。席広いからいいね!」
先輩二人に漂う妙な空気に気づいているのかいないのか、ヨシちゃんは天真爛漫だ。
マヨロフ(165センチ)はヨシちゃん(169センチ)とべるるんを交互に見て……
「失礼します」と、べるるんの隣に座った。
「あらステファン、ごめんなさい、これから出かけるところなの。CAPCOWって会社から……もしかしてステファンにも手紙が来たの?」
「うんそうなんだジョアニー。でも僕スケツーってやったことなくて」
「私もよ。でもやったことなくても大丈夫ですって、TELして確認したわ。欧州は誰が来るのかしら? ステファン知ってる?」
「え、えーとね…」
今まで連絡をとった皆の名前をステファンは言った。
「欧州も楽しいCMになりそうね! 北米もがんばるわ。じゃあステファン、テッサとスコットが待っているの。またね」
「わかった、ありがとうジョアニー。バーイ」
取り合えず、LA観光といっても話が纏まらなかった御三方。
結局腹が減ったので顔見知りのお寿司屋さんに行くことに・・・
「も〜!連絡くれれば上物とっといてあげたのに!」
「そんな気ぃ使わなくても大丈夫だって。でも次からはメールするよ。」
「悪いね、突然押しかけちゃって。でもネタが新鮮だからうまいよ!」
「海鮮丼うま〜です。」
ランチタイム終了間際にやってきた3人はすし屋の娘の未来ちゃんの計らいで賄い海鮮丼をご馳走になっていた。
「ところで未来ちゃんにもきたんでしょ?CMの話。」
「来たよ。でもペアの相手が分らないからちょっと不安」
「ペア?なにそれ?」
「手紙読んでないの?今度のスケ3はコンセプト変わってペアバトルだって!」
「嘘!マジで!!」
急いで手紙を確認する3人。
「・・・・ほんとだ。書いてあった・・・・(
>>8参照)」
「て、いうか・・・誰も気づいてなかった?」
チームジャパンの天然度はハンパないようです。
カフェで食事中のSWEチェコ組。
「それにしても、まさか選手より先にコーチに出演依頼が来るとはね」
「格闘ゲームの宣伝だからですかね?ルトコフコーチ、あれで武闘派だから」
「そういえば選手にはまだ依頼ないのかな…まさかコーチ単独ってことはないよね?」
バンクーバー五輪では、前衛的すぎるSWEクオリティで注目を集めたADSL。
あの不気味さすら漂うフリー演技のあと、キスクラでのコーチの満面の笑顔とはしゃぐ様子が
あまりに対照的だったのは記憶に新しい。
というか、べるるんとADSL二人のおかげで『SWE=変プロ』という認識になりつつあるし。
「師弟揃ってあれだけ個性が立ってれば、そりゃ目立つよなぁ」
そんなことを考えるチェコの先輩後輩。
「それを言うなら、先輩だって既に充分キャラ確立してますよ」
勇名トラとか本●日とか桜餅とか。
持ちネタ豊富なトマシュ先輩がちょっと羨ましいミハルであった。
ボケボケのチームジャパン、よく読めばわかるがペアバトルモードはスケファン待望のペア選手たちが登録されたということである。
全世界のペア&アイスダンスファンは、CAPCOWが公表した新技や設定に狂喜乱舞していた。
なおシングル選手のごくごく一部は、特殊条件を満たすとペアで使用可能となる。例えばジョニー&ランビ(隠しペア)
「俺、この打ち合わせが終わったら恋人に告白するんだ…」
「俺、娘の1歳の誕生日なんだ…」
「お前らもっと死亡フラグ立てろ、じゃないとマジで死ぬぞ…」
なにかひどいことを言っているのはロシア支社所属の社員たち。実はこのPRのために新たにロシア支社を作ったのだ。
何故かって、ロシアのメインCMはプルシェンコVSヤグディンだからだ。
「ブリザード対策は万全か?」
「どうやって対策しろっていうんだよ……」
ジャンプ一つで世界を回れることに大いに満足している、信成のご先祖様こと、第六天魔王信長。
この力があれば、天下統一はおろか世界統一まで出来たのではないのか?という考えが。しかし。
スケート自体が信長の時代に出来たばかりなので、フィギュアのジャンプはそもそも信長の時代に
使うのは当然無理な話である。かくして信長の野望は儚く消えた。
「…………また良からぬ事を考えてますね?いいですか、今は戦国時代じゃないんですよ。勝手に戦争を
起こしても世界は統一できません!」
自分のご先祖様に、とうとうと平和を説く信成。それを黙って聞く信長。
勿論信成の頭の中での出来事だ。ハタから見ると目を閉じた信成は何もしていない。
「のぶ君?のぶ君ったら!何ぼけっとしてるの。早くLAへ飛ぶのよ!もう〜〜っ!」
気がつくと美姫が不思議そうに顔を覗き込んでいる。
二人は先ほど、間違ってカナダに自爆したのだった。
ブリザード対策におびえるロシア支社。
「…そういえば、プルシェンコさんはもう来てるんだっけ?」
「ああ、ヤナさんやスルツカヤさんと一緒に応接室にいるよ」
「こうなったら、スルツカヤさんとヤナさんが頼りだな」
「なんとか被害が拡大しないことを祈るよ……」
対策と言っても結局天に任せるしかないらしい。
「主任、只今ヤグディンさんが到着されたそうです!」
「そうか…では広報さんに連絡してくれ」
これから吹き荒れるであろうブリザードに対して、ぐっと身構える社員達だった。
「つまり、スケツー……フィギュアスケーターUとはこれのことです」
ミハル持参のノートPCをADSLから借りて、マヨロフはその場にいる全員に解るよう
画面を見せた。ページをスクロールしていきながら説明をする。
キャラクター紹介に差し掛かると、素直に皆で歓声を上げる。
「トマシュさん欧州のトラさんなんですね!」「あ。ミハルくんもいるー……実は女の子だったの?!」
「……僕、吸血鬼?なんで?」「俺ヒットマンだって!すげー!」
「で、スケスリはこのスケツーの次回作で……
>>8になります。」
適切で解りやすい説明に、六人はマヨロフに拍手を送る。
「ってことは師匠が欧州CM担当ってことかーへー」
そういえば08年のイエテボリワールドでは、先輩の写真が使われてる広告ばっかりで、
俺全然目立たなかったっけ。そろそろ俺だってこういう依頼が来てもいいはず!
ADSLは考える。ルトコフコーチにお願いして、一緒に参加させてもらえないかなー
その時だ。聞いたことのある声が、七人の和やかな空気に割り行った。
「ルトコフコーチはCM出演に選抜された人間のうちの一人にすぎないわよ」
その声の主とは……
崇彦がPCで『スケIII』最新情報を調べた。
「……いや違う。ペア&アイスダンスの選手が使えるようになっただけで、シングルの選手はそのままだ。
何か条件を満たせばペアも組めるかも、という隠し要素があるだけだ。だから未来ちゃんはペアの相手とか
いないから、安心して」
「なぁんだ……私てっきり……組めるんだと…………」「…誰と?」「………秘密(赤面)」
ちなみにロシア支社の広報さんは、支社内でもきっての有能かつ美人と評判である。
彼女がスケV担当になったのは能力はもちろんだが、プルとヤグの対ブリザード対策としての
ロシア支社の涙ぐましい努力の一環なのは言うまでもない。
「でもさ。案外未来ちゃんとかは隠し要素でペア組んだりするかもね♪なんか少しアメリカと日本チームと
合同で撮影する事もあるっていってたし」
大輔はマティーニを飲みながら行った。LAの寿司にはマティーニがよく合う。
「……え〜ホントですかぁ〜!それ、少し期待しちゃっていいんです?」未来が瞳を輝かせた。
「たとえば、真央と未来の女の子ペアなんて、ゲームなら皆ちょっと使ってみたいと思わない?どう?」
「……………え〜〜…………そういう意味、ですかぁ………」
そういう意味じゃないんだけどな。まぁ、いいかぁ……。
まだまだ時間は余裕なので、三人は未来にお礼を言って街をぶらつくことにした。
「やだ、アンタどうしてこんなとこに」
「それはこっちの台詞だ!」自分の背中を椅子代わりにしたままのジョニ子に、Pちゃんは立ち上がって抗議した。
「痛っ! もう、アタシはDIVAなんだから、もっと紳士的に扱いなさいよ」
「人ん家の屋根突き破った奴を丁重にもてなせなんてマナー、僕は知らないね」
指差した上には、穴の空いた屋根。足下には、スケート靴や練習着、ゲーム機に教科書に…色々なものが散らばった部屋。
「え、まさかここ… アンタの家?」
「そうだよ。で、何の用だ」折角の気分を家諸共ぶち壊されたPちゃんの怒りは、相当なものである。
ロシア支社の広報さんは有能だった。そしてイーラとヤナは機転が利く人だった。
応接室にヤグディンを通した途端、予想通り室内の気温が下がった。
「なんだ、遅れてた共演者ってキミだったんだ……それなら待つ必要なんてなかったのに」
「そりゃあお前と違って、俺様がこないと話にならないからな」
さっそく吹き荒れ始めるブリザード。床は既に氷が張りかけた…が。
「…っくしゅん!あらすみません、私としたことが素敵なお二人の前で恥ずかしいわ!」
「あら…何だか寒くなってきたわね?」「どうしたのかしらね…今日は私薄着だからとても寒いわ」
わざとらしくくしゃみをする広報さんと、これまたわざとらしく寒そうにするイーラとヤナ。
それを聞いてブリザードがパタリとやんだ。さすがに女性3人を寒い目にあわせるわけにはいかない。
こういうところでは意見一致するプルとヤグだった。
「それでは今から今回の依頼についてご説明しますね」
にっこりと素敵な笑顔で笑う広報さん。
その前のソファーにはヤグ・イーラ・ヤナ・プルと座っている。ウィルス編で二人の対ブリザード対策であった美女緩衝材である。
「…すごいです主任!広報さんがブリザードを封じています!!」
応接室にお茶を運びに行った社員が慌てて報告しに来た。
「そうか!さすがはうちのNo1広報さん!!」
「やった!俺たちまだ生き残れますね!!」
涙を流して喜ぶロシア支社スケV担当チーム一同であった。
有名な観光地LAハリウッドとはいえ、ちょっとメインストリートを外れると治安の悪い所がまだある。
皆さんも観光に行く際には十分気をつけよう。というところで、大きな町には大抵いる不良青年の群れが
近づいてくるのが見えた。男達はどうやら可愛い真央に目をつけたようだ。
慌てて真央を庇う大輔と崇彦。しかし体格でかな〜り劣る二人は、奴等の眼中にはないらしい。
真央を強引に掴もうと、連中の一人が手を伸ばした時。チンピラにナメられた大輔の頭の中のスイッチが入る。
その次の瞬間。……絡んで来た不良共は全員、床に寝っころがってノビていた。
「………ふん!馬鹿にしやがって!」パンパンと両手を払いながら大輔は呟いた。
「大ちゃん、ヤバいよこれ………」お陰で危機は去ったが、一般人をノシてしまうのはどうかと…。
「…あ!こんなに人だかり…大ちゃん、たかちゃん、逃げるよ!」真央は二人の手を引いてステップを踏む。
その頃日本では練習に励む佳菜子の携帯が鳴った
「CM出演依頼なんてのが来たんだけど、まさかドッキリじゃないよな?」
「あっ、やっぱりゆづのとこにも来たんだ」電話の主は羽生だった
「ってことは加菜子のところにも?」
「うん!遥や町田君のとこにも来たらしいよ。あたしもビックリして、確認したの。何でも日本では若手編っていうバージョンを作るんだって!それに特強に指定されたあたし達が選ばれたってわけ」
「そうだったんだ〜てっきり憧れのプルシェンコさんと共演出来るのかと思ったけど、それは無理かな・・・」
「どうなんだろうね。でも若手編だから、やっぱりそういう相手になるんじゃない?あたしはロシアのポリーナ選手とまた戦いたいな!」
「そっか、そうだよな。じゃあ僕はシニアに上がる事だし、デニス・テン選手とビールマン対決希望!」
急遽決定したこの若手編CM、どのように製作されるかは未だ未定のようだ
ステップを踏もうとしたその時。真央達の前に何者かが立ちはだかった。
LA警察だった。
人だかりが出来るほどの騒ぎということもあり誰かが通報したのだろう。
そのまま連行されてしまう。
「タカちゃん、真央達どうなっちゃうの?」
「うーん、理由を話せば正当防衛ってことだしわかってもらえると思うけど」
「よくあるLA警察24時みたいなので放送されたりせえへんか?」
「あーっあれ面白いよね。真央、ついつい見ちゃう」
「俺も。放送されるんならもっとかっこいい決め技見せればよかったかな」
「大丈夫だよ、あのステップなら短くても絶対大ちゃんってわかるって」
そんな暢気な会話をしているうちにパトカーは警察署へ着いた。
一応小塚の説明のおかげで正当防衛とはわかってもらえたものの完璧に顔バレしていた。
なんとかCAPCOWの広報担当者を引受人にしてもらうことで解放してもらえたはいいが……
(困ったなあ。こんなに迷惑かけちゃって…どうやって謝ろうか…)
さっきから背を向けて歩いている無言の担当者の背中を見ながら小塚は思う。
「あのー…」
言ったと同時に担当者が振り返る。
「皆さんの行動がちょっと問題になってまして……今回のCMの件で日本チームの参加を見送ろうという話があがってまして」
(あーやっぱり……)
「すみませんでした。僕がしっかりしてないといけないのに…」
「いや、こちらも担当者を誰かひとりつけておくべきでした。
で、その参加見送りの話を回避する策を私が考えているんですが協力していただけますか?」
「策?」
このままでは他の日本チームどころか他の国にまで迷惑がかかってしまう。
イヤな予感がしないでもないが、ここは頷くしかない。
「……映画化?」「ええっ、本当ですか!」「なんでまたそんな大きな話に…」三バカ…いや三人は驚いた。
参加見送りを回避すべく、CAPCOW広報が出した答えだった。ゲームを宣伝する映画を作ろうというわけだ。
勿論大作映画というわけではないので、比較的簡単に出来るだろう。
ニッポン人の仕事っぷりは、早い!綺麗!丁寧!で世界でも有名で知られている通り。
しかもスケーター達のスケート力のお陰で、CG効果等の処理が殆ど必要なくなり、スタントマンを雇う必要も
無く、かなりのローコストで製作できる。早い!綺麗!丁寧!しかも低価格!である。
「どうです?やってみますか?勿論やりますよね?」口調は丁寧だが、なんだか腹黒くないか?広報。
「やります」………三人は力強く答えた。
広報さんによると、ロシアでは第一弾CMは「プルシェンコvsヤグディンの宿命対決」をメインに行くそうだ。
その後第2・第3弾の展開も…ということらしい。既に後続CMの出演者の選考に入ってるとか。
ギャラその他難しい話にヤナが対応するかたわら、プルはようやく渡されたβバージョンを、先ほどまでとはうって変わってご機嫌でプレイしていた。
テストプレイは全員そろってから…というのは、ブリザード対策でもあったのだ。
ちなみに現在プレイしているのは噂のペアバトルモード、選択したのは川口悠子&スミルノフ組である。
画面の中で彼等の必殺技「4回転スロウジャンプ」が対戦相手に大ダメージを与えていた。
「…というわけで、皆さんにはCM出演ならびにPRイベントでデモプレイを行って頂きたいんです」
「イベント…ですか?」広報さんにイーラが尋ねた。
「ええ、発売日にはCAPCOW各支社合同で大規模なイベントを行いますので、そこで各国スケーターの皆さんに特別仕様の機材を使って頂きます!」
「特別仕様?…これとどうちがうの?」ラウンド勝利したところで、プルが画面から目を離した。
「難しい話はわかんねぇから、手っ取り早く説明してくれよ」とヤグディン。
「そちらはあくまで家庭用なんです。当日使うものはゲームセンターやイベントで使うことを目的に作られた、新しいスタイルですよ」
実物は開発室にありますので…ということで、4人は広報さんの案内で開発室へ移動した。
「ハ〜イ♪みんなお久しぶり〜。あとはノブとミキを待つだけ?」
LA内日本支部では、駆け付けたキャシーが出迎えてくれた。クリスはテストプレイにどっぷりハマり込んでいる。
「へ〜え!これが最新作かぁ…」崇彦がテレビ画面を覗き込んだ。悪魔と天使の衣装を着たリード姉弟が、華麗な
バトルを繰り広げていた。2PのCPUはどこの国のペアのカップルだろうか。背景に寒々とした山脈が見える。
よく見ると、体力ゲージがシングルの選手に比べて倍になっているらしい。ペアは必殺技、アイスダンスは
無敵技に長けていた。
「俺達、体力はあるけど、な〜んか技?ていうか必殺!みたいなやつ、少なくないか?も少し強くなんねぇ?」
クリスはゲームをしながら喋っているので、言葉が適当だ。
大輔と真央もテストプレイを観戦する事にした。聞くと、シングルの選手達も大幅にパワーアップしているらしい。
「ルトコフコーチはCM出演に選抜された人間のうちの一人にすぎないわよ」
カフェのSWEチェコ組。誰かにそう声をかけられ、顔を上げてそちらを見た。
「メデュ…」と言いかけたADSLに、ヴィッキーがSWEロールの旗をプツッと刺して黙らせる。
「やあ、キーラじゃないか?どうしてここに…」
歩く、いや滑る『広告塔』、北欧美女と言えばまずこの人、キーラである。
「クリストファー、みんなも、お久しぶり!ヨシちゃんとサーシャはお初だったかしら」
失礼、とキーラはマヨロフの隣に腰掛けた。マヨはちょっと緊張しながら話しかけた。
「キーラにもCM出演依頼が来たんですね?…ああやっぱり。当然ですよね」
「じゃ、ラウラもですか?」向かいのヨシちゃんが身を乗り出す。
「ええ、そうよ。…私は、なんか北欧勢が集まってるみたいだから(スケパシー)、ここに跳んで来たの。
この中で出演依頼を受けた人はいるの?」
「俺と、後輩のミハルが。…あっそっか、SWE組は合宿だったろ?自宅に依頼状届いてるんじゃないか?」
一方ヴィッキー&ヨシはPCを引き寄せて、再び『スケ2』記事に見入っていた。間のADSLが迷惑そうにしている。
「お姉ちゃんと私はキャラに入ってないっていう…」
「そうだね…ねえ、この記事はスケツーでしょ?私たち、スケスリには出てるのかなあ?」
案内された開発室で広報さんに特別仕様の機材を見せられたロシアチーム一行。
見せられたのは彼等の知っているゲーム機とはまるで違っていた。
大型モニターと本体部分はあるが、コントローラーの類が見当たらない。
その代わりに突起のついたいろんなサイズのベルトらしきものと、ゴーグルのようなものが置いてある。
「何だこの変なベルトみたいなのはよ?」「これを使ってやるの?」
「画面も大型テレビだけだし…どうやるのかしら?」不思議そうな3人に広報さんが説明する。
「特別機材はこのベルトとゴーグルをつけて操作するんです…ちょっと試されますか?」
「あ、僕やってみる!」名乗りを上げたプルがさっそく試してみることに。
手や足にベルトを付けて、ゴーグルを被ってみると…目の前にリンクが広がっていた。
周囲には大勢の観客がサッカー場か闘技場のような歓声を上げている。
「ええ?これ一体どうなってるの?!」周囲の光景に驚くプル。大型モニタにはリンクの上に立つプルの姿が映っている。
「こちらが特別使用の「バーチャルリアリティモード」です。この装置をつけると体の動きがトレースされて、自分が実際にゲームの中に入ったような感覚で操作できるんですよ!」
試しにその場で軽く2Aを飛んでみると、画面の中のプルも同じ動きでジャンプした。
「今はまだ一人分しかありませんが、当日までに人数分用意しますよ!」
「…ねぇ、だったらこれひとつ欲しいなぁ?」
お願い。と必殺の上目遣いで広報さんを見つめるプルだった。
「真央なんかあんな不良連中と比べたら、凄い強いのにさ……別に守る必要なんてなかったじゃん」
あんなしょうも無いチンピラを倒してお縄になった事に、まだ納得していない様子の崇彦。
「お前さ、……女の子が自分で自分守れるっつーなら、ほっとくの?俺は嫌だねそういうの」
大輔がしれっと言う。
ん〜………だから。俺達スケーターは、半端無しに強いんだって。一般人は赤ん坊みたいなもんで…。
上手く言えない。でも先輩の言う事も、もっともかもしれない。崇彦は黙ってゲーム画面を見つめた。
ジョニ子から屋根を破壊するに至った経緯を聞き、あまりの無計画さにPちゃんの瞳孔は閉じる気配がない。
「だいたい・・・北米CMなのにまずロシアに行っちゃダメでしょう!」
「・・・しょうがないから、一緒に北米支社まで行ってあげてもいいけど」
散らかった部屋の中から荷物を引っ張り出しながら独り言のように言って顔を上げると
・・・ジョニ子は聞いていなかった。
「まぁ、パトリックでもいいか。あなたもCM出るんでしょ?私と練習に行くわよ」
「・・・え?!ちょ、ちょっ・・・どこ行っ・・・待って!」
哀れPちゃんトラブルメーk・・・ゲフンゲフン、DIVA組にめでたく合流。
いつになったらジョニ子は真面目に北米支社に出向くのか。
後から派手に登場しようと企んでるんだろうが・・・大抵トラブルになるだけだぞ!
『SWE組が合宿で留守の間に、自宅に依頼状が来ているのでは?』というトラの意見。
「そうかもしれないね…とりあえずみんな一旦帰宅して確認しよう。
その後また連絡を取り合おうよ、メールでも、またここに集まってもいいし…
じゃあ合宿お疲れ様でした!解散!」
べるるんの言葉に、いそいそと割り勘を済ませて帰り支度のSWE組。
「俺らも帰るか」ということでトラとミハルも席を立った。
…どーーーん!
「お待たせ、ちょっと長電話になっちゃって…あら、みんなは?」遅れてやって来たラウラだ。
カフェのボックス席には、キーラ一人がぽつんと頬杖をついて待っていた。
「まだ出演依頼来てるかわからないんですって。確認しに帰ったわ」
「せっかく来たのに帰っちゃったの…私たちどうする?」
「そうね、CAPCOWユーロに出向くまで、まだ日があるし…」
ゲーム観戦中の真央は、『スケIII 』サンプルのパッケージを読んでみる。
{バトルモード お馴染の対戦モード。チームバトルも加わり、通信対戦が熱い!}
{RPGモード ダンジョン探索モード。モンスターを倒し、宝箱を開けろ!}
{無双モード 体力ゲージの続く限り、無限に出てくる敵を倒しまくれ!!}
{タイムアタックモード 時間の限り、お題の物を破壊せよ!}
{トレーニングモード 君にぴったりの師匠の元で、戦いのスキルを磨こう!遠慮はいらないぞ!}
「へえぇ……なんだかよくわからないけど、楽しそう…。私にも出来るかな」
ADSLは気をはやらせながら自宅に急いだ。
(…ってか何で師匠がCMに?スケスリにも出てんのかな?師匠が出てんなら俺も出てるはず。
て事は…まさかCMで鬼組手の再現をやらされんのか!?…まあ資金のためだ、何だってやるぜ)
べるるんも自宅に向かいながら考えていた。
(僕はスケスリに出ているんだろうか…アドリアンやサーシャは出ていそうだけど…
そういえば僕はスケツーでは『吸血鬼』とかいう設定だったっけ?)
はたしてCM出演依頼状は来ているのか?
「あ、浅田さん。まだ正式ではありませんが、こういう設定もあります。チームジャパンはこれですね」
広報さんが仮印刷された説明書の紙を、真央に持ってきてくれた。
{RPGモード}:戦闘タイプ(全員に共通するものはのぞく)
大輔:戦士&騎士系
崇彦:賢者&レンジャー系
信成:侍&召喚士系
美姫:モンク&魔術師系
真央:???&???
キャシー&クリス:吟遊詩人&ギャンブラー系
「あれ。なんで私だけ???になってるの?まだ決まってないのかな?」不思議に思いつつも紙を崇彦に回した。
その頃サンクトペテルブルグのとあるリンク。
「ユウコ!これを見てくれ!!」
何やら紙を持って駆け込んできたのは、アレクサンドル・スミルノフである。
「どうしたのサーシャ?」リンクに先に降りていた悠子が訝しげに尋ねた。
「CAPCOWから手紙だよ!スケVのPR活動の依頼だって!!」
「あら?それならプルシェンコさん達が担当じゃないの?」
「それが今度はペアバトルが入るから、第2弾CMで出演して欲しいらしいよ。新作発表イベントは全員で参加して欲しいって!」
新作がペアバトルモードが売りとなれば、ロシア支社としては現ヨーロッパチャンプの二人にも注目するのは当然の動きである。
ひとまず担当者の話を聞く為に、二人はロシア支社に向かう準備を始めた。
アメリカ某所。 なが〜〜〜〜いアイスショー行脚を終え、アボットはやっと自宅に帰りついた。
「久しぶりだよマイホーム! あれ、なんか郵便が来てるな・・・」
もちろんその郵便はCAPCOW北米支社からのPR活動依頼であった。
全米チャンピオンの僕がアメリカ代表ってこと?ヒャッホー!! と胸踊るアボット。
「えーと、新作にはペアバトルが入るのか・・・メリル(やチャーリー)も呼ばれてるのかな♪
しばらくオフタイムだしユカとも離れて羽根を伸ばせそうだな :) 」
・・あれ?メールだ。
『to ジェレミー
長旅お疲れ様^^ もう自宅に戻った頃かしら^^
ところでジェレミーのところにはCAPCOWから何か来てる?
私のところにはなんか新しいゲームとやらのCMのために北米支社に来て下さいってお手紙が来てるんだけど^^
from ユカ ^^ 』
「・・・・・・・ノオオオオオオオ!!」
せっかくのオフタイムワクワク計画が一瞬で終わった哀れな弟子の叫びが静かな街中に響き渡るのであった。
ジョアニーにあっさり電話を切られてランビはちょびっとだけショックを受けていた。
(用件のみであっさり終わっちゃうなんて・・もっと話したいことがいっぱいあったのにな。
お部屋にお邪魔したり他にも女の子をいっぱい呼んだり、このゲーム難しいねって言いながらみんなでアハハウフフする予定だったのに・・・)
女の子リストを見ながらため息をつく。リストアップして電話をかける前は
あんなに心が弾んでたのに、いざ全員にかけ終わった後に残ったのは寂しさだけだった。
(また初めからかけ直そうかな。即留守の子もいたからその子達を先にしようかな。
でもしつこいって嫌われたらイヤだしな〜。そういえばお腹すいたな〜)
時計を見る。そこで初めて20時間以上電話をし続けていたのに気付く。
もう遊んでる時間はなかった。
そろそろ欧州支社に行く準備をしなければならない・・・ひとりで・・・・・・
真央はパッケージの説明書を開いて読んでいた。
{今回追加された新たなバトルモード!}
チームバトルモード:シングル選手4〜6人で「チーム」を作り、一度に1〜2人づつ戦うモード。選手入れ替えは
体力ゲージがあるかぎり自由に選択出来る。チーム名は自由に付ける事ができる。付けないと自動的に名前が付く。
「超必殺技」時には、生き残っている選手全員で行うので、人数は沢山残っているにこしたことはない。
タッグバトルモード:チームバトルの一つで、二人のシングル選手がタッグを組み戦うモード。
勿論ペアとは別物。(
>>29の未来はデモでこの画面を見て、ペアと勘違いしたらしい。)
タッグ名は自由に付けられるが、付けなければ自動的に付く。組み合わせによって出る必殺技も色々。
「タッグ名……?それじゃ、たとえば私と未来ちゃんとかだったら何になるんだろ……?」
プルのおねだりに対してヤナ姐さんと広報さんによる交渉の結果、イベント後に機材一式譲り受ける事で話がまとまった。
ひとまずこれで宇宙人もおとなしく依頼をこなしてくれるはずだ。
「そういえばこれって、世界各国で宣伝するんだよね?…他所は誰がやるんだろう?」
「さあ…私も他のところは知らないわね。」
「俺も知らなぇな…他所には興味ないしな」
残念ながらイーラもヤグディンも知らないようだ。
「ジェーニャ、気になるなら誰かに連絡を取ってみたら?」
「そうだなぁ…ちょっと聞いてみるよ。」
プルは携帯を取り出すと、早速どこかへと電話をかけ始めた。
何がなんだかわからないままジョニーに引きずられるPちゃん。
過去スレでもあまりDIVAと絡んだことがないからちょっとドキドキしている。
無理矢理な態勢で引きずられてるから自然と息も上がってきた。きつい。ちょっと待て。歩かせろ。
「ジョ…ハァハァ……ジョニー一。とりあえず行き先くらい……言って…」
「え?うっさいわね。ヤダ、あんたなんでそんなに顔が赤いのよ。息も荒いし。
ははーん、さてはアタシのこと実は好きだったのね」
「ちっ違うっ」
Pちゃんの瞳孔が更に開いてその奥が光った。
広報担当の映画の説明をぼんやり聞きながら崇彦は考えていた。
「(しかっし、警察沙汰になった人間をCMから下ろすのは分るけどその代替えが映画出演って何なんだろ?)」
お縄になったこともそうだが、その後のゲーム会社の動きもなんだが腑に落ちないというか・・
そんな時、崇彦の携帯が鳴った。
「(この着信は!)ちょっと失礼しま〜す。」
そういって廊下に出て行った。
「プルシェンコさん?お久しぶりです。」
「やあ、元気だったかい?早速だけどスケ3のCMの以来来たかい。」
「ええ、来ましたよ。」
二人で自分達のCMの内容の話でしばらく盛り上がる。
「へぇ〜、ロシアはヴァーチャル体験できるんだぁ〜すごいですね〜。」
「そっちこそCMが映画に代わるなってすごいじゃない!怪我の功名ってやつかい?」
「ちょっと意味違うけど・・・」苦笑する崇彦。
「・・・なんだったら、一緒にやらないかい?」
「え?・・・まさか・・・」
「そう、ヴァーチャル機器で映画をやっちゃうの!」
「それは!・・・・大丈夫ですか?僕達が勝手にそんなこと。」
「僕達フィギュアスケーターが動けばその流れは誰にも止められない。君もよく知ってるでしょ?」
「う〜ん、そうですけど・・・・でもやってみる価値はあるかも。」
「じゃあ、ロシアの方は僕で何とかするから、撮影の日取りが決まったら教えてくれる?」
「分りました。でも日程が間に合わなかったら?」
「大丈夫。毛皮の貴婦人ががんばってくれるよ。」
「万全ですね。」
「そういうこと。それじゃまた連絡するよ!」
「分りました、よろしくで〜す!」
さすが27歳児、やることが違う
そう思いながら再び会議に戻る崇彦であった。
映画会議も順調に進んでいた。ロシアチームとのゲーム内での合同撮影もあっさりと予定に入った。
「そうと決まったら、今のうちに皆さんゲームに慣れといてくださいね♪」やけに楽しそうな日本支部広報。
なんか怪しい、とは思ったものの、崇彦はプル達との約束が楽しみだったので、秘密にしておくことにした。
早速テストプレイで、クリスと対戦してみることにした大輔。あまり考える事も無く、適当に自分を選択する。
案の定圧倒的にゲームスキルのあるクリスに一方的にやられ始めた。
「……コレちょっと俺には難しいわ……」大輔は自分が暴れた方が手っ取り早いかもしれない。
「タカ、ちょっとやってみ?」キャラクター選択画面で崇彦を選び、崇彦にコントローラーを手渡す。
「え?俺が俺使うの?」「うん。なんで?」「ええ〜〜っ……なんだか恥ずかしいや、照れるよ……」
結局崇彦は、無難に大輔キャラのままで対戦をすることにした。センスがあるのか操作にはあっという間に慣れ、
クリス操作のリード姉弟を圧倒するようになってきた。焦りだすクリス。
崇彦が、日本支部広報から教えてもらった特殊コマンド入力に成功した瞬間。ゲームキャラ・大輔の3Fが
ヒットし、ゲームキャラ・リード姉弟が分離した。画面には大きく数字で『10』からカウントダウンが始まる。
「え〜〜〜〜〜っこ、これどーなってんの!!ちょっと!キャシーが!ダウンしたまま起きないんだけど!
ていうか、ダイスケ!ダウンした俺に追い打ち攻撃しまくり!マジ!止めて!止めて!」
観戦している大輔は、なんだか自分がクリスを虐めているようでちょっと悪いような気がしてきた。
カウント『0』。……"2P WIN" 体力ゲージがまだ少し残っているのにもかかわらず、リード姉弟は負けた。
「ノォーーーー!おかしいよこれ!ちょっと!どうなってるんだよ〜〜〜〜」
「これがアイスダンサーゆえの『負け方』の一つです。他にも、『靴ひもが解ける』『ブレードが折れる』等、
普通にはない条件下で負ける可能性も今回のゲーム要素に含めました。」
丁寧に説明してくれる日本支部広報だが、クリスの頭の中はブスブスとくすぶったままだった。
しかしジョニ子はいったいこれからどこへ行く気なのか?
それが知りたいPちゃんは思い切って聞いてみた。
「どこへ行くかって?そうね〜・・・武道ができるコーチがいいから、SWEかしら?」
「は?SWE?」
「たしか、アドリアンのコーチが武道に嗜みがあるって小耳にはさんだの。修行にはもってこいじゃない?」
「そ、そうかな〜」
「そういう訳だから出発〜!!」
「うわ〜!!ジョニー、僕わまだ・・わあああああ!!!!」
Pちゃんの意向を完全無視してジョニ子たちはSWEに跳んだ。
ジョニ子「そういえばパトリック、アンタツンデレだったわね!」
P「ツンデレ!?何言って」
ジョニ子「アタシのこと好きなら素直になりなさいよね!薔薇冠も欲しかったんでしょ?今度作ってあげるわ♪」
P「話を勝手に進めるなよ!」
どこまでも押されっぱなしのPちゃん。自分だけではジョニ子を止められない。
P「練習行くんだろ、跳びますよ!」
言うが早いかPちゃんは練習中の4Tを跳んだ。
誰か俺を助けてくれ!
「ど〜してこんな所に飛ぶのよ〜〜……まじありえない!」「…………ごめん、美姫ちゃん…ううっ」
美姫が怒るのも無理はない。此処はアリゾナ州、グランドキャニオンのど真ん中。
信成の、カナダからのジャンプ自爆である。アメリカには間違いないが、LAからは遠く離れていた。
「あたしの!あたしのLA行きを!ハリウッド女優への道を……どうして貴方は、閉ざそうとするの?!」
何時の間にか女優になる為の旅になっちゃってるし。
信成は、自分勝手に行き先を決めたがる、自分のなかにいるご先祖様を説得しようと必死になっていた。
「まことに良い眺めではないか!ははは!」「………ふざけないでください!僕達はLAに向かってるんですよ!」
「のぶ君?のぶ君本当はふざけてるんでしょう?真面目にやってくれないと困るのよ!」
一瞬ギクリとして美姫の方に振り返った信成は、今にも…………な状態寸前だった。
(や、やばい!あたし今凄くやばい状態?!どうしようどうしよう)
焦った美姫は直ぐ覚悟を決めた。なにしろ此処は大峡谷のど真ん中である…逃げる場所など何処にもなかった。
とりあえず何時自分が気絶しても良いように、寝袋を足下に敷き詰める。そして力一杯耳を塞いだ。
凄まじい大音響が峡谷中に響き渡り、浸食した地層がボロボロ砕け、崩れ始めた。
信成の、溜まりに溜まった熱い感情が、堰を切って一挙に溢れ出す。…そう、皆さんご存知「大号泣」である。
(いやああぁああぁああぁああ………)
声にならない誰かへのSOSをスケパシーに託し、美姫は静かにその場に崩れ落ちた。
一方ロシア支社。
「実はゲーム発売に先駆けて製菓会社とタイアップ商品を発売するんです」
広報がプル達に商品を見せた。
「『フィギュアスケーターポテトチップ』?」
「へえ、オマケにカードがついてるのか」
ヤグが試しに一袋開けると、金色に輝くWinter衣装の自分のカードが出てきた。
金・銀・銅のメタリックカードは勿論レアカードだ!
ちなみに当たりカードが入っていたら特製カードファイルが貰えるぞ!
不安定な態勢のまま飛んだ4T。無事着地はしたがここはスウェーデンだろうか。怪しい。
辺りは木々に覆われ自然いっぱいだ。
「スケパシーを使ってもいいけど…
『未知の場所に辿り着き新たな困難に立ち向かう2人』なんてのもドラマチックよね。さ、行くわよ」
「ど、どこへ?」
さっきから同じセリフばかり言ってないか?俺…
「なに言ってんのよ、人がいる所に行かなきゃ新たな困難も生まれないでしょ」
「いやいや困難とかいらないし、それにCMのこともあるから戻らないと」
DIVAに振り回されるのに慣れてないPちゃんはどうしていいかわからなかった。
そんな2人の耳にカウベルの音が届いた。
カランカランカランカラン…
「アハン、ありがとうみんな、僕のために…」
一人さびしくCAPCOW欧州支社に旅立つランビを、カウベル隊が見送りに来てくれた。
だが見送りはここまでだ。ここからランビは1人で行かなければならない。
「何あの音?ちょっと…ステファンじゃない!?」
ジョニ子が走って来た。Pちゃんがあわてて後を付いて来る。
「ジョニー!それにパトリック!ねえちょっと聞いて欲しいんだ、僕ね…」
「アンタがいるってことはここはスイスね?パトリック!違うじゃない!」
ランビを無視して怒るジョニ子、Pちゃんはとにかくなんとかしなきゃ、と気を奮い立たせた。
「こんな事してる場合じゃないだろ!こんな、こんな…」
だが後の言葉が続かない。どうしたらいいんだ俺。
「ねえ2人とも行かないで聞いてよ、僕『スケV』CM出る事になって、これから欧州支社に行くんだ」
構って欲しくて話しかけるランビに、ジョニ子が振り向いた。
「CMですって!どういうことよ!」
ここではじめて出演依頼が自分以外にもきていた事に気づいたジョニ子。
慌ててランビに問いただす。
「だから僕は、スケ3の新作CM撮りのために欧州支社があるパリに行くんだよ!」
「欧州・・・新作・・・・」
考えるジョニ子。それをさらに瞳孔を開いて見つめるPちゃん。
「いいわ!一緒に行きましょう!」
「ほんと!」「まじ!」
「だって!あたし以外にも手紙が来たってことは、他にも受け取ったスケーターがいる!
つまり、CMは複数製作されるということ!こうなったらすべてのCM制覇してやる!」
ジョニ子の乙女魂に火がついた!ランビとPちゃんをお供にジョニ子一行はパリを目指して跳んだのであった
パリのCAPCOW欧州支社ではジュベールがゲームのテストプレイをしながら待機していた。
彼が遊んでいるのは無双モード。使用キャラは自分である。
得意の大技、4回転で敵をバッサバッサとなぎ倒していく快感がたまらない!
…それにしても他の選手は招待されていないのだろうか?一人で遊んでいるのもなんだか寂しくなってきた。
テストプレイにも飽きてきた日本チーム。その空気をすかさず察知する広報担当者。
「どうぞ、こちらにお菓子を準備しております」
通された会議室には山のようなお菓子が積まれていた。
「わーい。これ全部もらっていいんですか?」
「もちろんです。ご要望どおりゲリコお菓子1年分です」
「要望?」
そんなのは誰も聞いた覚えがないけど・・・?
「スケVの開発に一部携わっていただいた某スケーター様から承っております。
皆様のギャラは各国の有名ブランドお菓子1年分で結構です、と」
広報担当者はそう言い残して会議室を後にした。
残された一同の頭に浮かぶのはお馴染みリュックを背負った彼の姿・・・
一度はテストプレイをやめてみたジュベールだったが
一人で暇なので、寂しさとも戦いながらやっぱり再び遊んでみる。
「おっ危ねっ。今のスゲエかっこよかったなー。この技の切れ味すごくね?4回転気持ちいー。」
自然と独り言が多くなるのがなおさら寂しい。
最後の決めポーズをしている画面の中の自分と共に写った写メをママンに送信してみる。
「次はねえこれと、これと…」
フィギュアスケーターポテトチップのおまけカードで遊んでいるのは
27歳児プルシェンコ。
広報の美人お姉さんも笑顔で一緒に遊んでいるが
よく見るとこめかみには青筋がうっすら浮かんでいた。
おまけカードで遊び始めて早数時間。大人のお姉さんには厳しいかもしれない。
(仕事だから……頑張れ私)
「皆様、おいでやす。よう来てくれはりましたなぁ」無事欧州支社に到着したDIVA一行は、現地スタッフに温かく迎えられた。
「ハイ、どうぞよろしく。もう誰か来てるのかしら?」ジョニ子は辺りを見回してみたが、ロビーにそれらしき人影はない。
「只今お越しなんは、仏国のジュベールはんと…」Pちゃんの瞼がぴく、と動いた。
「じょ、女子は? 女の子はっ?」ランビが食い付いたが、スタッフはやや困った顔で首を振った。そのまま肩を落とすランビ。
「女子の皆さんにも声はかけてるんですけど、どうにも食い付きが悪うてですね。…あれ、お二人はん」
ここでようやく、スタッフは欧州の血を引くアメリカのDIVAと、目を見開く香港系カナダ人に気付いたようであった。
「アメリカのウィアーはん、ですね? …良かったら一つ、頼まれて欲しいことがありましてん」
「え、アタシに?」
ジェーニャが遊んでいる傍らでは、カードを抜いたポテトチップの袋が山になっていたが、
27歳児が手を出してしまわないように、社員さんにこっそり処理をお願いするヤナ姐さん。
オフシーズンの体重増加はスケーターの天敵だ。
「…あれ?このカードなんだろ?」
新たな袋をあけると、キラキラ光るカードが出てきた。ちなみに図柄は「タンゴアモーレ衣装のプルシェンコ」である。
「まあ!それは1万分の1の確立で入っている『プラチナカード』ですよ!私も実物は初めて見ました!」
驚きの表情を浮かべる広報さん。これも何か特殊なカードなのかな?
美姫の悲鳴のスケパシーで駆け付けてくれた、黒くて長(ryな人のお陰で、信成達はなんとかLAに到着した。
「やっほ〜♪あら、未来ちゃん!」「うえるかむですぅ!ミキ、ノブ、エヴァン!」
「…………アメリカ支部もLAで打ち合わせ?」「そうみたいなんですけど…肝心のジョニーさんがまだ
到着してなくってぇ……ジェレミーとユカさんも」
信成はアメリカ支部のCM内容を読んだ。 ジョニーVSライサチェック 宿命のライバル対決 とある。
「…………主人公がまだ来ていないわけやね。」
「ですぅ。なんか携帯も繋がらないし、スケパシーもなんだか…」まさかPチャンとの騒動で忙しいとは思うまい。
スケパシーが届かない?よっぽど混線しているのかな……。僕のでも駄目かな?
差し入れのスシで腹を満たした信成達は、未来やアメリカ支部の人達と共に日本支部へと出向いてみる。
グランドキャニオンで美姫が悲鳴スケパシーを飛ばした少し後の話・・・
「ミキ!ノブ!どうしてこんなところに?!」
美姫「キャーーー!黒くてでっかい何かがー!」
信成「うわーーー!黒くて長い首無し人間ー!」
「・・・俺だよ、ライサチェックだよ・・・」
二人「ごめん!顔の色がリアルにグランドキャニオンに同化してて気づかなかった!」
「エヴァンはどうしてグランドキャニオンにいたの?」
よくよく話を聞いてみたらスケパシーが届いたのではなく
安藤の叫び声を耳にしたから飛んできたらしい。
「いや…グランドキャニオンのどこかに1本大きな木が生えているらしくて…
6月に実をつけるらしいんだが…それを食べると……」
「食べると?」
続きを言わないライサを下からのぞき込む。のぞき込んでは見たけれど
あまりに高い位置に顔があり、表情はわからない。
「凶暴な動物がおとなしくなるらしいって聞いて…」
「へー、そんなのあるんだ。エヴァン家のペットって凶暴なのね。たーいへん」
COPCOW欧州支社からジョニ子への依頼内容とは?
「実は見てのとおり、出演を快諾してくれるスケーターに偏りがございまして、
ジョニーさんの力お借りしたいのですが・・・」
「あら?どういうことかしら。話が見えないんだけど・・・」
欧州担当者によると、ロシアや日本のような単独の支社と違い多数の国を担当する欧州は、
依頼するスケーターの選定から多忙を極め、いざ出演を快諾した選手がいても、
互いにスケジュールがあわず結局出演を断られるケースが後を絶たないという。
「我々としては最悪CM製作断念という事態を避けるべく、まだ返事待ちのスケーターたちを纏め上げるべく、
その要となるプロデューサーとして、ぜひとも参加していただきたいのです。」
「う〜ん、良いんだか悪いんだか・・・」
悩むジョニ子であったが
「わかったわ!乙女のあたしに任せて頂戴!」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
「ただし、私にも北米での出演依頼があるの。そこの影響が出ないようにして・・
ううん、むしろプラスになるようにしてほしいのだけど?いかが?」
「できる限りのことはさせて頂きます。」
「ありがとう。商談成立ね(ハート」
ジョニ子たちとの商談を成立させた欧州担当者。
「ふう、これで何とかCMコンペ辞退は避けられそうだ。」
「今回はなんとしてのコンペで勝ち抜き欧州版CMを全世界にオンエアーさせる!」
担当者さんも大変な戦いをしているようです。がんばれ!
出現率1万分の1のプラチナカードは、数百種類近くあるおまけカードの中でも
たった2枚しかないレア中のレアカードだ。
1枚目はこのタンゴアモーレ(薔薇衣装)のプルのカード。(通常の衣装は銀カードに収録)
もう1枚の絵柄は公表されていないが、ネット上でまことしやかに語られる噂話では
真央(アクセルマスター仕様)ではないかという説が有力だ。
2枚のカードを揃えると、CAPCOWより秘密のプレゼントが貰えるらしい。
ヤナの命によりプルの目にとまらぬ場所に集められている開封されたポテトチップス。
相変わらずプルはおまけカードに夢中のままである。ポテトチップスは鮮度が命。
お菓子の処理に困ったらあの人だ。ドラえもんのポケットのようなお菓子用胃袋を持つ彼に連絡だ。
(湿気った時はキッチンペーパーを敷いてレンジでチンするといいよ!
砕いてご飯にかけてもおいしいよ!)
ジョニ子が欧州支社の方と話している間に、ランビとPちゃんはジュベがいる部屋へ通されていた。
「あ!ブライやんだ!それがフィギュアスケーターってゲームなんやね!
僕もやりたーい!」
さっそくゲームに食い付くランビ。
「おぉ、ステファンにPちゃんやないか。みんなで順番に対戦でもやろか。
誰が一番(ゲームが)強いか、勝負や!」
「二人には負けへんで!マッターホルントルネードでやっつけたる!」
「しょ、しょうがないなぁ…僕はゲームなんて子供っぽいの興味ないけど(嘘)付き合ってあげるよ。
あーゲームなんて全然やったことなーい(大嘘。勝ちたい。超勝ちたい)」
まずは…ブライやんVSステファンだ!!
その頃バトルは欧州支社へ出向くべくリュックにお菓子を詰め込んでいた
「全部入りきらないよ〜」
悪魔「入りきらない分は今食べちゃえばいいよ!」
天使「入りきらない分は置いていこう。帰ってきたらまた食べればいいじゃないか」
正反対の気持ちに引き裂かれそうになり、懊悩するバトル。
持ちきれないお菓子の処遇に激しく悩むバトル。
その体内でフル稼働しているお菓子センサーが新たな反応を捉えたぞ!
どこかの部屋の中に大量に積まれたポテトチップス。
さながらポテトチップのピラミッドだ。
そしてそこから発する香ばしい香り……!!
思わず唾を飲み込んでしまう。
本能に導かれるように、気がつけばポテトチップスの山に向かって飛んでいた。
ジャンプ中のバトルはどこからか漂ってくる甘い香りに気づいた。
嗅いだことのない甘い香りに誘われて無意識に方向転換。
着地した先はグランドキャニオンだった。
目の前に広がるのはピンク色の謎の実。
チョコレートにも似たなんとも言えない香りに全身が包まれる。
「メインの前にデザートもたまにはいいよね」
誰とはなしに呟き謎の実をポケットに入れながら早速口に放り込んだ。
「ふーん、『タッグバトル』『チームバトル』『RPG』…色々あるのねぇ」
ジョニ子はカウチにふかふかと身を沈めた。
欧州担当者に渡された資料とサンプルパッケージが、周囲に散乱している。
「ねえ、『バトルロワイヤル』モードはないの!?素敵じゃない?」
ジョニ子の脳内には、すでにイメージ映像が出来上がっていた。
必殺技を繰り出し乱舞する数々のスケーターズの中心で、薔薇をまき散らすアタシ…。
「さっすがジョニーはん!け、検討中でおます、、、他にCMアイデアなどあれば聞かせとくなはれ」
担当者のもみ手が入る。何しろ欧州CMはジョニ子のやる気にかかっている、いや賭けている。
ジョニ子の言う『バトルロワイヤルモード』…
>>51の『無双モード』がそれに該当するのではないかと思われるが
突っ込み要員がその場に誰もいなかったようだ。
というかこのスケV、モードががかなり多い。いったいディスク何枚組で発売されるのだろうか。
「あははん。どうせ僕なんて森の中を永遠にひとりぼっちで彷徨うシマウマなのさ。
森から抜け出せない羽根のないシマウマさ。あはん」
ランビは落ち込んでいた。部屋の隅の壁によりかかり宙を見ていた。
ジュベと戦ったスケU。やり方もわからず臨んだスケU。
コマンドも知らず技をどうやって出すのか防御はどうすればいいのかわからないまま完敗したのだ。
途中でジュベやPちゃんに遊び方を質問してみようとしたまさにその時
担当のお姉さんがファン○ジュース10本を差し入れに持ってきたのが運の尽き。
女の子の前で情けない姿は見せなくないものさ、あはん。な気持ちが災いしてしまった。
「シマウマに羽根なんてないやん」
「いつものポエムや。気にするな、Pやん。
それより俺と勝負やで!」
あれからさらにPちゃんにも負けたランビ。
これでランビは二敗、残る二人は一勝ずつ。
最後はジュベVSPちゃんで頂上決戦である。
「俺が強いってことを証明したるで!」
「四回転がなくても勝てるってことわからせたるわ!」
ちなみに二人のセリフはあくまでゲームでの話である。
実はジョニ子の言う『バトルロワイヤル』モードはまんま深作作品の事だったが
欧州担当者は知る由も無かった
その頃アボットはコーチのユカとランチを楽しんでいた。
ふとフォークを見つめ、不安な気持ちになる。
「・・・このフォーク1本で殺し合いに参加しなくちゃいけない、って言われたら嫌だなあ」
「その時は私の持ってるスプーンも貸してあげるから、それで窮地を脱すればいいわ」
なんか違う気もするがまあいいか、とアボットは不安を振り払って食事を続けた。
プルがおまけカードで遊ぶのにようやく飽きてきた頃、悠子とスミルノフがロシア支社にやってきた。
早速テストプレイを開始する川スミ組。その様子を後ろから眺めるプル。
「このペアバトルって、シングル選手もできるんだよね?僕もできるかなぁ」
「隠し条件がいるって聞いただろ?…そもそもおまえじゃ無理だしな」
「なんで?隠し条件出せばいいんだろ?僕だってできるよ!」
「…ペアって事は相手をリフトするんだぞ?たしか前にヤナを落っことしたよな?」
筋肉隆々なスミルノフと対照的なプルを見比べて、ニヤリとするヤグ先輩。
「あの時は衣装も入れると重かったのよ」「CMで一緒に滑った時は大丈夫だったわよ?」
ブリザードを警戒してヤナとイーラがすかさずフォローに入った。
プルは痛いところをつかれて悔しそうだ。やはりペアバトルは無理なのか?
バトルが口にした謎の実はイチゴ味だった。怪しい食物食うなよ。
というツッコミはおいといて、食べると力が湧いてくる。
気がつくとバトルは華麗な4Tを跳んでいた。
ブリザードを阻止すべく広報のお姉さんも動いた。
「大丈夫です!実はプルシェンコさんも使えるんですよ!」
そう、一見ペアバトルは不向きに思えるが、実は意外性を狙って使用可能なのだ!
「本当は秘密なんですけど、特別に……」広報さんはプルの耳元で隠し条件の出し方を囁いた。
「そうだったんだぁ!ありがと。早速やってみるね〜」
プルは隠し条件をクリアすべく、テストプレイにとりかかった。
「大丈夫か?ゲームとはいえ、あの細っちょろい腕じゃ無理だろ?」
「もちろんその点は対策済みです。実際に見て頂ければ解りますよ」
訝しそうなヤグディンに広報さんは自身満々に答える。
いったいどんな対策がされているのか気になるところだ。
日本支部についた未来、ライサ、安藤、織田。
到着するや否やライサは担当にCMの撮影日程を細かく聞いている。
「そう言われましてもまだ詳細はまったく決定しておりませんので」
「早くしてくれないと困るんだって。6月にしかあれは実をつけないんだよ。
俺の人生がかかってるんだ!」
顔を真っ赤にして問いつめているのだが、なにぶん黒いもので担当者にはその怒りが伝わっていない。
他の支社と細かく話を詰めてきます、と言い残してその場を去る担当者。
「エヴァン、まだ言ってるの?どれだけ凶暴なペット飼ってんのよ」
「ハクション!ハークション!!っ今畜生・・・誰か悪い噂してやがるな?」
リュ−キンのレーダーが反応した
ぐわっしゃ〜〜んっ!!!!!何かがロシア支社に飛び込んできた。
「うわっ?!何これ?!」「あっちの部屋の方で音がしたぞ!!」
慌てて音のしたほうへ向かうロシアチーム一行。問題の場所の扉を開けてみると・・・・・・
「やあ、なんか変わった味で美味しいねこのチップス・・・むしゃむしゃ」
挨拶もそこそこに、ポテトチップスの山を超高速で胃袋に納めるバトルがいた。
そのスピードと比例して、みるみるうちに小さくなっていくポテトチップスの山。
ちなみに味のラインナップは塩味の他に、ボルシチ味・ビーフストロガノフ味・ピロシキ味となっている
担当者との軽い打ち合わせを終えゲーム中の3人がいる部屋に入ったジョニー。
ドアを開けた瞬間、なんとも言えない熱気と男くさい香りが漂う。
ジュベとPちゃんがコントローラーを握りしめながら、汗だくでスピンやジャンプに勤しんでいたのだ。
蹴りの付かない勝負を続けるうちに熱中しすぎてリアルで画面の中の自分たちと同じ動きをしているようだ。
リアルの2人は実際には戦わずその場で動いてるだけであるが画面の中では息を抜けない戦いが続いている。
コントローラーはもちろん6mの延長ケーブルつきで激しい動きでも気にせず遊べる仕様で安心だ。
「欧州の出演者は今のところステフとブライアンか。
後トマシュとアドリアン当たりがいいところよね。
あ、そうだ!アドリアンのコーチのルトコフさんには師匠役として出てもらおう!」
ジョニ子の中でどんどん企画が膨らんでいく。
「ほかに出演希望者がいた場合にはいかがしますか?」
担当者の問いにジョニ子はウィンクをする。
「あまり役者を増やすと出番が減るから・・・・・
そうね〜、撮影前にオーディションがてらにバトルロイヤルやらない?」
「は?」
「つまり、最後までリンクに残った人間が主役。リンクに長く残っていた順にCMのおいしい役どころを
ゲットできるという風にするの!」
「なるほど・・・」
「もちろん、撮影前に怪我されちゃたまらないからテストプレイもかねて勝負は新作ゲームでね!」
「素敵なアイデアですね。では早速ゲームの準備を!『無双モード』を使えば短時間ですむ!」
担当者さんは早速オーディションの準備に取り掛かった。
「ジェフ、こんだけ全部食べちゃって大丈夫?」
速攻でポテトチップスの山を平らげて満足げなジェフにプルが尋ねた。
「全然大丈夫だよ!ポテトチップの山と香りでかえって食欲出たぐらいだし」
「…おまえの菓子用の胃袋は鋼鉄製かよ?」
呆れ顔のヤグ。その指摘はあながち間違ってないかも知れない。
「そういえばここに来る途中で食べた実もおいしかったなぁ…食べたら急に力が出てきて、一気にクワドで飛んで来れたよ」
「ええ?それ本当?!…ねぇ、もうちょっと詳しく聞かせてよ!」
プルにせがまれて、バトルは先ほどの謎の実の話を聞かせた。
「…チョコの香りでイチゴ味で、食べると力が出る実って、ほんとにあるの?」
「本当だって!ほらここに現物が…あれ?おかしいな?」
ポケットを探るが入れてあった実がない。慌ててあちこちを探すバトルだった。
ぽこんっ。何かがジョニーの頭にぶつかった。「いったあ、ちょっと何よ!」
しかし皆首をふる。床に落ちているのは謎の実。バトルが華麗な4Tを決めるうちに落とした実が
色々回って慣性の法則も無視し硝子窓をつき破ってここまでその実がたどりついたことは誰も知らない。
「いきなりでアレだけど、うちに帰るわ。お買い物に行きたくなったんだもの」
オキニの白タンクトップとピンク短パンに着替え、青いバレンシアガバッグを手に
ジョニ子は颯爽と部屋を出る。
「さっき頭にぶつかったこれ、果物かしら。チェリー?」
謎の実をポケットにねじこんで、それっきり忘れた。
家に帰ろうとしたはいいがクワドにいまいち自信がないジョニ子はパリの街で買い物をすることにした。
途中パパラッチに写真を撮られてしまったが
メイクのノリと撮られた角度が不満だったために撮り直しを要求。
シャンゼリゼ通りでジョニ子の写真撮影会が始まった。
先週末に研究した美しいポージングの成果をいかんなく発揮出来てご満悦のジョニ子
ジョニ子が悦に入ってる頃、黒くて長い人も背筋がゾクッとして、急遽恋人に会いに行く事に決定。
「理不尽にボコられそうな気がする。おみやげは何にしようかな」
恋をしているのか、恐怖刺激が中毒になっているのか。両方なのか。
ライサの頭の上にまたぽこっ。
これはなぜかうっかり4Tを決めてしまったバトルが落とした例の実が。
「・・・これは!」
謎の実を丁寧にティッシュで拭い、なぜか持っていたジップロックに入れる。
ポケットにねじこんで忘れているどこぞのライバルとは、こんなところでも対照的なのだった。
謎の実を探すバトルだが、一向に出てくる気配が無い。途中でどこかに落としたか?!
…心なしかみんなの視線が突き刺さるような気がする。徐々に焦りだすバトル。
まずい!このままじゃネタ認定されてしまう!
「き、きっと心が清くてお菓子の精に愛されてる人間にしか見えないんだよ」
視線が痛い、痛い
「ほ、本当だよ、苺グミにチョココーティングされたような、サクランボ入りのパイと、プリンとパイナップルと、
ローストターキー風味も少々、ミルクキャンデーと、バターをぬったトーストパンの・・・」
取りあえずバトルは思いつくままどんな味だったかを語った。
もうどんな風味か全く想像がつかない。
プルとヤグは顔を見合わせヤレヤレと頭を振った。
バトルは込み上げてくるもどかしさを、ぐっとかみしめて
「パルナス パルナス モスクワの味〜」と鼻歌を歌いながら
助走も無しにクワドで跳んでいった。
「モスクワの味さがしてみるよ〜」
部屋の中にはその声が残っていた。
ジョニ子のDIVAぷりにぽかーんとなりつつ残された欧州担当者。
「相変わらずのDIVAやなーアハンアハン」とさして動じないランビにジュベが
「あれでクワドが飛べれば世界チャンプなんやけどなー」
どこぞの誰かに似たセリフを吐く。勿論俺がナンバーryと付け加えて。
「たかがクワド、でもされどクワド……そう簡単に跳べないから
皆苦しいんじゃないか。それでもクワド跳べというあんたと俺じゃworldの順位は
やっぱり逆になるべきだった」Pチャンはそう、本当に小さく呟いた。
もどかしさを抱えたまま華麗な4Tを飛ぶバトル。
「こうなったら、もう一度あの実を探してきて皆に見せるしかない!そうすれば信じてもらえるはずだ!」
再びあの実を入手すべくグランドキャニオンに向かって飛んでいった。
一方バトルの飛んでいった方向を眺めるプルとヤグ。
「…あいつ結局何がしたかったんだ?」
「う〜ん…ポテチ食べて、実の話をしてて…でも確かにクワドは飛んでたよね?」
果たしてバトルは例の実を見つけ出せるのか?
ジョニ子に『オーディションバトルロイヤル』を提案された広報さんは考えていた。
イベントで全候補選手を集めて大々的にバトルロイヤルをやって
その様子をメインにしてCMを作ればいいんじゃないかしら?
ゲームショウとアイスショーが一度に楽しめるイベント、きっと話題にもなる!
後は世界各支社にあわせた編集をすればいいだけだし、一気に全選手を集めた方が効率がいいわ。
だいたい、スケート選手がこうもすぐによその国へ飛んでいってしまうとは思わなかった!
急に飛んで来たり飛んで帰ったり、これじゃいつまで経ってもCMが完成しないわ!
そうよ、そうしましょう!ボスに提案するのに、新しい企画書をすぐに作らなくちゃ。
北米やアジアにもメールで根回ししておかなくちゃ。
さぁ、そうと決まれば・・・働きマンモードよっ!
すばやくパソコンを打ちまくる音が響くCAPCOW広報部であった・・・
プル「まあなんでもいいんだけど・・・どうせ愛されるなら寿司の精がいいな」
ヤグ「穴子の精が大勢出てくれると尚可」
その頃、Pチャンは黄昏気分をこじらせてしまっていた。虚ろな目つき(瞳孔全開)で体育座り。
鼻にスプーンをひっつけたところを写メに撮って、リッポンに送りつけたりしても、心は晴れない。
こつん。とプルの足元で音がした。よく見ると何か落ちている。
「何だろうこれ?」手に取ってみると、それはチェリーのようなイチゴのような奇妙な実だった。
そこから何とも言えない香りが漂ってくる。強いて言えば海苔とか酢飯とか醤油に近いような…?
「なんだか寿司の匂いがするなぁ…」素敵な香りに思わず心揺さぶられそうになったが
「ジェーニャ!得体の知れない物に手を出しちゃダメよ!!」というヤナの一言で思い留まるプルだった。
「もしかしてさっきジェフが言ってた実ってこれの事かな?…ちょっと調べてみよう」
謎の実を調べる為に、一行はロシア支社の駐車場に停めていた宇宙船へと移動した。
CAPCOW広報さんが一生懸命仕事してるってのに、ジョニ子は相変わらずお買い物三昧。
両手に大量の紙袋(もちろん中身は洋服と靴とバッグと化粧品)をさげ、パリを闊歩する。
「マダーム?」
「ウィ」
―――あらやだナンパかしら。アタシそんな軽いDIVAじゃなくってよ。
極上の笑顔で振り返ると、そこには道路工事のマッチョ兄ちゃんがいた。
「荷物、重そうだね。これをプレゼントするよ」
工事用のネコ車だった。
http://livedoor.2.blogimg.jp/jps1969/imgs/8/6/86c36460.jpg 一輪タイヤはバランスが取りにくいが、せっかくの好意を無にするわけにはいかない。
ジョニ子は優雅な仕草で荷物を積み込み、挑発的なモデルウォークでその場を後にした。
例の実の香りはバトルにはお菓子、宇宙人には寿司と人によって感じが変わるらしい。
ますます謎だ。
コストナーさんは無性においしい果物が食べたくなっていた。
「トチオトメイチゴの旬はもう過ぎてしまったよ!今ならサトウニシキチェリーだよ!」
並外れた語学力を駆使して、日本のネット通販に挑むも、海外発送してくれる店がみつからなくてがっかり。
「果物がダメなら、せめてこの『アイスの実』とかいうの食べてみたいよ・・・」
もっと無理だろう。
「ていうか、なんでこのアタシが一人でお買いもの?!荷物持ちは?!こんな時の為のあの男じゃない」
と、早速Pちゃんにスケパシーを送るジョニ子。
その頃Pちゃんはリッポンから返信されてきた六人兄弟満面の笑みでのタケノコルッツポーズの写メを前に、
ますます途方にくれていた。
『おらっパトリックいい加減来いや。シカトこいてんじゃねえぞ』
反応しないPちゃんにジョニ子の怒りが爆発。
本来の姿が出てしまった。
びっくりしたPちゃん。
でもひとりじゃ恐かったのでランビとジュベを無理矢理引き連れて急いでジョニ子のもとに駆けつけた。
「やだっあんた達。どうしたのよ」
ジョニーの元にやってきた3人は黒スーツに黒サングラス姿になっていた。
実は欧州支社に訪れた時の格好があまりにダサ(ryので
見かねた社員が無難な黒スーツに着替えさせたのだ。
(「実はジョニーさんも着替えさせたかったのですが」:某社員談)
「いいじゃない、まるであたしのボディガードだわ」
気分はすっかりホイットニー。
「えんだーーーーーーーーーーーーーー」
ジョニーの歌声がパリの街に響き渡った。
「えんだーーーーーーーーーーーーーー」が
歌いたいという気持ちをスケパシーにしてスケーターズに届け
プルと、さらんそこから別所のウル様がカリンカを歌いたいいだして
全力で周りから止められたり、ランビが口を開くより先にジュベが
ランビの口をふさいだりしたのはまた別の話である。
DIVAの歌声で、パリ中のハトが目眩を起こしてボタボタと道に倒れた。
ボディーガードを従えてご満悦のジョニ子は、なぜかPチャンの携帯を使って
「歌姫+ボディガード」の写メを撮る。
そこにリッポンから、彼が趣味で撮りためたという寺院の写メが届いた。
「まあ素敵な写メ。御礼として今撮ったばかりの歌姫写真を送りましょう」
「あ、あのそういうのやめて・・・」
「なんでっ!?ねえ、なんでよっ?」
涙目Pチャン。根はお坊ちゃんなのか、スケパシーで怒鳴り飛ばされた後だから気弱なのか。
「ハイ、送信☆」
うなだれるPチャンの肩に、ジュベが黙ってそっと手を乗せる。暖かい掌だった。
ランビは倒れた鳩に話しかけるのに夢中だった。
プルシェンコとジョニ子の歌声はスケパシーを通じて全スケーターを攻撃した!
全スケーターのHPが1000下がった!
全スケーターの攻撃力が50下がった!
仲間を見つけたランビはHPが100あがった!
ランビはレベルアップした!
じゅもん「あはんあはん」をおぼえた!
ちなみにランビのとくいじゅもんは「セクハラ」である。
MPを消費しないうえ、いかなるときもマホトーンが聞かないやっかいな呪文だ。
その効果は一定でないが、連発すると相手が面倒臭がってどこかへ行ってしまう。
テン君は歌パシーを受信しても尚熟睡中だった
小塚はため息をついた。
今いるメンバーは見渡す限り謎の衝撃波に一瞬怪訝な顔をしたけど
特にその後は気にしてないようだ。危機を知らせるようなスケパシーではないというのだけはわかったからだ。
テレパシーを通じて送られてきたあの感じたことのない衝撃。
歌なのか呪文なのかわからないけど聞こえてきたあの声。
多分・・・あの人とあの人だ。
出来るだけ穏便にことを進めたい小塚は、なんとか他の支社と合同で話が進まないように
とにかくここにいるこのメンバーだけで滞りなく自分達のCM話が進むように
そう祈るだけで精一杯だった。
テンくんは熟睡しつつ、寝言ならぬ寝歌を口ずさむ。
幼い頃に合唱団で鍛えた美声は健在。
汚れなく美しい調べに、窓辺に飛んできた小鳥たちもさえずりでハーモニーを奏でる。
天国のような光景がそこにあった。
なお、パリの鳩は「えんだーーーーーーーーーーーーーー」の後に「あはんあはん」をくらい、
斜めにしか飛べなくなったり、なぜか「カァー」と鳴いたり、シュールな事になっている。
ジョニ子とプルの歌声は思わぬところに影響を及ぼしていた。
謎の実が歌声の影響で化学変化を起こし始めたのだ。
しかしネタ認定を恐れて謎の実を探すバトルと、大急ぎで持って帰る途中のライサ、
歌っているプルはそのことに気付いていない。
衝撃の歌パシー(念仏みたいなやつ+やたら声量はあるけど音程がフリーダムすぎるやつ)は
回転移動中のバトルにも少なからず影響を及ぼした。着地点がズレてしまったのだ。
「・・・ここどこ?」
真っ白な息を吐きながら、バトルは目の前のシロクマに問うてみた。返事はない。
ライサも影響を受けた。リューキンを訪ねるはずだったのに、なぜか実家に帰ってしまったのだ。
甥っ子のお守りなどしつつ、なんかする事あったんだけどなあ・・・なんだっけ?と首をひねっている。
「うわあああああっ」
「きゃああっ」
「ひいいいいいいいいいいうぎゃあああ」
同じ頃、CAPCOWの欧州支社、ロシア支社、北米支社で同時に叫び声があがった。
スケV完成に向けて各支社でデータの最終調整を行っていたところ
謎の微振動が各社を襲い、その後データがサーバーごとクラッシュしてしまったのだ。
他のゲームのデータを積んでるHDDはなぜか無事だったようだ。
「状況は?」
「完成前のデータを各社で保存していましたがすべてやられたようです」
「バックアップは?」
「それが……アラスカのバックアップセンターにはデバッグ前のデータしか残ってません」
「なにいいいいいい。またあのデバッグ作業をしなきゃならんのかあああああああああああ」
歌パシーはフィギュアスケート繋がりからかスケVのデータまで破壊してしまった。
各社を襲った謎の微振動が誰かさん達の低周波による歌パシーが原因だとはいまだ当然、判明していない。
先ほどの歌パシーの余韻を振り払うべく、チームジャパン+αは近くのリフレクソロジーサロンに直行。
アロマテラピー、蓬蒸し風呂、海藻泥パック、高周波ジャグジーetc・・・・
思い思いの癒しでくつろぐ面々。そんな中岩盤浴から帰ってきた小塚の姿を見たメンバーは唖然とした。
小麦肌でゆるパーマ姿の彼はどう見てもレゲェダンサーにしか見えなかったからだ。
本人曰く「気持ちよかったからちょっと長めにはいったんだけどサイコーだったね!」だそうだ。
ちなみに岩盤浴で日焼けした経験は職人Lの経験上一度もありません。
そのころ、フィンランドのヌルメンカリ家では
すやすやお昼寝していたアクセルくんが何かを感知したのか突然泣き出し
あわてて息子をあやすぬる麺の姿があったという。
遠く離れた北欧の、(スケーターの身内とはいえ)まだスケーターではない赤ん坊にまで影響が及ぶとは
歌パシーとはまこと恐ろしいものである。
北欧といえば…いったん帰宅したスウェーデン勢&チェコ勢、
カフェで彼らと入れ違いになったキーラ&ラウラは
今頃どうしているのだろう。
CM出演依頼が来ていたとしても、なんだか内容に大幅変更の可能性が出てきたぞ?(
>>112参照)
ひとしきり歌ってようやくプルの歌声が止まった。ほっとするロシアチーム一行。
「あ、そういえばタカヒコから連絡来ないなぁ?どうしたんだろ?」
実は
>>60でプルと合同撮影の約束をしていたことを小塚はすっかり忘れていた。
ノリと勢いで迂闊にもOKしてしまい、自ら墓穴を掘ったことに彼が気付くのはもう少し先の話である。
「何かあったのかな?…そうだ!打ち合わせついでに行ってみようっと」
小塚の願いも空しくロシアチームを乗せて出発する宇宙船。
当然自分とジョニ子の歌パシーでスケVデータがクラッシュしたことなど知る由はない。
あっちゃこっちゃに甚大な被害?を及ぼしたにも関わらず、当事者ジョニ子はお気楽。
「歌ったら喉が渇いちゃったわ。お茶にしましょ」
居心地のよいカフェを求めてそぞろ歩く。
ボディガードもついてくる(そのうち一人はハトをポケットに忍ばせている)。
「ここの岩盤浴、日サロ効果もあるんだ!」
小塚を見ていそいそと岩盤浴に向かう高橋。
ワイハ帰りで今でも充分こんがりなのに、さらに焼ける気である。
ぬる麺がアクセル君をあやしている頃スウェーデンではADSLとべるるんが叫んでいた
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」その手には欧州支社からのCM出演依頼が握られていたので
歌パシーに共鳴したのか、はたまた依頼に対しての喜びの表現だったのかは分からない
「何これ、すっぱぁぁぁぁぁぁい!Pちゃん、あんたのカフェオレとこのジュース取り替えて」
一番高い特製ジュース「マダムのよろめき」を勝手に頼んでおきながら、ジョニ子は駄々をこねる。
しょげるPチャンの隣で、ランビがメニューを手に取り、読み上げる。
「マダムのよろめき:グランドキャニオンの傍にある神秘の大木。わずかしか収穫できない
貴重な果実を丹念に搾りました。美肌痩身効果に加え、髪は豊かに艶を増し、フェロモンが
溢れる奇跡のジュースを貴女に」
ジョニ子の目の色が変わった。炎が揺らめいている。
「Pチャン、やっぱりジュース返して」
「他の効果として……性格が穏やかになるってさ。アハン」
思わず笑ってしまったランビの隣で、Pチャンの瞳孔が限界まで広がった。
「このジュース、店にあるだけ全部、ジョニ子姐さんの前に持ってきて!」
「姐さん何やってんだ?」Pチャンからの写メに写るジョニ子をみてちょっとびっくりするリッポン。
しかし、なかなか良い写真だったので、ツイッターにアップすることに。
『サングラスしてて瞳孔が見えないけどジョニ姐の右隣はPチャンだよ :P』
と解説を付けた。
つか、お前ら仲良いんだな。
店にある全ての「マダムのよろめき」を飲みまくるジョニ子を見て
これでジョニ子がおとなしくなることを期待するPちゃん。
だが彼は知らない。
歌パシーの影響で例の実が化学変化を起こしていたことを…(
>>128参照)
「申し訳ございません。『マダムのよろめき』は本日はこれで最後になります」
数杯飲んだ後に店員がそう告げる。
「アタシの美貌のためよ。(ボディガードたちが)倍の料金を払うから全てあるだけ飲ませなさいよ」
「そうだそうだー」
マダムにおとなしくなってもらいたいPちゃんも小声で応援する。
「お出ししたいのはやまやまですが、なかなか簡単には取りに行ける場所でもなく、尚且つ6月にのみ実をつけると聞いております」
「ふーん、6月だけ。原材料が入手困難ってわけね」
ジョニ子の目が輝いた。
「要はその実を直接食べればいいのよね。さあ、行くわよ」
『色男のたしなみ』を飲みたかったランビと、『筋肉美へのあくなき追求』を頼もうとしてたジュベを両脇に抱えジョニ子とPちゃんは華麗にその場から飛び立った。
グランドキャニオンの真ん前に降り立った、歌姫+ボディガード。
「その大木ってのはどこなのかしら。そのへんにいる人に聞いてみましょう」
一行があたりを見回すと、そこに・・・見覚えのある人物が!
143 :
スポーツ好きさん:2010/06/11(金) 21:49:11 ID:Xgn2IFsV
DIVA一行の前にいたのはカナダの歌って踊れる姐さんだった
エマ姐さんキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
やっぱりこのスレいいわwww 次の展開が読めないからこそおもしろい。
他住人を信じてバトンを渡す勇気を持てる人・いい意味でその期待を裏切れる人が
職人なんだと思う。
通りすがりの名無し旅人がうっかり感動してしまうほど、エマ姐さんのオーラは凄味があった。
「ハーイ、ジョニ子とご一行さんたち、ごきげんよう」
エマ姐さんのウインクで、なぜかピンク色のフラミンゴの大群が飛び交った。
ロシアの宇宙船がLAに到着。早速崇彦たちのもとへやってきた。
「あ〜!!プルシェンコさん久しぶり〜」
「みんな元気だったかい?ところでタカヒコは?」
「ここですよ〜」
陽気に手を振るレゲェ状態の彼に少し驚いたプル。
「どうしたの?イメチェン?」
「なんかここの岩盤浴はいるとイメチェンできるらしいですよ?今大ちゃんが挑戦中です。」
とテキトーに返事してしまった。
「へ〜、じゃあ僕も行ってみようか」
「それなら俺も行くぜ!」
「あたしも!」
なぜか次々と岩盤浴に吸い込まれていくロシアチームなのであった。
実はエマ姐さん、グランドキャニオンへは例の実ではなく、
気軽にイメチェンできる鉱石を採取にやってきていた。
そうとは知らないジョニ子一向は気が気ではない。
一方のエマ姐さんもジョニ子の登場に一瞬ではあるが驚いた表情を見せていた。
二人の間にある種の緊張が走っていた。
「くっ、アタシよりキャラの濃いのがいるわ。またDIVAの立ち位置が危うくなるわ」
エマに対抗して自分も白鳥を飛ばそうと試みる。
しかし動揺からか、おかしくなったパリの鳩を大量召喚してしまうジョニ子。
鳩がかわいそうなので、Pちゃんは餌にポン菓子をまいてやった。
不図、エマ姐さん、ジョニー一行の中に現カナダナショナルチャンピオン三連覇中、見た目年齢三十歳のPチャンを見つける。
しかしエマ姐さんから見ればおかっぱ頭でころころ転けまくっていたPチャンのイメージしかない。
「あら、パトリック。貴方なんでジョニーと一緒にいるの?」
「え?」鳩にポン菓子を配る手が止まるPチャン。
「ちょっと!うちのパトリックに気軽に声かけないでよっ!!」
「えええっ!?」
因みにジュベランビは不穏な空気をいち早く察知してホップ、ステップ、バックステップと既に安全な場所に退避していた。
カァーと鳴く鳩とランビのポエマー心が通じ合ったのか大量召還された鳩はランビに懐いたようだ。
Pちゃんにポン菓子をもらっていた鳩たちも気付けばランビの周りを飛び回っている。
「どないすんねん。わしらボディガードやないんか?」
「せやけど…あの不穏な空気に入り込める勇気はないで」
「パトリックがなんとかしてくれるんちゃうか?」
「まかせて大丈夫なんかなあ」
「大丈夫やって。ほらブライやんも仲良くせな」
そう言ってぐいぐいジュベの頬に鳩を押し当てるランビ。
さて意気揚揚と岩盤浴に入っていったプルだったが、ものの5分も経たないうちに飛び出してきた。
「うわ〜!!なんかヒリヒリする〜!!!」
見れば全身真っ赤になっていた。ついでに髪がくるくるの縦ロールになっていた。
「いきなり日焼けするからよ!」慌ててアロエ入りジェルを塗りたくるヤナ姐さん。
色白な人が急に日焼けするとよくある事例だけに、大いに気をつけられたし。
…さすがに髪が縦ロールにはならないと思うが。
ランビに鳩を押しつけられ、逃げようとするジュベ。
「ちょ、あかんて、やめ、あかんてー!ママーン!」
「なんや、ブライやんは鳩きらいか?かわええのに」
「あかんねん。その、首のカクッカクッてなるのがあかんねん」
向こうではジョニ子&エマの睨み合いが続いている。
あっという間にでていったプルを「貧弱、貧弱ゥ」というヤグが歌う。
ひゅーっとブリザードが吹いてプルの身体はあっという間に元の白さを取り戻した。
いいんだ、イメチェンなんてこれ以上ないのを18の時にやったからッ……。
「アタシ達ここの国立公園内の動物たちに会いにきたのよ」
先手必勝。あの果実をエマに渡すわけにはいかない。
なんとしてもエマをまかなければ。
エマはまだ疑わしげだ。
「ステフ!いらっしゃい」
鳩まみれのランビ登場。
「どーーーーーしてもステファンが見たいっていうから仕方なく…ね」
「アハン」
肯定の意を示すアハン。エマはランビに視線を向けた。
Pちゃんは迷っていた。
ジョニーと共に行動していくのは確かにつらい、きつい、振り回されてクタクタだ。
でもボディガードとしての使命は全うしたい。ちょっと仲良くなってきたような気もするし・・・
ここでエマ先輩がついてこいって言ってきたらどうしよう。
いくら見た目年齢が30歳とはいえ中身はまだまだ19歳。大先輩の言うことを振り切ったりはできない。
(どうしよう・・・どうすればいいんだああああああ)
ジョニ子の言葉を一応信じて聞くエマ先輩。相手に知られたくない情報を持っているのはエマ先輩も同じだった。
「ふーんそうなのね」
そう言った瞬間にピンク色の羽根がその場全体を覆い尽くした。
そして羽根が地面に舞い落ちた時、エマ先輩の姿はなかった。
Pちゃんのこともまたエマ先輩の頭からすっかり消え去っていた。
ライサは甥っ子大好き男なので、実家でお守りに熱中していた。
甥っ子もライサが大好きなのか、近所の公園で拾ったとおぼしきどんぐりをくれた。
「やあかわいい木の実だね・・・ん?木の実?あ、大事な事忘れてた!」
家族に別れを告げ、ライサは恋人の元を目指す。
そう、騙して変な実を食わせるために。
ブリザードで色白復活したプル。
さらに冷気の影響かはたまた宇宙人のパワーなのか、
縦ロールもあっという間にするするとほどけて元に戻っていった。
(やっぱり思いつきのイメチェンはやめよう…)
さすがの27歳児も懲りたようだ。
そうこうしているうちに岩盤浴からヤグと大輔が戻ってきた。
「どうしたの?!二人とも?!」
その姿を見て驚くプル。ふたりとも想像以上の変貌を遂げていた。
「そ、その格好はっ・・・ドムシャバのマトリックスッ・・・・!!!(出落ち?)」
「なんかさーちょー疲れたんだけどぉー。いきなり目の前にあらわれてぇフラミンゴ飛ばしてぇエマちょーウケる!」
…!?
ボディガード達の動きがとまる。
ジョニーの今の言葉遣いおかしくないか?なんか人格変わってないか?
「グランドキャニオン無意味に広すぎぃーヤベー。ありえねー」
急に変貌したジョニ子にPちゃんは驚きを隠しきれない。
サングラスの下の瞳孔も開きっぱなしで危険信号を発していた。
「パトリックの瞳孔開きまくりーちょーやばくね?つーかちょー可愛すぎぃー」
「え?ジョニー、僕が可愛い?」
ジョニ子の言葉に喜ぶPちゃん。
「……はっ。アタシったら何してたかしら!?」
「ジョニー今の言葉をもう一回言ってもらっていいかな」
「今の言葉ってなによ。訳わかんないこと言うわね。
それよりもエマを前にして、どっちにつこうか迷ってたのにアタシは気づいてたわよ」
「いやっそれは……あのっいやその、あれは」
「さっきのジョニーなんやったんや?」
「暑さでやられたんかもしれんな」
「マダムのよろめき」のせいとはまだきづかない一同であった。
再びグランドキャニオンにやってきたライサ。
「確か管理事務所から北へ○○kmだったから・・・・こっちだ!」
自分の体と太陽の位置を使って方角を割り出す。
「う〜ん、こういう時身長長いって便利!」
胸を弾ませ再びジャンプする長い人だった。
一方バトルはまだ北極にいた。
シロクマに食べられそうになり、逃げ回ってるという過酷な状況である。
お菓子だけが命綱。それが尽きる前に脱出しないと・・・・!
ジョニ子の唐突なギャル化→元通りに、Pチャンはとまどい、ジュベールは鼻白んだ。
ランビエールは「まあええわな。気まぐれ乙女はかわいいやん。アハンアハン」と
気にせず、鳩がくれたポン菓子の余りを食べたりしていた。
ヤグ&大輔は顔を見合わせ、なにやら満足げにうなずいている。
特にヤグディンはえらく悦に入ってるご様子。
仮にマトリックスではなく、アボリジニの方に変化してたらどうだったのか。
そのころグランドキャニオンヘリコプターツアーに参加していた観光客は
「なんだかよく分からないけど、あそこにすごく黒い人が!」
「ってか人間じゃなくね?あの長さ」
「えっ、じゃあビッグフット?」
「あんなに細いのいるかよ・・・あ、消えた!」
と上空からライサを見て口々にああだこうだと言い合い、
最終的に”餓死をしたビッグフットの幽霊”で落ち着いた。
当のビッグ・フッt・・ではなくて、日時け・・でもなく、避雷し・・んでもなくって、えーとぉ・・・あ、ライサチェク!は、
前方に二つの人影を見つけた。
それはよくよく見ると、暑さに喘ぐ瀕死の白クマを必死で介抱するジェフリー・バトルの姿であった。
「ごめんっ、ごめんよ、テディ!!僕がうっかり君を4Bに巻き込んだばっかりに!!わざとじゃないんだよっ!!
誰か・・・誰か助けて下さいーーーーーーーっ!!!」
グランドキャニオンの中心(多分)で、バトルは叫んだ。
その頃、岩盤浴でイメチェン祭りのチームジャパン&ロシア一行の元にもバトルのスケパシーは届いていた。
「…おい、今なんか聞こえなかったか?」
「聞こえた。多分今のジェフだと思うよ」
顔を見合わせるプルとヤグ。なんだかやけに緊迫した様子だ。緊急事態か?!
「バトルさん、なんだか助けを呼んでるみたいですけど…?」
「たしか変な実を探しに行くとか言ってたけど…何かに巻き込まれたのかも?!」
「変な実って、お菓子か何かですか?」
「それが僕等もよく解らないんだけど…」
プルは不思議そうなチームジャパン一行に経緯を話した。
「あ、そういえばライサチェックさんも実がどうとか言ってましたよ?もしかして、それと同じ物かも?」
未来はふと先ほどライサの話を思い出した。
「解らないけどまずはジェフを助けに行かなきゃ!」
「俺たちも一緒に行きますよ!!」
一行を乗せた宇宙船はスケパシーの発信元へ大急ぎで向かった。
そんな宇宙船の中でプルが一言。
「でもさぁ、アリョーシャ。背が低いとマトリックスの恰好してもあんま迫力ないんだね」
ヤグディンは、おもむろにプルシェンコを投げ飛ばした。
ヤグの力は思ったより強かった。意外と本当にプルの言葉に腹を立てていたのか。
プルは岩盤浴があるサロンの壁を突き抜け空へ向かって飛んで行ってしまった。
投げ飛ばされたプルの方はどこに行っても宇宙船を呼べばいいや、と特に抵抗もせずに身を任せる。
どうせなら空の旅を楽しむか、とポケットからPSPを取り出した瞬間
電柱のようなものにぶつかり残念ながらほんの数十秒で空の旅は終わってしまった。
>>165より続き
プルシェンコの一言にカチンときたヤグディン。
「ああん?さっきの頭にクロワッサンつけてるようなのよりマシだろ」
「お笑いマトリックスよりは全然いいよ」
「じゃあもう一回サウナに入ってどっちがまともな変身が出来るか勝負するか?」
「面白いところだね、受けて立つよ」
「「さっきのサウナに戻って!」」
2人の声が見事にハモる。
いざ勝負!なにが出るかのお楽しみだ!
と思ったのもつかの間。やっぱり2人の姿は背が低いマトリックスと
頭にクロワッサン縦ロールになったのだ。
「プッ。やっぱり似合ってないよ」
「お互い様だろ」
>>166へ続く
プルは電柱にぶつかって地面に落ちたが、意外と衝撃は少なかった。
「…どこだろここ?」
起き上がって見渡すとそこは見渡す限りの絶壁。どうやらグランドキャニオンのようだ。
(誰か・・・誰か助けて下さいーーーーーーーっ!!!)
さっきのバトルのスケパシーがよりはっきりと聞こえてくる。かなり近くにいるようだ。
(ジェフ!大丈夫?すぐそっちに行くからね!)
バトルに向かってスケパシーを送っていると、体の下から声がした。
「おい…いい加減降りてくれ…」
ライサチェックだった。
「なんだ?そのクロワッサンみたいな頭…」
そう言いかけて急に気温が下がる気配にライサは慌てて口を噤む。
「別に…それよりジェフの所に急がなきゃ」
障らぬナントカに祟り無し。ひとまずここはおとなしくしておこう。
一方暑さにやられて弱っている白熊。その傍らでバトルはおろおろするばかり。
いっそ熊をつれて北極へ戻ろうかとも考えていると。
(ジェフ!大丈夫?すぐそっちに行くからね!)
スケパシーを感じた直後プルがやって来た。なぜか頭にコブができた(が黒くてry)ライサもいる。
「ジェーニャ、こっちだよ〜!!…って、どうしたのその頭?…ぷぷっ」
一昔前の少女漫画のような縦ロールに思わず吹き出してしまうバトル。
その途端、周囲に猛烈なブリザードが吹き荒れた。
そのブリザードのおかげでテディくん(仮名)が
元気を取り戻した。
「ジェーニャありがとう。君のおかげだよ・・・ププッ」
なぜか目を合わせないようにしながらバトルはお礼を言った。
自分も褒められたくなったライサ。
(そうだ。ポケットの中に・・)
ジップロック入りの実があったのを思い出したのだ。
「あっそれは・・もしかして!エヴァンちょっと待って」
バトルの静止もむなしくライサはテディくん(仮名)の口に実を放り込んだ。
テディくん(仮名)はここ数時間で起きた急なできごとに、頭が混乱していた。
急に目の前に現れ、なにやら慌てている人間のオス。背中につけた袋から、甘い香りのする小さな包みを落とした。
テディくん(仮名)はそれが何かわからないし、興味もないけど、目の前の人間にとっては大事なものなのかも。
"落としたよ。ほら、拾ってあげる。"
前に立ちはだかって声をかけたら、なぜか人間は急に走り出した。追いかけっこ遊びだろうか。
しばらく遊びを楽しんでいるうちに、人間はおもむろにすごいジャンプをした。テディくん(仮名)も巻き込まれる。
"怖い!高いところは怖いよう!下ろして!"
テディくん(仮名)は恐怖に怯えながら甘い香りの包みを人間に渡す。
「あ、これはオレオクッキー。拾ってくれたの?てっきり襲ってきたのかと・・・誤解してごめんよ」
ジャンプから着地するやいなや、すごい暑さ。テディくん(仮名)は辛くて倒れてしまった。
オレオクッキー落とし人間は、一生懸命あおいでくれたり、助けを呼んでくれたりする。
と、急にワサワサと人間が増え、涼しくなった。
ほっとしていたら、口の中に何か放り込まれた。
"なに、これ!変な味がする!いつも食べているおいしい生肉じゃない・・・なんだろう?"
歩くブリザードことプルがびゅーびゅー言わせてるときDIVAは
「グランドキャニオンと私どっちが綺麗?ねぇ綺麗ってば!ぎゃは!ぎゃは!」
とPちゃんを戦慄させていた。
「綺麗だから……綺麗だから、スケパシーも聞こえるしバトルを助けに行かないかい?アハン」
はぎはぎはぎ、ごっくん。テディくん(仮名)は木の実を飲み込んだ。と「ガウッ!!」突然苦しみだした!
プ「エヴァーーン!!お前っ、お前なにを喰わせたーーっ!?」
ラ「いやっ!!そんなはずはっ、そんなはずはっ!」
バ「うわぁーん!テディー!テディーィ!!」
とり乱す三人の前で苦しみもがくテディくん(仮名)その体に何やら変化が…
三人「あっ!」
なんと、体が縮んでしまった!!
三人の前に、くまくまもふもふの小熊テディくん(仮名)がちょこんと座っていた。
プ、バ「め……」
プ「名探偵コナン?」
バ「メルモちゃん?」
ラ「何だそのジェネレーションギャップは。お前ら同い年だろう」
ライサとプルはバトルからこれまでの経緯を聞いた。
(間違いないっ。似てると思ってジップロックに入れておいたアレはやっぱり俺が探してたアレ…!)
「ジェフがその実を食べた時、なんか変化を感じなかったか?」
「うーん、そういえばいつもより気分が高揚して自然と笑顔があふれたような」
(よっしゃあ!それだそれ!それさえあれば!)心の中でガッツポーズの嵐。
「よし今から一緒に獲りに行くぞ」
「えー僕テディくん(仮名)を送らなきゃいけないし」
「僕も帰らないと。みんなが宇宙船で待ってるんだよねー」
いやがる二人を両脇に抱えてライサは飛んだ。自分の輝かしい未来のために。
ライサの頭の中は、いつもニコニコ笑顔のリューキンでいっぱいになった。
そのため、テディくん(仮名)の変化についてなんら疑問を抱くことはなかったのである。残念なことに。
二匹と一匹を抱えてライサは飛んだ。
幸いなことに、
テディくん(仮名)は落っこちるといけないから、とバトルの胸元に包まれていた。
途中、心配なのか服の中から顔を覗かせようとするがバトルに優しく
「着いたらお菓子あげるから、もうちょっと我慢してね」と声を掛けられておとなしくしていた。
光に当ててはいけない。
水をかけたり、濡らしてはいけない。
真夜中(12時過ぎ)に食べ物を与えてはいけない。
それさえ守れば可愛いテディくん(仮名)なのだ。
「ジェフ!ジェフ!ちょっとっ返事しなさいよっ・・・・・ダメだわ。全く応答なしよ」
「せっぱ詰まったスケパシーやったし、まさかなんかあったんちゃうか?」
心配してバトルにスケパシーを送るDIVA組。だけど返事はない。
バトルはメルモちゃんにびっくりしてる最中でそれどころではなかったようだ
「あのスケパシーの反応からしてアタシ達の近くにいるのは間違いないわよね」
「仕方ないね。例のやつを使うしかないよアハハン」
「そうね。運がよければあれで助けられるはずだわ。せーのでいくわよ」
4人で円陣を組んで上を向く。そして一斉に叫んだ。
「おいしいアイス見ーーーつけたーーーーーーーーーーーーーーーー」
バトル召還を試みるDIVA一行の真上をデカイ黒い何かが物凄いスピードで飛んでいった。
その風圧が一行を襲う。
「ちょっと!今のなによっ?!」
吹き飛ばされそうになるジョニ子。
一瞬の事で何が起きたのか解らなかったが、そいつは両方に何か抱えていたようだった。
ランビが目を凝らしてみると、片側に抱えられてるのはバトルのように見える、もう片方は…
「なんだ?金髪の縦ロール…?もしかして女の子か?!」
残念ながら遠目では正体が解らなかったらしい。
「大変だ!ジェフと女の子がでかくて黒い怪物に浚われてるぞ!!」
「おいしいアイス!?どこ?どこっ?」
バトルはライサの黒長い腕から、無意識に身を乗り出してしまった。
ぽろん。
「しまったーっ!テディを胸から落として・・・テディーッ!!」
シロクマくん、どこまでも災難である。
「エヴァン!テディを助けに行かなきゃ!!」
バトルはライサの腕から身を乗り出して叫ぶ。
「そんなこと言ったって急がないとあの実が・・・」
「後から行けばいいだろ?テディがかわいそうじゃないか!!」
「へぇ・・・君ってそういう奴だったんだった」
先を急ぎたいライサだったが、必死なバトルと冷気を漂わせたプルに睨まれては仕方が無い。
ライサは二人を抱えたままテディくん(仮名)が落ちた周辺へ降り立った。
「うう、テディ、テディー、何処だーい!もしテディに何かあったら君のせいだからな!エヴァン!」
バトルがライさに詰め寄る
「いや…野生の熊だろう。大丈夫だよ」
「違うよ!光に当てちゃいけないって取説に書いてあったんだ」
「…お前、色々間違ってるぞ」
「そうだ!ジェーニャ、あれやってよ。さっきのブリザード。あれにつられてテディが出てくるかもしれない」
「うーん、急にやれと言われてもー」
「たにしパン(ボソッ」
周囲に猛烈なブリザードが(ry
真っ逆さまに落ちてグランドキャニオンの岩肌にたたきつけられようとしたまさにその時。
テディくん(仮名)を軽やかに受け止めた者がいた。
上を見上げ、落ちてきた場所を確認する。
一カ所だけブリザードな場所があるので一目瞭然だった。
「待ってなさいね。今すぐあそこに戻してあげるわ。
スリーアイスクリーム、ツーアイスクリーム、ワンアイスクリーム、そーれっ」
テディくん(仮名)はブリザードに吸い込まれるように空中に舞い上がった。
「白くま……それもいいわね。鹿児島にでも行こうかしら」
アイスクリームの呪文で召還されたその人は鹿児島へ向かうべくイナバウアーで華麗にその場を後にした。
「はっ…!今女の子の気配が…!!!」
ランビは敏感に感じ取った。
女の子成分が即座にさってしまったのでランビは落ち込んでいる。
「なによ!いやぁね、ステファン。私がいるじゃない」
「いや、姐さんは女の子じゃなくて立派なDIVAだよ……。
それよりアイスで釣っても来ないなんて、ジェフリうわぁあッ」
Pちゃんはがばっと、ジョニ子に抱きつかれた。
ジョニ子「俺の胸で泣けー!!何も言うな!目を見ればわかる!」
何がわかるのだろうか。
ジョニ子の秘めたる男気か。
抱擁というより鯖折りのような状況になって白目をむいているPチャン。
「ジョニ子って今、情緒不安定?」
「何を今さら」
微笑ましく見守るランビ&ジュベ。
一方その頃、テディくん(仮名)は急に落とされて投げ上げられ、白目をむいている。
どうにかキャッチしたプルが優しく抱きかかえてから、バトルに差し出す。
「もう落としたりしちゃダメだよ」
涙目になり、バトルは何度もうなずいた。
つられてライサも泣いている。
「テディも見つかった事だし、いい加減これ戻しておこうっと」
プルは再び宇宙人の謎のパワーで(
>>157参照)元どおりの髪型になった。
(あのままの方がテディ用のブリザード起こすのに便利だったんだけどなぁ…)
それを見たバトルがこっそり思ったのは秘密だ。
「ぐえ・・ジョニ・・わがたから離しっ・・・!ブライアッ・・ステフ!見てないで助け、て・・・」
しかしジュベ&ランビは遠く離れたところで穏やかな微笑みを浮かべて見守っているだけだ。
その周りを無数の鳩が飛び交う。平和な光景だ。
「だ、誰か・・・(ぐす)、誰か助けて下さーーーーーーーーい!!」
グランドキャニオンの中心でPちゃんは(ry
だが各スケーターは色々と多忙だったため
Pちゃんのスケパシーは残念ながら届かなかった。
苦しみに耐えかねて、Pちゃんの瞳孔はMAXまで開いた。
その目でジョニ子をガン見すると、ジョニ子は「ぎゃっ」と叫んでPちゃんを突き飛ばした。
突き飛ばされはしたが、初めてこの目力が役に立った、と思うPちゃんであった。
その頃。
CAPCOWのパリ支社にやってきたべるるんとADSLだが、
>>130の事情でCMの件も白紙に戻ってしまい、担当者に平謝りされてしまった。
卒論とスケートの練習をしながらまた日程の連絡を待つ、と忙しげに帰っていったべるるん。
しかし残されたADSLはおもむろに立ち上がり、ずかずかとPCルームに入っていく。
そしてPCの前に座ると、プログラマーの静止も聞かずに凄い勢いで何やらキーを打ち込み始めた。
彼は何をしようというのか?
プルが空のかなたに消えてしまい途方にくれている、
と思われたチームロシアとジャパンの面々。
しかし、「そのうち飽きたら帰ってくるだろう。」
という楽観的なメンバーだったので、
壊れた壁の修理をしながら
リフレサロンで再び寛いでいるらしい。
色々とゴタゴタしたものの管理事務所から北へ○○kmの位置にたどり着いた3人。
「どこだどこだ?ジェフどれがお前が食べた実なんだ?」
「うーん、おっかしいなあ。僕が食べた時はそれはそれは甘くておいしそうで
(以下実の味と香りにについてバトルのながーい説明が入るが省略)」
「そんなの見あたらないよね」
プルが鼻をクンクンさせるがどこからもそれらしい香りはしない。というか木の影形さえ見あたらない。
「エヴァン。もしかして場所が違うんじゃないの?僕、ここに来た覚えがないもん」
「いーや、俺がちゃんと某巨大掲示板のオカルト板で場所を聞き出したんだ!間違いない!」
うそはうそであると見抜ける人でないと(ry
ライサは不安と焦りで無駄にウロウロする。
こんな事なら、偶然手に入れた1粒を大事に保存して、それを問答無用でリューキンに
食べさせればよかったわけであるが、万が一のためにより新鮮な実を手堅く大量に収穫したいと
アリゾナ州まで来てしまった。
ここまで来なければ、バトルに遭遇する事なく、貴重な謎の実を
うっかりシロクマに与えてしまう事もなかった。
落胆してシロクマに目をやると、そのつぶらな瞳で見つめ返された。
「まあ、いいか」
その愛らしさに癒されてしまうライサなのだった。
と。シロクマが鼻をフガフガさせている。
テディ(仮名)「アリゾナあちぃいいいいい!!」
が、通じるわけはない。
Pちゃんに突き飛ばされて尻餅をついたジョニ子。
「ちょっと〜乙女に対して何すんのよ。お尻打ったじゃない。
罰としてアンタ達交代で、アタシをお姫様抱っこして移動ね」
その言葉を受けてジュベとランビがPちゃんの背中を押す。
『お前が最初だ』と言わんばかりに後ろからぐいぐい押してくる。
(どうせ一番年下だし、ハイハイわかりました。よっこらせ)
いざDIVAを抱えようとしたが意外に、というか結構、というかかなり………重い。
「ちょっと〜早く持ち上げなさいよ」
(誰か助けて下さーーーーーーーーい!!)
そのころ、カナダのバンクーバー。
チャッキーが少し遅れて
>>188のPちゃんのスケパシーを受け取った。
「た、大変だ!何かあったのかな…すぐ助けに行かないと!」
あわてて4Sで飛び立つチャッキーだったが、スケパシーに時間差があったせいで
すでにPちゃんが危機を脱しているとは当然全く知らない。
突き飛ばされて転び、ちょっと頭を打っていたPちゃんは、
ほんの一瞬の間に
>>197の幻覚を見たが、はっと目を覚ました。
(そ、そうだ、突き飛ばされたのはこっちの方だった……)
Pちゃんの目を真正面から見てしまったジョニ子は、石に…
はさすがになっていなかったが、ぎゃっと叫んだきり硬直していた。
死と隣り合わせの状態を経験したことにより、Pちゃんの新たな能力が開花したようだった。
ランビがアハンアハンを唱えてもジョニ子は動けない。
バトルはテディ(仮名)を抱えたままちょっと場所を移った。
どうやら木陰ならぬライサ陰に行けばちょっとは暑さがしのげると思ったようだ。
「動いちゃダメだよ」というシロクマ&バトルの視線に、
ライサもなんとなく動けなくなっていた。
動かないジョニ子にランビは鳩が何匹乗るかを試し始めた。
頭、肩、腕、と続々と乗せられる鳩。
すべての鳩がジョニーの身体を覆い尽くした。
Pちゃんが手品師のごとくワン・ツー・スリーで手を叩くと
ジョニーがはっと意識を取り戻したごとく動き出した。
同時にカァーと鳴いていた鳩もクルックーと鳴き始めた。そしてパリの街に戻っていった。
「あああああ僕の大切な友達があ。アハハンさようならあああ。アハンアハン。
寂しくなった時には僕のことを思い出してね。いつでもチューリッヒで待ってるよおおおアハン」
ADSLは大好きな映画「SAW」をベースにしたゲームの草案をまとめようとしていた。
「えーと、まず2人密室に閉じこめて・・・その部屋に死体を置いて」
「スケーターは足が命でしょ?終盤、脱出時のあの展開・・・ヤバくないっすか?」
「・・・ヤバいか。じゃあのこぎりを叩いて曲を奏でる音ゲーってどうかな。斬新じゃない?」
「数十年前から横山ホットブラザーズがやっています」
ゲームクリエイターとしての限界を痛感し、ADSLは黙ってPCの前から去った。
ヤグディンは「俺はちっちゃくない」と呟き続けている
日本選手は「……」な顔でコメントを差し控えている
「あー…でも、ほら。
ヤグディンさんは体は小さめでも、気持ちは大きいというか、
態度は大きいから、小さく見えませんよ。」
沈黙に耐え切れなくなった大輔が必死にフォローをする。
…フォロー……?
遊んでばかりでなかなか目的地に辿り着かないDIVA一行。そこに新たな仲間が。
どか〜ん!と華麗に4Sを着地したのは勿論チャッキーである。
「Pちゃんっ!大丈夫っ!?」しかしお約束だが着地したのはジョニーの背中の上。
Pちゃんは恐怖した。
ランビ&ジュベは俺達、関係無いもんネー(*´・ω・)(・ω・`*)と避難を開始した。
「ケヴィン!どうしてここに・・・っていうかちょっと急いで降りて!早く降りて!とっとと降りて!!」
Pちゃんは焦りながらチャッキーをジョニーの背中から引きずり下ろす。
「さっき助けてってスケパシーが聞こえたから・・・でもなんか平気っぽいね」
「平気じゃないわよ。アタシの身体に傷がついたらどうすんのよ!パトリック!」
(ほら、やっぱり俺が怒られるんだ。背中に乗ったのはケヴィンなのに・・・)
ライサに肩車をしてもらい辺りを見渡すバトル。
その高さはグランドキャニオンを一望できる。ヘリコプターの観光客とも目があってちょっと恥ずかしい。
「あっ!あそこ!あった!」
「なにぃ、よし行くぞ」
バトルが指さす方向に全員を引き連れてジャンプ。着地して辺りを見渡すが…
「ジェフ、どの木だ?」
「え?違うよ。ここはセブンイレ○ングランドキャニオン支店だよ。
ちょうどリュックも軽くなってきたし探してたんだよね」
テディくん(仮名)を抱えてスキップしながらバトルは店内に入っていった。
「彼のお菓子好きは相当だね」
プルはため息をついた。
「ところで、エヴァン。君はどうして、そんなにその実にこだわるんだい?」
ウキウキでアイスクリームコーナーに向かうバトルだったが
彼のお気に入りのアイスは、既に荒川に買い占められた後だった
「絆創膏、貼る?」
偶然ポケットに入っていたバンドエイドを、チャッキーはジョニ子に差し出す。
固唾を呑んで見守るPチャン。我関せずのジュベ。
遙か上空を飛ぶコンドルを餌付けできないかと、ずっと上を向き続けて首が痛くなるランビ。
「別に出血はしてないみたい。大丈夫」
淡々と答えるジョニ子。一同安堵。
なおその頃、ADSLはパリの街角にいた。ムーンウォークなど交えながらお散歩。
目に付いたカフェで一休みする事に決めた。
「本日、マダムのよろめき完売!って何?ジュース?・・・誰が飲むんだ、そんなもの」
席に着き『宇宙人の溜め息』を注文するADSL。
どんぶり飯にピザとカニかまを載せてウオッカを注ぎ
チュッパチャプスがトッピングされた代物が出てきた。
とりあえず何味のチュッパチャプスか確かめる事にした
「色は黄色い」
チュッパチャプスをなめてみる。
ペロッ…
「こ…これは…!!」
リアルゴールド味であった。
PチャンのSOSはメル友?リッポンにも届いていた。
しかし彼はとても救助にいける状況ではなかったのだ。
「誰か・・・誰か助けて下さいーーーーーーーっ!!!」
ワンダーランドでバンジージャンプもどきに挑戦し、本人が助けを求めていた。
リッポン本人の絶叫とPチャンのスケパシーが完全にリンクしており、
「届いてはいたが気付かなかった」というガッカリな状態に。
「いや……あの……ほら……ええっと……
お…お菓子好きのジェフが絶賛するんだから興味持っても当然だろ」
「でもジェフから話を聞く前から君はその実を探してたじゃないか」
「…えーっと……オカ板で噂になってたし…………ってもういいっ嘘はやめだ。
これは内緒だぞ。実はあの実は…ゴニョゴニョ」
「凶暴さがなくなる実?本当なの?」
「本当だ。これはオカ板だけじゃなくて違う掲示板のグランドキャニオン板にも載っていた情報だし
間違いない。グランドキャニオン内でもかなりの奥地で、なかなかたどり着けないらしく
手に入れたことのある人間はほとんどいないらしいんだ」
「少数の人しか入手してない実の話がグランドキャニオン板に載るのかなあ。
意外と簡単に入手できたりして」
「いーや、俺はオカ板情報を信じてるからな。ジェフがコンビニから戻ってきたら肩車作戦再開だ」
(ふーん…凶暴さがねぇ…まあ、確かにテディ(仮名)は凶暴さが無くなったといえるけど、あれはどちらかというと
若返ったというんじゃ…『もも太郎』とか『西遊記』みたいな。あれは、泉か…ん?あれ…?)
と、プルシェンコ、胸のポッケにしまって忘れていたあの木の実を発見する(
>>114参照)
「ふむ」
案ずるより産むが易し、という事で取りあえず試してみよう!
「エーヴァン♪」
「ん?なんだ?」
「はい、あーんして。んがっくっく」
「え?んぐぅ、(ごっくん)」
ライサは木の実を飲み込んだ。
「お待たせ〜」
スキップをしながらバトルが戻ってきた。
「これで当分おやつにも困らないからね。店員さんがおまけって言って
テディにクラッシュアイスをくれたんだ。これで暑さも大丈夫だよ。
なんでかアイスが売り切れでってうわあああああああああああああああああ」
振り返ったライサを見てバトルは思わず悲鳴をあげた。
「うわああああああああぁぁぁっ!
エヴァンがっ、エヴァンが、白くて、小さいいいいいぃぃぃぃ!ひいいいぃっ!!!」
叫ぶバトルをきょとんと見つめるライサ。落ち着け、と自分を励ましながらバトルは尋ねた。
「あのーどちら様ですか?」
(ジェーニャの横にいるし多分エヴァン…なんだよね)
おそるおそる本人確認。
「なんだよジェフ、大声で叫んだりして。新しいカナディアンジョークか?面白くないぞ」
どうやらライサは自分の身に起こったことに気付いてないらしい。
隣ではプルが笑いをこらえて震えている。
「せっかくだから、ケヴィンも謎の実を探しに行きましょうよ。美貌を磨いて若返り〜♪」
「いや、別にそういうの必要じゃないんで」
さっきからケヴィン自由すぎ。Pチャンはハラハラしながら様子を見守る。
そんなPチャンを一瞥すると、チャッキーはジョニ子の方に向き直った。
「でもまあ……行ってみようかな」
Pチャンに同情しているのか。それともPチャンが若返る姿が見たいのか。
新しいボディガードが気に入ったのかチャッキーにあれこれ話しかけご機嫌なジョニー。
チャッキーはというと何故かむっとした表情で「はあ」「いえ」と言葉少なに答えている。
それぞれ物思いに耽りながら歩く一行。
ジュベ(若返りか…ジョニーの言うのはアンチエイジングとかそういう奴だろうけど、実際に若返ったら…
1プロ3クワドとかまた…いや、4−3−3とか…飛べるだろうか…)
ランビ(僕は若返らなくても、まだ十分女の子を楽しませられるけどね。でも、そうだな子供の頃…初めてクワドが飛べた時は興奮したっけ…)
P (ケヴィンの奴、なんで今日はあんなに機嫌が悪いんだ?頼むから変なこと言わないでくれよー)
チャキ(Pちゃん、どうして今日はあんなにびくびくしてるんだろう?いつもは明るくって元気で自信満々なのに。
なんかやつれているようにも見えるし…それって…やっぱり、きっと……)
チャッキーはぴたっと立ち止まってジョニーを睨みつけた。
(この人がPちゃんを苛め抜いたんだ!!)
「あら、どうしたの赤毛の坊や?眠くなっちゃったの?」
しかし、ジョニーには伝わらなかった。
(パトリックに代わって僕がガツンと言ってやる!)
「ジョニーさん、パトリックを振り回すのやめてください」
「そういえばケヴィンってまだ19歳よね。お肌綺麗だけどお手入れは何を使ってるのかしら?」
「いや僕の話を聞いて・・これ以上パトリックを・・・・」
「アタシ最近は目の下に時々疲れが出ちゃうのよね。19歳の時はそんなことなかったのに・・・
いい?若いからってケアを怠ってしまったら駄目よ。ストレスはお肌の敵なんだから」
「ケアなんて特にしたことないけど・・」
「僕も薔薇のお風呂に入ってストレスを溜めないようにしてるよアハン」
「ストレスには気をつけないとな。俺もいつも部屋であいつらをじーっと何時間も見ていると気持ちが落ち着くし」
「そうよね〜。ストレスって恐いわ〜。ケヴィンもちゃんと気晴らししてる?」
「あ・・はい。ゲームしたり音楽聞いたり・・かな」
そこから話が盛り上がるPちゃん以外の4人。
(ちょっケヴィンのやつ、あのメンバーにうまく入り込めてる・・・・・・・・いいなあ)
「ゲームかぁ」
「ゲームねぇ・・・」
「ゲーム・・・」
「ゲーム・・・?」
「アハンアハン」
DIVA一行は何かを思い出しかけていた
ADSLは『宇宙人の溜め息』からチュッパチャップス・リアルゴールド味だけを抜き取り、どんぶり飯他を突っ返す。
「ところで『マダムのよろめき』ってなんなの?」
「グランドキャニオン(ry 奇跡のジュース(ry 6月しか(ry」
「ふうん」
給仕の雑な説明を、ADSLは雑に受け流した。
ヤグディンはおやつのチュッパチャップスを舐めつつ、そのCMソングを口ずさんだりしている。
「やっぱり歌は俺の方が上手い。どんな歌だって、ムーディーに歌いこなしてしまう」
彼の囁くような歌声はキャンディよりも甘い。
隣にいた高橋はなんともいえないだるさに襲われてしまっていた。
「上手いんだけど・・・上手いんだけど、なんか・・・うーん・・・」
通りすがりのレイチェル・フラットはリッポンに新品のパンツ渡して一言。
「無様ね」
「あ、そうだCAPCOWの・・・進捗状況聞いておこうか」
ジュベが欧州支社に電話をかける。が、その横顔がみるみるうちに曇り始めた。
「データクラッシュって・・・そんないきなりな話が・・・ああそう・・・へえ・・・」
通話を終了し、ジュベは小さくメッドゥ、と呟きながら携帯をしまう。
「なぁにどうしたの?データクラッシュって?」
「
>>130のような状況らしい。データ復旧のめどがつくまで、CM撮影は延期・・・だとさ」
「なんですって!?・・・いやぁね、きっとサイバーテロよ」
ジョニ子それ違う―――あんたの「えんだーーーーーーーーーーーーーー」 が原因だ。
もうひとりのデータクラッシュ真犯人は、のんきにシロクマテディくん(仮名)をモフモフしている。
「ああ、プーフリクみたいだ。この子の方がちょっと剛毛だけど」
色白美少年ライサ(
http://tinyurl.com/2asbzfw)の事もついでにモフる。
「ははは、かわいいなあ。王子様みたい」
「ジェフといい、あなたといい、なんかさっきからおかしいぞ?」
パンツを大急ぎで履き替えたリッポンは、慌てて恩人・レイチェルを探す。
彼女はチュロスの屋台の前で、スイーツ欲を理性で押さえ込もうと悶えている最中だった。
「さっきはありがとう!御礼にいい物を見せてあげる」
「湿ったパンツなら、謹んでお断りするわ」
「それは捨てた。以前家族旅行をした時撮影した写メなんだけど……綺麗でしょ、この風景」
「あらこれ……何の木?」
荒涼としたグランドキャニオンを背に、大木がすっくと立っている。
桃色の小さな実が鈴なりになっている。愛くるしさと凛々しさを兼ね備えた美しい姿。
「すごいわ。CGみたい」
「なんとなく君に雰囲気が似てる。送信していい?」
「構わないけど」
パンツの御礼が謎の風景写メ。
等価交換とはいえないが、レイチェルは気に留めない。
見返りを期待したわけではないのだ。
「おい、ジェーニャ!何だよこれ」
「うん、実は
>>218」
「って、何でそんなこと…どーすんだよ、これ」
「そうだなぁ。君がテディと一緒に引き取って育てれば?」
「断る」
「……あー、何かお腹が空いてきちゃった。皆のとこ帰ろうかなー」
「駄目!ずるいぞ!責任とれよ。君が引き取れよ」
「えー、やだよ。今は可愛いけど大きくなったらあんなになっちゃうんだぜ」
「君ってひどい…本当にひどいよ……」
「だからお前らさっきから何の話をしてるんだ?さ、ジェフも戻ってきたし肩車作戦再開だ!」
きもち高い声でライサは言った。
「せめてエヴァンに言った方が…」
「大丈夫だよ。所詮木の実。時が経てば元に戻るよ。ジェフ、ほら肩車行ってきなよ」
プルに促されて渋々肩車作戦を再開するバトル。
小さいエヴァンに肩車されたところで何も見えないがバトルは健気に作戦を続けた。
見てるのに飽きたプルはコンビニの前に置かれていた無料のDVDつきグランドキャニオン案内マップを見ていた。
(『空からグランドキャニオンを見てみよう〜くも夫とくも婆のDVDガイド6月版〜』
へぇこれが無料なんだ。すごいなあ。内容は、と。
今月は、知る人ぞ知るパリの風変わりなカフェに期間限定提供中あの『マダムのよろめき』の
原材料を収穫から出荷まで大追跡、か。変な名前。
ジョニーあたりが喜びそうな名前と効能だけどププッ
飲む姿が想像できちゃうよ)
ヤグディンは変なスイッチが入ってしまい、ムード歌謡?を熱唱していた。
そのアダルトなけだるさに影響を受けたのか、日本女子勢はすっかり蓮っ葉に・・・。
深いスリットが入ったロングタイトスカートを履いたり、後れ毛をしどけなく掻き上げたり、
「アタイも昔はさぁ、ペンギンが鳥だって事に気付かないネンネちゃんだったもんさ」
とやさぐれたりしている。やたら昭和っぽい。
織田・高橋は甘いムードに悪酔いしたのか、酒も飲まずに昏睡状態。
小塚は耳にピーナツを詰め、脳内でレミオロメンの粉雪を熱唱し、耐える。が限界が近い。
対照的に、ロシア勢は平気な顔である。慣れているのか。
バトルのSOSは一度きりで心配なさそうだし、プルシェンコも遊びほうけているのか戻ってこない。
そしてゲームCMの件は延期になったと、CAPCOWから連絡が入った。
そろそろこの場末のスナック、いや宇宙船から脱出(おいとま)しないと―――小塚は憔悴していた。
いまや宇宙船の大部屋は昭和の香り一色と化していた。
「あれ?」
小塚はカウンター(?)の上に置かれた飲み物に目を留める。
『マダムのよろめき』
さっきのリフレサロンでお土産用に売られていた代物である。
「この飲み物は・・・・」
説明文を読んでいた小塚の目が突如見開く。
「薬効成分が強いため・・・・未成年の飲用禁止!」
小塚が真央と未来の姿を確認するがときすでに遅し
「・・・・・やばい・・・(でもちょっとラッキー?)」
いったい二人はどうなった?
その傍らで魂が抜けたようになっていた信成がゆらり、と立ち上がった。
「何やらこの宴は興をそそるのう…ワシも一つ、歌と舞を披露しようぞ」
(ちょまっ…御先祖余計ことはせんといて!頼むから)
昏倒した隙に乗っ取られたことに気がついた信成が、慌てて御先祖を止めるも時すでに遅し。
「にぃーんげーんごじぃーうねーん、げぇーてんのうーちーをくーらーぶーれーばぁ・…」
信成本人の意思に反して朗々と歌い上げられる「敦盛」は、ムード歌謡byヤグと見事に昭和と戦国の不協和音を奏でるのであった。
「きゃーなんだかお肌ツヤツヤ」
「気のせいかなんだか瞳もいつもより輝いてる感じ?」
「すごいですぅ。ほっぺツルツルで気持ちいいですぅ」
宇宙船内に持ち込んでいたせいか「えんだーーーーーーーーーー」の化学反応を受けていなかったようで
通常の『マダムのよろめき』の効能が出たようだ。
Pちゃんに久々にリッポンから写メが。レイチェルと二人仲好くチュロスをくわえている写真だ。
「レイチェルの奴、また太るぞ」
その写メをジョニ子が横から覗き見る。
「やっだ〜!かわい〜!何?あの二人付き合ってるの?!
や〜ん、お似合い…かどうかはあれだけど、初々し…、ま、少なくとも一人は初々しいわね!」
真面目なチャッキーは顔を顰めて
「そういう邪推はどうかと…ただの仲の良い友人関係かもしれないし…」
Pちゃんは引きつった顔でジョニ子の様子を窺うがジョニ子は気を悪くした風もなく
「んもうっ!ケヴィンったらいちいち反応が可愛いわねっ!この赤毛ちゃんっ!!」
と、チャッキーの髪をわしゃわしゃする。
「ちょ、やめて下さっ…こ、子供扱いするなっ、うわっ…!」
そんな二人をPちゃんは微妙な瞳孔で見つめ、そんなPちゃんをジュベは生温かく見守り、
ランビはコンドルの餌付けに成功していた。
「ちょっと!リッポンったらバンジーやってちびっちゃったって書いてるわよ!」
「ジョニーさんはツイッターやってる割に情報が遅いですね」
(ケヴィン、いい加減自重しろ・・・・)
Pちゃんがハラハラしてる割にジョニーは意外とチャッキーとうまくやっていた。
ジョニーからリッポン情報を聞いたランビは、ジュベの予備のパンツをコンドルの足下にくくりつけ
リッポンの元に持って行くように言付けたのだった。
りっぽんの元に届いたパンツは当然白鰤であった。
「ブライアン」のネーム刺繍入りである。息子を愛するママンが夜なべして縫い上げた。
「あら、コンドルがブリーフ持って飛んできたわ」
「ネーム刺繍入りだ。大事なマイブリーフを届けてくれたジュベールに、感謝!」
「ところで・・・写メの美しい実は、味も素晴らしいの?」
レイチェルの問いに、リッポンは顔を軽く左右に振った。
「旅先でとっていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ、だよ。
僕はこの実を食べていない。きっとおいしいだろうな、って思うだけでいいんだ」
リッポンはチュロスを買い足し、ブリーフに包み直してコンドルに持たせてやった。
「僕はもう下着を履き替えている。でも助けてくれるって気持ちには応えなくちゃ」
「律儀ね・・・これからどうする?私、連れとはぐれてしまったみたい」
「僕の友達は気を利かせて帰ったようだ。エスコートしていい?」
レイチェルは余裕たっぷりの笑顔でうなずいた。
「バンジージャンプでなければ、ね」
コンドルは再びランビの元に帰ってきた。
「あれ?まだ僕のブリーフ持ってる」
ジュベがブリーフを開くと、中から感謝の辞を述べた手紙とチュロスが出てきた。
「丁寧な子だね」
ジュベはブリーフに包まれていたチュロスを半分に折ってランビに分けてやった。
ランビは食べるのをちょっと躊躇した。
『マダムのよろめき』の効能に驚く小塚
一緒に置いてあった『色男のたしなみ』と『筋肉美へのあくなき追求』の間で心が揺れる
その隣ではご先祖様がものすごい勢いで『宇宙人のため息』をすすりこんでいた。
『色男のたしなみ』『筋肉美へのあくなき追求』を一気に飲み干した小塚。
『宇宙人のため息』をすすり終えたご先祖さまと共に効果がでるのをwktkしながら正座して待つ。
しかし実はそれらは『マダムのよろめき』のような木の実を原材料として使ってるわけでもなく
ただのちょっと変わった名前のメニューなだけだった。
その後、あんまり好みじゃない味だけど無理矢理口にしたのに何も起こらない…と嘆き合う2人であった。
肩車作戦続行中のバトルとライサだったが、
いくら頑張っても小さくなったライサの肩車で遠くを見渡せるはずもない。
「ちょっと疲れた…休憩しよう」
バトルが下りるとライサはくたくたになった様子で地面に座り込んだ。
「ジェフ、おまえお菓子の食べ過ぎで重くなったんじゃないか?」
「え?そんなことないよ?」
本当はライサが小さくなったせいだが、ジェフは本当の理由を言いだせない。
「とりあえずここからだと見えにくいかもしれないから、他の場所にいかない?」
「他の場所ってどこに?」
「う〜んそうだねぇ…もっと高くて広々と見渡せるようなとことか…」
あれこれ考えるバトルの傍らでプルとテディくん(仮名)は暑さに耐えかねていた。
「ジェフ、僕宇宙船に帰りたいんだけど。ここ暑いし」
「そんなこと言わずに協力してよ。暑いならここに宇宙船呼べば…あっ!」
バトルは何かひらめいたようだ。
「ジェーニャ、ここに宇宙船呼んでよ!そうすれば高い場所から探せるし、君もテディも涼しいだろ?」
「う〜ん…それもそうだねぇ。じゃあそうしようか」
プルは「かくちーかくちー」の呪文を唱えると、程なくして宇宙船がやってきた。
「きゃー!かわいーーー!!」テディくん(仮名)の登場に嬌声を上げる真央、美姫、未来。
早速、抱っこさせてー、とバトルを取り巻きはしゃいでいる。
ヤナ、イーラのお姉さん組は、少年ライサを見とめ
「あら、どうしたのこの子?迷子?」
「まあ、可哀そう。大丈夫よ。この宇宙船でママのところへ連れて行ってあげるからね」
と、腰を屈めてあやす。
「お、おい!何を言ってるんだあんた達まで!」
抵抗するライサを宥めて、プリャーニキ食べる?と宇宙船の奥へと連れて行ってしまう。
そんな三人をプルはにやにやしながら見送っていた。
一方、ユウコちゃんはテディくん(仮名)にも少年ライサにも全く関心を示さず、
宇宙船の戸棚からホッピーを取り出すと、どっか、とヤグの隣に陣取り、もっと歌えと目線で促す。
いつの間にか衣装も由紀さおり・安田祥子姉妹的なものにチェンジしていた。
「さて、仕事の件が保留になったわけだし、心おきなく美貌の実を探すわよ!」
はりきるジョニ子を前に、チャッキーがボソッと呟く。
「……そんなにがんばらなくたっていいのに」
とたんにジョニ子の耳たぶが真っ赤になる。
「え、ちょ、何言ってるの、坊やったら。大人をからかうもんじゃないわ」
「別にからかってないし」
「じゃ、あの……本気で、思ってる?」
ジョニ子は両頬に指先を添えて上目遣いで問う。チャッキーはかったるそうにうなずいた。
ジョニ子以外、その場にいたメンバー全員が気付いていた。
チャッキーは何も考えていない。
『男だしそんなこだわらくていいんじゃね?』程度の気持ちで、素直に感想を述べただけだ。
しかしわざわざ説明するのも面倒なので、なんとなく旅を再開する。
「探すったって…闇雲に歩き回るのって時間の無駄だと思う」
チャッキーの言葉にうんうんと頷くボディガード一同。
「確かにそうよね。じゃあそれぞれの案を聞くとするわ。まずはボディガードその1」
「てんとう虫に聞いてみるのはどうかな。彼らは羽根を持って飛び回ってるからきっと詳しいはずだよアハン」
「保留!その2!」
「ママンにメールしてみようか?」
「却下!その3!」
「そういえばアダムが家族旅行でここに来たって言ってたっけ。なにか知らないかな」
と言うわけで、とりあえずリッポンに話をきくことになった。家族旅行の内容をレポるように、
と書いた手紙と共にコンドルを飛ばした。
(メールすればいいんじゃね?)とチャッキーは思ったが言うとまだめんどくさいことになるし
ジョニー+ボディガード軍団の好きにやらせることにした。
リッポンからの返事を待ちつつ夜も更けた事だし夜営の準備をするDIVA一行。
いや、いっぺん帰ればいいんじゃね?というチャッキーの意見は却下。
ちょっと旅が楽しくなっていた4人だった。
チャッキーが4Sで往復し、キャンプセット、食糧その他、セブンイレ○ングランドキャニオン店で調達する。
「偶にはこういうのもいいわよね〜」などど、マシュマロを焚火で炙ったりしている。
「懐かしいな。ジュニアハイの頃のサマーキャンプみたいだ」
つい、この間まで高校生だったPちゃんが呟く。
「うん。そうだね。でも僕は、学校行事には参加した事ないんだけど…」
「へ?なんで?」
「うん、僕…自宅学習組なんだ。………スケートの練習に集中する為に」
最後の方はもごもごと聞き取りづらくなってしまったチャッキー。
「………ふーん」
なんとなく黙り込んでしまったPちゃんとチャッキーだった。
「さっきのコンドルが今度は伝書コンドルになって、また飛んできたわ」
「グランドキャニオンに行った時の事を訊きたいってさ」
「手紙はPチャン・ケヴィン・ジュベール・ランビエール・ジョニ子の連名―――ふむ、なんか匂う」
「パンツはすぐに履き替えたよ」
「そっちじゃなくて」
ワンダーディナースペシャル(1ポンドステーキ2枚・ベイクドポテトとパンとデザート山盛り)を
平らげながら、レイチェルは静かに忠告する。
「面子的に違和感があるの・・・この件、慎重に対応した方がいいわよ」
レイチェルを宿まで送り届け、リッポンはまっすぐ自宅に帰った。
確かに何か不自然だ。ド直球男Pチャンが、いつになく隠し事をしているような気がする。
なかなか寝付けず、何度も寝返りをうった。
みんなでキャンプファイヤーを囲む中、Pちゃんがジョニーに
「小さい頃のジョニーはどんな子だったの?」とうっかり尋ねてしまった。
それがジョニーの全レス精神にも火をつけてしまった。その後ジョニーの
想い出話は一晩中続き、全員寝不足になったのは言うまでもない。
そのおかげで全員ジョニーの人生の10分の1ほどは完璧に語れるという
披露することのない特技を身につけてしまった。
一方スミルノフは、ヤグの歌声にも慣れているので悪酔い状態の高橋を看病している
「ダイスケ〜迎え酒が効くってユウコから聞いたから、キミの好きな冷酒を用意したよ!」
スミルノフの介抱で、どうにか高橋は持ち直した。チビチビと冷酒を嗜む。
「おう、俺にも一杯くれよ」
ライサがやってきた。
まだ自分が10歳足らずの少年に変身してしまった事に気付いておらず、ダンディ気取りである。
「なんならウォッカでもいい。この部屋は寒すぎる」
高橋は吹き出してしまった。
「そんな背伸びしなくても、お兄ちゃんがホットミルクを作ってあげる。待ってな」
「お兄ちゃん?何言ってるんだお前」
いぶかしむライサの頭を撫でてやり、高橋は手早くホットミルクを用意。
カレーまで(誤って生姜をディスポーザーに落としたりしつつ、2時間がかりで)作る。
煙がたちこめ、警報機が作動した。
迂闊に深く関わらない方がいいかもしれない。
レイチェルの助言と併せてリッポンが一晩かけて考え抜いた結果だ。
リッポンはグランドキャニオンの広大な景色について当たり障りのない優等生的レポを書き
観光の参考になったから、とグランドキャニオンのコンビニで無料配布していたDVD付きのガイドマップを添付しコンドルを飛ばした。
パトリックごめんね、僕は出来るだけ穏やかな生活を送りたいんだ。
大輔のカレー作りの煙により警報機が鳴ると同時にスプリンクラーが作動し、消火用の水が周辺に降りそそいだ。
「火事だぁ!」「え?どこどこ?!」
さらに警報機の音を聞いて、消火器片手に駆け込んできたヤグとプル。
煙の立つ場所に向かって二人で消火器を勢い良く噴射した。
「ふう…たいしたこと無かったみたいだね」
煙が収まってほっとした様子のプルだったが、隣のヤグは笑いを堪えている。
よく見たらライサと大輔とスミルノフが消化剤を浴びて真っ白になっていた。
「気に入らないわね」
リッポンからのレポートを一読し、ジョニ子は言った。
ちゃっかりビーチリゾート用具一式を調達し、カウチに寝そべり手にはカ○ピス。
傍らではうんざりした顔のチャッキーが巨大な扇(葉っぱ?)で風を送っている。
「何が気に入らないんだい?てにをはのしっかりした良いレポじゃないかアハン」
「だーめ。全ッ然、面白みがない。それに、肝心のレイチェルとのデートの詳細が書いてないじゃない!」
(そっちかよ!)一同、心の中でつっこむ。
「アタシに内緒であの二人ったらあんな事したりこんな事したり…ダメダメ!詳しく聞かな…
じゃなくて、ひとこと言ってやらなくちゃ!先輩として!!」
周囲の白けた空気も物ともせず、ジョニ子は立ち上がった。
「パトリック!案内しなさい!!ケヴィンはアタシをお姫さま抱っこ!!」
「はあ!?何で僕が、うわっ!」
チャッキーの反論など意に介せずジョニ子は問答無用でのしかかった。
「行くわよ!アンタ達!遅れるんじゃないわよ!」
こうしてDIVA一行はグランドキャニオンを後にした。
フランス
「奥さ〜ん。これ作りすぎたのでよかったらどうぞ〜」
「あら、ジュベールさんところの奥さん。おいしそうなカリフラワーのピューレね〜」
「ブライアンが居ないのを忘れてついつい作りすぎちゃったのよ。もらってくれるかしら」
「もちろんよ。息子さんはまた試合かしら?いつも大変ね」
「違うのよ〜今はなんだかボディガードやってるらしいわ。ちゃんと1日30通ほど
メールで連絡してくれるから、どこへ行っても親としては安心なんだけどね」
「まあ、つくづくできた息子さんね。あっちょっと待っててね……………………………
どうぞ、これよろしかったらお返しに。美肌効果抜群よ」
「これはジュースかしら?そのまま飲めばいいの?」
「ええ薄めずにそのままどうぞ。知り合いのカフェのオーナーからもらったんだけど
見て、お肌ツルツルでしょ」
「ほんと、奥さん綺麗だわ〜やっぱり女性はいくつになってもお肌は気になりますもんねえ」
「ねえ〜〜〜」
早朝、エマニュエル・サンデュの携帯が鳴った。
「だぁれ?こんな時間に…あら、珍しい人からねぇ」
シーツにくるまりもぞもぞしながら、通話を開始する。
「スタンフォード大学入学おめでとう。入学祝いの催促? んな訳ないわねw
…ええ、トロントはアタシの庭よ……そんな不穏な動きが? …気には留めておくわ」
信頼性の高いネタ元からの情報に、サンデュの眠気は一気に吹っ飛んだ。
「ジョニ子、あんた何を企んでるの?」
通話を終え、レイチェルはそっと溜息をついた。
「―――エスコートの借りは返したからね」
打てる手は打った。万が一の時は、リッポン自身の力で切り抜けてもらうしかないが。
そのころの宇宙船
まお「テディ君ふかふかだね〜。」
未来「次あたし抱くの〜!」
美姫「暑そうだから毛をちょっとカットする?」
バト「お菓子あげるからそれだけはやめて!」
ヤナ「あら、イメチェン鉱石って此処で採れるらしいわね。」
イーラ「ならこの宇宙船のサウナルームに敷き詰めておこうかしら?」
プル「僕の宇宙船なんだけど・・・・・」
ヤナ&イーラ「コマケーことは(ry」
大輔「俺のカレーおいしい?」
少ライサ「うん・・・・・」
大「返事が小さいな〜。そんなんだと体が大きくなっても存在が小さいまんまだぞ!」
少「いや、だから・・」
大「言い訳せずに大きな返事!」
少「はい!(あ〜も〜!!)」
崇彦「(・・・なんか何スレか前の俺の様な気がするけど・・・・気のせいか)」
以下ry
「テディ眠そうだね。そろそろ眠る?」
そう言ってバトルがテディくん(仮名)を抱えた瞬間
テディくん(仮名)が元のシロクマの大きさに戻った。
「はうっ」
べしゃ。バトルはテディくん(仮名)に潰されてしまった。
「やあ、良かったね、ジェフ。ほうら時間が経てばちゃんと元に戻るだろう?君は心配しすぎだよ」
「(…ぐぐ、それより早く助けろ、ジェーニャ…!)」
プルはバトルをテディくん(仮名)の下から引っ張りだす。
元に戻ったとはいえ、テディくん(仮名)は
>>172でわかるとおり温和な性格だ。バトルとの友情だって変わらない。
「ふんふん、なるほど物語時間で2〜3日ほどで戻るのか?」
「物語時間ってなんだよ」
「大人の事情だ」
「ちょっと!ジェーニャどういう事?」とヤナ他が目を丸くして見ている。
「うん、実は
>>174みたいな」「でも、テディはいい子だよ!!」とバトル。
「うんうん。まあ、それよりもジェフ」とプルはバトルにこそっと囁く「エヴァンの事はもう少し内緒にしとこう」
「なんで、って、まあ、聞かなくても解るけどさ…」
「そう!その方が面白いからに決まってるじゃないか!!」
午前のうちにリンクでの練習を済ませ、帰りがけにスーパーによるリッポン。
大家族育ちで家事に慣れているおかげか、自炊はさほど苦でない。
「昼食は新メニューに挑戦だ。コストナーさんスレを参考にしたりして」
あれこれ食材を買い込み、ささやかな幸せ気分を胸に店を後にする。
「ハーイ!アダム!レイチェルに手料理でもごちそうするのっ?」
目の前にバラが咲き乱れ、ジョニ子登場である。ボディガード軍団も一緒だ。
ジュベ「・・・恋バナからむと、ジョニ子はパワー発揮するよね」
ランビ「素晴らしいじゃないか、アハン」
Pチャン「バラのトゲが刺さって痛い!」
チャッキー「絆創膏、いる?」
5人をしげしげと眺めたあと、リッポンは無言で路上に散らばった花びらの掃除を開始した。
元の大きさに戻ったテディくん(仮名)。
女子選手たちは驚くかと思いきや、テディくん(仮名)の背中に乗って遊んでいた。
「テディく〜ん!今度はあっちに歩いてみて!」
「真央ちゃんばかりずるいですぅ!未来も乗りたいですぅ!」
「その次は私が乗るわよ!」
「そんなに一度に乗ったらテディが可哀想だよ〜!」
はしゃぎまくる真央・未来・美姫とおろおろするバトル。
当のテディくん(仮名)は女の子一人乗せたぐらいでどうということは無く、
悠然と周囲を歩き回っていた。
「レイチェルなら、もうアメリカに帰ったはずですよ」
掃除しながら淡々と答えるリッポン。ジョニ子の背後の薔薇が急に萎れた。
「……なんかアンタと話してると、調子狂うわ」
「すみません」
「えーと、レイチェルとデキてるんじゃないの?」
「デキてません。昨日は彼女が僕を助けているうちに友達とはぐれちゃったから、
夕食まで一緒に過ごしただけです」
「仲良くチュロス食べてたじゃないの」
「そりゃ、チュロスぐらい食べますよ。夕方になるとお腹減るし」
リッポン、常に真顔である。
「ふうん……そう」
「じゃ、僕行きますね。冷凍食品がとけちゃうんで」
家路を急ぐリッポンを見送り、ジョニ子一行、全員拍子抜けである。何しに来たのか。
なお、レイチェルが仕掛けた最終兵器・エマは、自室で二度寝していた。
アフリカの民族楽器『ブブゼラ』の響き渡る宇宙船大部屋。
皆はカラオケセットのモニターを息を呑んで見つめていた。勿論サッカーW杯南アフリカ大会である。
「やったー!日本大表決勝T進出決定!」
「ニッポン!ニッポン!」
宇宙船の中の、日本人選手は勿論アメリカもロシアも・・・国籍関係なく全員で祝賀ムードだ。
しかし、ご先祖様は嬉しさのあまり南アフリア大会公式球 "JABULANI" を宇宙船の天井に思い切り蹴り上げてしまった!
宇宙船が不気味な音を立てて、そして勝手に動き出した。大いに焦る信成。
〜DIVA一行トロントのマックで休憩中〜
「有り得ないわ…!健康な若い男女がディナーまで共にして何も無いなんてっ」
「まあ、確かに有り得ないよね、常識的に考えてアハン」とランビ。
「いや、普通に有り得るだろう、常識的に考えて」とジュベ。
「そういえば、Pちゃんはどうしてジョニーさん達と一緒にいたの?」
「え?そういえばなんでだっけ?確か…
>>23がきっかけで…
あれ?もしかして俺って今回ほぼ始めからずっとDIVAと一緒?それってもしかして準主役ってやつ?!
うわー。出世したーーー。2スレ前はヒトデですた」
「?Pちゃん何の話?」
「うん、何でない。ただの楽屋落ちネタ」
「なんだ、そっか(ニコ」
二人は仲良く、こきゅこきゅコーラを飲んだ。
勝手に動き始めた宇宙船。予測不能な動きに船内は騒然とした。
「あ〜もう!成君…て言うかご先祖様!どうすんですか!!」
「…すまぬ。面目ない」
小塚に睨まれてさしもの御先祖様もたじたじだ。
「みんな落ち着いて!とにかく動きを止めてくるから!!」
プルは宇宙船の操縦室に駆け込むと、操縦席の赤いボタンとレバーを操作した。
そう、前回の温泉巡りで宇宙船暴走の際に使用したリセット装置である。
というわけで、ひとまずは動作が安定した宇宙船だった。
「ところで…ここいったい何処なんだろう?」
周囲はプルの見覚えのない場所だった。
「……ちょっと素っ気なさすぎたよな」
昨日から妙な動きがあったせいか、登場が騒々しすぎたせいか、突然女性関係について
詮索されたせいか、リッポンはジョニ子たちに対して態度を硬化させてしまったのだ。
ひとりぼっちのキッチンで溜息をつく。
いっそ、ジョニ子姐さんのノリに乗っかってハジけたほうがよかったのかもしれない。
そう、こんな風に(
ttp://twitpic.com/fv5ks)。
「いつもよくしてもらってるんだし……昼食でも一緒に、って誘えばよかった」
後悔のあまり、巻き毛がしんなりと伸びてしまう。ストパーをかけそこなったみたいに。
「いきなり暴走しやがって、あぶねぇな全く…ん?」
ぼやくヤグの視線の先には、先程サッカーの応援で活躍していたブブゼラ。
その中に、明らかに違うものが紛れ込んでいる。
大きな巻貝の先に短い筒がついているそれは、そう『法螺貝』である。
いったい誰が持ち込んだのか。
「これも多分、楽器なんだよな?ちょっと吹いてみるか…」
語り部第2章は大盛況のうちに幕を閉じた。
スーパーの売り上げも過去最高を記録した、ということで
店長からお礼にある包みをもらった。おかげでジョニーはすっかりご機嫌だ。
再びマックに戻りドキドキしながら包みを開ける。
「なによこれ」
中に入っていたのはただの石。
「最近流行りの鉱石って言ってたよねアハンアハン」
「ハヤりぃ?アタシの耳には特にそういう情報入ってないわよ。
適当にあしらわれたのかしら」
「アダムに聞いてみない?いきなり現れたお詫びも・・したいし・・・」
ちょっとビクつきながらのPちゃんの提案にボディガード軍団も賛成し、再びリッポンの元へ向かうことにした。
「アタシが二度寝しているうちに、ジョニ子たちが来ちゃったってわけね。間が悪い事」
エマはリッポン宅に上がり込み、すっかり寛いでいた。
「ジョニ子さんたちはグランドキャニオンのお宝?を探して僕のところまで来た、と」
「そうよ。でもあんた、肝心の情報を渡してはいないみたいね。さっすがー」
「お宝ってなんですか?」
「ふふ、知ってるくせに」
単刀直入すぎる質問を、エマはミステリアスな荒木顔スマイルでかわす。
「雄大な風景ですか?」
「しらばっくれてんじゃないわよ、坊や」
エマがリッポンのしょぼくれきった巻き毛を指先で弄ぼうとした、その瞬間。
「アダム〜!おみやげ持ってきたわよ!」
素敵鉱石をわしづかみにしたジョニ子が乱入してきた。
「…あら」
「…まあ」
再び相見えたジョニ子姐さんとエマ姐さん。リッポン宅に緊張が走る。
走るのは緊張だけではない。
早速エマ姐のウィンクでピンクのフラミンゴがリッポン宅を襲った。
負けじとジョニ子も薔薇の花を咲き乱れさせる。
「うわっ、嘴がっ」「羽毛が眼に」「痛っ!刺がっ」「絆創k…」「アハンアハン」
「「うるさいわよっ!アンタたちっ!!」」
姐さん二人に一喝されて静かになるボディーガード+1
その隙に今回ばかりはジュベランビよりも先に避難しようと、こそこそしているP&チャキがいた。
(昨日掃除したばかりなのに……)
カーペットの上に隙間なく敷き詰められたかのような薔薇の花びらや葉っぱ、そしてフラミンゴの羽根。
(あああああっそこで食べ物をあげないで)
ベッドに腰掛けフラミンゴに食べさせようとクッキーを砕いているランビの姿が目に入る。
ジュベも横で手伝っていた。
(あああああっ走り回らないで)
Pちゃんとチャッキーが暴れるフラミンゴを捕まえようと部屋を縦横無尽に駆け回っている。
(あああああああっそれ以上睨み合わないで)
エマとジョニ子の視線が絡み合う度に部屋にはフラミンゴと薔薇が溢れかえる。
「見慣れない草原だなあ。ちょっと外に出てみよう」
プルが宇宙船の扉を開く。
「お、いい感じに音が出そうだぞ。さすが俺」
ヤグがホラ貝を音高く吹き鳴らす。ぷぉ〜〜〜。
人馬一体となった鎧姿の軍勢が左右から押し寄せてきた。
御先祖様はキック一発で時空を歪ませてしまったらしい。
(
>>266と
>>267の投稿時刻が前後しちゃってるあたりに、それが顕れている)
鎧武者の一団と遭遇したプル一行。
「君がへんなもの吹くから集まってきたじゃない!」
「元はと言えば宇宙船が暴走したからだろうが!」
言い合っているうちに周囲を取り囲まれる。
「なにやら怪しい異人共がいるぞ!ひっ捕らえろ!!」
「この野郎!離せ!」「ちょっと、僕達なにもしてないよ!!」
鎧武者に捕まりかけたプル一行。だったが。
「者共静まれ!ワシの顔が解らんか!!」
オーラを漂わせたご先祖様の一喝で周囲が鎮まった。
「この方たちはワシの大事な客人じゃ!手荒な真似をするでない!」
「…これは親方様!失礼いたしました!!」
とたんにひれ伏せる鎧武者たち。どうやらご先祖様の家来のようだ。
よくわからないけど、とりあえずご先祖様のおかげで助かったようだ。
「失礼つかまつった。お詫びにワシの城で宴を開こうぞ!わははは!」
ご先祖様の指さす方向には奇妙な形の城…安土城が建っていた。
安土城の人々は驚いた。
法螺貝の音で出陣したお館様の軍勢が戻ってきたと思ったら、その後に空に浮かぶ金色の船が現れたのだ。
「あれは何じゃ?!」「もしかしてかぐや姫が乗ったという月の船かも・・・」
ひそひそ噂する中、その月の船が城の前に下りると中から威厳に満ちた鎧武者を含む一団が現れた。
「あれはお館様!月の船に乗っていらしたとは!」
「ということは一緒にいるのは・・・月の都の人か?!」
「見れば髪もお月様のような色だし、そうに違いない!」
「我等のお館様は月の都に行き来されているのか!さすがじゃ!!」
知らないところで信長伝説に色を添え、この時代でも宇宙人認定されてしまうプルだった。
「お願いだから…お願いだから止めて下さーーーーい!」
半べそのリッポンの叫びにぴたっと5人の動きが止まった。
「まあ!ごめんなさいね、アダム。アタシったら、ついむきになっちゃって」
ジョニ子はリッポンの巻き毛をよしよしする。それから部屋を見回し
「まあ…これは酷いわよね(苦笑)よし!あんた達、片付けるわよ!」
ジョニ子の号令一発、大掃除が始まった。
窓を開けて大量召喚されたフラミンゴを放つ。
「でも、一匹くらい残してもいいよね」と、ランビは今回3匹目の鳥のお友達を得た。
何故かカナリヤが一匹混じっており、リッポンの頭に巣を作っていた。
チャキ「可愛いなぁ。『ピピネラ』って名前にしよう」
P「なんで『ピピネラ』?」チャキ「『ドリトル先生』に出てきたんだ」
ジョニ「ほうら、あんた達、お口じゃなくて手を動かしなさい」
P、チャキ、アダム「はーい」
エマ姐さんもなんとなく毒気を抜かれてしまい、黙々と薔薇の花びらと葉を選り分けていた(後でお風呂に使う)
エマもジョニ子の実力を認めてはいる。
できればこれ以上の直接対決は避けたいという気になってきた。
まずこっそりお宝を横取りし、その効能を堪能しつつ産地を探るのはどうか。
テーブルの上に置き忘れられている鉱石に、エマがそうっと手を伸ばした瞬間、
横からそれをかっさらった男がいる。
カナリアヘッド・リッポンである。
何か吹っ切れたのか、弾けきった笑顔だ(巻き毛も回復)。
「みんな夕ご飯食べていって!そうだ、モンゴル料理のホルホッグに挑戦しよう。
羊肉の石焼きなんだ。まず焼けた石を用意して、と」
エマの大事なお宝?をおもむろにコンロに乗せ、火をつけた。
リッポンが振る舞う料理に感嘆の声を上げる一同。
その間にもじりじりと熱せられる鉱石。
石から放たれる熱が室内に篭もってきた。
そして変化はまずリッポンに起こった。
いつもより巻き毛がややきつめになったのだが残念ながら誰も気付かなかった。
―――ああっアタシのお宝が羊肉まみれにっ・・・!
エマは焦りまくるが、みんな食卓に集まってしまった以上、もう「こっそりと」鉱石を持ち出すのは不可能。
それに、真っ赤に熱せられた鉱石を奪って逃げるのは、あまりにもリスキー。
宴が一段落するまで待つしかない。
安土城の宴も華やかに続く。
ここぞと和服や鎧を着せてもらって、異文化体験を楽しむ海外勢。
「やたらと紐でぐるぐる巻きにされるし、重たいし、サムライって大変なんだな」
などと盛り上がっている。
ちびっこライサも兜だけかぶらせてもらい、テディにまたがりお馬の稽古。
そろそろ物語時間のリミットが来るんじゃないか。大丈夫か。
「ふん。つまりあんた達はその謎の実を探す為にグランドキャニオンにいた、と」
「はい…」「はい…」
ソファに長々と寝そべるエマの前でPちゃんとチャッキーは何故か正座して小さくなっていた。
特に悪い事はしていない(はずだ)し、料理も美味しかった。が、エマは矢鱈と機嫌が悪い。
火傷していない方の手でさっきの料理に使った石を弄んでいる。
「…で、なんなの謎の実って?」
「えーと…若返りの実?」「いや…あの…性格が穏やかに…ごにょごにょ」
「パトリックッ!はっきり喋りなさい!!」
エマの一喝にびくっとしてしまうPちゃん。
「ただの美容ジュースの原料だよ、エマ」「そうそう、柘榴とかアセロラみたいなね。アハン」
見かねた先輩二人が助け舟を出してくれた。
「ママンの友人の間でも流行っていてね…メールで…」ジュベがエマに説明する。
Pちゃんは生まれて初めてジュベに感謝した。ブライアン!君はやれば出来る漢だと思ってたよ!(←上から目線)
因みにジョニ子はリッポンを引きずり込んでのお風呂タイムである。
レイチェルとの恋バナがどうしても諦めきれなかったらしい。
南蛮文化にインパクトを受けたご先祖様の趣味全開の安土城内の宴は続く。
一行をもてなす為の踊りを見ているうちに、プルは自分も踊りたくなってきた。
「僕も踊っちゃおうっと!」
スケート力を使って変身したのはタンゴ・アモーレ(薔薇衣装)だった。
早速宇宙船から持ってきたカラオケセットから曲が流れはじめる。
「おお!月の都ではあのような舞を踊るのか!!」
「見よ!空中でコマのように回っているぞ!!何と言う奇術じゃ!!」
悩殺腰振り&4Tにド肝を抜かれるお城の人々。
「これは是非書き留めておかねば!」
ご先祖様お抱えの絵師がその様子を描いていた。
―後日、「織田信長にまつわる古文書発見」というニュースが新聞に載った。
『ある日信長公が月の船に乗った使者を安土城に招いた』という記述と、『摩訶不思議な月の使者の舞』という絵が見つかった。
もろ日本画調なので本人の実際の姿は不明だが、金髪で鼻が大きい人物らしい…という事だった。
Pちゃんががエマの手に包帯を巻きながら聞く。
「さあ今度は先輩の番です。その石は一体何なんですか?」
「え?あんた達ってばなにも知らないの?」
「最近流行りの石だって聞いたけど詳しいことまではねアハン」
「てっきり知ってるもんだと…あんた達、自分たちの姿を見てみなさいよ。何か気づかないの?」
「自分たちの姿って?」
鼻の下にドジョウ髭を生やしたPチャンは首をかしげた。他のメンツは―――
インタビュアー・ロマノフに扮したジョニ子は、リッポンに容赦なく質問を浴びせている。
「で、携帯電話持ってるレイチェルが『友達とはぐれた』っておかしいと思わなかった?」
「そりゃ思ったけど、女の子が『どうしましょう、お友達とはぐれちゃった』ってしょげてたら
(リッポンの記憶は少々美化されているご様子)『じゃ、一緒に遊ぼう』っていうのが筋でしょ」
「なんで二人っきりで遊んでたんですかー?あんたの友達は?」
「だから、どっか隠れちゃったんですってば。すぐメール来ましたよ。『健闘を祈る!』って」
「で、健闘したの?どうなの?どこまでイッたの?」
「何もしてませんって。勘弁してください、ほんと」
食い下がられ続けて、リッポンは苦笑するしかない。
―――レイチェル、「慎重な対応」なんて、このパワフルな先輩相手じゃ、なんの意味もありゃしないよ・・・。
「自分たちの姿?…ん?」ジュベは某所に違和感を覚え、そっとズボンの中を覗いて見た。
「ああっ、白鰤が黒のボクサーパンツになってる!」
一方の安土城。宴は一段落し、今は天守閣を見学していた。
ヤグ「うむ。やはり、金は素晴らしいな。俺様に良く似合う」
プル「ほーんと、金は美しいよね。僕様の方がもっと似合うけど」
ヤグ・プル「・・・・・・・」
テディ「ガウッガウッ♪」(←涼しくなって嬉しい)
美姫「ふーん。エヴァン君っていうんだー。ここで迷子になったら大変だからね。
絶対、お姉ちゃんの手を離しちゃだめよ?」
少年ライサ「ミ、ミキがそう言うなら・・・」
美姫「こーら。ミキ、じゃなくてミキお姉ちゃんでしょ」
少ラ「・・・・・・」
ユウコ「(・・・『名探偵コナン』のパロディかしら)」
スミ「ユウコ〜。素敵は眺めだよ〜。海まで見えるよ〜」
ユウコ「(・・・スミルノフ、それは琵琶湖よ)」
「フフンまだまだアンタはお子ちゃまってことね。わかったわ。今度アタシが
体験談を踏まえて色々と教えてあげるわ」
「……ハイ」下手に反論するとまた面倒なのでこの場はジョニ子の従うことにする。
「さて、先にあがっていいわよ。アタシはここの掃除をしてから出て行くわ」
すでにKaboomのスプレーを手に持っていて準備は万端だ。
思ったよりお風呂に長居しすぎたせいで部屋の様子が心配になってきた。
鏡もろくに見ずに急いで服を着てリビングに戻る。
ひととおり見渡すがPちゃんが付けひげをしてる以外、特に変わった様子はない。
「この石の秘密がわかったよアハン」
「いや、僕は特に興味はないですから…」
「なぁにいい子ぶってんのよ、ジョニー。アタシの目は誤魔化せないわよ」
「いや、僕はジョニーじゃないし」
「ジョニ子姐さん、あんまりそのギャグ笑えないよ…」
「いや、僕、アダムだし」
ジュベが怪訝な顔をしながらそっと手鏡を渡す。のぞき込むリッポン。
そこに見えるのはいつもよりちょっときつめのくるくる巻き髪のジョニーの姿。
「ええええええ、なんで僕、ジョニーの顔になってんの??」
どうやらイメチェン鉱石の効果が今頃になって出てきたようだ。なんだか顔まで変わったらしい。
一方安土城の天守閣。
「それにしても本当にこの部屋金一色で凄いなぁ…せっかくだから記念に撮っておこう」
おもむろに携帯で黄金の部屋を撮影するバトル。
「なに?写真撮ってるの?」
その様子に気が付いたプルが声をかける。
「うん。帰って皆にこの話をする時に見せたらびっくりするかなと思って」
「この写真ジョニーに見せたら『ちょっと、どうしてアタシに声かけなかったのよ!こんな凄い部屋があるなら一緒に行ったのに!!』とか言いだしそうだね」
「ああ、なんだかそんな感じするよ」
ジョニーの反応を連想して笑うプルとバトル。
時空の向こうでDIVA一行に起こっている事態など知る由もなかった。
「テディどうしたんだよ。お腹すいたの?」
見ればテディくん(仮名)がバトルのリュックをあさっていた。バトルの問いに首を横に振る。
そしてまたリュックをごそごそ。
「駄目だよ〜あまり乱暴にすると中身が割れちゃうよ」
腕を引っ張るがびくともしない。当然だ。テディくん(仮名)の体重は300kgは軽くある。
そしてリュックをごそごそとした手が止まり、スキップをしながらミニライサに駆け寄る。
バトルも急いでついていく。なにごとかとプルも寄ってきた。
ぐわっとミニライサの口をでかい手でこじあけ、口の中にぎゅっとなにかを押し込んだ。容赦ない。
「いったい何を…あっ」
ミニライサの口元にはあの例の実のかけらがひっついていた。
「まだリュックに残ってたんだ」
「ん〜テディってばよくわかってるよね」
プルのその言葉にテディくん(仮名)は振り向き、いい仕事したでしょ?と言わんばかりのウインクをした。
リッポンがゆるめのパンチパーマ状態+ジョニ子顔になってオタオタしている頃、
ジョニ子本人は風呂掃除に没頭していた。
顔にかかる金髪カツラがうっとうしいのでかきあげ、黒縁眼鏡を外そうとする。
「ん・・・?取れない?」
ふざけてロマノフさんごっこをしていただけなのに、完全にロマノフさんになってしまった!
ttp://qurl.com/wh9df
「みんななんでのんきに宴とか楽しんでられるんだ・・・タイムスリッップだよ?どうすんの」
小塚は空を仰ぎながら溜息をつく。ポン、とその肩を叩くのは真央。
「どうにかなるよ。タカちゃんはどうにかしちゃう。そういう強さを持ってる。グルグル回って最後の30秒稼いだり」
「・・・そういうフジテレビ的な話は、今はナシにしようか」
リッポン宅の鉱石イメチェンには、格差問題が生じていた。
鉱石の真ん前でつきっきりで調理していたリッポン:人相がジョニ子になった上、パーマがやや強めに
その隣でのべつ恋バナインタビューをしていたジョニ子:金髪メガネっこロマノフに
そのまた隣でずっと肉を食べていたPチャン:ドジョウヒゲ
そのまた隣の隣でママンにメール打ってたジュベ:白鰤が黒ボクサーに
肉だけとっとと持っていってベランダでフラミンゴやカナリヤと遊んでいたランビ&チャッキーは・・・
「あれ?爪が伸びてる」「ケヴィンも?僕の爪切りを貸してあげるよアハン」
爪が伸びただけ。切ったら終了。
落ち着きなくウロウロしていたエマ姐さん:火傷した掌の傷跡がハート型になった
「そんなイメチェン、いらないわっ!」
この一大事に暢気に楽しんでるプル達はともかく、自分たちだけでもこの事態に真剣に対処しないと。
悩む小塚だが、肝心の他のチームジャパン一行と言えば・・・
戦国お姫様衣装を着て嬉しそうな未来とキャシー。
本物の鎧兜や刀に興奮気味なクリス。
ちびっ子ライサの手を引いて天守閣の眺めを楽しむ美姫。
「すげぇ!リアル戦○無双だぁ!!」と◇の形に口をあんぐり開けて周囲を見回す大輔。
お城を見て喜ぶ一行に満足げなご先祖様(信成)。
やっぱりみんな状況を満喫しまくっていたのだった。
真央のフジテレビ的な一言が更に時空を歪め
クロノス社ならぬCAPCOW社から、自由過ぎるスケーター達を集めてCM撮影を再開するために
ハンターという名の敏腕俊足広報マンが送り込まれようとしているとかいないとか・・・
ちなみにデバッグ作業は殺人的スケジュールでバイト君達がこなしており、かつてない早さで完了する予定だが、
かつてない金額のバイト代、労災の対応、下手すりゃ訴訟、そんな感じでCAPCOW社に諸々の負担が出ているようだ。
「ちょっとぉ。どーすんのよ、これぇ…」と、ジョニ子。
「ふん。ほっときゃそのうち戻るわよ」だんだんいじけて投げやりになってきたエマ姐さん。
「あくまで“気軽に”イメチェン出来る鉱石って話だからね。ま、アタシも、もう少し調べてみるけど。
ジョニ子、この石、借りてくわよ」
と、ベランダから飛び立とうとしたが、不図、何かを思い出したようにPちゃんの側へ寄ってきた。
また、怒られるのかと身を竦めたPちゃんだったが、エマはそっとPちゃんをハグした。
「遅くなったけど、オリンピック、よく頑張ったわね…
メダルは取れなくてもカナダの皆が貴方を愛していることに変わりはないわよ」
チャッキーのこともハグしてくれた。
「ワールド出場おめでとう。貴方はまだまだこれからの子よ。自分を信じて、負けないでね。
アンタ達、遊んでばかりいないで、ちゃんと練習もするのよ!パトリックは早くひげを剃りなさい!」
最後にちょっとだけ先輩っぽい事をしたエマだった。
掌のハートをひらひらさせながら華麗に去ったエマ先輩。
「さぁて、イメチェン鉱石の件はエマに任せるとして。アタシ達はプランBに移行ね」
「プランB?」「誰かなんか聞いてた?」
「いつもこんな調子だよ。気にしちゃダメだよアハン」「だな」
(もしかして僕もついてこいとか言われるのかなあ)
ぶつぶつと言ってるボディガード軍団+不安げなリッポンをキッと睨み付ける。
「さっきここに来る前に相談したでしょ!
プランB。すなわち、保留にしてたてんとう虫作戦に移行よ!」
その頃の安土城。
ご先祖様に連れられて一行は天守閣からとある部屋に移動していた。
室内には地球儀や西洋鎧や宝石箱やら、ご先祖様に献上された南蛮渡来の珍しい品々が収められている。
物珍しそうに眺めるスケーター達。
「…なんだろう、あれ?」
バトルは漆塗りの棚の中に収められていた美しい水晶の瓶に気がついた。
「ジェフ、そんなにあの瓶が珍しいのかい?」
「違うよジェーニャ、あの瓶の中に何か入ってるんだ」
言われて見れば、瓶の中に小さな種のようなものが入っている。
「何の種かな?わざわざあんなところに大切そうに入れてるなんて」
2人で不思議そうにしていると、ご先祖様が傍にやってきた。
「それは前に城に来た宣教師の献上品じゃ。なんでも『不思議な力を持つ木の種』だとか言っておったな」
「不思議な力を持つ木…?」
「そやつが言うには、その種がやがて木になりそこに実った果実を食べると、どんな病もたちどころに良くなり、年寄りはみるみるうちに若返るらしいぞ」
「へぇ…若返りの果実かぁ……って、ええっ?!」
まさかという表情でプルとバトルは顔を見合わせた。
DIVA一行、ランビに注目する。
特にボディガード軍団は「お前が言ったんだからお前が責任とれ」と眼で訴えている。
「アハン、勿論、僕はてんとう虫から話を聞くことができるよ。彼らと僕は友達だからね。
でも、その為にはこの場にてんとう虫がいなくっちゃ。
さあ、てんとう虫を呼んでみて下さい!」
一同「一休さんかよっ!!」
「全く、ステフの奴…ん?」ジュベはテーブルの上に飾られた一枚の写真に気付いた。
「あああああ!それは…!」何故か慌てるリッポン。
それは、グランドキャニオンを背にすっくと立ち、桃色の小さな実が鈴なりになっている美しい大木の姿だった。
グランドキャニオンの朝焼けはどこまでも広く、美しい。
しかしリッポン(ジョニ子顔+ゆるパンチパーマ頭解除済み)はゲンナリしていた。
気心知れた家族や友人と、観光として訪れるならいい。
しかしなりゆきで強引にお宝探しに連れてこられてしまうというのは、あまり喜ばしくないのだ。
野生の実を個人の欲望によって収穫してしまうのにも、抵抗がある。
「巻き込まれ型被害者って、僕みたいなのを言うんだろうか」
隣でチャッキーがしみじみとうなずいている。Pチャンはすまなそうな顔で、珍しく瞳孔に力がない。
テンション下がり気味な3人と対照的に、ジョニ子とランビは元気がいい。
「さあ!アダムが撮った写真を手がかりにして、聞き込み調査開始よ!」
「こっちの水は甘いぞ♪テ、テ、テントウムシ来い♪」
ジュベは平常運転。ママンにおはようメールなど打っている。
テントウムシが飛んでこないので、ランビエールはあからさまにしょげた。
ジュベ「ほら、見つけたよ」
ランビ「それはカメムシだ……」
さっそく聞き込み調査開始である。
「トップバッターは…そうね。ステファン、あのギャル2人組に聞いてきて」
通りすがりの観光客に突撃。
「ハーイ、君たち可愛いねアハン。これについて聞きたいんだけど、ん?この男の子?
アハンそっちじゃなくて一緒に写ってる木を…ああ友達だよ。メアド?そんなものはいらないよ。
僕たちがお互いを必要としたとき、この遙かなる大空に思いを馳せればそれで通じ合うんだよ。
あれ?いなくなっちゃった」
「はぁ…次!ブライアン!あの動物の絵が書いたTシャツを着てる女性3人組!」
「ボンジュール。えーっと、この木について…え?筋肉?あ、スポーツやってるんで…
はい、一応鍛えて…ああっあんまり触られると……ちょっ脱がすなっ…すみませんすみません」
「逃げ帰ってくるなんてだらしないわね!はい次残り3人であそこの恐そうな
…ちょっとどこに行ったのよ」
チャッキー、Pちゃん、リッポンは地道に確実に聞き込みをしようと
後方にあるセブンイレ○ングランドキャニオン店に入ろうとしていた。
ご先祖様から「不思議な力を持つ木」の種を分けてもらったプルとバトル。
早速宇宙船に持って帰ると、これまた城から持ってきた大きめの鉢に種を植えてみた。
「…これ本当にあの木の実が生るのかな?」
土をを被せながらバトルが呟く。
「う〜ん…よく解らないけど、これが大きくなれば正体がわかるんじゃない?」
そう答えながら土に水をかけるプル。
ちなみに使用してるのは船内に常備してある「美味しいシベリアの天然水」ペットボトル入りである。
「おまえ…これが大きくなるのにどれだけかかると思ってるんだ?」
二人のやり取りを聞いていたちびライサが呆れていた。
バトル「成長を促進させる作用のある物がみつからないだろうか。さっきのお宝部屋漁ってくる?」
プル「もう一発時空を歪めたらニョキニョキ伸びたりして。御先祖様とサッカーしてこようかな」
ライサ「お前ら・・・('A`)」
ライサは文句をつけながら、まだ美姫と手をつないでいる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マフィアにインタビューさせられそうになったチャッキー、Pちゃん、リッポンの3人は、
聞こえなかったふりをして、コンビニでの聞き込み調査がてら買いだし。
Pちゃんはリッポンにバニラアイスを奢った。
「巻き込んじゃってごめん」
「もう気にしてないよ。なるようにしかならないって思うし……アイス(´∀`)ウマー」
立ち直り早くね?とチャッキーは少なからず驚いたが、口には出さなかった。
そしてコンビニ店員からの情報は意外なものだった。
「こら!お兄さんたちに向かって『おまえ』なんて言わないの!
それにこう見えても、お兄さんたちは世界で活躍するすごいスケーターなのよ」
美姫に叱られるミニライサ。
「…ミキは何言ってるんだ。俺だってすごいスケーターだぞ」
「『ミキお姉ちゃん』でしょ!それにしてもエヴァンもスケートやってるのね。
ここにいる人たち、有名なスケーター達だから後でサインもらうといいわよ」
「………」
「あの・・・これとか使えませんか?飲むと元気になるみたいだし」
話を聞いて真央が持ってきたのはレッド○ルだった。
「ありがとう、マオ。でもこれ人間用だし植物に効くかどうか・・・」
「良いじゃない、とりあえずやってみようよ!」
「大丈夫かなぁ・・・?」
プルに促されて、バトルは半信半疑ながらも○ッドブルを鉢に注いだ。
しばらく待つが何の変化も無い。
「ほら、やっぱり何も起きないよ。別の方法を・・・」
「あ!見てよジェフ!土の表面が!!」
レッドブルが浸み込んだ土の表面からぶくぶくと泡がたち、やがてそこから芽がにょきっと伸び始めた。
美味しいシベリアの天然水とレッ○ブルがミックスされたことで化学変化が起こったらしい。
ライサは流石に自分の身に起きた変化に気付きだした。
(おかしい…いや、こいつらの言動がおかしいのはいつものことだが、なんか、最近、ちょっと…
皆が俺のことを凄く気にしている気がする…特に女子。
今までは無視されがち…いやいや、存在が薄…否、断じて違うぞ!
そうだ、存在が大きすぎて近寄り難かった俺だが、最近は皆が俺に寄ってくる。
ヤナ、イーラ、キャシーは優しいし、マオ、ミライは俺にも必ず「お菓子食べる?」と聞いてくれる。
ユウコまでが時々遠くからじっと俺を見つめている事がある。
それにミキ!ミキが、あのミキが「私の手を絶対離さないでね」(かなり美化)と言ってきた!!
ああ、離さないとも!ずっと一緒だ!嗚呼、しかし俺にはリューキンが…
これはモテ期というやつか。もてる男はつらいなぁ…
気付きはしたが、完全に勘違いをしていた。
CAPCOW社から奔放なスケーターたちを捕獲すべく、ハンターと化した広報担当がグランドキャニオンへと降り立つ。
まずはジョニ子達をターゲットにすべく狙いを定めていた!
コンビニ店員「あの木ね、移動するんです。だから今どこにあるか、ちょっとわかんないですわ」
P・チャキ・リッポン「い、移動!?」
モ・テ・期!モ・テ・期〜♪
浮かれたライサはDWTSで披露したダンスを
フルでガンガン踊り始めた。
小さい子供がバタバタ手足を忙しなく動かしている姿に
女の子達の母性は刺激されまくりだ。
頬にキスやハグの嵐でライサはさらにご機嫌になった。
「もぉ〜どうしようもないじゃない〜〜」
DIVAはカウチに横たわりハリボのラズベリーを貪るように食べながら手足をばたつかせる。
いざ再び乗り込んだはいいが、木の移動により所在地を掴むことが不可能という事実に愕然とした一同。
とりあえずは今後の相談、ということでグランドキャニオンの一角に再びジョニ子の部屋が完成。
グランドキャニオン案内マップのDVD
>>231をみんなで見たのだが、「マダムのよろめき」の作り方だけわかっても仕方がない。
「僕…そろそろ帰ってもいいかなあ」
リッポンがおそるおそる言ってみる。どう考えてももう自分がいる必要はない。
「ダーメ。あんた達3人は見てるだけで、微笑ましくて楽しいわ。もうちょっと3人一緒にいてちょうだい」
なんだか褒められた気がしてPちゃんはちょっと嬉しかった。リッポンもしぶしぶ頷く。
「パトリック、ニヤニヤしてんじゃないわよ。この洋服類を全部ハンガーにかけておいて」
家ではたいていパン一のジョニ子。グランドキャニオン内のジョニ子の部屋別室でも当然パン一スタイルだ。
ハンガーにかけようとした時に、Pちゃんはポケットに何かがあるのに気付いた。(
>>101-102)
「ジョニー、このちっちゃい果物どうしたの?」
「何よ果物って・・・・・・あらやだ」
あらやだ、じゃねーよ!!!というつっこみが、残り5人の脳内にこだまする。
「傷んじゃってないかしら。パトリックちょっと毒味して」
「こんな小さいんじゃ、毒味一口でなくなっちゃうと思う」
チャッキーのけだるげな指摘に、ジョニ子は渋い顔。
「腹下しのリスクを背負ってでも食べるべきか、スッパリ諦めるべきか・・・花占いで決めるわ」
背後に薔薇を咲かせた後、その一輪を手折って花びらを一枚ずつ毟って占う。
そして、こうなった。
「ジョ…ジョニー……?」
「痛ーい。痛いーーいーー。もーう、パトリックのせいなんだからぁ…!」
カウチの上でお腹を抱えてうんうん唸っているのは、ふたまわり程小さくなったちびジョニ子。
「な、なんで僕のせ…い、いや、それよりも、どうしよう…?病院?」
相変わらず理不尽な事を言われているが見た目小さい子が痛がっているのはほっとけない。
「病院なんていやーーーーーー!」
「駄目だよ。お兄ちゃんが着いててあげるから」思わずお兄ちゃん口調になってしまう長男リッポン。
「あそこで正○丸買ってくるよ、アハン」
「いやーーーーーーー!!!正○丸なんて絶対飲まない!においがつくーーーー!」
「こら、我儘いうな」と、お父さんジュベ。
ここで流石にキレるジョニ子。
「ちょっとアンタ達ふざけてんのっ!?いい加減にしなさ……いったぁ〜い…」
勢いよく立ちあがったが、またすぐカウチにしゃがみ込みぽろぽろと涙をこぼす。
おろおろする残された四人。
兎に角、宥めて、押さえつけて、鼻つまんで正○丸を飲ませた。
「いやぁぁぁ!にがああああい!!!!」
正○丸の味と匂いに悶絶するジョニ子。
その様子をおろおろしながら見ていたPちゃんの携帯が鳴った。
「もしもし?…ああ、ジョアニーさん、どうしたんですか?」
「パトリック、そっちにジェフは行ってないかしら?」
「いいえ、2.3日前に一度スケパシーを受信したっきりです。」
「そう…じゃあやっぱり彼もいなくなったのね。」
「彼もって…何かあったんですか?」
Pちゃんが尋ねると意外そうな返事が返ってきた。
「あら、知らないの?突然連絡が取れなくなったスケーターが大勢いるって騒ぎになってるのよ」
「そうなんですか?」
ジョニ子に付き合わされていた為、周囲で何が起きているか全く知らなかった。
「・・・エヴァンとミライも連絡が付かないし、特に日本とロシアでは大勢行方不明になってるみたいよ」
「日本のってことは…マオもですか?!そりゃ大変だ!!」
「とにかく、何か変なことがあったら気をつけてね。それじゃ」
電話が切れるとPちゃんは今の話を知らせようとしたが、正○丸を飲んで大泣きするちびジョニ子に大わらわになっている為言い出せなかった。
(とりあえず、状態が治まったらみんなに知らせよう・・・)
実はジョニ子の腹痛はただの冷えによるものだった。
夏とはいえ夜のパン一姿は危険だ。
「いつものベッドでいつものクッションを抱いていつもの腹巻きをすれば、きっとこの腹痛は治るわ」
プチジョニ子はボーイソプラノ声で言い放つ。
「じゃ、うちまで送るよ。僕の肩につかまって」
ジョニ子を軽々と抱えたチャッキー、そしてボディガード軍団+リッポンはNJに飛んだ。
その頃のロシア、サンクトペテルブルグ。
「ジェーニャは一体どこに行ってしまったんだ…」
急に連絡が取れなくなってしまったプルを心配するミーシンコーチ。
ヤグディンやイーラ、悠子達と一緒に宇宙船でLAに行ったのは確かだが、その後の一行の消息がまるで解らない。
「ヤナさんやイーラさん達も一緒だし大丈夫だとは思いますけど…」
同じく消えてしまった先輩たちを案じるがっちゃん。
「まさか宇宙船がどこかに遭難したのではないだろうな?!もしジェーニャに何かあったら私は…!!」
「ミーシン先生、落ち着いて下さい!」
愛弟子の行方不明に珍しく取り乱しそうになるミーシンコーチをがっちゃんは必死で宥めた。
「先生、僕ジェーニャ先輩達を探しに行ってきます!」
「そうか…頼むぞアーチャ」
「はい!」
がっちゃんはひとまず宇宙船の消息が最後に確認できたLAに向かって跳んだ。
NJのジョニ子宅に着いた一行。
しかし、自宅周辺にはCAPCOWが放ったハンターが先回りして待ち構えていた。
「だ、誰あんたたち!」
「・・・・ターゲット捕捉、確保します」
一気に襲い掛かるハンターになすすべなく捕まる仲間たち。
「やああ〜ん!!」
チビジョニの悲鳴を聞いて何かが覚醒したチャッキーとPちゃん。
「やめろ〜!!」
チビジョニを救い出しそのままジャンプで脱出したが・・・誰かが足を滑らして自爆!
「わぁああ〜ん!」
悲鳴を上げて到着した場所は・・・日本支社の前だった。
ミーシンとガッちゃんが心配している頃、時空の彼方では…
「だいぶ大きくなったねぇ」
「ほんと、こんなに効果があるとは思わなかったよ」
レッド○ルとシベリアの天然水のスペシャル溶液を与えつづける事数日。
今や例の木は背丈ほどの大きさに成長していた。
その姿を見てプルとバトルもなんだか嬉しくなってきた。
「この調子なら、もうすぐ実も生るかもしれないね」
「そうしたら、いよいよあの実が取れるんだな?」
おなじくwktkしながら尋ねるちびライサ。
当初こそ文句を言っていたライサだが、いざ木が生長し始めると一番熱心に溶液を与えていたのだった。
(もうすぐあの実が手に入るぞ!)
嬉しさのあまりちびライサは思わず小躍りしてしまう。
「…まだこの木が本当にそうなのかは解らないよ?」
と、バトルが言ってるのは聞こえてないらしい。
そして同じ頃、安土城では、真央が見知らぬ武将にナンパされているところだった。
「きゃっ、何するんですか!?」
「おお、別嬪じゃな。気に入った。どうじゃ、わしのものにならぬか?」
「困ります!それに私、家に帰らないと」
「帰しはせぬ。わしの領地で側室として暮らすがよい」
「そ、そんな(泣)」
「「「ちょっと待ったーーー!!!」」」
日本男子フィギュア3バk(ry トリオが駆けつけた!
「な、なぬ、おぬしらは、というか殿まで?」
「だから心配してたんだ、タイムスリップなんて。
・・・とにかくおじさん、真央に手をだしたら僕が許しませんからね!」
「おちつけ崇彦、ここはノブに任せたほうがいい」
「駄目にきまってるでしょ!真央ちゃんは日本フィギュア界の宝、
・・・っとっと(ここであわててご先祖様口調に)その娘はわし大事な客人じゃ」
「殿、ちょうどよいところへ。この娘をわが家に迎えとうございます。なにとぞお許しを」
「ならんならん!いくらわしの重臣の 明 智 光 秀 といえども
この娘に手出しはまかりならん!下がれ!下がるがよいっ」
・・・・・・アレ?
根が真面目なライサチェクは、謎の木の世話に加え、観察日記も欠かさずしたためている。
「上手に書けてるね」
美姫が褒めてくれるので、ますます丁寧に書く。
「この『謎の実がなる木』って、6月しか実を付けないらしいよ。お姉ちゃんのお友達の
黒長い人がそう言ってたもの・・・今年はもう無理かな?来年収穫できるといいね」
ライサチェクの瞳孔が開きかけた。が、それは別の人の持ち芸なので慌てて締めた。
リアル日付ではもう7/2(ジョニ子誕生日おめでとう!)なわけだが、そのへんどうなるのか。
ライサチェク危うし!
あとジョニ子・チャッキー・Pチャンは日本某所(一流企業の支社があるぐらいだから都会だろうし、決して危険な
場所ではないだろう。いや危険か。つかどこ?)に着地できたようだが、他の3人はどこにいるのやら。
ジョニ子の傍にいるのかどうなのか。こっちも危うし!
「そもそもなんでCM出演の為に拉致られなきゃならないのよ」とエマ。「有り得ないわね」とレイチェル。
「CMを延期したのはそっちでしょ。その後、再開の知らせもなくいきなり拉致?」「有り得ないわね」
「しかもアンタ達
>>78>>86でCM企画ジョニ子に丸投げしてたわね!」「企業として有り得ないわね」
ここはCAPCOW社所有の雑居ビル。が、すでに半壊していた。
ハンターに襲われた際、とっさにランビがフラミンゴを、リッポンがカナリヤのピピネラを放ち助けを求めたのだ。
それに答えたのがエマとレイチェル。レイチェルの情報力とエマの攻撃力で1レスも使わずにアジト発見、即、せん滅。
CAPCAW社は『二度とこの様な方法は取りません』と念書を書かされた。
「問題はパトリックとケヴィンね…あの二人ああ見えて、全ッ然、しっかりしてないの。とくにパトリック」
「ジョニ姐さんも凄く頼りになるけど、時として全く役立たずな時があるわ」レイチェルの言に深く頷くリッポン。
「それに…今ジョニーは
>>310で
>>313なんだ」とジュベ。「家に帰りたがってるだろうね。アハン」
「何よそれ?全く次から次へと。……あの子たち大丈夫かしら」
その頃の日本某所。
Pちゃんは時差ぼけでぶっ倒れ、ジョニ子はしくしく泣きっぱなし。チャッキーは途方に暮れていた。
ジョニ子・Pチャン・チャッキー。この3人の中で一番立ち直りが早いのは、
いらん苦労を経てDIVAになったジョニ子である。やはり年の功。
「しょげててもしょうがないわ!マツキヨ行かない?新作コスメをチェックしたいの」
Pチャンの隣で、チャッキーもぶっ倒れた。
なぜこんな目に遭うのか、ジョニ子も考えないわけではない。
しかし心当たりがありすぎて(P○TAとかTwitterのハッカーとかいろいろ)、面倒くさくなっちゃったのだ。
リアル時間で7月になり慌てるライサだが心配無用。
物語時間、さらに今いるのは現代を離れた時空の彼方。まだ見込みはあるぞ。
…もっとも謎の木の正体はまだ解っていないのだが。
一方こちらはLA。
「どうなってるんだ…これ?」
プル達を探しにやってきたガッちゃんは半壊したCAPCOW北米支社のビルを見て驚いた。
何か爆発でも起きたんだろうか?先輩達は巻き込まれてないかと心配していると。
「あら…?貴方はたしかロシアのガチンスキー君じゃないの?」
「ここでなにしてるんだい?アハン」
声を掛けられて振り向くと、北米支社から出てきたエマ一行がいた。
なぜエマ一行が半壊の北米支社から出てきたのか。
それは念書を書かされたハンターが
「俺たちがこんな念書を書いても北米支社のお偉いさん命令で動いただけだもーん。
また違う社員がハンターとしてくるかもしれないんもんねー」
とうっかり言ったためである。
それを聞きエマ先輩が大量のフラミンゴを北米支社内に放った。
フラミンゴに慌てる社員一同。捕まえようとして社内を右往左往。
イライラしたお偉いさん達が社内の備品などを投げまくり気付けば支社ビルが半壊していたのだ。
自分が放したくせに知らん顔をしてフラミンゴを全部引き上げさせるのを条件に
>>319と同様の念書を交わさせたエマ先輩だった。
>>315からずっと、ブライアン・ジュベールの姿が見えない。
ジョニ子にくっついて日本に行ったわけではなく、かといってランビやリッポンのように
エマ一行の一員として活躍しているわけでもなさげ。影薄すぎ。
そう、彼は一人だけ吹っ飛ばされて、ぽつねんと川辺に佇んでいた。
その川の名は―――
---------テヴェレ川@イタリア
通りすがりのコストナーさんが「ティラミス美味しいよ!持って帰るといいよ!」
と、お土産に沢山持たせてくれた。
それはさておき、実はジュベは
>>319に、こっそり居たりする。しかし、影薄感は否めない。作家諸兄もお困りだろう。
ここは個性を出す為にランビを真似て語尾に「ママン」をつけてみたらどうか、と提案する。
しかし、会話が混乱すること必定なので、あまりお薦めはしない。
御先祖様の一渇で明智光秀がしぶしぶ引き下がった後、慌てて宇宙船に戻った日本男子トリオと真央。
大部屋でさっそく今の出来事を皆に話した。
「はぁ…一時はどうなることかと思ったよ」ひとまずほっとする大輔
「今回は助かったけど、あいつには気をつけないと」小塚はそれでも警戒を緩めない。
「また何かのときに来るかも知れねぇな。マオは誰かと一緒に行動した方が良いぞ」
「…わかりました」
ヤグの言葉に真央は頷いた。
「マオのボディガード?だったら僕が…」
バトルがここぞと手を挙げかけた、が。
「ねぇテディ、マオと一緒にいて悪い奴が来たら追い払うんだよ?いいかい?」
「ガウッ♪」
「……」
プルがテディくん(仮名)に言い聞かせ、皆が頷いているのを見ると黙って手を下げるしかなかった。
実はジュベはチビジョニと共にその場を離れようとしたチャッキーとPちゃんについていくつもりだった。
父性が芽生えたのか出番が欲しかったかはわからないが、ジャンプで脱出しようとしたチャッキーに咄嗟にしがみついたのだ。
だが足を滑らしてしまいひとりテヴェレ川へ、チャッキー達は巻き添え自爆で日本支社へと到着したのだった。
コストナーさんからもらったティラミスを手にこっそりエマ組に合流したのだが
微妙に漂う影薄感に気付きチャッキー組に合流すればよかったかなとか
別れ際にコストナーさんからもらった「語尾にママンをつけるといいよ」のアドバイスを実行しようかとか色々思案していた。
「そんなんじゃあダメよ。ちょっと貸して」
マツキヨ内のコスメカウンターでメイクレッスンをしてる女性にダメだしするチビジョニ。
「この子はこれよりもこっちのカラーが映えるわ。アイラインの入れ方もこうすれば……」
メイクレッスンを受けている女子高生にどんどん手を加えていく。
「確かに似合ってるけどあれ、日常生活用のメイクじゃないよね」
「…うん。ペインティングの域に入ってるね」
チビジョニの暴走をただただ見守るチャッキーとPちゃんだった。
ジュベが持っているティラミスにレイチェルが気づく。その目は食べたいとはっきり言っていた。
「はい、あげるよママン」
その場にいた全員が固まった。
「……なぜ私がティラミスを欲していると気付いたの?」
「だって君すごいガン見してからさ。さあお食べママン」
「ふふっ、あなたには負けたわ。ありがとう、ブライアン」
貫禄のある笑みで礼を述べるやいなや、レイチェルは凄まじい勢いでティラミスを平らげていく。
食べている時の表情は、あどけなさすら漂う18歳の少女の顔。
弾けそうなまんまるほっぺが幸せ一杯な愛嬌を醸し出している。
彼女の食べっぷりを微笑ましく見守る一同だったが、全部食われてちょっとびびった。
「……ショベルカーみたい」
ガチンスキーがポツリと呟いた。。
(彼はかなりのマザコンだと聞くわ。その彼が私をママンって呼ぶなんて。
もしかしたらブライアンは私のことを・・フフフフ
いや私はまだ学生の身。スケートとの両立で精一杯よ。
色恋にうつつを抜かしてる場合ではないわ。
ブライアンの気持ちは嬉しいけど・・)
ティラミスを食べながら考えるレイチェル。
ガっちゃんのショベルカー発言は幸か不幸かレイチェルの耳には入っていなかった。
「気に入ってもらえてよかったよママン」
「おいしかったわ、ありがとう。・・・あと残念だけどあなたの思いにはこたえられないの。
これからも素晴らしい先輩として私達を見守ってて欲しいわ」
「?・・ああ勿論だ。でもティラミスくらいはいつでもごちそうするよ、ママン」
微妙に会話が噛み合っていない上に本人が意図しないままフラれた形になったジュベであった。
才媛と知れ渡っているが食べ物を目にしてショベルカーになってしまったレイチェル。
ママンを連呼しているジュベ。
フラミンゴ、カナリヤと戯れてるランビとリッポン。
鏡を見て己の身だしなみに余念がないエマ。
(シニアの選手って色々と変わってるっていうけどやっぱり噂通りだったんだ……)
このメンバーを前にしてガッちゃんはどうすればいいのか
半泣きになりながら途方に暮れるしかなかった。
一方こちらは宇宙船大部屋。
「みんな集まってる事だし、この際だからそろそろ真剣に考えましょうよ」
「考えるって…何を?」
「あ〜もう!元の世界に帰る方法ですよ!!プルシェンコさんはずっとここにいる気なんですか?!」
「そりゃ僕だって帰りたいけどさ…」
「でしょ?!だったら真剣に考えてくださいよ!!」
せっかく皆で相談しようと思ったら、しょっぱなからこの調子だ。小塚は頭を抱えた。
とは言え、実際に帰る方法があるかどうかは小塚も全く解らないのだが。
さて、これから話合いが始まるという時、
「きやあああああああああああああああああああああああああああ」
女子部屋から悲鳴が聞こえてきた!
「ど、どうしたのっ…ふぐわっ!!」慌てて扉を開けた小塚に物凄い勢いで黒ナナフシがぶつかってきた。
「変態っ!黒ナナフシっ!変態っ!電柱っ!変態っ!ヘンタイッ!HENTAI!」
女性陣の怒声と共にガラガラ、金パンツ、ゲーム機本体等、宇宙船の備品が黒ナナフシ目がけて飛び交う。
「ま、待て!俺だ!ライサチェクだっ!」
「……解ってるわよ。解ってるから言っているのよ、この、黒ナナフシッ!」
美姫の怒りは特に凄まじい。手をしっかり握られてなかなか離してもらえなかったから。
(と、後ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ裏切られた感もあったかも・・・・)
何故か安土城から持ち込んでいたひときわ大ぶりな景徳鎮の壺を頭上に掲げると問答無用でライサに投げつけた。
「ミ、ミキ…よせ、早まるな……ぐはっ…!」
壺はナナフシにクリティカルヒット。しかし壺は無事だった。良かった。
こうしてライサのモテ期は終わった・・・・
「ど、どういうことですか?」と高橋。
「あー…実は
>>218-221」と説明するバトルの傍らでプルは笑い過ぎて酸欠をおこしていた。
「ところでご先祖様ぁ〜」「何じゃ、情けない声を上げおって」
信成は数日前までずっとご先祖様に身体を乗っ取られていたのだが、
真央のナンパ騒ぎでやっと表に出てこられたところだ。
ちなみに表に出てきて真っ先にやったのが、ご先祖様口調を借りての
明 智 光 秀 の謹慎処分であることはいうまでもない。
「ここって、ご先祖様が生きてた時代の安土城ですやろ?
本物の生きてるご先祖様がおられるのに、ご本人と鉢合わせしたらえらいこっちゃ・・・
てか、そろそろ僕ら現代に帰ったほうがええんちゃいます?」
「・・・実はな信成、その心配は無用なのじゃ。
ここだけの話、こちらのわしは、一ヶ月ほど前に急な病で命を落としておる。
その際、かの武田信玄の例に倣い、三年は喪を伏せるようにと厳命してあるのじゃ。
家臣たちも知らぬ。知っているのは嫡男の信忠ほか数名のみ。
そこでじゃ。
おぬしが残ってくれれば好都合なのじゃ。このまま安土城で織田信長として暮r」
「それ
>>317の明智の台詞と一緒ですやん!あきまへん!
それに僕は元の世界で嫁さんとベイビーが待っとるんですから!」
マツキヨでさんざん他人の顔を弄りちらかした後、ジョニ子はやっと自分のコスメ探し。
「アタシも二度目の25歳を迎える事だし、もっと華やかなシャドウに挑戦してもいいはずよ」
もっと華やかって、それ以上どう華やかに!?と驚くが、何もできないPチャン&チャッキー。
しばらくして、ハッと気付いてジョニ子の傍に駆け寄ったが、もう遅かった。
ジョニ子は鏡の中の自分を凝視し、固まっていた。
二度目の25歳どころか、二度目の10歳状態の外見に、気付いてしまったらしい。
元の黒長に戻ってしまったライサチェクだが、それでも謎の木の世話は続行中。
それに安土城の人から耳寄りな話を聞いたのだ。
それによると、この時空では今はちょうど5月の下旬だというではないか。
「たしか数日前、マオがお城でモーションをかけられた
>>317の日に
5月17日って教わったから、あと半月足らずで6月・・・
そうすれば実が成るはずだ♪」
水遣りにも精が入るライサチェク。
「しかし”テンショー10年”ってどういう意味なんだろう?
後でノブに聞いてみるか」
ちなみに後でそれを実行したライサチェクは
「本能寺の変!?本能寺の変や〜、えらいこっちゃーーー!!!」
と絶叫する信成を目の当たりにしたとかしないとか。
「一体何の騒ぎだい?」
ライサから信成が意味不明な単語を叫んで騒いでいると聞いて集まってきたスケーター達。
「本能寺の変ですよ!本能寺!!」
「ホンノウジ…?何それ?」
信成を宥めていた高橋が説明するが、残念ながら海外勢には意味が解らない。
「ジェーニャ、ホンノウジっていうのはね…」とりあえず悠子がかいつまんで皆に説明してくれた。
「…つまりご先祖様がクーデターに遭うって事か!」びっくりした様子のプル。
「それってまずいんじゃないの?ご先祖様はそれでどうなるんだい?」バトルが信成に尋ねる。
「ご先祖様はそこで自刃…つまりハラキリしちゃうんですよ!!ああ〜どないしょ〜!!」
再びテンパってしまう信成だった。
「…やだ、アタシったらお肌ぴちぴち!まるで十代みたい!やーん、嬉しい〜!」
「って、そこかよっ!」
「冗談よ。何これ?アタシいつからこうなってんの?」
思わず脱力してしまう二人。なんとかPちゃんが「あの木の実を食べてから」と答えた。
「なるほどね〜。……面白いわ。やっぱりあの実は絶対手に入れたいわね。」
ちびジョニ子の眼がきらんと光った。
Pちゃんとチャッキーは、あー、また面倒な事になるなー、と思ったが、考えてみたらジョニ子と一緒にいて
面倒じゃない事なんてなかったなー、と思い直した。
一方、LAのガっちゃん16歳。
濃いメンツを前にいまだ涙目で途方に暮れるばかり。でも、やっと
「あれ?そういえばガチ君はなんでLAにいるの?」とリッポンが聞いてくれた。
「じぇ…ジェーニャ先輩が、ジェーニャ先輩がいなくなっちゃったんですぅ〜」
ちょっと半べそになってしまって、恥ずかしかった。
「なんだか疲れたわね。ちょっと休憩しましょう」
というわけで近場のカフェに入る3人。
「それにしても日本ってごちゃごちゃしててよく解らないわね…そうだ、タカヒコに案内させればいいわ!」
またまた思いつきで行動するジョニ子。早速携帯で崇彦を呼び出すが圏外で繋がらない。
「あら嫌だわ、タカヒコったらどこ行ったのかしら?」
さらに他のスケーターの番号を次々に押すがどの電話も圏外だった。
「変ねぇ…?タカヒコもダイスケもマオもノブナリもみんな出ないなんて。皆でどこか行ったのかしら?」
それを聞いてPちゃんは先日ジョアニーから聞いた電話の件(
>>311)を思い出した。
「ジョニ子姐さん、実は…」
ようやくスケーター失踪騒ぎの件を伝えるPちゃん。
「ちょっと!何でそんな大事なことを言わなかったのよ!!」
「いや・・・その・・・ちょっと忘れてて・・・」
わがままDIVAに振り回されて言いそびれたとは口が裂けても言えなかった。
本能寺の変について頭を悩ましてるタイムスリップ組。
だが美姫、真央、未来、テディの3人+1匹は安土城と宇宙船を
行ったり来たりして戦国時代を満喫していた。
「じゃあ、そこの人〜このセリフね。そしたらこれを言ってこうするのよ。じゃあスタート」
『ハッハッハッ越後屋、おぬしも悪よのう』
『いえいえお代官様ほどでは…それではこの者を…』
『いやー助けてー』
美姫の悲鳴を聞きテディが悪代官と越後屋役の家来にパンチをくらわす。
「テディ駄目よ、これはお芝居なんだって。憧れの帯クルクルをやりたいんだから
ここで見てるの!」
「水戸黄門でよくあるやつだよね」
「未来は入浴シーンをやりたいですぅ。目指せ由美かおるですよね」
戦国時代も江戸時代もごちゃ混ぜだが、なんかとりあえず楽しそうに遊んでいた。
「スケーターの集団失踪と、アタシの自宅前にいた怪しいやつらは関連があるのかしら」
「確かに…あいつら何者だったんだろう」
いきなり狙われてとっさに逃げたものの、また狙われないとは限らない。
「よし、アタシが囮になるわ」
「ええっ」「駄目です、危険ですよ」
いきなりのジョニーの囮発言に焦るPちゃんとチャッキー。正直2人で守れるか自信がないのだ。
守れなかったら守れなかったで後で何を言われるか、たまったものではない。
「囮っていいじゃない、なんか響きがいいわ。ビッチでディーバなアタシにピッタリの演出だわ!
荒くれ者達に捕まって、ピラティスやってる時みたいな
あんな恰好やこんな恰好をされちゃったりして…キャ」
妄想の世界に飛び込んでしまった10歳児を尻目に
とりあえずジュベとランビに連絡でもしてみるか?と
相談するチャッキーとPちゃんだった。
ガッちゃんはLAの街中で、またまた泣きそうになっている。
プル一行の行方不明の話を聞きエマは他国のスケーターについて状況確認をすると言って
レイチェルとリッポンを連れて行ってしまった。
そして残ったジュベとランビはというと・・・・・・
「アウト!セーフ!よよいのよい!はい、今度はブライやんの負けやな」
ジョニ子と合流しようという結論になり、どっちが連絡をするかで譲り合う2人。
ボディガードの役割を果たさなかったと怒られるのは確実。それならば
どっちが怒られるかを決めようとランビの提案で野球拳(日本の遊びらしい)が始まった。
LAの道の真ん中で服を脱いでいく先輩スケーター達。
あの時に気付くべきだった。エマ先輩は確実に戦力になる2人を連れて行ったのだ。
(これくらい個性がないと世界王者にはなれないのかなあ)
涙をぬぐいながらガッちゃんはそんなことを考えていた。
今度こそ真剣に話し合い中の宇宙船。
「本能寺の変なんか起こったら俺達もヤバイですよ!今のうちにどこかへ避難しないと!」
「避難って言っても一体どこに行けば良いんだい?タカヒコはどこか知ってる?」
「…いいえ」
バトルに言われてうなだれる小塚。確かにこの世界で行くあてなんて他にわからない。
「そういや生身のご先祖様はもう死んでるんだろ?と言う事はホンノウジの時のご先祖様って…」
ヤグディンの疑問を耳にした全員の目が信成に集まった。
「うわぁぁ〜ん!!!僕、切腹なんてしたくないです〜!!」
すっかり泣きじゃくっている信成。気持ちはわかるぞ。
「落ち着いてよノブナリ。僕達が君を放っておくわけないでしょ?」
プルは信成を宥めて言った。
「でも一体どうするんですか?このままじゃ僕…」
「決まってるだろ?…その時はみんなでノブナリを守るんだよ」
「大丈夫かなあ。ガチ君も連れてきた方がよかったんじゃ…」
「あの2人をまとめられるとは思えないわね」
「仕方ないじゃない。二手に分かれてそれぞれ調査しないと話が進まないわ。
かと言ってブライアンとステフだけにするとポエムを読んで
それを聞いて、で終わっちゃうわ。
あっちはあっちで仕切る子が必要なのよ」
「でもなんだか押しつける形になってるし心配だなあ」
「あの子は出来る子よ、大丈夫。だてにあのロシアで生き抜いてないわよ。
信じてやりなさい」
「信成は果報者よのう、このような良き仲間にめぐまれて。
なれど本能寺の変とやらはわしも気になっておったので、ういきとやらで調べてみたが」
どうやらwikiのことらしい。恐るべし、ネットまで使いこなすご先祖様。
「まあ安心せい。自刀したとされてはいるが遺体は見つかっておらぬそうな。
てっきり信忠がわしの死を取り繕えなくなってジサクジエンでもしたか、あるいは明智にかぎつけられたかとおもっておったが、
しかしあの娘御が発端とはのう、ワァッハッハ」
あーもうっ、笑い事じゃないよ!と言いたかった崇彦だが、
当の相手が信成とご先祖様とで代わる代わる泣き笑いしているものだから、出かかった言葉も飲み込まざるを得なかった。
ヤグ「つまり信成が元の世界に戻っても辻褄は合うんだな。御先祖は謀反で亡くなった事になるが」
プル「亡くなった事を隠しておくにも限界があるだろうし、潮時って事かもね」
ヤグ「俺たちが現代に戻るのに合わせて、その明智ってやつが謀反起こすようにそそのかせばいいんだ」
プル「よし、話がまとまったところで、また宴会の続きをしよう。それとも蹴鞠大会でもする?」
すかさずスミルノフが鞠と酒肴を持って満面の笑みで現れた。どんちゃん騒ぎ再開。
小塚は再び頭を抱える。
「・・・ここで『では改めて、現代に戻る方法を考えよう』ってならないのか?この人たち」
その頃、現代LAでは―――白鰤一丁+ゼブラ柄鰤一丁の男前コンビが警察に連行されかけていた。
ガッちゃん「この人たち、観光で浮かれちゃっただけなんです!ええ、ただの観光です!サイトシーイング!」
同時刻、現代東京では―――プチジョニ子が「美しい囚われ方」について研究を深めるため、
緊縛写真集を購入しようとし、Pチャン&チャッキーに阻止されていた。
なお、エマ一行はプラハに飛んでいた。
ベルネル「我が国のスケーターで行方不明者は出ていないけど・・・レイチェル、ターチュ食べる?バーボフカもあるよ」
レイチェル「なぜ私がターチュを欲し(ry いただきまーす!」
「なーんで『緊縛写真集』買っちゃだめなのよぅ」ぷー、と頬をふくらますぷちジョニ子。
「僕ら未成年だし(ジョニーさんは小さくなってるし)どちらにしろ買えませんでしたよ」
「それより…なんで俺だけあんなに怒られたんだろう…親御さんの教育が、って、俺そんなに老けて見えるのかなぁ…」
「い、いや、日本人から見る外国の人って実際の年齢より上に見えるみたいだよ!
あ、そうだ!ジュベールさん達と連絡とらなきゃ!そうだ、そうしよう!」
慌てて携帯を取り出すチャッキー。
ジュベ「やあ、良かった。無事だったんだね、ママン」
チャッキー「は?いえ、ケヴィンですけど…」
ジュベ「ああ、わかってるよ、ママン」
チャッキー「……」
ジュベ「どうしたんだい?ママン。こっちも無事だよ、ママン。今、そちらに合流しようと思っててね、ママン」
チャッキー「…あ、すいません、なんかキャッチ入ったみたいなんで」ブチッ
チャッキーは無言でPちゃんに携帯を渡した。
「?どうしたケヴィン?」
「うん、Pちゃんが連絡とって。僕、もう、あの人と話したくない」
時々、思春期キャラとなり、潔癖症を発症してしまうチャッキーだった。
「あの語尾のママンってのはなんなんですか?」
「ブライやんのフレンチジョークじゃないかな、面白いよねアハンアハン」
やっぱりこの二人はわからない。深く関わる前に早く他の人と合流したい
とガチンスキーが思ってしまうのも仕方ないだろう。
しかし、ガっちゃんはエマの言うとおりロシアンだった。
ミツン先生のポエムや己が敬愛する先輩の変態腰ふりの間で育ってはいないのだ。
大丈夫だよ、アルトゥール。君も立派にエロスな変態になれるよ!!
ロステレコムで先輩の分まで意地をみせてやる。もう一人のキノコにだって負けない!!
先輩を助け出すためにガっちゃんはしっかりと涙をぬぐい有る人物へスケパシーを送った。
「これだけ捜索してもマオの行方がわからないなんて・・・
やはり封印していたあの機能が働いたとしか思えないわ」
自室のベッドに横たわりながらつぶやいているのはタラソワコーチである。
さてはおばちゃん何か知っているな?
「幸い小型円盤は二機ともこちらにあるから、それで捜索は可能ね。
問題は場所、時間、どのあたりに飛ばされたのかよね。
それにしても疲れたわ。マオ、どうか無事で・・・zzz」
「姫は本能寺にあり!いざ、出陣!!!」
ぷぉぉぉぉぉ〜!わぁぁぁぁぁ〜!
そこは炎に包まれた寺院の中。逃げ惑っているのは・・・マオ!
「おお、空飛ぶ円盤で月より訪れしわしのかぐや姫!ついに見つけたぞ。
観念してわしの側室になるがよい」
「いやぁぁぁ、真央は舞とエアロのところに帰るのぉ!」
そこへ鎧姿の若者が飛んできて、必殺4-3-3で見知らぬオヤジをぶちのめす。
「真央ちゃん、美姫ちゃんたちはもう宇宙船に避難したで、はよ逃げて!
・・・おのれ明智光秀、血迷うたか!」
「殿、すべてはかぐや姫を手に入れるため・・・お命頂戴つかまつる!」
ごぉぉぉぉぉーーー
「マオ!?」
ベッドから飛び起きたおばちゃん。これは夢?それとも・・・さっそく電話をかける。
「もしもし、私よ!マオの居場所の場所の手がかりがつかめたわ」
「ロシアのキノコと言えばチャーガだよ!
森のダイアモンドって言われてるよ!
抗酸化作用もあるし煎じてお茶として飲むといいよ!」
キノコについての質問だと思い、スケパシーでガッちゃんに教えてあげるコストナーさんだった。
「残念だけと写真集は諦めるしかないわね、他に「美しい囚われ方」で参考になるものは無かったかしら…?」
あれこれ考えるジョニ子。
「そうだわ!確かジェーニャがアイスショーでそういうシチュエーションをやってたわね!」
「プルシェンコさんがですか…?」
「ああ…そういえば…何かやってたな」
ジョニ子に言われて思いだすPちゃんとチャッキー
「あれこそまさに「美しくて色気漂う囚われ方」よ!…後でジェーニャにコツを聞いてみなくっちゃ!」
「コツって…コミカルな動きを取る方法ですか?」
「何言ってるのよ!あんた達ってホントにセンスないわね!!」
二人を叱り飛ばすジョニ子。
しかし「囚われるシチュエーション」でジョニ子が思いだしたのは何とも妖しい雰囲気の「プリズナー」で
Pちゃんとチャッキーが連想したのは「マック・ザ・ナイフ」の囚人服姿と
連想した内容が食い違っていることには気が付いていなかった。
そのころ、スウェーデンでは
べるるんがトラから連絡をもらっていた。
「CMの話ならもう聞いてるよ…え?スケーターが集団失踪?
わかった、僕もそっちに行くよ。詳しい話は会ってから聞かせてくれ」
どうやら、知らぬ間に大変なことになっているらしい…
自分の事が忙しいのは確かだけれど、かと言って放っておけるほど薄情でもない。
トラのいるプラハに向かうべく、べるるんは3Aを跳んだ。
現在の状況を冷静に把握しなおしてる小塚崇彦さん(21)。
「要は
>>264のご先祖キックでここに飛ばされたわけだから、反対にナル君がキックすればいいのかな〜?
いや、ご先祖さまのパンチというのもありか・・・まてよ、蹴ったのが天井だったから、普通に床とか壁・・・・う〜ん・・・」
そんな時プルの悲鳴が上がった。
「いやああ〜ん!!」
もちろん、宇宙船にいた者誰もがズッコケタ。
「なんですか、今の悲鳴は・・・」「気色ワリ〜な〜!ゴキブリ踏んづけたんか!」
崇彦とヤグディンがとりあえずプルのいる操縦室にやってきた。
プチジョニ子は公園のベンチでくつろぎながら、ランビに連絡を取ってみる。
「ハーイ、ステファン。今どこ?ああ、LAにいるの?・・・なるほど、CAPCOWがトチ狂って、エマに
シメられて、と。襲ってきたのはやつらだったのね・・・・・・もうCAPCOWの仕事なんて受けるもんですか!
ブライアンも一緒ね?アダムは?エマやレイチェルと一緒に情報収集の旅って・・・なにの情報よ?
・・・ロシア・日本選手が大量疾走!?アダムへの連絡は後にして、とりあえず今からそっち行くわ。」
チャッキーとPチャンを引き連れ、ジョニ子は華麗にLAへ飛ぶ。
「あ〜ら、しばらく見ないうちにまた大きくなって。先輩を捜しに来たの?偉い子!」
ガッちゃんの髪をわしわしと撫でてやる。
親戚のおばちゃんみたいに慈愛に満ちた仕草だが、プチジョニ子に慣れてないガッちゃんはビビリぎみ。
ほぼ同時刻、トラの元にべるるん登場!
トラ「いきなりでなんだけど、何かお菓子持ってない?」
べる「ジェフリーじゃあるまいしお菓子なんて・・・あ、サルミアッキあるよwどう?」
Googleで「サルミアッキ」と入力すると、一番上に「世界一不味い飴サルミアッキを食べてみた」というページが
Hitしてしまうという、あのリコリス+塩化アンモニウム飴である。北欧5国で愛されているという。
大丈夫なのか、レイチェル!
「まったく、何気味悪い悲鳴上げてんだよ…って、なんだこれ?」
「プルシェンコさん、どうしたんですか?」
操縦室に入ってみると、シートにいるプルの手足にケーブルのようなものが絡まって動けなくなっていた。
「おまえ、どうしたんだよこれ?」
「知らないよ〜!いきなりこれが出てきてこうなったんだよ!早くこれとってよ!!」
とりあえず二人で絡みついたケーブルを外して、ふと周囲を見ると室内の様子が変わっていた。
操縦席のシート周囲になにやら見たことが無い装置類が増え、新たに出現した部分の機器類は表記が怪しげな象形文字のようなものになっている。
「ジェーニャ、おまえ一体何やってたんだ?」
「…操縦席の点検をしてたら、シートの下に見たこと無いボタンがあって…試しに押してみたらそれが…」
「この装置が出てきたんですか?」
小塚の問いかけにプルは頷いた。
「ホントびっくりしたよ。座ってたらいきなりシートの回りから変な装置がせりあがって来るし、動けなくなるし」
さっきの悲鳴はそれか。がくっとするヤグと小塚。紛らわしい悲鳴出すなよ…と思ったのは言うまでもない。
ぷちジョニ子に怯みながらガチ君は一行の中にチャッキーを見つけた。
15歳でクワドを決めたチャッキーに密かに憧れていたのだ。
「あ!ケヴィン・レイノルズ!」
「は?呼び捨て?」
ガチ君は怯んだ。
「おい!あー…ごめんな。こいつ何かさっきから機嫌悪くて」フォローするPちゃん。
「別に普通だし」
「いえ…すいませんでした。レイノルズさん…」
「ケヴィンでいいし」
「あ、はい。…ケヴィン…さん」
なお
>>349のスケパシーによってやって来たのは―――――――コストナーさんだった。
「チャーガのお茶だよ!ついでにヨーグルトきのこも持って来たよ!ヨーグルトきのこ?いいえ!ケフィアです!」
軽いCMギャグを飛ばしコストナーさんは可憐に去って行った。
ガチ君のスケパシーは完全に混線し目的の人物に届かなかったようだ。
立て続けの訳の解らないシニアの洗礼にガチ君は泣き崩れた。
あと、チャッキーはジュベと眼を合わせていません。
「さて失踪したスケーターの捜索方法について考えようかアハン」
「原因がわからないと捜索しようがないなママン」
「彼らが消えた場所を特定できればいいんだけどねアハン」
「だからそれがLAなんだよママン」
「アハンアハンそうだったねアハン」
「あーーーーーもうっアンタ達の仕切り禁止っ!!!
アハンママンアハンママンで訳わかんないのよ!!!!次っ司会進行パトリック!!」
ガっちゃんは助けに来たのに思わず
「敬愛する変態で宇宙人のゼーニャ先輩たすけてええええええええ!!!」
とスケパシーを送った。
「えっ俺?えーっとただ今ご紹介にあずかりましたパトリック・チャンです。
えーっと今回の事件についてですが」
いきなり指名されてドキドキのPちゃんであった。
うまくこのメンツを仕切れるのか?
プル「・・・あれ?」
ヤグ「今度はなんだ?」
プル「誰かが何か言ってるような感じがしたんだけど・・・」
スケパシーを探知しようとしたが、ほんの一瞬途切れ途切れに聞こえただけで、
内容は全く解らなかった。
ヤグ「何も感じ取れないぞ・・・気のせいじゃないのか?」
プル「そうかなぁ・・・なんだか知ってるような気もするんだけど」
首をかしげるプル。
さすがに時空の向こうまではスケパシーも届かないらしい。
試練に耐えてがんばれガッちゃん!
司会として緊張いっぱいのPチャンの頭を、いきなりフラミンゴが嘴でつついた。
「いたたたた!!」
「うるさいわねっ。鳥に頭つつかれたぐらいで騒ぐんじゃないわよ!」
「まったくもって男らしさに欠けるなママン」
「ああごめん。僕が飼ってるフラミンゴは、退屈すると頭をつつくのさアハン」
「絆創膏貼る?・・・まあ、いつもこんな感じだけど、そのうち君も慣れるよ。アルトゥール」
「あ、アーチャでいいっす。地元じゃみんなそう呼んでるんで」
一瞬にして会議続行不可能になったが、そこにエマからメールが届く。
「チェコとスウェーデンは失踪者なし、ですって。カナダではジェフ、アメリカではエヴァンと未来が行方不明よね」
「あんな黒くて長いのに、なぜいなくなったのにすぐ気付かなかったんだろうママン」
「詩情に欠けるからじゃないかな?アハンアハンアハン」
「まさかエヴァンが未来とジェフを誘拐・・・?」
「人聞きの悪い事を言うもんじゃないよ、パトリック。拉致って言えよ」
「・・・どちらもあまり変わらない気がします。少なくてもロシアではそうです」
全く議事が進行しないので、エマチームががんばるしかない状態に?
いや、今一番真相に近づいているのはタラソワ率いるロシア捜索部隊だ!
「と…とりあえずは…行方不明になったメンバーの共通点を考えてみようよ。
そこに原因が隠れてるかも」
Pちゃんの苦し紛れの進行は続く。
「全員スケート選手だねアハンアハン」
「日本ロシアカナダ全部3文字だな、ママン」
「あのーアメリカを忘れてます」
「ハイハーイ、アタシわかったわ。
エヴァンやエフゲニーって『エ』から始まって途中に濁点がついてるわ」
「全員に共通してないし」
「…皆さん、クイズじゃないんで真面目に考えて下さい。もう俺無理。
次の司会進行はケヴィンとアーチャ君を指名します」
一方その頃。
「キャシー!見てみてこれ!」
キャシーのところにクリスが意気揚々とやってきた。何故か足軽の格好だ。
「クリス…サムライと忍者の次はそのコスプレ?」
「コスプレじゃないよ!…ちゃんと安土城から借りてきた本物でござる!!」
一緒に借りた槍を構えてポーズを取るクリス。怪しいサムライ口調もだんだん復活しはじめただ。
「本物なのは良いとして、何で急にそんな格好してるの?」
「決まっているでござるよ。本能寺の変が起きたらみんなで信成を守るんだから、拙者もふさわしい格好をしてみたでござる」
本当は鎧兜が着たかったが、着れるのは武将クラスということで足軽装束を借りてきたらしい。
「姉上、この格好も軽くて動き回るのに都合が良いでござる!早速皆の分も借りてくるでござる!!」
「クリス…多分着るのは貴方だけだと思うわよ」
再び安土城に向かったクリスにキャシーの呟きが聞こえたかどうか定かではない。
DIVA一行がクイズコント、宇宙船組(の約一名)が時代劇コントを繰り広げている一方、
プラハではレイチェル・フラットが、サルミアッキを前に孤独な戦いを続けていた。
「あのさ…レイチェル。何も無理して全部食べなくてもいいんじゃないかな」
「…駄目よ、アダム。世界食べ歩き大食い選手権はまだ始まったばかりよ。こんなところで負ける訳にはいかないわ」
「レイチェル…そんなもの始まっちゃいないよ…」
べる「いや、あの…なんかすまなかったね、お嬢さん…」
トラ「全く君は罪な男だな、クリストファー」
エマ「レイチェル。それ以上重くなったら運べなくなるから止めて」
各地でドタバタが繰り広げられる中、日本ではもう一人のキノコ(by
>>349)こと
羽生が図書館で新聞記事を読みふけっていた。
彼も他の人達のように捜索部隊に合流したかったのだが、失踪したスケーターが
何らかの事件や事故に巻き込まれた可能性を考え、下手に動いたら危険だと判断したスケ連から
まだ若い彼にはおとなしくしているよう待ったが掛かったのだ。
そこで羽生は、何か失踪事件の手がかりを探そうと
ここ数日の新聞を片っ端から漁ることにしたのだった。
紙面をめくり続けるうち、目に留まったのは
>>282の記事。
「この『月の使者』の衣装…どこかで見たことあるような…」
チャッキー&ガッちゃん「「はいどーもー、司会を承りました若手コンビです〜」」
チャッキー「僕らまだまだがんばってかないかんなー、って事で、名前だけでも覚えて帰ってくださいねー」
ガッちゃん「ほんで今日のお題!失踪した人ら、どうやって見つけたらええの?ちゅー話ですわ」
チャッキー「ハイ!問題にぶつかった時はなー、原点に戻ったらいいと思うねやんか」
ガッちゃん「原点って何や。カザフスタンのスケーターか」
チャッキー「それ、デニス・テンやがなー!テンしかおうてないわ。アホか!」
ジョニ子は二人の口にありったけのハリボグミ(ラズベリー味)をねじこんだ。
「あんたたちちょっと黙ってなさい。でも原点に立ち戻るってのは悪くないわ。
つまり、被害者が多い国で、情報と権力を持ってそうな人を訪ねるのよ。
探り入れてやばそうなら情報だけいただいて逃げる。協力的なら手を組むの」
だからそれが言いたかったんだってば!・・・と言い返したいチャッキーだったが、
口の中が壊滅的に甘ったるくて声が出なかった。
所変わって、ここは現代の日本スケ連。
「ホンノージ、カグヤヒメ、ノブナガコウ、そして、アケチミツヒデ。
これらのキーワードに心当たりのある人は?」
タラソワコーチがわざわざ真央のために小型円盤で極秘来日しているのだ。
ちなみに通訳を買って出たジャンナさんも一緒。
集められたのは23歳以上の強化選手および引退選手たち。
彼らの中から失踪者の捜索隊が選抜されることに決まったのだ。
「かぐや姫だけ時代が違うんじゃね?」
「ていうかどうみても本能寺の変です。本当にありがとうございました」
「ハラ?」いともあっけなく地域と時代が特定できてしまい、おばちゃん拍子抜け。
ま、日本人なら必ず学校のテストに出されるほどの歴史的大事件、当然だ。
「あのぉ〜」
そこで末席から声がかかった。本来この場に出席予定ではない人物だが
某失踪者のコーチ兼母親ということで今回は特別である。
「実はうちの蔵から先日、こないな古文書(
>>282)が出てきまして。
新聞記事にもなったもんですが、本能寺の変直前の出来事らしいんですわ。
羽生くんからも問い合わせが来たんですわ。見覚えあるいうて・・・」
古文書を手に取ったおばちゃん驚いた!どうみてもジェーニャです。本当に(ry
宇宙船の操縦室内。
絡まったケーブル類を邪魔にならないように片付けたあと、3人は改めて出現した装置を眺めた。
「なんか見るからに怪しさ満載な装置だな」訝しそうな表情のヤグ。
一方プルは引っ張り出してきた宇宙船のマニュアルを最初から読み直していた。
「おかしいなぁ?どこにもこの装置の事が書いてないよ?」
「ちょっと見せてもらえます?」小塚がマニュアルを借りて目を通した。
しかしロシア語の為何が書いてるかさっぱり解らなかった。
(せめて英語でマニュアル書いといてくれよ…)こっそり思う小塚だった。
「ジェーニャ、とりあえず試しになにか操作してみたらどうだ?」
というわけでプルがボタンを押してみる、が反応無し。
他のボタンも同じように全く反応がない。
「なんだこれ?壊れてるのかな?」
ますます謎が深まるばかりである。
「被害者が多い国と言うと・・今のところ分かっている範囲内ではロシアになりますね」
「あらぁ、でもエヴァンを人換算にしたら5人分は軽くあるわよ」
「それを言うならジェフの持ってるお菓子の量は10人分はあるよねアハン」
「被害者が多い国はどこか一概に決めるのは難しいな、ママン」
「お前らいい加減にしろよ。どう考えてもロシアだろ」
いまだ続く先輩達の進まない論議。
それを見てガッちゃんは一人静かに毒づいていた。
周囲の喧騒をよそにライサは謎の木の世話を続けていた。
熱心に世話した甲斐あってか、謎の木には薄桃色の花が咲き乱れていた。
可憐な花をつけた姿に女性陣は大喜びで、花を眺めておしゃべりをしたりお菓子をつまんだりしている。
もちろんバトルは安土城から差し入れられた和菓子類をリュックに詰め込むのを忘れない。
「やっと花が咲くところまできたぞ…このあとはいよいよ…!!」
世話の合間に作ったこの時空用の5月のカレンダーに×印を書きながらニヤニヤするライサ(だが黒くて(ry)
「お、もうすぐ5月も終わりか…あとで6月のカレンダー作っておこう」
「は〜い皆さん♪もうすぐ本能寺の変です。撮影の準備はよろしいですか?おお、クリスさんは早速着替えて
ますねっ♪ささ、皆さんも早速衣装とメイクを…」
なんと宇宙船内部にはあの、日本支部広報がいた。いつの間に。しかも、操作室のケーブルが絡まったのも彼等の所為
らしい。彼等がここまでわざわざタイムスリップさせたのだ!
プル「ちょっと。あの・・・わざわざこんな凝ったことをするというのは・・何故?」
広報「勿論!リアリティに溢れたCM&映画を撮影製作するためですよ♪」
小塚「・・ちょっと、これ話が出来すぎていませんか?!それに、信君の気持ちも全然考えていないでしょう!」
真央「ね、広報さん。これってこの前のLAの撮影の続きなのかな?」
へっ?・・・続き・・・・??
高橋「ああ、もしかしたらあれかな・・・・
>>40」
真央「あれ?たかちゃんまだ知らないの?LAの裏道で絡んで来た不良の男達はプロのスタントさん、野次馬は
エキストラ、ロス市警は俳優の卵さんなんだって。」
な、なんだってーーーーーーー!!!どうしてどれを早く言わないn
高橋「そうだったのか。ど〜りで出てくるタイミング良すぎだし。それに全然手応え無かったもんな♪」
だ、大ちゃん・・・・・・・・
真央「でもお陰でとってもリアルな映像が撮れましたよ!って監督さん?感謝してたよ。よかったね。」
・・・・。良くね〜よ!まったく、ああ、・・・・・もう。
プル「こうなったら、ノブを皆で守るしかないようだね。」
プルはもうすでに志○け○の「バ○殿」コスプレをして、準備万端だった。
ジョニ子はロシア人脈を駆使して状況を探る。もちろんスケート人脈である。
(Pチャンが「プーチンに聞けば?」と提案して荊の茎にぐるぐる巻きにされた。ローゼンPチャンである)
ミーシンもモロゾフも「私の愛する教え子が消えた!」とオロオロするばかり。
他にもさんざん探ったがタラソワだけ不在。日本でなにやら招集をかけているという。
「はい、ビンゴ。タラソワコーチを追っかけるわよ!」
ジョニ子チーム、再び日本へ。
なお、エマチームにも連絡を取ったが、「今レイチェルが月餅を食べ過ぎて
寝込んでいるのです。ごめんなさい」と申雪&趙宏博に謝られてしまった。
歓迎するのはいいけど、どんだけ食わせたんだ。
ユウコ「一介のゲーム社が何故こんな技術を持ってるの?」
広報部「日本の科学技術で〜す」
ユウコ「いつ宇宙船に乗りこんだの?何処に隠れてたの?食事はどうしてたの?」
広報部「いや…」
ユウコ「あなた達、人間?」
広報部の人達の輪郭が微かにぶれたかと思うと、ブンッ、と音を立てて消えてしまった。
「き、消えた?!」「どういうこと?!」ざわつく宇宙船内部。
「…バグ、かしら?それとも宇宙船の秘密の機能?」操作盤を見廻し考えるユウコ。
「そんな機能、聞いたことないけどね」とプル。
「どちらにしろ、本能寺の変が起こった六月某日、本能寺に居れば解るんじゃないかしら。そこで何かが起きる」
ユウコの言葉に一同「うんうん」と頷いた。
ユウコはプルの衣装に突っ込まなかった。
「よぉ!ご機嫌ななめみてぇだな!」
悶々とする崇彦に声をかけるヤグディン。
「・・・・俺、もうキレてもいいっすか?」
「ま、もうちょっと待てよ?これを見てからな!」
そういってヤグは彼を操縦室に連れて行った。
「この文字、見覚えあるだろ?今の俺たちなら読めるはずだ。」
「これは・・・前回タラソワコーチから借りた本に書かれた文字だ!」
操縦室に新たに現れた装置に書かれた象形文字。今なら解読できる!
「よし!どうやらこの装置の操作は一定のスケート力を必要としているようだ。」
解読した文字を頼りに機体を操作する二人。そしてついに
「あった!スケパシー通信装置」「よし!とりあえずばあさんに連絡だ!」
タラソワに向かってスケパシーを飛ばす二人。
「・・・?この声は・・リョーシャ?そしてタカヒコ?二人とも無事なの!真央は!他のみんなは?」
よし!通信成功!
中野友加里が勤務先から耳より情報を入手したのはこの日のこと。
CAPCOWが「スケ3」の宣伝映画を撮影中で、なんと浅田真央や高橋大輔もロケ中だというのだが、
ロケ地がまったくの極秘で、役員でさえその場所を知らないという。
「見るからに怪しいですって、私で良ければ突撃取材しますよ…え、小塚君たちと連絡が取れた!?」
広報部の人達が消えたあともしばらくの間プルはクリスを相手にバ○殿コスプレで遊んでいたのだが、
「ジェーニャ、素敵な服だけどホンノウジで着てるとよけいに目立って狙われるかも知れないわね」
ニッコリと笑顔のヤナ。だが目は笑ってない。
「…そ、そうだねぇ。僕ばかり狙われるの嫌だし、やっぱりこの服はやめておくよ」
ヤナの無言の迫力に焦ったプルは結局元の芋ジャージに戻ったのだった。
「あのータラソワコーチの所へ行くんじゃないんですか?」
お約束のようにジョニ子のショッピングツアーが始まり荷物持ちにされている一同。
早朝に日本についたのに今はもうすっかり日が暮れている。
本来の目的そっちのけで一日中買い物につきあわされてるのに
誰も文句を言わないのはなんでなんだろうと不思議でたまらないガッちゃん。
「もちろん行くわよ〜でも物事には優先順位ってのがあるでしょ」
ジョニ子がウインクしてガッちゃんに微笑む。
(優先順位考えたら普通にタラソワんとこ行くのが先だろ、チッ
………あぁダメだ。
このメンバーの中にいたら僕の性格がどんどん歪んでいきそうだ…
ジェーニャ先輩達を早く救出して元の生活に戻らなきゃ)
ショッピングモールをそぞろ歩くジョニ子ご一行。
広場のようなところで、大きな笹にたくさんの人が集まり、何か言葉を書いた短冊をぶら下げているのに出くわした。
「タナバタ・・・?願い事を書いてこの笹に下げると叶うらしいぞママン」
「ロマンティックなイベントじゃないかアハンアハン」
「引き裂かれた恋人たちが年に一度だけ天の川を渡って逢瀬を楽しむ・・・ああ悲恋。素敵すぎるわ!」
盛り上がるベテラン勢(特にジョニ子は何かツボに入ったらしく、白目むきそうな表情になっている)と
微妙に距離を置き、他人のフリをする若手トリオ。
「今の願い事は・・・早く宿を取ってそこで休みたい、です。あと、ジェーニャ先輩を見つけたい」
ガッちゃんの願いは、天に届くのかどうか。願いの優先順位を間違えているけど。
笹の葉の下でのジョニ子語り部第3章〜恋愛編〜がようやく終わりホテルへ向かう一同。
初めての語り部参加にがっちゃんはぐったり。あまりに濃厚過ぎて食欲も失うほどだ。
「さあ〜て部屋割りだけど」
ジョニ子は全員を見渡す。取れた部屋はツイン3室。
「アタシはアーチャ」
「僕はケヴィンくんと一緒がいいです。話したいことがいっぱいあるし。
じゃあおやすみなさい」
ジョニ子の声が聞こえなかったフリをしてチャッキーの腕を引っ張り部屋へ向かった。
「あ〜ん、ロシアについて語り合いたかったのに。おやすみなさいね、坊や達」
さて残るは3人。
「パトリック、アンタはアタシと一緒ね。先に行ってお風呂のお湯を溜めててちょうだい」
あ〜やっぱり、と言う顔で頷きPちゃんは部屋へ急いだ。
「さて、最上階のラウンジへ行くわよ。真面目に話したいことがあるわ」
ベテラン組3人はラウンジに向かう。
「はぁ…散々な一日だったなぁ。明日こそはタラソワコーチのとこに行かなきゃ…」
すっかり疲れきって部屋に入ったガッちゃん。フリーダムな大人たちに振り回されてクタクタだ。
チャッキーと話すのもそこそこに、ベッドに入るとすぐに寝入ってしまった。
薄暗い空の下で炎を上げて燃える異国風の建物。
その傍に着陸している金色の宇宙船。
そして宇宙船の入り口で言い争っている二人の人影。
(・・・ジェーニャ先輩?それにリョーシャ先輩も!)
会話はわからないが、ヤグディンが血相を変えて怒鳴りつけているようだった。
それを振り切っておもむろに走り出すプル。後を追いかけるヤグ。
二人が走っていくのはあの燃え上がる建物だった。
(ダメです!引き返してジェーニャ先輩!!)
必死で叫んだが二人にはガッちゃんの声が聞こえていないようだ。
そして二人の姿は炎の中に消えていった。
目が覚めるとまだ真夜中。隣のベッドではチャッキーが寝ていた。
「・・・なんだったんだ?今の夢?」
奇妙な夢。だけどとても気になる。
「明日タラソワコーチに相談してみよう・・・」
「行方不明者のことだけど事態は結構深刻よ」
甘そうなピンクのカップケーキとシャンパンを口に入れながらジョニーが言った。
「分かってるよ、アハン。買い物しながらタラソワコーチとスケパシーで会話してたよねアハンアハン」
「ちゃんと俺達も聞いてたさ、ママン」
「あの子達に余計な心労を与えたくないしね」
「ジョニーの買い物も彼らには心労をかけてる気がしないでもないが、ママン」
「なんですってぇ。少なくともうだうだ悩む暇はなかったはずよ。
悩みすぎると悪い方ばかりに向いちゃうしよくないわ」
「だけど僕達と同じ時代に存在してないって…
アハン、予想外に厳しい状況だよね」
「スケパシーで話せるようになっただけでも、ママン。事態は好転してると思った方がいいな」
「あっちとの連絡は当分タラソワコーチに任せるとして、アタシ達は次はどう動こうかしら。
アタシ達がやらなきゃ誰がやるっつう話だわ」
「アハンアハン助けだせるかなあ」
「さっき笹の葉に『みんなが戻ってきますようにママン』って書いてきたからきっと大丈夫さ」
その頃ショッピングモールの七夕担当者は笹の葉に書かれたフランス語を見て困惑していた。
「さっきの外人さんたちかなー、きちんと短冊に書いてくれないと困るんだよね」
ブツブツ文句を言いながらも笹の葉を短冊にテープで貼り付ける。
「何て書いてるかはわからんが叶うといいねー」
「さーさーのー葉ーさーらさらー」
月の船ならぬ宇宙船の片隅でひとり呟く真央(とお供のテディ)。
片手にはここ半月ずっと圏外のままの携帯、届かないのを承知で打ち続ける舞宛てのメール。
「舞、エアロもティアラも小町もみんな元気?そっちは七夕だろうけど、真央たちは本能寺ロケが終わるまで帰れないんだって」
携帯の日付だけは現代と同じ7/6なのでわかるのだ。
「真央のことは心配いらないよ。だいちゃんもたかちゃんもミキちゃんもいつもついててくれるし、
ノブ君なんて自分の命の方が危ないのに、明智は真央をさらいに来るんやから気をつけて、
けど指一本触れさせへんようみんなで守るから安心して、って言ってくれてるんだ。
そう、今までのようにみんなで力を合わせればきっと大丈夫!だから安心して待っててね。真央より」
打ち終わると真央は窓の外、本能寺の庭に植え替えられた満開の謎の木に向かって
「えいっ!」と送信ボタンを押した。どうせ届かないだろうけど…
と思いきや届いたのである、現代の舞の携帯に!
しかも送信日時が「1682/6/1 0:00」となっていたから日本スケ連に集まっていた一同、
特にタラソワコーチは半狂乱になってしまった!
「ねえ送信日付、よく見たら1582/6/1よね…ちょっとホンノージ当日じゃないの!」
気を取り直したと思いきや、またしても絶叫してしまう教え子思いのコーチであった。
と思ったが、よく見たら本能寺の変は6月2日だった。ほんのちょっとだけ安心する一同。
だが危機が迫っているのは間違いない。なんとかしなければ!
その頃DIVA一行はホテルのロビーにぞろぞろと集まってきた。
「まあ!どうしたのよあんた達?」
ぐっすり眠って元気いっぱいなランビ・ジュベとは対照的に、寝不足気味な表情の若手3人を見てジョニ子は驚いた。
「…ちょっと眠れなかったんです」
昨夜の夢が気がかりで寝付けなかったガッちゃんがぼそりと呟く。
Pちゃんは深夜遅くにジョニ子が戻るまでひたすらお風呂の準備をして待ち続けた為、充血した瞳孔が更に開いていた。
ちなみにチャッキーは本当は熟睡していたが、もともとの顔つきが(ry
「…まあいいわ、とりあえずこれで皆揃ったわね。それじゃ行きましょうか」
「タラソワコーチと合流するんですか?」ガッちゃんが期待まじりで尋ねた。が。
「いいえ、その前にまだ行くとこがあるのよ♪」うふふ、と笑うジョニ子。
(あれだけ遊んでまだ寄り道する気かよ…)ガッちゃんはこっそり毒づいた。
「聞いてよ!日本に着いたらよ○じやの油取り紙買おうと思ったのに、この辺じゃ売ってないのよ!…というわけで、これから京都へ行くわよ!」
「ええ〜〜!!!」
ホテルのロビーに若手3人組の叫び声が響いた。
「なぜこんなところに木を植え替えたんだ?」
植え替えられた花満開の謎の木を前にライサは不満顔だった。
「仕方ないだろ?大きくなりすぎて宇宙船の天井につかえてきたんだし」
「そうそう、実が成ったらここで収穫すれば良いじゃない」
これ以上宇宙船で育てるのは無理と判断したバトルとプルは、渋るライサを言い含めて
本能寺の庭に謎の木を植え替えていた。
「まあ花も咲いた事だし、それにあれ見てよ」
バトルが指差す方向を見ると…小さな実のようなものが出来始めている!!
「上手くいけば明日ぐらい実がなるかもね」
いつものスペシャル溶液(レッ○ブル+天然水)を木に注ぎながらプルが続けた。
(よっしゃぁぁ!!!)
ライサは心の中でガッツポーズを取った。
「よ○じやのあぶらとり紙以外にも、京都って素敵な雑貨がいっぱいだわ」
スキップ状態のジョニ子の後ろで、残り5人は荷物を抱えてヘトヘトになっている。
「まだどっか行くんですかー?」
「ええ、いよいよ本題に入るわ」
ガチンスキーを振り返り、ジョニ子は爽やかかつ妖艶な投げキスを送る。
「敵も味方も本能寺にあり、って事よね」
一方、タラソワとそのお付きの皆さんは、旧本能寺跡地に行くべきか、
移転済みの新本能寺に行くべきか、まだ悩んでいた。
エマは子分二人を引き連れ、京都駅前へ飛んできた。タクシーを捕まえて叫ぶ。
「エンリャクジに急いで!」
違う違う!そっちは御先祖様が焼き討ちした寺だ!
そしてレイチェルは八つ橋を食べ過ぎないように気をつけて!
風雲急を告げる本能寺!
すでにタラソワ部隊が到着し、二機の小型円盤が本能寺上空でなにやらウィンウィンと作動している。
ジェンナ「異相空間を作ってるの。あれで一般の人は入ってこれない。
もうすぐこの現代の本能寺に天正十年の本能寺が重なります。けれど、この異相空間は長くはもたない。
短時間でマオやジェーニャ達を救出し、各々円盤に乗せて脱出します」
ジョニ子「向こうとは連絡ついてるのね」
ジェンナ「本能寺に来るようには伝えてあるわ。けど…ここしばらく通信が途絶えているの…何事もなければいいのだけど」
〜再開したカナダ若手と米若手〜
アダム「パトリック!ケヴィン!」
Pちゃん「アダム!」
チャキ「ピピネr、アダム!」
アダム「…ケヴィン、今僕より先にピピネラって言ったろ」
チャキ「ううん!言ってない、言ってない!」ブンブン
レイチェル「全くケヴィンはお子ちゃまね」
P・チャキ「あ、レイ…チェ……」
レイチェル「太ってないわよ」
〜エマ姐さんとちびジョニ子〜
エマ「やっだ!しばらく見ない間に随分ションベン臭くなったわね〜。かっわい〜。わーはは、今なら確実に勝てるわぁ!」
ちびジョニ「うっさい。おっさん」
エマ「きーーー!言ったわね!このクソガキッ!!」
次のニュースです。
本日「スケ2」などの人気ゲームで知られるゲーム会社CAPCOWが家宅捜索を受けました。
新作ゲームの販促目的で、浅田真央さんら複数のスケート選手を不当に拉致拘束した容疑によるもので、
ゲーム開発にも少なからず影響が出るものとみられます。
浅田選手らは見つかっておらず、また事情を知るとみられるCAPCOW社員数名も行方をくらましたままで、
当局は引き続き行方を追っています。
以上、中野友加里がお伝えいたしました。
宇宙船の中では徐々に熱気が高まっていた。
すっかりCOPCOW社の仕掛けだと思ってる真央たち一行は撮影にwktk。
しかし、一刻も早く現代に帰りたい小塚は気が気ではない。
タラソワコーチにこちらの状況と作戦は伝えていたが、あれからスケ力が安定せず通信もままならない。
今日が本能寺の変決行の日。
何とか間に合っていてくれればよいが・・・
「キャーッイヤーん」
ジョニ子の叫び声が本能寺周辺にこだました。急いで全員がジョニ子の元に駆けつける。
「なによっどうしたの?」
タラソワがちびジョニを抱きしめながら問いただす。ちなみに夏場の毛皮はクールビズ仕様でノースリーブである。
「これこれ」とジョニ子が指差しているのは枯れ果てた一本の木。
「アタシが追い求めていた木にそっくりなのよ!なんとかこれを生き返らせて…」
「紛らわしい叫び声あげるんじゃないわよ」
バコッとおばちゃんの毛皮パンチ炸裂。怒ってあっちに行ってしまった。
だけどジョニ子はメゲない挫けない。
「アダム、写真!」リッポンの旅行写真と比べる。なんとなく木の独特なフォルムが似てるには似てるが。
「これだけじゃ同種類の木であるという証明は難しいわね」
「生八ツ橋買ってあげるからアンタが調べてくれないかしら」
一瞬心が揺らぐレイチェル。
「粒あん入りだけじゃなくて販売されてる全ての味の詰め合わせでどう?」
「乗ったわ。任せて」
「はぁ…今日が本能寺の日や思うとドキドキするわ」
緊張する信成。いざ当日となるとそわそわしてくる。
「案ずるな信成、お前には良き仲間たちが居るではないか。皆と力をあわせるのじゃ」
「解ってますご先祖様、みんなで帰ろうゆうたんですから、僕も一生懸命がんばりますわ」
「わははは!それでこそ我が子孫じゃ!」
ご先祖様が信成を励ます。しかし端から見てると一人で喋っているのでやっぱりなんだか奇妙な光景だ。
「あれ?そういやエヴァンはどこ行ったの?」
あれだけ黒くて(ryなのに姿が見えないので不思議そうなプル。
「今のうちに実を収穫してくるって出て行ったよ。念のためとか言ってクリスが借りてきた防具(
>>364参照)も着けてたよ」とバトル。
「大丈夫かなぁ…」まだ薄暗い窓の外を見てプルは呟いた。
「エヴァンじゃ防具のサイズが合わないんじゃ…?」
……心配するポイントはそこかプル?!
「もしもしママ?私、レイチェルよ。今からある植物の組織をサンプルとして送るから
ママの研究室で調べてくれないかしら……ごめん!仕事とプライベートは完全に
分けるのが、フラット家の家訓という事は、私もよくわかってる。でもね、先輩を助けて
あげたいの。ええ、ちょっと変わってるけど、素晴らしい人よ……私に生八つ橋を買って
くれるっていうし……あ、ううん、こっちの話。でね、その樹木の性質次第では、パパの
生化学エンジニアとしての仕事にも役立つかもしれないの。お願い!」
懸命に母を説得するレイチェル。
生八つ橋コンプリートがかかってるからなのか、ジョニ子を助けたいからなのか。
本能寺の枯れた木の一部を採取完了。
次はグランドキャニオンに戻ってあの木を探さなければならない。
レイチェルのアシスタントにはリッポンとチャッキーがついた。
「ウフフフ、リッポンを指名するなんてやっぱりねぇ〜ウフフフ」
ジョニーは一人で勝手に納得して満足げだ。
「行ってくるわ。例の約束忘れないでね」
「当然よ。後でパトリックが責任をもって買いに行くわ」
レイチェルはニコっと愛らしい笑顔を見せてチャッキー、リッポンと共にグランドキャニオンへ向かっていった。
ここはグランドキャニオン内にあるとあるカフェ。
「ひと仕事した後の食事は格別においしいわね」
「うん。話のわかる木でよかったよ」
「僕が写真を撮るときは物静かな感じだったのになあ」
「あと数日待てば違う実が手に入ったのに残念ね」
グランドキャニオンに降り立ったレイチェル一行。
さて、捜そうかと辺りを見渡した瞬間、移動途中にひと休みでゴロ寝している例の木といともあっさりご対面。
よ○じ屋の脂取り紙を手土産に枝の一部を分けてもらったのだ。
「気ぃ遣ってもろうてえらいすみませんなぁ。
いやね、移動しないと実を盗もうとする輩ばかりで、わても大変なんですわ。
グランドキャニオンさんにも迷惑かかりまっしゃろ。
そろそろ次の7月の実がなりますので今後もごひいきに。
えぇ各月効能が違うんですわ。
詳しいことは契約してるグランドキャニオンさんに聞いてもらえまっか。わての名刺渡しときますさかいに。
ほなわては行きますよって。またお逢い出来るの楽しみにしとりますわ」
「さあ腹ごしらえもしたしママにサンプルを渡しに行きましょう」
その頃Pちゃんは生八ツ橋を買うため、リスト片手に京都府内を奔走していた。
一人じゃ寂しいだろうとランビがフラミンゴを頭に乗せてくれた。だがはっきり言って邪魔なだけだった。
しかし降ろそうとするとつつかれるので仕方なく一緒に行動中だ。
その頃宇宙船では。
真央「ライサチェックさん遅いね。どうしたのかなぁ?」
バトル「実を収穫するのに手間どってるのかな?」
プル「案外暗くて帰り道に迷っちゃったとか?」
好き勝手な事を言いあう一行。
真央「私、ちょっと手伝ってくるね」
小塚「真央だけじゃ危ないよ!俺も行くよ」
信成「僕も行くで、みんなで真央ちゃんを守らんと」
美姫「私も行くわよ(黒(ryと二人きりなんて別の意味で危ないわ!)」
高橋「俺も行く!みんなでやれば収穫も早く終わるし」
というわけでぞろぞろと宇宙船から出て行く真央一行。もちろんテディくん(仮名)も一緒だ。
プル「みんな気をつけてね。危ないと思ったらすぐに助けを呼んで。僕達もすぐ行くから」
真央「わかりました。終わったらすぐ帰ってきますね」
宇宙船の外では夜明け前の薄暗い闇が広がっていた。
こちらは現代の本能寺のジョニ子ご一行。
「本能寺の変…日本人なら誰でも知ってる歴史的大事件なのよね」
日本の歴史ならば、日本人なら詳しいだろう。
なおかつ戦力になるスケーター。できればモブじゃない方がいい。
そしてこのスレの容量は
>>398の時点で250KB。あんまり登場人物を増やすとまとめるのが大変だ。
そんな都合のいい人物、どこかにいないものか…
「そうだわ!
>>91にジェレミーとユカコーチがいるじゃない!
今すぐ呼び出して来てもらいましょ!」
「敵は本能寺にあり。行け、皆の者!」遠くから明智光秀の声が聞こえ、寺は炎に包まれた。
とりあえず歴史通りに演じなければならない信長と信成は、ライサの行方は小塚達にまかせた。
「時は満ちた。信成よ。今宵は先の「とりのわーるど」の轍を踏むでないぞ」
「‥‥‥もう、(真央ちゃん心配なのになぁ‥)わかってますよ!僕にまかせてください!」
信長は二人の意識を残したまま信成に馮依する。‥斜に構えた刀と、両足に輝くブレードが炎に浮かび上がった。
第六天魔王信長。鎧武者姿のスケーター‥‥なんとも恐ろしい、そして不思議な妙な姿だ。
「‥‥‥‥‥‥参るぞ。」
一つ(3A)二つ(3Lz-3T)、三つ(3F)! 飛びかかる先発部隊の斥候を難なく峰打ちで撃退する。
外部からの火縄銃の弾丸をCiStで華麗に躱し、怒りに満ちた信長の闘気が逆に銃撃部隊をぶっ飛ばす。
襲いかかってくる連中の足下をFSSpで掬い、残った兵士らはCSSpで一挙になぎ倒した。
地獄の業火の中で、「死の舞踏」の舞台と化した本能寺。
「‥‥‥ハァハァ‥」
「うむ、終わったようだ。敵ももう来ぬ、儂は此処で討ち死したと歴史書には書かれようぞ。脱出じゃ、信成!」
「二人共早く!迎えが来るわよ!」
男装した美姫が飛び込んで来た。どうやら森蘭丸のつもりらしい、なかなかどうしての美少年っぷりだ。
「おお!長くて黒いらいさ殿は無事か?」
「真央ちゃんは大丈夫なんやろな?ここは歴史通りに終わったし、そっちに合流しよう!」
信成は残して来たメンバーが心配でならない。
「あいつ心配して損した。謎の木守ろうとして明智勢と奮戦してたわ」
ちなみに信長勢として戦い行方不明になった黒い人は実在するwww(史実ではホントの黒人だが)
「ほな美姫ちゃんは未来ちゃん連れて先に宇宙船行ってて。未来ちゃんおおきに」
「そんな〜かえって楽しかったですよぉ」お姫様衣装で一応真央の身代わり役の未来。
斥候によれば明智は謹慎中も謀反を企てつつ「かぐや姫ハァハァ」を連呼してたらしい。誰かさんの謹慎中とはえらい違いだ。
が、その本能寺になぜか真央が一人で駆けていくところを、一番まずい奴に見つかってしまった!
「姫は本能寺にあり!」
緊張高まる本能寺。
その一方、ほのぼのレイチェル一行はレイチェルママの研究室に到着していた。
が、その前でチャッキーがへばっていた。
「ちょっと…どういう意味よ」
「ぜぇ、ぜぇ、どうもこうも…君がおm、痛ーーーーーーーーーーっ!!」
リッポンがチャッキーの足を思いきり踏んづけた。
「何するんだよっ!」
「あ、ごめん。足が滑った。スケート選手だけに?」天使スマイルでごまかすリッポン。
(何するんだ、じゃないよ。薄々気付いてたけどケヴィンって結構な朴念仁だ。ある意味パトリックよりたち悪いや。ん?)
「あ!あのすいません!」
見るとチャッキーがレイチェルママに何やら頼んでいる。
「この枝に付いてる実が幾つか欲しいの?いいわよ。サンプルはひとつあれば十分だから」
「ありがとうございます!!」
チャッキ―は木の実を大切そうにジップロックにしまった。
「どうするのよ?そんなもの貰って」「えへへ、内緒」
さて、どうするんでしょうね。
「ああ・・・俺の木の実が・・・」
ようやく戻ってきた宇宙船内で、破れた袋を片手にうな垂れるライサ。
「無事に帰れただけ良かったじゃないですか」
「そうそう、2.3個でも木の実も取れたんだし」宥める小塚と高橋。
待望の木の実の収穫中に本能寺の変が始まり、謎の木と実を入れた袋を守るべく頑張っていたライサだったが、
多勢に無勢であわやというところを小塚達の加勢でなんとか宇宙船まで戻ってきた。
だが戻ってきてよく見たら木の実を入れた袋が途中で破れたらしく、実のほとんどが無くなっていた。
「俺の努力が・・・あれだけ苦労したのに水の泡・・・」ショックで顔が真っ青になるがやっぱり黒くて(ry
「二人とも大丈夫?早く中へ入って!!」
宇宙船入り口で周囲の様子をうかがっていたプルは戻ってきた美姫と未来に声をかけた。
「私たちは大丈夫です・・・あれ?真央はいないんですか」
美姫は宇宙船内に真央の姿がないのに気づいた。
「お前達と一緒じゃ無かったのか?!」傍にいたヤグの問いかけに二人は首を振った。
その直後、大きな音を立てて本能寺の建物がさらに激しく燃え上がった。
「大変だわ!早く真央とノブ君を助けに行かなきゃ!」
再び本能寺へ取って返そうとした美姫をプルが制して言った。
「・・・二人は僕が探してくるよ」
まだグランドキャニオン組。
「何が“えへへ”だ。可愛い子ぶるな。教えろよ」チャッキーを小突くリッポン。
「もう、痛いなぁ。だから、えーと、ほら、これはまだ、ぎりぎり6月分の実だろ。ちょっと熟れ過ぎてるけど。
うん、ジョニーさんが欲しがってたじゃないか」
「…ケヴィンはそんなにジョニ姐に気ぃ遣ってなかったじゃん」
「う、うるさいな。ほら、もう早く戻ろうよ」
「生八つ橋ならあげないわよ」
「いらないよ」
―――ところで、レイチェルはこの美人になる実っていらないのかな?
などとリッポンは素朴な疑問を抱く。
いかに文武両道・才食兼備でも、やはり女の子。そういうのって気になるんじゃ・・・?
でもデリケートな問題ゆえ、本人に確認するわけにはいかない。
―――まあ、勉強とスケートで手一杯らしいし、あえて見た目は後回しなのかも。
勝手に納得する。
「ユカ、どうしてバトロワ便乗捨てネタで1度出たきりの僕らが呼ばれてるの?
パンツが2枚、どうしても手荷物に入らない。なーんてモタモタしているうちに、
やっぱり来なくていいなんて事になったりして。どうかな。あ、呟いておこう」
「・・・ジェレミー?^^」
「すんません。急ぎます。ハイ」
デトロイトは今日も主従日和。
真央に駆け寄ろうとした明智くん。
ふと足元にボトボトといくつか木の実が落ちているのに気づいた。
家来の報告を思い出す。
黒くて長いなにやら動くものがある木と実を必死に守っていると言っていた。
「もしやこれが…」
とりあえず胸元に数個忍ばせ確保。
黒(ryが命をかけてほど守ろうとしていた木の実に明智くんは興味津々。
毒入りの罠の可能性もあるが食べたい衝動を明智くんは抑えきれなかった。
謎の実をむしゃむしゃしつつかぐや姫を追う明智。ちなみにこの時の真央はなんと尼姿。
寺に尼がいてもおかしくない、頭巾で目立たないという理由だが、時々しゃがみこんで謎の実を拾いながらだからかえって目立つのだ。
「道理で見つからぬはず。殿のそばにいた娘が替え玉とわかった時は愕然としたが…今参るぞ、わしのかぐや姫!」
とほくそ笑む明智、声がわりしていることに果たして気づいているか?
本能寺に招集されたのアボット&ユカだけではなかった。
エマが世界各地で調査がてら声をかけておいたスケーターが、続々本能寺入りしている。
トラ、べるるん、ADSL、キーラ&ラウラにヌルメンカリ(とアクセルくん)……とにかく大勢だ。
テンくんは枕を持ってうつらうつらしている。申雪&趙宏博はまだ恐縮している。
彼らを見渡し、ジョニ子は大きくうなずいた。
「最後はスケ力が物を言うわ。みんな、サポート頼んだわよ!」
気合いがみなぎったせいか、10歳児モードから微妙に成長して、13歳児モードになっている。
轟音を上げて燃える本能寺。
真央と信成を探しに走り出そうとしたプルをヤグが引き止める。
「待て!おまえ自分が何しようとしてるか解ってんのか?!」
「解ってるよ…ノブナリとマオをつれて来る。君はみんなとここで救助を待ってて」
「そうじゃねぇ!!あの火の中に突っ込むバカがどこにいるってんだ!!」
語気を荒めて怒鳴りつけるヤグ。対照的にプルは落ち着いていた。
「確かに無謀だけど、あの中に2人がいるんだよ?リョーシャはこのまま放って置くつもり?」
「そんなわけねぇだろ!けどいくらなんでも…」
「大丈夫。ちゃんと二人を連れて戻ってくるから」
そう言うが早いか、プルは燃える本能寺に向かって走りだした。
「おい、待てよ!…ったくあのバカは無茶しやがる!!」
ヤグは慌ててプルの後を追った。
燃え盛る内部に突入する直前、誰かの声が微かに聞こえたような気がしたが、構わずに走り続けた。
ライサチェックさんがあんなに欲しがっていた謎の実…真央は立ち止まっては実を拾い袂に入れるのを繰り返し、
両袖がぶっくぶくに膨らんだ尼姿で本殿にたどり着いた。
「あれ…戦闘シーンはもうおしまいなのかな?まだ真央の出番があるって監督さんに言われたから戻ってきたのに」
敵も味方も、誰もいない…しかし台本には燃え盛る建物内をさまよう真央のシーンがある。
「あっノブ君見っけ!あっちに行けばいいんだ」と走りかけた時、
「おお、空飛ぶ船で月より訪れしわしのかぐや姫!」
「あれ、それ台本の台詞と違う…って、きゃあ!」
その時。かぐや姫‥もとい真央の前に立ちはだかった者がいる。
「まて!真央に手を出す奴は誰であろうと僕が許さないからね!」
3Lzで降り立ったその姿は、凛々しい鎧武者姿の信成だった。もう、信長の力を借りなくとも真央を守る自信がある。
「ふっ‥‥誰だ。お前のような若造はこの明智は知らぬ!」
「‥‥‥へ〜〜、若造ですか。じゃ、貴方は何処のちっちゃなお子さんですか?ふふふ」
信成は懐から鏡を取り出し、明智の目の前に突きつける。
「こ、これはどうした事だっ?……妖術か!」
たじろぐ明智光秀の前で、第六天魔王信長(実は信成)は高らかに嗤う。
「己の浅はかさを悔いよ!さらばだ!」
真央を抱きかかえ業火の中を駆けぬける。
しかし火の手はすさまじく速い。焦げた梁が焼け落ちて二人の上に!
それを弾き飛ばし、肩で息つく男が二人。
「火事って怖いな。こりゃ、記念写真撮る余裕ねーわ」
「また髪が焦げて、くるくるロールパンになっちゃうよ」
背中に炎を背負って、俺様・僕様が登場!
「おい、あっちに今ガキがいなかったか?」お断りしまステップなヤグ。
「あれ、明智なんです」真央を抱えながらイーグルで火の粉をよける信成。
「マオを独り占めしようとした罰だね!」タンゴステップで道を開けるプル。
3人は炎に包まれる本能寺を怒涛のステップでつき進む。
「映画の撮影って大変だね〜」真央はまだ撮影と思っているようだ。
しかし火の手は更に激しく、プルに焼けた柱が倒れかかる!
「危ねぇっ!・・・たく、手術明けが無理しやがって、お守りするこっちが迷惑だぜ」
「・・・別に無理して助けてもらわなくたって僕は大丈夫だったよ」
「もー!二人とも、ケンカせんでくださ〜い!」
(ケンカ・・・そうか!アレや!)
一方、現代の本能寺。こちらも凄まじい勢いで炎が上がっていた。
ジョニ子「はい。ちゅーもーく!これから本能寺の変が始まりまーす。でも、異相空間は長くは持ちませーん。
みんな時計は合わせましたか〜?時間が来たら各自、異相空間の外へ脱出するよーにー。
いいですかー。脱出するまでが本能寺の変ですよー。
はい、そこ!テン君、寝ないー。コストナーさん、早弁しないー。
脱出したらタラソワ先生にスケパシーで報告して下さーい。
それじゃ、わかったわね。見せ場は自分で作んなさい!マオたちを助けるわよっ!」
スケーター達「おおー!!」
でも、あんまり頑張り過ぎると信長軍が勝っちゃうぞ。気をつけて!
「みんなはまだ戻らないのかしら・・・?」
窓越しに燃える本能寺を見つめてヤナが呟いた。
「リョーシャも一緒に行ったから大丈夫だとは思うけど」
隣にいるイーラも心配げである。
「とにかくジェーニャ達が戻ってくるのを待つしかないよ。今こっちから応援にはいけないし」
不安げな鳴き声をあげるテディくん(仮名)の頭を撫でながらバトルが言った。
宇宙船にはシールドを張り巡らしているので直接攻撃は受けないが、
寺の周囲に明智勢がまだ残っているためうかつに身動きをとるわけにもいかなかった。
プル達が戻ってくるのを宇宙船内の皆が心配して待っていると。
「…あれは何かしら?」悠子が窓の外の異変に気づいた。
周囲の空間がゆらゆらと蠢いた途端にオーロラのような光が現れる。
やがてその光の向こうに、ジョニ子をはじめ大勢のスケーター達の姿が見えた。
趙宏博「怖くはないかい?」
申雪「平気よ。あなたが傍にいてくれるんだもの。私の命は全てあなたににゆだねてる」
見つめ合う二人。愛のオーラが燃え上がる。
この二人の場合、愛を確認し合う事によってスケパシーが半端なく増大されるのだ。
その2mぐらい隣で、アボットが眉毛をよりいっそう八の字にして、指をくわえている。
アボット「いいなあ・・・メリルにメールしてみようかな」
そのまた1mぐらい隣で、同じジェレミーでもジェレミー違いのジェレミー・テンがニヤニヤしている。
ユカ「いよいよ仕上げね。脱出するところを、足軽一人にでも捕まったらアウトよ?^^」
ジョニ子「彼らなら上手くやってのけるわ」
ユカ「でしょうね^^」
ちなみにカザフスタンのテン君は相変わらず熟睡中だ。
しかし睡眠によりスケ力が格段にあがっていた。
そのため、ジョニーの命によりPちゃんが責任をもっておぶって行くことになった。
「さぁ!みんな行くわよ!!」
ジョニ子の掛け声で異相空間に向かって一斉にスケーター達が飛び込んで行く。
「こやつら何者?!」
「月の都の援軍か?!」
突然どこからともなく現れたスケーター達に周囲を囲んでいた明智勢は驚いた。
たちまち混乱に陥る本能寺。
勢いよく飛び込んだトラは宇宙船の入り口に足軽が一人いるのに気づいた。
中に入りかけた足軽に飛び掛ろうとすると何か様子が変だ。
「うわ〜!トマシュ殿、拙者でござるよ!!」よく見たら足軽姿のクリスだ。
「なんだその格好は?紛らわしいぞ」拍子抜けするトラ。
「紛らわしくないでござる!ちゃんと織田家の家紋入りでござる」
陣笠と胴鎧に描かれた織田木瓜紋をアピールするクリスだが、残念ながら海外勢には解らないぞ。
窓の外に現れた小型円盤を見て感嘆の声を上げる宇宙船組。
円盤を見た崇彦は急いで操縦席に駆け込みスケパシーを試みる。
「タラソワコーチ!」「タカヒコなの!マオは無事なの!」
スケパシーで現在の状況をきいたコーチの顔色が変わる。
「マオたちがまだあの中ですって!」
「プルシェンコさんとヤグディンさんが助けに向かってますが・・・あれが発動されてない限り・・・みんなは・・・」
項垂れる崇彦。しかし
「大丈夫よ、しっかり発動されているわ。みんなの無事を確認したわ。」
熱源センサーで本能寺内を探っていたジェンナさんは冷静な声で応答した。
赤く染まる画面の中で高速で動く青い部分が宇宙船に近づいていたのであった。
「結局、ロシア最高峰のスケーターってどっちです?」
これは賭けだ。一縷の望みを掛けて信成はヤグプルに問う。
「俺様に決まってんだろ!」「僕以外にありえないだろ!」
一気にブリザード!
猛火で肌も焦げそうな本能寺内部に、安全地帯が発生する。
「さあお二方!仲良くケンカしながら全速力で移動してください!」
「ノブくん、どうしちゃったの?あんな意地悪言っちゃダメ。二人ともすごいんだもの」
「そやな。謝らなアカンな」
どんな手を使っても、君を救い出したい―――という気持ちは伏せておく。
混乱の続く中、ガッちゃんは燃える本能寺の光景を見て驚いた。
「これは…あの夢の中の景色だ!」
焦る気持ちを抑えつつ、切りかかってきた足軽を3Aの一撃で吹きとばして急いで宇宙船へと駆け込んだ。
「みなさん大丈夫ですか?!…ヤナさん、ジェーニャ先輩とリョーシャ先輩は?」
元気そうな面々を見てほっとするが、プルとヤグがいない事にすぐに気が付いた。
「私たちは大丈夫よアーチャ。ジェーニャとリョーシャはマオ達を助けに行ってるわ」
「助けにって…あの中へですか?!」一瞬表情がこわばる。
「大丈夫よ、私たちが待ってるんですもの。戻ってこないわけないでしょ?」
その様子を察してか、ヤナが元気付けるように語りかける。そこへ操縦室から小塚が戻ってきた。
「プルシェンコさん達がこちらに向かってきてますよ!」
それを聞いて宇宙船組に安堵の色が広がった。
「…僕、宇宙船の発進準備をしておきます!」
ガッちゃんは操縦室に駆け込むと、素早くエンジンを始動させスタンバイ状態にした。
ヤグプルブリザードの中、信成にお姫様抱っこされている真央はご満悦。
「映画ではどんなシーンになっているのかなぁ、楽しみ〜」ただ台本ではお姫様抱っこするのは大輔の役になっていたのだが。
信成(とご先祖様)も真央を守り通せてご満悦である。ただし大事な仲間としてであって、
現代の大阪で待っている最愛の新妻には絶対バレたくない、というか早く帰って手料理食べたい。
「ほんま無事で何よりや。もし真央ちゃんに万一のことがあったら
たかちゃん、美姫ちゃん、だいちゃん、タラソワおばちゃん…皆にいくらしばかれても足りんとこやったで」
「よくわかってるね」
「わっ、たかちゃん!」
天正10年に突入前に告げられたこと。
それはこの異相空間はもって5分ということだった。
時計係という重要任務に任されたジュベとランビ。
すでに突入から3分半が経過していた。
「ママーン!あと1分半しかないから急げ!」
「ジェーニャ達はまだなの?」
「もう少しです。こっちに向かってきてます」
「他のみんなは少しでも異相空間が維持できるようにスケ力を最大にするのよ。
パトリック、テン君に耳栓をしてあげて!
ジェレミーはとにかく呟きつづけて!え?圏外?いいからとりあえず呟きなさい!
そこの2人!そのままイチャついててOK!」
「あ!あれはトマシュ!!お〜いこっちだ!」
バトルは現在からの援軍達を見つけて叫んだ。ところで、今までバトルの出番が何故無かったのかというと、
宇宙船の奥の部屋で衣装やそれに合うグッズを物色していたからである。
皆、映画「スター・○ォーズ」のジェダ○の騎士の衣装だった。どうやら、美姫が前スレで女(スケ)連の
アジトからかっぱらってそのまま宇宙船に置きっぱなしだったのを出してきたらしい。
美姫「この衣装って、そういえば月の民っぽくていいわね!ジェフ、GJよ!」
未来「‥ミライはレ○ア姫の衣装がよかったなぁ〜このジェ○イの騎士の衣装も素敵だけど」
バトル「レイ○姫の衣装はかぐや姫のマオに着てもらいたいから、今回はごめんミライ!」
大輔「このラ○トセーバーもなんとなく日本刀っぽくて合ってるかも。じゃ、やってみよう」
バトルと大輔は、そのままだと単なる玩具のライト○ーバーにスケート力を集中させる。それは力を受けて
まるで本物のように輝きだした。
今や宇宙船の真下まで迫って来た明智軍を4人は迎え撃った。
明智軍勢はたじろぎまくりである。
謎の扮装をした男女が、光る剣を振り回し暴れているのだから無理もないが。
ビビリ足軽などは、闇雲につっこんでいくしかない。。
そこに現れた可憐なジェダイ。人なつっこい微笑みを浮かべ、小首をかしげる。
「お疲れ様ですー」
おいしい巻き寿司をくれた。自棄を起こしていた足軽は、ホロリと涙する。
「君は戦士じゃない……天女だ。お姫様の格好なんてしていなくても、最高のお姫様だよ」
「そんなぁ……ありがとうございますぅ」
他にも大勢、巻き寿司と慈愛に満ちた微笑みで癒される足軽続出。燃えずに萌えながら帰宅。
明智軍、なんかあらぬ方向でも、危うし!
フラミンゴがけたたましく鳴いた。脱出1分前の合図だ。
巻き寿司も配り終え明智勢はほぼ全員帰途についている。
バトルのリュック内のお菓子も実は配ってしまったのは内緒だ。
フラミンゴとほぼ同時に辺り一帯の気温が急激に下がった。気づけば本能寺の炎も消えている。
そして見えたプルとヤグの姿。睨みあっている真ん中には信成と真央もいる。
「急いで、時間がないわ!」
「あれーみんなどうしたの?」
集結しているスケーター達を見てプルが暢気に笑う。ブリザードもおさまった。
「詳しいことは後よ。宇宙船に急いで。みんなーっ忘れ物はありませんね、もう取りには来れないわよー」
「はーいっ」全員返事しながら宇宙船に乗り込む。
「待て待て待てー」
そこへちびっこ明智光秀がやってきた。
「もうしつこいなあ」
「アタシに任せて」
「ジョニーさん、もう時間がないです!放って置いて帰りましょう」
宇宙船の運転席からがっちゃんが制止するがそれを振りきり
チビジョニーはちびっこ明智光秀の前に立ちはだかった。
「この妖術使いめらが…娘はもうよい。否、もとから娘などどうでもよいのじゃ。殿じゃ!殿を返せ!」
「へ?」意表をつく光秀の言葉に当惑するジョニ子。
「そちらが来てからというもの殿はおかしくなった。元より奇矯なお方ではあったが、此処までではなかった。
貴様らが月に帰るのは止めん。いや、むしろとっとと帰れ。しかし、殿は返して貰うぞっ!」
若武者姿の光秀が叫ぶ。
宇宙船の奥からゆっくりとご先祖(信成)が出てきた。
「おぬしも奇態な男よのぅ、光秀。儂にあれだけ酷いめにあわされながら、まだ、儂を慕うてくれるのか?」
(自覚あったんかいっ!)突っ込むのは日本人スケーター達。
「ふむ…しかし…実はな、光秀よ。…儂は、元々月の住人だったのじゃ」
「なんとっ!」
「こうも大勢で迎えに来られては儂も帰らない訳にはいかん。解ってくれるか」
「そ、そうで御座いましたか…確かに殿は人間離れしておった…」
「ママーン!時間ですっ!!」
「ノブナリ乗って!アーチャ!出してっ!!」
急速に閉じていく異相空間。渦を巻く空気。その狭間を突っ切り宇宙船は上昇していった。
なんだか突っ込み所は沢山あるような気がするが、まあ、一先ず、やれ良かった、と安堵の空気が流れる宇宙船内。
薔薇の花を手にしたジョニ子が一言。
「最後に、出番とられちゃったわ」
宇宙船が消えていった方向を見つめるちび光秀。
「おお・・・殿が月に戻ってしまわれた・・・」
呆然としていると周囲が騒がしくなってきた。謀反を知った織田家の軍勢が近づいてきたようだ。
今や謀反人となった以上、急いでここから立ち去らなければならない。
「殿・・・!おさらばでございます!!」
慌しく本能寺から走り去る光秀。
通説では数日後に討ち取られたと言われているが、実は生き延びていたのでは?という仮説もあったりする。
「月からやって来た不思議な人々」と同じく、歴史の裏では時々アンビリーバブルな事もおこってしまうのものである。
小型円盤も宇宙船内に格納して宇宙船内に全員集合している。
「この宇宙船は現代へと向かっております。
ただいま、時のはざまを移動中ですので現代に戻るまで
しばしご歓談ください」
ガイドさながらにジェンナが全員にアナウンスした。
それぞれに起こったことを話して盛り上がる一同。
「ドラ○もんのタイムマシーンみたい〜」
「ミライ、ちょっといいかな」
「……なんですか?」
さっき冷たくされたのでちょっと不機嫌な未来。
「ほら、これ」
そう言ってバトルが差し出したのは着物一式。
「ミキがやってた帯くるくるをミライもやってみたいって言ってたよね。
ミライだけ帯くるくるが出来なかったってあとで言ってたのを聞いたんだ。
だから安土城の人に頼んでもらってきたよ」
「わぁ、ミライがもらっていいんですかぁ?」
「もちろん。さっき渡そうとしてたのに言いそびれちゃってごめんね」
「ありがとうございますぅ。早速真央ちゃん達と遊んできまーす」
(誤解がとけてよかった)
真央の元に走って行く未来の後ろ姿を見て安心するバトル。
「さあーてお菓子でも食べよっと」
事態も収束し平穏を取り戻しつつある本能寺。
金色に輝く宇宙船も小型円盤も時空の歪みに吸い込まれいった。
しかし、彼らは知らなかった。
『翼を授ける』液体を与えられた植物に翼が生えたことを・・・・
その植物がやがて自然発生的に現れた時空の歪みに旅立ったことを・・・
その植物が根付いた場所には不思議な形をした実が数個落ちていたという・・・
「あれ?リュックの中が空っぽだ」
「あっごめんなさい。足軽の方々に全部渡しちゃったんですぅ」
「ええええええええええええええええええええええええええええ」
未来の言葉にバトルよりも先にライサが叫んだ。
「俺のっ俺の実は?お菓子の箱の中に実が入ってただろ?」
「‥これ、です?」真央は尼僧の衣装から、拾った実を取り出した。
「うわー!あ、サンクス真央!嗚呼、君は僕の恩人だ‥‥‥‥ぶふぉおぉ!」
ライサが真央にハグしようとしたところを、バトルが強引に割って入った。
「マオ、これを着て。皆であの時代の月に姿を投影するよ!そして君は決め台詞を言ってね!」
真央はレ○ア姫の衣装を着、光る剣を持ったバトルと大輔にかしずかれて、明智軍勢への最後のメッセージを告げた。
因みにその時、テディ君(仮名)はチュー○ッカ、ライサはダー○ベーダーの衣装を着ていたらしい。
過去世界のちび明智達は、驚きおののいて其れを凝視していた。
そして彼がゴーストライターとして後の世に書き記したのが、今の世に伝わる『竹取物語』の詳細そのものであった。
救出作戦に手を貸したスケーターたちは、脱出次第、順次流れ解散していく。
まっすぐ帰る者あり、京都観光をする者あり、様々だ。
ADSL「脱出する時、うっかりヘビ落としそうになっちまった。まいったまいった」
べるるん「しっかりしてくれよ。生態系が変わりかねないぞ」
談笑するスケーターたちを満足げに見送り、エマは再び単独活動に戻る。
エマ「つるむのも悪くないけど、やっぱり一人が気楽だわ」
ウインク一発でピンクのつむじ風となり、どこへともなく消え去った。
チャッキー「エマ姐さんから『がんばってね。アデュー』ってメールが来たよ」
レイチェル「潜伏するって事ね。また気が向いたら招集かけてくるわよ、きっと」
リッポン「じゃ、僕らはジョニ姐さんに残りの実を届けて、後で結果報告すればいいか」
やっとミッション終了のめどが立ったようだ。リッポンは安堵する。
頭にフラミンゴを乗せたまま、宇宙船から降り立つPチャン。
安定したツルスケで敵の間をすり抜け、翻弄しまくった彼の功績は大きい。
「パトリック!乙!」
レイチェル・チャッキー・リッポンが駆け寄り、彼を労う。
「素晴らしい戦いだったわ。ところで、生八つ橋フルコンプセットはどこ?」
「あれはホテルの冷蔵庫で冷やしてるよ・・・つか頭重くて首痛いよ・・・」
ランビ、フラミンゴ早くどけてやれ。
ひょい、とPちゃんの頭からフラミンゴをどけてあげるチャッキー。
「なんでケヴィンは突かないんだよ…」
「それよりさ、Pちゃん…(チャッキーはこそっとジョニ子の方を見る)ちょっと口あけて」
「は?なん…むぐぅ!」チャッキーはPちゃんの口に例の実を突っ込んだ。みるみる小さくなるPちゃん。
「やった!やったよ、Pちゃん!これでもうお父さんに間違えられないよ!」
「……それって、やっぱり俺が老けて見えてたってことじゃん。―――お前も食えっ!」
「ちょっ!やめ、(ごっくん)」みるみる(ry
「やったー!俺の方が背が高いー!」
「そこかよ」とリッポン。「小さい男ね。内面的な意味で」
「……何やってんのよ、アンタ達」
ジョニ子姐さんが現れた。
その頃宇宙船内では。
「ジェーニャ、何やってんの?」
バトルは手にした謎の実をじっと見ているプルに声を変えた。
「うん…結局これってグランドキャニオンの木の実と同じ物なのかなぁ?って思って」
「…エヴァンは同じ物だと信じきってるみたいだけど?」
2人の横でライサは上機嫌で真央から渡された実を厳重に箱詰めして冷蔵庫に入れていた。
「あの木は本能寺に置いて来たから、実を調べるしかないだろうね」
「なんだか今になってあの木のことが気になってきちゃったなぁ…」
「あの後どうなったのかな?…燃えてなきゃ良いけど」
種から育てて情が移った(?)のか、本能寺に置いてきた謎の木のその後が気になるプルとバトル。
彼等の世話の結果、翼を授かった謎の木が時空の旅を始めていた事は当然知らない。
「謎の実をオモチャにしちゃダメって言ったでしょ?」
「えー、聞いてないよ。そもそもジョニ姐さんが私欲で」
Pチャンにみなまで言わせず、ジョニ子(また微妙に成長して15歳ぐらいになってる)は笑顔で提案する。
「ねえ、これから原宿にでも繰り出して、レイチェルママからの報告書を待ちながら買い物しない?
その後は回転寿司に行ってエビのお寿司を食べるの。デザートはジャム乗せプリンよ」
ウンザリ顔のチビチャッキー・チビPチャン・リッポンは渋々うなずく。
彼らの訴えかけるような視線に、ジュベ&ランビもアハンママンと参加を決定。
「レイチェルもいらっしゃいな。おいしいクレープの老舗があるらしいわ」
「やれやれ……しょうがないわね」
クールな言葉と裏腹に鼻息が荒いレイチェルも加え、ジョニ子チームは7人で原宿に飛んだ。
「ユカ、あの…僕ちょっとだけ観光したいけどどうかなあ」
「そうね。せっかく日本に来たしね^^」
「ヒャッホゥ、さっき観光ガイドブックを買ってきたんだ。今日のユカは優しいね」
「今日『は』?^^」
「いや…今日も…いや、いつも厳しくて優しいいいコーチだよ…」
「あら嬉しいわ。近くにいいリンクを知ってるの。早速行きましょうね^^」
「か、観光は?」
「日本全国リンク巡りって楽しそうよ^^
夜は美味しいものを食べましょうね^^」
「オーーーーーノーーーーーーーーー!!」
「せっかくみんなが集まってるし、今日は京都で豪遊しようか」
プルの提案にのるバトル。みんなを誘おうとバトルとプルは宇宙船の外に出てみるが…
「あれ?なんで?もうみんないないの?」
小型円盤を整備中のガッちゃんが振り返った。
「あ…はい。みなさんそれぞれの目的地に散っていっちゃいました」
(てっきり僕も誘ってもらえると思ったのに……)
ガッちゃんはちょっと悲しかった。宇宙船の点検をしている間にジョニー達はいなくなっていたのだ。
「なーんだ。せっかく今からみんなでお菓子を食べながら色々話したかったのに…
帰りの宇宙船内ってごった返したり、混乱してたりでまともにみんなと
喋れなかったからなー」
「まああのメンバーだしね。仕方ないよ。いつでもまた集まれるし、僕達だけでも宴会しようか。
アーチャももちろん来るよね」
「はいっジェーニャ先輩達が戻ってきてくれて僕、本当に嬉しいです」
最近涙腺がゆるみっぱなしだ。恥ずかしいなと思いつつまた泣いてしまう。
(ジェーニャ先輩が戻ってきたし、もしかして気を遣ってくれたのかな……
ジョニーさんありがとうございます)
というわけで、祇園祭の準備で賑わう京都の街中へ繰り出す一行。
未来「京都といえばやっぱり都○里の特選パフェですよねぇ〜」
美姫「あら、ぎ○ん○森の抹茶プリンパフェも捨てがたいわよ?」
バトル「向こうで和菓子ばかり食べてたからクリーム乗ったのとか恋しいなぁ…」
真央「お腹すいたから真央は焼肉食べたいなぁ」
ライサ「(観光ガイドを見て)おい、この川床とか言うのは何なんだ?」
プル「そこで寿司は食べれるのかな?」
ヤグ「鰤と穴子は外せねぇぞ」
ここぞとばかりにリクエストをしまくる宇宙船組(特に海外勢)。
小塚「どうしよう…俺京都はあんまり知らないんだけど」
高橋「ここはやっぱり関西だしノブに任せよう」
信成(…僕、ちゃんと仕切れるやろか?)
成り行き上案内役になってしまった信成。個性的過ぎるメンバーだが頑張れ!!
舞は改めて
>>384 の真央のメールを友加里に見せていた。
友加里「本能寺ロケ??‥‥‥日付が「1682/6/1 0:00」‥‥???」
舞「一体どうなっちゃってるのか全然わからなくって‥」
「舞さ〜ん、友加里さ〜ん」ユヅルの声がした。彼の手には不思議な形をした木の実が握られていた。
舞「あ、ユヅル。丁度良かった、‥‥真央と連絡とれたりした?」
その時。突然三人の目の前に、奇妙な植物が生えた。というよりこつ然と現れた!
クレープを食べまくって、近くの女子高生に「あの金髪のベッキーみたいな子すごくね?」と
恐れられているレイチェルは、ふと自分の携帯を見た。
「あ、ママから報告書来たわ」
全員レイチェルの携帯電話に群がり、報告書を熟読。
「検体A(グランドキャニオンの木)とB(本能寺の枯れ木)の組成は極めて近いアハン」
「果実の成分は(ry 女性は代謝が促進されアンチエイジング(ry 男性は効き目が強すぎて子供にママン」
「性別で効果違うのっ?・・・そうなの・・・ふぅん」
急におとなしくなってしまったジョニ子。なんか気まずい。
「でもさ、報告書によると突然効果が切れるってあるけど、ジョニ子姐さんは戻りが緩やかだ。乙女だからかな」
リッポンのフォローに、ジョニ子は力ない笑みを浮かべ、長い睫毛をシパシパさせつつ俯く。
そのしおらしい様に、メンバー全員胸が締め付けられるような悲しみを覚えた。
突然現れた木に3人はしばらくの間あっけに取られていた。
ユカリ「どうなってるの?・・・ここ室内よね?」
ユヅル「あ!この木の実と同じものが生ってる!」
マイ「何で急にこんな大木が・・・?」
一体どうなってるのか解らず混乱する3人だがそこに声が聞こえた。
『・・・・・・い』
マイ「え?今のなに?」
『・・・・・・じゃない』
ユヅル「木が・・・喋った?!」
信じられない事態にますますパニクる3人。その前でさらに異変は続く。
突然木の幹から翼が生えたかと思うと、謎の木は翼をはためかせる。
その周囲の空気が渦巻き始め、やがてそこに出来た穴に謎の木は消えていった。
ユカリ「今のは一体・・・何だったの・・・?」
木が生えていた場所を見てユカリは呟いた。
チャッキー「毎月違う効能の実がなるって木から直接聞いたよ!今月はいい効果があるかもっ?」
Pちゃん「じゃ、その新しいの収穫しに行こうぜ!今すぐ!」
いざ、再びのグランドキャニオンへ!
と行きたい処だったが、P&チャッキーは10歳児、ジョニ子は15歳とパーティのクワド率が著しく下がっていた。
「全くアンタ達は余計な事をして!」
「スイマセン…」「ごめんなさい…」
素直に謝る二人。しかし生来の世話焼き性分が働きだしたのか、ジョニ子は少し元気になったようだ。
「仕方ないわね。じゃあ、アタシとケヴィンはステフが運んで。パトリックはブライアンに運んで貰いなさい」
ジュベとの指名にちょっと躊躇うPちゃん。しかしジョニ子にすかさず、
「駄目よ。これは罰でもあるんだからね!」と言われ、渋々頷いた。
「何も気にする事はないさ、パトリック」
こんな時ばかり普通に喋るジュベに、ちびPちゃんは曖昧に微笑んだ。
「レイチェルは勿論アダムがエスコートするのよ♪」
何か言いたげなチャッキーをリッポンが一睨みで黙らせて準備完了。
改めて、いざ行かん!再びのグランドキャニオンへ!!
「キャーッ」
「ぎゃっレイチェル首を絞めるのは・・・・ぐぇっ」
グランドキャニオンに向かったはいいがまだまだ練習中のリッポンのクワド。
移動中にバランスを崩してしまいランビ、ジュベとはぐれてしまった。
辺りは木が生い茂り人の気配はない。
「もう一度飛んで追いかけようか?」
「いいえ、無理はしない方がいいわ。怪我をしたら大変ですもの」
「スケパシー使って迎えに来てもらおうか。それなら見つけてもらえるし」
「そうね。でもスケパシーには集中力と体力がいるわ。
あなたはクワドで体力を消耗したし私もお腹がすいてるの。
とりあえずは何か食事をできる場所を探しましょう」
さっき山ほどクレープを食べたよね、と言い出せる訳もなくリッポンとレイチェルは歩き始めた。
7月の果実の効果は、どのようなものなんだろう?ママン
『筋肉美へのあくなき追求』的なものだったりしないかなママン
・・・・・・おっと、それじゃジョニ子がまたショゲちまうなママン
マッチョはよりマッチョに、乙女はより乙女になるって事なら丸く収まるぞママン
ニヤニヤするジュベのクワドに身を任せ、Pチャンはやはり複雑な心境だった。
「到着っと。はーい確認するわよー番号!」
「1」「2」「グェッグェッ」「4アハン」「5だなママン」
「あら?もう一回番号!」
「1」「2」「グェッグェッ」「4アハンアハン」「5ママン」
「ちょっと〜アダムとレイチェルがいないじゃないの。あの子達ってばアタシに内緒で悔しい〜っ」
「そう言えば途中で姿が見えなくなったような」
「グェッグェッグェッ」
フラミンゴをすっかりPちゃんになついたようでまた頭の上に乗っていた。
一方その頃の宇宙船組。
「真央ちゃん見て見て〜!これ面白いですぅ!」
歩きながら観光ガイドを見ていた未来がとあるページを真央に見せた。
そこには「京都の不思議なお話」という特集ページが組まれている。
「【京都の不思議スポット・ちょっと不思議な昔話を紹介】?わぁ、面白そう!!」
ガイドを片手に盛り上がる女性陣。
「やれやれ、女の子って本当にああいう話題が好きだなあ」
「ホラー映画見て「キャー!」とか言いながら、最後までしっかり見てたりとかするんだよねぇ」
その様子を見て苦笑するプルとバトル。
「これも面白そう。『妖怪ひとさがし』って変わった名前ね」
「なんですかぁ?そのおばけ?」
「…大きな木のお化けで、人を探して後を追いかけるんだって。それが違う人だと翼が生えて飛んて行っちゃうらしいよ?」
「え〜?翼が生えた木のおばけなんて変わってますねぇ?」
「そんなお化けがいたら真央も見てみたいなぁ」
歩けども歩けども、レストランらしきものがみつからない。
だいたい、ここはどこなのか?
「僕が未熟なせいで、こんなところに不時着してしまった。すまない」
「いいのよ。むしろ私自身が飛べたら、あなたに負担をかけずに済んだのに」
「……かえって気を遣わせてしまったかな」
レイチェルは黙って首を左右に振る。屈託のない笑顔だ。
戸惑うリッポンの頭の上で、ピピネラが『しっかりせんかいw』とでも言うように、さえずった。
京都観光スイーツ食べ歩き寿司食べまくり。全員満足して最後は宇宙船内で大宴会。
無事に現代に帰還できた喜びを改めて実感していた。
ライサは30分おきに冷蔵庫の中を指さし確認している。
「ジェーニャ先輩。ライサチェックさんは一体何をしてるんですか?」
ガッちゃんは冷蔵庫前にいてみんなの食べ物飲み物の管理をしているので
しょっちゅう覗きにくるライサの行動が不思議でたまらなかった。
「ああ。彼のね大切な大切な実がこの中に入ってるんだ」
プルは思い出し笑いを隠せない。
「実?」
嫌なキーワードだ。振り回された日々を思い出すとまた泣きそうになる。
「元々は僕がある実を食べたことから始まったんだ」
アイスをかきこみながらバトルがこれまでの経緯を説明する。
「で、その天正10年の世界でもらった『不思議な力を持つ木の種』の実と
ジェフが食べた実が同じだったら面白いなっていう話だよ」
一一一バトルがグランドキャニオンで食べた実。食べたら小さくなった白くまとライサ。
どうしよう。すごくすごく思い当たることがある。
一一一小さくなったジョニー。本能寺の枯れた木。調査中のレイチェル。そして再び実を欲しがっているジョニー。
どうしよう。全部話そうか。話したらまたこの先輩達はおもしろがって
めんどくさい…いやいやとんでもない…いやいやとにかくまた
ごちゃごちゃしそうで恐い。話さなかったらこのままロシアに帰ってまた元の生活に戻れるかも。
はぁどうしようかなー。僕ひとりじゃ背負いきれないよ。
互いに気遣いあうレイチェル&リッポン。
そんな二人に声をかけるものがいた。
「いやぁ〜久しぶりやないですかぁ〜!」
枝を分けてもらった例のあの木だった。
「あの…無事に帰って来た事だし、一度ロシアへ帰りませんか?ミーシン先生も心配してるし」
できれば事をを穏便に済ませたいガッちゃんはプルにそれとなく提案してみる。
「う〜んそうだねぇ…あとでミーシンコーチに「心配しないで」って連絡しておくよ」
「…まだ帰らないんですか?!」
「うん。ここまで来たらあの実の正体をはっきりさせたいし、それに…」
「それに?」
「そのほうが面白そうだろ?アーチャもそう思わない?」
「そ…そうですよね…そのほうが面白いですよね…」
にっこりと笑うプルと対照的にガッちゃんの笑顔が心なしか引きつる。
解っていたとはいえやっぱりこうなったか。でも先輩達をおいて一人で帰るのも心配だ。
無茶しないようにやっぱり傍についておかなきゃ。
残念ながらガッちゃんが平穏な日々に戻るにはもうしばらくかかるようだ。
「先輩方!今まで此処にいたんですか」
ユヅルの声だ。あの後彼は宇宙船の居場所をスケパシーでサーチしていた。手にはまだ例の木の実を持ったままだ。
「あっ、ユヅル君!真央達ね、京都見学中で、信君が案内役なの。ユヅル君も一緒にいこうよ」
「そんなの見ればわかりますよ!そうじゃなくて、昨日まで何処にいたのかってことです」
「あ、昨日までの話‥日本支部広報さんと監督さんに頼まれて、色んな場所で映画を撮っていたの」
「映画?‥‥え?‥‥あれ?僕達ジュニアの所にいる監督さんとは別の人なのかな‥‥?」
どうにも話が合わない。ユヅルの話では、日本支部広報と監督はLAなどには向かっていないという事だった。
なんだなんだ、と小塚や高橋、リード姉弟が話に加わってきた。
「‥‥どうにも話がおかしいな。」
「俺達の所に来た手紙には、「ロケはアメリカで、現地集合」ってあったけれど‥‥」
「あれ?全員日本で集合、って書いてありましたけど」首をひねるユヅル。
「ということは‥‥‥」
「‥‥‥もしかして、LAで俺達を待っていた広報は「偽物」‥‥‥? て、手紙も‥‥?!」
「あれ?ユヅル、その木の実って何処から持って来たの?」ガッちゃんが驚いて訪ねた。
「嗚呼!何故君がそれを持っているんだ?!」驚くライサ。
---そろそろ北極に帰りたいな---
テディくん(仮名)はふとそんな事を思う。
みんなよくしてくれるし、ちょくちょくブリザードが起きるので暑さで参る事もない。
---でもやっぱり、ずーっと真っ白で静かで涼しい故郷で、生肉を食べて暮らしたい---
自らの意思を伝える術を持たず、一頭寂しく溜息をつくばかり。
「ここ?ヨセミテ国立公園ですわ。グランドキャニオンもええんですが、わてもたまには
木に囲まれて癒されたい時っちゅうのがおます。レストラン?南に1kmもいかんうちに
ホテルも売店もレストランもおまっせ。ほな、ええ旅を!」
再会のご縁を祝して、と言って木は7月分の実を7つくれた。
「あ、あの、この実の効能は?」
「あー、なんやったかな。先月は性別で効能に差が出たけど、今月は生まれ月で差が
出るらしいでっせ。冬生まれは視力向上、春は・・・なんやったっけ。思い出されへん」
「うふふ、7月の実の効能は何かしらね〜?セクシー度アップ?それとも感度アップ?キャッ」とジョニ子。
「おいおい、まだ昼間だぜ。それに子供たちも見ているだろママン」
「僕は動物と話せる実がいいなぁ」「ププ、ガキ」「Pちゃんだって子供だろっ」「俺の方が背が高い」「今だけじゃん!」
「こら!アンタ達いちいちケンカしないの」
ジョニ子はP&チャッキーの頭をこつんと叩く。だんだん家族の様相を呈してきたDIVA一行。
「馬鹿だなぁ、ケヴィン。心の窓を開いてごらん。自然と動物たちの声が聞こえてくるだろう。
僕の頭の中はいつも彼らの声でいっぱいだよアハン」
「…言いたい事は解りますが、そういうのとはちょっと違うんです、ランビエールさん。
それより、じゃあ、Pちゃんはどんな効能がいいのさ」
「俺?そうだな、俺はえーと…」暫し考えるPちゃん。「………死んじゃった人が生き返る実、とか(ボソッ」
Pちゃんの言葉に固まる5人。
「あっ!ウソウソ!冗談だから!あっと、俺、ちょっと先のほう見て来る!」「待って!僕も行く!」
駆け出すちびPとちびチャッキー。小さい体になって、子供の頃を思い出したのか。
「…みんな色々あるわよね」ジョニ子はぽそっと呟いた。
(レイチェル、アダム…どこ?)
チャッキーがスケパシーで問いかける。が返答はない。
微かに(生八ツ橋ぃ、クレープぅ、おかわりぃ)と聞こえるだけだ。
(眠ってるのかな。)
みんなでしみじみ語り合いながら夕食を終え謎の木を訪ねようとしたジョニ子達。
しかし木から貰った名刺はレイチェルにあげた生八ツ橋の袋の中に入れたままだったのだ。
一応グランドキャニオン事務所に行ったはみたが本人(本木?)からの名刺がないため
移動場所は教えられない、と門前払いをくってしまった。
それでリッポン&レイチェル組を探しにチャッキーが指名されたというわけだ。
(夜が明けてから出発すればよかったなー)
僕の頭の中はいつも彼らの声でいっぱい、で盛大に吹き出して、
死んじゃった人が生き返る、で目頭が熱い。上手いなあ。
通りすがりに喝采をあびせる観光客は
>>458だけではなかったりする。
妙に目立つDIVA家族。
グランドキャニオン内にジョニ子の部屋別室を作っているしそれも仕方がないだろう。
夕食風景も通りすがりの人が入れ替わり立ち代わり見学。
更にその時Pちゃんとチャッキーが元の姿に戻った。
それに対しなぜか拍手が沸き起こる。恥ずかしくなったチャッキー。
逃げるようにレイチェルとリッポンの捜索組に名乗りを挙げジョニ子の指名を受けたのだ。
実が熟れ過ぎていたせいで元に戻るのが早かったことにPちゃんは少しがっかり。
DIVA一行はジョニ子の部屋別室で川の字のようになって眠りについた。
チャッキーがいない今『ホテルで寝ればいいんじゃね?』と突っ込む人は誰もいなかった。
「今月の実は生まれ月ごとに効果が変わる、か…」(参照:
>>455)
リッポンは謎の実を眺めながらぼんやりと考えていた。
同じ実を半分こして食べても、食べる人の生まれ月が違えば効果が異なるという事か。
どういう仕組みなんだろう。
あの木は、冬生まれは視力向上の効果があると言っていた。では他の季節だとどんな事が起こるんだろう。
僕は11月11日だから、秋生まれになるのか。
そういえばレイチェルは誕生日いつなんだろう。明日になったら聞いてみようかな…
そんな事をつらつら思いながら、リッポンの意識は眠りの底に沈んでいった。
チャッキーのスケパシーはタッチの差で届かなかったようだ。
ちなみに現実時間の今日・7月13日は、べるるんの28歳の誕生日だ!おめでとう!
ユヅルの話は俄かには信じがたい内容だった。
「変な実を拾って皆に見せようとしたら、翼が生えて言葉を話す木が出てきた?」
「…なんだそりゃ?おまえ夢でも見たんじゃないか?」訝しそうなヤグとライサ。
「でも、僕だけじゃなくて友加里さんや舞さんも見たんです。僕も信じられないけどあれは夢じゃないですよ」
「まあ僕達だって天正10年の世界に行って来たんだし、何が起きても不思議じゃないけどね。」
テーブルの上に並べられた二つの木の実を見比べながらバトルが言った。見た目にはとてもよく似ている。
そこへ真央と未来がガイドブックを持って話に入ってきた。
「ねぇ、もしかしてユヅル君が見たのってこれじゃないの?」二人はガイドブックの記事(
>>449)をユヅルに見せた。
「そういえばこんな感じだったかも…」
「うわぁ!やっぱり『妖怪ひとさがし』は本当にいるんですねぇ!!」
「ユヅル君凄いねぇ〜舞も見たんだね、うらやましいなぁ」素直にはしゃぐ真央と未来。
一方プルとガッちゃんはガイドの記事を興味深げに見ていた。
「それにしてもユヅルが見たのがこの『妖怪ひとさがし』だとして、何の目的で出てきたんでしょう?」
「う〜ん…人を探して飛んでいくってことは、誰かを探してるんだよね?一体誰を探してるのかな?」
もろもろの事情で織田は宇宙船を離れる事が叶わない。
愛妻はよくできた人で、寂しい・会いたいなどとせがむ事をしないが……
「俺が会いたいねん。呼んだろかな。ヤナさんみたいに。ってあかんな」
身重の妻・スケーターたち、双方に気を遣わせる事になってしまいそうだから、無理。
「なあ白クマくん、どないしたらええやろ?」
テディくん(仮名)に言葉が通じるわけはない。お互いつぶらな瞳で見つめ合うのみだ。
「織田さん、冷やし飴買ってきましたよ。どうですか」
ガッちゃんが背後から声をかけてきた。わざわざ関西名物を買い出しに行ってくれるあたり、
よく気配りのできる少年だと、織田は感心する。
2人と1頭、窓辺に並んでそれぞれ望郷の念に浸った。
どうやら道に迷ったらしい。京都の狭い路地裏にうっかり入り込んだらしく、近くに仲間の姿も見えない。
仕方なく一人で人気のない夕闇の道を歩いていると、背後で何かを引きずる音がする。
ズルズル…ズルズル……
だんだん近づく気配に気味が悪くなって走り出すが、迷路のような路地から抜けられない。
やがて突き当たりに出たところで、背後の気配が唐突に消えた。
恐る恐る振り返るとそこにはもう何の影も形もない。ほっとして引き返そうと歩き始めたその瞬間。
足元から大きな木のような物が物凄い勢いで生えてきて目の前に立ちふさがった。
そして、バサバサと翼がはためく音と共にその声は聞こえてきた。
『みぃ〜〜〜つけたぁ……』
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
思わず飛び起きると宇宙船の中。夢だったらしい。
「なに?今の叫び声?」
「まったく…誰だこんな夜中に?」
はた迷惑な叫び声で夢の中から一気に引き戻されたスケーター達が、犯人の元に集まってきた。
「アダム、おはよう!今どこ?」
「うーんと、ヨセミテ公園傍のホテル」
早朝、目覚めしなにチャッキーからのスケパシーを受け、リッポンはウトウトしつつも返事をする。
「レイチェルも一緒かい?」
「隣の部屋に泊まってる。まだ寝てるかも」
「・・・一緒の部屋じゃないんだ?」
「当たり前だろw はぐれちゃってごめん。自爆した」
「彼女、重いもんなあ」
「それを言うなよ。僕がもっと安定したクワド飛べればどうって事ないんだしさ」
「そういうもんか・・・そうそう、僕もう元通りの19歳状態に戻ったよ。今からそっち行っていい?」
「ぜひ!ってか、悪いね。迎えに来てもらっちゃって」
そこいらの大学生みたいな会話ののち、チャッキーはヨセミテへと飛んだ。
リッポンとチャッキーが合流。レイチェルも誘い朝食を取ることにした。
「見てこれ、素敵よ」
そう言って差し出したのはヨセミテ国立公園のガイドブックだ。
「さっきギフトショップでおみやげのお菓子を買うついでに買ってきたの。
素晴らしいからせっかくだし3人で回ってみない?」
「へぇ色んな小さいツアーがたくさんあるんだね。
景色を見るだけでも休息になるし行ってみようか」
「この満月を見るツアーって楽しそうだなー。あっでも満月はもうちょっと先なんだ、残念」
ガイドブックを見ながら計画を立てる3人。
チャッキーもなんのために合流をしたのかすっかり忘れヨセミテ国立公園を楽しむ気満々だ。
「じゃあ食べ終わったら早速行きましょう。まる1日かけても回りきれないわ。
あっおやつも買って行かなきゃね」
467 :
スポーツ好きさん:2010/07/14(水) 07:46:37 ID:fjfq1WBp
「7月産まれ、けっこういるのね」
ヨセミテ公園観光ツアーバスの中で、レイチェルがwikiのチェックをしている。
【誕生日一覧】
ジョニ子:7/2 ランビ4/2 ジュベ9/20 Pチャン12/31
チャッキー7/23 レイチェル7/21 リッポン11/11
「あ、ジョニ子姐さんこないだ誕生日だったんじゃないか。お祝いしなくちゃ!
レイチェルとケヴィンももうすぐ誕生日だから、一緒にパーティーってどう?」
リッポンのざっくりした提案に、チャッキー&レイチェルは笑顔になる。
「嬉しいなあ。
>>461さんによると、ベルントソンさんが7/13産まれらしいし、呼んじゃおうか」
「ケヴィン、いつになく強引w」
ふざける男子二人を眺めつつ、レイチェルはこの朝3袋めのプレッチェルに手を伸ばした。
一方の宇宙船組。
深夜の絶叫の犯人はライサチェクだった。しかし――
「はぁ?!何で叫んだか覚えてない〜?!舐めてんのか」夜中に起こされ機嫌の悪いヤグ。
「いや…すまん…」
起きてすぐ忘れる夢は不吉の前兆という。大丈夫かライサチェク。
そして、こちらは一夜明けたDIVA一行。
「どうして帰って来ないのよっ!まさかアタシに内緒で三人であんな事したりこんな事したり…」
「ケヴィンがいる限りその展開は無いと思いますけど」
「おっと、パトリック。どんな事か解ってるのかい?ませガキだなぁママン」
「もう、子供じゃないですから。ブライアンこそ意味解ってます?」Pちゃんもすっかり通常モードに戻ったようだ。
「それよりお客さんが見てるよアハン」
ジョニ子別室スケルトンハウスは今やグランドキャニオンの名所の一つとなっていた。
「大変!衣装に着替えなきゃ」と、いそいそとポカフェ衣装に着替えるジョニ子。が…
「ひどりでぎられないよう〜」
「そのネタ一日目にやりました」と言いつつ手伝ってあげるPちゃん。
ブチッ「あ」ジッパーが飛んだ。
「ところで四季の区切りだけどさ、具体的にいつからいつまでが冬で、いつからいつまでが春とか、
木は説明してた?」
チャッキーの問いにリッポン&レイチェルは首をひねって考え込む。
「特に言ってなかったよ。僕はなんとなく1-3月が冬、4-6月が春、7-9月が夏、10-12が秋だと思ってた」
「よく考えたら12月が秋ってぞんざいすぎない?むしろ12-2月が冬で、3-5月が春、6-8月が夏、9-11月が秋よ」
「南半球だとまた話が違ってくるよ」
チャッキーが混ぜっ返す。リッポンは頭を抱えた。
スケーターとしては10-3月が冬で4-9月はそれ以外って事になるんだろうか?
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「は〜い皆さん♪編集作業が多少遅れましたが、無事映像が完成致しました♪お疲れさまです」
宇宙船の中に、またもやこつ然とワープしてきた例の日本支部広報と映画監督。
「うわ〜〜!で、出た!」「捕まえたぞ!さぁ、白状してもらおうか」「そうだそうだ」「本当の事を教えてや!」
今も訳の分からない謎な事ばかりで、随分怒っていたスケーター達は彼等をぐるり、と取り囲んだ。
広報「ちょ、ちょっと待ってください皆さん^^; ‥‥今度こそ事実を話します♪」
監督「‥‥我々は、未来から来ました。つまり、未来人です。そして貴方達と同じ、スケーターです」
未来?!‥‥全員が一斉に未来の方を向くが、別に彼女の名前とは関係はない。
二人は、その場で軽く二回転ジャンプをすると‥光り輝くスケーターの衣装を纏って現れた。
「私達未来のスケーターは、失われたクリプトン星を再建する為に資金稼ぎをしていまして‥‥♪」
「‥‥それで映画製作を手がけてました。皆さんを騙して参加させてしまった事は、深くお詫び申し上げます」
クリプトン星?!‥‥全員が一斉にプルシェンコの方を向いた。
「それだけじゃないでしょう?こんな凝った仕掛けを色々施したのは。」プルが鋭くツッこんだ。
「は、はい!宇宙船に過去へのタイムワープを仕掛けたのは、それを追いかけるタラソワさん達がワープ技術を
自力で編み出して欲しかったわけでして‥つまり、それが後に私達未来人のワープ技術の手本となったのです♪」
「なに?それじゃ、人類で一番最初に時間旅行したのって、助けにきてくれたタラソワさん達だったわけ?」
「はい。そうなるよう仕掛けないと、こうして私達も『現在』に来たりする技術が無いことになりますから♪」
「‥‥なにやら複雑だねぇ。でも、まだ理由はそれだけじゃないんだろう?」
「ううっ‥‥‥‥‥‥。はい♪ 私達の「御先祖様」である皆さんに、是非会ってみたかったんです♪」
御先祖様?!‥‥全員が一斉に信成の方を向くが、別に信長のことではなく、自分達の事だ。
「まあ、パトリックに実を試食してもらって、視力が上がったら12月は冬。
それ以外の反応が出たら秋って事でよくね?」
本人がいないと思って、チャッキーは言いたい放題。
残り二人も深くうなずいた。
観光ツアーオプションのランチも食べてなヨセミテ公園をかなり満喫中のレイチェル達。
「朝のバイキングもよかったけどここもなかなかのお味ね。
おかわりしたいけど残念ながらお腹いっぱいだわ」
と言いながらデザートのケーキを注文する。
「そりゃ移動中にずっと食べてりゃお腹もいっぱいに…ググッ」
リッポンがチャッキーの口を塞ぎ、ついでにこみかみをグリグリしておく。
「やっぱりケーキは別腹よねー。あなた達は食べないの?」
「僕達はもう充分満足だから。それよりさ、これ気にならない?」
チャッキーはバスの中でもずっと実が気になっていた。
要は7月の実の効果を知りたいのだ。
「3等分して食べればさ、一粒食べるよりも効果は短期間だと思うんだ」
「熟れすぎた実も早く効果がきれたわよね」
「だから、ね。みんなで一緒に食べてみようよ」
リッポンとレイチェルもチャッキーの魅惑的な提案を拒否できなかった。
ケーキナイフで3等分してそれぞれ実を手にする。ちなみにレイチェルが頼んだのはケーキ1ホールだ。
「いち」「にの」「さん」
パクッ。
謎の実1/3を口に含んだ瞬間、リッポンの脳髄をジョニ子のスケパシーが貫いた。
"ジッパー直らないわー!助けてー!"
ん!?ジョニ子姐さん何やってんだ?ごくん。
ジョニ子の顔を思い浮かべつつ、小さな果実のかけらを嚥下した。
「またかよ・・・君、ほんとジョニ姐好きだな」
「好きとか嫌いの問題じゃないだろう」
リッポンはまたしてもジョニ子顔になっていた。
「私達「未来のスケーター」から見て偉大な先駆者である貴方達はまさにスケートにおけるご先祖様です」
未来のスケーターの話を一行はあっけに取られたまま聞いていた。
「ご先祖様達の活躍された時代は、スケートの歴史の中でも非常に困難の多い時代だったと聞いてます。」
「でも、どれだけ数多くの困難にも決して諦めずに立ち向かい、遂には栄光を掴んだという皆さんに私達は是非お会いしたかったんです」
「…過去へ飛ばされた時も皆さんは諦めずに力を合わせて無事帰還されました。やはり言い伝え通り素晴らしい方々です…ううっ」
感極まって涙ぐむ未来人たちに、なんだかこっちまでもらい泣きしてしまう。
「私達もご先祖様達の努力に習い、どれだけ困難でも新たなフィギュアの進化を目指しています。夢の10回転ジャンプ完成ももうすぐです♪」
「じゅ、10回転?!」
目を丸くするスケーター達。一体どこまで進化するんだ?!
「…もうそろそろ時間です、さようならご先祖様達。どうかお元気で」
別れの言葉を告げると現れた時と同じように二人の姿は忽然と消えてしまった。
「そうそう、後で操縦室を見てくださいね。アレが皆さんのお役に立てば良いのですが。それでは〜♪」
二人の姿の消えた後、声だけが宇宙船内に聞こえていた。
「しかしあれだなママン。まだ元に戻ってないのにジッパーがぶっ飛ぶということは」
「増量キャンペーンの真っ最中だねアハンアハン」
「ちょっとーアンタ達っ聞こえてるわよっ
10ポンド減らそうと頑張ってるんだからほっといてよねっ」
「ジョニ子姐さん動かないで・・・安全ピンが背中に刺さっちゃうよ」
「・・・・・・ねえアタシってば少しずつ成長してるけどなんでいまだに元に戻らないのかしら」
「あら、ママからメールがきたわ!」
レイチェルは携帯を開きメールを確認した。
『レイチェル、例の実のことなんだけど面白いことがわかったの。
どうやら、古代期に存在していた植物らしいの。
詳しい話はロンドンの自然史博物館で聞いてちょうだいね。
それじゃ、またメールするわね。』
「ですってよ」
届いたメールをリッポンとチャッキーに見せる。
「へぇ古代期か。なんだか壮大な歴史を感じるね、楽しそー」
「っていうか君達7月生まれの夏組はなんか変化ないわけ?」
「今のところ目に見えた変化はないわね」
「うん、特に何も変わんないね」
「だけどどうしてあなたはまたジョニーになったのかしら」
「うーん、飲み込むときにジョニ子姐さんの声が聞こえたんだよ。それがインスパイアされたのかな」
(プププッそれじゃあ次に食べる時は僕の顔になってもらって
その姿でパトリックを驚かしに行ったらびっくりするだろうなあププッ)
「……ケヴィン、君の考えてることお見通しだからね。僕はもう食べないよ」
「チェッざーんねん。面白いと思ったのになー」
そう言いながらリッポンの肩を軽くこづく。
その瞬間リッポンは何かにはじき飛ばされたように店の外にぶっ飛んでいってしまった。
「ええええええええええええっなにこれ、なにこれ」
びっくりしながら取り急ぎ支払いを済ませて店の外に出るチャッキーとレイチェル。
お互い顔を見合わせる。そう言えばなんとなく力がみなぎってきてるような……
宇宙船内はまだ騒然としていた。
「あの人たち未来のスケーターだったの?」
「ご先祖様の時代に行ったかと思ったら今度は子孫(?)が来るし…一体どうなってんだ?!」
さすがのスケーターも不思議な事の連続で戸惑い気味だ。
「まあ確かにあんな金ぴか衣装を着こなすセンスなんて、未来人の他はジェーニャぐらいしか…」
「リョーシャ、何か言った?」たちまちブリザードが(ry
「まあまあお二人とも…そういえばあの人達「操縦室を見て下さい」って言ってましたね?」
「ああ、確かそんな事言ってたねぇ。アーチャ、ちょっと見てこようか?」
プルとガッちゃんが操縦室に様子を見に行った直後、宇宙船の外で叫び声と落下音が聞こえた。
「今度はなんなの?」驚く女性陣。
「ちょっと様子を見てきます!」小塚と高橋が外へ様子を見に行くと、誰かが倒れている。
「…リッポンさんじゃないですか?!どうしたんですか」
謎の実の効果でパワーアップしたチャッキーは、リッポンをヨセミテから京都まで吹き飛ばしたのだった。
恐るべし、謎の実効果!
ちなみにチャッキーに突き飛ばされた時点ではリッポンはまだジョニ子顔だったが、
謎の実1/3のの効果はすぐに切れてしまい、宇宙船の外に落ちてきた時には元の姿に戻っていた。
>>474の間の話
真央「監督さんの台本どおりに演じれなかった部分があったけど...」
監督「勿論OKです。素晴らしい演技でした」
真央と監督は和気会々と話していた。
監督「そうだ、...........これを受け取ってください。同じものをCAPCOWにも送っておきました。我々のせいで
データを飛ばしてしまった事も、謝っておきました。貴方達にもお詫びをさせて頂きたい。」
真央「ありがと.........あ、これって「スケIII」の完成..........版?です?」
監督「ええ。こちらこそ有り難う...貴方達に会えて本当に良かった。皆様にに素晴らしい未来があらんことを。」
広報「名残惜しいですが...そろそろ時間です♪CAPCOWさんの混乱等は私達が全て収集を付けておきましたので、
皆さんは本当の撮影まで色々楽しんでくださいね♪...さよなら皆さん♪そして.........................ありがとう.......... 」
二人は旅立った。はたして....操縦席の「アレ」とは何だろう。
レイチェル「あーあ・・・やっちゃった」
チャッキー「すぐ迎えに行かないと」
レイチェル「一番まずいところにぶっとばしちゃったわね」
チャッキー「・・・だよね」
レイチェル「設定ややこしいし、むやみと人数多いし、長文だし、無理にレスを遡るし」
チャッキー「え?」
レイチェル「いや、こっちの話。で、どうするの?私たち二人だけで行くの?」
チャッキー「ジョニ姐かエマ姐呼んだ方がいいのかな」
レイチェル「それはそれでますます面倒くさくなりそうな気がするのよ・・・参ったわ」
チャッキーに吹っ飛ばされた衝撃でクラクラしつつも、リッポンはどうにか無傷だった。
傍らには心配そうな顔で見守るガチンスキー(その隣に高橋&小塚)。
「唐突だけど……アーチャって、誕生日いつ?」
「8/13です。あ、あの、お怪我はないですか?」
「うん平気。ちょっと早いけど、これ誕生日プレゼント」
「げ、これあの実じゃん……(゚听)イラネ……お返しします」
「7月になった実だからだから子供返りなんてしないよ。秋産まれの僕には困った効能しか
なかったけど、夏産まれの君ならアスリートとして最高の能力が身につくはずだ」
リッポンに手渡された実を、ガチンスキーはおそるおそる食べてみた。
「おお……パワーみなぎってます!」
「じゃ、そのパワーで僕をヨセミテ公園まで投げ飛ばしてもらえないか」
「はい喜んで!」
素敵な誕生日プレゼントを貰えた喜びで、ガチンスキーは全力でリッポンをぶん投げた。
「だから何でアンタ達はそういう事をするのよっ!」とジョニ子姐さん。
「……」「ごめんなさい…」
取りあえずヨセミテ公園にジョニ子達を呼んでみた。
「ケヴィン!アンタは2回目よっ。いくら可愛くってもいい加減許さないんだからねっ!」
チャッキーは不満顔。Pちゃんはジョニ子の後ろでにやにやしている。と、そこへお約束の展開が…
「ふぎやぁっ!!」「たのるぅっ!!」ジョニ子の背中にリッポンが不時着した。
「案外早いお帰りだなママン」「無事で良かったねぇアハン」
「どうしたの?何か凄い音したけど?」外の騒ぎにプルとバトルがひょっこりと顔をだした。
様子を見に行かせたものの結局気になって自分で見に来たらしい。
そこにいたのはぽかんとした表情の小塚&高橋とパワーがみなぎって上機嫌のガッちゃん。
「あ…バトルさんとプルシェンコさん、実は今かくかくしかじか…」
ひとまず今の経緯を説明する小塚と高橋。
「で、その実を食べたらアーチャがアダムをヨセミテまで投げ返したってわけ?」
「アーチャ、大丈夫?子供にはなってないみたいだけど?」
ガッちゃんの様子を心配するプル。外見上の変化は起きてないようだ。
いやむしろガッちゃんの少年時代が拝めないのはむしろ残念と言うべきか?
「大丈夫ですよ!今月の実は効能が違うそうですし、ジョニーさん達みたいに若返りはしてないですよ」
「ふぅんそうなんだ・・・・・・って、アーチャ、何故実の効能やジョニーが若返りしたって知ってるの?」
うっかり口を滑らせたガッちゃん。しまったという顔をしたがもう遅い。
「アーチャ…隠してた事は怒らないから、知ってる事を教えてくれるかな?」
「はい…」
やむなくガッちゃんはプルとバトルに事の次第を話すことにした。
「・・・・とまあ、そういうわけで、ジョニ子姐さん、誕生日おめでとうございます!」
「はしょりすぎよ、アダム。まあ、アーチャが元気とわかってなにより。あの子、夏うまれだったのねー」
ヨセミテ公園の片隅で、ジョニ子チームはのんびりと誕生日パーティーを楽しんでいる。
(怪力効果を試さないうちに効果切れを迎えてしまったのがレイチェル。ケーキをやけ食い)
「夏うまれは怪力、秋うまれは想像した人物に変身、冬うまれは視力がよくなるわけね・・・・春は?」
「そういや春はわかんないな。誰か春に産まれた人に食べてもらえば」
途中まで言ったチャッキーが、Pチャン+リッポンに横腹をどつかれて悶絶する。
「花咲き乱れ、動物たちが恋に惑う春に生を受けたよアハン」
わざわざ自分から名乗り出てしまったのはランビ。4/2うまれ。
「でもジョニーさんの背中、なんだか着地しやすそうでしたね。やっぱり太っフグッ」
今度はPちゃんがチャッキーの口を塞ぐ。
「アタシ、なんだかやる気なくなっちゃったわ。そんな怪力いらないもん。
ほらステフ、とっとと食べなさいよ」
やる気なさげに実をランビに投げた。3人から実の効果を聞きガッカリするジョニ子。
しかし約一名だけは違った。
ママーン、いやもといキラーンと目が光っている。
「おいステファン。9月は夏にいれていいのか?ママン?」
「季節のうつろいなんてものは所詮人間が決めた勝手なものだよアハン。
空に風に自然に耳を傾けそれぞれの想いを感じとるんだよ。
君が受け取った想い、それが答えだよアハンアハン」
「よしっわかった。俺的には9月は夏だ!いただきママーン」
ジュベはランビの手から実を奪い取り口に入れた。そして数分後。
そこには見事にママンの顔になったジュベがいた。
ちょっぴり剛毛なのは頭の片隅に愛犬ブレードを思い浮かべていたからだろう。
熱帯魚を思い浮かべてなくてよかったな、ジュベ。
「へー。あっちのチームもそんなことになってたんだ」
「月ごとに効能が違うのか。…本能寺の枯れた木をなんとか生き返らせることは出来ないかな」
「その木に関してはレイチェルさん達が調べてるはずですけど
詳しい結果までは僕はまだ聞いてないんです」
「ジョニー達と合流する?」
「いや、別行動の方が面白いよきっと」
そい言いながらプルはノートPCを取りだしWikiをチェック。覗き込むバトルとガッちゃん。
「あー残念。彼女は10月30日生まれだ。10月は夏じゃないよね」
「ジェーニャ…意外と恐ろしいこと考えるね」
「この綺麗な人は誰ですか?」
「ん?あっちで日光浴をしている彼の大事な人さ。
夏生まれならいいなと思ったんだけどね」
勝手に妄想して思いだし笑いをこらえるプルシェンコ。悪趣味だなあと呆れつつちょっと笑うバトル。
テレビを見た後に『シゲルマツザキに負けるわけにはいかない』って言って
日光浴をしてるライサをじっと見詰めるガッちゃん。
……僕はまだ子供だからよくわかんないや。
プルシェンコとて、ただのおもしろがり27歳児というわけではない。
膨大な苦労と努力を重ねて世界の頂点に立ち、スケート界のために尽くしている男だ。
後進のスケーターたちのためなら、権力に楯突く事もいとわないほどに。
アーチャがあえてジョニ子側の謎の実問題を伏せておいた心情を
汲んでいるからこそ、伏せていた件については責めなかった。
『先輩がおかしな事に巻き込まれて、辛い思いをしないように』
アーチャが望んでいるのはただそれだけなのだろう。
"この件が落ち着いたら、みんなでロシアに帰ろう。もうちょっとだけついてきて"
ライサから延々とシゲルマツザキ・レクチャーを受けてやつれているガッちゃんに、
心でそっと詫びた。
「あーあ彼女が夏に生まれてたらなあ」
「まだ言ってる」
プルは未練がましくボヤいていた。
実はプルは怪力化した某体操選手に氷上で飛んでもらいたかったのだ。
実の力を借りればきっと足のバネや筋肉も格段に力をつけているはずだ。
体操であれだけ見せる彼女。
きっと氷上で華麗な動きを見せてくれただろう。
下手したら10回転も夢じゃないかもしれない。
「あーあ」
「ジェーニャ、(過去スレで)尻に敷かれてたエヴァンを面白がってるだろ」
「違うってば。・・・・ちょっとだけそれもあるけどね〜」
「俺がどうかしたか?」
シゲルマツザキ以上に黒くなってきたライサが隣から声をかける。
「いやなんでもないよ。日射しが気持ちいいよね〜」
ただいま3人で並んでのんびり日光浴中。
「そういえばあの未来人達は操縦室に何を置いていったの?」
バトルはふと思い出して尋ねる。
「…知りたい?」
にやり。と言うよりはどやりと笑うと、プルは一枚の紙を見せた。
「なになに?…『ご先祖様へ 操縦室に組み込めるように時空飛行装置を小型化したものを置いていきます。皆さんの旅の助けになる事を願って』…こりゃまた随分凄いものを置いて行ったね」
宇宙船にワープは定番とはいえ、なかなか未来人も太っ腹である。
「…今回の件が終わったら、未来の10回転ジャンプを見物しに行こうかなぁ」
「そう言いながら古代で恐竜の背中に乗ったりとかして寄り道してそうだけどね。」
「それも面白そうだねぇ」
冗談を言い合う二人の横でライサは日焼けで更に黒くなってうたた寝していた。
ヨセミテ公園内に再びジョニ子の部屋を作ろうと思ったところで
珍しくランビが反対した。
「女の子が2人もいるんだよ。ここはちゃんとホテルで眠るべきだよアハン」
「あっら〜ステフったらさすが優しいし気が利くじゃない」
「当然だよアハンアハン」
そう言うとレイチェルと剛毛ママンジュベの手を取りホテルへ向かった。
ランビの言う『女の子2人』の中にジョニ子はどうやら入っていないらしい。
「ちょっと!ステファン!どういうことよ!
アンタはそこのママンと同室だからね!」
夜を迎えた宇宙船。日本の夏の夜と言えばとびきり涼しくなるアレだ。
「そして誰もいないところから白い手がニュ〜っと…」「キャー!!!」
暗くした女子部屋で迫真の演技込みで語る美姫と悲鳴をあげる(でも楽しそうな)女性陣。
「うわぁ…怖そうやなぁ…」
女子部屋からもれ伝わる怪談話と悲鳴に不安そうな信成。
「大丈夫だよ成君、怪談なんてただの作り話だよ」
「そうそう、お化けや幽霊なんてそう簡単に出て来ませんよ」
小塚とガッちゃんが宥めるが既に信成は涙目だ。
「あ、そういえばなんかこの近くのお寺で「出る」らしいですよ?」
「へぇ?そうなの?僕見てみたいなぁ」
「まあバケモンなんざ俺にかかれば即退散だな♪」
「…そんなのいるわけないだろう。非現実的だ」
高橋の冗談にノリで答えるプルやヤグとは対照的なライサだが、実は怪談話で内心gkblなのは秘密だ。
結局部屋割りはジョニ子+レイチェル、ランビ+剛毛ママン、若手3人、となった。
「3人部屋は1人補助ベッドだってさ。誰が補助になるか、コイントスで決めよう」
リッポンが銀貨を取り出した。
「表が出たらケヴィン、裏が出たらパトリック、コインが直立したら僕が補助ベッドだ」
「「ふざけんな!」」
女子部屋ではジョニ子のメイク講習会。
レイチェルは眉毛をしっかり描いてもらって、上機嫌である。
「御礼に寝物語でも披露してみようかしら」
「あらなぁに?童話?」
「ううん。人類が選ばなかった進化の可能性について。まず、ゲノムというものは生殖細胞の」
「zzz・・・」
ジョニ子爆睡。素晴らしい効果である。
ベテラン男子部屋ではジュベが延々とメールを打つカチカチ音だけが響き続けた―――
ヨセミテ公園の爽やかな朝。ピピネラとフラミンゴは食事に出かけたようだ。DIVA組も朝食へ。
「ここのバイキングはなかなかなのよ」「朝からよく食べr…ぐはっ」
朝の日課を終えPちゃんに話かけるリッポン。
「ねぇ、パトリック。君、あの実食べちゃえば?効果は解ってるんだし」
「そうね。視力向上なんてあの木の実にしては普通だけど、ま、悪いことじゃないし」とジョニ子。
素直に頂くPちゃん。しかし、一瞬、瞳孔が開きかけたかと思うと、
「ふわぁああああああああ!」叫び声をあげて眼を押さえてしまった。
「どうしたのよっ!」騒然となる一同。
「い、いや、うわああっ!レ、レイチェル!こっち来ないでっ!」何故か耳まで真っ赤にして叫んでいる。
「は?」
「し、視力向上っていうか、これ、ふ、服が…服が…すけ」------------ここに至り全員状況を把握する。
「うわあぁぁん」泣きだすレイチェル。「見たのか!見たんだなっ!」「見てないっ!断じて見てないっ!」
「大丈夫よ、レイチェル。犬に噛まれたと思って」
「俺の体は見るなよ、パトリック。ママンの体だ」「誰が見るかっ!つーか、体は男のままだろ!」
「少年誌に必ず一つは掲載されてるお色気コメディみたいだねぇアハン」
「……Pちゃん、ツルスケ(透け)だけに?」
チャッキーはPちゃんに思いきり殴られた。
とりあえずは机につっぷしてその場を凌ぐことにしたPちゃん。
「レイチェル泣き止んで。パトリックのことはアタシが改めてあやまるわ。
ごめんなさいね。いくら謝っても許してあげられないかもしれないけど………
後でおいしいスイーツを気のすむまでご馳走するわ」
「許すわ。彼も故意にしたわけじゃないのだから」
「レイチェルは優しい子ね」
「優しいっていうか食べ物につられ……グホッ」
本日2回目。
「さ〜て夏秋冬と分かったことだし残るは」
Pちゃんを除く全員の視線がランビに集中。
昨日の剛毛ママンの一件でちょっとびびったランビはなんとか誤魔化して食べるのを先伸ばししていたのだ。
「アハン見つめられると照れるよ。
今日はてんとう虫占いであまりいい日じゃなかったんだ。
僕のフラミンゴも飛びたつのは今じゃないって言ってるしね。
森を旅立つのはまた改めて……ウグッ」
目を瞑ってポエムるランビの口の中にジョニ子は実を放り投げた。
「んー!んがくっく、んんん。あ、アハン」
喉に実を詰まらせ、悶絶するランビ。ジタバタしているうちにどうにか落ち着いたご様子。
「ああ、急に口に放り込まれたから、噛まずに飲んでしまったよ。喉がおかしいアハンアハン」
数回咳をした後、何を思ったか急に発声練習を開始。
「アアアア〜♪アーベマリーーーーーアーーー♪」
ジョニ子やプルほどではないにせよ、ランビも歌は(ry
剛毛ママンことジュベが急いで止めにかかる、が、その動きが止まった。
「なんて素晴らしい歌声なんだろう・・・心が洗われるようだママン」
「ほんと、素敵・・・泣けてきちゃう」
ジョニ子はハンカチを噛みしめ、身も世もなく体をよじる。
春に誕生した者へ、7月の実が与える祝福は「歌唱力」だった。
女子部屋の怪談もお開きとなり、皆が寝静まった真夜中の宇宙船。
ただ一人目が冴えまくっているのはライサだった。
何しろ目をつぶると脳内で先ほどの怪談話の内容が無限ループで自動再生するので、
眠くなるどころかますます目が冴えてしまうのだ。
「…しっかりしろ、怪談なんて所詮フィクションだ。ほら見ろ、ノブだって普通に寝てるじゃないか」
さっきの涙目が嘘のように爆睡している信成をちらっと見て、自分に言い聞かせるライサ。
真っ暗な部屋でシゲルマツザキ以上に黒くなったライサの目だけが、
Pちゃん張りに爛々としていたのは言うまでもない。
「歌唱力向上いいなぁ……歌姫になりたかったわ。・゚・(ノД`)・゚・。怪力なんていらない」
「傍迷惑な透視能力なんかより怪力の方がマシだよ」
Pチャンはタオルで目隠しされた状態でジョニ子を慰める。
「
>>476で話に出たロンドンの自然史博物館に行ってみたいけど、ブライアンと
パトリックの状態が落ち着くまでは控えておいた方がいいかしらね」
学究肌のレイチェルは「古代期の樹木」が気になって仕方ないらしい。
「俺たちなら留守番してるから、気にせず行っておいでママン」
「え……留守番……二人で?」
Pチャンはあからさまにゲンナリしている。
7個−1個(リッポン・チャッキー・レイチェルで三等分)−1個(ガッちゃん)−1個(ジュベ)−1個(Pチャン)
残りは3個。有効活用できるのか否か?
Pちゃんの後にランビも食べているので、残りはわずか2つなのだった。
チャッキー「有効活用とか無理じゃね?」
リッポン「そういう事言うなよ・・・・」
ランビは我関せずとばかりに、ピピネラ+フラミンゴと合唱している。
雑魚寝状態の宇宙船男子部屋。冷暖房は完備してあるが
バトルの横にはテディくん(仮名)が寝ているためその毛が時々当たってちょびっと暑かったりする。
ケーキについてた保冷剤を枕に忍ばせていたけど溶けてきたようだ。
(暑いなあ……)
寝ぼけた頭でその保冷剤を放り投げる。
「うぎゃあああああああああああああああああああ」
gkbrしていたライサの顔に直撃。
得たいの知れない生ぬるい物体の飛来深夜の絶叫再びである。
501 :
スポーツ好きさん:2010/07/16(金) 23:37:19 ID:Eozu+lJa
夏の京都といえば宵山である。宇宙船組もみんな浴衣に着替えて繰り出した。しかし何人かメンバーは減っている。
まず、織田信成。
>>463で俊巡していたとおり身重の妻を放っておいて宵山見物は出来ない。
織田「みんなすまんな、何かあったらすぐ呼んでや」
美姫「ううん、こっちこそ気がつかなくてごめんね。お腹の信太にもよろしく」
織田「信太は決まりなんかい(苦笑)」
それから、ヤナ、イーラも「長く家を空け過ぎたから」悠子、スミルノフ「暑いから」とロシアに帰る事にした。
ヤナ「アーチャ、ジェーニャをよろしくね」
そしてもう一匹…
「ごめんね、テディ。僕の我儘で振り回してしまって…」
京都の暑さと湿気、それに
>>455のホームシックもこじらせてテディくん(仮名)は完全にばててしまった。
ヤナ達が小型円盤で北極まで送ってくれるという。
「落ち着いたら北極まで会いにいくから」
思えばこのスレで鳩の次に登場した動物キャラのテディくん(仮名)。予想外の活躍を見せてくれた。名残を惜しむ。
残りのメンバーでキャッキャッウフフと宵山見物。勿論プルもノリノリである。
(謎の実が気になると言っておいて宵山見物…行動パターンが誰かと被る…)
一瞬、頭に浮かんだ人物をガっちゃんは慌てて振り払った。
「さ〜ってこれからのことだけど、自然史博物館に行く前にアタシに考えがあるの」
ジョニ子の考え・・・残り全員には嫌な予感しかしないがとりあえず聞くことにする。
「いい?アタシが欲しいのは6月の実なのよ。
多少小さくなろうがどうでもいいわ。あのハリのあるお肌、なにものにも代えがたいわ」
「しかしもう7月になったことだしなママン。過去を見るより未来をみつめた方がいいと思うぞ」
「やぁねえ。アンタ達、もう忘れたの?ちょっと前に過去に行ってきたばかりじゃない」
全員の動きが止まる。まさか・・・?
「先月に戻るのよ。あの小型円盤をちょっと拝借して2010年6月にレッツゴーよ!」
「でも異相空間は長くはもたないし、そんな危険な目を冒してまで手に入れる価値なんて」
「あるわよ!大ありよ!美のためにはどんな苦労もいとわないわ。美は一日にしてならずよ!
だいたいね、アタシだってバカじゃないわよ。ちゃんと考えてるんだからね」
ジョニ子が言うにはこうだ。
2010年の6月の謎の木のスケジュールをチェックする。
そしてその場にいることが確実にわかっている日時と場所に向かって異相空間を作り出し
瞬間ワープをして実をもいで即帰る、というのである。
「天正10年の本能寺にワープ出来たんですもん。2010年の6月なんてすぐそこよ。す・ぐ・そ・こ〜」
はぁ・・・行くしかないんだろうなママン。行くしかないですね。行くしかないと思うよアハン。(以下略)
それぞれ同じ思いを抱えながらため息をつく。
「それじゃあ早速謎の木の携帯に連絡して、会う約束をするわよ。レイチェル、名刺持ってるわよね。
その後はタラソワコーチの所に行って小型円盤をレンタルさせてもらうわよ〜〜〜」
チャッキー「20代のマダムジョニ子さんもかっこいいのに(小声)」
リッポン「本人にそのまま言ってあげなよ(小声)」
チャッキー「なんか面倒くさいからやめとく(ものすごく小声)」
タラソワ「小型円盤のレンタルね。翌日返却でよろしいですか〜」
ジョニ子「DVDじゃないんだから、もうちょっと貸してよ」
タワソワ「いいけど、何に使うの?」
ジョニ子「うふふ。ないしょ☆」
タラソワ「舐めてんのか」
取扱説明書を読みながら小型円盤の操作を練習するジョニー。
「もしかしてさ、ジョニ姐さんって結構鈍くさい?」
「不器用とも言うわね」
「あれじゃあ異相空間を作り出せるようになるまで何年もかかりそうだよ」
「レイチェルなら上手く使いこなせそうだよね」
「あっ俺もそう思う」
「キャーッいやああぁぁぁっこっち見ないでえっ」
「謎の木くんのスケジュール、ハードだねアハン」
「ママン、ただ落ち着きがないだけな気がするんだが」
「アハンアハン『木』と『気』が掛かってるんだね。
ブライやんのフレンチジョークは相変わらず面白いなーアハンアハンアハン」
いっぽうこちら宵山見物中の宇宙船組。
ガチ「あ、そうだ。ジェーニャ先輩、あの時空飛行装置の組み付けやっておきましたよ」
プル「ありがとアーチャ、戻ったらチェックしておくよ。それにしてもあの装置は凄いね」
バトル「そんなに凄いのかい?」
プル「うん、小型円盤のはまだ試作品だから2台がかりで5分くらいしか位相空間を作れないらしいんだ」
ガチ「未来人が置いていったのは改良型だから宇宙船だけでもっと長く稼動できるんですよ」
バトル「そうか、円盤のはまだ試作品なんだね。その状態でも敢えて危険を冒して助けに来てくれたんだからタラソワさんや皆に感謝だね」
プル「まあ慣れてない人がいきなり操作とかしない限りは変な事にはならないと思うけど…あ、あの屋台に行ってみようよ!」
面白そうな屋台を見つけて走っていくプルの後をガッちゃんとバトルは追いかけた。
ジョニ子はリモートコントロールを使って2台の小型円盤の操縦練習に
相変わらず励んでいるが上達はあまり見られない。
「マリオカートは得意なのになんでこれはうまくいかないのよっ
チョームカつく〜っ」
冷蔵庫の中とは言え今は夏。
ライサの大切な実には所々カビが生えはじめていた。
日焼けするよりも早くアメリカに戻った方がいいと思うのだが
ライサは今日も日光浴に勤しんでいる。宵山見物も上半身裸で景色と同化気味。
「アタシもうダメ・・・このマシンを使いこなすなんて無理なんだわ、きっと」
ジョニ子はヨヨと泣き崩れ、1ガロンアイスクリームをむさぼり食い始めた。
「ちょっと待ってジョニー!」
レイチェルがジョニ子の肩を掴み、揺さぶった。
「あなたは弱虫じゃないはずよ?・・・逃げるのはおよしなさい。アイスは私が処分しておくから」
涙を拭いてうなずくジョニ子。再びマシンの調整に挑む。
チャッキー「結局、自分がアイス食いたいだけじゃん」
Pチャン「レイチェルが代わってあげた方が絶対手っ取り早いよ。理系だしさー」
レイチェル「すぐ『理系だから機械モノ得意だろ』っていうの、安直よ。アイスあげないからね」
リッポン・チャッキー・Pチャン「いらねーよw」
レイチェルの愛の鞭が効いたのか、マシンが作動し始める。ジョニ子の頬は薔薇色に。
*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゜・*:.。. .。.:*<アタシやったわ!!ねえみんな早くこっち来て!
梅雨の開けた京都はいきなり夏の日差しが強くなっていた。
「…箱の位置良し!封印シール良し!今日も異常なし!と」
冷蔵庫を開けて、日課の謎の実入りの箱の指差し確認を行うライサ。
確認を終えると今度はいそいそとこれまた日課の日光浴の準備を始めた。
ライサ、悪い事は言わないから箱を冷凍室に移すか、箱の中の状態も確認したほうが良いぞ。
「ねぇジェフ、ちょっとついて来てくれる?」
ガッちゃんを連れたプルがバトルに声をかけた。
「良いけど、一体どこ行くんだい?」
「あの枯れた木のところだよ…ちょっと試してみたい事があるんだ」
「試したいことって?」
「秘密♪…向こうに行ったら解るよ」
笑ってバトルに答えるプル。服のポケットの中にはあるものをこっそり忍ばせている。
訳が解らないといった表情をしたバトルだったが、興味はあるので一緒について行くことにした。
Pちゃん「あー、と俺まだ眼が治ってないから残るよ」(アイマスク装着)
チャッキー「僕もPちゃんが心配だから残ります」
レイチェル「私も一応、女の子だし」
リッポン「じゃあ、僕はレイチェルが心配なので(ry」
ランビ「アハン僕はフラミンゴが心(ry」
ジュベ「(しまった。断る理由を思いつかないよママン)」
ジョニ子は拗ねた。
いつまでも拗ねてたら眉間のしわがくせになっちゃう・・・
マツキヨでギャル達に教えてもらったコラーゲンドリンクを飲んで心を落ち着けるジョニ子
ガッちゃんが案内した枯れた木の場所は、いつもライサが日光浴をする場所の近くだった。
「これが問題の枯れた木か」バトはル乾ききった幹を軽く叩いた。
「感じがすっかり変わっちゃってるから、同じ木かどうか解らないねぇ」
プルは枯れた木を上から下までじっと見ていた。
枯れてる上に400年以上経っているので2人が見ても判断が難しい。
「ジョニーさんはリッポンさんの写真の木と形が似てるって言ってましたよ?」
「それが正しいかはこの木が蘇れば解るんだけど…問題はその方法かぁ…」
ガッちゃんの話を聞いて考え込むバトル。
「…その事なんだけどね、僕ちょっと思いついたんだけど」
そう言いながらプルがポケットからおもむろに例の実を取りだした。
「その実をどうするんですか?」不思議そうなガッちゃん。
「うん…あのね、木を蘇らせるって事は、つまり若い状態に戻すって事だよね?」
「ジェーニャ、もしかして…!」
バトルはプルが何をしようとしているのか解ったらしい。
「うん、そういうこと。じゃあさっそくやってみるね〜」
プルは枯れた木の根元に謎の実を置くと、傍にあった石をその上に乗せて力を込めた。
ぶちっという音と共に潰れた謎の実から出た汁が、枯れた木の根元に染み込んでいく。
――そして変化は根元から起こり始めた。
やったわアタシ!見て見て!
上機嫌でみんなに報告したのに見事に拒否られたので目の前で実演することにしたジョニー。
「円盤がただ浮いただけに見えたのは気のせいかしら」
「右側のリモート操作の方は10cmくらいだけど、ジョニ子姐さんが乗ってる方は1mくらい浮いたよね」
「操縦席で横座りって絶対操縦しにくいと思う」
「状況がわからないからアイマスク取ってもいいかな?」
「変質者があらわれたって大声で叫んでもいいのなら好きにすればいいわ」
「このアイマスク、着け心地最高」
一方ベテラン組。
ランビの優しい歌声が周囲を包み込み、ピピネラがそれに合わせて飛び回り
フラミンゴが剛毛ママンの毛繕いをしてジュベはその様子を写メって本物のママンに送信。
穏やかで楽しいひとときを過ごしていた。
ジョニ子は7月分の謎の実を食べ、怪力無双に。
尻込みするメンバー全員を無理矢理担いで、小型宇宙船に乗り込んだ。
「みんなどうしちゃったの?さては今さらアタシの美貌に腰抜かしてるのね?さあ、行くわよ!」
「あぁ……はい……('A`)」
いざ、6月のグレートキャニオンへ!!
「そろそろナスティアの元へ帰ろう」
ライサはライサでアメリカに戻る決意を固めていた。
その前に箱の中身を確認した方が……('A`)
残りkb数も少ないし、とっとと話を進めなければならないのに、
Pちゃんとチャッキーは怪力無双のジョニ子を見て(感じて)どうでもいい事を思ってしまった。
「ジョアニーに似ている…」
さて、辿り着いた6月のグランドキャニオンは早朝だった。
朝靄の煙る中、荒涼とした渓谷を背に凛と立つ一本の大木。
その枝には可憐な小さな実がなっている。朝露をたたえ宝石のように輝いていた。
「やっぱり、この木は君に似ている…強さと愛らしさを兼ね備えた。パガニーニの衣装の時の君だ…」
「え?」珍しく食べ物以外のエピソードで頬を染めるレイチェル。
「過程はあれだったけど、この木を君に見せる事が出来て良かった」
この状況下で雰囲気を作るただ者ではないリッポン。
「はい、そこー。その展開も気になるけど今はラブコメ禁止よ。後で詳細をレポートで提出しなさい。
さあ、6月の実を貰ってきましょう」ジョニ子はぽてぽてと木に近づいた。
「木さん、木さん。6月の木の実をわけて下さいな」
謎の実の汁が染みこんだ枯れた木にさっそく変化が起きた。
映像を逆再生していくように、みるみるうちに瑞々しい姿に戻っていく。
そして、3人の前に緑の生い茂った若木が姿を現した。
「ぷはぁ!400年ぶりでやっと生き返ったわ〜!」
突然、目の前の木がしゃべりだした!びっくりする3人。
「うわぁ!」「木がしゃべってますよ?!」「なんなのこれ?!」
驚く3人を他所に謎の木は腕を伸ばすような仕草で枝を振るわせた。
「いやぁ、助けてもろてスンマセンなぁ。バトルさんにプルシェンコさん、ホンマおおきにですわ!」
「僕たちを知ってるの?!」
「じゃあ君はやっぱりあの時の…!」
驚きながらもプルとバトルは木に尋ねてみた。
「いやいや、ウチは違いますねん。でもお二人の事はうちの母親から聞いとります。もちろんエヴァンさんの事も」
「母親?どういうこと?」
「え〜と…ひとまず説明してもらっていいかな?」
「ああスンマセン、いきなり言ぅても訳わからんですわなぁ。つまりこういうことですわ…」
3人を前に謎の木は話し始めた。
謎の木からもらった10粒の実を前にジョニ子一行はうなだれていた。
「え?なに言うてますん?今は10月でっせ」
だが驚いてる時間はない。せっかくここまで来たのだ。
レイチェルが素早く簡潔に説明し、手土産のヨセミテ公園クッキーを渡して実を分けてもらう。
閉じかけた異相空間をジョニ子が怪力で押し開くという離れ業と共に
短いタイムスリップは終了した。
「とりあえずこの実の効能を知る必要があるわね。アタシ、謎の木の携帯にかけてみるわ」
「なんだか僕たち同じことをグルグル繰り返してない?」
「それは言わない約束よ」
ジョニ子「やだやだーっっもう一回過去に行くーっ」
手足をバタバタさせて駄々をこねるジョニ子。近寄ると怪力でぶっ飛ばされるので要注意。
10月の実の効果を聞くために電話をするジョニ子に全員が気をとられていた瞬間
フラミンゴとピピネラが実を全て食べてしまったのだ。
現在2羽はレインボーカラーの翼になりアハンママンコンビと遊んでいる。
10月の実の効果
・・・・・それは食べた人物の毛が七色に変わると言う使い道が全くなさげな効果だった。
レイチェル「説明書は最後まで読むものよ。
試作品のため異相空間の連続作製はご遠慮下さいってあるわ。諦めなさい」
Pちゃんリッポン「そうだよ、ジョニ子姐さんが危険な目に遭ったら俺たち困るよ」
チャッキー「僕たちが助けに行く羽目になるし・・・謎の実に頼らなくてもいいんじゃね?」
それでもジョニ子は泣き止まない。
レイチェル「残り1つの7月の実を持ってロンドンに行きましょう。
そこへ行けば新たな実の入手方や他の手掛かりも掴めるかもしれないわ」
「キャーーーーーーーわたしの大事なおチビちゃんのお顔がーーーーーーー
いくらママンのことを大切にしてくれてるからって整形まで……………
おチビちゃんありがとう、ママン嬉しいわ」
綺麗めなチューバッカ、いや剛毛ママンことジュベは、7色の羽毛を持つカナリアと
フラミンゴを従え、ロンドンの地へ降り立った。
すごい存在感に、通行人の全てが振り返る。
「ちょいと!このスレのDIVAはアタシよ!」
文句をつけつつもジョニ子は『マレット脱色部分のカラーリング、次は7色いっちゃおうかしら』
などと密かに検討している。
レイチェルは自然史博物館職員に質問を投げかけ、知識を集積。
「本来、アメリカ大陸には存在しないはず?原産地は……日本ですか。やはり、ね」
環境の変化を乗り越え、海を渡ってその命を伝え、繋いできた古代樹。
そのロマンに一同(マレットの色を検討中のジョニ子を除く)は胸を熱くする。
ここでジュベとPちゃんの7月の実の効果がきれた。ジュベは何故か残念そう。
「良かったわ。連れに変質者がいたら肩身が狭いもの」
「だから見てないっつーの!(ちょっとだけしか)」
「でも、ジョニ姐は効果がなかなかきれないね。何でだろう」
「『マダムのよろめき』を何杯も飲んでたからじゃないかなアハン(
>>138>>141参照)
ジュースの状態で飲むと、効き目が表れるのもきれるのもゆっくりなんだよ、きっとアハンアハン」
「そういえば、あの“性格が穏やかになる”ってうたい文句はなんだったんだろう。
健康食品のキャッチコピーって信用出来ない…」
Pちゃん残念。それは「えんだーーーーーーーー」前の効果だ。
「まあ、でも、ジョニーが大人しい性格なんて全然ジョニーらしくないからなママン」
それはそうかも、と一同はなにやらチャッキーにじゃれている(絡んでいる?)ジョニ子を見つめる。
「ねーケヴィン。横断歩道でビートルズごっこしましょうよー」
「僕、レッド・ツェッペリン派ですから」
負けじとジョニ子はミスUSA審査員の時に着た七色の毛皮を羽織る。
「あ゛〜づ〜い゛〜〜でも…美しさに…我慢はつきもの………」
熱中症には気をつけて!
「皆さんが世話しとったんはウチの母親・・・要は親の世代にあたる木ですわ。
で、その実から大きゅうなったんがウチなんですが、なんせ戦国の世でしたやろ?
中々お世話もしてもらえなんだんで、結局枯れてもうて長い事ほったからかしですわ。
まあおかげさんでウチも皆さんに助けてもろたんやけど・・・って、これは関係ない話ですなぁ。
何やったっけ?そうそう、母親の話でしたなぁ・・・安土城で種のままやったのを
見つけてもらったうえに手間隙かけて育ててくれたいうんで、嬉しかったらしいですわ。
特に皆さんが使ってた薬はよう効いたんで、いろいろと新しい事も出来るようになって・・・
子供のウチ等がこうやって皆さんとお話できるのも母親の力を引き継いだからですわ。
世界に散らばってる兄弟やその子供の木もいろんな能力がついてるらしいでっせ」
例のスペシャル溶液は翼の他にも謎の木と子孫(?)達に様々な力を与えていたようである。
ライサはリューキンの元を訪れていた。久しぶりに会ったことで互いの近況に話も弾む。
特にタイムスリップで起こった本能寺の変の武勇伝にはリューキンは感嘆の声をあげた。
実の栽培に熱心だった事実はあえて内緒にしておく。
「ようやく一息つけたよ。これお土産」
内心はドキドキしつつ、さりげなくを装い実が入った箱をリューキンに渡す。
京都で買ったラッピングセットで包装し直しぬかりはない。
「女性には嬉しい効果のあるものらしいよ。そのまま生で食べられるんだってさ。
大切なものだし収穫して急いでここに駆けつけたんだ」
(嘘は言ってない!落ち着け、俺!)
やましい気持ちがありまくりなので開封しているリューキンを見ることが出来ないライサ。
「私にこれを食べろと?」
リューキンの声のトーンが変わる。が、ライサは気付かない。
ちゅどーーーん!!
プルとバトルの元にライサが降って来た。その顔面は腫れ上がっている。恐るべしリューキン!
フワフワの毛を纏った実が遅れてライサの頭を直撃した。
それで全てを把握したプルとバトル。
「あのさーエヴァン、言い忘れてたけど日本の6月から7月は高温多湿で食べ物が傷みやすいんだよね。
梅雨って元々黴雨って書いてたくらいだし黴には気をつけた方がいいよ」
「…………………ジェフ、大事な情報はもっと早く聞きたかったよ」
「ライサチェックさん!大丈夫ですか?!」
パンパンに顔が腫れて落ちてきたライサに慌てて駆け寄るガッちゃん。
しかしプルとバトルは至って落ち着いている。
「大丈夫、いつもの事だよ。どうせまた彼女を怒らせたんだろう」
「でも…」
のんびりと答えるバトルに何か言いたげなガッちゃんの肩をプルがぽんぽんと叩く
「アーチャ、大人にはいろんな事情っていうのがあるんだよ。ま、心配しなくても大丈夫だよ」
「そうなんですか?」
いまいちよく解らない様子のガッちゃん。大人の世界は複雑だなぁとこっそり思うのだった。
「おや、ライサチェックさんもお越しでっか!いやぁ、皆さんお揃いのとこを母が見たら喜びますやろなぁ〜」
ライサを見て感嘆の声をあげる謎の木(の子供)の一言を聞いて、バトルはふとある疑問が浮かんだ。
「そういえば大事な事を忘れてたよ!君の母さん…僕達が育てた木はどうなったんだい?」
「母はまだ旅を続けてるはずですわ。今どこやろ」
「元気でいるのか。よかった」
プルの言葉に、木はサヤサヤと枝を揺らしながら答える。
「ウチら少々の事ではくたばりまへんで〜、って枯れてたウチが言うのもおかしな話でんな」
ジョニ子は伊達の厚着で体温が異常上昇してしまい、へばっていた。
さすがに毛皮は暑すぎ。
「……じゃあ、…アタシ達の今後の展開だけど」
「いいから寝てなよ、ジョニー」木陰に横たわるジョニ子に風を送るPちゃん。
ロンドンはセント・ジェイムズ・パークのDIVA一行。ジョニ子は完全に熱中症。
「…仕方ないわね。それじゃあ、レイチェルは引き続き例の木について調べて。補佐はアダム」
「いいけど…漠然とした指令ね」
さっきからそわそわしていたリッポンをジョニ子はぐいっと引き寄せる。
「チャンス上げるのは今日だけだからね。しかっりやんなさいよ。巻き毛ちゃん」
既にお気付きのとおり今日7月21日はレイチェルの18才の誕生日。
「いや、別に…もごもご」それでもレイチェルをエスコートしてロンドンの街中へと消えていく。
「はぁ、アタシが元気だったらこっそり二人の後をつけるのにぃ」「悪趣味」とチャッキー。
「ケヴィンったら段々生意気ちゃんになってるんだから。この赤毛ちゃんはっ」
「いたたたた。髪、引っ張んないで!」
「で、俺達はどうするんだママン」
「取りあえず、涼しいとこ。どこでもいいから。はい、ケヴィンお姫様抱っこ」
「何でいつも僕が…ぶつぶつ」「涼しいところ?」「何処だママン」「アハン」
「ケヴィン!!アンタバッカじゃないの!やることが極端なのよ!!」
「イテテテッだから髪の毛引っ張んないでってば」
涼しいところのリクエストに応えて一行がやって来たのは北極だった。
「ママン、毛皮が役立ってよかったじゃないか」
「よれよれタンクトップと短パンに毛皮っていうのもジョニーらしいよねアハンアハン」
「ここならジョニ子姐さんの汗疹もこれ以上ひどくならないと思うし」
ジョニーの首筋と背中に出来た汗疹にベビーパウダーを叩いてるのは
すっかり世話係になってしまったPちゃんである。
「お買い物も出来ないしここじゃイヤよ。他の場所にしてっ」
じたばたするので怪力で周辺の氷が割れて飛び散りまくっている。
これが始まるともう誰もジョニーを止められない。
ゴンッ。
飛び散る氷を避けながら寛いでいると鈍い音がした。
振り返るとそこには頭にコブを作りゆっくり近づいてくる白熊の姿があった。
その頃宇宙船では。
「ただいま〜!おやつ買ってきましたよ〜!」
「今日は抹茶アイスとわらび餅ですぅ〜!」
今日のおやつ当番の真央と未来が買出しから戻ってきた。
「え?抹茶アイス?!すぐ行くよ〜!」
それを聞いてすかさずダッシュするバトル。
「ちょっと待って!僕の分は置いててよ!」
「先輩、急がなくてもアイスは逃げませんよ・・・たぶん」
小走りに宇宙船に戻るプルとガッちゃん。バトルでなくてもこの季節に甘くて冷たいものは魅力的だ。
ライサは相変わらず顔がパンパンに腫れていたが、「冷たいものなら腫れが引くかも」ということで
頬を擦りながら宇宙船に入っていった。
リッポンに下心はないが、誕生日の女性と過ごす以上、努力を惜しむまいと決意する。
と、そこに濃い顔の男が3Dメガネをかけたまま、まろび出てきた。エマだ。
「映画観てたんだけど、急に気分が悪くなっちゃって」
メガネを外して水を飲ませてやると、だいぶ落ち着いたようだ。
「レイチェル、お誕生日おめでとう。ちょっと待ってて」
スケート靴を履き、華麗なステップでイメチェン鉱石を削り出す。
瞬く間に黒光りするネックレスが完成。
「着けてあげるのはアンタよ、アダム。じゃあね!」
ピンク色のつむじ風を見送り、リッポンはレイチェルの首にネックレスをかけてやった。
するとレイチェルの縦横比が急激に変化した。
もちろん縦に伸びた。その上睫毛も濃く長く伸びた。眉毛もちょうどいい感じに生えている。
早い話が、美人になった―――ベルビンとかキーラとかコストナーさんとかそっち系だ。
「動物と触れあいたかったんでしょ。ケヴィン仲良くしてきなさいよ」
チャッキーを盾に後ろ一列になるDIVA組。ジョニ子は一番後ろから背中をぐいぐい押してくる。
「いやいや僕はまだまだ修行不足だから。ここはいつも頼りになるパトリック、いいとこ見せてよ」
「ちょっ都合のいい時だけ頼りにすんなよっ。動物と言えば俺じゃなくてこっちだろ」
「アハン、そんなに背中を押しちゃダメだよ。肉食動物たちは僕の話をなぜか全然聞いてくれないんだ、アハンアハン。
シマウマと遭遇したら僕を呼んで欲しいね。ここはいつも愛犬や戯れてるブライやんの出番だよ。
クマ科とイヌ科は類縁関係が近いそうだよ、アハン」
「ブレードとは大きさ全然違うだろ・・クマと言えばロシア、ロシアの象徴!
ほら、ジョニー行ってこいよ、ママン。ミーシャと仲良くなるチャンスだ。」
「いやあああ、押さないで押さないで。ミーシャはヒグマ、これは白クマ!
仲良くなるなんて無ーーー理ーーーーー」
「ほら、身体の模様がよく見たらシャネルマークに見えるぞママン」
「どう見てもただの汚れ!どっちかっつーとゼブラ柄でしょっ」
5人が先頭を押しつけ合っている間に白クマはジョニ子の目前に迫っていた。
ショウウィンドウに映った自分の姿を見て、レイチェルはピクンと眉を動かした。
「あら、美人」
それだけか?はしゃいだりしないんだ・・・・とリッポンは少なからず驚いてしまう。
「これが噂のイメチェン鉱石の効果ね。興味深いけどまずは謎の木の調査を済まさないと」
「君の誕生日祝いが先じゃない?・・・・ディナーを楽しんで花束を受け取って」
「まるでデートね」
レイチェルの冷静っぷりに、リッポンは完全にペースを乱される。
「・・・・やっぱり迷わず景色のいい郊外へ遠出コースにすべきだったか。しくじった」
「ひょっとして、ずっとプランを練ってたの?・・・・エマに会う前から?」
「そう。こっそり、ね。デート嫌い?」
巻き毛が萎えるほど凹むリッポンの手に、レイチェルは優しく指を絡めた。
「そういうデートなら、嫌いじゃないわ」
テディくん(仮名)は数日ぶりに人間を見て、なつかしさを覚えた。
"バトルやジェーニャと同じ種類の人たち?スケーターとかいう人だ"
ケバケバしい色でフカフカ毛皮の人間が暴れて、氷が飛んできて痛かった。
"なんで暴れてるの?お腹がすいてるの?僕が獲ってきたアザラシをあげようか"
新鮮で栄養たっぷりな生肉を食べたら、機嫌が治って笑顔になれるはず。
そう信じてテディくん(仮名)は血が滴る肉塊を差し出した。
本能寺の木はまた元の枯れ木に戻っていた。熟した実の効き目はすぐにきれてしまう。
「枯れたように見えても生きてるんだよね」プルは枯れ木の幹をそっと撫でた。
美姫「日本の夏は梅雨が過ぎてからが本番よっ!夏休みは始まったばかり。遊ぶわよー!」
「わーい」「きゃーい」「はーい」「お、おー…」
元気な真央、未来、結弦とは対照的に力のない他の面子、とくに海外勢。
さもあらん。夏の京都はでら暑い。めがっさ熱い。風情も何もあったもんではない。
美姫「仕方ないわね。じゃあ、昼間はかき氷パーティーよ!」
一同「わーーい!」
宇治金時、ミルク金時、イチゴみるく、めろん、黒蜜、すだち…あ、京都っぽい。
バトルのテンションも上がるかと思いきや白クマ型のかき氷器を手にして
「テディ、元気かなぁ…;」とちょっとほろり。
しゃりしゃりとかき氷を食しつつ「夜はもちろん肝試し大会よ♪」と美姫。
小塚「やっぱり行くの…?
>>492のお寺だよね」
美姫「その前にバーベキュー大会も花火大会もやるから安心して」
小塚「そうじゃなくて…」
生肉を先頭のど派手なお姐さんの目の前に『食べて食べて』と差し出しているのに喜んでもらえてないみたいだ。
どうしよう。あっそうだ。
ほらっ、これもらったんだよ。
アイスクリームに特製金色パンツにメープルシロップにリュックサックにユニクロシャツに……
まだまだあるよ。彼らとの友情の印をたくさんもらったんだ。
これを見てもわからない?僕、恐くないよ。
あっ真剣な眼差しで僕を見てくれてるお兄さん。わかってくれたのかな?
お腹すいてるの?これをあげるよ。
Pちゃんの口に生肉がつっこまれた。
「パトリック大丈夫!?そうだ!メープルシロップをかければ少しはマシだよ」
「そうね、生肉よりはアイスがいいわね。寒いときに冷たいものを食べるのもおつなものよ」
「キミの純白の毛皮には光輝くこの黄金のパンツはよく映えるよアハン」
「俺はリュックサックよりウエストポーチ派だ」
(誰か、助けて下さーーーい!!!)
美姫「さぁ、カキ氷を食べた後はスイカ割りよ!ルールは簡単、目隠しして3回まわって棒でスイカを叩くのよ♪」
バトル「3回転…男子は4回の方が良いのかな?」
ユヅル「よ〜し!プルシェンコさんの前で4回転決めるんだ!」
ガチ「ユヅルには負けないぞ!」
高橋「だったら俺も4Fを!」
ライサ「ううむ…リスクはあるがやるしかないか?」
小塚「あの…ジャンプはしなくて良いと思うんだけど」
そして始まったスイカ割り。目隠ししたプルが棒を構えてスイカを狙った。
バシィッッ!!
ヤグ「うわっ!どこ狙ってんだ?!危ねぇだろうが!」
プル「あれ?リョーシャだったの?気がつかなかったよ」
ヤグ「(…ムカッ!)よし!じゃあ次は俺がやる!その棒よこせ!」
プル「ちょっと、まだ僕がやってるんだけど!」
急に周囲の気温が下が(ry
その日のスイカ割りはとても涼しくてスリリングに満ちたものになった…らしい。
PちゃんのSOSに最も早く反応したのはコストナーさんだ。
「アザラシの生肉はビタミンやミネラルが豊富だよ!
イヌイットの人々は野菜を食べなくても生肉だけで元気だよ!
もっと食べるといいよ!」
スケパシーでアドバイスを送ってくれた。
エマは独自に仕入れた情報により、グレートキャニオンでイメチェン鉱石を採掘中。
「アタシ今忙しいのよ!自分でなんとか乗り切りなさいパトリック!アンタはそれができる子!」
ロンドンでちょっと背伸びした高級ディナーを楽しんでいたレイチェル&リッポンは……
「助けに行くしかないわね」
「僕、今なら自爆しなくて飛べる気がする」
やや(?)スリムになったレイチェルをお姫様抱っこし、リッポンは北極に飛んだ!
京都は第一次スイカ割り大戦で血を血で洗う抗争が起きていて、それどころではなかった。
542 :
スポーツ好きさん:2010/07/23(金) 06:25:37 ID:0US4ZmcV
コストナーさんのありがたいアドバイスも虚しく、Pチャンは生肉への
拒絶反応で白目を剥いていた。
そこに降り立つリッポン+レイチェル。
「パトリック!白クマのエサを奪うほどお腹が減っているのかい!?」
「いくらなんでも切り分けないと喉に詰まるわよ」
DIVAチーム一同はキョトン顔。
「アダム、その女の子誰?レイチェルは?」
チャッキーの声を聞き、レイチェルは急いでネックレスを外した。
縦横比が戻った。
「北極は寒すぎるから元の体の方がいいわ。ところであなた達こんなところで何を?」
「これって宇宙人、じゃないプルシェンコの金パンツじゃなくて?」とレイチェル。
「あら、ほんとね。じゃあこの白クマはジェーニャの知り合い?」
「そういえば宇宙船に白クマが乗ってたようなアハン」
「じゃあ、このユニクロシャツは…何だろう、とても懐かしい感じがする」
ユニクロシャツを着るジュベ。ぱつんぱつんだった。
急遽、ジョニ子の部屋別室エスキモーハウスを設置。情報交換にいそしむ。
ジョニ子「パトリック!アンタが余計なスケパシー送るからアダム達が戻って来ちゃったじゃないの!
もう少しほっとけば、あんな事やこんな事の詳細なレポが…」
リッポン「しませんってば」
レイチェル「でも、パトリックのせいでメインの料理半分しか食べられなかったわ。責任とって」
Pちゃん「アザラシの生肉でも食ってろ!」
(うう、口の中が気持悪い。またこのパターンだ。悪いのは絶対ケヴィンなのに…)
当のチャッキーは誤解の解けた白くまテディくん(仮名)と楽しそうに戯れていた。
そして今日7月23日はチャッキーの二十歳の誕生日だ。おめでとう!
北極でDIVA組がひとまず落ち着いた頃、京都では夜を迎えていた。
どうにか第一次スイカ割り大戦も終結し、BBQ大会、花火大会を終えた後は
いよいよ本日のメインイベント――肝試し大会へ突入しようとしていた。
>>492の大輔情報で「出る」という問題のお寺の前にやって来た宇宙船組。
周囲に人影のない、どこか暗い雰囲気漂う古びたお寺。
時折生暖かい風が吹き、ある意味においてシチュエーションはばっちりだ。
「こりゃ、本当に出そうな雰囲気だなぁ」雰囲気に圧倒される小塚。
「お化けでてくるかなぁ?」wktkな真央や未来。
「幽霊なんてフィクションだ、非科学的だ、そうに違いない・・・」対照的にすでにgkbrなライサ。
その様子をニヤニヤしながら見ているスケーター達を前に美姫が説明する。
「いい?本堂の前にお札を置いてきたから、それを持って返ってくるのよ…途中に墓場とか池とかいろいろあるから気をつけてね〜♪」
「気をつけるって…どうするんですか?」ユヅルが尋ねる。
「その時はその時よ。各自で自分の身は守らなくちゃね。何人かでグループを作ったら始めるわよ!」
ジョニ子「そりゃそうとレイチェル、アンタさっき見違えるように・・・んーと、ちょっと雰囲気違ってたじゃない?あれ何?」
レイチェル「エマがイメチェン鉱石を削ってネックレス作ってくれたの。ほら、かけてみて」
気前よく貸してもらえたはいいが、またロマノフになるだけではつまらない。
まかり間違って剛毛ママンにでもなったら鬱だ。
ジョニ子はおそるおそるネックレスを手に取り・・・
ジョニ子「ケヴィン!お誕生日おめでとう!」
チャッキーの首にかけた。というかネックレスで首を締め上げた。
チャッキー「僕で実験するなー!!く、苦しいっ」
「や、やだ……もうこのスレ360KBだってのに、今になってこんな……」
後じさりするジョニ子。何が起きたのか。
Pちゃんも驚きの余り目を見開いたが普段とさほど変わらなかった
一方の宇宙船組。
女子4人(真央、美姫、未来、キャシー)に対し
男子9人(プル、バトル、ライサ、ヤグ、高橋、小塚、クリス、ガチ、羽生)
女子率が少ない〜とか言う奴はこのメンバーにはいなかった。アハンアハン。
眠たげエルフ少年→→→サミュエル・コンテスティ以上に雄々しい山賊男へ。
髭剃り跡が真っ青な巨漢・チャッキーは居心地悪そうにモジモジする。
そんな彼を気の毒そうに見つめながらも、ジョニ子はつい指導してしまう。
「アンタ見た目がいかつくなったんだから、体育座りして爪噛むのやめなさい。逆に怖いわ」
妖精から巨人(?)へ。イメチェンはある意味成功だが、チャッキーはすぐにネックレスをはずそうとする。
しかし首が太くなってて中々とれない。無理に引っ張ると、ぶちっと紐が切れて鉱石の玉が四方に飛び散ってしまった。
(ああ!大変、拾わなきゃ!!)チャッキーは慌てる。
「えええっ!!」再びの驚愕がDIVA一行を襲った。
チャッキーは――――――――分裂した。
姿は元のエルフ少年に戻ったが、体長が30cm位に。一人一人がばらばらになったイメチェン鉱石の玉を一個ずつ持っていた。
「ケ、ケヴィン……?」呆然とするDIVAの面々。
最初の内はおどおどしていたエルフチャッキー達だったが、やがてわきゃわきゃと盛り上がりだし、
エルフというよりは小鬼(ゴブリン)の雰囲気。
そして、一瞬の隙をついて一斉にわっと飛び立った。それぞれ4T、4S、4Loで。
「ケヴィンッ!!」とっさにPちゃんがダイブする。
まだおどおどしていた一人のチャッキーを捕まえる。が、他の面々は飛び立ってしまった。恐らくは世界各地に…
「ケヴィン…」
Pちゃんの手の平には、他のチャッキー達より更に一回り小さいエルフチャッキーが、困り顔で見つめ返していた。
>>548の人数構成を見て考える美姫。
美姫「仕方ないわね、男子3人に女子が1人入るようにするわよ。一つだけ女子2人になるけど良いわね?」
一同「おー!」
というわけで、組み分けじゃんけんの結果。
美姫・小塚・高橋・クリス
キャシー・ヤグ・ガチ・羽生
真央・未来・ライサ・プル・バトル
というグループになった。
…なんか、色々おきそうなメンバーの真央組だが細けぇことは(ry
アボットは厳しい練習の後、自宅でクッキーを焼いて気分転換をする。
ふと足元を見ると、かなり小振りなケヴィン・レイノルズがいた。
「オーーーーーノーーーーーーーーー!!」
「どうしたの?ジェレミー^^」
「ユカ!僕幻覚見ちゃったよ。やっぱり疲れてるんだ。しばらく休暇が欲しい」
「幻覚?このケヴィンの事?^^」
「ユカにも見えるの?」
「ええ。だから幻覚じゃないわ。おいしそうにクッキー焼けたわね^^」
2人と1匹?でサクサクのクッキーを分け合って食べた。
「夜更かしは美容の敵だわー。寝よ寝よっ」
深夜、ゲデ子はそそくさとベッドに潜り込む。しかしそこには先客が。
「あら、あなた誰!?」
「・・・ケヴィン」
ちっこいチャッキー人形(眠そう)が喋った。
最初はびびったゲデ子だが、喋る人形?の愛らしさに心なごむ。
「ケヴィンはどこから来たの?」
「んーと、んーと(´д`、)」
「迷子になっちゃったのかなー?よしよし泣かないで。こっちにいらっしゃい」
ゲデ子の胸の谷間に潜り込み、泣きべそミニチャッキーは寝入った。
「あの子たち上手くやってるかしら、ウフフ……あら、なぁに電話?」
南国の花を浮かべたバスタブでの優雅なオフタイムを邪魔されたエマは、少し不機嫌に携帯を手にとった。
「せせせ先輩、大変なことが」
電話の声は後輩・Jテン。明らかに動揺している。
「どうしたのジェレミー、くだらない用事だったら承知しないわよ」
「け、ケヴィンが!小さいケヴィンが窓から…あっ、俺のおやつ勝手に食うなー!」
只事じゃなさそうね。
エマは素早くバスタブを出て、バスローブを羽織っただけの姿でJテンの下へ跳んだ。
カザフスタンのテン君の元を訪れたミニチャッキー4号。
相変わらず眠っているテン君の枕に身体を乗せて一緒に眠りについた。
「あーあ、どうするんですか?ジョニ子姐さんが悪いんですよ」
Pちゃんが珍しく強気に出る。
「後先考えずに行動する癖を少しはなおしてください」
「はーいごめんなさい…でもぉ」
(悪気があってやったわけじゃないよ、もう許してあげて)
「鉱石の気まぐれな悪戯に惑わされただけだよ、
光輝く太陽の下ではみんなにこやかにしていて欲しいなってテディも言ってるよ」
ちなみにランビはテディくん(仮名)の通訳係に任命されていた。
「ケヴィンは何人に分割されちゃったんだろ・・・あのネックレスの玉、何個あったかわかる?」
リッポンの問いに、レイチェルは力なく首を振る。
「連れ戻そうにもあれだけの大人数じゃむずかしいぞママン」
「エサ置いておびき寄せたらどうかなアハン」
「あの子が飛んでくるような好物って何かしら。バレンシアガのバッグじゃダメ?」
Pチャンは手乗りチャッキーからの情報収集を試みる。
「他のケヴィンがどこ行ったかわかる?」
「・・・わかんない・・・」
不安げに震えているので、テディくん(仮名)の頭の上に乗せてやる。
モフモフの毛皮で、少しでも癒されるように、と願って。
「こんにちわ〜あっかちゃん♪」
5人目の小人ケヴィンが飛ばされた先は日本。
信成が、嫁のおなかに向かって子守歌を歌っているやっているところだった。
そばのテーブルには食べかけの果物。
(これは・・・どこかで見たような???)
当人は何の実かは知らない。昔は実家の庭の木からこの実をもいで食べるのが
信成の定番のおやつだったのだが、7月にこれを食べると
なぜかいい声になるので、音楽のテスト前にもよく食べたものだ。
そんな信成は3月25日生まれ。
「こんにちわ〜あっかちゃん、わたしがパ・パ・よ♪」
そういえば3/16生まれの大ちゃんがおしゃれ関係に出る前にも一緒に食べたな〜
ミヒマルGTめっちゃうまかったで!
「方々に飛び散った玉を探す旅・・・何かに似てるなママン」
「とりあえず7個見つけてみるかい?アハンアハン」
「・・・それいけるかもしれないわ。ケヴィン、ちょっと貸してくれるかしら」
ちびっ子チャッキーから鉱石の玉を受け取る。
「これは元々1つの鉱石から削られて作られたもの。含まれている微生物のDNAは同じよ。
そしてさっき無理矢理このネックレスを取ろうとした時に、ケヴィンの微かな皮膚片が
それぞれの玉についた可能性があるわ。プラスケヴィン自身の香りもついてるとしたら・・・」
「・・・・・・・・えーーーっと要するに?」
「要はこの鉱石のDNAとケヴィンのDNAが付着した玉を探せるようなレーダーを作ればいいのよ!」
「アハンまさにドラゴンレーダーだね」
「そんな漫画みたいなことが出来るのかしら。アタシわかんないわ」
「大丈夫。なんでもママに頼めば解決よ。さあ、ママの所へ行きましょう」
趙宏博「民話でよく『子に恵まれない夫婦の元に突然赤ちゃんがやってくる』ってあるけど・・・・」
申雪 「うちには早すぎるんじゃないかしら」
まだ新婚さんである。9月の結婚アイスショーの前に赤ちゃん登場はちと気まずい。
趙宏博「よく見たら赤ちゃんじゃないな。だいぶ小柄ではあるが、ケヴィン・レイノルズだ」
申雪 「まあほんと。驚きのあまり気付かなかったけど・・・・あなたは常に冷静で賢いわ」
趙宏博「いやあそれほどでもないさ」
申雪 「信じてずっとついてきてよかった。これからもよろしくお願いします」
趙宏博「愛してるよ」
申雪 「私も」
すっかりほったらかされ状態のチビチャッキーは、あくびを1つして鼻くそをソファになすりつけた。
(ここんちのチャッキーはちょっと悪ガキっぽい?)
宇宙船組ではちょっとした問題が起こっていた。
美姫「・・・グループ分けしたところだったのに」
プル「良いじゃない、せっかく彼も来たんだし・・・ねぇ、僕達これから肝だめしをやるんだけど、君もどう?」
プルの誘いに小さなチャッキーはwktkしながら頷いた。
「こらー!おかし食べ散らかすな!服、全部裏返さないで!壁に落書きするなーー!」
J・テン宅のミニチャッキーはやりたい放題。そこへ、
どかーん!と屋根を突き破ってバスローブ姿のエマが降り立った。
「まあ、ひどい有様ね」
「…いえ(今ので殆どエマ先輩のせいになりました…)」
エマはベッドでぴょんぴょん飛び跳ねているミニチャッキーの襟をひょいとつかむ。
「…いい加減にしないと本気で怒るわよ?」
じたばた抵抗していたチャッキーはぷるる、と震えると慌ててJ・テンの肩を乗り越え背中に隠れた。
レイチェルママの仕事は早かった。
鉱石を科学的・化学的双方に分析をかけ、あっという間に目的のものは完成。
レイチェルママにはお礼にアザラシの生肉を渡した。喜んでもらえたようでテディくん(仮名)もご満悦だ。
そして現在テディくん(仮名)のお家で世界地図とチャッキーレーダーを見比べ作戦会議中だった。
アボット&ミニチャッキーはスケートの猛特訓。
「ユカ、お願い休ませて」
「ジェレミーったらお兄さんなのに弱音を吐くなんておかしいわ。ケヴィンはまだまだ滑るって^^」
「このちびっ子は真面目なうえに疲れ知らずなんだ。あ、クワド飛んだ。すごい」
信成は子守歌メドレーを大熱唱。妻もうっとり聞き惚れていて、まだミニチャッキーは気付いてもらえない。
分散したチャッキーの中でもとびきり影の薄い子らしい。
J・テン宅のいたずらチャッキーはあっさりエマに捕まり、つぶらな瞳に涙を浮かべていた。
「おねえちゃん、ごめんなさい」
「あらこの子ったら……ジェレミー!もっとおやつ買ってらっしゃい!」
ちゃっかり喜ぶミニチャッキーの手に握りしめられている漆黒の珠を見て、エマはハッとする。
「かわいいボクちゃん、これ、どこで見つけてきたの?」
とある国のとある部屋には5人のちびっこチャッキーが集結していた。
ふかふかベッドで跳びはねて、ハートのクッションを投げあって
女性顔負けのメイク道具を使いお互いの顔にガガメイクを施してウッフンアッハン物真似をし
お高い化粧品を身体中に塗りたくり、壁に飾ってある本人の写真に額縁ごしに落書きし
埃ひとつなく綺麗に片付けられていた部屋は、5人のいたずらっ子チャッキーにより散々たる有り様である。
チャッキーレーダーを頼りに、ジョニ子チームは飛び立つ。
最初に着いたのはジョアニー・ロシェット宅だった。
「びっくりしたわ。お風呂で寛いでたら、いきなりこの子が窓からドボン!」
ジョアニーが抱っこしているミニチャッキーは、フェイスタオルを腰にまとっただけの半裸。
濡れた服は洗濯してもらっているらしい。
平謝りしてジョアニー宅を辞し、レイチェルは真剣な瞳でレーダーを見つめる。
「ママに無理言って作ってもらったんだもの。もっと素早く使いこなさなきゃ」
彼女の苦悩をよそに、ミニチャッキーは退屈しのぎにリッポンの巻き毛を引っ張ったり
Pチャンの目に指を突っ込もうとしたり、いたずら三昧である。
「これじゃ、先が思いやられるわ」
謝罪行脚が予想され、ジョニ子は盛大に溜息をついた。
宇宙船組みの肝試し大会にやってきたミニチャッキーはチーム美姫に合流。
「じゃあ、はじめるわよ!1番に真央組、その10分後にキャシー組、最後に私たちの組が出発するから。」
「は〜い!」
「30分ぐらい出回りきれるはずだから、道に迷わないように地図は確認してね〜。それじゃ真央組出発!」
「いってきま〜す!」「・・・・・マス」
約1名gkbrなメンバーを従えて真央たちは出発。
その様子を美姫たちはニヤニヤしながら見送っていた。
「さ〜て、いったいいくつ引っかかってくれるかしら?」
数カ所巡ってミニチャッキーを回収しているうちに、レーダーの特性が明らかになってくる。
活発なチャッキーがいる地点ほど激しく光る。おとなしいと逆。
(デニス・テンくん宅で回収したねぼすけチャッキーの場合、ごくかすかな光だった)
未回収のところで、特に強く輝いているのは、ニュージャージー州某所である。
「ねえジョニー、ここきっと複数のケヴィンがいるわ。それもとびっきりヤンチャなのが」
レイチェルの分析を聞き、ジョニ子は眉間の皺をぐりぐりと揉んだ。
そして美容と精神安定に効くハーブティーをたっぷり飲み干した。
「こんな小さい体で迷子になったら大変だからね。私のそばを絶対離れちゃだめよ?」
美姫の腕に抱かれこくこくと頷くミニチャッキー。
「ていうか、これケヴィン・レイノルズですよね?何で小さくなってるんだろう」
順番待ち中のガっちゃんが問う。
「はっ!呼び捨てっ!」
このチャッキーは気が強いチャッキーらしい。しかし、かん高い声で凄まれてもちっとも怖くない。
ガっちゃんはミニチャッキーの両頬をむにっとつかむ。
「心配してるんですよ。ジョニーさんは?パトリックは一緒じゃないんですか?」
「いひゃひゃ、ひゃめろ。ひゃなせ」
「こら、アーチャ君、可哀そうでしょ。こんなに小さいのに」
ミニチャッキーはここぞとばかり美姫にはっしとしがみついた。
エマ&ミニチャッキーは北極のジョニ子ハウスへ(J・テンは家の修繕中)。
しかし中には白クマしかいない。どうやら行き違いになってしまったようだ。
「ま、しょうがないわ。少し待たせてもらうわよ」
テディくん(仮名)がふるまう生肉をむさぼりつつ、エマは悠々とソファに寝そべる。
ジョニ子チームはすでに40人のミニチャッキーを捕獲。
10人ずつ、ジュベ・ランビ・Pチャン・リッポンの腰にくくりつけてある。
なりふり構わずチャッキーを狩りまくったジョニ子は疲れ切ってぼやいた。
「あと何匹いるのかしら・・・」
「少なくても5匹前後、ニュージャージーにいるわ。早く行きましょうよ」
「待って・・・心の準備をさせてちょうだい」
さすがのジョニ子も『大事なアタシのお城』で暴れる小鬼たちと対決するために、
特別な勇気が必要らしい。
一方スイスでは3人のミニチャッキーがとある家の棚にあるDVDをせっせと50音順に並べ替えていた
心の準備と言いながらネイルも塗り直して、衣装も着替えエステに行きお肌はツヤツヤ。
「えーっとあのメイクはどうしたのかしら…?」
「ちょっとピエロっていうか」
「大道芸人風味だなママン」
「日本のテレビで見たタケちゃんマンって言うヒーローに似てるねアハン」
やはり動揺していたのかメイクはやや不評であった。
そんな声に背を向けiPadのようなレーダーを見ながら
光輝く1点を見てため息をつくジョニ子だった。
「あら?ここ見て」
画面内の世界地図をよく見ると回収が終わったと思ったヨーロッパ方面が
イタリア半島辺りで見切れていた。
イヤな予感がする。
タッチパネル式なので世界地図をゆっくり右へズラしてみる。
そこに映ったのはニュージャージーの輝きに負けず劣らず輝いている2つの場所。
「スイスと…」
「フランスだね」
アハンママンコンビに視線が集中した。
現在肝だめし中の真央組。しかし先日見た夢に怯える黒い人のせいで、
プルバトは中々女の子のキャーキャーはしゃぐ姿を拝めない。
「ライサさん、どうしたんですか?」「そんなに夢のこと気にしちゃだめだよ。」
二人に慰めながら進むライサ。実は真央と未来が両隣で歩いているのだが、
そんなシチュを楽しめる余裕はもちろんない。
そんな3人の様子を後ろの二人は半ば恨め・・・いや羨ましい思いで眺めていたのだった。
「あら〜綺麗にたたんでくれたわね。ハイ、ご褒美のアイスよ」
今朝枕元にいきなり現れた4人の小さな男の子達。突然のことに驚いたが
それもほんの一瞬のこと。あっという間に互いにうち解けた。
これくらいで驚いてたらスケーターのママンなんてやってられないのである。
「ゆっくり食べなさいね。疲れたでしょ」
ママンの労いを受けながらにこにこしてアイスを食べるチャッキー達。
ここのチャッキー達はみんなお利口さんで家事や掃除を率先して手伝い
ママンの受けが大変よかった。
「食べ終わったらゆっくり休んでいいわよ。今日は朝から頑張ったもんね」
ママンの言葉に首を横に振りブレードの元に駆け寄る4人。
「じゃあ一緒にお庭で遊んでいらっしゃい」
ハーイ、とハモった返事をしてブレードと共に庭に飛び出していった。
チャッキー達を見てるのが楽しくてジュベからのメールの返事も
うっかり忘れてしまっているママンだった。
前を行く黒い人のgkbrぶりを見ているうちにちょっとした悪戯心が沸いたプル。
足音を忍ばせてその背後に近づくと、襟元に向かって息を吹きかけてみた。
「・・・・っ?!」
急に首筋に生暖かい風が来て竦みあがる黒い人は、そっちに意識が集中して前をよく見ていなかった。
「うわぁぁぁぁっ?!」
仕掛けその1の「地面にカモフラされたスポンジ」を踏んづけてしまい、バランスを崩して見事にすっ転んだ。
「あれぇ?ライサチェックさんどうしたんですかぁ?」
「ダメじゃない、ちゃんと足元見とかなきゃ」
真央と未来に注意されるも、すでに顔面蒼白なライサ(だが黒くてry)
その一部始終を見ていたプルとバトルが笑いを必死でかみ殺していたのは言うまでもない。
誰の家に最初に行くか、で揉めるDIVA一行。
『ここでちんたらしてる間にも、刻一刻とあなた達のお城は荒らされていってるのよ』
とレイチェルが一喝してようやく我に返った。
「そ・・そうね。早くしなきゃ、ね。じゃんけんで決めるわよ。
最初はグー。じゃんけん・・・」
実際荒らされているのはジョニ子の家だけなのだが
このじゃんけんどうなるのか。
じゃんけんポーン!!!
「ぎゃーーーーーーー!!!!」
じゃんけんに参加していないPチャンが絶叫する。何が起きたのか。
腰にぶらさげているミニチャッキーが、ジョニ子たちの真似をしてじゃんけんに参加、
チョキを勢いよく繰り出し、その指先がPチャンの尻に刺さっていた。
「し、七年殺し・・・」
バッタリ倒れるPチャンを、リッポンが慌てて介抱する。
レイチェルはレーダーでこまめに自宅チェック。大丈夫。ミニチャッキーの気配なし。
「ケヴィン出没率はおもしろさに比例するようね。ああ、私はおもしろくなくてよかった。」
ジュベママはご近所さんと朝っぱらから井戸端会議。
「あら〜ジュベールさんとこの奥さん。四つ子産んじゃったの?まさかお孫さん?」
「やあね違うわよ。朝起きたらいきなりいたのよ」
「まあ、いきなり?すごいわ〜ザシキワラシとかいう、幸運の妖精かもしれないわ」
「だったら大事にしないとねw 家事の手伝いをしてくれるし、ほんとかわいいのよー」
スイスの三つ子チャッキーはDVD整理を終え、ランビのプライベート写真整理まで開始。
信成邸のミニチャッキーは、結局、気付いてもらえないまま庭へと出た。
途中、洗濯バサミを拾ったので髪につけてみたが痛かったのですぐにとった。
「この木ってあの木に似てるなあ。仲間?兄弟なのかな?」
とある庭木の前で立ち止まり幹をさすってみるが返事はない。
「無口なたちなのかな」
声はなかったが肯定するように葉がさやさや揺れた。
チャッキーはそれで満足して、よいしょと木に登り始める。
ちょうどいい枝ぶりの処でゆったりと落ち着いた。
「月が綺麗だね。満月ツアー行きたかったなあ。でも、君と一緒に見れたからいいか」
また肯定するように葉が揺れた気がした。
結局ジャンケンはジョニ子が負けた。
七色毛皮を着込んで体を大きく見せ、髪にはキラキラバンドゥーを施し目眩まし効果を狙う。
「よし!行くしかないわね!アタシの素敵ルームを奪回するためにも!」
部屋のドアに「welcome!!!」と血文字のようなスプレーの殴り書きがあるのを見て、
ジョニ子は膝から崩れ落ちそうになった。がなんとか持ちこたえる。
床に散らかる大量の食べかす・壁に飾った写真への落書きから目を逸らし、リビングルームへ進む。
ツェッペリン・メドレーがフルボリュームで流れ、天井にはぬいぐるみやマトリョーシカがぶら下げられている。
ガガメイクのミニチャッキー5人が、ジャンプしてそれらに頭突きをくらわせていた。
卒倒したジョニ子を左右から支えながら、ジュベ&ランビは顔を見合わせる。
「僕らの部屋はどうなってるんだろうアハンアハン」「考えたくないなママン」
「ジョニ子姐さん、ほらっこれ水性ペンだよ。擦れば落ちるって。よかったね」
「ヴィトン部屋にもクローゼットにも手出しされてないわよ。バレンシアガも無事よ。
なんだかんだでチャッキー達は考えて暴れてるみたいよ、よかったわね」
「ぬいぐるみ達もつり下げられて風通しをしたおかげで
毛触りがよくなっててるよ、アハンアハン。チェブ達も色とりどりに塗られて楽しそうだよアハンアハン」
「ママン、冷蔵庫の中のものをチャッキーが全部食べ尽くしてくれてるぞ。
全部新鮮なものに買いそろえられてちょうどよかったじゃないか」
フォローにならないフォローを続ける一行。
Pちゃんは暴れん坊チャッキーを捕まえるために部屋中を走り回っていた。
写真整理も終わったスイスのミニチャッキー達が次に手にしたのは
ランビ秘蔵のアドレス帳(おにゃのこ限定)だった
「かんにんな〜、さっきから気づいてたんやけど、
嫁さんびっくりさしたらあかんから声かけられへんやった」
木の上のミニチャッキー(
>>579)、どうやら信成には気づいてはもらえてたらしい。
「しっかしホンマにちっちゃくなったなあ・・・
ジョニーたちとメールで連絡取れて、大体事情がわかったから
これから皆のところまで送ってったる」
ミニチャッキーをそっと抱っこしてあげる信成。
(自分の子が生まれて、初めて抱っこするときも、こんなんかな・・・)
数分後・・・
ジョニ子の前で土下座中の信成とミニチャッキーの姿があった。
親友美姫顔負けの4Sで、両足着氷ながら誤爆もせず
ニュージャージーに無事着いたまでは良かったが
信成食べ残しの「例の実」をミニチャッキーが食べてしまっていたのが誤算だった。
そう、チャッキーはミニになっても7月生まれ。
再会の喜びにジョニ子にとびついたミニチャッキーは
いつのまにか身についていた怪力でジョニ子をぶっとばしてしまったのだ・・・
「白クマはーん、ようやく見つけましたわ。ここ最近留守やったから心配してましたんや。あ、お客さんでっか」
「あら・・・・あなたはもしかして?」
「おや、わてのこと知ってまっか?こういうもんですわ。
いえね、この白クマはん達とは毎月、わての実とアザラシの肉を交換してもらってるんです。
で、このアザラシの肉を他で売ってっていう、まあサイドビジネスっちゅうやつですな」
「実を?この子達が食べてどうするっていうのよ」
「北極の氷を溶かした水と実を混ぜて、シャーベットっちゅうのを作りますねん。
ここの水を使うとなんや不思議なことに、わての実の効果が全部無効になって
ただの栄養ドリンク的なものの出来上がりですわ。
見てみ、ここの白クマはん毛並みツヤツヤでっせ」
「そんな効果もあるのね。人間にも効くのかしら」
「さあそれはまだ試したことないからわかりませんよって、おたく試してみたらどないでっか?
うちのご先祖さんから聞いた話によると、なんかの天然水とお酒を混ぜたら
成長が促進されたっちゅう効果もあったらしいですわ」
「フフフ面白いわね。・・・そういえばあなた普段はグランドキャニオンにいるのよね。鉱石のこと、知ってるかしら」
「ええ、普段はグランドキャニオンさんでお世話になってます。あの鉱石もわてらの人気を脅かす存在でして。
あんな気軽に変身されたら、そりゃ人気も出るってもんですわ」
「その変身、というか鉱石による変化をすぐに戻す方法ってご存じ?」
「そりゃ知ってますわ。わてもライバルの下調べには余念がないですよって。知りたいでっか?」
一方その頃、肝試し中の真央組。
最初のトラップに引っ掛かったライサはますます混乱+gkbrしまくっていた。
おかげで用意された様々なトラップに面白いほど引っ掛かり倒していた。
その叫び声は遅れて出発したキャシー組を「一体どんな仕掛けがあるのか?」と驚かせ、美姫は「…上手くいってるわね」とニヤリとしていた。
そしてまた新たな叫び声が。
「きゃっ♪」「あ〜びっくりしちゃったぁ♪」「くぁwせdrftgyふじこ〜!!!!!!」
柳の木の下で揺らめく白い影(実は吊るされたシーツ)に可愛く驚く真央・美来と対照的な黒い人の絶叫。
そしてその後ろで「またか…」と言う顔のプルとバトル。
女の子のワーワーキャーキャーは可愛い。むしろ大歓迎だが、さすがに男の絶叫はありがたくない。
「ねぇエヴァン、怖いんなら引き返す?」
(…ハッ?!ここで引き返したら、男の面子が丸つぶれ…それだけは断じて…!!)
「な…何いってるんだジェフ?せっかくの肝試しを皆に合わせて楽しんでるだけさ…ははは…」
引きつった笑顔のライサ。もちろん本当はすぐにでも引き返したいのだがここは我慢だ。
「え〜っと、そろそろ本堂があるはずだけど?」地図を見ながらプルが周囲を探していると。
「あ!…プルシェンコさん、あそこにあるの本堂じゃないですか?」
真央の指差した方角に陰鬱とした雰囲気の漂う本堂が見えた。
「ランビエールさ〜ん、赤ぬこ宅急便です〜ハンコお願いします」
ハンコを抱えてちびっこチャッキーが玄関に向かう。
「お留守番かな。はいこれ、ポエマーなお兄さんにちゃんと渡してね」
ちびっこチャッキーをみても動じない配達のお兄さん。
伊達にランビエール家への宅配を数年も担当してるわけじゃない。これくらいの不可思議なことは日常茶飯事だ。
品名は『DVD』
棚に並べようとせっせと開封する3人のちびっこチャッキー。
「「「!?」」」
出てきたのはちょっぴりイヤンな『人妻乱れ宿』シリーズの最新DVDだった。
「「「きゃああああああああああ」」」
アハハウフフなジャケ写に驚き、てんとう虫クッションの下、ベッドの下、棚の裏と一斉に逃げ隠れた。
「いやああああああああ」
ベッドの下に隠れたチャッキーが再び叫ぶ。そこには過激なジャケ写だらけのイヤンなDVDと雑誌が隠されていた。
(これは3日目スレで見たお馴染みの……!)
再び棚に並べ直す作業が始まった。
「土下座なんてしなくていいから、掃除を手伝ってちょうだいな」
ジョニ子は信成&影薄ミニチャッキーをまじえた現場メンバー全員を仕切り、夏の大掃除大会を決行した。
「かえってふんぎりがついていいってものよ。この際だからカーテンも新調してソファも買い直して・・・」
なぜだろう。ウキウキしているご様子。ヤケを起こしているのか。
ジュベはジョニ子宅の惨状を目の当たりにし、いてもたってもいられなくなり実家に電話。
「ママン?うちに凶暴な小鬼が攻めてきてない?え?むしろ片付けしてもらえて助かってる?どーいう事?」
「良いミニケヴィンもいるんだねアハン。僕んちはどっちだろう?てんとう虫占いをしようかな」
ランビ宅のミニチャッキーズは、棚からはみ出してしまう余分なDVD+雑誌を、壁に飾り始めた。
どれをどう並べたらよりアーティスティックか真剣に検討。
より肌色が多いものを、とにかくたくさん並べる事に決定。
エマは鉱石使いこなしマル秘テクをレクチャーしてもらいつつ、ミニチャッキーの頭を撫でてやる。
「ケヴィン、もうすぐ元の姿に戻してあげるからね」
大掃除中のジョニ子宅。しかし少々厄介事が。
「なんであいつらだけ縛られてないんだよー」「そうだそうだー」「ずるいぞー」
捕まったいたずらミニチャッキー達が騒ぎ出した(1名は爆睡中)
「だって僕らはいたずらしないし」と、信成邸の影薄チャッキー。
「逃げ出したりもしないし」北極に一人残ったエルフチャッキー。
「僕らだっていたずらしないよー」「逃げ出さないよー」「そうだそうだー」
「アンタ達、アタシの家をこんな状態にしといてよく言えるわねっ!」
「もうしないよぅ」「ゆるしてよぅ」「えーんえーん」今度は全員で泣き落し。
P「お前こんな性格だったっけ?」影薄「なんか恥ずかしい…」エルフ「うーん…ちょっと待って」
エルフチャッキー、一人のミニチャッキーをきゅっ、と抱きしめてみる。
するとキュポン!的な音がしてチャッキーが一つになった。手には鉱石の玉が二つ。
「あら」「なるほど、これで回収した分は一人になれるなママン」「回収って言わないで…」
レイチェル「でもケヴィン、あなた絶対、石を離しちゃだめよ。まだ全員揃ってないのだから、
石を手ばなしたら体の一部がない状態で元に戻ってしまうから。耳が片方とか足の指が一本足りないとか」
信成「お嬢はん、怖いこと言わんといて…;」
半日かかって掃除終了!
くっつきまくって12歳児一人分程度になったチャッキーの首には、
まだ鉱石玉全てが揃ったわけではない短めネックレスがかかっている。
「あと数人ってところね。さくっと片付けましょう」
部屋が綺麗になって元気復活のジョニ子は、信成が日本に飛び立つのを見送る。
「彼、いいパパになるわよ、きっと……じゃ、スイスへGO!」
てんとう虫占いでは『末吉』と出たが、実際のところはどうか―――ランビはおそるおそる
ドアノブに手をかけた。
その頃イタリア、コストナーさんのおうちでは
暑さでバテ気味のちびチャッキーがおやつをご馳走になっていた。
「疲れた時には甘いものが一番だよ、ティラミス美味しいよ!
ジェラートもお勧めだよ!冷たくて美味しいよ、食べるといいよ!」
「ありがとう。いただきまーす」
イタリアは今日も平和です。
同じ頃、チェコにも降り立っていたちびチャッキー。
こちらでは、トラが日本のファンからもらった日本刀形の傘「名刀雨傘」を振り回し
ミハルも加えて3人でチャンバラごっこの真っ最中だ。
「先輩ー!それ確か傘なんですよね?あんまり乱暴に扱うと壊r「隙ありーー!!!」…ってあぶねぇぇ!!」
「あはははは、油断大敵だぞミハルー!」
「ねえねえ、次は僕にも貸して!」
「ケヴィンにはちょっと大きいから大変じゃないか?」「大丈夫ー!」
遊びにも全力投球の彼らだった。
肝だめし大会in京都
キャシー組は先行する真央組のおぞましい悲鳴にうんざりしていた。
「ライサさん悲鳴上げすぎ。」「あんな声出されるとドキドキ感が半減するわ。」
ユヅルとキャシーはため息をついていた。
「・・・だったら俺らが仕掛けねぇか?」
ヤグディンがメンバーに提案する。
「仕掛けって何するんですか?」
「調度あの気に布がかかってる。あれが使えそうだな。」
先ほどライサが幽霊と勘違いした布を指差した。
「でもいいんですか?僕たちが勝手にやっちゃって。」
「肝だめしって予想外のサプライズがたまらないんだろ?
大丈夫だって、心配するなアーチャ。」
そんなわけで、キャシー組はお札を持って折り返してくる真央組を、
驚かせる作戦会議を始めたのであった。
自宅に入ったランビが、なぜか数秒で飛び出してきた。
「さあみんな次に行こうかアハンアハン」
「次も何も、ケヴィン捕まえてないわよっ。さあ中に入れてちょうだい」
「いやあの、散らかってるんだアハン」
「だったら掃除しましょ。アタシの部屋も片付けてもらったしおあいこよ」
ジョニ子とランビが言い合っているうちに、他のメンバーがズカズカと部屋に入っていく。
「あー!ダメだー!特にレイチェルはダメだアハンアハーン!」
「ひどい・・・私だけのけ者にしようとするなんて」
「そういうつもりじゃないんだよアハン」
「お菓子を隠しているのね?大丈夫よ食べ尽くしたりしないから」
スキップしながらレイチェルは真っ先に室内に。
そして立ちつくす。肌色桃色わくわくDVD展示会場へようこそ!
「きゃーーーーーーーーーーーーー!!!」
しかし、悲鳴をあげたのはレイチェルではなく若手三人組だった。
「うわぁ。ちょ、ちょっと待て、レイチェルッ!」「レイチェル!見ちゃだめっ!見ちゃだめっ!!」
「ほら、レイチェル!あっち向いてほい!あっち向いてほいっ!」
そして、何故かランビ以上に慌てる若手三人組。
「……馬鹿じゃないの」
レイチェルはそう言うと桃色展示館を素通りし、庭でチャッキーレーダーをチェックしだした。
三人はへたり込んだ。変な汗かいた。
「もー、やっぱりあの子達はみんな可愛いわね(はぁと」
「若い、若いなーアハンアハン」
「お前も相当若いと思うがなー、ステファン」
ミニチャッキーズは力作のDVDオブジェが受けた!とハイタッチを繰り返してはしゃいでいた。
器物損壊などの被害は一切ないものの、ランビの心を少しだけ砕いた三つ子チャッキーズ。
素直な性格らしく、あっさりと他チャッキーズ融合体と合流。
「この『全裸シリーズ・ヨーデル100人部隊でヨロレイヒ〜』ってどこがいやらしいのかしら。理解に苦しむわ」
「きっとスイス特有のノリなんだよ。僕はアメリカ人だからわからないし、わからなくてもいいと思ってる」
レイチェルの学究心があらぬ方向に向かいかけるのを、リッポンは必死に阻止した。
Pチャンは『人妻隠れ宿』のダビングを頼もうか迷い、断念。
「じゃ、次はブライアンのところね。あ、その前にパリのシャネルに寄りましょう」
「それなんだけだが・・・さっき電話したらすごくいい子たちらしくて、ママンが手放そうとしない」
「あらま。暴れてないの?」
「暴れるどころかママンの言う事をよくきく働き者らしい。後回しでもいいよママン」
「それなら先にチェコ行く?それともイタリア?」
いつのまにかジョニ子の背後にいたレイチェルが叫ぶ。
「お昼ご飯まだだし、ピザとパスタの本場イタリアがいいでーす!!」
「気に入ったのがあったら持って帰っておくれよ、アハンアハン。
飽きたら僕に送り返してくれればいいからね」
ランビの大盤振る舞いで各々気に入ったDVDと
赤ぬこ宅急便の着払い用紙をゲット。
レイチェルもしっかりと『全裸シリーズ』を胸に抱えていた。
(あまりにもがっちりと抱え込んでるのでタイトル等の詳細は不明)
「みんなどんどん食べるといいよ!ショッピング行くなら案内するよ!」
もてなし上手のコストナーさんにみんなして甘えまくり。
しかしそのままじゃいつまでたってもチャッキーが元に戻れない。
「じゃあね、カロリーナ」「また遊びに来るといいよ・・・」
ミニチャッキーの頬についたジェラートを指先で拭ってやると、コストナーさんは小さく手を振った。
同じように振り返すミニチャッキー。仲間の体に融合していく。
「カロリーナ、さよなら!・・・だよ」
彼女の語尾を真似して茶目っ気を見せ、チャッキーはジョニ子たちとともにチェコへ跳んだ。
本能寺近くの古寺。いつの間にか生あたたかい風が吹きだし、雲が月を隠していた。
「ミキは面白い娘だね。…ねぇ、ジェフ、もう一つ大きなトラップが仕掛けられてるの気付いてる?」
お札を手にプルが言う。「さあ、何?」
「ちょっと前から、ずーーっと、誰かが僕らの後をついて来ている気配があるんだよね〜。
さて、タカヒコかな、それともダイスケかな?」
5人の背後の低木が、がさがさっと揺れた。
「本当かジェーニャ。全くミキのやつめ、詰めが甘いな」
散々トラップに引っ掛かりまくったのを棚に上げてライサが言う。
タネが解っていれば怖くはない。ライサは低木に向かって声をかける。
「おい、ばれてるぞ。諦めて出てこい」「えー、たかちゃんがお化け役なのー」「それともダイスケさんですかぁ?」
3人は「それ」にゆっくりと近づいた。
「そろそろ本堂に着いた頃かしら」と美姫。
「おっと、信成からメールだ。あっちにも小さいケヴィン・レイノルズが来たってさ」と高橋。
「分身の術でござるか」
「呼び捨てっ!呼び捨てっ!!」
「はいはい。飴ちゃんあげるからいい子にね」小塚はミニチャッキーのお口にチュッパチャプスを入れてあげた。
一方のキャシー組は、ガチ君と羽生でお化け役の譲り合いを続けて、ヤグに睨まれていた。
低木に向かって近づいていく三人の後ろで、プルとバトルは小声で話していた。
「あの木のあたりなんだよね?」
「うん、確かにそこから漂ってるんだけど…」「どうしたの?」
「なんだろう…ちょっと変な感じなんだよね」少しばかり困惑した様子のプル。
さっきから気配の正体を探っているのだが、どこか霞がかかったようにぼんやりとしていて、誰なのか一向にはっきりとしない。
「へぇ、ジェーニャでも感じ取れない事ってあるんだ……ん?」
そう言いかけたバトルの足元でコツンと何かが音を立てる。
なんだろうと思って足元を見ると、見覚えのある小さなものが転がっている。あの木の実だ。
「ジェーニャ、これまだ持ってたのかい?」
「いや、僕が持ってたのはもう使ったよ?」
「…じゃあ、これはいったい何処から来たんだ?」怪訝な表情を浮かべる二人。
それを他所にライサ達はいよいよ木の傍まで近づいた。
「よし、一斉に木の裏側に回るぞ!」「は〜い♪…たかちゃん、捕まえちゃうよ〜」「隠れてもダメですよ〜」
隠れているはずの誰かを捕まえるべく、3人が木の裏へ回り込もうとしたその時―――異変は起き始めた。
チェコで男性陣はチャンバラ大会。トラの剣さばきに歓声を上げる。
ジョニ子は久々にゆっくりした時間が取れそうなのでフェイスマッサージに没頭。
だがその隣でレイチェルが真剣に『全裸シリーズ』の検証をしているので落ち着かない。
「この『全裸シリーズ・100人大食い部隊の世界食べ尽くし!』は食欲をそそるわ」
「アタシが借りた『いけないピラティス・嗚呼!そんなところまで?』で食後の運動欲も昂進させる?」
「そうね、貸して」
二人でDVD鑑賞をしていると、チャンバラに飽きたメンバーが戻ってくる。
「わっ、何見てるんだ、二人とも!」
「何って、ステファンに借りたDVDよ。パトリックはどんなのを借りたの?」
「かかかか借りてないよ!そんなの!借りるわけないじゃん。そうだ、ケヴィンの合体を早く済ませない?」
明らかに挙動不審なPチャンを痛々しく思ったのか、チャンバラケヴィンは渋々合体に同意。
「もうちょっと遊びたかったのにー。パトリック、1つ貸しだからな」
「なんでだっ。なんで俺のせいなんだ…」
「あれ?誰か来る!」
美姫たちの元へ息を切らして走ってきたのは未来だった。
「うわぁああん!!」
目に涙を浮かべながら美姫の胸に飛び込む。
「どうしたの?何かあったの?」
かなり動揺している未来を宥めながら美姫が声をかける。
「ホントにいたの・・・『妖怪ひとさがし』・・・・う・・・ひく・・・」
「えぇ〜!!」「まじで!」「それで他のみんなは?」
「わかんない・・・・怖くて逃げるのに夢中だったから・・・」
「とにかく、キャシーたちも心配だからみんなを探しに行こう!」
「未来ちゃんは俺が入り口まで付き添っていくよ。」
「お願いね、タカ。あとケヴィン君も一緒に」
「わかった」
美姫たちは二手に分かれて残ってる仲間探しを開始した。
ちなみにキャシー組はヤグ主催の『負けた野郎が幽霊役大戦』が勃発しキャシーを呆れさせていた。
「600レス超えたし、容量チェックしたら残り103KBよ〜!んもう、とっととフランス行くわよっ」
「アンタら何gdgdやってんのよ。トロくさいわねえ」
「エマ!なぜここに」
「忘れ物、いや忘れケヴィンを届けに来たの。アタシもパーティーに混ぜなさい」
「う・・・・そういう事なら、まあしょうがないわ。でもこのスレのDIVAはアタシですからねっ」
なんか一人増えて、ママンの元へ!
大阪府某所。
嫁「彼のお友達が"信太"はどうかって提案してくれているんです」
姑「きょうびそのぐらいシンプルな方が、かえって斬新かもしれへんなぁ。さて、果物でも食べよか」
嫁「じゃ、私持ってきます」
姑「ええのええの。座っててー。庭にある守り神の木から私がもいでくるから・・・あら?木がない」
嫁「木がない?どういう事ですのん?」
姑「あの木はちょくちょく翼が生えて飛んでいくんやわ。織田家がここに屋敷を構えてからずっと庭に生えて
我が家の事を見守ってくれている、ありがたーい木なんやけど、たまーに息抜きに出かけるんよ」
嫁「自由で楽しい木ですねえ。この家の一員になれて、私本当に嬉しいわー」
フランス某所。
ママン「この子ら、うちの一員として養子にするわけにいかないかしら」
息子「そりゃダメだ。元のひとかたまりにしてカナダに帰さないと。彼は一流のスケーターなんだよママン」
ママン「ちっちゃいままフランス代表スケーターとして育てちゃダメ?ブライアンの弟子として」
息子「ママーン(決意が揺らぐ)・・・でもやっぱりダメだよ、そんなの」
その頃エマは、同様にミニチャッキーを養子にしようとしている中国人夫妻・弟子にしようとしている
デトロイト在住スケートコーチに諦めてもらうため、奔走していた。
エマ「なんとかしてケヴィンを返してもらわなきゃ、とんでもない事になっちまうのよ!」
未来はミニチャッキーを胸に抱き、癒されていた。
「かわいい…。マオちゃんも抱っこしたいだろうな…;」
ミニチャッキーは未来を慰めようと舐めかけのチュッパチャプスを未来の口にぐいぐいと突っ込んだ。
小塚(それは、間接キスでは…。まあ、二人とも子供みたいだからいいか)
一方、キャシー組(キャシー、ヤグ、ガチ、羽生)に追いついた美姫、高橋、クリス。
「何ぃ〜、本当にお化けが出たぁ?馬鹿言うな」
美姫の話を信じないヤグ。しかしその時―――――――ぼこん……
「…なんの音?」
ぼこん。ぼこん。ぼこぼこ、ぼこぼこぼこぼこ………
一同の足元の土が盛り上がり出し、やがてそこから巨大な木が一気にそそり立ってきた。
『ここ…か……?』
「うわあああああああああああああああああああ!!!」
「ほうらね!言った通りでしょ!言った通りでしょっ!!」
「勝ち誇っている場合か!みんな、逃げろっ!!」
全員、蜘蛛の子を散らすように逃げた。
妖怪から必死に逃げて、やっとの思いで寺の入り口まで戻ってきた一行。
待っていた小塚達の姿を見てようやく安堵の息が漏れる。
「まさか本当にお化けがいたなんて…」息を切らせながら大輔が呟いた。
「みんな無事に帰ってこれたかしら?」美姫が周囲を見回す。
まだ恐怖が覚めやらぬ中、各々の無事を確認していく宇宙船組。
ひとまず先ほど合流したメンバーは全員揃っていた。ほっとする一同だったが。
「…真央ちゃんは?」不安げに未来が尋ねる。
「プルシェンコさんやライサさんやバトルさんも帰ってきてませんよ?」
ユヅルも姿の見えない面々に気が付いた。
「あいつら、いったいどこに行ったんだ?」
重い空気の漂う寺の境内をヤグは見遣った。
ゲデ子がぐっすり眠るベッドで、ミニチャッキーは静かに寝返りを打つ。
「なかまのところへ、かえらなきゃ(・ω・`)」
豊穣の女神のような微笑みをたたえた寝顔を見つめ、記憶に焼き付けた。
また泣いて心配させたくないから、黙って出ていく。
「またいつか、あえるよね(つД`)」
名残惜しさを振り切ってベッドから抜け出すと、華麗な4Tを決めた。
「はーい、みんなお腹すいてるでしょ。たっぷり食べてね」
ジュベール家のお庭でBBQが始まった。
コストナーさんの家でたっぷり食べたはずなのだがお肉は別腹。
ミニチャッキーズが肉や野菜を串に刺し
ジュベママンにバケツリレー。チームワークはバッチリだ。
「ブライアン、早くママンを説得しなさいよ」
「そうは言ってもママン、ママンがケヴィン達を気に入ってて……ママン。
いなくなった時ママンがどれだけ悲しむかを考えたらママーン。
ママンはもう俺のことなんて、どうでもいいのかもしれないママーンママーン」
「あーーーっもうっ泣くんじゃないわよっこのマザ(ry!いい?なんでケヴィン達をあんなに可愛がるかわかってる?
ママンはアンタがいない寂しさをあの子達で紛らわせてるのよ。
ケヴィンへ注ぐ愛情は元々はアンタに注がれるものなの。どうでもいいわけないでしょ。
ほらっママンの横に座って一緒に肉を食べて色々最近起こったことをじっくり話してきなさいよ。
そしたらすべて解決よっ!」
親子水入らずで語らいまくりのジュベ家。話題は尽きないらしい。
それを遠くから眺めながら、ジョニ子は満足げにうなずく。
「家族って宝物よね」
「やーねー、お肉ほとんど残ってないじゃないのよ、もう〜」
ミニチャッキー2人を抱っこしたエマ登場。雪組とユカからどうにか奪回できたらしい。
「さっきエレーネのところから自力で帰って来た子、融合済みよ。次はこの子たちね」
「アタシを労いなさいよジョニ子!・・・まあいいわ。ところで融合完了してからの手順、知ってるの?」
「あらやだ。融合済んでからまだなんかするの?」
「ふん。あんたなんにも知らないのねwww」
エマは勝ち誇るかのように反っくり返って高笑い。ジョニ子の背後に怒りのイバラがニョキニョキと伸びた。
薔薇のトゲがジョニ子の肩をもんでいたPちゃんの顔に突き刺さった。
「イタタタタタタッ」
Pチャンが耐えきれずに声を出す。
睨み合っている2人の視線が一斉にPチャンに集中した。
「アタシの可愛い後輩になにしてくれてんのよ」
「うっさいわね、元はと言えばアンタがアタシを挑発してきたのが原因じゃない」
「ふふん、あれくらいで怒るなんてまだまだお子ちゃまね〜」
ジョニ子とにらみ合いながらPチャンの顔にオキシドールを塗りたくる。
「先輩・・・もう少し優しく・・・・っていうかちゃんと見ながらやって・・
目がぁ〜目がぁぁぁぁぁぁあ」
「あれ?・・・・僕どうしてたんだろ?」
頭を振りながら起き上がるプル。どうやら気を失っていたらしい。
近くには真央とバトルも倒れていた。
「たしか・・・・あの時・・・」
低木だと思っていたあれがまさか噂の『妖怪ひとさがし』だったとは・・・
「我ながら迂闊だったな・・・」
驚いて逃げようとした矢先、恐怖の頂点に達した(?)
ライサのY字スピンに吹っ飛ばされそこから記憶が定かではない。
みんなと合流してこの話をしようか考えたが信じてくれるかどうか・・・
「う〜ん・・・・どうしたもんかな〜・・・」
本堂の前で一人考え込むプルであった。
「う〜ん、またあいつが帰ってきたら厄介だなぁ…」
そう考えながらプル周囲を見回すと本堂の扉が開いているのに気がついた。
「ここにいるよりは良いかもね」
そうと決めたら行動開始だ。近くに倒れてたバトルの頬をぺちぺち叩く。
「ジェフ、ほら早く起きてよ」「うう……あれ?ジェーニャ、僕たち一体どうなったんだ?」
まだ頭がぼんやりしてるバトルにプルは妖怪のことを説明した。
「まさか本当に妖怪なんていたとはなぁ…そういえば他のみんなは?」
「マオはまだ気を失ってるよ。エヴァンと未来は何処に行ったか解らないんだ。そこで提案なんだけど…」
「なんだい?」
「さっきの妖怪がまた戻ってくると困るし、ひとまずあの本堂に隠れるってのはどう?」
「ええ?…あそこに?」
「マオも気を失ったままだし、ここにいるよりはいいと思うけど?」
考え込むバトル。真っ暗な本堂もここと負けず劣らずいい勝負な気がする。しかし真央を放って置く訳にはいかない。
「…わかったよ。とりあえず本堂に隠れておこう」
意識のない真央を背負って本堂に入るバトル。ちょっと役得かも…と思ったのは秘密だ。
「…これも一緒に持っていっておこうかな?」
本堂入り口に残っていた他の組用のお札をプルはポケットに突っ込んだ。
ジュベんちのミニチャッキーもどうにか融合。
ほぼ以前のチャッキーと変わらない外見になっている。
「さて、これで全てのケヴィンが融合済みかしら」
ジョニ子は安堵と疲労でジュベ家のソファーにぐでーっと崩れ落ちる。
しかしその隣でエマが首をひねる。
「なんか、物足りない感じがするわー」
「なによエマ!まだ文句があるってーの!?」
そこでリッポン&Pチャンが挙手。
「このケヴィンはおとなしすぎる気がします」「失言がないのが変です」
急いでレーダーを監視。しかしそこにチャッキーの気配はない。
「警戒心が強すぎて気配を消すタイプもいるかもねアハンアハン」
「ステルス戦闘機タイプかwそりゃ厄介だなママン」
京都は古寺の本堂で落ち着いていたプルとバトル、気絶したままの真央。そこへ、
どっかん!どかん!どかん!どか(ryずざざざざざざー…
屋根を突き破りDIVA一行が落ちてきた。
「「うわああああああああああああああ」」悲鳴をあげるプルとバトル。
「ちょっと!本当にここにケヴィンがいるんでしょうね!」
「アタシの勘を信じなさいっ。あの子を子供の頃から見ていたのよ!」
周囲を見まわすがいるのはプル、バトル、真央。
「いないじゃないのよっ!!」
「うっさいわねっっ!!」エマ逆切れ。
さて、警戒心が強いかどうかは定かでないが、気が強く勇敢なミニチャッキーは
京都市街を走る美姫の腕にしっかりと抱かれていた。
本人はボディガードをしているつもり。隣を走る小塚は補佐だと思っている。
手分けして探そうとなった時、いち早く美姫にしがみついて離れなかったのだ。
「でも、ケヴィン君。絶対危ないことしちゃ駄目よ?」
三人は京都の狭い路地裏の随分奥まったところまで来ていた。
DIVA一行の中にケヴィンの姿を見つけたプル。
「あれぇ?ケヴィンいつの間に元のサイズに戻ったの?」
「・・・ほら見なさい!やっぱりここじゃないの!」勝ち誇る様子のエマ
「アンタはイチイチうるさいわね!・・・ジェーニャ、ケヴィンはどこ?!」
「え・・・?ケヴィンはそこにいるじゃない?」
「だからそうじゃなくて〜〜〜!!」
キレ気味のジョニ子に変わってPちゃんが不思議そうな顔のプルとバトルに説明する。
「・・・なるほど、あのケヴィンは分裂した一人だったのか。どうりで小さかったわけだ」
話を聞いて納得した様子のバトル。
「それで、ケヴィンはどこにいるの?」エマはバトルに尋ねた。
「ミキ達と一緒に寺の入り口で待機してたはずだよ」
「じゃあ早速行きましょう!」「あ、ちょっと待って」立ち上がりかけたジョニ子をプルが制した。
「今外に出るとちょっと厄介な事になるかもしれないよ?」
「・・・どういう意味?」訝しがるジョニ子にプルは事の次第を話した。
「はぁ?「妖怪ひとさがし」・・・何よそのふざけた名前?センスないわねぇ。アタシだったらそうねぇ・・・」
妖怪のネーミングについてあれこれアイデアをめぐらせるジョニ子。
・・・突っ込むところはそこか!とガクッとする一同だった。
「妖怪ごときで怯えてるなんてスケーターの恥!とっとといくわよ!」
しり込みするプルたちを追いたて本堂を出たDIVA一行。
「ところでエマ先輩、融合だけじゃ完成じゃないってどういう意味ですか?」
「そうよ、そこよ大事なのは」
Pチャンのもっともな問いに、エマはなんか得意顔である。
「イメチェン鉱石を身につけてるうちは安定してるけど、離せばまた分散する。そこで!その鉱石を」
「ぎゃーっ!!(ドボンッ!)」
ジョニ子が庭石につまずいて池にダイブした。海が苦手なジョニ子だが、池はどうなのか?
チャッキー問題はとりあえず後回しにして、DIVA組はジョニ子救出を優先。
「ちょっと!こんなとこに石置いたの誰よ!」
池から引き出されてずぶ濡れになりながらジョニ子が叫ぶ。
(一人で勝手に落ちたんじゃぁ)と呟くPチャン。
そんなジョニ子の姿を見てくすくす笑うバトルだったが・・・
「うわ〜!!!」
足元のロープに引っかかり、仕掛けられていた大網がかぶさり
そのまま木に吊り上げられてしまった。
「・・・・そういえば、肝だめししてたんだっけ・・・」
トラップにかかったバトルを見てプルはのんびり思い出していた。
「そんな事いってないで早く助けて〜!」
バトルの絶叫が古寺に木霊した。
自分だけでもバトルを助けねば!と99%チャッキーは木登りにチャレンジ。
だが完全体でないので、どうしても集中力がとぎれがちになる。
ずり落ちてベルトが木の枝にひっかかり、半ケツ状態になってしまった。
助けに行って自分がピンチ。しかも半ケツ。
葉陰になってて周囲からは見えないが、かなりみっともないし、苦しい。
これは恥ずかしい。大声出して助けを呼ぶわけにいかない。
”助けて!お願いだ!僕を救えるのは君しかいないんだ!”
99%チャッキーはここぞとチャキパシーを使った。
「ミキ、ごめん。僕どうしても行かなきゃ」
「ちょっとどうしたのよ。危ないわ!・・・ケヴィン!」
勇敢なミニチャッキーは、99%の自分を救うために全力で跳んだ。
行方不明者を探すべく、いくつかのグループに分かれた肝だめし組。
「…この辺りにもいねぇな。一体何処に行っちまったんだ?」
古寺の近くの路地を見て回るヤグ・ガッちゃん・ユヅル。
「リョーシャ先輩、もしかしてジェーニャ先輩達はまだお寺の中にいるんじゃ…?」
「あのお寺、墓場とかあって結構敷地が広そうでしたからね」ガッちゃんの言葉にユヅルが頷いた。
「うっかり迷い込んだ可能性もあるな…よし、一度寺に戻るぞ!」
「はい!」3人は古寺へ引き返す事にした。
620 :
スポーツ好きさん:2010/07/31(土) 23:54:31 ID:Q4yLpSoK
勇敢なミニチャッキーは物凄い勢いで本体チャッキーに激突した。
何故かというと、しっかりチャッキーを抱きしめていた美姫と、
更におまけで小塚も引きつれて4Sを飛んだから。
その勢いで罠にかかったバトルにも激突。もんどりうって、
ちょうど真下にいたPちゃんの上にみんなして落っこちた。
Pちゃん「ぐえっ…」ミニチャッキー「きゅ〜」
「ハックション!エマ!なんかよく分からないけど、ケヴィンが来たわよ!
それからジェーニャ!宇宙船のシャワー貸してっ」
宇宙船の風呂は清潔で機能的ではあるが、やや殺風景な感がある。
そこでジョニ子はバスタブにばらの花びらを浮かべ、キャンドルのほのか灯りを楽しむ。
「やはりジョニ子スレはこうじゃなくちゃね〜素敵だわ〜」
いやもうスケーターズスレなんだけど・・・
「さすが僕。本体の僕を難なく救ったぞ!」
どこかの俺様みたいなノリになってるミニチャッキーは、拳を天に突き上げた。
「わが生涯に一片の悔いなし!」
「悔いがないのはいいから、頭の上からどいて。重い。痛い」
まだPチャンの後頭部の上だった。
クリス「行方不明者を捜すっていうか、僕らが行方不明状態?」
キャシー「そうかもね。とりあえずどっか茶屋で休もう」
高橋「郵便局行っていい?歌子先生にそうめん鉢を贈りたいんだ」
クリス&キャシー「そうだ!そうめん食べよう!」
宇宙船へと戻ったヤグ、ガチ、羽生。
ヤグ「無事だったらすぐ連絡しろよ!心配するだろうが!」
プル「心配してくれなんて頼んでないよ!」
ヤグ「ガキかっ、てめぇはっっ!!」
宇宙船で待機していた未来。
未来「マオちゃん無事でよかったですぅ」
真央「ありがとう。あたしも戻る前に小さいケヴィン君抱っこしたいな」
ひょいとPちゃんの頭から飛び降り、真央の胸に落ち着く勇敢なミニチャッキー。
すかさず空いたPちゃんの頭上に七色のフラミンゴが飛び乗った。
エマ「あんたアタシのフラミンゴに何したのよ」
ランビ「僕はゼブラ柄の方が好みなんだけどねアハン」
ジュベ「はあ、ママンが恋しいなぁママン…」
リッポン「(そういえばレイチェルって小さいケヴィンを抱っこしたいとか言わないな…)」
レイチェル「何よ?」リッポン「いえ、別に…」
美姫「あ、メール。大ちゃんとリード姉弟は素麺、食べてるって。これで全員無事ね。良かった〜」
小塚「美姫ちゃん…わざと忘れているでしょ」
バトル「まだ誰かいたっけ?」
宇宙船ではミニチャッキーが本体に戻るのを嫌がってひと悶着起きていた。
「この方が身軽だからこのままがいい!融合したらまた巨大化しちゃうよ!」
「だからそうならないための方法ちゃんと聞いてあるから大丈夫なの!」
ごねるミニチャッキーを説き伏せるエマ先輩。
レイチェルはエマに声をかける。
「その元に戻る方法ってどうするの?」
「この鉱石には磁力があって、紐がなくても互いにくっついたり軽量なら体に張り付けることも可能よ。」
「それで今は紐なしで彼の首にかかっているのね。」
「そこに無理やり別の負荷をかけると磁力のバランスが崩れて分裂するらしいわ。」
「ずいぶん詳しいのね。」
「だって気軽のイメチェンできるんだもの。これぐらい勉強しておくのが常識ってものよ!」
「そうね、効果があるからって予備知識なしに試すのは怪我の元よね〜」
二人の会話を聞いていたPちゃんとリッポンはなんとなくシャワー室に目を向けていた。
「それで、一度バランスが崩れた鉱石は一定時間たつと効果が消えるから、
別の鉱石を使って磁力バランスを元に戻す必要があるの!わかった!」
ミニチャッキーに向き直り言い聞かせるようにエマは声をかけた。が・・・・
「あっかんべ〜」
大きく舌を出したミニチャッキーは宇宙船からクワドで飛び出してしまった。
「こら〜!!!」
外に飛び出した一行は再び京都探索をする羽目になったのだ・・・
と、思われたが、ミニチャッキーの足を本体チャッキーがぱしっとキャッチ。
「まあ、空気読んで。(最後のチャッキーを融合)エマ先輩、別の鉱石ください」
「はい、これよ」
程なくして、チャッキーは元に戻ったようだ。
Pちゃん「ケヴィン…気分は?」
チャッキー「ん、大丈夫そう。…あれ?レイチェル、太っ…ぐはっ」
リッポン「元に戻って良かったよ^^」
チャッキーも元に戻ってこれで一件落着…とはいかなかった。
「妖怪ひとさがし」の襲撃後、未だにライサの行方が掴めないままだ。
ジョニ子「ホントにエヴァンったら人騒がせねぇ。どこ行ったのかしら?」
ヤグ「お前達と一緒だったんだろ?どっちに逃げたとか解らないのか?」
バトル「う〜ん…僕達はエヴァンのスピンで吹っ飛ばされて気絶してたし…」
末来「あたしも夢中で逃げてたから、よく解らないですぅ…」
真央「もしかして、ライサさん『妖怪ひとさがし』に捕まったりしてないですよね…?」
プル「みんなでこの辺を探してもいないとなると…もう一度お寺に行くしかないね」
正直寺に戻るのは気が進まないが、やはり仲間のことは心配だ。うなずく一同。
「それに、あの妖怪のことも…ちょっと気になることがあるんだよね」
手にした先程の木の実をプルは見つめた。
「あれ?アダム、ピピネラは?」
チャッキーが巻き毛に手を突っ込んでゴソゴソ探すがピピネラは見つからない。
「おかしいなあ、さっきまでここにいたのに」
「フラミンゴと一緒かも」
Pちゃんの頭の上で眠っているフラミンゴの周辺を探すがやはり見当たらない。
「さっきまでいたってそれ、いつのことだよ」
「ジョニ子姐さんが池に落ちた時。音にびっくりして鳴いたのまでは覚えてるんだけどなあ」
「そのあとは?」
「君が騒いだおかげでピピネラまで気が回らなかったんだよ。
もしかしたらまだあそこにいるのかも」
そんなわけで再び京都探索に乗り出したスケーターズ。
ただし、夜も更けてきたこともあり女性陣は宇宙船で待機する事に。
美姫「あ〜あ、捜索行きたかったな〜。」
未来「え〜!お化けに会うかもしれないのに〜。」
レイチェル「あら、私も参加したかった派よ。」
真央「すご〜い。私絶対無理無理」
キャシー「とにかく待ちましょ。見つかったら連絡くれるようだから。」
美姫「じゃあ、連絡きたらみんなで押しかけるか!」
一同「賛成」
チーム分けは以下のとおりになった
ジョニ子・リッポン・ジュベ・ランビ
エマ・Pちゃん・チャッキー
ヤグ・プル・ガチ君
高橋・小塚・羽生・クリス
ライサと妖怪の運命はいかに!
グループ分けが出来て次々と出発していくスケーター達。
「待って待って〜!僕を忘れてるよ〜!!」
組み分けの際に大部屋にいなくてうっかり忘れられたバトルが
宇宙船の奥から慌てて走ってきた。
ひとまず出発しようとしてたプル一行に加わる事に。
「全くどこ行ってたんだ?もうみんな出発したぞ」
「ゴメンゴメン、何か使えそうなものないかなって思って探してたんだ」
ヤグに謝るバトルのリュックにはお菓子以外にも何か詰まっているようだ。
「それじゃあ、ひとまずさっきのお寺に行ってみるよ」
プルに促され改めてライサと妖怪探索に出発する一行だった。
長い両手足をどうにか折り曲げ、朽ちかけた物置に身を潜めたライサ。
「ああもう、みんなどこに行ったんだ?こんな狭くてジメジメしたところは滅入るぜ」
そこに破れ屋根から七色のカナリアが舞い降りた。美しい声で鳴き始める。
「おいっ、妖怪が来たらどうするんだっ、黙れ黙れ」
押し殺した声で注意するも、カナリアには通じない。
―――ズルッ、ズルッ、と重く引きずるような音が近づいてきた。
「…… み ぃ つ け た ……」
「そもそもケヴィンが分裂したのは・・・(中略)・・・というわけよ」
レイチェルの説明を聞き、他女子勢は細かい事情まで把握した。
「てっきり妖怪のせいかと思ってたわ」
「よかったねー、元に戻って」
「でもちっちゃいのもかわいかったですぅ。五つ子見たかったですぅ」
「そのネックレス、レイチェルがプレゼントされたものでしょ?返してもらわなくていいの?」
美姫の質問に、レイチェルはしばし考え込み、やがて答えた。
「エマには悪いけど、あんな危険なアクセサリーは今の私に使いこなせやしないわ」
「さて待ってる間は暇だし……ここって確かシアタールームがあったわよね。
みんなでDVDでも見ましょうか。私もまだ途中までしか見てないの」
レイチェルの言葉に全員うなずき、お菓子を持ってシアタールームに向かっていった。
ライサ探索に乗り気で出発したジョニ子組in清水寺
「い〜い!絶対に一番で見つけるのよ!エマになんて負けないんだから!」
「なんでそんなにエマにこだわってるの?アハン」
「このスレのDIVAはあたし一人だから!」
「分かりヤス・・・」
「もし、他のチームに出し抜かれたらただじゃ置かないわよ!わかったわね!」
「早く家に帰りたいよ・・・ママン」
一方のエマ組in金閣寺
「何で金閣寺なんですか?」
「決まってるじゃない、このゴールドの輝きがあたしのスケパシーに必要だからよ。」
「へっ?」
「要は美しいものがあたしのモチベーション上げるのよ。覚えておきなさい。」
「は、はい・・・・(よくわかんないけど)」「(ジョニーとちょっと似てるけど、痛くないだけましかな?)」
ヤグプル組in古寺
「おい!ホントに妖怪の正体があの木なんだろうな?」
「この木の実が彼の言っていた木の実と同じならね。」
「と、いうことはグランドキャニオンの木がここに来たって事?」
「いや、本能寺の木の事もあるし他に子孫がいてもおかしくないんじゃない?」
『うわぁあああ!!!!!!』
「あの悲鳴!!間違いなくライサだ!!」
「どうやらビンゴみたいだね。」
「よし!行くぜ!」
日本組in京都タワー
「・・・・・なんで夜なのに高いとこ上る必要があるんですか?」
「ここなら京都市街がほぼ一望できるし、街中よりもスケパシーが届きそうな気がするし。」
「それ根拠あるの?タカヒコ」
「携帯だって障害物ないところのがつながるでしょ?」
「おいおい・・・」
「あ!スケパシー感知!・・・これはさっき肝試ししてた方角だ!」
「確かプルシェンコさんたちが行くって言ってましたね。追いかけますか?」
「いや、俺たちはもう少し様子を見よう。」
「大ちゃん?」
「今彼らが追いかけてるんだ。今は加勢するより情報を把握して各チームに伝えていけばいいんじゃないかな?
そして、助けが必要になったら即動く!」
「それはいえてるね。」
「じゃあ、ライサたちを見失うことがないようにもう少しここにいるか・・・・夜景もきれいだし」
「俺が何したっていうんだ!…………何もしてない。断じて何もしてないぞ。
恋人に木の実を食わせようとして、それが傷んでいたけども、制裁は受けた。
なぜ妖怪に襲われるような目に・・・ああ神様、来世もスケートができますように!」
ライサは半生を走馬燈のように振り返り、早くも来世に思いをはせていた。
「みぃつけた・・・なんで隠れますのん?つれないなぁ、ライサはん」
「……え?」
シアタールームは阿鼻叫喚―――というような事にはならず、各人それなりな反応を示していた。
キャシーは苦笑、美姫は爆笑、未来はアタフタ。
真央は「チーズフォンデュが熱いから、みんな脱いでるの?食べるのやめれば?」ともっともな提案をした。
「エヴァン待ってろー!!俺様が今助けてやるからなぁっ」
「見つけたのは僕だけどね」
「もうどっちでもいいっすよ。早く行きましょう!早く!」
「あらやだこのステージ素敵。ちょっと舞うわよ、アタシ」
「ジョニ子姐さん、リンクじゃないし控えましょうよ」
「ほっとけほっとけアハンアハン」
「素敵な眺めだ。写メってママンに送ろう」
「なんとかして金閣寺に住む方法ないかしら」「ないっす」×2
「夜景見ながらの素麺はうまいなー」「そうかなあ」×3
「妖怪よ、なぜ俺の名を知っている?」
「なぜも何も、ジェーニャはんもジェフはんも話しかけてはりましたやん」
「もしかして貴様、本能寺に植え替えた若木か?」
ライサの悲鳴が聞こえた方角へ急ぐ一行。
「あ!…あそこにライサチェックさんが!!」
ガッちゃんの指し示す先には、頭の上に七色カナリヤを乗せてへたり込むライサがいた。
「エヴァン!大丈夫かい?!」「怪我はない?」ライサに駆け寄るプルとバトル。
「あ…ああ…大丈夫だ……」力なく答えるライサ。
「やい!「妖怪ひとさがし」一体何しに出てきた!!」
その前にたちはだかる巨木を睨みつけるヤグ。一瞬緊張が漂うが次の瞬間巨木から意外な声が聞こえた。
「…どないしはったんですかリョーシャはん?えらい怖い顔して?」
「はぁ…?」意表を疲れて拍子抜けするヤグ。
「この木も僕達を知ってるらしいよ」「やっぱりあの木の子孫なのか?」木を見据えるプルとバトル。
「…いや、この木なんだが実は」
ライサが言いかけたのを「妖怪ひとさがし」は遮って言った。
「嫌やわぁ、やっと会えたのにそんなつれない事言うて…皆さんうちの姿をよう見ておくれやす。」
警戒しながら妖怪の全身をじっくり見つめる一行。
さっきは突然の事で驚いてよく見ていなかったが、改めて見てみるとなんだかどこかで見たような気がするのだが…?
「あ!もしかして君って…」その正体に思いついたプルとバトル。
「やっと解ってくれはりましたん?皆さんやっとお会いできましたなぁ…」
嬉しそうに「妖怪ひとさがし」――本能寺に植えた若木は答えた。
「夜の清水寺もなかなかよかったわ。今度はあそこでアイスショー開催もいいわね。
さ〜って次の観光は…っと」
「ちょっ…出てきた目的は観光じゃなくて…」
「僕は舞妓さんに逢いたいなあアハンアハン。ほら、ここ花見小路通りを歩いてみようよ」
「舞妓体験もあるみたいだな。今度ママンを連れてこようかな」
「2人とも余計なこと言わないでください。エヴァン探しを…」
「え?舞妓体験?どこよそれ、見せなさいよ」
「残念ながらほとんど夕方までみたいだよアハン」
「そうそう、夕方まで!だからこれからエヴァンを」
「ママン、ジョニーならわざわざお店に行かなくても自分でメイクをすれば済むだろ」
「そこっ余計なこと言わない」
「あっら〜いいわね〜じゃあそこのカフェに入ってメイク開始よ!」
「僕の話を聞いてくださ〜〜〜〜〜〜〜〜い!」
「そういえば舞妓なら初代スレでもう経験済みじゃなかった?
あの時はジョニーのスケ力が無くなって大変だったよねアハンアハン」
「アタシの美貌のなせるわざか、舞妓時代はそりゃあもう大人気だったのよねえ」
うっとりと初代スレに思いを馳せるジョニ子。
「アダム聞きたいでしょ。あの時のアタシはねぇ」
「いいえ、過去ログを自分で読むので結構です」
「あら〜つれないわねえ」
これ以上3人の言うことを聞いてたら収まりがつかない。
残り80KBも切ったしここは強気でいかなきゃ、僕が仕切らなきゃ。
「じゃあね、エヴァンが行きそうな金閣寺に行きましょうよ。
あのゴールドの輝きがアタシ・・・じゃなくてエヴァンを呼び寄せたに違いないわ」
「・・・・・ジョニ子姐さんが行きたいだけですよね」
なんでこのチームに入れられたんだろう・・・・・数行前の決意はどこへやら。
仕切るのは無理と改めて気づいたリッポンのため息と共にDIVA組は金閣寺へ飛んだ。
「すっかり大きくなって・・・貫禄が出たんじゃない?」
「長生きしたおかげで、恩人の皆さんに会えましたしなあ」
バトルがリュックに詰めて持ってきたのは提灯だった。
「宵山見物の時に買っておいたんだ。夜道が暗すぎたら使おうと思って持ってきた」
おどろおどろしく思えた古寺の境内も、提灯を多数配置する事で和やかな風情になる。
ジョニ子チームが降り立った金閣寺では、エマが花魁道中をしていた。
「やだずるいなんでエマばっかり〜!」
「ふん、あんた初代スレで舞妓やったでしょ?大人の色気の花魁はアタシじゃなきゃ無理ね」
「デカくてケバくて、花魁というより山車みたいじゃないのよっ」
「なんですって〜!もういっぺん言ってごらん!」
7月の実があと1つ残っていた事をリッポンは思い出す。
「ケヴィン、この場の収拾つけてもらっていいかい?」「了解」
実を食べて怪力化したチャッキーは、騒々しい先輩二人を引っ担いで古寺へと飛んだ。
「ガチ君からのスケパシー!ライサ見つかったって!」
「じゃあ、俺たち晴れてお役御免か。」
「いや・・・・うるさい二人が転送されてきたから助けてって・・・・」
「結局これですか!」
「仕方ない・・・最後のパーティーには参加しますか・・・」
「おお!!」
4人はタワーの屋上から華麗なジャンプを決めて古寺へ向かった。
宇宙船で待機中の女子組。
美姫「はー、面白かった!レイチェルもうないの?」
キャシー「この『いけないティラピス〜』は体位の参考になるわね。ジョニーの次に借りようかしら」
レイチェル「待って、パトリックが借りたのを確かこの辺りに隠していて…あった。『人妻隠れ宿』ですって」
美姫「うわぁ、人妻かぁ。あの子やっぱり年上が好きなのね」
キャシー「あら、人妻は設定命でしょ?年上好きなら熟女じゃなくて」
レイチェル「19歳で人妻好きって歪んでないかしら。友人として一言、言ってあげるべきかしら…」
DVD鑑賞も忘れてあれこれPちゃんの精神分析を始める三人。
真央と未来は『全裸シリーズ』途中から飽きてしまいぴよぴよと眠っていた。
おにゃのこがいないとパーティが始まらないよ〜アハンアハン。
「清水寺からの景色もいいけど見てて安らぐのはやっぱり金閣寺のゴールドよね。
もっとじっくり見たかったわ」
金閣寺にちょっとだけしかいられなかったのを残念がるジョニー。
「ジョニ子姐さんもゴールド好きですよね」
Pちゃんの言葉に頭上のフラミンゴも同意するように羽をバタバタ。
「あの美しさがアタシを更に引き立ててくれるのよ。
金の輝きがアタシのスケ力を高めてくれてるわ」
「誰かさんと全く同じこと言ってるよ」
「やっぱり似た者同士だよね」
チャッキーとPちゃんは頷き合う。
「あ〜金閣寺に住みたいわ〜」
「残念ながらその台詞もすでに使われたあとです」
「フンッ。エマになんか負けてられないわ。アタシも着替えてやるっっ」
女子組が浴衣に着替えて登場。古寺の一角がぐっと華やかになる。
「わぁかわいい・・・あれ?ちょっと君たち、あの」
Pチャンの目が泳いだ。女子全員の頬に黒マジックで「妻人」と書いてあったからだ。
「ねえ、和服が好きなの?年上が好きなの?既婚女性が好きなの?」
レイチェル(彼女だけ「人妻」ではなく「将女大」と書いてある)に矢継ぎ早に訊かれ、Pチャンは思わず
「全部」と答えてしまった。
ジョニ子は女子組に負けじと舞妓衣装(初代スレでお世話になった置屋のお母さんが協力)に着替え、エマとにらみ合い。
「ライバルが一気に増えちまったじゃないのよ!!!」「アタシのせいじゃないわよ!!!」
浴衣姿で華やかな女性陣。
たくさん吊るされた提灯も手伝って一気にお祭りのような雰囲気に包まれる古寺。
「良いなぁ…俺達も祭りっぽい雰囲気味わいたいなぁ…」ちょっと羨ましそうな大輔。
「そう言うと思って、ちゃんとみんなのも持ってきたわよ!」
美姫がカラフルな法被&鉢巻をすかさず差し出した。早速袖を通すスケーター達。
「僕この黄色いのが良いなぁ」とプル。
宇宙船から持ち出したカラオケセットから「君の瞳に恋してる」が流れ出して、
なんだか某アイスショーのような雰囲気になってきた。
その横で花魁vs舞妓姿のエマとジョニ子のいがみ合いは続いていた。
「あ゙ーーーー危ないーーーー避けろーーーーーーーー」
頭上から聞き覚えのある声がする。そして激突音。
降ってきたのはスウェーデン組にチェコ組にロシア組にユカさんにアボに・・・と
書ききれないほどいるお馴染みの面々。そして…
「はーい、皆様ご無沙汰しております」
降り立ったスケーター達の間から現れたのはCAPCOW社の広報担当だった。
「皆様方がですね、こちらで大宴会を開かれてるとバトルさんのツイッターから知りましてですね、
こちらに参上した次第でございます」
「なによー、もうCMとかなんだとか面倒だからアタシやらないわよ」
ジョニ子の言葉に全員がうなづいた。
「はい、もちろんです。皆様方にご面倒はおかけいたしません。大宴会にこちらの皆様にも加わっていただいて
それをわたくしどもが勝手に撮影させていただこうかな、と思いまして…」
「それをCMにでも使うつもりなのかしら?」
「言いにくい話ですがスケVの発売は現在ちょっと暗礁に乗り上げておりまして…
が、近い将来絶対に発売する予定です。それで、この大宴会の様子をですね、
特典DVDとしてつけようかな、と……そしてまあいずれCMやなんかでも使っちゃおうかな、と」
「結局アンタ達もアタシ達をまとめるのが面倒になっただけでしょ。
お手軽に済まそうとしちゃってー。
でも、まあいいわ。アタシ達はいつも通りに楽しめばいいわけでしょ。好きにしなさいよ。ね、みんな」
古寺をバックに、ちょっと薄気味悪い風景だが盛大に宴会が始まった。
「しかしみなはんには沢山の仲間がいていいですねぇ〜」
宴会ばやしを聞きながら若木はシミジミと呟く。その言葉にライサが反応した。
「お前には仲間はいないのか?」
「今では皆はんのおかげで沢山の子孫がこの世界の何箇所かで元気で暮らしておりヤス。
でも・・・・私が生まれたころは、この地球のあちこちに仲間がいはったんですよ。」
「あなたが生まれたころ・・・もしかして古代期のこと?」
「いくらうちでもそこまで長生きはできまへんよ。皆さんの言う古代期は私の母かその上の世代ですねん。」
レイチェルの問いに複雑に答える。
「うちはただ・・・うちをここまで育ててくれたみなはんにお礼が言いたかった・・・それだけです・・・」
「皆さんお楽しみのとこ失礼しまっさ〜!」
古寺の木立の影から忽然と現れたのは、一本の大木。
「あなた…グランドキャニオンの…?」
「え?あの木がそうなのかい?…そういえば最初に見た木はこんな感じだったかも。」
レイチェルの言葉を聞いてふと思い出すバトル。
「いやいやお邪魔してすんまへんなぁ…ああ、やっぱりここにいてはったんですか!」
若木の前にやってくるグランドキャニオンの木。
「お初にお目にかかります!ワテはグランドキャニオン辺りで商売しとるモンですが、ここにご先祖様の気配を感じて慌てて跳んできたんですわ!」
「まあ…そうゆうたら子孫の中に「アメリカで一旗あげるんや!」ゆうて旅に出たもんがおると聞いとったけど、あんたやったんかいな!」
「へぇ、おかげさまで商売もぼちぼち行っとります…ご先祖様、お会いできて嬉しいですわ」
「うちも久しぶりに仲間に会えて嬉しいわぁ…」
「ねぇ、せっかくだから君も一緒に楽しんでいかない?ご先祖様もいるんだしゆっくり話もしたいでしょ?」
「え?よろしいんでっか?」
「ジェーニャはん、すんまへんなぁ気ぃ遣わせて」
すっかり恐縮する謎の木一族だった。
広報担当の出現でエマとジョニ子のにらみ合いは一段落していた。
「あら?喋る木が2本に増えてるわ」
「ああ、さっき来たみたいですよ。ご先祖様の気配がどうとかって」
「ふ〜ん片方はアタシ達がお世話になった子よね…………ケヴィン、ちょっと」
木を見て考え込んだかと思うとジョニ子はチャッキーの手を引っ張り耳打ちする。
「ふんふん、なるほど。そうですよね」
「あの子もジェフやジェーニャ達とお友達だったみたいだし、呼んであげたいじゃない」
「でもどうして僕なんですか?」
「アンタの怪力が必要なのよ。ここは暑いでしょ。あの子が今、そのまま来たら死んじゃうわ」
「ということは……丸ごと?」
「フフフ、やれるものならね。まあそこまではいかなくてもエスキモーハウス一帯を一気に……ね」
2人でこそこそ話すジョニ子とチャッキーを見てPちゃんはちょっと寂しそう。
寂しそうなPちゃんを見て頭上のフラミンゴが翼でPちゃんの頬を撫でる。
フラミンゴがすっかりPちゃんに懐いたのを見てランビもまた寂しそうにしていた。
「Pちゃん!」
チャッキーがPちゃんの側へと駆けてくる。
「僕、これからジョニーさんのお使いに行くんだけど、Pちゃん、付き合ってよ」
「はあ?な、何だよ、子供じゃあるまいし。お前、一人でお使いも出来ないのか?」
「そうそう。僕はまだ子供だから一人でお使いも出来ないんだ。お願い」
「しょ、しょうがないなぁ。本当は行きたくないけど、そこまで言うんなら付き合ってやってもいいぞ。
本当は行きたくないんだけどなぁ」
「うんうん。ありがとう。(ニコニコ)そうだ!アダムも誘おう。…っと、その前に」
チャッキーはPちゃんの頭からひょいとフラミンゴを抱えあげる。
「ランビエールさん、この子、預かってて下さいね」
「お使い?三人で?いいよ。行こう!」
「あなた達、男三人で気持悪いわね」
「ごめんね、レイチェル。アダムをちょっと借りるよ」
「……何、言ってるのよ」
宴会の最中、地道に下働きをしているのはガッちゃん。
「なにかテーブルになるものはないかな」
ライサが隠れていた物置の中から、円テーブルのようなものを発掘。
「テーブルじゃないや!太鼓だ!」
傍にバチも落ちていたので叩いてみる。ドドン!ドドン!カラカッカ、ドドンドドン!!
「はぁ〜♪滑って転んで立ち上がる〜♪我らスケーター♪さのよいよい」
夏の夜・野外・提灯・浴衣&半被、とくれば盆踊り。とおおざっぱな日本文化解釈をしている
クリスが、適当な民謡?をおもむろに歌い出した。
隣ではキャシーがこれまた適当に踊っている。
こうしちゃいられない!と日本勢が盆踊り?に加わった。
いつのまにか円の中心になってしまったガッちゃんはうろたえたが、場の空気的に
太鼓担当をやめるわけにもいかず、開き直ってリズムを刻み続ける。
「パトリック、いろいろ大変だったよな。ありがとう。きっとジョニ子姐さんたちも感謝してる」
チャッキーのこの一言で、Pチャンは今までの苦労がだいぶ報われた気がした。
リッポンも話しかけてくる。
「女の子たちのほっぺたのアレ、気にするなよ?シャレでやってるんだろうからさ」
さすがにちょっと凹んだ。彼女たちも悪気があってやってるわけではないんだろうけども。
たぶんサービスのつもりだ。だから怒るに怒れない。なおさらたちが悪い。
「僕が借りたDVD、見終わったら貸してやるよ!『コスプレ学園:GO!GO!チアガール』ってやつ」
「そうだ、僕のも貸すよ!『ナンパスペシャル:マジックミラー号ピレネー山脈を征く!』ってやつ」
「どっちもあまりそそらないなあ」
三人、顔を見合わせて爆笑する。
北極ジョニ子ハウスに着くと、テディくん(仮名)が特製北極シャーベットをふるまってくれた。
「ガウッ(空見て!珍しいよこの時期のオーロラって)」
「すごいな。来てよかった」
3人と1匹、シャーベットでささやかに乾杯。
太鼓とスケーター音頭(?)の歌声が響く古寺周辺。
住民A「おい、あのお寺さんで急に提灯ついてなんや音頭が流れとるで」
住民B「盆踊りはまだ再来週やのにねぇ?何ですやろ?」
住民C「なんやさっきから外人さんが仰山集まってはるで…『日本文化体験ツアー』とかやろか?」
一足早い盆踊り大会(?)に首をかしげる近所の住民の皆さんだった。
「おまたせ〜!!」
巨大氷河に乗ったジョニ子ハウスとともにチャッキーたちが帰還。
ジョニ子ハウスからテディ君(仮名)が顔を出す。
「テディ〜!!」
思わぬ再会にバトルがテディ君(仮名)に飛びつく。
「これだけ氷河が大きいから一晩は溶けずにすむね。」
「折角だからこの氷河を池に浮かべてブリザードで凍らせれば即席リンクができるけどやる?」
「いいね!」
かくして小さいながらできた即席リンクで恒例のアイスショーも始まった。
即席リンクで始まったアイスショーで次々と華麗な技を見せるスケーターズ。
そこへ突然開いた時空の穴からきらきら光る未来的衣装を着たスケーターが現れた。
「ご先祖様達、先日はお騒がせしました〜♪」
真央「あ、このあいだの未来のスケーターさん達だわ!」
小塚「今度は何の用ですか?」
未来人A「皆さんに出演して頂いた映画がお蔭様で大盛況でして、クリプトン星復興の為の収益が大幅UPしました〜♪」
未来人B「というわけでご先祖様達にお礼の品をお持ちしました〜さ、さ、皆さんどうぞ〜♪」
薄い金属製のカードのような物を配っていく未来人達。
ヤグ「・・・何だこりゃ?『クリプトン星復興記念フィギュア選手権 特別ご招待状』?」
バトル「でもこれ日付が書いてないよ?」
未来人A「・・・実は復興するまでにはまだまだ道のりがあるのです」
未来人B「けれどいつか必ず実行して見せます。その時にチケットに日付が現れるようになってます〜♪」
プル「へぇ・・・じゃあこのチケットに日付が出たら、宇宙船で見に行くよ…君達のくれた時空飛行装置でね」
未来人A「ハイ〜♪是非皆さんのお越しをお待ちしております〜♪」
未来人B「ああ、ご先祖様達も滑っているところだったんですね…私達も見ていて良いですか〜♪」
未来のスケーターの頼みに現在のスケーターズは笑って頷いた。
アイスショーを見ながらテディ君(仮名)が振舞ってくれた南極シャーベットを堪能する一同。
小塚「こんなに大騒ぎしちゃ近所に迷惑だから、明日の朝にでも残った氷を近所に配ろうか?」
美姫「そうね。ちょっとどころかかなりハメ外しちゃったし。」
真央「でもこのシャーベット、どこかで食べたような味がする・・・」
未来「う〜ん・・・思い出せない・・・・」
ジョニ子「あ〜あ、それにしてもさっきの金閣寺は素敵だったわねぇ…何とか住む方法無いかしら?」
Pちゃん「ジョニ子姐さんまだ諦めてないんですか?」
エマ「あら、あのゴールドの輝きはアタシにこそ相応しいのよ!」
ジョニ子「なんですってぇ〜?!」
再び張り合うエマとジョニ子。あわや第二次にらみ合い大戦勃発か?
バトル「まあまあ二人ともこれでも見て落ち着きなよ」
そう言いながら携帯を開いて見せたのは安土城天守閣の黄金部屋の写真(
>>287参照)
ジョニ子「まぁ…!金閣寺も素敵だけどこの部屋もすごいじゃないの?!」
エマ「ジェフ!この部屋はどこにあるのよ?!今すぐ教えなさいよっ!!」
バトル「え〜っと…ちょっと…いや、かなり遠い所なんだよね…」
エマとジョニ子に迫られ焦るバトル。写真を見せたのは返って薮蛇だったようだ。
ちなみに現代の安土にも原寸大に再現された天守部分が展示されてる場所があるぞ。
「アタシ、トロフィーワイフになったら黄金部屋に住むの*・゜゜・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*」
「寝言は寝てからいいなさいよw あんたみたいな跳ねっ返り、誰がもらってくれるもんですか」
「エマみたいに年増になると、老い先が見えて夢みる事も忘れてしまうの?かわいそー」
「年増じゃないわよ!円熟味を増しただけ!」
「はいはいwで、このスレ残り61KBですって。締めにはまだ早いかしらね」
「あんたのしょーもない歌手デビューを待って、その曲をエンドロールに使ってやろうかと思ったけど間に合わなそうだわw」
「しょーもなくないわよ!Dirty Loveは名曲よ!」
舞妓と花魁がリンクの上で薔薇やフラミンゴを飛ばしながら、つかみ合いの喧嘩を展開する。
「衝撃映像だね。子供が見たらひきつけ起こすレベル」
プルはいつの間にか出前してもらった寿司を食べながら高みの見物。
寿司桶からヤグが穴子寿司だけ選って奪っていく。
古寺の門付近では、一騒動起こっていた。
「マオーっ、お父ちゃんが来……放せエルヴィス、何で止めるんやー!」
羽交い締めにされて暴れるロロ。だが、空手の達人にして元クワドキング相手では分が悪かった。
「こらえろフィリップ、ここで暴走したらまた接近禁止令だぞ!」
親友だからこそ、これしきで手を緩めるストイコではない。なおも抵抗するロロに奥の手を繰り出す。
「や、やめ、痛い痛い痛いって! 関節技は勘弁してや!」
タラソワから「しばらく真央との接触を禁じます」とのお達しを受けたのは
CAPCOW社からの手紙がスケーター達に届く(>4)少し前。
何かといえば真央の所に飛んでくるロロの行動は、少々目に余ると
彼女は思っていたらしい。「過干渉は真央のためになりません」と、
ついにロロに言い渡した。期限は、今度のスレ打ち上げ会まで。
じりじりしながら待っていたロロが、ストイコの家に上がり込んで愚痴っている所へ
ようやく京都からの知らせが届き、二人して飛んできたのだが……
ともあれ数分後、おとなしくなった(というかぐったりした)ロロを連れ、ストイコは皆と合流した。
「そういや、8月になったから、また実の効果が変わるんやったな。」
「あら、貴方は毎月実をならすことができるの?うちは初夏から晩夏にかけてやけど?」
「ええ、わては毎月実が生る環境で稼がせてもらってます。
世界中あちこちめぐってますが今はグランドキャニオンさんのところが最適なんですわ。」
ご先祖の木にグランドキャニオンの木は説明した。
「もっとも3年に一度休眠させてもろってます。その間はアフリカでマッタリしてますねん。」
二人、ならぬ二本の木の会話に興味を抱いたのはレイチェル。
「ご先祖さんは今はどちらにいらっしゃるの?」
「いま、日本のとある方の家の庭にお世話になっております。
今の一家に迷惑がかかるといかんので詳しい場所は言えませんけど、
とてもよい一族なんですわ。普段は一族の方とも口を聞くことはまれなので、
今日はもうしゃべり疲れましたわ。」
古寺のお祭りも深夜0時を過ぎてそろそろお開きになろうとしていた。
宇宙船に戻って床についてもモヤモヤが晴れないジョニ子。
「まだ60kb残ってるじゃない・・・・こうなったら思いっきり京都を満喫してやるわ!」
DIVAの野望は収まらない!
「モヤモヤなんて言ってるのアンタだけよ。アタシはイメチェン鉱石の採掘再開するから。じゃあね!」
エマは艶やかな桃色のつむじ風となり、消えた。
「エアロが夏風邪ひいちゃったってメールきた!大変。帰らなきゃ」
真央も帰宅。
宇宙船内では祭りを満喫して早々に寝入ったスケーターもいるが、
まだまだ騒ぎ足りない面々は大部屋で2次会に突入していた。
カラオケセットから曲が流れ出し、「スナック宇宙船」再び開店。
世界に響け!歌パシー!!
プル・ジョニ子・ランビ「ボェーーーーー!」
初めてのボエーに恐れ戦くテディくん(仮名)
「ガウッガウッ」
悲鳴をあげながら宇宙船内で暴れはじめた。
翌朝、清清しい目覚めの織田家。
「あら、夕べ出かけてた守り木はん帰ってきたわ。」
何処かへ放浪していた織田家の木は元気な姿で織田家の庭に鎮座していた。
いつもより艶やかで元気そうなのは気のせいだろうか?
庭の木を見て信成の母は思ったのであった。
テディくん(仮名)を落ち着かせようと
七色のカナリアが歌い始める。
ジョニ子達のボエーとテディくん(仮名)の暴走でスナック宇宙船は営業を中断。
カナリアのピピネラの歌声で深い眠りについた・・・
そして翌朝
昨晩、早々床に就いた美姫・未来・高橋・小塚の手により、
ジョニ子ハウスの氷が昨晩の祭りのお詫びとして近所に配られた。
「やっと配り終わったわ。」
「皆さん優しい方でよかったですね。」
「大ちゃんがサインがんばってくれたから!」
「ペンだこ出来たけどね・・・」
4人が宇宙船に戻ると既に朝食の準備が整っていた。
「たまにはこんな平和な朝もいいよね!」
まだ飲みすぎで熟睡するスケーターもいたが、
美姫たちはおいしい朝食を堪能した。
朝食を終えて静かな朝を満喫する4人。
そこへガッちゃんが箱を抱えてやってきた。箱の中にはたくさんの木の実が。
「アーチャ君、どうしたのこれ?」箱を覗き込む一同。
「昨日の後片付けをしようと思ってお寺に行ったらこれが置いてあったんです」
「あの木が置いていったのかなぁ・・・あ、ここに何か書いてますよ?」
未来は木の実と一緒に入ってた葉っぱに何か書かれているのを見つけた。
「これはみんなで調べたほうが良いわね」
美姫の言葉に頷く一同。
「僕、ジェーニャ先輩達を起こしてきます!」
「俺達は他の部屋を見に行くよ」
「じゃあ、私達は女子部屋へ行ってくるわ」
5人はスケーター達を集合させる為に各所へ散らばった。
夕べははしゃぎ過ぎて昼近くまで熟睡したジョニ子たち。
「さあ!京都の休日を満喫するわ!」
ジョニ子はお供にチャッキー・pちゃんを引き連れ京都観光に出発した。
>>107 ごめん、まだ本スレ
>>669のネタの回収が残ってたw
綺麗にまとめて終われるか心配でつい先走った。
「それにしても暑いわね…また、のぼせそう…orz」とジョニ子。
そこへ通りすがりのコストナーさんと荒川姐さんがコンビニから出てきてやってきた。
「アイスの実だよ!やっと手に入れる事が出来たよ!美味しいよ!お裾分けだよ!
ケヴィン、元に戻れて良かったね!!」
「こっちは白くまアイスよ。仲良く食べてね」
差し入れのアイスを鴨川沿いに座りしゃくしゃく食す三人。
「はー、生き返る〜」
「まあ、美味しいけどさ」
「男三人で鴨川沿いって浮いてね?」
「銀閣寺が銀色じゃないわっ!裏切られたわ・・・傷ついたわ、アタシ」
よよと泣き崩れるジョニ子。と、背後から忍び寄る影が―――
「人生、そううまい事ばかりやないですよ」
「あら、ノブナリじゃないの」
「僕、いっしょうけんめい家事手伝ってるのに、嫁はんに負担ばかりかけてしもて・・・」
「悩みがあるのね。なんでも話してちょうだい」
ジョニ子はケロリと泣きやみ、美○さんモードに突入する。
小一時間ほど信成の話につきあい、掃除のコツなど教えて励ます。
「水道の蛇口はきちんと閉めるのよ!奥さんによろしくね〜」
脇を締めたキュートな両手振りで別れを告げ、ジョニ子は銀閣寺を後にした。
8月の実の効果はまだ不明。
「傷が早く治るとかならパリスに送ってあげるのに。親知らず抜糸痕、大丈夫かしら」
実を前に考える一同。
「食べないまま腐らせちゃうのはやっぱりもったいないよね。誰が食べる?」
「でも誰が『毒味』をするんだよ。お菓子ならいざしらず僕は絶対に嫌だよ」
「お約束のじゃんけんで決めようかアハン」
「ママン(←『ノン』の意味らしい)。もっと公平なやり方はないかな」
お互いに遠回しに譲り合っているベテラン組。女子組は何が起こるかわからない実に手を出す気はないようだ。
ヤグはカラオケに夢中で、ライサはそれに付き合わされているためこの場にはいない。
「駄目だわ、携帯も通じないわね。移動中かしら」
レイチェルが名刺を見ながら木の携帯にかけているが
何度掛けても即留守だった。
「身体には害はないんですよね、僕食べようかな」
前回怪力になったガっちゃんが意外と乗り気だ。一緒にどう?とリッポンの方を見たがさりげなく目をそらされる。
「どないしたんや?みんなで小難しい顔して?」
謎の実を前にする一同のところにロロとストイコがやってきた。
「いや実は…」バトルは二人にこれまでの経緯を説明した。
「なんや、結局毒味するやつがおらんゆう事かいな?…まったくおまえらは根性無しやなぁ」
つかつかと箱に近づくと、謎の実を手にするロロ。
「…もしかして毒味するんですか?!」驚く一同。
「当たり前や、ここはひとつ男らしいとこ見せなあかんやろ!なぁ、エルヴィス!」
「…そう言いながら、なぜ俺にその実を渡すんだ?」
「アホ!俺かて心の準備があるんや、その間にまずはお前が先に…」
「断る!!」
結局毒味役は比較的乗り気なガチ君と、「男らしいところを見せる」と言ったからには後に引けなくなったロロが行うことに。
ロロ「ホンマに食べても害はないんやな?」
ガチ「前に食べた時は怪力になっただけで問題なかったですよ?」
ロロ「おまえ…それ充分問題あるんちやうか?」
ガチ「そうですか?いろいろ便利でしたけど?…とりあえず食べれば解りますよ」
抵抗無く謎の実を食べるガチ君とは対照的に恐る恐る謎の実を口にするロロ。
二人におきるであろう変化を一行は固唾を飲んで見守った。
「んー……別に何も起こらんな。外れやろか?」
冷や汗をぬぐいながら一息つくロロ。だが、何気なく窓の外を見て、あっと声を上げる。
「おい、どうしたっ!」ストイコに問われ、ロロは外の古寺を指さした。
「寺が急に真新しゅうなって……着物をやたら重ね着した美人が何人も……」
「もしかして!」ガチ君も急いで窓に駆け寄り、外の景色を見てみる。
「僕には、寺が焼け落ちて見えますよ。着物の男たちが集まって、跡を片づけてます」
「違うやろよく見て……あ、元に戻りよった。着物美人さん消えた〜」
彼らのやり取りを聞いて、美姫が呟いた。
「そういえば、近所の人が言ってたよね。あのお寺、平安時代に建てられて、
応仁の乱で一度焼けてから再建されたって」
「つまりこれ、『昔の光景が見えるようになる実』ってこと?」
興味津々で、未来が葉っぱのメモを見直した。こう書いてある。
『観光のお供に皆さんでどうぞ。京都は千年の古都、これを使うと面白いはずですわ』
「京都って蒸し暑いわ。ケイマン・アイランドでバカンスしましょ」
お供二人をつれてジョニ子は銀閣寺→ケイマンのビーチへ。
Siouxのサングラスをかけて燦々とした日差しの下に寝そべる。
「リゾート最高!」
「ちょっと待ってくださいよー、もう」「しょうがねえな姐さんは」
文句言いつつチャッキー&Pチャンもいつの間にか水着に着替え、浮き輪にはまって浅瀬でバチャバチャ。
ひとしきり遊んでティータイム。
ジョニ子の前には、バカでかいグラスに果物やパラソルが刺さったカクテルが置いてある。
「京都に帰った方がよくない?」「せめて他の人たちに説明しないと」
お供二人の言葉を聞きながら、ジョニ子は火照った肌にサンバーン用化粧水をはたく。
「そうねー。その前に部屋でマリカーやらない?アタシ最近中毒なのよ〜」
マリオカートでチャッキーに惨敗し、ジョニ子は体育座りで俯いている。
さりげなく手加減していい感じの2位をキープしたPチャンは、よく冷えたカルピスをジョニ子に献上。
「そろそろ京都に戻ろう。ね?」
「やだ。リゾートじゃないんですもの」
「京都にだってリゾートあるよ!アマノハシダテって知らないの?」
「なんか素敵っぽいわね。やっぱり行く」
「リゾート最高!」
海の家で買った焼きそばとかき氷を手に、砂浜を全力疾走するジョニ子。
もうマリオカートで負けた哀しみは完全に振り切っている。
海が見える露天風呂がついた宿を予約して、Pチャンはやっと一息ついた。
「パトリックさぁ、ジョニ姐の操縦完璧だね」
のんびりと賞賛してくるチャッキーに対し、Pチャンは複雑な微笑みを返した。
露天風呂に浸かりふやける三人。
「はぁ〜、温泉はいいわね〜」
「温泉いいっすね〜」
「温泉いいよね〜」
風呂からあがった処でジョアニーとゲデ子にばったり会った。
「あら、あなた達も温泉?」
「ええ、帰る前にちょっと寄って行こうって。それより、聞いたわよ?ケヴィン。
あなた迷子になって泣きべそかいて、エレーネに抱っこされて眠ったんですってね」
「私も聞いたわよ。ジョアニーの湯船に落っこちてお世話になったんですってねw」
「いいいいいいいいや、あの、ああああんまり覚えてないし」
「へぇ〜、エレーネの方は知らなかったニヤニヤ」
「何よぅ、アタシの家はめちゃめちゃにしておいてー。はー、バーキンのバッグが欲しいわ(ボソッ」
「それは無理」チャッキー即答。
謎の実の効果が判明した宇宙船内。
バトル「8月の実は「昔の光景が見える実」なのか」
ランビ「という事は観光名所でこれを使うと、その時の光景が見えるかもしれないねアハン」
ジュベ「ママン、面白い効果の実だな」
プル「じゃあさっそく試してみようよ!」
というわけで、一同は謎の実を持って京都各所へ出かけてみることにした。
木の実を食べながら嵐山にやってきた宇宙船組。
浴衣姿で渡月橋を渡る姿は観光客の視線を釘付けにした。
ガチ君は観光ガイドを読みながら、8月の実を食べ渡月橋の
今昔物語を楽しんでいた。
「ガウッガウッガウガウガウッガウッガウガウガウ」
「何層もの重なった衣をまとった美しい女性達。アハンアハン。
川からの風に心を委ね、その口からは詩歌が紡がれて
なんとも言えない幽玄の趣を感じるって言ってるよアハン」
「へぇ〜テディってば詩人だな〜。ステファンがいるおかげで
テディと意思の疎通ができて嬉しいよ」
「アハン僕の特技が役に立ってよかったよ。あっピピネラの実の効果が
きれたみたいだよ。もっと食べたいって言ってるみたいだよ、アハハン」
リッポンが巻き毛の中に実を突っ込んだ。
京都観光絶賛満喫中である。
レイチェルは皆と離れ、京都大学を散策する。
「これが折田先生の像・・・さすがに年中コスプレをしているわけではないのね」
半眼になり「昔の光景を見る事ができる能力」を加減する。
戦国時代ではなく、大正・昭和の時代の光景を眺め、学内の風景の変遷を確認。
「私も来年はいよいよ大学に通う事になる。がんばろう」
今シーズンは休学してスケートに専念するわけだが、悔いを残さぬよう精一杯滑ると誓った。
誓ったらお腹が減った。学食で名物・総長カレーを味わう。
ジョニ子はゲデ子と組んで、ジョアニー&チャッキー組と卓球で対決。
もちろん浴衣姿である。敗者は勝者にフルーツ牛乳を奢るのだ。
「さあかかってらっしゃい!」「私の弾丸サーブを受けてみよ!」
せっかく京都にいるのに、何をしているのか―――審判を引き受けたPチャンは溜息をついた。
『こっちは木の実のおかげで古都京都を一層堪能できてすっごく楽しいよ:)
そっちも盛り上がってる?;P』
リッポンからのメールだった。審判をしながらこっそり見る。
浴衣姿でみんなで各所を廻ってるらしい。笑顔の写メが羨ましい。
(いいなー。ケイマン諸島に行ったりまた京都に戻ってきたりって
ドタバタやってる割にはろくに観光もしてないしなー。
…ん?木の実?置き土産の木の実の効果がわかったのかな。
うーん、ジョニ子姐さんに言うべきか。
言ったらまたみんなと合流するかもだけどそれはそれでひと騒ぎ起こるかもしれないし。
実のことも気になるしなー。木だけに?ププッ)
Pちゃんの悩みは尽きない。
どごーん!
ジョアニー渾身のサーブで、ピンポン玉が旅館の壁にめりこんだ。
風圧でゲデ子の綺麗な金髪が、ふわりと乱れていい香りがただよう。
宇宙船組が次に向かったのはとある繁華街の一角。
「…なんだ?名所って聞いたのに何もないぞ?」
周囲を見回すヤグ。だがそれらしき建物は見当たらない。
「今はその時の建物は残ってないんだって。石碑が建ってるって聞いたけど、どこかなぁ?」
「ジェーニャ先輩、あそこに何かありますよ。」
ガッちゃんはとある店の横に建つ小さな石碑を見つけた。さっそくその前で謎の実を使ってみると・・・
「何だろう?青い法被をきたサムライの集団が大きな建物の中に入って行ってるよ?」
「・・・あ!部屋のあちこちで刀振り回してるぞ!これってチャンバラっていう奴か?!すげぇ迫力だな!」
目の前で展開する迫力ある場面に興奮する一同。
ちなみに彼等がいるのは三条木屋町の池田屋跡である。
「……というわけで、総長カレーも1500円ランチも手まりサラダも(ryとてもおいしかったの」
「それはよかった。こっちは池田屋でチャンバラに参戦したがる人がいて、ちょっと揉めた」
「ああ、彼らね?」
レイチェルが指さす先にはクリス&ヤグディン。土産物屋で買った木刀で斬り合いを演じている。
リッポンはついさっき着信したばかりの写メを示す。
「ジョニ姐は温泉卓球でボコボコにされたようだ。腰に手を当ててフルーツ牛乳を飲み干す
ジョアニー&ケヴィンチームと、床にへばってるエレーネ&ジョニーチームの対比がすごい」
「さすがアスリートね。常に勝負を忘れない姿勢は、見習いたいものだわ」
「……本当にそう思ってる?」
「まさか。口から出任せよ」
顔を見合わせクスクス笑う二人。
「じゃあさ、次、Pちゃんと僕とでやろうよ」「はあ?!なんで京都まで来て卓球・・・」
「負けるの怖い?」柄にもなく不敵に笑うチャッキー。
「(ムカ)つか、誰が負けるかっ!」
という訳で、二回戦はチャッキー対Pちゃん。
「・・・僕、負けないから」「俺だって負けねーよ!」
「うん・・・、今年はスケカナ一緒だね」
「・・・・・・」
「僕、負けないから」
「だから、俺だって負けねーっつーの!!」
卓球勝負は一進一退の攻防となった。
チャッキー「またっ、一緒にっ、ワールドっ、行きたいねっ」
Pちゃん「そのっ、先もっ、あるだろうがっ」
ジョニ子「なんか青春ねー」
ジョアニー「ソチの期待の星よ」
ゲデ子「仲間がいるって羨ましいな」
Pちゃんとチャッキーの勝負は結局引き分けに終わった。
ジュースにつぐジュースで白熱していたが
卓球台の利用可能時間を迎えたためドローとなった。
「チェッあとちょっとで勝てたのにな〜。最後の方は足がふらついてたじゃん」
「いーやっ俺のスマッシュについて行けなくなってたのを俺は見逃してないからなっ」
「ハイハイ、頑張ったアンタ達にご褒美よ」
ジョニ子が二人の頬にコーヒー牛乳を押しつけた。
「おいしーね、京都に来てよかったね」
「別に卓球なんてどこででも出来るし、コーヒー牛乳なんてどこででも飲めるし……
………でも楽しかったかも」
「ふむ、京都はコーヒー牛乳が名物って事か」
リッポンが携帯を眺めながら呟くと、傍を通りがかったガッちゃんがハッと振り返る。
「だったら僕買ってきます!」
「あ、ごめん、冗談なんだよ。ほらPチャンとケヴィンの写メ。すごく爽やかにおいしそうに飲んでる」
「CMのワンシーンみたいですね。かっこいいなー」
今度はヤグが木刀を持って通りかかる。
「なんだアーチャ、卓球好きなのか?勝負するか?」
「あ、いえ卓球が好きなわけじゃ・・・ないんですけど・・・・・・」
せっかくの古都。せっかくの三十三間堂なのに、建造物も仏像も鑑賞せず、
なぜ卓球の審判などさせられているのだろう・・・つか卓球セットどこから持ってきた?
悩みつつも、ヤグの勢いに流されてしまうリッポンだった。
更にそこを通りかかったのは申雪&趙宏博。
申雪「まあ、こんなところで卓球」
趙宏博「これは卓球大国中国に対する挑戦だな。よし、受けて立とう」
申雪「素敵よ、あなた」
リッポン「いや、違うんですけど…」
一方、未来とライサは五条大橋のたもとで熟睡するデニス・テンを見つけていた。
ライサ「帰る途中で力尽きて眠っちまったのか?」
未来「熱中症になったら大変ですぅ。帰る時、一緒にキャロル先生のところへ連れてってあげましょうですぅ」
天橋立のジョニ子一行はすっかり汗をかいてしまったので再び温泉へ。
「は〜、温泉はいいわね〜」
「温泉は(以下ry
突然始まったヤグ&ガッちゃん組と申雪&趙宏博の卓球ペア対決。
白熱する勝負に自然に周囲には野次馬が増えていた。
リッポンはちょっと恥ずかしさを感じつつも、途中で審判をやめるわけはいかないので律儀に審判を続けていた。
一方、三十三間堂の中ではプルとバトルがずらりと並んだハンパない数の仏像に驚いていた。
「凄い数だねぇ!いくつあるんだろ?」
「1001体あるらしいよ。みんな顔が微妙に違ってて、この中に会いたいと思う人の顔があるんだって」
プルの疑問に入口で貰ったガイドを見ながらバトルが答えた。
「へぇ…会いたい人か…ちょっと探してみようかな?」
二人はそれぞれ思い浮かんだ人の顔を探してみる事にした。
「356、357、358…」
本当に1001体あるのかどうかレイチェルが確認作業中。
会いたい人の顔をした仏像を探していたプルが不意に立ち止まった。
「ジェーニャ、見つかったのかい?」
「・・・ジェフ、ここって「会いたい人の顔をした仏像」があるんだよね?」
なにげなくバトルが声をかけると予想に反して不機嫌そうな返事がかえってきた。
「なんで、そうじゃない人の顔したのがいるわけ?」
プルは明らかに不満げな顔で、とある一体の像を指し示した。
何事かと思ってその像の顔を見たバトルは、一瞬でプルの不機嫌の理由を察した。
「ええと・・・ほら、喧嘩するほど仲が良いって言うじゃないか」
「別に僕はあいつと仲良くなんかないよ!」
とりなすバトルとむくれているプル。
まあこれも一種の腐れ縁というやつなのかもしれない。
「まあいいや。ところでジェフは誰の姿を捜していたんだい?」
「内緒」
プルが不機嫌なので、なんとかして話題をそらしたいところだ。
気がつけば隣にジュベがいる。満面の笑みで。
「すぐにママンが見つかった。きっとこれは吉兆に違いないなママン」
「あっちにもガールフレンド、こっちにもガールフレンド、知り合いだらけさアハンアハン」
ランビもご機嫌である。
対照的に、プルの表情が険しさを増す。
冷や汗いっぱいのバトルは、とりあえずレイチェルの隣で仏像を数え始めた。
ジョニ子は宿のゲームコーナーでクレーンゲームと格闘中。
もう2000円もぶっ込んだのに収穫無し。
一方、プルたちと別れテン君を加えたほぼ日米組は清水寺に到着した。
「階段きつかったけど眺め最高!」
しばし、京都の風景を楽しむ一行。
「じゃあ、私たち地主神社に行くけどどうする?」
「う〜ん・・・俺たちはパス」
「ここは美しい女性陣だけどうぞ。野郎たちは向かいの塔に行ってくるわ。」
「じゃあ、水入らずで『恋占い』してくるね。」
未来、美姫、キャシーは高橋たちをその場に残して神社に向かった。
「『恋占い』とは何だ?」
テン君を背負ったライサが聞く。
「恋愛を占う石があって、うまくいくと叶うんだって。よくわかんないけど・・・」
小塚がテキトーに答えた。
「恋愛がうまくいく・・・・・願いが叶う・・・俺も行くぞ!」
「はぁ〜?」
テン君をクリスに預けそそくさと後を追うライサ。
「ライサさんてあんなキャラでしたっけ?」
「さあ〜、とりあえずほっとくか。」
「224アハン225アハン226アハン・・ブライやん一番上の列の右端まで数え終わったよ」
「じゃあ続けるぞ。227ママン228ママン・・・」
三十三間堂で女の子とママンに似た仏像を見つけはしゃいでいたランビとジュベ。
ランビは貴重な3A券を使い、ジュベは喜びのクワドを飛びそれぞれの喜びを表現した。
そして2人が着地した瞬間、レイチェルとバトルに激突。
840まで数えていたレイチェルの怒りが静かに爆発した。
そして仏像数え係がランビとジュベに変更されたのである。(もちろん1からやり直し)
「パトリックすごいわ〜」
「えへへそれほどでも」
「こんなにたくさんもらっちゃっていいのかしら」
「うん。実は僕たち昨日もお菓子とぬいぐるみをたくさん取ったんだ。
だから2人がもらってくれるとすごく助かるよ」
「ケヴィンも器用に操ってスイスイ取れてたし2人とも素敵よ」
クレーンゲームと格闘しているジョニ子の後ろを通りかかったのは
お菓子とぬいぐるみを両手いっぱいに抱えたゲデ子、ロシェ。
2人に褒め称えられてるPちゃんとチャッキー。
「あっジョニ姐、こんな所にいたんだ。姿が見えないからさっきみんなで
隣のゲーセンに行って遊んでたんだよ」
「ここの宿のクレーンゲーム簡単だよね。昨日俺たちの夜食にしたうまい棒、
あれってケヴィンとここで取ったやつなんだ。
だからもっと手応えが欲しくて隣のゲーセンまで遊びに行ってたところ」
「ふ、ふーん、そうなのね。アタシは今からこれをやろうかな〜って思ったんだけど
やっぱりやーめたっと。アンタ達がやった後のでやってもつまんないわ。
さあご飯食べにいくわよっ。アタシ着替えてくるわっ」
3万円をつぎこんだのがバレないように財布をとっととしまい、ジョニ子は部屋へ戻っていった。
「ああもう仏像は見たくないよアハン。お腹いっぱいだアハンアハン」
「まさか本当に1000体あるとは思わなかったなママン」
「え?1001体じゃなかった?アハンアハン」
「そんなっ、1000体だったってママン」
アハンママンコンビから視線をそらし、プルは昔の光景を見る事に集中する。
年若く鼻が大きめの仏師が、あのいまいましい顔の仏像を運んでくる。
「ついウッカリ彫っちゃったんだよなあ。なんでこんな顔にしちゃったんだろう」
「いやいや、なかなかの出来であるぞ。これからも精進しなさい」
師匠とおぼしき熟年の男が、ニコニコして彼と仏像を迎える。
「実に素晴らしい。お前は私の最高の教え子だ」
なんかどこかで見たような風景に、プルの気持ちは和んだ。
清水寺ではライサの足が長すぎて、一歩で恋占いの石に到達。
「結局足の長さ勝負?」「そうね」「つまんないですぅ」
しらけきったムードに。どう収拾をつけるのか、ライサ!
『じゃあ、俺が石の間に立ってお前達を運ぼう!』と提案したライサだったが、
「それって恋の成就にエヴァンの助けがいるって事ですかぁ」
「縁起がいいような、悪いような…」
「女性上位な関係に成りそうねぇ。まあ、それも有りだけど…」
結局、三年坂で八つ橋クレープを奢ってもらう事で手を打った。
美姫「結局のところナスティアとは上手く言ってるのかしら」
キャシー「ナスティアがしっかりしてるから大丈夫じゃない?」
美姫「でも、謎の実を使って彼女を小さくしようとしてたのはどうかと思ったわ」
未来「白くて小さいエヴァンは可愛かったですねぇ。キャロル先生にも見せたかったですぅ」
ライサ「お前ら何の話だ?」
どうやらライサは未だに自身に起きた事態に気付いていなかったらしい。
小塚がかいつまんで説明する。
ライサ「そ、そんな…モテ期が来たんじゃなかったのか……」
全員「んな訳ないじゃん!」
ライサ「そんな声を揃えて否定しなくても……;」
「まあまあ、そこまで気にしなくてもいいじゃん」
さすがにライサがかわいそうになり、高橋がフォローに入る。
「その、えーと……モテなくても死ぬわけじゃないし、じゃなくて、そのうちどうにかなるって!ね!」
gdgdである。当のライサが憐憫の視線をよこす始末。
我関せずと昼寝をしていたテンくんが起き上がり、高橋に枕を差し出してくる。
寝逃げをしろというのだろうか。いや、そういうわけにはいかない。
「今すぐモテるんだったらさ、そうだ、あれだよ!海行こう海!海しかない!」
思いつきで叫びながら、高橋は自分がとてもいい事を言ったような気がしてきた。
なお、テンくんの枕は代わりにクリスが使っている。
「ビーチバレーとかしよう!すべきだ!」
高橋の勢いに飲まれ、一同は京都の海水浴場を目指した。
そんな訳で、大輔たちがやって来たのは京丹後・琴引浜。
「どうしてここにしたの?」
「浜に行けばわかるよ。」
一同は言われるままに浜に足を踏み入れると・・・
きゅっ!きゅっ!きゅっ!・・・・
「うわ!なにこれ!」「砂から音がする!」「あ!ここ『鳴き砂』なんだ!」
一気にテンションが上がる女性陣。
「どうせ来るなら珍しいほうがいいかと思って。」
「俺たちも一度『鳴き砂』体験したかったし。」
「さっすが〜!」
「海水浴場はこの近くにあるし、温泉宿もあるから楽しみだね。」
「プルシェンコさんたちも集計が終わったら来るって!」
「集計?」
「なんか、仏像の数が合わないとかで駄目だしされたみたい。」
「???」
とりあえず、残りの宇宙船組が来るまで鳴き砂で遊ぶメンバーであった。
ようやく仏像の集計が終わった宇宙船組。
「ホントに集計が終わったのかしら?」
「もちろんだよ!アハン」
「早く海にいこうよママン!」
女の子成分不足に気づいたランビが、脅威のスピードで集計を終わらせたのは言うまでもない。
「とにかく早く行かないと・・・・欠乏症が・・・」
「わかったからシアタールームで引きこもるのわやめてね!」
プルたち一行は雪組も含めて京丹後に出発した。
砂を鳴かせまくって、足の裏の皮がむけてしまった高橋+愉快な仲間達。
足の裏に冷えピタを当ててクールダウンしていると、はるか彼方から凄まじい勢いで
砂をギュウギュウ鳴かせまくりの集団が近づいてくる。
「ああ、プルシェンコさんたちが到着したみたいだ」
砂は鳴くというより絶叫のような音を立てている。アスリートの脚力は凄い。
とりあえず今夜は近くのキャンプ場で宿泊することにした宇宙船組。
「ジョニーたちも京都の海にいるみたいだけど、どの辺なんだろ?」
とりあえずメールしてみたが返信はなし。
代わりにチャッキーから写メが届いた。
「へ〜、向こうにはジョアニーとエレーネもいるんだ!」
「折角だからこっちに誘う?」
「いいね〜!」
夕飯はランビたっての希望でチーズフォンデュ大会。
ランビは前回のおもてなしで実現できなかった、あの計画を実行したいらしい。
さて、どうなることやら・・・
ランビの並々ならぬ気合を受けて小塚が人知れずアップを始める
(エレーネの隣りエレーネの隣りエレーネの隣りエレーネの・・・)
「ええっ?折角のお誘いなんだし一緒に行こうよ」
リッポンからキャンプ場へのお誘いメールが届いたPちゃん。喜んでゲデ子やロシェを誘ったが
2人はもう帰るから、とあまり乗り気ではない様子。宿のチェックアウトも済ませたようだ。
「卓球だけで身体も鈍ってるし、トレーニングしたいのよね」とロシェ。
「チーズフォンデュもやるらしいよ。おいしそうだよ」
「えーっっっこのクソ暑いのにチーズフォンデュ〜?どうせステフの提案でしょ」
「ジョニ姐はちょっと黙ってて!」
男だけでキャンプ場へ向かうのはあまりに寂しい。ここはなんとしてもこの2人を引き留めたいのだ。
「それじゃあキャンプ場へ行くついでにパフェ奢るよ。おいしいパフェがあるんだって」
「うんうん、ジョアニーには特別にプロテインもつけるよ」
「じゃあ、ダイヤの指輪も買ってくれるかしら?フフフ」
ウインクしながらゲデ子が言った。
「えええええそれはちょっと、俺・・まだそんなのが余裕で買えるほど大人じゃないし・・まだ19歳だし
いや、でもどうしてもって言うんなら別にそれはそれで・・・」
「やっだー冗談よ。パトリックってば可愛い〜〜〜」
(これだわっ!今のやり方頂いたわ!)ジョニーは今のやりとりで何かひらめいた様子。
「さて、ジョニ姐も行きますよね。仕方ないから一緒にパフェ奢りますよ」
「やだやだー。バーキンのバッグ買ってくれなきゃ行ーかないっ。絶対ここから動かないわよっ」
「・・・すみませーん。1人だけ延泊お願いしまーす」
「フォンデュはやっぱり熱いわね。汗だくになっちゃう」
汗ばむ額をそっと拭う浴衣姿のゲデ子。すかさず小塚が真新しい手拭いを渡す。
「あらタカヒコありがとう。これ、かわいい柄ね」
「金魚だよ。この黒いのはデメキン」
「汗を吸いやすいし、乾きやすそうな生地だわ」
「日本の手拭いは模様を染め抜きやすいから、いろんなデザインがある。後で土産物屋に見に行こう」
「ええ、ぜひ連れていって」
しっかり後の約束も取り付ける。顔真っ赤で汗だくになりながら好位置をキープした努力の賜物。
ジョニ子はなりゆきで延泊するはめになってしまい、宿のマッサージ椅子で悶えていた。
「ああああ〜アタシってとんだ一人上手〜」
マッサージ椅子でひと通り楽しんだジョニ子。
「はっアタシったらなにをしてるのかしら。要は置いてけぼりにされたってことじゃない」
宿は情緒溢れる日本家屋。庭の暗闇に視線をうつすと何かがぼんやり見えそうな雰囲気だ。
「いやぁぁぁっ一人でこんな所に泊まれないわぁぁ。
そう言えば初めて親元をでて暮らし始めた時、恐くて枕元にナイフを忍ばせて眠ったわね。
って誰も聞いてくれる人いないし。
ワガママ言わないから誰か助けてぇぇぇ」
「しょうがないわねえ。もうアンタ何やってるのよまったく」
パリス登場。
ジョニ子のとめどない不安・焦燥・そして雑談を、文句1つ言わず全て受け止める。
その様子を庭の木々の隙間から見守るPちゃん。
ジョニーが見たボンヤリとした影は見間違いではなく
心配して見に来たPちゃんの影だったのだ。
唐突に里心。Home sweet home.この旅はいつ終わるのかしら…
鏡、磨きたい。鍋の底でもいいわ。
くたくたのピンちゃん(ΘェΘ)に会いたい……
取りあえず浴衣を脱いでパン一になってみる。
さあ、どうするPちゃん!
「暑い中でのチーズフォンデュもいいよねアハハン」
ランビの両脇にはチャッキーとジュベ。
女の子成分が明らかに近くに見当たらない中の悲しみのチーズフォンデュである。
「あれ?そういえばパトリックは?」
「ちょっとコンビニに行ってくると言ってたなママン。しばらく帰って来なくても心配いらないとかママンとか」
「あんなにみんなでチーズフォンデュしたがってたのに変なの」
「アハン、ところでこのバッグは誰のなのかな?」
「あっ、僕のです。ジョニ姐が欲しがってたやつがさっき路地裏で1980円で売ってたから買ってきたんだ」
「ケヴィンくんは優しいねアハンアハン。よかったらこれも食べなよ」
アザラシの肉にチーズをべっとりつけてケヴィンに渡す。
スイスと北極のコラボレーションもなかなかいけるようだ。
植え込みの陰でジョニ子のパンイチに怯えるPチャン。
「やっぱり来なければよかったかなあ」
その眼光をめざとく見つけたパリスがやってきた。
「あらやだこの子、カナダのパトリック・チャンじゃないの!チャンタスティック!」
パリスは、パンイチで望郷の念に浸るジョニ子の前にPチャンを連れて行く。
「ほらアンタの事迎えに来たのよ、きっと。かわいいじゃないの」
「ええそりゃもうパトリックはかわいいわ」
「ジョニ姐さん、みんな海岸でフォンデュ大会やってるよ。おいでよ」
「え〜、まあパトリックがどうしてもというならしょうがないわ。行くわ。パリスも来るわよね?」
「アタシは親知らずの抜歯痕がまだうずくから遠慮しておくわ。楽しんでらっしゃい」
パリスは見事なS字ラインに体をくねらせ、投げキスとともに去った。
「でも、一人きりにして置いてっちゃうなんてひどいわ」
「うん、ごめんね。反省してるよ。ほらお家じゃないんだから浴衣着て」
「このスレではずっとあんたと一緒だったのに」
「うん、そうだね。はい立って。下駄はいて」
「本当に今回はパトリックに世話になりっぱなしね…クスン」
ジョニ子はどうも望郷モードが抜けきらない様子。
(困ったなぁ。お灸が効きすぎたかな。頼られるのは悪い気はしないんだけどさ)
ジョニ子がぐずるのでなんとなく海岸をそぞろ歩く二人。
「パトリック、見て見て。海が光ってるわ」
「うん、あれは漁火だよ。ねぇ、そろそろ行かないと。みんな待ってるよ」
「もう少しもう少し。だって…、向こうに行ったらまた騒がしくなるんでしょ。
……二人きりじゃないと、ちゃんとありがとうって言えないじゃない」
びっくりしてジョニ子の方を見るPちゃん。ジョニ子は正面を向いたままだった。
耳のあたりがほんの少し赤くなっているように見えたけど、暗くてよく分らなかった。
「ほらほら〜ジョニ子姐さん見て見て〜〜」
Pちゃんが砂浜に乗り捨てられていたマウンテンバイクで曲芸を始めた。
センチメンタルモードのジョニ子を笑わせようとPちゃんは頑張った。
「もうっパトリックってばなにやってんのよ〜
キャーッサドルの上でブリッジなんて凄すぎよ」
Pちゃんの身体を張った芸にジョニ子の顔に笑顔が戻る。
しかしなにぶん砂浜は足場が不安定。
「そんなところでハンドルを動かすなんてやるじゃない。スゴいわ!
ってキャーーーッ危ないっ」「うぎゃぁっ」
ちょびっと調子にのってやりすぎたPちゃん。派手にこけて腕が擦り傷だらけになった。
「パトリック大丈夫!?もうっまったくアンタってば」
と言いつつジョニ子は傷口にカメラを向け写真を撮りまくっている。
「見事な怪我だからみんなに見せておかないとね。アンタの代わりにツイートしとくわね」
呆れながらもいつものジョニ子に戻ってほっとするPちゃんだった。
「ツイッターの画像が消えてるじゃない。なんで消してるのよ」
「だってグロいって返信が山のようにきてたし」
「そんなの関係ないわよ。名誉の負傷じゃない。はい、またアップしちゃうわよー」
「だからーまた苦情がくるって」
「消すなって言ってるでしょ。アタシは負けないわよ。またまたアップよぉ」
「……もう勝手にやって下さい」
Pちゃんのおかげですっかり乙女心を取り戻したジョニ子。
しかし傷画像を何度もうpされたのでは、たまったものではない。
「もう、いい加減にしてください!みんなのところへ行きますよ!」
Pちゃんはジョニ子を後ろから羽交い絞め。
「きゃ〜ん!」
抱きしめられた(と思った)ジョニ子はかわいく悲鳴。そして
「うおぉおおおおりゃおおおおお!!!!」
ジョニ子を思いっきり琴引浜方面へ投げ飛ばした。
「ああ〜〜ん!!」
華麗に空を舞う(と感じている)ジョニ子は夢見心地になっていた。
「夜の空を華麗に飛ぶあたし・・・・なんて素敵なのかしら・・・」
ふと下の海岸を見ると若い男女がこちらを見ながら何か祈ってる。
その少し先では楽しげにキャンプを楽しみグループ。
そのそばで背中を震わせながら砂浜に何か書いている男がふたり・・・
みんな・・・・いろんな人がいる・・・・わたしも・・・いかなくちゃ!みんなのもとへ・・・
女の子とチーズフォンデュでアハンアハン作戦開始。
ランビ「アハーンおかわりはどうかな?まだまだお肉もチーズもいっぱいあるよ」
美姫「ありがたいけどもうお腹いっぱい」
ランビ「さっき鍋の中にパンを落としてたよねアハン。あれって罰ゲームがあるんだよアハンアハン」
美姫「え?なにそれ」
未来「美姫ちゃーん、花火やりませんかぁ?たくさん買ってきましたぁ」
美姫「やるーー。じゃあね、ステファン」
ランビ「アハーン楽しんできてね」
1人目失敗。
ランビ「あれ?あまり食べてないけど具合でも悪いのかな?アハン」
ロシェ「ここに来る前にプロテイン入りパフェをおかわりしたから…よかったらこれ食べて」
ランビ「アハハン。いただきまーす。確かに京都は暑いよねえアハン。ところでフォンデュの罰ゲームだけど…」
ロシェ「ワイン一気飲みでしょ。あっステファン今、落っことしたわよ」
ランビ「アハーンこれはちょっと動揺して…えええ?これを全部飲むのかい?アハンアハンアハンアハン」
2人目失敗
ランビ「アハンアハンエレーネ、アハン。フォンヂ…フォンデユ…アハンおいしかったよねアハン」
レイチェル「その分じゃあ血中アルコール濃度0.30はいってるわね。
だから金髪で身長差が数cmの私を見間違えた、と。
酩酊状態でこれなら泥酔になるとどうなるか…興味深いわ」
レイチェルが白ワインを持ち出してきたのでランビは千鳥足で退散。
3人目失敗
エレーネ「あらステファン、どうしたのよ。顔が真っ赤よ」
ランビ「アハンアハンアハン、罰れぇアハン、チューをねアハハン」
よろけながら隣の小塚にダイブ。
小塚「ちょっ…今から花火するのに。もたれかかれると暑いですって。うわっ酒臭っ」
ランビ「アハーン」
4人目失敗。ランビのアハンアハン作戦終了。
「さてと・・・」
ジョニ子を何とか移動させたPちゃん。
自分も海岸に向かってその場を後にした。
夜空にひときわ輝く流れ星。
空いた食器の片付けなどに奔走していたガチくんはまっすぐに空を見つめ
「立派なスケーター^になりたい・立派なスケーターになりたい・立派なスケーターになりたい」
と早口で三度唱えた。
流れ星が消え去る前に、3回唱えないと願いは叶わない。そう教えてもらった事があるのだ。
他にも「こんな暑いところで遊びほうけてないでとっとと帰りたい」などという想いはあるが、
まず最優先はスケートでの成功だ。
隣を見ると、リード兄弟も同じく空を見つめ、なにやら呟いていた。
「なんのお願いしたんですか?」
「他人に言っちゃうとかなわないんですって。だから内緒」
「たぶん、アーチャと一緒じゃないかな」
なるほど。ならば内緒だ―――ガチくんはお口チャックして、皿洗いに戻った。
海岸を散歩するチャッキー、リッポン、レイチェル。
眠たげな瞳で空を見上げていたチャッキーも流れ星を見つける。
(次は、次は絶対に…)
願い事を終えて隣を見るとリッポンも真剣に願いをかけていた。目が合った。
何となく同じことをお願いしていたのがわかって顔を見合わせて笑った。
レイチェルは願い事はしなかったようだけど
「先のことはわからないけど、今回あなた達と一緒に旅をしたのは楽しかったわ」と言った。
リッポンは満足そう。
「あれ?もしかして僕、邪魔だった?」
「やっと気づいた?って、うそうそw ていうか一人足りないくらいだよね」
「そうね。彼はひと際面白くて興味深かったわ」
「楽しかったってそういう意味?!まあ、でも僕も楽しかったかな。色々話せたような気もするし。
早く帰って来ないかな」
「みなさんも一緒に花火しませんかぁ?まだまだたくさんありますよぉ」
未来の呼びかけに次々と集まる面々。
マウンテンバイクで駆けつけたPちゃんも合流。
京都の暑さに慣れてきたテディくん(仮名)も線香花火が気に入ったようだ。
「まだ流れ星が見えますぅ」
「綺麗だねえアハン」
「ママンママンママン」
「アハーンブライやん、お願いごとは口に出しちゃ駄目だよ」
流れ星を見上げながらバトルがあることに気づく。
「なんだか…だんだん大きくなってきてるのは気のせいかな」
「こっちに向かってきてない?」
「そんなことあるわけな…」「あるみたいですぅ」
「ガゥッガウッ」「アハハーン」「ママーン」
ドガッチャーンッ!!!!!!
「ふぎゃあああああ」
マウンテンバイクをどこに停めようか迷っていたPちゃんに流れ星ジョニ子が激突した。
瞳孔が開いて伸びてしまったPちゃんと、犬神家のように砂に埋まってしまったジョニ子。
小塚「・・・何時ものことだけど、どうしますこれ?」
プル「取りあえず写メしよう。」
バト「じゃぁ僕はツイッターで」
レイチェル「私はこの芸術的なポーズを学芸員に鑑定してもらおうかしら?」
みな一同にデジカメや携帯で撮影開始。
小塚「あ〜も〜!」
仕方ないのでPチャを手当てするべく、宇宙船に引きずっていく。
未来「あの〜隣の人は助けなくていいんですかぁ?」
小塚「う〜ん、助けたいんだけど・・・」
後ろを振り返ると、ジョニ子がシンクロのごとく足技を決める姿を見てみんな盛り上がっている。
未来「なんかぁ、大うけしてますねぇ・・・」
小塚「ほっとくか・・・」
二人は大輔が翌朝の食事を仕込んでいる宇宙船へPちゃんを引きずっていった。
ジョニーの見事な足技に歓声があがる中、レイチェルがあることに気づいた。
「みんな、待って。この動き
……手旗信号ならぬ足旗信号だわ。解読するわね。
『このスレものこり19KBよ。5日目もみんな笑顔で終われそうね』ですって」
「というかさすがに、そろそろ助けないとまずくないか?」
ストイコの一言で、KOI共演組がジョニ子を助け上げに向かう。さすがベテランの貫禄。
そんな彼に、ふと気づいたようにロロが言った。
「そういえばお前、バンクーバーでもジョニーをえらく誉めとったな。あいつ、認められたって喜んどったで」
「い、いや、その……確かに、あいつの『演技』は認められるべきだと言ったが、
それは、と、当然のことを言っただけで……いや、だから、正当な評価は当然だと……」
ライーヨー師匠、何やら急に歯切れが悪くなった。
「何や何や? お前、ああいうタイプ嫌ってそうやから、意外やなー思っとったけど」
「……フィギュアの将来を思えば、演技の評価に好きも嫌いもあるか!
べっ別に、あいつのためじゃないんだからなっ!!」
ジョニ子を引っ張り出そうとしていたプル達が、このツンデレお約束台詞に、思わず一斉にコケた。
その勢いでスポッと砂から抜けるジョニ子。
美姫「夏よー!海よー!水着よーー!!」ゲデ子「水着ー!」チャッキー「うきわー!」
未来「きんぎょー!」
小塚「何で金魚…?」
一夜明け浴衣祭りから水着祭りへ。みな思い思いにくつろいでいる。
「おはよう、エルヴィス。昨日は助かったわ、有難う。そうそう結婚おめでとう。
はい、薔薇の冠。造っておいたのよ。あら、雪組もいるのね。おめでとう。
結婚式楽しみにしててね。あなた達も薔薇の冠どうぞ。似合うわ。
ダイスケこのカレー変わった味ね。いえ、美味しいわよ。あ、ソースとって。
あら、アーチャありがとう。アンタは本当によくお手伝いするいい子ねー(わしゃわしゃ)
なんだ、エヴァンもいたの黒くて(ry
パトリックどうしたのよ、瞳孔が全開じゃない。え?アタシのせい?って、アンタがぶん投げたからでしょっ!
ああ、嘘よ、怒ってないわよ。ほら、アンタにも薔薇冠、欲しがってたでしょ。え、いらない?
いいからかぶんなさい。え、棘が刺さって痛い?我慢しなさい!
えーと、あそこにいるのは…」
ジョニ子、イタリアの大家族のマンマ状態である。
ジョニ子のマンマぶりは続く。
「あら、ジェーニャったらさっきは随分早く泳いでたのに、なんだか元気ないわね?
・・・え?海蛇が出たから急いで逃げてた?まあ、そんなに蛇が苦手だったのね。
じゃあ薔薇冠にアタシのお手製金メダルもつけちゃうわ!
だから元気だしなさいな」
夏の日差しには日焼け止めが欠かせない。
ジョニ子はランビを呼んでクリームを塗ってもらう。
「何でぼくにやらせるんだい!アハハン!」
「ステフが一番マッサージうまそうだからよ!
どうせクリーム塗るんだしそれくらいやってくれてもバチ当たらないじゃない!」
「。。。。あは〜ん・・・」
背中がまだら焼けになった事も気付かないまま夕方を迎え、ジョニ子は未来の持っている物に気付く。
「あらこのカラフルな細い紐、なあに?髪飾りかしら」
「花火ですよぅ。線香花火っていって、地味なの」
試しに一本点火してみせてくれた。パチパチと小さな火花が散り、
その後にぷくっと火の玉ができるのがかわいらしい。
「まあ素敵。アタシにもやらせてちょうだいな」
「みんなでやりましょうよぅ」
未来はキビキビと花火を配る。
ヤグディンにはすさまじく似合わなかったりするが、気にせず彼にも配る。
「俺はロケット花火の方が好みなんだがなあ・・・まあしょうがねえか」
珍しく起きていたテン君も線香花火を楽しむ。
しかし火勢でゆらゆら揺れる火の玉を見つめていたら、またうとうと。
慌ててライサと小塚が両脇から支えた。
「すいか切りましたよー。どうぞー」ガチ君が配って回る。
「ありがとうアーチャ。すっごく冷えてるわね。美味しー」とジョニ子。
「波打ち際に埋めて冷やしておいたんです。海ではこうやって冷やすってミキさんが教えてくれて」
「それよりアンタも花火やんなさい。ほらほら」
「え、いや僕はすいか配らないと…」
「いいからっ。後はパトリックにでもやらせて。アンタは働き過ぎよ。
まだ17歳なんだからちゃんと遊ばなきゃ駄目!」
ジョニ子はガチ君を隣に座らせるとその手に線香花火を握らせた。
線香花火の儚い光を見ながらジョニ子は呟く。
「6月から始まったこのスレももうすぐ終わるのね・・・・
しかも今は8月の下旬、短い夏の終わり・・・・
なんて儚いのかしら・・・」
さめざめと涙を流すジョニ子。
「ジョニー・・・・泣かないでよぅ〜」
未来も思わずもらい泣き。しかし・・・・
「あ〜ん!!『スケV』のCMで世界デビューする夢も、名プロデューサーになる夢も、
『マダムのよろめき』で絶世のDIVAになる夢も全部消えちゃったのね〜!!
現実って残酷すぎるわ〜!!!!」
ジョニ子の叫びに全員ズッコケタ。
「ただの欲望の固まりじゃん・・・・」
呆れている小塚の隣で小さく固まる黒い人。
「儚い夢・・・・赤い実・・・・・・永遠の6月・・・・さらば・・・俺のモテ期・・・・」
「ライサも悲しくなっちゃったの?」
「いつものことだから、そっとしといて上げなさい」
高橋の言葉に黙ってうなずいた未来であった。
「線香花火って、最後まで火の玉が落ちなかった人の勝ちなんだよっ」
じっと待つという能力が必要なの。あとは手にした花火の運ね」
皆、根っからの勝負人である。たかが遊びでも負けたくはない。
「このスレももうすぐ終焉。最初に玉を落としちゃった人はエンディングの
司会を担当するって罰ゲームはどう?」
「美姫ちゃん、司会ってどんな風にするんですかぁ?」
「うーんとね、こういうのはどうかしら」
全選手入場のガイドライン第29試合
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/gline/1276614259/l50 「ちょっとハードルが高すぎますぅ。バキの世界観なんて未来には無理ですぅ」
「そう?おもしろいと思ったんだけどなあ」
最も早く線香花火の玉が落ちてしまったのは、落ち着きのない27歳児・プルシェンコだった。
「えー、こいつが司会するのか?無理だろ」
ヤグディンの意見もごもっとも。ストイコ&ロロのベテラン組にまで「無理!」と太鼓判を押されてしまった。
「ここにアホほど買ってあるロケット花火。全部点火しちゃうから、罰ゲームはその片付けでいいだろ」
「ああよかったよ。それ全部僕に向かって発射されるのかと思った」
「鬼か俺は!」
浮かれて水バケツを用意するプルシェンコを眺めつつ、ヤグディンは呟く。
「『金メダルは俺の物 邪魔するヤツは思いきり殴り思いきり蹴るだけ!! アレクセイ・ヤグディンだ!』とか紹介されたかったな」
「ワイは『ファンの前でならオレはいつでも全盛期だ!! 燃えるダルタニヤン!フィリップ・キャンデロロだ!』がよかったでぇ」
男子選手(ジョニ子除く)はそれぞれ自分の入場のガイドラインを想像し、胸躍らせている。
ライサだけ真顔だ。
「どうせ『デカァァァァァいッ説明不要!! 1m88cm!!エヴァン・ライサチェクだ!!! 』なんだろ?つまらん」
変に冷静である。線香花火の玉も微動もせずまだくっついている。
リッポン「パトリックの場合だと
『スケーティングなら絶対に敗けん!!全開の瞳孔見せたる スピード小僧 パトリック・チャンだ!!!』
みたいな感じ?」
Pちゃん「前から言おうと思ってたけど瞳孔全開なら死んでるだろっ!」
チャッキー「どっこい生きてるシャツの中?ププッ」(バキッ「ぐはっ」)
レイチェル「あのTシャツ現役長いわよね。パトリックは案外、物持ちがいい、と( ..)φメモメモ」
「残りあと11KBだから、もう残りの花火全部に点火しちゃっていいんじゃないかしら?」
ソワソワしているジョニ子の隣で、ライサはまだ線香花火を持っている。
「好きにしろよ。ところで俺の線香花火、まだ火の玉が落ちないんだが」
「はいはい、あんたが線香花火バトルの勝者って事でいいわよ。おめでとー」
「そういう褒められ方されても、あまり嬉しくない・・・」
「さて、今度のことの発端といえば……」
ジョニ子が呟いたその時、暗い地面の上で、列になった花火が次々に発火しだす。
いつの間にか、余った手持ち花火が砂の上に刺されて並び、簡易仕掛け花火になっていたのだ。
(※危険なので真似してはいけません)
花火の炎が描いた図は、一通の封筒(>3)。
「これが始まりだったわね。何だかちょっと懐かしいかも」
次に花火の炎が描き出したのは謎の実の形。
ライサ「俺的にはこれがきっかけだったな…。もう、二度とネットの情報なぞ信じないぞ!」
チャッキー「でも、この実は面白かったな。貴重な体験も出来たし」
Pちゃん「うむ。昔は俺の方が背が高かった」チャッキー「しつこい!」
リッポン「そういえば、ジョニ姐はまだ、15歳のままだね」
ジョニ子「あら、そうね」
「ふむ」暫し考えるリッポン。
リッポン「そうそう!ケヴィンが『20代のジョニーさんってcho恰好いいよね!』って言ってたよ!」
チャッキー「え゛」
その瞬間、ジョニ子はPON!!的な感じで元に戻った。
ジョニ子「…ケヴィン、それ本当?」
リッポン「言ったよな?」
チャッキー「い、言ったけど……」
ジョニ子「もーっ!やっぱりケヴィン可愛いわねっ!この喜ばせ上手さんっっ!!」
チャッキー「うわっ、抱きつかないで!暑いっ!重いっっ!……う、裏切り者ーーーー!!」
ジョニ子がチャッキーにチョッカイを出してる最中、花火は安土城を描き出す。
未来「そういえばタイムスリップも楽しかったですねぇ。」
美姫「今度は江戸時代にいって大奥体験したいわね〜」
クリス「ぼくはぜひ伊賀の里で本物の忍者に修行をしてもらうよ!」
キャシ−「日本語が変よ・・・」
小塚「みんな懲りないね・・・・」
高橋「いいじゃん。今度はちゃんとした装置があるから戻ってこられるんだし。」
プル「そういうタカヒコは過去にいきたい願望はないの?」
小塚「う〜ん、あえて往くならじいちゃんが満州チャンピオンになった頃に行きたいかな?」
一同「そ れ だ !」
小塚「???」
ヤグ「やっぱ一度は自分の先祖に会ってみたいもんだからな〜!」
ジョニ子「な〜に?先祖がえりの話?」
そうこうする内に、花火はまた別の姿を映し出す。
ジョニ「やだ〜!次は何かしら〜!!」
ジョニ子、タイムマシンの存在を知らずに次へ続く。
「ガウッガウッガウッガウッ(ワーイ、あれ見て見て)」
映し出されたのは白クマテディくん(仮名)
自分の登場にご機嫌になりバトルにじゃれつく。
「テディ〜僕たちの友情は永遠だよねっって重い…つぶれる……もうちょっと手加減して……」
「今回は彼がいなきゃ解決しないこともたくさんあったわね。アタシもたまには遊びにいくわね」
「ガウッガウウウウウッガウッ」
今度はウインクしたジョニ子に向かってテディくん(仮名)がじゃれつきはじめる。
「え?アハンアハンそうだったんだ。道理で僕もテディに心惹かれたわけだよねアハンアハン」
「…ステフ…何…言って…言ってるのよっ……ていうか助けて…」
「アハハン、みんな気づかなかったのかい?テディのこの優雅な立ち居振る舞いに
美麗な顔立ち。どうやらジョニーが『彼』って言ったのが彼女の気に障ったようだよ」
「工工工エエエエエエェェェェェェ(バトル)ェェェェェェエエエエエエ工工工」
「日本の円山動物園でもオスと思ってたらメスだったっていうニュース聞いたことありますぅ」
「道理でステファンと話が合うわけだなママーン」
次は燦然と輝く首飾りが描き出される。素敵鉱石の人騒がせなアレだ。
と同時にチャッキーがしゃがんで背中を丸め浜辺のカニと戯れはじめた。
「恥ずかしい・・・僕もカニのように穴掘って、人目に触れないところに潜り込みたい」
「何照れてるのケヴィン!」
エマ登場である。
バスローブに化粧水シートのフェイスパックというくつろぎモードのまま、チャッキーの肩を抱く。
「恥や挫折を通り越して、男の子は男になるのよ」
「エマ先輩に言われてもピンと来ません・・・」
「あらあら頑なな坊やね。でもいつかわかる日が来るわ」
ツルツルお肌のエマはパックを勢いよく取り去り、遠く投げ捨てた。
ジョニ子の顔にペシャリと当たった。
「何すんのよエマー!」
「かかってらっしゃいよジョニ子ー!」
次は、かき氷、浴衣、浮輪等々、夏の風物だ。
美姫「ぎりぎりで水着、着られて良かったわー。やり残した事はないかしら?」
Pちゃん「あれは何です?」
描き出されたのは、胡瓜の馬、茄子の牛、灯篭などのお盆飾り。
美姫「お盆の飾りね・・・。日本ではお盆の間あの世から亡くなった人が帰ってきて、一緒に過ごせるのよ・・・」
Pちゃん「へー・・・」
とそこへジョニ子がPちゃんの背中めがけて華麗なドロップキックをかました。「ふぎやぁっ」
「ラスト近くだからってしんみりモードは禁止よっ!ほらパトリック、これあげるわ。
残りの8月の実よ。過去が見える実。勿論ミキにもあげるわよ」
美姫はケラケラ笑いながら首を振った。
「あたしも成長したからねー。大丈夫よ」
「俺だって成長してるし!つーか、無防備な背中にドロップキックかますなっ!」
「そうそう、それでこそ男の子よー。そうやって男の子は男になるのよ」
「ちょっと!それはアタシがさっき言った科白でしょっジョニ子ー!」
「かかってこいやぁあエマ―!」
二人が不毛な争いを続けている中、花火は最後に5つの輪を描き出した。
「これはオリンピックだね!」
それぞれがオリンピックに思いは馳せる。(約2名は除く)
そうこうしている内に最後の花火の炎もゆっくりと薄れていった。
ジョニ子「あら、これで花火も終わり…夏も終わりねー…まだまだ暑いけどorz
って、暑いわよっエマ!いつまでくっついてるのよっ!」
エマ「はいはい。そういえば学生さんは明日から新学期じゃない。
アンタ達、夏休みの宿題は終わった?スケートの練習はしてるんでしょうね?」
チャッキー「僕たちもう高校生じゃありません、エマ先輩」
Pちゃん「う、でもスケートの練習はやばいかも…普通にコーチに怒られるレベル……gkbr」
ジョニ子「あー、アタシも練習しなくっちゃー。っていうか、仕事も溜まっているだろうし。
……でも、まあ、まずは我が家に帰らなくちゃね!」
ジョニ子の言葉に片隅にいたガチ君がにっこりと笑った。
スケーター達も三々五々帰り支度を始める。
向こうの方でライサが右にテン君、左に未来を抱えてよっこらしょと立ちあがった。
「待ってくださーい」
使い終わった花火を拾い、宴会のため散らかっていた周辺を片付けながら
帰る準備をしていた一同の元に真央がかけつけた。
「あー、間に合ってよかった。これみんなにどうぞ」
それは即席アイスリンクの上でみんなで撮った記念写真だった。
今年の夏の想い出に、と1枚ずつみんなに配る。
「この暑さでエアロの体調もまだ悪いんで、戻りますねっ。またみんなで遊べたら嬉しいです。それじゃっ」
ジョニ子や他の面々が声をかける隙も与えず
真央は去っていった。
「いろいろあったわね、でも楽しかったわ」
「このメンバーが集まって楽しくなかった時はないけどね」
「そうよねー、なにかしら誰かが問題を起こしてことが大きくなっていって……イヤだわ、もう」
「イヤっていいながらも楽しんでるよね」
しみじみ語るプルとジョニ子。
見上げた夜空には流れ星。8月ももうすぐ終わり。
それぞれ帰るときが来たようだ。
「ふん、ふん、ふん〜♪と」
鼻歌混じりにリッポンは真央から貰った写真をテーブルの上に飾った。
「最初は巻込まれ型被害者なんて言ってたけど、終ってみるといい思い出だな」
その隣には例のグランドキャニオンの木の写真が並んでいる。
「クワドも上達したような気がするし。レイチェルのおかげかな?w」
“そこかよ!”というようにピピネラが頭上で鳴いた。
「……忘れてた」屋根にぽっかりと空いた穴を見上げてPちゃんは呟いた。
かれこれ三ヶ月(?)ばかり放置された部屋。雨風を凌げる訳もなくえらい事になっていた。
「くそ〜、ジョニ姐の奴〜!」
一瞬、憤ったPちゃんだったが、手にした写真を見つめて思い直す。「ま、いいか」
「あれだよなー。案外付き合ってみると悪い奴じゃなかったよなー」(←上から目線)
「という訳でぇ、白くて小さいエヴァンはそれはそれは可愛かったんですぅ〜」
お土産の生八つ橋を手に、にこにこお喋りする未来。
その様子をフランク・キャロルもまた、にこにこ頬笑みながら見ていた。
「もう、いいだろう、ミライ」ライサは照れたような困ったような顔。
その傍らではテン君が生八つ橋をくわえたままやっぱりうとうとしていた。
ヤグ&プルは宇宙船のソファに腰掛け、とあるCDを手にしていた。
「これがスレエンディングテーマってのはいただけねえな」
「'Dirty Love'だってさ。代わりに僕が歌おうか?」
「やめとけ」
一瞬で断られ、プルの周囲にブリザード。
涼しくてテディ嬢大喜び。バトルもついでに大喜び。
「彼らはいつ北極に行くのかママン」
「僕らがそれを知ってどうなるのかって気もするよアハンアハン」
「お前らもはよ帰らんかい!って俺とエルヴィスもやな。ハハハハ」
ガチくんはひっそりとトイレに籠もって感涙にむせんでいる。
「やっとロシアに帰れる……先輩たちと過ごすのは楽しかったけど、今後は距離感を保っていきたい。
もし次スレがあるのなら、たまに出てきて応援だけする立場がいい」
たぶん無理。
「えっと、その・・・え、エレーネ・・・っ」
「?」
「ま、また・・・、また日本来てね!俺待ってるから!」
「・・・うん、行くわよ?」
顔を真っ赤っかにしながら別れ際に精いっぱいのラブコールをした崇彦。
ちゃっかり手も握って、ご機嫌なことこの上ない。
(それまでにクワドを完璧にしとかないと・・・!いいとこ見せなくちゃっ!)
「ゲデ子ってGPでNHK来るよな?」
「僕もそう思ったんだけど・・・」
なんか水を差すようなので、言うのはやめておいた大輔と信成。
「お前もいろいろ大変だろうけど、頑張れよ」
「うん。大ちゃんも歌子先生の夏休みの宿題、頑張ってね」
「◇」
アボットはウサ耳カチューシャを持って、所在なげにウロウロしている。
「あのさユカ、これはもうボクらが締めくくっていいって空気って事なのかな。ラビットラビット」
「……あなたには他にする事があるはずよね?^^ちなみにイラスト描きではなくてよ?^^」
「……オー!!ノーーーーーーーーーー!!」
朝焼けの中、ウサギ跳びで去っていくアボット+自転車(+竹刀)で追いかけるユカを見送り、
ジョニ子はクスクスと笑う。
「まあ彼らに任せてもいいんだけどね。アタシも忙しいし。そう!北京行くの!
雪組の氷上結婚ショー出演よ!ああもうドキドキしちゃう!」
15年の付き合いとなるクタクタパンダちゃんを抱きしめてから、華麗に滑り始めるジョニ子。
周囲に流れるのはやはり―――「poker face」
「最高の演技で雪組を祝うわ!スレのみんなも二人を祝福してあげて!」
..◇・。..☆*。
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. ∧_∧\ / 雪組おめでとう!!
(・ω・)..∞ 祝杯を用意しました。
/ つ つ▽▽▽▽▽
〜( ノ.......|....|.....|....|.....|
しし'......⌒⌒⌒⌒⌒