フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 4日目

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1スポーツ好きさん
今日も今日とて繰り広げられるドタバタ劇。
今日は一体どうなることやら?

前スレ
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 3日目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1271067332/

過去ログ
ジョニ子の乙女ないちにち その1
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1267015878/
フィギュアスケーターズの華麗ないちにち
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/skate/1269584472/
2スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 19:32:42 ID:2bL6Qbfl
>>1
乙です。

とりあえず話すべきこと。

・長くなったウイルス編の反省会
・テンプレ製作の相談

というわけでテンプレの草案放り込んでおきます。
・スケーターたちへの尊敬の念を持って書きましょう。
・書き込む前にリロードして新しいレスがないか確認しましょう。話に矛盾が出てしまいます。
・気に入らない話の流れを批判するよりも、より面白くする流れを考えましょう。
・このスレが目指すのは大団円です。

追加と変更求む。
3スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 21:41:55 ID:CgNk0SoE
あっちで言ってる人いたけど、1スレ完結を目指すってのは入れたらいいと思う。
思えばジョニ子スレは900付近でまとめてフィナーレやらオマケのDVD宣伝やら入れつつ感想言い合って終わる
っていう流れがきれいだったし、基本あれがいいと思うんだ。
何スレいってもいいと、ダラダラと収拾つかないくらい風呂敷広げちゃう気がするんだよね。
明確な区切りがある方が書くにも書きやすいというか。
スレ容量とかの問題で、難しいのかな・・・?
4スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 21:55:02 ID:9Iq9J0kW
残り容量を意識させるように
台詞の中に残り○○Kbって時々言わせるとかw

初代ジョニ子スレは1スレあたりのレスが短文簡潔なネタフリが多かったから
容量も気にせずフィナーレを迎えられたんだと思う。
ウイルス編は長文が多かったしね。(長文が悪いって言ってるわけじゃないよ)
それで1000迎える前に容量がいっぱいになった。
1000でフィナーレって思ってたけど
800あたりで初めて容量オーバーの方が早いって気付いた人も多そう。

基本1スレ完結がまとめやすいし進めやすいよね。
5スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:01:57 ID:NVHsQZBw
一人で何レス分も続けて書かない、とかもテンプレ入れたほうがいいかな?
あと度を超えたカプ妄想ネタは自重でお願いしたい。
今までのバトル真央ネタとか、ほのぼのや笑いに着地できるのは楽しくていいんだけど、
前スレの真央が夜中に酒持って小塚の部屋に行くとか、ああいう次の人が続けにくくなっちゃうのはちょっと。
6スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:05:11 ID:68g4qZm8
>1乙。

枝葉が拡がりすぎると収拾が付けにくくなると思って
ウィルスと宇宙人の設定をしたんですが、
他の人たちが貼った伏線もなるべく拾ってつじつまを合わせたら長くなりました。
ごめんなさい。
前スレで思いっきり要らないと言われたので今回はROMと小ネタ専門でいきます。
7スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:20:15 ID:rfbyMpuH
>>1乙です

>>6
伏線拾ってくれてありがとう。
やっぱりつじつまがあってたほうが読後もいいし、あなたの職人技には感謝です。

どんな題材持ってきてもどう広がるかは職人次第だよね・・・
8スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:23:16 ID:2bL6Qbfl
1スレ完結は同意。前スレ見に行かないと話つかめないっていうのはやりづらいし。
とはいえストーリーはこうするべき!っていうしばりは極力ない状態がいいと思うんだよね。
特に明文化されるとイメージ固定されてやりづらくなると思う。
500Kbを意識して書いてもらうようDIVAにカウントしてもらうとかw
これなら主役なのに出番食われるとかなくて済みそうw

妄想を超えたカプネタもなあ……例えばライサとバトルがプルシェン子に惚れてたのはもう完全にネタじゃん。
小塚織田未来真央あたりはちょいと暴走気味っていうのが大方の意見なのかな?
自分はやりすぎだと思った。
ただここを区切るテンプレってどういう言葉がいいのかな?
意見求む。

追加としては
・1スレ(500KB)で完結を目指して書いていきましょう。


後個人的には、名無しのモブキャラや固定キャラを増やしたくない。長老とか孫とか飼育員とか。
このあたり動かすとなると設定が増えまくるし。
ちらっと登場の温泉のおばあちゃんくらいならOKだけどずっと出てくるようなのはどうかと思う。

>>6
うまく拾ってくれたのに感謝。ここは終わったあとの反省会であり次につなげる場所。
そんな書かないとか言わずに、いいネタを頼みます(プルの夢あたりで長文かきまくってた職人G)
9スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:35:35 ID:GK2kkXJQ
>>1

それではカウント係はDIVA担当ってことでww
重要な意味を持つ登場人物は出来るだけスケーターだけでおさめたいかなって思う。
それだけでもある程度の制限がかかるから
うまく1スレでまとめられそう。
10スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:56:15 ID:NVHsQZBw
>>8
プル子ネタは自分もおもしろかったし、完全ネタで終わるからいいんだけど、
未来デーとかこづ真央とか一部ちょっと生々しい?のがあったなあと。
天然真央にみんなが振り回されるとかはほほえましいんだけどね…
まあその辺は個々の良識に任せて、雲行きが怪しくなったら軌道修正する感じでいけばいいかな?
11スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 22:59:21 ID:dtsUR2WC
うーん…クリプトン星の文化がどうのとかウイルスの性質がどうのとか
スケートとあんま関係ない設定が深まるにつれてどんどん書き込みづらくなった
頑張って書いてくれた人には悪いけど…
12スポーツ好きさん:2010/04/28(水) 23:14:27 ID:eeKt8aJg
やっぱり基本ギャグネタで
シリアスはちりばめる程度ってのがいい気がする

長文が×なわけではないが、
長文のレスで畳み掛けられると展開が狭まる気がするんだよね
創作スレ行ったほうがいいんじゃ?って展開にはならないでほしいかな
13スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 00:04:29 ID:EL5hPsME
・設定増やしすぎた(長老他モブキャラ含む)
・シリアス成分多すぎた(基本ギャグがいい)
・妄想カプネタ自重
・長文悪いわけじゃないけど連レス含めて一人で長く書くのどーよ

が大方の反省点ってことでよろし?(一番↓が胃に来た職人G)
カウント係もDIVA担当でいいのか?

参考
ジョニ子スレから生き残っている設定
ジャンプで世界中移動可能:4回転ならかなりの長距離移動可能。3回転でも近距離ならOK
プルの宇宙船:大人数移動に利用。「かくちーかくちー」で呼び出せるトリノメダル型UFO。
スケート力(ちから):よくわかんないパワー。ごく一部がこれで変身したり変なことしたり。
ライサは黒すぎてry:オチの美しいかたちとなっていた。

ウイルス編で出てきた設定
クリプトン全般。

ジョニ子からの生き残りだけ残してやるのがいいのかな?
14スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 00:11:21 ID:7Lp6cHwR
クリプトン星関連は全部消えちゃったでいいんじゃないかなあ。
長老や孫はいなくなったし飼育員は帰ったしウィルスは消えたし、もう出てこないだろう。
円盤残すなら出身星は……くらいのネタならいいんじゃないか。
15スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 00:54:01 ID:QlAdgF4t
職人Aです。
クリプトン星はもう消滅してるし、エフゲーニヤももう眠りについてるし、
引き続きロシアの国家機密って事で表面には出さなくてもいいんじゃないかと思う。
ただし、流れで収拾がつかなくなった時用の「引き出し」として残しとくことを勧めますw

架空の人物については、前々スレ序盤で「黒幕」の存在をあれだけ臭わせておいて、
結局は実在の組織や人物を黒幕に設定する事が出来なかったよね。
そういう時に重宝するので、本当の悪人を出す場合にはあってもいいかな・・・。

今回はゆる〜く参加します。
それこそ大輔にミネラル麦茶歌わせたような勢いでw
16スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 00:55:00 ID:K/QGneoR
あ、あと前スレで修正してくれた人いたけど、某国云々とか陰謀論とかそういうのも絡めるのナシで。
あとは>>13>>14さんの反省点をもとにやるってことでいいんじゃないかな?
17スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:04:49 ID:EL5hPsME
なんかさっぱりまとまったような……あんまり反省でスレ使うのもなんだし再度まとめ。

次スレ用テンプレ案
・スケーターたちへの尊敬の念を持って書きましょう。
・書き込む前にリロードして新しいレスがないか確認しましょう。話に矛盾が出てしまいます。
・気に入らない話の流れを批判するよりも、より面白くする流れを考えましょう。
・妄想カプネタは自重。
・一人で連続レスや長文は控えること。
・1スレ(500KB)で完結を目指して書いていきましょう。
・このスレが目指すのは大団円です。

前回の反省点>>13>>14参照
DIVAのカウントは最初100ごと、半分の250から50刻みってのはどう?
100超えした時点の次のレスの人が書いていくということで。
実際に書き込まないと超えるかわからないから。

OKなら続けてネタ投入しちゃうぞ! OK!?(落ち着け
18スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:07:28 ID:K/QGneoR
>>17
おkカモン
19スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:16:15 ID:EL5hPsME
ある日、ジョニ子と未来は日本のテレビ番組を見ていた。
世界中の温泉を女子タレントが巡るバラエティだ。
「へー、ONSENって日本だけかと思っていたけど、世界中にあるのね」
「きれいになれるのかー。この3人見てるとちょっと信じられないけど」
きれい、という単語にジョニ子はびびっと反応した。
「そーだわミライ! 私たち二人で世界ONSEN巡りしない!?」
「え!?」
「湯けむり美女殺人事件! ONSEN! DIVAの血が騒ぐわ〜」
「ちょっとまってジョニー。どこで火サスなんか……私が見せたんだった!」
「そうと決まったらさっそく行くわよ〜! 日本にはいっぱいあるんだから別のところいきましょ!
ヨーロッパなんてどうかしら!」
「ええ〜!?」
こうして、未来はノリノリのジョニーに連れられて、世界温泉旅行に旅立つこととなった。
20スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:38:14 ID:K/QGneoR
突然の提案に未来は困った。
(いくら私でも2人きりで振り回されちゃ身が持たないですぅ…)
うきうきとヴィトンに荷物を詰めだすジョニ子。未来は慌ててそれを制止する。
「ちょっと待ってジョニー。いくらなんでも2人きりはちょっと…」
「いやあね未来。バンクーバーでは同室だった仲じゃないの。なにをイマサラ(ハアト)
大丈夫よ、水着着て入ればいいんだし!」
「いや、ジョニー相手にそういう心配は一切してないけど、でも、うーんと………
そうだ!真央ちゃんたちも誘ったらどうかな?
前にシーズン終わったら温泉でのんびりしたいって言ってたし!
(ここは小塚くんにお守りを任せるのが一番だわ!未来あったまイイ〜)」
21スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:40:03 ID:X8KgEvWT
そういえばソチも温泉だね
22スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:54:52 ID:j1YtAFvW
開始早々で申し訳ないのですが、
1レス5〜6行までにしたほうがいいんじゃないかなと
思いました。
23スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 01:59:21 ID:xg3fJyIP
そのころの日本、とある汚部屋。
自分の部屋でくつろいでいた小塚崇彦は急に寒気を感じた。
(…あーもう!また何か面倒な事に巻き込まれそうな予感がする…。)
予感が的中したのか、タイミングよく携帯電話が鳴る。
画面には浅田真央と表示されていた。
24スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 02:08:18 ID:mul/SGgj
会話文とか改行を考えたら10行以内でいいのでは?
25スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 02:12:39 ID:EL5hPsME
前スレには横の行の長さそろえて書く人もいたから行でしばるのはやめといた方がいいと思う。
書き方でいかようにも変えられるわけだし、行が短けりゃいいってもんじゃないでしょ。
26スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 02:15:47 ID:xg3fJyIP
>>22>>24
何行まで、なんて決めたらそれこそ書きづらくなると思うよ
>>17にも長文控えろとはあっても、それはいれなかったんだし個人の裁量に任せてはどうか?
27スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 02:27:24 ID:j1YtAFvW
4〜5行はないよね。すみません。
初代スレのシュールな流れが好きだったので。
28スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 02:45:47 ID:mul/SGgj
制限はないならない方がいいね。
29スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 04:28:23 ID:uQsGTP8j
火サスといえばADSLw
30スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 08:06:47 ID:VMqxnlhL
ジョニ子「まずはダーツで行き先を決めるわよ。ジョニ子と未来の笑ってコラえて、世界の温泉ダーツの旅!」
未来「パピプペパッソ!パピプぺパッソ!」
ジョニ子「それなんか気が抜けちゃうからせめて昔の掛け声で」
未来「パ・ジェ・ロ!パ・ジェ・ロ!」
31スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 08:36:48 ID:Y+0zoV/8
新ストーリーキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

>>30
ww番組ちげぇw
32スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 08:46:31 ID:Cbv4f7NX
色々誤っているが、何しろアメリカ人二人がやっていることなので気にしてはいけない。
さておき、ジョニ子の投げたダーツは、未来の思惑が通ったのか「Aichi, Japan」に刺さり、
世界温泉旅行スタート地の案内役として、近くのリンクを拠点とする小塚や真央たちに白羽の矢が立ったのであった。

「未来ちゃんたち、もうすぐこっちに来るって。みんなで温泉、楽しみだね!」
はしゃぐ真央の声に、小塚は「OKした覚えはないんだけど…」と突っ込むこともできなかった。
33スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 09:04:11 ID:03+rOg0h
「さあ!そうと決まったら準備しなくちゃね」
ジョニ子はいそいそと準備を始める。
「えっと…まずは薔薇の香りのバスソルトでしょ…それと」
「ちょっと待ってよジョニー、そんなもの温泉に入れたらどうなると思ってるのよ!」
硫黄+薔薇のコラボレーションを想像してぞっとした未来が思わず止めに入る。
34スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 09:13:03 ID:7Lp6cHwR
「あ、真央ちゃんからメールだ〜。あれ?たかちゃんも誘ったんだって。
 どうするジョニー、私たちも他の人達を誘う?」
「他のって……レイチェルとか?まさかエヴァンにアボット?」
「あ、ユカさんなら温泉とか美味しいものとか詳しいかも〜」
35スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 09:54:50 ID:yEz6qjqI
女二人(?)でトントンと計画が進むのを見て頭を抱える小塚は、ぼそっと呟いた。
「Aichiの温泉に行くにはさ、確か有名な心霊スポットのトンネルを抜けないといけないんだよね・・・・」
固まる女二人(?)
「ちょっと・・・・、なによ心霊スポットって・・・。ガイドブックに載ってなかったわよ・・・」
「そーゆー情報は載せないと思いますぅ〜〜〜〜」
固まる女二人(?)のために、小塚は強力なサポーターを呼ぶことにした。
36スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 10:34:44 ID:xg3fJyIP
>>35でなぜ崇彦と真央がアメリカで準備中のジョニー達のところにいるのか?
それは「ねぇ、迎えに行ってあげようよ!
崇ちゃんの四回転で!」
という、真央の(小塚にとっては)余計な一言のせいである。
ぶっちゃけ面倒な小塚はジョニー達を旅行に行かせない為、嘘の情報(幽霊)を流して地味に抵抗していたのだ。
(強力な助っ人…常識人を呼べば自分の負担もちょっとは減るかな)
37スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 11:32:30 ID:n1srHxq8
「ん?そもそもスケーターに常識人なんているのだろうか。」
小塚は今までのあ〜んな事件やこ〜んな事件を思い返していた。
「なんで自分だけいつもこんな役回り・・・ぶつぶつ。
 俺だってたまにはいっそトラブルをおこしてやりたい・・・ぶつぶつ。」
そのとき愚痴りまくる小塚の生え際になんと出来物が!
38スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 11:35:21 ID:9hDUwnxN
その頃のリード姉弟家。

クリス「……、で、姉上。次のODのニンジャ衣装でござるが…」
キャシー「もう!ちょっと!そのござる言葉いい加減止めなさいよ!前スレはとっくに終わってるのよ!」
クリス「止めないでござる!拙者らは『ニホンダイヒョウ』でござるよ。日本の心…すなわち『ござる』でござる!」
キャシー「ああっ、もう!飽きれるわ…」
クリス「昨晩徹夜して、キャシーにぴったりの日本の『くノ一』衣装を見つけたでござる!
しかも、『ニホンダイヒョウ』のでござる!!」
  ttp://www.epochtimes.jp/jp/2006/07/img/m57425.jpg
キャシー「……………これはありかも……」
クリス「そう言うと思ったでござる!(ニンマリ)それからなんと!拙者にもぴったりの衣装を発見したでござる!!」
  ttp://toyama.cool.ne.jp/pleasureworld/samu2garu2.jpg
キャシー「…………これって、…もしかしてゲームキャラ?」
クリス「そうでござる!信成殿も『すーぱーまりおぶらざーず』を演じているでござる。ゲームキャラを演じるのは
今がナウなのでござるよ。拙者の金髪といい、姉上のとの色の組み合わせといい、ぴったりだとはござらんか?」
キャシー「あのねぇ。あたし達はコスプレーヤーじゃないのよ!!!それにノブが忍者は黒!って言ってたでしょ…(飽)」

嗚呼、それよりちゃんと日本語も勉強しなきゃ…NHKのインタビュアーの怒濤の日本語質問攻めを攻略しなきゃ…
いくらハーフでも、未来と違って下手なのに…。
39スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 12:55:33 ID:QlAdgF4t
「今がナウ」がツボったwww
「あきれる」という漢字は「飽きれる」ではなく「呆れる」ね。

ところでこのスレはsage推奨とかそういうのはないのかしら。
40スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 14:34:22 ID:MILx3mB8
少なくともageる必要はないよね
41スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 14:50:16 ID:9hDUwnxN
下げます
申し訳ありませんでした
42スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 15:29:20 ID:EL5hPsME
(プルシェンコさん…却下。むしろ女湯覗きに来る。ヤグディンさんもダメ。ライサさんもダメ。ジェレミーさん……ユカさんがいるから呼べないか。
大ちゃんはストッパーにならない。織田くんもダメ。キャンデ……ダメダメ)
「崇ちゃんどーしたの? お腹すいたの? お菓子食べる?」
「お菓子……そうだ!」
小塚は早速電話した。
「バトルさん、温泉旅行行きませんか!?」
確かにいい選択だ。
43スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 15:53:37 ID:Suz2wysY
“真央がいるなら僕も行く”

目元を緩ませながら携帯の待受け(真央)を見つめるバトルは即答だった。
44スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 16:09:39 ID:Q6fR1GOT
大輔の携帯にメール着信。

(はいはい、誰かのお誘いかな〜…)

『from:アドリアン
 to:ダイスケ
 subject:おはこんばんちわ』

(アドリアンか…何だろう?)

『message:

 Hi、ダイスケ!前スレではおつかれさまでした。
 ところで質問があるんだけど、
 “火サス”って何?
 先輩にも訊いてみたんだけど、
 “日本人に訊いた方がいいよ”って言うから、
 ダイスケにメールしてみました。』

(…何で今頃…火サスプロっていつの話だよ)
大輔が脱力していると、またメール着信音が鳴った。

『PS:
 火サスって、それ食えるの?』

さらに脱力する大輔。
45スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 19:04:01 ID:Y+0zoV/8
バトルはさっそく旅行の準備をした。
もちろんリュックの中をお菓子でいっぱいだ。
真央に会える嬉しさで思わず
「真央と行く温泉旅行の準備してるなう:)」
とツイートした。
46スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 19:43:16 ID:peQz3aeN
「真央〜!!」
準備を終えたバトルは早速ジョニ子家へ飛んできた。
早速「再会のkiss」をしようと迫ったバトルだったが・・・・

バシ〜ン・・・・

額にかなりの衝撃を受けてひざまづく。
「いたた・・・今のは・・・?」
「あれ?バトルさん、お久しぶり〜。今疾しいこと考えてなかった?」
何事もなかったように挨拶する真央。しかしその手にはEX仕様の扇子が握られていた。
「いや何も・・・」
戸惑うバトル。そんな彼の腕をとり、小塚は奥へ連れて行く。
「小塚?どうしたの?」
「いや〜実はさ・・・」
小塚の説明によると、五輪終了後の取材で「恋をしたい」発言をしたことで
一部の熱狂的ファンからの交際申し込みが殺到。
困った真央から相談を受けた小塚は
「怪しい奴がいたらとりあえず叩け。」と適当にアドバイスしてしまった。
以来、疾しい感情を感知すると取り合えず扇子で威嚇するようになったそうだ。
「・・・まぁ、タラソワ先生も悪い虫には気をつけろって言ってたみたいだし。」
「そうか・・・」
しかし、バトルは思った。
(ここで真央を悪い虫から守れば・・・・もしかしたら真央を振り向いてくれるかも・・・)
「安心しろ、小塚!僕が責任を持って守る!」
「え!ホント!助かるよ!」
そして小塚は女性陣に向き直る。
「みんな〜!!バトルさんが責任を持って僕達守ってくれるって〜!!」
「(!!!みんなとは言ってないぞ〜!)」

かくして、多くの不安と、ちょっとの期待を持って最初の目的地に旅立つ五人であった。




いきなり長文ですみません。
47スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 19:56:58 ID:7Lp6cHwR
ここはロシア。
ツイッターを見つめる女性がいた。ヤナである。
「あらジェーニャ。マオとバトルが一緒に温泉に行くみたいよ」
「えー!いいなあ!僕も温泉行きたいよ!サウナ!プレステー!
 しかもマオと一緒だなんてうらやましい!」

こちらはアメリカ。
「今日も呟き…あれ?マオとバトルが…?」
「ジェレミー^^またジャンプの練習サボって何をしてるのかな^^?」
48スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 19:57:13 ID:xg3fJyIP
バトルのツイートは北米を中心に世界のフィギュアファン、スケーター達に衝撃を与えていた。
もちろん浮かれてるバトルはそんなこと知ったこっちゃない。

ツイッター中毒のアボットもすぐに気付き、びっくり変顔で
「ユカー!!これ見てくれよ!!」と叫んだ。
「…練習しないでま〜たツイッター見てたのね^^」
ユカに叱られたのは言うまでもない。
49スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 20:00:47 ID:xg3fJyIP
>>47ゴメン被ったorz
50スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 20:08:03 ID:IVraMsUs
こちらフランス。
ツイッターの画面を前にワナワナと震える男性がいた。

そう、ご想像の通り。
真央のゴッドファーザーことキャンデロロである。
「バトルこいつめ!好青年っぽいからアイツはだいじょぶやろ、
ジェーニャみたいに節操無いことはせんやろってタカくくってたんがあかんかったわ。
ワシのかわいいマオと!よりによって温泉!温泉やとー!!!
嫁入り前の大事な娘になにする気やあああ!
こりゃあかん!おとうちゃん黙ってへんでええええ!!!」

ロロは慌てて旅の仕度を整えた。もちろん武器も忘れない。
武器とはジャングルジョージで使用したあの骨である。
そして真央にはメールをしておいた。
「かわいいマオ、君の三銃士ことフランスのお父さんだよ!
優しそうなお兄さんがお菓子をあげると言ってもついていってはいけないよ」
そしてロロは華麗な3Aで跳びたった。
51スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 20:50:04 ID:MILx3mB8
テンプレ決めたんだから考慮しようよ
52スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 21:19:44 ID:K/QGneoR
別にテンプレ違反してるようなレスは見受けられないけど…
53スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 21:28:47 ID:Hws+S4Cx
>>51は長文のこと言ってる?意見があるなら明確にしてほしいな
ちなみに自分はこれまでのレスに長文はまだないと思ってるし
そもそもこのスレにおける長文の定義ってなんだとふと思った・・・

行が多いから長文ってのは違うと思うんだ。読み流せないほどの文量のものを
長文って云うと思ってたけど・・・

見当違いだったらごめんね
54スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 21:29:57 ID:akIcIAIR
カプネタっぽいのがあるってことでは?
55スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 21:43:45 ID:03+rOg0h
「書き込む前にリロードしようよ」じゃない?
56スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 21:49:45 ID:xg3fJyIP
>>55
言い訳がましいけど直前にリロードして被っちゃったんだよ
それども駄目かな?ゴメンもうROMる
57スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 21:54:19 ID:+qmwNCEb
>>56
気にすんなー。数分も間があるならリロって書けよっていうのもわかるけど
15秒差はどうしようもないって。また書いてね。


「ちょっとー。なんで目的地に一発で着けないのよ。もう疲れたわーっ」
山道を歩きながらジョニ子が文句を言う。
目的の温泉は真央が名前を見て一発で決定を下した。
犬山温泉である。
地図でだいたいの場所を把握し、小塚のクワドに託したものの
着いたところは山の中。
ここからは歩いて行くしかないのだ。
「そんなこと言われても…だから名古屋まで飛んでそこからは車で行こうって言ったのに…」
「知らないわっそんなの。温泉まだー??」
その意見に反対したのはまさに今、文句を言い続けているDIVAなのだ。
車でちんたら行くより一発で温泉地に行きたい、待てない、連れて行け。と
バトルのお菓子を四方八方に投げつけながら大反対したのはほんの1時間前のこと。
「あーっもう!」
山道はまだまだ続く。
58スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 22:38:10 ID:03+rOg0h
>>56
私の書き方が悪かったために嫌な思いをさせて申し訳ありませんでした。
あなたを個人的に責めるつもりは全くありませんでした。
>>51は何が言いたいんだよ〜的な意図で書いたものです。)
どうかお気になさらないでください。
59スポーツ好きさん:2010/04/29(木) 23:24:09 ID:QlAdgF4t
文句を言いながら山道を歩いていくと、なにか施設がある。
周辺をぐるりと回って入り口を探す一同。
そこは犬山モンキーパークだった。

「ちょっと中に入ってみよう」
入場料はもちろんバトルが払った。

中に入ると大きな類人猿の檻があり、中のサルが
「師匠・・・はよ迎えに来てーな」と言いながらすすり泣いていた。
60スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 00:16:44 ID:xVQ7lou0
「……あれ?」
小塚とバトルは首をかしげた。類人猿の言い方や声に聞きおぼえがある気がしたのだ。
「あら、もしかしてブライアン?」
ジョニーが言うと、類人猿がくるっと振り向いた。
「ジョニー!?」
すぽっと類人猿の頭が外れる……いや、着ぐるみだったのだ。
中から現れたのは、フランスのジュベールだった。
「一体何してるの? ブライアン」
「キャンデロロ先輩にゴリラ役頼むって着ぐるみ渡されて……ついでに4Tで日本まで運べって」
「何のために?」
「僕にもわからないよ」
61スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 02:11:07 ID:iyAjIrlK
とりあえず係員に説明してジュベールを檻から救出した一同。
「とりあえず着ぐるみ脱いだら?動きにくいでしょ?」
「確かにそうだな、…よいしょっと。」
着ぐるみを脱いだジュベール、やはり白鰤一丁だった。
62スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 08:15:39 ID:Xlern8P9
「『日本まで運べ』ってことは、キャンデロロさんもこっちに来てるんですか?」
また面倒が増えそうだと内心思いつつ、小塚は尋ねた。
「ああ。そのはずだよ」 ジュベールが動物プリントのシャツに着替えつつ答える。「ちゃんと着けてればね」
「ちゃんと?」
「…日本まで飛ぶ途中に、落としてきちまったんだ。だから、今はどこにいるか分からない」


(議論用?のようなスレが立っていたのでURL貼っておきます
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/ )
63スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 08:56:29 ID:LKj3Rx3H
ジョニ子は言った。
「まあロロのことだから大丈夫でしょうけど、それにしてもどうして日本へ?
彼が突然日本に来る理由なんて真央くらいだけど、今回はジェーニャはいないし…」
もちろんジョニ子はバトルがうきうきでツイートしたことなど知らない。
「それにしても…」ジョニ子はチラリとブライアンを見やる。
「ナニそのシャツ!やだやだその美的センス、アタシには無理!フランスではそれが流行りなワケ!?」

後方ではバトルが「はい真央、お菓子だよ!」と食べっこどうぶつを差し出している。
ロロのメールを見た真央は受け取るべきか逡巡していた。
64スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 10:28:15 ID:xVQ7lou0
「ねーねー温泉はー!? アタシつかれたー!」
「どこに泊まる予定なんですか?」
ジュベールを檻から出した係員さんが聞く。
「犬山温泉○○ホテルというところです」
「あそこか。ちょいと地図だして。迷いやすいんだよね、あそこ」
「ああ、ありがとうございます!」
迷った時は地元の人に。係員さんは丁寧に道順を教えてくれた。
「もう少し見てから行く?」
「真央お腹すいた」
「つーかーれーたー!」
というわけで、ジュベールを加えた一行は(男3人女子2人とDIVA)はモンキーパークを後にし、無事目的地についた。
(お願いだからこれ以上人増えないでくれ……せめて日本にいる間はこのままで……)
(キャンデロロさん、おいしいお菓子手に入れたからついていかないでって書いたのかな? でもご飯は食べていいよね)
小塚の願いは届くのだろうか。
65スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 10:49:25 ID:YPeUqCHQ
その頃、名古屋に降り立ったロロはとりあえず漫画喫茶で休憩する事にした。
日本語は全く読めないが、「今月のオススメコーナー」に置かれた漫画に
ロロの目は釘付けになった。
スケートの衣装に身を包んだ女の子が高々とジャンプしている絵柄だ。
ロロには読めなかったがその漫画の表紙にはこう書かれていた。

「フィギュアスケートスーパースター列伝 第一巻 原作:梶原 三騎 作画:原田久 イニ信」

梶原三騎が嘘と誇張をちりばめつつエンターテイメント作品として世に送った、
知る人ぞ知る幻の名作である。
「お?なんやこれ。この主人公はミドリイトウやんけ。お、これはカタリーナ・ビットかいな。
これはクリスティーヤマグチやな?顔よう似とるわー。
こらおもろそうや、誰かフランス語に翻訳してくれへんかな」
66スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 14:12:10 ID:Y5PeJJoj
>>65 キターw)

…ダイスケから返信が来ない。
俺なんかマズイこと聞いちゃった?

ADSLは、とりあえずべるるんに電話してみた。
「あ、先輩?俺ですけど」
「アドリアン?どうした?」
「『火サス』のこと、ダイスケにメールしてみたんですよ。そしたら返信がなくて」
「へえ、なんだろね」
「…もしかしたら、激ヤバなことなのかもしれないっすよ」
「ふーん…ダイスケと仲いいんだ?」
「いい人ですよ、熊本に連れてってくれたし(前スレ)。前、合宿でも一緒だったでしょ」
…懐かれてるぞ、大輔。
「そっか…あのーアドリアン?悪いんだけど…僕今すごく忙しいんだ」
「あ、そうでしたっけ」
「『火サス』について、僕が知ってることは何もないし…ホントごめんね」
「いや、俺こそすんません。それじゃ」

通話を切った後、『火サス』の謎を解くために、ADSLが日本へ…
…は行かないような気がするな。
とりあえず、食い物ではなさそうだ、ということはわかった、まあいいや。
ちなみに大輔が返信しないのは、脱力しまくって質問自体を忘れてしまったためである。
67スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 14:28:34 ID:S2DQmmO2
同時刻・大阪。信成が前日の朝刊を読み返している。

信成「『織田信長の蒸し風呂発見』ってへぇー、御先祖様自分の家に蒸し風呂なんて作ってたんや。
俺もとーぶん先やけど、濃姫(仮)との新居には蒸し風呂つけて…いやそれより温泉がええかなぁ」

ここにも温泉に思いを馳せるスケーターが一人。
68スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 16:09:15 ID:AyI5BKMh
ジョニ子が「ONSEN」を強く求めたことによって
無意識のスケパシーが発動したのだ。
そのため、世界中のスケーターたちが今、
なーんとなくお風呂に入りたい気分になっているのである。
69スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 16:21:51 ID:Sl598GdN
ちなみに犬山の温泉は無色透明の単純泉
腐った卵の匂いがぷんぷんする温泉を想像するとがっかりするかもしれない

温泉に入りたい気分めいっぱいのスケーター達が、がっかりする時は近い、かも?




しかし大丈夫
国宝犬山城が待っている
余談だが、真冬・天守の最上階をぐるりと一回りすると、
木曽川から吹き付ける強風で吹き飛ばされそうになるので、
ちみっこい子は要注意だ
70スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 16:36:42 ID:QboDMfSA
さて犬山温泉○○ホテルに着いた一行。
手回しのいい小塚がきちんと2部屋予約しておいた。
予定の人数より1名増えたが、和室なので布団を一枚多く引いてもらうだけでOK。
なお、部屋割は男子部屋(ジュベ・バトル・小塚)女子部屋(未来・真央・ジョニ子)である。
誰も異論はない。
「日本のONSENってどう入るの?」
「皆で入るの。おっきな浴場があるんだよ」
「面白そうね〜」
(え〜っと、確かONSENに入ったら歌うのよね♪ DIVAの美声、皆に聞かせるわよ〜!)
ただしお風呂は男湯に入るジョニ子である。
71スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 16:53:23 ID:YPeUqCHQ
ジュベが浴衣に着替えて温泉に向かおうとすると、
携帯電話が鳴り出した。

「おぅ、ブライやん、わしなんとか名古屋に着いてんけど、どないなっとんねん?」
「あっ、ロロ師匠。落っことしてもうてえろうすんまへん。
僕も大変やったんですよ、サルに間違えられて檻に入れられましてん」
「うわ、そら災難やったな。ほんで、今はもう出して貰えたんか?」
「はい、なんとか。ジョニーやら小塚やらが偶然見つけて助けてくれましてん。
ああ、真央もおりまっせ。今は犬山の○○ホテルで温泉に入ろ思てます」
「おー、ええなぁ。ほなわしも今からそっちいくよって、待っとれ」

ロロは部屋番号を聞いて電話を切った。
と思ったら、華麗な3Aで部屋になだれ込んで来た。
男部屋おひとり様増員である。小塚の願いは儚く消えた。さあ夜は枕投げだ。
72スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 17:28:27 ID:jmCstdpQ
女子部屋にジョニ子を誘いに行った小塚。
真央と未来は浴衣に着替えていた。が
どうやらジョニ子に合うサイズの浴衣が部屋に用意されてなく
仲居さんが届に来ているようだ。
その仲居さん、誰かに似ている。
あれ、どこかで会ったような・・・
レピストさんにそっくりだ。心の中で小塚はそう思った。
73スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 17:39:27 ID:FB6mdHUl
「なんや、こんな大人数やったんか。わしゃあてっきり二人っきりやとばかり…」
ほっと胸を撫で下ろすロロ。どこから調達したのか、素手に浴衣姿である。
「んなわけありますかいな、キャンデロロはん。僕はそんな疚しい人間とちゃいます」
バトルが憮然として返す。そんなやりとりを見て、師匠がやけに焦っとったのはそういうことか、とジュベールが納得した時、
「Excuse me…」
日本の温泉に似合わぬ英語の挨拶と共に、またもそぐわない金髪の美人仲居が入って来た。
74スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 18:40:09 ID:iyAjIrlK
この金髪美人…まさか
「もしかして…キーラさん?」
こんなところにいるわけないと思いつつも、小塚が尋ねてみると
「やっと気付いたわね!
あなた、さっきラウラにもあったでしょ?
彼女気付いてもらえなくてちょっとへこんじゃったんだから。」
ニコッとキーラは笑って答えた。

「やっぱりさっきのはレピストさんだったのか…!
な、なぜこんな日本の、しかも温泉で働いてるんですか?」
75スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 19:18:37 ID:gtQ+7TDo
忙しい、とは言ったものの、ベルントソン家の長男であり、
現SWEフィギュアスケート界の長兄あるべるるん。
自分を頼ってきたADSLに対して、お兄ちゃん心がうずく。
気づけば大学の単位取得の勉強もそこそこに、『火サス』調査をはじめていた。

「カサス、KASASU?なんのことだろう……」

幾つかの単語を組み合わせたりして、思いつく限りで検索をしてみるものの、一行にわからない。

「こういうのは日本人に聞くべきなんだろうけど……僕はあまり彼らと親しいわけじゃないし」

イエテボリワールドでみんなでフィーバーな写真を撮影したはいいものの、
なんとなく弟や妹たちと写真を撮ったようにも思えていたべるるん。

「……トマシュだったら日本の知り合いが多そうだし……トマシュを介して聞いてもらうのがいいかな」

小さく頷き、べるるんは携帯電話を取り出した。
76スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 19:27:16 ID:H8Zt3yoB
「真央ちゃん、見て見て。お庭に大きな池があるよ」
部屋の外に見えるのは大きな池つきの庭園。
「タカちゃんが奮発して一番いいお部屋を予約してくれたのかなー」
予約の電話をしたのは小塚であるが
予約名はジョニ子名義である。
呼び出されただけなんだから支払う義務はない、と心の中で強気に出てみた。
支払いで揉めたらその時は真央と未来をつれてクワドで逃げよう。

早速未来と真央は庭に飛び出す。
「パンフレットにはホタルも見られるってあるよ。あーでも今はまだ見られないんだって。残念」
「あっ巻き貝がいる、カワイイね」
「真央ちゃん…それ多分タニシ……」
77スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 19:51:18 ID:LKj3Rx3H
真央「タニシってライサチェックさんが好きなアレ?」
78スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 20:59:10 ID:qoK7OnP6
「KASASU……? ちょっと待ってくれ」
 べるるんからの携帯電話を受けたトマシュ。彼は
日本語が漢字とカタカナとひらがなで成り立ってい
ることを知っている。べるるんがメールで送ってき
た「火サス」という文字を見れば、おのずと正解に
たどり着く。自信に満ちた口調で、彼は言った。
「KAとは火。つまりFireのことだ」
「じゃあSASUは?」
「刺す。火のなかに刺しこむものといえば、暖炉の
火掻き棒や、マシュマロのことじゃないか?」
「なるほど。参考になったよ、ありがとう」
 やはりトマシュに尋ねて正解だった。べるるんは
満足げな笑みとともに携帯電話のスイッチを切った
79スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 21:47:14 ID:iyAjIrlK
>>78
改行変じゃない?

「あらっ、あの仲居さんはラウラだったの!?
似合い過ぎてたもんだから気付かなったわ〜。
ま、アタシもユカタもキモノもばっちり似合うけどね☆」
男風呂に行くため、小塚と共に男子部屋に来たジョニ子、同じく気付いてなかったらしい。

「Aichiにフィギュアスケート選手が多いって聞いて二人でちょっと旅行に来たのよ。
それでここに泊まったらラウラが『女将』にピッタリの顔らしくて、
GW中だけ働いて下さいと頼まれちゃったの。
『こんな美女が二人も居れば客も喜ぶからどうしても』って言われて…断れなくて。」
照れながらこうなったいきさつを話すキーラはやはり美しい。
「うんうん、確かに美人はえぇもんや。よー分かる!」
なぜか強くうなずくロロであった。
80スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 21:49:59 ID:gtQ+7TDo
その頃のロシア某スケートリンク
大音量で流れるカリンカに、ヴォロノフは圧倒されていた。
差出人の分からない手紙を読んで、ここまでやってきた。
「ガジェンガガジェンガガ♪」
「ジェンガマヤ♪」
「……アンドリュージャ、チョーマ……何やってるのさ」
スケートリンクの脇に腰をおろし、鼻歌交じりにジェンガで
遊んでいたのは、ルタイとボロデュリンだった。
妙に楽しげに歌いながら、交互にブロックを抜いている。
「セリョージャ、やっと来たんだね。待ってたよ」
「三人になったならスリルが増すな!ほらセリョージャも座れよ」
やたらと上機嫌な二人に、ヴォロノフは眉をひそめる。
それはジェンガだ。カリンカみたいに唄うな。
しかしツッコミを入れたら負けなような気がしたヴォロノフは、口をつぐむ。
「何やってんのさ」もう一度、ヴォロノフは問いかけた。
「リョーシャ先輩に言われてさ、練習してるんだ」
「練習?ジェンガを?」
「温泉旅には宴会芸が必須なんだっ!ってメラメラ」
「……宴会芸?温泉旅……?」
ジェンガが?
そう続けようとして、やっぱりやめた。
一体なにがどうなってるんだ?
81スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 22:35:35 ID:QboDMfSA
>>79
きちんと文書くときは冒頭1マス下げるっしょ。気にしない。ハンコテなるが。

さて、6人とホテルから早めのお休みをもらった北欧美女二人はONSENへ。
女湯はアメリカ暮らしが長くて浴場マナーを忘れ気味の未来に、北欧二人がマナーを教えるというほほえましい光景が繰り広げられた。
真央ちゃんはさっさと脱いで湯船にジャボン。純和風総ヒノキ作りの露天風呂が気に入ったみたい。
一方男湯は・・・・・・小塚が苦労したがなんとかした。他のお客さんがいなかったのは小塚にとって幸せなことだろう。
「や〜ん、おっきなお風呂って足が伸ばせていいわね〜」
「ジョニーさ〜ん、やっほ〜!」
「あら、この木の板の向こうなのね!」
男湯と女湯は木の板一枚で隔てられているだけで、お互いの声が届く距離だった。
(マオちゃんの声がする……)
(バトやんめ、マオちゃんに手ぇ出したらただじゃすまさんぞ……!)
この二人はお互いがけん制しあって何もしていない。
82スポーツ好きさん:2010/04/30(金) 23:34:39 ID:azZirpAk
その頃、スイスのランビエール宅では
ランビがamazonでエッチな本やDVDを物色していた。
前スレでいくつかのコレクションが吹き飛んでしまったからである。
ちょっと数を増やしたくなったのだった。
「お、この女の子かわいいな〜。日本の着物着てるぞ。
 えーと、本のタイトルは…『妖艶女将のおもてなし』。
 ん〜この『女将』ってどういう意味なんだろう?OKAMIって読むらしいけど…」
83スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 00:37:46 ID:BGYk++nm
北米を中心に広がっていったバトルのツイート。
ここにも一人、それに衝撃を受けたヒトd、否、スケーターがいた。
爛々と瞳を燃やし、浮かれるバトルのツイートを見つめる……
Pちゃんである。
「真央と行く温泉旅行の準備してるなう:)」
いつでもどこでも和気藹藹、仲良し日本人スケーター達のことだ。
真央だけじゃない、あのワールドでほんの少し仲良くなった大輔も
いるに違いない。
しかし浮足立って合流するのも癪だった。
「誰かを誘っていけば、そう、不自然じゃない風に合流……XD」
心の呟きをそのままツイートする。
「偶然を装うんだパトリック。誰を連れていけば問題ないか……」
84スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 00:47:23 ID:kzSRHlsu
「ふぅ気持ちいいわね」
予想以上に仲居業は大変だったのでお休みをもらえて
ほっと一息のキーラとラウラだった。
「ところでみんなはどうしてここに来たの?」
未来がジョニ子提案の世界温泉ダーツの旅の説明をする。
「あら、それじゃあすぐに旅立っちゃうの?」
「うーん、ジョニーは世界中をたくさん廻りたいみたいだけど私はもっとのんびりしたいですぅ。
それに宿泊代も心配だし…」
「ここの宿泊代なら心配無用よ。ねー」
キーラとラウラが顔を見合わせてにっこり微笑む。
「ここのホテルの社長がすっかり私たちを気に入っちゃってね。
バイト代もかなり弾んでくれたのよ。
一言いえば、きっと宿泊代も無料になるわ。まかせて」
「すごいですぅ。魔性の女ってやつですね」
「ティアラやエアロや小町も真央の言うことをよく聞くよ。
未来ちゃんに今度魔性の女のコツを教えてあげるね」
85スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 01:07:40 ID:cn8VN5ks
アメリカでユカさんと練習に励むアボット。
しかしバトルのツイートが気になってしょうがない。
ミライに聞いてみたかったが携帯もツイッターも反応なし。
どこかに遊びに行ったのかな?いいな〜俺も行きたいな〜。
思わず携帯から
「俺も日本の温泉行きたい!誰か一緒に行こうぜ:D
まーユカが許してくれたらだけど:P」
と呟いてしまい、またユカさんに叱られる豚さんであった。

Pさんがそのツイートを見てニヤリとした事など彼は知らない。
86スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 10:01:58 ID:o6kuJQol
この頃、世界各国で水面下の動きがあった。
日本のマオが世界温泉旅行をやるなら、ぜひ自分の国に来て欲しいという誘致の動きだ。
世界不況の中、どの国も観光客が欲しい。マナーもよくお金もいっぱい落とす日本人なんていい。
日本の有名人マオが来た温泉地として紹介されれば、日本人観光客がいっぱい来るに違いない!
もちろん来てくれたら宿泊代はタダだ。
各国のスケ連に話が伝わり、スケーターたちを派遣して来てもらおう、というところで某国からストップがかかった。
「マオは今日本で楽しんでいるの。一気に押しかけたら迷惑でしょうが! 順番決めて順繰りにいくわよ!」
某毛皮のおばちゃんの一声で、スケ連代表ジャンケン大会が行われ、誘致の順番が決まった。
誘致スケーターが日本へ旅立つのは明日となる。

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E6%B8%A9%E6%B3%89%E5%9C%B0%E4%B8%80%E8%A6%A7

調べてみたらチェコとかフランス、ベルギースイスも温泉あるよ!
87スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 11:38:19 ID:r75MG5ce
世界の温泉巡りが決まって、Aichiともお別れだ
最後の思い出作りをしたい面々


「マオと犬山テンプルでタイタニックごっこをしたい」

バトルの呟きが世界に発信された

ひと波乱起きそうな予感がする
88スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 13:50:08 ID:r75MG5ce
すみません、誤爆ってしまいました

>>87はなかったことにしてください
89スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 14:59:51 ID:NLubtMaJ
チャットルームに集うべるるん&トマシュ&ADSL。
「火サス」に対するトマシュの見解(>>78)について、話し合っていた。
なぜかボイチャではない。

Tomáš:まー日本文字に詳しい俺に言わせれば、そういう事だと思う。
Kristoffer:とりあえずそういう事で、気が済んだ? >Adrian
Adrian:やっぱ食い物ですかね
Tomáš:でも激ヤバなんだろ?激ヤバな食い物って?たとえば何?
Kristoffer:あ
Kristoffer:SWE伝統のアレ
Aerian:最終兵器ktkr
Tomáš:最“臭”兵器www
*Michalさんが入室しました*
Kristoffer:うわ
Adrian:おお
Michal:>ALL 本物のミハルですよ〜!
Tomáš:その口調うざいからやめれ
Michal:クセになっちゃってw 一応ROMってましたよ。シュールストレミング日本版?<KASASU
Kristoffer:そうと決まったわけじゃないよ。食べ物じゃないかも知れないし。
Tomáš:日本には、KUSAYAっていう激臭な伝統食品があるんだってさ。
Adrian:KUSAYAよりヤバイのかなKASASU…
Tomáš:オラwktkしてきたぞ!
Mchal:どーゆーキャラですかw >Tomáš
Adrian:この際卒論KASASUにしたらどうです?>Kristoffer
    俺らも調べるの手伝えるかもしれないし どうよ?>All
Kristoffer:え
90スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 15:34:30 ID:Ab67vJpT
こちらまたまた男子風呂。すっかりONSENが気に入ったジョニ子が、
何度も入る〜と言ってきかないのである。
比較的(あくまでも比較的)まともなメンバーでの温泉。
今のところジョニ子もおとなしく入浴している。
(このメンバーならこういうのもたまには悪くないかも…
このスレ始まってからこんなのんびりなの初めてだなあ)
ほっこりする小塚。しかし平穏は長くは続かない。

ばちゃーーーーーーん!!!!!

なにかがとてつもない勢いで温泉に跳び込んできた。
「ぎゃーーー!」
「なんなのーーーー!」
もうもうと巻き上がる湯けむりの向こうにいるのは…
「プ…プルシェンコさん!!!!!」

「やあ、小塚。ヒザ痛いしちょっと湯治にね。それにしても君らも来てるなんて偶然だなあ」
(嘘だ…ぜってー嘘だ…)
小塚の平穏はあっけなく幕を閉じた。
91スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 18:10:23 ID:IjhEKZx6
ぶくぶくと泡を吹く小塚は、能面のような顔で気なることを聞いた。
「プルシェンコサン・・・・、ドイツデ手術ヲウケタばかリナンじゃナイですカ?」
片言の日本語で喋る小塚はまるで腹話術の人形のようになっていた
(あーーーっ、もうっ!!なんで俺ばっかり!!!)
小塚の休息は終わった・・・・
92スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 18:14:18 ID:pC1ZDg3a
女子組は温泉を楽しんだ後、キャッキャと盛り上がりながら脱衣所を出た。すると目の前には卓球台が。
真央「卓球だ!楽しそう!」
ミライ「ミライもやりたいですぅ〜」
キーラ・ラウラ「いいわね!みんなでやりましょう」そしてプチ卓球大会が幕を開けた。
『私たちもいーれーて』
そんな女子達に後ろから声をかける人物がいた。
真央「美姫ちゃん!」
美姫だ。
「ジョニーから、世界の温泉あーんどショッピングの旅をするって聞いたからきちゃった〜」
93スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 19:16:21 ID:2pcj9d+C
「正直に言ってください、プルシェンコさん。どうしてここに?」
「いやだから湯治に…」
とぼけるジェーニャだったが、小塚の鬼の形相に圧されて本当のところを言うことにした。
「ジェフのつぶやき見てクワドで跳んできたんだよね」
「そうなんだ…膝悪いなら自重してくださ…ってエエエ!」
慌てて温泉から上がり携帯でツイッターを確認する小塚。

携帯の画面に表示されたのはバトルのつぶやきと膨大な数のフォロー。
すでに全世界から誘致されたONSENツアーが組まれている。
それはつまり小塚の平穏なオフシーズン終了のお知らせであった。
(バトルさん誘ったのが間違いだった…)青ざめる小塚。
「あーーーもーーー!!!」
脱衣所に小塚の叫びが虚しく響く…。
94スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 20:01:00 ID:tTAnIFKK
小塚と一緒にバトルのツイッターを見ていたジョニ子。
「あたしもやーろっと。日本にいるから日本語でのツイートにチャレーンジ!」
とご機嫌にスピンをしながら部屋に戻っていった。

「やさしい日本語」の本を片手に
『ホタルが見られる温泉宿に宿泊:)
池にはたにしや鯉もいるしキーラやラウラもいて賑やかよ』
『たにしは巻き貝よ。くるくるしてて可愛いの』
『アタシの浴衣姿サイコー:P』
『夜は一緒に枕投げ』
思いつくまま怒濤のツイート攻撃。
しかし残念ながらロシア語ほど日本語を習得できていなかった。
『ホタル見れるホテル:)たにすキーララウラもいるわ』
『たにし巻きくるくるかわいい』
など微妙にどこかが違っていた。

そして30秒後、「タニスーーー」という声とともに池に黒い何かが落ちてきた。

ジョニ子のツイートを見てすぐに悟った小塚。
(あーっもう!!!頼むからこれ以上問題を起こさないでくれ)
そうだ、結局全部後処理をするのは自分なのだ。
いやだいやだ、と言っても思っても集まったメンツを考えたら結局自分が動くしかない。
頑張れ、小塚。
ため息をつきながら池の中の黒い長いものを引きずり出した。
95スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 22:33:47 ID:BGYk++nm
アボットのツイート(>>85)を見たPちゃんだったが、思い立ってすぐ行動することはなかった。
とりあえず温泉旅に合流するための荷物を準備する。準備をしながら、Pちゃんは携帯電話を取り出し、ダイヤルする。
「Pちゃんどうしたの?」
「ハロー、ケヴィン。今暇だろ?」
「うん?」
電話口で暇だと断定されてしまったが、チャッキーは軽く小首をかしげただけだった。
眠たげな瞼を何度か瞬かせてから「Pちゃんが電話かけてきたから暇じゃなくなっちゃったね」と答える。
「ふふん。暇なケヴィンにいい話を持ってきたぞ」
「いい話?」
電話口の尋ねる声音に気を良くしたPちゃんは、かくかくしかじかと事情を説明した。
「うんうん、そっか、温泉旅、おもしろそうだね」
「だろ?」
「じゃあ僕も行こうかな。待ってて、すぐ跳んでくから」
「あっ、別に寂しいからとかおもしろそうだからとかじゃないからな!
 ケヴィン誘ったのだって……二人よりも三人が、そのな、」
「うんうん、Pちゃんだけまだクワドうまく降りられないもんね」
「そ、そうだよ、そういうこと!適材適所ってことだよ!じゃあ待ってるからな、迎えに来いよ!」
Pちゃんからの電話を切って、チャッキーも準備をはじめる。

チャッキーはにこにこ笑顔だ。
Pちゃんはけっこうとってもおもしろい。荷物を片手にチャッキーはさらっと4Tを跳んだ。
96スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 22:35:01 ID:I5TYaBeQ
「ああ……やっぱり」
黒くてよくわからないがやっぱり黒くて長いあの人だ。
追い払うに限る。この人は楽だ。あの人を呼べばいい。
どっからか持ってきたアヒルさんで遊ぶ宇宙人よりかずっと楽だ。
「プルシェンコさん。お体も心配ですしロシアに帰ったらどうでしょ……」
そしてまた何かが凄まじい勢いで飛び込んできた。
(あーもおおおおおおー!!!!)
「ジェーニャてめえ! 病院抜け出して何でこんなところにいるんだよ!?」
「げっ、リョーシャ!!」
「おかげで俺様が呼び出されるはめになったじゃねえか!」
飛び込んできたのはヤグディンだった。バチャバチャお湯を蹴っ飛ばしてヤグディンはプルシェンコに近づく。
「何でお前がここに来たんだよ!?」
「ミーシンとお前の嫁さんに頭下げられちゃ断れるわけねえだろ!! きちんと療養しやがれ!!」
おや、どうやら小塚の救い主のようだ。
「とっとと病院もどんぞ!! マオなら誘致ツアーで次の次にロシアに来るんだから待ってりゃいいだろ!!」
ロシア代表はジャンケン強いのか。
97スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 22:54:32 ID:N9Q48eHo
Tomáš:さっきチェコのスケ連から連絡が来て、
  「日本人選手達がチェコの温泉に来るかもしれないから案内やおもてなしお願い」だって。
Adrian:へぇすごいですね。
*Michalさんが入室しました*
Michal:ミハルはまだ誰のものでもないですよ
Tomáš:もうそれいいから。ミハルも案内するんだよ。
    あとべるるん達も手伝って。
Adrian:いいすよ。なんか楽しそうだし。
Kristoffer:ん〜僕は論文があるしなぁ…
Adrian:それは俺たちが手伝うって言ったじゃないですか。
Kristoffer:え
Michal:あ!お互いに手伝うってことですね!ナイス国際交流!!
Tomáš:じゃあ決まりね。どうやっておもてなししようか?
Kristoffer:ちょww
Michal:チェコを紹介するのもいいけど、外国にいるときに自国のものとか近い文化を見ると嬉しくないですか?
   そういう感じも取り入れたいなー。
Tomáš:そうだ!さっきのKASASU!KUSAYA!これを用意してあげようよ!
Kristoffer:ええーKASASUやKUSAYAってチェコで用意できるの?
Tomáš:ミハルの言った「近い文化」だよ!SWEのアレ持って来て!!
Kristoffer:え
Adrian:まじすかww
Michal:ああ!きっと「欧州にもKUSAYAみたいな食べ物があるんだー」って喜んでくれますね!
Adrian:まあ喜んでくれるなら…先輩、アレをチェコまで持って行ってくださいね。
Kristoffer:なんでぼくが!
Tomáš:論文のためだろ?
Kristoffer:え
Adrian:じゃあ先輩よろしくお願いします。アレ、殺人的に臭いんですよねー。殺人的に。
98スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 23:03:17 ID:xytJLlQd
不審な物音を聞きつけバトルと白鰤がやってきた。
池から引っ張りだした黒くて長い人はいまだ気を失っている。
ここにくる前からなぜか頭に包帯も巻いている。
「あれ?エヴァンもやってきたんだ。さっきの叫びはエヴァンだったんだ」
白鰤と顔を見合わせて苦笑する。
「バトルさん、お願いがあるんですけど。
ライサチェックさんが叫びながら温泉に来たことを呟いてもらっていいですか?」
(どうか穏便に連れ帰ってくれますように…)

バトルが呟いた直後あの人がどこからともなくやってきた。
怒りであちこちの壁を壊しまくってるような音がする。
「クワド持ちやないのにどうやって世界中どこにでも現れるんやろうな」
「愛の力ちゃう?」
「風の噂によると前スレでの銃弾の傷、2日くらいで治ったらしいで」
「ほんまスゴイ人やなあ」
白鰤とバトルの暢気な会話を背に小塚はあの人を呼んだことをちょっと後悔していた。
(壁の修理代金、どうすればいいんだろう…)
99スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 23:15:47 ID:2pcj9d+C
温泉では2人がまだ揉めていた。
「やだもーん。湯治ツアーするって決めたんだから僕帰らないよ!」
アヒルを頭に乗せてリョーシャから逃げ回るジェーニャ。
「お前なぁ…」
「ロシアでのおもてなしは後輩たちに任せればいいでしょ!
なんならリョーシャも入れば?足痛いんでしょ。美人の仲居さんもいるらしいよ」
「お前その膝で世界回る気か?」
「移動のときは小塚がクワド跳んでくれるから大丈夫だよ!ねっ?」
「いやいやいや、僕のクワドまだ安定してないしここは大人しく帰ったほうが…ね、ヤグディンさ…」
「そっか、それもそうだなー。で、その美人はどこだ?」
「…って、ええ!ちょっとヤグディンさ…」

もう一押し、とばかりにジェーニャは入ってきたバトルに向き直る。
「ね!ジェフもそう思うよね!(はあと)」
必殺の上目使いである。
「うん、そう思うよ!」
なんの話かよくわからないが思わず答えてしまうバトルであった。
100スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 23:18:01 ID:BGYk++nm
アリ=ペッカ・ヌルメンカリは悩んでいた。
「世界のマオが温泉旅?サウナだって蒸し風呂じゃん」
なんていうフィンランドスケ連の無茶振りにより、本場のサウナに誘致することが決定。
息子のアクセルくんと楽しく遊んでいたところ急にやってきたお達しに、ぬる麺は戸惑っていた。
どうせだったらキーラやラウラを誘致スケーターに選べばいいのに。
っていうか二人ともどこ行ったんだよ、帰ってこいよ!

ぬる麺は二人がすでに真央たちと合流しているのを知らない。
「ああ、日本まで無事辿り着けるかな……つかその前にキーラとラウラ帰ってこないかな」
なんとなく自分は動かしづらそうだとぬる麺は自覚していた。

「フィンランドサウナは1000年もの歴史があるんだ!誘致しないのは国の損失だ!」
遠く、スケ連代表が吠えている。だからキーラとラウラ帰っtry
101スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 23:40:24 ID:bV5OFD/o
結局ジェーニャに押し切られてしまった小塚。
しかもヤグディンまで一緒だ。またまた苦労の種が増えた。
「…いくら僕がクワドで連れて行くて言っても、ヤグディンさんまで一緒だと難しいですよ?」
(お願いだからここで帰って…!)
と一応最後の抵抗を試みた。が。

「大丈夫だって。いざとなったら宇宙船呼ぶし♪」

哀れ小塚、見事に撃沈の模様。
102スポーツ好きさん:2010/05/01(土) 23:56:19 ID:I5TYaBeQ
「で、誘致って何のこと?」
「何だお前、こいつのツィッター見て飛び出したのか?」
ヤグディンがバトルを指差しながらプルシェンコに説明を始める。
「へー。そんなことになってたのか。面白そうだね。で、次の国ってどこ?」
「ああ、チェコ」
「ってことは明日トマシュかミハルが迎えに来るの?」
「トマシュじゃね? ミハルは4回転練習中だろ」
「自爆して来れないかもしれないよ、トマシュ」
「なら誰か代わりが来るんじゃね?」
(チェコの二人なら増えても問題は少なそう……)
小塚はすべてあきらめることにした。
103スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 00:12:10 ID:Wbp06Dva
諦めるという若者らしくない行動に出ることにした小塚は、
湯治に来たはずなのに重くなった身体をひきずって部屋に戻った
(明日はね 目が覚めるまで 眠りたい・・・一句できた)
それにしてもこの重さ、尋常ではない。
そう、例えるなら大人がしがみついているような・・・・・

実際ひきずっていた
足の具合がよろしくない天才スケーター×2を

「小塚〜〜、部屋まで連れてって〜〜」
「飛んできたから足が痛いな〜。偉大な先輩に敬意をはらって
部屋まで連れてってくんねーかなぁ〜〜?」

そうして小塚は肩やら腰やらにしがみつく大の男×2をずるずるひきずって部屋に戻ったのである
104スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 00:17:15 ID:ngZwolqe
その頃大輔は焦っていた。

「やっべアドリアンにメール返すの忘れてたっっっ」
実に今更である。何か向こうではちょっと結論出かかってるし。
だがそんなことなど知らない彼はお疲れ気味の頭で一生懸命考える。
(火サスといえば、温泉で裸の女の人がふつーに出てたよな
…家族で見てて気まずくなったこともあったっけ)
まだ岡山の鼻タレ中坊だった頃を思い出しながらとりあえず返信する大輔。

『message:かさすはときどきえろいとおもう』

ちなみに大輔が観たのは古谷一行主演の『混浴露天風呂連続殺人シリーズ』であり、実は火サスはなく土曜ワイド劇場である。
恐ろしく適当な上間違った情報を提供した訳だが、それが今後どう転がるのかは知る由もない。
105スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 00:25:47 ID:Kngzh/x/
こづカワイソスw

大の男2人を引きずり部屋に戻る途中。
どこからかきゃっきゃと楽しそうな声がする。卓球をしている女の子チームだ。
(あれ?軽くなった…)
ふと気づくとヤグプルコンビは素早く女の子チームに合流していた。

「マオー!再会のキスプリーズ!」
「いやあ、やっぱ美人はいいねぇ」
「あれー、プルシェンコさんヤグディンさん、いつの間にー?」

(………歩けるんじゃないか)
だがもう怒る気力もない。
小塚は一人部屋に入ると布団に倒れこんだ。
(駄目だ一人じゃ無理だ…誰か助けを…だけど一体誰を?)
枕を涙で濡らしつつ、いつの間にやら眠りに落ちる小塚であった。
106スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 00:43:38 ID:Eqo/XYBg
Adrian:あ。大輔からメールきた。
Kristoffer:KASASUのことかな?
Adrian:……『かさすはときどきえろいとおもう』だって。
Tomáš:エロ!?w
Michal:エロwww
Kristoffer:火かき棒でマシュマロでシュールストレミングで……妖艶?
Adrian:エロ。
Tomáš:エロ。
Michal:エロ。
Kristoffer:何が言いたいの君たちは。
Tomáš:あ。そういえば日本の食文化に、NYOTAIMORIってのがあったって聞いたことある。
Michal:NYOTAIMORI?
Tomáš:美人でエロい女性の身体に刺身を盛り付けるっていう。
Adrian:シュールストレミングを盛り付ければいいんですか?
Kristoffer:やめなさい。僕怒るよ。>Adrian
Michal:NYOTAIMORIは置いといて……美人でセクシーな子を集めるとか?
Tomáš:アリソン連れてきたら?>Michal
Michal:ペシャラさん連れてきたらどうです?>Tomáš
Adrian:ヴィクトリアでも呼んでみましょうか。>Kristoffer
Kristoffer:あのね君たち。……あーもう僕論文に戻っていいかな……なんなの火サスって……
107スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 00:58:20 ID:2l9Y4uRL
小塚が眠りについた頃。
ロロ、バトル、ジュベ、ジョニ子、ライサは廊下に正座をしていた。
説教先生はリューキンである。
先日脳震盪を起こしたライサを気遣って
フルボッコにはしないようだ。
しかし怒りは当然消えてない。
そのおかげで通りすがりのロロやジョニ子達まで
一緒に正座させられているのである。
リューキン先生の細かい駄目だしとお説教は
その後、朝まで続いた。
誰よりも年下なのにリューキン先生には誰も逆らえなかった。
108スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 01:23:28 ID:Iw7yVLGD
チャット中、ADSLはニヤニヤしながら考えていた。
…日本のKASASUってどんだけヤバイのかなー、食ってみてぇなー。
俺の過去プロが、日本で「KASASUプロ」とか呼ばれて、一部人気あったそうだけど、
つまり激ヤバだったってこと? たとえばあのラスト壁際のイーグルとかがさー。
つまり、俺って刺激的、ってことかなー…
…あ、ダイスケからやっとメール返信!「KASASUは時々エロい」って…
俺エロくねーよ、エロいのはランビだろ!俺間近で見たもん!
でもダイスケいい人だし、変な意味じゃないっしょ…

…トマシュがプライベートメッセージを送って来た。
(おいアドリアン、ちょっと調べてみたらさ、SWE伝統の化学兵器…
 シュールストレミングって、春先のニシンを塩漬けにするんだろ?
 で、解禁は8月とかなんとかって…今缶詰あるの?)
ADSLもメッセージを送った。
(あるでしょ。常温で放っといたら、発酵進んで大惨事になりそうだけど。
 てか俺の冷蔵庫に去年の缶詰ありますよ。ちょっと膨れてるけど。
 開缶しなきゃ臭いは漏れないし、クーラーバッグに詰めてきゃ大丈夫っしょ)
(おk!てか、お前、アレ食ったことあんのかよ!?)
(あるぜ! でもトマシュにはおすすめしないですよ)
…なんかちょっとカチンときたトラ。アドリアンは生意気がデフォなのか?
109スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 01:54:53 ID:Eqo/XYBg
その頃のロシア某スケートリンク。
世界のマオを歓待するため、あと数人のスケーターたちがやってくる予定だったが、
一行に姿を現す気配はなかった。相変わらずリンク内にはカリンカが大音量で流れ、
ときどきハウリングするものだから、耳が痛いとヴォロノフは眉を潜める。
「はい次、セリョージャの番だよ。ガジェンガガジェンガガジェンガマヤ♪」
「……」無言でブロックを一つ抜くと、隣のルタイがわざとらしく肩を小突いてきた。
「なんだよセリョージャ、ノリが悪いじゃねーか」
きれいなヤンキーはちょっぴり柄悪く唇を尖らせる。
これは宴会芸なのか?さきほどからヴォロノフはそう聞きたくてしかたがなかったが、
いまの二人ならばなんの躊躇もなく頷いてしまいそうな気がして、聞けなかった。
「先輩……」
「アルチューシャ!待ってたよ。アンドリュージャ、席あけてあげて」
「よっ、ソチの星!……ソチの……」
自分で言いながらほんの少しダメージを受けたルタイの隣に、いつの間にかやって
きたのか、がっちゃんが腰を下ろした。
余り笑顔らしい笑顔を見せないクールな後輩の登場に、ヴォロノフはほんの少し
期待する。まるでアルコールでも入っているかのように陽気な二人に、自分一人で
勝てそうになかったからだ。
アルチューシャならあるいは……回ってきた順番で、ヴォロノフはさっさとブロックを抜く。
「ガジェンガガジェン……」
がっちゃんまで唄い出した。

誰か。誰かこの状況をどうにかしてくれ。
ヴォロノフの願いはスケパシーとなってロシアの国中に……届くのだろうか。
110スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 03:36:31 ID:7LZ0AGrp
「・・・・というわけで、真央と未来ちゃん連れて逃げてきました。」
「そりゃ災難だったわね〜^^」
ぐったり疲れた崇彦にそう言うのは山田満知子コーチ。
満知子コーチ初回スレでプレゼントされた草津温泉を気に入り、
たびたびここを訪れていたのだ。
つまり、今3人は草津にいるのだ。

「でも他の同行者にはばれてないの?」
「明け方近くの隙を狙いましたから何とか・・・」
ちなみにジョニ子達はリューキン先生の説教の説教を食らっていたため、
崇彦がそばを通っても動ける状態ではなかったので都合よく脱出できたようだ。

「・・・でもこのままで諦める連中ではないわよね。」
「はい、なので・・・ちょっと先生に協力してほしいことが・・・」
「あら、なあに?」
崇彦が満知子先生に作戦を説明をする。
「へ〜、面白そうじゃない!真央たちも知ってるの?」
「はい、本人達も乗り気です!」
「じゃあ、各国のスケ連とコーチ陣の連絡は任せておいてね。」
「よろしくおねがいしま〜す!」

数時間後、未来のツイッターが更新された

「これから真央ちゃんたちと世界の温泉のめぐりをするよ!
そこで最高の温泉芸を見せてね!
よくできた人には最高のプレゼントを!
だめだった人には最悪のミステリーを贈るからかくごしてね!
それじゃいってきま〜!」
111スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 03:37:23 ID:3hB2QYwp
これは余談だが、リューキン先生の移動手段は段違い平行棒からのムーンサルトである。
平行棒から華麗に飛び立ち、クルクルと回りながら下りて、
着地時にはもちろん腰をぐんと反らしたあのポーズを、前と、左に向かって。
アメリカから来るときは練習場の段違い平行棒から出発しているが、
日本に来た時等、近くに平行棒がない場合は学校の鉄棒で代用している。

ウィルス編のお陰で、熊本付近の小学生の間で大車輪に挑戦するのが流行り、
危険だという父母の声が上がったために各学校で禁止になっているとか、いないとか。
112スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 09:53:19 ID:jNrnWEz4
そのころ、ホテルの男子部屋では。

「・・・やっぱり真央と未来がいないよ!」
姿の見えない二人の様子を見に行ったバトルが部屋に戻ってきた。
「こっちも目ぇ覚めたら崇彦がおれへんし・・・もしかしてワシら置いてけぼりか?」
「そんなぁ〜!せっかくここまで来たのに!」
がっかりするロロとプル。

その光景を見て、もとはと言えばあんた達が押しかけたからだろう・・・と思うバトル。
しかしもともとの原因は自分のツイッターである。

「で、どうすんだよ?このままおとなしく帰るのか?」
「・・・当然追いかけるに決まってるじゃないの!」
ヤグディンの問いかけにプルよりもロロよりもバトルよりも真っ先に声を上げたのはジョニ子だった。

「元はと言えば今回の温泉旅はあたしが行きたいって始めたのよ!
なのに、気が付いたら全世界で真央をおもてなしなんて事になってるじゃない?
いいこと?このスレのDIVAはあたしなのよ!!前スレに続いてDIVAの地位が危うくなるなんて
ゴメンだわ!」
前スレでプルシェン子や未来に度々DIVAの座を奪われそうになったジョニ子。
今回は何が何でも阻止するつもりである。

「さあ、みんなで3人を追いかけるのよ!そして主役とその他の格の違いを見せ付けるんだから!」
それぞれ思惑は違うが、真央たちを追いかける事では意見の一致したスケーター達だった。
113スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 10:10:15 ID:yBme2h9f
「絶対追いかけてくる。ジョニーはわからないけど他の人は絶対」
眠そうな顔で目をこする真央と未来。
「ツアー行程通りに進むか? あえて別のところに行く手も……」
ぶつぶつ考える小塚。たまにはトラブルメーカーがやりたい。
「次はチェコになってる。あの2人なら大丈夫だと思う。まずはチェコに行こう」
他の連中がこの場所に気付く前に。小塚は真央と未来と一緒にチェコへ向かった。

なお、チェコはカルロヴィ・ヴァリ温泉に真央を招くつもりである。(>>86参考)
114スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 10:47:33 ID:Kngzh/x/
とりあえず真央を追いかけることで意見の一致を見た男子部屋に何かが飛び込んできた。

どーーーん!

それは…
「あら、トマシュじゃないの!」
おもてなしツアーの案内役を任されたベルネルであった。
服には「温白水」と書いてある。惜しい。
「やあ、みんな。迎えに来たよ!で、マオはどこ?」
どうやら入れ違いになってしまったらしい。
「それがマオがいないのよ。タカヒコが連れだしちゃったみたいなの」
「ええー!そんなの困るよ〜。マオ連れてかなきゃ怒られる。
それでなくても最近僕の立ち位置が危ういのに、やっぱりミハルにすりゃよかったって言われちゃうよ」
「とりあえずチェコに迎ったらどうかな?先に行ってるかもしれないし」
バトルが提案する。
「おー、そうしようぜ。トマシュ、責任持って俺様をお連れしろ」
「僕もお願い!言っとくけど自爆したら許さないよ」
さっそく大の大人二人に乗っかられる気の毒なトラであった。
115スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 10:53:22 ID:IxlsVAvn
>>114
ヤグよ、ジュべもいるから、ジュべにもかまってやてくれ。ww
116スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 10:55:59 ID:sdQn8aGJ
そんなわけで、チェコにやってきた真央様ご一行。
「えっと、まだ着てないのかな・・」
周りを見回すコンダクター・小塚。
「タカヒコ〜おひさしぶり〜!!」
出迎えてくれたのはチェコの後輩こと、ミハル・ブレジナ。
「メール見たよ!面白そうな計画だね。」
「ありがとう!協力してくれる?」
「もちろん!」
小塚の計画
それは真央たちを追いかけてくれであろうバトルたち一行を、温泉地で対決しながら最終目的地を目指すもの。
「でも向こうのメンバー強力だよ。勝算あるの?」
「さ〜・・・・」
意外とアッサリと応える小塚君にズッコケル美晴君。
「このスレのことだからきっと凄いことになるから、あえて今回は細かいことは考えないことにしたの。
でも、足場は固めておかないとね。」
そういったところで崇彦たちの下にある人物達が降り立った。
「ひさしぶり〜!!」「メールさんきゅー!」「あいつら撒く意外と楽だったわ」「面白そうだね〜崇彦君」
やってきたのは有香さん、ジェレミー、美姫、大輔である。
皆メールを読んで乗り気でやってきたのだ。
「これで、チーム真央全員集合だね!」
「わ〜、なんだかドキドキしてきた」
真央と未来は期待に胸を膨らませた。

「じゃあ、僕ミハルがカルロヴィ・ヴァリ温泉に案内するよ。ここら君達がさっきいた草津と友好都市にある街なんだ。」

117スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 11:00:32 ID:Urx+zbH0
ヤグ→俺様口調で俺様発言。態度は言わずもがな。
プル→口調は可愛らしいのに内容は僕様。
この二人が面白過ぎるwwそして憎めないwww
118スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 11:17:29 ID:yBme2h9f
ちょっと全体的に長文化しはじめたかな?
抑え目にね〜。

まとめ。
世界中の温泉を舞台にチーム真央(小塚)とチームDIVA(真央ファン)のおっかけっこか!?

チーム真央
小塚:ついにトラブルメーカーになれそうな苦労人。見事先輩たちを出し抜いて逃げ切れるのか!?
真央:疚しい気持ちで近づいたら(扇子で)お仕置きよ!
未来:DIVAの思いつきに巻き込まれ世界温泉旅行に。
美姫:世界のブランドを買いあさるつもりなのか?
有香&ジェレミー:「僕だって4回転飛べるんだよ!」「何で試合だと失敗するの?^^」「Nooooo!!」
高橋:火サスをSWE&チェコ組に曲解して教えてしまった。困ったことになりそうな……

チームDIVA
ジョニ子:思いつきで世界温泉旅行を企画。しかしまたDIVAを奪われそう。
バトル:温泉旅行を世界規模に広めてしまった犯人。小塚の毛髪は彼のせいで死滅しそう。
ロロ:「マオはワイが守る!」今回はジャングルジョージで参加?
ジュベ:ゴリラ役と4回転運びを押し付けられてやってきた。
プル:寝てろよ。
ヤグ:ミーシンとヤナに頭下げられたの忘れたのか?

現在判明している誘致ルート
日本→チェコ(現在地カルロヴィ・ヴァリ温泉)→ロシア→???
119スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 11:28:46 ID:yBme2h9f
ライサ:黒い。

そのほかの人々
女将二人:ラウラとキーラ。女将のバイトは板についている。国でヌルカンメリが待ってるぞ。
ヌルカンメリ:フィンランド順番どこだろう?

チャット組
ADSL:火サスが何かわからず高橋に聞いたらわけのわからんことを教えられる。
べるるん:火サスを完全に誤解している。
ミハル:チーム小塚に協力。火サスを聞くいいチャンスだがどうするんだ?
トマシュ:自爆せずチームDIVAと合流。ただあの大人数を運べるのだろうか?

ロシア
ヴォロノフ:みんながカリンカ歌ってドン引き。音痴じゃないんだから許せよ……
がっくん:天使→妖艶。でもカリンカ。
ルタイ:無事戻ってきててうれしいよ。でもカリンカ。
ボロデュリン:4人で宴会芸を練習中(カリンカ)。出番は近いぞ。

カナダ
Pチャン:がんばって真央と会いたいヒト……いや、目の大きい人。チャッキーと一緒に移動中
チャッキー:寝ぼけ眼でPチャンと移動中。Pチャンを運んでいるのだろうか?
120スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 12:07:34 ID:Eqo/XYBg
その頃のスイス・ランビエール宅

「OKAMI、女将かぁ。エロいなあ、これ日本語でUNAJI云うんやっけ……」
振り向き美人女将にデレッデレのランビ。ふっと顔を上げ、きりりとイケメン顔に変化させる。

「三日目のエンドロール用に立てられたスレ(http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/l50
 を有効活用して、感想や意見が投下されてんねん。まとめもそっちにしたらええんやないかって意見もある。
 みんな良かったらあっちも覗いたってやー」

なぜかフランス語のランビ。
職人はフランス訛りランビがしっくりしすぎていてどうしようかと感じていた!
121スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 12:24:07 ID:Eqo/XYBg
文字チャットを終え、トラは真央チームを出迎えに日本へ、
ミハルはやってきた真央たちを出迎えるため、それぞれチャットを抜けた。
「シュールストレミングよろしくお願いしますよ、先輩」
スウェーデンに穴場の温泉はないのだから、卒論の続きをしよう。
7月には僕がメイン扱いみたいなアイスショーだって開催されるんだ。
スケーターたちと会って話をしたいのもあるけれど、べるるんには時間がない。
しかしべるるんは先輩だった。心やさしい先輩だった。

実家の倉庫に貯蔵してあったシュールストレミングをクーラーボックスに入れる。
去年のもので、ADSLが考えていたように、ほんの少し膨張していた。
「ええとあとは火かき棒とマシュマロと……美女?」
ADSLに提案されたように、スウェ女子シングル界の現TOP、ヴィクトリアを
連れていくべきか一瞬迷うべるるん。
「……トリプルサルコウで寄り道しながら、女性スケーターを拾っていくか……」
まさか既に真央たちがチェコに到着しているとは知る由もないべるるん。
果たして彼とシュールストレミングはチェコを出発するまでに間に合うのか。
122スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 12:32:56 ID:Kngzh/x/
>>120
ランビ乙!

チェコに跳ぶことにした男子一行。
宿泊費はバトルが泣く泣く肩代わりした。リューキンが壊した壁や襖の修理費はライサに請求するよう手配した。
「さあ行くわよ!いざDIVA奪還の旅へ!」
トラに乗っかるヤグにブライアンがおずおず声をかける。
「ヤヤヤ、ヤグディンさん!僕が責任持ってお連れします!(`・ω・´)」
「おー、そうか。じゃ残りのあいつら運んでやってくれ。
あいつらもクワドはキツそうだし」
「ハイ…(´;ω;`)」
123スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 12:46:06 ID:+iB/QQ71
「うーん、二人ともしんどそうだね。僕、3Aなら跳べるよ」
「お前は阿呆か!俺様はミーシンとヤナに頼まれてるんだ……許さんぞ!」
やっと当初の役割を思い出したらしい。
ヤグディンは青筋をたてながら怒鳴る。
「えー……大丈夫だよ。ほら!」
プルシェンコは見事な3Aを……自爆した。
彼にしては実に珍しい自爆である。
「うわー!プルシェンコさんがジャンプに失敗するなんて……」
「やっぱり相当膝の調子が悪かったのか……」
呆然とするトマシュとバトル。
「何を言ってるの!ジェーニャをおいかけるわよ!」
DIVAも大事だが、仲間はもっと大事。
慌てたジョニーが全員を急かした。

ジェーニャは一体どこに行ってしまったのか?!
124スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 13:33:12 ID:lhbUSfw/
ADSLの携帯が鳴った。
「ミハルがチェコからわざわざ電話してあげましたよ〜!」
コレクトコールじゃなくてよかった、とちょっとホッとするADSL。
「クリストファーがまだ着かないけど…アドリアンも温泉来たら?チェコはよいとこ〜」
「うーんそうだな…あ、俺スロバキアの温泉なら知ってる」
「へえ?どんなとこ?」
「大浴場でさ、白濁湯でさ」
「美人の湯ってやつだね!マオたちにも教えてあげたいな」
「うん、美人客多いよ。近くのユースホステルにも美女がいっぱいいて、もうやりたい放題」
「…それは教えなくていいな。てかそれホステルじゃないだろ?」
「ホステルだよ。ただ、宿泊客は人身売買オークションにかけられて、拷問されてなぶり殺し」
「それブラティスラバだろ!?…映画の話じゃん!チェコまでイメージ下がりそう…」
「平気平気、日本人は刺激が好きみたいだから!ほらKASASUとかさ!」

ADSLは思った。…先輩まだチェコに着いてないのか、何寄り道してんだよ?
てか、「アレ」が途中で破裂したら、ヘタすると犯罪者だぞ。
KASASUは先輩の卒論だからって、押し付けちまったけどな〜…
125スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 16:07:30 ID:Eqo/XYBg
しくじった。Pちゃんは歯がみした。アボットはすでにいかなかったのだ。
にこにこ寝惚け笑顔のチャッキーにあわてるさまを悟られないように、携帯電話を取り出す。
モバイルからツイッターの様子を見て……がくりと膝を落とした。
どうやって説き伏せたのかはわからないが、アボットはユカさん^^とともに、
既にチェコにいたのである。
「Pちゃんどうかしたの?」
「いや、なんでもない!なんでもないぞ、全部俺に任せとけばいいんだ。そうだろ!」
自分に言い聞かせるような発言に、チャッキーは首をかしげる。
なんだか予定通りに行っていないみたい……どうしようかな。
自分が手助けをしようとしたら、きっとPちゃんは嫌がるんじゃないかしら。
このままではうまく合流できないかも。
しっかりPちゃんのあわてるさまを悟っていたチャッキー。

その時だ。
遥か上空から、男の叫び声が聞こえる。
「Pちゃん、あれ!」
「……ん?……あれは!」
3A自爆をしたジェーニャが、いい勢いで落ちてくる!
126スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 16:49:24 ID:bBB6nJpG
素晴らしい回転と速度で落下したジェーニャは見事、Pちゃんの真上にどすんと落ちた。
「あ〜、やっぱりまだ無理だったか〜〜」
きゃはっとジェーニャは笑うが、ジェーニャの下敷きになったPちゃんは、
「ギ・・・、ギブ・・・・」
と金魚のように口をパクパクさせている。

どうする?チャッキー??
127スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 17:48:16 ID:jNrnWEz4
「プルシェンコさん・・・なんでこんなところに?」
いきなり空から降ってきたジェーニャに驚きつつも、まずは落ち着いて事情を聞くことにしたチャッキー。

「あれ、ケビンがいるって事はここカナダ?・・・チェコに行く途中だったのに」
「チェコ?なんでまた?・・・もしかして真央の温泉ツアーですか?」
「うん。実は真央の後を追いかけて、ジョニーやトマシュ達と一緒にチェコに行く途中だったんだけど
 3Aミスっちゃって・・・まだやっぱり足が本調子じゃないみたいだよ。」

「真央を追いかけて・・・チェコ・・・・!」
それを聞いていたPちゃんの瞳孔が開いた。

これは良いチャンス。
プルシェンコをチェコまで送ってきたと言えば、怪しまれずに合流できるじゃないか!
ついでにひそかに練習してきたクワドを披露する絶好の機会だ。

瞳孔開きっぱなしであれこれと作戦を練るPちゃん。
しかし相変わらずジェーニャの下敷きになったままだ。
128スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 18:27:21 ID:864PMFRS
べるるんの携帯が鳴る。ADSLからだ。
「今どこですか!?自宅?早くチェコ行かないとマジやばいんじゃ!?」
「今『アレ』をクーラーボックスに詰めて、ヴィクトリアを誘おうかと…ん?もしもし?」

通話が切れたかと思うと、ADSL本体がべるるん宅にイーグルで滑り込んで来た。早っ!
「保冷剤が溶けたら、俺たちリアルテロリストになっちゃうかもですよ!?」
…発酵が進んで、缶が破裂する可能性だってある。急いだ方がいい!
「ジャンプも危険です、俺のイーグルに乗って!チェコまで送りますよ」
「ああ、うっかり跳ぶところだった…悪いね、頼むよ!」
「へへ、俺もKASASUのこと、日本人に直接聞きたいし」<てゆうかお前が言い出しっぺ

※説明しよう! なぜジャンプが危険かというと…
SWE伝統最臭化学兵器こと、シュールストレミング缶の空輸は禁じられてるっぽいからだ! 気圧低下で破裂する恐れがあるのだ!
129スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 19:33:17 ID:+iB/QQ71
「ジェーニャを助けにいかなきゃ!」
「でもどこへ……?」
バトルの一言に、全員が沈黙した。
ジャンプの失敗はどこに着地するかわからない。
「俺様の予想では……あいつはチェコに向かって失敗したんだから手前で落ちただろうな。
 しかも3Aの失敗。飛距離はあまりない。ということは……」
ヤグディンの指が地図の一点を指した。
『カザフスタン!』

彼らはそもそもジェーニャが方向も失敗したことを知らない。
130スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 19:36:34 ID:AICoWfSA
「ぼ・・・僕たちもち・・・ちょうど・・・ちぇ・・・」
息も絶え絶えに主張するPちゃん。相変わらず瞳孔は開きっぱなしだ。
「あれ、どうりで着地の衝撃が少なかったと思った」
ようやく気づいたジェーニャ、笑いながらよいしょっとPちゃんから身をどける。

「僕たちも真央さんたちの温泉ツアーについていこうと思ってたんです!なあケヴィン、そうだよな!」
「うん、そうだったねパトリック」
半分寝ぼけてても空気の読めるチャッキー、笑顔でPちゃんに話を合わせる。

「まだ膝の具合もよろしくないようですし、我々と一緒にチェコに行きませんかプルシェンコさん」
かつて「プルシェンコは僕を恐れている(キリッ)」などと大口叩いたその口で提案をしてみるPちゃん。
瞳孔はまだ開いたまま、いいかげん乾燥してきてるんじゃないか?
131スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 19:43:24 ID:sdQn8aGJ
そのころのチーム真央
真央「ジョニーさん達なかなか来ないね〜」
小塚「いいんじゃない?ゆっくりできて。」
高橋「そういえば。アドリアン君がこっち来るってメール着てたな」
美姫「じゃあ、ロシア行く前にSWE寄り道していかない?」
未来「そうだね〜ここでの対決もなさそうだし。」
有香「じゃあ、その浮いた時間でみっちり特訓できるわね?ジェレミー^^」
アボ「Noooooooo!!!]
132スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 20:06:19 ID:Eqo/XYBg
首都プラハからバスに乗った一行は、ピンクチョッキミハルの案内により、
カルロヴィ・ヴァリ温泉に到着した。
チョッキとおそろいの小さな旗を掲げたミハルは、風光明媚な風景に歓声を
上げる真央たちを見て、とても上機嫌だった。
「この温泉はですねー、数々の有名な音楽家たちが湯治に来たことでも有名なんですよー」
ゲーテ・モーツアルト・ベートーベン・ショパン……指折りながらミハルは説明する。
「あと、温泉水、飲めます。専用のコップもあります」
「滋養強壮にいいとか……?」
「消化器疾患、新陳代謝異常、糖尿病とかに効くみたいですね」
それぞれおこづかいで専用コップを買って、温泉水が出る蛇口で温泉水を汲んでみる。

「ジェレミー、呑みなさい^^」
ユカさんがアボットに妙なプレッシャーをかける中、カルロヴィ・ヴァリ観光は続く。
「あとは薬膳酒とかビールとか……基本的に名水ですからねえ」

堂々たる態度で観光案内をしながら、ミハルはいまだ帰ってこないトラのことを心配していた。
スウェの先輩後輩の姿もない。
シュールストレミングKASASU計画頓挫の危機か!?
133スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 20:32:32 ID:+iB/QQ71
「うん、それはいいね!君達も温泉で一緒にプレステでサッカーをしよう!」
ジェーニャ、多分チェコの温泉にはプレステはないぞ。
「じゃあ俺の4Tで……」
「いやケヴィン、今日は僕がやるよ!」
すっくと立ち上がったPチャンが宣言する。
プルシェンコにひそかに練習していた僕の4Tを見せるチャンス!
プルシェンコを乗せて勢いよく跳んだPチャンは……見事に自爆した。

「わああああっ!パトリック、プルシェンコさんーっ!」
後にはケヴィンの悲鳴だけが残された。
134スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 20:59:03 ID:f8xKT0RJ
「あ、やっぱり」
Pチャンが自爆してしまってもプルはあんまり驚かなかった。まあ挑戦するガッツは褒めるべきか。
「はい、交代〜」
空中でプルは無理やりイニシアチブを奪い、軸を立て直した。見事着地に成功する4T<。
「んー? ここどこだ?」
Pチャンとプルは大西洋を飛び越え、ヨーロッパに到着した。チェコの隣、ドイツに。
「ジェーニャ!」
……プルが手術をしたのはドイツである。つまりドイツには美人嫁(金髪巨乳)ヤナ姐さんがいたのであった。
「あ、ヤナ」
「心配させないでよ!」
嫁さん泣いてるぞ、プル。
135スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 21:22:01 ID:Kngzh/x/
地面に膝をついて落ち込むPちゃんにジェーニャは
「いいクワドだったよ。あともう少しだ」
とがっしり握手をした。クワド会会長恒例の握手回りである。
「さてー、ここからチェコまでなら2Aくらいでいけるかな。パトリック、もうひとふんばり!」
「ちょっとジェーニャ!また行く気!?」
「だって行くって約束したゃったし(ウソ)。大丈夫だってヤナ、自分では跳ばないから。
怪我にいい温泉もあるらしい(テキトウ)からしっかり休んでよくなって帰ってくるよ」
怒るヤナに投げキスをすると、ジェーニャはPちゃんの2Aで再び跳びたった。
「近況はまめにツイートするから心配しなくていいよーーー!」
27歳児相手に怒る気力もなくし、ため息をつくヤナ姐さんであった。
ジョニ子たちとはしばらく合流できそうにない…。
136スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 21:57:07 ID:Eqo/XYBg
ジェーニャとPちゃんが去って行ったドイツ某所。
スケ連からの指示を受け、リンデマンは歓迎の準備に余念がない。
誘致の順番は知らされていなかったが、いつ来てもらっても大丈夫だ。
ヨーロッパ屈指の高級保養地 バーデン・バーデンを案内しよう。
フリードリヒ浴場なんて、ちょっとしたエステのようだから、
きっと女性陣とジョニーは喜ぶに違いない。
男性陣にはビールとソーセージと芋のフライでお出迎えだ。
137スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 22:59:12 ID:ycsd6pLl
リューキンに強制的に連れて行かれたライサ。
なんだかんだでリューキン家で手厚くもてなされている。
手料理もおいしいし、寝っ転がって帰り際にバトルがくれたお菓子を食べながら
DWTSを見ている。(リューキンが最高画質で録画してくれてた)
「幸せだな〜。おっここの動き、なかなかいいと思わない」
「最初はダンスなんてどうなるかって思ってたわ。でも
だんだん様になってきて…素敵よ、エヴァン」
昨晩のお説教が嘘のようだ。調子に乗って膝枕もお願いしてみる。

そこへメールの着信音。見るとベルビンたんからだ。
『真央のおもてなしツアーのアメリカ担当はあなたと私よ。
ジェレミーは真央と一緒だしね。とっておきの温泉を調べておいてね』

過去、プルのメアドをタニスのメアドと偽られたり
登録していたリューキンの名前をタニスと書き換えられたり。
(どうせこれもジョニーからだろ。俺にも学習機能があるところを見せてやるか)
「誰から?」
「ん?ジョニーからいたずらメール。さすがにもう引っかからないよ」
『二度とお前の遊びにつきあうのは御免だ。なにがとっておきだ。
ふ・ざ・け・ん・な。』
(はい、ポチっと送信〜)
138スポーツ好きさん:2010/05/02(日) 23:45:40 ID:jNrnWEz4
チェコ観光中のチーム真央。

今のところ順調だ。まったく何の障害も無い。
しかし、逆に何もおきなくてかえって気味が悪い。

ご機嫌で観光している一行の中で小塚の表情は冴えない。
最初こそ楽しんでいたが、あまりの平穏さに逆に不安になってきたのだ。
(おかしい。ジョニーさん達がすぐにも追いかけてくると思ったのに、全く何も音沙汰無しなんて。
どう考えても怪しすぎる…もしかして、これは油断させておいて奇襲とか?!)
とっても個性的過ぎるスケーターの相手をし過ぎて、すっかり疑心暗鬼になってしまったようである。
そして、その小塚の懸念はどうやら外れてはいないようだ。


そう、スウェーデンからまもなくアレが届こうとしていたのだ。
そして、チェコ目指して飛んでくるあの2人もまもなく到着の模様である。
139スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 00:12:08 ID:BHVV9WVL
まもなく真央たち一行に合流するADSLとべるるんのSWEコンビ。
しかし、上空から落ちてくる不穏な影に気づいてしまった。

「まさか・・・あれは他国スケ連からの案内人か!?」

二人はあせった。もし彼らが先に真央たちに合流したらSWEは後回しにされる。

「そうはさせるかhhhhhh━━━━━━(゚Д゚;;)━━━━━━!!!!!!」
ADSLの殺人イーグルが火を噴く!
上空から落ちてくる二つの影が着地する。その刹那
「あ”あ”あ”あ”!!!ウオーーーーー」
二つの影はADSLのイーグルに弾き飛ばされ、ドイツに逆戻り。
無論その影はプルとPちゃんであることは言うまでもない。
そして、この勝負に勝ったSWEでコンビの缶詰が真央たち一行の
最初の試練に決定したのであった・・・
140スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 00:23:56 ID:Qev08IdQ
チェコ上空でSWE先輩後輩VSジェーニャ+Pちゃんがぶつかったことも知らず、
一人残されたチャッキーは、Pちゃんが4Tで自爆した方角を見上げ、ただただ
茫然としていた。
「……ど、どうしよう……」
自爆のちにジェーニャが無事イニシアチブを取りドイツに着地したことまでは
解らなかったチャッキー。自爆でとんでもないところまで二人が跳んでいった
のではないかと不安でいっぱいだ。
「Pちゃんたらツンデレだから……プルシェンコさんとけんかしてなきゃいいけど」
ってそこじゃない。ぷるぷると頭をふると、寝癖頭がさらに大変なことになる。
顔本でお互いの写真を交換しあっているくらいにはPちゃんとチャッキーは
仲良しらしい。PちゃんがツンデレだからPちゃんの前では顔に出さないが、
やっぱり心配だ。
「そうだ、Pちゃんもプルシェンコさんもツイッターやってるみたいだし、
 場所の特定はできるよね。ツイッターやってるスケーターを探せば……!」
そうと決まれば話は早い。
しかし……ジェーニャ唐突な降臨、Pちゃんの自爆、そして焦燥感と不安……
さまざまな要因が、チャッキーのジャンプを狂わせる!

軸がぶれる!
そう思った時、チャッキーは跳んでいく方向を見失った。
チャッキーの命運やいかに!?
141スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 00:35:13 ID:VuzNRO32
ADSLに弾き飛ばされたプル&Pちゃんが落下したのは、いそいそとおもてなし準備に勤しむリンデマンの元であった。
「あーあ、もうちょっとだったのに…あ、なにそれおいしそう」
状況が飲み込めず呆然としているリンデを尻目にソーセージにかぶりつくプル。
Pちゃんはリンデにことのいきさつを説明し始めた。
「そだ、ツイートしないと」
ピコピコと携帯をいじるプル。
「ドイツでソーセージ食べてますなう」
扱いに慣れていないので写真が横向きだが気にしない。

一方ジョニ子一行は、プルのつぶやきに気づかずカザフスタンに到着してしまっていた。
142スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 01:07:10 ID:p0CNUrY2
恐怖の時が刻一刻と迫りつつあるわけだが
そんなこと(小塚以外は)全く気にせず観光中のチーム真央。

美姫の携帯にメールが入った。
「なになに?誰から?内容は?」未来が尋ねる。
「えっと〜胸毛のダーリン…、じゃなくてコーチから。
カザフスタン…だったかな?からやってきた新入りの歓迎会をやるから来なさいって。
まったく〜せっかく楽しんでるっていうのに〜(怒)」
「そっか…」
「とにかくちょっとモスクワまで行ってくるね〜今日中には戻れると思うから待っててね〜」
そう言い残すと華麗なジャンプで飛んでいった。

彼女はこの場を離れることを残念がっていたが、
この後残されたメンバーを待ち受ける試練から逃れられたのは幸運であったと言えよう。
そして歓迎会の後戻ってくるであろう彼女はどんな光景を目のあたりにするのだろうか…?
143スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 02:02:30 ID:Qev08IdQ
クーラーボックスにつめた某化学兵器を片手に、ADSLとべるるんは
ジェーニャとPちゃんを弾き飛ばし、無事、チェコの地に降り立った。
しかしカルロヴィ・ヴァリまではすこし距離がある。
「先輩、なにやってんすか。早く行かないと……」
「マシュマロと火かき棒と美女がいないだろ!」
KASASUがどのようなものなのか、べるるんには想像が
できなかった。だから、思いついたものを集める。
それしかない。
洋菓子店に飛びこんでマシュマロを買う。おねえさんがちょっと
オマケをしてくれた。火かき棒はなんとか手に入れた。
焦るべるるんのペースに、ADSLもだんだんつられていく。
「先輩、次はなんですか!」
「妖艶な女性だ!」
「わかりましたかたっぱしから声かけてきゃいいんですね!」
「そうさ。トマシュ曰く、チェコの女の子は世界で一番可愛くて
 セクシーらしいからな!よしいけアドリアン!」
「ってなんで俺だけなんですか。先輩も声かけてくださいよ」
「いやだって僕にはほぼ家族な恋人がいるわけだし、そんなことできないよ」
「いまさらなに言ってんですかあんた。ほら行きますよ!」

果たして二人はKASASUにより近づくことができるのか……。

余談だが女子選手成分が足りなくてちょっぴり物足りないと職人は唸っている。
144スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 04:28:45 ID:GOj1S29k
「…てか、俺だってラブラブで激カワな彼女いるんですよ…こう見えても」
チェコの街角を、先輩の先に立って歩きながら、ぶつぶつ言うADSL。
手当たり次第ナンパとか…シャイなスウェ人にはちょっとハードル高かった。
ていうか、火かき棒とマシュマロを持ったパツキンピアスサイコ野郎、あやし過ぎ。
「じゃ君の彼女呼んで来い!」
クーラーボックス抱えてうろつくべるるんも、かなりあやしい…通行人が二人を避ける。
「それはヤダ!…あ、でも写真見ます?(照」
携帯を取り出すADSLを見て、べるるんはふと考えた。
「…もう誰かに連絡して来てもらうしかないかな、ヴィクトリアとか」
ぐずぐずしてるとお巡りさんに職質受けちゃうかもだぞ。毒ガス持ってるし。
「ヴィッキーならきっと来てくれますよ、何気に男前だし!先輩から言って!」

…どーーーん! べるるんの連絡を受けて、ヴィクトリアがチェコの街角に豪快に降り立った。
「私、来ました!『SWE美女枠』として!」
ヴィッキー、ノリノリである。北欧美女として存在感を示したい、キーラに負けないわ!
「ありがとう!…火かき棒、マシュマロ、美女…と『アレ』がそろった!行こう!」
「…え?アレって…まさかアレですか?…火かき棒とか…何?」
事情もよくわからないのに、ノリで来てしまって、ちょっと後悔するヴィッキー。
145スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 08:10:00 ID:VuzNRO32
こちらカザフスタンに到着したジョニ子一行。
「カザフっていったら…デニスよねー」
スレ住人大方の予想通りテン君登場である。
「デニス、ジェーニャを見なかった?」「見てないです…」
先輩一行の突然の訪問に固まるテン君。
そのとき、「カザフスタンなう」とツイートしようとしたバトルが叫んだ。
「あっ!ジェーニャのツイートが…なんかドイツにいるみたい」
「なんだよアイツ…ったくめんどくせーなー」
「じゃあドイツに向かいましょう。デニスも来る?」
「おい、これ以上メンバー増やして職人に怒られねーか?」
意外に体裁を気にするヤグ先輩である。さらに固まるテン君。
「大丈夫よー、この子はしょっちゅう寝てるだけだから害ないわよ、あなたたちと違ってね!」
「なんやなんや、自分のこと棚にあげよるな」「ほんまですね、師匠…」
そんなこんなでテン君をメンバーに加えドイツに向かうジョニ子たちであった。
146スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 08:49:40 ID:AFpArDI1
ジェーニャのツイートを元にドイツへ降り立ったジョニ子達。
「あ、みんな来たんだ。こっちだよ〜」
そこにいたのは暢気に笑って手を振るジェーニャと、連続ジャンプで疲れきった顔のPちゃん。困惑顔のリンデマンだった。

「もう!ジェーニャったら心配したのよ!…あら?なんでパトリックがここに?」
ジョニ子の問いかけにジェーニャはこれまでの経緯を説明した。
「…どうやったら、チェコに行くのにカナダに落ちるんだよ!…こっちはカザフスタンまで探しにいったんだぞ」
呆れ顔のヤグディン。しかし全く見当違いのカザフスタンに行ったのは彼の発言がもとである。
「ごめんね。これからは気をつけるよ…ああ、それでデニスが一緒なんだね」
合流したものの既に眠そうなテン君に気付いたジェーニャ。

「ねえ、リンデマンに聞いたらドイツにもバーデン・バーデンっていう温泉地があるんだって。チェコ行く前にちょっと行ってみない?」
「でもチェコに行かないと真央が…」
「チェコに着く直前でなんかよく解らない物(ジェーニャは正体に気付いてません)に弾き飛ばされたんだ。
今行ってもまたそうなるかもしれないし、みんなもパトリックも連続ジャンプで疲れてるし温泉入って
仕切りなおそうよ…なんかエステもあるらしいよ」

どうしようか悩む一行だが「エステ…行くわ!!」というジョニ子の一言により、バーデン・バーデン行きが決まった
147スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 09:42:11 ID:p0CNUrY2
「…グルジアには温泉地はないのね…」
>>86のサイトを見ながら溜息をつくゲデ子ことエレーネ・ゲデバニシビリ。
「…エストニアにもないわ。」
同様に溜息のエレーナ・グレボワ。
「私たちみたいな国に温泉地のない選手はどうすればいいかなぁ…」

「どこか温泉地のある国に行って一緒におもてなししたらいいよ!(どかーん!)」
声と同時にやや自爆しながらコストナーさんが落ちて…いや降りてきた。
それは名案だわ!憂い顔の美女二人の顔がぱっと明るくなる。

「で、どこに行こうか…」
再びサイトを見始める二人。
「イタリアにも温泉地があるよ! ティラミスもジェラートも美味しいよ!」
「…そういえばスイスにも温泉地がいっぱいあるね〜」
「イタリアにもあるよ!」
「ランビエールさんの家もあるし行ってみようか(前作でもお世話になったし)。」
「イタリア(ry」
「じゃあスイスにしようか…カロリーナも一緒にくる?」
まったくコストナーさんの話を聞いてない上に、空気の読めない提案をする二人。
「ス…スイスだったらチーズフォンデュも美味しいよ! 食べるといいよ!(汗)」
若干顔がこわばってるような気もするがコストナーさんの同意も得られたようだ。

欧州美女三人衆、とりあえずはスイスに向かうことに。
ただしジャンプだとあっという間に着いてしまうのでのんびりゆっくりまったりと歩きで。
148スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 10:31:51 ID:ehauJ3nf
某国某スケ連のある会議室。
「あーいこでしょっ!」
じゃんけん大会はまだ続いていた。
何せ効率を無視して数十カ国が一緒にやっているのである。
もう勝っているチェコとロシアがおかしいのだ。なお、ロシア代表は毛皮のおばちゃんである。
「まだ終わらないわねえ」
「そうですねえ」
勝った二国はミハルがメールで送ってきた観光写真を楽しみながら待っている。
なお、マオが飽きたら誘致ツアーはそこで打ちきりである。後の国は文句言えない。
「……よっしゃ! 勝った!」
そうこうしているうちに3国目が勝った。ドイツだ。
149スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 18:07:22 ID:Rc3eC6TS
一方SWE組inチェコ。
(…ここで水着になれ、ってどういう事?…でも先輩の命令だし…)
温泉地行き、ということで、ヴィッキーは水着を用意…服の下に着ていた。
街角でおもむろにヌギヌギする彼女に、ドン引く通行人。
「着替えたね?じゃアドリアン、彼女と僕を乗せて、チームマオを追うんだ」
「ヴィッキーも乗せるの?俺の腹筋殺す気ですか」
「ちょっと!どういう意味よ!?」
「頼むよアドリアン、SWE代表として颯爽と登場したいだろう?
 それにトマシュやミハルに恥をかかせるわけにはいかない!さあ!」

…ガイドさん役のミハルの顔が輝いた。やっとSWE組が現れたのだ!
「ではみなさん、今ツアーのスペシャルパフォーマンスをお楽しみください!
 日本と欧州の近い文化を通して、さらなる友好と理解を願うものです、
 テーマは… K A S A S U !」
ADSLのイーグルからひらりと飛び降りるのは、クーラーBOXを抱えたべるるん、
火かき棒&マシュマロを持ったビキニ姿のヴィッキー…カオス。
「すご〜い!前衛芸術ってやつだよね、ね、たかちゃん、大ちゃん?」
興味津々ではしゃぐ真央。固まる小塚と高橋。ツカミはオッケーだ!
150スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 19:12:42 ID:Qev08IdQ
ちゃらりらりらーん♪
耳馴染みのあるメロディが、真央たちに届く。日本で手品を行う時によく聞くアレ……
『オリーブの首飾り』だ。
マジックでもはじまるのかと身を乗り出す真央と高橋。小塚だけは注意深く様子をうかがっている。
「ジェレミー、あなた今度のエキシビジョンで手品を披露してはどうかしら^^」
相変わらずユカさん^^はアボットに無茶ブリをしている。
クーラーボックスを地面に置いたべるるんは、ちょっぴりまごついているヴィッキーにメモ用紙を
渡した。「このメモに書いてある通りにするんだ。できるね、ヴィクトリア」
言うが早いか、べるるんは一行と距離をおいた。ADSLも既に離れている。
メモに目を通したヴィッキーはというと、その愛嬌のある風貌をゆがませた。
(なにこれっ、こんなの聞いてない!こんなところでアレを開ける?!何考えてんのよぅ!ああ、
サーシャ、あの二人を止められるのはあなただけだと思うのに、どうしてここにいないの!?)
19歳マヨロフは変プロだらけのSWEの中でも希少な正統派だ。
そんなことを考えながら男前風女子ヴィクトリアは、にこり微笑んで会釈をすると、猛スピードで
男子二人の元へ。ほんの少しの間をおいて、二人の腕を掴み猛然と戻ってきた。
(ヴィッキーにげんこつくらった……いてぇ)
(ごめん、ごめんてば……だからそんなに怒らないでよ……)
漢女(おとめ)には敵わない先輩後輩は、とほほと覚悟を決めたようだ。
151スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 20:12:09 ID:yaTsSJj/
ヴィクトリアの機転により、例のアレの封印を解くことは避けられたかに見えた。
だがこの時、3人はまだ気付いていなかった。
発酵ガスによる圧力と浸食、そしてプルPとの衝突の衝撃…
例のアレを納めるアルミ製の缶は、その強度をじわじわと失いつつあるという事に。
缶詰の耐久力が限界に達した時、惨劇の幕が切って落とされる―――。
152スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 20:41:53 ID:Rc3eC6TS
べるるんが捧げ持つクーラーボックスを、ADSLがはらりと開ける。
その中には、パンパンに膨れた缶詰が…どよめく一同。
「…ヴィッキー、もう時間がない!覚悟してそこに横になれ!」
…さあこれでもう一同にも想像がついた、息を飲む、
シ ュ ー ル ス ト レ ミ ン グ N Y O T A I M O R I !
(さすがSWE&チェコ…マッツ・エックとシュヴァンクマイエルの国だわ…^^;)
ユカさんもそのあまりの前衛っぷりに引きつった。
「アドリアン!あんたまだそんな事言ってんの!?」すごむヴィッキー。
「これも友好親善のためだって…あと先輩の卒論」

ご〜〜〜〜〜ん! ADSLの頭の中で、鐘が一発鳴り、ぶっ倒れた。
…ヴィッキーが火かき棒を握りしめて、プルプルしていた。
「このサイコ野郎!コーチに言いつけるよ!?
 クリストファー先輩も………イ ケ メ ン の 無 駄 遣 い !」
あぁついに言っちゃった…ちょっぴり涙ぐむヴィッキーであった。
べるるんはクーラーボックスを持って凍り付いていた。
ヴィッキーのセリフに傷付いたわけではない、アドリアンが倒れた衝撃で…缶詰がヤバイかも…
153スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 21:05:21 ID:Qev08IdQ
そのころのコストナーさんとゲデ子とエレーナの美女三人旅チームは、
ルーマニアを訪れていた。
スイスに向かうという話だったが、どうせなら各国の温泉でまったり
しようという話に落ちついたのだった。
いざとなったらジャンプで急行すればいいし!
もちろん誘致とは関係がない、個人旅行状態である。
三人が向かったのは、2400年前に温泉が湧き出したといわれる、
バイレ・フェリクス。
アンチエイジングと美容の国であるルーマニアのリゾートスパに、
三人はわくわくを隠しきれない。露天になっている家族風呂に入って、
今後の予定を立てる。
「このあたりだと泥パックが有名なんだって」
「わあ、すごく美容効果がありそう……!後で行ってみようよ」
「ルーマニア風ロールキャベツがおいしいよ!揚げドーナツに
 サワークリームやジャムをつけて食べるパパナシもおいしいよ!」
のんびりなごやかな雰囲気で、きゃっきゃうふふと会話をする三人。
と。

「………っ、うわあああああ!」
まだどこか少年のような幼さを残した声とともに、家族風呂に何かが
突入。大きく水柱を上げる。
ゲデ子はその声に聞き覚えがあった……そう、ずっと一緒に旅をしていた……

「ケヴィン!?」
154スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 21:08:21 ID:BHVV9WVL
 それまで、興味津々でマジック(?)を見ていた大輔が突如顔を抑えて座り込む。
「だ、大ちゃん?」
「こ、この臭い・・・硫黄?・・・ヤバスギル・・・」
・・・関西の住人だからなのか、大輔の鼻が缶詰の緊急非常事態を察知。
「に、逃げる?」
「今すぐロシアに行くぞ!真央と未来を・・・」
言いかけたとき

ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!!

ついに缶詰が暴発!!

「わ〜!!!(゚Д゚;;!!!」
「逃げろ〜!!!」

真央と未来を引っつかんで二人はクワドでロシアへ

因みにユカさんは無事だった。
アボットを盾にしたから・・・・
155スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 21:55:18 ID:yaTsSJj/
跳びながら高橋は思った。

ヤツら、確かに「KASASU」と言っていた。「NYOTAIMORI」とも。
思い出されるのはアドリアンとのメールのやりとり。
『“火サス”って何?』という質問に返したのは『かさすはときどきえろいとおもう』。
何がどーしてどーなったらああなるのか知らんが、原因の一端が自分にもあるのは明白だ。
あんな適当な返信するんじゃなかったよ申し訳ないアドリアン。たぶんいいヤツなのに。
着地したら小塚にも謝ろうかと思ったが、それは止めておくことにした。
小塚は3スレにもわたってスケーターたちに振り回され続け、相当ストレスを溜めている。
このスレでのうっぷん晴らしの作戦ももはや別方向に向かってままならない。
今の彼を自分が原因なんて怒らせたらヤバい気がする。マジリアルで。
156スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 22:43:10 ID:Qev08IdQ
52 :スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 22:30:36 ID:UJakjOAJ
「それにしてもお前ら、どうしてドイツになんかいたんだ」
湯上がりほこほこで機嫌よくドイツビーアを水のように飲み干しながらヤグディンが言う。
同じくビーアをぐいぐい飲んでいたプルシェンコがPチャンを手招きする。
「うーん、つまりねえ……かくかくしかじか」
「なるほど、安定してないクワドなんか跳ぶからだ」
バッサリ斬って捨てるヤグディン先輩。
彼の時代には4-2とか当たり前だったから、特に悪気はなかったのだが、Pチャンはずっしり凹んだ。
「いや、彼のクワドは中々のものだったよ!もう少しで完成さ!
 なんだったら僕と練習しようか!」
クワド会会長は最近フォロー役である。
Pチャンの手をとり、クワドを……。
「おい、何やってんだジェーニャ!」

自爆した。膝の調子を考えずに跳ぶからである。

「ジェーニャ!パトリック!くそっ!」
自爆4Tはどこに行くかわからない。
しかも、プルシェンコもPチャンも、風呂上がりで腰タオル一枚の姿だった……。


エンドロールスレに誤爆?代理でお引っ越しさせてもらいます……二人何処行ったんだろうw
157スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 22:57:07 ID:Qev08IdQ
周囲にはひどい臭気が立ち込めていた。
ユカさん^^の盾とな(らざるをえなか)ったアボは、仁王立ち状態で茫然とし、
ヴィッキーはへなへなとその場に座り込んだ。それもそのはず。このシリーズに
初登場にも関わらず、シュールストレミングの臭気や汁、魚肉などを頭からびっしり
浴びてしまったからである。男前女子ヴィッキーでも、さすがにそれらを受け入れる
キャパシティはなかった。
「大輔!?……大輔が逃げた!」
KASASUの真実の意味を聞くことができなかった!ADSLは悔しそうに、彼らが
飛びたった空へ向けて吠える。
シュールストレミングにまみれたのはミハルも同じで、さすがにぐうの音も出ない。
べるるんは大きく肩を落とし、その場にしゃがみこむ。
まず一体何からどうすればいいのか……考えつかない一行に、ユカさんがぱんぱんと手を
叩いてみせる。
「ジェレミー、ミハル、クリストファーとアドリアン。あなたたちはここを片付けなさい^^」
そしてユカさんは今にも泣きだしそうなヴィッキーを立ちあがらせる。
「ヴィクトリア、ここは温泉地なんだから、体を洗ってきましょうね^^大丈夫よ^^」
片付けたらあなたたちも一風呂浴びてきなさいね^^
ユカさんの言葉を背に、男子たちは憔悴した様子でその場を片付けはじめる。
しかしADSLだけは、いつもはクールで何を考えているのかわからない青い瞳を
めらめらと燃えたぎらせていた。
このままでは終われない。なんとしても、大輔にKASASUの意味を聞くんだ!

勿論、職人がそんな展開を用意できればの話なのだが……
158スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 23:00:38 ID:yaTsSJj/
ジョニ子は歯軋りするヤグディンを慰めた。

「まぁ今のところ103KB消費、残り容量は400KB近くあるし、何とかなるでしょ。
きっとどこかの国に着地してうまい具合に誰かと絡んでくれるわよ。
それにあの二人…中々珍しいコンビで面白そうじゃない」

あとはジャンプの勢いで腰タオルが吹っ飛んでいないことを祈るばかりだ。
159スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 23:41:46 ID:Rc3eC6TS
一方ロシアに跳んだ一行。
「…すごかったね〜、前衛って爆発なんだ〜!」
「まさにシュール、みたいな!?」
真央と未来は、さきほどの出来事に興奮して騒いでいた。
「タカ、大丈夫だった?」
大輔は崇彦を気遣って声をかけたが…
「安全な場所、安全な場所…」
崇彦はそうつぶやきながら、尋常でない目付きで周囲を見回している。
(ヤバイな…慎重に扱わないと…)
「あ!あれ、スケートリンクじゃない?」
真央が指さす。スケパシーのなせる技か、彼らはリンクの近くに着地したのだ。

ん?歌声が聞こえる…
160スポーツ好きさん:2010/05/03(月) 23:58:22 ID:oI4tk3wv
「マオたちがロシアへ飛んだのね、わかったわ、すぐに向かうわ」
某国では毛皮のおばちゃんが立ち上がった。
「じゃあ、楽しい写真をどうもありがとう。マオに会ってくるわ」
チェコの幹部に挨拶して、おばちゃんは立ち上がる。
移動手段はもちろんアレだ。スケ連前に金色宇宙船が降り立つ。
「あ、こんにちは!」
おばちゃんが中に入ると、プルとPチャンがすでにいた。
「ここに来る途中で拾ったんだよ」
運転手はミーシンである。
161スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 00:04:27 ID:7ra8rdSd
胸毛コーチに呼ばれてモスクワに来た美姫は呆れていた。
「これのどこが歓迎会なのよ!!」

「キャシー、その衣装とても似合ってるよ」(>>38参照)
「ハピエルも胸元に差し入れたぬいぐるみがいかしてるわよ」
バカップルは相変わらずいちゃいちゃきゃっきゃしているし、
なんかもう一人新入りがいるはずなんだけど、
彼ははロシアスケ連のおもてなし練習のために欠席とのこと。
そういえばチーム真央の次の訪問国はロシアね。楽しみにしてるわ。

で、コーチはといえば、
「アブドゥル君、モロゾフ・チームに入ったらまずは顔撫でを朝昼晩100回ずつだ!」
「わかりました、コーチ」
髪型も顔も何もかもが銀盤の王子様(笑)からは程遠い、
でもそこにどこかしら謎めいた妖艶さを感じるマニアもいるらしい
ドルジことアブドゥル・ラキムガリエフ少年に顔撫で指導中。

(これじゃいてもしょうがないからチェコに戻ろうかしら…)
と思ったところにメール着信。大輔からだ。

「きんきゅうじたいはっせい ちぇこにはもどるな みんなろしあにいる」

…ロシアって一言で言われてもね…。
まあ、スケパシーを頼りに跳んでいけばチーム真央に辿りつけるはずね。
コーチにあいさつは…ま、いーか。
チーム真央に合流すべく、美姫は2A+2Lo+2Loで彼らのいるスケートリンクに跳んでいったのであった…
162スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 00:21:34 ID:YLAXNn02
…ユカさん、アレの臭いはマジパネェ。洗ってもしばらく臭い取れない。

「…アドリアン、責任取ってよ!…入浴拒否されるに決まってるんだから」
ヴィッキーの言葉に、片付けの手をびくっと引っ込めるジェレミーとミハル。
べるるんとADSLは、むろんアレの残骸に触れようともしていなかった。
「うわこっち来んな!…どーしろってんだよ」
後ずさるADSL。…通りすがりの観光客が何人かぶっ倒れそうになっている。
「…わかったよ、食やぁいいんだろ!」

というわけで、アレの残骸の周りに、飛沫を浴びた当事者が集められた。
その前でADSLはゆっくりと息を吐き…思いっきり吸い込んだ!
残骸と飛沫が、一気にADSLに吸い込まれて行く…
(食った…)(信じられん…)さすが魔物を食った男。

「さて…一体誰がどうして、こんなパフォーマンスを考えたのかしら^^」
ユカさんはいつもいい笑顔だ。
ADSLはちょっとルトコフを思い出したりする。つまりユカっておっかないんだろうな。
163スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 00:32:58 ID:IXcogj64
その頃のドイツ。ドイツでも有名な高級保養地、バーデン・バーデン。
ウクライナには有名な温泉地がなかったため、いつもお世話になっている
ドイツの誘致をお手伝いしようと、小林……アントン・コバレフスキーが
降り立った。
お題は「世界のマオ」を喜ばせること。
では一体何をすれば、彼女は喜んでくれるのか・・・?

「相打ちカルメンでもするかな・・・?」
09年。オーベルストドルフにて行われたiceDOMEgala。
そこで小林は、トマシュとともにカルメンを演じた。
身長180センチのトマシュカルメンとともに氷上を駆け巡ったのだ。

カルメンといえば……演じたスケーターも少なくはないが……

とりあえず小林はトマシュに連絡をとってみることにした。
164スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 07:56:12 ID:yjj++onl
さて小塚一行。
「ガジェンガガジェンガガジェンガマヤ♪」
音痴では……ない。
「ガジェンガガジェンガガジェンガマヤ♪」
揃いのルパシカ(民族衣装のシャツ。プルのクレージーバートのあれ)とコサック帽に身を包んだロシア選手×4のお出迎えである。
「ようこそロシアへ!」
ややげっそりしたヴォロノフが挨拶する。
「お出迎えありがとう」
もっとげっそりしている小塚が挨拶する。
「わー! きれいな服ですね〜」
「ほんとだ!」
真央と未来は4人のきれいな衣装に興味を示している。
「なら是非これに着替えて! 皆にプレゼントだよ!」
と、大きな包みを渡すルタイ。中に入っていたのはロシアの民族衣装だった。
「小塚の様子がおかしいんだ……あまり刺激しないようおとなしめの観光で……」
高橋はヴォロノフに小声で相談をもちかけていた。
165スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 10:09:02 ID:U/E4r+nR
「まあジェーニャ。そんなはしたない格好でマオに会わないでちょうだい!」
おばちゃんにピシリと注意されたため、プルは宇宙船の奥から昔の衣装をごそごそ引っ張りだしてきた。
自分はトリノ五輪で着用したGF衣装、PちゃんにはMJの金ピカ衣装があてがわれた。
躊躇するPちゃんだったが、おばちゃんにギロリと睨まれたのでしかたなく着用する。
「それにしてもこんなときにリョーシャはなにしてるのかしら!」
「リョーシャはドイツにいますよ〜」
「後でゲンコツだわね」
ゴツい指輪をはめた手をわきわきさせるおばちゃん。そうして真央たちのリンクに向かう宇宙船であった。
一方リンクでは、なにかが第六感にひっかかったようで、小塚がさらに殺伐とした表情でぶつぶつ言っている。
166スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 12:24:06 ID:o1efdepx
「さて…一体誰がどうして、こんなパフォーマンスを考えたのかしら^^」

ユカさんの言葉に、ヴィッキーはべるるんを見、べるるんはADSLを見、
ADSLは…ミハルを見、そしてミハルは…
「あ、トマシュ先輩は!?」
「ふーん…トマシュ・ベルネルくんはどこへ行ったのかしら?^^」
…こうして皆はトラに全部なすりつけた。
(ごめんよトマシュ、僕今すっごく疲れてるんだ…)
心中で言い訳するべるるん。
でも、KASASUを用意しよう!と言い出したのは、実際トラだ。

「みんなも連帯責任よ!と言いたいところだけど…まあ疲れてるだろうし。
 臭いも大分マシになったところで、お風呂入ってらっしゃい^^
 ベルネルくんにはまた今度、詳しく聞かせてもらいましょう^^」

…やった!ユカを丸め込むことに成功したようだ!
167スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 13:26:37 ID:5SrWQK+a
さて、ロシア勢はスケート場の更衣室を借りて着替えることに。
「大ちゃん似合うね」
「崇彦も」
一体どこで服のサイズを調べたのだろうか。ぴったりである。
気に入ったのか小塚も多少機嫌が直ったようで、高橋はほっとした。
「あ、二人ともいた〜」
真央と未来がやってきた。
……はっきり言おう。かわいい。
色違いの、小花模様の刺繍入りスカートだ。
真央はピンク系、未来は赤系の色でまとめられている。
ロシア勢も日本男子も鼻の下を伸ばしている。
168スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 17:28:04 ID:N4m2CnAA
inチェコ。
風呂から上がってさっぱりしっとり、ご機嫌のヴィッキー。
だがやはり風呂上がりのADSLを見ると、途端にご機嫌斜めになった。
「ホントはあんたがKASASUの元凶なんでしょ」
「俺?なんだよさっきから俺ばっかり」
「いつもあんたのせい!私まで変プロ期待されちゃったり」
「話反らすなよ。今回は先輩の卒論を手伝いに来たんだよ」
「嘘つけ!先輩、『もう帰りたい僕疲れた』とか言ってたよ」
「ヴィッキーが『イケメンの無駄遣い』とか言ったからだろ!」
「えぇ〜そんなぁ」
「まあ君の方が男前かもしれないよね〜」
「ひどーい!私も帰る!絶対コーチに言いつけるからね」
「うわマジ勘弁、待てよ、おーいヴィッキー?」
豪快に跳び立つヴィッキーを見送りながら、ADSLは頭を抱えた。
(うちのコーチ、怒るとおそロシアなんだよな〜、
 ヴィッキーまじチクリそうだし、やべー帰りたくねェ〜!)
169スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 17:57:06 ID:xWyXE8Wj
真央たちのいるリンクへ意気揚揚とむかうプルたちを乗せた宇宙船。
ここまで4T自爆したり、タオル1枚でロシアまで飛ばされたり、金ピカMJ衣装着させられたりと
散々な目にあったが、これでようやく真央に会えると瞳孔開きっぱなしでwktkするPちゃん。

目的地はもうすぐそこというところまで差し掛かった時だった。
突然、宇宙船がガタガタとゆれ始め、制御が利かなくなった。

「うわぁぁ?!何だこれ?!!」
「ミーシン先生!一体どうしたんですか?!」
突然の異変に驚くジェーニャとPちゃんにミーシンコーチがとんでもない事態を告げる。
「大変だジェーニャ!宇宙船のエネルギーが切れそうだ!」
慌てて燃料計を確かめると、ゲージがEの直前になっている。

前スレでも描かれたように、ジェーニャが宇宙船をもらったのはトリノ五輪の金メダル祝いである。
そして主なエネルギーはオリンピックのメダル(金なら1枚・銀なら5枚)である。
あれからはや4年経ち、エネルギー源のトリノの金メダルの効力がそろそろ尽き始めたのだ。

「早く新しいエネルギーを補給しないと墜落するぞ!」
「他のメダルはないんですか?プルシェンコさん!」
「銀ならあるけどあと3枚足りないよ!」
「落ち着きなさいジェーニャ!こういうときはこうするのよ!!…お客様の中に金メダルか銀メダルをお持ちの方はいらっしゃいませんかぁっ?」

がばっと立ち上がり、客室乗務員張りに叫ぶおばちゃん。
…いやいや、メダル持ってる人はそうそういないと思うぞ。
170スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 20:06:36 ID:x/mJRwFU
チーム真央の一行はロシアのアイスショーを堪能していた。
ところで、勢いでロシアに来てしまったけど此処はいったい?
「そういえば僕達の服のサイズどうして知ってるの?」
崇彦は先ほど抱いた疑問をヴォロノフに聞いてみる。
「ああ、それは彼女が日本のスケ連会長から聞いてくれたそうです。」
「彼女?」
「ええ、まもなく登場ですよ」
群舞が終わりいよいよ大トリの登場。
「ようこそ!サンクトペテルブルグへ!!」
「ああ!!」「そうか、そういうことか・・・」

登場したのは現ヨーロッパチャンピオンペア。
川口悠子・アレクサンドル=スミルノフ組

驚きながらも納得の4人なのであった
171スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 20:12:11 ID:IXcogj64
チャッキーは夢を見ていた。
広いカナダの空の下、そこにはPちゃんとジェーニャの姿があった。
そう、それは、チャッキーが豪快に自爆をする直前の景色……
自分が跳んで見せると意気込むPちゃん、そして、消えてしまった二人……
Pちゃん、だいじょうぶかな。プルシェンコさんに怒られてないかな。
僕はすごく心配だよ。プルシェンコさんに誤解されてないかな。
Pちゃんたら、ツンとデレの間にタイムラグがありすぎなんだもの……
本当は努力家でひとなつこくて、いい子なのに。誤解されやすいだけなのに。

「Pちゃん、だからってデレツンは……それは逆効果……」
「ケヴィン……?」
降ってきた女性の声に、チャッキーの意識は覚醒した。
反射的に起き上がり、きょろきょろと周囲を見渡す。こぎれいな部屋だ。
「コゾナックおいしいよ!さくらんぼのシロップ煮が挟んであるよ!」
起きぬけにずいっとフォークに刺った細長いバウンドケーキを
差し出され目を白黒させるチャッキー。
「ここは……」どこ?
「ルーマニアのバイレ・フェリクスよ。お風呂に入っていたら
 あなたがいきなり落っこちてきたの。びっくりしたわ」
そう説明するのはエレーナだった。そこでようやく自分がベッドで眠って
いたことに気付くチャッキー。最初に声をかけたのはゲデ子だ。
美女三人は部屋着に着替えていた。
チャッキーの髪は家族風呂につっこんだためにしっとりぬれている。
前後の記憶がはっきりしない。


「ルーマニアといえばクルトシュもおいしいよ!筒状の薄焼パンだよ!
 ところでhttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/65
 でこれまでのまとめが出てるよ!みんな目を通してみてね!」
172スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 21:58:18 ID:N4m2CnAA
『message:
 アドリアン、チェコまで送ってくれてありがとう。
 でも卒論は他のテーマにしようと思う。
 フィールドワークがしんどすぎるから…KASASUは君に任せるよ。
 僕はもう帰るけど、何かあったら遠慮なくメールなり電話なりしてくれ。
 (クリストファー)』
べるるんは携帯を畳んだ。
アドリアンとヴィクトリアがケンカしてなきゃいいけどな、
あの二人そろうと、子供みたいになっちまうんだから。

『message:
 Hi、ダイスケ!
 せっかくチェコで会えたのに、時間がなくて残念です。
 今度会ったら、ぜひ色々話しましょう。
 (アドリアン)』
(やっべ!)アイスショー観覧中の大輔は、メール着信に固まった。
今んとこ崇彦は落ち着いている。アドリアンが追っかけて来たらどうしよう!?
173スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 22:32:32 ID:xWyXE8Wj
燃料切れ寸前で大ピンチの宇宙船内。

新たな燃料確保の手段をあれこれ必死に考える4人。
「もしメダルを持ってる誰かが僕達のスケパシーを感じて来てくれたとしても、間に合うかどうか…」
「金メダルならリョーシャに言えば良いじゃないの!」
「いやいや、それならウルマノフに頼もう!」
悩むジェーニャとお互いに譲らないミーシンコーチVSタラソワコーチ。
その前にヤグディンに借りるとなったら、ジェーニャが嫌がるのは想像に難くない。
そういえば最近金を取った人のことは、今ここにいるのがロシア勢(+Pちゃん)ばかりだからか、
あるいは皆うっかり記憶から抜けているのか名前が出なかったようだ…哀れ。

「…そうだ!だったら俺のこのメダルで!」
と言いかけたPちゃんだったが、彼が持っているのは銀メダルでジェーニャのと合わせてもまだ足りない。
しかもそれは世界選手権のメダルだ。

そうこうしているうちにも徐々に宇宙船は降下していく。
だんだん近づいてくる町並みを見て驚くジェーニャ。
(あれはサンクトペテルブルグ…!よりによってここに落ちるなんて!)
ここへの墜落は避けたい。なにしろここは第2の故郷とも言える街だ。
普段からずっと応援してくれる人たちがいて、バンクーバーの後だって…

その時ジェーニャはふとある事を思い出した。
(そうだ!あれを使っちゃダメかな?でもあれオリンピックでも世界選手権のでもないんだけど、
このままだと墜落しちゃうし…どうしよう?)
時間は無いぞ。さあ、どうするジェーニャ?

174スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 23:15:58 ID:OlBgnZzm
「ミーシン、これ〜」
プルはぽいっとあるものを投げた。
受け取ったものを見て驚いたミーシンだったがすぐさま金色ドーナツとそれを変える。
「あら……!?」
ガタガタと小刻みに震え、今にも空中分解しそうだった宇宙船が、音もなく安定した。
静香のスケーティングを思わせる美しさでサンクトぺテルブルグの郊外に着陸した。
「プルシェンコさん、一体何を入れたんですか?」
「ただの、メダル」
「? オリンピックの金メダルよりエネルギー効率のいいメダルって?」
とタラソワ。
「多分金の含有量の問題かなあ」
「いや、込められた思いの差だよ、ジェーンニャ」
ロマンチックなことを言ったのは、ミーシンだった。
ttp://www.nishinippon.co.jp/nsp/item/160449
175スポーツ好きさん:2010/05/04(火) 23:56:11 ID:IXcogj64
ああ、今日はさんざんな日だった。
もうしばらくシュールストレミングは見たくない・・・・
ようやく帰宅したべるるんは、大きなため息とともにソファーへつっぷした。
ジェレミーのコーチであるユカさん^^が日本人だったと気づいたのは、自宅玄関をくぐってからだ。
結局KASASUがどんなものかわからなかった。ふんだりけったりだ・・・・・・
きっとアドリアンが聞いてるだろうから、ほとぼりが冷めたら聞いてみよう。
今日はもう疲れた。すこし転寝して、図書館に行って資料を探して――

ぷるるるる
べるるんの携帯電話が鳴る。
「クリストファー、キーラとラウラが帰ってこないんだよ!」
「ええ……それは災難だったね……」
電話の相手はぬる麺だ。
「俺は誘致の準備でここを離れるわけにはいかないし……同じ北欧のよしみで探してきてくれよー」
「ごめん。僕もう今日は電池が切れたんだ」
ソファーに寝転んだままアンドロイドプロのマイムをしてみる。
「探してきてくれたらフィンランドサウナ無料で入れるからさ」
「しばらく温泉もこりごりだよ……」

電話を切って、べるるんは脱力する。さて、どうしよう。選択肢を浮かべてしまう自分がにくい。
176スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 02:32:48 ID:vVX1TCfB
ずどーーーーん! ADSLは無駄に4Tでスウェーデン某所に着地した。
ガールフレンドからメールが来れば、すっ飛んで帰らざるをえない。
だが待ち合わせ場所には誰もいない。何かおかしいぞ…
 ぐ き 。 
ADSLは首をあらぬ方向へ曲げてぶっ倒れた。
「隙あり!」
ルトコフコーチが背後から踵落しを食らわせたのだ。
その威力、ヴィッキーの火かき棒の比ではない。
「いてーよ!ってか卑怯でしょ!ってかハメましたね!?」
「まあ組み手でもしながら、チェコ旅行譚を聞こうか?」
ADSLは首をぐいっと直しながら、いい笑顔で構えるコーチを見た。
(鬼だ、この人鬼だ…ヴィッキーもある事ない事言いやがったな?)

一方ロシア、サンクトペテルブルグ。
「安全な場所安全なばしょあんぜんな」
「大ちゃん?大丈夫?」
崇彦がそっと声をかける。川スミ組の4回転スロージャンプに喝采が沸く。
なのに大輔は上の空でぶつぶつつぶやいていたのだ。
「あ、俺なんか言ってた?ごめん大丈夫」
(あ〜、もう…また面倒が増えたような…)
崇彦も大輔も似たな事を考えて、それぞれ人知れずため息をついた。
ルトコフ師弟がスウェーデンで、テコンドーvsカンフーのバトル中だとは、大輔は知る由もない。
177スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 10:20:40 ID:/EwLRyyd
「皆こんにちは!」
群舞を終えた悠子さんがあいさつにやってきた。
「これから場所を移動して、サンクト観光とご飯よ。私がガイドをするから、楽しんでね」
「旅の楽しみって、やっぱりご飯だよね〜」
「うん!」
何がでるのか、未来と真央は楽しそうに話し合っている。
「移動するのなら安全なはず安全なはず……」
こうして10人に増えた一行はサンクト観光にでかけた。

「マオたちサンクトなんだね? じゃあこのままさがそっか」
「ジェーニャ、膝は大丈夫か?」
「自爆しまくってますよ、プルシェンコさん」
「少し医者に診てもらおうか」
「そーよジェーニャ。できることなら来季も滑ってほしいけど」
「うーん。難しいなそれ」
宇宙船勢もサンクトの町へ向かう。
178スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 12:16:57 ID:Ra9eiFVJ
その頃のべるるん。
「やったー、自己ベスト更新だー…むにゃむにゃ」
キーラとラウラに「今どこ?」というメールを送ったまま、眠ってしまっていた。
片手には携帯を握ったままである。
「アドリアンも…がんばれ…ぐぅ…」
どうやら来年の東京ワールドの夢を見ているらしい。頑張れべるるん。
179スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 12:42:51 ID:0d7K/Rwr
真央の捜索の前にプルの足を一度看て貰う事にした一行。
とりあえずかかりつけの医者のところに向かおうとしていた時だった。

「・・・あれ?誰かこっちに来るぞ?」
宇宙船の窓から外を見ていたPちゃんが人影に気づく。
「誰かな?遠くてよく見えないよ・・・僕らに用事かな?」
「ちょっと近づいてみましょう」
最初は豆粒ほどの大きさだったが、だんだん近づいて行くと相手もこちらに向かって手を振り替えした。
その手にはきらきら光るものが握られている。

相手の顔がわかる所まで接近してみると、それはプル達がよく知っている人物だった。
「お〜い!何か金メダルって聞こえたんだけど、大丈夫かぁ〜?」

遅ればせながらスケパシーを察知したウルマノフだった。
180スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 13:22:03 ID:opFNfAZN
ユカさん^^の盾になって浴びた生物兵器もお風呂ですっきりさっぱりしたアボット。
こうなるといつもの「アレ」である。携帯取り出してツィート開始!

「『チェコなう シュールストレミングはとてもバッドスメルだった』 …っと。」
「ジェレミー、何をしてるのかな^^」
「!!!」
「スウェーデンのみんなも帰っちゃったし、私たちもそろそろ次の行き場所考えなくちゃね^^」
「……」
「コロラドに戻って練習しよっか^^ 
…そういえばベルネル君にもなんでこんなとんでもない企画を考えたのか、お話を聞きたいな^^」

さて、アボットの4Tはどこに楽しい師弟コンビを運んでいくのだろうか?
181スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 17:26:12 ID:iI5mmeJq
「へっくし!」
ドイツ、バーデンバーデンでは、トラがくしゃみをしていた。
「変だな、温泉に入ってるのに風邪引いたのか?」
湯から上がると「温白水」スーツに着替え、ひとまずメールチェック。
『マオたちもう行っちゃいましたよ!fromミハル』
「しまった何やってんだ俺!」
『ドイツにいるならやらないか?fromアントン』
「おお、カルメンか!」
『キーラとラウラどこにいるか知らない?fromクリストファー』
「たしか日本にいたよな…」
…どうする?俺。なんか一気に出番が回って来たぞ!
もうひとつ、未読メール。
『とりあえず全部先輩のせいになっちゃいましたfromミハル』

俺のせい?俺のせいって、何だっけ?首を傾げるトラ。
182スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 17:35:18 ID:0d7K/Rwr
トラがメールを読んでいる間もすっかりバーデン・バーデンをあらし…もとい、満喫しまくっているチームDIVA。

温泉に浸かりまくり、目の前に用意された本当はチーム真央歓迎用のドイツ料理を
平らげ、本場のビールですっかり盛り上がる男性陣。
ジョニ子はといえば、これまた本当はチーム真央用のエステをあれこれと試しまくって
「やっぱりDIVAには優雅なひとときが必要だわ〜」とご満悦である。

その間バトルはプルとPちゃんのつぶやきが更新されていないかチェックしつつも、
やっぱり本当はチーム真央用に準備されていた本場のバウムクーヘンやグミキャンディやチョコレートを
せっせとリュックサックに詰め込んでいた。

「たしか俺は真央たちをおもてなしするんじゃなかったっけ?なんだかこんな事になって、よく解らなくなってきた…」
目の前の光景に途方にくれるリンデマン。
おそらくジョニ子達が立ち去った後には、おもてなしできる余地は残っていないだろう。
183スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 18:23:23 ID:iI5mmeJq
「ヴィッキーが何言ったか知らないけど!コレはねーよ!」
「だからお前の言い分も聞いてやろうと言ってるのだ!」

スウェーデン某所、ルトコフ師弟はまだバトっていた。
もうテコンとかカンフーとか、どーでもよくなっている。
「すべてはKASASUの探索から始まった!」
ルトコフの二段蹴りを、ADSLがとっさの変形イーグルでかわす。
「ほうKASASUとな?お前に縁がありそうだ…だが私も知らん」
ルトコフの無影脚の前にくつろいでる場合じゃない、必死のステップで逃げ回る。
「なぜ戻って来た?今すぐKASASU探索に跳べ!」
「師匠が偽メールでハメたからだろ!…ちょっと休んだらすぐ行くし」
「たるんどる!これも持久力特訓だ、今すぐ跳べ!」
…旋風脚が迫る!ヤバイ…「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ」ADSLは旋風と化して舞い上がった。
「ふむ、ありゃ4-……3ってとこかな?うん、あいつはやれば出来る!」
師匠は、弟子が消えて行ったロシアの方角の空へ、満面のいい笑顔で手を振った。
184スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 18:58:56 ID:/EwLRyyd
「はい、まずはエルミタージュ美術館よ」
10人のご一行。まったり観光中である。
「この後は百貨店ガスチーヌィ・ドゥボールへ行って、近くのレストランでご飯よ。エルミタージュは一日じゃ回りきれないから、少しだけね」
とそのとき、ヴォロノフの携帯が鳴った。
「はい……え、あ、お久しぶりです! ……はい、今エルミタージュに向かっているところです。入口で待っていればいいんですね? 分かりました」
「ヴォロノフくん、誰から?」
「ウルマノフさんから……今からタラソワコーチとカナダのパトリックと一緒にこっちにくるから、エルミタージュの前で待っていてって」
「タラソワコーチ、来てるんですか?」
喜ぶ真央。
「うん、マオと会いたいから来るって。よかったね! 後、お医者さんによってからプルシェンコさんとミーシンさんも来るってさ」
小塚に激震が走った。
185スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 20:34:06 ID:0d7K/Rwr
一方診察中のプルシェンコ。

「う〜ん・・・できれば安静にしておいたほうが良いですねぇ」
膝の具合を診た医者は安静を薦めたが、プルが湯治ツアー(という名のチーム真央追跡)をやめる気なんてさらさらないのは言うまでもない。
「無茶な事しませんから…行っても良いですよね?」
と、必殺の上目遣いで半ば強引に了承を取ってしまった。

「仕方ないですねぇ…それでは旅の間大丈夫なように応急処置をしておきますよ。ちょっと準備しますので待ってて下さい」
治療の準備を待っているあいだ退屈なので、プルはミーシンコーチから借りた携帯でツイートを入れた。

「サンクトペテルブルグなう。治療終わったら真央に会いに行くよ」
186スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 21:25:27 ID:+pbQWJYH
プルシェンコ(Pちゃん)がついに追いついた!
崇彦と大輔の顔が青ざめる。
「ちょっと・・・まってて。」
大輔は崇彦を奥に引っ張っていく。
「・・・大丈夫か?崇彦」
「何か・・・・無理そう・・・」
まだ精神的ストレスから開放されていないらしい。
「じゃあ・・・隙を見てまた逃げる準備を」
「いや、ちょっと待って。」
大輔の提案を崇彦は止めた。
「・・・・ここは、真央のアレに賭けてみようかと思うんだけど?」
「アレ?・・・それは最近の・・・」
「そう、アレ」
真央の扇子威嚇のことらしい。
「しかし、うまくいくのか?」
「やらなきゃわかんないけど・・・逃げてばっかりじゃ埒が明かない。
それに、、逃げてばっかりじゃ俺の精神的負担がふえそうで・・・ε-(;ーωー)フゥ…」
「わかった、何とかやってみよう。」
こうして、男二人の密談は終わった。作戦は如何に?
187スポーツ好きさん:2010/05/05(水) 21:39:56 ID:9D0tcdYu
ふと、大輔が言う。
「……あのさ、でも真央の扇子威嚇って、下心に反応するんだよな」
「確か、そのはずだけど」
「プルシェンコさんって……多分そういう意味の下心は……ないよな」
彼は27歳児なだけである。
「………………」
苦労人二人は、顔を見合わせたままかたまった。
188スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 00:21:01 ID:YgQjNzXg
スケパシー。
それはスケーター同士に通じるテレパシーに似た特殊能(ry
ある者がスケパシーを駆使している時は、その者の思考や存在を、
他のスケパシー能力者に明らかにすることになる。

ADSLは、「無駄に腹が減る」という持論で、あまりスケパシーを使った事がない。
普段何を考えているのかわからない、と言われるのはそのせいでもある。

さて、コーチの旋風脚を回避してロシアに跳んだADSLは、ウラル山脈にランディング…
(ココじゃない!ダイスケのいる所!)そしてすかさずまた跳んだ。
滅多に使わないスケパシーが、無意識に全開になる。

この時のADSLのスケパシーを感知した者が3人いる。
一人は、大輔。もう一人は、ユカさん。そしてもう一人は…ルタイである。
189スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 13:48:14 ID:E3P8ZnwK
(・・・・っ!!!)
大輔は突如感じたスケパシーに身震いした。

(これは・・・プルシェンコさん?いや、違うぞ。何か聞こえてくる・・・【K A S A S U】?
・・・もしや?!!)
大輔の脳裏に再生される火サスのテーマ曲とチェコで味わった恐怖の記憶。
みるみるうちに大輔の顔から血の気が引いていく。
「どうしたの?・・・なんか急に顔色が」
異変に気づいた小塚が声をかけるが、その声も届いていないようだ。

そうしているうちにもあの気配が近づいてくる!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
SWE伝統の絶叫に負けないくらいの叫び声をあげると突然大輔は走りだした。

「ちょっと待って!どこ行くんだよ!!」
「大ちゃんどうしたの?!」
仲間の声にも返事をせずパニック状態で闇雲にサンクトの町を走り抜けていく大輔。

(逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ〜〜!!!!)
逃げたい一心でがむしゃらにジャンプしたが、方向も回転も定まらない大自爆になり、
一瞬飛び上がったが直ぐに落下しはじめた。

ますますパニック状態の大輔が落ちていったのは・・・ジェーニャがいる病院の方角だった。
190スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 15:39:13 ID:+MXD2x9B
「はい、これでいいですよ」
一方のプルとミツン。応急処置は終わった。
「言っておきますが、これは応急処置です。4回転は絶対禁止! 3回転もできる限りやらないでください。
言いつけを破ってとんだら承知しませんよ」
「えー」
「ソチまで滑りたいのなら絶対です!」
それでは仕方ない。
「宇宙船で移動すればいいよ」
ちょっとすねたプルをミツンがなぐさめる。
「うわぁああああ!!」
「あ、ダイスケ?」
病院を出た二人は、高橋が落ちてくるのを見つけた。
(あれ、ジャンプしちゃダメって言われたばっかなんだけど、どう助けよう? あれどう見ても転倒しそう)
191スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 17:29:01 ID:E3P8ZnwK
(ジャンプは禁止だし、でもこのまま放っておくわけに行かないし・・・どうしよう?)
どうやって大輔を助けるか考えるプル。
あ、そうだ!

プルは病院の駐車スペースに止めてあった宇宙船に飛び乗ると、急速発進させた。
アクロバット飛行並みの急旋回で落下してくる大輔の真下まで機体を近づけると、
とあるボタンを押した。

その途端、金色ドーナツ型宇宙船のちょうど輪の部分から七色の光が発生し
落ちてきた大輔を捕らえて、そのまま船内へと吸い込まれていった。

どうやら通常は宇宙船へ乗り込む際の仕組みをとっさに応用したらしい。
とりあえず、大輔はプルの宇宙船に無事?収容された。


192スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 21:12:49 ID:J51IukXG
アボットに乗ってサンクトペテルブルグに降りたユカは、
路上でスウェーデン方向に「鬼!鬼!」と叫ぶADSLを発見。
そこにルタイも駆け付けた。
「アドリアン!お前来るんならメールしろよw」
「だってブルガリアにいんのかと思ってたしw」
軽くド突き合うルタイとADSLに、アボットがそっと割り込んだ。
「あのさ…さっき言ってた『鬼』って(小声で)コーチのこと?」
ADSLに対する親近感のようなものが生まれかかっていた。
「うん。あ、コーチにメールしよ…いや絵ハガキの方が喜ぶかな?」
けろりとしたADSLを見て、アボットに生まれかけた何かが遠のいた。
ユカさんは相変わらずいい笑顔だ。ADSLはスケパシーを遮断した。

一方、大輔が消えて騒然としているエルミタージュ前。
ボロデュリンはトリノの一件を思い出して、少々気分がすぐれなかった。
「アドリアンが来てる、迎えに行く」と言って飛んで行ったルタイ。
アイツが来るのか…あの件はアイツのせいじゃないが…
193スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 22:48:06 ID:u9s+Vs1r
その頃、スイスのランビエール宅。

ランビがamazonでゲットした「妖艶女将のおもてなし」を熟読していると電話が鳴った。
スイススケ連からだった。
「もしもし、ステファン?今日本人選手を各国の温泉でおもてなしツアーしていて、
もしスイスに来る事が決まったら案内を君にお願いしたいんだけど…」
「日本人選手が!?もちろんオーケーだよ!」
「じゃあよろしくね。あとゲデ子とグレボワとカロリーナがそっちへ向かってるって」
「わお!またこの部屋が賑やかになるなぁ!ところで日本選手は誰がくるの?」
「えーと、今ロシアがおもてなし中で、真央ちゃんと未来ちゃんと、こづk…」
「わぁ!!可愛いお嬢さん二人で来るんだね!ヨーロッパガールズも来たら
女の子だらけだ!女だらけの温泉ツアーだね!アハンアハン♪
まかせて!僕はこの任務に100%の時間と情熱を注いで〜ぼくの情熱的で芸術的なおもてなしが(ry
てな具合で僕がんばるよ!それじゃあね!(ガチャン!!)」

スケ連の話を最後まで聞かずに勘違いしているランビであった。
194スポーツ好きさん:2010/05/06(木) 23:33:47 ID:E3P8ZnwK
落ちてきた大輔を収容した宇宙船内。

「ジェーニャ、彼は大丈夫かね?」
先ほどの要領で宇宙船に乗り込んできたミーシンが尋ねる。
「うん。怪我はしてないみたいだけど、気絶してるよ」
急激なパニックに襲われたり、ぶっ飛んだりしたせいか、大輔は気を失っているようだった。
なにやらうわ言を言っているようで、よく聞いてみると「逃げなきゃ…」とか呟いている。

「どうしたんだろう?逃げなきゃとか言ってるけど…何か怖いものでも見たのかなぁ?」
確かにあれは一種の恐怖体験だろう。
「よく解らないが、あとでダイスケに聞いてみれば良いんじゃないかね?」

「それもそうだね…とりあえず、気が付くまで僕の部屋で休ませておくよ」
そう言ってプルは先ほど昔の衣装を出してきた場所――プルがあれこれ持ち込んで、すっかり自室状態にしている部屋に大輔を寝かせておいた。

195スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 00:15:06 ID:tZphbapB
一方こちらバーデン・バーデンのジョニ子一行。

「あ!ジェーニャのツィッターが更新されてる!」
プレッツェルをリュックサックに詰め込んだところで、携帯をチェックしたバトルが叫んだ。
「本当か?あいつ今は何処にいるんだ?!」
ビールが入って盛り上がっていたヤグ先輩がそれを聞いて身を乗りだした。

「サンクトペテルブルグで治療中だって…え?このあと真央に会う?!」
「なんやて?それはホンマか?!」
ようやく本来の目的を思い出し、色めきだつスケーター達。

そこへエステからジョニ子が上機嫌で戻ってきた。
「あら?みんなどうしたの?」
「ジョニー、ジェーニャの居場所がわかったよ。サンクトペテルブルグだ。真央達もいるらしい」
「まあ、そうなの?それじゃ急がないと…美しさに磨きをかけたあたしの姿を見せる時だわ!」

…一人だけなんだか方向が違うような気がするが、今に始まった事でもないか。
ともかくは慌しく出発準備を始めた一行だった。
196スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 00:38:18 ID:5IV+4gnO
そのころのチャッキーと美女三人衆(>>171

とりあえずコストナーさんがつきつけてきたコゾナックを有難く頂いたチャッキー。
「あーん」と食べさせてもらった状態だったことはすっかり意識の外に飛ばし、
相変わらず戸惑いに視線を泳がせていた。甘酸っぱいチェリーペーストが、少しずつ
頭を冷静にさせてくれる。糖分が浸透する。
「ルーマニア、バイレ・フェリクス・・・Pちゃんは?!」
「パトリック・チャン?」
ゲデ子の問いかけにチャッキーはこくこく頷く。かくかくしかじか事情を話すと、
美女三人は顔を見合わせた。
「お風呂にとびこんできたのは、ケヴィン、あなた一人だったわ」
エレーナの言葉に、なぜ自分の髪がぬれているのかやっと理解したチャッキー。
よく考えたら服も、自分が着ていたものではない。
「ケヴィンの服は従業員さんにお願いしたよ!コゾナックおいしいよね!」
二つ目のコゾナックをフォークに刺したコストナーさんに告げられ、安堵する。
ああ、でも、ほっとしてる場合じゃない。
「Pちゃんだいじょうぶかな……。どこに行っちゃったのかな」
「心配しなくても大丈夫よ。だって、プルシェンコさんと一緒なのでしょ?」
「でもプルシェンコさんも手術後だっていうし……」
「トマシュに連絡とってみようか!トマシュだったらなにか知ってるかも!」
もぐもぐ。ごっくん。コゾナックをのみこんで、コストナーさんが携帯電話を取り出す。
トラはけっこう顔が広い。トラを介してでも、情報が手に入るかもしれない。
197スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 00:47:06 ID:dyFBODiW
「この後ガスチンカの近くで昼飯の予定だけど、みんなも一緒にどう?」
ルタイの提案で、とりあえずエルミタージュ前に移動中のユカ&アボ&ADSL。

「ロシア料理といえば、ストロガノフ家伝統のビーフストロガノフだね〜
 ここサンクトペテルブルクに、ストロガノフ宮殿があるんだよ」
「…うまそうな名前の宮殿だな…」
「ところでアドリアン、なぜサンクトに来たのかしら?^^」
「アンドレイに会いに。ユカこそなんで来たんですか?」
「あら、さっきはブルガリアにいると思ってた、と言ってたわよね?^^
 私たちがいたらいけないかしら^^」
自分を友達扱いしてくれるスレでも貴重な存在、ルタイに会えたのは嬉しいが、
ユカがちょっと気になっているADSL。
チェコKASASU事件はとりあえずトマシュに押し付けたが、俺もクサいと思われてる。
198スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 05:12:04 ID:rsQZJwZR
「・・・・・とりあえず、大ちゃんがどこに行ったか・・」
大輔を心配するエルミタージュ前の一行。
そこへ、
「真央!」「タラソワ先生!」
タラソワ先生が真央たちに会いにやってきた。そして・・・
「みなさん、お久しぶり。」「元気だった?」
「ヤナさんとイーラさん?ご無沙汰しています。」
何とヤナとイーラも一緒に来たのだ。あれ?でもたしか・・・
「あの?カナダのPちゃんも一緒と聞いたのですけど・・」
「ああ、彼はなんだかマオマオうるさかったから一発かましたら伸びてしまったわ。」
そういったのはタラソワ先生。今は近くの病院で寝ているらしい。
そんなことを言っているうちに、宇宙船がやってきた。
「やあ!真央」
喜び勇んでやってきたプルだったが・・・ヤナとイーラの姿を見て固まってしまった。
「あら、オカエリナサイ!」「聞いたわよ!また無理したんですってね。」
固まってるプルをつれてどこかへ連れて行く二人。
「(・・・・なんか助かったかも・・・ε-(;ーωーA フゥ…)」
心の中で安堵する崇彦であった・・・・
199スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 09:32:31 ID:tZphbapB
ヤナとイーラに引っ張られている途中、ふとあることを思い出したプル。

(あ、宇宙船に大輔を置いてきたままだ。あの部屋僕じゃないと開けられないんだけどなぁ・・・
まあ、あとで開ければいいか。本人まだ寝てるし)

当然そんな事になってるなんて小塚達が知る由はなかった。
200スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 14:38:47 ID:sLaBk8NA
ルタイの案内で、エルミタージュに到着したユカ&アボ&ADSL。
「なんだか騒がしいな、どうしたセリョージャ?」
「いやダイスケが消えてタラソワコーチが来てプルシェンコさんは連れてかれて」
ルタイにしどろもどろに告げるヴォロノフ。
(ダイスケが消えた?)しかしADSLはポーカーフェイスで通した。
「しっかりしろよ…こちらユカとジェレミー、それからアドリアン」
ヴォロノフは(また増えた…)とげっそりしながらも笑顔を作った。
「ああ、ようこそロシアへ!」
「ありがとう^^」「どうぞよろしく」「ども、トリノぶり」
(うっ、トリノとか言うな…)
「チョーマ!アーチャも!知ってるだろ?アドリアン。俺のダチな」
ボロデュリンは微妙な表情で言った、「どうも」
ADSLとしては精一杯親しみを込めて言ったつもりだ、「トリノぶり」

「…あーようこそようこそ!一緒にジェンガで遊びませんか!?」
先輩方の妙な雰囲気を、ガチンスキーがかなり無理して取り繕う。
201スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 16:51:10 ID:ypCpCbmY
その頃スイスのランビは・・・


上機嫌で歌いながら、部屋を白いレースとフリル、ピンクのカバー類で装飾し、これまでにファンから
もらったぬいぐるみ(てんとうむしオンリー)を並べていた
女の子が好きそうなお菓子と紅茶もセット
食器はもちろんウエッジ・ウッド
テンションをあげるために椿姫衣装にいそいそとお着換えもした
「女の子たち、早く来ないかなあ。アハンアハン♪」

だがご一行がスイスに行くとはまだ決まってはいない
てんとうむしのぬいぐるみ相手に情熱的に踊るランビは、
ツイッターを見ていないので、ご一行がロシアで楽しんでいる?ことを知る由もない
202スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 17:46:26 ID:tZphbapB
その頃プルは先ほどの病院の一室にいた。
もちろんヤナとイーラにつれて来られたのだ。

同じ部屋にはタラソワコーチにKOされたPちゃんが寝ていた。
その傍でヤナとイーラから懇々とお説教される。
「もう、あんなに無理しないでって言ってるのに!」
「4回転禁止なんでしょ?それで世界を回るなんて無茶よ」
「湯治ならここにも良い温泉があるじゃない?そこで充分でしょ?」
プルの湯治ツアーをやめさせるべく説得を試みる二人。

(あ〜あ、ヤナってばイーラまで応援に呼んだのか・・・イーラも付き合わなくていいのに)
それを聞いてるのか聞いてないのか心ここにあらずな様子のプル。
「ジェーニャ、聞いてるの?!」
「・・・うん。聞いてる」
保護者二人から問い詰められ仕方なく返事をする。
「とにかく、足が良くなるまでここにいるのよ。私たちが外で見張ってるから、逃げちゃ駄目よ」

そう言い残してヤナとイーラが部屋を出ると、プルはため息をついた。
(まいったなぁ、あの様子じゃ本当に出してもらえなさそうだよ)

だが人と言うものは束縛されると、余計に逃げ出したくなるものである。
当然ながらここでおとなしく引き下がる27歳児ではないことは、
既に読者の皆さんもご存知のとおりだ。
(さて、どうやって逃げ出そうかなぁ・・・?)
さっそくここから上手く抜け出す為の手段をあれこれ考え始めたプルだった。

203スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 18:43:32 ID:rsQZJwZR
「あ〜あ、よく寝た・・・(ゝ_ξ) 」
プル部屋in宇宙船で目覚めた大輔。
「ここはどこだろ・・・?」
もちろん宇宙船の中とは夢にも思わない。
「しかし、この部屋センス悪いわ〜・・・
しゃーない、助けてもらったお礼にコーディネイトしてやるわ!」
そんな訳で部屋の模様替えを始めた大輔。
しかし、管理者以外の模様替えは絶対厳禁であることなど大輔は知らなかった。
そして、暴走を始めた宇宙船はドイツへ・・・・・

そして、ドイツ・バーデンバーデンのジョニ子一行

「あら、お出迎え?気が利くわね!」
上空には例の宇宙船が浮かんでいる。
「さぁ!早く乗せて頂戴!」
しかし、宇宙船は白い光をジョニ子達に浴びせた後、勝手に飛んでいってしまった。
「なんや!あいつは〜。」
「ワイら乗せてくれるんちゃうんかい?」
怒りを爆発させるリョーシャとロロ。
「も〜!!仕方ないわね!ロシアまで飛ぶわよヽ(`Д´)ノ」
ジョニ子の号令の元、いっせいにジャンプでロシアに向かった一行。・・・そのはずが

>┼○ バタッ~ん

全員2〜3mも行かないうちに地面に倒れ付してしまった。
「な、何で飛べないのよ!」
その後も何回か試したが結果はおんなじ。
「ま・・・まさか・・・」
バトルの顔が青ざめる。
「僕達のスケート力が吸い取られたんじゃ・・・(゜o゜;;」
「Σ(゚Д`;)ア…ア…アッハァァァァァァァァ?!!」

どうなる?ジョニ子達!



204スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 20:19:39 ID:p/Q/ZG/3
「ロシアの次はうちか…」(>>148参照)
ドイツスケ連のお偉方からの連絡を聞いてリンデマンは頭を抱えていた。
せっかく用意したビールもソーセージもエステもみんな食い尽くされ、やりつくされてしまった。
いったいどうやって日本からの客人を迎えればいいのか…

そこにやってきた小林ことアントン・コバレフスキー。
「遅くなってごめん。…ってこれは一体どうなってんだ?」
「やあアントン…実は(ry」
げっそりとした表情でリンデマンが答える。

「おもてなし…どうしようか?」
「僕はトマシュと一緒にカルメンやろうかと思ったんだけど」
「それはいい案だ。トマシュも既にここに来てるし。しかし彼と一緒にいる人達ははっきりいって迷w(ry」
「どうにかトマシュだけここに留めて他の人達には立ち去ってもらう方法はないだろうか。」
「もちろん真央たちの次の目的地がここだということはさとられないようにな。」

策を巡らし始めた二人。
ジョニ子一行がスケート力を失ってしまった(らしい)ことはまだ知らない。
205スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 20:26:28 ID:N/9wbWzA
「ふぅ、宇宙船を停めるのに手間取って遅れてしまったよ。」

大所帯になってしまったロシアのエルミタージュ組に
声をかけるミーシン。
ジェーニャを先に降ろしたあと行きつけの駐車場に
停められず、ワンブロック離れたところに停めて歩いてきたらしい。

「ジェーニャはどこだい?」

「ええと、あーなってこうなって・・・。」
がっちゃんがことの顛末を説明する。
「やれやれ。まあ彼女たちがいるなら安心だろう。」

「そうそう。」
ミーシンが小塚や真央に向かって話しかける。
「さっき落ちてきたダイスケを宇宙船に休ませているから。」

宇宙船が高橋によって暴走状態になってしまったことに
まだ気づいていない・・・。
206スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 20:56:05 ID:tZphbapB
「あいたたた…あのおばちゃん強すぎ…」
タラソワの一発でのびていたPちゃんが目を覚ました。
いよいよ真央に会えるうれしさにはしゃいでいたら「うるさいわね、静かにしなさい!」と
言う言葉と同時に一発食らった以降の記憶がない。

頭を抑えながら起き上がると、どこか病室のようだ。
「ああ、パトリック、気がついたかい?」
「プルシェンコさん?何で俺たちここに?」
「ヤナとイーラにつれて来られちゃった…見張られてるから外にでれないんだ。なんだか君も一緒にされたみたいだけど」
ジェーニャはやれやれという顔をする。

「…そういえば真央はどこにいるんです?」
「エルミタージュの前にいたけど、僕も一瞬しか会えなかったよ。このままだとまた次の場所に行っちゃうかもね」
「そんなぁ〜!ここまできたのに!」
ガッカリするPちゃんにジェーニャが声をかける。
「ねぇパトリック、真央に会いたい?」
「もちろんですよ!そのために来たのに!!」
「だよね?…だったらちょっと手伝ってくれる?」
ジェーニャはPちゃんの耳元で何やらひそひそと囁いた。
207スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 22:27:18 ID:rsQZJwZR
こちらはアメリカ
ライサはこのスレ始まって以来のリューキンとの甘いひと時をすごしていた。
其処へやってきたのは・・・
「ん?あれなんだ?」「ドーナツ円盤?」
そう、大輔が暴走させた宇宙船である。
「確かロシアの」と言いかけたとき

ぶしゅー!!

円盤の中心から黒い墨が二人にかかった。
「GYaahhhhhh━━(゚Д゚;;)━━!!!!!!」
悲鳴を上げる二人。
宇宙船はまたいずこかへ去っていった。
「何だあの円盤は!!」
怒りをあらわにするリューキン、しかしライサは自分の中で何か大きな変化が起こっているのに気がついた。
「この力は・・・もしや!」
試しにジャンプを飛んでみる。すると
「うお〜〜!!!」
明らかに飛距離が上がっている。
「すごい!スケート力が上がっている!」
一方のリューキンも
「もしかしたら私も!」
ムーンサルトを助走なしで決めた!
自分達のスケート力(リューキンは体操力)が上がっている!
狂喜乱舞した二人はその勢いでどこかへ飛んでいった。
場所はもちろん、力を授けてくれたロシアへ!

そのころ大輔は模様替えに疲れて宇宙船の中で居眠りをしていた。」
208スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 23:05:11 ID:tZphbapB
ドンドンドンドン!!
ジェーニャとPちゃんの病室のドアが激しく叩かれる。
「どうしたの?ジェーニャ?」
外で見張っていたヤナとイーラが声をかけた。
「大変だ!僕大事なことを忘れてたよ!宇宙船に大輔を置いてきちゃった!!早く出してあげないと。」
「それならミーシンコーチに頼めばいいじゃない」
「あの部屋は僕しか開けられないんだ!このままほっといたら大輔は何日も閉じ込められちゃうよ?・・・疑ってるならミーシンに聞いてよ」
訝しそうにしながらミーシンに電話するヤナ。どうやら本当らしい。
「・・・仕方ないわね、じゃあ大輔を出してあげなきゃ。勿論私たちも行くわよ」
「うん、良いよ」
ジェーニャはやけにあっさりと承諾した。部屋を出ようとした時に不意に体がふらついた。
「大丈夫、ジェーニャ?」
「ちょっと足がふらついたみたい・・・パトリック、ちょっと肩貸してくれる?」
「・・・解りました、プルシェンコさん」
ジェーニャはそのままPちゃんの肩を借りて歩いた。後ろにヤナとイーラが続く。

一行が病院の外へ出たその時だった。
「・・・パトリック、行くよ!」
「・・・はい!」
突如プルを抱えあげたPちゃんはそのまま勢い良く飛び上がった。
「・・・っ!二人とも待ちなさい!」
「ヤナさん、スルツカヤさんすみません!プルシェンコさんは僕がついてますから〜!」
「大丈夫だよヤナ、僕のことは心配しないで!イーラもダーリンが待ってるでしょ?早く帰った方が良いよ〜!」

足の痛みを逆手に取った奇襲作戦でまんまと逃げおおせたジェーニャとPちゃん。
エルミタージュ前にPちゃんのジャンプも着地も美しく決まった。
209スポーツ好きさん:2010/05/07(金) 23:27:59 ID:xzSsUSgO
宇宙船に向かっている一同。
途中、未来の携帯が鳴った。
届いたのはタニスからのメール。
『アメリカの誘致ツアーは中止よ:(
さっきスケ連にも伝えておいたわ。
もしエヴァンを見かけることがあったら、未来のスピンで
ボコボコにしてあげてね』
「えー、アメリカは誘致なしなんだって」
「未来ちゃんのとこのお寿司食べたかったなー。でもなんで?」
「わかんないけど…タニスがエヴァンに対して怒ってるみたいですぅ。
アメリカは2人の担当だったのに…やっぱり無理だったのかな…」
「なんでなんで?」
「うーんと、大人の事情…かな?」
「ふーん。大人って大変だねー。真央は子供でよかった」
(タニスをここまで怒らせるなんて、エヴァンはいったい何をやらかしたんだろう)
黒い人の心配をする未来。
だが真央が覚え立てのカリンカを口ずさみ始めたので
そっちに気をとられ、黒電柱のことはすぐに忘れてしまった。
210スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 00:35:25 ID:/g+p4wEH
宇宙船を止めてある駐車場へ到着した一行。だが、そこにあるはずの宇宙船がない!
「おかしいぞ?ここに止めたはずなのに」
「ええ?もしかして盗まれちゃったとかですかぁ?」
「いや、あの宇宙船はジェーニャとごく限られた人間しか操縦できないんだよ…ということはもしや!」
未来に説明していたミーシンコーチの顔色が変わる。
「宇宙船に何か異変が起きたんだ…これは大変だ!」
「ええ?!それじゃ大ちゃんは?!」驚く一同。
「さっきヤナから電話があって、丁度ジェーニャがこっちに来るらしい…早く宇宙船のことを知らせないと」
一瞬ええっ?という表情をする小塚だが、今は非常事態だ仕方がない。

そこへ遠くから飛んでくる影が…スケパシーを察知したプルとPチャンだ。
「あれ?みんなエルミタージュにいないと思ったら、こんなところにいたの?」
「あ、プルシェンコさん!大変よ、宇宙船が!」
これまでのいきさつを説明する真央。
「何だって!…やっぱり彼を1人で宇宙船に残したのがいけなかったか」
途端にプルの表情が引き締まる。27歳児からシリアスモードに切り替わったらしい。
「わかったよ、じゃあすぐに宇宙船を追いかけよう!」
そう言ってプルは何やら呪文のようなものを唱えた
「かっくっち〜!かくっちち〜!!」

おや、いつもの呪文と少し違うぞ?と思っていると、空のかなたから銀色の光が二つ。
いつもの宇宙船より小さな、ニ〜三人乗りの銀色の小型円盤が二つやってきた。
片方の円盤のコクピットに飛び乗るプル。
「…そっちはアーチャが操縦してくれ!あと2・3人乗れるから一緒に行くつもりなら早く乗って!」
211スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 01:13:01 ID:K5PPqv9h
飛べなくなったジョニ子達。

「ど〜すんのよぉ!!!」

バトルに八つ当たりするジョニーを横目で見つつ
トラは考えた。
しばらく移動は無理だからその間にたまったメールに返信しよう!

『Toミハル     何?何のことだ?kwsk』
『Toクリストファー 2人なら日本で見たよ。』
『Toアントン    OK!!でも今動けない。』 

アントン+リンデマンのドイツおもてなし班はいったいどんな策を練って
いるのか?
見事トラだけを留めることが出来るのか?

212スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 03:17:56 ID:rbZemJSy
「俺も行く」ADSLはプルシェンコの円盤に飛び乗った。
大輔(KASASU)を追う気持ちだけは誰よりも強い。
プルシェンコはADSLのクチピーをじーっと見た。見覚えがある。
「えーっと君は…あ〜〜〜〜…ドリアンくんだっけ?」
「アドリアン、俺も行くぜ!」ADSLのダチのルタイも飛び乗る。
「ジェレミー^^ 行きなさい^^」ユカに言われてアボットも続いた。

もう片方の円盤には、がっちゃんとボロデュリンとヴォロノフ。
ロシアおもてなし代表として、ダイスケを危険な目に合わせるわけにはいかない。
「真央も大ちゃん探しに行くー!」
「危険です、あなたは残りなさい!」
タラソワに引き止められる真央。
「真央ちゃん、俺が行くから大丈夫!待ってて!」小塚も乗り込んだ。

「俺がスケパシーでダイスケの場所を特定します」
「頼もしいねドリアンくん。じゃ僕は操縦に集中するよ。アーチャ、付いて来い!」
というわけで2台の円盤が飛び立った。
宇宙船の一件が終わったら、ADSLに飯食わせてやってくれ!たぶんすごく腹減りだ!
213スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 08:37:01 ID:/g+p4wEH
円盤に乗ったジェレミー。物珍しさもあって早速ツイッター更新。

「宇宙船暴走なう。プルシェンコさん達と一緒に円盤で追いかけるよ!」

勢い良く飛び立った2機の円盤。ひとまずどこへ?
ジェーニャが空のとある方向を指し示す。そこには金色の薄い光の筋のようなものが。
「宇宙船が飛んだあとの航跡だ。まずはあれを追いかけよう!」

214スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 12:20:15 ID:NqryK1El
バーデンバーデンで足止めのジョニ子一行。

途方にくれる一行が空を眺めていると銀色の光が二つ。
「何やあれ?」
ロロが目を凝らして見ていると、それは急速に近づきあっという間に真上を通過していった。

「銀色の円盤・・・二つも・・・?」
「あれは確かジェーニャの船のオマケ円盤だったと思うぜ」
「あら?さっき宇宙船飛んでったじゃないの?どういうこと?」
不思議そうにしているジョニ子達。そこへ携帯を見たバトルが叫ぶ。
「見て!ジェレミーのツイッターが!!」
先ほどのアボットの書き込みを見て、一行はようやく事態を把握した。

「じゃああの円盤で追いかけてたのね!・・・ジェーニャ!早く宇宙船を捕まえるのよ!じゃないとアタシ達ここでずっと足止めよ!!」
ジョニ子は円盤の飛んでいった方角に向かって叫んだ。


215スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 12:59:00 ID:X3xXGZDZ
「ジェーニャのバカ…」
「泣かないでヤナ。あの甘えん坊には貴女が必要なのよ」
プルが飛び去った空を涙を流して見るヤナ。
「分かっているわ。とりあえずジャンプ禁止の約束は守るつもりみたいね。
こうなったら落ち着いて療養させるのはあきらめましょ、ついていって見守る方が楽だわ」
「協力するわヤナ」
美女二人はしっかと抱きあった。
「イーラ! 今UFOが飛んでったのが見えたけど、ジェーニャ逃げ出したの!?」
と、そこに3人目の美女が現れた。
「タニアナ、そうなの。ごめんなさい、応援を頼んだのに」
「相変わらずのこまったさんね、追いかけましょう!!」
ナフカ様だ。後ろにはもちろんバシャロフが影のように控えている。
「あれ、でも宇宙船はさっきミーシンが駐車しにいってたわよね、誰が運転してるの?」
216スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 14:43:53 ID:6tWtX+/U
さて、スウェーデン自宅のべるるんは。

メールの着信に、ぶるっと飛び起きる。
『2人なら日本で見たよ。fromトマシュ』
キーラとラウラがどこにいるか、トラに問い合わせたところ、この返信だ。
彼女たちからは返信がない、もう一度メールを送ってみよう。
『日本にいるのか?アリペッカが、フィンランドサウナ誘致の件で困っている。
 キーラとラウラの力が必要だ、戻って来てくれ。fromクリストファー』
やっと返信が来た。
『遅くなってごめんなさい。私たち今日本の犬山温泉のホテルで仲居をしてるの。
 ホテル社長に気に入られちゃって、なかなか抜けられそうにないわ…fromキーラ』
さっそくそれをヌルメンカリに伝える。
『ホテルで仲居の経験があるのか、おもてなし役にぴったりじゃないか!
 頼むよクリストファー、なんとか2人を呼び戻せないか?fromアリペッカ』
「…参ったなあ、そんなこと言われても…」

困るべるるんのもとに、今度は電話がかかって来た。ヴィッキーだ。
「先輩!今大丈夫ですか?チェコではホンっ…トーにお疲れさまでした」
「やあヴィクトリア、疲れたけどちょっと寝たから、もう平気だよ」
「私、失礼なこと言っちゃって…イケメンの無」
「いやもういいから。実はこれこれこういう事情でね、アリペッカが困ってるんだ」
「…私、手伝いますよ?クリストファー先輩が動くなら」
ヴィッキーはSWEフィギュア界現役長兄を尊敬していた。
「…でもアイツを連れて行くのだけはやめてください!」
「アイツ?ああアドリアンなら、ダイスケを追ってるはず…」
「いないのね?よかった〜!…私、SWE美女枠としての役目を果たしたいんです!」
ヴィッキー相変わらずノリノリである。
217スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 16:39:27 ID:NqryK1El
円盤が飛び去った後のチーム真央。
「大ちゃんもタカちゃんも大丈夫かなぁ・・・」
「もしみんな戻って来なかったらどうしよう・・・」
さすがに心配そうな真央&未来。

「大丈夫よ。きっとみんなで大輔をつれて帰ってくるわ」
タラソワが二人を元気付ける。
「でも・・・」
「みんなそう簡単にへこたれるような人間じゃないわよ^^ジェレミーだって私が日々鍛えてるし心配することないわ^^」
ユカさんも二人を励ました。
「わかりました・・・でも私たちは何をすればいいんですか?」

「そうねぇ・・・とりあえず残ったみんなで観光の続きをしましょう。その為に来たんでしょう?」
「みんなが帰ってきたら一緒にレストランで食事会よ^^お腹すかせて帰ってくるでしょうから^^」
「それではレストランに全員の予約を入れますね」
悠子が携帯を取り出した。
「じゃあ真央、未来、行きましょう」
「はい!」
二人元気に返事をすると、一行は観光に出かけた。

「・・・ちょって待って〜!俺も〜!」
円盤に乗りそびれて真央に良いとこ見せれなかったPちゃんが慌てて後を追いかけた。
218スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 17:23:15 ID:/g+p4wEH
空にかすかに残る宇宙船の軌跡と、ADSLのスケパシーを頼りに暴走した宇宙船を捜す探索チーム一行。

ドイツを過ぎてアメリカへと続く気配を辿って追跡を続けて・・・大西洋上で遠くにその姿をついに発見した。
空中で回転しながら静止しているが、よく見ると白い光や黒い光をランダムに発射している。
「プルシェンコさん・・・あれ何すか?見るからに怪しそうだけど」
怪しい光を凝視するADSL。端から見れば自分も結構怪しい雰囲気だが、そんなことは最初から気にしていない。

「元々は極端に増減したスケート力を調整するための光線なんだけど、すっかり暴走してるみたいだね」
「もし当たったらどうなるんですか?」
興味津々でジェレミーが尋ねた。
「スケート力が極端に上がるかまったく無力になって、その後は制御が利かなくなる。
この円盤はシールドされてるから大丈夫だけど、じかに当たったら危険だよ」
「うわぁ・・・そんなことになったら大変だなぁ」
既にジョニ子やライサ達が影響を受けていることなど当然知る由はない。

そんなことを話していると、宇宙船が再び高速で動き出した。
「まずい、早く止めないとあの光線で被害者が出るぞ!」
2機の円盤は再び宇宙船の追跡を開始した。
219スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 17:29:55 ID:zF1W20ft
「女の子たち、まだなのかなあ・・・・・?」
1人待ちくたびれているランビ
待ちすぎて顎の辺りが黒くなってきている
ふわぁ〜とあくびをして、用意してあるザッハー・トルテを切り分けてパクリ
「おいしーーーっv」
そしてテレビをスイッチ・オン
先日買いためたDVDの中から「団地妻昼間の情事」をセット
熟女最高

おもてなしのことを忘れ始めているランビだが、窓の外で不審な物音がしている
熟女に夢中になっているランビは何も気づいていない
220スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 18:09:13 ID:/g+p4wEH
くるくる回転しながら進む宇宙船。
それを必死で追う円盤。

飛んでくる光線を避けながら、ようやく近くまで接近した。
ここで問題がひとつ。・・・どうやって中に入れば良いかである。
いつもは輪の部分から光線で吸い込まれるが、暴走してる状態では当然機能しない。
ひとまず円盤は宇宙船の下部に回りこむ。そこには格納庫のハッチがあった。

プルが操縦席の開閉ボタンを押してみるが、反応はない。
「アーチャ、格納庫のハッチが開かない。そっちはどうだい?」
『駄目ですジェーニャ先輩、こっちからやっても動きません!』
通信機からのガチンスキーの返答も同じだ。

「やっぱり駄目か。となると、あとは手動で開けるしかないね」
「手動ってどうやって開けるんですか?」
ジェレミーの問いにプルはハッチの傍にあるボタンを指し示す。
「あのボタンを押すと手動でハッチを開けられるんだ。でもここから開けるのは難しいなぁ」

要は超高度で浮かぶ宇宙船に飛び移って、手動で開けるという事だ。
しかも例の怪しい光線が飛び交う中を丸腰で。

「・・・こんなのアクロバットや体操選手でも至難の技じゃないか!」
室内に気まずい空気が流れた。
221スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 22:48:29 ID:7957rxw2
一方バーデン・バーデンのトラ。
ジョニ子たちがわいわい騒いでいる中、携帯メールをいじっていたわけだが。
ふと振り向くと、物陰から誰かのぞいている。リンデマンとアントン小林だ。

トラはそっと一団から離れて、彼らと合流した。小林とリンディは口々に言う。
「僕と一緒にカルメンをやって、ドイツのおもてなしを手伝って欲しいんだ」
「つまり君だけはここに残って、他の人たちはその…お出かけ願いたいんだよ」
「もちろん俺は残るよ!だが…ジョニーたちも残るっていうか…移動出来ない」
「どーゆーこと!!??」2人は同時に言った。
「みんな跳ぶ力がなくなったらしい…宇宙船の白い光を浴びてどうとか…」
(でも俺はその時皆と一緒じゃなかったよな…俺は跳べるのかも…)

「待て、トマシュ何を考えてるんだ!?」あわてる小林。
「あれはロシアの例の宇宙船だ、俺はロシアに跳んでみようと思う。
 ジョニー達をまとめてどうにかするには、これしかないかもしれないだろ?」
トラは言うが早いか、どかーーーん!!! 自爆した。
「あ゛ーーーー!!」
小林とリンデマンも、SWE伝統に負けない絶叫を上げた。
222スポーツ好きさん:2010/05/08(土) 23:08:38 ID:NqryK1El
(ここで飛ぶのはかなり…いや、マジヤバイ。だがこのままではKASASUの謎が永遠に解けない…!)
プルシェンコの話を聞いて黙りこくったまま考えるADSL。
あくまで彼の目的は「KASASUの謎を大輔に聞く」なのだ。


「あのハッチのボタンを手動で開けるしかないらしいですよ」
「プルシェンコさんは今4回転禁止だし…やっぱ俺たちでやるしかないのか?」
「そんな事言ったって、あそこへ行くのはかなり難易度高いぞ」
ロシアおもてなし組&小塚の円盤。
3人組が相談するなか、小塚も考える。
(解ってる…これはかなり危険だ。でもこのままだと大ちゃんが…どうすればいい?)


それぞれの思惑が交差する円盤内。
そして彼等のいる空域にとある影が接近していた。
223スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 00:52:06 ID:gPM1LjAN
ヴィッキーとの電話(>>216)を切ったべるるん。
少し眠ったおかげか、どっと出た疲れは大分消えていた。
ぬる麺に『出来る限り、善処してみるよ』とメールを返信し、家を出る。
こうなったら覚悟を決めよう。ぬる麺が提案してくれたように、フィンランドサウナも
家族と大事な恋人を連れて堪能しに行けばいい。
それに今回の相方はヴィッキーだ。
トラやADSLに比べたら、振り回されずにすみそうだし・・・・

待ち合わせ場所に到着すると、真面目な後輩はすでに自分を待っていた。
頬を蒸気させ、瞳をきらきら輝かせている。
「僕がクワドをきちんと跳ぶことができれば、一気に日本に行くことができるんだけど……」
「ノボリベツ、キヌガワ、クサツ・・・・・・」
「トリプルルッツあたりで細かく刻んで行くしかないかな……」
「ユフイン、トツガワ・・・・・」
「・・・・・・ヴィクトリア、なにをぶつぶつ言ってるの?」
「えっ、あ、いや、べつに、日本には百名湯があるとかそんなこと考えてないですよ!?
 美人の湯とか、美白の湯とか、入りたいなんてべつにそんなこと!」
取り繕うように両手をぶんぶん振るヴィッキー。
「とにかく・・・僕も日本は不案内だし、日本のことなら日本のスケーターに助けを求めた方がいいのかもしれない」
「そうですね!日本三大美肌の湯もあるみたいでs……じゃない、ええと、そうですね!」

あれ。なんだろう、ちょっと先行きが不安になってきた。
224スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 02:27:37 ID:lQtSOvMp
「ケヴィンもジェフもパトリックもどこいっちゃったのかしら」
まったく関係ないがカナダ。カナダのおもてなし担当はジョアニーである。
なおカナダは「バンクーバーやったんだから参加するなよ」と睨まれたが、じゃんけん大会には参加している。
ただジョアニーは順番が回ってくることはないだろうな、と思っていた。女のカンというやつだ。
「順番が回ってこなかったら、カナダの皆で集まってパーティーでもしよっかな」
そんなことを思いながら、ジョアニーはカナダの特産メープルシロップのお菓子とシカ肉を調達して歩いていた。
225スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 07:14:20 ID:emksVXko
その頃大輔は、暴走する宇宙船のプル部屋の中で、目を覚ました。
   ♪じゃ〜じゃ〜じゃ〜〜〜〜〜ん♪
大輔の頭の中で、再び「火サス」のテーマが鳴り響く。
…チェコでの恐怖体験、ADSLへの罪悪感、そして崇彦ブチ切れの不安。
それらが渾然一体となって大輔を襲う、「うわあああああ!!…ぁああ?…」
と、急にその感覚が薄れた…入れ替えに大きく揺れを感じた、「おわあああああ!!!」

…ADSLは、大輔に集中していたスケパシーを一瞬解いていた。
「ん?未確認飛行物体発見。ドリアンくん、あっちを見てくれない?」
プルにそう言われたためだ。ドリアン呼ばわりされても気にしない、たぶん。
そして今度は、彼らの円盤に接近する影に向かって、スケパシーを放つ。

それらは期待通り、パワーアップライサ&リューキンであった。
(もしかして…えっと…エヴァン!?俺アドリアンです)
(クチピーか?たしかに俺とナスティアだが、何の用だ?何してんだお前ら?)
(宇宙船ダイスケryというわけで、ハッチのボタンを押したいらしい)
(とりあえずそっちに合流する、)「、ナスティア!あの円盤に!」

ライサはプル円盤、リューキンはガッちゃん円盤の上に降り立った。
(俺が中継するから、指示を出してくれ。今の彼女なら何でも出来る!)
226スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 10:14:53 ID:Eyf+Feld
突然のライサ&リューキン登場に驚いた追跡組だったが、
現状を考えると彼等…というか、彼女なら何とかなるかもと誰もが思ったのは言うまでもない。
思わず「リューキンKtkr!!なんかいつもより更に強そう!!」とツイートするジェレミーだった。
…誰かライサのほうも注目してやれ。

(…それじゃあ、エヴァン。彼女にハッチのボタンを押してくれるように頼んでくれる?)
プルがスケパシーでライサに説明し、その旨がリューキンに伝えられた。
「OK。あそこに行ってボタンを押せばいいわけね。…ふん、こんなの楽勝だわ!」
よくある常套句だが、今のリューキンが言うと説得力がハンパではない。

「さぁて、さっさと片付けるとしますか」
男前なセリフと共に、円盤から宇宙船にむかってリューキンは華麗なムーンサルトで飛びかかった。
227スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 11:23:08 ID:RuTnenVR
ガンガンガンガン!! ガンガンガンガン!!
ランビエール宅のドアが激しくノックされる…が、ランビは熟女DVDに夢中で気づかない。
ガタガタガタガタ!!
今度は窓枠を揺らす音だ。
「うーん、いいところだったのに…」
さすがにランビも気づいてDVDを一時停止にし窓に近づく…
「ご・・・強盗!?」
窓の外では顎の辺りが黒々とした山賊風味の男が必死の形相で窓枠をガタガタいわせている。
「け、け、けいさつ…けいさつ…」
ランビ危うし!!

「ランビエール!イタリア代表の顔くらい覚えておけよ!」
え…?落ち着いて山賊?の顔をよく見ると確かに見たことのある顔だ。
ランビはドアを開けて客人
〜フランス生まれだが今は訳あってイタリアで活躍中のラテン系伊達男(?)コンテスティを招き入れた。が…

「『団地妻昼間の情事』か。いい趣味してるな〜」
げ、DVDは一時停止にしたままだったけどテレビはつけっぱ!DVDケースは出しっぱ!
「お!!!すごいDVDコレクションだな〜!」
僕の部屋を勝手に荒らさないでくれよ!奥さんに言いつけるぞ!
せっかく女の子たちが来るから綺麗にしたのに…あれ?なんで女の子たちが来るんだっけ…?

「あ、そういえばイタリアスケ連からのお達しでスイスのおもてなしに加勢するように頼まれたんだ。
カロリーナにも連絡したんだけど返事がないから俺だけ先に行ってろって。」
ランビは熟女に夢中で忘れかけていたおもてなしのことをはっきりと思い出し、
女の子たち+自分でウフフキャッキャッ計画に余計な邪魔が入ってしまったことに内心がっかりした。
もっとも美女三人衆にチャッキーが加わってる時点で計画は頓挫しているわけだが。
228スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 11:36:15 ID:B7taoupK
華麗なムーンサルトで宇宙船上部へ降り立ったリューキン。
着地も見事に決まった。これならどこの試合に出ても文句なしの高得点だ。

「ハッチのボタンはこの下か・・・」
そのまま助走をつけて下に向かって走り出す。
飛んでくる光線をタンブリングで軽々と交わし進むその様は、
重力無視のジ○リアニメも真っ青である。
「見えた!あのボタンか!!」
ハッチ横のボタンが見えたところで、リューキンは再びジャンプした。
今度は後方2回宙返りで一気に近づき、勢いよくボタンを押した。
大きな音を立てて格納庫のハッチが開くと、リューキンは中に飛び込んで着地した。

「やったぞ!さすがナスティア!」
喜ぶライサ。一瞬油断したところに白い光がどぉ〜ん!と直撃した。
「あ・・・あれ?急に力が・・・?」
スケート力を奪われ、ヘナヘナになって動けなくなるライサ。
勿論シールドされた円盤内のプル達には何の影響もない。

「暴走が止まったら、あとでちゃんと光線当てなおすよ!・・・さあ、中に入るよ!」
ヘナヘナのライサを乗せたプル円盤とがっちゃん円盤は、ようやく開いた格納庫内へと入っていった。

229スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 12:46:55 ID:3JfTsJw+
「お菓子はこのくらいでいいかしらね… あら」
カゴ一杯にお菓子を詰めたところで、ジョアニーの携帯電話が鳴った。液晶には、意外な名前が。
「ハイ、お久しぶり」
「ジョアニー、あなたマオ・アサダ達のおもてなし係になったんですって!? もぅ、なんでアタシに一声かけてくれないのよ!」
挨拶もなくハイテンションでまくし立てられ、ジョアニーは少々面食らった。
「一声も何も、私もさっき連盟から言われたばかりで」
「んもー、水くさいわねぇ。だったらすぐ連絡してくれればいいじゃない!
アタシ、今ちょうどバンクーバーの子たち連れてスパでバカンスしてるところなの」
「バンクーバー? じゃあ、ケヴィンもそっちにいるの?」
「ううん、ケヴィンはちょっと前からどこか行っちゃってるみたい、ってジェレミーが言ってたわね。
ま、とにかく。マオ達が来るようならアタシのとこにって伝えてちょうだい。
よかったらジョアニーもいらっしゃいよ。どこにいるかは後でメールするわ。それじゃあね」
ほぼ一方的に誘われただけで、電話は切られてしまった。
やれやれ、とジョアニーはため息をつき、ひとまず電話の主…エマニュエル・サンデュからの連絡を待つことにした。
230スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 13:17:55 ID:B7taoupK
宇宙船内へ乗り込んだプル一行。
操縦室まで辿りつくと、様々なボタンが激しく点滅している。
「まず暴走を止めなくちゃ・・・アーチャ、そこのレバーを引きながら赤いボタンを押すんだ」
プルに指示されたとおりにガチンスキーが操作すると、ランプ点滅がとまり宇宙船も静止した。

「これで良し・・・と。あとは大輔を出してあげないとね」
気がつくと後ろの方でドアを叩く音とわめき声がする。
「あの声・・・大ちゃんだ!」小塚がその声に気づく。
ドアを開ける為にプルの部屋へと急ぐ。
プルの後ろには小塚とADSLが続いた。
231スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 13:50:37 ID:pWMkAW2B
大輔は、ふとドアを叩くのをやめて、口をつぐんだ。
もうこの悪趣味な部屋の揺れはおさまっている。
そして、名状しがたい何かが、ごくごく近くにまで迫って来ているのを感じた。
(これはもう、耐えてやり過ごすしかない…)
青ざめながらも決意する。パニックは起こらない、不思議と落ち着いていた。
「ダイスケ、無事か?今部屋から出してあげるからね!」
インターホンから、プルシェンコの声が響いた。
232スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 13:50:39 ID:lQtSOvMp
「たーすけーてー!」
「大ちゃん!?」
プルがドアを開け、3人は部屋の中に飛び込んだ。
「取れない!」
「……大ちゃん、それなに?」
「僕の着ぐるみ。服と一緒にしまっといた」
答えたのはプルだった。
「取れないんだよ!」
大輔の声がおっきな頭部の中からする。奇妙にデフォルメされた目、鼻、髪……どことなく宇宙人に似ている。
「Only youの?」
プルは着ぐるみの頭部に両手をかけ、上にひっぱった。
「痛い痛い!」
大輔がわめく。
「……僕みたいに鼻でかくないのに、どっか中でひっかかってるの?」
「あーもう!」
どじっこ高橋め。
233スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 14:11:03 ID:QWDKHvHj
未来は悩んでいた。
さっきバトルからもらった日本のお菓子「黒棒」を見てライサを思い出したからだ。
どうしようもなくて、名前を伏せて真央に相談してみることにした未来。
「ねえ、真央ちゃん。大切な友達がなにかやらかしてそれに対して怒ってる人がいるの。
未来からも怒って欲しいって言われたんだけどどうすればいいかなあ」
「うーんとね、エアロが悪いことをしたらちゃんと怒るのも
愛情だってお母さんが言ってたよ。エアロのこと大好きだから怒りたくないけど
しつけって大事なんだって。好きだからこそやらなきゃね」
「そっか。やっぱり悪いことをしたら怒るのも大事だよね」
「そうだよーあっ未来ちゃん。このお菓子もおいしいよ」
(さすが真央ちゃん。悩んでたのが嘘みたいに解決しちゃった)
でも自分で手を下すのはやや気が引ける。コーチ同じだし。でかいし黒いし。
というわけでタニスからのお願いと題して受け取ったメールの一部分
『エヴァンをボコボコにしてね』をスケーター全員に一斉送信してみた。(真央を除く)
(未来には無理です。誰か代わりにお願いしますぅ)
234スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 14:55:53 ID:pWMkAW2B
「大ちゃん、なんでこんな事に!?」
大輔は揺れる部屋の中で、衝撃を和らげるため、とっさに着ぐるみを身に着けていたのだ。
プルが部屋を開ける直前に脱ごうとしたが…今度はなぜか出られない。
「…でもこの中に入ってると、ちょっと落ち着くような気もする…」
外界から遮蔽される事で、名状しがたい感覚も遠のくのか?

「ダイスケ、おひさ。大丈夫?」
「や、やあ…ありがとう」ADSLが近寄って来ても、なんとか耐えた。
「大ちゃんをしばらくそっとしといてやってくれないかな…俺がついてるから大丈夫!」
崇彦は、大輔とADSLの間の名状しがたい何かに、まだ気付いていない。

「まだ脱げないの?しょーがないな…でも無事で何よりだ、このままいったん戻るか。
 みんなお疲れ、よくやった!ありがとう!ナスティア、本当にありがとう!」
プルの言葉に追跡チームは歓声を上げ、リューキンは讃えられ、黒棒は忘れられた。
235スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 18:48:19 ID:1ZzM0D++
「みんな大丈夫かなあ。お腹すいてないかなあ。」
いまだ戻ってこない円盤組を心配する真央。
円盤組の帰還があまりにも遅いこともあり、お腹がすいたゆかさん^^の一存で
レストランでの食事会はすでに始まっていたりする。
だが、さすがにロシア料理にも少し食傷気味なのが正直なところであった。
バッグに忍ばせていたバトル謹製のお菓子も
そろそろなくなってきた。未来も同様のようだ。
「お菓子の補充したいね。…そういえばあれからバトルさん達、大丈夫だったかなあ。
あの爆発にお菓子が巻き込まれてないか心配だね」
「大丈夫。きっと背中のリュックだけは死守してるよ」
バトルの心配というより食料の心配をする育ち盛りの2人だった。
236スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 19:06:57 ID:Eyf+Feld
真央達がレストランの窓から空に光る宇宙船を見つけた。
外に出て「こっちこっち〜!」と手を振る一行の近くに宇宙船が着陸した。

ハッチからぞろぞろと出てくるスケーター達。
真央は小塚を見つけると駆け寄った。
「タカちゃん!大ちゃんは無事だったのね!・・・あれ?どうしたのその人形?」
OnlyYouの着ぐるみを被った大輔に気づく真央。
「うん・・・ちょっといろいろあって・・・でも大丈夫だよ」
着ぐるみを被ったまま答える大輔。
実は取れなくて困っているが、その反面名状しがたい感覚から守られるようなので、しばらくの間被っておくことにした。

「それじゃあみんなでこれから食事会よ^^ってもう始まってるけど^^何だか二人増えてるけどまあ良いでしょう^^」
ユカさんは何故かボコボコになっているライサを引きずって出てきたリューキンに気づいた。
「彼女のおかげで僕たち助かったんだ、二人も一緒に入れてくれないかな?」
「いいわよジェーニャ^^なんとなく事情はわかるから^^」
ジェレミーのツイッターを確認済みのユカさんは、プルの頼みを快諾した。

「・・・私たちもご一緒して良いかしら?」
「あ・・・っ!!」
「大丈夫よ・・・もう無理やり引き止めたりしないから」
プルを見守る事にしたヤナ姐さん・イーラ・ナフカ様のロシアン3美女もミーシンと連絡を取ってやって来たのだ。

大人数の食事会がはじまった。
237スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 19:09:01 ID:hB8bWyGs
「もーーーーーっどうすんのよっ」
宇宙船と円盤を目撃して地上から声援をおくったのはいいが
あれからまっっっっったく音沙汰がない。
時間だけが刻々と経過していった。
ヤグディンとロロとジュベは目につく女性をナンパしまくっている。(もちろんロロの命令だ)
テン君は相変わらずずっと眠ったまんま。
バトルはツイッターをやったりお菓子を食べたり。
スケ力がなくなり、動くに動けない状況でそれなりに時間をつぶしている。
「アンタ達、役に立たなさすぎっ。なんかいい案はないの?」
「だっていらいらしても状況は変わらないじゃん。せっかくエステして綺麗になったのに
ストレス溜めちゃもったいないよ。はい、これ食べる?」
「そうよ、だから余計に腹立つのよ。なんでアタシだけがこんなにイライラしなきゃいけないのよ。
アタシはDIVAよ。アタシがみんなを振り回さなきゃいけないのに
なんでアタシが振り回されてこんな目にあってんのよーーーーーっ」
バーデン・バーデンの中心あたりでジョニ子は悲しい叫び声をあげた。
238スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 19:35:13 ID:lQtSOvMp
「はいジェーニャ、あ〜ん」
プルはヤナにペリメニを食べさせてもらっている。いちゃいちゃが過ぎて正直見ていられない。
イリーナとナフカ様は子育て談義に花を咲かせている。目の保養である。
「ペリメニって餃子に似てるね」
小塚、もうプルがいてもどうでもいいのか。
(……食べるの大変)
高橋の間違いはきぐるみを完全に頭にかぶってしまったことである。
あれは本来帽子のように頭に載せるものなのに。
おかげで着ぐるみの中が変形してしまい、頭から外れないのだ。
口の周りは余裕があるので、話すのも食べるのもできるが。
ジェレミーはユカさんがロシア美女の話に加わっていくのを見てから、
「皆でロシア料理食べてるなう。ピロシキおいしいね!」
と、真央と未来が焼きピロシキにかぶりつく写真をアップした。
239スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 20:06:00 ID:Czt+/hMr
ちなみにサンクト食事会はアルコール抜きである。

腹減りADSLは、ロシア代表の微妙な空気の間に座っていた。
残り物のザクースキを平らげながら考える、
(KASASUについて訊きたいが、大輔は疲れてそうだし、ユカもいる…)
「ところでアドリアン、スウェーデンから跳んで来たのか?」
ダチのルタイが、ボルシチを鍋から一気飲みするADSLに声をかける。
「ああ。何を跳んだかは言わないどく。刺激が強過ぎるからね」
かき集めたストロガノフをがっつきながら答えるADSLに、
愛想笑いをしていたヴォロ&ボロ、無理に盛り上げてたがっちゃんもヒクッとした。
「あはは!とりあえず何かを踏ん張った、ってことにしといてやるよ!
 …コイツ流のジョークだから、気にすんな!痛いし時にマジだけど」
ペリメニとピロシキを同時に食うADSLをド突いて、笑い転げるルタイ。
240スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 21:17:27 ID:gPM1LjAN
そのころのチャッキーと美女三人組。(>>196

ようやく美女三人に囲まれていることを自覚し、そわそわ居心地悪げなチャッキーをよそに、
グレボワとゲデ子はコストナーさんおすすめのコゾナックを堪能中。
コストナーさんは、携帯電話でトラに連絡を取っていた。
「うーん。おかしいよ。トマシュ、電話に出ない・・・」
「移動中とかかしら?ジャンプの移動中だったら電話を取るのは無理よね。
 時間はかかるけどメールにしてみたら?」
グレボワの提案に頷いて、コストナーさんはメールアドレスを呼び出す。
「Pちゃんだいじょうぶかな・・・・・・活躍しそこねて、
 みんなに忘れられてないかな。ちゃんとごはん食べてるかな」
「そんなに心配しなくても大丈夫よ、ケヴィン」
前スレで慈愛あふれる乳牛のようにクワドエルフに接していたためか、
ゲデ子は母親のような眼差しをし、チャッキーのぼさぼさ頭を優しく撫でてやる。

「メールしたよ!」
「じゃあ次に行こうか。泥パックにする?それとも次の国?」
「ケヴィンも一緒にいらっしゃい。また一緒に旅ができるなんて不思議ね。
 それとも、ジャンプでどこかへ向かう?」
ゲデ子の問いに考えるチャッキー。
僕はどうしよう・・・・・
241スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 21:19:55 ID:gPM1LjAN
ごめんsage忘れた・・・失礼しました
242スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 22:05:41 ID:Czt+/hMr
…どかーーーん! 自爆したトラは、見覚えのある場所に転倒していた。
すぐ側の民家に近寄り、そっと窓から中をのぞいてみる。
かすかに争う声が聞こえた。
「…ちょっと見せろ…女の子達が来る…このドケチ…おもてなし…」
それはDVDを取り合うランビとコンスティ。ここはスイスのランビ宅だ。
…ガンガンガンガン! 窓を叩く音に、ランビはまた一瞬凍り付いた。
「はぅあ!?…なんだトマシュか…ドアは開いてるよ、入っておいで」
トラにソファをすすめ、自分も座りながら尻の下にDVDを隠してすまし顔。
とりあえず経緯を話そうとするトラの携帯がブルった。
「あ、ちょっと失礼…」
fromミハル、fromコストナーさんのメールだ。まず後輩のをチェック。
『KASASUを用意しようって言ったの先輩ですよね?ユカさんが追ってます』
(どゆこと?…)トラは再び首を傾げる。
243スポーツ好きさん:2010/05/09(日) 22:57:05 ID:DbYgOvRY
ロシアに戻る途中の宇宙船内。
闘い?を終えたリューキンが一息ついて携帯をチェックしてみると…
何十通というメールが届いていた。
中身はすべて一緒。差出人は各国のスケーター。
未来が黒棒の始末を世界各国のスケーターに丸投げしたのと同様に
全員が揃いも揃って、リューキンに押しつけたのであった。
世の中適材適所というものがある。
スケーターでもないリューキンのメアドが
なぜみんなに知られているのかは考えてはいけない。

黒い墨によるスケ力アップのおかげで容易だったロシアまでのジャンプ。
だがスケ力がなくなった今、反動で身体の疲労感が半端ない状況だったライサ。
だが容赦ないリューキン先生のフルボッコは
手加減なしのガチンコ勝負だった。

ライサとリューキン以外のメンバーは
「早くロシアに戻りたい、逃げ出したい」
と思いながら、宇宙船の中で見て見ぬふりをするしかなかったのである。

でも結局ベルビンたんの誤解がとけてないことにかわりはない。頑張れ黒棒。
244スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 02:57:17 ID:hOLvPV/e
食事中の間、ふとした拍子で着ぐるみが外れ(てしまっ)た大輔。
しかしその途端…ADSLへの恐怖感(いつの間に罪悪感から?)が襲って来た。
逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ。でもどうやって?!
ジャンプはさっき自爆した(らしい。)また自爆したら宇宙船に捕えられるし。
とりあえずこの場にいない日本連中…信成とかに助けを求めよう。
そしてポケットから携帯を取り出し……携帯…携帯?あれあれ?あれれ?!

……無い。ないないない……携帯が無い!!なんで?!どうしてだ?!
よくよく考えると、エルミタージュ美術館でゴミ箱に何かを捨てた事を思い出した。
あれか! …てか、これじゃバンクーバー五輪の二の舞じゃないか!どーすんだ…

スケパシーの存在をすっかり忘れている。
色々あってテンパりすぎた大輔は、大輔の瞳孔は開きっぱなしになっていた。
まるでPチャンのように…
245スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 06:44:29 ID:ZGrEXTWG
「おい、あのダイスケ…あいつお前のダチなんだろ?紹介しろよ」
「ああ。でもしばらくそっとしとけって言われてんだよね」
ルタイにそう答えながら、ADSLは離れた席の大輔に会釈を送った。
(うが〜〜〜〜!!!)
目が合った大輔は、押し寄せる名状しがたい何かに震え上がり、崇彦の陰に隠れた。

「…そっかしゃあねーな。そういやお前、師匠にメールとか絵ハガキとか言ってたよな?」
「ん」ルタイに言われて、ADSLは携帯を取り出してポチポチした。
「あやっべ、誤送信しちゃった」
「絵ハガキにしとけよ。…あーすんません絵ハガキとかないっすか?」
ウェイターが持って来た各種絵ハガキの中から、ADSLは適当に一枚選ぶと、何やら手短に書いて投函を頼んだ。
ハガキ代切手代チップはむろんロシアスケ連持ちである。
「これでよし、ロシアに着いたよっと…で、最近そっちはどーよ?話は聞いてるけど」
「まあそう言う事、てとこかな。今はとりあえずロシアおもてなし代表」
ロシア男子のテーブル周辺がますます微妙な空気になる中、ADSLとルタイの会話だけがなごやかに進む。
246スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 09:55:36 ID:f6lbmwU0
「あ〜もう!いつまでここにいればいいのよ!!」
もう日も暮れたバーデンバーデンの真ん中で、小塚のような台詞を吐くジョニ子。
イライラが最高潮である。
「でも、今の僕たちじゃどこにもいけないんだし、待ってるしかないよ」
ドイツのおもてなし会場から持ってきたシュトーレンを食べつつ宥めるジェフ。
本来クリスマス限定のケーキだが、真央のおもてなしのために特別に用意されていたのを
ちゃっかり頂いて来たのは言うまでもない。
ナンパに出かけたヤグ・ロロ・ジュベはまだ戻ってこない。

「仕方ないわね、こうなったらこっちから意思表示するしかないわ。」
ジョニ子は携帯を取り出すと、ツィートを入れた。
「スケ力がなくなってバーデンバーデンで足止めよ!!ジェーニャ!早く迎えに来なさいよ!!」

ロシアですっかり盛り上がってる一行が気づいてくれれば良いのだが。
247スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 11:48:24 ID:V8NP1BQD
スイス、ランビ宅では、ミハルのメールを読んだトラが混乱していた。
「…KASASUが俺のせい?…ユカが俺を追ってる?」
とりあえずアボットのつぶやき一覧をざっとチェック。
『チェコなう シュールストレミングはとてもバッドスメルだった』
『皆でロシア料理食べてるなう。ピロシキおいしいね!』
「チェコで問題があった?…今ジェレミーはロシア…つまりユカさんも!?どーする俺ー!」
これではロシアに跳べない。
「トマシュ、落ち着いて!今お茶淹れるから…」
ランビが立ち上がった隙に、コンスティは素早くDVD『団地妻ry』をつかんだ。

『ツイッター要チェックfromトマシュ』コストナーさんにはそう送った。大体の流れがわかるだろう。
(てかKASASUって言い出したのアドリアンだろ?あいつどこにいやがる、ロシアか?…)
248スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 13:47:07 ID:3j8puyL8
(スケ力がなくなってバーデンバーデンで足止めよ!! ジェーニャ! 早く迎えに来なさいよ!!)
自分のツィッターの返信を見ていたジェレミーは、ジョニーのツイートに気づいた。
なお、真央と未来のピロシキかぶりつきは、世界中から「so cute!」と大評判だ。
「面倒だなあ……」
「では、ロシアおもてなし、夜の部を始めさせていただきます!」
お酒飲めない未成年組は、悠子さんの案内でホテルへ向かった。残っているのは大人ばかり。
クワスとウォッカ、ワインにキャビアが供されレストランは一気に飲み会モードである。
「明日教えればいいや、僕も飲みたい」
「あ、ジェレミー、私とエヴァンは先にアメリカに帰るわね」
「あれ、飲んでいかないんですか? リューキンさん」
「それよりもやることができたわ。エヴァンのスケ力もさっき回復させてもらったし、ロシアにいる用はないの」
「一体何を……?」
「ちょっと、こいつの元カノのところにね。フフフ」
不敵な笑い声ととともに、リューキンは黒い棒を持って外にでていった。
「エヴァン、来期まで生きていられるよね?」
誤解がとけるかどうかが鍵だろうね、ジェレミー。
249スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 16:33:22 ID:f6lbmwU0
ロシアおもてなし会大人の部。
ジェレミーにスルーされてしまったジョニ子の叫びに気づいた人物がもう一人いた。
ヤナ姐さんである。

このところ慌しかったので、しばらくチェックしていなかったツイッターを久しぶりに見ていて発見したのだ。
「・・・あら?ジョニー達がいないと思ったら、ドイツから出られないのね」
隣にいるプルをちらりと見る。
夜の部とはいえ周囲をヤナとイーラ・ナフカ様で固めているので、さすがに羽目は外せないが、
結構盛り上がっているようである。
足の状態や、宇宙船捕獲に苦労していた事を考えると、今日は無理をさせるわけにはいかない。
ああ、なんて優しいヤナ姐さん。

「あれ・・・誰かメール?」
「ええ、でも急ぎじゃないから大丈夫よ」
ヤナの様子に気づいたプルにそう答えると、ヤナは代わりにジョニ子にメールをしておいた。
『ごめんなさい、ジェーニャは今晩は動けないの。明日の朝二人で一緒に迎えに行くわ。』

「ちょっと可哀想だったかしら?」
「みんなアスリートだし、一晩ぐらい大丈夫よ^^」
その様子をみていたユカさんが太鼓判を押した。

がんばれジョニ子!早ければ明日の朝に迎えが来る・・・はずだ。
250スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 18:10:11 ID:vR12h05C
バーデン・バーデンで頭を抱える、リンデマン&アントン小林。
「トマシュは行ってしまった…用意した食事も荒らされ…」
「どうやってマオちゃんをおもてなししたらいいんだ…」

「…えろすんまへん…ドイツの女の子は固とぉてあかんのちゃいます?」
「ダホ!失礼やで!ここは観光地や、外国人かてぎょ〜さんおる!お前があかんのや!」
「ドイツ人がどうとか決めつける時点でダメなんだお前は!…あ〜不漁不漁!」
成果0でナンパから戻って来た、ジュベ&ロロ&リョーシャ先輩。

「ああ、お帰りですか?これで皆さんそろいましたね」
リンデマンだ。ドイツおもてなし代表として、ついに立ち上がったのだ。
「皆さん、十分楽しんで頂けたはずです。しかしあれらは、マオ一行の為に準備したもの…
 …皆さんには、マオ一行のおもてなしを手伝って頂きたい!嫌とは言わせませんよ!?」
251スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 20:57:33 ID:LQcio9Jh
『セレブなイベントには慣れっこのアタシが全部仕切って準備してあげるわ。
アンタ達はしばらくどこかでゆっくりしてきなさい』
誰とは言わないが、誰かさん達のせいで疲労困憊なのだ。
助かった、ゆっくりできる。
リンデマンと小林はジョニ子の言葉を
素直に信じ、その場をあとにした。

「ジェフ、アンタはそこのゴディバに行って商品を好きなだけ買ってくるのよ。
ナンパ3人組はフェストシュピールハウスの貸し切り予約をしてきて。
なんとかして明日一日貸し切るのよ。
帰りに、どこか適当な高そうなレストランに
ケータリングを頼んできてね。
支払いはぜーんぶドイツスケ連に回せばいいから
一番いい料理を注文しておくのよ。面倒だからメニューの料理を全部頼んじゃいなさい。
アタシは今から衣装を買ってくるわ」
「衣装?なにする気や」
「決まってるじゃない。真央一行のおもてなしよ。
あのオペラハウスでアタシ達の歌とお芝居を披露するのよ!」
「えー、僕めんどくさ」
「おだまり!ついでにアタシの新曲もダンスと共にお披露目するわ。
食事もつけてディナーショー形式よ。あーっ楽しみーー」
ややリズムがとれてないスキップをしながらジョニ子は行ってしまった。

「しゃあない。このスレでも活躍できてへんから鬱憤が溜まってるんや。
たまには言うこと聞いてやるか」
ため息をつきながら各自ジョニ子の命令通り出かけていった。

ヤナのメールには明日真央一行がくるとは一言も書いてないのだが
ジョニ子は気付いていない。
252スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 21:32:49 ID:vR12h05C
ア〜♪ゲフゲフ!とADSLの携帯が鳴る。トラからだ。
「アドリアン!今ロシアか?俺ユカに追われてるんだって!?」
「まー俺もだけど。てか今どこにいんですか?チェコほったらかして」
「う…諸事情により今スイスだ…その前はドイツで…ロシア行きは危険…ドイツでカルメン…」
「つまりドイツに戻りたいが、自爆の可能性大ってわけか」
「…うっさい!」
「ズバッと言いましょうよ、まどろっこしい話は無駄に腹減るし。
 ドイツへは、誰かに連れてってもらうか、迎えに来てもらうしかないっすね」
「なんとかしてくれよ、お前のせいで俺追われてるんだから」
「連帯責任ですよ。むろん助けに行きたいが」
「ユカの手前下手に動けない、か。今俺たちが接触するのはマズイ」
「冴えてますね。おそらくミハルは疑われてない」
「自爆にも強い。わかったこっちでなんとかする。お前も気をつけろ」
253スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 22:23:22 ID:8spPJAvc
サンクトペテルブルク近郊の小さな町の小さな広場。

「ここはどこなんだろ…?」
美姫はクレオパトラの最初のポーズが如く物憂げな表情で小首を傾げながら悩んでいた。
モスクワから真央たちのいるサンクトペテルブルグに3連続ジャンプで向かうはずだったのだが、
3本目のジャンプを飛ぼうとしたときに向かうべき方向から謎の飛行物体が飛んでいったのにびっくりして、
ダブルの予定がシングルになってしまったのだ。
そのため当然飛距離は短くなり、目的地の相当手前で着地と相成ったわけだ。
なお、謎の飛行物体が宇宙船であることは言うまでもない。

(……?!)
ふと何かがやってくる予感がする。
(上から?)
今度はクレオパトラの最後のポーズが如く左手を上に差し上げながら上空に顔を向けてみる。
(ん…上空に何か見える?)
小さな点のような影がみるみるうちに大きくなって地上の美姫の方に近づいてくる。
(ちょっとポーズなんてとってる場合じゃないわ!とりあえず逃げなくちゃ!)

…さて、落ちてくるのは「モノ」なのかはたまた「人」なのか。
254スポーツ好きさん:2010/05/10(月) 22:53:37 ID:DjOEdBjH
悠子さんを先頭にホテルへ向かう未成年組。
未成年組の中には当然真央と未来がいて、彼女らは悠子さんの後に続いて歩いていた。
その後ろをついて行く人…Pちゃんである。
宇宙船追跡に参加せずに観光していたときも晩ご飯のときも
二人にいいところを見せるチャンスも、仲良くキャッキャウフフするチャンスもなかったのだ。
二人はロシアンおもてなしメンバーにチヤホヤされてPちゃんはやや空気であった。
歩きながらPちゃんはアボットがアップしたピロシキを食べる二人の写真を見る。
「ぼくもこういう写真撮ってアップしたい…!!
ホテルに着いても寝るまでにまだ時間があるから二人と話したりする時間はあるはず…!<◎><◎>⌒☆」
本人は気付いていないが、かなりギラギラしていたので道行く人に「ヒィッ…!!」と驚かれていた。
がんばれPちゃん!
255スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 00:34:44 ID:jP2jAGD+
スイスのランビ宅では、お湯が沸いた。
「トマシュ、さあお茶にしよう、お菓子も食べて…」
本当は女の子達のために用意したのだが、仕方ない。
トラが落ち着いたら、チェコのおもてなし話を聞かせてもらおう。
…ランビがヤカンを持って戻ると、コンスティが秘蔵DVDを散らかしていた。
「やーめーてーくーれー!」
熱湯をまき散らして舞い上がるヤカン。
「うお!あちちちち!熱いってばよ」
熱湯を避けるコンスティ。
そして熱湯をかぶる秘蔵DVDたち。
256スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 02:22:18 ID:9lbvXOdl
ジョニーからメール……?
ドイツのバーデン・バーデンから諸事情で出られない、とプルは言っていた。
あ!それなら……!
「ユカさん!俺行きます!行ってジョニーさんと合流させます!!」
崇彦の陰に隠れっぱなしの大輔が勢い良く答えた。
勿論ADSLからうまく逃げる言い訳に決まっているのだが……。

崇彦はぎょっとした。
プルとヤグディン、ジョニーが揃う、ということは………!
考えただけで毛根が何本か逝ってしまったようである。哀れ崇彦。
「お、俺も大ちゃんと一緒に飛びます!行ってきます!」
勿論トンズラするつもりで威勢良く叫んだ。

二人は連れ立って3Aを飛んだ。
しかし根が糞真面目な日本人、着いた先は逃げるどころか
律儀にバーデン・バーデンに着地してしまったのである………。
257スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 03:25:08 ID:U0iP+GAm
「うっそ…ちゃんとついちゃった…」
降りるなり場所を確認して崇彦は愕然とした。
こんな事だったらいっそ自爆した方がマシである。
仕方ないもう一回跳ぼう、と大輔に言おうとした瞬間、
「あらぁ、大輔に崇彦!どうしたのよ〜随分早いじゃなーい」
…声の主はジョニ子だ。間違いない。
もう逃げられないとがっくり肩を落とす崇彦に、大輔が言う。
「大丈夫らって、何とかなるれしょ」
(い…いつも以上に滑舌が悪い…酔ってる…酔っ払ってるよこの人こんな状況で…)
ADSLから離れられた安心感からかへらぁとしまりのない顔で笑う大輔。
実は恐怖心を紛らわすべくロシアでしこたま飲んでいたのある。
それでも3Aを降りるのはさすが…と感心している場合ではない。
爆弾を抱えて地雷原に降り立ってしまった様な状況にちょっと絶望する崇彦であった。
258スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 04:59:11 ID:jP2jAGD+
ルタイの飲み物をせっせとソフトドリンクにすり替えていたADSL。
気が付くと大輔も崇彦もいない。撒かれた!
立ち上がるADSLを、ルタイがさえぎった。
「おい、ロシアに来たわけをまだ聞いてねーぞ」
「…ダイスケを追って来た。ここだけの話、KASASUに関わる事だ」
「何だ?」
「日本の…激ヤバな何か。この件で俺はユカに目をつけられた」
「ダイスケにメールしろよ?」
「返信が来ない」…いや大輔は携帯なくしちゃっただけなんだが。
「スケパシー…もダメなのか。確かにあいつの様子は変だった」
「怯えている。思っていたよりずっとヤバいヤマみたいだ。
 KASASUの謎も気になるが…彼を助けてやりたい」
「ダチの為か。じゃ、行くんだな?」
「ああ」
「またな」
「…リンクでな」
…ハードボイルド調にしてみたが、彼らが大幅に勘違いをしている事に違いはない。
259スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 09:30:01 ID:D0lG2lqS
未成年組が宿泊するホテルの真央と未来の部屋。

「おかしいなぁ・・・大ちゃんも崇ちゃんも電話に出ないよ?」
今後の予定のことで二人に電話しようとした真央だったが電話が通じない。
丁度その頃二人はドイツへ飛んでいたので圏外になってしまったようだ。
それに大輔は酔っ払っていたので、出たとしても会話が成立したが怪しいが。

「真央ちゃん、タラソワコーチにかけてみたら?」
「うん、そうしよっか」
大人の部に残っていたタラソワに電話してみると、二人でドイツに行ったという。
「ええ〜?!それじゃ私たち置いてかれたんですか?」
「どうしよう?」
困った二人にタラソワが提案する。
『大丈夫よ、明日の朝ヤナがジェーニャと二人でドイツにジョニーを迎えに行くそうだから
一緒に乗せてもらいなさい。ヤナが一緒ならジェーニャも大人しいでしょうから。・・・今日はもう遅いから二人とももう休みなさい。』

「わかりました。それじゃあお休みなさい、タラソワ先生」
電話を切った真央と未来は今夜はとりあえず寝ることにした。
260スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 10:10:38 ID:3QoKu93y
 大輔はジョニ子に元へ・・・
ユカさん(^^)から聞いたADSLはバーデン・バーデンへ向かった。
その時、必要なものだからと手作りケチャップ鍋を持たされ、使い方まで説明してくれた。
「これでなぞが解ける・・・」
逸る心を抑えつつ、ついに目的地上空へ到達したADSLの目に大輔たちの姿が映った。
「チャンス!!」
ケチャップを投下するADSL。それは見事3人の、特にジョニ子の頭に直撃した。

突然頭に降りかかった大量のケチャップ。特に直撃を受けたジョニ子はすさまじい悲鳴を上げた。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」
その悲鳴を聞いた大輔は脳裏にKASASUの恐怖がよみがえる。
「あ、あ、ああ、うわああ〜!!」
絶叫するする大輔!所かまわず蹴りを繰り出した。
「うわ!」
間一髪でかわした崇彦、しかしジョニ子は腹にけりの直撃を受けたしまった!
「ぎゃう!!」
そのまま崩れ落ちるジョニ子。その姿を見た大輔は少しずつ恐怖から解放されつつあった。

「これが・・・・KASASU・・・・」
一部始終を見ていたADSLの目に涙が光る。
「大輔!」
彼に呼ばれて大輔が振り返る。その顔にもはや彼に対する恐怖心はなくなっていた。
二人は黙ってがっちり握手を交わすと何処かへジャンプで消えていってしまったのである・・・・

「・・・・どうすんだよ・・・これ・・・」
残された崇彦は伸びているジョニ子を見てため息をついていたが・・・・
「ん〜〜〜〜ん、ゴメン!」
両手を合わせて謝った後、急いでロシアに戻った。

「ふ〜・・・」
取り合えず、ロシアに戻ってきた崇彦だったが・・・
「きゃ〜!!」
悲鳴に気づいて振り向くと其処には美姫がいた。
「美姫ちゃん!」
ホッとしてそばに行くが彼女はさらに表情を強張らせる。
「どうしたのその血!何があったの!取り合えず病院に!」
「え!ええ〜!」
ドイツで浴びたケチャップを返り血と勘違いされ病院に連れて行かれた崇彦君。
そこで軽度のやけどと診断された彼は美姫とともに一晩を病院で過ごす羽目になった。
261スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 10:59:19 ID:xQFWdVRG
翌朝。
タラソワから連絡を受けたプルとヤナが乗った宇宙船が、未成年組のホテルまでやってきた。
「おはようございます!プルシェンコさん、ヤナさん!」
ロビーで待っていた真央と未来を見つけると駆け寄るプル。
「おはよう真央!朝の挨拶のキ・・・いててっ!!」
キスをねだろうとして一緒に来ていたヤナにつねられるプルだった。

「おはよう真央、未来。今日は宜しくね。あら、あなた達も一緒に行くの?」
ヤナは真央たちから少し離れたところにいるPちゃんとがっちゃんに気づいた。
「ハイ。プルシェンコさんを参考に是非クワドを習得したいんで、お供します」
瞳孔ひらっきぱなしで答えるPちゃん。
結局昨夜も二人に近づくチャンスがなかったのでこのままついていくつもりらしい。
「そうかい、それはいい心がけだね。僕でできることなら教えてあげるよ」
Pちゃんの思惑を知らず、クワド友の会会長として素直に喜ぶプルだった。

「・・・僕は円盤の操縦できますし、ジェーニャ先輩もまだ無理しちゃいけないし、お手伝いします!」
「ありがとう、助かるよアーチャ」
クールな容姿と裏腹に少年時代は自室にプル時計やプルフィギュアを飾っていたほどでもあるがっちゃん。
純粋に先輩を心配するのと、「プルシェンコは俺を恐れている」とか言ってたくせに
やけにプルと仲の良さげなPちゃんを警戒しているのは言うまでもない。

「それじゃあ、そろそろ出発しようか」
様々な思惑の一行を乗せて宇宙船はドイツへ飛び立った。
262スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 11:45:26 ID:TiGKCHVw
そのころのチャッキーと美女三人組。

クワドを跳んでいったんカナダに帰ろうか。チャッキーは悩む。
携帯電話を持ってはいたが、顔本派のチャッキーはPちゃんのツイッターを
読む術を知らない。でもPCがあれば、Pちゃんのツイッターページはブクマ
してあるから、安否が確認できるはずだ。
けれど、今の自分は、ちゃんとカナダまで跳ぶことができるのか・・・・?
ジャンプはひたすら自爆続きのこのシリーズ、なんとなしに不安が押し寄せる。
美女三人組はというと、次の行き先を同国内のテッケルギョル湖に決めた。
美容効果のある全身泥美容があると聞いてしまえば、やはり回避することは
不可能だ。
「あ。トマシュからメールが返ってきたよ!」
もぐもぐとコゾナックをほおばりながら荷物の準備をしていたコストナーさんが
声を上げた。「ツイッターを見ろ?なんだろ。見てみるねー」
自分が気にしていたことをあまりにも安易にやってのけるコストナーさんに、
チャッキーはほんのすこし脱力した。一緒にPちゃんのツイートも見てもらおう。
そうしよう。

「泥パックが終わったらどうする?エレーネ」
「そうね・・・・ハンガリー、オーストリアにも古き良き温泉地があるみたいだけど」

美女三人組がスイスを訪れるのはまだまだ遠そうだ。
263スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 12:05:09 ID:9lbvXOdl
ADSLへの恐怖心は無くなったが、チェコでのあの生物兵器をまた喰らってはたまらない。
しかし、大輔はとうとうADSLに袋小路に追いつめられていた。

「…さぁて、ダイスケ。こうなったら『アレ』をちゃんと話してもらいたいのですが。」
ADSLの青い瞳は真剣そのものだ。…その時、大輔の頭の中で何かのスイッチが入ったらしい。

(逃げてばかりでは駄目だ。此処は正面から強行突破しか無い……!)
自然に右手をスッと左肩の上に構える。スケート戦士としてのファイティングポーズだ。
それはSPの『eye』の決めのポーズでもある。
それを見たADSLも同じ事を感じ取ったらしい。両手で身体を抱きしめ、立て膝をつく。
SWE代表方式の、敵を油断させる構え……しかしモードは常に臨戦体制だ。

「来るか…来ないならこっちから仕掛けるのみ!」
小柄でリーチの短い大輔は、懐に潜り込んで一挙に連続攻撃を決めるしかない。
囮の3Tで一気に間合いを詰め、下段から仕掛ければ相手をダウンさせることが出来るか?
そうこう考えているうちに、ADSLはくつろぎステップでじわじわと間合いを計ってくる。
皆殺しイーグルの銃弾をサーキュラーステップで華麗にかわしながら、ジャンプの踏切体制に入った。
「おっと、そうはいきません!」
先に首グラグラジャンプを踏み切ったADSLの3A-2Tが大輔にモロにヒットする!
後ろ側にぶっ飛ぶ大輔。
「奇襲は無理か…ならば正面からいくしか!」
渾身の力で、世界一と呼び声も高い捨て身のストレートラインステップを踏み、ADSLに突進する。
その姿に度肝を抜かれたADSL。首切りイーグルでかわす暇も無くまともに多段攻撃を受ける。
「うぉっ…やりましたね……」
こうなったらアレだ、アレでダイスケを捕獲するしかない。
なおも突進してくる大輔に、変形シットスピンで冷静に対抗し……そして。

「…しまった!」
大輔が気がついた時は、闘牛士ADSLの赤いマントにぐるぐる巻きになっていた。
「さぁ!どうですダイスケ!」

「うっ……ううううう(涙)」
頭の中のスイッチがようやくオフになったらしい。
264スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 12:41:54 ID:ZJLJxSqB
「ジョニー買ってきたよー。…ジョニー!」
頬張っていたゴディバのチョコを落としそうになるくらい驚愕するバトル。
その目に映るのは血まみれ(に見える)ジョニ子の姿。
「うわああああ」
バトルの叫び声にロロ、ヤグ、ジュベも駆けつける。
「なんや、ジョニーどないしたんや」
「ジョニー、しっかりして」
「ん?足元に紙切れが落ちとるで」
ロロが拾いあげたのはジョニ子が書き上げた芝居の台本だった。
「『美人女将殺人事件!今、暴かれる血塗られた過去。温泉地で繰り広げられる怪事件の謎』
長いタイトルやな」
「そうかっ!真央達に披露するお芝居がもう始まってるんだよ」
「ジョニーやる気マンマンやなあ。ほなこのままジョニーを舞台に運ぶで」
「運んだら僕たちもセリフを覚えないとね」
「しゃあないな。ジョニーがここまで本気ならやらない訳にもいかんしな」
気絶したままの血まみれ美人女将をステージに寝かせ
その脇で台本の読み込みが始まった。

そしてそのまま夜は明け。
ドイツ到着を知らせるヤナからの電話が鳴った。
265スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 13:12:41 ID:xQFWdVRG
ドイツへ向かう宇宙船内は和やかだった。

操縦席で周囲の見張りに余念がないガチンスキー。
その後ろでは例の部屋からプレステを持ち出したプルが早速ウイイレを始める。
Pちゃんは真央に声をかけようとしていて、プルに対戦プレイに誘われてしまったので、またもチャンスを失った。
女性陣はヤナが宇宙船に持ち込んだ、プリャニキなどロシアのお菓子やロシアンティーをつまみながら、
昨日の観光の話や温泉の話で盛り上がっていた。

そうこうしているうちにドイツへ到着した宇宙船。
ジョニープロデュースによるおもてなしとリアル火サスなお芝居が一同を待っていた。
266スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 13:53:50 ID:HhI/3y53
ADSLが顔を近づけて来る。
「まどろっこしい話は苦手なんだ。無駄に腹とか、残りkbが減るから。
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/
 に、感想や相談や議論、スレ進行まとめなどがある。
 ところで265の時点で202 KB (207386 bytes)だ。
 …関係ない話だったな…つまり、俺は君を助けたいんだよ、ダイスケ」

「うぉいっ!何やってんだお前ら!?」
ADSLを背後からど突いたのは、ルタイだった。
「え」
大輔とADSLはサンクトペテルブルクに戻っていた。
267スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 13:59:37 ID:9lbvXOdl
「さぁ、今度こそちゃんと答えてもらいますよ?ダイスケ?」
「はぁ………(涙目)」
元のドジっ子モードに戻った大輔は、混乱する頭でなんとか答えをひねり出す。

「ええっと…  『火サス』といえば………温泉!ちょっとエッチな美女の入浴シーンで視聴率up!
そして連続する謎の事件!!つまり!まさに今俺達がやっていることそのものなんだよ!」
なんだかまた適当な、でもまぁそれっぽい答えをすると、ADSLはようやく満面の笑みを浮かべて頷いた。
「そうだったのか!それで俺達はこの温泉ツアーに同行しているんだな!」
やっぱりダイスケはいい奴じゃん。色々あったが、これからの旅は楽しくやっていけそうだ。

温泉…今まさにそれ。 美女……沢山いる! 事件とそれを解決する奴…そうだ、俺とダイスケはその役割だ。
『火サス』の謎は、ようやく解けた。

二人は今度こそ真の笑顔で握手し、仲良く2Tでバーデン・バーデンに戻った。
268スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 14:44:01 ID:HhI/3y53
スイスはランビ宅。

(…あれがスイス流おもてなしか…?)
DVDを巡って騒ぐランビとコンスティをポカンと見るトラ。
いや構ってる場合じゃない、携帯でチェコの後輩の番号を呼び出す。
「ミハル!KASASUの件、全部俺になすりつけたな?」
「自動的にそうなっちゃったんですよ、だって先輩帰って来ないし!」
「こっちも色々あって…実はドイツでカルメンやる事になった」
「ドイツおもてなしに助っ人ですか!てことは今…」
「いや、スイスで足止めだ。ドイツから迎えは来ない」
「ははぁ…」…自爆か。一人合点するミハル。
「わかりました。これもチェコの名誉のためだ、僕が迎えに行きます」
間に合うのか、トラ?そしてカルメン祭りはあるのか?
269スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 14:55:51 ID:3QoKu93y
「はあ〜・・・いって〜」
火傷の痕を抑えながら顔をしかめる崇彦。
「まだ軽くてよかったじゃん」
「チェコのときはさっさと逃げちゃったから、ある意味自業自得じゃない(^^)」
「は〜い・・・」
ここは、サンクトから近い保養地・『ホワイトナイト』
崇彦・美姫・ユカさん(^^)・ジェレミーの4人は崇彦の火傷治療を名目にここにやってきたのだ。
(ちなみに、ロシアの温泉は原則水着着用なので混浴OK)
「しかし、ジョニー大丈夫かな〜」
「平気じゃない?だってあのわがままDIVAがそう簡単にへこたれる訳ないじゃない」
「心配しなくても大丈夫!すぐにいつものジョニーに戻るって!!」
美姫とジェレミーに励まされて崇彦は少し元気が出てきた。
「そうだね。真央たちもタラソワ先生がついてるから安心だし・・・」
「じゃあ、ゆっくり楽しんで夕方くらいにあっちに行けばいいわね。」

ユカさんの提案にみんなが同意した。
270スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 15:33:15 ID:IY6YSjXH
「もうすぐでみんな来るって。セリフは頭に入った?」
「まだや。いったいいつの間にこんな台本書き上げたんやろな」
「ひとりひとりのセリフがめちゃくちゃ長い…俺無理かも」
「なんで俺様が犯人なんだよ。ジェフはいいよな、刑事役で」
美人女将ジョニ子。温泉地に行って
事件に巻き込まれるちょっとお人好しの刑事ジェフ。
仲居やお客をナンパすることに命をかけている旅館オーナーのロロ。
女将の過去を知る犯人役のヤグディン。
「007もやった俺がなんで間男役…
それも衣装は常にブリーフ一丁…」
そして女将のヤグディンと同様に女将の過去を知り
女将の周囲をうろつく間男にジュベ。
それぞれの役に合わせた衣装に着替え、準備は完了しつつある。

絶賛気絶中のジョニ子にはとりあえず全員で適当に
上から着物を着せてみた。
「それにしてもジョニーってば役に入りきってるよね。全然起きないよ」
「女優魂ってやつやな」
「殺された美人女将役だろ?もっとエロっぽく裾をこう捲し上げて…」
「リョーシャ駄目だよ!真央達は未成年なんだよ!」
「それを止めるなら俺の白鰤姿もどうにかしてくれよ」
ジュベの言葉にはなぜか誰も耳を貸さなかった。
271スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 16:19:02 ID:D0lG2lqS
みんな〜お待たせ〜!真央たちを連れてきたよ〜!」
芝居の会場入り口のドアからプルがひょっこり顔を出した。

「あのバカ!来るの遅いくせにこういう時だけ早いじゃないか!」
焦るヤグディン。肝心の準備がまだ出来てない。
中に入ろうとしたプルを慌てて静止するジェフ。
「あれ?どうしたのジェフ?トレンチコートなんか着て?」
コテコテの刑事スタイルのジェフに不思議そうなプル。
「ええっと・・・これはまあ後でわかるから気にしないで。まだちょっと準備できてないから、このとおりに観光に行ってくれるかな?」
ジェフはジョニ子が書いた観光と食事場所のメモを渡した。
「・・・夕方ぐらいに来てくれたらいいから!じゃあね!!」
慌ててドアを閉めてほっと一息付くジェフだった。

「・・・バトルさんどうかしたんですか?」
「う〜ん・・・よく解んないけど、まだ準備できてないから他のところを観光してこいって」
ジョニ子達の謎の行動に首を傾げつつも、プル達は言われたとおりに周辺の観光に出かけた。
272スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 17:52:29 ID:9lbvXOdl
ルタイと合流し、仲良くバーデン・バーデンに戻って来たADSL&大輔。
舞台組は台詞合わせの真っ最中だったので静かに見学&舞台セットの手伝いでもしようじゃないか、
という話で落ち着いて来た頃。役者達がやにわに騒ぎ始めた。

「…え?殺され女将役のジョニーが本当に起きないだって?!」
ADSLの脳裏に、血のようなケチャップを浴びせたジョニーの姿が浮かんだ。
「芝居じゃなくて本物の謎か……」
一体誰が……?大輔はまだ酔いが残っていた当時の記憶を蘇らせようと必死だ。
あの時何かを思い切り蹴っ飛ばした記憶ならある。

-----------------------------------------------------------
『絶叫するする大輔!所かまわず蹴りを繰り出した。』
『「うわ!」 』
『間一髪でかわした崇彦、しかしジョニ子は腹にけりの直撃を受けてしまった! 』
『「ぎゃう!!」』
『 そのまま崩れ落ちるジョニ子。その姿を見た大輔は少しずつ恐怖から解放されつつあった。 』
-----------------------------------------------------------

ていうと。


犯人は……… 俺だ。



え? えええ〜?! ま、まままままままマジ?!
またまたパニック状態に陥った大輔は、ADSLの腕を引っ掴むと、闇雲に4Fを飛び、案の定自爆した。
273スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 19:51:28 ID:N94ZgWac
各国スケ連代表かなりお疲れモードな、真央誘致じゃんけん大会。
「か、勝った…勝った〜〜!…やっと…奇跡だ…」
ある代表が、チョキを高々と差しあげ、へろへろと膝をついた。

彼はさっそく一本の電話をかけた。
呼び出し音を聞きながら、まだかまだかとイライラする。
「次のマオ誘致先がうちに決まったというのに…早く、早く出ろステファン!」
274スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 23:14:18 ID:D0lG2lqS
「『このスレの議論・まとめがhttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/で行われている
参考にしてくれ』…なんだいこのセリフ?」
台本を見ていたバトル(刑事役)が首をかしげた。
その台本を書いた相変わらずジョニ子は気絶したままだ。リアル火サス劇は無事上演できるのか?

一方ジョニ子達におもてなしを任せたリンデマンと小林。
ここまでの疲労がたまっていたのと、少しほっとしたので2人は会場の隅でついうたた寝をしていた。
「おい!起きろ!!」
小林に揺り起こされて目がさめた。
「う〜ん・・・何だよ?何が起きたんだ?」
「あれ見ろよ!」
寝ぼけ眼で小林の指す方向を見てると…ステージ上になぜか温泉旅館のセットが!
「なんだあれは?!」
目を丸くする2人。
更によく見れば血まみれで転がってる女将に、白鰤一丁に、とってつけたような刑事スタイルに…
一体これは何?どこをどうやればこれがドイツのおもてなしになるんだ?!

驚愕で口をあんぐりあけたまま固まる2人だったが、二人に気付いたバトルの
「あ、2人とも起きた?真央達なら今観光に行ってるよ…ジョニーの考えたコースで」
という一言に、『せめて観光だけでもドイツらしいおもてなしを!!』と慌てて後を追いかけた。
…真央やプル達と上手く合流できれば良いのだが。
275スポーツ好きさん:2010/05/11(火) 23:27:35 ID:N94ZgWac
一方、どっかに自爆した大輔&その道連れADSL。

「…どどっ、どどどうしよう…まさか俺がジョニーを…てかココどこ!?」
大輔は震えながらも、ヒッヒッフーと必死に呼吸して落ち着こうとした。
「そのまさかに決まったわけじゃない」
ADSLはそう言って、大輔にレッ○ブルを一本差し出した。
「パニクっても無駄に腹が減るだけさ」
「…サンキュ…てかレッドなんとか?…何これ?」
「非常食」
よくわからないが、それがかえって大輔の気を落ち着かせた、
(やっぱアドリアンはいいヤツだ…)
大輔は渡されたレッド○ルを、いざという時に取って置く事にした。

「…ぉ…い…おーい…君たち!…大丈夫!?…あれ?君はクリストファーの…」
ここはフィンランド。ならば駆け付けた声の主は…ヌルメンカリである。
276スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 01:08:54 ID:hINyOeA0
ジョニ子の指示メモを頼りにバーデンバーデン観光中の真央達。
中世の雰囲気の残る町並みを歩いている。
「わぁ!素敵ねぇ!おとぎ話みたい!!」
歴史のある建物をみてはしゃぐ真央と未来。

「中が見れるところもあるらしいわよ。あとはお城とか、庭園とかクアハウスとか…あら?」
「どうしたのヤナ?」
ジョニ子のメモを確認していたヤナはふとある一行に目を留めた。
「最後はおもてなし会場で特別なショーですって」
「へぇ。じゃあさっきのジェフの格好はそれだったんだ。」
さっきの出来事に納得するプル。
ただし何をやっていたのかはすぐに追い出されたので解らなかったが。

「さっきの格好?バトルさんがどうかしたんですか?」
「うん…なんかみんなで特別なショーをするんだって。きっとさっきはその準備をしてたんだよ」
「本当ですかぁ?どんなのかなぁ?楽しみ〜♪」
それを聞いて期待する真央と未来。
この後演じられるものがなんであるかは当然知る由はない。
277スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 01:24:38 ID:LhMP5/Ki
「Pちゃぁん♪」
ニコニコとPちゃんに声をかける未来。
手にはパナソニック製のデジカメを持っている。
「え!なに?未来!(ぼくと写真撮りたいのかな?wktk!)」
「写真撮って〜」
「(キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!)いいよ!もちろんだよっ!」
「あのお城を背景に真央ちゃんと撮りたいの。あ、シャッターはここだよ!」
と、未来はPちゃんにデジカメを手渡した。
「え…あ、うん。いいよ。……はい、チーズ」
がんばれPちゃん!
278スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 03:04:16 ID:Gdos673D
「お久しぶりです」
ADSLは巻き添えで飛ばされたにもかかわらず落ち着いていたが。
「!どうしよう!マジで!…これじゃ温泉旅行どころじゃないし!!俺犯人だし!」
気を落ち着かせようととっておいたレッ○ブルを飲み干したが、勿論気分が休まる筈も無く。
大輔はこのスレで一番最高に焦っていた。本気で。
「ふ〜む…」
探偵モードに入ったADSL。あの時あの場所にいた奴の証言を集めればなんとかなるんじゃねぇか?
しかし…ケチャップぶちまけてビビらせたのも俺だし、そもそもそれ教えてくれたのユカさんだし。
まてよ。タカヒコがいたと思ったんだがなぁ……まさかあの状況でトンズラ?
ダイスケは正気じゃなかったからまぁともかく、タカヒコ……奴はなんか知っているに違いない。
「おい!ダイスケ。タカヒコの今いる場所をサーチしてくれないか?携帯でもスケパシーでもなんでも」

「君たち、温泉ツアー中なんだろう?どうせなら、タカヒコ・コヅカ君もこちらに呼んだらどうだい?
我が国自慢のサウナも是非堪能してくれ。」
ヌルメンカリが親切にも誘ってくれた。この連中がどんなことをやらかすかも知らずに…。
279スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 05:08:09 ID:RReQQ4+Z
ADSLに言われて、あわてて携帯を取り出そうとする大輔。
が、ない、携帯がない!>>244でなくしてしまっていたのだ。
「うぅしまった、じゃスケパシーで…」
「待て待てダイスケ君、だいぶお疲れのようだ」
焦る大輔に、ぬる麺が見かねて声をかけた。
「無理しちゃだめだよ。とりあえずサウナに入って、疲れを取ったら?」
280スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 11:11:33 ID:hINyOeA0
先ほどはツーショット撮影のチャンスを失ったPちゃん。
今度はジェレミーのようになにげない一瞬を狙ってツイッターにUPしよう!というわけで、バラ園を散策中に二人に携帯カメラを向ける。
よし、背景も良い感じだ。ここで一枚とシャッターを押そうとした瞬間。
「あれ?パトリック写真撮るの?僕も入れて!アーチャもおいでよ〜!」
撮影に入り込むプルとがっちゃん。さらに。
「ヤナ、今の一緒に撮っといてくれる?・・・あとで僕のツィッターに載せるから」
「はいはい、解ってるわよ。どうせならパトリックも一緒にどう?」

数分後、バラ園を背景にしたほのぼの集合写真がプルのツイッターにUPされた。
せっかく真央や未来と一緒に映っているのに、何故かPちゃんの笑顔が寂しげなのは気のせいだろうか?
281スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 12:26:19 ID:zq7P7P33
「そういえば大ちゃんと崇ちゃんいないねぇ?」
「先にドイツに行ったって聞いたんだけどなぁ?他の場所で観光してるのかな?」
ようやく大輔と小塚のことを思い出した二人。
「ああ、それならさっきユカさんから電話があったよ。ロシアで温泉入ってから夕方に来るって」
思い出したように話すプル。大事なことは早く教えてあげなさい。
「そうなんですかぁ?崇ちゃんいつのまにロシアに戻ってたのかな?」
「夕方ならみんなでジョニーさん達のショーが見れるね♪」

と、一行が盛り上がっていると。
「あ〜良かった!こんなところにいた!」
息を切らせて走ってきた本来のおもてなし役のリンデマン&小林。
「どうしたの?そんなに急いで?」
不思議そうな顔をするプル。
「みんなを観光に案内しようと思ったら行き違いになっちゃって・・・ここからは僕らが案内するから」
真央一行を発見した際、プルとPちゃんがいたのには驚いたが、ヤナが一緒なら大丈夫だろうと判断したリンデマン&小林。
「まずはフリードリヒ浴場へ案内するよ!」
・・・本当はフリードリヒス浴場だが、慌てていてうっかり言い間違えてしまった。だが本人も気が付いていない。

(できればこのままジョニー達のおもてなしは避けておきたいなぁ・・・)と思ったが、
「夕方のジョニーさん達のショー、楽しみなんです♪」
と真央と未来に笑顔で言われて、やはり避けられないことを悟った二人だった。
282スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 13:39:09 ID:Bgkupawo
フィンランド。
ぬる麺は、大輔とADSLをサウナに案内しながら言う。
「君たち来てくれて助かったかもしれないな。
 今大変なんだよ、キーラとラウラは帰って来ないし、
 …あ、彼女らについては、クリストファーにも頼んであるが…
 おもてなしプランは立てなくちゃならないし、僕は子供の世話もあるし…
 ダイスケ、君にプランのチェックを頼めないかな?
 アドリアン、チェコではどうもてなしたのか、参考に聞かせてくれ。
 君たち、何かアイデアがあったら、遠慮なく言って!」
顔を見合わせる大輔&ADSL。

一方、真央誘致じゃんけん大会では、
「じゃんけんだと、気力体力時の運を消耗しすぎる」
という理由で、『じゃんけん』から『あみだくじ』に変更する動きである。
283スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 13:40:41 ID:Gdos673D
「嗚呼、携帯がねーのか…しょうがない。俺がタカヒコに連絡すっから」
大輔とヌルメンカリを先にサウナに行かせ、ADSLは渋々スケパシーを試みる。

(タカヒコ!今俺達はフィンランドでサウナに入っている ダイスケも一緒だ 良かったら来ないか
ヌルメンが歓迎してるのだがどうだ)

その頃のユカさん一行。崇彦はスケパシーをキャッチ、返答する。
(あれ?ドイツじゃなかったんですか?俺達夕方頃、真央達と合流するつもりでいるんですけど)
(マオはドイツなのか そういえばプル達もバーデンバーデン向かったらしいし)

…………。 何?!ていうことは!!
元々バーデンバーデンにいるジョニー。ヤグディン。そしてプルシェンコが真央と共に合流……。
崇彦の毛根がなんぼか逝っ(ry   駄目だ!俺の折角の短い平和な時間をそんな所で……

「ユカさん!俺アドリアンの居るフィンランドに向かいたいんですけど!…ほら、サウナとか温泉施設
バッチリだし」
「え?真央ちゃん達とドイツのおもてなしは受けないの?」
美姫は不思議そうな顔をした。ジェレミーも怪訝な顔をしてユカの方を見る。
崇彦の3スレに渡る苦労の連続なんて知ったこっちゃないから、解らないのも当たり前なのだが。

さて、ユカさんは皆をどう移動させるのか。
284スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 17:33:41 ID:mqWvpqH3
何とかジョニ子達との合流避けたい崇彦。しかし、真央たちはすでに現地にいる・・・
究極ともいえる選択に頭を悩ませていると・・・
「あれ?上空から誰か・・・・」
見上げるとパラソルを持った少女が二人ゆっくりと降りてきた。そしてもう一人
ジャバ〜ン!!
落下して見事な水(?)しぶきを上げたのはリンデマン。
「どうしてたんですか?」
「よ、よかた〜・・・・」
安心してその場に沈んだ彼をジェレミーが引き上げた。
「じゃ〜ん!!」「お迎えにきたよ〜」
パラソルで降りてきたのは真央と未来。」
「二人ともどうしたの!」
「あのね〜、リンデマンさんがすごい困った顔してたからどうしたんですか?って聞いたら
『助けてください!』て言いながらないちゃったんです。」
「それで、私が『崇ちゃんなら何とかしてくれるよ!』て言ったら『ぜひともお願いします!』
なんて言われちゃったから、一緒に連れてきちゃいました〜。」
「・・・・勝手に俺の名前出すなよ・・・」
疲労感が倍増した崇彦君。
「・・・その助けてほしいこと、何かしら?もしかしてジョニーたちのこと?」
リンデマンの顔が輝く。
「えっ!」「ユカさん?」
「逃げばっかりじゃ埒明かないでしょ?ここできっちり肩つけといた方がいいじゃない?」
「は〜あ・・・分りました・・・・」
どうやら覚悟を決める必要があるようだ、と崇彦は心に決めた。

「それじゃ、お話聞かせてくださる?」
「丁度いいじゃない?
て言うから
285スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 18:16:53 ID:RReQQ4+Z
(おいおい、俺には挨拶なしかよ?
 感想&議論&まとめスレhttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/
 を読んどくといいぜ。書き込み直前リロードはマジ推奨!
 それから>>284の下2行はナシの方向で。)

フィンランドのADSL、ホワイトナイトの崇彦に、何者かがスケパシーで接触して来た。
(だ、誰!?)
(タカヒコか?ダイスケのダチだな、俺はアドリアンのダチのアンドレイだ、
 ダチのダチのダチってことで、夜露死苦)
ルタイである。
(よ、よろしく…ってかあなたそういうキャラでいいんですか)
(アドリアン、タカヒコはユカと一緒にいる。さっきのスケパシー通話は感知されてんぞ)
(う…)まだユカにマークされてるのか…ADSLはげっそりした。
(お前滅多に使わないからすぐバレんだよ。今のは俺がステルス仕様にしたから平気だけど)
(そんな事出来るの!?)驚く崇彦。
(まあな。ロシアスケ連最高機密だから詳しくは言えない。アドリアン、俺もフィンランドへ行くぜ!)
(待ってるぜアンドレイ。ダイスケに紹介するよ。…いきなり消えて悪かった。タカヒコは?)
(俺は…たぶん後で行く…)
そして3人はスケパシーを切った。
286スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 18:29:18 ID:hINyOeA0
「彼、どうしたんだろうね?急に泣き出したりして?」
「僕たちなんかまずい事言いましたかね?」
中世の雰囲気が大人気のフリードリヒス浴場の休憩室でそう語るプルとがっちゃん。
ジョニーのショーの話をしたとたん泣き出したリンデマンを
心配した真央と未来がどこかへ連れて行き、様子を見に行って戻ってきたヤナに
「貴方達は心配しないで温泉に行ってらっしゃい」と言われて、
残っている小林に案内されてやってきたのだ。

「それにしても、ここの温泉いろいろとややこしいけど気持ちいいね」
一通り入浴するのに16工程もかかるが、入浴後の気分は最高だ。
「そりゃもう「10分したら時間を忘れ、20分経ったら世界を忘れる」っていうぐらいだからね!
バーデンバーデンでもここは最高に人気あるんだよ!」
笑顔でプルに答える小林、だが内心リンデマンが心配でならない。

「・・・そういえば、パトリックはどこ行ったんだろう?」
途中のサウナでのぼせたと言って先に出ていったPちゃんだが、休憩室にもいない。
「もしかして間違えて女性エリアに行っちゃったとか?」
「まさか。いくらなんでもそれはないんじゃ・・・」
と言いかけたプルだったが、ようやく休憩室にやってきたPちゃんが鼻血を拭いていたのを見て
どうやらがっちゃんの推測が正解だったことに気づいた。

実はこの温泉混浴だったりする。
今日は男女別の日だが、常時混浴エリアもあるので間違えて迷い込まないように気をつけよう。
287スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 21:26:15 ID:NS0PMviJ
「そういえばタラソワ先生は『ドイツはカルメン祭りを考えてる』って聞いてたみたいですよ」と真央。
「それも無理かも…」とリンデマン。
「そうなんですかー。カルメンといえば…」大丈夫かな…と、ある人を思い出した未来。

ボコボコにしてねメールをスケーター全員へ一斉送信(>>233)したことに
罪悪感のあった未来は、『ドイツのカルメン祭り、一緒に参加したかったです。』と
黒長い人にメールを送ろうと……
…いや待て、間違ってまた一斉送信しそうになってるぞ!
気付くか、未来?
288スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 21:51:47 ID:RReQQ4+Z
「…煙い…」
煤けた小屋の中で燻されているのは、大輔、そして後から来たADSL。
…ぬる麺が用意したのは、フィンランド古式のスモーク・サウナだった。
「なんだ、ぬるいじゃないか」
ぬる麺も入って来て、サウナストーンに柄杓で水をバシャバシャかけた。
蒸気が立ちのぼり、しばらくして室温がぐっと熱くなる。
「やっぱり古式を体験して欲しくてね…そうだチェコでは何をやったんだい?」
「………『日本と欧州の近い文化を通してさらなる理解と友好を』……」
ADSLが棒読みで答えた。
「やっぱそういうのがいいよね!体験型がいいと思うんだ、
 フィンランドと日本、といえば…『エアギター選手権』だよな!
 あと泥サッカーと迷ったけど、『携帯投げ選手権』がいいかな?
 その後『サウナ我慢大会』。白樺でぶっ叩き合って、湖にドボン!
 …ところで僕のおもてなしプラン、どう思う?」
「……とっても…ゴイスーです…」
大輔は力なく答えた。
289スポーツ好きさん:2010/05/12(水) 22:58:36 ID:zq7P7P33
フリードリヒス浴場でマターリとしていたプル一行。
ヤナも待ってるしそろそろ出ようかと身支度をしていると、携帯のメール着信音が鳴った。
確認すると未来からのメールだ。
「ええっと、『ドイツのカルメン祭り、一緒に参加したかったです。』…?」

特別なショーってカルメン祭りだったんだ!
一緒に参加ってことはみんなでやるのかな?
だったら僕もやりたいなぁ…たしか宇宙船の僕の部屋にカルメンの衣装も入れてあったよね。

なぜ未来が内容を知っているのか?とかバトルの格好とカルメンの関連は?
という疑問は浮かばなかったらしい。

「ねぇ、みんなここ出たら、ヤナと一緒にちょっと待っててくれる?」
「良いですけど…プルシェンコさんはどこへ行くんですか?」
「ちょっと宇宙船へ荷物取りに行ってくるよ!」
ガチンスキー・Pちゃん・小林にそう声をかけると、プルは足早に宇宙船へ戻った。
290スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 00:13:33 ID:rAPe0jQG
一方こちらは舞台組。

相変わらず気絶したままのジョニ子。
早く起きないと芝居の時間は刻一刻と近づいている。
このままだと芝居が出来ないぞ?どうする?

「…仕方ねぇな。ジョニーはこのままでさっさと始めようぜ!」
「でも、肝心のジョニーを放っておいて良いのかい?」
バトルの問いに答える犯人役のヤグディン。
「どうせこいつ冒頭からいきなり死んでる役だから、気絶してても大丈夫だろ?」
「確かに…そうやなぁ、俺らだけでなんとかなりそうやなぁ」
「そうと決まったら、早く真央たちに連絡しよう…ああ、はやく服着たい…」
結局朝から夕方近くまで白鰤一丁のジュベ。だが本番はこれからだ。
291スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 00:39:59 ID:6CUKiGZe
「トゥース!本物のミハルが迎えに…
 …来てあげたのに、何やってんですかみなさん!」
チェコからスイスランビ宅に軽く降り立ったミハルの目の前には…
「『団地妻』が〜〜〜!」
「火傷したじゃねーか!」
「おー、いいぞやれやれ!」
秘蔵コレクションを散らかして争うランビ&コンスティ。
かまってられないとか言ったくせに、煽るトラ。
「先輩!ってかステファン?電話鳴ってますよ?」
ランビがハッとして電話を取るすきに、コンスティはDVDをチェックし、
ミハルはトラを捕まえた。
「早く行きましょう、僕の2Aなら先輩を乗せてもおつりが来る」
「…トマシュ、ミハル、待ってくれ、女の子達が来ると決まったよ!
 チェコのおもてなし話を聞かせ…サミュエル!コレクションに触るなー!」

トラ、カルメン祭りに間に合うのか!?
292スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 01:53:33 ID:wLMbj0g8
「カルメンカルメン、どっこかな〜、どっこかな〜♪」
宇宙船のプルが私物化した一室。
宇宙船が暴走したせいで物が散らかり、年代別にきちんと整理されていたクローゼットから、衣装が飛び出して散乱している。
かっこいいトスカ衣装の上に赤ん坊衣装が投げ置かれ、あひるさんの口がヒマワリの花を咥えている。
「ジェーニャ、何を探しているの?」
ヤナ姐さんがやってきた。
「んとね、カルメンの衣装!」
と、未来からきたメールを見せるプル。
「……ジェーニャ、なんでミライがドイツのおもてなしの内容を知っているの?」
さすがヤナ姐さん、すぐに気付いた。
「? なんでだろ。でも僕も滑りたいからカルメン探すの手つだって!」
「4回転禁止で3回転自粛命令なのに? カルメンのステップは激しいんだからダメ」
ヤナ姐さんの目が冷たい。
293スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 03:27:08 ID:qGyKRk2T
スモークサウナの煙に燻されながら、大輔は……ADSL&崇彦&ルタイのスケパシーをぼんやりと
聞いて(?)いた。ADSLのすぐ隣に座っているので、ルタイのステルス仕様が漏れた為らしい。

(アドリアンがユカさんに……? 俺が『火サス』のメールに適当に答えちゃったから、アドリアンが
何故か勘違いしてあんな妙なパフォーマンスになって…で、生物兵器をまき散らしてユカさんに……
ていう事か…。 友人のルタイさん、にも心配かけちゃってるよな……。
…やっぱり俺が元凶か?!後でユカさん、アドリアンにも……それから、心労が絶えない崇彦。
それから、ジョニー………!  俺も逃げてばかりじゃ駄目だ、皆に謝罪しなければ )

ヌルメンカリの『フィンランド式おもてなしプランについて』の話は、上の空だった。
294スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 09:31:03 ID:EJ+OcArZ
ヤナ姐さんの教育的指導により、カルメンを踊る事をダメ出しされてしまったプル。
残念だがこれもソチまで滑るためだ、仕方がない。
それなら衣装だけでも…とお願いして、衣装を着る事だけはOKしてもらった。

二人でひっくり返った室内を探す事数分。
「あ!見つけた!これだ!」
ようやくおなじみの黒い闘牛士のカルメン衣装が見つかった。
さっそくいそいそと着替えるプル。
「ジェーニャ、こっちはどうするの?」
もう一つ出てきた赤いフリルのほうの衣装を見せるヤナ姐さん。
「う〜ん…そうだなぁ、パトリックやアーチャは衣装持って来てないから貸してあげよう」

…プル、衣装は一人分しかないぞ?
295スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 13:12:59 ID:qGyKRk2T
(なんとかしよう。なんとか責任とってこの旅行企画を盛り上げないと。ええと、自分にできること…)
今まで何かとやらかしまくったドジっ子大輔は懸命に頭をひねる。

「そうだ!アリさん、このそばにすぐ練習出来そうなスケートリンクはありますか?」
「…ああ。あるけど急にどうしたんだい?」ヌルメンは簡易マップを取り出す。
「いえ、ね。ちょっと俺達なりに『おもてなし』…おもてなしになるのかな?を思いついたんで」
大輔はADSLにアイコンタクトを送ると、ヌルメンに教わったリンク目指して二人で飛んでいった。
そして数時間後、元のサウナに戻ってくる。

「いや〜、いい汗かいたな。」ADSLは上機嫌だった。
「うん。んじゃ、また温泉入り直そうか♪」大輔も汗だくだったが良い笑顔だ。
帰って来た二人はハイタッチをすると、待っていたヌルメンとサウナでの打ち合わせを再開した。

そこには、合流したルタイも待っていた。
296スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 15:13:55 ID:6CUKiGZe
ちなみにルタイが、再会したADSL&大輔に向かって放った第一声は、
「くっさ!お前ら煙くさ!」である。むろんルタイも、その後薫製にされたわけだが。

「…やっぱり君たちが来てくれてよかったよ、いいおもてなしプランになりそうだ。
 あとはキーラとラウラが戻って来て…マオ誘致が決定するのを待つだけだな」
(そっか、まだフィンランド決まってなかった…)ぬる麺の言葉に、大輔はしゅんとしかけたが、
「でもタカヒコは来てくれるんだろう?」ぬる麺の笑顔に救われた。
苦労人小塚お一人様のおもてなし、もいいかもしれない。

「…ルタイさんすんません、さっきのスケパシー傍受してました」
大輔は、ADSLに改めて『ダチ』と紹介されたルタイに声をかけた。
「え?」
「チェコの事件に俺も関与してる…ユカさんはもう気付いてるんだろ、アドリアン?」
「そうかも。バーデン×2に君がいると、俺に教えたのはユカだ」
「…てかさっきのステルス仕様を傍受出来たって、おめーアドリアンと波長合うんだ!?」
「 え ゛」ルタイのセリフに、さすがに固まる大輔。
「俺たちうまくやってけそうじゃん、タメグチ上等、夜露死苦ダイスケ!」
ルタイは大輔をど突き、ADSLはニヤニヤしていた。
297スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 15:24:43 ID:rAPe0jQG
「プルシェンコさんまだかなぁ・・・」
プルとヤナの帰りを待つがっちゃん・Pちゃん・小林。
そこへカルメン衣装で意気揚々とした様子のプルがヤナと共に戻ってきた。
「みんなお待たせ〜!」
「プルシェンコさん・・・なんですその格好?」
プルの格好に目を丸くする3人。
「このあとカルメン祭りがあるって聞いたから、着替えてきたんだ。アーチャ達も僕の衣装貸したげるから一緒に参加しようよ!」
そう言ってプルが出してきたのは先ほどの赤い衣装と・・・何故かせっぼん赤ちゃんVer衣装だった。
どうやらカルメン衣装が一着しかないので、目に付いたのを持ってきたらしい。
せめて系列の似た衣装にすれば良かったのにと思うがっちゃんとPちゃんだが仕方ない。
つまりどちらかがカルメン衣装、もうひとりは・・・である。

「ここはやっぱり年の差でどうかな?」
瞳孔を全開で迫るPちゃん。
「・・・民主的に公平な方法で決めましょうよ」
引きつった笑顔のガッちゃん。お互いに譲る気はないらしい。

「仕方ないなぁ・・・じゃあ二人でじゃんけんで決めれば?」
結局プルの一言でカルメン衣装をかけてじゃんけん対決に挑むPちゃんvsがっちゃん。
勝負の行方は如何に?!
298スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 16:18:21 ID:6CUKiGZe
一方こちらはお久しぶり、ちまちまと?日本に到着したべるるん&ヴィッキー。

「えーっとココはどのあたりかな………アドリアンどうしてるだろ」
「も〜先輩、アイツの話はやめてくださいよ!」
「合宿があるからね、間に合うかなあ…」
…ついつい後輩の心配をしてしまう先輩である。
「…それに変なメールが来てたんだ、4…L…いや何でもない、誤爆だろう」
「そうですよ無視無視。まず私たちは、日本の美肌温泉巡り…じゃなかった、えっと」
「犬山温泉のホテルで働くキーラとラウラを、フィンランドに連れ戻す。
 ホテル社長にはかなり世話になってるようで、辞めにくいみたいだ」
「社長がスケートに理解があればいいけど…私たちからお願いしてもダメかしら?」
「うーん…あまり使いたくないが、圧力をかけるという手もある…」
「エラい人とか高貴な人の口添えですね?」
…日本のエラいとか高貴な人って…殿様とか?…いやそれでいいのかべるるん?
誰か彼らを助けてやってくれ!
299スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 16:50:05 ID:EJ+OcArZ
「プルシェンコさん・・・これ、本当に真央が可愛いって言うんですかぁ?」
大方の予想通り、じゃんけん対決はガッちゃんが勝利した。
憧れの先輩の衣装を着てまんざらでない様子のガッちゃんを横目に、赤ちゃん衣装を着たPちゃん。
「大丈夫だよ!真央って可愛らしいの大好きだし、きっと気に入ってくれるよ!」
オプションのヘアゴムをPちゃんの短い髪にくくりながら自信満々に答えるプル。
あくまで彼の感覚では「赤ちゃん=可愛い」なのだ。
間違いではないが、残念ながら宇宙人と地球人ではセンスの差があるようだ。

「さて、と。・・・準備もできたし、もう夕方だし、未来にメールしておこうっと。」
プルは携帯を取りだし未来にメールを入れた。
『カルメン祭りの準備できたよ。僕たちで先におもてなし会場に行っておくね。』

こうして未来のメール誤送信とプルシェンコの勘違いにより、
図らずもカルメン祭りは着々と進んで行くのだった。
300スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 18:23:23 ID:wLMbj0g8
「にしても……やっぱきついなあ」
腰を振ってみたり、軽く肩を上げてみたりしたプルシェンコが呟く。
「サイズが違うの?」
「うん、やっぱ若い時のだからウエストとかがきついんだよ……ちょっと変身するか」
「あら、久しぶりね」
ヤナとプルの会話がわからないPチャンと小林。しかしがっちゃんは分かった様子で、期待の目でプルを見ている。
「2回転だから許してね、ヤナ」
と、地上で2回転するプル。
ふたたび降りてきたときには、おっさんプルではなく、ぴちぴちの中性的なプルになっていた。
「ジェーニャ先輩はスケート力を使って若い時の姿になれるんだよ! あこがれちゃうなあ」
「若い姿になっても膝に負担かけちゃだめだからね、ジェーニャ。4回転禁止よ!」
まるでお母さんのようなヤナである。
301スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 19:03:59 ID:EJ+OcArZ
一方ドイツのおもてなし会場。
「おい、一体こりゃどうなってんだ?!」
「何だかみんなスペイン風の衣装だなぁ?どうしたんだろ?」
幕の間から客席を見たヤグディンとバトルは驚いた。
一旦幕を下ろして開演に備えるステージ前は、大勢の人でごった返していた。
未来のメールを見た過去にカルメンを滑った者や、祭りに参加しようとした
世界各国のスケーターが集まってきているのだ。
皆始まるのを今か今かと待っているようだ。
「なんや?そんなにワシ等の芝居が見たいんか?」
「こんなに期待されてるんやったら、がんばらなあきませんなぁ」
都合のいいように解釈してしまったロロとジュベ。
当然メールのことなど知る由もない。

「でも肝心の真央やジェーニャがまだ来てないんじゃ始められないよ?」
同じく客席の様子を窺うバトル。
「ジェーニャの奴、今度は遅いじゃねぇか!何やってんだ?」
「あ、見てアレクレイ!ジェーニャ達が来たよ・・・あれ?ジェーニャもカルメンの衣装だ。
それに何だか若返ったような感じだけど・・・気のせいかな?」
遠目からでは気のせいでなく、本当に変身したことに気づかないバトルだった。
302スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 19:54:56 ID:wLMbj0g8
「気になるな……僕の出番最初はないし、マオに会うついでに見てみよう」
こっそり舞台袖を抜け出し、真央たちのいる2階のボックス席へバトルは向かった。
「マオ〜!」
ドアを開けてボックス席にはいるバトル。
「あ、ジェフ」
開けたドアのすぐ向こうに、人が立っていた。その人を見て、ジェフリーは茫然と立ち尽くした。
金の光を集めた混じりけのないブロンド、氷よりも蒼いブルーアイズ。
ややつきでた、まるでキスをねだっているようなピンク色の唇。
引き締まった腰の細さを引き立てる真っ赤なサッシュ。ぺちゃぱい。
『ジェフリー、私、お寿司が食べたいの』
やや舌足らずな口調で、いじらしい上目づかいで、高いマグロをねだるかわいい娘。
(僕のエフゲーニヤ!)
「ジェフ、ドイツの出し物ってカルメンじゃなかったの? 違うなら何やるの?」
―――幻だった。ついでにいうと幻聴だった。
バトルは目をしばたいた。目の前にいるのは確かにきれいなブロンドと青い目の人間だったが、間違いなく『エフゲニー・プルシェンコ』だった。
「詐欺だぁあああああ!!!! 僕のエフゲンニャァアアアア!!!!」
うっかりプルと淡い恋心を抱いたあの娘を見間違えたショックから、バトルはべるるんのように叫ぶと、一目散にその場を後にした。
「あれ?」
「プルシェンコさん、今バトルさんが来たんじゃ?」
「なんか、帰っちゃったよ?」
プルと真央は顔を見合わせて首をかしげたのだった。
303スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 20:55:18 ID:6CUKiGZe
フィンランド、古式スモークサウナ小屋の面々。

「…あー君たち、僕としたことがコレを忘れてた」
白樺の枝の束を手に戻って来たぬる麺。
「コレで叩くんですか?」大輔は濡れた枝束で、ADSLをぺちぺちと叩いてみた。
「いやもっとバチコーンと…僕に貸して!」

…大輔、ADSL、ルタイの3人が、ぬる麺におもっきしぶっ叩かれ、
さらに湖に突き落とされたのは言うまでもない。

さっぱりした後は、サウナ石で焼いたソーセージと、湖で冷やしたビールで乾杯だ。
ルタイのビールを、ADSLがせっせとレッド某にすり替えていたのも言うまでもない。
「おめーうっとーしんだよ!w」「いーからあんたはコレ飲んどけ!w」
あくまでルタイにアルコールを摂取させない方針である。
またルタイは何気にぬる麺と盛り上がっていた、子育て話で。
304スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 21:27:27 ID:rAPe0jQG
「なんてこった・・・ジェーニャと僕の白いエルフを間違えるなんて・・・!」
ショックと混乱で走り出したバトルは人気のない場所で座り込んだ。
まだ少々混乱気味だったが、前スレでヤグディンからもらったあの娘のお宝画像を見て気を落ち着けた。
ちなみに同じ画像が自宅PCの壁紙に設定してあるのは秘密だ。

舞台袖に戻るとまさしくこれから幕を開けるところだった。
「どこ行ってたんだよ!もう始めるぞ!」
「ゴメン・・・ちょっと客席の様子見に行ってんだ」
ヤグディンに力なく答えるバトルだった。
「よっしゃ!全員揃ったな?始めるでぇ!!」
ロロがジュベに幕を開けるように指示した。


ブザーが鳴り、客席が静まり返る。
♪じゃ、じゃ、じゃ〜〜〜ん!!じゃ、じゃ、じゃ〜〜〜ん!!♪
鳴り響く火サスのテーマ曲。
そして、するすると幕が開いた。
305スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 21:32:05 ID:kUlKpNeY
一方こちら、おもてなしとは全く無関係になったアメリカ某所。
美女2人が厳しい顔をして対峙していた。
「これについて話がある。身に覚えあるよな?」
そう言って掲げた右手に握られているのはボロボロになった黒い棒。
(ヤバイわ…身に覚えありまくりだわ。どうしよう。チャーリー助けて!)
怒りにまかせて未来にメールを送ったものの
いざ、ボッコボコにされたライサを目にすると
罪悪感が生まれてきた。
「…ええ分かってるわ。あなたが怒ってる理由。
確かに未来に頼んだのは私よ。でもそれは、エヴァンが私に」
タニスが説明しようとするのをリューキンが手でそっと遮る。
「勘違いしてるよ。こいつはあんたからのメールを
他の誰かからの悪戯メールと思いこんでた。
過去ログを読んでくれたらわかるけど、散々他のやつらから
ネタにされてたからね」
バカな男だよ、本当に。フッと鼻で笑いながらも
愛おしそうに黒棒を見下ろして、リューキンは付け加えた。
「あんたの怒りももっともよね。だから私がその怒りを引き受けた。
だから私に免じて、これのこと許してやってくれないかな」
「もちろんよ。(ここでイヤって言ったら、私までフルボッコにされかねないわ)
私こそごめんなさい。」
「今度同じようなことがあったら、私に直接メールを送ってくれるかな。
いつでも代わりに怒ってやるよ。じゃあね」
そう言い残し華麗なムーンサルトで
リューキン達はその場を去った。

それと入れ違いにチャーリーが血相を変えてやってきた。
タニスからのスケパシーを受け取ったのだ。
「大丈夫?タニス。どうしたの?」
「なんでもないわ、ごめんなさい。素敵なお友達が出来たところだったの。
今度紹介するわね」
どうやら美女2人の間には奇妙な連帯感からなる友情が生まれたようである。
306スポーツ好きさん:2010/05/13(木) 21:39:25 ID:qGyKRk2T
「ええい!こんなあみだくじでは絶対マオ・アサダが誘致出来ないではないかぁ〜ぁ!」

長い長いじゃんけん大会、延々続くあみだくじ。負けに負け続けた、とある国のスケ連代表が遂にキレた。
それは隣の、そのまた隣の国代表もまた同じだった。いい加減皆ぶち切れ寸前である。

「こうなったら…こうなったら強引に我が国に来て頂くしか無いでしょう!彼女に!」

つまり………それは広い意味での ”犯罪” ということでは……?
隣の国も、その隣の国の代表も実は同じような事を考えていた。
いやいや、誘拐とかそういう悪事じゃなくて、あくまで「おもてなし」だよ。おもてなし。
そう考えても結局、うつす行動は隣の国代表と同じであった。

「マオちゃ〜ん(は〜と)今我が国の精鋭部隊が迎えにいきますからねぇ〜〜☆」
307スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 00:07:43 ID:yR4H5KA1
「よし、準備はいいな! すぐに飛び立って観劇中を襲うんだ! 不安の種だったプルシェンコは4回転禁止だ! 恐れるものではない!」
「あら……なんの話をしているのかしら?」
携帯で指示を出すのに夢中だった各国代表は、彼女がすぐ近くに来るまで気付かなかった。
「最初に言ったわよね、一気に押しかけたら、真央の迷惑でしょって。真央は今ドイツで楽しんでるのよ?」
BGMはダースベーダーの気分だ。
「い、いつの間に……!? タラソワ!」
「こうなる可能性も考えて、チェコ代表に随時連絡を入れるように頼んでおいたのよ」
まるで付き人のように、チェコ代表がタラソワの後ろにいる。
「くっ……かまわん、すぐにでるんだ!」
「あら、いいわよ。ところで貴方も旅行に行かない?」
「な……!?」
「最近“シベリア体験コース”ってのができたそうでね、『彼』が実験台を欲しがっているのよ」
黒ずくめのSPらしき男が現れて、出撃命令を出した代表を捕まえて引きずってゆく。
「彼ってまさかプーチ……た、助けてくれぇええええ!!」
「大丈夫、命と五体の保障つきよ」
会議室から連れ去られる代表。その姿を見送ってからタラソワは振りむき、
「さあ、フランス代表と一緒に旅行したい人はいる?」
と、にこやかに聞いた。
もちろん、みんな首を横に振った。
308スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 00:41:34 ID:m2HeDPCr
タラソワコーチwithおそロシアなあの方のお蔭で難を逃れた真央一行。
知らないところで危機は去った。ここからは祭りに集中しよう。

幕が開いたステージ。
大きな和風の建物の模したステージの上で誰かが倒れている。
ケチャップを被ったまま失神ちたジョニ子…もとい、美人女将だ。

「うわああああ!お、女将がぁぁ!!誰か警察を〜!」
迫真の演技のオーナー役ロロ。
(やっとワシに注目があつまっとる…やっぱこうでないとなぁ)
スポットライトが当たる中、しみじみ思うロロだった。


2階ボックス席。
「へぇ…最初はお芝居から始まるんだ」
「ジョニーは倒れてるけど、カルメン役なの?」
好き勝手なことを言いながら観劇する真央一行だった。
309スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 01:17:16 ID:nUVBO2F0
駆けつける刑事役バトル。
もちろんリュックは忘れない。
旅館の宿泊客への取り調べが始まる。
まずはジュベール。
今日は芝居デビューの記念すべき日。
白ブリーフにウエストポーチもつけて
ちょっとおしゃれに決めてみた。
310スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 01:38:30 ID:PzGJezRH
芝居は無事に始まった。しかし。
タラソワコーチの魔の手から逃れた一部のスケ連代表は、しつこく真央を追っていた。
本当にしつこい連中だ。まったくもって。そんなに真央が好きなんかアンタらは。
「あれ…ちょっとこれどういうことなの?こ、これもお芝居の一部?!」
一体いつの間に現れたのか、マオ強引誘致の為の某国大部隊にぐるりと取り囲まれてしまった。
「ち、違うみたい… や〜ん(涙)私達が何をしたっていうのよ〜」
未来がおもわず空を見上げた時。何かが降ってくるのに気がついた。

ダン! スチャッ!   二人の目の前に降り立った男達。

大輔の大きな瞳とADSLの口ピアスがキラリと光る。
女の子達の危機をスケパシーで逸早く感じ取り、共に3Aでフィンランドから駆けつけたのだった。
「マオ達に手ぇ出す奴は容赦しねぇ…」「女の子に乱暴なことをするな!覚悟しろ!」
二人はパっと散り、各々スケート戦士のファイティングポーズをとる。
大輔のFP「道」のマイム『お花どーぞ♪』の挑発。敵達が驚いて困惑する間、
ADSLがEX…ブレイクダンス変形イーグルで雑魚を一掃する。実に見事なコンビネーションだ。
男女ペアではおそらく不可能であろう、サイドバイサイド3A、役割交代での高速デススパイラル、
5回転スローサルコウを難なく繰り出す男二人コンビ。
そして両側から大輔のヒップホップ&ADSLのくつろぎサーキュラーステップ…二人のまったく異なる
ミラースケーティングによる挟み撃ちの多段攻撃が怒濤のように決まる。
極めつけは二人による4Tから時間差4Tシャドースケーティング連続攻撃だった。そのまま二人は
フライングシットスピン攻撃に突入する。ほんの2〜3分の間に、たった二人であれだけの大人数
を撃退してしまっていた。

「本当はこれアイスショーの予定だったんだけど…舞台に割り込んでしまったね?」
「ま、良いってことなんじゃねぇか?これが俺達式の『おもてなし』さ。」
大輔とADSLは、ハイタッチして皆に一礼した。
勿論全員スタンディングオベーションだったことは言うまでもない。

こうしてまたもや難を逃れた真央一行。 さぁお芝居の続きが始まる。
311スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 02:25:04 ID:XvtSMKE8
気を取り直して芝居再開。

刑事役バトルの取調べを受ける間男ジュベ。
「確かに俺と女将は今晩会う約束をしてましたよ…でも俺は何もやってませんよ!」
先ほどの混乱で危うくセリフを忘れかけたが、きちんと言えてほっとする。

だが、せっかくのセリフも白鰤+ウェストポーチでは、
イマイチ決まらないような気がするのだが。
312スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 02:46:01 ID:4IuBvTpg
某国某所、『マオアサダ誘致あみだくじ大会』。
各国スケ連代表の中には、不穏な動きを見せる者もいるが、
むろん神妙に巨大あみだくじ作成&結果を待つ者が大部分だ。
カナダ代表も、「あっみだっくじ♪あっみだっくじ♪」とつぶやきながら、
じゃんけん大会で消耗した気力体力時の運が回復するように祈っていた。
バンクーバー(ryと無言の圧力を受け、気分は針のムシロの上。
とても妙なマネなんか出来ない。
(どうかどうか当たりますように…当たったら他国の不満勃発だろうが、
 これが彼を氷の上に引き戻すチャンスだ!なんとしても彼のアイスショーを…)
313スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 03:47:10 ID:PzGJezRH
芝居の続きを見るため、客席に落ち着いた大輔とADSL。
「ジョニーさんまだ倒れてる……。もしかして、あの時本当に…し……しん」
「寝てるだけだって!よく見ろよ、あれが死んで何時間も経っているように見えるか?!」
確かにそうだ。白い肌はツヤツヤ、黒くて長い睫毛はクルンとして輝いている。まるで眠りに落ちている
白雪姫かスリーピングビューティーのように……。
目が覚めたらどうやって謝罪しようか。大輔はそればかり考えていた。
思えば自分はプルシェンコの宇宙船も偶然とはいえ勝手に動かして皆に迷惑をかけている。
その上、緊急事態とはいえフィンランドのルタイとヌルメンカリに一言も言わず飛び出してしまっていた。
(あ〜もう!……謝らなけりゃならないことばっかりだ………)
おもわず誰かさんの口癖が出る程、ドジっ子大輔は困り果てていた。
314スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 07:43:26 ID:XvtSMKE8
芝居の最中もカルメン祭りに出席すべくスケーターが達が現れては随時空いた席に座っている。
「すごいなぁ、見て!すっかり満員になってきてるよ」
2階のボックス席からその光景を眺めてプルは驚いた。
「・…ジェーニャ、観劇中は静かにしないとダメよ」
小声で注意するヤナ。プルが19歳の姿になっているのもあって、
その様子は夫婦というより「おかーさんと僕」と言ったほうがしっくりきそうだ。

そこへまた、新たなお客が到着したようだ。小塚である。
もちろんユカさん、ジェレミ―、リンデマンも一緒だ。
プルと合流する真央と未来を先に行かせ、自分たちは後からやってきたのだ。
「崇ちゃん、おそ〜い!もう始まってるよ!」
「やあ、タカヒコ。なんだか変わったカルメンをやってるよ。君も早く座って。」
とことん無邪気でマイペース名真央と、あくまで新たな解釈のカルメンの芝居だと思っているプルに促され、
ひとまず小塚達は席についた。
315スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 08:24:05 ID:gQkBBLjt
「・・・・・アレでうまくいくのでしょうか・・・」
不安そうな顔でリンデマンがユカさん聞く。
「100%とは言えないけど、大方成功するでしょう(^^)」
ユカさんはあくまで前向きに答えた。
「ジョニーが朝からずっと気絶したままというのが気になるけど、
脈もあるから心配ないし、かえって好都合ね。」
「た、頼みますよ・・・」
リンデマンは未だ不安のぬぐえない顔で答えた。
その後ユカさんは未来に小声でささやく。
「あ、そうだ未来ちゃん、メール見たわよ。このお芝居が終わったらカルメン祭りにちょこっと参加して、
その後スイスに発つから準備はしといてね。他の人には内緒で行くからくれぐれも内密にね。」
「は〜い。」
「・・・・さ〜てと!今は観劇を楽しみますか・・・」
それまで黙っていた崇彦が一人呟く。芝居は刻一刻クライマックスに近づいている


そしてこのスレの容量もまもなく250kB、まもなく折り返し地点なのであった。


316スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 09:33:18 ID:m2HeDPCr
小塚が真央たちと合流する直前。

真央を連れてきた後、舞台袖で効果音を流す役を手伝わされた小林。
途中で波乱もあったが、今のところ芝居は順調に進んでいる。
大勢の観客も楽しんでいるようだ。

(でもやっぱりカルメン祭りやりたかったなぁ…)と、こっそりため息をついていると、
奥から呼ぶ声が聞こえる。リンデマンだ。

「…おお、帰ってきたのか!大丈夫だったか?」
「ああ、心配かけてすまなかった。ところでちょっと頼みがあるんだが」
リンデマンはふところから1枚のCDを取り出すと、小林に渡した。

「芝居のクライマックスでこれを流してくれないか?」
渡されたCDを見て一瞬驚いたが、リンデマンの表情を見て小林は頷いた。
「わかった…タイミングのいい所でかけるよ」
「じゃあ、頼んだよ」
そう言って小塚達をリンデマンはボックス席へ案内していった。


舞台はそろそろ大詰めである。
火サスのクライマックスといえば……そう、断崖絶壁のシーンである。
317スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 11:11:19 ID:XvtSMKE8
真央招致あみだくじ大会。
延々と各国代表の駆け引きが続く。
何mもある長いあみだくじがひかれ、ついに次の招致国が決まった。
「やったぁ!ついに当てたぞ!」
バンク(ryの件もあって周囲のブーイングも起きるが、カナダ代表はガッツポーズを取った。
318スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 11:17:08 ID:m2HeDPCr
「・・・お前が真犯人だったのか!」
犯人役のヤグディンを崖っぷちに追い詰めた刑事役バトル。
「・・・そうさ、俺が女将を殺したんだ。」
クールな犯人役になりきってるヤグディン。
ボックス席で「やっぱりリョーシャって犯人役似合うねぇ」とプルが言ってるのは幸い聞こえてないようだ。

「うう〜ん・・・はっ?アタシどうしたのかしら?!」
舞台袖に引っ張られて寝かされていたジョニ子がようやく目を覚ました。
見れば芝居は既にクライマックスではないか!
「ちょっとぉ!アタシの出番は?!」
「あ!ジョニー!今でちゃ駄目だよ!!」
慌てて舞台に向かおうとするのを小林が静止しようとするが聞く耳持たない。
そのまま出ようとして絶壁のセットの足元にぶつかった。
急ごしらえのセットにぶち当たったものだから、一気に全体に衝撃が伝わった。

豪快な音を立て「○時だよ!全○集合!!」ばりにセットか崩れた。
「うわぁぁぁっ?!!」混乱する舞台上のバトルとヤグディン。
「ど、どうしよう?!・・・とりあえずアレをかけてごまかそう!」
同じく慌てて例のCDをかける小林。

大音響で流れたのはド○フの盆回し・・・ではなく、カルメンだった。
319スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 13:28:01 ID:PzGJezRH
何故か皆、カルメンの衣装を着ているのが気になって仕様がなかったADSLは、
今はきっちり闘牛士&赤マント姿である。ちなみに大輔は衣装が借りられなかったので
SP「Eye 」五輪ver.の格好だ。とりあえずなんとか赤と黒、に揃えたかったらしい。
320スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 13:54:59 ID:K4itKPDj
カルメンの音楽が会場内に響きわたる。
「みんなーステージに上がるよー。カルメン祭りの始まりだ」
プルの呼び掛けがきっかけになり集まった観客が一斉にステージになだれ込んだ。

「え?え?なにこれ」
背中のリュックを死守するバトル。それを見てジュベもウエストポーチを握りしめた。
「なんや、どないしたんや。ワイも負けへんで」
状況が掴めないままもロロは三銃士のステップを踏み出した。
「おっジェーニャ。久しぶりにその力使ったんだな。
懐かしい姿だなー」
笑いながらプルの金髪頭をぐしゃぐしゃにするヤグ。

怒っているのはジョニ子である。
目が覚めたら自分の出番は愚かステージは大勢のスケーターに占領されている。
着物は適当に着させられており左前だわ、カンザシは何故か着物に刺してブローチ代わりにされてるわ、
帯は結ばれておらずクリップやホッチキスで止められているわで酷い有り様である。
「最後はアタシの新曲披露でしめる予定だったのに〜」
ジョニ子の叫びをよそにカルメン祭り絶賛開催中である。
321スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 14:07:12 ID:PzGJezRH
「美姫ちゃん達は世界温泉巡り、かぁ…いいなぁ〜」
身重の彼女を日本に置いていく訳にもいかないので、日本から出られない信成は
ツイッターに掲載された真央や未来、Pチャン達の写真を見ながらため息をつく。
その時、クリストファーからのスケパシーが届いた。
(今日本に着いたんだけど え〜と 此処何処?)
は?
(何処って……今ぼくは関西大学、KANSAI University に いますが)
唐突になんやろ??
322スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 14:21:49 ID:4IuBvTpg
一方フィンランドの湖畔の森の中。
ぬる麺とルタイは、子育て話やおもてなしプランの話で盛り上がっていた。
「…これで誘致が決まるといいっすね!」
「うん…」ルタイの言葉に、ぬる麺がうなずく。
「あいつら、また挨拶もなしに跳んできやがって!俺らもバーデン行きますか?」
「僕はおもてなし代表だからね…それにキーラとラウラを待ってなきゃ。
 君は行きなよ、また遊びにおいで。僕はサウナや各種会場を点検しに…」
「…じゃ、俺も手伝いますよ!あいつらも最後にきっと顔出しに来るから。てか俺が来させます」
「いいのかい?助かるなあ。…もし誘致が決まらなかったら…
 いや決まらなくてもいいんだ、アドリアンたちがまた来てくれるなら。…タカヒコも来るかな?」
2人はそんな事を話しながら、サウナ小屋の清掃を始めた。
323スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 16:35:23 ID:XvtSMKE8
「ジェーニャ!足は大丈夫なの?!」
各国スケーターと共にステージ上でカルメンを踊るプルに、
ヤナが心配そうに声を掛けた。
「大丈夫だよ!なんだか温泉入って足の状態が良くなったみたい。」
フリードリヒス浴場の効果で一時的に膝の具合が改善されたようだ。
「ヤナも一緒に踊ろうよ!」
プルはヤナの手を取ってステージに連れて行った。
324スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 17:46:57 ID:PzGJezRH
絶賛カルメン大会真っ盛り。しかし、一部ステージの端では緊張が走っていた。

「さ〜て☆このDIVAたるアタシをこんな散々な目に遭わせた張本人は、誰かしら……?」
やけに色っぽい、そして厳しい瞳で大輔の方を見るジョニー。
「あ……お、おおお、俺……ええっと……」
考えていた謝罪の台詞も頭からぶっ飛んでしまい、再びパニック状態に陥りそうになっているその時。
「ちょっと待ってくれよ。確かにジョニーを気絶させたのはダイスケだが、その原因を作ったのは俺だ」
ADSLが助け舟を出した。
「それに。俺にケチャップ鍋をジョニーにぶちまけろっつーたのはユカさんだし、その場にいたのに
タカヒコはジョニーに介抱も何もしないで逃げたんだよな?…ああん?」
キリっと青い瞳が崇彦のほうを向いた。
「アドリアン、待った!その時崇彦はただ見ていただけだし、それに俺のプルシェンコさんの宇宙船の
暴走を止めるのを助けてくれたり…。とにかく崇彦は何も悪くない。全部俺の責任だ」
ADSLのお陰でパニックが収まった大輔が、必死に後輩をかばう。
325スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 18:01:18 ID:4IuBvTpg
スイスはランビ宅。
「はいっ先輩、これ着て!着替えました?じゃみなさん…バーイ!」
カルメン姿のトラを乗せて、ミハルはバーデンへ高々と跳んだ。
残されたランビとコンスティ。
「行かないで…!…サミュエール!散らかすなー!スイスへの誘致が正式に決定したんだよ!」
「…マジでか!?おもてなしプランは考えてるんだろうなステファン?」
「まあ………でも君も考えてくれよ(チェコ組の話を参考に聞きたかった…)」
…いや、参考にしない方がいいと思うぞ。
「女の子たちを温泉に案内した後は、僕の家でお茶してくつろいでもらって…」
「メシはどうする?チーズフォンデュじゃステロタイプ過ぎるか」
「いや…イイ!イイと思う!フォンデュ罰ゲーム大会をやるんだよ、
 鍋の中にパンを落としたら、男は白ワイン一気飲み、
 女の子は…隣の男のほっぺにチューする!イイだろう?盛り上がるよ!」
「おお!他にも罰ゲーム色々あったら面白いな!」
…てか、ランビすでに盛り上がってる。誰の隣に座ろうかなアハハン♪
そうそう、欧州美女3人組にもメールしないと♪
326スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 19:15:14 ID:VCq2Gdsi
ずどーーーーーーーん!!!
スイス・ランビ宅から勢いよく跳んだトラとミハルは、会場の屋根をつっきり、華麗にステージ上へと着地した。
―――いや、カルメンを思い思いに演じるスケーター達を縫うように着地したのは、ピンクチョッキの青年、ただ一人。
唐突な襲来にスケーターたちは動きを止め、ほぼ中央に着地したミハルを見た。照明が気を利かせてか、手動ライトを浴びせかける。
しかしミハルは、すぐさまその場から飛び退いた。屋根をぶちやぶったため、外の光がまるでスポットライトのようにその場に落ちる。

ふわり、と、赤いドレスが風をはらむ。
なびいた黒髪が、頭上の自然光とライトに、エキゾチックに艶めく。
凛々しい瞳に、通った鼻筋。しなやかな腕。唇に挟んでいた薔薇を右手で摘まむ。
優雅に、それでいて大胆に……カルメンが降り立った。

ただし身長180センチ。とっても顎が目立つカルメンではあったが。

「トマ……、じゃない、カルメン!」
スケーターたちの中で埋もれそうになっていた小林が声を上げた。勿論エスカミーリョスタイルである。
トラカルメンはエスカミーリョ小林にアイコンタクトを送る。
これまでいまいち目立たなかったけど、やっとこの時がきた!

その場にいるカルメンVSエスカミーリョ。
最終的に相打ちで幕が閉じる、血を血で洗うかもしれない祭りのはじまりである。

……かもしれない。
327スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 20:53:45 ID:gQkBBLjt
舞台の中央で中央で繰り広げられるカルメンVSエスカミーリョ。
宴は最高潮である。

そんな盛り上がってる会場の裏で、ジョニ子たちの間では緊張が走っていた。
屈辱の叫びを上げるDIVA、非難するADSL、事態を収束させたい大輔、ただ黙り続ける崇彦。
その緊張の破るように声が聞こえた。
「別にしゃべってもかまわへんで!崇彦はん!」
崇彦以外の3人が振り向く。
そこにいたのはバトル、ロロ、ヤグディン、プルであった。
ロロが口を開いた。
「崇彦はここに来て『犬山の件は申し訳なかった。』と言うて頭下げたんや。
わしらはびっくりしたわ。むしろそういう原因作ったのはこっちにあったんやから。」
「だから僕らも謝った。僕たちは友達だから。信頼できる仲間だから。」
「俺達だってタカヒコの気持ちも考えないでやりたい放題だったからな。」
「・・・だから、僕たちも君に何か言える立場じゃないけど・・・・それでも君のその態度はどうかと思うよ?ジョニー」
「え、え、え、え・・・なんで!何であたしが責められなくちゃいけないのよ!」
プルに問われて慌てるジョニ子。ADSLは何のことかと理解できない様子だったが、
大輔は納得したような表情を浮かべた。
「それと、さっき崇彦がジョニー見捨てたって責められてたけど、それは僕たちだって同じだよ。
だって、倒れてる君をみて介抱どころか役に入り込んでるって言ってそのまま放置したんだからね。
だから崇彦だけ責めるのは間違ってるよ。僕たちだって同罪だ。」
バトルが疲れきったように言った。
最後にプルがジョニーに言い放つ。
「ジョニー・・・・なんで助けてもらえなかったか?
君自身で少し考えてくれないかな?彼らは疲れたんだよ・・・・特に崇彦は。」

328スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 21:19:46 ID:PzGJezRH
「ところでジョニー……身体の方は大丈夫?どこか、足とか悪くしなかったですか?」
申し訳なさそうに大輔がジョニーを大きな瞳で見つめた。
329スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 21:38:25 ID:dC3zRbnI
「大丈夫よ、大輔ありがとう。ただちょっと長い間気を失ってて、その上
お腹におおきなおおきな青染みが出来てて、さわったらちょっと痛いってだけよ」
「ぐっ…スミマセンスミマセン」
「ジョニーそんな言い方はないだろう」
プルシェンコがなだめる。その目はやはりジョニー自身を責めているようだ。

なんで…なんでアタシが責められるの!おかしいじゃない。
自分を囲む面々の顔を見ながらジョニ子は心の中で叫んだ。
「だいたいねー、そうよだいたい、この温泉ツアーを始めたのは
アタシと未来なのよ。アタシが火サスに影響されて温泉巡りを提案したのに…!」
「え!KASASU?」
今まで自分達を振り回し続けた(大輔に一応の結論はもらったが)言葉
『KASASU』
それがジョニ子の口から、再び飛び出してきてADSLは驚いた。
「ちょっちょっとまってください、ジョニーさん。KASASUについてもっと詳しく」
「うるさいっドリアンは黙ってなさい!
アタシはただ、みんなで楽しく温泉を巡りたかっただけなのに…
犬山温泉ではみんな仲良くしてたじゃない。あんな風に
各国温泉巡りが出来たらいいな、って
ここでアタシのとっておきのおもてなしで
楽しんで欲しいなって思っただけなのに……」
ジョニ子は膝から崩れ落ち泣きはじめた。もちろん乙女泣きである。

そんなジョニ子の姿を見ながらADSKは気が気ではなかった。
ずっと追い求めていた『KASASU』
ジョニーに強い影響力を及ぼしたという『KASASU』
大輔から教えてもらった『KASASU』は
俺たちが追い求めていた『KASASU』なんだろうか。
考え出したらきりがない。
ジョニーが泣きやんだら詳しく聞いてみなければ。
330スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 22:02:57 ID:ot7srBZ1
「もういいわ。あんた達なんかと一緒になんかいてやらないわ。
あたしは一人で温泉巡りするわよ。
もう知らないからね。勝手にしなさいよっフンッ」
立ち上がり3Aでバーデン・バーデンを脱出しようとするジョニ子。
しかしスケ力がまだ戻ってきていないことを
すっかり忘れていた。
その場で飛び上がったはいいが
うまく回れずにこけてしまい、その拍子に身体をぶつけ
また気絶してしまった。
その様子を見て、申し訳ないが笑ってしまう一同だった。

「大丈夫や。結局はみんな『楽しみたい』っていう思いは同じや。
それがちょっとすれ違っただけなんやな。
ジョニーもそれがわかっとるはずやで」
「僕も、自分のことだけを考えすぎていたのかもしれません。
逃げなくても、みんなで楽しむ方法があったはずなのに」
「仕方ないよ。今までの過去ログでのタカヒコの気苦労は
僕たちには計り知れないことだったろうしね。
次のおもてなしツアー先では、みんな
お互いを思いやりながら楽しくやろうよ。
さあ、みんなのスケ力を戻しに宇宙船へ行こう」

「あっ待って。もうちょっと…このカルメン祭りを楽しみたいな。
お菓子もまだ残ってるし、食事もロビーにバイキングが用意されてるよ」
「よっしゃ、腹ごしらえや。行くでっ」
気絶したジョニ子を抱え、カルメン祭りを楽しむべく
一同はバイキング会場へ向かった。
331スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 22:15:52 ID:fWveorx9
スイスランビ宅。
ランビは誰の隣に座るか真剣に考えながらフォンデュの準備をしていた。

「あぁっ!ステファン!!大変な事に気がついた…!!」
「えぇ!何!?どうしたの!?」
「女の子は欧州美女3人日米2人で、男はステファンと俺…!
円卓に座ったら『隣の男のほっぺにチューする』罰ゲームで
隣に男がいない女の子がいることになっちゃうよ!!」
「あ!それはいけない!じゃあ『僕たちのほっぺにチュー』に変更だ…!!」
「うん!それがいい!それがいい!!」

勝手に盛り上がる2人。
ちなみに2人の顔面の下半分はうっすらと黒くなっている。
そんなんで女の子が喜ぶのだろうか。
もちろん2人は女の子のことで頭がいっぱいで、
自分らの顔が黒っぽくなってる事には気がついていない。
332スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 22:42:41 ID:VCq2Gdsi
そのころのチャッキーと美女三人組。―――テッケルギョル湖畔の小さな町。

チャッキーは眠たげな瞼を半分ほど落として、ルーマニアの空を見上げていた。
全身泥美容を専門とするエステの応接室である。丸く切り抜かれた庭に出て、ベンチに座って、ぽやんとしていた。
あの後コストナーさんにツイッターを見せてもらったら、どうもPちゃんはぶじで、わりと楽しくやっているらしい。
ちょっぴり影が薄かったり、しょんぼりしているみたいだけど、誰とけんかをすることもなくPちゃんが楽しそうで、
チャッキーは満足だった。
僕はどうしよう。ついついエレーナやエレーネに背中を押されて、ここまでついてきてしまったけど。

ぷるるるる

電話が鳴る。美女三人組の手荷物はチャッキーが預かっていた。
「エレーネのかな……?エレーネ、電話が鳴ってるんだけど……」
美女三人が泥美容を受けている部屋の方へ声をかける。
「誰からかしら?」
「えっと……ランビエールさん、かな?」
「今出られないから、かわりに出てくれる?」
「わかった」
ゲデ子も、グレボワも、コストナーさんも、電話に出られるわけがない。
なぜなら彼女たちは、その美貌や均整のとれた身体を全て泥で覆っているのだから。


欧州美女が電話に出るとアハンアハンしているランビの運命やいかに……
333スポーツ好きさん:2010/05/14(金) 22:50:01 ID:XvtSMKE8
「ジョアニー、マオ・アサダがスイスの次にうちに来ることになった!」
誘致あみだくじ会場からカナダ代表が興奮気味に電話してきたのはつい先ほどだ。

「まさかうちは当たらないと思ってたんだけど…」
電話を受けたジョアニーも驚いた。
バンクーバー直後なのに…と各国から反対もあったが、あみだくじの結果は尊重された。
これでいよいよ本格的にカナダのおもてなしを考える事になったジョアニー。

どうしましょう?ロッキー山脈とかナイアガラ観光…月並みかしら?
女の子らしく「赤毛のアン」に出てくるお菓子や料理でおもてなしも良いわね。
そうそう、メープルシロップ以外にサーモンやアイスワインも用意しなきゃ。

ジェフやケヴィンやパトリックとも一度連絡とったほうが良いかしら?
…そういえば、彼どこにいるのかしら?あれから連絡がないんだけど。
ジョアニーは一方的に連絡してきて、その後音沙汰のないエマの事を思い出した。
334スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 00:04:29 ID:sVLdbYBC
カナダ・ブリティッシュコロンビア州。

「みんなでスパなう:) マンゴーソルベ、おいしいよ!」
山盛のマンゴーソルベを幸せそうに食べつつ、携帯電話片手にツイッターを更新する青年がいた。
自称「マンゴー王子」こと、ジェレミー・テンである。
先輩にあたるエマの「今シーズン頑張ったみんなにご褒美よ。たまにはパーッと遊びなさい!」との一声で、
彼はバンクーバーの仲間…だけだと思っていたが、他地域の選手の姿もちらほら見える…と共に
とあるスパリゾートにやって来ていた。もちろん、目の前のソルベもエマの奢りであることは言うまでもない。

「ちょっといいかしら、大変なことになったわよ!!」
不意にエマの大声が聞こえ、スプーンを持つ手が止まる。思い思いに遊んでいた仲間たちも、一斉にエマの方を見ていた。
「アンタたちもよーく知ってる、ジャパンのマオ・アサダ達がカナダにバカンスに来るんですって!」
興奮気味のエマ。しかし、他の選手達はポカンとした表情である。
「あの。それが、どうかしたんですか?」
水着姿でビーチチェアに身を横たえていたシンシア・ファヌフが尋ねた。
「んもう、決まってるじゃないの! ここに招待するのよ! みんなでパーティーよ、パーティー!!」
エマ、ますますハイテンション。なおさら戸惑う様子の他一同。
そんな中、Jテンは後輩の勘か、何やら胸騒ぎを覚えていた。
「(エマ先輩、絶対何か企んでるな。まったく、こんなときにケヴィンはどこ行ったんだよ…あ、ヤバい、ソルベ溶けちゃう)」
335スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 00:34:30 ID:dZq1+ERY
ジョニーの件もどうにか解決し、カルメン祭りを楽しむ一行。
そんな中、唐突にバトルの携帯が鳴った。
「もしもし?…ああ、ジョアニーかい、どうしたの?…ええっ?!」
電話の内容に食べかけてたアプフェルクーヘンを落としそうになる。

マオがスイスの次にカナダに来る!!

なんという幸運!まさか自分の国に来てくれるとは!
これは盛大にもてなさなくては!うれしさにすっかり夢見心地のジェフ。
「…それで、ジェフにも一緒に手伝ってほしいんだけど」
「ああ、もちろん。すぐ帰っ…」
言いかけてはたと気付く。
おもてなし準備にカナダに戻るということは、すなわち真央と別行動を取るということだ。
せっかく目の前に本人がいるのに、離れなければならないのは正直困る。
それにカナダに戻ろうにも、まだスケ力が回復していない。
どうしよう…?と考えていたジェフの目の前を誰かが横切った。

赤ちゃん衣装を着たままのPちゃんだった。
336スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 00:41:38 ID:kCrYWsmr
スケパシー。
それはスケーター同士に通じるテレパシーに似た特(ry

さまざまな大会で、何度か日本を訪れたことがあるべるるん。
しかしその時は必ず案内人が傍にいた。一人でうろうろしたこともあったけど、
それは近場の話で、地図もなく頼りもない場所でうろついたことはない。
だからべるるんはスケパシーを飛ばした。ここがどこだかわからないが、
きっと強く念じれば、誰かに届くはず。届け、届け、―――!
そしてその念は、見事、殿に通じた。しかし。
どうしよう。僕、彼とはあまり言葉を交わしたことがない・・・
ヴィッキーとの会話はスウェーデン語が中心であったため、英語に切り替える。
(ええと、ハロー、君は、織田くん、だっけ・・・)
(はい。ええと、あなたは?)
(スウェーデンのクリストファーだよ。いますこし困ってるんだ・・・)
(ああ、お久しぶりです。えっと、困ってるとは?)
かくかくしかじか。べるるんは簡潔に説明をする。キーラとラウラを探しに来たは
いいものの、犬山温泉がどこにあるかわからず、立ち往生していること。
雇い主に気にいられた彼女達をフィンランドに連れ戻すには、エラい人の口添えが必要なこと。
(ええと君は、この国の、・・・殿さま?なんだよね?)
殿さまという立場がいまいちよくわかっていないべるるんの言葉尻はクエスチョンマークが跳ねている。
(ええ?!いや僕たしかに殿って言われてますけど・・・・・)
と。殿が説明をしようとした時。

「せんぱーい!!見て見て見てくださーーーい!」

べるるんと殿のスケパシーを、ヴィッキーの歓声が遮断する。驚いたべるるんが
振りかえると、そこには、紺色の着物を着たヴィッキーの姿があった。
「ここ、アコウ温泉って言うんですって!若返りと美人の湯なんですって!!」
「うん、それは解ったけど・・・ヴィクトリア、君、何をしてるの?」
「どうです?女将見習いの着物なんですって!似合います?」
「え、あー、うん、ヴィクトリアはプラチナブロンドだから、ダークブルーがよく似合うけど」

あれ。なんだろう、・・・・・・なんとなく覚えのある不安感が、べるるんの胸に去来する。
337スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 00:51:13 ID:xmwIqgnQ
「ヒィヒィハァハァ……」「痛い痛い傷が痛い」「骨折しちゃったよぅ」「お母さーん」
>>306で意気揚々と出発したのはいいが、>>310でフルボッコにされた、とある国のスケ連代表とその一行。
「これじゃタラソワさんに捕まってったほうがなんぼかよかったんじゃ…」
「馬鹿者!貴様はシベ○アで強制労働のほうがいいのかぁ!儂は諦めんぞ!『世界のマオ』を我が国に呼ぶまで!!」
「マジっすか……」
「当たり前だ! 待っててね〜マオちゅゎ〜〜〜〜ん☆(は〜と)」
「阿呆だ、阿呆すぎる」「でもマオちゃんには代え難いねぇ…」「うん」「やるしか」「ないねぇ」
大人しくあみだくじ大会に戻ればよいものを。
338スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 01:21:25 ID:xmwIqgnQ
(分かりました。犬山温泉 ですね 早速調べてみます)
国内なら婚約者も許してくれるだろう。ジャンプですぐに戻れる事だし…
生真面目な信成は国内地図を開き、キーラ、ラウラの居所をスケパシーとスケート力を駆使して
彼女らをサーチし始めた。
「なんだか不安やけど…これくらいの事は出来なくちゃ、立派なお父さんらしくなれないよね」
未だお母さんっ子の信成らしい発言ではある。

(殿、か… ぼくにあれができるんやろか… )
この前の世界選手権の一件で、ちょっぴり自信を失っていた信成だった。
339スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 01:59:22 ID:JGwFYICm
バーデン・バーデン、バイキング会場で料理をがっつくADSL。
思えば宇宙船追跡や、崇彦&ルタイとの通話で、使いたくないスケパシーを使ってしまった。
(あれ燃費が悪いからホントは嫌いなんだよ…あー無駄に腹減った!)
「…あ〜ドリアンくん?ダイスケくんも…さっきの舞台では見事だったね!」
プルシェンコが握手周りにやって来た。
「タラソワコーチから連絡があって、次の誘致先はスイスだって。君らも来るんだろ?じゃあね」
(スイス!?スイスと言えば…今スレでも前スレでも前々スレでも、アレを食ってねぇ…)
思わずADSLは両手の拳を突き上げて叫んだ。
「フォンデュ食いて〜〜〜〜!!!」
ピザとフォンデュをこよなく愛するADSL、KASASUについてジョニーに訊く事も吹っ飛んでしまった。
…ユカさんの事も。
今バーデンに、ADSL、大輔、トラの『チェコKASASU事件』元凶3人が集っているのだが…
340スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 09:17:43 ID:c2DfeUbO
食事会場でぶらぶらしていたPちゃん。
芝居の間も、カルメン祭りで皆が踊っている時も、結局真央に近づけなかった。
プルシェンコから借りたこの格好を、気に入ってくれるのかも聞けないままだ。
そんなことを考えてると、バトルが自分を手招きしているのが見えた。
「どうしたんです、バトルさん?」
「パトリック、実はね・・・」バトルは真央招致決定の件を話した。
「ホントですか?真央がカナダに?!」
「そこで、君にジョアニーを手伝って欲しいんだ。おもてなしがうまくいけばきっと真央も喜んでくれるよ!」
「・・・わかりました!一度戻ってロシェットさんを手伝います!!」

喜びで瞳孔を全開にしたPちゃんは逸る心を抑えてカナダへとジャンプした。
赤ちゃん衣装のままで。しかもクアドで。
「パトリック凄いねぇ!やればできるじゃない!!」
飛び立つ様子を見ていたプルも褒めるぐらいに、それは見事な4回転だった。
341スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 10:18:59 ID:xmwIqgnQ
(此処、か…これが犬山温泉…)
静かにスケパシーを集中する信成。やがて、ラウラの無意識のうちに精神が繋がり、頭の中は
ラウラから見た犬山温泉の館内にビジョンが切り替わる。
(この奇麗な金髪女性が…キーラさん…だな)
向かい合って話し合うキーラ&ラウラ。キーラは女性温泉職員の着る着物姿がよく似合っていた。
(…でも、いきなり話しかけるとすっごい驚くだろうなぁ……)
国内移動なら、2Tでも十分可能だろう。
とりあえず信成は、べるるんに彼女等の居場所をスケパシーで連絡することにした。
342スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 11:18:34 ID:dZq1+ERY
まだ諦めずにカルメン祭り会場に潜入した某国スケ連一行。
バイキング会場から庭に出ていた真央の様子を窺う。
「マオとミライと・・・もう一人、誰だ?男の子みたいな女の子みたいな・・・?」
「さっきの芝居の時にもいたよな?なんだかプルシェンコに似てるなぁ・・・でも彼は27歳のはずだけど?」
首をかしげる特殊部隊。プルがスケ力で若返っている事は知らない。
「ええい!構わん!奴が本物のプルシェンコだとしても、4回転禁止なら恐れることはない、行け!」

物陰から飛び出し3人を取り囲む一行。
「きゃあ!またさっきの人たちよ!!」
「一体何なの?!」
「・・・二人とも下がって!」
怯える真央と未来の盾になるようにプルは前に出た。
「マオちゅわ〜ん(ハァト)今からわが国で盛大におもてなしさせて頂きますよ♪・・・そこのお前、二人をこっちに渡せ!」
「・・・僕を倒して連れて行けば?」
一斉に飛び掛る特殊部隊・・・だったが一瞬で吹き飛ばされた。
温泉効果で回復したプルの見事な4-3-3が炸裂する様は、「戦○無双」で数十人相手に技を繰り出した時のようだ。

「あれだけの人数を一瞬で・・・」腰を抜かす某国代表。
「みんなルールを守ってるんだよ?・・・大人が抜け駆けはよくないと思うんだけど」
気がつけば夏も近いのにどんどん気温が下がっている。プルのブリザード警報だ。
「まずい!やっぱりあれは本物のプルシェンコだ!しかも4回転飛んでるし!!」
「ここにいたら凍死するぞ!!早く逃げろ!!」
慌てて逃げ出す某国スケ連と一行だった。
343スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 12:17:45 ID:c2DfeUbO
「プルシェンコさん・・・今のは一体?」
「どうも順番を無視して、勝手に連れて行こうとしてる国があるみたいだね。二人とも気をつけて」
頷く真央と未来。どうやら不穏な動きもあるようだ、他のスケーターにも注意するように言わないと…
「ジェーニャ!あれほど4回転はダメって言ったでしょ?!」
庭にヤナが飛び出してきた。
「ごめんねヤナ。でも真央と未来が・・・」
「そういう時は助けを呼びなさい、温泉で良くなったからって油断は禁物よ。」
またまたヤナお母さんから教育的指導を受けるジェーニャ君(19歳)。
でも温泉に入ると足が良くなるのは解ったから、やっぱり温泉めぐりは続行だ。
344スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 15:30:05 ID:JGwFYICm
カルメン祭りは盛況に終わった。
「…トマシュ、きっと戻ると信じてたよ!」
「正直スマンカッタ、アントン…しかしウケたな!」

祭りの大トリは、むろんトラカルメン&エスカミーリョ小林だった。
「ハバネラ」のイントロが鳴り、身長180のいかついカルメンがしなを作ると、
他のスケーターズが一斉に客席に逃げ…いや舞台を明け渡し、
カルメンがヅラを脱ぎ捨て、跳ぶ度に客席から「いやーー!」
エスカミーリョが登場すると、「いよっ小林少年!」
スカートと赤マントを翻してバトった末、2人は相討ちで果てる!
選手達は自分の演技のため用意したバラを、惜しみなく舞台に投げこんだ。

そしてバイキング会場に入った2人の前に現れたのは…
「お疲れさま、トマシュ・ベルネルくん?^^」
345スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 17:08:20 ID:xmwIqgnQ
「畜生、エフゲニー・プルシェンコめ……作戦変更だ!こっそりいけ、こっそり」

闇夜に紛れての真央捕獲作戦は一件大成功したかのように見えた。祝杯をあげる某スケ連幹部とその一行。
だが。
『ニッポンの、シングルの、世界チャンプ』ということで、盛大に間違われて真央の代わりに
誘拐されてしまったのは、大輔だった………。

「馬鹿者!一体どうやったら男女間違えるんじゃお前等ぁ〜〜〜〜!」幹部の怒りは当然である。
「でもねぇ」「遠くから見たらねぇ」「小さいし」「世界チャンプには間違いないし…」
間違われた大輔もいい迷惑だが、自分なら隙を見て逃げられると考えて落ち着いている。

………『今』は。

「折角おもてなしとして、ニッポンの女性が喜びそうな衣装も用意してあるのに…ぶつぶつ」
……衣装?? 真央用のコスチュームなんて準備していたのか?アホ幹部の考えは、大輔には理解できない。
某スケ連の幹部はやけに薄手の布地で出来た、テカテカ光る衣装を取り出した。
「マオじゃなくとも、せめて日本の女の子に着せたかったんだが…今は仕方ない。男でもまぁいいか」
え。まてまて。……ちょ、ちょとそれはま、ま、まさか…………!!!!
「この写真を送りつけたら、きっとマオもこれを着てみたくなるに違いない。うん」
幹部が着せようとしている服は、日本は勿論今や世界的に有名になった美少女アニメ……

セー○ームーンのコスプレ衣装であった。

い、い、いや、やめてくれ〜〜〜〜〜〜!俺そういう趣味なんて無いし!!やだやだ止めて〜………

後手に縛られ、暴れる事も出来ない大輔の悲痛な叫びは、真央達には勿論届かなかった。
346スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 17:21:17 ID:DZ5A51is
「しかしこの衣装の情報をどこから得たんですか?」
下っぱAが聞く。日本には何度か行ったことがあるが初めて見る衣装であった。
「お前はなんも知らんのう。
これは浅田選手や高橋選手が出たと言う伝統ある日本のトーク番組の司会者が着てた衣装なんじゃ。
老齢の彼女も着ていたこの衣装。きっと日本の女性憧れの衣装であるに違いない。
よって写真を見たらマオアサダもすぐにここに駆けつけてくる、という寸法じゃ」
完璧な作戦におぉぅっと下っぱ一同が感嘆の声をあげる。
さすがスケ連幹部、下調べはバッチリだ。
347スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 17:45:42 ID:JGwFYICm
…闘牛士姿のADSL周囲には、真空が出来るという珍現象が起きていた。
ちなみにまだちょっと煙くさいが、誰も寄り付かない原因はそれではない。
「…私に説明する事があるんじゃない?^^」
振り向くと、トラカルメンを伴ったユカさんがいた…

…ヘコヘコ謝りながら、チェコKASASU事件に至る経緯を話すカルメンと闘牛士。
「わかったわ^^ …『火サス』とはね、日本のサスペンスTVドラマなの。
 アドリアンの過去プロにそのテーマ曲が使われたので、『火サスプロ』と呼ばれたのよ^^」
正直拍子抜けしたトラ。だがADSLはめげない、
「…サスペンス、ってことは…刺激的なんですよね!?」
「そ、そうね^^; …経緯もわかったし、謝ってくれたから許してあげる^^
 …でも一人足りないわね?適当メール返信した人が…」
348スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 18:17:15 ID:xmwIqgnQ
「みんな!……この写真!」真央が皆に携帯を見せる。

そこには目を白黒させて惚けている女装の大輔の姿が映っていた。
「あいつら…馬鹿じゃない?!何考えてんかしら……」 呆れた美姫がおもわず脱力する。
「ニホンのアニメで、日本人だからじゃない?」それっぽいことを言うが、そういう問題ではないぞ。未来。
「ああっ、もう!仕方がねぇ〜〜〜!俺が行って連中をノシてくるわ!」ADSLが怠そうに立ち上がった。
「俺も!俺もいってノシてくるわ!」トマッシュがこれ幸いと活躍する機会を得て、名乗り出た。
「ああっ、…………もう」崇彦も俯きながら右手を上げた。情けない姿の先輩をなんとかしなきゃ…
「でも、どうやって奴らに近づくの?まさか真央ちゃんも行くの??」心配そうな未来。
「未来ちゃんは真央と早く次の国に行きなさい。…あたしが囮になる。あたしだって元世界チャンプよ。
真央を危険に晒すくらいならこんなことくらい!」
怒りのエネルギーで美姫はいきなりとんでもないスケート力を発揮し、真央そっくりの姿になった。
349スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 18:35:03 ID:c2DfeUbO
「…ところで大輔のこの衣装、凄く変わってるねぇ」
同じく大輔の写真を見たプル。
女装どころか、肉襦袢や赤ちゃん衣装もとっくに極めた宇宙人だが、
彼から見ても斬新…に見えるのかもしれない。
「おまえ確かこの前新プログラムのアイデアを募集してたよな…?」
EXでこの衣装を着て、奇妙な振り付けで滑るプルの姿を想像してしまい、
思わず頭を振るヤグディンだった。
350スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 18:55:20 ID:dZq1+ERY
大輔救出チームが慌しく出て行った後。
「一体どうしたの?騒がしいけど」
気絶していたジョニ子が起き出してきた。残った面々が事の次第を説明する。
「まあ大変だわ!無事に帰ってくるといいけど…ところでジェーニャは何を見てるの?」
と言いながら真央の携帯に送られた大輔の画像を一緒に覗き込んだ。
「まあ!この衣装は!!」
「知ってるの?ジョニカ?」
「もちろんよジェーニャ!これは女の子憧れの正義のヒロインの衣装よ!!」
何故大輔がこれを?!ていうか正義のヒロインの衣装なら、アタシが着るべきじゃないの!!

…おいおい!注目するのはそこか!ジョニ子?!!
351スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 19:47:38 ID:JGwFYICm
ちなみにトラが最初着ていた「温白水」スーツは…
ランビ宅に脱ぎっぱである。
352スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 21:34:40 ID:+YTz1P0+
 大輔救出準備は着々と進められた。
プル「真央たちの移動はこれからこの宇宙船を使う。
   それと同時の僕たちの本部もこの宇宙船でいいかい。」
ユカ「ええ、むしろありがたいわ。」
プル「この船に乗るメンバーは真央・未来・ユカ・ジェレミーの旅チーム。
   そして、ADSL・トマシュ・美姫の陽動部隊だ。
   僕と崇彦はどちらでも動けるように宇宙船で待機する。」
 彼の最後の言葉に一同がどよめく。
アボ「タカヒコは後方待機?どういうこと?」
プル「つまり、大輔救出作戦の間でも真央たちが狙われていることに変わりはない。
   その為にどちらかがピンチに陥ったときの切り札として僕と一緒にいてもらうことにしたんだ。」
崇彦「う〜ん・・・反ってプレッシャーだな。」
 プルの言葉に苦笑するが不思議と悪い感じはしなかった。
プル「じゃあ、詳しい作戦は機内でしようか。」

こうして宇宙船は飛びだった。


ジョニ子たちのスケ力が回復しないまま・・・・・
353スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 22:26:51 ID:dZq1+ERY
一方その頃。
人生初4回転を成功させ、無事カナダへ戻ったPちゃん。
ジョアニーの家の庭へ着地すると、早速呼び鈴を押したが反応がない。
「おかしいなぁ・・・?ここにいるって聞いたのに」
何度も呼び鈴を押したり、ドアをノックしたりしていると、巨大サーモンを抱えたジョアニーが戻ってきた。
「あ、ロシェットさん!買い物に行ってたんですか。」
「あらパトリック、ジェフから聞いたわ。おもてなしの準備を手伝ってくれるんですって?」
「ハイ!真央にカナダの素晴らしいところを是非紹介したいんで!」
(そしたら真央喜んでくれるかなぁ。「パトリックが準備してくれたの?嬉しい!」とか言って・・・)
と思わずにやけるPちゃんだった。

「それにしても大きなサーモンですね。よくこんなの市場にあったなぁ」
ジョアニーは軽々と担いでいるが、彼女の背丈ほどもある巨大サーモンはまだぴちぴちと跳ねている。
「あら、これのこと?これは買ってきたんじゃないのよ」
「え?じゃあ一体どこから?」
「やっぱり魚は新鮮なのが一番でしょ?・・・だから獲ってきたのよ。川から」

乙女心と鋼の肉体をを併せ持つジョアニーならではの、豪快かつ心のこもった食材調達である。
354スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 23:00:12 ID:MtcLiom6
「行っちゃったわね。みんな無事に戻ってきますように」
飛び立つ宇宙船を見送りながらジョニ子が呟いた。
「さて、お腹がすいたからアタシは食事しようかしら」
バイキング会場の料理はたっぷり用意されてたので
まだまだ残っている。
「ステージの後片付けもせなあかんしな」
「めんどくさいなあ。僕も救出組についていけばよかった」
「なに言ってんのよ。アンタがいなかったらこのメンバーをどうやってまとめるのよ」
一応まとまりがない集団という自覚はあるらしい。
「みんなが戻ってくるまでにお片付け完了させるわよ。
ハイハイ、そこの3人。抜け出してナンパは禁止だからね」
前もって釘はしっかり刺しておく。

しかしスケ力の件はもちろん、
無事に救出されたらそのまま宇宙船で
次の招待国に直行するという考えが浮かんだものは
DIVA組の中には誰もいなかった。
355スポーツ好きさん:2010/05/15(土) 23:39:12 ID:xmwIqgnQ
宇宙船のテラスで、真央の威嚇用扇子を振り回し…美姫の背負った怒りのオーラが暗闇の中で光っていた。
…勿論、彼女は『真央』の姿で。

「ミキ、やる気満々だねぇ」勇名トラの衣装、上下逆さの日の丸鉢巻きをキリッと絞めたのトラは緊張気味だ。
「…ピザ喰う?今のうちに燃料満タンにしねーと後でガス欠だぜ……」ADSLがもぐもぐ頬張りながら言う。

出番がとても少なかった美姫は今まさにマジモード全開だった。

『さぁ……あたし達が幾らでも相手してあげるわ。さぁいらっしゃい、…さぁ。
来るならいらっしゃい、そしてあたしを…あたしを攫って…
攫って……攫って頂戴……
ホホホホホホ………
あっはっはっハッハッハハ………………』

真央美姫の高笑いにビビるトマシュ。
「こ、これで敵に上手く出会えるのかい?……(汗)」

一方、捕えられた大輔は、プリ○ュアのキュア○ワイト衣装を着せられまいと必死に抵抗をしている所だった。
356スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 00:03:00 ID:b2gLTPBA
「片付け大変そうね、手伝うわ」
声をかけられてジョニ子が振り向くと、ヤナとガッちゃんが立っていた。
「あら?宇宙船で一緒に行ったんじゃなかったの?」
「そうしたいところだけど、大変なときに足手まといになってはいけないから…」
ここでジェーニャと皆の帰りを待つわ。と付け加えた。良い奥さんである。

「さて、ずいぶん散らかってるわね…みんなで手分けして片付けないと」
広いステージの後片付に取り掛かる。
「俺たちも手伝うよ!」
同じく残っていたリンデマン&小林も片付けに加わった。
「ありがとう。貴方たちは向こうをお願いね」
片付けながらてきぱきと指示を出すヤナ姐さん。これならしまりのない集団をうまく捌けるだろう。
さらに、このままDIVA組が置いてかれるリスクが無くなるので、一石ニ鳥というところか?
357スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 00:26:19 ID:uVoMgfSp
そのころのべるるんとヴィッキー。

本来の目的をすっかり忘れ、赤穂温泉にはしゃぐヴィッキーを、べるるんは遠い目で見つめる。
紺色の着物を着た彼女は、着物と温泉無料入浴の交換条件として、旅館の客引きを任されていた。
その場で習ったカタコト日本語を駆使しながら、愛嬌のある笑顔を浮かべ、温泉客の気を引く。
「先輩、何ぼやーっとしてるんですか!先輩も声かけなきゃ!
 ミナサーン、アコウオンセン、ビューティフォースパ!アンチエイジング!
 クリストファー先輩の若さもアコウオンセンで出来てますっ!」
「いやヴィクトリアちがうから。僕のは生まれつきだよ……」
それはまさしく『とほほ』な状況。見た目も声音もおっとりしているが、とにかく
強いヴィクトリアに、べるるんはすっかり振り回されていた。
足元のすーすーする男性用の着物を着せられ、べるるんは乾いた笑いをこぼすしかない。
僕暑がりだからこの着物は涼しくていいけど。

そんな中……べるるんの脳裏に殿のスケパシー(>>341)が届く。

(織田くん……ごめん、助けて)
開口(?)一番、べるるんは殿に救助を求めた。
358スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 01:26:16 ID:w+qE70XY
(了解……そちらに向かいます)
スケパシーを駆使し2Fで無事、赤穂温泉に一行と合流した信成。 時刻はそろそろ深夜近くになっていた。

「さっきも言った通り、彼女達をフィンランドに連れ戻したい。ヴィッキーもホントこの通りだし、
…偉い日本人のノブの力で、なんとか、頼む!助けてくれ!」
折角の温泉だというのに、すっかり疲れ果ててしまったべるるん。
「ぼく?ぼくにそんな権威なんかないですよ」
「いや、ノブはニッポンの凄い偉いサムライの末裔だろう?…それでなんとかならないかな…」
頼む、是非。べるるんのたってのお願いで、お人好しの信成はなんとか協力するべくある事を実行する。 

「分かりました、……ではぼくやってみます。」
信成は織田の劔神社のお守りをポケットから取り出し、強く握りしめて静かにスケート力を解放させた……。

……そして信成に乗り移り現れたのは第六天魔王信長。信成のご先祖様である。
「!! うわ〜……凄い……本物だこれは…」
べるるんは驚いた。これは本当に心強い。ニッポンのサムライだ。しかもキング!!!

「うわ〜出た!!化けもんだ幽霊だ助けて〜〜〜〜」
「信長の幽霊が化けてでたぁ〜〜〜〜!!」
「南無阿弥陀仏並阿弥陀仏!信長様〜〜許してくだせぇ〜〜〜〜」
哀れ、赤穂温泉の従業員達は大パニック状態である。
359スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 02:02:44 ID:k4EKIaCp
「大輔さん、大丈夫かなぁ…。」
「大丈夫よ。私たちがどうにかするから!未来ちゃんたちはスイス楽しんでね!」
心配する未来を元気づける美姫。頼れるお姉さんだ。
「ありがとう、美姫さん。…スイスかぁ。スイスって何があるんだろう?」
「真央、スイスについてこんな話聞いたことがあるよ!
なんかね、シマウマが生息してるんだって。あと赤い猫さんもいるらしいよ。」
「え、真央ちゃん、それって…」
「そのシマウマや猫ってすっごく人懐っこいんだって!
あとよく鳴くって荒川さんが言ってたよ!」
「……」
360スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 05:05:58 ID:ESR27FY0
ルーマニア。電話に出たチャッキー。
「もしもし?…もしもーし…ステファンでしょ?…僕ケヴィンです」
「……………なんだ君か……なぜ君が!?」
「(なんだってヒドイな…)色々あってエレーネ達と一緒なんです」
「マオ達がスイスに来ると決まったんだよ!女の子達と代わっ…」
「ホントですか!?…エレーネ!エレーネ〜…」
プツ。
「おーい!?…あれ?切れちゃった…」
チャッキーが美女組とウフフアハハしてるのかと思うと、
気が気でないスイスのランビ。だが今はそんな場合じゃない。
コンスティも彼なりに、DVDを必死に隠し、フォンデュの用意をしていた。
「ステファン、準備OKだ!…ん?外に何か来てるぞ…?もう来たのか?」

「…じゃ、マオ達旅チームはココで降りてね。先にスイスを楽しんでて。
 陽動部隊は、あ〜…ドリアン君のスケパシーでダイスケを探して」
プルに言われて、渋々スケパシー駆使するADSL。後でフォンデュ食ってやる!
空中の宇宙船にプルと小塚を残して、2組のチームが出発した。
361スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 10:07:15 ID:uVoMgfSp
着物ではまともにジャンプも跳べない、ステップも刻めない。べるるんがそう思ったのは一瞬だけだった。
闇に溶けこむ禍々しいオーラをまとった殿は、放出されたスケカにより、その細身の体を、
まるで別人のように見せていた……真央に変身した美姫と同じ原理である。
しかし、前スレのように、力に支配されることはない。「うわっ」「きゃっ!」驚きの腕力で抱えられた
べるるんとヴィッキーは、着物の裾を崩すことなく、犬山温泉に辿り着いていた。
べるるんとヴィッキーを引き連れ、殿は犬山温泉のホテルに足を踏み入れる。何事かと従業員が
腰を浮かせたが、その迫力に、誰も殿を止める手立てを持たなかった。
まるで織田信長のような青年が、金髪碧眼の二人を引き連れ、社長室へ向かっている。
またたく間に情報はホテル内に広がり、キーラとラウラも詰所から飛び出してきた。
「キーラ、ラウラ!」
「クリストファー!それにヴィクトリアも……ええと、この方は……」
「日本のノブだよ。君達が帰国できるように、交渉してくれるんだ」
キーラとラウラも合流し、一行は社長室へ向かう。
とんとん、と、社長室の扉をノックし、殿は腹の底から声を響かせた。
「たのもう!夜分遅くの推参誠に恐れ入る。所要あって参った次第である!」
殿ってすごい。日本語は解らないが、社長室の扉が間も置かず開かれたのを見て、
べるるんは感嘆した。
362スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 10:43:51 ID:w+qE70XY
「あのスパが怪しいわ……」やる気満々の真央姿美姫がつぶやいた。
スイスから少し離れたいかにも怪しい温泉地。どうせ観光客騙しのエセ温泉地でしょうけど…
あそこからなんともいえないぐるぐるしたスケパシー?的な何かが感知…できたわよ!
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暴れるのも精根尽き果てぐったりした大輔は、今度はエ○ァンゲリオンの○波の制服を着させられていた。

と、その時。
  待て!  大輔の見覚えのある三人のシルエットが浮かび上がる。
スチャッ! 「醜き悪事は許せない!絶対零度の女王クレオパトラ…チームJAPAN代表、ミキ〜・アンドゥ〜!」
ダン!!! 「熱きハートは霜柱をも溶かす、銀盤の格闘家とはこの俺だ!!チームチェコ打表、トマシュ・ベルネル!!」
スタッ…… 「…あ〜はら減った。とっとと決着付けようぜっと。チームSWE代表の、アドリアン・シュルタイス、だ…」

「我ら!」「我らぁああ!!」「…あ〜我ら。」
「我ら銀盤戦士!! 『Figure Skater II』 トリオ・ユニヴァース!!」

彼等の背後でドーンと爆発が起き、火花は氷の結晶となってキラキラと美しく舞い上がる。
勿論演出上の効果なので、見た目以外特に意味はない。
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「面倒かけさせやがって……腹ぁ減っちまったじゃねぇかよ…」
「さぁ覚悟しやがれ!阿呆スケ連共!!!!」
「ちょっと待って!」 勢い良く身構えたトマシュを、美姫が止める。


「あたし、あの服、着てみたい〜〜〜〜〜!!!」

「……え?」
「はァ?」
「うう(涙)………は、はぁあ?」
363スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 14:41:55 ID:S8f5Dpl7
スイス、ランビ宅庭に降り立った一行。
「ハァ〜イ、マオ!ミライ!ようこそスイスへ…うっ!」
さっそく女の子たちをハグハグしようとしたランビだが…
「ステファン^^ お出迎えありがとう^^」
…その前にユカさんがアボットをランビに押し付けていた。
後でアボットがユカさんの目を盗んで、
『スイスなう ステファンのおひげが痛かった』
とツイートして物議をかもしたのは言うまでもない。
「ランビエールさん、スイスの温泉ってどんなとこ?」
マオの質問に気を取り直したランビ。
「さっそく連れてってあげる、みんな車に乗って!サミュエル、頼んだよ」
「え、俺運転手!?」ということで、ゲデ子らを待たずに一行は出発。

「…バート・ラガッツは日本ではマイナーかも知れないけど、
 ハイジの作家やアンデルセンなど、著名人が訪れた事でも有名なんだよ!」
車窓を流れるスイスの山並…やがて車はのんびりした町並みに入り、スパに到着。
「…ココに、ハイジやアンデルセンが来たんですかぁ?」と未来。
「その頃は山奥の湯治場で、その後源泉を町に引いて、スパリゾートに発展したんだ。
 大きな温泉プール、ジャグジーもあってキャッキャウフフ出来るよ!さあ行こうか!」

…大輔たち、ゲデ子たちは間に合うのか?
364スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 15:37:53 ID:uVoMgfSp
真央の次の誘致先がスイスに決まった。そうなればルーマニアでまったりのんびり
している暇はない!あわてたチャッキー、ゲデ子に電話を代ろうとしたものの、
うっかり通話を切ってしまっていた。
「エレーネ、ランビエールさんがかわってっ―――うわっぷ!」
勢いそのままに部屋に入ろうとしたチャッキーを、大判のバスタオルが目隠しする。
泥美容中の姿を見られたくないという乙女心である。「あわててたんだ、ごめんなさい」
チャッキーはすなおに謝った。

泥美容も無事終わり、エステを後にした四人。
「あっ。スイスのおもてなし、はじまってるみたいだよ!」
アボットのツイッターをチェックしたコストナーさんの言葉に、四人は顔を見合わせる。
「どうしよう。スイスにいそいで向かう?」グレボワが肩をすくめた。途中参加はなんとなく居心地が悪い。
「そうね……でも、サミュエルもいるんでしょう?」ランビとコンテの二人がいれば、おもてなしは可能な気もするゲデ子。
そんな時、チャッキーの電話が鳴る。
『ケヴィンーいまどこ?』かけてきたのはカナダのJテンだ。仲良しのJテンの声にチャッキーの表情が明るくなる。
『カナダにも真央の誘致が決まったんだ。準備してるから帰ってこいよー。パトリックも戻ってきたし』
「えっPちゃんそっちに戻ってるの?よかったー」
『ちなみにエマ先輩超やる気』
「エマ先輩が?!」

スイスに行くか。カナダに戻るか。エレーネたちもスイス行きを迷っているようだし、
一緒にカナダへ連れて行ってもいいのかも……
365スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 16:09:57 ID:xqDCR9Vw
「えーい!我が国の招致はどうなったんだ!」
苛立ちを隠せずにフランススケ連幹部が叫ぶ。
招致担当からの連絡がぷっつり途切れてから相当の時間が経過していた。
…そりゃシベリアに送られちゃったんだから連絡なんてできませ〜ん、ってことなんだが。

勝ったのか、負けたのか、それすら分からないとは。
しびれを切らした幹部は招致抽選会場に電話を入れる。
「もしもし、フランススケ連だが招致の件は…」
「フランスさんは残念ながら失格ということで」
「失格ってどういうことなんだ!」
「抽選に従わずマオ達を自国に連れていこうとしたため失格といたしました。
代表の方はロシア首脳企画の旅行のモニターとしてシベリアに…」
「……。」
なんだか分からないが我が国にはマオ達は来ないということだけは分かった。
そして招致担当は当分の間戻ってこないということも。
幹部は震える手でメールを選手宛に送信したのち、落胆のあまり寝込んでしまった。

『(題名)マオ・アサダの本国への招致について
  標記の件であるが、マオ・アサダは本国には来訪しないことが確定した。
  選手各位についてはおのおのの判断で他国の招致活動に参加して構わない。』
366スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 16:45:05 ID:S8f5Dpl7
スイス付近のあやしい温泉地。「…あの衣装着てみた〜い!」
真央姿美姫の叫びに、お約束で一斉にコケたトラ&ADSL&大輔。

「おお!マオちゃん、早速着てごらん(はぁと ほれ、お前はさっさと脱げ!」
美姫を真央と見間違え、鼻の下を伸ばした某スケ連幹部。
大輔の綾○スーツをひっぺがし、美姫に着せようとしたが…

ガシッ!!!
「っっ!あいたたた…何するのマオちゃん!?(涙」
「さすがねぇ、真央から借りた威嚇扇子の威力は…」
「マオから借りた…?貴様、マオちゃんではないな!?」
「あらバレちゃった、テヘ♪…かかったなアホが〜!」
すばーーーーん!幹部と手下どもが弾き飛ばされる。
4Sが炸裂した後、正体を現したその姿…「…貴様、ミキ・アンドゥか!」
「…てかさっきクレオパトラミキって名乗っただろ…」
「…てか名乗るなよ…相手がヴァカだからまいっか…」
大輔を保護しながら、あきれてつぶやくトラ&ADSL。
「でも…イイ!ミキちゃんもイイ!(はぁと さあこれを着て…」
ガシッ!!!再び威嚇扇子炸裂、ぶっ倒れる幹部、逃げ腰の手下ども。
「だーかーら、下心のあるヤツは、私に近づけないのよ!
 …もう、なんてバカな人たちなの…さ、みんな帰りましょ!」
無事大輔を確保して、美姫、トラ、ADSLは宇宙船に戻った。
367スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 17:57:07 ID:uoe7dUY9
再び、カナダ・ブリティッシュコロンビアの某スパ。

「まぁ、こんなにたくさんのお菓子に…これはサーモン? 立派ねぇ」
「きっと美味しいはずよ。なんて言っても捕りたてだもの」
「あら、ひょっとしてジョアニーが自分で!? 相変わらずすごいわぁ」
元からやる気満々のエマに、結構乗り気のジョアニー。さらに、
「はい、こことここにテーブル並べて。椅子は…この人数だし立食でいいか。
飾り付けもしっかりやらないとな。ほら、そこサボらない!!」
いつも以上に目をきらめかせながらセッティングを指示するPちゃん。バカンスの空気は一転、観光キャンペーン状態である。
そんな中でJテンは喧騒を離れ、こっそりチャッキーに連絡を取っていた。
『どうしちゃったのさ、エマ先輩』
「さぁ、ねぇ。パトリックも何かすっごく熱いし…このままじゃ俺まで溶けちゃいそう。
で、結局ケヴィンは今どうしてるの」
『ん、ルーマニアにいるけど』意外過ぎる答えに思わず携帯電話を落とすJテン。
『もしもし? だいじょーぶ?』
「る、ルーマニアって、なんでまた?」
『あぁ、それはね…』
大体の事情を聞くも、あまりのスケールの大きさにJテンはただただ呆然とするばかりであった。
(ケヴィン…俺らの知らない間に色々すごいことやってたんだな、お前。
大体、ジャンプであちこち行けるなんて初めて知ったし。俺も今度のデートの時試してみるか)
『…ジェレミー? どうしたの黙っちゃって』
「ああ、ごめんごめん。で、これからどうするつもり?」
『とりあえず、みんなと話し合ってみるよ。決まったらまた連絡するね』
電話が切れたのとほぼ同時に、準備の様子を振り返ってみた。
そろそろ戻った方が良さそうだ…
368スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 18:18:45 ID:Cg+rzLXS
一方こちら犬山温泉。
キーラとラウラと連れ帰るべく、ホテル社長と交渉に入ったべるるん・ヴィッキー・信成。
二人を気に入ってる社長は難色を示したが、深夜から朝まで交渉の末、最終的にはご先祖様化した信成の気迫に押されてOKが出た。
まさにご先祖様々である。
「ありがとう織田君!やっぱりサムライって凄いんだ!」感激するべるるん。
「・・・とりあえず協力できて良かったです」
元に戻った信成は(ちょっと違うんだけどなぁ…)と思ったが、目的は達成できたのでまあ良いとしよう。

「さあこれからフィンランドへ行くよ!」
意気揚々と犬山温泉を飛び立った5人…だったが、徹夜明けで飛んだためにバランスを崩して自爆してしまった。
そのままどこかへ落ちてしまう。
「あいたたた!ここはどこだ?!」
気がつけば陽気な音楽が聞こえる。これはサンバか?そしてセクシーな衣装で激しく踊るお姉さん達…
「まさかここはブラジル?!」驚くべるるんだが、周辺の建物の看板は日本語らしい。
信成が目に付いた場所の看板を読んでみると「そ○う」とか「三○セ○ター街」と書いてある。
「まさかここは・・・!」
5人が落ちたのは神戸は三宮、神○まつりのサンバ会場のど真ん中だった。
「なんてこった!もう一度飛ぶぞ!!」
サンバの喧騒の中、慌ててヴィッキー達を引っつかんで再度ジャンプするべるるん。
今度は無事フィンランドへ到着した。
「ふう・・・色々大変だったけどやっとここまで来れたよ」
安堵の息をつくべるるんだったが、よく見たらうっかりして信成までフィンランドに連れてきてしまった。
369スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 18:37:27 ID:S8f5Dpl7
さて、すっかりタカヒコ誘致になりつつあるフィンランド、湖畔の森。
「…サウナはOK、こっちも音響設備バッチリだな」
『エアギター大会』会場をチェックするぬる麺。
もちろん『ギターコンチェルト』のトラックも用意してある。
「エアギターだけっすか?他にもやりましょうよ…エアアコーディオンとか!」
「面白いな!」ルタイのアイデアに、ぬる麺も乗り気だ。
「曲はたくさん用意しましょう、万が一大勢来ても対応出来るように」
「よし!…さて、あとは『携帯投げフリースタイル』用に、使用済みノキ○大量手配と…」
…小塚にはいいストレス発散になるだろう。
「料理のサンプルが届いたよ、試食しながら一杯やるか?レッドブ○でw」
「おーいいっすね!ゴチになりますよ、兄貴!」
「なんだよ、タメグチ上等、僕らはダチだろ?」
すっかりパパ友なぬる麺とルタイであった。

そこに、ドーーーンと降りて来たのは…「クリストファー!?」
370スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 18:55:21 ID:w+qE70XY
「おお〜なんだ、凄い歓迎準備だなぁ。誘致が決まらなくても十分楽しそうだね」
お疲れのべるるんだったが、あまりの準備の良さにニッコリ微笑んだ。
「サウナも用意してあるぜ。はいって疲れをとれよ!遠慮すんなほれほれ!」
ルタイが帰って来た&旅に加わった選手達を誘導する。
ヌルメンは一挙に増えたお客に大満足である。
「皆さんごくろうさまでした。後で、タカヒコ君もこちらに合流するかもしれませんよ」

「あ……ぼく、日本にいるフィアンセに連絡をしますね……」
信成は携帯を取り出し、何やら話し始めた。口調から見るとどうやら旅同行に許可が下りたらしい。
371スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 19:14:24 ID:w+qE70XY
「幹部殿!これで全員、逃げられました!!」そう報告した彼の手には、綾○レ○の制服が握られていた。
「う〜む…仕方ない、作戦変更だ!スイスには先回りした連中がもういるらしいから、我々はカナダで待ち伏せするぞ!」
某スケ連幹部一同は、全然懲りていないようである。
「了解」「ラジャー」「時間もたっぷりあるしね」「今度こそしくじらない」「スイスに先まわりしたって誰ですか」
372スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 19:25:20 ID:xqDCR9Vw
カナダに向かう道中の某スケ連実働部隊…
「ところで>>369でこのスレの容量が300KBに達したらしい」
「だから何だというのだ」
「スレの容量の60%を使ったっていうことだ」
「それが我々と何の関係があるのだ」
「……まあそろそろ先のことも考えつつお話を進めましょうってことだ」
「了解」
「ではカナダに急ぐぞ!」
373スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 19:59:34 ID:CbbgM39N
「ダイスケ、大丈夫かい?」
「災難だったな、このレッド○ルでも飲んで元気出せ」
宇宙船内で大輔を慰めるトラとADSL。
大輔はぐったりとしてロクに答えることもできない。
あんな理不尽な目にあったのである。それも仕方ないことだろう。
しかし美姫はしっかり目撃していた。
大輔が自分の服を取り返すついでに、某スケ連が用意したコスプレグッズの山の中から
麦わら帽子やら赤いベストやらサンダルやらをちゃっかりかっぱらっていたのを。
そのうち海賊王でも目指すつもりなのだろうか。
374スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 20:12:29 ID:EUG1vZHj
DIVA組は片付けも終わり、通りの端にある福引き会場に向かっていた。
お芝居用に衣装やその他諸々を多数買いまくった時に福引き券をもらったのを思い出したのだ。
「僕は2等のシュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ1年分がいいなあ」
「バイエルンの民族衣装プレゼントを当ててくれないかな。
いい加減俺も服を着たいし」
「あら、アンタ。いつまでその格好なのよ。パンイチの上にコートってどうみてもただの変質者よ」
「片付けの時にうっかり俺の服を捨てたのはジョニー、お前だろ…」
羽織っているコートは、バトルが刑事役の時に使っていたトレンチだ。

しかしその思いとは裏腹に、数百枚あった福引き券はすべて
末等カジノ入場割引券に変わっていった。
「今こそアタシの運の良さの見せ所よ!
1等の温泉入浴し放題&マッサージやり放題1年分を当ててやるわ!
うぉぉぉらあああああああああああ」
最後の叫びはすっかりおっさん声のジョニ子が高速回転でガラポンを回す。
全員の視線が出てきた玉に集中した。
「おめでとうございまーす」チリンチリーン
「金の玉でました。特等カナダまでの旅行券でーす」
「きゃー金の玉よー。金た(ry……え?カナダ」
顔を見合わせる一同。
「この通りの会長さんがカナダ出身でね。
今からカナダにチャーター機で帰るのでついでに、それに皆さんをお乗せしまーす。
片道だけでーす。着いた後はしりませーん」
有無を言わさず何の余裕もなく考える暇も与えられず
チャーター機に詰め込まれるのだった。

「よ〜し、マオ達より先にカナダへ乗り込むわよ。ジェフ、パトリックに連絡よ。
ヤナ、ジェーニャにアタシ達は先にカナダへ行くって伝えておいて。
じゃあねーバイバーイ。2人ともありがとねー」

嵐は去った。とりあえず騒ぎの元凶はこれでいなくなった。
「みんな行ってらっしゃい」
ほっと安堵のため息をしながら見送るアントン小林とリンデマン。
ドタバタはしていろいろあったが、なんとかドイツのおもてなしは終わった。
「この後の国のみんな…大変だろうなあ」
自分達の苦労を思い出して、再び二人は大きなため息をついた。
375スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 20:17:14 ID:D8gHj7xo
大輔救出に成功し、急いでスイスに向かう宇宙船。
その道中でコクピットのあるランプが反応を示した。
「ナンですかそれ?」
「ああ、僕が頼んでつけてもらった『美女センサー』だよ。」
「・・・・どんな国なんですか?ロシアって・・・・><」
プルが反応のあった場所を特定した。
「あれは、エレーネじゃないの?」
「え、ほんと!彼女達ならこの船に乗せてもいいでしょ?」
「もちろん!」
宇宙船は美女3人+チャッキーの元へ降下した。

一方、4人は突然やってきた宇宙船に唖然としていた。
ただ呆然と上空を眺める4人にプルの声が響く。
「突然だけど、君達をこの宇宙船でスイスに連れて行くから。文句は言わせないよ〜。」
ほとんど拉致に近いが某国スケ連の追っ手のこともある。
彼らを急いで搭乗させた後、一目散にスイスのバート・ラガッツへ向かった。


376スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 20:55:03 ID:b2gLTPBA
「ところでプルシェンコさん、このままスイスに行くとジョニーさん達と合流できませんけど・・・?」
「それなら大丈夫だよ。ドイツを出るときに非常用に円盤を一機置いてきたんだ。さっきヤナから連絡があって、ジョニー達はカナダへ先に行ったらしいよ。
アーチャと二人でこっちへ来るって言ってたから、もうそろそろ来るはずだよ」

小塚の問いにプルが答えていると、宇宙船の後方から銀色の円盤が飛んできた。
もちろんヤナとガッちゃんが乗っている。
プルが格納庫のハッチを開けると、円盤はするすると中へ入っていった。

「それにしてもジョニーさん達、スケート力も回復していないのに大丈夫かなぁ・・・?」
首をひねる小塚だが、彼らならなんとかうまくやってしまいそうな気もした。
377スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 22:06:34 ID:w+qE70XY
「これで拾っていく予定のみんな、揃ったのかな…?」
トラが指刺し確認でメンバーをチェックし始める。
「そろそろスイスに着くよ。休んでいる人を起こしに行ってもらっていいかい?」と、エフゲニー。
「了解!!」

一方、此処は宇宙船のプルの部屋。
そう、大輔が部屋の模様替えをして暴走させた、あの曰くつきの場所だ。
「……なんでまた…この部屋なのかなぁ………(がっくり)」
トラウマで疲れが全然とれない大輔は、そのわりには収穫した例のグッズをしっかりしまい込んでいる。
「人数がこれだけ増えたのだし、此処しかゆっくり休める部屋が無いのよ。甘えないで寝ておきなさいな。」
美姫は某スケ連の荷物から持って来た初音○クや春○やナ○ルルやらのコスプレ衣装を整理しながら答えた。

「…お〜い!みんな!そろそろスイスだよ〜〜」
トラの声が睡眠不足&疲労で痛む二人の頭によく響いた。
378スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 22:10:22 ID:x/5hLNnK
チャーター機内。
さすが特等だけあって機内のサービスは格別だった。
会長が帰省するついで、というのがやや疑問ではあるが
ジャンプで移動する旅よりは格段にいい。
今はカナダのメープルシロップをふんだんに使ったドーナツを食べている最中である。

「あらいけない」
「ヤナどうしたの?」
「これ(ドーナツ)を見て思い出したわ」
ガッちゃんを呼び、ジョニ子にこそこそと耳打ちするヤナ。
「あれが見つかるとヤバいじゃない。一応ロシアの国家機密だし」
「フェストシュピールハウスの裏に隠してあるけどそのままには出来ないわ。
私は操縦できないからアーチャと一緒に一度戻らないと…」
「ここからならまだ簡単に戻れますね…」
その言葉を聞いたが早いかジョニ子が手を挙げた。
「すみませ〜ん。2名降りま〜す」
「えぇ〜?そんなこと言われても簡単には無理ですよ」
「大丈夫よ。そーれっ」
かけ声と共に、扉を開きそのまま2人を空へ放り出した。
「ええぇええええええ。ちょっ、何して…」
「大丈夫よ。アタシ達を甘く見ないで。
世界に名だたるスケーター軍団とその保護者よ。怖いモノなんてないわ」
ただひとり一般人の会長が焦って窓から下を見る。
そこに見えたのは、飛行機から降りた勢いを利用して
ヤナを抱えたアーチャが空中で態勢を整えているところだった。
そこから華麗に3Aになだれ込む。
「ほら、ネッ」
ウインクをしながら微笑むジョニ子。

とんでもないヤツらをうっかり乗せてしまったことを
かなり後悔しまくる会長さんであった。
379スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 22:31:58 ID:P9N9xohg
「ヤナ〜」
プルは操縦しながら、合流したヤナに声をかける。
「あれ? アーチャは?」
「子機を格納庫に納めるのに手間取っているの、すぐに来るわ」
にこやかに答えるヤナ。

金色宇宙船内の格納庫。銀色子機を収める格納庫で、ガチンスキーは小さな包みをごそごそと隠していた。
「操縦席の下に隠しておけば大丈夫かな……」
二人はフェストシュピールハウスに寄って隠したものをとってから合流したのである。

「そろそろスイスにつくよ〜」
スイスの真白い山脈が、金色宇宙船の眼前に迫る。山肌に沿って空中を滑る宇宙船は、静かにランビエール宅前に降り立ったのであった。
380スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 23:13:37 ID:8O2dTD4V
一方、バート・ラガッツの面々は…
水着に着替え、まずは温泉プールのジェット水流で体をほぐした。
「ね、真央ちゃん、あっちに流れるプールみたいのがあるよ!」
「ホントだ〜面白そう!行ってみようよ未来ちゃん!…みんなも来て〜!」
「ジェレミー、私たちも行く?^^ 柔らかくていいお湯ね…^^」
「うん、それに広くって気分がいいね!行こうよユカ!」
アボも楽しそうだ。携帯はロッカーに預けたので、つぶやき中毒からも解放されている。
「飛び込み禁止だからねー!…女の子達、カワイイなぁ…それにオトナのひとも…」
「いいよな…俺達も早くキャッキャアハハしに行こうぜ!」
…ますます顔下半分が黒くなってる事に、気付いていないランビ&コンテ。

「うわ〜まったり…気持ちいいですね!…大ちゃんたちも、早く来ればいいのに…」
遊び終えて、ほかほかシーツにくるまり、ビーチチェアでくつろぐ真央たち。
「ダイスケ?彼も来るのかい?」女の子成分が足りなくなる心配をするランビ。
「そろそろ出ようか、夜は僕の家でチーズフォンデュ大会をやるからね!」
…女の子の罰ゲームは、『僕らのほっぺにチュー』だ。男が増えても問題ない問題ない…
381スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 23:27:36 ID:8O2dTD4V
プールから出て着替えたアボットは…またツイッター中毒に戻ってしまった。
『スパでまったり最高なう これからステファンちでフォンデュ大会だよ!
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/
 に、スレまとめ、感想があるから、よろしくね』
382スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 23:33:34 ID:P9N9xohg
「さて、いい加減僕着替えるね〜」
自室から芋ジャージを取り出し着替えようとするプル。
「ジェーニャ、それよりもこっちがいいと思うわ」
ヤナ姐さん、すばやくシンプルな黒シャツと黒スーツを差し出す。
「せっかくマオに会うんだし、私もかっこいいジェーニャが見たいわ」
にっこり。大好きなヤナの笑みにプルはメロメロだ。
差し出された服に着替えるプル。カルメンを脱ぐと同時に変身も解け、普段のおっさんプルに戻った。
着替えたプルとヤナが外にでると、アルプスの山に日が沈むところであった。
そして大きなチーズや食材を抱えた真央たちが、こちらに向かってやってくる。
383スポーツ好きさん:2010/05/16(日) 23:34:17 ID:uVoMgfSp
一方そのころフィンランド。

ジャンプの際に崩れてしまったべるるんの着物を直してあげていた殿は、
パパ先輩のルタイとぬる麺に温かく迎え入れられていた。
北欧美女三人は互いの着物を見てきゃっきゃと楽しそうに会話している。

そんな中……
ずどーーーーーん!湖畔の森で囀っていた小鳥たちが、上空から飛んできた
何かに仰天し、逃げるように飛びたっていく。
少し遅れて、ずどどーーんと何かが着地する。
「やっと追いついた……!」
二番目の来訪者は、肩で息をしているピンクチョッキ・ミハルだ。
「ミハル?!……それに彼は……デニス・テンくん?」
また着崩してしまわないよう注意深く歩きながらべるるんが出てくる。
べるるんに続くように出てきたぬる麺やルタイや殿を見たミハル。
「デニスを取り押さえて下さい!」叫ぶやいなや、着地し地面に膝を
ついたきり微動だにしないDテンに飛びかかった。
ミハルに言われるがままにDテンを取り押される面々……
Dテンは、眠っていた。きっといい夢を見ているに違いないと
思わざるを得ないほど、安らかな微笑みを浮かべていた。

ドイツのKASASU劇・カルメン祭りの片隅で眠り続けていた
Dテン。調子よくジャンプを跳ぶ夢を見ているのか、眠ったまま
3Aを跳んでいたのである。それに気付いたミハルは、ずっと彼を
追いかけ続けていたというわけだ。
恐るべし未知数の寝相である。
「俺もうくたくた……」ミハルはDテンの寝顔を見下ろし、肩をすくめた。
384スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 02:38:48 ID:hdlRmkPU
「…お〜ぃ!フォンデュ喰いたい!当然あるよねぇ〜!きっと!」
宇宙船を降りたADSLがいきなり叫んだ。待ち遠しかったのだろう。フォンデュが。
「……よろしくお願いします、皆さん」
「お邪魔します、ランビエールさん」
まだ若干顔色がすぐれない大輔が崇彦と共にやってきた。
「僕ももう少ししたら行きますね!」
宇宙船を最終操作チェックしながら、ガッちゃんが宇宙船のマイクで言った。
「スイス!ようやく来れたぞ!やっほ〜〜〜い!!結構長かったなぁ…」
嬉々としてトマシュが宇宙船を飛び降りた。
「やったー!へぇ…スイスも奇麗な所なんですね…」
チャッキーが辺りを見回しながら宇宙船から降りて来た。

その様子を見たランビは愕然とした。
(お……女の子……女の子成分が………(汗))いや!『ほっぺにチュー』はあくまで俺達の…
385スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 02:55:22 ID:ABg9jbGT
人数が多いので、フォンデュ大会はランビ宅庭で行うことに決定。
真央もその準備を手伝いながら、ウキウキした笑顔で言う。
「ねえランビエールさん?フォンデュって、鍋に具を落っことしたら…
 …罰ゲームがあるんでしょ? 真央もそれくらい知ってますよ〜!
 罰ゲーム、何がいいかな〜…そうだ、一発芸とか、隠し芸とか!?」
…『ほっぺにチュー』は?…でも可愛いマオの言葉には逆らえない…
なんだか嫌な予感のするランビであった。
386スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 09:31:22 ID:OTBK6IXK
フォンデュ大会の準備でにぎわうランビ家。
庭に椅子やテーブルを運び出す中、プルは部屋の隅にあるものが落ちているの見つけた。
前スレ初期にランビ家に集まっていた時に、赤ちゃん化していたプルが遊んでいた銀玉鉄砲である。
その後エレーネ達が部屋を片付けた際にも見落とされていたようである。
何気なく手に取っていると、庭から呼ぶ声が聞こえたので、そのまま服のポケットに突っ込んでおいた。
387スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 09:37:20 ID:fShtdfof
「じゃーマオ! 罰ゲームにキスして! キス!」
銀玉鉄砲を拾ってきたプルは、ランビを真央の話を聞いて横から割り込んだ。
「え……」
ヤナ姐さんは美女たちに混じってお野菜を切っていて、気付いてない。
「だめぇ?」
邪気がないプル。さらにいうと欧米圏じゃほっぺにキスなんて挨拶代わりだ。あんまり深い意味はない。
「いいですよ」
真央もあっさりOKを出してしまった。
(エフゲニーありがと! ほんとありがと!)
ランビの願いどおり女子の罰ゲームは「ほっぺにチュー」となった。
「じゃあ真央僕の隣ね!」
しかし、真央の両隣りはプルとチャッキーが取ってしまったのであった。眠たげなチャッキーにも子供のようなプルにも、真央の扇子威嚇は発動しない。
(危なかったわ……彼なら邪気はなさそうだし、ステファンを隣にするよりか安全ね)
他女子勢が、真央ちゃんを守るために動いたの結果であることは言うまでもない。
388スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 10:10:43 ID:OfnlhztY
フォンデュ大会を楽しむランビ家の様子を物陰から窺う集団がいた。
真央招致に執念を燃やす某国スケ連一行である。
「マオがいました。全員庭にいます、突入しますか?」
「馬鹿者!いきなり行ってどうする!しばらく様子を見て連中が油断したところを狙うんじゃ!」
お、さすがに少しは学習したか。
「そして今度こそマオちゅわ〜ん(ハァト)に、新たに用意したこの衣装を着せるんじゃあ!!」
とし○ごキ○ラのア○ュレット○ートの衣装を片手にwktkする幹部だった。
389スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 10:59:13 ID:fShtdfof
状況を整理してみよう。ランビ宅前で、テーブルをいくつもつなげて丸くし、そこを皆で囲んでいる。
18人が男女交互になるように座っているが、男子が余るので男子が続いているところもある。
真央ちゃんから時計周りに見てみよう。まずはプル。チーズフォンデュを食べるときは胃の中でチーズが固まらないよう白ワインを飲むものだが、今アスリートの彼はミネラルウォーターをもらっている。
その隣はもちろんヤナ姐さん。がっくん、エレーナ、仲良くなったADSLと大輔が並び、次は未来、ジェレミーとユカさん^^、小塚、織田、美姫ちゃんの隣にランビがいる。
ランビ、真央ちゃんの隣を取り損ねたことも忘れてご機嫌である。そりゃ、美姫ちゃんとさらにゲデ子に挟まれているのだ、当然である。アハンアハンしている。
ゲデ子の隣はコンテとコストナーのイタリア代表が続き、最後にチャッキーで真央ちゃんに戻る。
390スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 12:11:27 ID:hdlRmkPU
>>389
織田×→トマシュ○ です訂正にて。
391スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 12:14:07 ID:ABg9jbGT
チーズフォンデュ。それは…
各自具材を刺したピック等を手に、チーズを溶かした鍋を囲んで行う、スリリングな食事。
チーズを絡める際、誤って具材を鍋に落とすと…落とした者には罰ゲームが課される場合がある。
(落とすか落とさねぇか、そこが刺激的でいいじゃんか。それに落とした方が盛り上がる)
そう思いながらも、ADSLの熟練したピック捌きには微塵も危なげがない。さすがフォンデュ愛好家。
「…ん?ダイスケ、食わねーの?」 隣の大輔は、まだちょっと顔色がすぐれない。
「フォンデュうまいよ、でもちょっと胸焼け…俺はもういいかな。後は雰囲気を楽しむわ」
「無理すんな、俺がダイスケの分も食っとく!」…それは心遣いなのか単に食い気なのか、ドリアン君?
392スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 12:24:52 ID:hdlRmkPU
(お〜い、そっちは仲良くやってるか タカヒコもいる?)
ルタイのステルススケパシーが、ADSL、大輔、崇彦に届く。
(こっちの準備は万全だぜ 日本にいたクリストファー一行にノブも参加している。ミハルとDテンも合流したぞ)

「…ありゃ〜あっちも凄ぇ大宴会になっていそうだなァ。先輩もやっと帰って来れたか、よかった」
大輔の分のフォンデュも全部食べたADSLは満足そうに言った。
「へぇ…のぶ君も来たんだ!ルタイさんもアリさんも良い人だな……」
多少元気が出て来た大輔は、信成と久しく会ってない事を思い出した。
(俺、ルタイさんと合流していいかな?……なんか俺の為に凄い頑張ってくれてるみたいだし)
一人少し離れた場所に座っている崇彦だけ、スケパシーで二人に話しかける。
「どうする?向こうに合流すっか?」
「……そうだね。こっちに何かあれば3Tでも十分直ぐ飛んでこられるし」
全員クワド持ちなので、世界中の移動には何ら問題はなかった。
(よし!俺フィンランド式サウナて試してみたかったんだ…)
無論白樺の枝で引っ叩かれ、湖に突き落とされる羽目になるのだが。

かくかくしかじか。三人が皆に説明すると、真央と未来はちょっとがっかりした表情だったが、
ランビとコンテだけは何故か少しだけ嬉しそうな感じだった。(女の子成分UP!)

実は大輔は、ユカさん^^がパーティーに夢中ですっかり説教を忘れているのをいいことにこっそり
移動したかった、という理由もあったのだが……。

しかし、ランビ家の物陰には怪しい行動を起こそうと機会をうかがう「者」達がいた。
393スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 12:47:25 ID:OfnlhztY
フォンデュ祭りの和やかな雰囲気を乱す者達がついに動いた。

物陰から一斉に飛び出すと、周囲を取り囲む。
「あっ!また来たぜあいつ等!!」
「本当に懲りないわね!」
またか・・・と言う顔のトラと美姫。
「わぁ!なんだなんだ?!」
「真央を勝手に連れて行こうとしてる国の連中よ^^諦めないのはいい事だけどこれは良くないわね^^」
驚いたランビとコンティに説明するユカさん。
連中のおかげで楽しいフォンデュ祭りが台無しだ。
よく見たらフォンデュ鍋や具材が散らかって残念な事に・・・うう、せっかくがんばって準備したのに!
愕然とするランビだった。

「マオちゅわ〜ん(ハァト)今度こそわが国に来てもらいますよ〜ほ〜ら、新しい衣装も用意したよ〜」
とア○ュレットハート衣装をひらひらさせる幹部。
トラと美姫がさっそく攻撃態勢を取るが、もう片方の手で拳銃を向けた。
「動くなよ!わしらだって同じ手には乗らんわい!わ〜はっはっはっ!!」
ちょっと緊迫してきたぞ?どうするスケーターズ?!
394スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 13:21:18 ID:ABg9jbGT
拳銃と言えば…前スレでのショッキングな光景を皆思い出す。凶弾を肩に受けたリューキン…
…ま唾付けて2日で治ったそうだが。それにあの時は崇彦の防弾スケータースーツがあった。今は…
(みんな、動かないで!)プルのスケパシーが全スケーターズに届く。
(マオ、ゆっくり立って、ゆっくりね。あいつらの方へ行くんだ)
(なぜ!?嫌です!)真央は扇子をぎゅっと握りしめてふるふるしている。
(大丈夫、僕とみんなを信じて。さあ…)…真央はゆっくりと立ち上がった。
「…マオちゅわ〜ん(は〜と)よちよちおいでおいで〜♪…貴様らはじっとしてろよ!」
プルはポケットの中で、先ほど拾った銀玉を指先でつまみ、チャンスをうかがっていた。
…よし、今だ。 (あ〜、誰かボケて?)
395スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 13:28:26 ID:OTBK6IXK
「ほーら、お前ら動くんじゃないぞ〜♪」
拳銃をちらちらさせながら真央に駆け寄る幹部。
「マオちゅわ〜〜…ぐはぁっ?!!」
手をつかもうとした途端に顔に衝撃を喰らう。
そう、下心丸出しで近づいた為に真央の扇子威嚇を見事に喰らったのだ。
のけぞって倒れる幹部の手から拳銃が転がる。慌てて取ろうとした幹部の前にプルが立ちはだかる。
「…動かないでね(ニコッ)」
「げぇぇぇっ?!お前も持ってたのか?!」青ざめる幹部。
もちろんプルが持ってるのは例の銀玉鉄砲だが、混乱してる幹部には見分けがつかない。
実は幹部が持っていたのも脅しの為のモデルガンだったのだが。


そのかたわらで怒りに震える一人の男。
「よくも…フォンデュ祭りを・・・」
せっかくのウフンアハンな夢のひとときをぶち壊されたランビの怒りが炸裂しようとしていた。
396スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 14:14:49 ID:hdlRmkPU
プルとヤナは真央と未来を銀玉鉄砲でかくまっている。
ユカさん^^と美女三人集は脱出路の確保、がっちゃんは宇宙船に戻り何時でも飛び立れるよう、エンジンをかける。
トマシュ、チャッキーはそれぞれ得意のスピンで応戦していた。

「こんのぉおおおお!」
凄まじい形相で美姫は怒りの4Sをヒットさせるが、如何せん数が多すぎる。
一方、戦闘スイッチの入った大輔は3-3、フライングシットスピンでなんとか連中を食い止めていた。
しかし、一連の事件の疲労と、胸焼けで殆ど何も食べていない空腹感から、大輔の得意なステップワークは
重く……思うように足が動かない。連続技が殆ど決まらないのだ。

「ダイスケ!、待ってろよぉ…」
「大ちゃん!俺が今いく!!」
「アドリアン!タカ!」
ADSLが崇彦と組み、5回転スロージャンプで刺客に突進した。面白いように塵じりに吹っ飛ぶ某スケ連中。
そして二人のサイドバイサイド…ダブル・イーグルからの4Tが決まる。
そこへ大輔の必殺技…世界一のストレートラインステップによる怒濤の連続攻撃が始まった。
そのあまりの凄まじさに、某スケ連幹部達は逃亡するしか手はなかった……。

ランビとコンテは、その様子に仰天し怒りまくっている。
397スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 16:16:23 ID:fShtdfof
「あはは、ジェーニャ、マオちゃん待ってよ〜。僕にもお寿司…」
カナダへ向かうチャーター機の中。バトルは素敵な夢を見ていた。
「いや、だからスケ力は宇宙船のせいで……無理ですって!」
そのすぐそばで、地獄への足音を聞く男もいた。
『関係ないわ。飛行機から飛んでこちらに来なさい』
飛行機備え付けの電話で、ひそひそと話しているのはヤグディンである。
『本拠地に殴りこむんだから頭数がいるの。うかつだったわ、まだやる気のあるのがいたなんて。あなたジェーニャを迎えに行ってそのまま一緒に旅行にいってしまうし、
ドイツじゃ食って遊んでばかりで役に立たなかったそうじゃない。たまには真央に兄弟子らしいところを見せなさいよ』
ぐさぐさと言葉が突き刺さる。
「だからスケ力がなくて…」
『何を言ってるのリョーシャ。スケ力なんて、命がかかればすぐに復活するに決まってるでしょ。死ぬ気で落ちなさい。どうせ3Aで着地できるから。じゃ、来なかったら殴るからね』
切れる電話。
「あのババ……」
禁断の一言を言おうとして、ヤグディンは思いとどまった。ばれたら殴られる。
「あーわかったよ、死ぬ気で落ちてやるよ!」
そしてまた飛行機から途中下車した人間が増えた。もちろん空中でヤグのスケ力は回復し、タラソワの前に華麗に着氷した。
398スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 17:31:40 ID:OfnlhztY
スケーター達の反撃にあった某国スケ連一行は退却し始めた。
しかしランビの怒りは収まらない。
「貴様ら〜!よくも〜〜〜っ!!!」
怒りのパワーでスケ力アップしたランビは、逃走しようとする集団の真っ只中に飛びこんだ。
そして炸裂するのはもちろん、マッターホルントルネード。
通常の3倍速(独自調べ)で吹き荒れる竜巻が彼等を襲う。
「うわ〜!助けて〜!!」「ごめんなさ〜い!!」
情けない台詞と共に、一行はアルプスの向こうへと吹っ飛ばされていった。
もちろんスケーター達はランビの動きを察して、咄嗟に影響の及ばない場所まで退避していたので無事である。

そしてようやくランビ家に静寂が訪れた。
399スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 20:52:05 ID:jffX6as2
「ジェレミー、疲れたでしょ。でも手を離したら承知しないわよ^^」
ユカさんを抱きかかえたままアボットは空の上にいた。
アボが敵の襲来をツイートしようとしたその瞬間を襲ったランビのマッターホルントルネード。
ほんの一瞬、隙をつかれてアボは大切な携帯を落としてしまう。
それを拾おうとしたユカさんが竜巻に巻き込まれ、飛ばされてしまったのだ。
ユカさんを救うべく、反射的にアボは飛んだ。
そして現在2人で空中にいる、というわけである。
うっかりクワドを飛んでしまい、スイスはおろかヨーロッパを脱出してしまった。
「このままアメリカに戻って練習をはじめましょうか^^」
「ぐぅぅ」
アボとしてはもうちょっと楽しい休暇を楽しみたい。でもユカさんには逆らえない。
「でも、ステファンをきつく叱らなきゃいけないからアメリカにすぐに戻るわけにはいかないわね^^」
助かった、とばかりに首を縦にふるアボ。
「あら、飛行機だわ。ジェレミー、翼に掴まって休みなさい^^ 疲れたでしょ^^」
400スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 21:59:09 ID:hdlRmkPU
「………。俺の…俺のおもてなしがぁあ〜〜〜〜!ぅわ〜〜〜ぁあぁん!!」

号泣するランビ。其れもその筈、フォンデュセットは愚かもてなす為の家具道具一切が奇麗に吹き飛ばされている。
勿論これは嘆く本人のマッターホルントルネードによる被害なのだが……。
ランビ家の外壁も相当な被害だった。窓ガラスは全壊、ドアすら蝶番が壊れてキィキィと音を立てている。

「これではパーティーの続きは出来ないね。とりあえず片付けと修理をしようか。それから次の国に
行く準備も同時に進めるよ。皆各自で動いてね。さぁ始めよう」
流石プル、こういう状況でも落ち着いて的確に指示する。
「はい!俺、掃除用具とってきます!」「俺も!」
トマシュと崇彦が進んで掃除を始める。真央達も作業に加わった。

「……あ〜…腹がまた減っちまった。ダイスケ、残りモンだけどピザ喰う?」
腹が減った&疲労度MAXの人間は、宇宙船の部屋で待機となった。
(またこの部屋かぁ……もっとちゃんと休みたい……(涙))
例によってまたプルの私室に戻された大輔は、ADSLと共に遅い夜食をとった。
401スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 22:39:22 ID:iVPNcT2l
「!?」
一瞬チャーター機内が大きく左に傾いた。
その衝撃の原因はもちろん、ユカを抱えたアボットである。
ユカの言うとおりに翼に飛び乗り一時休憩してるのだ。
『現在左主翼で休憩してるなう』
どんな時でもツイッターの更新は忘れない。

「やだっなにごと?だから飛行機って嫌いなのよ」
「鳥だよ。大丈夫大丈夫」
ぐっすり眠って気分もすっきり。
今は寝っ転がって本を読みながらダラダラしてるのが楽しいバトル。
細かいことを騒ぎたくはない。
「んなわけないじゃない。さっきの傾きはただごとじゃないわ」
役に立たないわねえ、とブツブツ言いながらとりあえず窓から翼を見るとそこには
「ジェレミー?それにユカ?なにしてるのよこんなところで」
「なんや、こんなところで奇遇やな」
「さすがユカさん。厳しい練習をさせてるんだなあ。僕には絶対真似できないよ」
「あの変顔の秘密は空の上での練習による気圧が原因だったのか。なるほど」
それぞれの感想と共に窓をバンバン叩いて
アボットとユカを機内へ迎え入れる一同であった。
402スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 22:45:49 ID:p42UHDIy
チャッキーがふとランビ宅の中へ目を向けると
ランビ宅の中もガラスの破片や騒動で出たゴミで散乱していた。
ランビ達が棚に必死に隠したエッチな本やDVDも散らばっていた。
もちろん早速A〜Z順に片付け始めるチャッキー。
無事に棚に納まっているコレクションを見ると、どうやらランビは
A〜Z順ではなく、ジャンルごとにわけてその中でA〜Z順に並べていたようだ。
「えーと、これは熟女で…、これはナース……」
何人かの女の子がランビのコレクションとチャッキーがそれを片付けるさまを見たが
ランビがそういうものを持っていたことに関して誰も今さら驚かなかった。

「あ、そういえば」
「?どうしたの?真央ちゃん」
「シマウマと赤い猫、結局見なかったなぁと思って。あ!今ランビエールさんに聞いてみようか!」
「真央ちゃん、猫さんはもう許してあげて> <」
ランビに質問しようとする真央を未来は必死にとめた。
403スポーツ好きさん:2010/05/17(月) 23:36:55 ID:OfnlhztY
トラウマの残るプル部屋で、大輔がなかなか落ち着けないでいる頃。

ランビ宅の片づけをしている中、ヤナとプルは何やら相談中であった。
「…え?空き部屋の模様替え?」
「そうよ、普段はこの船は私たちぐらいしか使わないけど、こうしてたくさん人が乗ってると、皆落ち着く場所がないみたいよ」

確かに大人数を乗せて運ぶ宇宙船のわりには、くつろげるスペースが少ない。
船内にはプル部屋のほかにもいくつか部屋があるようだが、普段使ってないらしくて、
殺風景な室内に荷物が詰め込んであったりと、お世辞にもくつろげる場所とは言えない。
おそらく宇宙船の主は自室で事足りてしまう為に、他の場所まであまり気が回ってないのだろう。

「確か物置代わりになってる部屋があったでしょ?この際だからあの部屋を使って、皆がゆっくりできる場所を作りましょうよ。」
「そうだなぁ…みんなも落ち着ける場所があったほうか良いかもね。それじゃあ後で手伝ってもらって、みんなの為の場所を作ろう。」

良かったな大輔、これで少し待遇改善…されるかも?
404スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 00:36:16 ID:OkFLxmto
「ちゃんと来れたじゃない」
「マジで死ぬかと思ったんだけど」
いつものDQN皇帝オーラはどこへいったのか、ごつい指輪をはめたタラソワにおびえるヤグ。
「で、どこに殴りこみかけるんだっけ?」
「フィンランドのスケ連よ」
タラソワの後ろには、まるでKGBのような怪しい黒ずくめの男が何十人も並んでいる。
「あそこの女子スケーターには日本で会ったぞ」
「そうよ、フィンランドに残っているのはヌルメンカリ一人で、彼がおもてなし担当だった。最近二人とも戻ってきたようだけど。
スケーターたちには何も知らせず、スケ連の人間だけで襲ってきたのは褒めるべきかしら。フランスはスケーターたちを差し向けるつもりだったみたいだし」
指輪をはめたこぶしを、もう片方の手にぶつけるタラソワ。
「だからスケーターたちは放っておいてあげましょう。スケ連だけ、つぶすわ」
本当はマオの旅行にずっとついていく予定だったのに……タラソワが怒っている。プルがブリザードなら、タラソワは迫りくる雪崩だ。
さらばフィンランド。君たちの蛮勇は忘れられることはないだろう。
405スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 01:33:26 ID:1kO6BJv2
ところでなんで腹が減っただけでADSLが宇宙船のプルの部屋にいるのか。
それは、また大輔が勝手に部屋の模様替えをしないように見張っているよう言われた訳だが。
「模様替えコワイ模様替えコワイ模様替え………」
「……駄目だこりゃ」
当面は一人でも問題ないらしい。

「ドリアン君!ちょっと部屋の模様替えを手伝ってもらいたいのだが」
プルシェンコの声だ。『模様替え』という言葉にビビって涙目になる大輔。
「あ〜…行きます。これ喰ってから…」
「エレーナ達のいる部屋に行ってくれ。そこを皆の居心地の良い部屋にしたいからね。」
「う〜い……」
怠そうに返事しながら、なんとなく携帯を開いて見るADSL。
そこにはジェレミーのツイッター『現在左主翼で休憩してるなう』が更新されていた。
406スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 01:57:43 ID:mF60KuDb
…というわけで宇宙船の空き部屋が整理され、ランビ宅の修理も一段落して、そろそろカナダへ出発する頃…
「俺達はフィンランドに行こう」と、ADSLと崇彦に繰り返す大輔は、あまりマトモには見えなかった。
「無茶だろダイスケ。俺が乗せて跳んでもいーけど…自爆すると展開がめんどい」
「俺は今すぐでも行きたいよ!タカがサポートすれば大丈夫だから!タカも行きたいだろ!?」
「え?そりゃ行きたいし、サウナが楽しみだけど…大ちゃんなんか変だよ」
妙に焦る大輔にADSLはピンと来た。(ユカから逃げたいんだな?)
「アドリアン?ユカさん呼びに行くの!?今は勘弁してよ〜あ〜こんな疲れてる時に顔合わせるのは嫌だ〜」
「ユカはここにいない、さっきジェレミーのツイッターが…」
「え、いないの!?そっか〜きっと帰ったんだ、そうだそうだ、じゃ俺寝るわ♪おやすみzzzz」
「……どーするタカヒコ?俺らだけフィンランド行く?それとも君だけ行く?」
「…大ちゃんに付いてるべきだよね…真央ちゃんも心配だし…カナダに行こうと思う、アリさんに悪いけど」
「またマオを狙う連中が来るかもしれねーな。OK、アンドレイにそうメールしとくから」
「あの、アドリアン、君も一緒に来てくれるよね!?…来てくれる?…よかった!」
苦労人崇彦はADSLの手を強く握りしめていた。眠る大輔は、ユカさんもカナダに向かっているとは知らない…
407スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 12:23:03 ID:IebN29/z
フィンランド、湖畔の森。
キーラ&ラウラは戻って来たし、ヴィッキー、べるるん、信成も来てにぎやかだ。
しかしルタイは、ヌルメンカリの様子の変化に気付いていた。
「ちょっといいか?…俺には言えない話かよ?」
「……いや、いずれ皆に知れるだろうから…」
そしてヌルメンカリは、ついさっき知ったばかりの>>404情報を話した。
それを聞いたルタイもさすがに引きつった。むろんヌルメンカリは悪くない。
「キーラやラウラにはまだ言ってない…」
自国スケ連の暴挙に、当然ショックを受けている。
408スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 12:49:19 ID:1kO6BJv2
「何っ!スイス先回り組特殊部隊が破れただとぉ!!!!」
こちらはカナダ待ち伏せ組。スイス組のような大勢の前に突撃…のようなヘマはしない……だろう。多分。
憎っくきカナダスケ連の人間を気絶させ、一部こっそり入れ替わった某スケ連一行カナダ組。
「なるほど…これで連中に怪しまれずに近づける、という寸法ですね」「幹部様あったまいい〜」「いかす〜」
「うむ!今の作戦は成功したが、問題はこれからだぞ、諸君!我々の『おもてなし』はこれからだ!」
409スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 14:51:56 ID:YdhYSDZD
「きゃー2人とも煙臭ーい!」ヴィッキー達が騒ぐ声。
ドボン…「うひゃー!」「冷たーい!」薫製ミハルと薫製Dテンが湖に飛び込み、叫ぶ声。
湖畔にそれらがこだまする中、フィンランド人ぬる麺とロシア人ルタイの間には微妙な空気が流れていた。
ぬる麺はつとめて笑おうとした、
「信じられないよな…でも君が殴り込みをかけるわけじゃない。僕がマオ達を襲ったわけじゃない。
 本当にうちにバカな人達がいるなら、タラソワコーチの逆鱗に触れるのも当然だ、お灸を据えられてよかったのさ!
 僕は…おもてなしの諸経費は支払済だし、自腹を切る事もない。タカヒコは来ないんだろ?でもパーッと使っちまおう!」
…いや、笑えない笑えない笑えない笑えない笑えない笑えないなんだか…
(どうしてこんな事に!?おもてなしの準備などしなければよかったんだろうか、フィンランドは嫌われてるんだろうか)
「…アリペッカ!あんたのせいじゃねーよ!あんたはこんなに色々してくれたじゃねーか…
 これが本当のおもてなし精神ってヤツだと思うぜ、その心意気に感じて俺も手伝ったんだ!」
ルタイが叫ぶ。
「一体どーなってんのか、俺がちょっと見回って来る、タカヒコにも会いに行く。あんたらは動かない方がいいな」
「ああ、こんな時だ、妙な勘ぐりは避けたいからね…だが君にすまない」
「ダチのためさ。それと…あんま気にすんな!」 …ルタイが動く!
410スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 15:11:52 ID:aNwqFpfs
「さてと、…だいたいこんな感じで良いかなぁ」
プルは模様替えを終えた部屋の中を見回した。

皆で詰め込まれた荷物を運び出し、片付けついでに船内から使えそうなものを集めてきて、ようやく部屋らしくなった。
そこそこの大きさの部屋なので、これなら大勢で集まっても大丈夫だろう。
スケーター達は進んで模様替えを手伝ってくれたが、プル一人に任せておくと、
せっかくの新しい部屋が第2のプル部屋化するのを、誰もが危惧したからなのは言うまでもない。

片付けが終わるとさっそくスケーターが集まりだした。
女性陣はどこからか持ち寄ってきたお菓子をつまんで、ガールズトークに興じている。
ランビ宅の片付けや部屋の模様替えで疲れたのか、トラは部屋の片隅で転寝を始めた。
自宅はなんとか片付いたものの、折角のおもてなしが散々な事になったランビは、
まだちょっと落ち込んでいるようだ。

それぞれが思い思いに過ごすなか、いよいよカナダに向けて出発の準備が整いつつあった。
411スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 16:07:16 ID:YpJjsGzd
一方カナダ。
無事にDIVA組も到着しておもてなしの準備を手伝っていた。
しかしジョアニーの獲ってきた新鮮なサーモンもシカも徐々に肉の色が変わり始めていた。
(今日中の到着はまだかしら。
仕方ない。これはみんなの夕飯でいいわね)
手際よくそれらを調理し、DIVA組をもてなすジョアニー。
そしてみんなが食べるのをニコニコしながら見守ると
再び山に入っていった。
412スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 16:44:18 ID:1kO6BJv2
キィーン……… プルが宇宙船の側から空を見上げると、誰かが降ってる。

フィンランドから駆け付けたルタイ。プルは片付いた、スケーター達の新しい大部屋に案内する。
大急ぎでやってきたルタイは、起こった事態 >>404>>409 を手っ取り早く皆に話した。

「…なんですって?!フィンランドスケート連盟が黒幕って……」
崇彦が驚きのあまり硬直している。
「そんな馬鹿な!アリさんのあれだけの働きを潰すような事はしない筈です!きっと何かの間違いだ!」
寝てる場合じゃない、これ以上問題を大きくする訳にはいかないと、大輔も会議に加わっていた。
「…ありえねぇ〜……大体おかしいだろ、あんな変な連中がスケ連なんてさ……マジおかしくね?」
ADSLの言う事ももっともだと、ルタイは頷く。
「ああ。俺も違うと信じたいさ。しかしタラソワコーチが実際に動いているっつーことは…」
「事実の可能性が高いってことか?!……まさか、信じられない………」
「…もう一度状況をよく調べよう。タラソワさんだって間違える可能性はあります。」
大輔&崇彦の先輩後輩コンビが、宇宙船に備え付けのPCを使って状況を纏め始めた。

「まぁ。ルタイ君。カナダに着く頃には事実が分かっているだろうから…まぁとりあえずお茶でも」
こういう状況でも落ち着き払っている皆の纏め役、プルシェンコであった。

ガッちゃんが宇宙船のエンジンを始動させる。次の目的地・カナダに向かって。
413スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 17:18:38 ID:YdhYSDZD
ルタイは落ち着かず、お茶にも手を着けなかった。
「飲まないの、アンドリューシャ?じゃ僕が飲むよ?」
プルは自分で淹れたお茶を自分で飲んだ。
「…ジェーニャ先輩、俺やっぱ、フィンスケ連本部に様子見に行きますよ」
ルタイは立ち上がった。毛皮が殴り込むならそこだろう、もう到着してるかもしれない。
「わかった。ダイスケ、タカヒコ、引き続き調べて何か解ったら彼に伝えて。
 宇宙船はこのままカナダへ向かうけど、何かあれば応援を送る。…それまで食い止められるな、アンドリューシャ?」
「やります!」
ADSLも立ち上がりかけたが、ルタイが制した。
「これはうちの…ロシアのヤマだ。おめーはあの『雪崩』には慣れてねーだろ?w」
ルタイ、再びフィンランドへ。
414スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 19:02:57 ID:1kO6BJv2
「…大ちゃん。『連中』、カナダにもう着いている可能性があるよね」
「タカもそう思うか…。早めにカナダおもてなし組に知らせておいた方がいいかもな」
「おィ……仮にホントにフィンスケ連の連中だったとしても、そうじゃなくっても…奴らが
何かやらかすコトには変わりね〜と思わねぇか?」
ADSLがPCデスクに座る二人の間に割り込んで来た。
「うん」
「危険だな」
「だろぉ?…だからとっとと連絡しちまおぅぜ。え〜っと、向こうにいる奴はぁ…」
「パトリック、ジョアニー…あたりかな」
「よし!やろう!」
三人はスクラムを組むと、カナダのおもてなし組に向かって念を飛ばし始めた。

……届け、スケパシー。
415スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 19:30:12 ID:OoAQccjt
「ジェーニャ、アンドリューシャ1人で本当に大丈夫なの?後から応援送るとしても…」
カナダへ向かう宇宙船の中、ヤナ姐さんがプルに囁く。
「大丈夫、これも計算の内だ」
プルも声を落とす。
「彼の例の件は知ってるね?その為、本当はおとなしくしてた方がいい事も?
 そんな自国選手があちこち跳び回ってる…タラソワコーチはまず説教するだろう」
「まあ…それで時間稼ぎさせるつもり!?」
「彼はステルス使い過ぎでもにらまれてるからね。後は彼がどれだけケンカしてくれるか…」
がんばれルタイさん!
416スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 20:33:37 ID:aYm8Ubgs
『白樺の枝でぶったたかれて湖につきおとされたなう』
女将のようにしずしずとやってきたラウラが冷たいグラスに注いでくれたオレンジジュースを片手に
まだ少しばかり慣れない様子でツイートをするのはDテンだ。むかいでちびちびとワインを口にしていた
べるるんの視線に気づいて、若きスケーターはまだまだ幼さの残る顔を上げる。
「クリストファーさんはツイッターとかしてないんですか?顔本とか」
工学系男子であるべるるん。自らのプログラム使用曲の編曲さえ自分でちゃちゃっと行ってしまうのだ。
しかしべるるんは肩をすくめて小さく首をふる。暑いのか胸元の袷をはたはたと動かしながら、
薄くスライスされたトナカイ肉の燻製をフォークで摘まみあげた。
「僕はあまりそういうのはしないねー」
「でも先輩は日記も更新しなさすぎだと思います!待ってる人沢山いると思うのに!」
キーラやラウラの女将所作を見習ってか、淑やかにヴィッキーが椅子に腰を下ろす。
ヴィッキーに続いてやってきたのは湖に突き落とされたせいでぬれた髪をタオルで乾かすミハルだ。
ミハルもまた携帯電話をいじりながらやってきた。
「なんかヌルメンカリさんしょんぼりしてるから、他の人も呼ぼうって思うんですけど、いいですかね」
ドイツで別れたリンディとアントンとか。ミハルは会ってないが、ロシアで別れたヴォロボロとか。
417スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 21:08:06 ID:YpJjsGzd
豪勢な夕飯でおもてなしされているDIVA組。
冷蔵庫の中にメープルシロップアイスクリームがあったので、ついでにそれもいただいた。
「ねえ。まだジョアニーは帰ってこないの?」
「シカを取りに行くって言ってたけど遅いよね」
「もうあれから2時間経つわね」
「おもてなしってことで数匹仕留めてるんちゃうか?」
「普段のロシェットさんなら30分で2匹は軽いですよ」
やはりただごとではない。
(ジョアニー、どこにいるの?大丈夫?)
そこにいる全員がスケパシーで呼びかけてみるが応答がない。
その上妨害電波が発せられてるかのように、やけに混線気味だ。
スケ力がなくなっているメンバーのスケパシー力の感度が落ちている上に
>>414の3人のスケパシーが混線しているのだ。
その上、ジョアニーの安否に気をとられているため3人のスケパシーは届いていなかった。

「おかしいわ。返事がない」
狩りに気をとられているにしてもジョアニーがスケパシーを聞き逃すはずがない。
全員で顔を見合わせて頷く。
そしてジョアニーが向かった山へ入っていった。
スケ力がなくなっているメンバーが大半。ジャンプで移動も大変なので仕方なく歩きだ。
迷子になっては困るのでバトルがメープルクッキーを目印代わりに撒いて歩くことにした。
418スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 21:08:15 ID:ABeQLSzT
一方のカナダ組
「どうやら真央たちの到着は明日になるらしい・・・」
「それなら今夜は前夜祭よ!」
DIVA組も交え和やかなお食事会が開催される。

「おもてなしは何をするつもり?」
「それは秘密!」
ジョニ子の問いに軽くウィンクをしながら答えるエマ。
「や〜ん、チョッとだけ(はあと」
「じゃあ、ジョニーたちも手伝ってくれる?」
「もちろんよ!」
「それはね〜、『仮面仮装舞踏会』よ!」
「仮面に仮装?」
「そうよ。参加者は男女に分かれてもらうわ。そして事前にこっちが用意したくじを引いてもらって衣装を決めてもらうの。」
「分った!会場でそれぞれのパートナーを探してもらうということね!」
「あたり!しかも、衣装に着替えた後は仮面もするから相手の顔も分らないというわけ。」
「やだ〜!ホントに楽しそう!!」

「・・・・・ほんとうに私たち向きの『おもてなし』だね〜。 (ニヤ」
「え、ええ?」
気づくと和やかな宴のはずが、部屋を見渡すと黒服の男達が参加者を囲っていた。その手には銃口が光っていた。
「今からこの宴は私たちが仕切らせてもらうよ〜。文句は言わせないから〜」
「きゃ、きゃ。いや〜〜〜〜ん!!!!」
DIVAの悲しい叫びがこだまする。

唯一の望みはこの場にジョアニーがいなかったことだけか・・・・




419スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 21:37:26 ID:aNwqFpfs
「あら、嫌だわ。すっかり遅くなっちゃった」

おもてなしのために大量の獲物をゲットしたジョアニー、中でも一番立派な鹿は角も立派で、さすがのジョアニーも仕留めるのに手間取った。
スケ力を全開にしての無我夢中の大捕物が終わった頃には、すっかり夜になっていた。

大量の獲物を手に戻ったジョアニーだが、周辺の空気がおかしい。
なにか邪念のようなものが渦巻いている。
不穏なものを感じ取ったジョアニーは、スケパシーで建物の中にいるはずのメンバーに話し掛けた。
(みんなどうしたの?何か雰囲気がおかしいわ?)
(ああ、ジョアニー無事だったのね!今こっちに来てはダメよ!怪しい奴等が乗り込んできたわ!)
エマのスケパシーが聞こえてきた。
(連中が僕等のおもてなしを利用してマオ達に危害を与えようとしています!ジョアニーさんは早くみんなにこの事を!)
パトリックも真央に危険が迫るのをおそれて必死で語りかける。
(解ったわ。ひとまずこのことをみんなに知らせるわ…後は私に任せて、皆は奴等を刺激しないように大人しくしていてね)

ジョアニーは怪しい連中に気付かれないように、建物から離れると、まずは宇宙船組にむかってスケパシーを送った。
それと同時にジョアニーの頭の中ではある考えが浮かんでいた。
420スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 22:02:54 ID:DQHZRm1+
>>417>>418の間のお話

「あっちょっと待って」
ジョアニーを助けるべく山に入った一同だが
歩いて3分ほどしてバトルが大声をあげた。
「なに?手がかりでもあったの?」
「違うよ。お菓子がもうなくなりそうなんだ」
バトルの手元を見ると目印代わりのメープルクッキーがすでに残り1枚しかなかった。
「…まだ数分しか経ってないわよ?アンタまさか食べながら歩いてたんじゃないでしょうね」
食べながら歩いていたバトルは反論も出来ず
とりあえずニコッとさわやかに笑ってみた。
「あーもうっ!アンタは今日一日お菓子禁止!」
誰かさんの口癖が出るのも仕方ない。
結局再び山を下り(といっても歩いて3分)
その場でジョアニーの帰りを待つことになった。
421スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 22:09:45 ID:OoAQccjt
一方フィンランドへ戻ったルタイ。スケパシーをステルスで発動しながら、スケ連本部を目指す。
(…いた!毛皮…リョーシャ先輩?…KGBもどき!?やっべマジだ!)
夜闇に紛れ、静かに本部を包囲するタラ&ヤグ&KGBもどきは、突如振って沸いたルタイに驚いた。
「…アンドリューシャ、ここで一体何をしているの?」
「自分の立場わかってんのか!?おとなしくしてりゃいいものを…」
じろりと見るタラソワの、詰め寄るヤグディンの威圧感…そりゃ俺は色々と肩身の狭い身だが…
「…俺もロシア代表だって事をお忘れなく。何をやらかすのか教えていただけませんかね?」
「フフン、今は『おもてなし』代表さんね!わざわざ私に説教されに来るとは、いい度胸だわ」
(…クソ、やるか毛皮?喧嘩上等だぜ…今はなんとしても時間を稼がにゃ…)
422スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 22:09:54 ID:/9ZQOLu0
ジョアニーのスケパシーにより、カナダ組が例の一団に捕まった事を知った宇宙船組。

早速大部屋に全員が集まり、緊急ミーティングが始まった。
「連中は武装しているらしい…下手に動くとジョニー達も危ないな」
「あ〜もう!…こういう予感に限って当たるんだから!!」
小塚はジョニ子のスケ力が消滅した事への懸念が的中してしまい、頭を抱える。

「幸いジョアニーは無事でいるし、ここからはジョアニーと連絡をとりながら行動しようと思う。」
プルの話に頷く一同。
「予定では明日カナダに到着だけど・・・」
「敵が待ってるのを解ってて行くなんて、正気じゃねぇぞ!マオをみすみす危険にあわせるようなもんだ!」
「でもこのままカナダへ行かなきゃ、ジョニー達が危ないわ!」
カナダへ行くか?留まるか?スケーターの中でも意見が真っ二つだ。

「・・・ジェーニャ、あなたはどう思うの?」
ヤナが尋ねると、少し考えた後プルは口を開いた。
423スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 22:36:07 ID:aNwqFpfs
「僕は、このままカナダに行こうと思う」

プルの言葉に騒然となる室内。
「でもそれじゃあ、みすみす奴等の思う壷じゃないすか!どうせ行くなら俺達で一気に攻めこんで・・・」
立ち上がったADSLが反論するのを制してプルは続けた。
「もちろん僕達だって黙って言いなりになる気はないさ。マオもジョニー達も君達も、皆大切で大事な仲間だよ。」
だからこそ誰も危険な目にあわせるわけにはいかない。
「そこで考えがあるんだけど・・・」
プルは全員を近くに呼び寄せるとある内容について語った。

「ええ?マジですかぁ?!」驚く一同。
「もちろん本気だよ。そしてこれはジョアニーの考えでもあるんだ。やってみる価値はあると思う」
「・・・大丈夫かなぁ?」不安げにトラがつぶやく。
「やるしかないでしょ!マオもジョニー達も両方守るにはそれしかないわ!」反対に美姫は乗り気だ。
結局他に良い案は出ず、ジョアニーとプルの案を実行に移すことになった。

「それじゃあ、ひとまず明日に備えて皆はゆっくり休んで。今日はここまでにしよう、詳細は明日また話すよ」
と言うことで、会議はお開きになった。

424スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 22:39:51 ID:OoAQccjt
「…あー、みんな…ちょっと聞いてくれないか?実は…」
こちらはフィンランド湖畔。ぬる麺の話に耳を傾けた面々は、仰天して固まった。
一番ショックを受けているのは、むろんキーラとラウラだ。
「ミハル、誰か来てくれるのは大歓迎だよ。ただあまり愉快な状況じゃないけどね。
 スケーターに手出しはしないそうだが…キーラとラウラと僕は下手に動かない方がいい。
 代わりに今、アンドレイが動いてくれている」
「それで、それで私たちは…何か出来る事はないの!?」
「そうだねキーラ…おもてなしプランを練り直したらいいんじゃないかな?
 フィンランドと日本と言えば…ムーミ○を忘れてたよ!ねえラウラ?」
「そ、そうね、湖の前にムー○ンワールドに案内するとか…」
落ち込んだりもしたけど、ぬる麺は割とずぶとかった。父さんは強い!
425スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 23:22:03 ID:aYm8Ubgs
「うわあああ(とぽーん)」「ぎゃあああ(ぼちゃーん)」「このっ、チョーマおまえなにs(ry」「ジェンガマヤー!(ざぶーん)」「キャシー愛してるぜー!(ばっちゃーん)」
「SUITONの術でござるううう!(ざぼーん)」「えっなんで僕まで、うわあ゙あ━━((゜∀゜))━━!!!」「ちょ待っ、勘弁してやー!(じゃぱーん)」
ぬる麺父さんの了解を得て、連絡のついたスケーター達をフィンランドに呼び寄せたミハル。燻されずにいた殿やべるるんも交え、
既に入国儀礼と言わんばかりの燻製白樺湖突き落としコースを行った。
和装のキャシーとヴィッキーは濡れた仔犬のようにぶるぶるする小林やリンディにタオルを持っていく。
キーラとラウラはスケ連のこともあるため不安げだったが、年長者であるぬる麺父さんの提案に従い、観光本を手にしていた。
しかし自国の観光となると案外分からないことも多いもの。
未だジェンガジェンガ唄うボロと、うっかりボロに突き落とされたヴォロを手招きすると、観光マップを広げる。
「ねえ、あなたたちは、フィンランドのどんなところに魅力を感じる?」
「おねーさんたちに教えてほしいな」
おねえさんたちと言ってもそう年齢は変わらないが、女将衣装の二人は、エキゾチックでなんだか色っぽいぞ!
426スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 23:50:04 ID:OkFLxmto
宇宙船で過ごす夜。女子用の部屋で、真央は窓から空を見ていた。
「また、カナダに行くんだ……あれからもうこんなに経ったてんだ……」
濃藍に散らばるきらきらしい星々。見上げる真央の頬に、きらりと涙が流れ落ちる。
「どうしたの? マオ」
「……ヤナさん」
振りかえれば、ヤナが微笑んでいた。真央が涙を手でぬぐおうとするのを制し、そっとハンカチで拭きとる。
「悩み事かしら?」
「え、えっと、そうじゃなくてちょっと……プルシェンコさんのスケート力ってすごいですよね、いろんなものに変身できて!」
「そうね、ジェーニャはよく変身して、皆を楽しませてくれるのよ。スケート力って不思議よね」
ヤナは優しく話しかける。
「好きな自分に、好きなものに変身できる。それこそ何でも」
「私は、まだあんなに変身できないです……」
「そうかしら? マオ」
「え……?」
美しい金髪と全てを受け入れるようなほほ笑み。真央はタラソワコーチを思い出した。
「マオ、女の子はね、誰でも生まれながらに特別な力を持っているのよ。それはね……『なりたい自分になれる力』」
ヤナは囁く。母のように。
「あなたはとってもいい女の子だから、絶対になりたい自分になれるわ。絶対よ」
ヤナはきっと、真央の悲しみの理由をを見透しているのだ。
真央の目に、また涙があふれる。
「…悔しかったのね。でもその涙はとっておいて。女の子が泣くのは、大好きな男の子の前だけなんだから」
ジェーニャみたいな、ね。
そう付け加えて、ヤナはまた真央の涙を拭き取ってくれた。
427スポーツ好きさん:2010/05/18(火) 23:51:12 ID:aNwqFpfs
翌日。カナダのおもてなし会場上空に金色の宇宙船が現れた。

轟音を立てて着陸すると、開いたハッチからスケーターがぞろぞろと降りてきた。
「ふん、何も知らずに」降りてきおったわ!奴等も我々の巧妙な作戦には気付かんじゃろう」
建物の奥で様子を見ながらほくそえむ一行。あの〜、思い切りバレてますが、何か?

「あ〜らマオちゃんいらっしゃい〜♪首長くして待ってたのよ〜♪」
「皆に楽しんでもらおうと思って、一生懸命準備したんだよ!」
出迎えに出たエマとPちゃん。もちろん一行に脅されて出てきたのだ。
「こんにちわ。エマさん!パトリックも準備してくれたのね、嬉しいわ」
にっこり微笑む真央に、非常事態とはいえ思わずにやけるPちゃん。

(計画は聞いたわ。随分と大胆な方法ね)笑顔の裏でスケパシーで会話する。
(本当に大丈夫なのかい?真央ちゃん?)
(皆を助ける為にジョアニーさんとプルシェンコさんが考えたんです。私もそれが一番だと思うから…皆も協力して下さい)
(わかったわ、マオ)スケパシー会話を終了すると、通常の会話に戻った。
「さあ、皆中に入って♪まずはおいしいカナダのお料理からよ♪」
428スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 00:23:15 ID:2iwku+CG
表向き和やかに進むカナダの昼下がりのパーティー
これが終わるといよいよメインイベントの舞踏会。

その様子を宇宙船の中で見守る人物。
大輔、崇彦、ADSLの3人。
3人はプルたちの作戦に参加しつつも、独自の行動をとるためにあえてここに残ることにした。

『」レタイトの連絡を待ちたい』

プルを含めたパーティーの参加者にそう伝えて二つ返事で許してもらえた。

「・・・しかし、意外と面白いこと考えるんだな?お前は。」
「そう?ストレートだと普通だから変化球のが面白いんじゃない?」
「さすがイベントでフォーク投げただけのことはあるな、うん」

宇宙船の基本システムはほとんど把握した。この作戦を他に知るのはプルシェンコのみ!
「あとは・・・・夜を待つだけか・・・・」
3人の思いは唯一つ

絶対に・・・・・勝つ!!!
429スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 00:52:29 ID:wjbmZLC6
一方、フィンランドスケ連本部前では…
(おいおい、寒くなって来たぞ…アンドリューシャ、一体何考えてんだ、正気か!?
 ミーシンコーチの事も考えろ、これ以上手を焼かすんじゃねえよ!俺だってかわいそうだろ!)
リョーシャ先輩は、内心ちょっと泣きそうだった。
430スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 00:52:57 ID:JvBsrmIb

パーティ会場上空で待機する銀色の円盤。
ゴースト…何とかって言う名前だっけ?…ニッポンのSFアニメをたまたま見たジェーニャが
「あれ便利だねぇ!これにもつけようよ〜」とノリと勢いだけでつけてしまった光学迷彩のおかげで
こうして上空に浮いてても、例の一行には存在を気付かれない。
思いつきもたまには役に立つものである。

「これで第一段階は成功。ね」モニターで全体の様子を確認するヤナ。
「上手くいくかなぁ…」操縦席で不安げながっちゃん。
「正直私も思いついた時は不安だったんだけど…でもそれを聞いたらむしろあの人面白がってたわ。本当に不思議な人ね。でも彼なら上手くやっちゃう気がするわ。」
合流したジョアニーは自信を持っていた。いやむしろ女の勘というやつか。
なんだか面白いものを見るようでとても楽しそうだ。

「ええ、彼ならきっと上手くやるわ。私たちも準備開始よ。アーチャ、例のあれを用意して」
「はい!」
ガッちゃんは、操縦席の下に隠していた小さな包みを取り出した。プルからの指示で使う予定だ。
「さあて、悪い子にはきちんとお仕置きしなくっちゃね♪」
なんだかヤナさんもとっても楽しそうだ。
431スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 01:13:53 ID:Y8H7Q1EJ
「フィンランドといえばムー○ン? 丸ごとム○ミンの世界になってる島があるんですよね♪」
そう言いながらボロは懐から小型のジェンガを取りだした。肩を揺らしながらブロックを一つ抜きだす。
「そうね、アリもそう言ってたけど……。……駄目だわ、今の季節、彼らは冬眠しているから、島に案内することは不可能よ……」
ボロにつられるようにして、ラウラが袖を持ちつつブロックを抜いた。○ーミンワールドが開放されるのは六月からだ。
「ここはシンプルにグルメツアーとかどうだ……?(つかチョーマはいつまでこのネタ引っ張るつもりなんだよ)」
ヴォロは腕を組み、あくまでジェンガに参加しない意向を示した。が、キーラに「あなたの番よ」と言われてしまう。
「グルメツアー!それはいい考えね。ヘラジカのコケモモソースがけに、獲れたてのザリガニ料理!きっとみんな喜ぶわ」
ぽん!と手を叩いてキーラが美しい笑みを浮かべる。そんな四人の輪に、次々とスケーターたちが加わっていく。
「美味しいものを食べたら、運動も必要じゃないか?」リンディが提案すると「エアギター大会!!」小林がギターをかき鳴らすまねをする。
「エアギターになら多少自信はあるよ」そう言うのはさるストックホルムアイスであらぶるエアライブを披露したべるるんだ。
「ダンスフロアやパビリオンがあるって聞きましたけど……」お隣スウェーデン美女枠ヴィッキーがそう言うと、
「shall we dance? キャシー」「もちろんよ、ハビエル」キャシーとフェルなんですがいちゃいちゃしはじめる。
「あら!ちがうわ二人とも。そういう時はね」「Saanko luvan?って言うのよ!」
立ちあがったキーラとラウラが、Dテンとミハルの手を取ってダンスに誘う。

そんな微笑ましい情景を、ぬる麺はひとり、少し離れた場所で見ていた。
自分はここから動かないほうがいい。ルタイにもそう言われた。でも、……!
「アリさん、……行くのなら、僕も行きます」まるでぬる麺の思考を読んだかのように声をかけてきたのは、殿だった。

若パパトリオ、結成なるか!?
432スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 01:13:57 ID:8u/jN/qO
「おい、なんだか数か少なくないか?」
パーティーに参加するプル達の様子を伺っていた一行が気付く。
「そういえば、前はもっと大勢いたような気がするんだが…?」

(いけない!連中に気付かれないようにしないと)
様子を察知したエマが、プルに何気なくを装って話し掛けた。
「あらジェーニャ、貴方の素敵な奥様や弟分の彼はどうしたのよう?」
「実はアーチャがおなかが痛いって言うから、ヤナが付き添って近くのお医者さんに行ったんだ」
「まあ大変ね、気をつけないと!」
「そういえばタカヒコ達も急用ができたとか行って帰っちゃったんだよねぇ」
「あら〜残念ねぇ。皆もおもてなししたかったのに」
わざと隠れてる連中に聞こえるように話すプルとエマ。

「そうか!数が少ないのはそういうわけか〜数が減ってワシらもやりやすいわ〜!」
「ホントですね〜幹部殿〜!」すっかり信じ込んでる一行だった。
単純すぎるぞ…おまえら…
433スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 01:46:30 ID:LA2BPDTx
…そして遂に彼等の手によって真央は捕えられた。

彼女は某スケ連の用意した黄金の玉座に座っていた。ちなみに着せられた衣装はル○ンのク○リスである。
幹部達その一行は勝利の美酒に酔い、飲めや歌えの大騒ぎで祝杯をあげていた。

…とその時。反対側にある扉が バンっ!!と開かれ…… 『真央』が現れた。
呆気にとられる全員。そう、玉座に座っていたのは、美姫が化けた真央だったのだ。

「…なりたい自分に、今はなれる。そう、皆の力で。…私、マオ・アサダは…本当の世界チャンプになってみせる!」

大輔、崇彦、ADSL。プルの宇宙船の光学迷彩で静かに潜入し、突撃の機会をうかがっていた三人……
三人は宇宙船の「黒い光」によって格段にパワーアップしていた。
その三人の『スケート力』が真央に集中し……彼女の身体は光り輝き始めた。そして遂に。

   伝説のスケート戦士、『アクセルマスター』と化した。

今だ。Pチャンは今度こそ良い所を見せるべく全力を出す。
『開きっぱなしの瞳孔からの眼力』フラ〜〜ッシュ!!!
それをモロに見てしまった人間は、両眼を覆って転げ回った。
「目が〜〜〜あああ〜目がぁああああああ(涙)」

真央の柔らかな美しいスパイラル。3A。3A-2T。彼女なら当たり前のジャンプが敵全体を襲う。
更に大輔&崇彦&ADSLが交互に無敵と化した彼女を6、いや7回転スロージャンプし、敵味方問わず襲いかかった。
凄まじい真空の刃が会場全体を襲う。

「真央、やりすぎやりすぎ!もういいよ!!もういいってば!!」

未来の悲鳴も、彼女と三人には届かない。
434スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 02:39:45 ID:LA2BPDTx
崇彦の超4T。ADSLの超イーグル。大輔の超ストレートラインステップ。
「黒い光」でパワーアップした三人の得意技が合成され、会場は更に恐ろしい異空間と化しつつあった。

「こ、これは…この力はちょっと予想外…みんな、各自用意はできてるね?」
こんな状況でもプルは落ち着いて皆に指示する。
435スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 03:19:33 ID:IkudJ1xB
時間は少し遡る。
「全く……何で俺らが人質担当ッスか、ロロ師匠」
殺風景な小部屋の中。ジュベールが、隣に座っているロロに愚痴る。
「まあ分かるがな。真央のゴッドファーザーで、プルシェンコも一目置いとるワシを
いざという時の脅しに使えば、あの二人の動きを封じられる、と。全く、汚い奴らや」
「しかもあちらさんには好都合に、スケ力もなくしてて戦えへんし」
ジュベールがため息をついた。
「もう夜か……こうしちゃいられんわ、真央が危ない」
「あかん、師匠! 奴らは銃を持っとる!」
部屋の外には、拳銃を持った見張りがいるのだ。
「だからって、このままじゃ済まされへんで」
低く言いながら、ロロは引き留めようとしたジュベールの手を払い、立ち上がった。
そして息を整えると、右手を大きく回すように、左腰へ当ててポーズを取る。
その手がさっと振られた瞬間、ジュベールの耳には確かに金属音が響いた。
(剣が、見える……?!)
掲げた右手に握られていたのは、銀色に光るレイピア。
(そんな……スケ力もないのに、無理やり“ダルタニアン憑依”を?!)

部屋のドアが、中からガタガタと揺さぶられる。見張りの男が「うるさいぞ!」と言いつつ
拳銃を手に細くドアを開け……次の瞬間、喉元に切っ先を突きつけられた。
「銃を捨てろ。この間合いなら、剣の方が早い」
“ダルタニアン”の恫喝に、男はひぃっと悲鳴を上げて銃を取り落とす。
「そんな物、どこに隠していた!」
「さあな」
男が次に見たのは、伝説の銃士の不敵な笑みと、目の前に散る火花だった。
436スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 03:22:02 ID:IkudJ1xB
見張りを殴って気絶させると、ロロは彼の後輩を振り向いた。
「どないした、行くで。さすがにスケ力なしで長くは保たんわ」
手の中の剣は、少しずつ薄れて消え始めている。
「そ、そやな、他の見張りが来る前に、どこかへ隠れんと……」
だが折悪しく、彼らが廊下に出たとたん、「他の見張り」が押し寄せてきた。
「動くな、貴様ら!」
先頭の、特にガラも頭も悪そうな男が、拳銃を天井に向けて発砲し……
屋内なので、跳弾がスケーター二人をすれすれで掠めた。

「……何すんや危ないやろてめぇこのーっ!」
ブチ切れたジュベールの4Tがそいつをなぎ倒す。そして息もつかせず2T、4S、4T!
彼が事態に気づいたのは、見張りたちが文字通り、1コンボで一掃された後だった。
「へ? あ、あれ? スケ力回復しとる!」
ヤグの例でも分かる通り、「生命の危機」でもスケ力は回復する。
「さすがやな! じゃあ、隠れたりせんで、このままお姫様の所へ向かうか?」
会心の笑みを浮かべたロロの手には、先程消えたレイピアが、再び輝きを放っていた。
437スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 09:18:16 ID:8u/jN/qO
暴走をはじめかけた三人を止めるには…それぞれのスケ力をフルパワーで使った技で抑え込むしかない。
「それじゃあみんな始めるよ!」


クレオパトラ化した美姫が。
ぁゃιぃ日本語入りカンフー服+本日ハチマキのトラが。
王子様スタイルで華麗にスピンを放つランビが。
プルの声で一斉に各々のスケ力を駆使した技で三人を封じ込めにかかる。


その様子を見ていたジョニ子
「アタシだって…スケーターの一人よ!黙って見ているだけなんて!」
強い思いがスケ力を呼び起こす。
見る見るうちに翼をイメージした白い衣装に頭には薔薇の冠をつけた姿になった。
「ジョニカ!力が戻ったんだね!!」
「そうよ!私はDIVAなんですもの!いざという時に華麗の活躍するのよ。…ねぇ、その格好なら一緒にアレやらない?」
ニジンスキーの衣装になっているプルを見て、ジョニ子は微笑んだ。
「良いよ、久しぶりにこれ着てるしね。」
「じゃあやるわよ!華麗な技の共演よ!!」

薔薇冠ジョニ子と薔薇の精プルから放たれる薔薇の花弁と棘が、嵐の様に吹き荒れた。
438スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 10:05:31 ID:LA2BPDTx
暴走を続ける真央+三人。美姫やトラ達はギリギリな所で必死に対抗していた。

…最早戦闘からは蚊帳の外にされてしまった某スケ連幹部とその一行。
彼等は部屋の角で尋問を受けていた。ここぞとばかりに張り切る、オペラ座の怪人Pチャン。
「お前達はフィンランドスケート連盟なのか?!それともその名を語った偽物なのか。どっちかはっきりしろ!」
「はあああ??フィンスケ連??…儂等と何が関係あるというのだぁ〜!誰が嘘を吹き込んだのだぁあ!」
「自分はちがいます」「おれそんなこと言ってません」「自分も」「俺もです」「あたしも初めて聞きました」
「……。という事だぁ!勝手に思い込んどるのは貴様等だろうがぁ!!」
   ビシッ!! 決まった、儂。
「じゃ、聞くけど。本物のフィンスケ連は何処に?」冷静にPチャンが質問した。
439スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 10:13:24 ID:m4aI1gS3
 薔薇の花が舞い散る『おもてなし会場』
しかし、この混乱こそがスケ連幹部の狙いとは誰も気づくことはできなかった。

「・・・・・今本国からタラソワがスケート連盟を包囲したようです!」
「掛かったか!まさかわしらの正式名称が『世界女の子好き連盟』
略して女(スケ)連とは思うまい!」
(余談だが略称が日本語なのは創設者が日本大好き人間だったからが、というのが有力な説らしい)
「この混乱に乗じてカワイ子ちゃんは片っ端から拉致るのだ!」
「了解!」

「・・・・・おかしい」
収束していく混乱の中で崇彦は違和感を覚える。
倒して転がっているはずの幹部の数が明らかに減っている。
いや、明らかにパーティーの人数が減っている!
まさか嵌められた?
ふと、目の前を手を引かれた未来が横切る。手を引いていた相手は・・・
「なに『俺』になってるんだよ!」
下手な変装で自分に成りしました幹部を一発かまして未来を取り戻す。
「え、ええ!」
驚く未来、しかし倒れた幹部の顔と本人の顔を見て納得する。
「何だ〜びっくりした〜。いつもより顔が3倍大きいから変だと思ったの!」
「気づいてよそれくらい・・・」

その時周囲が白い煙に覆われる。

「ヤバイ!」
二人は会場の外に逃れる。

すると、会場の建物ごと地上を離れていくのが見える。

「ええええ!!!!」
「なにその展開!!!!」

呆然と空を見上げる二人。
建物ははるか上空に飛び立ってしまったのである。

440スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 10:31:36 ID:m4aI1gS3
黒幕さんの招待を『世界女の子好き連盟』
略して女(スケ)連にさせていただきました。
よろしくです。

あと会場がドッか行っちゃいましたが、目的地はお任せいたします。
残された二人はなんとか移動はできるので無問題です。
(上空にヤナさんとガっちゃんもいるし)
441スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 11:57:31 ID:JvBsrmIb
大輔は監禁された部屋の中で吐き捨てるように言った。
女連により上空を浮かんで何処かへ向かうパーティ会場。
女性スケーターと男性スケーター別々に引き離されて閉じ込められたので、お互いの無事の為にも下手に動けない。
「女の子たち大丈夫かなぁ・・・クスン」
すっかりしょげているランビだった。
「とにかく今は動けないのは確かだ。ここはひとつ対策を考えないと。・・・あれ?ジェーニャとジョニーは?」
「ほんまや・・・そういえばここ連れてこられてからあの二人見てへんで?」
首をかしげるロロとバトル。

一方その頃。
「アタシ達の美しさに魅了されたのいいけど、あいつ等バカなんじゃないのぉ?」
「まあ、結果的にだけど潜入できて良かったじゃない」
女子が集められている部屋の片隅でひそひそと囁く、プルとジョニ子。
中性的容姿が幸いして(?)誤って女子部屋に入れられてしまった二人だったが、これ幸いとそ知らぬ顔で潜伏していた。
もちろん他の女子スケーター達は解っていて知らない振りをしている。

「間違えられついでに、もうちょっと変身は完璧にしておこうかな?」
プルは見張りに気づかれないように、こっそりと次の変身を行った。
その姿は・・・そう、あのプルシェン子である。
442スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 11:57:37 ID:Y8H7Q1EJ
チャッキーが違和感に気づいたのは、パーティー会場が飛び立つ少し前のことだった。
部屋の隅ではオペラ座の管理人Pちゃんが張り切って幹部達を尋問している。活躍に目がきらっきらしている。
そしてその違和感に気づいたのは小塚やチャッキーだけではなかった。
「ケヴィン、おかしい。ファヌフ姐さんがいない」
「コストナーさんやエレーナやエレーヌもいないんだ」
「どうしよう、ユカがいなくなっちゃったなう……!!」
携帯電話片手にアボットが顔を真っ青にしている。その表情は今にも泣きそうだ。
その時、パーティー会場が飛び立つ。あわてて会場から飛び出した三人。まだ中には、
暴走する大輔+ADSL、それを食い止めようとするジェーニャたちが残っている!
未来と小塚は寸のところで脱出していたが、最早どうすることもできない。
と――――――
「……ユカ!?ユカのスケパシーが聞こえる!」
アボが声を上げる。聞こえてきた方向に視線をやると、小さな航空機が東へ東へ向かっている。
「他のみんなもあそこにいるの!?……エレーヌたちのスケパシーも聞こえた!」
「くそっ、あの会場はフェイクかよっ!」
Jテンが悔しげに地面を踏みしめる……航空機には追いつけない。そう思ったのは一瞬だった。
「ジェレミーたち、行こう。僕たちで彼女たちを助けよう!」チャッキーがJテンとJアボの
腕を掴む。顔はやっぱり眠たそうだったが、Jテンはチャッキーに掴まれた腕から、不思議な力が
流れ込んできていることに気づいていた。
Jテンのスケカが覚醒する。「あの航空機はまかせて!」小塚と未来にそう言うや否や、三人は跳んだ。
443スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 14:23:52 ID:fqtAAEUs
一方フィンランドスケ連本部前。ルタイはタラソワの説教に延々と耐えていた。
説教の内容は、例の件からステルス乱発自重、衣装の柄とどーでもいー事にまで渡った。
夜が開ける頃には…2人の周囲だけが、タラソワ怒りの豪雪地帯になっている。
(マオを襲うものは私が許さない!)だったらさっさと殴り込めばいいのに、彼女も人だ、
時に理不尽な事もする。ルタイの横槍でタラソワの怒りは、まず彼に向けられたのだ。

待機中のKGBもどき達は、遠巻きに見物したり、ピースピースしながら記念撮影してうpしたり、
雪合戦したり、焚き火でマシュマロを焼いたり、寝袋に入ったりと思い思いに過ごしていた。
ヤグディンもマシュマロ食ってさっさと寝るつもりが…そう出来ずにハラハラと見守っていた。
(アンドリューシャ、お前バカか?凍り付くぞ、そして雪崩が起きる…耐えるつもりか!?)

ルタイは腰まで雪に埋まり、頭にも肩にも雪を厚くまとって歯を食いしばっている。
ロシア人の中でもスケーターでなければ耐えられない…いやスケーターでも酷な状況だが、
実はこれがルタイの思う壷である。なんとかここまで食い止めた。が…これ以上持つか…?
「…おっしゃる通りです…で、あなた方はこれから…フィンスケ連を見せしめに潰そうってんですね?」
タラソワが怒りにまかせて一気に言いたい放題言いまくり、一息ついた頃、やっとルタイが口を開いた…
444スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 15:15:14 ID:fqtAAEUs
ルタイの言葉に、タラソワの眉がヒクッとした。構わずルタイは続ける。
「…どこに黒幕だという証拠が?アリペッカ達は何も悪くない!」
「だからスケーターには手を出さないと言ってるでしょう!」
楯突くルタイに、タラソワの怒りは猛吹雪と変わる。
「すでに彼らはショックを受けてます!…あんた方、アリペッカの森を見たのか?
 あんなに心を砕いて、おもてなし準備をしてんだよ!」
「おもてなし?無駄な事を…フィンランドはとっくにマオ誘致失格です!」
「マオじゃありません、タカヒコを…」
「は?…タカヒコ?………ちょっとリョーシャ!一体なんのつもり!?」
ヤグディンが、タラソワの豪雪と強風をさえぎるように、ルタイの前に立っていた。
「…俺もあんたに動かされてここに来たが…今はコイツの言い分を聞くべきだと思う。
 スケ連を潰されたら、スケーター達には大打撃だ、そう簡単な話じゃない…」
思わぬ動きに、タラソワの豪雪が止んだ。その時…

「みなさん、話し合いの最中に失礼…僕も入れてもらえますかね?…
 …フィンランド代表として!」…ぬる麺が来ていた。信成も。
445スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 15:21:11 ID:fqtAAEUs
(…ヤバイから動くなと言ったはずだぜ、アリペッカ…)
ルタイはあきれて、しかしにっと笑いながらぬる麺を横目で見た。
(ジェーニャからスケパシーが来たんだ、代わりに応援頼むと。遅くなってすまない)
ぬる麺の後に付く信成は、万一の際飛び出すつもりでいたが…(寒!ってか、痛…)
フィンランド人ぬる麺は、この痛いほどの寒さになんとか耐えている。いや…
「…それともみなさん、遊びに来てくれたのかな?歓迎しますよ!」
ぬる麺と信成の背後から、べるるんら訪フィンランド中のスケーター達が現れた。
Dテン、ミハル、クリスなどは、まだ白樺の枝でふざけ合っている。
(おや、みんないつの間に!)ぬる麺の顔もほころんだ、そして高らかに告げた、
「…ようこそ、フィンランドへ!」

…光が、いつの間にか豪雪を消していた、それは…フィンランドの太陽、春の訪れ。
タラソワの毛皮にキーラとラウラが触れると、それはするりと脱げて彼女らに預けられた。
「ご案内いたします、さあ、お手を…」
ぬる麺にエスコートされるタラソワに…ついに笑顔が戻った。
湖畔へ向かう道には、次々に草花が咲き乱れる。それらは幻想なのだろうか?なぜなら…
スケーター達が通り過ぎた後、それらは消えてしまったから…ムーミ○の目覚めは6月だ。
446スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 15:34:06 ID:8u/jN/qO
おもてなし会場が飛び立った後、呆然とする未来と小塚。

「どうしよう?!これじゃあ皆連れてかれるわ!」
未来の声に小塚は我に返り、ジャンプして追いかけようとするが、先ほどの暴走で激しくスケ力を消耗し、
ほんの少し飛び上がってすぐに地面に倒れこんだ。
「くそっ!何でこんなときに!!」
このまま皆が連れ去られるのを見るしかないのか?愕然とする二人だったが。

(タカヒコ、ミライ!大丈夫?)
(ジョアニーさん?)
(二人とも大丈夫ですか?すぐにそっちに行きますよ)
二人に届くスケパシーはジョアニーとガッちゃんのものだ。
すると何もないように見えた上空が揺らぎ、そこから光学迷彩を解除した円盤が姿をあらわした。
二人の傍に着地すると、中からジョアニー・ガッちゃん・ヤナが出てきた。
「ヤナさん・・・すみません、僕たちだけが・・・」
「仕方ないわ。まさか連中がこんな仕掛けを用意していたなんて、予想できなかったんですもの」

「まずは宇宙船に戻りましょ。貴方もそのままでは動けないでしょ?」
ひとまず5人は円盤に乗り込み、宇宙船へと足早に戻った。
447スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 16:17:50 ID:JvBsrmIb
「幹部殿!出発しました!」
「そうかそうか、美しい女の子たちは早く我が国に連れて行かねばな!」
ユカさんたちを乗せた小型機が出発したのを聞いて、ほくそ笑む女(スケ)連幹部。

「あと残っているのはマオちゅわ〜ん(ハァト)とミキ・アンドウか」
スケ力の暴走後ぐったりしている真央と、彼女を抱きかかえながら幹部を睨みつける美姫。
「かわいい真央ちゅわ〜ん(ハァト)もいいが、気の強いミキちゅわ〜んもいいのう。」
下心丸出しである。
「さあ二人はこの後特別機で一緒に行こうね〜〜…ん?あそこにまだ残ってるのか?」
部屋の隅でうつむいてる二人の人影に気がつく。

一人は黒髪のショートカット。もう一人は金髪で、背中のぱっくり開いた、赤いフリルのスカート付の衣装を着ている。
「おじょうさ〜ん(ハァト)お顔を見せてごら〜ん」
幹部が猫なで声で近づくと、金髪の女性が顔をあげた。

真っ白な肌に薄い唇、うるんだ上目遣いのアイスブルーの瞳が、見上げていた。
448スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 16:34:37 ID:Y8H7Q1EJ
「さて。一体どういう事なのか、説明してくださるかしら^^」
得意のアボットは繰り出せない状況ではあったが、ユカさんは強気だった。東へ向かう小型機内である。
縄で縛られ身動きが取れなくてもなお、共に拉致られた女子達の矢面に立ち、あの笑顔を浮かべ、
幹部たちを見やる。その姿は敵陣にあっても余裕綽綽という風情で、一部の幹部たちは戦慄していた。
笑顔が怖い。超怖い。しかし、機内でも一番のお偉方は、その笑顔から滲み出る気迫に気づいていなかった。

「貴女達は、我が女(スケ)連の本部にご招待致しますよ。何、不安に思うことは一つとしてないのです
 こちらの身の安全上、今はこうして乱暴な措置を施してしまいましたが……我が女(スケ)連本部は、
 素晴らしい所です。露天に家族風呂、ジャグジーに温水プール、サウナもあるし、エステだって完備している。
 私達は女性を輝かせることを第一に考えている……世界の真央が温泉旅行で疲れを癒すのなら、我が女(スケ)連の
 本部に来て貰うべきだと判断したのですよ。そのために、某国のふりをさせて貰った……真央や美姫達もほどなくして来るでしょう」
お偉方の幹部はそう言って、瞳を細める。目もとの笑い皺がくっきり刻まれる。

その時だ。小型機を衝撃が襲った。立っていた幹部達がバランスを崩す。
「報告!右翼と左翼に人の姿がありますッ!……これは……男子スケーター!?」
「何ッ!?振り落とせ!我が女(スケ)連に男はいらんっ!女の子をより美しく輝かせるのが我らの理念!」
「ユカァァァア!無事ですかっ!?」「ジェレミー^^こんな所までどうやって来たの?どうしてそれを本番でいk(ry」
「ファヌフ姐さん!今助けますから!ケヴィンも一緒です!」「ジェレミー、ケヴィン!助かったわ!」
「エレーネ、エレーナ、コストナーさん、ご無事ですか!?」「心配ないわケヴィン」「大丈夫よ、危害は加えられてないから」「うーうー(さっきの揺れで舌噛んじゃったんだよ!)」

氷上のプリンス達の登場に沸く機内。しかしそれらを留めたのは、ユカさん^^だった。
「女(スケ)連の幹部さん達……彼らを機内に入れて頂戴^^貴方方がそこまで言うのなら、行きましょうか^^ 本部とやらに」
449スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 16:55:23 ID:m4aI1gS3
ジョニ子とプル子の前に女(スケ)連幹部がの男が立ちはだかる。
「今よ!」
二人が男に飛び掛る!
「おっと!」
男はそれは軽くかわし、銃口を向ける。そして
「君達には『女性』の成分が足りないね。」
にやりと笑うとためらいなく引き金を引いた。

「いやyyyっやあああ」
飛び出したのは弾丸、ではなく桃色の光線。
その光を浴びた二人はへなへなと座り込んだ。
「どうだい?気分は?」
「やだ・・・なんだか・・・」
「・・・!!!!あ〜〜!!!体に力が入らない!」
「我々が開発した『女性ホルモン』を活性化させる光線。
『男性ホルモン』を抑える効果もある。お気に召したかい。?」
「くっ!!」
「他にもいろいろ効果があるけどこれ以上は秘密なんでね。
では、楯突いた罰として君達には真央たちと別の特別便に乗ってもらうよ。」

作戦失敗か・・・・しかし、まだ諦めるわけには行かない!
女性陣が次々と連行される中、形勢逆転を狙いひたすら幹部達を睨み付けた。




450スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 18:36:23 ID:8u/jN/qO
男子スケーター達の監禁されてる部屋。
「おい、あの飛行機は・・・!」
窓から様子を窺っていたトラはさっきから小型機が幾度か出発しているのに気づくと、周りのスケーターに声をかけた。
窓辺に集まって凝視するスケーター達。
よく見ると飛行機に女性が乗せられている・・・真央と美姫だ。
「まさかあれに真央を・・・くそう!!」再び怒りが沸いて来たのかロロは部屋を飛び出そうとする。
「フィリップ、下手に動いたら彼女たちが危ないよ!あれからジェーニャとジョニーもどうなったか・・・」
ロロを制しながら同じく窓の様子を窺っていたバトルの視線が一点に釘付けになる。

後手に縛られて歩かされている二人の人影。
真央達と別の飛行機に乗せられようとしているのはジョニーと・・・あの金髪の少女は!!!
「僕の・・・白いエルフ・・・なんてこった!!」
呆然とした後すぐに全身がわなわなと震え始める。
全身に煮えたぎるエネルギーは、フォンデュ祭りを潰されたランビの怒りのさらに上を行った。

飛行機の扉が締められようとしたその瞬間。
「エフゲェェェニヤァァァァァッ!!!!!!(ガッシャーン!!!!)」
「うわっ?!何だ」
二人に銃を向けていた男が振り返った次の瞬間3Aの一撃をくらってのけぞる。
怒りパワー(と愛の力?!)でスケ力復活+パワーアップしたバトルが窓をぶち破り、鬼の形相で飛び込んできた。
そのままの勢いで飛び上がりかけていた小型機の扉をぶち破り中に突入した。

(バァァァァァン!!!!)←ドア破壊音
「何だお前は!!」
「その子を放せぇぇ!!」
「ジェフ!」
「ちょっと!アタシの心配もしなさいよっ!!」
「うわ〜やめろ!操縦がぁぁ!!!」
無敵状態のバトルが大暴れして、パニック状態の小型機。
離陸したとたんにバランスを失い、どこかへと落ちていってしまった

残された男子たちはあっけに取られたまま、見ていることしかできなかった。
451スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 20:14:56 ID:JvBsrmIb
「この野郎!よくもジェーニャ…とジョニーを!!」
「うわ〜ん!ごめんなさ〜い!」
「俺たちは幹部に言われただけなんです!」
「何を言うか!儂だってさらに上層部から…」
「あ〜うるさい!言い訳は聞きたくない!!」

名も無き小島。2人を連れ去ろうとした一行はバトルの大暴れにより飛行機は不時着し、今は全員まとめて木に縛られていた。
「ジェフ…なんかすごいわね」
「時々人が変わるのよねぇ…」
その様子を眺めながらひそひそと話すジェーニャとジョニ子。障らぬ神になんとやらだ。
「さっさと2人を戻す方法を教えろ!でないとこれでお前等を撃つぞ!」
「ひえ〜それはやめて〜!!」
幹部から奪い取った先ほどの光線銃を構えるバトル。
「戻す方法は儂も知らん!知っているのは儂らの本拠地にいるあの方だけだ!」
「何だって?」顔を見合わせる3人。
「本当だ!嘘はついとらん!だからそれを使うのだけは〜!」さっきの余裕は何処へやら、大泣きする幹部だった。
あまりうるさいので、さっきの仕返しついでにジョニーとジェーニャが拾った木の枝でポカポカと叩きまくって全員気絶させた。
452スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 20:41:28 ID:SXZkXvI3
「とにかく元に戻るためには本拠地に移動しないと」
「そうだね、この光線銃は持っていこう。でも……どうやっていこうか?」
話あうジョニ子とバトル。
「私、4T飛べそうにないわよ。ジェフが運んで。ジェーニャは4回転禁止だし」
「で、でも僕も……」
<がささらなかった4Tを飛べた経験はほとんどないバトル。不安げである。
「ところでジェーニャは何をしているの?」
白いエルフは不思議な姿勢をとっていた。片手で片方のつま先をつかみ、そのままそ〜っと頭上に上げて……
「び、ビールマンポジション!?」
「ジョニー、ジェフ見てー。女の子っぽくなったらできちゃった〜」
「今すぐやめなさいよ! あんた腰も悪いんでしょうが!!」
その場でジョニ子からビールマン禁止命令が出された。
(これ以上女の子っぽいことされたら、DIVAの立場がなくなるわ!!)
「あ、あの……カナダに戻ろうよ、多分そんなに離れてないから飛べるし……」
がみがみ叱るジョニ子にバトルが声をかけるが、バトルが飛ぶ必要はなくなった。金色宇宙船がやってきたのだ。
453スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 20:52:02 ID:8u/jN/qO
気が付くと飛行機の操縦席で何か音がする。
見てみるとナビゲーションがある一点を示して点滅していた。画面を見たバトルが気付く。
「ねぇ、もしかしてこれって連中の本拠地の場所じゃないかな?」
「まあ!それじゃあここに皆が連れて行かれてるんじゃ?」
「その可能性は高いわね…それに、ここから結構近いわ」
これで連中の手がかりが一つ増えた。

「そうだわ…ねぇジェフ、そのナビゲーションと、気絶してる人の服とサングラスを取っておいてくれる?」
「良いけど、一体どうするの?」
「もちろん後で使うのよ。さあ、ひとまず宇宙船に戻りましょう」
白いエルフは、宇宙船から発した七色の光に吸い込まれながら、バトルにウィンクして見せた。
454スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 21:19:36 ID:Y8H7Q1EJ
コストナーさんはしょんぼりしていた。血が出るほどではなかったが、思い切り舌を噛んでしまったのだ。
女(スケ)連が何を目的としているのかイマイチわからなかったが、何か美味しいものでも御馳走して
貰えると思って、内心わくわくしてたのに!美味しい食べ物は、口内環境から!美味しく食べられないのは
つらい。とってもつらい。

ユカさん^^のプレッシャースマイルに白旗を揚げた女(スケ)連の幹部達は、その指示通り、救助に
やってきたチャッキーとJテンとアボットを機内に招きいれた。女子達を縄から解放する代わりに、
男子三人の自由を奪う。Jテンが不満げに何かを口走ろうとしたが、チャッキーが止めた。
「我々は、可愛い、美しい女性が大好きなのですよ」
再び幹部が演説を始める。
「世界女の子大好き連盟は、輝く女性を応援しています」
(まるで洗髪料のキャッチフレーズみたい)グレボワのスケパシーがスケーター達に広がる。
どうもお偉方幹部は話が長いタイプらしい。しかも、話始めると自分に没頭するようだ。
その隙をついて、スケーターたちはスケパシーを使い、今後のことを話し合いはじめた。
455スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 21:47:37 ID:a7ntjKjJ
宇宙船の部屋の中で伏せっている崇彦。
隣には未来が付き添っていた。
「・・・だいぶ落ち着いた?」
「体の方わね・・・・」
そういってまた目を閉じる。
スケ力をアップさせたまではよかったが、敵を倒していくうちに、あまりの調子のよさに我を失ってしまった。
それが今回の敗因。
「・・・・ごめんな・・・」
「もう、いいよ・・・・あんまり言うと・・・・私まで辛くなっちゃうよ・・・」
「俺達・・・いや、少なくとも自分が冷静さを保てていたら・・・・もう少し・・・みんなを・・
でも、もうくよくよ考えるのはやめるよ。だって・・・君を助けることが出来た・・・」
「うん・・・・・ありがとう・・・・」
「だから・・・・俺達と・・・ジョアニーさんたち・・そしてフィンランドで待ってるみんなと協力して必ず・・・」
「うん、真央や大輔さんたちは必ず・・・助ける・・・」
互いに手を伸ばす二人。しかし・・・
「D・I・ V・ A・!!!は わ ・た・ し・ YO〜〜〜〜〜!!!!!」
優しい空気を破壊する叫ぶが部屋中にこだました。
「じょ、ジョニー?」「無事だったの?」
呆気にとられる二人。
「何よ!無事で悪かったわね!」「そ〜だよ!僕たちがここにたどり着くまで散々だったのに君達ときたら!」
ジョニ子に続いてバトルも剥れている。きぃきぃとジョニ子とバトルがまくし立てていると・・・・
ぱん!ぱん!
二人はハリセンチョップを食らってその場で気絶。
「二人ともごめんなさいね。」「ジョニーたち欲求不満気味みたいだから。」
後ろに立ったジョアニーとプルが二人に声を掛けた。
「大丈夫ですって。こちらこそ心配をおかけしてすみません。」
「別にいいよ。・・・ただもうすぐ決着はつけなくちゃいけない。それは分ってるね。」
「はい。」「わたしも。」
「僕たちで敵の本拠地に位置を割り出した。フィンランドとも割りと近い。
現地に着いたらフィンランド組とも合流して最終決戦だ。いいかい?」
そういってジョアニーたちは部屋を後にした。
「未来ちゃん」
崇彦はそういって改めて手を差し出す。
「どんな作戦になるか分らないけど・・・・その時はよろしく。」
「こちらこそ、お手柔らかに!」
互いに微笑みながら握手を交わす。それは仲間としての誓いでもあった。
456スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 21:54:32 ID:JvBsrmIb
ちなみに島でバトル達にフルボッコにされた一行は、
宇宙船から連絡を受けたタラソワコーチの指示で、全員即時お出迎えされたあと、
もれなく例の体験ツアーにご招待となったそうだ。
モニター第一号のあの人も旅の道連れが出来て喜んだとか、喜ばなかったとか。
457スポーツ好きさん:2010/05/19(水) 23:24:05 ID:8u/jN/qO
小塚の様子を見た後、自室に戻ったプル。
クローゼットの鏡に映る自分の姿にプルはため息をついた。
何とか脱出して宇宙船まで戻ってきたが、変身を解こうにも解除が出来ない。
それにせっかく温泉で回復したのに4Tが出せない。
体力も落ちてしまっているようだ。これもあの光線銃の影響だろうか?
もしもこのまま……だったら。皆の前では気丈でいたが、本当はとても不安だ。

「ジェーニャ、入るわよ」ヤナが部屋に入ってきた。
「ヤナ、どうかしたの?」勤めて明るい声を出す。
「別に…ちょっとここに来たくなっただけよ」
2人でソファに腰掛けるが、しばらくの間沈黙が続く。
「ねぇ…ヤナ、僕が…」「大丈夫よ」
「まだ何も言ってないよ?」プルの疑問にヤナはさらりと答えた。
「言わなくても解るわ…どんな姿でも貴方は「ジェーニャ」に変わりはないわ」
にっこりとヤナは微笑んだ。
「大丈夫。きっと戻れるわ…そして皆も助けられる。貴方ならできるわ」
「ありがとう、ヤナ。なんだか君にはいつも助けてもらってばかりだよ」
「当然よ!だって私は貴方の奥さんですもの」
それを聞いてようやく笑顔を見せたプルだった。
458スポーツ好きさん:2010/05/20(木) 01:26:12 ID:RkES0l4G
「ジェーニャ!ちょっと良いかい?!」
バトルがプルの部屋へ慌しく入ってきた。何か起きたんだろうか?
「さっきの光線銃を調べてたんだけど、気になる場所があったんだ!」
そう言いながら銃のグリップの底に隠された蓋を開けると、中に小さなスイッチがあった。
あまりに小さくて巧妙に隠してあるので、幹部達は存在を知らされていなかったのだろう。
「最初は安全装置か何かだと思ったんだけど、よく見たらエネルギーの逆流スイッチみたいだ」
「えっ!ということは…?!」
「スイッチを切り替えて発射したら、エネルギーが逆流する…もしかしたら、戻れるかもしれないって事だよ」
「ジェフ、それを僕に試してみて!」
「でもまだ可能性の話だよ?実験もしてないし…」
「大丈夫!失敗しても今のままなだけだから!」
必殺の上目遣いでお願いされて嫌といえず、バトルが光線銃を撃つと今度は青い光線が出た。
すると先ほどは逆に力がみなぎってくるのを感じる。どうやら当たりのようだ。
試しに4Tをやったら難無くこなせた…もちろん後でヤナの教育的指導が出たが。
「この銃、使い方によってはいろいろと僕達の助けになるかもね」
ようやく元の姿に戻ったプルは光線銃を眺めて呟いた。
それにしてもなぜこんなものを作ったのか?…それを知っているのも、本拠地にいるという連中のボスのみだろう。
一体「彼」は何をしようというのだろうか?
いずれにせよ本拠地に行かなければならない、そして皆を助けださなくては!!
459スポーツ好きさん:2010/05/20(木) 09:01:14 ID:A78bLW0J
「僕が戻れたんならジョニーにも使わないと……」
というわけで、足早にジョニ子の所へ向かう二人。ジョニ子はちょうど洗面所でパック中だった。
「どうしたのよ?二人ともそんなに慌てて?」
「実はね…かくかくしかじか……」
バトルは光線銃の事を説明して早速銃を構えた。
「さあこれでジョニーも元に戻れるよ!」
「あ!ちょっとスト〜ップ!!それ使うのもうちょっと待って!」
「どうして?」
不思議そうな二人に答えるジョニ子(やっぱりパックで顔まっ白)。
「だってそれ使うと男っぽくなるんでしょ?せっかく乙女成分が強くなってるんだから、もうちょっとこのままでいるわ♪」

さすがジョニ子、この状況でも都合よく変換してしまう思考の持ち主だ。

460スポーツ好きさん:2010/05/20(木) 12:43:30 ID:RkES0l4G
話は少し前にさかのぼる。
「・・・なんやあいつ、ワシには落ち着けゆうたくせに、自分は暴れまくっとるやないか」
「頭に血ぃ昇ると何しでかすかわかりまへんなぁ」
バトルの形に穴が開いた窓辺で呟くロロとジュベ。
「まずい!今の騒ぎで見張りがこっち来るぞ!」
そりゃまああれだけ暴れれば騒ぎになって当たり前だが。

「どうする?女の子たちは皆どこかへ連れてかれたようだし・・・」
「となったら、自分の身は自分で守る。しかないだろ」
頷くスケーター達。そうしている間にも部屋に見張りが近づいてくるようだ。
「まず俺が見張りを片付けるぜ!」
「ちょっと待って、ここはアタシに任せなさ〜い(ハァト)」
ADSLが動きかけたのをエマが制した。
「カナダおもてなし組として、連中にされたお返しはたっぷりしてあげるわ!」
そしてスケ力を使って変身するエマ先輩。
スケーターなのに裸足で、奇妙な構えを取っている。
そう!これがっ!エマの変身した姿っ!「裸足のエマニュエル」だっ!!!
461スポーツ好きさん:2010/05/20(木) 18:00:21 ID:M6RbV5qd
フィンランド湖畔では、リョーシャ先輩が和装キーラ&ラウラに挟まれて悦に入っていた。
「先輩、ちょっといいっすか?」、そこに来たルタイの表情を見て、キーラとラウラは気を利かせて席を外した。
「俺はあんな風にかばってもらえる人間じゃありません」
「別にかばってやしない、話を聞きたかっただけだ。まあお前も後輩だからな…この先もな…」
ルタイは黙って頭を下げた。
2人の方へ、タラソワとぬる麺が、話し合いながらゆっくりと歩いて来た。
「…フィンランドにはすまなかったわ、私としたことが、偽の情報に踊らされてしまって」
「マオを守らんが為だったんでしょう?仕方ないです、でも何もなくて本当によかった」
ぬる麺がほっと息をつき、タラソワの目は、ルタイとリョーシャ先輩を見た。
「あなたたちに、お礼を言わなくてはね。…さあ、小休止は終わりよ!」
湖で泳いでいたKGBもどきたちは、我先に岸へ上がった。タラソワはぬる麺に言う。
「ここにいるスケーターたちを集めて欲しい。敵の所在、マオ一行の安否を知る為、スケパシーを借りたいの」
462スポーツ好きさん:2010/05/20(木) 21:53:45 ID:A78bLW0J
ハイテンション&奇妙なポーズで敵を待ちかまえるエマ先輩の様子を、スケーター達は遠巻きに眺めていた。
「おいおい・・・大丈夫かよあの人?妙なノリだけど?」
「でもプルシェンコさんに勝った事があるんだろ?」
「なんか乱調型って聞いたけど・・・もし失敗したら・・・」
「逆に考えるんだ。“失敗してもいいさ”と考えるんだ!」
・・・あ、何かすでに影響受けはじめてるぞ?

「貴様等!一体何をやって・・・げぇぇぇ?!」
ドアを開けて入ってきた見張り役は、左手を顔にやった○ョジョ立ちのエマ先輩に度肝を抜かれた。
どこからかズキュウウウウウン!とか聞こえてきたのは気のせいなのかッ?!
虚を付かれた見張り役に、長い手足とバレエとスケートの技術を駆使したエマ先輩の4Sが放たれる。
「うわぁぁぁ!た、たすけ・・・!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄駄無駄無駄無駄ッ!!!」
エマ先輩の技が面白いように決まる。どうやら今は絶好調のようだ。
とどめの裸足の3Aが決まって、見張り役は床に倒れこんだ。

さすがエマ先輩!俺達に出来ないことを平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
463スポーツ好きさん:2010/05/21(金) 13:04:24 ID:EdLfiVZz
白を基調としたその部屋は、絵画や調度品が並び優美な雰囲気が漂っていた。
ほのかに香る花の香りと、室内に流れるバイオリンの調べも心地良い。
その部屋の奥にかかる薄いカーテンの向こうに、部屋の主は座っていた。

「女性達は全て出発しました、もうすぐこちらへ到着の予定です」
『そうですか、解りました。到着したら心をこめておもてなしをしてあげなさい』
聞こえるのは、ボイスチェンジャーが何かで変換されたような声だった。
その姿もカーテン越しでは、ぼんやりとした形しか見えない。
『ここには美に関する全てが揃っています・・・彼女達もきっとここを気に入ってくれるでしょう』

そこへ別の部下が入ってきた。
「大変です!エフゲニー・プルシェンコとジョニー・ウィアーを乗せた飛行機が消息不明になりました!一緒にいた者とも連絡が取れません!」
『・・・それは残念ですね、男性でありながら女性の優美さも兼ね備えた彼等には、是非我々の立場を理解して頂きたかったのですが』
プルとジョニ子は勘違いしていた。
二人は間違えられたのではない、最初から意図されてあの部屋に入れられていたのだ。
『でも心配することはないでしょう。きっと彼等はここへ来るはずです・・・さあ、貴方達はおもてなしの準備にとりかかりなさい。』
「かしこまりました」
二人の部下は一礼して部屋を立ち去った。
464スポーツ好きさん:2010/05/21(金) 16:41:32 ID:W4N50hma
タラソワの指示によりスケパシーを集中して真央一行の行方を捜すフィンランド組。
だが何度呼びかけても真央からの返答はない。
「おかしいわ。まさか真央が連中に…!」タラソワの表情に緊張の色が浮かぶ。
「誰か他のスケーター…そうだわ、宇宙船に誰かいるはずよ!」
「だったら、ジェーニャに連絡してみるか」ヤグディンはスケパシーを集中させた。
(…ジェーニャ、聞こえるか?)
(リョーシャ?そっちはカタがついたの?)
(…なんだ?またお前女になってるのかよ?)
(ちょっといろいろとあったのよ!それより…)ジェーニャは真央達が攫われたこと、謎の組織のことを説明した。
(女(スケ)連?!なんだよそりゃ?女ばっか集めて何しようってんだ?!)
(目的は解らない。でも、みんなを助けにいかなくちゃならないのは確かよ。今こっちで敵の本拠地を割り出し中なんだけど…)
(どうした?)
(このまま本拠地に乗り込むとしても、今ここにいる人数では戦力が足りないわね)
(…よし、それならこっちにはけっこう人数がいる。何人か応援に出して合流しようぜ)
(了解、合流ポイントは後で知らせるわ。それから途中の島に組織の連中を何人か縛り付けといたから、タラソワコーチに知らせておいて)
(…きっとそいつら体験ツアー送りだな)
スケパシーの会話を終えると、ヤグディンはスケーター達に事態を知らせ、さっそく宇宙船と合流するメンバーの人選に入った。
465スポーツ好きさん:2010/05/21(金) 18:20:37 ID:Iizc4Nc8
「てあああ置いて行かれた……」
尋問に夢中になっているうちに置いて行かれたPチャン。
八つあたりとばかりに捕まえた幹部たちをにらみつけるが、どうしようもない。
「……追いかけよう、マオちゃんにいいところ見せるんだ!」
とはいえどうやって皆の居場所を知る?
Pチャンは精神を集中させた。
(無駄無駄無駄無駄無駄駄無駄無駄無駄ッ!!!)
「ひ、うわぁああ!!!!」
よりにもよって、受信したのはエマの念だった。
466スポーツ好きさん:2010/05/21(金) 18:59:43 ID:MGalNoqZ
「アンタたち!?何ぐずぐずしてんのよ!とっとと行くわよ!」
空飛ぶおもてなし会場、男子監禁部屋の見張りを鮮やかに倒したエマ先輩。怒りは、まだおさまらない。
ハイテンションの叫び声に、他の見張り役手下たちが「おとなしくしろ!」と駆け付ける。
「ほらぼんやりしてないで、あの連中をメッタメタにしてやるのよ!」
が、ロロたちが加勢するまでもなく、手下たちはエマのグランフェッテになぎ倒された。
「ふふん、アタシが裸足だからっておとなしくするとでも…この、アホンダラ!」
エマ怒りのバレエ技、ポールドゥブラビンタ、パドゥシャキック、シソンヌアタックが炸裂し、手下は皆瞬く間にのされた。
「ふぅ、みんな無事ね?よかったわぁ、ナンか濃ゆい面子なのはやんなっちゃうけど」
「…俺も濃ゆいの?」大輔がぼそっとつぶやくと、ADSLがヒジでつっついた。
「おだまり!…あ〜ちょっと暑くなっちゃったわぁ、ところでここ、どこなのよ!?」
エマは手でパタパタ扇ぎながら、窓から身を乗り出した。
…ちょうど例の無人島の上を通過するところだった。今島にいるのは、木に縛られた女連手下だけだ。
「そうだ、こいつら全員この島に捨てちゃわない?あ、ちょっと待って、1人くらい残して!
 この建物を操縦させて、こいつらの本拠地に突っ込んでやるのはどぉ?……あら?」
(ひ、うわぁあああ!!!!)Pチャンの悲鳴が、スケパシーとなって彼らにも届いていた。
「ひゃだっ、パトリックを忘れていたわ!あの子も拾って行きましょ!」
467スポーツ好きさん:2010/05/21(金) 22:09:03 ID:EdLfiVZz
「大丈夫ですか?ミキ・アンドウ。顔色がよろしく無いようですが?」
「…別に」
声をかけた男に美姫はぶっきらぼうに答えた。隣のシートでは真央が気を失ったままだ。
セレブの使うようなプライベートジェットで乗り心地は悪くないし、ユカさんたちと違って縛られてもいない。
だがこんな風に強制されて連れていかれるなんて最悪だ。
自分たちがどうなるかも心配だが、あの部屋で光線銃のようなもので撃たれたプルとジョニ子の事も気がかりだ。
もちろん、引き離された他のスケーター達も。
「そんな怖い顔をなさらないで下さい。方法は強引でしたが決して貴方達の悪いようにはしませんよ」
「…そう願いたいものだわ」
さっきの下品そうな幹部と違って、ずいぶんと人当たりの良さそうな男だった。

「あそこに見えるのが今から貴女達をお連れするところです」
男の指し示す場所にとある島が見えた。
周囲を断崖絶壁で囲まれているが、島の中は青々とした緑が生い茂り、いくつかの建物が見える。
その中央にはヨーロッパの貴族の館のような洋館が建っていた。
プライベートジェットはその洋館のそばへ着陸した。
「さあどうぞお入りください、中で皆様がお待ちですよ」
「…悪いけど、真央は私が連れていくわ」
そう言いながら真央を抱きかかえようとした男を制して、美姫は真央を背負って洋館の中へ入って行った。
468スポーツ好きさん:2010/05/21(金) 22:55:38 ID:W4N50hma
「謎の秘密組織にしては趣味いいわねぇ^^」ユカさんは通された大広間を見渡して言った。
この手の組織といえば地下の暗いコンクリート部屋とかにありそうなものだが、ここはまるでイギリスのマナーハウスか古城ホテルのようだ。
飛行機内でスケパシーでの話し合いの結果、ここはひとまず相手の出方を見ようという事になった。
ジェレミー達は縛られたままでこの部屋の続きの小部屋に入れられ、残ったユカさん達はそのまま大広間の椅子に座らされていると。
誰かが室内に入ってきた……真央を背負った美姫だ。

「美姫ちゃん!」
「ユカさん!それにコストナーさん達も!」
「マオは…大丈夫なの?!」
思わず顔を見合わせる女性たち。
「これでみなさんお揃いですね」ユカさん達を連れてきたお偉方の幹部が全員の顔を見た。
「ようこそ我々の島へ。今から皆様に我々の心を尽くしたおもてなしをさせて頂きますが、その前にある方に会って頂けますか?」
「あら、一体どなたかしらねぇ^^」
「この館の主にして、我々のすべてを総べられるお方が、貴女がたに歓迎の挨拶をしたいと仰ってます」
「つまりあんた達、女(スケ)連の親玉ってわけね…いいわ、どんな面の皮してるのかじっくり見てあげましょう^^」
「それでは…」
幹部が扉の傍に立っていた美姫を連れてきた男に目配せすると、彼は扉を開けた。
そこから現れたのは、少し…いやかなり予想とは外れた人物であった。

ゆるいウェーブのかかった、長い栗色の髪に翠の瞳。
鮮やかな色の口紅と、ぱっちりとした長い睫毛。
グラマラスなボディにセクシーなデザインのドレスを着て、胸元と耳には豪華なジュエリーをつけている。
女性の目から見てもけっこう…相当なハイレベルの美しい女性が、にこやかに微笑んでいた。
469スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 00:28:59 ID:zxGPNECz
フィンランド組。スケーターたちは、ヤグディンを中心に緊急会議中だ。
ぬる麺は、フィンランド付近に『女連』があるとヤグに聞かされ、眉をひそめた。
「そいつら、『フィンランドの「方」から来た』とでも言ったんですかねぇ」
「そう騙ったのかもな。とにかく、ジェーニャと合流して女連突入する者を募りたいが…」
「俺は行きます!」喧嘩上等、ルタイがまず名乗り出た。ダチのためならいつでも飛び出るぜ。
「俺も!」真央、美姫、大輔、崇彦を案じる信成も名乗りを上げる。いざとなったら先祖帰りだ。
「私、行きます!」ヴィッキーも立つ、SWE男前…いや美女の強さで豪快に役立ちたい。
「僕もだ」べるるんも後輩達が心配だ。久々にべるべるコンビなるか、ついでに暴れサスも火を噴くか?
「ミハルに任せなさい!」ここぞという時に強いチェコの後輩、頼もしい存在だ。
「後方を守る者もいないと。私たちは残りましょう」ラウラの言葉に、キーラとぬる麺がうなずく。
「いざという時に動ける力を残して置いた方がいいね、どう思う?」リンディの意見に他の者も賛成した。

「よし、動くのは、アンドリューシャ、ノブナリ、ヴィクトリア、クリストファー、ミハル、そして俺、
 でいいな?…タラソワコーチは残ってください、ここが俺らの最前線本部だ。では行くぞ!」
 ヤグディンが立ち上がった。
470スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 00:32:15 ID:Z2m6yk33
「はじめまして、みなさん。わたしはこの館の主、『ジュリエット』と申します。
このたびは少々手荒な方法でここに呼び寄せてしまったこと、心からお詫びいたしますわ。」
ジュリエットと名乗ったその女性は深々と頭を下げた。
「早速だけど、私達をこの館に呼んだわけを教えてくださるかしら?」
ユカさんが何時もの笑顔でジュリエットに迫る。
「理由は簡単。私の真央ちゃんに変な虫がつかないようにするため。そして美しくなってもらうためよ。」
ジュリエットは涼しい顔で言った。
「それにしてはご招待とは程遠い扱いを受けた気がするけど!」
「それは変な虫を振り落とすためやむを得なかったの。」
「・・・・変な虫とは?男性陣の事かしら?」
「ええ、そうよ・・・・この館には女性に忠実な男以外はいらないの。」
「そう・・・わかったわ。」
ユカさんはアッサリと引き下がった。
「理解していただいてありがとう。皆さんの歓迎のおもてなしは夕方から行いますから、
それまでこの屋敷のなかでご自由におくつろぎくださいね。」
ジュリエットはそういってこの部屋を出て行った。
その後姿を眺めながらユカさんは呟く。

「果たして、あなたの思い通りに行くかしら?ジュリエットさん・・・」
471スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 01:43:23 ID:Yz9lGhSx
「まさか、ここのボスが女だったなんて思わなかったわ」
「てっきり女好きのおじさんか何かだと思ってたわ」
「しかも凄くきれいな人だったわね…何でこんな組織のボスやってるのかしら?」
案内されたジュリエットの館の一室で話し合う女性たち。
彼女の言ったように特に拘束されるわけでもなく、広大な屋敷の中にはさまざな施設もあるようだ。
「見て見て!ルームサービスでスイーツ何でも持って来てくれるらしいよ!」
コストナーがインターホンに置かれたメモを見てはしゃぐ。
「あら、このコスメ自由に使って下さいですって!」
「まぁ素敵!クローゼットにもこんなにたくさん服が入ってるわ!」
こういうときでも、女性の大好きなものを見るとつい心がうきうきしてしまう。

その一方で、ソファに寝かせた真央の隣で顔をつき合わせて話す美姫とユカさん^^
「ユカさん、あの人どう思います?」
「そうねぇ…美人なのは確かね。でも男性陣を毛嫌いしてたり、ちょっとなんか変なところがあるわね^^」
「私も何か変な感じがします…どう言えばいいか解らないんですけど。」
「とりあえず私たちに危害を与える気はないようだから、相手の出方を見ましょう^^」
「そうですね…」
「そういえばたしかここスパやエステもあるってあの幹部言ってたわねぇ…夕方まで時間あるし、ちょっと行ってきましょうか^^」
472スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 09:07:13 ID:Q9uomT8H
「そういえばまずいわよ、もう400KB越えて残り98KBしかないの」
「あら、急がないとこのスレ内で終わらないわ」
473スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 12:06:14 ID:Q9uomT8H
宇宙船で本拠地を目指すプルチーム。
(……の地点だ、間違えちゃ嫌だよ)
(誰が間違えるかよ)
ヤグディンと連絡をとり、本拠地の位置を教える。同国内にいる彼らはジャンプでやってくる。
「プルシェンコさん、あれ! 大ちゃんたちだ!」
小塚が窓の外の飛行機を指差す。Pチャンも乗っている。
本拠地の上空で、皆は一斉にジャンプした。
もう時間がない。急いで決着をつけなくてはならない。
474スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 14:30:42 ID:zxGPNECz
ジュリエットの館では晩餐会が始まろうとしていた。真央はまだ朦朧として席に着いている。
しかし、スパやエステの後、美しく着飾った女子スケーターズに、女ボスはご満悦だ。
「では乾杯の音頭を取らせていただきます。美しいみなさんに…!?何事!?」
 …┣¨┣¨┣¨┣¨… 館の庭に、エマ達の乗る巨大飛行機型おもてなし会場が不時着したのだ。
「ジュリエット様!緊急事…ぐは!」晩餐会場に注進に現れた手下が倒れた。…その背後にはエマが!
「…ジュリエット?アンタが全てを企んだのね……この、ドブス!!!」
475スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 15:23:52 ID:WER+UK8x
「まあ・・・誰かと思えば、相変わらずむさ苦しい誰かさんじゃないの」眉をひそめるジュリエット。
「なんですって!このアタシがむさ苦しいなんて、どの口が言ってんのよこのアマ!!」
ジュリエットに飛びかかろうとしたエマだったが、一瞬の隙を突いてジュリエットは胸元のジュエリーに隠されたボタンを押す。
その途端晩餐会場は煙に包まれた。
「ゴホゴホ!なによこれ一体?・・・ああっ?!あいつ逃げたわね!!」
煙が収まった頃にはジュリエットの姿は消えていた。
「待ちなさい!逃がさないわよ!!」開いていた扉からエマはジュリエットの姿を追った。
476スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 16:29:06 ID:Yz9lGhSx
ジュリエットを追って部屋を飛び出したエマ先輩…だったが、扉の先には落とし穴がぱっくりと開いていた。
勢いがついたまま見事に落とし穴にはまってしまった。
「あいたたた!!…ジュリエット〜!よくもやってくれたわね!」落とし穴の底で悔しがるエマ先輩。
「おーい!大丈夫かー!!」
遅れて到着した男子スケーターが数人がかりでエマを落とし穴から引きあげた。
「みんな気ぃつけや、あの会場といい落とし穴といい、他にもこの屋敷にまだ仕掛けがあるかも知れへんで!」
ロロの言葉に全員が頷いた。
477スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 16:55:27 ID:Z5rb74lk
時間は>>474より少し前に遡る。
ジュリエットからすれば"招かれざる客"だったが、女性スケーター達を留めておくのに都合がいいと
広間の奥の倉庫のような小部屋に閉じ込められているジェレミー達。
打ちっぱなしのコンクリートの壁に、明かり取りを兼ねた小さな換気窓がひとつ。

ドアの向こうから漏れ聞こえてくるユカたちの会話から、ボスがジュリエットという女性だった事
スケーター達には今の所危害を加えるようなことはなさそうな事は何とか分かった。
女性たちがゲストルームへ案内されると共に、ドアの向こうの気配も遠ざかっていき
聞き耳を立てていた3人も思い思いの場所で壁にもたれるように座った。
中に見張りはいなかったが、どこで監視されているかも分からないので会話はスケパシーで行っている。

小一時間が過ぎ、スケパシーの会話もネタ切れになってきた頃、再びドアに向こうに複数の気配が現れた。
一番近くにいたチャッキーがドアに近づいて聞き耳を立てると、話しているのはジュリエットと側近のようだった。
「いつまで待たせるの!私の長年の夢が叶うまで後一歩なのに。」
「お言葉ですが、ジュリエット様。ここまできて焦りは禁物です。彼女たちに勘付かれたら元も子もございません。」
「仕方ないわね。でも、これでやっと永遠の若さと美貌が手に入るのね。ふふふ・・・
彼女たちも、おもてなしと称してまさか私の美の贄にされるだなんて思ってもいないでしょうね。」
478スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 16:56:16 ID:Z5rb74lk
(た、大変だ。どうしよう・・・。)
ドアの向こうの一部始終を2人に伝えるチャッキー。ユカたちに知らせようスケパシーを送るアボット。
ところが何かに邪魔をされているかのようにユカや外部にいるスケーターのスケパシーが受信できない。
(ダメだ、こうなったら早くここから脱出しないと間に合わないかも。)
Jテンが焦った口調で言う。
(出ると言っても換気窓は小さすぎて俺たちじゃ通らないよ。騒ぎを大きくしたら逆にユカたちが危険だ。)
ここで、じっと何かを考えていたチャッキーが立ち上がった。
(どうした?ケヴィ・・・ン?!)
見上げたJテンが次の瞬間言葉を失った。目を閉じてスケ力を集中させたチャッキーが見る見る小さくなって
50センチくらいのエルフに変身したからだ。小さくなった事で彼を戒めていた縄がパラリと床に落ちた。
(これならあの窓から出られるでしょ。僕が行って知らせてくる。)
後ろに回って2人の縄を解いていくチャッキー
(すげぇな、前にカナダで出没した謎の妖精ってケヴィンだったのかー)
縄を解いてもらう間、感心した口調で言うDテン
(頼んだぞケヴィン!)
アボットとDテンに見送られ、チャッキーは2Aでヒョイと窓枠に飛び乗ると
すぐさま2Tのコンビネーションで外に飛び出していった。
479スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 17:41:22 ID:zxGPNECz
不時着した巨大飛(ryの後に、宇宙船組、フィンランド合流組も、ここ『女連』本拠地に到着したが…
館からは煙が上がっている!「火事か!?」
ジュリエットの張った煙幕にむせながら、ユカさんが、女子スケーター達を助けて館の外に出て来た。
「マオは無事なのか!?」「真央ちゃんがいない…」「…美姫ちゃんも」 Pチャン、崇彦、信成が叫ぶ。
…一方ジュリエットは、ぐったりした真央、それを抱える美姫を引きずって、脱出通路を進んでいた。
「なによ、美貌と力を持つこの私がドブスですって!?キーッ!…まあ、マオはこっちのものよっ!」
美しいはずの顔をゆがめ、額に青筋を立てる女ボス。
480スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 18:08:03 ID:Yz9lGhSx
真央と美姫がいなくなって騒然とする一行。そこへ妖精化したチャッキーが飛んできた。
「皆ここにいたんですか!」「ケヴィン!一体どうしたんだい?!」その姿にプルが気づく。
チャッキーは一行に小部屋で聞いたことを伝えた。
「何だって?!それじゃあ真央と美姫はその女の餌食にされようとしてるか?!」
「プルシェンコさん!はやく二人を助けに行かないと!」血相を変えて小塚が叫んだ。
慌てて館に突入すると、エマ一行と小部屋を脱出したジェレミー達がいた。
チャッキーと同じ事を聞いたようだ。
「皆で手分けして二人を捜そう!」
プルの掛け声で屋敷内に散らばるスケーター達。
「ジュリエット〜!今度は逃がさないわよっ!」ロロと共に廊下を走りながら叫ぶエマ。
「…エマ、おまえあの女知ってるようやったけど、あいつ一体何モンなんや?」
481スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 18:23:20 ID:xZ/3yNy8
 秘密の地下脱出用水路に到着したジュリエット一派。
そこに待ち構えていた黒服の執事と英国風メイドと共に彼女達は潜水艇に乗り込む。
「まったく、とんだ災難でしたね、ジュリエット様。」
「でも〜御気になさらないでくださいね。真央様たちもご無事ですし〜
きっとジュリエット様の願いもかないますよ〜。」
執事とメイドの慰めにもジュリエットの怒りは収まらない。
「こんな屈辱、そう簡単に忘れられるわけないわ!
すぐに、作戦を立て直すわ!とっとと出発なさい」
「わっかりました〜」
気楽に応える執事は潜水艇の発進させた。
「あ、そうだ、申し送れました。私達、本日からお世話になります新人の・・・」
そういって執事は口ひげを、メイドは丸メガネをはずした。その顔は
「なななん!!!あんた達!!!」
「執事は勤めさせていただく小塚崇彦です!!」
「同じくメイドの長洲未来です!」
「存分に『おもてなし』させていただきますので、どうぞよろしく〜」



482スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 18:27:50 ID:zxGPNECz
「…アタシがあのアマの知り合いですって!?んなわけないじゃないのっ!」エマがロロに噛み付く。
「さっき名前を知ったばかりよ!…まあアタシには大体想像つくけどぉ…
 ルックスと金回りの良さだけで、他に何もないつまらない女に決まってるわ!
 だから美しいスケーターを利用したがってるのよ!美人かもしれないけど…やる事は超ドヴスだわ!」
483スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 18:40:31 ID:Q9uomT8H
真央は潜水艇の一室にいた。美姫は傍にはいない。二人は別の部屋に閉じ込められている。
「なりたい自分……なれるよ、きっと」
夢うつつに真央は呟く。
「そうだな、お前もタラソワの弟子だしな」
その言葉に応えがあった。真央は目を開ける。黒い大きなものが真央を抱きかかえようとしていた。
(タラソワコーチの毛皮? 柔らかい……)
「コーチ、私もっと頑張ります……」
真央は黒いものに抱きついた。
「おいおい、何勘違いしてるんだよ。俺とタラソワ、似てないよなあ?」
眠り込む腕の中の真央の顔を見て、彼は笑う。ヤグディンだ。
「コヅカとミライと合流するぞ、とっとと片を付ける」
声をかけられた美姫はうなづく。二人の背後には、見張りの黒服がばたばたと倒れていた。
484スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 18:44:40 ID:WER+UK8x
「もう逃げられないわよ!」ジュリエットに迫る小塚と未来。
「・・・ふん、それで勝ったと思ったつもり?」強気を崩さないジュリエット。
「潜水艇の中だ!逃げられるわけないだろう!」ジュリエットにと飛びかかろうとした二人だったが。
次の瞬間ジュリエットの目が翠から赤に変わった。その目でにらまれた途端動けなくなる。
「何・・・これ?」「うう・・・力が・・・」その場に倒れこむ二人。
「たかが子供二人に私が負けるとでも思ってるの?あははははっ?!」高笑いと共にその姿が潜水艇から消えていった。
ええっ?一体何の力だ?そしてある場所に出現すると、ジュリエットは呟いた。
「さすがに今のでだいぶ力を使ったわね・・・回復するにはやはりあの二人の力を貰いましょうか・・・」
485スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 18:54:25 ID:Yz9lGhSx
ジュリエットが潜水艇から消えた!
真央と美姫は助けられたが、そこから消えたジュリエットを捜す一行。
「消えたってあいつ超能力者なの?」「何か変な力の持ち主らしいね」廊下を走るプルとジョニ子。
と、目の前に赤い髪とドレスのすそが一瞬見えた。慌てて後を追う二人だったが、その先は行き止まりだった。
「・・・嫌だわ。どこへいったの?」「またどこかへワープしたのかしら?」プルとジョニ子が不思議がっていると。
バタン!という音と共に床が開いた。足元からどこかに続くシューターだ。
物凄い勢いで滑って、そのままどこかの場所へ落ちてしまう二人。
「ちょっと!今の何よぉ?!」「・・・!ジョニカ、あれを!!」
「うるさい連中抜きでやっとお会いできたわね、お二人さん」
二人の目の前にジュリエットが立っていた。
486スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 19:14:25 ID:Q9uomT8H
「最高のバレエダンサーを知っているわよね? 彼らのは女問わず似た体型でしょ。あれは男女を越えた究極の美の形なの。
貴方たちはスケーターの中でも特に男女の中間にいる人たち。あなたたちの力を奪えば、これからもずっと美しくいられるでしょうね」
「へえ……どうやって奪うんだい?」
「簡単よ……触れればいいだけ!」
ジュリエットが飛びかかる。ジョニ子は3Aで、プルはステップを踏んでかわす。
「あはは! きれいね二人とも! だからこそ狙っていたの!」
ジュリエットはプルに狙いを定めた。ジャンプが本調子でないためだ。
右へ、左へかわすプル。美しいプルのステップと対照的に、ジュリエットの動きは化け物のようだ。
「ジェーニャ!」
何分続いただろうか。息を呑むステップがふと乱れた。バランスを崩し倒れるプル。
「もらったわ、貴方の美!」
ジュリエットが飛びかかる。しかし倒れているプルは、にこりと笑っている。
ジュリエットがプルに触れる。そのとたん、プルはまるでガラスのように砕け散った。
「鏡の姿ですよ、それは」
「アーチャ、ありがと」
いつのまにが、ガチンスキーがきていた。
487スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 19:59:25 ID:dessX3rX
『ああロミオ。どうして貴方はロミオなの?』
『それはねジュリエット、君が美しいからさ』
幸せな時間だった。まるであの物語の、幸福だったロミオとジュリエットのようだった。
違ったのは、自分達はけして仲違いしているわけではなかったことだ。障害などなかった。
けれど。ある日、彼は私を捨てた。
簡単に、あっけなく。幸福な時間は、転がり落ちたガラス細工のように、粉々に砕け散った。
『僕はもっと可憐で美しいひとを見つけたんだ。さようなら、ジュリエット』
可憐で美しい?私だって美しかったはず。だって貴方がロミオなのは、私が美しいからでしょう?
ああ、そうか、美しく、もっと可憐に、愛らしく、若々しく、そうしたらきっと。
ねえロミオ……

「ああ、貴方も美しいわね。ロシアの……ガチンスキー君、だったかしら?
 男は嫌いよ。でも、そこの二人と同じようにして、貴方の力も奪ってあげる!」
ジュリエットの咆哮がその場に響き渡る。取敢えず一人でも力を奪うことができればいい。
ジュリエットの手が、がっちゃんに向かう!
488スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 20:07:57 ID:xZ/3yNy8
一方、潜水艇は海上に浮上し近くの港を目指していた。
「まったく、とんでもない女だったな。」
「すいません、またしくじちゃって。」
「謝ることはないだろう。むしろ二人とも無事で何よりだ。」
崇彦の肩をたたきながらヤグディンは続ける。
「しかし、あのおば・・・いや、コーチの助言がなければ全員力吸い取られて石ころにされてたぜ。」
「この特性コンタクトレンズのおかげですね。」
未来は深々とため息をついた。
「これじゃ、ジュリエットじゃなくてメドゥーサじゃねえか。」
はき捨てるようにヤグディンは呟いたとき、宇宙船から通信が入った。
「みんな、彼女の居場所が特定できたわ。」
「・・・・分っちまったか。」
「いやな相手だけど、ケリだけはちゃんとつけないと。俺もいいたいことあるし。」
3人は特定されたポイントに向かって潜水艇の進路を定めた。
489スポーツ好きさん:2010/05/22(土) 20:08:28 ID:Q9uomT8H
しかし、ガチンスキーとジュリエットの間に新たな鏡が現れる。
「僕はまだ未熟なので、これぐらいの力しかありません」
がっちゃんの手には、鏡・ナルキッソスでつける手袋がはめられている。これががっちゃんの力を助けているのだ。
「でも、できることがあります。その人は誰ですか?」
その鏡には、彼女のロミオが映っていた。
490スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 01:26:28 ID:Jo1KXJC8
ジュリエットは瞳を大きく見開いた。がっちゃんの鏡に映る……愛おしくも憎らしいその顔。
ああ、なんて幸せそうな表情!今に見ていなさい、絶対に見返してやる。
そのためには美しさが必要だ。若さと可憐さが必要なのだ。氷上の気高く美しい彼女達の力を手に入れられれば!

その時、ジュリエットの背後から、足音が聞こえた。
がっちゃんの立つ側からそちらを見ていたジョニ子とジェーニャが息を呑む。
「駄目!こっちに来ては駄目よッ!」「ヴィクトリア、引き返せ!」
そうそれは、フィンランド合流組……ジュリエットを探しに来たヴィッキー。
ジュリエットの相貌がゆがむ。彼女のスピードを超えて、その力を取り入れる余裕はある!

こんな所で計画を頓挫させるわけにはいかない。
この私を捨てたことを、心の底から後悔させてやる!

「可憐なお嬢さん、御機嫌よう。――貴女の力、頂くわ!」
491スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 01:43:17 ID:3KGu0DgT
「ぎゃっ!」
「にっ、逃げ・・・ぐはっ!」
屋敷の中と外も大混乱が続いていた。女性たちをプルの円盤に避難させた後
こんな組織野放しにしていたらロクな事がないと、タラソワの指示でシベリア送りの大捕物が展開されていた。
ボスのジュリエットが不在では、部下たちの統率など取れるはずもなく慌てふためく黒づくめの男たちを
ルタイやADSLなどジュリエット追跡チーム以外で得意のジャンプやスピンステップで次々と倒していく。

「お、お嬢様・・・どちらに。」
表の騒ぎから逃れ、事態を報告するため屋敷の裏手に続く廊下を走る黒づくめのひとり。
「お嬢様!」
裏口のドアから見え隠れするドレスと扇で手招きする姿を認め、全速力で走ってくるなり
膝に手を当て息を整えつつそのまま一気にまくし立てた
「ぜぇっ・・・はぁっ・・・・・・。た、大変です!連中が・・・・・・。」
その瞬間、男の視界の端に踊る影。避ける暇があらばこそ――。
「がぁっ!」
鳩尾の辺りに盛大に回し蹴りを食らい、後ろの壁に叩きつけられるとそのまま気を失い倒れこんだ。
492スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 01:44:32 ID:3KGu0DgT
「すっげー、本当に引っかかったよ。」
ふわりとドレスをなびかせて華麗に3Aの着地を決めたトラが半ば呆れた調子で言う。
ドレスはジュリエットの行方を追っている途中、彼女の部屋のクローゼットから拝借した。
「お前のパンモロ見ても全然嬉しないねんけどな。」
隣で見ていたジュベがぼそっと呟く。
「・・・・・・なんか言った?」
「いや、なんも・・・。」
ジト目で睨むトラを軽く受け流すジュベ。
「さ、残りの連中もさっさとやっつけちまおうぜ。」
言うが早いかドレス姿のまま駆け出すトラ。
「ちょ、まだそれ着てるつもりなんか。」
「また騙せるかもしれないし、他にも役に立つかもしれないじゃん。ホラ行くよ!ブライアン」
先のカルメン祭りからヒントを得てこの作戦考えたのは実はジュベ本人だったりするのだが
走っていくトラの後姿が嬉々としているのは何故だろう。
まぁトラだからいいかと妙な納得のもと、トラの後を追うジュベだった。
493スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 03:56:13 ID:F3JLowGJ
「さあ、貴女の力を頂戴…」「ヴィクトリア、逃げて!」ジュリエット、プル&ジョニ子の叫びが重なる。
「一体どういう事!?」ヴィッキーは男前ステップでかわそうとしたが、間に合わない。
とっさにフライングシットスピンで足払いを仕掛けるヴィッキー。しかしジュリエットは奇怪な体勢から跳んだ。
そしてその手がヴィッキーのプラチナブロンドに触れる…「あぁぁ!?」ヴィッキーも思わず伝統の叫び声を上げる。
「…ありがたく頂戴したわ、貴女の美の力。鏡を貸していただける?」膝をついたヴィッキーを尻目に、微笑むジュリエット。
がっちゃんの鏡がジュリエットを映し出す、その姿は……………………男前になっていた。
494スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 09:32:30 ID:593nij7L
「次は誰? 誰でもいいわ。きれいになりたいの」
高笑いが響き渡る。
「どうすればいいのよ……」
「ジョーニカ、ロミオを探してくれる?」
呆然とするジョニ子に、柔らかな口調で、プルが話しかける。
「え? ジェーニャ、あんた今ジョーニカって……」
「あの人、もう死んでるのよ。アーチャのナルキッソスの鏡が映すのは、自分と愛するもののみ。
人の美を力として奪って生きながらえているから、自分の姿が奪った美のかたちになっちゃうの」
ジョニ子を見る瞳が、青い。普段と変わらない色のプルの瞳から、ジョニ子は目を離せない。
「彼女のロミオを見つけるのは無理でも、『ロミオ』になれる人なら、簡単でしょ?」
プルは目を閉じる。再度彼が目をあけたとき、ジョニ子をひきつけた瞳の青はなかった。
代わりに、黒と金色の衣装を纏ったデミゴットが、静かに佇んでいた。
「ニジンスキーを呼んだのね! 美しいわエフゲニー、全部奪ってぼろぼろにしてあげる!」
「……4分でお願い」
「……絶対に滑りきりなさいよ!」
ジョニ子は走り出した。振り返る時間すら惜しかった。
495スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 09:54:41 ID:CRBXUzbc
「ここには居らんな。」「向こうの部屋もだ!…一体どこに行ったんだ?」
あちこちで混乱の続く中、ジュリエット捜索を続けるこちらはバトルと信成。
…む!あの部屋から何かの気配が漂っておる!」ご先祖化した信成がとある部屋を指す。
入ってみると女性の部屋のようだ。既に誰か来たのかクローゼットが空いている。
「誰もいないよ?」訝しがるバトルに信成が部屋の隅のテーブルを指し示した。
テーブルの上に写真立てと宝石をちりばめた小箱が乗っている。
「あれじゃ!あれから気配を感じる!調べてみよ、ジェフリー!!」

496スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 10:09:16 ID:Jo1KXJC8
力が出ない。おぼろげな意識と靄のかかった視界。ヴィッキーは懸命に目を開ける。
感覚もほとんどなかった。スケカが吸い取られているのだ。ただ自分が、誰かに抱えられていることはわかった。
見上げるそれは、男前になったジュリエット。……やだわたし男前枠じゃなくて美女枠がいいのに。
言いたくても言葉さえ出てこない。もう悔しいったらありゃしない!

「馬鹿な敵役じゃないんだから、貴方が言うように四分なんて待てると思って?」
ヴィッキーの力を奪ったジュリエットは、男前になっただけではなかった。
ヴィッキーがトリノ世選FSで魅せた羽根のような3-2-2……それを思わせる身軽さを得ていた。
にやりと口角をゆがめると、ヴィッキーを片手に、瞬間移動を行う。
「できるものなら追いかけてご覧なさい!」
連続テレポートで目を眩ませてしまえばいい。自分にはそれができる力がある!
497スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 10:36:49 ID:593nij7L
「ヤナさん、どこに行ったかわかりますか!?」
がっちゃんは通信機を取り出す。
『そんなに離れていないわ。そこから北東へ向かって』
宇宙船のレーダーには、ジュリエットの現在地が表示されている。がっちゃんはこれを教えてもらったのだ。
『ジェーニャはそこにいるのね? 無茶してないでしょうね?』
「だいじょぶだよ、ヤナ」
がっちゃんは物言いたげな瞳でプルをみる。何分もステップを踏んで、ニジンスキーを呼んで、大丈夫なわけがない。
「後でちゃんと謝るよ」
通信機が切れると、プルは言った。

一方ジュリエット。転移したのはバトルたちが入った部屋だった。
クローゼットの中に入り、何かを探すジュリエット。
「……ないわ!? 一体どこに!?」
「探しているのはこれだな?」
498スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 11:09:48 ID:NuMSu8El
「やっとたどりつた・・・」
潜水艇組がやってきたのはジュリエットの館のある島から100kmほど離れた孤島。
「これがあの女の正体か・・・」
孤島の地下に広がる凍りついた洞窟。その中心に女性らしきミイラを閉じ込めた氷の柱が立っている。
「ここからが肝心だ。タラソワの指示通りにいかねぇと俺たちも・・・・」
「わかってるわ。」
「真央はまだ気を失ってるから俺が負ぶっていく。美姫と未来は無理しないように俺をサポートしてくれ。」
ふたりはうなずく。
「崇彦、タラソワが伝授した呪文が勝利の鍵だ。よろしく頼む」
「わかりました。」
「よし!おっぱじめるぜ!」
ヤグディンたちは慎重に氷柱近づく。そして崇彦はその場に両手を着いて教えられた解呪の文言を詠唱する。
氷柱は徐々に解けていき3人はミイラ破壊のタイミングをうかがっていた。
499スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 11:39:19 ID:Jo1KXJC8
「……それを返しなさい」
振り返るとそこには、宝石の散りばめられた小箱を持った殿とバトルがいた。
ジュリエットの額に青筋が浮かぶ。美醜の紙一重、凄絶な表情を二人に向ける。
ジュリエットは躊躇わなかった。小脇に抱えていたヴィッキーを人質に取る。
「彼女がどうなってもいいの?ほんの少しスケカを残してあげてるけど……全てを絞り取ることだってできるのよ?」

その小箱がなければ、私は姿を保っていられない。
ただ美しさのみを求めるジュリエットの魂は、ヤグディンたちが、孤島にある自分の本体を
破壊しようとしていることに気づけるのか。
500スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 12:04:37 ID:pb0cafGz
館の晩餐会場周辺では、まだ大捕り物騒ぎが続いている。
ランビ渾身のスピン、ADSLの皆殺しイーグル、さらにADSLから発射されたルタイのメンチ切り4T、
Pチャンの眼光ステップをしても、大勢の黒服達相手にキリがない。
和装から洋装に切り替えたべるるんは、今度は中々暴れてくれないサスペンダーに手こずりながら考えた。
(皆バラバラに動いてもダメだ、一気に片をつけたい…そうだ、トマシュ、来てくれ!)
ジュリエット追跡中だったトラ&ジュベだが、導かれるように、晩餐会場にWパンモロ攻撃で現れた。
宇宙船で休んでいたコストナーさんも、スケパシーを感知して駆け付けた。
「さあ、みんなでアレをやるよ!」晩餐会場の音響設備を乗っ取ったコストナーさん。
ミュージックスタート!…気が付くとその場のスケーター全員が暗黒舞踏を踊り出した…
一方、黒服達は全員動けなくなっていた。「今だよ!早くふん縛っちゃったらいいよ!」
501スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 13:18:25 ID:8YDTt6dk
「……そんなことしたら、僕たちはこれを壊します」
殿が刀を抜き、振りかぶる。下ろされれば箱をまっぷたつにするだろう。
「彼女を離してください」
「スケ力を奪うわよ!」
バトルと殿、ジュリエットの視線がぶつかりあう。二人は一歩も引く気がない。
(そのまま待ってろ……こっちが終わるまでな!)
ヤグたちからのスケパシ―が届く。空気がぴんと張り詰める。
502スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 13:39:10 ID:Jo1KXJC8
「ねえ、ジュリエット、君は、僕が欲しいんでしょう?」
緊迫した空気の流れるジュリエットの私室。ヤナとがっちゃんのフォローを受け、
ニジンスキーのエフゲニーが部屋へ辿り着いた。瞳に凍てつく氷点下の青を宿し、
プルはバトルと殿の前に立ち、ジュリエットと対峙する。
リョーシャ先輩たちがジュリエットの本体と思しきミイラを壊そうとしている。
けれどそれだけでは駄目だ。ロミオが必要なのだ。
「ヴィクトリアを離して。かわりに僕の力をあげるから。そうしたら君は満足できる?」
そう言ってプルは、ジュリエットに手を差し伸べる。
スケカをコントロールすれば、おそらくは、ジュリエットからのスケカ吸収をある程度制御できるはず。
持ってあと三分。

その時だ。
周囲にいるすべてのスケーターたちの脳裏に、スケパシーが届いた。

『なりたい自分に、なれるよ。きっと。だれだって変わることができるんだよ』
真央のスケパシーは、ジュリエットにも伝わっていた。
503スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 13:42:28 ID:pb0cafGz
女連手下の黒服たちは、ふん縛られ、宇宙船の近くに集められた。
「これで雑魚は片付いたわね^^ 例のツアーのお出迎えが来るまで、私と女子が見張っているわ^^
 あなた達は他のスケーターの応援に行って^^」ユカさんが微笑む。
今ここにいる男子は…べるるん、ランビ、大輔、ジュベ、トラ、ミハル、ADSL、ルタイ、アボ、Jテン、チャッキー。
「…ヴィッキーがいないぜ!?」ADSLが叫んだ。一緒にいると思い込んでいたのだ。
「本当だ…ヴィクトリアを…いや早くみんなを助けに行こう!」内心、SWE長兄としての責任を感じるべるるん。
…てか、『男(前)』として勘定されてるヴィッキー。
504スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 14:06:43 ID:CfXl966l
「いけない!早く見つけないとジェーニャが…」
広い屋敷をロミオになれる人を探して回るジョニ子。
しかし思い当たる人物は見当たらず、時間はどんどん過ぎて行く。
「あ〜もう!ロミオになれる人って誰なのよ?!」思わず小塚の様な叫びをあげる。
大体ロミオとジュリエットって言えば物語のヒーローとヒロイン、王子と姫でしょ?
姫ならあたしがやっても良いんだけど、王子となるとねぇ…。
…そうだわ!
ひらめいたジョニ子はスケパシーでその人物の居場所を探した。
何かひどく緊迫している。急がないと!
大慌てでジョニ子はその場所へ向かった。
505スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 14:49:18 ID:Jo1KXJC8
「最初からそうしていればいいのよ」
プルがさし出した手を舐めるように見て、ジュリエットは笑った。人質に取っていた
ヴィッキーを突き飛ばす。足元の危ういヴィッキーはバトルに助けられた。
そうよ。なりたい自分になるの。ロミオ、あなたのために。美しい私のために。
きっとそうしたら貴方は私をもう一度見てくれる。声をかけてくれる。可愛いよ、美しいよ、
可憐だよ、凛としているよ、艶麗だよって。

ねえそうしたら、貴方、もう一度私を見てくれるでしょう?

ジュリエットがプルの差し出した手を取る―――
506スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 14:56:48 ID:8YDTt6dk
「てめえ! 何言ってやがる!」
ヤグディンは声に出して怒った。
(なんとかできるでしょ? じゃあがんばって〜)
スケパシーからでも、相手の深い疲労感が伝わってくる。言い返す前に、向こうはスケパシ―を切ってきた。
いや、切れたと言った方がいい。最後に、苦痛の色が混じるスケパシーだった。
「あの鼻デカ、自分にかけられてる期待理解してんのか?」
氷柱は半分ほどの大きさになったが、まだ壊せるほどではない。
「ヤグディンさん、降ろしてください」
目覚めた真央。
「おい、お前……」
「少しでも力になりたいんです」
真央を目を合わせたヤグは、その力強さに驚いた。
「飛べんな?」
「はい!」
二人は並ぶ。そして同時に飛び上がった。世界一美しいと呼ばれる3Aが、氷柱にひびを入れる。
氷柱の溶ける速度が目に見えて早まった。
「続けて飛ぶぞ!」
507スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 15:24:43 ID:CRBXUzbc
力が入ってくる。
最高に強くて美しい・・・まあ、なんて素敵なんでしょう!
流れ込んでくるプルの力にジュリエットは恍惚とした表情を浮かべる。
この力を持ってすれば、なりたい自分になれる。美しくて、可憐で、愛らしくて、凛として・・・
そして・・・どうするの? もちろんあの人に愛されるのよ?
美しい私を見て、私を抱きしめてもういちど「愛しているよ」と囁いて。
・・・ねぇ、ロミオ?・・・ロミオ、どこにいるの?


「お待ちなさい!!」
ジョニ子の声でジュリエットは端と我に返った。
その部屋にいた全員の目がジョニ子に集まる。
「ジュリエット・・・見つけたわよ、あなたのロミオを!」
508スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 15:40:10 ID:pb0cafGz
一方、ジュリエットを追っていたエマ&ロロは…「あっちやで!マオがおるんは!」
…真央のスケパシーを受けたロロによって、真央捜索に行動が変わってしまっていた。
「アタシはあのアマに一言言ってやらないと気が済まないのよ!」
「マオがおる島に、ジュリエットとやらの秘密もあるようやで。エマ、跳べるな?」
「ったりまえよ!…えぇいいわ、アタシも行くわ!」
2人の3Aは、無事孤島に降りた。
509スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 15:53:54 ID:NuMSu8El
「よし!おわった・・・」
詠唱を終えた崇彦は顔を上げてヤグディンたちをみる。
氷柱は完全に崩壊しその中心にはミイラが横たわっている。
「後はこれを破壊すれば」
そう呟いたとき、タラソワからのスケパシーが届く。
「あんた達、どこまで終わったんだい!」
「(ちっ、うっせ〜な〜)今ミイラを破壊するところだ!」
「あら、ぎりぎり間に合ったわね。それじゃ悪いけどそのミイラそのまま運んで頂戴。」
「はぁ〜?」
「予定を変更してそのミイラを火葬することにしたから。準備はできてるから早く運んでらっしゃい。」
そういうと一方的にスケパシーは切れた。
「まったく気まぐれババァめ・・・」
5人は指示通りミイラを表に運び出すと、そこにはタラソワコーチが待っていた。
「みんな、やればできる子じゃない。」
「あ〜そうですね!」
コーチのねぎらいの言葉にも少しふてくされ気味のヤグディン。
「あとは、彼女を送り出してあげないと・・・・最後の旅立ちにふさわしく・・・」
予め準備されていた祭壇に安置された彼女をみんながきれいに飾り始める。

いつの間にか、女性達は涙を浮かべていた。
510スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 16:04:17 ID:Jo1KXJC8
「ロミオ?!……私のロミオ……?」
確かにジョニーはそう言った。しかしジュリエットは信じられなかった。
その一瞬の隙をついて、繋がっていたプルとの手が、衝撃とともに離れる。
「男前女子を舐めないでよねっ……!伊達に男子に混ざってるわけじゃないんだからもう!」
回復しないスケカをふりしぼり、ヴィッキーが跳んでいた。よわよわしい2Sであったが、
逆回転であるヴィッキーのジャンプは、気を削がれたジュリエットの体だけを突き飛ばす。
その時――ジュリエットは自らの実体が封じられている氷柱が壊されたことに気付いた。

まだ間に合う。プルの力の三分の一は頂いたのだ。
「その小箱だけは渡さない……!じゃないと私は……本当に……この世から……」
地面を蹴り、ジュリエットが殿に襲いかかる。
スケーターたちの背後からは、ロミオ含む他スケーターたちの足音が聞こえてきていた。
511スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 16:23:24 ID:pb0cafGz
ジュリエットのいる部屋に、べるるん達も駆け付けた。燃え尽きたヴィッキーを支えるADSL。
「ヴィッキー!…じゃないみたいだ…でもこれなら兄貴か弟に紹介したいかもだぜ…」
(うっさい!コーチにある事ない事言いつけるよ!)ヴィッキーの思いはむろん言葉にならない、
その代わり、震える指で示した先には…彼女のスケ力を奪ったジュリエット。「…てめぇが!?」
「ヴィクトリアの男前を返せ!」いきり立つADSLと共に、べるるんも叫ぶ。
信成に襲いかかろうとしたジュリエットが、ヒクッと反応し、振り向いた。
「…男前?…私は十分、いえ今まで以上に美しいじゃないの…男前だって美の内よ!?」
…ロミオは…私のロミオは、きっと受け入れるわ!この私の美しさを…ロミオ、どこにいるの?…
(そーよそーよ、言ってやって言ってやって!)ちょこっと敵に塩を送るヴィッキー。
512スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 16:27:41 ID:8YDTt6dk
「アーチャ、鏡!」
プルががっちゃんに指示を出す。再度鏡がジュリエットの間に現れる。
「同じ手にまた……!?」
しかし、先ほどは微動だにしなかった鏡の中のロミオが、今度はジュリエットに微笑みかけた。
「ごめんね」
凍りつくジュリエット。鏡を挟んだ向こうには、ジョニ子がつれてきたロミオ……ウル様がいる。
「ロ、ミオ……」
「僕の気持は、ずっと君のものだよ」
いつの間にか鏡に映るロミオの姿は、ウル様に変わっている。鏡の向こうのウル様は手をのばし、鏡に触れる。
「愛してる」
ジュリエットの目から涙がこぼれた。
「私もよ! ずっとずっと!」
ジュリエットが手を伸ばす。ガラス越しに二人の手が触れ合おうとしたとき、彼女の体は真紅の衣装に包まれた。
紅い、紅い炎。指先から、ジュリエットの体は消えていく。煙もなく、灰も残らず……
513スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 16:43:25 ID:Jo1KXJC8
貪欲に美しさを求めていたジュリエットが消えた。
せめて最後に触れようと、鏡を突き抜けるようにウル様が手を伸ばした。深く慈愛に満ちあふれた瞳だ。
しかし炎は消え、静寂だけがその場に落ちる。
と――殿の手の内にあった小箱が震えた。かちり、かちりと、ねじが巻かれる音がする。
そして小箱はゆっくりと、誰の手を借りることなく開き……金属音を奏ではじめる。
それはオルゴールだった。小箱から競り上がってきた銀色の舞台で、ちいさな少女の幻が踊る。
キャメルスピン、スパイラル、美しいイナ、……そこにいたのは、可憐で小さな、スケーター。

『わたしね、ロミオのために、誰よりも美しい氷上の花になるの!』

はつらつとした少女の声が、オルゴールの音色に混じり、寂しく響く。
514スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 17:07:14 ID:8YDTt6dk
(おいジェーニャ! 聞こえてんだろーな! こっちは燃やしたぜ!)
(聞こえてるよぉ。彼女燃えて消えたよ……っ)
「先輩!」
急にプルが床にうずくまってしまう。がっちゃんがあわてて介抱するが、プルは動けない。
(ジェーニャ!? ジェーニャ!?)
「エフゲニー!!」
「さっき力を取られたから…」
「だいじょぶ……ニジンスキーがかばってくれたから……」
目を閉じて、真っ青な顔で言うプル。
ニジンスキーを召喚したのは、美をパワーとする彼女の注意を自分に向けるためと、万が一の場合、ニジンスキーの美を上乗せした自分の力で、身代りになるためであった。
「アーチャ、そっちを支えて。宇宙船まで運ぼう」
悲しげにジュリエットが消えた床を見ていたウル様が、プルに肩を貸す。
「そして、皆の無事を確認しよう」
不安げな皆の目を見て言うウル様。皆はうなづくと、ふらふらのヴィッキーとプルを心配げに見つめながら、館の外へと出た。
515スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 17:25:49 ID:3KGu0DgT
「あっ、どうしようこれ・・・。」
ぞろぞろと館の外に出てきたところで、信成は件のオルゴールを持ってきてしまった事に気付いた。
音を奏でたのはさっきの一度きりで、蓋を開けても、ネジをまいても動く事はなかった。
きっと彼女の魂と共に天に昇ったのだろう。
(その遺品は彼女の墓前に供えてあげましょう。)
信成の思考を読み取ったタラソワがみんなに伝わるようにスケパシーで言った。
(準備は出来てるの。場所は後で指示するから、少し休んだらみんなでいらっしゃい。
リョーシャとマオ、ミキ、タカヒコ、ミライと・・・・・・そうそうフィリップとエマニュエルもこっちにいるわ。)
516スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 17:29:58 ID:pb0cafGz
「…これで、この館にはもう誰もいないわね?」
館の外に脱出したスケーターズを見送りながら、そうつぶやいたのは…ジョアニーだ。
そして彼女は、入り口を支えていた手を離し、スケーターズの後に続いた。
主を失った館が、静かに崩れ落ちた…
517スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 17:40:34 ID:Jo1KXJC8
黒ずくめの男たちはタラソワの指示により、手配された航空機でシベリア送りにされた。
宇宙船に乗りこんだ一行は、誰もいなくなった島を、窓の外から見下ろす。
オルゴールの音色と少女の声は、外で待っていた女子スケーター達にも伝わっていたようだった。
かくかくしかじかと事の顛末を全員で確認して、それぞれが無言で、溜息をつく。
「……あのね、きっと、ジュリエットは、ロミオに沢山褒めてもらいたかっただけなんじゃないかな!」
さすがのコストナーさんでも、用意されたお菓子に手を伸ばす気分にはなれなかったが……やっぱり口寂しかったので伸ばした。
「好きな人に綺麗って言って貰いたかった気持ち、……解るわ」続けるのはゲデ子だ。
「オルゴールの中の想い出が、未練だったのかもしれないわね」グレボワが流した視線はランビにぶつかった。
「その執念が、彼女をあそこまで至らせた……か……」ファヌフの視線は未だ窓の外にある。
男子達は口をつぐむのみだ。

「でも、……ジュリエットの遺体は、どうしてあそこにあったのかしら」
ふんふんと鼻を鳴らし……ジョニ子が首を傾げる。宇宙船はタラソワが指定した場所へ進む。
518スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 18:06:26 ID:CRBXUzbc
「ヤナ・・・」
「何?」
宇宙船の自室で横たわるプル。傍にはヤナが付いている。
「・・・怒らないの?また無茶をしたって」
「もちろん、良い気はしないわ。でも、そうしなければ皆を助けられないと思ったんでしょう?」
ヤナの問いかけにプルは小さく頷いた。
「だったら怒らないわ。貴方は自分で正しいと思ったことをやったんですもの・・・」
にっこりと微笑むヤナ。だがその目の端にかすかに滲む涙の雫。
「ごめんね・・・ヤナ」
プルはそっと手を伸ばして、ヤナの涙を拭った。
「大丈夫よジェーニャ・・・貴方はもうしばらく休んでいなさい。島に着いたら教えてあげるわ」
519スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 18:52:07 ID:8YDTt6dk
「ヴィッキー、大丈夫なのかい?」
「なんか、すっごい疲れた……」
「スケ力は?」
「飛びすぎて減っちゃってる感じ……でもなくなったわけじゃないよ、戻ってきてる」
後輩女子に優しく声をかけるADSL。ユカ^^さんが女子部屋で休むヴィッキーの額に濡らしたタオルを置く。
「あの女の人が倒れたからかしらね、よかったわね、ヴィッキー。後はゆっくり休んでね^^」
「はい、おやすみなさい…」
520スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 19:14:42 ID:XVJ6J/ar
消えかけた火葬の炎に照らされ、皆から少し離れて立つロロを、真央はいぶかしげに見ていた。
普段なら、彼女の顔を見たとたん相好を崩す「フランスの義父」が、何だか様子がおかしい。
説明はしづらいが。例えば、真央相手だと少し口調が変わるのは、いつも通りなのだが。
その時真央は、彼の頬に光るものに気づいた。一筋の、涙。
「泣いてるの? あの女の人のために?」
歩み寄って問うた少女に、ロロはそっと首を横に振る。
「僕じゃない。“ダルタニアン”がちょっと、昔のことを思い出してるのさ」
遠く17世紀に出会った、哀しき妖婦の面影を。
心惹かれながら敵となり、愛しつつ憎み合い、最後には自ら命を奪った彼女を。
「身勝手な男に運命を狂わされた女が、あの頃にもいたんだ」
涙をぬぐいながら、彼は少し自嘲的に呟いた。
「いつの時代も、男ってやつは罪深いよ……ハハッ、反省しなきゃね」

「よく分からないけど、誰も愛せないより、素敵な人に片想いする方が幸せなんじゃないの?」
半ば無意識に、真央はそう口にしていた。目の前の男がはっと顔を上げる。
変なことを言ったかと戸惑う彼女の前で、その表情は、晴れやかな笑みに変わっていく。
「君はちゃんと、本当に大切なことを分かってるんだね。マオ、さすが僕の“娘”だ」
極上スマイルと共に彼女の肩を抱こうとしたロロは、反対側から突然、
肘鉄の一撃を食らって身を折った。エマがそこに立っている。
「あんたは、そーやって都合良く話を持ってくんじゃないの」
「何すんや、ええ所やったのにー!」
521スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 19:26:11 ID:Jo1KXJC8
タラソワが指定した位置――そこは、フィンランド西部にある小さな港町だった。
ミイラのあった孤島からは数十キロほどしか離れていない……潜水艇で向かっていたメンバーは、
孤島がスウェーデンとフィンランドの間にある海域であると気づかなかったのだ。
突如上空に現れた宇宙船に驚く町の人々を気にすることなく、宇宙船は着陸する。
そこには先行していたタラソワ、小塚たち、そして、キーラとラウラの姿があった。
既にタラソワたちにより火葬は終わり、その灰だけが、真央の腕に抱かれていた。

「今となっては、彼女が何者であったのか解らないけど……もしかしたら、この国に縁深かったのかもしれないから」
「フィンスケ連を名乗ったのも、あの場所に館を構えていたのも、……フィンランド女子スケーターの先輩だったのかもしれないし」
「だからここで、彼女を弔おうと思うの。彼女の魂が浮かばれるように
 ……リョーシャ、何か一発芸でもしなさい」
「えっ」タラソワの無茶ブリに、リョーシャ先輩が凍りつく。
522スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 20:40:02 ID:593nij7L
「ここはフィンランド人に任せるべきだと思うぜ!」
逃げたな……と冷たい視線が突き刺さる。特に後ろで気だるそうに座り込んでいるプルの視線が。
「……私に任せてもらってもいいかな?」
声をあげたのは、美姫だった。
「私も、すべりたいわ」
ジョアニーも美姫の隣に並ぶ。
「そうね……頼めるかしら。ここから一番近いリンクに行きましょう」
キーラたちの案内で、一同はリンクへ移動する。皆が観客席につく中、美姫が登場する。
悲壮で、荘厳な音色が、リンクに流れ出す。レクイエム。モーツァルトの未完の、安息を求める魂への曲が。
523スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 21:05:42 ID:Jo1KXJC8
真央はジュリエットの遺灰が入った小さな硝子容器を抱いていた。
殿が隣にやってきて、ずっと手にしていたオルゴールの小箱を手渡す。
あの島から離れ、時間が経つと同時に、表面を飾っていた宝石はくすみ始めていた。
もう既にオルゴールのぜんまいさえも回せない。汚れが目立ちはじめていた。
「時間が戻っているんだね」真央はそう呟いて、オルゴールを開く。微かに軋んでから、
ゆっくりと銀盤の舞台が姿を現した。
『ありがとう』銀盤の上で、幻の少女が微笑む。
恋人でもあったコーチに捨てられ、絶望したこと。オルゴールを抱き、海に身を投げたこと。
美しさがほしかった。もう一度、振り向いてほしかった。愛してほしかった。
その一念があのジュリエットを作り出し、美に執着する余り、暴走してしまったこと。

「きっとまた生まれ変わったら、なりたい自分に、なれるよ」
『なれるかな?』
「なれるよ。わたしもがんばるから、なろうね」
『……うん』

レクイエムの音色に乗って、オルゴール箱がきらきらと輝き、消えていく。
スケートリンクでは、ジョアニーや美姫だけではなく、
ゲデ子やコストナーさん、グレボワ、ファヌフ、ユカさんまでもが鎮魂の舞いを見せている。
524スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 21:28:54 ID:3KGu0DgT
「リョーシャ、なんでさっき下手な嘘ついたの?」
観客席に座って美姫たちの演技を見ている最中、(珍しく)ヤグの隣に座っていたプルが言った。
「嘘?何のことだ?」
「とぼけないでよ。足・・・痛いんでしょ?」
「・・・・・・。」
タラソワの無茶振りにてっきり逃げたと思っていたが、リンクに移動している時のヤグの歩き方に違和感を感じたのだ。
「まぁ大体予想つくけどね。封印していたジャンプ跳んだんでしょ。」
「ボロボロの身体にニジンスキー憑依させて、おめおめとスケ力差し出そうとしたお前に言われたくないね。」
プルに図星を突かれてついつい皮肉を込めた返しをしてしまうヤグ。
痛めた原因はあの時、洞窟の氷を砕く時に真央と共に連続で跳んだ3A。
かつてからのライバルがスケーターとしての命を懸けてまでみんなを彼女を救おうとしている
その事を知ってしまった以上、彼もまたスケーター生命を懸けて封印していたジャンプを跳んだのだった。
「それで、お前の方は身体大丈夫なのかよ?」
「鍛え方が違いますから。」
「ははっ、相変わらず可愛くねぇなー」
ヤグが噴出し、その隣でプルもニヤリと笑う。顔を見たわけではないけれどお互いなんとなく分かる。
525スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 21:42:14 ID:pb0cafGz
鎮魂の舞の輪の中に、すらりとした長身のシルエットが加わった。
(ドヴスとか、つまらない女とか言って悪かったわね…だってアンタ、ホントにヒドかったもの…
 でもその苦しみ、わからないでもないわ。アンタの為に舞ってあげる、安らかに、可愛いブス子ちゃん…)
ついにエマが、氷上に戻った。

「…どうやら無事終わったみたいだね!さて…」ホッとしてぬる麺が言う。
湖畔の森で、スケパシー全開で待機していたスケーターズは、わっと歓声を上げた。
「あなたはちょっと休んで、アクセルくんと遊んであげたら?」
キーラがぬる麺の肩に手をかけた。ラウラはパンパンと手を叩いて、呼ばわっている。
「さあ、お疲れの人達が戻って来るわよ、皆で準備しましょう!」
526スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 23:21:08 ID:8YDTt6dk
「…僕、疲れた」
「ああ…俺もな」
エマが氷の上で悶えっている。あれが彼なりの鎮魂だ。
「残っている人たちがご飯とサウナの用意をしているそうよ」
タラソワがやってくる。眠そうなプルはヤナの肩に頭を預けている。タラソワは何気なく手を伸ばすと、ヤグディンの足をとった。
「い…っ!」
「あんたたちは、自分のこと大切にしなさい」
怒っている。そして悲しんでいる。
「でも…」
プルの目の先には、先輩たちの演技を目を輝かせて見るヴィッキーがいる。
「守らないとダメだよ、僕たちが」
レクイエムが終わる。
「さー皆ー! フィンランドのおもてなしするわよー!」
楽しげな誰かの声がする。

「さーて飲んで遊んで最後にパーっとしましょ!」
「あんまり太るとシーズン始まるときつらいわよ」
「大丈夫! 若いから!」
そして、最後の大宴会が始まった。
527スポーツ好きさん:2010/05/23(日) 23:59:58 ID:Jo1KXJC8
「みなさーん!おもてなし会場はこちらですよー!!」
「まずはフィンランドサウナからどうぞ!」
港町のスケートリンクからそれぞれジャンプやステップやイーグルで移動してきたスケーターたち。
フィンランド湖畔で大きく手を振り待ち構えていたのは、帝国の後継・ボロデュリンとヴォロノフだ。
サウナ内で白樺の枝を片手ににこにこ笑いながら待ちかまえているのは、小林とリンディ。
Dテンとミハルは音響機器のチェックだ。
「エアギター大会の序幕は僕が担当させてもらうよ!!」
スケカでSI衣装に着替えたべるるんは、もう既にテンションが上がっている。
「先輩、衣装で性格が変わるタイプですよね……」
まだ調子が戻らず、ジョアニーにお姫様だっこ(!)されているヴィッキーが肩をすくめた。

「大輔、あれやるぞ、あれ」ADSLが大輔に耳打ちをする。
「あれ?」
>>295のアレだよ、忘れちまったのか?」
「なんだよお前ら俺も混ぜろよw」ルタイがADSLと大輔の間に割り込んでくる。
528スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 00:15:34 ID:vPXS37fu
「何はともあれ…みんなお腹がすいたでしょ?」「おかわり自由よ、たっぷり召し上がれ!」
まずざっと汗を流したスケーターズは、女将姿のキーラ&ラウラに、森の中の宴会場に案内された。
腹減りADSLの目が輝く。ヴィッキーはそれを横目でにらみながら…彼女も超腹減りだったりする。
なごやかに、にぎやかに食事が進む中、ルタイが唐突に、崇彦の隣に来て、肩を組んだ。
「よおタカヒコ、あらためて夜露死苦!」
「え?…あ、どうも…ご飯おいしいです!お腹いっぱいです」
「じゃちょっとこっち来いよ…フィンランドは、実はずっとおめーを待ってたんだぜ?」
ルタイが崇彦を案内したのは…森の中のステージ。『エアギター(orエア○○)』会場だった。
「腹一杯食った後は、運動だ、な?」
「ここが…俺のための…みんなのためのステージ!?」月明かりに照らされた舞台に目を見張る崇彦。
大輔とADSLも、いつの間にか来ていた。そして…子供を寝かしつけたぬる麺も。後から他の面子もやって来る。
ステージ前には、特設リンクが作られている。…さあ、誰が来て何を始めてもOKだぜ!
529スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 00:23:11 ID:BFWuQlAl
「僕サウナ〜後でクワスか日本のビール〜」
「俺もサウナ」
サウナ好きのロシアン二人は先にサウナへ。
「お願い、喧嘩しないように見ていて」
ヤナ姉さんはウル様を捕まえて頼むが、
「大丈夫じゃないかな、あの分なら」
とまったり。
「僕バックダンサーやる!」
がっちゃんはマイケルで踊る気満々だ。
530スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 00:30:42 ID:HpLGcKOJ
「それじゃあ僕から!!」宣言通り特設リンクに飛びだしたのはべるるんだ。
革ジャンにストール、サングラス、ジーンズと格好は完璧。ロックだ。
Dテンが音楽を流し始めると、べるるんはあらぶる。まるで物腰穏やかな普段のべるるんからは
想像ができないくらいハードだ。ロックだ!
「じゃあ真央も行きまーす!!」
物おじ一つすることなく、真央が颯爽とリンクへ跳びこむ。
眩しい笑顔を振りまいて、飛んで、跳ねて、べるるんのかわりにマイクを蹴っ飛ばす。
「真央ちゃんずるいですぅ!未来も蹴っ飛ばします!」

cuteなジャパニーズ&ジャメリカンガールたちの弾ける様子に、みんなにこにこしている。
特にバトルとロロは顕著だ。それはもうにっこにこだ!
531スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 00:43:32 ID:iG+JrrNw
エア○○会場の客席に座り直したり、足りなくなったお菓子を補充しに
また宴会場に戻ったり行ったり来たりしているバトル。
何度目の往復だっただろう。
ひとり、みんなから離れて背を向けて座ってるジョニ子に気付く。
「ジョニー、なにしてるんだい?」
「はによぉひゃへりはへはいれよ(なによぉ、しゃべりかけないでよ)」
振り向いたその顔は真っ白のパックに覆われていた。そしてその瞳は怒りに満ちていた。
パック中で喋れないジョニ子はスケパシーで一気にまくし立てる。

(おかしいと思わない?美を追究するジュリエットが…永遠の美貌を欲しがったジュリエットが
なんでアタシ一人を狙わないのよ。美と言えばアタシ、DIVAのこのアタシでしょ?
今度こんなことがあった時のために、更に美貌に磨きをかけてるのよ!
あっもし何かあったら、あんたが助けにくるのよ。
美しさのせいで狙われるのはいいけど、まだ消えたくはないからね。
アタシがなりたいのはあくまでも
美貌に嫉妬されて連れ去られて
その上、キャーな状況になって、イヤーンなことをされちゃって
アハーンな目にあったりしてそれでも最後は
助けてもら……ちょっとジェフ聞いてるの!)
532スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 01:13:04 ID:vPXS37fu
『携帯投げフリースタイル』会場では…
スイスおもてなしを邪魔されたランビが、鬱憤ばらしとばかりに、マッターホル(ryで、使用済みノキ○を投擲していた。
ぱちぱちぱち。まばらな拍手。観客の中のDテンくんは「白鳥」衣装、内心『エア○○』に行きたいようだが…
(誰が見てなくても、僕は…48種のスピン全てで投げてみせる!…)
「いいぞいいぞ、やれー!」いつの間にかいるコンテが声援を送る。彼もランビも、顔下半分が真っ黒だ。
533スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 01:47:22 ID:qlC78yqU
一方その頃、真央誘致あみだくじ大会はまだ続いていた。
カナダが勝ち抜けた後、再び数十mもある長いあみだくじが作成され、結果が判明した。
「やった!次はうちだ!いよいよわが国マオ・アサダが!!」
結果を見て狂喜乱舞する某国代表だったが。
「えー、ただいま連絡が入りまして、マオ・アサダはカナダで温泉めぐりを終了の意思を示しました。よって今の抽選結果は無効、あみだくじ大会は終了です。皆様お疲れ様でした!」
えええええええええ!!!!とブーイングが起きたが、規則は規則だ。あみだくじ大会は終了となった。
「現在の彼女の滞在先ですが、誘致は終了しましたので、当局では一切関知いたしません。では解散!」
可哀想なのは当たりくじを引いたのに無効になった某国代表。
ショックのあまりその場で気絶してしまったとか…気持ちはわかるぞ。
534スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 02:01:01 ID:FEip6lCQ
イマイチ参加人数の少なそうな携帯投げフリースタイル会場
「俺も携帯投げ参加する〜」
いつのまにかeyeの衣装に着替えた大輔がCiStの入りの投擲ポーズで決める
「いいぞ、室伏〜!」
記録は伸びなかったが、笑いは取れたようだ
少し不満が残ったがとりあえず決めポーズでドヤ顔だけはしておいた
535スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 02:29:59 ID:gxHxnpf2
顔をパックで真っ白にして美の追求に余念がないジョニ子。
「今回もいろいろあったし、またDIVAの立場が危うくなったけど、これからはもう大丈夫!
あの光線で乙女成分アップしたアタシに恐れるものなどないわっ!」
一人うきうきするジョニ子。

実はジュリエットの館に突入前、「体力が落ちたままでは何かと困るだろう」と例の光線(解除モード)を
出発前のパックに勤しむジョニ子に背後からこっそり発射していたのだ。
(本当のことを言ったら、ただじゃすまないだろうなぁ…)
バトルはどう声をかけていいか困った。

536スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 08:13:05 ID:vPXS37fu
携帯投げフリースタイルは、投擲距離よりもウケが命。笑いを取れた大輔も、ドヤ顔から破顔に変わる。
「大ちゃ〜ん!面白かったよー!」
崇彦が手を振る。彼はエア○○と携帯投げ会場を、行ったり来たりして見物しながら、大はしゃぎだ。
「ホント?よかった!タカもやってみ?」
大輔は、苦労人崇彦が楽しんでいる様子を嬉しく思いながら、使用済みノキ○を手渡した。
「えぇ、俺もやるの?…」
はにかみながらそれを手に取る崇彦。携帯投げ会場にも、だいぶ人が集まって来た。
537スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 11:20:12 ID:BFWuQlAl
島で宇宙船を待つ時のことである。
ぐるぐるぐるぐる、歩きまわる。
「リョーシャ」
ぐるぐるぐるぐる。
タラソワは拳を振りかぶるとヤグディンを殴った。ヤグは軽くふっとんだ。
「いってぇ…!」
「心配ならスケパシーで聞けばいいじゃないの」
「何をだよ!」
「ジェーニャの事」
「誰があいつの心配なんざ!」
傍にいた小塚と未来は、何を言ってるんだろうこの人と思って、顔を見合わせた。
「さっきスケパシー中にプルシェンコさんが倒れた時、何度も呼んでたよね、口に出して」
「ものすごく愛憎渦巻く関係らしいから、あんまりかかわらない方がいいと思うよ…」
二人の会話は日本語なのでヤグディンにはわからなかった。
「まあ宇宙船も来たことだし、直接聞けばいいわね」
タラソワが見上げると、本拠地から飛び立った宇宙船が島に降り立とうとしている。


「まあ、昔よりは大分軟化したかしらね」
二人が一緒にサウナに行ったと聞いてタラソワはつぶやく。
真央がステージからタラソワに向かって手を振る。タラソワも手を振り返した。
538スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 11:54:04 ID:gxHxnpf2
サウナから出てきたプルとヤグ。
「うわっ!おまえ何燻製臭くなってんだよ!」
「リョーシャだって人のこと言えな…」
そこまで言いかけところで、待ち構えたリンディ&小林の白樺ぶっ叩き攻撃をくらい、
湖に突き落とされた。豪快な音を立てて落ちる二人。
「びっくりした!なんなのこれ?」
「何だおまえら?ドイツでの仕返しのつもりか?!」
もっとも寒さ耐性ありのロシア人には水の冷たさは気にならないようだが。

「何言ってんだよ、これも立派なおもてなしだよ!」
「フリードリヒス浴場より遥かに手順が少ないだろ?」
笑って答えるリンディ&小林にヤグが湖面の水をバシャバシャと浴びせ掛け、
びっくりした2人の足を引っ張って湖に引き摺り下ろした、
「うひゃああ!冷たいっ!!」
「ようし、だったら今度は俺がおもてなししてやる!その枝よこせ」
「わぁ、なんだか面白そうだね、僕にもそれ貸して!」
湖で白樺の枝を奪い合う4人。早く上がらないと風邪引くぞ。
539スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 12:13:23 ID:vPXS37fu
エア○○会場から、風に乗って、アコーディオンの音色が聴こえて来た。
「あ、俺の曲!行かないと、タカも後で来てね!」
すっ飛んで行く大輔を見送り、携帯投げ会場でノキ○片手に途方にくれる崇彦。
「投・げ・ろ!」「投・げ・ろ!」集まったスケーターズがはやしたてる…

エア○○ステージでは、大輔を待たずに、すでに数人が情熱的にエアアコーディオンを奏でている。
それに合わせて、ステージ前リンクで思い思いのタンゴを披露するスケーターズ。
そこに現れたのは…ジョアニーだ。その姿に、男子も女子も目を見張った。
美しく、気品にあふれ…そしてセクシー。
一輪のバラをあしらったその背中に、誰もが触れたいと願わずにはいられない。
だが今宵の彼女は高嶺の花のよう…男子たちがびびってダンスを申し込めないでいると…
「Saanko luvan?」
なんとアボットが凸った!ジョアニーもにっこりと微笑んだ。
540スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 16:14:56 ID:JyADj7pC
「こちらはフィンランドのおもてなし会場、大変盛り上がっております!
 現在>>539の時点で容量は453KB、残り47KBです
 スレ終盤のお祭り騒ぎ、心行くまで楽しんでいきましょう
 以上、現地からお伝えしました!」
541スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 17:43:44 ID:P9WyBuy9
「ステファンちょっといいかしら^^」
『携帯投げフリースタイル』の演技を無事に終え
客席で声援を送っていたランビにいつのまにかユカが忍び寄っていた。
「いろいろと大変だったわね^^スイスのおもてなし係もお疲れさまでした^^」
「終わってみれば全部笑い話だよね。
今はこうやって女の子もいっぱいいるし
みんなが笑って楽しんでる姿って見てるだけで楽しいね。アハンアハン」
「私をマッターホルントルネードでぶっ飛ばしたことも笑い話かしら^^」
「……え?」

あのときのことをよーーーーく思い出してみるランビ。
そういえば我が家でマッターホルントルネードを繰り出した後
ユカとジェレミーの姿が消えていたような……
もしかして僕、飛ばしちゃった?このユカさんを?あのユカさんを?
アハンアハンと笑いながらも顔面蒼白になっていくのが自分でもわかる。
「あっちで面白いことをやっているわ^^
まずはサウナでも入ってもらいましょうか^^」
有無をいわさずランビの手を引き、向かうは当然スモーク・サウナ。
(女の子から手を引かれるのってやっぱりいいなあ。アハンアハン)
ユカの強引さに怯えながらも、女の子と手をつなぐ喜びの方が勝ってしまうランビであった。

燻製白樺湖突き落としコースいってらっしゃい!
542スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 19:06:36 ID:0UNzqW2Y
「次、誰かやる人〜〜」
大輔が大声でステージから叫ぶ。
携帯投げ会場もだんだん場が暖まってきた。
と、そのとき。
会場背後からものすごい勢いで何かが飛んでいって客席に落ちた。
それを追うように黒い長い何かも落ちてくる。
「うああああっ俺の携帯がああああっ」
そう言って嘆くライサの手の中にはかつて携帯電話であったであろうぐちゃぐちゃの物体があるだけであった。
「ふんっ。てめぇが悪いんだろうが。ご丁寧にプライバシーモードなんか使ってんじゃねえよ」
いつのまにかやって来たリューキンが腕組みをして立っていた。
(プライバシーモードのフォルダの中にベルビンたんの画像でも入っていたんだろうな…)
そこにいる全員が一瞬にして状況を理解できた。
そしてリューキンの怒りのひと投げで携帯電話は大陸を横断してフィンランドにやってきたというわけだ。
「あ…あの〜今、こういうことをやっていて…」
大輔がしどろもどろにフィンランドのおもてなしについてリューキンに説明する。
「あらおもしろそうじゃない。私も加わっていいのかしら」
「はい、喜んで」
なぜか敬礼しつつ大輔と小塚がリューキンの案内係を引き受ける。
543スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 19:15:21 ID:HpLGcKOJ
だいぶスケカも回復してきていたものの、本調子ではないヴィッキー。
お兄ちゃんべるるんがやたらと心配して甲斐甲斐しく面倒を見てくれてはいたものの、
そのべるるんはエア○○会場に行ってしまった。そこそこ心配してくれていたADSLも、
どこかに行ってしまっている。
カーリカリリート(ロールキャベツ)をもくもくと食べる。
スウェーデンの料理はフィンランドの料理に比べると甘いから、ちょっぴり新鮮だ。
「隣いいかい?」そこへやってきたのはウル様だった。「どうぞ!」愛嬌のある笑顔を浮かべるヴィッキー。
エア○○会場と携帯投げ会場を行き来していたらしいウル様は、ちょっぴりお疲れモードだ。
ホロムイイチゴ酒をちびちび舐めているその横顔に少しばかり影がある。
「そういえば……ウルマノフさん、どうしてあの時、あの館にいらしたんですか?」
館突入の際、ウル様はあの場にいなかったはずだ。
ジョニーが呼んだと言っていたけれど……
544スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 19:52:27 ID:vPXS37fu
「ご案内する前に、ちょっと投げさせて…あ〜〜〜もうっ!!!」
唐突な行動に、あっけにとられるリューキン、大輔。黒いのは黒くてよくわからん。
崇彦がぶん投げた!携帯を!意表を突いた4分の5ステップからの投げ。
彼のモヤモヤした心境を表したものなのかどうか…解らないが、携帯投げ会場は大いに沸く。
「あーなんかスッとした…じゃ行きましょっか!まずはサウナとかどうです?」
スタスタと先に立って歩き出す崇彦。気を取り直して続くリューキン、キョドりながら続く大輔。
すれ違い様にルタイが囁いた。
(タカヒコ、後で『エア会場』に来いよ、きっとな。メンチの切り方教えてやっから!
 …ダイスケも後でな、アドリアンと待ってるぜ!PAミハルはもう『ギタコン』用意してる、アレの準備はバッチリだ)
545スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 20:02:36 ID:3kz533l9
>>544の少し前。携帯投げでわく会場にて。
「…よ〜しィリューキン達も来たし、そろそろ『アレ >>295』やっか?ダイスケ」ADSLが立ち上がった。
「うん。…あのね、ルタイさんも参加したいみたいだし…ちょっと一工夫しない?(ごにょごにょ)」
「おッ!それナイスじゃん! …みんなぁ〜俺達の『おもてなし』ショーを見てくれ!」
「その名も!『俺達フィ○ュアスケーター!inフィンランド!』俺こと大輔と、アドリアン、飛び入りのルタイさん」
「そしてェ!!スペシャルゲストのパトリック・チャンだ!!ほいほいこっち来い!!」

「………え。ぼ、ぼぼぼぼぼぼ、僕??!なんでなんで?
思わず食べかけのお菓子を落としそうになったPチャンにいきなりスポットライトが当たる。
…でも!ここで逃げたら男が廃る…マオに格好良い所を見せないと。Pチャンは勇気を振り絞った。
「ハ〜イ皆さん。センキューセンキュー!」Pチャンは立ち上がって皆に向かって両手を振る。

「さ〜て皆さん!このパトリック君にご注目!」Pチャンを派手に紹介する大輔。
「パトリックがやりてェやりてェ言ってるアレを決めるぜ!!」
ADSLはPチャンを持ち上げると、見事なクワドスローサルコウでぶん投げた。
「!うわ!…おおっ!!有り難う恩にきるよ! アドリアン!」
「そ〜れっ!!」
向かいに待機していた大輔が、Pチャンを持ち上げクワドスローで投げつける。
「うぉ!(痛い!!でも僕って今すごい輝いてるって感じ?!超快感!)サンキュー、ダイスケ!!」
「いっくぜぇぇぇ〜〜夜露死苦!!」
その反対側に待機していたルタイが、Pチャンを持ち上げクワドスローで(ry 
「うわぁああ!(痛い痛い痛い!ちょ、ちょっとまった〜〜〜)」
その反対に居るADSLが、Pチャ(ry 
「う」
向かいに待機している大(ry

とにかくクワドは成功した。Pチャン WIN !!
546スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 20:23:33 ID:icxZ/BLk
エア○○会場で慣れない音響機器に四苦八苦しながら
ピンクチョッキでPA業をこなすミハル。
見るに見かねてアシスタントに名乗り出たのはDテン…
なんか日本の選手たちは笑顔でPAブースを見ているようだが
本人たちはなんでそうなるのか気づかない。

各々好き好きにエア○○を楽しんでいる会場。
『ギタコン』のCDケースはタカヒコの登場を今か今かと待ちわびるかのようにミハルの側におかれている。
しかし、その中身が入れ替えられていたことには誰も気がついていない…入れ替えた本人以外は。
547スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 20:59:10 ID:vPXS37fu
『フィンランド大パーティなう!エアアコーディオンでダンスwithジョアニー♪』
アボのツイッターが更新された。ジョアニーとの2ショット写真もうpされている。
「お〜これはええジョアニーやな、色っぽいなあ…ジェレミーもやるやんけ!…ん?」
笑顔のアボ&ジョアニーの背後に写り込んでいる、黒髪の女の子は…
「マオや、マオやで!これおもてなしちゃうん?わしらも行こか!」
こうしてポンちゃんとアルバンはフィンランドへ押し掛けようと跳ぶのだが…

途中、ハーレーにまたがった骨夫妻を発見し、一声かけようとそちらに降りた。
「ケヴィン、ジェナ、おひさし!フィンランド行きか?」「旅は道連れちゅうて、一緒に行かへん?」
「フィンランド?まあ俺達も旅行中だよ、ね〜ジェナ(は〜と)」
2度目のハネムーンをハーレー2ケツで敢行中の骨夫妻は、世間のおもてなし騒ぎを知らなかった。
「…なんだか楽しそうね!ねぇ〜ケヴィン?」「行きたい?君が行きたいなら、賛成!」
…というわけでその後、ポンちゃん、アルバン、KVDPもめでたく薫製にされたのである。
ジェナが喜々として白樺ぶっ叩き&湖突き落とし役を務めたのは言うまでもない。
548スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 21:13:30 ID:HpLGcKOJ
そのころのコストナーさんとゲデ子とグレボワとファヌフ。
コストナーさんはもくもくとベリーパイに舌鼓を打っていたが、あとの三人はガールズトークに
花を咲かせている。話題は恋や愛や美貌やら……ジュリエットの想いは、女性スケーターにとって
けして他人事ではない。自分たちも氷上の花でありたい……その思いは強い。
何故かそんな彼女達の給仕にいそしんでいるJテンは、姿を消してしまったチャッキーを心配していた。
出かけてくると言ったきり戻ってこないチャッキー。まさか森の野生動物に……嫌な想像をして震えあがる
Jテンだったが……森の奥からやってきた二つの影に、仰天した。
森から湖畔に出てきたのはチャッキーだった。
なぜか、トナカイを従えている。
「……ケヴィン、それ何」「トナカイ、かな」
「かなじゃないだろ!」「子どもたちが迷子になっちゃって、こっちに迷い込んでないかって」
「言葉通じるのかよ!」「僕、前スレで妖精だったから……」
脱力するJテンをしり目に、美女たちは凛々しいトナカイの出現に色めきだつ。
549スポーツ好きさん:2010/05/24(月) 23:34:23 ID:3kz533l9
エア○○会場に徐々に人が集まりつつある時。

「はい、そこ^^移動している所、申し訳ないけど。大輔君。…何か私に忘れていないかしら?^^」
ユカさんは始終笑顔だったが、後ろにしょんぼりぐったりとしたADSLとトマシュがいることが全てを語っている。
「は……………(汗)」
大輔は慌ててポケットを探るが、………勿論携帯なんぞ持っている訳が無かった。
550スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 00:32:33 ID:IOCt1sYI
ステージにはDQNオーラ出しまくりのリョーシャ先輩が登場し、エアギター勢に曲をリクエストすると歌いだす。
上手い。ランビやジョニーよりも格段に。宇宙人とは言うまでもない。会場は大盛り上がりだ。
「ジェーニャ、アタシ聞きたいことがあるんだけど」
ステージ傍でもぐもぐご飯を食べているプルに、ジョニーは声をかけた。バトルも一緒にいる。
「あなた、ジュリエットが死んでいるって見抜いたわよね。あの時は焦っていたから不思議に思わなかったけど、どうしてわかったのよ?」
「ああ、それは……」
プルの瞳の青が、変わった気がした。色や輝きではなく、中身そのものが変わったような…
「私も死人みたいなものだから、見た時同じ人だなってわかったのよ、ジョーニカ」
そう言って、ウインクをする。
「あなたもしかして……」
「僕の…」
「あ、そこのグラタンとって」
「え、あはい」
バトルはジャガイモのグラタンを渡してやる。フィンランド語ではキウサウスと言うらしい。
「で……あれ? 何の話だっけ? 僕に聞きたいことがあったんだよね」
小首をかしげるプル。先ほどまで何を話していたのか憶えていないのだろうか。
「……何でもないわよ」
ジョニ子はバトルと顔を見合わせてから笑った。プルの隣で、全てを承知しているという風に、ヤナ姐さんがほほ笑んでいる。
「僕も一緒に食べていいかな?」
バトルとジョニーも席に着き、彼らはフィンランド料理に舌鼓を打った。
551スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 00:39:35 ID:sWZnuD38
何故あの時、ウル様は館を訪れていたのか。ウル様のいたロシアからあの館のある島までは
相当の距離があるはずだ。移動時間も必要である。にも関わらず、ウル様の到着はベストタイミングだった……
首を傾げるヴィッキーに、ウル様はいたずらっぽくウィンクをして見せた。
「お姫様のピンチに駆けつけられない王子なんて、王子失格だろう?」
あの時ほぼ同時に駆けつけてきたべるるんとADSLの言葉(>>511)を思い出してみるヴィッキー。
別にあの二人が王子だとかそういう意味はないけれど、ウル様のきざっぽい台詞を聞いた後だと、ちょっとむっとしてしまう。
(アドリアンもクリストファー先輩もひどい!男前男前って!わたしだって女の子なのに……)
ど根性2Sでジュリエットを吹っ飛ばしたことを棚に上げるヴィッキー。

「呼ばれたような気がしたんだ」
「呼ばれた、ですか?ええと、……ジュリエットに?」
「うん。スケパシーかな。伊達にロミオはやってないし、ひょっとしたら、
 他のロミオ達も気づいてたかもしれないけど、
 脳裏によぎった可憐なジュリエットを、捨て置けるわけがない」
「あのオルゴール箱の、ジュリエット?」
「たぶんね。もう一人の私を助けて、助けて……って」
552スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 01:51:43 ID:sWZnuD38
「で、ノブの子どもは男?女?どっちなんだよw」
「それはまだ解らなくて……ルタイ君は?」
「どっちだと思う?アリん家は男だよな」
「そうそうアクセルって言ってさーすごく可愛いよ、写真見る?」
一方のパパ三人。エア○○の観客席にて、薄く割った蜂蜜酒を呑みながら和やかに談話していた。
「おいおいそこ、俺も仲間に入れろよー!」
やってきたのはコンテだ。彼もまた一児のパパである。
「あーどっちだろーなー女の子だったらどうするよノブ。成長してオトコ連れて帰ってきたら?
 俺ぜってー許さねー。一発じゃ収まんないかもなー」
「どっちでも、無事に産まれてきてくれたらいいかな」
「男の子もいいぞ!ほらうちのアクセル可愛いだろ!」
「ちょっと待てうちの奥さんの美貌を受け継いだ我が子を差し置いて可愛いは語れないぜ?」
「おいおいおい俺のパパ年季を舐めるなよ!」
わいわいぎゃーぎゃー騒いでいると、リョーシャ先輩までやってきた。
553スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 01:52:55 ID:zwLdXzry
携帯投げフリースタイル用に準備されてる使用済みノキ○の山。
それを両手いっぱいにいくつも広げるアボットの姿がそこにあった。
(これだけ携帯があればユカから取り上げられても
ツイートし放題だよなあ。プリペイドSIMたくさん買っちゃおうかなあ)
と甘美な誘惑を、心の中で想像していたつもりが
無意識にそのまま心中をツイートしてしまうアボ…
「あっここだよ真央ちゃん」
「これを投げるんだね。すごーい、いっぱいあるよ。投げ放題」
携帯投げフリースタイルの噂を聞きつけて真央未来コンビがやってきた。
「フリースタイルはウケが命なんだって。みんななかなか接戦で
これといった優勝候補がまだいないらしいよ」
「真央はエアロの物まねしながら投げようかな。ティアラの真似はいまいちだってたかちゃんが言ってたし。
このまえ共演したペンギンさんの物まねも自信あるんだ!」
「わぁ見たいですぅ。未来、客席から見てますぅ」
「よし、行ってくるね。ジェレミーさん、お先に〜」
アボが握りしめていたいくつかの携帯の中から
ひとつを取って真央は颯爽とステージに向かった。
『真央がフリースタイルにチャレンジなう』
早速そうツイートしようと自分の携帯を探すアボット。だが見つからない。
しまった!マオが持って行った携帯は…!!

「ワオーンワンワン。次はご飯を食べて喜ぶエアロやりまーす。ワンワンワーン」
物まねをしながらの片手ビールマンに客席が盛り上がる。そして真央の手から放たれるアボットの携帯。
「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオッ」
瞬間、アボットが雄叫びと共に手にしていた携帯も投げ捨て
自分の携帯を救うべくステップからの3A。
空中で掴み『フリースタイルに僕もチャレンジなう』とツイートしながらの客席への着地。
その動き+驚きの変顔を間近でみた観客一同は拍手喝采。
一気にアボットが優勝候補にのし上がった。
554スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 09:31:57 ID:5VamOJLz
「タラソワコーチ!」
リューキンの案内役がひと段落着いた崇彦は、タラソワコーチの元にやってきた。
「これ、ありがとうございました。」
彼が手渡したのは一冊の本。その文字は地球では見かけない文字で書かれていた。
「やっぱり光彦の孫ね。あなたなら読めると思ったわ。」
「ええ、まさかコーチがこの本を持っているとは思いませんでした。」
「・・・・まあ、わたしも伊達にロシアでコーチやっていませんからね。」
一瞬ブリザードが吹き荒れる。しかし、すぐにその風もやんだ。
「おそらく、その文字を読めるのはあなたを含めて地球人では数名です。くれぐれも他言は無用です。
もっとも、スケ力だけでは読める代物ではありませんから心配はしていませんけど。」
「はい、わかってます。」
「さ、この話はもうおしまい。あなたも呼ばれているんでしょ?」
「はい!じゃあ張り切ってエア会場に行ってきます!」
そういって元気に走り去る崇彦の背中を身をくるタラソワ。
「・・・ついに解読しちまったか・・」
いつの間にかヤグディン戸プルが彼女のそばに来ていた。
「ええ、ロシアのスケ連は少しあせっているかもしれませんね。」
「でも、彼は光彦の孫だ。むしろ大きな収穫じゃないのかな?」
「まぁ、どちらにしろ彼なら私達の大きな味方になってくれます。
彼の心は思いのほか太く強いから。」

彼女の眼差しはこれからの地球のフィギュア界を見ていた。
555スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 14:08:17 ID:yPu4cp4K
エアステージと特設リンク、携帯投げ会場、それぞれが多いに盛り上がり、熱気に包まれていた。
(みんな、アタシの為に場を暖めてくれてありがとう!…早くしないと容量的に出番がなくなるわ…)
薔薇冠姿のジョニ子が、マイクを手にいそいそとエアステージに上がって叫んだ。
「さあ〜みなさんお待ちかね、いよいよDIVAのお出ましよ!」
…ざわ…ざわ…なんだか温度が下がったようなのは気のせいだろうか…
と、そんな空気を切り裂くように、ステージのジョニ子をかすめる旋風。
「きゃ!あにすんのよ!?」
それはジョニ子のマイクを奪い取り、ステージ前特設リンクにひらりとひざまずく。
そしてすらりとした長身を起こすと、ジョニ子にいたずらっぽくウィンクを送った。
「や〜ねぇ、そこは本来『エアステージ』よ?だからアンタは『エアボーカル』をおやんなさい!」
氷上に戻ったエマだ!
「アタシが唄って踊るわ、さあ、音楽を頂戴!みんな一緒に踊って!」
エマのアイスショーが始まった!
556スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 21:23:09 ID:sWZnuD38
「ハビエル、素敵よ!」「キャシーもおいでよ!」
チャッキーが森の奥からお母さんトナカイを連れてくると、その場にいたスケーターたちが集まってきた。
お母さんトナカイの気配を察知したのか、ひょっこりひょっこり子トナカイも姿を現す。
最後に現れたのは体長二メートルほどはあるお父さんトナカイ。チャッキーに通訳をしてもらい、お父さんトナカイの背に
騎乗したフェルナンデスが、キャシーに手を差し伸べる。
「お父さんトナカイ、乗っていいよだって」
「ありがとうケヴィン!」フェルナンデスの手を借りて、キャシーがお父さんトナカイの背にまたがる。
そんな二人を微笑ましく見守るのは美女四人である。
「なんだか童話に出てくる王子様とお姫様みたいね」「白馬の王子様ならぬ、トナカイの王子様?」
「あーあ。私にも白馬の王子様が現れないかしら、なんて」「王子様なんて夢みたいな話ね」
「あっちにトナカイ肉の燻製g……むぐむぐ……」あくまで食欲を優先するコストナーさんの口を押さえるのはJテンだ。
チャッキーがぽやぽやにこにこしているから、気が気ではない。

こほん。クリスがわざとらしく咳払いをした。王子様らしくきりりと表情を引き締める。
王子と聞いて反応する男子達もあるいは……いるのか!?
557スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 22:01:56 ID:IOCt1sYI
「はーいここでCMよ。フィギュアスケーターズの華麗ないちにち、皆楽しんでくれたかな?
今作『フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 世界温泉巡り編』が bvexからブルーレイで発売されるわ」
「このCMを見てから30分以内に予約すると、『銀盤のプリンシパルジェーニャ ディレクターズカット版』が予約特典としてついてきます」
「さらにさらに〜! 今なら特別特価、前作『フィギュアスケーターズの華麗ないちにち クリプトンウイルス編』上下巻が、期間限定30パーセント引き!
前作をまだ見ていない君、今のうちに見てもっと世界温泉巡り編を楽しもう!」
「電話番号は000-×××-***です。CM直後はお電話は混み合う可能性が高いので、しばらく時間を置いてからお電話ください」
「では、今スレで出番のなかった荒川静香と」
「本田武史でした」
「みんな、次のお話をお楽しみに! バーイ!」
558スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 22:34:43 ID:S+Qvu5TC
「ハァ〜イジョニ子です。お電話ありがとう。予約はしっかり受けつけたから安心してね。
なんとこの電話を聞いたあなたに特別な隠しコマンドを教えちゃうわ。
ディスクをPCにセットして本編のメニュー画面を開くのよ。
ブルーレイ対応ドライブを持ってないあなた、はいアウト〜。またのお越し待ってます。

その右端に犬山温泉のロゴ入りタオルが見えるわよね。
そこをクリックしたら3秒以内にこの『フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 世界温泉巡り編』に
出演するアタシ達の名前全員分をフルネームで入力してね。
入力後上上下下左右左右BAのコマンドを入力よ。3秒以内に頑張るのよ!
そうしたらなんと!カルメン祭りノーカット版とフィンランドおもてなし宴会会場の
隠し撮り映像がダウンロードできちゃいます。キャーッ隠し撮りだから
あたしのあんな映像やこんな映像もあったりして……
じゃあ、商品の到着楽しみにしててね!」
559スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 23:22:41 ID:IOCt1sYI
「さあ皆! これから温泉旅行の入賞式を始めるわよ〜」
ガガのBad Romanceが流れる中、DIVAが舞台上で宣言する。
エマとの激しい主役争いに勝った結果だ。
「商品はなし! 笑われるか拍手されるだけ! 審査員はこのスレの読者たちよ!」
皆が一斉にはやし立てる。
「名前を呼ばれたら舞台に上がって一言挨拶すること! 一発芸でもいいわ!
まずは『かわいかったで賞』! マオとミライ!」
大きな拍手が起こる。照れながら二人が舞台に上がってくる。
「理由は簡単。温泉で卓球するのがかわいかった、民族衣装きているのがかわいかった、ご飯食べているのもかわいかった。
二人とも、入賞の感想は?」
「えっと、とっても嬉しいです」
「来季もがんばります!」
「マオー! こっち向いてくれー!」
「マオちゃーん!」
保護者とお菓子王子がメロメロだ。
「じゃ次の賞よ!」
560スポーツ好きさん:2010/05/25(火) 23:49:12 ID:JT2WB9lW
「次は『芸達者で賞』!受賞したのはジェーニャよ!」
「え?僕なの?ていうかそれどういう賞?」
きょとんとしながらも舞台に上がるプル。

「受賞理由は今回ゴッドファーザーに、カルメンに、アシサイ、ニジンスキーとあらゆる変身をこなした多才ぶりを考慮したのよ…あ、そういえば!」
ふと何かを思い出すジョニ子。
「どうしたの?」
「ジェーニャ!あなた今回アレやってないわよ!」
「あれって…?」
「ほら、あれよ!」ジョニ子はプルに何事か囁いた。
「ああ、あれだね!そういえば僕まだ今回はやってなかったね。それじゃあ一発芸の代わりに…」

プルがクルッとまわって変身したのは…最後にようやく登場のおなじみ肉襦袢である。
舞台に「Sex bomb」が流れ、プルが踊り始めると歓声と笑い声があがった。
「やっぱりこれだよなぁ〜」「よっ!芸達者!!」などと掛け声がかかっている。
561スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 00:24:35 ID:btMs5Xs+
「くそ〜っトム・ジョーンズメドレーなら負けへんのに・・・」
プルのせっぼを横目で見ながら悔しがるのはもちろんロロ
初めは自重していたが、すぐに我慢できなくなり
舞台に上がって胸をはだけたり、肩を出したりと女子スケーター達にアピールし始めた
562スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 00:31:44 ID:BFic7aRs
「さて次の賞は…あら、ユカ」
「次は私から発表するわ^^ マイクを貸して、ジョニー」
ジョニーは素直にマイクを渡した。
「次の賞は受賞候補者が何人もいるの^^ 皆舞台に上がってきてね^^
高橋大輔、トマシュ・ベルネル、アドリアン・シュルタイス、クリストファー・ベルントソン、ミハル・ブレジナ」
何故だろう、心臓が痛い。
神妙な顔をした5人が舞台に上がる。
「なんで候補にあげられたか、理由はわかるかしら^^?」
「は、はい……ごめんなさい」
「あなたたちが受賞候補にあげられたのは、『お騒がせだったで賞』よ^^」
「シュールストレミングの件は皆さまにご迷惑をおかけし誠に申し訳ないと思っています」
「そうね^^ 皆に謝らないとね^^ 受賞者を発表しましょうか^^ 大輔君、あなたよ^^
火サスをいい加減に伝えて外国の皆を混乱させただけでなく、宇宙船暴走騒動もあなたが原因よね^^?」
「ご、ごめんなさぁい!!」
「私に言うものじゃないわよね^^」
そして5人はこってりユカさんのアルカイックスマイルでしぼられ、ジェレミーの気持ちを味わった。
ジェレミーは恐怖を察知して安全と思われるタラソワ、リューキンの後ろに隠れていた。
563スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 12:26:51 ID:rTS0TU5I
一方その頃。

トゥルルルルルッ♪ガチャッ。
「はい、こちらはbvexお客様相談センターです」
「もしもし…『フィギュアスケーターズ(ry』のウィルス編の特典についてですが…」
「はい?」
「上下巻セット購入のプレゼント商品の予告で入ってた『幻の微笑みを貴方に!白いエルフの秘蔵フォトセット』が
商品リストから消えてるんですが…」
「申し訳ありません。そちらはエフゲーニヤさんの撮影スケジュールが合わなくて、中止になりました」
「ええっ?!!」
「代わりに『プルシェンコさん直伝!Sex Bomb 振り付けビデオ』を追加の方向で…」
ガチャ!ツーッ、ツーッ……
「お客様?お客様どうされましたか?!」
564スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 19:45:15 ID:kuLGuC+I
「えーと…次は『元気になってよかったで賞』!受賞はエフゲニー・ルトコフコーチ!」
「師匠!? 出番そんなになかった筈だよな…ていうか来てたのか」
予想外のコーチ登場に驚くADSL。
ルトコフが笑顔で手を振りながら舞台に上がる。
その手にはスウェーデンとフィンランド国旗柄のミトンを片方ずつはめている。

「前スレでは昏睡状態にまでなっていたものの、今回ではお弟子さんのアドリアンと
 テコンドーVSカンフー対決を繰り広げるまでに回復。
 その見事な復活を称え、ここに授与しま〜す!」
「うちのアドリアンがご迷惑をお掛けしたようで…あとできつーく叱っておかないと。
 何なら今ここでやりましょうか」
ミトンをはめたままファイティングポーズをとるルトコフ。
「あ、あの!本人もう充分反省してるんで…もう勘弁してあげて下さい…」
流石に二度も公衆の面前で怒られるのは後輩が気の毒だ。思わず止めに入るSWE長兄べるるんであった。
565スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 20:34:11 ID:rootrWSX
信成が召喚し、馮依した信長もまた……フィンランドの『おもてなし』を大いに楽しんでいた。
「信成よ!またこの美しい国に共に来ようではないか!はははっ!!」
思わず子孫に語りかける第六天魔王信長。
だが、ハタから見るとその様子は、自分自身に話しかけるちょっとアレな人にしか見えなかった……
566スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 20:57:47 ID:sy8uCGF2
「そして次の賞は…『やっぱ最強で賞』!受賞者は…」
その名を告げる前から、すでに拍手が上がっている。あの人しかいないだろ。
「…ナスティア・リューキン!暴走宇宙船を止める際の大活躍をたたえます!
 おめでとう!そしてこれからも…まあ仲睦まじくね」
拍手に応え、黒いの片手に舞台に上がった小柄なリューキン、大きく見える。

「…して、KASASUとは?」叱るのは後回しにして、客席で弟子に聞くルトコフ。
「ユカによれば、日本の刺激的なサスペンスTVドラマです。
 俺の過去プロの使用曲が、日本ではKSASUのテーマとして有名ってな話で…」
「ほう、つまりお前は刺激的なスケーターというわけだ、よかったな!私も嬉しい!」
喜ぶルトコフ、師弟そろって斜め上方向。と、ルトコフは真顔になった。
「現実とは大分時間軸がずれているが…これから合宿だ、私はお前達を連れ戻しに来た。ヴィクトリアはどこだ?」
「たぶんまだ休んでると思いますが…見て来ます」席を立ったべるるんをふと見送るADSL。
(あ、そっか、先輩もか)ADSLの脳裏に、いつか聞いた言葉がよみがえる…『僕はまだ跳ぶよ。』
「…でも師匠待ってよ、授賞式全部見てからでも遅くないっしょ?タカヒコも何かするかもだし!」
567スポーツ好きさん:2010/05/26(水) 23:29:11 ID:BFic7aRs
「ナスティア、このままちょっと待っててね。次の賞の発表に行くわよ!
次の人はW受賞よ。『やっぱ黒かったで賞』と『泣かせるんじゃないわよ賞』
…エヴァン、あんたタニス泣かせたって?」
いきなりジョニーの声にドスがきいた。
「そ、それはお前が」
ライサ、腰が引けている。
「いいから舞台に上がってきなさい」
「ジョニー、もうたっぷり制裁はしたから、許してあげてくれない?」
「いいえ、アタシの女友達を泣かせるなんて許さないわ! ねえそうでしょ皆!」
一瞬の沈黙の後、パラパラと拍手が起きる。
「なら皆の希望にお応えして」
リューキンが舞台から飛び上がる。逃げるライサ。
しかし一瞬で捕えられ舞台の上に引きずり出される。
「では一発芸…じゃないけど、平均台技をお見せします」
華麗なリューキンの技に拍手が起こる。その平均台は黒くてよくわからなかった。泣いてるようだったが。
568スポーツ好きさん:2010/05/27(木) 00:26:19 ID:PRMv+Z7m
リューキンの華麗な技にわく会場。拍手喝采の中、30分に渡るショーは終了した。
「はーい、ナスティアどうもありがとう。素晴らしかったわ。
さて次は…テレビ電話が繋がってるわよ。ラウラ、キーラ。ステージにどうぞ〜」
女将姿もすっかり板に付いたようで、ステージに上がる仕草もしなやかで美しい。
「2人に送られるのは『妖艶女将のおかげで賞』でーす。テレビ電話オープン」
ステージのスクリーンに大きく映し出されたのは
犬山温泉○○ホテル社長だった。
「キーラさん、ラウラさん。先日はどうもありがとうございました。2人のおかげで……」

(ジョニ子からのお知らせよ。社長のあつ〜いラブコールを全部載せたいのはやまやまなんだけど
容量の都合で残念ながらカットしまーす。ブルーレイはノーカットなんでそっちをよろしくね!)

「はーい、社長さんありがとうございました。この犬山温泉○○ホテル無期限フリーパスは
ありがたく受け取っておくわね!
なんとこれはここの会場にいる全員に配られまーす」
再び拍手喝采。その中でふと何かを思い出して嘆いている者一名。
(妖艶女将?わしがamazonで買った『妖艶女将のおもてなし』どこに行ったんや。
まだ届いたばっかりやし、名前書いてへん。
あの時のマッターホルントルネードでなくなってしもうた……)
569スポーツ好きさん:2010/05/27(木) 01:28:34 ID:SqO6/P+3
「残り20kだからラストよ!輝く!DIVA大賞はもちろんあたし、ジョニー・ウィアー!!」
高らかに宣言するジョニ子。会場からは一瞬の間をおいて拍手が起こる。
「いまいちのりが悪いわね〜!ま、これくらいどうってことないけど・・・
それじゃ、大賞受賞を記念してここからはジョニーonステージ!!!!!」
会場が暗転し、スポットライトが迷走する。やがてライトはステージのジョニ子に!!
・・・ではなく特設リンクに佇む青年に集まる。
「ま・・・まさか・・・」
ジョニ子に恐怖が襲う。ここまできてこの仕打ちは・・・
「ぜったいいやぁあああああ!!!」
絶叫とともにリンクの青年に飛び掛る!しかし半径3mのところで弾き飛ばされ、しこたま頭を打つつけてしまった。
「う〜・・・・・ん(カクッ)」
気を失ったジョニ子を見て大輔は思わず失笑。
「か〜〜〜!!崇彦君のエアバリアー!!今日はびんびんだね〜!!」
「何だそれは?」
ADSLの問いに大輔は答える。
「あいつが集中しているときや邪魔されたくないときに発動する一種のテリトリーみたいなもん!
まあ、誰でもそういう空気出すときあるけど、崇彦のはその強度がハンパね〜の!」
「要するに、空気を読まない奴が被害にあうわけだな。」
「そういうこと!」

すべてのスポットライトが集まり音楽が始まる。流れてきたギタコンの調べに乗って・・・てあれ?
イントロで奏でているのはヴァイオリンじゃなくてベース!これはもしや・・・
「closer!!」
音響担当のミハルはあわてて崇彦を見る。しかし彼は動揺するどころか片手を上げてニヤリと笑って見せた。
「やってくれた・・・・」
脱力するミハルをよそにそのまま崇彦はハイドロを繰り出し会場は大いに沸きあがる。

さあ!closer祭りの始まりだ!!
570スポーツ好きさん:2010/05/27(木) 16:43:12 ID:HEoN4BMm
特設リンクの歓声を遠く聞きながら、一人ヴィッキーを探すべるるん。
静まり返った宴会場の片隅で、ウル様と語らうおしとやかなヴィッキーを発見した。
(なんだ…ああしてれば結構可愛いじゃないか?…今邪魔したら怖いから、後でまた来よう。あれ?)
と、今度はキーラとラウラに挟まれて照れ笑いをしているルタイに出くわした。
(見ちゃまずかったかな!?…えっとぼ僕どっちへ行ったら…)キョドるべるるん。ルタイが軽くド突く。
「何もやましい事なんかしてないっすよ!w この二人が俺に礼をしたいって言うから…」
「でもお礼を受け取ってくれないのよ?断られちゃ困るわ」キーラが口をとがらす。
「ね、フィンランドのために動いてくれたんですもの」ラウラも可愛くすねる。
「…いや、でも俺を動かしたのは、『彼』だから!…」

「…ようこそフィンランドの春へ!…夏にはぜひベリー摘みに…」
一方ぬる麺は、お出迎えに大忙しだった。その背中ではアクセル君がすやすや眠っている。
アボのツイッターで、フィンランドの楽しい光景が紹介され、客人がぞくぞく訪れているのだ。
(一時期はどうなる事かと思ったけど…よかった、本当によかった!)
すっかり観光大使然となったぬる麺父さんの許に、キーラとラウラがやって来た。
「アリ=ペッカ・ヌルメンカリ!この素晴らしいおもてなしの考案と…」
「…あの危機にもめげず、私達を明るく励ましてくれた、その勇気を讃えます!」
こんなもので悪いけど、と二人が有無を言わさずぬる麺に被せたのは、春の野花、雪割草やスミレなどを編んだ花冠だ。
「いやー、参ったなあ…実際みんなのおかげだからね…ありがとう、似合うかい?」
「ええ、とっても似合うわ!」
「フィンランドの春、って感じよ!」
571スポーツ好きさん:2010/05/28(金) 00:27:17 ID:1LHuwS05
エアステージで巻き起こる大歓声。チャッキーが集めたトナカイや小動物、フィンランドに
やってきた旅行客や世界のスケーターが集まる中、崇彦オンステージが始まろうとしている。
勿論、気にならないわけがないヴィッキーだったが、あの人だかりの中に突入していくほどの
男前、もとい気力はまだ回復していない。
ルタイに気軽にどつかれつつフィンランド三人の微笑ましい様子を見ていたらしいべるるんが
こちらへやってくるのに気づき、ヴィッキーは小さく手を振ってみる。
「僕はサウナにでも行ってくるよ。お話のお付き合い、有難う、ヴィクトリア」
「こちらこそ!ウルマノフさんとお話できて光栄でした!」
席を立つウル様と入れ替わりに、べるるんが席につく。「お疲れ様でした」かけられた言葉に
ヴィッキーはびっくりした。「先輩こそ、お疲れ様でした」ぺこりと頭を下げる。
「で、どうしたんですか?」
「うん。ヴィクトリア、ものすごく頑張ってくれただろう?だから言っておこうと思って。
 アドリアンにもちゃんと言うよ。あいつ、拗ねちまうかもしれないし」
拗ねるADSLを想像できなかったヴィッキーだったが、長兄べるるんの穏やかさに笑みを浮かべる。
「授賞式は終わってしまったけど、ヴィクトリアは立派な北欧美じょ……」
「きいぃぃぃぃ!!ヴィクトリア、アンタにDIVAは渡さないわよ!」
べるるんの低い声を、甲高い叫びがかき消す。ステージ内で一瞬気絶して、ロロとバトルにステージから
放り出されたジョニーだった。びしい!と効果音がつきそうなくらい強く指先を向け、宣言する。
「アンタは男前だったで賞よ!なによあの見せ場!アタシがんばってウルマノフを連れてきたのにィ!全部持ってかれたのよ!」
「男前だったで賞なんていりませんっ……わたし、スウェーデン美女枠がいいのにっ!」
売り言葉に買い言葉、返す刀で、ちいさな小競り合いがはじまった。べるるんは頭を抱える。

ジョニー、こんなところで喧嘩をしてる暇はないぞ!ステージに舞い戻ってDIVAの座を奪還するんだ!
572スポーツ好きさん:2010/05/28(金) 16:52:20 ID:SsV7IApy
「…え〜っと、これでよし、っと♪全部入ったわ!さぁ、私も早くおもてなし会場に行かないと」
会場から少し離れたコテージで、美姫は某女連からせしめたコスプレ衣装を5つの旅行トランクに詰め込んでいた。
573スポーツ好きさん:2010/05/28(金) 18:17:54 ID:Mhk8j+3N
ジョニーのポケットから、一枚のメモ用紙が落ちた。
取っ組み合いの大喧嘩を頭を抱えてながめていたべるるんはそのメモを拾う。
そこには受賞者の名前が書き連ねられている。
「DIVA大賞の下にもう1個書いてある。『お疲れ様で賞』……タカヒコ。スケーター皆でタカヒコに拍手……」
ジョニーは小塚のこともきちんと忘れていなかったのだ。
「タカヒコにお礼を言うつもりだったんだ……これはちゃんと見せないとダメだよ!」
べるるんは振り向き駆け出す。
「タカヒコ、このメモを見て!」
574スポーツ好きさん:2010/05/29(土) 13:14:12 ID:3NhIbXX2
「ジョニー…ちょっと良いかい?」
ヴィッキーとの取っ組み合いの喧嘩の最中、不意に呼びかけられる。
「うるさいわね!今取り込み中……なによ?全員揃って?」
ふりむくとそこにはスケーターズが集まっていた。

「ジョニー…これ、見たんだ」
ためらいがちにべるるんが先ほどのメモを見せた。
「…っ!ちょっと!勝手に人のメモ見ないでよ!!」
「ジョニー、ちゃんとタカヒコの事も考えてたんだね」
「……何よ、せっかく最後のサプライズにとっておいたのに」

バツが悪くなってそっぽを向くジョニ子だった。
575スポーツ好きさん:2010/05/29(土) 16:03:43 ID:3Hi4f4bQ
崇彦が、ジョニ子の前に押し出された。皆笑顔で見つめる。

「…何よ…アンタもう『closer』終わっちゃったの!?乱入したかったのに…
 進化した『Bad Romance』で、シャチホコ決めてリンク乗っ取ってやりたかったのに…
 何よ、何よ、もう…わかったわよ、じゃ、最後の賞、発表するわ。バレちゃったけど。
 『お疲れ様で賞』、タカヒコ・コヅカ!
 これまで、マオ誘致のおもてなしが続いたけど、最後のこのおもてなしはね、
 いっつも気苦労の絶えないタカヒコのために、スケーターズと職人さんが用意してくれたのよ!
 …DIVAジョニ子の世界温泉巡りで幕を開けたはずなのに…くやしーったらありゃしない!
 でもアタシもアンタの苦労を讃えて、この賞を…」

ジョニ子が最後まで言い終わらないうちに、スケーターズから大きく拍手が沸いていた。
576スポーツ好きさん:2010/05/29(土) 17:18:03 ID:3NhIbXX2
「あ、そうそう、実はもう一つ賞があるのよね!」
小塚に向けられた拍手が鳴り止まぬ中、ジョニ子はいかにもふと思い出したような素振りで言った。

「これが本当に最後の賞!「みんな頑張ったで賞」よ!受賞者は…ここにいるみんなよ!」
ジョニ子はスケーター達に向き直った。
「最初は温泉めぐりのはずだったのに、スケ力は無くなるわ、謎の組織は出てくるわ、いろんな事が起こって
そりゃもうホンッとに大変だけど、こうやって今ここでで楽しく盛り上がれるのも、みんなで頑張ったからよ!
だから最後の賞はみんなにあげるわ……みんな本当に頑張ったわね、お疲れ様!!」

再びスケーターズから拍手と歓声が沸き起こった。

577スポーツ好きさん:2010/05/29(土) 17:48:04 ID:3Hi4f4bQ
ところで>>570でルタイに用意されていた『お礼』とは…
サルミアッキ(例の『世界一まずいアメ』)一年分である。ルタイさん危ないとこだったぜ!
が…

「そうだ!…頑張ったみんなに『おみやげ』があるんだよ。ほらキーラ、ラウラ、さっきのアレを…」
というぬる麺父さんのアイデアで、ルタイさん用『お礼』は、結局全員に『おみやげ』として分配された。
578スポーツ好きさん:2010/05/29(土) 19:44:32 ID:fckBo/qF
「ジョニーもいろいろ頑張ったやないか。わしらからのほんの気持ちや」
ロロがそう言うとバトルが小さな花らしきものが連ねられている青い冠をジョニ子の頭に乗せた。
よーく見るとそれはファッツェルのミルクチョコの包み紙で作られていた。
バトルとジュベがロロに命じられ、みんなが食べ終わった包み紙を重ね合わせ
薔薇もどきの花をつくりそれをつなぎ合わせたのであった。
「それにこれも…ジョニーなら気に入ると思うよ」
渡されたのはピンクのハート型パッケージの「GEISHA」チョコ。
「やだ…あんた達。いつの間にこんなの準備してたのよ」
思わず涙ぐむジョニ子。
見ていた全員もほんのり暖かい気持ちに包まれていた。
579スポーツ好きさん:2010/05/29(土) 20:35:55 ID:6uNzi1vt
『フィギュアスケーターズの華麗ないちにち〜4日目』
原作/キャラクター原案:世界各国スケーターのみなさん
企画:フィギュアスケーターズの華麗ないちにち職人一同
企画協力:ROMのみなさん
シナリオ構成/演出:フィギュアスケーターズの華麗ないちにち職人一同

CAST
チームジャパン
崇彦(シリーズ始まってからの苦労人。EDで少しは報われた?closerでヴイヴイいわせたぜ!)
大輔(KASASU騒動から彼の受難ははじまった。逃走逃走また逃走。ユカさんにこってりしぼられました)
真央(純粋天然、さりげない見せ場でさりげなく目立つアクセルマスター。その笑顔にみんなめろめろ)
美姫(全体通して誰よりも真央を守る騎士のようだったうっかりクレオパトラ。レクイエムをしっとり演じあげた)
殿(ルタイぬる麺とパパ友になれたかな?がんばれ未来のパパ!SWE組日本来訪の際に先祖帰りで大活躍!)
キャシー(最初から最後までフェルナンですといちゃいちゃであった。トナカイの乗り心地はよかったらしい)
クリス(忍者キャラがしっかり根付いてしまった。結局王子様スマイルはスルーされてしまったもよう。でも負けない)
580スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 00:12:04 ID:6AZpCTq9
チームロシア
プル(怪我してるのに若返ったりプル子に変身したりニジンスキー召喚したり。無茶は程々に)
ヤグ(プルを連れ戻しに来た筈が、しっかり旅を楽しんでいた帝王。タラソワには頭が上がらねぇ…)
ルタイ(ちょっとゴタゴタ続きのヤンキー若パパ。アドリアン・ダイスケ・ぬる麺はダチだぜ夜露死苦!)
ボロ(ジェンガマヤ♪音痴ではない。トリノ絡みでADSLがトラウマになってしまった模様)
ヴォロ(ロシアのツッコミ役。常識人は苦労するのがこのスレのお約束)
がっちゃん(空気の読める期待の若手。スレ中盤以降はプルの片腕となって活躍)
ウル様(天然王子様。出番はそう多くなかったものの、ジュリエット戦でのMVPは間違いなく彼であろう)

悠子さん(サンクト観光案内お疲れ様でした)
ヤナ(宇宙人に苦労させられてる出来た嫁。プル、あんまり泣かせちゃだめだぞ)
イーラ・ナフカ様(やりたい放題の宇宙人を止められる数少ない人物。子育て中の美人ママさん)
タラソワ(スケ連じゃんけん大会を2位で勝ち抜いた強運の持ち主。シベリアツアーご招待でおそロシアの本領発揮)
KGBもどきの皆さん(フィンスケ連に殴りこみ…のはずが、中止になったため観光を楽しんでいた)
ミツン(宇宙船の操縦士として登場)
モロゾフ(モスクワにて、新入り歓迎会でドルジに顔撫で指導)
581スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 00:42:53 ID:c8aHeD5Y
チームスウェーデン&チェコ
べるるん(SWEフィギュア界の長兄。弟と妹にひたすら振り回される苦労人キャラが板についてきた)
ADSL(ルタイと仲良し二男枠。KASASU探求に余念がない。ひたすらに大輔を追いかけまわした)
ヴィッキー(美女枠熱望。実際男前枠。最終決戦余裕の参加な妹枠。ジョニ子と取っ組み合いもするぜ)
ルトコフコーチ(おちゃめで可愛いと思いきや実は拳で語り合えそうなコーチ。ADSLには容赦ない)
トラ(温白水だったりパンモロカルメンだったり勇名スーツだったり。責任を押しつけられたり周囲に振り回されたり)
ミハル(今回もやっぱりピンクチョッキ。Dテンくんの寝相ジャンプを追いかけていた。真面目に観光案内したよ!)

チームドイツ&ウクライナ
リンディ(ジョニ子達の大暴れに思わず泣いて真央たちに励まされたり。ヤグプルを白樺でぶったたいた時はイキイキしてたとか)
小林(カルメン編ではリンディのお手伝い。トラと一緒に楽しくカルメンを披露した。白樺叩き、楽しいです。次の標的はウル様か)
582スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 09:59:22 ID:c8aHeD5Y
チームカナダ
Pちゃん(ツンデレ。念願のクワド成功。プルに頼られて嬉しかったらしい)
チャッキー(Pちゃんをやたら心配したり美女三人と温泉旅行したり妖精になったり動物と会話できたり)
Jテン(マンゴーの王子様。ぽややんチャッキーのツッコミ役としてスケカ覚醒)
バトル(真央にデレデレ職業王子。お菓子大好き!KASASU劇では刑事役に抜擢)
エマ(チームカナダの首領と書いてドンと読め!エアステージでジョニ子と張り合う)
ロシェ(鮭も鹿も拳で捕獲!崩壊寸前の館も支えちゃう。乙女の心に鋼の拳。カナダの影の大黒柱。)
ファヌフ(Jテンから姐さんと呼ばれる目力女子。もう少し出番がほしかったわ!)

チームフィンランド&欧州
ぬる麺(フィンランドのお父さん。その優しさはフィンランンド春の芽吹き)
キーラ&ラウラ(可愛い仕草と着物と美しさにみんなめろめろでれでれ)
ランビ(マッターホルントルネードで吹き飛ばしたDVDを探しています。情報求む)
コンテ(仏出身国籍伊やしもうちょい濃い活躍できたと思うたんやけどなあ……)
コストナーさん(サルミアッキに危険を察知したのか偶然隣にいたランビにお土産を押しつけて逃げた)
グレボワ(テッケルギョル湖の泥パックでお肌つるつるなのに御満悦)
ゲデ子(グルジア豊穣の女神。母国に光明を導いてくれる白馬の王子様がいないかと思ってるとか思ってないとか)
Dテン(よく眠ってゆっくり成長してね。寝相がとんでもないことが発覚)
ドルジ(顔撫で練習中……)
フェルナンです(最初から最後までキャシーといちゃいちゃしていた)

ジュリエット(哀しき乙女の魂。美を求め醜く暴走するも、スケーター達の活躍により天に召される)
583スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 11:52:17 ID:SZ5WoRMt
チームアメリカ
ライサ(黒棒。時に平均台。ま、リューキンと一瞬いちゃついたり、宇宙船捕獲に協力出来てよかったじゃん)
リューキン(シリーズ最強?ライサをシメにムーンサルトで世界を跳び回る。暴走宇宙船捕獲で大活躍!)
タニス(ライサに送ったおもてなしメールがジョニ子の悪戯と誤解された。リューキンと共同戦線を張った模様)
アボット(ツイッターでスケーターズにおもてなし情報を広めた。ユカさんを乗せて跳べ!携帯投げ大会優勝?)
ユカ(女子の強い味方。アボットを繰り出しチェコKASASU事件を追う。そのアルカイックスマイルに皆戦々恐々)

チームフランス&ベルギー
ロロ(マオに手ぇ出すもんはお父ちゃん許さへんで!失ったスケ力も気合いで回復、ダルタニアン憑依)
ジュベ(トラカルメンと共にWパンモロである事が判明した。てか超パンモロ。もう着替えたか?)
仏スケ連代表(真央誘致を巡る不穏な動きを疑われ、誘致失格&某ツアーご招待…無事か?)
ポンちゃん(フィンランドへ向かったのは、もてなす為かもてなされる為か?以下3人と共にチョイ役での出演)
アルバン(ポンちゃんと共に、骨夫妻をフィンランドおもてなしに誘うが…)
KVDP(ハーレー2ケツで2度目のハネムーン中だったが、ポンちゃんアルバンと共にめでたく薫製に)
ジェナ(KVDP最愛の強い奥さん。薫製白樺ぶっ叩き役を喜々としてつとめた)

その他
各国スケ連代表(じゃんけん大会、あみだくじ大会お疲れさまでした。最後に引き当てた某代表は…御愁傷様)
女連幹部&手下ども(女子スケーターにコスプレさせたがる愉快な?仲間達。暗黒舞踏で一網打尽、某ツアー送りに)
犬山温泉社長(女将キーラ&ラウラで商売繁盛。先祖返り信成の説得で2人を手放すが、スケーターズに温泉パスの大盤振る舞い)
584スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 14:18:37 ID:c8aHeD5Y
山田満知子コーチ(草津温泉にて崇彦たち三人を出迎えた)
アレクサンドル・スミノルフ(ロシア観光案内の際、悠子さんを影で支えていた)

チーム言いだしっぺ
未来(笑顔がキュートなジャメリカンガール。DIVAジョニ子に誘われ世界中を巡ることに。
   ほとんどの行程を真央とともに過ごし、時にはメイド服を着、マイクスタンドを蹴っ飛ばし、
   携帯電話を投げた。メールを間違えて一斉送信してしまうなどのドジッ子ちゃん。ジョニ子に
   振り回されない希少な人物だったりもする?)

ジョニー(このスレのDIVA。さまざまなスケーターたちを振り回す女王様。しかし最近では振り回され
     出番を奪われっぱなしなことも。少なくとも二回は気絶している。ワガママにも思える行動も
     御愛嬌。本当は心やさしいDIVAなのよ!誰にもこのスレのDIVAの座は渡さないわっ!
     この物語の全てのきっかけ。最後はなんとかDIVAらしい貫禄を見せることができた。)

ロケ地:草津温泉、犬山温泉、赤穂温泉(日本)/カルロヴィ・ヴァリ(チェコ)
    サンクトペテルブルク(ロシア)/バーデン・バーデン(ドイツ)
    スイス(バード・ラガッツ)/フィンランド(某湖畔)
    バイレ・フェリクス、テッケルギョル湖(ルーマニア)

特別出演
白いエルフ(アイスブルーの憂いがかった瞳をした麗しのエルフ。あなたはその姿を見ることができたか!?)
585スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 17:15:24 ID:6AZpCTq9
バシャロフ(駆けつけたナフカ様の後ろに影のように控えていた)
チャーリー(リューキン&フルボッコライサと対峙したタニスのスケパシーを感知してやってきた)
バーデン・バーデンの通りの会長さん(カナダ出身。帰省のチャーター機にDIVA一行を乗せる)

…特設リンクに集合するスケーターたち。
全員整列して手を繋ぎ、一斉にお辞儀をする。誰もが笑顔だ。

「さぁ、このスレもいよいよおしまい。
 ご意見・ご感想はこっちのスレでお待ちしてるわよ!
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1272553489/
 みんなー、ここまでお付き合い本当にありがと〜う!」

最後はDIVAらしく、びしっと締めるジョニー。
会場の空に花火が打ち上げられる。拍手と大歓声が沸き起こった。
586スポーツ好きさん:2010/05/30(日) 17:46:53 ID:c8aHeD5Y
そして―――
フィンランドおもてなしも撤収され、湖畔には再び静寂が戻った。
一人、また一人と、スケーターたちは母国へ帰っていく。

オルゴールの音色が、湖にかすかな細波を起こした。

『氷上の華達に幸ありますように。――どんな壁が立ちふさがっても、
 どんなに挫けても、また立ちあがる力が生まれますように』

「馬鹿ねぇ。心配しなくても大丈夫よ。アタシたちを甘く見ちゃダメよ?」
そんな声を聞いた気がしたジョニーは、振り返って、艶やかな微笑みを浮かべてみせた。
森がざわめき、湖面が波紋を描く。小鳥たちが囀り、駆け抜ける風がジョニーの前髪を揺らす。
「さよならおバカちゃん。今度は氷上で出会えたらいいわね……
 あっやだ、未来もジェレミーも待ちなさいよっ!アタシを置いてくなんてただじゃすまないんだからっ!!」

ジョニーはウィンク一つ、湖畔を後にした。


Figure skaters brilliant day, continue to Chapter 5.....!
587スポーツ好きさん
「みなさんこのスレも読んでいただいてありがとうございました」
「ましたー」
「もおっ真央ちゃんもちゃんと言わなきゃ駄目ですぅ」
「だってエヘヘ、なんか恥ずかしいよ。未来ちゃんが言ってよ。」
「じゃあせーの、で。」
「うん、せーの」
「「次スレもどうぞよろしくお願いします。こちらで引き続きお楽しみくださーい」」

フィギュアスケーターズの華麗ないちにち 5日目
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/sposaloon/1275317520/