ピルロと愉快な仲間たち

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375スポーツ好きさん
ミランラボ。
ペディ・キュアと呼ばれる足専門のケアスタッフに、毎回、特に念入りにケアされるアンドレアの両足。
40メートルのパスを正確に通すその足は、言うまでもなく、繊細で敏感だ。
相部屋。午前零時。
その足を包む厚いソックスを剥いたのは、世界で最もエレガントな男の、指。
外の空気にふれた、白く美しいアンドレアの右足を、褐色の両手が愛しそうにゆっくりと撫でる。
二人だけの、秘密のトレーニングが始まる時間。
部屋にはほのかな灯だけを残し、あとは静かに、闇に落とす。
ベッドに浅く腰をおろした華奢な身体の前にひざまずく、がっしりとした男。
「…サンドロ、今日、こんなことがあったんだ……」
何でもないように、アンドレアは低く、小声で話し始める。
「どんなこと…?」
囁いて、サンドロは撫でていたアンドレアの右足へ、ゆっくりと唇を近付ける。
左手で踵を優しく包み、右手は本格的な愛撫へ。
ふくらはぎに長い指をすべらせながら、忠誠を誓うように、足の甲へキスをした。
「…あのね……」
ゆったりとサンドロを眺めながら、やはり何でもないように、アンドレアは話し続ける。
ちょっとやそっとじゃ、彼は満足してはくれないのだ。
そんな親友の性格をわかっているから、サンドロは徐々に愛撫を熱く、激しくする。
右手でつちふまずをくすぐりながら、左手で親指を弄び、フリーキックで使う3本の指へ、ねっとりと舌を絡めた。
縫うように、丁寧に。
指の隙間、爪の隙間まで、細かく舌で、埋めていく。
唾液に濡らされたつまさきがほのかな灯に照らされて、艶やかに、ぬらぬらと光った。
376 :2006/09/29(金) 13:30:06 ID:dgyRlVnn
「…それで、ね……」
かすかに、アンドレアがもじもじし始める。
アンドレアはそれをさとられないよう軽く座り直し、
それまで余裕を見せていた視線を、いやらしく光る自らの足の先から、こっそりと逸らした。
いつだって彼は、なかなか感情を表に出してはくれない。
エレガントな男は、攻め方も美しい。
頑なつぼみに対しても、けして、粗暴な真似はしない。
少しずつ、少しずつ。あたためながら、ほぐしてゆく。
舌は這うようにつまさきから甲、踵、くるぶしへ。
時に執拗に、時に安心させるように。
強弱のリズムを持たせた開放への波を、アンドレアの最も繊細な部分から、最も敏感な部分へと送り続ける。
「…アンドレア?」
つぼみがやっと、ほぐれてきた。
いつのまにかアンドレアのおしゃべりは止まり、そのかわりに口から漏れているのは、切ない吐息。
腰から下をかすかにもじもじさせながら、眠そうな瞳で、恥ずかしそうにサンドロを見つめる。
これには、サンドロもたまらない。
次に唾液で濡らすのは、わかっている、アンドレアのいちばん恥ずかしがるところ。
そこを露わにしようと掛けた手は、しかし、アンドレアにやんわりと制止された。
「駄目、サンドロ。まだ…もう片方ある」
ニヒルに微笑みながら、サンドロの前にもう片方、左の足が差し出される。
心と身体のカテナチオを破ろうと攻め上がったディフェンソーレに、まずはイエローカードが1枚。
夜の主導権争いは続く。まだまだ、夜は、長い。