【MRJ】三菱リージョナルジェット16

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922NASAしさん
洋泉社MOOK「日本の旅客機 メカニック大解剖」にMRJの最新情報のインタビュー記事が出ている。
聞き手は青木さん、お相手は三菱航空機の藤本プロマネ。インタビュー時期は10年6月。
以下、要点。

・昨年9月の設計変更での胴体拡張分は、オーバーヘッドビンの容量12%増加をもたらした。
・主翼の材質変更にともない、主翼自体は僅かに重量が増加しているが、その分の軽量化を機体各所で行っている。
・09年9月にドイツの遷音速風洞を借り、高精度の試験、確認を実施して機体形状の確定を行った。これはRJでは初めての試み。満足の行く性能の機体形状に仕上がった由。
・10年5月に(非常に苦労したが)設計荷重を確定した。これにより製造図面の作成が可能となった。
・MRJの主翼はアスペクト比が10以上もある、RJでも極端に細長いものであり、剛性要求が厳しい。
・また、MRJの主翼は、インテグラルタンクの新安全基準を在来構造で満たす最初の新型機となる(複合材主翼では787が最初)。
・尾翼ボックス部にはA-VaRTMを採用しているが、製法上、曲げ荷重のかかる構造体に対してはオートクレーブ法よりも強度を確保しやすく有利。ちなみに舵面はオートクレーブ法を採用。

続く。
923NASAしさん:2010/08/22(日) 19:53:09
>>922続き

・各種システムは三菱航空機で仕様を策定し国内外各社に外注している。現在はこれらシステムの統合作業を行っている。
・機体システム全体を統合、模擬する、いわゆる「アイアンバード」は大江工場で設置作業が始まっている。夏には稼働開始。
・MRJは3重のFBWシステムを採用し、バックアップはメカニカルなモノは無いが、別途アナログで直結するバックアップシステムを採用している。
・各舵面は、3舵は油圧、フラップは電動。油圧は近年採用されてる高圧システム(5kpsi)ではなく従来のシステム(3kpsi)を採用している。これは経年やユーザーのメンテナンスレベルに配慮したもの。
・コクピットは既に大江工場に固定式シミュレータ(FBS)が完成し、今夏にも米国FAAのパイロットによる評価が行われた模様。(取材時点では予定)
・ディスプレイ配置等、コクピットのレイアウトは787との共通性を意識している。ただしRJとしてディスプレイ数を減らしたり、HUDを「現時点では」機長側のみの仕様としている。
・サイドスティックにしなかったのは、777/787との共通性だけでなくRJ機が旅客機パイロットの「登竜門」と位置づけられる事をも考慮している。
・エンジンの開発も順調に進捗。三菱航空機のスタッフがモントリオールのPW開発部門でエンジンコアの試験に立ち会う等、進捗の確認を行っている。
・MRJの開発全般には、MU-300開発時の経験が大きく生かされている。藤本氏自身が開発に関わっていた。
・MRJのシステムは大きく近代化されているが、飛行試験も含めその試験手法、基準はMU-300の経験に基づき実施できる。
・MRJは2011年早々にも初号機の製造が開始され、2012年までに初飛行が実施される予定だ。(この行のみ原文ママ)
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とりあえず、最新状況が航空雑誌じゃなくて、ムック本で出てくる、というのはどうよ…。
全般として、既にほぼデザインフリーズしてて、アイアンバードもFBSも完成している、というのが判ったのは嬉しい。
これらの進捗が7月のファンボローでの記者会見に繋がっていた事が伺える。