新福岡空港建設を考える 第十集

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87NASAしさん
新空港必要性色濃く 福岡空港調整会議 国交省リポート了承

●予測と実態に大きな隔たり
 【解説】福岡空港調査連絡調整会議が二十六日了承した福岡空港の将来需要予測は、旅客数、
離着陸回数ともに横ばいが続く現空港の実態との隔たりが大きく、「まず新空港ありき」の前提
の下で結果が導き出された印象がぬぐえない。同会議は今後、住民の意見を将来方策の検討に反
映させる段階に入るが、この数値があくまで予測にすぎないことを踏まえ、慎重に議論を進める
姿勢が強く問われそうだ。
 福岡空港をめぐっては二〇〇二年に福岡県や地元経済界などでつくる新福岡空港調査会が、
一〇年に旅客数は二千五百十万−二千七百三十万人、離着陸は十六万二千−十七万六千回になる
との需要予測をまとめ、同県新宮町沖での新空港建設を推進した経緯がある。潜在的な需要を盛
り込み、近い将来に空港の容量が限界を超えるとする論理は、今回の需要予測とも共通し、
これまでの流れに沿った分析結果が出たと言える。
 だが、数字の根拠を十分掘り下げないまま結論を急いでいる観は否めない。
実際、福岡県、福岡市内部からも「福岡都市圏の発展可能性を前提とした数字」と、精度
をいぶかる声が上がる。
 今回の需要予測は、国交省が外郭団体の運輸政策研究機構に委託して行った。同機構は
昨年二月に開業した福岡市営地下鉄七隈線の需要予測も担当したが、結局は開業後の乗客数が
見込みの四割程度になり、過大な予測に基づく収支計画の甘さが批判を浴びている。
 行政側の調査に向けられる視線は厳しくなっているだけに、合意形成に向けた対応では、
算出根拠の丁寧な説明と情報開示が求められる。 (地域報道センター・高野靖之)
6.27西日本新聞