255 :
その1:
20日の読売朝刊の記事です。
> 官民共同の宇宙開発"不協和音"
>
> 宇宙開発の官民共同プロジェクトが揺れている。2000年代になってから
> 盛んになった手法で、国と民間が資金を分担して、新プロジェクトを進め
> たり、国が開発した技術をもとに民間が事業を行うことなどを指す。
> 実用を前提にした「役に立つ宇宙開発」と脚光を浴びたが、ここにきて
> "不協和音"が目立つ。
> (解説部 知野恵子)
>
> 国の宇宙開発予算は2002年度の約3000億円をピークに減少傾向にある。
> 日本は軍事面の宇宙開発予算がないこともあり、「このままでは先細りに
> なる」という危機意識が国や産業界にある。
> こうした情勢を背景に、中型ロケット「GX」や、測位と通信・放送機能
> を併せ持つ日本版GPS(全地球測位システム)である「準天頂衛星」の開発、
> 国が開発した大型ロケット「H2A」の民間移管などの官民共同プロジェクト
> が始まった。
> 宇宙開発政策に詳しい蚕野信義・東海大教授は「民間と一緒にやるとか、
> 民間に技術を移転すると言わないと、予算を獲得しにくくなっている」と
> 事情を説明する。
> 民間から見れば、国の資金が期待できる反面、国の政策にどう位置づける
> かの検討が不十分だったり、民間の事業見通しが甘くなりがちだったりと
> いった弊害も出てきている。
256 :
その2:2006/04/21(金) 03:37:50
> 準天頂衛星計画で、測位のシステムを維持するには複数の衛星が必要だ。
> 民間側には、計画が始まれば「衛星が継続して売れる」という期待があった。
> 寿命が来れば次の衛星が必要だからだ。
> だが、国の測位衛星に、民間の通信・放送機能も一緒に搭載するのが適切
> なのかや、国が測位衛星を保有する意義を検討するよりも、ビジネスを旗印
> に走った感が強い。
> GXに対しては、国の肩代わりをしているという意識が民間側には強い。
> GXの予算は、宇宙開発事業団(宇宙航空研究開発機構の前身)の新ロケット
> 計画が頓挫しかかったため、「民間主導の共同計画」と衣替えして予算を
> 獲得した経緯があるからだ。このため、価格競争が求められる商用ロケット
> のはずなのに、宇宙機構が担当するエンジンでは、世界初の技術に挑戦する
> という"大胆"な計画になった。そうした点を、国も民間も十分に論じてこな
> かった。
> これまで国は大型ロケットに傾注してきたが、最近では中型、小型ロケット
> もそろえ、機動力のある打ち上げ態勢を作る必要を唱える。しかし、GX計画
> を始めた時にはそういう視点はあまりなく、場当り的だった。
> さらに問題は、官民協力プロジェクトは、目標があいまいになりがちで、
> 日本の宇宙開発が何を目指しているか国民にわかりにくい点だ。国が全体象
> を描くことが必要だ。
257 :
その3:2006/04/21(金) 03:39:19
> GX エンジン開発巡り亀裂
>
> GXはH2Aの半分程度の打ち上げ能力を持つ。2003年から開発が始まり、
> 民間は商用打ち上げに使う予定。当初は05年度初打ち上げを目指した。1段
> エンジンは、石川島播磨重工などが設立したギャラクシーエクスプレス社が
> 米国企業から購入。2段エンジンは、宇宙機構が液化天然ガス(LNG)エンジン
> を開発する。総費用を文部科学省、経済産業省、民間で約150億円ずつ負担
> する予定だったが、政府分の約300億円は今年度でほぼ使い果たす。総費用
> がかなり膨れることは避けられない状況だ。
>
> 文科省、経産省、宇宙機構、石川島播磨重工の幹部が14日、現在の目標の
> 08年度より1年遅れの09年度に初号機打ち上げを目指すことで合意した。
> ただし、宇宙機構が 6月まで実施するエンジンの試験結果を見た上で、結論
> を得るという条件付きだ。それでもギャラクシー社では「これまでは関係者
> がばらばらだった。共通認識をもてた意義は大きい」と話す。
> ここに至るまで、宇宙機構と民間との間で技術判断などを巡って意見が
> 対立、計画の先行きが危ぶまれていた。文科省では「民間と宇宙機構は150度
> くらい離れ、信頼関係も薄れている」と話す。
258 :
その4:2006/04/21(金) 03:39:58
> 原因は、LNGエンジンの開発が難航していることだ。宇宙機構では一部の
> 設計変更で乗り切ろうとしたが、その後、燃焼試験で新たな問題が発生。
> 宇宙機構は「深刻な状況で、原因を究明するまで先へ進めない」とし、民間
> 側は「エンジン開発では、よくある現象」と反論、亀裂が深まった。
> さらに5日に開かれた関係者の会議で、宇宙機構が「早くても2009年度打ち
> 上げ。場合によっては2,3年遅れ。さらに長期化の可能性がある」と説明した
> ことで、「やめると言っているに等しい」と不満が爆発した。
> 民間は8割方仕事が終り、LNGエンジン待ちの状態だ。計画が遅れるほど
> 米企業に支払う費用がかさみ、ロケットの価格が跳ね上がる。
> 14日の協議会で、取りあえず、再びもとの土俵に戻した格好だが、試験
> 結果によっては、問題再燃の可能性があり、依然不透明さは続く。
259 :
その5:2006/04/21(金) 03:42:04
> H2A 中型案でGXと競合も
>
> 4月以降、H2Aは、製造から打ち上げサービスまでの業務が三菱重工に段階的
> に移管される。来年度からは、同社が国や民間の衛星の打ち上げサービスを
> 行う。
> だが、いきなり市場参入の厳しい現実に直面した。10日、欧州の打ち上げ
> 会社が、日本の商用通信衛星の打ち上げ契約を結んだからだ。日本の通信
> 事業者などが使う商用衛星の製造は、欧米のメーカー受注してきた。今回は
> 三菱電機が受注したため、打ち上げはH2Aになるのではという期待も高まって
> いたが、1機約100億円という高価格や、実績のなさが響いた。
> 三菱重工では、国に「年間3,4回打ち上げられるように計画を作ってほしい」
> と要望する。しかし、H2Aに見合った大型衛星は作るのにお金も時間もかかる
> ことから、今後、国の衛星は中型へ移行する方針だ。
> H2Aは部品の組み合わせで打ち上げ能力を増やせる仕組みだが、三菱重工
> では、打ち上げ能力が小さい方へもH2Aの種類を広げることを検討。部品を
> 組み合わせて「H2Aライト」という中型ロケットを新たにつくることを宇宙
> 機構に提案している。
> GXと競合するが、三菱重工では「宇宙開発予算を有効に活用するためにも
> 公的な場で本質的な議論をしてほしい」と話す。官民共同の余波が民間同士
> の競争を招く可能性が出てきた。
>
ここまで。準天頂関係の話は省略しますた。
なんかIHI擁護気味ですね・・・