湯に入るに 前や後ろを 良く洗ひ どんぶり入るは 大のおきらい
雪の日に 北の窓開け シシすれば 余りの寒さに ちんこちぢまる
君が為 尽くす心は 水の泡 消えにし後は 澄み渡る空
もののふの 河豚に食わるる 悲しさよ
露と落ち 露と消えにし 我身かな 浪速のことも 夢のまた夢
世を捨てて 深山の庵の 寝覚めにも 友はありけり 子牡鹿の声
春の野に 若菜を摘める 乙女子は なべて霞の 衣きるなり
櫻花 今をさかりと 咲くものを さそう嵐の 風そつれなき
打よする なみにあつさを あらはれて うちはすゝしく やとる月かな
この頃は ゆきゝになれし 旅人も まよふ夏野の 深草の里
過去し むかしや風も しのふらん 花たち花に そよくゆふへは
とことはに 榮ゆる御代の 例には 名にたかさこの 松をひかはや