【高島易者の事件簿】 −1−
『毎日新聞』
1991年2月8日(朝刊)
『「高島易断」が2年間で4億2千万円の所得隠し』
「東京を中心に運命鑑定や人生相談などをしている株式会社「高島易断総本部発真
(ほっしん)会」=小沢茂男社長(31)【※1】、総本部・渋谷区桜ヶ丘町=が、ここ二年間で
四億二千万円余の申告漏れを東京国税局から指摘されていたことが7日分かった。
占いブームで増えた祈願料を申告から除外していたもので、同国税局は全額が所得隠し
に当るとして、重加算税を含め二億二千万円余を追徴課税した。(中略)
関係者によると、発真会は運勢や縁談、就職などの相談に応じている。
相談に基づいて「鑑定」すつ「観相料」は一律二千円だが、特別な祈とうをする祈願料として、
内容により三十万〜百万円を取っている。
【※1】1959年5月1日生まれ。号は高島成龍。
【高島易者の事件簿】 −1の関連記事−
『宗教か詐欺か その見分け方』段勲 (2001年6月 リム出版新社)
正体不明の宗教商法
「チリン、チリン―。鈴の音を立てながら雑踏の町角や人通りの多い駅前、
時には駅構内などで、雲水《うんすい》の格好をした托鉢僧が立っている。
いずれも深い網代笠《あじろがさ》をかぶり、持鉢を持ち、顔を伏せたまま
終始無言である。腰をかがめて顔をのぞいて見ると、これがどういうわけか
アジア系の外国人であった。
九三年を前後してピークに達していたこうした托鉢僧の所属する団体は
「高島易断総本部発真会」(本部=東京・赤坂)という易占いを看板にした組織である。
降って湧いたように外国人による多数の托鉢僧もまた奇異だが、当時、各地の消費者
センターには、この発真会の鑑定に対する抗議、苦情など、相談件数が殺到したのである。
「どんな悩みごとにも親切にお答えします。観相料二〇〇〇円」
などと書かれたチラシを住宅に配布。地方のホテルなどを会場に出張鑑定をしていた同会
の鑑定者から、法外の鑑定料を請求されたという被害者が多発したのだ。
手口はいわゆる霊感商法に似ていて、相談相手の不安を煽り、カネを出せば救われるという
単純なものである。このままでは命が危ないとか、先祖の霊が祟っていると不安感を与え、
「でも、神様にお金を差し上げたら、解決する」
と、五〇万、一〇〇万円といった単位の高額な鑑定料を請求していたのだ。
口から出まかせの鑑定を素直に信じて、カネを出す相談者もどうかと思う。
だが、ありもしない不安をデッチあげてカネにする、“宗教舎弟”である易占いにも詐欺
行為の匂いが漂う。何度も引き合いに出して悪いが、もし、怖い兄さんがこのような不安
を押し付けてカネを巻き上げたら、恐喝容疑で逮捕も免れない。
それにしても、持鉢にカネを集めていたあの外国人の托鉢僧たちは何だったのか。」
【高島易者の事件簿】 −2−
『朝日新聞』
1993年10月21日(夕刊)
『高島易断総本部の事務所ビルに発砲』
二十一日午前零時三十五分ごろ、東京都世田谷区下馬一丁目の住民から、
「短銃を発射するような音が二回した」という一一〇番通報があった。
世田谷署で調べたところ、同所、高島易断総本部の事務所ビルの一階にあった
門灯と駐車場のシャッターに一発ずつ、弾が撃ちこまれた跡があった。
中に男性一人がいたがけがはなかった。
【高島易者の事件簿】 −3−
『毎日新聞』
1999年7月17日(朝刊)
『融資女性から不当な金利 「高島易断」社長、出資法違反の容疑で逮捕』
警視庁捜査4課は16日、東京都港区三田2、「高島易断総本部」社長で宗教法人
「幸運乃光」代表役員、小沢茂男容疑者(40)を、出資法違反(高金利)の疑いで
逮捕した。
調べでは、小沢容疑者は93年6月ごろ、都内の英会話塾の女性経営者(52)に
新宿区内のマンションを担保に2300万円を融資。賃借権を設定して3年分の
家賃収入を返済に充てる契約をした。
この融資の元利は96年11月に完済したのに、貸金を1億5000万円とする借用証書
をかってに作成し、家賃総額約1億700万円を徴収し続け、法定限度を超える5646万円
の利息を得た疑い。
(下略)
高島易者の事件簿】 −3の関連記事−
『週間新潮』
1999年8月5日号
『逮捕された「高島易断」社長の荒稼ぎ』
(前略)
『総本家』4代目代表の高島龍峰総裁がいう。
「小沢は20年以上前に静岡の高校を中退して私の運転手になった人物です。
書生として8年ぐらいうちにいたのですが、20代半ばで突然辞めると言い出し、
例の豊田商事に入社。事件後、いったんは戻ってきたので、北日本支部長を
やらせていたが、結局飛び出した。」
(中略)
小沢は占いブームに乗って荒稼ぎしてきたのだ。その原動力になったのが、彼が
主催する易者養成セミナーである。
「これがいかにもインチキくさいのです」と、参加者の一人が話す。
「・・・初めの3日で筮竹の振り方などを猛練習。・・・それからは般若心経の暗記を
するだけ。肝心の占いは何も教えてくれない。・・・最後の4日間は、今後、どうやったら
金儲けできるか、の説明を受けるだけなんです。」
受講後は、2週間のセミナーの後、すぐに易者として全国に派遣されるという。
「受付で客から年齢を聞き、案内役が過去の資料からその年齢相応の悩みを
プロックサインで易者にしらせる。その上で、易者が悩みを言い当てる。
で、すっかり心酔した客に対し、さらに”祈願料”と称して30万、100万円ととって
いくわけです。・・・」
(中略)
小沢は稼いだ金を元手に不動産から金融業まで手広く事業展開。そのせいか、
これまで所得隠しが発覚したり、事務所に銃弾が撃ち込まれたり・・・とトラブル
も絶えなかった。挙句、今回の逮捕である。
捜査関係者がいう。
「逮捕したのは赤坂署にある山口組集中取締本部ですが、今後は暴力団との関係を
追及していく構えです」
悪運も尽きたか―。
【高島易者の事件簿】 −4−
『読売新聞』
2002年3月9日(夕刊)
『高島易断元代表を逮捕 − HPで同業者を中傷容疑』
警視庁赤坂署は八日、暦で有名な、「高島易断総本部」もと代表小沢茂男(42)(港区三田)を
偽計業務妨害の疑いで逮捕した。
調べによると、小沢容疑者は1999年3月から6月にかけ、自分の開設したインターネットの
ホームページに、易断業の男性ら三人を名指しで「偽者団体にご注意」などと中傷する書き込みを
した疑い。
【高島易者の事件簿】 −4の関連記事−
『週間朝日』
2002年4月5日号
『占い業界の巨人「高島易断」、トンデモお家騒動』
(前略)
神聖館を破門された翌年、小沢元会長は、高島易断「発真会」を設立する。
90年に、発真会は、株式会社高島易断「総本部」を設立し、(略)94年ごろから
類似の名称を使用する業者などを訴える訴訟を頻繁に起こしていた。
「高島易断」の名が使われるのは、商標登録ができないためだという。特許庁では、
「高島易断」というのは、既に一般名詞として認識されているためだというのが理由だ。
名称が野放し状態になっているのだ。
「高島易断」市場で、いちばん大きなものは、「暦」である。・・・この暦業界の最大手は
「神宮館」(台東区)。・・・ただし、神宮館は出版社であり、実際の占いは行っていない。
高島易断の各団体もそれぞれ暦を出版しているが、神宮館には及ばない。
高島易断関係者が、その手口を暴露した。
「・・・大量の折り込みチラシをばらまいて客を集め、2千円程度の”観相料”を取って
占いをします。そして必ずこう言います。
『あなたの300年前の先祖の悪い行いによって、お子さんが病気になります』と・・・」
こう告げられ不安になった相談者は、1年間分の祈祷料数百万円を、言われるがまま
に支払ってしまうというのだ。
こうしたシステムには徹底したマニュアルがあって、ノルマを達成できない易者は、ホテルの
宿泊費や会場費などを自分で支払わなければいけないという罰則もある。