除染情報プラザというのは、環境省と福島県が合同でつくった組織。2012年1月、除染の広報
や専門家派遣に伴うアドバイスを目的に誕生し、福島市に事務所を構えた。
ブラザのスタッフは14人だ。環境省がその運営を電通に委託し、電通はさらにパソナに委託。
パソナが14人の契約社員すべてを出した。パソナは、東京に本社を置く人材派遣会社の大手だ。
派遣会社の14人が、除染の情報収集や専門家の紹介を担当していた。
パソナ福島事務所のプロジェクト長、石田寧(49)はいう。
「市町村を訪問して、何でも聞いてきて下さい、というのが電通や、環境省の福島環境再生事
務所との打ち合わせでの指示でした」
除染は誰もしたことがない。手探りだった。
「結局必要なかった情報もあったけれど、とにかく色々聞いてくるしかないと思って始めまし
た。今から思うと、内容を絞って動いた方がよかったかもしれない」
ブラザは1月にスタートした。環境省の単年度契約の委託で、3月までは博報堂、4月からは
電通が受注した。ともに大手広告会社だ。この業務の今年度の契約金は、約15億円だった。
電通が受けた仕事は除染と汚染された災害廃棄物の処理についての広報。具体的には説明会の
補助、市町村除染の情報収集、除染作業への専門家の派遣など。
このうち、情報収集と専門家派遣を担当するのが「ブラザ」だ。そのスタッフを、電通はパソ
ナに委託した。
初め、パソナは自治体に専門家を派遣する仕事のために5人と、コーディネーター1人を置い
た。5月下旬から市町村を回る外勤チームを作り、6人を増やした。7月からは外勤をさらに
2人。これで14人だ。
いずれもパソナの契約社員で、一般企業の事務や営業をしてきた人たちだ。ハローワークでも
募った。放射能関係の経験を持つ人はいない。