欧文フォントについて語ろう

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87名無しさん@お腹いっぱい。
TimesはPlantinがベースになっているTransitional系Serifフォントである。
Timesはその名のとおり、ロンドンの新聞"The Times"のためにMonotype(本社イギリス)
によってデザインされたのであるが、第二次大戦中、紙を節約するために、同じ面積により
多くの文字を詰め込みつつ可読性を維持できる点が評価されて、アメリカ中の新聞で
次第に多用されるようになった。アメリカでのTimes活字はITCが設計制作した。

ところがITCは1945年に、アメリカでTimes Romanを商標登録してしまった。
本来のフォント著作権者であるMonotypeは、アメリカでTimesの名を使えなくなった。
大西洋をはさんで、東西でTimesフォントが分裂してしまったのだ。これが35年間続く。
1980年代初頭、アメリカでTimesの商標を使えるように、MonotypeはITCを訴えた。
またThe Timesの所有者であったルパート・マードック氏に、MonotypeがTimesを
名乗れるように働きかけた。この結果としてMonotypeにもアメリカでTimesフォントを販売
できる権利が与えられた。そこでMonotypeが提供したのがTimes New Romanである。

80年代の終わりに、MonotypeはフォントメトリクスがITC版と全く同一になるように
自社のTimes New Romanを設計しなおしている。この結果、細部のデザインに
わずかな相違はあっても、実用上の差はなく、主に商標の違いに過ぎなくなった。
フォントのデザインそのものよりは、むしろAdobe+AppleのTimes Roman、Microsoftの
Times New Romanという、プラットフォーム間の対立の面から語られることが多い。