資本主義の精神

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293中葉
続きです。代案を書きます。(ちょっと長いですが我慢してください。

同時多発テロに象徴されるように、地域社会は、第3ミレニアムに向けて社会が再構築される
過渡期のまっただ中にある。最も重要で困難な問題は、地球を持続可能なものにし100億に
なんなんとする人口を養えるような経済を開発するために現在の資本主義が貢献できるか
どうかである。このチャレンジに対応するために世界の先進的な企業は、これまでの
大量生産から高付加価値生産へと、痛みを伴いながら、変貌を余儀なくされている。
この対応を支えているのは新しい種類の専門家―(1)問題の発見者、(2)問題の解決者、
(3)問題と解決の戦略的な媒介者―であり、シンボリック・アナリストである。
シンボリック・アナリストは、企業からは光の面しか見えないが、社会から見ると
影の面が問題になる。それは経済学者でありクリントン政権の労働長官のライシュに
よれば、“シンボリック・アナリストが彼らの創造的な力を正しい方向で発揮できる
ようにするには、どうしたらよいのだろうか”という問題であり、その“適切な
対応策は、シンボリック・アナリストを人類全体の役に立つ手だての発見に
向かわせると同時に、その弊害を最小限に抑制するような市場(つまり社会)を
組織し、作りあげることである”という。(Reich 1992, p.256)

経済歴史学者のハイルブローナーによれば、このような社会の統合原理は「参加」で
ある。この社会への“移行は非常にむずかしく、社会の再構成は非常に複雑である”
が、参加型の社会が実現するかどうかは別として、参加型社会の“思想や理想は、
資本主義をできるだけうまく、そしてできるだけ長く機能させようと苦闘している
間は、大いに役立つにちがいない。解決や成功ではなく緊張と失敗が常態となる
可能性が大きいこれからの時代、そのことを想定して別の社会的目標を設定して
おくことは、決してむだではあるまい。”(Heilbroner 1992, p.121)

Reich, Robert B.(中谷訳):ザ・ワーク・オブ・ネーションズ 、ダイヤモンド社、1991
Heilbroner, R.(中村他訳):21世紀の資本主義、ダイヤモンド社、1994