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名無しさん@社会人:
私はごく最近、「諸君!」七月号で、貴兄と高坂正尭氏の対談「自民党ははたして政党なのか」を読みました。
そして、はたと、これは士道にもとるのではないかといふ印象が私を搏ちました。私は何も自民党の一員では
ありませんし、この政党には根本的疑問を抱いてゐます。しかし社会党だらうと、民社党だらうと、士道といふ
点では同じだといふのが私の考へです。
実はこの対談の内容、殊に貴兄の政治的意見については、自民党のあいまいな欺瞞的性格、フランス人の記者が
いみじくも言つたやうに「単独政権ではなくそれ自体が連立政権」に他ならない性格、又、核防条約に対する態度、
等、ほとんど同感の意を表せざるをえないことばかりです。
貴兄に言はせれば、三島が士道だなどと何を言ふか、士道がないからこそ多数を擁して存立してゐる自民党なのだ、
といふことになるかもしれません。しかし、「ウエスト・サイド・ストーリイ」の不良少年の歌ではないが、
すべてを社会の罪とし、自分らの非行をも社会学的病気だと定義するとき、個人の責任と決断は無限に融解してしまふ。
三島由紀夫「士道について――石原慎太郎氏への公開状」より