○○家の人々 第二章

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641U-名無しさん
>>631
救急車で係りつけの産婦人科に搬送された小栗鼠。エアマスクをつけたままストレッチャーに乗せられそのまま分娩室へ。少年襟とマスコッツ、ついて来てくれた近所のカズナリ兄さんの目の前で、バタンと鉄の扉が閉まる。
「ママ…ママ…ママぁ」
「大丈夫やって少年襟くん、君のママは強いよ…んでなんでお前は不気味な図体でオタついてんねん」
オロオロ廊下を歩き回る少年襟に優しく声をかけ、同じく落ち着かないシャウエッセンマンには容赦ない廻し蹴りを入れるカズナリ兄さん。弾みでソーセージが零れて廊下の隅に転がって行き、ロビー君とインコ怪人がそれを慌てて追いかけるが、インコ怪人が足をもつらせてすっ転ぶ。
「廊下では静かにしなさい!」
分娩室から顔を出した看護婦さんに怒られてマスコッツはその場にフリーズ。少年襟はカズナリ兄さんの手をギュッと握りながら看護婦さんに問いかける。
「あの…あの、ママは?赤ちゃんはどうなるんですか?」
「…心配ないのよ、ここにはとっても腕のいいお医者さんがいるんだから」
答える前に一瞬間があったのに気づき、カズナリ兄さんは少年襟の手を強く握り返す。
642U-名無しさん:2001/07/25(水) 23:31 ID:???
別室で小栗鼠の容態を聞いていたカズナリ兄さんが戻って来る。
「カズナリ兄さん、ママの具合はどうなの?」
「早期破水言うてね、予定より早く赤ちゃんが外出たがっててん…ちいっと早過ぎてママのお腹がまだ赤ちゃん生む準備できてへんかったんよ。んだから…」
ちょっと言い淀むカズナリ兄さん。睨み殺すような勢いで続きを促す少年襟。
「それでどうするの?」
「あんな…お腹をな、こぅ、ついーっと切って赤ちゃん取り出すんやて」
「お腹を切ったら死んじゃうじゃないかー!!うわー!!ママー!!!」
目を見開いて叫ぶ少年襟。言うんじゃなかったと瞬間後悔するカズナリ兄さん。
「…ばーかばーかばーか」
ぼそっと呟くマスコッツに、カズナリ兄さんは泣き喚く少年襟を抱きかかえながら3連ローキックを見舞った。まともに蹴りを食らったマスコッツがばったり転がり、その様子に少年襟がようやく少し笑ったその時。

『いやーー!!痛いいーー!!いやあああーー!!』

扉の向こうから聞こえた、初めて聞くママの悲鳴。

「ママーーー!!!」
少年襟の絶叫が静かな病棟に谺する…。