借りてきたキャッツは返せません 大分トリニータ605
大分FCに県2億円融資、当面の破綻回避、火種なお――見えぬ抜本策、債務重く
サッカーJリーグ2部(J2)大分トリニータの運営会社、大分フットボールクラブ(大分FC、大分市、青野浩志社長)が
経営危機に陥っている問題で大分県は16日、外郭団体を通じて2億円の救済融資を実施する方針を決めた。
公的資金の投入で当面の破綻は回避される。
ただ、同社の厳しい経営環境は変わらず、先送りした問題が再燃する恐れもある。
県の方針決定を受け、全額出資の外郭団体「大分県文化スポーツ振興財団」は
17日の理事会で、2011年1月期末までの運転資金に必要な2億円の融資を正式に決める。
同県の広瀬勝貞知事はこれまで「資金面での支援はしない」「チームの存続ありきではない」と明言し、
公的資金の投入に否定的だった。だが、大分FCは11月末までに取引先への支払いや従業員の給料などで7900万円が不足。
こうした緊急事態を踏まえ、県は「地域経済や社会的な影響を考慮して資金支援を決めた」(首脳)という。
大分FCの筆頭株主である大分商工会議所も今回の方針決定を支持する。
同商議所は12月4日の試合で1000席分のチケットを購入し、商議所会員らに無料で提供。
「来シーズン以降も同様の支援策を講じる」(同商議所)考えだ。
当面の危機は回避したが、観客減少による入場料不足や広告スポンサー不足など
根本的な問題が解消できたわけではない。Jリーグからの借入金のうち今期の返済分1億円は
今回の救済融資で充当するが、12年1月期には2億円、13年1月期には3億円のJリーグへの返済が待ち受ける。
同社は05年にも2億円の救済融資を受け、その残高は10月末時点で8055万円。
11年1月期末の借入金残高の総額は収入と同規模の10億2000万円に達し、
実質債務超過状態が続いている。「経営破綻会社のように見られ、金融機関から融資を受けられない」(青野社長)
という“自転車操業”が今後も続く。