2008.12.27 読売新聞朝刊より引用
・「大旗妨害」柏と鹿島に制裁金
9月20日に行われたサッカーのJ1柏−鹿島戦(柏)で鹿島サポーターが大旗で選手のプレーを妨害するなどした問題で、Jリーグは26日、柏と鹿島をけん責とし、制裁金を科す処分を発表した。
制裁金は柏が200万円、鹿島が100万円。25日に開催された裁定委員会で決定した。
処分理由は、CKをけろうとした柏のMFアレックスの頭に、最前列の鹿島サポーターが大旗を当て、試合を一時中断させた行為。
試合前から散発的に続いたサポーター同士の小競り合いは対象としなかった。
裁定委は、主催責任のある柏について、日立柏サッカー場で禁止している最前列での大旗の使用を防げなかったと指摘。
鹿に関しても、大旗の使用を制止できず、柏への強力が不足していたとした。
・本質迫らぬ処分 暴走防ぐ姿勢を
大旗によるプレーの妨害という前代未聞の不祥事だけに焦点を当てた処分は、問題の本質に迫っていない。
今回最も深刻なのは、スタジアム周囲で起きたサポーター同士の小競り合いだ。鹿島サポーターは試合約2時間前から敷地内で酒盛りをし、入場する女性や子供まで威嚇。
鬼武健二チェアマンも「子供や女性が危険なスタジアムに行けないと思ってしまう」と危険性を感じていた。
裁定委員会は、事例に応じてスタジアム内外の問題を検証するが、今回は「スタジアム内だけを対象とした」(Jリーグ)。背景には、スタジアム外でサポーターの衝突が恒常化している実態が透けて見える。
ただ、今回の騒動は、試合展開で過熱したサポーターが暴走する過去のケースとは、異質だ。
事態の重大性を直視せず、暴走の芽を摘み取ろうという姿勢を打ち出さないのでは、再発を招きかねない。
(青柳庸介)