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U-名無しさん:
劉備 曹操どん、教えてくれ、天下人って何だ。
曹操 孟子に言う、天が人に、大いなる任を降そうとする時、
必ずまず、その心志を苦しめ、その筋骨を疲れさせ、その体を飢えさせ、
その身を窮乏させ、行う事為す事に幾多の障害を与える。
劉備 あんた、ほんっとにいじわるだな。孟子だけじゃ、おいらはわかんねえよ。
曹操 図に乗るな!劉備!自ら考えない者は、人が教えても理解しないものだ!
劉備 おいら考えるから、あんた注釈つけてくれよ。
曹操 心の闇に鈍感な者に、天は任を降ろそうとはしない。
心の闇を直視し、乗り越えた者だけに、はじめて天下人の任が降される、ということだ。
劉備 自分の心の闇に鈍感な者は、人の心の闇にも鈍感だからってことかい?
つまり、自分に妥協する者は、人にも甘いってことだな。
曹操 そうだ。所詮、本質を曖昧に誤魔化したままの改革しか出来ないからだ。
劉備 曹操どん、あんた凄いよ、教えてくれてありがとう。
しかし、あんた凄いねえ、どんな心の闇も直視して、なんでも分かっちゃうんだ。
でもな、自分じゃ気付かねえかなあ、あんたはとんでもなくおっかねえんだよ。
曹操 劉備、何故俺が恐く見えるか分かるか?
劉備 あんたは、自分にも人にも妥協がないからじゃねえか。
おいらが妥協したいことも、あんたの前じゃ隠せないからな。
逆に、誰かがあんたを責めようとしても、あんたそれを既に知ってるってとこかい?
曹操 そうだ。天下を志す者は、まず自分の心の闇を直視し、一人でそれを越えなければならん。
その心地を味わわずして“天下”などと口にしてはならぬ。
劉備 一人でなんて無茶だよ〜〜
曹操 甘えるな!劉備!自ら体験してない者は、人を導こうと思っても出来ないものだ!
誰よりも早く、心の乱世を体験し、自らを治世へと導いた後、
後続を乱世へ巻き込み、天下のあらゆる膿を噴き出させ、千年の世に導くのが天下人だ。