浦和の優勝はめでたい。
レッズのファンというわけではないのだが、
なんとなくJリーグの歴史と彼らの歴史が重なって、
感慨深いものがこみ上げてくる。
Jのお荷物と呼ばれ、金はあるのに強くなれず、
ただサポーターの熱い思いだけが空回りしていたチームがやっと優勝したのだからなあ。
遅すぎるが、しかし、何も勝ち得ないよりはよっぽどましだ。
というわけで、わたしもレッズの優勝にひとり祝杯をあげたのだが、
ひとつだけ、強い違和感を覚えていることも事実だ。
レッズ優勝の翌日の某スポーツ新聞の見出しにあった「超攻撃的サッカー」の文字が違和感の原因だ。
その新聞に限らず、世間では浦和のサッカーは「超攻撃的」と捉えられているらしい。
しかし、わたしはそれには否定的だ。レッズのサッカーは守備が基本のサッカーだと見ているから。
3−4−3という戦術だけを見れば、なるほど攻撃的に思えるかもしれないが、
中盤の4人のうちの2枚がボランチということなら話は変わる。
守備が基本の戦術だ。
相手に押し込まれ、両サイドが引いたら、デフェンダーが7人いることになる。
トルシエがやっていたサッカーとなんら変わらない。
そのいい例がF東京とのナビスコ決勝だろう。
4231のモダンな攻撃的サッカーでサイドを執拗に攻めてくるF東京に対してレッズの両翼は引かざるを得ず、
前線と守備のラインの間があいて効果的な攻撃はほとんどできなかった。
あれで「超攻撃的」とは笑わせる。F東京の方がよほど攻撃を指向している。
それなのにレッズが超攻撃的だというイメージは、
要するに前線の3人の攻撃力が桁外れだということに起因する。
3人で簡単に点が取れるから、縦への突破が目につき、肝心のサイド攻撃はお粗末になる。
ああ、どこかで見たようなサッカーだなと思えば、これはイタリアのサッカーと同じなのだ。
守備に戦力の大半を割き、攻撃はタレントに溢れた前線の選手だけに任せる。
イタリアのサッカーがどれだけ点を取ろうが絶対に攻撃的でないのと同じで、
レッズのサッカーも攻撃的では決してない。
それを「超攻撃的」と評してしまう日本サッカー界の現状に、わたしは嫌なものを感じてしまったのだろう。
別に守備的だからレッズの優勝を否定するというわけではない。あしからず。