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持論時論/<小松直文(団体職員)=58歳・仙台市>/サポーターのマナー
選手とのきずな大切に
仙台に住んで20年。サッカーとは、縁遠かった。しかしJリーグ試合当日
の仙台スタジアム周辺の大変な盛り上がりを目の当たりにし、気持ちが変わっ
た。「より個性豊かな地域に」を目標に、サポーター、ボランティア、企業、
行政などが連携し、それぞれの役割を果たしていることも知った。地域づくり
の参考になるのではないかと思い、観戦し始めた。
2001年といえば「ベガルタ仙台」が、J1昇格を決めた年である。5月
に家族と観戦して以来、スポーツとしての素晴らしさと、懸命に地域のチーム
を応援するサポーターへの共鳴から、ホームゲームは欠かさず観戦してきた。
まだスタジアムに行ったことのない知人を誘っては、ホーム北側に連れて行く。
そこは試合はもちろん、コアサポーターの熱気を肌で感じられるからである。
ベガルタのサポーターは、企業クラブのような「十人一色」とは違う。各グ
ループが思い思いの応援スタイルを基本としながらも、連携してスタジアム全
体を鼓舞し、劇場空間を演出している。中心は、コアサポーターと言われる人
たちである。「個性豊かな地域」をキーワードにすると、主役は間違いなく彼
らである。
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ところで最近、その「主役たち」の言動が気になっている。「試合にルール
があるように、観戦にもルールがある」。この言葉が胸に刺さるような出来事
がいくつかあった。例えば、ごく一部の者ではあるが、試合終了後に選手に向
け、物を投げる。これはルール違反である。それをあおる者が現れ、スタジア
ムが異様な雰囲気になる。
それとマナーの問題。「試合の勝ち負けにかかわらず拍手を送る」人もいる
だろうし「ふがいない試合には、ブーイングは当然」の人もいるだろう。しか
し特定選手の誇りに触れる行為や、選手をピッチから追い出すコールは理解し
難い。グループで独自の制服のようなものを着ているのは、何かの勘違いだろ
う。レプリカユニホームが、マナーではないだろうか。失礼なコールや独自の
制服を、スタジアムの多くのファンは求めていないし、受け入れないように思
う。マナーの善しあしの判断は「選手たちとのきずな」が保たれている行為か
否かで、決まるのではないだろうか。
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ベガルタの試合には、年間40万人ほどの幅広いファンが県内外から訪れる。
経済的な波及効果は相当なものと思われ、もはや「公共財的存在」と認識する
必要がある。そこで、コアサポリーダーへのお願いである。2万人近い観戦者
の発声、拍手を統率することは、誇りある大きな仕事と思うべきである。誇り
ある仕事ならば、ノンアルコールの決意で臨み、コアサポの周りを含めスタジ
アムの多くの子どもたちに、大人の誇りを見せるぐらいの気概を持ってほしい。
少しコアサポのことを、書き過ぎたかもしれない。だがJリーグの理念にあ
るように、ベガルタ仙台が地域に支えられ、愛され、強くなることを望んでい
ると理解をお願いし、許していただきたい。一つ提唱したい。それは多様な応
援スタイルを認めつつも、選手とのきずなを大切にする「ベガルタ・スタイ
ル」とでも言うべきサポーター像を、みんなでつくることを目指すべきだとい
うことである。その理念を「憲章」にして、気位の高いサポーターをつくり上
げてほしい。「二流サポーター」とやゆされたベガ・サポはチーム同様、私た
ちの誇りであればこそ「本当の二流サポーター」になってはならないからであ
る。(投稿)