―――ワールドカップ後、万博はいつにない満員状態がつづきました。
宮本効果は明らかだったと思います。
「いや、僕はそういう見方はぜんぜんしてなかったですよ」
―――でも宮本選手がチームを離脱しても、客足が止まることはなかった。これは
ガンバにとって非常にポジティブにとらえるべきことですよね。
「いいサッカーをしていれば、お客さんは来てくれる。ガンバのサッカーが
いいサッカーになってきてるのは間違いないし、この前の紅白戦で相手チームに
入ったとき、その強さを感じさせられましたよ。
チームとしての強さですよね。プレッシャーを受けたときにみんながコーチングして、
そこから攻撃する形であったり、こんなに強なってたんやと、
いつもとは違う見方ができた。みんなが自分たちのスタイルに自信を持ってやれてるんです」
―――より具体的に説明してもらえますか?
「つまりは、チームとしてしっかり戦うことができるようになったと思うんです。
主力とサブのメンバーの差というのがホンマに小さくなったし、誰かがケガをしても
カバーできるようになった。セカンド(第2ステージ)なんかはそれを
感じさせるような試合が多かったですよ。
ジェフ戦は苦しんだけど、途中から出たゴン(中山悟史)がVゴールを決めたし、
鳴門でヴィッセルに負けて挑んだベガルタ戦で、6−0で勝ったんですから。
あの仙台スタジアムでですよ。とくにディフェンス陣がどんどん質を上げていって、
完封することが多くなったのを端から見てて、正直、すごいなぁって感じてましたね」
―――結果として年間3位というポジションを得ましたが、むしろ
ふたつのステージでともに優勝争いを展開したことのほうが、価値のある
ものだったのではないでしょうか。
「そうですね、優勝争いをするためにはどうせなアカンっていうのは、経験として
残ったと思う。たとえば、チームが連勝する。そのリズムというか、
パターンみたいなものがだんだん分かるようになりました。
まあジュビロやアントラーズには勝ててないんですけど、チームとして大きな差が
あるとは思ってないし、次につながるいい戦いができたんじゃないでしょうか。
優勝はでけへんかったけど、なんていうかな、選手が勝っていくことで、いま意識せな
アカンことがあると思う。自分たちは強い、今日も勝った、というだけじゃなくて、
その先を見ていかなアカン。年間3位でした、でもまた来年違う。
そうではなくて、選手一人ひとりが意識していくことで、もっとひとつ上に行けるんやと思う。
ジュビロとかと比べた場合、第1ステージの試合で4−2から逆転されたときも
そうやったけど、チームのなかで何人引っ張れる選手がいるかどうかやと思う。
アントラーズとはチーム全体でベクトルの向く速さが違うし、そういうのを感じるひとの
多さですよね。差というのは、そういうとこやと」
―――西野監督の存在は大きかったと思います。出てくる選手がうまく循環して、
チームには勢いがありました。
「みんなにチャンスがあるというのを、みんなが感じてますし、ピッチに立ったら
活躍してやろうという空気がいつもある。
昔やったら外国人選手は絶対に出てたりもしたけど、コンディションや戦う気持ちが
ないなら出られない、というのもあったし。監督の意図をみんなが把握してます。
まあ少し前まで、ちょっと甘いんとちゃうかと思ってたんやけど、
いまはみんなプロの意識が高くなったって感じますね」