458 名前: まだまだ使える名無しさん 投稿日: 2014/06/10(火) 06:41:04.41 ID:i3Xj78fb
数年前までは「自己責任」という言葉がやたらと使われていた。このワンフレーズで事足りるのだ。
この「自己責任」という言葉について解説の必要はないだろう。ワンフレーズの強さである。
1990年代には「援助交際」という言葉が流行った。
女子高生が気軽に売春するのを肯定する単語である。今日では「児童買春」と言われ、売春少女を被害者と規定し、警察はこれを凶悪犯罪と見なし(少女を買った大人を)地の果てまで追い詰める。
そこらの傷害事件よりは、はるかに熱心に捜査されるのだ。
言葉の呼び換えで価値観を変更するのが、世界の本質である。
援助交際と児童買春は同じ事象を指し示しているが、それぞれの言葉から生み出される思考は異なるのである。
言葉狩りは、戦略的にかなり効果的なのである。
言葉は思考を含んでいる。思考を変えさせるためには、言葉を禁止し、別の言葉に変更することが重要である。
言葉は価値判断を担っているので、言葉を換えなければ価値判断も変わらない。
言葉を換えずに思考を変えさせるとなると、かなりの難作業である。
言葉を流行らせることで世の中はコントロール出来るのである。
かつては「搾取」というワンフレーズが多くの革命家を作り出し、マルクス主義という怪物が暴れ回ったのだが、今日ではとても使いづらい。
非正規の賃金は需要と供給で決まるが、正社員の賃金は下がらないし、窓際でも解雇されることはない。
需要がなくなった正社員の賃金は保護される。窓際の正社員が非正規労働者を搾取しているとも言える。
非正規の賃金を出来るだけ安くすることで経済を成り立たせているのは問題がありそうだが、「搾取」という言葉は使いづらい。だから「自己責任」として片付けられてしまう。
おそらく「同一価値労働同一賃金」というフレーズが、同じような仕事なのに非正規の賃金が安すぎる状態を救うと思う。
同じ仕事は同じ賃金という価値観が広まれば、非正規雇用の待遇がおかしいということになる。
だが「同一価値労働同一賃金」という言葉を流行らせても権力者側のメリットがない。
言葉を流行らすことが出来るのは媒体を牛耳っている人間だけである。