二〇一一年度に静岡県内で生活保護費を不正受給した件数は七百八十三件に上り、
前年度の一・八倍に増えた。不正受給額も一・六倍の約三億四千万円だった。急増に
危機感を募らせる県は近く、市などの生活保護担当課長らを集め、不正受給を防ぐ
効果的な対応を探る対策検討会を開く。県などへの取材でわかった。
一一年度の生活保護費自体の伸びは前年度の一・一倍とほぼ横ばいで、不正受給の
割合がより高まっている実態が明らかになった。県の担当者は「一一年度の不正受給額は
恐らく過去最高。原因には、モラルの低下が挙げられる」と指摘する。
県によると、不正受給は、労働収入や年金受給を申告していないケースが九割以上。
その半数以上が市民税の課税状況と収入申告書の突き合わせで発覚した。
福祉事務所職員の家庭訪問で受給者の生活実態が分かったり、近隣住民の通報で見つかったりすることもあった。
県は不正受給急増の背景に、税務当局との連携強化で発見が増えていることに加え、
リーマンショック以降の長引く不況の影響があるとみる。生活保護を受給する失業者が、
職を得た後も福祉事務所に収入を申告せず受給しているケースが増えたと分析している。
一一年度の政令市では、静岡市の不正受給額が約一億一千万円と過去最高だった。
浜松市も一億円近くに上っているとみられる。
県の担当幹部は「不正にはき然とした対応が必要。市町と原因を分析する」と強調。
「不正受給には制度的な要因もあり、適切に対応できるよう国に働きかけたい」と話した。
県のまとめでは、一一年度の県内の生活保護受給世帯数は二万七百五十九世帯で
生活保護支給額は四百三十八億八千七百万円。県内では生活保護受給世帯数、
額ともに〇七年度以降は増加の一途をたどっている。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20120712/CK2012071202000053.html