508 :
◆znwiARPvOs :2012/12/29(土) 21:03:01.72 ID:yjX//oFi
/// 法を支配下におく 58 /////////
この重大な権力の移行は、それほどの困難もなく成し遂げられた。法の番人としては最高の
地位にある判事も、官僚にはかなわない。最高裁の判事一五人のうち三分の二が生え抜きの
裁判官ではなく、多くが各省庁の官僚0Bである。彼らは短期問しか判事職を務めない。
(最高裁判事の三分の二は裁判官の経験者を充てるという法の規定は、実際には実行されていない。
九〇年三月現在、最高裁判事一五人中、公式には"裁判官出身者"と称せられる六人のなかの
たった二人が実質的に裁判官の実務経験者である。ほかの人たちは、実際には"司法官僚"である)。
言いかえれば最高裁判事は、司法行政に関してかなり知識不足の人物か、あるいは司法官僚
そのもの、のいずれかである。旧憲法下で教育を受けたキャリアの裁判官が多数、戦後考えを
変えることなく、ふたたび判事席に戻った。また一方、占領終了後の早い時期に最高裁事務総局の
要職を占めた大半が(戦前の思想が)骨の髄までしみこんだ旧司法省の著名な官僚だった。
/////////// 篠原 勝 (翻訳) ///
509 :
◆znwiARPvOs :2012/12/30(日) 16:02:56.18 ID:t+/xnXFv
/// 法を支配下におく 59 /////////////
これら旧官僚は、終戦に続く数年間、大規模な機構改革に頑強に抵抗したが、占領軍当局と、
戦前の大審院(最高裁に相当)出身の民主的裁判官との連携プレイによって制圧された。
その後何年か、改革派と伝統派の間に激しい衝突が続いたが、一九五〇年に、反左翼強硬派の
田中耕太郎が最高裁長官におさまった頃には、すでに戦後の司法は今日の様相を呈しはじめていた。
一九五四年には、戦前の"思想統制"措置や判決に強く共鳴し、長く思想検事を務めた池田克の
ような人物が、最高裁判事に任命されるところまでいっていた。池田はその後一〇年間在任した。
また、一九三〇年代末から四〇年代初頭に"思想犯"の告発に重要な役割を果たした戦前の
法律家・石田和外も、一九六九年に最高裁長官に就任している。
//////////////// 945円(税込) ///
510 :
◆znwiARPvOs :2012/12/31(月) 21:30:29.22 ID:daovV4d5
/// 法を支配下におく 60 /////////////
最高裁事務総局は、司法官僚のいわゆる"エリート・コース"である。典型的な司法官僚の
キャリアは、この事務総局七局のうち、いずれかの局付判事補からはじまる。ほとんどきまって
東大か京大の卒業生であり、在学中に司法試験に合格しているのが理想的である。学閥に加えて、
姻戚関係――たとえば事務総局あるいは検察庁の高級官僚の娘と結婚を通して形成される閨閥に
つながっていることが多い。このような有利な地歩にある事務総局のキャリア官僚は、日本の
司法界の頂点にまで昇れる特権に恵まれている。
/////////// K.V.ウォルフレン著 ///
511 :
名無しさんの主張:2013/01/01(火) 05:26:10.47 ID:JByKbZ+j
国家非常事態が進行中! 1216不正選挙によって日本の政治機能がハイジャックされています!
クーデターを黙認し有権者を欺き国会に居座っている過半数の議員を政治犯として糾弾すべきです!
国家非常事態が進行中! 1216不正選挙によって日本の政治機能がハイジャックされています!
クーデターを黙認し有権者を欺き国会に居座っている過半数の議員を政治犯として糾弾すべきです!
国家非常事態が進行中! 1216不正選挙によって日本の政治機能がハイジャックされています!
クーデターを黙認し有権者を欺き国会に居座っている過半数の議員を政治犯として糾弾すべきです!
512 :
◆znwiARPvOs :2013/01/01(火) 10:20:00.26 ID:NrMVnWKO
/// 法を支配下におく 61 /////////////
戦前の司法省の役人にかわって、この種のエリートがしだいに地裁所長や高裁長官に任命
されている。最高裁の全判事の約三分の一がこれらの地位から上がったものである。このように、
日本の司法は、司法官僚の特権グループが裁判実務に携わる判事を支配するという、戦前の
体系にしだいに逆戻りしてきた。この特権グループは法廷実務の経験に欠けるという批判に
応えて、彼らが高い役職すべてを独占しないよう調整された。だが、最高裁判事の選任に
あたっては、いまだに事務局経験者のほうが裁判実務経験者よりはるかに多く任命されるのである。
/// 「日本権力構造の謎」<上> ///
513 :
◆znwiARPvOs :2013/01/03(木) 10:40:29.06 ID:F6mTphJZ
/// 法を支配下におく 62 /////////
最高裁は、下級裁判所が出した政府に不利な判決を覆すという定評がある。また、左翼の
デモを規制する警察力を規制した判決、国鉄職員や郵便局員など現業公務員のスト権を認めた
判決なども、最高裁が破棄した。最高裁が極秘裡にやったことで露呈してしまった例もある。
たとえば労働や医療分野の裁判で、時として最高裁が下級裁判所に望ましい判決を指示する
ことがある。一九八三年一二月には最高裁の事務総局が全国約四〇件の水害訴訟担当裁判官を
召集し、国の河川管理の手落ちに関する判断規準などについて詳細な「民事局見解」を内示
していたことが、一九八七年に明るみに出た。
最高裁は、一般的な刑事事件では人権擁護の理想にそった配慮を示したりもするが、行政訴訟や
政治的論争問題となると、きわめて消極的だという定評がある。
///////// 原書1989年刊 ///
514 :
◆znwiARPvOs :2013/01/05(土) 17:27:19.19 ID:8rf9DA++
515 :
◆znwiARPvOs :2013/01/06(日) 18:32:59.03 ID:5IW6tMxz
/// 法を支配下におく 63 /////////
青法協との戦い
日本のトップにいる判事たちは、司法官僚が自由主義的な裁判官を地方へ左遷したり、昇進や
給料で差別しても、なんの手も打たなかった。最高裁事務総局は、このような差別をしている
ことは認めたものの、理由を明かすことはできないと主張した。その影響は、青法協をめぐる
一連の論争に明確に現れていた。青法協は、一九五四年に憲法改定が政治問題になった時、
現行憲法を守る目的で学者一〇七人と法律家一五七人その他六人、合計二七〇人によって設立
された。(憲法改定は、支配階級エリートの数派が熱望しているが、同様の熱心さで反対し、
この問題は高官のだれにもまかせられないとする人びとのグループがある)。
/////////// 早川書房 ///
516 :
◆znwiARPvOs :2013/01/07(月) 21:13:39.45 ID:WPl4pWwP
/// 法を支配下におく 64 /////////////
一時、青法協の会員には二三〇人の判事がおり、前に述べた重要な公害裁判への世間の関心を
喚起するうえでひとつの役割を果たした。一九六九年は、札幌地裁の所長が、自衛隊の合憲性を
問う訴訟の取扱いをめぐって、青法協の会員と目される同地裁の判事に書簡を送り、叱責する
といういわゆる平賀書簡事件が起こった。独立しているはずの司法に、行政官がこれほどあからさまに
介入したのははじめてで、青法協の会員はそれを警告と見た。二つめの警鐘は、ある地裁判事の
再任拒否という形で現われた。不祥事に関係のない裁判官に対しこのような処置が取られたのは、
はじめてのことだった。このような解任は憲法違反のはずだが、なんの説明もされなかった。
青法協の会員である他の裁判官へのみせしめだろうというのが、大方の見方だった。一九七一年には、
岸盛一最高裁事務総長が「裁判官は政治色をおびた団体への加入をつつしむべきだ」と述べ、
つづいてさらに警告が発せられた。しかし、いずれも骨法協を名指しすることは避けていた。
///////// 篠原 勝 (翻訳) ///
517 :
◆znwiARPvOs :2013/01/10(木) 20:57:32.02 ID:B/H+LJQh
/// 法を支配下におく 65 ///////////
一九六〇年代後半に、青法協の影響によるとされる"偏向判決”を多くの雑誌が批判したのだが、
どれも記事の趣旨は似かよっていたので、情報源は同じではないかと思われた。これらの記事は、
正規の法でない公安条例にもとづく、検察側の活動家学生に対する拘置請求が却下される割合に
抗議するものだっった。ことに雑誌『全貌』は青法協を「容共団体」――一部の会員については
たしかにそういえる――と呼び、「裁判所の共産党員」という特集を組んだ。最高裁はこの雑誌を
資料として各地の裁判所に配布したのである。このように商業誌の記事や保守的な法律家の
非公式見解は、青法協に「革命的」団体というレッテルを貼ることで一致していた。だが、それが
本当なら、青法協の会員の中に、当時の現職の東大総長をはじめ著名な東大の教授、司法試験
合格者の半数、そして国会議員数人もいるのに、どうして日本に革命が起こらないのか不思議だと、
ある専門家は述べている。
//////////////// 945円(税込) ///
518 :
◆znwiARPvOs :2013/01/12(土) 20:01:54.15 ID:vyXh3bQf
/// 法を支配下におく 66 /////////
一九六八年に、国家公安委員長が「裁判所は、警察にもっと力を貸してもらわねばやっていかれない」
と発言したのをきっかけに、閣僚も動きはじめた。一九六九年三月、西郷吉之助法相が閣議で
「あそこ(裁判所)には手が出せないが、もはやなんらかの歯止めが必要」と述べた。当時は急進的な
学生運動による、大学の建物占拠などが起こり、支配階級のエリートを激怒させていた。
その後、事務総局で働いていた判事補(したがって"エリート・コース"にいる)は青法協から
脱退するよう勧告され、一〇人の判事補がそれに従った。同様の勧告が全国の地裁でもあった。
一九七〇年四月、岸盛一最高裁事務総長が、具体的に青法協の名称にはふれずに、同協会への加入に
反対する旨の警告を出した。右翼団体もこのキャンペーンに加わり、国会の裁判官訴追委員会に
青法協の会員裁判官を訴追するよう求めた。
/////////// K.V.ウォルフレン著 ///
519 :
◆znwiARPvOs :2013/01/14(月) 15:33:50.94 ID:1NKXOesC
/// 法を支配下におく 67 /////////////////
日本の裁判体系の管理者たちの企図を脅かすと目された団体に対して、ここで展開された
処置は、まことに典型的である。正規の審問はいっさいおこなわれなかった。大体において、
具体的な団体名は言及されず、会の加入に関しての明確な指示も出されなかった。言論の自由を
侵すことになるからである。だが、青法協会員が自分の行動を不穏当だと感じ、脱会せずには
おれないような"風潮"が一部の報道機関の協力を得て、作り出された。これとは別に、青法協の
会員であると、報酬額、昇給率、昇進の機会で差別される危険を背負うことになる。
/// 「日本権力構造の謎」<上> ///
520 :
池田大作:2013/01/14(月) 16:16:56.49 ID:9Cm2jznh
創価諸君よ!
田浦本部横須賀桜山支部の偉大なる男子部
高橋裕之氏が1月31日の宝くじ
及びグリーンジャンボ宝くじで1等・前後賞が当たるように
また女子部と結婚成就と障害者年金1級受給と健康とご長寿と貯金残高20億円と刑事権力から護り抜く
祈りを毎日30分しっかりと高橋裕之氏に題目を送って行こうではありませんか!横須賀総県創価学会員は喜んで祈るに祈っていこうではありませんか!
また女子部は何が起きても疑うことなく高橋裕之氏について行きなさい
いいね!
創価学会名誉会長
池田大作
521 :
◆znwiARPvOs :2013/01/17(木) 20:55:04.13 ID:o0CKtWNE
/// 法を支配下におく 68 /////////////
脅える裁判官
司法の独立性について、戦前の体制における最大の欠点は、たとえば、不従順な裁判官は
格下げして不本意な裁判所に左遷するなど、さまざまな方法で圧力をかける中央行政官の
支配下にあったことである。今でも、日本の司法界の状況に関心を持つ者が一致していることは、
三年ごとの審査で決まる昇進および配置転換をめぐる不安から、徐々に裁判官が公平さを
失いつつあるということだ。裁判官は、一九五〇年代に導入された非公開の評定制度によって
評価される。これには、一定期問内に処理した裁判件数が考慮の対象になり、件数には和解手続きに
切り換えられた公訴取下げの案件も含まれる。
//////////// 原書1989年刊 ///
522 :
◆znwiARPvOs :2013/01/19(土) 19:37:45.13 ID:EmMyfx1A
/// 法を支配下におく 69 ///////////
裁判官は、所属裁判所の所長が、未決の訴訟事件を処理するスピードによって彼らの成績を
評価するのを知っているから、和解を勧めても拒否するような気にくわない原告の訴えは
十分に聴こうとしない。また、彼ら自身の社会体験上、知らない分野の説明を聴くだけの
忍耐力も持たない。たとえば、暴力団の脅迫テクニックに関しては無知なことが多いし、
労働災害の訴訟では、原告は危険な場所だと知って就職したのだから、危険ははじめから
承知していたはずだとほのめかすのは周知のことである。現場検証はめったにおこなわれない。
実施すると、事務局官僚のひんしゅくを買うのが目に見えており、昇進のチャンスが遠ざかる
ことになるからである。
////////////////// 早川書房 ///
523 :
◆znwiARPvOs :2013/01/22(火) 20:54:21.20 ID:mh0SAn54
/// 法を支配下におく 70 /////////////
裁判所の雰囲気がこのような状態なので、行政官僚の気に入られたいと思うなら、とても
良心に従ってばかりはいられないと、環直彌・元大阪高等裁判所の判事は述べている。官僚の
評価基準は司法のすみずみにまで適用され、基準にかなう裁判官は、行政職に就くチャンスに恵まれ、
ヒエラルキーを昇ることができるのだ。おもに己の良心に従って裁判をおこなう判事は、昇進
しないのが普通である。
このように、日本の法曹界は高度に政治化されている。日本の有権者には、望むならば、
衆院選の時に在任中の最高裁判事を否認できるという、異例の機会が与えられている。だが、
あらためて言うまでもないが、この投票で最高裁の裁判官が罷免されたことは一度もないし、
そもそも有権者の大半は、いったい何についての投票なのかさえ判っていない。この"直接民主主義"は
純粋に儀式的なそえ物なのだが、日本の<システム>の作用のしかたと司法の特性とについて
完全に間違った見方をさせてしまう、問題のある事象のひとつである。
///////// 篠原 勝 (翻訳) ///
524 :
◆znwiARPvOs :2013/01/24(木) 20:51:11.62 ID:wrd1ncJj
/// 法を支配下におく 71 /////////////
裁判官役を演じる検察
刑事事件においても、裁判所は、本来差しのべるべき保護の手を出さない。7章で述べた
日本の法執行の際の牧歌的ともいえる寛大さには、左翼活動に対する時の単なる過酷さとは
ちがった、もっと陰湿な暗さが秘められている。ごくまれな場合を除き、日本の容疑者の運命は
裁きの場で決められるのではない。裁きの実質部分を構成するのは、検察での調査と容疑者の
品定めである。そして、7章で、悔恨の情を示すことが非常に重要視されるのを見たように、
<システム>の代表者に対する容疑者の態度が罪状そのものより重要視されることが多い。
先に見た通り、検察官は、実質的になんの制約もなしに自由裁量で起訴するか否かを決定できる。
検察が有罪になるだけの証拠が十分にないと判断した場合には、起訴しないのはいうまでもない。
だが、どう決めるにせよ、手の内にある証拠や容疑者の罪状に対する個人としての心証に関係なく、
検察は自分たちのやり方、あるいは上役のそれにしたがって、自由に決めることができる。
//////////////// 945円(税込) ///
525 :
◆znwiARPvOs :2013/01/25(金) 21:29:22.51 ID:lRGoZ47A
/// 法を支配下におく 72 /////////////
絶対確実な<システム>の守護者
できるかぎり人びとを刑務所に送らないで、しかも暴力犯罪の発生率を他の産業国より低く
抑えている国の司法体系を批判するのは、難しいことではある。たしかに、この称賛すべき
成果は認めなければなるまい。また、日本の検察官は、司法−官僚界で通用している公正さの
意味の範囲内で、あくまで慎重で公正であろうと努力している。彼らに自分たちの官職の
権威を保とうとする義務感があることには、疑う余地がない。
日本の検察官の問題な点は、いったん起訴を決めると、誤りを指摘されても認めようと
しないことなのである。ある専門家が言うように「検察官は神になろうとする」のである。
日本の検察官は、欧米諸国の検察官と比べて、無罪をよしとしない気風がはるかに強い。
自分の権威にかかわることだし、ひいては官僚機構全体のそれにかかわることになるからだ。
/////////// K.V.ウォルフレン著 ///
526 :
◆znwiARPvOs :2013/01/31(木) 21:38:47.68 ID:ckCeAx5Z
/// 法を支配下におく 73 /////////////
だが、それほど心配することはない。彼らが起訴すれば、有罪判決率は九九・八パーセントである。
一九八六年に刑事訴訟の第一審で裁かれた者六万三二〇四人のうち、無罪になったのはわずか六七人
である。これではどこからみても検察官が事実上の裁判官であることを示している。しかしすでに
見たように、(周囲の事情に)目をつむって判断するというのは検察官には相容れない概念であり、
社会的配慮からいつでも公正さの秤に手心を加えることもする。慈悲心もあり、公平感もあるが、
検察官も人問だから間違いは犯す。また、<システム>に恩義があるので、意識的にしろそうでない
にしろ、思想的な動機を持つ者には偏見を持つにちがいない。信じられないほど高い有罪判決率に
ついては、警察や検察が職能をきわめて上手に遂行した結果であると、日本の司法当局は説明する。
/////// 「日本権力構造の謎」<上> ///
527 :
◆znwiARPvOs :2013/02/05(火) 21:13:35.33 ID:ia+UV3eG
/// 法を支配下におく 74 ////////////
しかし、このことは、検察官が誤りを犯さないことを公式に保証していることになるだろう。彼らも
人間的な間違いを犯すことがあるということは、考慮されていない。検察官の誤りを認めるという
ことは、彼が代弁する恩恵的な社会秩序という虚構が覆されることになるからである。こうした現状は、
検事が法廷に送った容疑者にことごとく裁判官が有罪判決を出した戦前となんら変わらない。検察官が
公益の代表者として磯能する、という制度的な保証は存在しない。一般市民で構成される正規の
検察審査会は実質的には検察庁の支配下にあるので、(たとえば、政財界の要人にかかわるスキャンダルに
関して検察が不起訴にした事件の場合などは)審査会が起訴相当とした審査報告書が無視されることもある。
日本の検察権力の優位性は、一九二〇年代から受け継がれている。当時は、まるで裁判官が検察官の召使の
ように考えられるほど、検察が司法界を支配していた。法廷では検察官が裁判官とともに高座についた。
////////////// 原書1989年刊 ///
528 :
◆znwiARPvOs :2013/02/07(木) 20:54:18.86 ID:XbNwb82X
/// 法を支配下におく 75 /////////////
一九三〇年代には、"国体の本義"の思想を推進し、政治家も含め、この思想を脅かす危険性があると
みなされた者との闘いに検察官職が主要な役割を果たした。彼らのうちの一人、平沼騏一郎は二〇世紀の
日本の社会統制の歴史において、山県有朋についで重要と目される人物である。彼は、"天皇の意思"を
遂行する官僚の道徳的優位性を狂信的に信じる、国家主義的な右翼の"大御所"として知られていた。
平沼は、マルクス主義、自由主義、民主主義など外国の異説に抗して戦い、彼の一派とともに終戦まで
司法省を牛耳っていた。彼は、前例のない九年間という長期間、検事総長を務めたのち、司法大臣、
枢密院議長、そして総理大臣(一九三九年の八カ月間)、その後、内務大臣を経てA級戦犯に指名された。
そして一九五二年に病気のため仮出所した後死亡している。戦後、新憲法に改められたにもかかわらず、
平沼の信奉者たちの影響力によって、法の番人としての司法のあり方を根本的に変えることが
できなかったのである。
////////////// 早川書房 ///
529 :
◆znwiARPvOs :2013/02/10(日) 17:20:06.64 ID:EDFUVvKX
/// 法を支配下におく 76 ///////////
平沼は、政治化した日本の検察官の典型であった。自分が軽蔑する政党を操作し、収賄事件に
関わった政治家には有罪判決を下して、強制的に議員を辞任させると同時に、自分の政治的キャリアの
追求に彼らを利用した。戦後、彼のやり方を真似たのは馬場義続である。馬場は、自民党の実力者・
河野一郎をやり玉にあげておいて、懇願されると調査をやめるなどして恩に着せ、河野の政治力を
利用して検事総長にまでなった。そして今日、ふたたび検察官が実質的に司法官界内の最強勢力
となった。理論的には、検察庁は法務省に付属するが、同省の課長職以上は検事と少数の判事が
独占しており、同省の実務上の長である次官職は、必ず検察官によって占められている。そして
彼らはいつもその上にいる検察界の上位序列者の何人かに従属しているのである。
/////////// 篠原 勝 (翻訳) ///
530 :
◆znwiARPvOs :2013/02/12(火) 20:36:51.12 ID:cq8U2Yul
/// 法を支配下におく 77 //////////
検察のほとんど無敵ともいえる地歩のために、誤審裁判はあとをたたないのではないかと考えられる。
日本では、公の場で論駁されると顔に泥を塗られることになりかねないからである。法学者・野田が
指摘するように、検察の活動は"疑わしきは罰せず"の原則に従っていない。彼らに面目を失わせる
ようなことは裁判官もしない、ということを検察は知っているのだ。法廷において、弁護士が、
検事ばかりでなく裁判官をも敵側とみなすこともよくある。さらに、裁判官の下した判決が控訴審で
覆されては株が下がるので、検察側の意向に沿うほうが得策だということもある。
きわめてまれではあるが、無罪判決が出た場合には、日本の検察の寛大さはどこかに消え去り、
彼らは控訴しつづけ"検察職の権威"を保つため執拗に戦いつづける。法の権威という考えにはまったく
関係がないところで、"法務の権威"がよく口にされる。関係があるのは、"確定判決の権威"という
表現である。この名分をかざして検察局は再審を長いこと拒否しつづけてきた。
//////////////// 945円(税込) ///
531 :
◆znwiARPvOs :2013/02/14(木) 20:42:52.83 ID:4tU0LYgg
/// 法を支配下におく 78 /////////////
有罪判決を下す際に提出される情況証拠は、薄弱なものであることが多い。また、日本の検事の
勝訴度がどれぐらい自白に依存しているかは、すでに見た。非常に鋭い知覚で日本について
書いている政治学者、チャーマーズ・ジョンソンは言う。
日本の警察、検事、裁判官は、自白を"証拠の王"と考える。自白は、あらゆる検事が起訴に
先立って欲しがる決定的な証拠であり、それはまた、検事のそれまでの努力が法廷でどれだけ
裁判官に認められるかを決める、唯一もっとも重要な要素である。内容の詳しい自白に比べれば、
情況証拠は明らかに二の次である。このように検事と裁判官が自白をより重視することから、
日本の警察が、"客観的"に事件を証拠だてするよりも、自白を得ることに力を注ぐことも
それほど驚くことではない。
///////// K.V.ウォルフレン著 ///
532 :
◆znwiARPvOs :2013/02/16(土) 09:58:12.04 ID:CHyHOBC9
/// 法を支配下におく 79 /////////////
占領当局が日本の慣行を変えようと試みるまでは、自白――多くの場合、だましたり、時には
拷問によって引き出された――が、検事側が勝った事件のほとんどすべての根拠になっていた。
占領時代が終わってからは、自白が決め手の有罪判決がごく大ざっぱに見積もって全有罪判決の
六五〜七五パーセントを占めて、ふたたび幅をきかせるようになった。7章で見たように、これは
「自己に不利益な唯一の証拠が本人の自自である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」
とする憲法(第三八条)の規定に違反する。さらにまた、被告が撤回している自白が後に証拠として
使われることも多い。この場合は、裁判官の姿勢がきわめて重要になる。検事側のこのやり口を
はばもうとする裁判官はほとんどいない。たとえば、一九八七年一二月一六日、東京地裁の反町宏
裁判長は住居侵入、強盗・婦女暴行未遂の罪に問われた被告に無罪を言い渡し、容赦なく自白を
引き出す検事のやり方を公然と批判した。筆者が判事や弁護士にインンタビューしてわかったのは、
一パーセントのさらに何分の一というごくわずかながら、検察側が負けたケースがあるのは、
自由主義的な裁判官が撤回された自白を証拠として認めなかったためだということだった。
/// 「日本権力構造の謎」<上> ///
533 :
◆znwiARPvOs :2013/02/18(月) 20:46:49.68 ID:Lngv2vJt
/// 法を支配下におく 80 /////////////
破れ鎧の高潔な騎士
検事は、<システム>の倫理的極致を体現しなければならない。他の政府機関や省庁ではどこでも
汚職や不正事件があるのに、検察官は模範的な生活を送っているとよく言われる。このイメージが
保てるのは、すべての司法官僚が秘密主義に身を包んでいることも理由の一端だろう。この秘密主義の
ために、司法官僚や彼らが扱った名高い事件について調査しようとする学者は、ごく簡単なことでも
詳細を確かめることができない。裁判官と検事にとってなによりも重要なのは"司法の権威"を保つ
ことなので、彼らは互いの回顧録や事件記録を検閲し合う。彼らの鎧には一つだけ大きな裂け目があり、
彼らにも隠しおおせないことがある。それはスキャンダル事件に関わった政治家や官僚の扱い方である。
///////// 原書1989年刊 ///
534 :
◆znwiARPvOs :2013/02/20(水) 20:34:07.45 ID:T4S8/JpF
/// 法を支配下におく 81 /////////////
理論上は、個々の検事は自己裁量で職務を遂行することになっているが、実際には、有力な
政府高官や大臣、国会議員や地方自治体の首長などに手をつける場合には、捜査着手に先立って
予備報告書を書いて上部の同意を待たなければならない(「請訓」を求める相手は、高検検事長、
検事総長、法務大臣の三者)。この処分請訓という議論の多い検察庁内のいわば事務手続きに
よってチェックされた結果、捜査着手あるいは起訴の断念においこまれた政治汚職事件も多い。
起訴された場合でも、汚職に関わった政治家はたいてい無傷のまま出てくるし、官僚出身の
政治家は公的に体面が汚されることを心配しなくてもよい。
//////////////// 早川書房 ///
535 :
◆znwiARPvOs :2013/02/22(金) 21:00:06.73 ID:4Y+Tg3nF
/// 法を支配下におく 82 ///////////
ロッキード収賄事件以前の七年間、検察は、政治家の途方もない構造汚職についていっさい
なにもしなかった。その前の大きな事件、一九六八年の日通収賄事件で、検察庁の士気がかなり
大きくくじかれたのであろう。あの後、東京地検特捜部の検事の大半が地方にとばされたからである。
ロッキード事件も、当時の三木武夫首相が田中角栄をかばう手を打たないという意思表示をして
はじめて、本格的に捜査が開始されたのであった。
同事件の詳細は最初に海外すなわち、米上院議員のフランク・チャーチが率いる(上院外交委
多国籍企業)小委員会の調査進行中に明るみに出たのだが、検察側は、日本の政治の渦に
巻きこまれて失った信望をロッキード事件によって少しは取り戻せるチャンスだと見てとった。
同時に、一部の検察官や自民党内の有力者のなかに、田中角栄は"日本の民主主義にとって危険な
"人物だとの考えを共有する者がいた。つまり、5章で見たように、ライバルたちが安閑として
いられないほど田中の力が強くなってきたのである。
/////////// 篠原 勝 (翻訳) ///
★遠隔操作ウィルス事件続報 報道されない容疑者側の言い分から見えてくること
ビデオニュース・ドットコム NEWS(27分)
http://www.videonews.com/asx/news/news_619-1r.asx 遠隔操作ウィルス事件で逮捕された片山祐輔容疑者を弁護人を務める佐藤博史弁護士が、2月21日、
片山氏との接見後に記者会見に応じた。片山氏と事件を結びつける決定的な証拠は何一つ示されていない
として誤認逮捕を主張する佐藤氏は、捜査手法の問題点や事件への疑問を語った。
佐藤氏によると、警察は片山氏の自宅の鍵をあずかり、家に自由に出入りできる状態にあるという。
また、片山氏の母親から聞いた話として、自宅前にメディアが押しかけ自由に動けない氏の母親のために、
警察は日用品の買い出しなどの手助けをする一方で、母親に対して片山氏と親子の縁を切ると書かれた
調書への署名を求めてきたという。佐藤氏によると母親はこの要求を断ったという。
4人が誤認逮捕され、うち2人に嘘の自白が強要された遠隔操作ウィルス事件では、警察が容疑者の
一人の父親に対して、親子の縁を切るとの調書に署名させるなどして、容疑者を嘘の自白に追い込んだ
ことが批判されている。
また佐藤弁護士は、ウィルスのデータが保存されたメディアが埋め込まれた首輪を片山氏が猫に着けた
ことが疑われている点について、片山氏が江ノ島を去った1月3日の午後3:30以降にその猫が首輪をつけて
いない写真が見つかれば、片山氏無実の決定的な証明になるとして、写真の提供を呼びかけた。1月3日の
午後に片山氏が猫と接触した江ノ島の山頂付近では、大道芸が行われており、多くの観衆が写真撮影を
していたという。
佐藤博史弁護士は、冤罪となった足利事件で菅谷利和さんの弁護人としてDNAの再鑑定を求め、
再審で無罪を勝ち取ったことで知られる。
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002676.php
/// 法を支配下におく 83 /////////////
自民党の政治家は互いにいがみ合っていることが多く、検事は、手を変え品を変え、相矛盾する
圧力をかけられることも多い。過去に大きな政治スキャンダルにまきこまれた人物を委員長に、
自民党の政務調査会内に司法の公正さを調査する特別委員会が設けられたケースのように、
自民党の有力者がかなり公然と反撃することもある。この委員会が的をしぼって見守っていたのは、
ロッキード疑獄を司法がどう扱うかということだった。
///////////// 945円(税込) ///
538 :
◆znwiARPvOs :2013/03/03(日) 12:01:18.30 ID:SXvPB5DS
/// 法を支配下におく 84 /////////////
政治腐敗問題に対する検察の取り上げ方がきわめて少数選別的な理由を、その事件がどれだけ
マスメディアで騒がれるかによる、と検察官は釈明する。つまり、世論が田中の逮捕を望んだから、
検察官も"現体制を維持"し、自分たちの信望を保つ行動に出たということである。その一方で、
その後のダグラス、グラマン贈収賄事件では、新聞の反応がそれほど激しくなかったので、
事件に関わった政治家の訴追までいかなかった、というわけである。五大全国紙に代弁される
"世論"は、日本の検事にとってこれほどまでに重要なのである。逆に、自分たちが追及すると
決めた事件に政治的な妨害が入る懸念がある時には、捜査中だという事実とともに、差し迫った
汚職事件を新聞が第一面で報道するのに必要最小限の情報を漏らす。
/////////// K.V.ウォルフレン著 ///
539 :
◆znwiARPvOs :2013/03/05(火) 21:08:17.73 ID:DmWIweFR
/// 法を支配下におく 85 ////////////////
自分の判断に対して、つねに"世論"を代表するとされる報道メディアの反応を気にする裁判官も
多い。弁護士も同様で、世論は法廷での裁決に反映されるべき神聖な制裁力として受け入れる
傾向がある。このようにして、青法協はじめ、他の日本の司法制度の批判者までが、田中角栄を
とことん追及する検察の執拗さを賞賛することになる。彼らは、(田中は高裁でも最高裁でも
勝てないという岡原昌男・元最高裁長官の言説に明らかに示されたような)政治的な偏見を
見過ごしてしまう。そしてまた、<システム>への脅威という仮想のもとに田中を処理するのに
使われた方法が、同じ想定のもとに、たとえば消費者運動にも使われるということには、まったく
気づいていないようだ。事実、消費者運動の評判を落としめる意図がはっきり見える事件が、
一九七一年の一一月に起こっている。本田技研の自動車に欠陥があると主張した日本ユーザーユニオンの
幹部が、逆に、同社を恐喝しているとして告発されたのである。
/////// 「日本権力構造の謎」<上> ///
540 :
◆znwiARPvOs :2013/03/07(木) 20:40:55.85 ID:SeAc6efi
/// 法を支配下におく 86 ////////////////
法による保護に代わるもの
日本の新聞が社会的制裁役を演じるのは、日本の法制度に実際面で欠点があるためという
見方で捉える必要がある。「他の国の司法制度にも、ある程度は日本の法律にあるような限界は
あるが、法規範の違反に対する有効な制裁あるいは救済対策をこれほど広範に欠いている状態は、
他に見られない」と、この問題に詳しいあるアメリカ人は書いている。権力者は、刑事事件で
人を投獄する以外、法をあまり強制しえない。日本の裁判所には法廷侮辱罪を科す権限がない。
/////////////// 原書1989年刊 ///
541 :
◆znwiARPvOs :2013/03/09(土) 17:17:41.74 ID:Sq/vJfL3
/// 法を支配下におく 87 /////////////
(裁判所は法廷の秩序を維持する権能はあるが、拘束されていない者をその意思にさからって
法廷に出廷させることはできない)。財産差し押えがせいぜい行使できる最高の制裁だが、
その場合でも有罪になった者が回避できる方法がいろいろとある。正規の法規に違反した場合に
科せられる罰則規定も、違反者が企業や他の大きな主要組織であれば、実際にはほとんど
発動されない。すでに指摘したように、日本の組織やその長たる人物がそれほどひどい罪を
犯さないのは、運わるく"一罰百戒"の一人に選ばれた場合、自分たちの評判に傷がつくからである。
/////////////////// 早川書房 ///
542 :
◆znwiARPvOs :2013/03/11(月) 20:54:05.08 ID:0Pptp0+7
/// 法を支配下におく 88 /////////////
一九八六年末に最高裁は近い将来、五七五ある簡易裁判所のうちの一四九を統廃合すると発表した。
簡易裁判所は、一般市民が手軽に法律手続きを利用できるようにと、戦後導入されたものである。
(刑事事件は)主として罰金刑以下にあたる軽徴な犯罪が扱われ、交通法違反などの略式裁判が
大半である。窃盗や横領などでも懲役三年以下の刑を言いわたすことができる。そのほか、訴訟の
目的額が九〇万円以下の民事訴訟も扱う。
役所の目からみれば、あまり利用されていないこれらの裁判所は廃止して当然だろう。だが
こうした裁判所の管轄にあった地域の村人は、暴力団のような"プロの調停役"がどっとやって来る
のではないかと心配している。法の保護が十分にないところでは、力のある友達が必要になる。
///////////// 篠原 勝 (翻訳) ///
543 :
◆znwiARPvOs :2013/03/13(水) 21:23:52.51 ID:ySRxIn8f
/// 法を支配下におく 89 /////////////
そして、法によらない調整に大きく頼る<システム>を前にして、名もなく、力もない普通の人は
身を護る個人的な関係が必要である。こう考えれば、日本社会における地元の"ボス"や国会議員、
暴力団員その他の"始末屋"の役割の説明がつく。なによりも重要なのは人脈だ、ということの
説明もつく。人と人とのつながりが、成功だけでたく、安全のためにも決定的に重要なのである。
また、日本人が、個人主義的な態度をとって社会から疎外される危険を冒さないようにする
理由も、ここにある。
//////////////// 945円(税込) ///
544 :
◆znwiARPvOs :2013/03/15(金) 21:20:46.56 ID:7MwcXW4O
/// 法を支配下におく 90 /////////////////
日本人は、自分たちの社会を統制する者も裁く者も含め、同胞が間違いを犯すことは知っている。
7章で指摘したように、彼らは恩恵のおしつけに対して冷めているところがある。<システム>と
その法的プロセスの基底にたっているこの伝統的な考えを、外国人に説明する際、破らは、ごく
"典型的な"日本人はこれを現実的には善として受け入れていると説明する。つまり暗に自分自身は
そうではないと考えているのである。
/////////// K.V.ウォルフレン著 ///
545 :
◆znwiARPvOs :2013/03/17(日) 11:40:32.68 ID:Mj2N8FIv
/// 法を支配下におく 91 /////////////
三四年間を刑務所で――そのうちの三一年間は死刑囚監房で――過ごした免田栄は、再審裁判で
無罪判決を勝ちとった。その後、インタビューした筆者に彼は、日本に正義があると思うかと
聞いた。彼はそう思わないと言いたげであった。最終的には無罪になったその事実自体が、免田の
考えが間違っていた証だと論じる人がいるかもしれない。正義の適用が三四年間も延期されたのは
正義の否定に等しいという論はさておくとしても、彼の無罪判決が出るまでには、司法の外側で
支援者が息の長いキャンペーンをたゆまず続けて、はじめて無罪になった。一九八○年代後半の
現在、このようなケースを日本の司法に委ねてはおけないと気づいた人道主義の活動家が、
約二五件の同じような受刑者にかわって戦っている。
/////////////////// 早川書房 ///
546 :
◆znwiARPvOs :2013/03/18(月) 20:53:19.42 ID:YZKjCa7x
/// 法を支配下におく 92 /////////////
一九八七年一〇月には、拷問によって自白させられ、三三年間死刑囚監房に入れられていた
赤堀政夫が、支援団体の強力な訴えによって、再審を認められた。再審手続きの開始は、
司法がすでに彼の無罪を決定したことを意味する。だが、彼が自由の身となった再審判決が
出るまでには、その後一年三カ月かかった。ユーゴの政治家ミロヴァン・ジラスは、その国の
不公平さをもっともよく知っている国がもっとも公平な国であると言った。この尺度からいえば、
日本の<システム>にはあまり高い評点はつけられない。
・・・・
///////////// 篠原 勝 (翻訳) ///
547 :
◆znwiARPvOs :2013/03/20(水) 14:55:29.01 ID:0J3U4hvZ
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 1
2009年03月06日
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20090306_horiemon02/ GIGAZINE(以下、Gと省略):ブログにも書いていたのでわざわざこんなことを訊くのも、
野暮といえば野暮なんですけど、日本では裁判員制度がもう始まっていますが、
どう思われますか?今の現状として。
ホリエモン(以下、Hと省略):どう思っているかというのは?
G:全体的に、うまくいく、うまくいかないだろう、というところも含めてです。
H:まあ、うまくいくもいかないも、始まっちゃったものはなー、なかなかやめらんないでしょうね。
G:やっぱりあれはもう止まらないものだと思いますか。
H:むしろその裁判員制度を導入すべき部分っていうのは……実は日本の裁判員制度って
すごい中途半端なんですよ。
G:中途半端というと?
H:要は、重大事件にしか適用されないんですよね。殺人とか、銃刀法違反とか凶悪事件
みたいなものにしか適用されないから、それはそれで意義はあることなんだと思うのですけど、
経済事件とかそういうのも実は重要なんですよ。けれども、そういう視点が入ってこない
っていうのは、すごく残念なことですよね。国民はバカだからわかんない、っていうふうに
思われているんだと思いますよ。バカにすんなー、って言うべきだと思いますね。
ふざけんな、って。何で言わねーのかな、みたいな。
G:確かにそれはありますね。
H:だってアメリカの陪審員制は全部、刑事事件で被告が無罪を主張したら選べることに
なってますからね、被告が。陪審員制か、裁判官の裁判、どっちを選ぶかってのは被告が
選べるようになっていますし、陪審員のセレクトにも参加できます。だから非常にフェアな
仕組みだと思いません?
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 2
G:あと個人的に思ったのは、取り調べの方法ってなんか、明らかに日本はおかしい
じゃないですか。まず取り調べを警察が録音する義務がないから被告が何を本当は
言ったのかわからない。警察が勝手に作文しても誰もわからない。任意だと弁護士も
立ち会わせることがないから、誰もちゃんと取り調べを正しく行ったかどうかが証明できない。
任意で取り調べを行い、逆らえば逮捕するぞとか言って脅迫するのはダメなのに、
身内同士でかばうから警察は罪に問われない。特に刑事事件なんかはそのあたりが
ぐちゃぐちゃなので、そのあたりの法律も一緒に整備してから裁判員制度を実行するのかな
と思ったら、全然そのあたりは整備せずに、要するにまあ刑事が一人で好き勝手に
作文できるような環境のまま進んでいるじゃないですか、現状としては。
G:あと個人的に思ったのは、取り調べの方法ってなんか、明らかに日本はおかしい
じゃないですか。まず取り調べを警察が録音する義務がないから被告が何を本当は
言ったのかわからない。警察が勝手に作文しても誰もわからない。任意だと弁護士も
立ち会わせることがないから、誰もちゃんと取り調べを正しく行ったかどうかが証明できない。
任意で取り調べを行い、逆らえば逮捕するぞとか言って脅迫するのはダメなのに、
身内同士でかばうから警察は罪に問われない。特に刑事事件なんかはそのあたりが
ぐちゃぐちゃなので、そのあたりの法律も一緒に整備してから裁判員制度を実行するのかな
と思ったら、全然そのあたりは整備せずに、要するにまあ刑事が一人で好き勝手に
作文できるような環境のまま進んでいるじゃないですか、現状としては。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 2
G:あと個人的に思ったのは、取り調べの方法ってなんか、明らかに日本はおかしい
じゃないですか。まず取り調べを警察が録音する義務がないから被告が何を本当は
言ったのかわからない。警察が勝手に作文しても誰もわからない。任意だと弁護士も
立ち会わせることがないから、誰もちゃんと取り調べを正しく行ったかどうかが証明できない。
任意で取り調べを行い、逆らえば逮捕するぞとか言って脅迫するのはダメなのに、
身内同士でかばうから警察は罪に問われない。特に刑事事件なんかはそのあたりが
ぐちゃぐちゃなので、そのあたりの法律も一緒に整備してから裁判員制度を実行するのかな
と思ったら、全然そのあたりは整備せずに、要するにまあ刑事が一人で好き勝手に
作文できるような環境のまま進んでいるじゃないですか、現状としては。
H:まあ、その通りですよ。それもすごい問題だし……。
G:あのあたりのことについて、なぜ誰も「問題だ!」と指摘しないのでしょうか?
H:でもね、一番問題だと思うのは、やっぱり、それはあの拘留制度にあると思うのですよ。
G:拘留制度と言うと?
H:拘留制度っていうのは、まあ日本の場合は捜査機関っていうのが決められてて、
強制捜査権を持つ団体ってのが何団体かあるんですよ。一番有名なのが警察、
そして検察、公正取引委員会、証券等常時監視委員会あとは厚生局とか入国管理局とか、
あと何個かあるんですよ、防衛省の警備局とかね。つまり、独自の捜査権限を持って
強制捜査できる団体があるんですよ。そこが捜査をして、逮捕なりをするわけですよ。
G:なるほど。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 3
H:で、逮捕状を請求して逮捕状を示して、令状逮捕するんですけど、そうすると
被疑者を身柄拘束できるわけです。牢屋に閉じこめることができるわけですね。
その取り調べができる期限が、48時間とかって決められてるんですよ。身柄拘束から
勾留に切り替えるには、裁判所の許可を貰わなきゃいけないんです、裁判所から。
だから48時間以内に被疑者は全員、裁判所へ護送されるんですよ。そこで勾留の
手続きをとらされるんですね。一応そのときに質問されるんですよ。質問されて一応、
その、裁判官が判決を出すわけです。で、もう99.9%勾留が決まるんですけど、そこから
また10日間勾留されて、さらに10日間延長できるから、最大で48時間+10日間+10日間
延長で合計「22日間」勾留できるんですよ。政治犯の場合更に5日間延長できるんですけど、
まぁ通常は22日間の勾留ができる、と。その後、送検されて起訴されるけど、起訴
されると、更に起訴後勾留(2ヶ月間)ってのが認められてるんですよ。起訴後勾留も
自動的に1ヶ月毎に自動延長されます。
G:なんか、全然出られませんね。こうなってくると。(詳細は「勾留期間」を参照のこと)
H:そうです。で、起訴後勾留も自動的に行われるんですよね、裁判所には行かないんですよ。
それから保釈請求をするんですけど、それは刑事訴訟法89条の第4号ってのが、実は
一番ひっかかってきて。その89条ってのは保釈の条件を決めた条文なんですけど、あの、
要件がいっぱいあるんですよ。保釈をしない条件みたいなのがあって、懲役三年以上が
もう確定してるような、確定っていうか、殺人罪とかね、そういう懲役三年以上な場合は
もう保釈できないとか。そういう凶悪犯系は三つぐらい要件があるんですよ。でも一番
問題なのはその第4号ってとこで、「罪証隠滅及び逃亡のおそれがある」ものっていう。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 4
G:ああ、よく聞きますよね、それ。
H:そう。証拠隠滅をしたりとか、口裏合わせをしたりだとか、逃げたりするような人の
疑いがあるときは、勾留を延長できる、と。保釈請求されても拒否できる、却下される、と。
それも一応裁判所に行くわけですよ。
東京だと東京地裁の刑事第14部ってのがあって、その第14部で審議されるわけです
(なぜか東京地方裁判所のページではこの第14部については記載されておらず、公開
されていない)。保釈請求とか専門のとこなんですよ。勾留の手続きも全部そこで
やるんです。要はずーっと勾留関係の手続きをやってる専門の部署になっていて、そこが
判断するのですよ。で、それで異議申し立てをすると、さらに準抗告とかそういう
手続きがとれて、そのあとの特別抗告っていう、要は普通の三審制と同じような、
一応そういう仕組みが決められてるんですよ。だけども、基本は、もう裁判官の主観で、
バンバンバンってハンコ押されて終わり。
G:それだと制度が機能してないような感じですよね。
H:もう被告人ってのは基本的に悪人で、嘘をつくどうしようもない人たちだから、
保釈はできない、っていうのが前提にあるわけです。だけど、例えば僕の場合は
逃げも隠れもできないじゃないですか、どう考えたって。
G:ええ。ですよね。どう考えても無理ですよね。有名人だからマスコミがぴったり
はりついていましたし、顔もよく知られていますから。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 5
H:それをわざわざ閉じこめておく意味はないわけじゃないですか。証拠隠滅及び
逃亡のおそれは無いわけですよ、実際は。保釈すればいいんですよ。
G:不思議ですね。不思議といえば、被疑者であって、殺人の現行犯のようなもうほぼ
罪が確定しているわけでもないのに、なぜマスコミは突然手のひらを返して、
悪人のように報道しているのか、というのもあったのですけれどもね。
H:通常のアメリカの裁判などであれば、僕なんかはもう一日か二日で必ず
保釈されるような案件なんですよ。
G:ですね。海外とかだったらこんなことでそんなに長期勾留したら逆に問題になります。
H:だからそれはなぜかって言うと、起訴するかしないかに関しても陪審員が参加
できるようになっているからですよ、アメリカは。
G:ああ、そうなんですか。
H:そう。陪審員が決めるんですよ。この人は逃げられるか逃げられないかっていうのを。
G:なるほど。
H:だって、僕は普通の人が見たら、「堀江さんは無理ですね」って思うじゃないですか。
G:ええ。思いますね。
※「アメリカの保釈に関してはちょっと誤解があったかも」とのことなので、より詳細な
内容は「陪審制 - Wikipedia」などを参考にしてください。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 6
H:たぶん検察官はいろいろ言うと思うけど、でも弁護側も主張ができるわけじゃないですか、
そこで。すごい有名だし、どこ行ったってみんなすぐ気づくから、ってね。
G:逃亡もくそもないだろうと。
H:そう、逃亡もくそもないだろう、って思うじゃないですか。
G:誰でも思いますよ。
H:でも検察は「プライベートジェットなどを持っていて、飛行機で逃亡するかもしれない」とか、
そういうことを当然言ってくるわけです。
G:映画の見過ぎじゃないですかって話ですよね。日本の制度はそのあたりが
全然整備されていない、と。
H:いやそれはもう全然整備されていません。すべて全くの密室で決まってるじゃないですか。
G:誰も見てない所で勝手に決めてますからね。
H:そう。実は、重要なところっていうのはそこにあるんですよ。で、実際その例の事件の
裁判の部分も、経済事件だから裁判員は参加できないわけですよね、今後も。
そうするとやっぱり密室で決まっちゃうわけじゃないですか、事実上。
G:確かに。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 7
H:職業裁判官が判決を出すことになるわけですから。職業裁判官で一番の問題点
というのは、やっぱりずっと彼らは極悪人を見てきているからバイアスが
かかっちゃうんですよ。
G:ああ、警察の人がずっと悪い人ばかり見てるから人をすぐ疑う、みたいなもんですよね。
H:裁判官も、刑事は刑事専門の裁判官がやるんですよ、ずーっと。キャリアがずっと
刑事事件ばっかりになっちゃう、ほとんど。例外ももちろんありますけど、ほとんどは
刑事部の中で出世をしていくんですよ。まあ世界で最も保守的な裁判所は
東京高等裁判所って言われてるんですけど。
G:そうなんですか。
H:高裁の裁判官のキャリアのなかで、裁判長ってのは、実は事実上最後の
キャリアなんです。スゴロクで言えば「あがり」のポストなんですよ。
官僚で言えば事務次官みたいなもんです。
G:かなり頂点ですね。
H:頂点なんですよ、そこが。そこから最高裁の判事になれる人ってのは、もう本当に
特別なんですよ。最高裁の判事っていうのは刑事裁判官からは一人か二人しか
選ばれないので。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 8
G:少ないですね。
H:あの15人のうちの1人か2人なんですよ、刑事裁判官のキャリアでそこまで行ける人。
だからそれはもう名誉職みたいなもんなんですよ。特別な名誉職なんで、普通の人は
もうキャリアとして高裁の裁判長で終わりなんです。だからまあ、スーパー保守
なんですよ、大抵の場合は。
G:でしょうね。どう考えても。
H:スーパー保守か、めちゃくちゃ変わり者かどっちかなんですよ。
G:まあ普通の組織で考えますとそうなりますね。
H:ほとんどがスーパー保守で、たまにすごい変わった、正義感の非常に強い人がいる、
っていう図式です。
G:まあでもほとんど保守的な人でないとそんなとこまで出世できませんよね、
ああいう組織の中では。
H:そう。で、刑事裁判をずっと何十年もやってきて、検察官とべったりで、99.9%
有罪判決を書いてるわけです。有罪判決しか書けないんですよ、逆に言うと。
無罪を書くことっていうのは非常に特別なことで、非常に勇気のあることなんです。
しかも判検交流っていうのをやってますからね。
★「ホリエモン」こと「堀江貴文」の真実〜ロングインタビュー後編〜 9
G:判検交流というと?
H:判事の「判」と検事の「検」なんですけれども、検察官がたまに裁判官になるんですよ。
そんなことあんの?って思うでしょ、あるんですよ。普通に。
G:めちゃくちゃじゃないですか。
H:めちゃくちゃでしょ?
G:それはめちゃくちゃ過ぎませんか
H:いや、でもそういうもんですよ、そうなってんですよ。要は、裁判官の気持ちになって
研修をしなきゃいけない、みたいな建前で。癒着してるんですよ。
G:ああ、なんかみんなグルというわけですね。
H:検事出身の裁判官なんてね、もうそりゃ検察寄りの判決書きますよね。
G:当たり前ですよね、どう考えても。
H:普通に当たり前じゃないですか。でもそういう制度も残ってるし、でも誰も
そんなことの問題提起をしないでしょ?
G:まあ普通のマスコミはしませんねー、そういうの。私もそんなものは初めて聞いたので。
H:判検交流なんて知ってる人はほとんどいないでしょうね。